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タバコの矛盾あれこれ - 一般社団法人広島県医師会
( ) 年(平成 年) 月 日 広島県医師会速報(第 号) 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 タバコの矛盾あれこれ 広島西医療センター 研究検査科 立山 義朗 日常診療その他でタバコに関する疑問点や矛 盾点について喫煙者とやりとりすることが多々 あるかと思います。それらのいくつかについて 少し考えを述べてみたいと思います。 ) タバコは嗜好品である! 医師の中にもタバコを嗜好品と誤解している 人を少なからず見かけます。嗜好品とは個人の 好きな飲食物で、コーヒーがよく例にあがりま すが、コーヒーを飲めない時にイライラしたり、 怒りっぽくなったりするでしょうか?これはい わゆる禁断症状(離脱症状)であり、タバコは 麻薬同様、依存性薬物だから起こる症状です。 タバコの生産、販売の促進が保護されている現 状が規制が進まない障害の一つになっています。 たばこ事業法を廃止し、健康問題からタバコの 規制や禁止がされるべきです。 ) タバコはマナーの問題である! J Tはタバコはマナーの問題であるとの立場を とっています。隣の人にタバコを吸ってもいい ですか?と断りを入れさえすれば吸ってもいい と考えるのは、あなたを刺し殺してもいいです か?と断りを入れさえすれば殺してもいいとい うことと同じと考えます。 ) 未成年喫煙ゼロについて ) 禁煙するとストレスがたまる! ニコチン依存状態が恒常的に成立している患 者さんが、禁煙を始めて間もないころ、ニコチ ンの血中濃度が下がるために、イライラし、正 常の精神活動がなされないということが一時的 に起こります。これをストレスと言うならばそ の解消のためには再喫煙するか禁煙するかのど ちらかしかありませんが、禁煙を選択すればこ のストレスからは永遠に解放されることを喫煙 者に理解してもらいましょう。 未成年者喫煙禁止法により未成年は吸っては いけないことになっており、未成年喫煙をゼロ にするという目標を掲げることは間違っている とは思いません。ところが、これを強調しすぎ ると成人になったら吸ってもいいという誤った メッセージと受け取られるのではないかと危惧 します。タバコは未成年、成人にかかわらず 吸ってはいけない危険な製品であると未成年の 時期からの啓発が重要です。 ) タバコのカタカナ表記について ) タ バ コ を 吸 っ て も 長 生 き す る 人 だっているし、逆にタバコを吸わな い人でも早死にする人だっている! すべての病気がタバコが原因というわけでは ありませんが、タバコがリスクとなる病気は直 接生命に影響を及ぼす病気を中心にたくさん指 摘されています。車が走っている交差点で信号 を無視して、無理矢理横断しようとした時、運 がよければ車が止まり、車にはねられないこと もあるでしょうが、非常に危険な行為です。事 故に遭う確率が高いのに、あえてそれを試みる のは無謀と言わざるを得ません。 ) タバコが危険ならなぜ売っている! タバコは有害化学物質がたくさん含まれてい る毒の缶詰であり、本来は当然規制や禁止され るべきものであるはずですが、たばこ事業法で タバコはたばこ、煙草などとも表記されます が、t o ba c c o から日本語になった外来語であり、 健康被害や火事の主たる原因となる危険物であ るという意味でもカタカナ表記が理にかなって いると思います。ちなみにJ Tはたばこと表記し ています。 ) JTのCSR (企業の社会的責任)について J Tは吸殻拾いなどのゴミの収集、医薬事業、 食品事業、環境問題への取り組みなど数多くの CSRを果たし、社会貢献をしているかのように 見えます。しかし、J Tの本当の意味でのCSRは タバコ事業をやめることに尽きるのではないで しょうか?J Tが社会貢献をすればするほど偽善 的に思えて仕方ありません。