Comments
Description
Transcript
草原のお正月について
草原のお正月について モンゴル族の主な行事であるお正月(旧正月)の支度は冬至の頃から始められ、青いハダ ク(布)をかけた牛肉や羊肉を親戚や友達に贈ります。 大晦日の夕方、爆竹の音が鳴りひびき、家族が肉と酒、正月の料理を並べた食卓を囲み、 正面に祖先の写真を供えます。これは祖先との団らんを意味します。そして、家族そろっての お祝いの宴が始まり、子供達が親や年輩者にハダクと酒を捧げ、楽しく話しながら飲んだり、 食べたり、歌ったり、踊ったりして新年を迎えます。 お正月の朝、みんな、モンゴル服を身にまとい、年輩者に跪(ひざまず)き、礼拝しながら酒 を捧げて、年輩者の健康と幸福をお祝いし、年輩者も茶碗一杯に牛乳をつぎ、子供達が真っ 白な牛乳のごとく心が純潔で、願い事がかなうように祈ります。 元日から五日にかけて人々は馬や車、オートバイに乗って、お菓子、お酒とハダクをもって 年始回りにでかけます。正月のお客さまには、上等な酒や料理のほか、喜びを持ち帰るとい う意味で、小さな包みのお茶やお菓子を贈る習慣があります。 チャガンサル モンゴルのお正月は旧正月で「チャガンサル(白い月)」と呼ばれます。 旧暦 に従って決められるので日取りは毎年変わります。(2008 年は2 月7日) チャガンサルには 家族、親戚などが集まりごちそうを囲みながら、厳しい冬を乗り越えて春を迎える事に喜び、 一年間の幸せを祈ります。「チャガンサル(白い月)」の白はモンゴルでは純粋さを表現し、モ ンゴル人が尊ぶ乳の色でもあります。お正月は何も悪いことがない真っ白な月という意味もあ ります。元旦には日の出前に起き、きれいな服に着替え、それぞれの幸運の方向に歩き、功 徳の方向から戻ります。この儀式の後、大地にミルクを捧げ、日の出とともに家族と挨拶を交 わします。家族との挨拶が終わると知人、友人、親戚とのあいさつに1日何軒もまわります。 自分の家に挨拶に来た訪問客をもてなすのも大切な仕事です。家の中は一年で一番大切な 日を祝う、それは賑やかで幸せに満ちた空間ができあがります。 チャガンサルが終わるとモ ンゴルには春が訪れ、季節の挨拶も「良い冬を」から「良い春を迎えていますか」に変わりま す。 大晦日 日本の大晦日にあたる日は「ビトゥーン」とよばれ「閉じる」などの意味があります。大 晦日は家族が集まりお肉、肉まんなどお腹いっぱい食べます。小麦粉の皮で肉を閉じたボー ズを食べるのも、幸せを包み込むという縁起かつぎからです。この大行事に備 えお正月の一ヶ月前から、ボーズ責めの日々がはじまります。 チャガンサルの重要な料理 ボーズ(モンゴル蒸し餃子)は皮から作って肉を包み、外で凍らせていきます。一家庭で千個 くらいを家族総出で作り準備します。その他、ごちそうの準備、買い物、大掃除・・・一年で一 番大切な日を迎える準備は続きます。 チャガンサルのおもてなし チャガンサルはモンゴルのお祝いのごちそうでいっぱいです。 あ いさつ回りをすればそれぞれの家でもてなされます。 アツアツのボーズは最初に3 個以上 自分の皿に取るのが礼儀、アルコール度数が強いアルヒも3 杯飲むのが礼儀、その 他サラダに乳製品、飴、お菓子などなど!とにかく薦められます。これが一日に何軒もするあ いさつ回りの一軒一軒で繰り広げられるのです! チャガンサルのごちそう ○ボーズ(蒸し餃子)刻んだ肉を小麦粉の皮で包んで蒸した小龍包のような料理です。お祝 いには欠かせないモンゴル料理の代表です。 ○ブフリ(羊の丸茹で)チャガンサルには欠かせないモンゴルらしい料理です。羊を丸ごとに 茹でて食べます。頭にバターをつけて最初に全員バターを天に上げてから一口食べた後お 肉にナイフを入れて食べます。 ○ヘヴィンボーブ(巨大ビスケット)木製の型(へヴ)で形をとった平たい楕円形の揚げ菓子。 下から「幸せ・不幸せ・幸せ・・・」と数えるので奇数段積み上げて、乳製品や飴、角砂糖などで 飾ります ○アイラグ(馬乳酒)真っ白なアイラグも「白い月」にはかかせません。 この時期に出される のは秋から保存しておいたものです。 酒といってもアルコール度数は1∼2%ほどでお水の 変わりに飲んでいます。 ○シミンアルヒ(乳蒸留酒) 牛乳で作ったお酒です。日本酒のようで飲みやすいので飲みす ぎる人もいます。 ○チャガンアルヒ(白酒) 3 杯飲むのが礼儀ですが、アルコール度数は40%以上です。 あいさつ チャガンサルは仏教に従った行事で、ごちそうを口にする順番から挨拶のしかたま で、決まり事がたくさんあります。 しかし、モンゴルの文化を一年で一番感じられる行事で す。 あいさつの仕方 1.その家の年長者が上座に座ります。 2.あいさつの順番待ちの列に並び、順番がきたら、決まり文句で「センシヌリブー」と言いな がら、ハタグ(青布)を両手に持って、あいさつをします。この時はプレゼントの受け渡しはあり ません。年長者には差し出した腕を相手の腕の下に入れて、年少者の場合は自分の腕が上 に来るようにします。同じ位の年の人には同等ということで、左右の腕が互い違いになるよう にします。あいさつの時やプレゼントを差し出すときは必ず手のひらを上に向けます。あいさ つが終わったらプレゼントを差し上げます。お客さんにプレゼントを渡すには出る前です。そ の前に渡したら失礼です。 あいさつのタブー ・夫婦間ではあいさつを交わしません。 ・妊娠している女性同士はあいさつをしません ・あいさつの時は帽子をかぶります。 ・袖をまくったままあいさつをしてはいけません。 ・プレゼントを片手(特に左手)で受け渡ししてはいけません。 ・不幸のあった家のひとにはあいさつをしません。 ※日本の古いしきたりに似ていますね。