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水ガラスを利用した耐火素材の開発

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水ガラスを利用した耐火素材の開発
水ガラスを利用した耐火素材の開発
三生技研株式会社 ○真 隆志 井口久生
宮崎大学 工学部
物質環境化学科 塩盛弘一郎
1.はじめに
平成 22 年 10 月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」
により、国が率先して木造建築を推奨している。現行の建築基準法上では耐火建造物と
する事が求められているものの、木材に鉄筋コンクリートのような 2 時間耐火や 3 時間
耐火性能を付与する事は困難である。1 時間耐火性能であれば木質炭化層はそれ自体が
遮熱性能を有するため、予め「燃え代」を考慮した大断面の柱や梁を設計する事で解決
する事が可能である。しかしながら、「燃え代」の厚みを加えた木材は、製造コストお
よび移送コスト、住空間スペースに不利に働く。もし熱源が発生した場合にのみ遮熱性
能が発現する素材があれば、前述の欠点は解決できると考えられる。
本研究では,加熱すると発泡する特性をもつ水ガラスを出発原料として用い,昇温速
度を一定とした電気炉にて温度に対する発泡の嵩高さを調査し、成分組成の影響を明ら
かにした。また、標準加熱温度曲線に準じる事のできるガス炉を設計・作成し、本ガス
炉を用いて合板に塗布した水ガラスベースの無機組成物の遮熱効果を評価した。
2.実験
電気炉試験では、調製したサンプルを 20℃/min の昇温速度で加熱し、任意温度でサ
ンプルの状態を写真撮影した。任意温度の発泡嵩の像の面積を水ガラスベース素材の基
準物質と比較することで、調製サンプルの発泡性を評価した。
ガス炉試験では、火口 40mm、プロパン圧力 0.03MPa、プロパン流量 600L/hr、全長
857mm のブローバーナーを熱源として使用し、接炎部および非加熱側の合板表面に熱電
対を固定して 5 秒ごとにデータロガーを用いてパソコンに温度を記録した。加熱時間に
対する接炎側の温度および非加熱側の合板表面温度の変化と、目視での煙の発生観察よ
り、遮熱性能を評価した。本ガス炉で評価できる面積は 13cm×13cm のサイズである。
3.結果及び考察
水ガラスベースの基準物質よりも高温領域で嵩高く発泡する無機組成物を見出す事
ができた。ガス炉評価により、標準加熱温度曲線以上に昇温した場合でさえ、調製サン
プルを塗布した合板は少なくとも 20 分間は煙が発生せず、不燃材料としての性能を示
した。合板に本無機組成物を塗布するだけで、合板を不燃材とすることができる。
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