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エネルギー領域におけるスマートハウスとIoTの関係

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エネルギー領域におけるスマートハウスとIoTの関係
2015年 生研リサーチキャンパス公開
エネルギーシステムインテグレーション
―エネルギー領域におけるスマートハウスIoTの関係―
2015年6月5日
荻本 和彦
東京大学 生産技術研究所 エネルギー工学連携研究センター
本日の内容
0. 長期需給見通しとFIT制度の状況「ドライバー」
1. シナリオ選択のインパクト
2. Variability :需給調整力不足の課題
3. Flexibility :需給調整力向上への挑戦
-電源、需要、流通・系統間連系、運用高度化、市場-
4. エネルギーから、住宅・IoTへ
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
©2015 Ogimoto Lab.
2
エネルギー基本計画
長期エネルギー需給見通し
 2014.4のエネルギー基本計画、コスト検証WGの検討に基づき、長期エネルギー
見通しが策定された。
 エネルギー全体については、経済成長等によるエネルギー需要の増加を見込む
中、徹底した省エネルギーの推進により、石油危機後並みの大幅なエネルギー効
率の改善を見込むんだ。
 電力需給構造については、経済成長等による電力需要の増加を見込む中、徹底し
た省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の効率化
等を進めつつ、原発依存度を低減し、現状より電力コストが低減されるとした。
総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し⼩委(第10回)参考資料1長期エネルギー需給見通し 骨子(2015)
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
© Ogimoto Lab.
3
エネルギー基本計画
長期エネルギー需給見通し
 2030年以降を見据えた取組として、「3E+Sに関する政策目標の確実な実現と多
層・多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築に向け、水素をはじめとする新
たな技術の活用を推進する。」
 定期的な見直しとして、「省エネルギーの進展、再生可能エネルギーの導入、各
電源の発電コストの状況や原発を巡る動向等を踏まえつつ、少なくとも三年ごと
に行われるエネルギー基本計画の検討に合わせて、必要に応じて見直す。」
「見通し」は最終段階でコスト検証
WGの報告書を踏まえて決定されたが、
電力システムの将来については、世界
的に大きな構造変化が発生する中で様々
な議論が行われている。
単に円/kWhの比較では将来の選択
では不適切であり、こん後それらを逐
次反映することが必要と思われる。
総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し⼩委
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
コスト検証WG
報告書 (2015)
© Ogimoto Lab.
4
本日コスト検証WG から(第7回資料5)
USD 2013 per MWh
 国際エネルギー機関IEAは、2014年8月に、再生
可能エネルギーと従来電源の発電コストの比較を含
む、「Medium-Term Renewable Energy
Market Report 2014 Market Analysis and
Forecasts to 2020」を発表した。
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
Small scale
Utility scale
2020
Fossil fuels
2014
2013
2013 average
wholesale price:
PJM
Small
hydro
Solar PV Solar PV Bioenergy Bioenergy Geothermal Solar PV
CSP
residential commerical
co-firing
utility w/storage
Large
hydro
Onshore Offshore
wind
wind
New
coal
New
gas
CCGT
IEA: Medium-Term Renewable Energy Market Report 2014 Market Analysis and Forecasts to 2020 (2014.8)
http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2014/august/name-125080-en.html
CWE
ITALY
 ドイツの研究機
関Fraunhofer
ISEは、2014
年1月に、再生
可能エネル
ギーと従来電
源の発電コスト
の比較を含む、
報告書を発表し
た。
Figure 1: LCOE of renewable energy technologies and conventional power plants at locations in Germany in 2013.
The value under the technology refers in the case of PV to the insolation global horizontal irradiation (GHI) in
kWh/(m²a), for the other technologies it refers to the number of full load hours (FLH) for the power plant per
year. Specific investments are taken into account with a minimum and maximum value for each technology.
Figure 8: LCOE of PV plants in Germany based on system type and
irradiation (GHI in kWh/(m²a)) in 2013.
Figure 11: LCOE of wind power by location and full load hours in 2013
Fraunhofer ISE: c(2014.1)
http://www.ise.fraunhofer.de/en/press-and-media/press-releases/press-releases-2014/what-does-it-cost-to-convert-renewables-into-electricity
USD 2013 per MWh
コスト検証WGの結果とIEA、Fraunhoferの報告書1,2)の比較
500
450
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Small scale
Utility scale
2020
Fossil fuels
2014
2013
2013 average
wholesale price:
PJM
Small
hydro
Solar PV Solar PV Bioenergy Bioenergy Geothermal Solar PV
CSP
residential commerical
co-firing
utility w/storage
Large
hydro
Onshore Offshore
wind
wind
New
coal
New
gas
CCGT
CWE
ITALY
注:IEA 報告書のFigure 6 Levelised costs of electricity (USD per MWh)に、為替レート105円/$, 1.3 €/$で、コスト検証委員会報告書、日
本のFIT価格、とFronhofer報告書の値を重ねた。
コスト検証委員会報告書:
政策費込、v政策費なし、 2030年の想定幅
日本のFIT価格:⇒は2012から2015への変化を表す。
Frounhofer報告書から、
PV: Figure 8: LCOE of PV plants in Germany based on system type and irradiation in 2013のPV small/utility 1050kWh/(m²a)
Wind: Figure 11: LCOE of wind power by location and full load hours in 2013の1300/2000 onshoreの中間値と、2800 off-shoreの値
1) IEA: Medium-Term Renewable Energy Market Report 2014-Market Analysis and Forecasts to 2020 (2014.8)
2) Frounhofer ISE Levelized Cost of Electricity- Renewable Energy Technologies (2014.1)
コスト検証WG 第7回資料5
FIT制度の状況
FIT開始以降のRES導入状況
 再生可能エネルギーの導入促進を目的とした固定価格買取制度(FIT)は、震災
後の2012年7月、太陽光発電42円/kWh(10kW以上は20年、10kW未満の住宅
などを想定した余剰買取では10年)住宅用年などの国際的にもかなり高い推移準
の条件を設定して、開始された。
 2012年7月の固定価格買取制度開始後、2014年6月時点で、新たに運転を開始
した設備は 約11093MW(制度開始前と比較して約5割増)。
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第1回資料3(2014)
FIT制度の状況
RES導入および「認定」状況
 2012年7月の固定価格買取制度開始後、2014年6月時点で、新たに運転を開始
した設備は 約11093MW(制度開始前と比較して約5割増)。
 制度開始後、認定された容量のうち、運転開始済量の割合は約15%。
 制度開始後の導入量、認定量ともに太陽光が9割以上を占める。
設備導入量(運転を開始したもの)
再生可能エネルギー発
電設備の種類
固定価格買取制度導入
前
平成24年6月末までの累
積導入量
認定容量
固定価格買取制度導入後
固定価格買取制度導入後
平成24年度の導入量
平成26年度の導入量
平 成 25 年 度 の 導 入
(7月~3月末)
(4月~6月末)
量
平成24年7月~
平成26年6月末
太陽光(住宅)
約470万kW
96.9万kW
130.7万kW
12.4万kW
292万kW
太陽光(非住宅)
約90万kW
70.4万kW
573.5万kW
204.5万kW
6,604万kW
風力
約260万kW
6.3万kW
4.7万kW
0.2万kW
121万kW
地熱
約50万kW
0.1万kW
0万kW
0万kW
1万kW
約960万kW
0.2万kW
0.4万kW
0.7万kW
32万kW
約230万kW
2.1万kW
4.5万kW
1.8万kW
128万kW
175.8万kW
713.9万kW
219.6万kW
中小水力
バイオマス
合計
7,178万kW
約2,060万kW
1109.3万kW (714,303件)
(1,315,806件)
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第1回資料3(2014)
FIT制度の状況
エネルギー基本計画とFITによる「導入および認定」の比較
 これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した導入水準、認定量が全て運転開
始した場合の再生可能エネルギー電源毎の導入量の内訳は以下のとおり。
 認定取消し案件や事業断念案件、系統接続等の課題による制約を受ける案件が存
在するため、全てが運転開始することは想定されない。
発電電力量(億kWh)
※括弧内は発電電力に占める割合
2020
(長期エネ需給見
通し(再計算))
2013
(現在)
2030
(2030年のエネル
ギー需給の姿) (A)
認定済案件が運転開
始した場合
(2014年5月末時点) (B)
2030(2030年のエネ
ルギー需給の姿)と
の比較 (B/A)
風力
地熱
水力
バイオマス・廃棄物
92(1.0%)
49(0.5%)
26(0.3%)
800(8.5%)
37(0.4%)
308(2.9%)
88(0.8%)
34(0.3%)
805(7.7%)
179(1.7%)
572 (5.6%)
176 (1.7%)
103 (1.0%)
1,073 (10.5%)
217 (2.1%)
840(8.2%)
65(0.6%)
37(0.4%)
822(8.1%)
254(2.5%)
147%
37%
36%
77%
117%
合計
1,004(10.7%)
1,414(13.5%)
2,140(21.0%)
2,018(19.8%)
94%
太陽光
設備容量(万kW)
太陽光
同上
同上
同上
同上
1,432
2,800
5,300
7,431
風力
271
500
1,000
372
地熱
52
53
165
53
水力
4,745
4,925
5,560
4,777
-
-
-
363
6,500
8,278
12,025
12,995
バイオマス・廃棄物(※)
合計
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第3回資料4(2014)
FIT制度の状況
RESの電力各社系統への受入れ状況
 北海道電力、沖縄電力においては、昨年から、既に再生可能エネルギー発電設備
の受入れが困難な状況。
 今般、一部の電力各社(東北、四国、九州)においても、再生可能エネルギー発
電設備の導入量と申込量の合計が低負荷期の電力需要を超過。(北海道、沖縄で
も、更に接続が困難な状況に至っている。)
 このため、上記の電力各社は、一定規模以上の再エネ発電設備の接続申込みへの
回答を保留すること等を公表。
電力
会社
設備認定量
(万kW)
太陽光・風力の導入量と申込量 低負荷期電力需要
の合計(万kW)
(万kW)
(導入量:約70)
※平成25年3月の時点で、太陽
光を約190万kW、風力を56万k
W受付済み
約270
現在の各社の状況
10kW未満の太陽光を除くすべての接続申込の
回答保留(9月30日公表)
北海道
約330
東北
約1150
約1260(接続検討未了の案件
約600を含む)
約970
50kW未満の案件を除くすべての接続申込の回答保留
(9月30日公表)
四国
約250
約 280(接続検討未了の案件
約20を含む)
約250
10kW未満の太陽光を除くすべての接続申込の回答保
留(9月30日公表)
約1790
約1760
導入量 :約 390
申込量:約1370(接続検討未了
の案件約500を含む)
九州
沖縄
約60
約32(太陽光のみ)
導入量 :約13申込
量:約19
約800
(ただし、500kW以上の太陽光発電設備は、出力抑制を
無補償とすることを条件に接続可能。)
10kW未満太陽光を除くすべての接続申込の回答保留
(9月24日公表)
申込量が受入可能量を超過 (9月30日公表)
約50
今後は「特定期間の太陽光発電停止」や「太陽光発電設備側にお
いて蓄電池設置」による対策を含め、個別に協議。
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会系統WG第2回資料1(2014)
FIT制度の状況
系統ワーキンググループの設置
 中立的な専門家により、電力会社の接続可能量の検証、接続可能量の拡大方策等に
ついて審議を行うため、本委員会の下に、系統ワーキンググループ(WG)が設置
され、以下の内容を検討した。
 WGは10/16, 10/30, 12/16の3回開催され、12/18に⼩委員会に結果を報告した。
検討事項
1.接続可能量の検
証に関する事項
想定される検討内容
○現状における各電力会社の接続可能量の算定方法、算定のための前提条件等について、各社の地域特性を踏
まえて、整理・検証




2.接続可能量の拡
大に関する事項
自然変動電源の出力変動と平滑化効果の検証
需給調整が困難となる断面の整理(需要想定、需要カーブ、制約の種類(短期の調整力、長期の調整力))
需給調整に用いられる調整電源の活用状況(応答性、運用可能な最低出力)、出力抑制の活用状況の検証
地域間連系線の活用状況の検証
○接続可能量の拡大方策のオプションを整理 (※効果、費用、期間の観点から整理することを検討。)







(オプションの例)
①運用の見直し
調整電源の更なる活用
自然変動電源の出力抑制の更なる活用
地域間連系線の更なる活用
②設備の増強
蓄電池、地域間連系線、地内送配電網
③その他
自然変動電源の変動特性の把握
発電出力予測の活用・精緻化
需要対策
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第2回資料7(2014)
G-② 太陽光発電の接続可能量
(風力接続可能量ケース)
• 各社が公表している風力発電の接続可能量を前提として算定した太陽光発電の接続可能量
北海道
東北
北陸
中国
四国
九州
沖縄
100
2.5
風力接続可能量:(a)
(万kW)
56
太陽光接続可能量:(b)
(万kW)
117
552
70
558
219
817
35.6
太陽光・風力接続可能量
(a)+(b)
173
752
115
658
279
917
38.1
合成2σ出力(万kW)
105.6
547
62
463
171.5
622
28.8
合成最大出力(万kW)
106.7
549
64
490
190.3
629
30.1
昼間最低負荷:(c)※2
(万kW)
308.4
(5月26日
12時)
791
(5月12日
13時)
252
(5月12日
13時)
554
(5月12日
13時)
264.5
(5月12日
12時)
788
(5月12日
13時)
68.0
(4月7日
14時)
(a)/(c)(%)
18.2%
25.3%
17.9%
18.1%
22.7%
12.7%
3.7%
(b)/(c)(%)
37.9%
69.8%
27.8%
100.7%
82.8%
103.7%
52.4%
11,236
(1.3%)
16,400
(4.5%)
46,446
(4.2%)
-
※1
200
※1
45
※1
100
60
※1
8760時間断面における需要実績に基づいた分析(2013年度)
再エネ出力抑制量
(万kWh/年)
(抑制率 (%))
4,943
(2.9%)
52,102
(4.6%)
4,400
(3.3%)
※1 風力接続可能量は、地域間連系線活用による実証分を踏まえたもの(北海道:20万kW 東北:40万kW 北陸:30万kW 四国:20万K
W)。
但し、北海道電力では、地域間連系線を用いて、風力発電の出力に相当する電気を東京電力に送電することから、北海道電力の需給バラン
スに影響しないため、合成出力には含んでいない。
※2 昼間最低負荷については、4月又は5月のGWを除く晴れた休日昼間の太陽光発電の出力が大きい時間帯の需要に、余剰買取による太陽
光発電の自家消費分を加算している。
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第8回資料1(2014)
14
導入拡大に向けた技術オプション
系統WG:接続可能量の拡大方策
 再エネの接続可能量の拡大方策としては以下のものが考えられる。これらの方策に
ついて、可能な限り定量的な評価を行う。なお、評価にあたっては、kWベースでの
導入量のみならず、再エネの最大導入との観点からは、kWhベースでの導入量の評
価を行うことが適当ではないか。
① 出力抑制ルールの見直し(時間単位の出力抑制)
② 出力抑制ルールの見直し(出力抑制日数の拡大、対象範囲の拡大等)
③ 蓄電池の設置・運用システムの開発(北海道、東北、九州での実証試験)
④ 地域間連系線の活用・増設
 上記以外の方法としては以下のような方策もあり、今後とも検討を行っていく必要
がある。
① 出力抑制の代わりに、再エネ電力の価格を下げることや、売電価格に一定のプレミ
アムを付与して、再エネ事業者に市場で直接売電させることによる売り先の確保。
② 料金メニューや需要機器(EVやヒートポンプ、給湯器等)の普及による需要創出。
また、再エネ電源の出力が高い時間帯に電力需要をシフトする自動化されたシステ
ムの開発、導入。
③ 火力発電などの、運用改善や設備対応による、最低運転電力、負荷変化速度、起動
時間などの運転特性の向上。
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会系統WG第2回資料1(2014)より作成
系統WG:遠隔出力制御システムの導入義務付け
【対応策】
 太陽光発電設備について、時間単位でのきめ細かな出力制御を実施する場合に必要な設
備(リアルタイム制御指示器、パワコンなど)の設置を再生可能エネルギー発電事業者に求
める。
 ドイツでは、展開が始まるスマートメータを活用して、スマートインバータの制御インフラを整
備計画を進めている。
(出典)事業者団体によるメーカーへのアンケート結果を元に資源エネルギー庁作成
総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー⼩委員会第8回資料2(2014)
7
2. Variability:需給調整力不足の課題
再生可能エネルギーの出力変動(Variability)
 再生可能エネルギーをエネルギー源として導入するためには、水力の場合
と同様、出力変動特性を分析・把握し、きめ細かな運用と設備形成が必要。
 太陽光発電、風力発電など、ならし効果による変動性の緩和は期待いでき
るが,それでも残る出力変動は大きい。
50Hzの電力会社管内別,合計の風力発電電力(2011)
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
©2015 Ogimoto Lab.
17
2. Variability:需給調整力不足の課題
RE導入の課題:需給調整力不足の2つの要素
2030年において総発電量におけるPV発電の割合20%まで増加した場合の残余需要
再生可能エネルギーの導入量の増加に
より、電力システム全体の需給調整
問題が発生する理由は、
 再生可能エネルギーの発電量の変動
による、変動要素の増加
 火力など従来系統の需給調整を担う
発電方式の運用量の減少
荻本和彦,片岡和人,池上貴志,野中俊介,東仁,福留 潔:将来の電力システムの
需給調整力の解析手法,電気学会論文誌C,Vol.132 No.8,pp1376-1383 (2012)
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
©2015 Ogimoto Lab.
18
2. Variability:需給調整力不足の課題
風力発電の短時間出力変動(20分窓)
 東北システム 13ウインドファーム(291.95MW)_10秒サンプルデータの
分析によれば、風力の短時間変動(20分窓)は定格容量の20%に登る。
 電力システムの現状のLFC調整容量(需要の2%程度)を仮定し中間期の最⼩
需要を仮定すると、東北システムの最⼩需要8GWでは0.8GW、東京・東北
連系システムの最⼩需要を30GWでは3GWに風力の連系容量が制限される厳
しさ。
風力発電出力変動分布
Bグループ
Aグループ
Cグループ
片岡和人,池上貴志,宇田川佑介,荻本和彦,大関崇,斉藤哲夫:再生可能エネルギー発電と需要の変動特性の分析・評価,
電気学会新エネルギ-・環境,メタボリズム社会・環境システム 合同研究会,FTE-12-052,MES-12-023 (2012)
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
19 ©2015 Ogimoto Lab.
19
2. Variability:需給調整力不足の課題
稀頻度の大幅な出力変動:Ramp
 現状の電力システムではn-1基準による最大ユニット容量の脱落を想定し
ており、その最大値は原子力の1350MW。
 大きな天候の変化にともなう継続した出力減少、上昇は、定格容量の数
割と言われ、稀頻度でも、電力システムの運用に深刻な影響を与える。
140
0.7
120
元需要
0.5
残余需要
none
0.4
up
0.3
需要増と発電
減の同時発生
down
0.2
0.1
風力発電量
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14
4月
図1 風力発電ランプ
図3
残余需要ランプ
厳しい稀頻度
事象の発生
100
80
60
load
元需要
40
残余需要
r_load
20
0
-1300
-1100
-900
-700
-500
-300
-100
100
300
500
700
900
1100
1300
0.6
freq. of occurence
0.8
1
1187
2373
3559
4745
5931
7117
8303
9489
10675
11861
13047
14233
15419
16605
17791
18977
pu
 様々なRESの変動から発生する正味(残余)需要のRamp (発電量低下と需
要増の同時発生など)の特性分析、予測が重要。
swing rate (MW/hour)
図5 ランプ変化率頻度
片岡,池上,宇田川,荻本,斉藤:風力発電ならびに残余需要のランプの予備的分析,電気学会全国大会 (2013)
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
©2015 Ogimoto Lab.
20
2. Variability:需給調整力不足の課題
需給調整は共通の課題
 原子力や、石炭火力、天然ガス火力などの大規模系統電源は、経済性、環境
性などの優れた特性を有するが、その特性を最大限に発揮するためには、ベ
ース電源として一定出力の運転を行うことが望ましい。
 そもそも、低炭素化、化石資源の制約は、出力調整の容易な火力発電の利用
の低減を意味し、
電力システムの供給側の需給調整力の低下は世界共通の課題。
 電力システムにおけるニーズに応じて、
調整力の価値は、大きさ、速さ、継続時間、確実性で決まる。
先進的原子力発電
IGCC, IGFC
高効率天然ガス複合発電
図の出典:CoolEarthエネルギー革新技術計画報告書
CEE
Collaborative Research Center for Energy Engineering,
Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
©2015 Ogimoto Lab.
21
3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
柔軟性向上と変動性低減 :
足元の現状から、将来のニーズと可能性を見通して、設備と運用の双方によ
る段階的対応が必要かつ有効
 新しいニーズの反映による、従来電源の需給調整力の最大活用:
 火力発電の最低運転電力低減、負荷調整能力の向上、起動時間短縮
 揚水の積極運用、可変速化による揚水運転時の調整力向上
 水力の運用の高度化
現在新たに検
 新たに導入されるRESの発電の調整力の積極的活用
 風力のピッチ角制御などによる出力抑制、発電制御
 PVのインバータ制御の高度化
討が進められ
ているスマー
トグリッド的
対応策
 民生・業務の建物、PHEV/EVの充電需要に分散型の電力貯蔵を含む
需要の能動化(自動デマンドレスポンス)
 送電線、系統連系の拡充によるならし効果と電力システムの柔軟性資源
の最大活用の環境整備
 PV、風力など出力の変動する再生可能エネルギー発電の出力把握・予測
を含めた運用の高度化と最適設備形成による電力システムの進化
CEE
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22
3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
需給運用における柔軟性向上の体系
3.分散エネルギーマネジメントと需要の能動化
住宅
交通
風力
蓄電池
太陽光
物理法則
経済原理
⼩水力
燃料貯蔵
住宅
需給運用
25000
24000
23000
22000
21000
20000
19000
18000
17000
揚水
16000
15000
14000
13000
12000
11000
10000
9000
地熱
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
0
73
146
219
292
365
TIME
EQUIVALENT
LOAD
DURATION
CURVE
OF
438
511
584
657
(H)
GRIDM
730
0
1
2
3
UNIT
IN
PERIOD
5
OF
4
PROD.
5
COST
6
7
8
9
10
(\/KWH)
2001
電力・情報ネットワーク
水力
バイオ
海洋
CEE
業務(⼩規模)
業務(大規模)
産業
LOAD (MW)
2.
再
エ
ネ
の
最
適
構
成
・
配
置
と
調
整
力
向
上
エ
ネ
ル
ギ
|
貯
蔵
技
術
活
用
原子力
4.送配電網と系統連系
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5.予測と運用高度化
火力
1.系統電源の調整力向上
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23
 国際再生可能エネルギー機関IRENAは、2015
年1月に、再生可能エネルギーと従来電源の発
電コストの比較、さらにはIntegration Costを
含む、「IRENA: Renewable Energy Power
Generation Costs in 2014 」を発表した。
IRENA: Renewable Energy Power Generation Costs in 2014 (2015.1)
http://www.irena.org/menu/index.aspx?mnu=Subcat&PriMenuID=36&CatID=141&SubcatID=494
 Integration Cost (系統安定化費用)に言及し
た文献は多いが、分野横断的な検討は少ない。
 KEMAなどによる報告書「Integration of renewable
energy in Europe」は、そのような総合的な検討の
試みの例。
 送電、配電、需給調整などの広い分野の分析を
試みている。
Figure 1: Topology of regional transmission grid model of continental
Europe in 2020
EC: Integration of renewable energy in Europe (2014.06)
http://blogs.dnvgl.com/utilityofthefuture/integration-of-renewable-energy-in-europe
 IEAでは、2011.4にIEAより刊行された”Harnessing
Variable Renewables: a Guide to the Balancing
Challenge”の続編として、2011.12より GIVAR IIIの
検討として、再生可能エネルギー発電の大量導入の影
響とそれに対する電力システムの柔軟性向上に関する
検討が行われIntegration Cost(系統安定化費用)の
考え方を示した。
 報告書「The Power of Transformation」は、
2014.2にIEAにより発刊され、
2015.4にNEDOによる邦訳が公開された。
http://www.iea.org/w/bookshop/add.aspx?id=465
http://www.nedo.go.jp/library/denryoku_henkaku.html
3. Flexibility:
需給調整問題解決の可能性
需給調整力向上への挑戦
風力・太陽光発電の抑制と協調運転
インバータ連系の最大出力割合
 出力の変動する風力発電や太陽光発電においても、発電出力(有効電力)の抑
制方向の制御、機器の電流定格の範囲での無効電力の制御ができる。
 ヨーロッパの風力発電では、系統連系要件の整備と並行して、優先給電ルー
ルのものとで風力発電の需給運用、電圧制御、周波数異常時の出力制御が行
われている。
 系統の電圧・周波数変動時には、機器の設計により運転継続の特性が決定さ
れることから、系統連系要件、機器仕様、系統運用との組み合わせが重要に
なる。
 ヨーロッパにおいては、今後、同
期化力を模した慣性制御、電力動
揺制御、高調波電流吸収、ブラッ
平滑化
クスタート機能など、様々な機能
制御
逆相制御
が新たに求められる可能性がある。
第一波
ブラック
応答
 PVについても、ドイツの系統連系
スタート
慣性制御
要件において、⼩規模を含め遠隔
ダンピング
制御
制御の要件が定められ、例外規定
としてパネル出力の70%のイン
バータ容量が推奨されるなど、新
しい動きが現れている。
E. Quitmann, ENERCON: Ancillary services from WT and
related Grid Codes, IRED (2012)
CEE
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3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
経済的、広域的な系統運用
全国で,EVとHP給湯機が各1200万台、PV108GWと 風力32GWが導入された場合の試算例:
 経済負荷配分のもと,連系線のない単独系統(Ei_PV108)から連系線でエネルギー融通する
(Ee_PV108)ことで,抑制率は減り,燃料費も大幅に低減される.
 経済負荷配分のもと,連系線でエネルギー融通(Ee_PV108)に加えて調整力を融通する(
Eb_PV108)ことで,抑制率と燃料費はさらに低減される.
 優先給電を行うこと(Pe_PV108)で抑制率は若干低減できるが,燃料費は大幅(2000億円
/年など)に増加する.
PV+Wind Curtailment (%)
 太陽光発電の導入分布を需要比例(PV Prop.)から偏在(PV Biased)させた場合,抑制率,燃
料費とも大幅に増加する.
図7 2030年のPVと風力の発電抑制量
図8 2030年の全国の燃料費
荻本ら, 我が国の2030年の電力需給解析-再生可能エネルギー導入と柔軟性- エネルギー資源学会研究会 (2015.6,予定)
CEE
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柔軟性確保への取り組み
PV、風力の出力制御に関する欧米の動向
 欧米とも、風力の大量導入の下でドイツやテキサスなどでの需給運用の課題は一旦対応で
きたと考えられたが、その後、PVの大量導入により問題は深刻化し、改善の必要性と再生
可能エネルギーの政策的取扱いの狭間での議論が続いている。
 ドイツや、テキサス州ERCOTなどでの風力発電の大量導入に対しては、市場のGate close
をリアルタイム(45分前や5分前)に近づけ、取引時間幅を狭くする(15分や5分)にして
、出力予測と組み合わせることで、一定の対応が行われた。
 海外のREの需給問題は、送電網の過負荷によることが、日本での問題と少し異なる。
 その後、欧州では、太陽光発電の大量導入と送電網
拡張の遅れで問題は深刻化した。
 この状況において、欧州風力発電協会EWEAは、
2014.5に、一定の条件下で優先給電からREの制御
を含めた経済負荷配分への移行の必要性を発表。
Co-funded by the Intelligent Energy Europe
Programme of the European Union
 EUの“Intelligent Energy Europe Programme”の
一つであるPV Gridの2014.8の報告書では、PVの出
力抑制に関しては、議論を開始する時期ではなく抑
制を回避すべきとの表現になっている。
 米国は、余剰買取となっている⼩規模PVを除くと、
事業用のPV、風力は経済負荷配分による運用が行わ
れている場合もある。
Research Center for Energy Engineering,
CEE Collaborative
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EWEAの優先給
電に関する発表
EUのPVvGrid
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29
3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
需要の能動化
電力システムの需給バランスは現在、主要な発電設備を利用した集中エネルギーマネジメ
ントによって管理されている。将来、再生可能エネルギーによる発電がシステムに組み込
まれた際には、需要能動化を利用した分散エネルギーマネジメントによる電力システムの
需給調整の分担が期待されている。
現在の
需給バランス制御
蓄電池
による
需給バランス制御
蓄電池が経済的に利用可能な
らば、適切な配置により、需
給バランスを調整できる。
既存発電所によ
る追加的調整
蓄電池
蓄電池+需要能動化
による
需給バランス制御
: 安定化
既存発電所による
追加的調整
: 変動
CEE
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蓄電池
需要能動化が電力システム需
給バランス制御の一部を担う
ことができるなら、全体の経
済性を高め、資源使用量の節
約にもつながる。
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3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
需要の能動化:集中/分散エネマネの協調
電力システム全体を管理する集中エネルギーマネジメントと、需要側の分散エネ
ルギーマネジメントが協調する需要の能動化で、電力システムの需給調整力を向
上することができる。
再生可能エネルギー発電量の変動は、多数地点の変動が相互に打ち消しあい
(ならし効果)緩和され、気象予報に基づく発電予測、PV、風力、需要など異
なる変動の相関などにより、電力システム全体で最適な需給調整が可能とな
る。
 集中エネルギーマネジメントは
、系統の電源、揚水を含むエネ
ルギー貯蔵設備に加え、一部の
需要を直接制御することで、需
給調整力を向上する。
 分散エネルギーマネジメントは
ダイナミックプライシングなど
のインセンティブ情報対応した
個別の機器運用を行い、エネル
ギーシステム全体として需給の
最適化に貢献する。
CEE
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3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
需要の能動化:集中/分散エネルギーマネジメントの協調
地域全体
気象予測
日射量・発電量予測
<気象庁>
特定地域
建物
集中EMS
<電力会社>
気象・需要予測
起動停止計画
直接制御(機器制御量)
間接制御(電力価格)
発電所運転計画
翌日の機器制御量
翌日の電力価格
ローカル計測制御
(電圧・周波数)
分散EMS
翌日電力価格・機器制御量
電力・熱の需要量予測
PV発電量・太陽熱利用量予測
エネマネ装置
家電機器の最適運用
電力料金最⼩化
スケジューリング
エアコン
翌日の家電機器運転計画
エアコンの利用時刻
蓄電・貯湯の時刻
EV/PHEVの充電時刻
当日運用
・経済負荷配分
・負荷周波数制御
系統電力
太陽光発電
太陽熱給湯器
電力供給地域全体の
新たな需要パターン
蓄電池 貯湯槽
その他
EV/PHEV
HP給湯機
<家庭>
家一軒の需要
パターンの変化
<地域>
世帯数・世帯構成
EMSの普及率
荻本和彦,岩船由美子,片岡和人,池上貴志,八木田克英:電力需給調整力向上に向けた集中・分散エネマネの協調モデル,IEEJ電力・エネルギー部門大会講演論文集,16,08_7-12 (2011)
CEE
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3.1 需要の能動化
ヒートポンプ給湯の能動化による需給調整
 変動する再生可能エネルギー発電が導入されると、系統の発電機からみた需
要はもとの需要から再生可能エネルギー発電量を引いた等価需要となる。
 等価需要の予測に基づくダイナミックな電気料金のもとで、HP給湯の沸き
上げ時間を、電気料金が最⼩になるように制御する。
 制御方式を工夫することで、本来の充電ニーズを満たしつつ、様々な用途の
ヒートポンプ需要の合計量を等価需要の平準化に活用することができる。
購入電力価格
購入電力量
蓄電量
売電
蓄熱量
発電状況:シナリオ2
需要の平準化状況
蓄熱量
熱供給量
500万世帯の最適運転計算結果
PV:3~4 kWのシステムが一世帯平均3.4 kW,地域全体で
17 GW導入。
蓄電池は、充放電容量1~2 kW(平均1.5 kW,地域全体7.5
GW),蓄電容量2~12 kWh(平均6 kWh,地域全体30
GWh)、充放電時のロスも15~20%(平均16%)。
HP給湯機,熱出力3, 4, 12 kWの3種類(平均熱出力4 kW,
地域全体熱出力20 GW),貯湯槽の容量は熱出力12 kWの
HP給湯機の世帯は200 L,それ以外は370 L。
池上,荻本,矢野,工藤,井口:再生可能エネルギーの連系と需要の能動化を考慮した電力システムの経済運用モデル,電気学会全国大会(2012)
CEE
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3.1 需要の能動化
EV充電需要の能動化による需給調整
 変動する再生可能エネルギー発電が導入されると、系統の発電機からみた需
要はもとの需要から再生可能エネルギー発電量を差し引いた等価需要となる
。
 等価需要の予測に基づくダイナミックな電気料金のもとで、電気自動車の充
電を料金が最低になるように制御する。
 制御方式を工夫することで、本来の充電ニーズを満たしつつ、様々な用途の
電気自動車の充電の合計量を等価需要を平準化に貢献させることができる。
発電状況:シナリオ1
負荷平準化状況(PV15GW)
電力システムの限界燃料費
PV15GW, 30GWの発電を含めた等価需要
1000万台のEVを想定し、その蓄電
池容量は24 kWh,充電容量3.0
kW,EV走行は、平均時速21km/h
で,電費10 km/kWhで電力が消費
されると仮定した。
発電状況:シナリオ2
走行中EVの時刻別割合
火力並列ユニット数
負荷平準化状況(PV15GW)
池上,荻本,矢野,工藤,井口:再生可能エネルギーの連系と需要の能動化を考慮した電力システムの経済運用モデル,電気学会全国大会(2012)
CEE
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柔軟性確保への取り組み
需要の能動化に向けた海外の取り組み(米国)
米国は、DOE/FERCによる中央による取り組みとPUC/ISOによる地域別の取り組みが並走。
 DOE/FERCは、2007年のEnergy Independence
and Security Actに基づき、2009, 2010, 2011に
、アセスメント、アクションプラン、実施計画をそ
れぞれ策定し、2011.7にNational Forumを実施し
た。
 FERCは、DRとスマートメータリングの取り組みの
進捗について、議会に定期報告をしている。
 FERCのOrder 1000は、送電網の拡張計画にあたり
、DR、省エネルギー、DERなどを比較検討すること
を規定。
Nat’l Action Plan
FERC定期報告
__________________________________
_
Flexible Ramping Products
 DRの市場での扱いを規定するFERCのOrder 745は
、2012に出たが、現在、その適否の法的な議論中。
Incorporating FMM and EIM
Draft Final Proposal
Lin Xu, Ph.D.
 DRに関するPUC/ISOの個別の取り組みは非常に多い
が、RESと組み合わせた取り組みとしては、カリフ
ォルニア州の取り組みが挙げられる。
CEE
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Market Analysis and Development
and
Donald Tretheway
Market and Infrastructure Policy
CAISOロードマップ
柔軟性銘柄
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柔軟性確保への取り組み
需要の能動化に向けた海外の取り組み(欧州)
欧州は、EU、規制機関ACERとCEER、TSO協議会のEntso-e、事業者連合会Eurelectricなど
、全体としての議論が目立つ。
 EUでは、2011年の”Roadmap 2050”、これを受け
た”PowerPerspectives2030”、2013年の”Long
term infrastructure vision for Europe and
beyond”などで、再生可能エネルギーの変動に対す
る需要の能動化の重要性を表明してきた。
Sustainable Development Task Force
Regulatory and Market Aspects of
 ACERは、2013.11に“Energy Regulation A bridge
to 2025” を出すなど、規制の在り方の議論の中でも
デマンドレスポンスに言及。
 同時に、CEERは、”Regulatory and Market
Aspects of Demand-Side Flexibility”のパブコメを
実施した。
Demand-Side Flexibility
A CEER Public Consultation
Document
ACER 2025へ
CEERパブコメ
Designing fair and equitable market rules for
demand response aggregation
 これに対し、Eurelectricが2013.1に”Flexibility
and Aggregation Requirements for their
interaction in the market”、2014.3に”Designing
fair and equitable market rules for demand
response aggregation”を出し、EU SG Task force
の専門家グループが規制に関する報告書を出すなど
、DRの議論は活発化している。
CEE
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A EURELECTRIC paper
Euelectirc
EU SG Task force,
DRの市場での扱い
EG3報告書
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3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
Flexibilityの向上:電力システム運用の進化
 太陽光発電や風力発電の発電量の変動により、発電機の起動停止計画を含めた
、電力システムの運用は徐々に変化する。
 発電量が大きく変動する可能性がある場合、その変動に追随するためにより多
くの台数の発電機を運転が必要となり、安定運用の確保には、経済性の劣る発
電機の追加起動と全体の部分負荷運転による効率低下により運用コスト増が発
生する。
 電源、需要、流通設備の個別の機能向上と、系統間連系、再生可能エネルギー
の発電特性分析と予測を最適に組み合わせ、安定性、経済性、環境性を向上す
る、電力システムの運用と設備形成の進化が必要。
米国Midwest ISOの市場運用スケジュール
(風力発電予測を取り入れた前日と当日運用)
発電予測誤差を含めた東北-東京連系系統の
起動停止計画解析例
宇田川,荻本,福留,池田:再生可能エネルギー発電の予測誤差を考慮した電力需給計画手法の予備検討,エネ資学会第29回コンファレンス,6-3 (2013)
CEE
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3. Flexibility: 需給調整力向上への挑戦
不確定性と予測誤差に耐える運用への進化
 電力システムの需給運用について、発電出力予測を含めた計画(Unit
commitment)と、その誤差を反映したシミュレーションの実施によ
り、出力予測誤差やランプの影響を評価する。
発電予測と誤差(太陽光発電)
供給不足電力量
Unit commitmentにもとづくシミュレーション
宇田川佑介,荻本和彦,池上貴志,大関崇,福留潔:太陽光発電の予測誤差が需給運用と発電コストに与える影響,
電気学会新エネルギー・環境 メタボリズム社会・環境システム合同研究会資料,FTE-13-60,MES-13-16,pp85-95 (2013)
CEE
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38
4.電力市場の課題と取り組み
火力の稼働率と市場価格の低下
 再生可能エネルギーの大量導入と優先給電により、既設の火力の稼働率はは
大きく減少するとともに、市場決定価格も大きく落ち込んだ。
 ヨーロッパでは、”Large Combustion Plant Directive:2015年までの低効
率の火発の廃止”や”Industrial Emissions Directive:環境負荷への規制強
化”などにより火力発電の存続、新設が困難になる。
RES
スペインのガス/石炭火力の運転時間の低下
V-RES大量導入途による市場価格への影響
Euelectric, “RES Integration and Market Design: are Capacity Remuneration Mechanisms needed to ensure generation adequacy?” (2011)
EnBW, Siemens Energy, “Economic Operation of Fossil Fuelled Power Plants to ensure security of supply”, VGB Congress (2011)
CEE
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39
4.電力市場の課題と取り組み
欧州の電力市場の状況
西中央ヨーロッパ市場(独、仏、蘭、ベルギー)の価格動向は、市場統合の不完
全性の中で、個別の需給要因での変動と相互の一定の乖離が見られる。
ドイツの電力卸市場EEXでは、再生可能エネルギーの大量導入と連系線の混雑に
よる単独の長期低下傾向が見られ、スポット価格ではベース電源の連続運転(止
めることによる不経済)も要因となり、マイナス価格の発生が定常化している。
欧州各市場は、天然ガスの価格に連動し、冬にかけて料金が上昇する傾向がある
が、のルドプールは豊富な水力のため、相対的に低水準になる。
(CWE: Central Western Europe, CEE: Central Easter Europe)
DG Energy: Quarterly Report on European Electricity Markets, Market Observatory for Energy, Vol. 7, issue 4 (2014)
CEE
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40
4.電力市場の課題と取り組み
ヨーロッパの最新事情:電力市場
 変動性の再生可能エネルギーの導入の拡大に伴い、residual loadの最大/最
⼩の差は拡大し、「V-RES補完供給力」は増加する。
 ドイツでは、2012年、補助金の給付を条件に事業者が廃止を希望する発電所
の廃止を認めないという制度を開始した。
 英国をはじめとして、2014.11初市場取り引きに向けた準備が進んでいる。
Adequacy維持のための供給力確保方法
Development of a Capacity Mechanism in Great Britain Edmund Hosker, Director Energy, EU and Energy Security, DECC
(2013)
CEE
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41
4.電力市場の課題と取り組み
米国 FERCの電力市場の取り組み(2013.9)
2013年9月、米国の連邦エネルギー規制機関であるFERC(FEDERAL ENERGY
REGULATORY COMMISSION)は、容量市場に関する技術会議を開催し、今後の
容量市場のあり方を議論し、12月までのパブコメを実施した。
会議では、再生可能エネルギー大量導入のもとでの、新たな柔軟性の活用を含め
た電力システムの運用、市場、についての以下の論点についての議論が行われた。
1. 既存の、アデカシーを経済的に確保するという
集中容量市場の目的の達成状況
2. 集中容量市場に対して必要な全般、あるいは個
別の改善点
3. 集中容量市場は、設計要素の相互間、エネルギー
・アンシラリー市場と影響しあう。この影響に
関する、集中容量市場やエネルギー市場の改善点
4. 地域の容量市場も相互関係する。容量市場設計の
地域差からの示唆
5. 集中容量市場に対する送電網の増強の影響は何か。
送電計画を集中容量市場の設計要素とより効果的
に統合あるいは関係させる方法は?
http://www.ferc.gov/EventCalendar/EventDetails.aspx?ID=6944&CalType=
CEE
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42
4.電力市場の課題と取り組み
米国 FERCの電力市場の取り組み(2014.6)
2014年9月、米国の連邦エネルギー規制機関であるFERC(FEDERAL ENERGY
REGULATORY COMMISSION)は、ソフトウェア改善による市場と計画の効率改
善に関する技術会議を開催した。
会議では、再生可能エネルギー大量導入の不確定な変動の増加と柔軟性の活用に
向け、市場運営、系統運用、系統計画の要となる起動停止計画 (Unit
Commitment)をはじめとする確率的モデリング、最適送電切り替え、交流最適
潮流モデル、能動的な動的送電容量などのソフトウェアに関する議論が行われた。
(University of Washington)
http://www.ferc.gov/EventCalendar/EventDetails.aspx?ID=7307&CalType=%20&CalendarID=116&Date=&View=Listview
CEE
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43
4.電力市場の課題と取り組み
統一電力市場へENTOSO-eの取り組み:系統連系CODE
 EUは、2007年に「電力ガス市場第三次立法提案パッケージ」を発表し、これを
受けて、the Agency for the Cooperation of Energy Regulators (ACER) が策
定したビジョンに基づき、透明性、公平性、説明責任、整合性の原則に則り、
ENTSO-EがCODE案を策定している。
 現在策定中の系統連系CODE:
 Capacity Allocation & Congestion
management
 Forward Capacity Allocation (FCA)
 Electricity Balancing (EB)
 Requirements for Generation (RFG)
 Demand Congestion (DC)
 HVDC Connection (HVDC)
 Operation Security (OS)
 Operational Planning & Scheduling (OPS)
 Load-Frequency Control & Reserves
(LFCR)
 Emergency and restoration (E&R)
https://www.entsoe.eu/major-projects/network-code-development/Pages/default.aspx
CEE
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44
4.電力市場の課題と取り組み
統一電力市場へENTOSO-eの取り組み:系統連系CODE –RfG EUの電力運用者の協議会であるENTSO-eではネットワークコード整備の一環と
してRequirement for Generatorsの案を作成し、EU制定のプロセスにある。
 RfGは、発電機(Power Generating Module)の4タイプ(Type A:110kV未
満,0.8kW以上、Type B:110kV未満,1MW以上、Type C:110kV未満, 50MW以
上、Type D:110kV以上または70MW以上)に分類して、基本要件を規定してい
る。
 RfGは、タイプ別の基本要件に加え、Synchronous PGMとPower Park Module
の別で、タイプ毎に追加要件を規定している。
 Entso-eは、2013年3月に案
をACERに提出し、その後EC
と加盟各国メンバによる
Electricity cross-border
Committeeが2014年1月に
開催された。
 CACMに続いて、EU指令の制定に
入る見込み。
Figure 3 – Fault-ride-through profile of a Power
Generating Module. The diagram represents the lower
limit of a voltage-against-time profile by the Voltage
https://www.entsoe.eu/major-projects/network-code-development/requirements-for-generators/Pages/default.aspx
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5. エネルギーシステムインテグレーション
エネルギーシステム全体の最適化
 持続可能なエネルギーシステムの実現に
向けては、燃料価格、異なるエネルギー
需要間の代替性などを含めた、エネル
ギー全体の視野が必要。
 他方、発電量が変動する太陽光発電や風
力発電などの再生可能エネルギー、究極
の省エネルギーなどが必要であり、その
両者で電力の占める割合は大きい。
 このため、今後、エネルギー需給に占め
る電力需給の割合が増加する中で、エネ
ルギー需給の課題解決では、各時点の需
給バランスが必要な電力システムの条件
を反映することが不可欠。
 このため、長期のエネルギー需給の課題
解決に当たっては、エネルギー両者を連
携して、総合的な検討と実際の取り組み
を行うことが重要。
荻本,赤井,近藤,末広,黒沢:電力需給計画モデルとエネルギー計画モデルの連携による長期電力需給解析,エネルギー資源学会第28回研究発表会,15-4,2009
荻本和彦,片岡和人,池上貴志,東仁,赤井誠:長期の電力需給計画における低炭素化実現の予備検討,エネルギー資源学会第28回研究発表会,32-6,2011.1
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5.エネルギーシステムインテグレーション
エネルギーシステムの最大範囲での最適化
 エネルギシステム全体をイメージして、家→コミュニティ→ネット
ワーク→日本→世界と地理的な拡大、従来の供給側に加え需要側、
ネットワークを取り込み、対象とするエネルギーを電気、ガス、燃料
とするなど、より範囲の広い最適化で、より有利な解決法が得られる。
 しかし、実際には技術的、制度的、安全上などの制約が存在する:
1)技術的制約:需要、配電網、送電網、系統間連系線
2)制度的制約:分散電源の連系規則、送配電網の運用、市場・電力システム運
用、系統間の連系線運用
再生可能エネルギーの変動特性を反映できない制度の限界の顕在化
2)セキュリティ制約:自然災害や悪意による妨害などに対し安全であること。
 家、コミュニティ、自動車など様々な需要クラスター毎の分散エネル
ギーマネジメントによる需要の能動化と新しい需給構造に向けた流通
設備の最適化を導入することは今後の重要なオプション。
 更に立ち戻るべき点は、人間・社会が必要とするのは、エネルギーそ
のものではなく、快適な温湿度の空間、や高い生産性など、サービス
であるということ。
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Smart Gridの復習
Smart Gridの復習
 SG構造モデルの枠組みは、5つのビジネス要素と、プロセス、機能、情報交
換とモデル、情報交換プロトコルと要素で構成される。
 5階層は、GWAC interoperability categoriesをより大くくりしたもので、
電力ドメインと情報管理ゾーンによりSG平面を構成する。
 これにより、どの分野を新しく発展させてゆくかを、汎用性、整合性、柔軟
性、相互接続性を確保しつつ進めることができる。
ビジネス層
機能層
情報層
コミュニケーション層
コンポーネント層
5つの相互接続階層
CEN-CENELEC-ETSI Smart Grid Coordination Group: First Set of Standards (2012)
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Smart Gridの復習
ユースケース(コンポーネント)
 ユースケースは、システム工学の考え方に従って、各システムの機能要求
を具体的に統一テンプレートに表現したもの。
 Smart Grid components リスト(IEC SG3)はSGAMにおいて要素レイ
ヤーの記述に用いられる。
充電制御
分散
貯蔵
発電
送電
配電
分散電源
分散
電源
需要
ス
マ
ー
ト
プ
ラ
グ
家
電
機
器
需要家
IEC SG3 - Smart Grid mapping chart
CEN-CENELEC-ETSI Smart Grid Coordination Group: First Set of Standards (2012)
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Smart Gridの復習
機能のSGAMへのマッピング例
 これまでに定義されている比較的ハイレベルの機能を示す。
運用
事業
市場
フィールド
ステーション
プロセス
スマート需要
アグリゲ―トされたプロシューマー管理
需要家
メータリング関係の管理
AMI
EMSと仮想発電プラント(VPP)
分散電源
分散電源運用
DMS SCADAとGIS
分散電力品質制御
気象予測と観測
設備管理、保全管理
取り引き
市場
Feeder自動化
変電自動化
配電
FACTS
EMS 遠隔監視制御
送電
WAMS
変電自動化
発電管理
発電
機能のマッピング
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3.1 需要の能動化
エネルギーだけではないHEMSの拡張性
住宅の分さエネルギーマネジメントにおいては、住宅の省エネルギー,CO2排、出
量削減、エネルギー確保の(エネルギー・環境軸)、エネルギーシステム全体の需
給調整力の大幅向上(系統貢献軸)、健康や安全などエネルギーを越えたより高い
価値(QOL軸)の三軸の付加価値の実現を目指す。
RE抑制と
並行して
社会実装
需要調整
ピークカット
【系統貢献軸】
事業者
電気自動車
エアコン
太陽熱温水器
エコキュート 【エネルギー・環境軸】
電気予報
天気予報・
日射予測・
発電予測
太陽光発電
省エネルギー
環境負荷削減
蓄電池
【外部情報】
進化しつ
つ進行中
電力見える化
水・ガス見える化
温度湿度
スマートメータ
空調制御など
HEMS
光熱費コンサル
設備見守り
サービス
他住宅
クラウド
データセンター
クラウド
基盤データセンター
窓の開閉・採光
住宅の基本性能向上:高気密、
高断熱、通風・採光機能向上
人感センサー
医療・健康
教育・見守り
防犯・防災
【QOL軸】
安心・安全
快適・便利
光熱費削減
楽しみ
COMMA
ハウスで
展示中
東京大学生産技術研究所実験住宅COMMAハウス: http://www.commahouse.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html
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3.1 需要の能動化
持続可能な社会へ:住宅・地域の将来像を描く
• 省エネ、快適性に加えて系統との協調の機能
• PV、太陽熱、地中・空気熱などの最大活用
• 分散エネマネと宅内情報技術の標準化、低価
格化がカギ
• 自然環境、世帯構成などの多様性への対応
• 多様な技術の最適な組み合わせの考え方の
早期確立
• 機器の総合的な運用の考え方の早期確立
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電力システムへ:欧州での最新の議論
 欧州では、卸電力市場価格の低下により。電力市場の価格シグナルによる電源
への投資が行われないという、市場の失敗の状況が定常化しつつあり、規制的
な電源の確保である容量メカニズムの実施、検討が拡大している。
 ドイツやカリフォルニアでは、RE政策費による付加金の上昇、PVのコスト低下
、FITの買取価格低下の中、PVの導入により月の差し引きで電気の使用量をゼロ
にして電気料金を払わないという需要の離脱が顕在化している。
 2015.6.1-2の欧州電事連Eurelectricの年次総会では、出力変動対応に加え、需要
の確保のための議論に多くの時間が割かれた。
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電力システムへ:欧州での最新の議論
 2015.6.1-2の欧州電事連Eurelectricの年次総会の議論では、出力変動対応に加え
、需要の確保のための議論に多くの時間が割かれた。
 顧客管理としては、住宅、自動車、CHP、バッテリなどが対象。
 プレーヤーとしては、電力システム運用者(TSO)とプロシューマーとしての
住宅など各需要家、アグリゲータに加え、新たに配電事業者(DSO)の役割ん
についての議論が多い(日本は送配電を一括して運用する見通し)
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スマートメーターを活用した⼩規模PV運用管理
 ドイツでは、2016年度から展開予定のスマートメータの活用として、スマート
メータをGatewayとして活用することによる、PVなど需要家側のエネルギー管
理への適用が検討されている。
 日本でも現在取り組みが行われている。
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スマートグリッドの概念の拡大
• 従来の電力システムは、発電→送電→配電→受動的需要で構成されてお
り、電力の流れも一方向である。
• 調整可能な需要、分散電源、プラグイン電気自動車、蓄電池などの導
入と、スマート・グリッドの導入により、需要が能動的、電力の流れ
も双方向になる。
• 集中/分散のエネルギーマネジメントの協調は、電力システムの柔軟
性を高め、カーボンフリー、低カーボンのエネルギー供給を可能にす
る。
• 需要の能動化による新たな情報とデータは、エネルギー関連および非
関連の新しいサービスと新しい製品を生む。
• しかし、より高度なビジネス実現のためには、エネルギーとしての必
要仕様を超えたICTインフラの整備が必要
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スマートグリッドの概念の拡大
• 電力システムを集中電源、電力系統、需要(分散電源を含む)の三
分法で捉えると、特にICTの出番が多いのは、分散電源を含む需要
領域である。
• HEMS、BEMSなどのEnergy Management Systemは、大雑把に言えば
、“コンピューターがエネルギー関連機器をコントロールする”仕組
み。
• これは、最近話題になっているIoT (Internet of Things)のprimitiveな適
用例例 (use case)と捉えることができる。
(インターネットに接続されているHEMS,BEMSはまだ実例が少な
いため”primitiveな”とした)
• ルーフトップPVに代表される無数のPVの管理の実装を契機として
、汎用的なIoT技術の進展とともに、需要はより低コストでより
高度な能動化が可能になると期待される。
CEE
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ご清聴ありがとうございました
東京大学 生産技術研究所 エネルギー工学連携研究センター
荻本研究室ホームページ
http://www.ogimotolab.iis.u-tokyo.ac.jp/
Nipponn.comで「日本の長期
電力需給の可能性とエネル
ギーインテグレーション」を
日英で公開中です。
http://nippon.com/ja/indepth/a00302/
「シナリオ選択のインパクト」を、
2012.7Springer発刊のLecture
Notes in Energy “Climate
Change Mitigation”とその和訳で
ある2013.4丸善発刊の「実現可能
な気候変動対策」に掲載しました。
「出力が変動する再生可
能エネルギー発電の大量
導入と電力システムの進
化(1)~(3)」を、原子力学
会誌ATOMOΣ 2014年
1,2,4月号に連載中です。
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