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生体超分子計測科学研究室
生体超分子計測科学研 究 室 Division of Molecular Biophysics http://www.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/biophys/ 概要 0utline 核磁気共鳴(NMR)法とX線結晶解析法を主たる解析手法として、立体構造の見地から生体分子の構築原理 とその分子認識(複合体形成)機構を解明し、分子機能がいかに制御・発揮されるかを理解することを目指す。 これに基づき、試験管内における生命反応の再構成を行い、分子生物学的手法にて分子メカニズムを把握す るとともに、細胞生物学的手法による生命現象の可視化、さらには計算科学手法等を組み合わせた創薬への 応用研究を展開する。 Staff 教授 高橋 栄夫(たかはし ひでお)/ Hideo Takahashi 1993 年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了(博士(薬学))。1993 年日本学 術振興会特別研究員、1994 年北里大学薬学部助手、1995 年東京大学薬学部助手、 2001 年産業技術総合研究所 ・ 主任研究員を経て、2010 年 7 月より現職。 <メッセージ>生体高分子が関わる相互作用のメカニズムを多角的に明らかにして いくことで、新しい概念に基づく機能性分子設計のヒントを得ていこうと考えてい ます。物理化学・生化学からタンパク質/ペプチド工学・ドラッグデザインに至る 幅広い領域に跨る研究を進めていきます。 准教授 林 郁子(はやし いくこ ) / Ikuko Hayashi 1998 年東京大学工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。1998 年生物分子工学 研究所、2000 年米国バーナム研究所、2002 年カナダ・トロント大学オンタリオ癌 研究所、2007 年より現職。 < メッセージ >「科学」は「知ること」 。私たちは不思議に思ったことを目で見て知 ることに焦点をあてて研究をしています。細胞の動きを操る生体分子の動向を分子 レベル、細胞レベルで見てみませんか。 助教 永田 崇 ( ながた たかし ) / Takashi Nagata 横浜国立大学大学院工学研究科後期課程修了(1999 年)工学博士、1998 年米国ロッ クフェラー大学、2002 年理化学研究所ゲノム科学センター、2006 年 4 月より現職。 <メッセージ>「「academic」と「industry」の両方に通用する「力」とは、直面した問 題に対する解決策を見つけ出し、それを実行することで答えを生み出す能力です。この様 な能力は「頭脳と体力」を毎日使って研究を積み重ねることで身につきます。本学は、最 先端の研究を行う環境に恵まれています。学内の研究室間のみならず、世界的にも有名な 理化学研究所とも連携して研究が行われており、共同研究やセミナーなどの交流も盛んで す。私は、遺伝子発現の転写や転写後調節に関わる生体高分子、およびそれらと病気との 関わりに興味を持ち、分子生物学や構造生物学の手法を用いて研究しています。一緒にい い研究をしましょう。 3 研究内容 Outline of Research 【NMR を中心とした解析手法による生体高分子相互作用研究】 タンパク質などの生体高分子の機能と構造の関連を考える上で は、その単体の立体構造のみならず、それらが機能を発揮する生 体高分子複合体における相互作用の情報を知ることが重要である。 我々は水溶液中における原子レベルの構造情報を得ることができ る NMR 法を中心とする物理化学的手法、および計算科学、分子 生物学手法などを駆使し、生体高分子が関わる相互作用に焦点を あてた研究を行っている。 (1)生体高分子同士の多様な相互作用機構を明らかにする NMR 解析手法の開発と創薬標的タンパク質複合体への応用 (2)生体分子間相互作用を変調する薬物等低分子の作用機序の解 明 (3)生体高分子の局所的ダイナミクスと分子認識への寄与の解析 (4)相互作用情報をもとにした機能性分子創製:相互作用解析 から得られたファーマコフォア情報を活用したスクリーニング、 ファージディスプレイ技術と NMR 相互作用解析を統合したアプ ローチによる高親和性リガンドのデザイン、および低分子化合物 分子間 NOE 情報を利用した血小板受容体 GPVI に対する への変換ストラテジーの考案等 薬物結合様式 【細胞骨格因子の構造機能解析】 (A) (B) 細胞は細胞骨格因子とよばれる繊維状のタンパク質を中心とした 分子によって、細胞そのものの形や強度を保つばかりでなく生体 機能を維持している。特に微小管は染色体分配の中心となるばか りでなく、細胞移動や小胞輸送にも深く関与する。私達は、微小 管が目的の細胞小器官を捕獲する際に、伸長端で重要な役割を果 たす伸長端集積因子に注目して研究を行っている。また近年原核 細胞においても細胞骨格因子の存在が明らかとなってきたが、原 核生物のチューブリン相同タンパク質について細胞分裂における 分子機構の解明を目指している。 (1)微小管伸長端結合タンパク質 CLASP の結晶構造解析と微小 管重合反応の生化学的解析 (2)病原性微生物の毒素遺伝子分配に関わるタンパク質群の構造 機能解析 (A) 微小管伸長端結合蛋白質 EB1 の細胞内での局在化 (B) 微小管結合ドメイン CAP-Gly ドメインと CLIP170 その他遺伝子発現を転写・翻訳レベルで制御する蛋白質や核酸に の結晶構造 ついて、立体構造、分子運動、相互作用、酵素活性等を総合的に 解析することで機能と病因の相関解析も行っている。 業績 Latest Issue Ono, K., Ueda, H., Yoshizawa, Y., Akazawa, D., Tanimura, R., Shimada, I. and Takahashi, H. (2010) Structural basis for platelet anti-aggregation by Angiotensin II type 1-receptor antagonist losartan (DuP-753) via glycoprotein VI. J. Med. Chem., 53, 2087-2093. Nakamura, T., Takahashi, H., Takahashi, M., Shimba, N., Suzuki, E. and Shimada, I. (2010) Direct determination of the insulin-insulin receptor interface using transferred cross-saturation experiments. J. Med. Chem., 53, 1917-1922. Mizukoshi, Y., Nagasu, M., Shimada, I. and Takahashi, H. (2010) Precise structural determination of weakly binding peptides by utilizing dihedral angle constraints. J. Biomol. NMR., 46, 299-305 . Kato-Takagaki, K., Mizukoshi, Y., Yoshizawa, Y., Akazawa, D., Torii, Y., Ono, K., Tanimura, R., Shimada, I. and Takahashi, H. (2009) Structural and interaction analysis of glycoprotein VI-binding peptide selected from phage display library. J. Biol. Chem., 284, 10720-10727. MJ Plevin, I Hayashi and M Ikura (2008) Characterisation of a conserved “threonine clasp” in CAP-Gly domains: role of a functionally critical OH/ π interaction in protein recognition. J Am Chem Soc, 12, 14918-14919. Hayashi I, Plevin MJ and Ikura M (2007). CLIP170 autoinhibition mimics intermolecular interactions with p150Glued or EB1. Nature Struct Mol Biol 14, 980-981. I Hayashi, H. Mizuno, K.I. Tong, T. Furuta, F. Tanaka, M. Yoshimura, A. Nakagawa, A. Miyawaki, M. Ikura (2007) Crystallographic evidence for water-assisted photo-induced peptide cleavage in the stony coral fluorescent protein Kaede. J Mol Biol, 372, 918-926. Furukawa, A., Nagata, T., Matsugami, A., Habu, Y., Sugiyama, R., Hayashi, F., Yokoyama, S., Takaku, H. and Katahira, M. (2009). Structure, interaction, and real-time monitoring of the enzymatic reaction of wild-type APOBEC3G. EMBO J., 28, 440-451. Nagata, T., Suzuki, S., Endo, R., Shirouzu, M., Terada, T., Inoue, M., Kigawa, T., Kobayashi, N., Güntert, P., Tanaka, A., Hayashizaki, Y., Muto, Y. and Yokoyama, S. (2008). The RRM domain of poly(A)-specific ribonuclease has a noncanonical binding site for mRNA cap analog recognition. Nucleic Acids Res. 36, 4754-4767. 4