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「名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会」

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「名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会」
「名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会」
報
告
書
∼整 備 構 想∼
平成22年9月
目
次
Ⅰ はじめに
1 趣旨
2
2 検討経過
3
(1)クオリティライフ21城北「全体構想」
3
(2)平成19年度検討会「まとめ」
5
Ⅱ 重症心身障害児者の現状
1 重症心身障害児(者)の定義
6
2 重症心身障害児(者)の取り巻く環境
7
(1)本人の状況
7
(2)施設の状況
9
(3)家族等の在宅介護の状況
12
Ⅲ 新しい施設の構想
1 整備構想
14
(1)今後の方向性
14
(2)入所者の想定
15
(3)整備費・事業費
16
(4)運営方法
19
2 実施すべき機能
(1)生活支援機能
21
(2)在宅支援機能
22
(3)地域連携機能
23
3 施設内シミュレーション
(1)敷地条件
24
(2)施設機能とその配置
25
(3)各階部門とその考え方
26
Ⅳ おわりに
36
参考資料 名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会設置要綱
37
検討会の開催状況
40
1
Ⅰ はじめに
1 趣旨
名古屋市では、名古屋市新世紀計画2010第1次実施計画(平成12年策定)において、
障害の中でも最も重度である、いわゆる重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複した重症
心身障害児者が安心して生活できるよう、新たな事業として「重症心身障害児者施設の整備」
を掲げ、入所により医療ケアや介護を実施するとともに、重症心身障害児者の地域生活支援
の拠点となる施設整備を取り組むことを公表いたしました。
平成16年度には、障害者団体を中心とした関係者のヒアリングを実施するとともに、クオ
リティライフ21城北内での整備を踏まえた「全体構想」を策定し、そのパブリックコメン
トを行い、広く市民の意見を求めました。
平成19年度には、クオリティライフ21城北内に設置を予定している重症心身障害児者施
設を整備するにあたっての必要事項を検討することを目的とし、本検討会を立ち上げました。
その中では、重症心身障害児者とその家族の置かれている現状について明らかにするととも
に、施設の方向性を踏まえ、医療ケア・専門的療育を提供できるような「生活支援機能」を
中心とする議論を行いました。
平成22年度においては、平成19年度の議論を踏まえ、運営手法や事業費、必要な病院機能
等の検討及び調査を行い、様々な具体的なシミュレーションなども含めて検討を重ねてまい
りました。
本検討会では、重症心身障害児者の生命が守られ、発達が保障され、豊かな人生が送られ
るためには、どのような施設が求められるかについて、さまざまな立場からの意見を踏まえ、
ここに整備構想として取りまとめましたので報告いたします。
2
2 検討経過
(1)クオリティライフ21城北「全体構想」
ア 位置について
クオリティライフ 21 城北
名古屋がめざす都市像の一つ「福祉・安全
都市∼ほっとなごや∼」の実現に向けた先
● 市役所
導的プロジェクトです。
安心を支え、いきいきとした暮らしを支
援し、ともに理解し尊重しあえる心を育む
「保健・医療・福祉の総合的エリア」とし
て、隣接する志賀公園と一体となったまち
づくりを進めています。
イ 敷地内位置図(名古屋市北区平手町1丁目)
【平成 16 年度 配置イメージ図】
立体
陽子線がん
駐車場
治療施設
重症心身
障害児者施設
交流広場
志賀公園
西部医療センター
中央病院
健康増進支援施設
3
ウ 全体構想計画の基本理念
〔21 世紀の市民のクオリティライフを支えるまち〕
『ほっ』と安心を支える。
『市民誰も』の
『いきいき』とした暮らしを支援する。
ともに理解し、尊重しあえる心を育む。
まちづくりの視点
・21 世紀にふさわしい医療サービスが適切に受けられるまち
・健康づくりを支援するまち
・障害者をはじめ、誰もが生きがいをもって過ごせるまち
・こどもを生み、育てやすい環境づくりをするまち
・市民との協働が支えるまち
エ 分野別構想
重症心身障害児者への支援として、地域生活が困難な方の生活の場や地域生活を支援する
短期入所などの充実が必要なため、これらの機能をあわせ持つ重症心身障害児者施設を整備
します。
福祉分野「重症心身障害児者施設」
<方針:重症心身障害児者の生活支援>
生活の場としての親しみのもてる
療育施設
入所者の日常生活の場として親しみやすくする
在宅生活の支援
充実した医療的ケアなどを在宅生活の支援に生かす
地域生活活動のコーディネート
地域支援機能を持つ
4
(2)平成19年度検討会「まとめ」
ア 開催状況
平成19年 8月20日 今後の重症心身障害児者施設の方向性
9月21日 実態調査結果
10月29日 重症心身障害児者施設の規模
11月30日 まとめ
イ まとめ
項目
病床数
委員からの提言
・一般的に1病棟30∼40床であるが、重症心身障害児者施設において1病棟あたり
30床は現実的。
・重症心身障害児者の看護・介護を行う上で、1病棟あたり30床の方が適切な看護・
介護ができる。
定員
・重症心身障害児者であってもできる限り地域で生活できるよう施策の充実を図るべき
であり、最小の人数として60名は妥当。
・定員60名のうち短期入所が10名となるため、実質的な入所定員は50名となるが、
将来的には、増床の必要性を検討しなければならないこともありうるのではないか。
・運営していく上で困難があると思われるので、試算上、市として何らかの方策を考え
ておいた方が良いのではないか。
短期入所
・併設型の短期入所は、スタッフの配置等で制約が大きいため、空床型の方が運営しや
すい。また、柔軟な運営を行うために、期限付きの短期の入所契約も含めて運用を考
えると良い。
職員配置
・医療ケアの必要性が高い重症心身障害児者に対応できるよう、夜勤対応も含め、十分
なスタッフ配置が必要。
公募条件
・整備費及び運営費において、多額の資金が必要になる施設であるため、もう少し具体
的な名古屋市の補助施策を打ち出した方が良いのではないか。例えば、指定管理者制
度の検討や、運営主体が設置運営できるような整備面や運営面において補助する旨を
明記することが必要ではないか。
・空床型であっても短期入所の枠が確保されるよう、条件に盛り込むべきではないか。
・西部医療センター中央病院や名古屋市立大学病院との連携を行う旨を明記する必要が
あるのではないか。
・必要最小限の外来診療を行うことと、緊急時において在宅の重症心身障害児者の外来
機能も持たせることも条件に必要ではないか。
施策の
・重症心身障害児者の在宅生活を支える機能が必要ではないか。
意見
・重症心身障害児者が、入所施設だけでなく、ケアホーム等における地域生活が送れる
ような施策を望む。
5
Ⅱ 重症心身障害児者の現状
1 重症心身障害児(者)の定義
法律的には、重症心身障害児とは「重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複して
いる児童」(児童福祉法第 43 条の 4)とされています。実際の障害判定や評価で使用さ
れるのは大島分類と呼ばれる方法であり、この分類で下記表の 1∼4 に該当する方々が定
義上の重症心身障害児者といわれています。
21
22
23
24
25
IQ71∼80
20
13
14
15
16
IQ51∼70
19
12
7
8
9
IQ36∼50
18
11
6
3
4
IQ21∼35
17
10
5
2
1
IQ 0∼20
走れる
歩ける
歩行障害
座れる
寝たきり
移動
知能
※状態像として、「寝たきりから座位保持ができる程度」であり、かつ「0∼6歳半未満の知能程
度」の方であり、一般的に次のような特性を有しています。
○自力で生活することが困難であり、身の回りのあらゆる面において常時介護が必要。年齢が
進むにつれて、身体介護の負担増や重症化も進む傾向があります。
○様々な合併症(脳障害とそれに伴う呼吸器障害など)や二次的障害(運動障害による骨の変
形など)のため、専門的医療やそれに対応する設備が必要となります。
【参考:医療依存度が高い事例】
<社団法人日本重症児福祉協会 HP より>>
6
2 重症心身障害児(者)の取り巻く環境
(1)本人の状況
名古屋市の重症心身障害児者は年々増加しています(図1)。傾向として、在宅者
数は年々増加し、施設入所者数は一定数を保っています。在宅の重症心身障害児者の
状況については、約5割が何らかの医療ケアを必要としております。
【図1 重症心身障害児者数の推移と現状】
合計
1.15 倍(+121 名)
合計
1000
936
815
800
600
在宅
施設
400
200
0
在宅
施設
15年
16年
17年
18年
19年
20年
21年
572
243
602
242
610
235
645
239
664
237
690
236
696
240
重症心身障害児者の現状
市内重症心身障害児者
障害児(18歳未満) 283名
936名(市民 約2,400人に1人の割合)
障害者(18歳以上) 413名
乳幼児
養護学校(小・中・高) その他 主に通所系サービスを利用
204名
297名
79名
在宅
その他
116名
696名
重症心身障害児施設
(156名)
施設
その他施設
(84名)
240名
名古屋市による
さらなる支援
<本市の主な在宅重症心身障害児者施策>
(平成22年度予算)
①重症心身障害者等受入補助金
【通所:市単独事業】
317,238千円
食事の提供又は入浴介助を行う事業者へ補助を行う(32か所:369人)
②重症心身障害者等短期入所事業補助 【短期入所:市単独事業】 16,890千円
短期入所事業所が、重症心身障害児者を受け入れた場合、これに
対する適切かつ円滑なサービスの提供を可能とするため、短期入
所の法定単価に加えて上乗せ単価補助を行う(14か所:延べ304人)
③重症心身障害者等通園事業(B型) 【通所:国庫補助事業】
日常生活動作等の必要な療育を行うことにより、運動機能の
低下等を防止する(1か所:5人)
16,300千円
・
・・
④重症心身障害児小規模通所援護事業 【通所:市単独事業】
9,334千円
日常生活訓練動作等を実施する小規模事業所に対して補助を行う(2か所:10人)
※カッコ内の箇所数・人数は平成21年度実績
7
【直面している課題】
① 常に満床で入れない。
(県外施設へやむなく入所)
② 在宅介護者の高齢化に伴う
肉体的限界と親亡き後への
精神的不安
③ 採算性がとれないため、
民間整備が期待できない。
重症心身障害児者への主な支援体制
区分
障害児
相談支援
障害者
児童相談所 ・ 地域療育センター ・ 障害者地域生活支援センター 等
訪問系
福祉
支援
(居宅介護 等)
通所系(障害児通園施設 等)
通所系(生活介護 等)
居住系(ケアホーム等)
短期入所系(短期入所、日中一時受入事業 等)
在宅
(医療型)短期入所
医療
支援
訪問系(訪問看護、訪問療育 等)
通所系(外来診療、重症心身障害児(者)通園事業 等)
<課題>
・親の高齢化
・受け皿不足
乳幼児健診 等
身体障害者療護施設
知的障害者入所更生施設
障害者支援施設 等
福祉
支援
施設
重症心身障害児者施設
医療
支援
小児病棟
NICU
病院 等
【図2 本人の年齢】
0∼5歳
6.8%
6∼11歳
21.6%
12∼14歳
7.0%
15∼17歳
7.3%
18∼19歳
4.4%
20∼29歳
22.4%
18.2%
30∼39歳
40∼49歳
8.6%
3.7%
50歳以上
0%
20%
40%
60%
80%
100%
<平成 21 年度在宅重症心身障害児(者)実態調査(名古屋市)N=384>
8
【図3 家庭内医療的処置の状況 (複数回答)】
吸引
34.9%
吸入
17.7%
気管切開の手当
11.7%
在宅酸素
6.8%
その他の呼吸器管理
7.0%
導尿
3.4%
褥創の手当
8.3%
12.5%
胃ろう
その他
16.7%
51.0%
行っていない
0%
20%
40%
60%
80%
100%
<平成 21 年度在宅重症心身障害児(者)実態調査(名古屋市)N=384>
(2)施設の状況
施設入所者数が一定数を保っている背景には、慢性的に重症心身障害児施設が満床
であり、受け皿の絶対数が不足している現状があります。
少子化傾向にもかかわらず、対象となる方々が着実に増加しており、今後とも一定
の増加が見込まれるため、受け皿の早期整備が求められます。
愛知県では、県内の重症心身障害児施設は4施設、定員382名であるが、人口10万人
あたりの定員数は5.2となっており、全国平均の15.0を大きく下回り、全国最下位とな
っています(平成20年4月時点)。
運営方法
施設名
定員
県立県営
コロニーこばと学園(春日井市)
180名
県立民営
青い鳥医療福祉センター(名古屋市)
120名
国立病院機構
東名古屋病院(名古屋市)
42名
国立病院機構
豊橋医療センター(豊橋市)
40名
合
計
382名
9
また、名古屋市を政令指定都市と比較すると19都市中12位であり、中下位という状
況であります。
人口
政令指定
箇
都市名
所
(19 都市)
数
札幌市
2
328
0
0
0
328
1,904,278
17.3
6
仙台市
2
190
80
0
0
110
1,033,515
18.4
5
さいたま市
0
0
0
0
0
0
1,221,949
0
18
千葉市
3
230
120
60
50
0
955,279
24.1
3
横浜市
3
170
0
40
0
130
3,671,776
4.7
16
川崎市
1
96
0
0
0
96
1,409,558
6.9
13
相模原市
1
60
0
0
0
60
696,788
8.6
10
新潟市
1
120
120
0
0
0
812,223
14.8
8
静岡市
2
220
160
0
0
60
717,198
30.7
2
浜松市
2
180
80
0
0
100
811,397
22.2
4
名古屋市
2
162
42
120
0
0
2,257,888
7.2
12
京都市
1
90
0
0
0
90
1,465,816
6.2
14
大阪市
2
90
0
0
0
90
2,661,700
3.4
17
堺市
0
0
0
0
0
0
837,853
0
18
神戸市
1
78
0
0
0
78
1,536,685
5.1
15
岡山市
2
337
0
0
0
337
704,189
47.9
1
広島市
1
100
0
0
0
100
1,170,642
8.6
9
北九州市
2
160
0
0
60
100
982,805
16.3
7
福岡市
1
120
120
0
0
0
1,450,838
8.3
11
合計
29
2,731
722
220
110
1,679
26,302,377
10.4
-
定員
合計
(21.10.1)
国立
県立 市立
10
10 万人
私立
当たり
順位
こういった背景から、やむなく県外施設へ入所しているという現状もあります。
<県外の施設入所の状況>
年度
施設所在地
17
18
19
20
21
岐阜・三重・静岡
39
41
42
46
43
福井・石川・新潟
4
4
4
2
3
埼玉
1
1
1
1
1
京都
1
1
1
1
1
鹿児島
1
0
0
0
0
46
47
48
50
48
合
計
ただ、県外施設につきましても、常に満床となっており、入所待機者は全国で約3∼5
千人と推計されております(平成20年度厚生労働省研究班)。
また、NICU(新生児集中治療室)に入院している患者のうち長期入院者が、新規
の入院患者の受け入れを圧迫しているとされています。
これらの患者の多くは、重症心身障害児者になることが想定され、患者の病状が安定
した場合など、退院後の受け入れ先として医療ケアを実施し、在宅移行の支援機能を有
する重症心身障害児施設があるならば、その改善に寄与できるとされております。
11
(3)家族等の在宅介護の状況
主に介護している家族の高齢化が進んでいます。また、実態調査では、94.5%の介護者
が何らかの健康上の不具合を訴えており、肉体的・精神的な負担感が高くなっています。
【図4 介護者の年齢】
0∼29歳
2.1%
30∼39歳
19.0%
40∼49歳
介護者の年齢(60 歳以上)
29.4%
50∼59歳
23.4%
15.4%
60∼69歳
70∼79歳
8.3%
13 年
26.1%
20.6%
4 人に 1 人
2.4%
80歳以上
21 年
0%
20%
40%
5 人に 1 人
60%
80%
100%
<平成 21 年度在宅重症心身障害児(者)実態調査(名古屋市)N=384>
【図5 介護者の健康状態<複数回答>】
健康
5.5%
腰痛
74.0%
肩痛
53.7%
慢性疲労
58.3%
慢性睡眠不足
47.1%
20.8%
慢性病で治療中
高齢による体力減退
27.6%
17.7%
その他
0%
20%
40%
60%
80%
100%
<平成 21 年度在宅重症心身障害児(者)実態調査(名古屋市)N=384>
12
こうした状況もあり、重症心身障害児者施設について在宅介護を行っている方の約9割
の方が待ち望んでおります。
【図6 重症心身障害児者施設の必要性】
分からない
0.8%
不要
10.9%
必要
88.3%
<平成 21 年度在宅重症心身障害児(者)実態調査(名古屋市)N=384>
<主な必要とする理由>
○年齢を重ねるにつれ、この子を預ける場所を見つけなければと思うようになります。名古
屋市内では見つかりません。県外施設は通うのも大変です。
(30 代・父親)
○毎日、大変な日々を送っているので、一刻も早く施設を完成させてほしい。
(60 代・母親)
○何年、何十年も介護してきた人が人生の終わりにさしかかった時、そろそろ安心の人生が
プレゼントされても良いと思います。
(60 代・母親)
○介護を苦に心中するニュースをよく聞きますが、絶対に介護疲れは誰もが悩んでいます。
介護者も障害児にも楽しく過ごす権利があります。こういった施設が増えることを願って
います。
(30 代・母親)
○親にとって将来安心して任せられる施設があると思うだけで日々の大変な介護も頑張ろ
うと思います。
(60 代・母親)
13
Ⅲ 新しい施設の構想
1 整備構想
(1)今後の方向性
平成19年度の検討に加え、現状の重症心身障害児(者)の現状を踏まえ、整備構想
に向けての方向性の整理を行いました。
項目
設置・運営
今まで
の議論
民設民営
今 後 の 方 向 性
方 針
公設民営
指定管理
者制度
定員
入所
入所
60名
90名
検 討 内 容
・多額の資金が必要となるため、民設民営では整備が
困難
・公的関与が必要不可欠
・県地域医療再生計画に基づく重症心身障害児施設の
増床(NICU等に長期入院している者の医療機関
からの受け入れ)
・遠方施設からの移転を希望する方への対応
在
短期入所
宅
支
通園
10名
10名
(空床)
(空床)
―
行わない
援
・空床利用にて実施
・他の代替手段(生活介護・地域療育センター等)と
の機能分担を検討すべき。
・入所機能の充実を優先すべき。
外来
―
必要最小限
診療
・入所機能の充実を優先すべき。
・他の代替手段(かかりつけ医・西部医療センター
中央病院等)との機能分担を検討すべき。
研修
―
行う
・家族の介護研修の実施
・ヘルパー研修の実施
・研修室の設置
地
関係機関、
―
行う
・病院等との医療連携
域
事業者と
・ケアホーム等との福祉連携
連
の連携
・相談室の設置
携
ボランテ
―
行う
・連絡会などを通した交流
ィア・福祉
・療育情報の収集、公開、発信
NPO との連
・ボランティア室の設置
携
14
(2)入所者の想定
病院であるとともに、児童福祉施設である重症心身障害児者施設の定員を定めるにあ
たって、真に入所が必要な状態像を想定して検討を行いました。
名古屋市の重症心身障害児者(大島分類1∼4) 定員90名(児30名、者60名)
a)在宅からの受け入れ
55名(=12名(児)+43名(者))
平成21年度在宅重症心身障害児(者)実態調査結果を踏まえて、状態像が重症心身
障害にあたり、在宅から重症心身障害児施設に5年以内の入所希望があって、何らか
の医療ケアが必要となる方を推計
b)短期入所としての受け入れ 10名(=3名(児)+7名(者))
平成21年度在宅重症心身障害児(者)実態調査結果を踏まえて、短期入所を利用し
ていない在宅重症心身障害児(者)で今後利用希望ある方を推計
c)遠方施設からの受け入れ
10名(者)
県外重症心身障害児施設に入所している方(48人)のうち、当該施設が開設した
際に、移転が見込まれている方を推計
d)NICU・小児病棟の医療機関からの受け入れ 15名(児)
NICU・小児病棟に長期入院している方のうち、病状が安定しており、重症心身
障害児施設への移転が可能な方を推計
重症心身障害児(者)施設
(児童福祉法第43条の4)
医療の側面
福祉の側面
【人的要件】 医師、看護師 等
【人的要件】 保育士、心理指導担当員 等
【物的要件】 病院機能
(診察室、処置室 等)
【物的要件】 療育機能
(訓練室、観察室 等)
【運
【運
営】 診療報酬
営】 施設給付費
短期入所サービス費
定員 90名(児30名・者60名)
(a)
(b)
(c)
5年以内に在宅
から入所希望が
あって、医療ケア
が必要な方
短期入所の必要
な方への対応
遠方施設
からの移転を
希望する方へ
の対応
【55名】
【10名】
【10名】
(d)
NIC U等に長 期入
院し て いる 者の 医
療機関か らの 受 け
入れ
【15名】
周産期医療の
後方病床 として
の位置づけ
長期入院患者に
よる新規受入の
圧迫を緩和
※定員の積算には、在宅重症心身障害児(者)実態調査、児童福祉センターや医療機関等からのヒアリ ングによるもの
15
(3)整備費・事業費
今回の試算は現行法(児童福祉法)の基準・診療報酬等に基づき算定しました。今後
の国の動向において障害者自立支援法の抜本的な見直しも検討されており、その動向を
見据えながら整備を進めていく必要があります。
ア 整備費(試算) 約34億円(90床)
イ 事業費
収入 9∼10億円
支出 11億円(収支差▲1∼2億円)
<収支シミュレーション条件>
収入
入 所 者:診療報酬+施設給付費 80名(児27 名、者53 名) 入所率96%
短期入所者:短期入所サービス費
10名(児 3 名、者 7 名) 入所率70%
施設給付費
874単位×965/1000(公立)×10円= 8,430 円
短期入所サービス費
2,600単位× 10.6円(地域単価) = 27,560 円
支出
人件費
・医師 7名(施設長含む)<診療科目として小児科・内科・整形外科>
配置基準 [{(病床数)+(外来数/2.5)}52/16]+3
=(9052)/16+3 = 5.375
・看護師61名 (2病棟→10:1、1病棟(超重症児対応)→7:1 )
配置基準 (病床数/3)+(外来数/30)
・その他職員等については基準数を考慮して配置
物件費
・同種施設の実績を基に算出
16
区
分
重症心身障害児施設(児童福祉法)
(児童福祉法第43条の4)
重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童
対
象
(児童福祉法第63条の3)
都道府県は、当分の間、必要があると認めるときは、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が
重複している満18歳以上の者について、その者を重症心身障害児施設に入所させ、又は指定医療
機関に対し、その者を入院させて治療等を行うことを委託することができる。
設
備
面
・医療法に規定する病院として必要な設備
・観察室、訓練室、看護詰所、浴室
・医療法に規定する病院としての必要とされる従業員
a)医師 基準以上
長及び医師は、内科、精神科、神経科、小児科、外科、整形外科又は
リハビリテーション科の診療に相当の経験を有する医師
b)看護職員(看護師、准看護師又は看護補助者) 基準以上
人
c)薬剤師 (定員/70)+(外来/75)
員
d)栄養士 100床以上の病院に1
面
e)診療放射線技師 1以上
f)事務員その他の従事者
・児童指導員 1以上
・保育士 1以上
・心理指導を担当する職員 1以上
・理学療法士又は作業療法士 1以上
17
モデル試算
【収入】
区
(単位:円)
事項
積算内訳
算定
区分計
障害者施設等入院基本料
@13,000 円×80 名×350 日
364,000,000
超重症児(者)入院診療加算
@8,000 円×15 名×350 日
42,000,000
準超重症児(者)入院診療加算
@2,000 円× 8 名×350 日
5,600,000
診
乳幼児加算
@3,330 円× 4 名×350 日
4,662,000
療
幼児加算
@2,830 円× 4 名×350 日
3,962,000
報
特殊疾患入院施設管理加算
@3,500 円×80 名×350 日
98,000,000
酬
地域加算
合計
分
@120 円×80 名×350 日
入院時食事療養費(Ⅱ)
@506 円×3 食×80 名×350
663,633,000
992,067,000
3,360,000
(A)
42,504,000
日
投薬料・処置料等
診療報酬の 15%
施
障害児施設給付費(80 名分)
設
食事療養費利用者負担
自
99,545,000
@8,430 円×80 名×350 日
短期入所サービス費(10 名分)
236,040,000
@780 円×80 名×350 日
21,840,000
@27,560 円×10 名×256 日
70,553,600
257,880,000
70,554,000
立
【支出】
区
事項
算定
区分計
合計
分
合計 97 名
施設長(医師)
1名
医師(重心)
6名
看護師(管理責任者含む)
61 名
理学療法士又は作業療法士
6名
薬剤師
2名
務
栄養士
1名
費
放射線技師
1名
事務員
3名
保育士(生活支援員)
15 名
心理職
1名
事
人件費
839,248,000
978,895,000
1,114,189,000
管理費 (給食業務、空調設備、看護助手、医療事務、清掃業務
(B)
139,647,000
等にかかる委託費、庁費、旅費、修繕費等)
保護費 (利用者の処遇にかかる日常諸費)
61,492,000
医療費 (薬品代、衛生材料費等)
46,463,000
給食費 (食材料費等)
24,404,000
事
業
費
教育費 (教材費等)
135,294,000
2,935,000
18
収支差A−B ▲122,122,000
(4)運営方法
ア 運営方法について
名古屋市では、公の施設の管理運営において、民間事業者のノウハウを活用し
ながら、市民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的に、指定管理者制度
を積極的に導入しています。今回の新しい施設についても、その方針にのっとり、
指定管理者制度の活用を図ることが必要と考えられます。
イ 公設民営(指定管理者制度)の理由
○整備費負担、運営費負担が大きく、民設民営では整備が困難であり、指定管理
とした方が、公募した場合、応募法人を見込みやすいこと。
○公民問わず、運営については、医師等の人材確保が一番の課題であり、市の積
極的な協力が必要となること。
○市が積極的にかかわることにより、西部医療センター中央病院等との間で連携
を構築する必要があること。
○公的関与の必要性が高い反面、効率的な運営が期待できる観点から、運営は民
間が適していること。
ウ スケジュール予定
平成22年度 : 整備調査
23年度 : 基本設計
24年度 : 実施設計
25年度 : 工事着工(∼26年度末まで)
26年度 : 指定管理者制度選定
27年度 : 利用者受入開始
エ 入所までの流れ
児童相談所において入所の検討を行い、方針が決定されます。なお、本施設の
入所にあたっては、その対象者像や施設機能との整合性など運営法人との十分な
調整が必要と考えられます。
①相談受付
②家庭状況・障害状況を把握するために社会調査・診察
(重症心身障害児(者)の判定基準…「大島分類」1∼4)
③入所可能な重症心身障害児施設との調整(施設へ照会)
④契約利用又は措置について決定
19
【今回の施設における運営法人の公募条件等】
No 項目
1 募集
方式
基本的な考え方
原則公募とされています。
ただし、以下の場合においては、例外的に公募によらないことがで
きるものとされており、その取扱いについての十分な検討が必要です。
公共サービスの安定的かつ継続的な提供、業務の高度な専門性、
名古屋市施策との関連性など、個々の施設の構造・特性・設置状況
等を勘案した結果、効果的・効率的な施設運営を行うことができる
団体が客観的に1 団体に特定される場合
2 指定
指定期間は原則として4 年間とされています。ただし、合理的な理
期間
由がある場合には、4 年以外の期間を指定期間とすることができるも
のとされており、重症心身障害児者施設については、合理的な理由に
十分合致するものです。また、施設開設前の準備期間を指定期間とす
ることで、円滑な施設開設や人材確保・育成策を行う必要もあります。
<合理的な理由>
○入所型の社会福祉施設などで、利用者と施設職員との継続的な
信頼関係が特に必要となる場合
○医療分野など、安定した経営や専門性の高い人材の確保が必要
となる場合
3 選定
基準
重症心身障害児者施設の選定にあたっては、特に以下の点について
十分な審査が必要です。
①事業計画を確実かつ安定的に実施するに足りる経理的基礎その他
の経営に関する能力を有すること
例)施設運営の経験・経営状況・財務規模 など
②入所者の意思及び人権を尊重し、常にその立場に立ったサービス
が提供できること
例)入所者やその家族の要望への対応・個人情報の保護策など
③事業計画が市民の平等利用その他の観点から適切なものであること
例)法人の利用者を優先して入所させることがないこと など
④効果的かつ効率的な管理運営を実施できること
例)入所施設や短期入所の運営方法 など
⑤施設の効用を最大限発揮させることができること
例)運営意欲・連携協力に関する考え方・自主事業の提案など
⑥管理経費の縮減が図られること
例)コスト削減の考え方、収支計画 など
20
2 実施すべき機能
(1)生活支援機能
ア 重症心身障害児者の特性に応じた医療・療育支援を行う施設機能
○重症心身障害児者に対する継続ケアの必要性を踏まえ、児者一貫の全年齢対象
とした施設機能を有すること。
○様々な合併症(脳障害とそれに伴う呼吸器障害など)や二次的障害(運動障害
による骨の変形など)に対応した施設機能を有すること。
○NICUや小児病床に長期入院している超重症児・準超重症児の受け入れに対
応した施設機能を有すること。
<参考>
項
超重症児と準超重症児についての診療報酬上の判定基準
目
Ⅰ、運動機能
Ⅱ、
介護スコア
内
容※1
座位まで
呼吸管理
超重症児
Ⅱ≧25
準超重症児
10≦Ⅱ≦24
食事機能
他の項目
1、レスピレーター管理※2
10
2、気管内挿管、気管切開
8
3、鼻咽頭エアウェイ
5
4、酸素吸入またはSpO2 90%以下の状態が10%以上
5
5、1回/時間以上の頻回の吸引
6回/日以上の頻回の吸引
8
3
6、ネブライザー6回/日以上または継続使用
3
7、IVH(中心静脈栄養)
10
8、経口摂取(全介助)※3
経管(経鼻・胃ろう含む)
3
5
9、腸ろう・腸管栄養※3
持続注入ポンプ使用(腸ろう・腸管栄養時)
8
3
10、手術・服薬にても改善しない過緊張で、発汗による更衣と姿勢修正を3回/日以上
3
11、継続する透析(腹膜灌流を含む)
10
12、定期導尿(3回/日以上)※4
5
13、人工肛門
5
14、体位交換 6回/日以上
3
※1:6ヵ月以上継続する状態にてカウント
※2:毎日行う機械的気道加圧を要するカフマシン・NIPPV・CPAPなども含む
※3:経口摂取、経管、腸ろう・腸管栄養のいずれかを選択
※4:人工膀胱を含む
イ プライバシーに配慮し、利用者本位の生活の場としての施設機能
○可能な限り在宅生活に近い環境を創出すること。
○食事や入浴など基本的な生活行為にも可能な限り管理的要素を抑え、潤いと自主
性のある生活を保障すること。
○外出活動を含め、豊かな日中活動を保障すること。
ウ 在宅復帰を目指す施設機能
○施設で全ての生活が完結するのではなく、利用者各人の多様な状況にきめ細かく
対応し、在宅復帰を目指すこと。
21
○病院から直接の在宅移行が困難な重症心身障害児に対して福祉と医療の両面か
ら支援を行うこと。特に施設側で親子の愛着形成の機会を設けるなどをし、在宅
復帰につながるような仕組みをつくること。
○重心受入可能なケアホーム・事業所の環境を整備する一方、入所については有期
限利用とすることでより多くの方々が施設を使えるような取り組みをすること。
(2)在宅支援機能
ア 短期入所により一時受け入れを行う施設機能
○介護者の負担を軽減することにより、重症心身障害児(者)とその家族が安定し
た在宅生活を継続的に送ることができるようにすること。
イ 家族への支援(家族宿泊・研修など)を行う施設機能
○家族の肉体的・精神的な負担の軽減を図り、家族にとっての拠り所の施設になれ
るよう、豊富な家族参加の機能を備えること。
ウ 在宅支援事業者への支援(研修など)を行う施設機能
○施設として培った経験やノウハウを活用した研修や相互連携を行うこと。
○可能な限り、広範囲な対象者と多重的な研修を実施すること。
拠点としての重症心身障害児者施設
∼重度の障害者も地域で暮らせる基盤づくり∼
在宅
・在宅復帰支援
・家族支援
・有期限利用等
重症心身障害児者施設
生活
支援
重症心身障害児者
西部医療センター
中央病院、NICU
等
病状悪化等で高度
医療が必要な場合等
地域
連携
重心受入可能な
事業所
・地域移行の推進
・事業者向け研修
在宅
支援
ケアホーム 等
安全地帯(セーフティゾーン)
遠方施設
22
(3)地域連携機能
ア 地域社会と交流を行う施設機能
○地域に開かれた施設であるためには、様々な機会をとらえて地域と交流していく
必要があり、交流プログラムのほか、実習生やボランティア等について積極的に
受け入れを行うこと。
イ 福祉・医療・保健などの各分野との連携を行う施設機能
○拠点としての重症心身障害児者施設として、関連する療育情報を集積するととも
に、積極的に情報発信を行うこと。
○在宅への移行や在宅での生活継続維持のため、各分野との連携をもとにして支援
を行うこと。
○障害者にとって、口腔ケアのニーズが高いことから外来機能のある歯科スペー
スを設け、支援を行うこと。
ウ クオリティライフ21城北という立地条件を活用した施設機能
○クオリティライフ21城北内(北区平手町)という立地条件を活かして、地区内
の施設間連携を軸に、地区外の関連する施設と連携していくこと。
○西部医療センター中央病院との施設間連携については、①診療連携、②緊急時・
急変時の救急医療対応、③高度医療機器の共有などの十分な検討を行うこと。
○現在検討中の健康増進支援施設との施設間連携については、より効果的な連携が
図れるよう今後検討を行うこと。
建設場所
23
3 施設内シミュレーション
(1)敷地条件
ア 計画地
名古屋市北区平手町1丁目
イ 全体敷地面積
47,353㎡ のうち、当該施設敷地面積
(うち建設可能面積
約5,980㎡
約3,800㎡)
ウ 用途地域
第2種住居地域
エ 防火指定
準防火地域
オ 容積率
200%
カ 建ぺい率
70%
キ その他
景観や近隣環境に配慮しつつ、調和のとれた建物とすること
24
(2)施設機能とその配置
生活支援機能
在宅支援機能
地域連携機能
①重症心身障害児者の特性に応
①短期入所により一時受け
①地域社会と交流を行う
じた医療・療育支援を行う施設
入れを行う施設機能
施設機能
機能
②家族への支援(家族宿
②福祉・医療・保健など
②プライバシーに配慮し、利用
泊・研修など)を行う施設
の各分野との連携を行う
者本位の生活の場としての施設
機能
施設機能
機能
③在宅支援事業者への支援
③クオリティライフ21
③在宅復帰を目指す施設機能
(研修など)を行う施設機
城北という立地条件を活
能
用した施設機能
日中と居住の場がある開放
親子・事業者をつなぐ施設
立地条件を活かした施設
的な施設
3 階
18 歳
以上
居住・日中部門
短期入所部門
(15 名×4 ユニット)
(者)
60 床
管理部門
2 階
18 歳
未満
居住・日中部門
短期入所部門
(15 名×2 ユニット)
連結部門
(2 階全天候回廊)
(児)
30 床
管理部門、診療部門
宿泊部門(家族)
屋上庭園
1 階
事務管理部門
研修部門(家族・事業者)
連結部門(1階交流広場)
共用
厨房部門
交流部門、歯科部門
25
(3)各階部門とその考え方
各階部門の機能を踏まえ、イメージ検討図面を作成し、具体的な位置関係などの検討を
行いました。なお、障害児早期療育指導委員会において、重症心身障害児施設の視察を行
った事例も参考といたしました。また、国の障害者自立支援法の抜本的な見直しとともに、
児童福祉法の改正の動きもあることから、それに対応できるように、療養介護の基準を考
慮しております。
障害児支援の見直しに関する検討会報告(抜粋)
(平成 20 年 7 月 22 日)
①重症心身障害児について手厚い人的配置が可能となるようにするなど、基準等に
ついて検討していく。
②満 18 歳以上のいわゆる加齢児については、受け皿づくりなどを進め、障害者施
策として対応していく。
③「障害児施設」と「障害者施設」として併設した場合に、設備の共用など一体的
な支援のための柔軟な運用を可能にするように検討する。
26
1F(事務管理部門)
部門
事 務
管理
主な室名
事務所
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
●気軽に相談できるカウンターを事務室の入口に設置
施設長室
看護師長室
■面接や相談などといった看護師長が担う役割は大きいため、広めの部屋
が必要
医局
相談室
職員休憩室
仮眠室
○医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。
(宿直室)
男子更衣室
女子更衣室
機械室
●クオリティライフ21城北地区の地域冷暖房の活用
※臭気対策として、定期的に施設全体を換気するシステムあり
※空調はできれば個別と中央の併用がよいと助言あり
※湿度を保つ空調設備。屋内の乾燥を防ぐために加湿された空気の吹き出
口を設置
倉庫
■収納スペースの確保
27
1F(厨房・研修・交流・歯科・連結部門)
部門
厨
主な室名
厨房
房
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
○入院患者のすべてに給食することのできる施設とし、調理室の床は耐
水材料をもって洗浄及び排水又は清掃に便利な構造とし、食器の消毒
設備を設けなければならない。
○火気を使用する場所には、防火上必要な設備を設けること。
■食事の提供体制の精査が必要
平成19年度名古屋市在宅重症障害児(者)実態調査によると、
約20%が経管栄養となっている
研修
多目的室
※)地元の中学生が音楽会を実施
・
(研修)
■広さの確保(入所者一同が集まれる場所)
家族交流室
■10畳程度が妥当
ボラン
※)ボランティア活動例
ティア
<利用者との直接のかかわりを中心としたもの>
ルーム
・日常生活の場での利用者の介護、車いすを押して散歩
交流
交
流
・特技を生かして、利用者とのレクリエーション
(楽器の演奏、歌、絵本の読み聞かせ)
・施設が実施する行事への参加
<利用者が快適に暮らすための環境を整備するための活動>
・まくら、雑巾などの縫製、掃除や洗濯の手伝い、草取りや
花木の水やり
・花壇づくり、建物や家具の軽修理、機関紙の編集、ホーム
ページの作成・管理
・送迎車両の運転
連結
南側出入口
●南側の交流広場へのアプローチが容易な構造
歯
歯科
○診療所として明確に区画された構造
科
スペース
28
2F(診療部門①)
部門
主な室名
診療
OP
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
○診療科名中に外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器
ゾーン
外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、産科、婦
(手術室)
人科、眼科及び耳鼻いんこう科の一を有する病院を診療科名とする病院に
おいてはこれ(手術室)を有しなければならない。
○なるべく「準備室」を附設し、じんあいの入らないようにし、その内壁全
部を不浸透質のもので覆い、適当な暖房及び照明の設備を有し、清潔な手
洗いの設備を附属して有しなければならない。
■基準上必要であることに加え、広さと清潔さを兼ね備えた使いやすい処置
室のような役割あり。
消毒室
○蒸気、ガス若しくは薬品を用い又はその他の方法により入院患者及び職員
の被服、寝具等の消毒を行うことができるものでなければならない。
臨床検査
脳波室
操作
(X線)
X線
(撮影室)
○喀痰(かくたん)、血液、尿、ふん便等について通常行われる臨床検査の
できるものでなければならない。
○内科、心療内科、リウマチ科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容
外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、泌尿器科、リ
ハビリテーション科及び放射線科の一を有する病院又は歯科医業につい
ての診療科名のみを診療科名とする病院には、これを設けなければならな
い。
※)造影剤を入れるレントゲンは必須
29
2F(診療部門②)
部門
主な室名
診療
診察室
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
○1人の医師が同時に2以上の診療科の診療に当たる場合その他特別の事情
がある場合には、同一の室を使用することができる。
○診療の用に供する電気、光線、熱、蒸気又はガスに関する構造設備につい
ては、危害防止上必要な方法を講ずること
※)大型のCTは、維持費等を考慮すると後方病院が持っているのであれば不
要
※)気管を覗くため、ファイバースコープは必須。管の太さは2種類あった
方がよい。
※)汎用超音波エコーは必須
調剤室
○採光及び換気を十分にし、かつ、清潔を保つこと。
○冷暗所を設けること。
○感量10mgのてんびん及び500mgの上皿てんびんその他調剤に必要な器具を
備えること。
処置室
(診療用)
リ ハ ビ リ
○なるべく診療科ごとにこれを設けることとする。ただし、場合により2以
上の診療科についてこれを兼用し、又は診療室と兼用することができる。
○重症心身障害児施設上の設備基準あり
(機能訓練
室)
倉庫
■医療器材を収納するスペース
(左下)
30
2F・3F(管理部門①)
部門
主な室名
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
管理
NS
●1病棟ごとに設置。病室を見渡せる位置
(ナース
※)配管がどこからでもとれるOAフロア、モニター設置、深めの流し台あ
ステー
ション)
り
※)モニターの精度が良くなり、何かあればナースステーションで異常が察
知可
ス タ ッ フ
●1病棟ごとに設置
ルーム
カンファ
○談話室は入院患者とその家族が談話を楽しめる広さを有する。
レンス
●1病棟ごとに設置
ルーム
■申し送りや会議をする場が必要
( 兼 談 話
室)
観察室
●1病棟ごとに2部屋設置
■発熱やインフルエンザなどの体調不良者への対応
■観察室はNS(ナースステーション)の近いところに必要
処置室
●1病棟ごとに設置
(病棟)
●2∼4人部屋の入所者への処置する場の確保
多目的室
■投薬・点滴・注射の準備
(ユーティ
リティ)
当直室
●夜勤職員の配置を考慮し、1病棟に1か所設置
31
2F・3F(管理部門②)
部門
主な室名
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
管理
WC
(便所)
●排せつには時間がかかるため、床暖房の設置。男女別、シャワー付きトイ
レの設置
※)トイレは寝たままできるように、フラットで蓋ができるようになってい
る。
■トイレ数の精査が必要
平成19年度名古屋市在宅重症障害児(者)実態調査に
よると、おむつ使用が約8割。排泄の予告状況として、
約8割が「予告不可」となっている
汚物処理室
●便所(WC)の周辺に汚物処理室を設置
リネン室
●感染予防の観点から1病棟ごとに設置
倉庫
●必要となる医療機器や福祉用具も多いことから、1病棟ごとに2部屋設置
■収納スペースの確保(車いす、ケア用品、入所者の衣類など)
【参考】 廊下の一部を収納庫(上段)と車いす置き場(下段)として有効活用した事例
32
2F・3F(居住・短期入所部門)
部門
主な室名
居住
居室
・
(個室)
短期
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
○病院の病室の床面積は、内法による測定で、患者一人につき6.4㎡以上と
すること。
【参考:障害者支援施設】
入所
利用者1人当たりの床面積は、収納設備等を除き、9.9㎡以上とすること。
※)室内の照明は、3段階。全体を明るくする照明、夜間照明、ベッド毎の
処置のためのスポット照明、床暖房、各部屋には酸素と吸引の配管あり。
※)重度の方でも、できる限り家庭に近い状況でみるということで、設計上
個室が多くなっている。全体の4割程度が個室である。
※)個室は感染症対策が行いやすいため、一定数の確保を考慮
■広さの確保、居室内に車いすの収納設備
居室
●可動間仕切により、1人室への対応が可能とするような工夫
(2人部屋)
■広さの確保、居室内に車いすの収納設備
居室
■広さの確保、居室内に車いすの収納設備
(4人部屋)
■入所者同士の交流
■居室の精査の必要
平成21年度名古屋市在宅重症障害児(者)実態調査
によると、希望居室について、「個室」が約3割、
「2人部屋」が約1割、「4人部屋」と「特にこだ
わりなし」の合計が約6割という回答があった。
共用(廊下、 ■入所者の車いす利用を前提とした保管場所や回転・すれ違い空間の確保
バルコニー
■自力での避難行動が不可能な入所者を想定の上、災害対策の実施
等)
(屋上庭園・バルコニーへの出入り口の段差解消など)
<イラスト引用:「これからの重症心身障害児施設のあり方(社団法人日本重症児福祉協会)」>
33
2F・3F(日中・短期入所部門)
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
部門
主な室名
日中
DR(デイ
●食堂兼訓練室(プレイルーム)
ルーム)
●食堂は日々の食事以外にも、誕生会やクリスマス会などの小さな年中行事
・
短期
検討会の意見(■)
が開催される場でもある。
入所
●食堂には感染予防の観点から大きめで車いすや座位保持装置でも使いや
すい洗面台を設ける。
※)大画面プロジェクター、音響設備。床暖房。
※)生活の場として、酸素・吸引が配管されている。
※)床の材質にも工夫。
■ゆとりのある広い空間の確保
脱衣室・
○身体の不自由な者が入浴するのに適したもの
浴室
●入浴介護に際しての階移動は多大な介護負担となるから、浴室は各階に配
置。
●1病棟ごとに1か所設置。
※)ミスト浴は暖かい上に安全である。1人7分で、特殊浴槽より短い。介護
者ののぼせを防ぐ効果もあり。特殊浴槽と併せて利用することで、入浴の
効率が大幅に上がっている。
スヌーズレ
■施設にとって必要な設備
ン ル ー ム
(2Fのみ)
学校教室
●小中学校の義務教育の実施
(2Fのみ) ●図書コーナー配置
学校職員室
●小中学校の義務教育の実施
(2Fのみ)
心理室
●心理職の担当する部屋
(2Fのみ)
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2F(宿泊・連結部門等)
部門
主な室名
宿泊
家族宿泊室
基準(○)、方針(●)、他の重心施設の考慮すべき事項(※)
検討会の意見(■)
●家族と利用者が一緒に宿泊可
※)和室あり。電気器具を使って調理もできるようになっている。酸素・吸
引が配管されている。
■利用頻度は高く、2部屋は妥当
連結
全天候回廊
●全天候回廊はフラットとする。全天候回廊の方が重心2Fより高いので、
重心側のエレベーターと連結し、段差解消する。
※)緊急事態や高齢化していく重症児、将来増加するであろう超重症児に対
する高度な医療を考えると、すべての医療を自己完結的に施設で対応する
ことは難しく、近くに多機能を持った病院があり、連携していくことが望
ましい。
屋上
庭園
屋上庭園
●開放的な空間
■バリアフリー
■災害時の避難場所
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Ⅳ おわりに
今回の整備を予定している重症心身障害児者施設は、長年計画されていたものの、なかな
か実現化する段階に至らず、重症心身障害児者本人やその家族が待ち望んでいるところです。
今回の検討会の中では、施設自体の課題のみならず、在宅自体の課題も浮き彫りになり、
その取り巻く状況を踏まえた議論もいくつかされたところでございます。
今後、本報告書の整備構想を参考に「重症心身障害児者施設」の整備を進めていくことに
なろうかと思いますが、「生活支援機能」・「在宅支援機能」・「地域連携機能」の三つの
機能を実施しながら、最も重度の障害児者である重症心身障害児者を社会全体で支える仕組
みづくりをぜひとも構築していただきたいと思います。
名古屋市において、本施設が早期に整備され、またこの施設を拠点として重症心身障害児
者に対する様々な支援が展開されますことを心から願っております。
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参考資料
名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会設置要綱
(目的)
第 1 条 名古屋市重症心身障害児者施設整備検討会(以下「検討会」という。)は、クオリ
ティライフ21城北内に設置を予定している重症心身障害児者施設を整備するにあたっ
ての必要事項を検討するために設置する。
(検討事項)
第 2 条 検討事項については、次の各号に定めるものとする。
(1) 重症心身障害児者施設の規模
(2) 設置運営主体の公募条件と選定方法
(3) 前号に掲げるもののほか、特に検討会が必要と認める事項
(委員)
第 3 条 この検討会の委員は別表のとおりとし、健康福祉局長が依頼する。
(委員の任期)
第 4 条 委員の任期は、平成 22 年 4 月 1 日から平成 23 年 3 月 31 日までとする。
(組織)
第 5 条 この検討会の組織は、次の各号のとおりとする。
(1) 検討会に、委員の互選により委員長及び副委員長各 1 人を置く。
(2) 委員長は、会務を総理し、会議の議長となる。
(3) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、
その職務を代理する。
(運営)
第 6 条 この検討会の運営は、次の各号のとおりとする。
(1) 会議は、委員長が招集する。
(2) 検討会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
(3) 検討会の運営に関して必要な事項は、この要綱に定めるもののほか、委員長が検討会
に諮って定めるものとする。
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(検討結果及び公募条件)
第 7 条 検討結果については、名古屋市障害児早期療育指導委員会へ報告し、名古屋市は検
討結果を尊重の上、公募条件を策定するものとする。
(事務局)
第 8 条 この検討会の事務局は、健康福祉局障害福祉部障害者支援課とする。
(その他)
第 9 条 その他必要な事項については、別に定める。
附 則
この要綱は、平成 19 年 8 月 1 日から施行する。
附 則
この要綱は、平成 22 年 4 月 1 日から施行する。
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別表
たかい整形外科 院長
(名古屋市障害児早期療育指導委員会委員長)
石井 要
名古屋市健康福祉局障害福祉部長
佐藤 良喜
愛知県重症心身障害児(者)を守る会会長
松田 昌久
西部医療センター城北病院 副院長
鈴木 悟
愛知県心身障害者コロニーこばと学園園長
熊谷 俊幸
愛知県青い鳥医療福祉センター事務部長
大野 博志
愛知県青い鳥医療福祉センター看護部長
境 富美子
社会福祉法人橅の森
中井 香代子
医療・福祉・保健・教育のネットワーク名古屋
久留島 光保子
社会福祉法人名古屋キリスト教社会館
林 俊和
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検討会の開催状況
第1回
日時:平成22年5月20日
議題:今までの議論の状況と今後の方向性について
第2回
日時:平成22年6月17日
議題:重症心身障害児者施設として実施すべき機能
第3回
日時:平成22年7月15日
議題:重症心身障害児者施設の図面案について
第4回
日時:平成22年8月19日
議題:報告書(素案)
第5回
日時:平成22年9月16日
議題:報告書(案)
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