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節電の努力も及ばず、電気使用量が増加

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節電の努力も及ばず、電気使用量が増加
平成 24 年 9 月 25 日
平成 24 年度 猛暑に関する緊急アンケート調査結果
節電の努力も及ばず、電気使用量が増加
富山商工会議所
今年の富山の夏は月平均気温が 7 月が 26.4℃、8 月が 28.4℃で平年値をそれぞれ 1.5℃、
1.8℃上回ったほか、真夏日が 50 日、猛暑日が 11 日、熱帯夜が 17 日(9 月 17 日まで)で
あり、それぞれ平年値を大きく上回る、非常に暑い夏になった。
当所では、今年の夏の暑さが地域経済にどのような影響を与えたかを把握することを目的
に、アンケート調査を実施した。また、併せて景気情勢の見通し、政治に求めるものなどに
ついても尋ねた。
(調査結果の概要)
全体では約 4 割の事業所が猛暑による何らかの影響があったと答えた。
全業種とも冷房のための電気使用量が増え、電気料金の増大を挙げる声が最も多かっ
た。
よく売れたものはペットボトルのお茶やスポーツドリンク、天然水、枝豆、ロックアイ
ス、アイスクリームなど。また節電グッズや涼感グッズ(クール寝具、籐製品、風鈴など)
もよく売れた。売れ行きが悪かったものは牛乳、米、カップラーメン、菓子など。
建設業では現場作業員の体調管理・熱中症対策のため段取り調整や飲料を提供する経費
などが増大した。
政治に関しては消費税増税に関する不安(消費が落ち込むなど)を訴える声が最も多か
った。そのほか円高に伴う企業の海外移転、技術流出、TPPへの参加の遅れ、欧州・中
国などの情勢への不安を挙げる声も目立った。
表 1. 平均気温、降水量、日照時間の平年値との比較
月平均気温(℃)
7月
月降水量(合計、mm)
8月
7月
8月
日照時間(h)
7月
8月
2012 年
26.4
28.4
218.0
102.0
185.3
277.7
平年値
24.9
26.6
240.4
168.3
147.1
201.3
表 2.真夏日・猛暑日・熱帯夜の平年値との比較
2012 年(9 月 17 日まで)
平年値
真夏日
猛暑日
熱帯夜
50
11
17
40.3
5.7
6.2
資料:富山地方気象台
1
真夏日=日最高気温が 30℃以上の日
猛暑日=
〃
35℃以上の日
熱帯夜=日最低気温が 25℃以上の日
調査実施要領
(1)調査時期
(2)調査対象
(3)調査方法
(4)回 収 数
平成 24 年 9 月 7 日(金)~14 日(金)
富山商工会議所会員事業所 352 事業所
調査票をファックスで配布し、回収した。
151 事業所(回収率 42.9%)
調査結果
この夏の猛暑が経営に影響があったかを
尋ねた結果が図1である。これをみると、
「大
きな影響があった」が 7.3%、
「やや影響があ
った」が 32.5%であり、両者を合計した約 4
割の事業所が何らかの影響があったと答え
た。
図1 猛暑の影響の有無
大きな影
響があっ
た
7.3%
分からな
い
6.6%
影響はな
かった
(天候の
影響を直
接受ける
業種では
ない)
53.6%
具体的に、よく売れたもの、売れ行きが悪
かったもの、増大した経費などについてフリ
ーアンサーで尋ねた結果が以下のとおりで
ある。
やや影響
があった
32.5%
全体的傾向
全業種とも冷房のための電気使用量が増
え、電気料金が増大した点を挙げる声が最も多かった。
節電に心がけ、一定の成果を達成した企業もあったが、全体的には「冷房を使ったため例
年より電気料金が増大した」との声が多かった。また、営業用車両等のエアコンの使用が増
加したため、ガソリン代が増大したとの声もあった。
商店・商店街では、暑さのため日中の客数が減少した。
食料品
食品製造業・小売業では、ペットボトルのお茶やスポーツドリンク、天然水など各種飲料
がよく売れ、在庫の圧縮につながったとする一方で、これらに押され、牛乳の売上は伸びな
かった。また、枝豆、ロックアイス、アイスクリームもよく売れたが、そうめんなどの冷麺
に消費が流れ、米の消費が落ち、カップラーメンや焼き菓子も伸びなかった。
水産食品ではビールのつまみとして「ベーコンチーズ入りかまぼこ」がよく売れたが、練
り製品全体は伸びなかった。また保冷剤や冷凍保管料などの経費が上昇した。
ます寿しでは、気温が 30℃を超えると消費期限が 2 日間に短くなるため、若干売れ行き
が鈍った。その他、要冷蔵の持ち帰り食品の販売も不調だった。
生鮮食品では果物の食味が良く、スイカは特に好調だった。しかし猛暑により生育が順調
2
だったことから産地(高冷地)が豊作傾向となり、キャベツなどの価格は低迷した。さらに
キュウリ、ナス、トマトなども単価安の傾向だった。
飲食店・旅行
ホテルではビアガーデンが順調に客数を伸ばしたほか飲食店でも飲料の販売が増加した。
旅行業では暑さを避けるため、海や山への短期旅行商品の売上が増えた。立山黒部アルペ
ンルート、上高地などへのツアーも盛況。ただし、お盆期間中は不安定な気候のため、客数
が減少したとの声もあった。
衣料品・雑貨
衣料品では、猛暑とともに水着や夏物衣料がよく売れた。また、早い時期に女性用夏物の
制服の注文があった。しかし節電対策(スーパークールビズ)のため、紳士用スーツ・ネク
タイの需要は激減した。
寝具・雑貨品では省エネ気運もあり、節電グッズや涼感グッズ(クール寝具、籐製品、い
草製品、風鈴、錫・銅製品など)がよく売れた。
医薬品・化粧品
医薬品では鎮痒消炎剤(虫さされ・かゆみ止め)の販売が伸びた。また、ドリンク剤も昨
年同期比 50%近く出荷を伸ばした。日焼け止め化粧品、アレルギー剤関連も売上がアップ
した。
製品を乾燥させる工程のある医薬品製造業では、猛暑により乾燥効率が悪化し、通常より
多く時間がかかったとの声があった。
建設業
猛暑ではあったが雨の日が少なかったため作業中止が少なかったとのプラス面を挙げる
声もあったが、作業能率は低下し、作業時間が増加した。現場作業員の体調管理・熱中症対
策のため段取り調整や飲料を提供する経費などが増大した。
機械・自動車
工場向け機械販売では、設備投資が抑えられる中、工場扇・スポットエアコンなどの出荷
が伸びた。
自動車整備では猛暑の中、事故が多く発生したためか、事故車の修理依頼が非常に多かっ
た。また、台風の影響で車のガラスの破損もあった。
運輸・エネルギー
猛暑でタクシーを利用する人が増えた。
都市ガスは、商業施設の空調需要の増加により、最大供給量を更新した。
3
政治への要望・景気の見通し
消費税増税に関する不安を訴える声が最も多かった。消費が落ち込むことへの不安の他、
レジスターや経理システム等の変更に関する事務処理軽減のため、
「税率は一気に 10%まで
上げた方がよい」や、「この際外税方式に変更されたい」などの意見が目立った。
そのほか、円高に伴う企業の海外移転・技術流出、TPPへの参加の遅れ、ヨーロッパや
中国の情勢、長引くデフレ、エネルギー問題などを不安要素として挙げる声が多かった。ま
た、自動車販売ではエコカー補助金終了後の販売落ち込みを懸念する声があった。
景気の先行きには当面厳しい状況が継続するといった見方が多く、こうした中、政治に対
して望むことは景気浮揚のための政策実行や長期的ビジョンの提示、リーダーシップの発揮
が多く、混迷している状況の中で、政治への期待を失い自助努力に徹するとした答えや、早
期解散して国民に信を問うべきとする意見も目立った。
建設業からは公共工事のスムーズな執行、不動産業からは空家の増加解消対策などを求め
る声があった。
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