...

子育て世代の育児情報に関する研究 ∼情報化社会のなかでの取捨選択∼

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

子育て世代の育児情報に関する研究 ∼情報化社会のなかでの取捨選択∼
子育て世代の育児情報に関する研究 戸部研究室
∼情報化社会のなかでの取捨選択∼ A10AB095 西村 めぐみ
Ⅰ. 研究背景
主婦の井戸端会議があまり見られない
ではどこで交流を行っているのか?
様々な要因で
場 の選び方に違いが出る
井戸端会議をしている主婦をあまり見かけなく
近年普及したインターネット、育児サービス
なったが、どこで主婦同士の交流を行っている
の充実、母親の社会進出など様々な要因によ
のか?そんな疑問を抱き調査を行うことにした。 り子育てに関する交流・情報収集の場が増加
本研究では、主婦の定義を子供を持つ母親とし
したが母親がそういった 場 の選択をする
た。
際に何らかの法則性があるのではないかと考
また、本研究における母親とは子育てて一番大
えた。
変な時期である乳幼児∼幼児(小学校就学まで)
の子供を持つ母親と定義する。
『厚生労働省政策
統括官付政策評価官室委託「若者の意識に関する
Ⅱ. 研究目的と方法
調査」(2013 年)
』
1.研究目的
スマートフォンなどでインターネットが普及したことにより、母親の情報選択の可能性が増えた。
その事例は以下の写真のとおり。
育児支援施設
幼稚園
産婦人科
インターネット
http://michigami.or.jp/wp/
http://www.kosodate.city.nagoya.jp/
http://www,kankyo-net.city.nagoya.jp/
これらのさまざまな選択肢を子育て中の母親はどのようにして子育てに活かしているのか明らかにする。
2.研究方法
3.調査方法
予備調査より、下の4つの仮説を立てた。
子育て SNS への調査
①母親が抱える悩みの内容によって情報を収集する場に
安城市地域 SNS『あんみつ』管理人
違いが現れる
幼稚園の母親への調査
②インターネットから得る情報と人から得る情報に違い
椙山女学園大学付属幼稚園
が現れる
③母親の周囲に居る人・居住年数等によって
育児支援施設への調査
場の選択の基準に違いが現れる
名古屋栄 ショッピングビル内『758キッズステーション』
中村区 住宅地にある『クレヨンランド』
④育児支援施設の事業内容が場の選択に関わってくる
産婦人科利用者への調査
Ⅲ. 分析結果
1. 情報の収集
図1の丸部分を比較すると、
具体的に母親と子供のことを
人に相談している育児に関する悩み
知っていなければ的確なアド
バイスができない『しつけ』
のような内容は人に相談して
インターネットで検索する育児に関す
る情報
いることがわかる。
0%
進路・進学
しつけ
20%
40%
子供の健康
60%
80%
100%
親子関係
※複数回答のアンケートを100% で集計
図1 インターネットから得る情報と人から得る情報の違い
逆に『子供の健康』のように
人に相談する前の段階に検索
する内容で『情報』だけ知り
たい場合はインターネットを
利用していることがわかる。
図2の丸部分を比較すると、
2時間以上
一日のインターネット使用時
1~2時間
間が短い人は生活に直接関係
してくる『レシピ』の検索が
10~30分
多く、使用時間が長い人は
10分未満
『ニュース』『趣味』などの娯
0%
ニュース
20%
趣味
レシピ
40%
子育て
60%
家族関係
80%
株の値動き
100%
その他
※複数回答のアンケートを100% で集計
図2 インターネットで検索する内容と一日の平均使用時間
楽性のある『情報』を得るた
めに使用していることがわか
る。
3.施設ごとの母親の特徴
仮説①母親の抱える悩みによって情報を取得する場所が異なる。
②インターネットから得る情報と人から得る情報に違いがある。
仮説④育児支援施設の事業内容が場の選択にかかわっている
図1.2から以下のことが言える
産婦人科
幼稚園
インターネットから情報を得る場合
・一人目出産後
・母親は仕事をしていない
・仕事を出産するまで続けていた
・夫が育児に協力的
・産婦人科以外の施設も併用している
・長年現在の土地に住んでいる
・引越してきて現在の土地に住んでいる
・近場で交流をしたいと思っている
< 相対的なことがら >
『ニュース』『趣味』など 情報 だけ知りたい場合に
検索道具として利用される。
育児支援施設
(地域密着)
育児支援施設
(繁華街)
人から情報を得る場合
< 主体的なことがら >
・母親は仕事を退職している
・元々知り合いの母親同士で利用する
・兄弟で通わせるなど施設側と長い付き合いがある
・両親共働き
・子供が一人
・夫が育児に協力的
・母親同士の交流はあまりない
『しつけ』など具体的に母親と子供のことを知らなければ相
談に乗れないような内容を人に相談している。人からアドバ
イスが欲しい場合に利用される。
交流の場を選択する際には
・母親の性格(積極的に交流がしたいのかそうでないのか)
また、母親へのヒアリング調査から、人付き合いが苦手な母
・母親の現住地居住年数
親ほどうまくインターネットでの交流をするよう工夫してい
・どれくらい母親に時間があるのか(仕事の有無に関ってくる)
たことから、母親の人付き合いの好き嫌いも関係してくる。
が選択の手がかりとなっている。
2.母親と周囲の人間
育児支援施設の特徴の現れ方
交流に積極的
産婦人科
図3から、『しつけ』『子供の健康』『進路・進学』は『夫』『両親』
士の付き合い』は親類よりも『ママ友』『先輩ママ』など親類以外
に多く相談されていることがわかる。
図4の丸の部分を比較すると現住地居住年数が長い母親は身近に
居住年数が長い
居住年数が短い
など親類に相談されることが多いが、『育児と仕事の両立』『親同
育児施設
(地域密着)
育児施設
(繁華街)
母親
にある施設を選択
施設
利用者に合わせた内容を提供
幼稚園
相談相手がいるが、居住年数が短い母親は相談相手がいないこと
がわかる。
母親にとって便利な場所
利用者は自分にとって便利な施設を利用する傾向がある。
交流に積極的でない
繁華街の施設→仕事をしている母親が買い物のついでに
調査を基に交流の場選択の特徴を分類
利用する。地域に密着した施設→時間に余裕のある母親
さらに図5では現住地居住年数が長い母親ほど『夫』『両親』な
が近所の母親との交流を目的として利用する。
ど親類が相談相手になっている場合が多く、居住年数が短い母親
利用する母親の都合に合わせて施設の特徴が出来上がってくる
は『ママ友』など親類以外の友人に相談している。
施設がどのような土地にあるのかが母親に選択されるための重要なポイントとなっている。
夫
両親
ママ友
兄弟(姉妹)
先輩ママ
学生時代の友人
専門家
同級生の親
[%]
20年以上
20年以上
15年未満
15年未満
10年未満
10年未満
5年未満
5年未満
3年未満
3年未満
0
50
100
150
200
250
しつけ
子供の健康
進路・進学
親同士の付き合い
親子関係
育児と仕事の両立
300
その他
1年未満
[%] 0
1年未満
[%] 0
10
20
30
身近に相談相手がいる
40
50
60
70
身近に相談相手がいない
50
100
150
200
夫
両親
兄弟(姉妹)
ママ友
先輩ママ
学生時代の友人
保育士など専門家
子供の同級生の親
ネット交流
250
その他
※複数回答のアンケート結果を相対値として集計
※複数回答のアンケート結果を相対値として集計
図3 相談内容と相談相手
図4 居住年数と相談相手の有無
※複数回答のアンケート結果を相対値として集計
図5 居住年数と相談相手の変化
Ⅳ.結論
仮説③母親の周囲にいる人や居住年数によって交流の場の選択が変わる。
図3.4.5. から以下のことが言える
交流相手の選択
母親の相談相手の選択には母親の現住地居住年数が深く関わっている。
仮説①②
→ 情報 だけ知りたい場合はインターネットが利用される。
情報 だけでなく 的確なアドバイス が欲しい場合は人に相談する。
仮説③
それによって母親の交流の場所も変わってくる。
→母親の交流の場所・相手の選択には居住年数が深く関わっている。
仮説④
居住年数の短い母親は親類よりもママ友など友人との交流が盛んであ
→育児支援施設の事業内容は利用者の特徴によって決定される。
ることから積極的に他の母親との交流の場に出かけていると考えられ
母親が施設を選択する際には施設のある 土地 がポイントとなる。
る。
逆に居住年数が長い母親は、子育ての相談を身近にいる親類にしてい
以上の結果から、子育て中の母親はさまざまな要因から自分に合った場所の
るため、人付き合いの好き嫌いが交流の場所を選択する際にポイント
選択をしており、これからも増えていく交流の場所の中からそれぞれの母親
になると考えられる。
に合った交流の場をみつけてくれる窓口があると便利であると言えるかもしれない。
Fly UP