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生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)

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生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)
第二部会24-1
生命保険の保険契約者保護制度の見直しについて(案)
平成17年2月16日
○ 現行制度の概要
‡ 保険会社が破綻した場合において、保険契約者等の保護を図るため、破綻保険会社の保険
契約の移転等に対し保険契約者保護機構が資金援助等をすることにより、保険契約につい
て一定の補償を行う仕組み。
‡ 生命保険については、再保険を除く全ての保険契約を対象とし、一律に責任準備金の90%
までを補償。(=保険契約者は、責任準備金の10%を負担。さらに、破綻処理においては
予定利率等の契約条件が変更される。)
‡ 保護機構による資金援助等の財源は、保険会社からの負担金で調達。負担金は事前拠出に
より積み立てられる。
‡ 資金援助等の財源が、積立金で不足する場合には保護機構の借入金で対応。借入金には政
府保証を付すことができる。
‡ 政府は、保護機構による資金援助等の費用を保険会社からの負担金のみで賄うと、保険会
社の「財務の状況を著しく悪化させることにより保険業に対する信頼性の維持が困難とな
り、ひいては国民生活又は金融市場に不測の混乱を生じさせるおそれがある」と認める場
合(15~17年度において当該費用が累計1000億円を超えた場合に限る。)には、予算で定
める範囲内で当該費用の全部又は一部の補助ができる。(平成18年3月末までの時限措
置)
1
○ 生命保険会社の破綻の処理状況
会社名
破綻処理
責任準備金 引下げ後の
資金援助がない
根拠手続 債務超過額 場合の弁済率 資金援助等
開始時
の削減
予定利率
日産生命
9年 4月
東邦生命
11年6月
第百生命
12年5月
大正生命
12年 8月
保険業法
手続
保険業法
手続
千 代 田 生 命 12年 10月
協 栄 生 命 12年 10月 更 生 手 続
東京生命
13年 3月
なし
2.75%
平成9年10月、あおば生命に保険契約を包括
移転。
3,663
10%
1.50%
平成12年3月、ジーイーエジソン生命に保険
契約を包括移転。
89.5%
1,450
10%
1.00%
平成13年4月、マニュライフ・センチュリー
生命に保険契約を包括移転。
84.6%
267
10%
1.00%
平成13年3月、あざみ生命に保険契約を包括
移転。
1.50%
平成13年3月、裁判所がAIGをスポンサー
とする更生計画案を認可決定。同年4月より
エーアイジー・スター生命に組織変更し営業
再開。
1.75%
平成13年4月、裁判所が米プルデンシャル社
をスポンサーとする更生計画案を認可決定。
同月にジブラルタ生命に社名変更し営業再
開。
2.60%
平成13年9月、裁判所がT&Dグループ(太陽
生命・大同生命)をスポンサーとする更生計
画案を認可決定。同年10月よりティ・アン
ド・ディ・フィナンシャル生命に組織変更し
営業再開。
3,000
91.6%
6,500
85.6%
3,200
365
5,975
6,895
731
90.3%
92.6%
94.7%
2,000
(保 護 基 金 )
0
0
0
10%
8%
なし
2
○ 平成16年12月14日報告書の要旨(抄)
‡ 特別勘定で経理されている団体年金保険等(最低給付保証が付されていないもの。契約
者が運用リスクを完全に負担。)について、厳格な分別管理を前提として責任準備金を
削減しない取扱いを可能とする一方、原則として保険契約者保護制度の対象外とする制
度見直しが適当。
‡ 保険契約者の権利に大きな影響を与える予定利率の引下げや早期解約控除については、
保護機構において一定の基準を明示し運用していくことが適当。
‡ 制度改正により保険契約の補償内容が変更となる場合には既契約者等にも十分な周知が
必要。また、募集の際にもわかりやすく制度説明がなされるように工夫すべき。
‡ 生命保険や第三分野について、現時点で補償率の全般的な引下げを行うことは適当では
ない。
‡ 予定利率の高い契約に関し、保険契約者間の公平等の観点から、責任準備金の補償水準
を他の契約よりも引き下げることについては、破綻処理に際しての契約条件の変更の影
響等にも留意しつつ、慎重な検討が必要。
‡ 保護機構に対する保険会社の負担金の拠出方法を、現行の事前拠出制から事後拠出制に
移行することについては、現在の資金の積立状況等に鑑み、慎重な検討が必要。
‡ 生命保険契約者保護機構に対する政府補助制度の是非については、生命保険会社の経営
環境、機構の財政状況、金融市場等の状況のほか、政府補助が臨時異例の措置であるこ
とや生命保険業の役割等を踏まえ、幅広く十分な検討が行われるべき。
3
○ 生命保険会社の最近の経営状況の推移
【図表1】 当期未処分剰余(利益)金
(億円)
【図表2】公表逆ざや額(H10年度は27社、H11年度は26社の合計額)
18000
(億円)
16000
16000
14000
14000
12000
12000
10000
10000
8000
H10
)
5
H11
H12
H13
H14
H15
(注) 逆ざや額=(基礎利益上の運用収支当の利回り-平均予定利率)×一般勘定責任準備金
(億円)
(H
16
上
半
期
H1
H1
H1
H1
H1
H1
H8
4
0
3
2000
2
2000
1
4000
0
4000
H9
6000
H7
6000
H6
8000
【図表3】 基礎利益
【図表4】解約失効金額・解約失効件数(個人保険+個人年金)
(万件)
(兆円)
24000
160
1,600
20000
140
1,400
18000
120
1,200
14000
100
1,000
12000
80
800
8000
60
600
6000
40
解約失効合計額(左目盛)
400
20
解約失効件数(右目盛)
200
22000
16000
10000
4000
3
4
5
H1
H1
H1
(H
(出所) 生命保険事業概況、インシュアランス生命保険統計号、各社ディスクロ誌、金融監督庁の1年、金融庁の1年
16
上
半
期
)
2
H1
0
1
(注) 基礎利益とは、一年間の保険本業の収益力を示す指標の一つで、一般
事業会社の営業利益や、銀行の業務純益に近いもの
0
H1
(H16上半期)
0
H15
H1
H14
H9
H13
H8
H12
H7
0
H6
2000
4
○ 最近の経済情勢の推移
【図表1】日経平均株価、長期金利(新発10年国債)
【図表2】GDP成長率の推移
(%)
(円)
23000
4
21000
3.5
19000
17000
15000
3
2.5
2
13000
1.5
11000
9000
7000
5000
日経平均株価(左目盛)
1
長期金利(右目盛)
0.5
末
7.1
末
H7年度 H8年度 H9年度
【図表3】銀行の不良債権残高(全国銀行計)
不良債権額の推移
43.2
40
35
33.9
31.8
26.8
26.6
21.9
18.5
20
15
主要行
地域銀行
全国銀行
35.3
33.6
30
25
H10年度 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度 H15年度 H16.4-6 H167-9
H1
5年
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
H1
4年
H1
度
度
度
末
末
末
3年
H1
2年
度
H1
1年
度
H1
0年
H1
(兆円)
45
度
末
末
末
度
末
年
H9
年
度
度
H8
年
H7
H6
年
度
末
末
0
(%)
12.0
18.0
11.4
23.8
20.2
13.6
14.8
14.7
13.6
12.8 12.111.6
10
5
0
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
16年9月期
(出所) 生命保険事業概況、インシュアランス生命保険統計号、各社ディスクロ誌、金融庁HP、内閣府経済社会総合研究所HP
5
○ 制度見直しの考え方(案)
‡ 安定的な財源制度の確立
9 生命保険会社の経営状況・運用環境は改善
9 原則として保険会社からの拠出金により賄われる安定的な財
源制度の確立
9 当面3年間について、万一の場合に備えて特例的な政府補助
も含めた財源の確保
‡ 制度の合理化・効率化
9 保険会社の破綻防止等のための取り組みの強化
9 補償の重点化:一律の補償から契約の特性に応じた補償へ
¾ 特別勘定契約
¾ 高い予定利率の契約
6
○ 保険会社の破綻防止等に向けた取り組み
平成11年度
○ ソルベンシー・マージン比率の算定基準の見直し
○ ソルベンシー・マージン基準等に基づく早期是正措置の導入
平成12年度
○ ソルベンシー・マージン比率の算定基準の見直し
○ 将来収支分析(保険事業継続性の確認)の導入と実務基準の整備
○ 保険会社に係る更生手続の整備
平成13年度
○ 財務情報等に係るディスクロージャーの拡充
平成15年度
○ オフサイトモニタリングに基づく早期警戒制度の導入
○ 破綻前の契約条件の変更の手続きの導入
《今後の更なる対応》
・
・
・
・
新しい保険商品に係る責任準備金積立ルール等の整備
販売チャネルや保険商品の多様化に応じたモニタリング
ソルベンシー・マージン比率の算定基準の見直し
リスク管理、情報開示の充実等
7
○ 保険契約の特性に応じた補償(案)
‡ 特別勘定で経理される団体年金保険等(最低給付保証のないもの)について、厳格な分
別管理を義務付けた上で責任準備金を削減しない取扱いを可能とする制度整備を行うと
ともに、保険契約者保護制度の補償対象外とする。
‡ 高予定利率の契約について、保険契約者保護制度による責任準備金の補償率を他の契約
よりも引き下げることとする。
¾ 他の保険会社(の契約者)の負担軽減、破綻保険会社の契約者間の公平性
¾ 破綻処理における予定利率の引下げ等により既に相当な負担を求めていること等に対する
配慮
„ 一定の率(3%)を上回る利率部分を過去5年間にわたり半分とした場合の減少率
に相当する率の引下げ
„ 資金援助がない場合の弁済率を下限
※ 米国の例
9
米国においては、生保会社破綻時には、各州において「支払保証基金法人」が支払保証を行う。
9
各州の法律のモデルとなるNAIC(全米保険長官協会)モデル法においては、「破綻前4年間
の予定利率のうち、『ムーディーズ公社債平均利回り-2%』を超過する部分については、保証
対象外」とされている。
9
多くの州(37州)がモデル法と同様の条項を持つ。
8
※過去の資金援助額
生保セーフティネットの財源(見直し案) 東邦生命 3663億円(11年6月)
0
第百生命 1450億円(12年5月)
大正生命 267億円(12年8月)
千代田生命 0円(12年10月)
協栄生命 0円(12年10月)
東京生命 0円(13年3月)
合 計 5380億円
4600
5000億円
10年創設時のセーフティネット
9600
〔12~14年度〕
業界負担枠
張替え
(4600億円)
※ 東邦・第百に対する資金援助により枯渇
創設時の業界負担
のルールにもどす
0
1970
業界負担枠
(1000億円)
政府補助枠
(4000億円)
1000
0
〔15~17年度〕
5000
17年度までの
破綻に対応
4600
〔18~20年度〕
資金援助が業界負担枠を超えた場合には政府補助が可能
返済に従って
枠が拡大
借入残高
業界負担枠
+
資金援助を業界の負担金のみで賄うことになれば、生保会社の財務
状況が著しく悪化し、保険業に対する信頼性の維持が困難となり、ひ
いては、国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれ
が認められる場合
借入可能額
(18年度初:2630億円(見込み))
9
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