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平成 24 事業年度
業務実績報告書
第 10 期(平成 24 年 4 月 1 日から平成 25 年 3 月 31 日まで)
平成 25 年 6 月
独立行政法人日本芸術文化振興会
平成 24 事業年度業務実績報告書
目
次
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
1 文化芸術活動に対する援助
………
1
伝統芸能の公開
………
15
現代舞台芸術の公演
………
80
快適な観劇環境の形成
……… 127
広報・営業活動の充実
……… 141
劇場施設の使用効率の向上等
……… 156
2 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
3 伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
伝統芸能の伝承者の養成
……… 161
現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
……… 180
4 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
伝統芸能
……… 194
現代舞台芸術
……… 216
Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
1 業務運営の効率化
……… 233
2 事業評価の実施
……… 249
Ⅲ 予算
……… 251
Ⅳ 業務運営
……… 256
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
文化芸術活動に対する援助
文化芸術活動に対する援助 p.1
助成金の交付 p.7
助成金交付事務の効率化等 p.9
芸術文化団体等の自主性の尊重、活動実態に応じた効果的な助成の実施 p.11
芸術文化振興基金の管理運用 p.12
助成に関する情報等の収集及び提供 p.13
文化芸術活動に対する援助:総表
1
文化芸術活動に対する援助
《中期計画の概要》
(1) 助成金の交付
ア 芸術家及び芸術団体等が実施する活動に対する助成金の交付
イ 助成金交付事務の効率化等
① 地方公共団体、教育委員会との連携協力
② 助成対象活動の実施状況等調査
③ 助成金交付事務手続きの簡素化・合理化
ウ 芸術文化団体等の文化芸術活動の充実・活性化、芸術文化団体等の自主性の尊重
エ 芸術文化振興基金の管理運用
オ 文化庁の助成事業と振興会の助成事業との統合・一元化
(2) 助成に関する情報等の収集及び提供
《年度計画》
1 文化芸術活動に対する援助
(1) 助成金の交付
ア 芸術文化振興基金(以下「基金」という。)の運用収入等を財源とする助成金の交付に関する計画
次に掲げる活動に対して助成金を交付する。
① 芸術家及び芸術団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動
a. 多彩な芸術に親しむ環境の醸成に資する現代舞台芸術の創造普及のための公演活動
b. 伝統芸能に親しむ環境の醸成に資する伝統芸能の保存普及のための公開活動
c. 美術に親しめる環境の醸成に資する美術の創造普及のための展示活動
d. 国内において行われる映画祭及び多様な鑑賞機会の充実に資する特色ある日本映画の上映活
動
e. 特定の芸術分野にしばられない活動や、新しい試みなど独創性に富んだ芸術創造活動
② 地域の文化の振興を目的として行う活動
a. 地域の文化の振興に資する文化会館、美術館その他の地域の文化施設において行う公演、展
示その他の活動
b. 地域の文化の振興に資する伝統的建造物群、民俗芸能その他の文化財を保存し、又は活用す
る活動
③ 文化に関する団体が行う文化の振興又は普及を図るための活動
a. 文化の発展普及に資することを主たる目的とするアマチュア等の文化団体が行う公演、展示
その他の活動
b. 伝統工芸技術・文化財保存技術の保存・伝承等、我が国の文化財の保存伝承等に資する活動
イ 文化芸術振興費補助金(以下「補助金」という。
)を財源とする助成金の交付に関する計画
次に掲げる活動に対して助成金を交付する。
① 意欲的な取組みにより我が国の舞台芸術の水準向上に資すると認められる創作性・芸術性の高
い、国内で実施される優れた舞台芸術活動
② 我が国の優れた映画の製作活動を奨励し、映画芸術の振興に資する日本映画の製作活動
ウ 助成金交付事務の効率化等
① 地域の文化振興等の活動については、都道府県に対し、要望書の受付窓口及び推薦に係る業務
について協力を求めるとともに、提出された要望書の内容について、都道府県からヒアリングを
実施することにより、一層効果的な助成に努める。
② 助成対象活動の調査及び効率的・効果的な助成方法についての検討等に関する計画
a. 助成の成果等に対する評価を踏まえた審査の充実を図るため、助成対象活動について外部有
識者による公演等調査を行うほか、プログラムディレクター、プログラムオフィサー及び職員
による会計調査及び公演等調査を実施し、審査への反映を図る。
・ 会計調査及び公演等調査:350 件以上
1
b. 助成対象分野の現状についての調査結果及び助成対象活動についての公演等調査の結果など
を踏まえ、より効果的かつ効率的な助成方策について検討する。
c. 補助金を財源とする助成金の舞台芸術分野について、プログラムディレクター及びプログラ
ムオフィサー等を配置し、助成に関する審査・評価等の機能を強化するとともに、事後評価の
実施など新たな審査・評価等の仕組みの導入について引き続き検討する。
③ 助成金交付事務に係る助成業務システムについて、事務手続き等の簡素・合理化が行われるよ
う、応募書類の電子データによる受付・管理など実務の実態を踏まえたシステムの機能強化を図
る。
基金及び補助金の助成事業の交付申請書受理から交付決定までの期間について 40 日以下とす
る。
④ 助成金の交付対象を明確化するとともに、助成金の交付に関し公平・公正性を期すため、各専
門委員会における審査の方法など選考に関する基準を策定し、ホームページ及び冊子で公表する。
エ 助成金の交付に当たっては、芸術文化団体等の自主性を尊重しつつ、活動の実態に応じて効果的
に実施する。
オ 基金の管理運用については、安全性を重視するとともに、安定した収益の確保によって継続的な
助成が可能となるよう、資金内容及び経済情勢の正確な把握に努め、振興会に設置する資金管理委
員会において運用方針、金融商品等の検討を行い、効率的な方法により実施する。また、この資金
の受入拡充に向けて創設した芸術文化振興基金賛助会制度の周知を図りつつ、その資金の確保に努
める。
カ 東日本大震災に伴う被災地の復興支援を目的とした芸術文化復興支援基金による助成事業につい
て、周知を図りつつ、その助成に必要な資金の確保に努める。
キ 平成 21 年度に統合・一元化した助成事業について、引き続き円滑・効率的に実施するとともに、
説明会やホームページを通じて助成の制度や内容等について情報提供に努める。
(2) 助成に関する情報等の収集及び提供
ア ホームページにおいては、募集案内、助成対象活動をはじめとする芸術団体等に対する各種情報
等、提供する情報の充実を図るとともに、迅速化に努める。
また、文化芸術活動に対する援助の中核的拠点として、文化芸術活動へ助成を行う民間助成団体
に関する情報のデータベースを更新して提供するとともに、今後もインターネットによる広報の有
効性に着目し、ホームページの一層の利便性向上に努める。
・ 目標アクセス件数:126,000 件
イ 振興会における文化芸術活動に関する助成業務を周知するために、広報誌等を作成・配布する。
ウ 助成対象活動の募集に当たっては、芸術関係誌等への広告掲載及びホームページへの情報掲載を
行うとともに、地方公共団体及び全国の公立文化施設等へポスター等を配布する。
エ 芸術団体等を対象とした助成対象活動の募集説明会について、東京、大阪に加え、他地域でも開
催する。
《実
績》
1.助成金の交付
(1) 24 年度助成金の交付実績
① 芸術文化振興基金助成金(芸術文化振興基金の運用収入等を財源)
助成対象分野
交付件数
助成金交付額
芸術創造普及活動
320 件
724,900 千円
映像芸術創造活動
51 件
119,700 千円
地域文化振興活動
238 件
316,400 千円
文化振興普及団体活動
136 件
105,000 千円
合 計
745 件
1,266,000 千円
② 文化芸術振興費補助金による助成金(文化芸術振興費補助金を財源)
助成対象分野
交付件数
助成金交付額
トップレベルの
331 件
3,042,000 千円
2
舞台芸術創造事業
映画製作への支援
合 計
53 件
384 件
525,000 千円
3,567,000 千円
(2) 25 年度助成対象活動の募集実績
① 芸術文化振興基金助成金(芸術文化振興基金の運用収入等を財源)
助成対象分野
応募件数
採択件数
助成金交付予定額
芸術創造普及活動
777 件
306 件
692,200 千円
映像芸術創造活動
58 件
34 件
86,900 千円
地域文化振興活動
406 件
253 件
319,200 千円
文化振興普及団体活動
278 件
152 件
114,200 千円
合 計
1,519 件
745 件
1,212,500 千円
注:映像芸術創造活動のうち、国内映画祭等の活動の第 2 回募集分は含まれていない。
② 文化芸術振興費補助金による助成金(文化芸術振興費補助金を財源)
助成対象分野
応募件数
採択件数
助成金交付予定額
トップレベルの
457 件
322 件
3,128,000 千円
舞台芸術創造事業
映画製作への支援
56 件
22 件
216,000 千円
合 計
513 件
344 件
3,344,000 千円
注:映画製作への支援の第 2 回募集分は含まれていない。
2.助成金交付事務の効率化等
(1) 都道府県との協力
都道府県担当者向けの説明会を実施するとともに、都道府県経由で応募のあった活動については、各
自治体担当者からのヒアリングを実施し、状況把握に努めた。
(2) 助成対象活動の調査
会計調査:96 件(調査活動件数:247 件)
、公演等調査:725 件(調査活動件数:725 件)
合計:821 件、調査活動件数 972 件(目標:350 件以上)
(3) 文化芸術活動への支援に関する専門家の配置
当振興会が行う文化芸術活動に対する助成事業をより効果的なものとするため、専門的な知識や調
査研究に基づく助言、情報提供等を行うプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを配置し、
審査基準案の作成、助成対象活動の調査分析、公演調査の実施及び助成対象団体との意見交換等を行
った。
○補助金による助成の 4 分野について配置
・音楽分野(23 年度より配置)
プログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー3 名
・舞踊分野(23 年度より配置)
プログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー3 名
・演劇分野(24 年度より配置)
プログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー6 名
・伝統芸能・大衆芸能分野(24 年度より配置)
プログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー2 名
(4) 芸術文化活動に対する助成制度に関する調査分析事業の実施
今後の芸術文化活動に対する助成制度及び助成事業の在り方等を検討するため、文化庁から委託事
業として芸術文化活動に対する助成制度に関する調査分析事業を行った。
○調査分析事業の内容
・我が国の芸術文化活動に対する助成制度の経緯把握
・近年の助成実績のデータ化
・パイロット事業立案に向けた国内外の先行事例の調査等
(5) 事務手続き等の簡素化・合理化
・ 23 年度より開始した年間型事業支援制度の導入に伴い、助成システムを見直すとともに入力作業
等の簡素化を図った。
・ 交付申請書受理から交付決定までの期間:20.9 日(目標:40 日以下)
芸術文化振興基金助成金
24 年度実績:21.2 日(目標:40 日以下)
3
文化芸術振興費補助金による助成金 24 年度実績:20.6 日(目標:40 日以下)
(6) 各専門委員会における選考に関する基準の策定と公表
・ 文化芸術振興費補助金による助成事業(トップレベルの舞台創造芸術事業)各分野について、事前
に審査基準を公表した。
・ 芸術文化振興基金ホームページにおいて、助成対象活動、助成団体、助成金交付予定額、審査にあ
たった委員の氏名、審査経過、審査の方法等について公表した。
3.芸術文化団体等の自主性の尊重、活動実態に応じた効果的な助成の実施
文化芸術振興費補助金による助成事業を中心にプログラムディレクター等と助成団体との意見交換の場
を設けるなど、団体の活動等について幅広く助言等を行った。(音楽28団体・舞踊23団体・演劇21団体・伝
統芸能大衆芸能9団体)
4.芸術文化振興基金の管理運用、資金の受入拡充
(1) 運用益 1,527,320 千円(当初計画 1,407,871 千円、119,449 千円の増)
(2) 利回り 2.32%(当初計画 2.14%)
(3) 資金の受入拡充
「社会貢献寄付信託」及び「芸術文化振興基金賛助会員制度」による寄付金受入に向け環境を整備す
るとともに、広く広報活動を行った。
①寄付先への感謝状の贈呈並びにホームページ等での広報
原則 10 万円を超える寄付(出えん金収入)者(団体)については、通常の礼状に加え感謝状を贈呈した
ほか、承諾を得た寄付者(団体)については、寄付者(団体)名をホームページで広報するなど寄付金の
増額に向けて取り組んだ。
芸術文化振興基金への寄付:24 年度実績 10 件 368,360 円
②「社会貢献寄付信託」の受入に向けた取組み
三井住友信託銀行の「社会貢献寄付信託」の文化芸術分野の寄付先として、受入に必要な環境を整
備するとともに、寄付受入に向け関係金融機関と連携し広報活動を行った。
③「芸術文化振興基金賛助会員制度」による寄付受入
「芸術文化振興基金賛助会員制度」の周知を図るとともに、寄付金受入に向け広報活動を行った。
5.芸術文化復興支援基金による助成
東日本大震災における被災地の復興支援を目的とする芸術文化活動を支援するため、
「芸術文化復興支
援基金」を立ち上げ、支援に必要な資金確保に向け、募金活動に努めた。
・芸術文化復興支援基金:24 年度実績 2,911,898 円
6.助成に関する情報等の収集及び提供
(1)ホームページの利便性の向上
・ 助成対象活動の実施状況をホームページで紹介する等、応募方法から活動実例の紹介まで、広く情
報提供に努めた。
・ 24 年度アクセス件数:124,887 件(目標 126,000 件)
(2)助成事業の周知
・ 助成事業に関する次のポスター・チラシを作成、配布した。
助成団体に活動時配布・掲示してもらう広報用ポスター(500 件、500 枚掲出)、チラシ(360 件、
313,540 枚配布)
芸術文化復興支援基金のリーフレット、ポスター、チラシ
芸術文化振興基金賛助会員制度に関するリーフレット
・ 助成事業の概要を紹介したパンフレット(二つ折り「基金の概要」
)を作成、配布した。
・ 助成対象活動の事例集を作成・配布した。
(3)助成対象活動の募集
・ 25 年度助成対象活動募集の広告を掲載した(音楽、舞踊、演劇、美術、映画関係各誌 7 誌、9 月上旬
~10 月下旬)。
・ 25 年度助成対象活動募集案内チラシ及びポスターを都道府県、政令指定都市、公立文化施設、大学
などに送付し、広報協力を依頼した。
・ 「日本芸術文化振興会ニュース」及び「文化庁月報」へ、芸術文化振興基金の概要、助成対象活動
4
の募集案内や助成制度の概要など、広く助成活動に関する情報を掲載した(毎月)。
(4)助成対象活動の募集説明会の開催
①東京都開催
・10 月 2 日(火) :映画製作団体、映画祭等上映団体対象
会場:国立劇場 伝統芸能情報館レクチャー室、参加数:160 団体、199 名
・10 月 3 日(水)~4 日(木) :地域文化振興活動、文化振興普及団体活動等 都道府県担当者対象
会場:国立劇場 第一会議室、参加数:32 都道府県、32 名
・10 月 15 日(月):音楽、舞踊、演劇、伝統芸能・大衆芸能、美術等主として芸術団体等対象
会場:日本青年館 大ホール、参加数:550 団体、752 名
② 大阪府開催
・10 月 5 日(金):音楽、舞踊、演劇、伝統芸能・大衆芸能、美術等主として芸術団体等対象
会場:ホテルアウィーナ大阪、参加数:139 団体、176 名
③岩手県開催
・10 月 10 日(水):地域文化振興活動、文化振興普及団体活動等団体対象
会場:いわて県民情報交流センター(アイーナ)
、参加数:31 団体、38 名
④臨時募集説明会(映画製作・アニメーション映画)
・5 月 12 日(土)
:映画製作への支援 アニメーション映画(短編B)製作団体対象
会場:国立劇場 第一会議室、参加数:49 名
【特記事項】
・ 23 年度から補助金による助成のうち、音楽分野及び舞踊分野にプログラムディレクター及びプログラ
ムオフィサーを配置し、加えて 24 年度からは対象分野を拡大し、演劇分野及び伝統芸能・大衆芸能分野
にプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを配置して、助成対象活動の調査・分析、事後評
価の導入に向けた事後評価案作成、また、複眼的に公演等調査を行うとともに助成対象団体との意見交
換を通じて、幅広く助言等を行った。
・ 芸術文化復興支援基金のロビー等での募金活動を引き続き実施した。
・ 東北地方(岩手県)での募集説明会を初めて開催した。
・ 映画製作への支援(アニメーション映画・短編B)の助成制度が充分周知されていなかったことを
踏まえ、臨時の説明会を行った。これにより、応募件数の増加につながった。
平成 24 年度 1 回目募集:0 件
2 回目募集:13 件
《数値目標の達成状況》
【会計調査及び公演等調査の実施状況】実績821件/目標350件以上(達成度234.6%)
【交付決定に係る期間の効率化の達成状況】実績20.9日/目標40日以内(達成度191.4%)
【芸術文化振興基金ホームページへのアクセス件数】実績124,887件/目標126,000件(達成度99.1%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 23 年度より開始した年間活動支援型の導入に伴う助成システムの見直しに合わせ、入力作業等の簡素
化を図るなど、事務手続きの簡素化・合理化に努めた結果、交付決定までの期間について目標日数を達
成することができた。
・ 助成活動について、ホームページを通じて幅広く情報を提供するとともに、地方でも説明会を開催す
るなど、助成活動の広報・周知に努めた。
・ 助成対象活動の調査・分析、事後評価の導入に向けた事後評価案作成、また、複眼的に公演等調査を
行うとともに助成対象団体との意見交換を通じて団体の活動等について幅広く助言等を行った。さらに、
助成活動の審査に当たっても、公演等調査の評価を適切に反映することができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 助成対象活動への応募件数が増えるよう、引き続き、広く広報活動を行うとともに、ホームページに
よる情報提供も含め、より効果的な広報の仕方について検討していきたい。
・ より安定的、継続的な助成が可能となるよう、資金の確保に向けて、多様な方策を検討していきたい。
《23年度評価への対応》
【評価】
5
(文科省評価委員会)
・ 今後は成果の追跡・検証を行うとともに、評価基準の明確化やチェック体制の整備を図り、助成対象
の質の向上に努められたい。(①)
・ 募集説明会への参加及び参加者の応募の状況や、応募者の情報入手経路を分析する等、公平性の観点
から制度の更なる周知を徹底することが求められる。(②)
(振興会評価委員会)
・ プログラムディレクター、プログラムオフィサーの配置により、従来にも増して適切な審査が行われた
こと、及び助成団体との意見交換ができたことを評価する。意見交換については、公平性を保ちつつ、可
能な限り日数を増やしていくことを期待する。(①)
・ 助成制度の重要な点は、助成金額だけではなく、それがいかに有効に使われ、効果が出たかというこ
とである。そのためにも効果検証は最も重要なことであり、検証結果を助成活動の審査に正確に反映で
きる体制の整備が不可欠である。(①)
・ 今後は、プログラムディレクター、プログラムオフィサーも活用して、審査基準を明らかにした事後
評価制度と全国的な調査制度の確立を進めてほしい。(①)
・ 今後は、地方・地域の芸術文化活動に対する助成事業が一層広範囲に行き渡ることが望ましく、その
ための広報活動を現状から更に促進させてほしい。(②)
・ 募集説明会については、今後も東京と大阪以外の地域に拡大する方向で進められることを期待したい。
地域の拡大により応募の裾野を広げることで、質の向上にもつながると考えられるため、実施時期・開
催地について十分に検討し、充実を図ってほしい。(②)
・ また、これまでの芸術文化活動に対する助成事業に加え、
「社会貢献寄付信託」の環境整備や「芸術文
化振興基金賛助会員制度」が設置されたことを評価する。今後は、制度についての周知に努めたい。(②)
【対応】
①プログラムディレクター・プログラムオフィサー等の活用による助成体制の整備
プログラムディレクター・プログラムオフィサー及び文化芸術活動調査員を活用し、公演調査等の充実
を図る。
助成に関する事後評価制度については、25 年度より導入し、26 年度から本格的に実施して、その結果を
翌年度以降の事業へ反映させる予定としている。
また、引き続き採択された助成対象団体等との意見交換の場を設けるとともに、採択理由や助成により
期待される効果等について整理し、意見交換に活用する。
②助成事業の周知・広報活動の充実
ホームページについて、利用者が情報を得やすいよう掲載内容等を見直して、利便性の向上を図る。
また、ホームページとあわせて、日本芸術文化振興会ニュースや文化庁月報等も活用し、
「芸術文化復興
支援基金」、
「芸術文化振興基金賛助会員」及び「社会貢献寄付信託」の周知に努める。
募集説明会については、東京、大阪以外でも開催するともに、対象分野を絞った重点的な内容の説明会
を実施するなど工夫を行い、助成事業の周知に努める。
6
文化芸術活動に対する援助:詳細表
<1>助成金の交付
1.24年度助成金の交付実績
(1) 芸術文化振興基金助成金(芸術文化振興基金の運用収入等を財源)
助成対象分野
交付件数
現代舞台芸術創造普及活動
241件
音
楽
46件
舞
踊
44件
演
劇
151件
芸術創造普及活動
伝統芸能の公開活動
48件
美術の創造普及活動
12件
多分野共同等芸術創造活動
19件
小
計
320件
国内映画祭等の活動
51件
国内映画祭
37件
映像芸術創造活動
日本映画上映活動
14件
小
計
51件
地域文化施設公演・展示活動
202件
文化会館公演活動
128件
美術館展示活動
74件
地域文化振興活動
歴史的集落・町並み、文化的景観
9件
保存活用活動
民俗文化財の保存活用活動
27件
小
計
238件
アマチュア等の文化団体活動
126件
伝統工芸技術・文化財保存技術の
文化振興普及団体活動
10件
保存伝承等活動
小
計
136件
合
計
745件
(2) 文化芸術振興費補助金による助成金(文化芸術振興費補助金を財源)
助成対象分野
交付件数
音
楽
119件
舞
踊
35件
演
劇
126件
トップレベルの
舞台芸術創造事業
伝統芸能
32件
大衆芸能
19件
小
計
331件
劇映画
22件
記録映画
19件
映画製作への支援
アニメーション映画
12件
小
計
53件
合
計
384件
2.25年度助成対象活動の募集実績
(1) 芸術文化振興基金(芸術文化振興基金の運用収入等を財源)
助成対象分野
応募件数
現代舞台芸術創造普及活動
612 件
音
楽
125 件
芸術創造普及活動
舞
踊
97 件
演
劇
390 件
7
採択件数
239 件
46 件
43 件
150 件
助成金交付額
626,200千円
180,000千円
77,400千円
368,800千円
59,900千円
16,700千円
22,100千円
724,900千円
119,700千円
102,500千円
17,200千円
119,700千円
287,400千円
139,200千円
148,200千円
10,200千円
18,800千円
316,400千円
86,500千円
18,500千円
105,000千円
1,266,000千円
助成金交付額
1,771,100千円
393,700千円
749,900千円
55,700千円
71,600千円
3,042,000千円
340,000千円
91,000千円
94,000千円
525,000千円
3,567,000千円
助成金交付予定額
600,700 千円
204,400 千円
73,700 千円
322,600 千円
伝統芸能の公開活動
美術の創造普及活動
多分野共同等芸術創造活動
小
計
国内映画祭等の活動
82 件
20 件
63 件
777 件
58 件
43 件
15 件
58 件
361 件
214 件
147 件
42 件
8件
17 件
306 件
34 件
26 件
8件
34 件
216 件
130 件
86 件
国内映画祭
日本映画上映活動
小
計
地域文化施設公演・展示活動
文化会館公演活動
美術館等展示活動
地域文化振興活動 歴史的集落・町並み、文化的
11 件
11 件
景観保存活用活動
民俗文化財の保存活用活動
34 件
26 件
小
計
406 件
253 件
アマチュア等の文化団体活動
265 件
142 件
文化振興普及団体 伝統工芸技術・文化財保存技
13 件
10 件
活動
術の保存伝承等活動
小
計
278 件
152 件
合
計
1,519 件
745 件
注:映像芸術創造活動には、第 2 回募集分は含まれていない。
(2) 文化芸術振興費補助金による助成金(文化芸術振興費補助金を財源)
映像芸術創造活動
助成対象分野
応募件数
音
楽
145件
舞
踊
53件
演
劇
191件
トップレベルの
舞台芸術創造事業
伝統芸能
48件
大衆芸能
20件
小
計
457件
劇映画
30件
記録映画
22件
映画製作への支援
アニメーション映画
4件
小
計
56件
合
計
513件
注:映画製作への支援には、第2回募集分は含まれていない。
採択件数
120件
35件
120件
33件
14件
322件
11件
9件
2件
22件
344件
52,400 千円
15,700 千円
23,400 千円
692,200 千円
86,900 千円
78,300 千円
8,600 千円
86,900 千円
294,300 千円
143,300 千円
151,000 千円
10,000 千円
14,900 千円
319,200 千円
97,100 千円
17,100 千円
114,200 千円
1,212,500 千円
助成金交付予定額
1,813,000千円
414,000千円
750,000千円
58,000千円
93,000千円
3,128,000千円
160,000千円
33,000千円
23,000千円
216,000千円
3,344,000千円
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 前年度に引き続き、年度開始前に助成対象活動の決定を行うことができた。
・ 説明会等を開催し助成事業の概要や制度について周知するとともに、あらゆる機会を通じて助成事業
に関する広報活動を行った。
・ 前年度にアニメーション映画分野のうち、応募のなかった活動分野があったことを踏まえ、その分野
に特化した臨時の説明会を開催するなど、応募件数の増加に努めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 多分野共同等芸術創造活動及びアマチュア等の文化団体活動については、助成団体までその活動内容
等が十分周知されていない状況等を踏まえ、都道府県とも協力し、広報活動の充実も含め、活動の周知
に努める必要があると思われる。
8
<2>助成金交付事務の効率化等
1.都道府県との協力
都道府県経由で応募を受け付ける助成活動については、都道府県担当者を対象とした助成活動募集の説
明会を実施するとともに、都道府県経由で応募のあった活動については、都道府県担当者からヒアリング
を実施して状況把握に努めた。
2.助成対象活動の調査及び助成方法の検討
(1) 助成対象活動に対する調査(目標:350 件以上)
区 分
実 績
96 件
会計調査
(調査活動 247 件)
725 件
公演等調査
(調査活動 725 件)
821 件
合 計
(調査活動 972 件)
(2) 調査結果を踏まえた効果的かつ効率的な助成方策の検討
助成対象活動に係る「助成の効果」について、23 年度助成対象活動実績報告書に記載された内容の整
理、分類を実施した。
○ 集計結果:調査対象件数 1,347 件(複数回答を含む)
事
項
件数
団員(団体)の金銭的負担が軽減されたことによって、活動に専念できた
373 件
質の高い外部の出演者・演出者・舞台スタッフ及び展示品等により活動を実施できた
341 件
質の高い会場・設営・舞台設備により活動を実施できた
215 件
宣伝広告等を充実させることができ、周知の機会が増えた
214 件
活動内容(回数、演目、曲目、ワークショップ、図録等)の充実を図ることができた
179 件
当初の計画通りに活動が実施できた
118 件
チケット単価を安くして、集客目標を達成することができた
114 件
補助金・協賛金・銀行融資等を受けやすくなったなど、対外的信用度が増大した
71 件
チケット単価を安くして、特定層以外の観客を集める機会を得た
70 件
創造的・実験的事業(団体にとっての挑戦的な演目)の活動を実施した
69 件
地域の方に質の高い公演・活動を見せることができた
58 件
団体(又は活動)の外部評価が向上した(活動前の広報、活動後の評価)
33 件
活動が地域に浸透し、地域に根ざした活動として発展することができた
32 件
団体の今後の活動においての向上心・発展性につながった
国際交流を行えた
編集・仕上げ・特殊効果等、充実を図ることができた。
25 件
24 件
16 件
活動が採択されて、団体にとって励みとなった
15 件
地域住民参加による活動が実施できた(出演者・裏方・ボランティア)
13 件
県内外からの来場者により地域が活性化した
12 件
十分な撮影体制(フィルムで撮影・撮影日数を増やす等)により、質の高い作品ができた
12 件
11 件
小・中・高生等を無料招待することができた
地域文化財への理解が深まった
9件
地域の文化団体と他の文化団体との交流が持てた
6件
5件
5件
5件
4件
4件
3件
団体内で技術の向上が見られた
地域住民へ身近な文化財の存在を周知できた
普及・啓発及び記録保存のための印刷物等が作成できた
ロケ地での協力(現場使用・エキストラ参加等)を得ることができた
伝統芸能・伝統技術の継承に役立った
後継者の育成に役立った
9
その他
1,164 件
(3) プログラムディレクター及びプログラムオフィサー等による審査・評価等
当振興会が行う文化芸術活動に対する助成事業をより効果的なものとするため、専門的な知識や調査
研究に基づく助言、情報提供等を行うプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを設置するこ
ととし、23 年度から音楽分野でプログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー3 名及び舞踊分野
でプログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー3 名の配置を行った。加えて 24 年度からは、演
劇分野でプログラムディレクター1 名、プログラムオフィサー6 名及び伝統芸能・大衆芸能分野でプログ
ラムディレクター1 名、プログラムオフィサー2 名を配置し、審査基準案の作成、助成対象活動の調査分
析、公演調査の実施及び助成対象団体との意見交換等を行った。
(4) 芸術文化活動に対する助成制度に関する調査分析事業の実施
今後の芸術文化活動に対する助成制度及び助成事業の在り方等を検討するため、文化庁から委託事
業として芸術文化活動に対する助成制度に関する調査分析事業を行った。
○調査分析事業の内容
・我が国の芸術文化活動に対する助成制度の経緯把握
・近年の助成実績のデータ化
・パイロット事業立案に向けた国内外の先行事例の調査等
3.事務手続き等の簡素化・合理化
(1) 情報システムの機能強化等
新たな補助制度の導入に伴い、基金助成システムを見直すとともに入力作業等の簡素化を図った。
また、助成金交付要望書など申請書類のインターネットによる受付について検討を開始した。
(2) 助成金の交付申請書受理から交付決定までの期間の短縮
区 分
実 績
目 標
芸術文化振興基金助成金
21.2 日
40.0 日
文化芸術振興費補助金による助成金
20.6 日
40.0 日
20.9 日
40.0 日
全
体
4.各専門委員会における選考に関する基準の策定と公表
(1) 25 年度助成対象活動の審査状況
芸術文化振興基金運営委員会及び 4 部会、13 専門委員会において、以下のとおり審査を行った。
① 芸術文化振興基金運営委員会
第 28 回:7 月 3 日、第 29 回:9 月 18 日、第 30 回:1 月 30 日、第 31 回:3 月 19 日
②舞台芸術等部会(2 回開催・3 月)
・音楽専門委員会(3 回開催・8 月、11 月、2 月)
・舞踊専門委員会(3 回開催・8 月、12 月、2 月)
・演劇専門委員会(4 回開催・8 月(合同)、11 月(合同)、2 月(第 1 分科会 1 回、第 2 分科会 1 回))
・伝統芸能・大衆芸能専門委員会(3 回開催・8 月、12 月、2 月)
・美術専門委員会(2 回開催・11 月、2 月)
・多分野共同等専門委員会)(2 回開催・12 月・2 月)
③映像芸術部会(1 回開催・3 月)
・劇映画専門委員会(2 回開催・12 月、2 月)
・記録映画専門委員会(2 回開催・12 月、3 月)
・アニメーション映画専門委員会(2 回開催・12 月、2 月)
・映画祭等専門委員会(2 回開催・12 月、2 月)
④地域文化・文化団体活動部会(1 回開催・3 月)
・地域文化活動専門委員会(2 回開催・11 月、2 月)
・文化団体活動専門委員会(2 回開催・11 月、2 月)
⑤文化財部会(1 回開催・3 月)
・文化財保存活用専門委員会(2 回開催・11 月、2 月)
○審査経過概要
9 月 18 日
第 29 回芸術文化振興基金運営委員会を開催し、平成 25 年度の助成活動募集
10
11 月中旬~12 月中旬
12 月下旬~2 月下旬
1 月 30 日
2 月上旬~3 月上旬
3 月上旬~3 月中旬
3 月 19 日
案内の内容等を了承。
各専門委員会において、事前審査及び合議審査に先立ち、
「専門委員会におけ
る審査の方法等について」を審議、決定。
各専門委員会による応募活動 1 件ごとの事前審査。
第 30 回芸術文化振興基金運営委員会を開催し、応募状況についての報告及び
助成金の分野別配分予算案について審議、決定。
各専門委員会において、事前審査の集計結果をもとに、合議審査により、助
成金交付要望書の審査及び助成対象活動を選定。
各部会において助成対象活動の採否及び助成金交付予定額の審議。
第 31 回芸術文化振興基金運営委員会を開催し、助成対象活動及び助成金交付
予定額について審議、決定。
(2)選考に関する基準の策定と公表
文化芸術振興費補助金による助成事業(トップレベルの舞台芸術創造事業)の分野について、事前に
ホームページ等を通じて審査基準を公表した。
また、25 年度の芸術文化振興基金助成対象活動として内定した活動について、活動名、助成金交付予
定額、審査にあたった委員の氏名、審査の方法等について公表した(芸術文化振興基金助成事業は平成
25 年 3 月 27 日。文化芸術振興費補助金による助成事業の公表は予算成立後)
。
(3) 24 年度助成対象活動の決定に関する公表状況
第 1 回募集分について:芸術文化振興基金助成対象活動は平成 24 年 3 月 29 日付けで、文化芸術振興
費補助金による助成対象活動は平成 24 年 4 月 9 日付けでホームページ等において公表した。
映画に関する第 2 回募集分について:芸術文化振興基金助成対象活動は平成 24 年 9 月 28 日付けで、
文化芸術振興費補助金による助成対象活動は平成 24 年 11 月 22 日付けでホームページ等において公表し
た。
また、併せて助成対象活動一覧のほか審査経過等も含めホームページ等で公表した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 公演等調査及び会計調査については、プログラムディレクター及びプログラムオフィサー並びに各専
門委員会の委員の積極的な協力を得て、調査を進めることができた。その結果、ほとんどの助成活動が
内容・会計面ともに適正に実施されていることを確認することができた。調査内容の充実に努めるとと
もに、併せて実施件数の増加を図ることができ、結果、目標件数を達成することができた。
・ 助成金交付申請書受理から助成金交付決定までの事務処理期間については、昨年度に推し進めた新助
成システムの稼働等の効果が、より顕著に事務処理に反映された結果、昨年度に引き続き目標を達成す
ることができた。
・ 芸術文化振興基金運営委員会、部会及び専門委員会の委員は各分野の専門家等外部の有識者から選任
しており、助成対象活動の審査にあたり、客観的・専門的な見地から広範な審査を行うことができた。
・ 平成 25 年度助成対象活動の審査に当たっては、プログラムディレクター及びプログラムオフィサーの
意見・助言等も踏まえ、より実情に即した公正な審査の実施に努めた。
・ 審査手続き等に関する透明性を確保するため、前年に引き続き助成金交付要綱や審査にあたっての考
え方等を募集案内や芸術文化振興基金ホームページ等により公表した。特に、文化芸術振興費補助金事
業(トップレベルの舞台芸術創造事業)については、事前に審査基準を公表した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 今後とも、効率的かつ効果的な助成事業の実施と、それに伴う業務の効率化及び省力化を図る観点か
ら、組織体制はじめ不断の見直しを行い助成の仕組みと体制の整備を検討していくこととしたい。
<3>芸術文化団体等の自主性の尊重、活動実態に応じた効果的な助成の実施
平成 23 年度から音楽分野及び舞踊分野に、また、平成 24 年度には演劇分野及び伝統芸能・大衆芸能分
野にプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを配置し、助成団体との意見交換の場を設けるな
ど、団体の活動に関し、幅広く助言等を行った。
・音楽分野:5月~6月 参加団体28団体
11
・舞踊分野:4月~7月 参加団体23団体
・演劇分野:6月~11月 参加団体21団体
・伝統芸能・大衆芸能分野:6月~7月 参加団体9団体
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
「助成の効果」の集計結果並びに公演等調査報告からも本助成事業が、芸術文化団体等の自主性を損
なうものでないこと、また、この助成事業が団体にとって強く求められて事業であることが検証できた。
23 年度からプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを順次配置し、助成団体との意見交換の
場を設けるなど、団体の活動に関し、幅広く助言等を行うことができた。今後とも、芸術文化団体等の自
主性を尊重しつつ、助成団体から聴取した「助成の効果」や公演等調査の結果等も参考に、効果的な助成
について検証していくこととする。
○ 見直し又は改善を要する点
引き続き芸術文化団体等の自主性を尊重しつつ、それらの活動実態に応じ効果的な助成を実施してい
けるよう不断の見直しを行っていきたい。
<4>芸術文化振興基金の管理運用
(1) 運用益 1,527,320 千円(当初計画 1,407,871 千円、119,449 千円の増)
(2) 利回り 2.32%(当初計画 2.14%)
基金の管理運用については、安全性を重視するとともに安定した収益の確保によって継続的な助成が
可能となるよう、資金内容及び経済情勢の正確な把握に努めた。
平成 20 年 4 月に設置した資金管理委員会において、運用の基本的考え方を定めるとともに金融商品・
再運用先等の検討を行うことにより、低金利下においても必要とする運用益が得られるよう、リスクと
リターンを考慮しながら引き続き効率的な管理運用に努めた。
2.資金の受入拡充
(1) 寄付先への感謝状の贈呈並びにホームページ等での広報
原則 10 万円を超える寄付(出えん金収入)者(団体)については、通常の礼状に加え感謝状を贈呈した
ほか、承諾を得た寄付者(団体)については、寄付者(団体)名をホームページで広報するなど寄付金の
増額に向けて取り組んだ。
芸術文化振興基金への寄付:24 年度実績 10 件 368,360 円
(2)「社会貢献寄付信託」の受入に向けた取組み
三井住友信託銀行の「社会貢献寄付信託」の文化芸術分野の寄付先として、その受入に必要な環境
を整備するとともに、寄附受入に向け関係金融機関と連携し広報活動を行った。
(3)「芸術文化振興基金賛助会員制度」による寄付受入
「芸術文化振興基金賛助会員制度」の周知を図るとともに、寄付金受入に向け広報活動を行った。
【自己点検評価】
○ 良かった点・特色ある点
・ 外国債の運用収入について、12 月以降は、年度計画策定時に想定していた為替水準に比して円安
傾向で推移したことにより年度計画予算での見積額を上回った。また、再運用に当たっては安定し
た収入を確保するとともに資産の安全性を重視し、少しでも有利な運用を行えるよう多くの金融機
関から情報収集を行った。
○ 見直し又は改善を要する点
・ より安定的、継続的な助成が可能となるよう、寄付金の増額に向けて、広報活動も含め、多様な方
策を検討していきたい。
<5>芸術文化復興支援基金による助成
「芸術文化復興支援基金」への寄付受入
東日本大震災における被災地の復興支援を目的とする芸術文化活動を支援するため、
「芸術文化復興
支援基金」を立ち上げ、支援に必要な資金確保に向け、募金活動に努めた。
・芸術文化復興支援基金:24 年度実績 2,911,898 円
12
【自己点検評価】
○ 良かった点・特色ある点
国立劇場内だけではなく、他の団体が行う公演にあわせて募金活動を行うなど、他団体の協力も得な
がら、広く募金活動を実施した。
○ 見直し又は改善を要する点
年々寄付件数も増えつつあるが、引き続き、資金の確保に努めるとともに、助成の開始時期及び具体
的な助成方法等について、今後検討を行う。
<6>助成に関する情報等の収集及び提供
1.ホームページの利便性の向上
(1) 24 年度アクセス件数:124,887 件(目標 126,000 件)
(2) ホームページの構成・内容を随時見直し、利便性の向上を図っている。
2.助成事業の周知
(1) 基金助成事業に関するチラシの他、芸術文化復興支援基金及び芸術文化振興基金賛助会員制度に関す
るリーフレット等を作成・配布するなど、助成事業に関し幅広く広報活動を行った。
①助成団体から活動時に配布してもらう広報用チラシ 360 件、313,540 枚配布。
②芸術文化復興支援基金リーフレット、ポスター、チラシの作成・配布
③芸術文化振興基金賛助会員制度に関するリーフレットの作成・配布
(2) 当振興会が行っている助成事業の概要を紹介したパンフレット(二つ折り「基金の概要」
)を作成・配
布した。
(3) 助成団体に、活動時会場等に掲出してもらう広報用ポスターを新たに作成・配付(500 件、500 枚掲出)
した。なお、広報用チラシ・ポスターについては平成 24 年度芸術文化振興基金助成対象活動採択団体す
べてに送付し、活動実施時の広報に協力を依頼した。
(4)23 年度の助成対象活動の事例集(芸術文化振興基金及び文化芸術振興費補助金による助成 25 活動を
紹介した A4 判カラー冊子)を作成・配布した。
3.助成対象活動の募集
(1) 25 年度助成対象活動募集案内チラシ及びポスターを都道府県、政令指定都市、公立文化施設、大学な
どに送付し、広報協力を依頼した。
(2) 25 年度助成対象活動募集の広告を掲載した(音楽、舞踊、演劇、美術、映画関係各誌 7 誌、9 月上旬~
10 月下旬)。
(3) 「日本芸術文化振興会ニュース」及び「文化庁月報」に、基金の概要、助成対象活動の募集案内や助
成制度の概要など、広く助成活動に関する情報を掲載した。(毎月)
4.助成対象活動の募集説明会の開催
①東京都開催
・10 月 2 日(火) :映画製作団体、映画祭等上映団体対象
会場:国立劇場 伝統芸能情報館レクチャー室、参加数:160 団体、199 名
・10 月 3 日(水)~4 日(木) :地域文化振興活動、文化振興普及団体活動等 都道府県担当者対象
会場:国立劇場 第一会議室、参加数:32 団体、32 名
・10 月 15 日(月):音楽、舞踊、演劇、伝統芸能・大衆芸能、美術等主として芸術団体等対象
会場:日本青年館 大ホール、参加数:550 団体、752 名
②大阪府開催
・10 月 5 日(金):音楽、舞踊、演劇、伝統芸能・大衆芸能、美術等主として芸術団体等対象
会場:ホテルアウィーナ大阪、参加数:139 団体、176 名
③岩手県開催
・10 月 10 日(水):地域文化振興活動、文化振興普及団体活動等団体対象
会場:いわて県民情報交流センターホール、参加数:31 団体、38 名
④臨時募集説明会(映画製作・アニメーション映画)
・5 月 12 日(土)
:映画製作への支援 アニメーション映画(短編B)製作団体対象
会場:国立劇場 第一会議室、参加数:49 名
13
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ ホームページにおいて、助成活動募集案内や交付申請等申請用データのダウンロードのみならず、
21 年度から公開されている民間助成団体情報データベース、助成事例集の公開といった情報提供を積
極的に進め、文化芸術に対する援助の拠点にふさわしい情報発信を促進することができた。
・ 助成事業の周知、助成対象活動の募集など広報面では、広報用ポスター、振興会広報誌での広報や
社会教育関係誌への広告掲載等、一層の強化を図った。併せて、東京、大阪以外に岩手県で助成活動
募集説明会を開催する等、現地に赴いての広報・周知にも努めるとともに、その分野に特化した説明
会を開催するなど、広く助成対象活動の周知に努めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 助成事業について、引き続き、広く広報活動を行うなど、周知していきたい。
・ より安定的、継続的な助成が可能となるよう、寄付金の増額に向けて多様な方策を検討していきた
い。
14
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
伝統芸能の公開
伝統芸能の公開 p.15
歌舞伎 p.24
文楽 p.28
舞踊・邦楽・雅楽・声明・民俗芸能・特別企画公演 p.33
舞踊 p.36
邦楽 p.38
雅楽 p.40
声明 p.41
民俗芸能、琉球芸能 p.42
特別企画 p.44
大衆芸能 p.47
定席公演(上席・中席) p.50
若手新人公演(花形演芸会)p.51
新春国立名人会/国立名人会 p.53
特別企画公演 p.54
師走浪曲名人会/浪曲錬声会/上方演芸特選会 p.55
能楽 p.57
定例公演 p.59
普及公演 p.60
企画公演 p.62
組踊等沖縄伝統芸能 p.65
演目の拡充 p.70
青少年等を対象とした伝統芸能の公開 p.71
伝統芸能の公開に際しての留意事項等 p.76
伝統芸能の公開:総表
2-(1)
伝統芸能の公開
《中期計画の概要》
(1) 伝統芸能の公開
ア 歌舞伎公演
年間 7 公演程度
イ 文楽公演
年間 10 公演程度
ウ 舞踊・邦楽・雅楽・声明・民俗芸能等公演 年間 21 公演程度
エ 大衆芸能公演 年間 65 公演程度
オ 能楽公演
年間 51 公演程度
カ 組踊等沖縄伝統芸能公演 年間 30 公演程度
キ 演目の拡充
(3) 青少年等を対象とした公演
ア 青少年等を対象とした鑑賞教室等を年間 8 公演程度実施
ウ 社会人などに配慮した企画等の実施、各鑑賞事業の連携協力の強化
(4) 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等
ア 適切な鑑賞者数の目標の設定
イ 外部専門家等の意見の聴取、アンケート調査の実施
ウ 国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
エ 各地の文化施設等における公演の実施
オ 舞台芸術等の国際交流に資する公演等の実施
《年度計画》
2 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
(1) 伝統芸能の公開
ア 伝統芸能の保存振興を図るため、中期計画の方針に従い、主催公演を実施する。
① 歌舞伎 8 公演(本公演 6、鑑賞教室 2)
② 文楽 10 公演(本公演 8、鑑賞教室 2)
③ 舞踊・邦楽・雅楽・声明・民俗芸能等 22 公演
④ 大衆芸能 62 公演
⑤ 能楽 51 公演(定例・普及・企画公演 50、鑑賞教室 1)
⑥ 組踊等沖縄伝統芸能 30 公演(定期・企画・研究公演 27、普及公演 3)
イ 演目の拡充
① 歌舞伎について、平成 17 年度に作成した「復活上演候補演目一覧」に基づき、上演候補台本準
備稿の作成作業を進めるとともに、「復活上演候補演目一覧」の見直しを継続する。
② 歌舞伎の新作脚本募集について、平成 23 年度中に募集を行った作品の選考及び表彰を行うとともに、
平成 25 年度の募集に向けての準備作業を進める。
③ 文楽について、復曲作品及び新作の上演を検討する。また、レパートリーの拡充を図るため、
廃絶演目の復曲等の上演準備作業を進める。
④ 大衆芸能の新作脚本募集について、「漫才」の募集、審査を行い、優秀な作品を表彰する。優
れた入賞作品は今後の公演において上演を検討する。
⑤ 能楽について、室町時代の世阿弥の自筆本による能の復曲を行う。また、現行曲の演出を能の原点に
立ち戻って見直し、その演出により上演を行う。
⑥ 組踊等沖縄伝統芸能について、新作組踊等の上演を行う。
(3) 青少年等を対象とした公演
ア 伝統芸能を次世代に伝え、新たな観客層の育成を図るため、青少年を対象とした鑑賞教室等の公
演を実施する。
ウ 新たな観客層の育成を図るため、主催公演のなかで社会人や親子を対象とした企画等を実施する。
エ 実施に当たっては、各鑑賞事業の連携協力を強化するなど充実に努める。
(4) 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等
ア 外部専門家等の意見を聴取するとともに、アンケート調査を適宜実施し、公演事業に反映させる。
15
イ
国、地方公共団体、芸術団体、企業等と連携協力し、国立劇場、新国立劇場等において共催、受
託などによる公演等を実施する。
ウ 国、地方公共団体、教育委員会等と連携協力を図り、全国各地の文化施設等において公演を実施
する。
エ 国等との連携協力を図り、舞台芸術等の国際交流に資する公演等を実施する。
《実
績》
1.公演実績
分野名
歌舞伎
公演数
区分
回数
日数
入場者数
8 公演
実績
233 回
182 日
238,598 人
(67.6%)
352,864 人
本館大劇場
計画
234 回
189 日
243,300 人
(68.4%)
355,680 人
劇場
入場率
総席数
10 公演
実績
372 回
176 日
178,699 人
(72.9%)
245,088 人
本館小劇場、文楽劇場
計画
372 回
176 日
170,710 人
(69.7%)
245,088 人
舞踊・邦楽・雅
22 公演
実績
37 回
27 日
20,594 人
(76.9%)
26,783 人
楽・声明・民俗芸
本館大小劇場、文楽劇
能等
場
計画
37 回
27 日
20,940 人
(78.2%)
26,793 人
実績
11 回
7日
6,239 人
(68.1%)
9,156 人
計画
11 回
7日
6,470 人
(70.7%)
9,156 人
6 公演
実績
9回
7日
4,511 人
(82.4%)
5,473 人
本館小劇場、文楽劇場
計画
9回
7日
4,380 人
(80.0%)
5,473 人
文楽
5 公演
舞踊
本館大小劇場、文楽劇
場
邦楽
雅楽
声明
民俗芸能
琉球芸能
特別企画
2 公演
実績
2回
2日
1,653 人
(76.2%)
2,170 人
本館大小劇場
計画
2回
2日
2,000 人
(91.7%)
2,180 人
1 公演
実績
2回
1日
824 人
(78.9%)
1,044 人
本館小劇場
計画
2回
1日
900 人
(86.2%)
1,044 人
2 公演
実績
4回
2日
2,112 人
(89.5%)
2,360 人
本館小劇場
計画
4回
2日
1,850 人
(78.4%)
2,360 人
1 公演
実績
3回
3日
1,677 人
(94.7%)
1,770 人
本館小劇場
計画
3回
3日
1,590 人
(89.8%)
1,770 人
5 公演
実績
6回
5日
3,578 人
(74.4%)
4,810 人
計画
6回
5日
3,750 人
(78.0%)
4,810 人
実績
294 回
268 日
51,475 人
(60.6%)
84,987 人
計画
292 回
268 日
49,520 人
(58.7%)
84,387 人
51 公演
実績
61 回
56 日
35,800 人
(93.6%)
38,247 人
能楽堂
計画
61 回
56 日
36,143 人
(94.5%)
38,247 人
実績
997 回
709 日
525,166 人
(70.2%)
747,969 人
計画
996 回
716 日
520,613 人
(69.4%)
750,195 人
実績
42 回
38 日
16,618 人
(70.3%)
23,647 人
計画
44 回
40 日
15,854 人
(63.5%)
24,970 人
実績
1,039 回
747 日
541,784 人
(70.2%)
771,616 人
計画
1,040 回
756 日
536,467 人
(69.2%)
775,165 人
本館大小劇場、文楽劇
場
62 公演
大衆芸能
演芸場、文楽劇場小
ホール
能楽
小計
組踊等沖縄伝統
芸能
総合計
153 公演
29 公演
国立劇場おきなわ大小
劇場
182 公演
1) 3 月歌舞伎公演「隅田川花御所染」は、政府主催「東日本大震災二周年追悼式」開催のため、3 月 11
日(月)
、12 日(火)の公演を中止した。
2) 国立劇場おきなわの 8 月組踊公演「姉妹敵討」は、台風 15 号接近の影響により全 2 回のうち 1 回を
16
中止した。
3) 国立劇場おきなわ 9 月組踊公演「二童敵討」は、台風 17 号接近により全 1 回の公演を中止した。
2.演目の拡充
(1) 復活上演候補演目の上演候補台本準備稿の作成作業
候補作品「塩原多助一代記」の準備稿を作成し、24 年 10 月歌舞伎公演で上演した。また、候補作品
「春陽三獅頭」につき、復活上演候補作品調査検討委員会委員と準備稿の内容を検討し、「有職鎌倉山」
と併せて復活上演用準備台本を作成した。さらに、委員より準備稿の進捗状況の報告や新規の候補作品
に関する情報の提供を受けた。
(2) 歌舞伎の新作脚本募集
23 年度に受け付けた応募作品 213 篇の中から、佳作 2 篇と清栄会奨励賞 1 篇が選ばれた。
佳作「「上瑠璃」絵巻物語―岩佐又兵衛越前記―」森真実、佳作「這上成功名怪我」山崎赤絵、清栄
会奨励賞「花里亡者純真夢」吉井三奈子
(3) 文楽における復曲等の上演準備作業
・ 国立劇場文楽演目復曲事業の一環として、明治 12 年を最後に上演が途絶えている『釜淵双級巴』の
「五右衛門内の段」「藤の森の段」「七条河原釜煎りの段」を三味線の朱(三味線の楽譜)をもとに
復曲し、浄瑠璃演奏の録音作業を兼ねてあぜくら会員を対象とする復曲試演会を実施した。(3 月 18
日、伝統芸能情報館レクチャー室、参加者 132 名(出演者関係者招待を含む。応募者 374 名、当選者
150 名)
・ 文楽劇場では、夏休み文楽特別公演で新作「鈴の音」を上演した。また、研究公演「稀曲を聴く」
を開催し、『大塔宮曦鎧』「身替音頭の段」(素浄瑠璃)を上演した。(8 月 30 日、文楽劇場小ホー
ル、無料、参加者 149 名)
(4) 大衆芸能の新作脚本募集
24 年度は「漫才・コント」部門の脚本を 8 月 1 日より募集開始し、8 月 31 日に締め切った(応募総
数 249 篇)。1 月 30 日に選考会を開催し、優秀作 1 篇・佳作 2 篇、財団法人清栄会による奨励賞 1 篇
が決定した。
優秀作「内緒のアルバイト」(コント)横井正幸(注)、佳作「こんな子どもに育って欲しい」(漫
才)玉井一郎、佳作「思ひ出ぼろぼろ」(コント)蓮見国彦、清栄会奨励賞「301 号室の幽霊」(コ
ント)廣瀬大
(注)優秀作「内緒のアルバイト」(コント・横井正幸作)は、同じ作者による同一の内容の作品が、すでに他
団体の台本募集において入選・上演されていることが判明したため、平成 25 年 7 月 5 日授賞を取り消した。
(5) 能楽における復曲および演出の見直しによる上演
・ 4 月特別企画公演 復曲能「阿古屋松」(復曲初演)
・ 5 月企画公演 新演出「高砂」(能を再発見する-老体で見る高砂-)
・ 7 月企画公演 復曲能「常陸帯」(平成 23 年復曲)
・ 11 月狂言の会 復曲狂言「眉目吉」(昭和 47 年国立能楽堂定本復曲)
・ 11 月狂言の会 復曲狂言「東西迷」(平成 18 年復曲)
・ 2 月企画公演 新演出「卒都婆小町」(能を再発見する-憑依する少将-)
(6) 組踊等沖縄伝統芸能における新作組踊等の上演
・ 4 月企画公演 新作組踊「十六夜朝顔」
・ 3 月特別企画公演 新作組踊「聞得大君誕生」
3.青少年等を対象とした公演
(1)青少年を対象とした鑑賞教室等の公演
公演名
歌
舞
伎
劇場
期間
本館
6/2(土)~
大劇場
24(日)
6 月歌舞伎鑑賞教室
解説「歌舞伎のみか
た」、「平家女護島 俊
寛」
区分
回数
日数
実績
46 回
23 日
49,927 人
(71.4%)
69,920 人
計画
46 回
23 日
51,500 人
(73.7%)
69,920 人
17
入場者数
入場率
総席数
7 月歌舞伎鑑賞教室
解説「歌舞伎のみか
7/3(火)~
た」、「歌舞伎十八番の
24(火)
内 毛抜」
12 月文楽鑑賞教室
「靭猿」「解説文楽の魅
文
力」「恋女房染分手綱」
楽
6 月文楽鑑賞教室
「伊達娘恋緋鹿子」、解
楽
狂言「柿山伏」・能「葵
「生徒のための組踊鑑
踊
賞教室」
合計
65,077 人
(97.3%)
66,880 人
計画
44 回
22 日
54,000 人
(80.7%)
66,880 人
実績
24 回
13 日
12,933 人
(97.4%)
13,272 人
場
16(日)
計画
24 回
13 日
13,140 人
(99.0%)
13,272 人
6/8(金)~
実績
28 回
14 日
17,323 人
(84.6%)
20,468 人
計画
28 回
14 日
18,000 人
(87.9%)
20,468 人
実績
10 回
5日
5,965 人
(95.1%)
6,270 人
計画
10 回
5日
5,900 人
(94.1%)
6,270 人
実績
8回
4日
3,516 人
(76.3%)
4,611 人
計画
8回
4日
3,236 人
(70.0%)
4,624 人
実績
160 回
81 日
154,741 人
(85.3%)
181,421 人
計画
160 回
81 日
145,776 人
(80.3%)
181,431 人
文楽劇場
21(木)
能楽堂
6/18(月)~
22(金)
上」
組
22 日
12/4(火)~
6 月能楽鑑賞教室
解説「能楽のたのしみ」
44 回
本館小劇
説「菅原伝授手習鑑」
能
実績
国立劇場
おきなわ
大劇場
10/25(木)~
26(金)
11/15(木)~
16(金)
6 公演
(2) 社会人や親子を対象とした企画等
(本館)
・ 6 月歌舞伎鑑賞教室「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」(6 月 15 日・22 日、計 2 回)。
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」(7 月 18 日・20 日、計 2 回)。
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室「親子で楽しむ歌舞伎教室」(7 月 15 日、16 日、20 日~24 日、計 13 回)。
・ 12 月文楽鑑賞教室「社会人のための文楽鑑賞教室」(12 月 7 日・14 日、計 2 回)。
(演芸場)
・ 7 月特別企画公演「親子で楽しむ演芸会」(7 月 28 日、1 回)。
(能楽堂)
・ 8 月企画公演「働く貴方に贈る」(8 月 24 日、1 回)。
・ 8 月企画公演「夏休み親子で楽しむ能の会」(8 月 4 日、1 回)。
・ 8 月企画公演「夏休み親子で楽しむ狂言の会」(8 月 11 日、1 回)。
(文楽劇場)
・ 6 月文楽鑑賞教室「社会人のための文楽入門」(6 月 11 日・21 日、計 2 回)。
・ 夏休み文楽特別公演の第 1 部を親子劇場として実施(7 月 21 日~8 月 7 日、計 18 回)。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわ 6 月普及公演「社会人のための組踊鑑賞教室」(6 月 24 日、1 回)。
・ 国立劇場おきなわ 8 月普及公演「親子のための組踊鑑賞教室」(8 月 11 日、1 回)。
(3) 各鑑賞事業の連携協力の強化等
・ 各館が行う親子を対象とした公演について、ホームページにそれぞれの親子企画を紹介するサイト
を設置し、あわせて振興会トップページのバナーから誘導することにより対象者に狙いを絞った広報
を行った。
4.伝統芸能の公開に際しての留意事項等
(1) 外部専門家等の意見聴取、アンケート調査の実施
① 外部専門家等の意見聴取は、専門委員による公演ごとのレポート提出及び年 2 回の公演専門委員会
の開催により行った。国立劇場おきなわでは、国立劇場おきなわ公演事業委員による鑑賞後のレポー
ト(公演鑑賞報告書)提出及び年 2 回の公演事業委員会の開催により行った。
②アンケート調査の実施
分野
実施回数
回答数
回収率(配布数)
概ね満足との回答(回答数)
歌舞伎
8 公演 8 回
5,632 人 72.5%( 7,770 人)
84.0%( 4,730 人)
18
文楽(本館小劇場)
文楽(文楽劇場)
短期公演
大衆芸能(演芸場)
大衆芸能(文楽劇場)
能楽
小 計
2 公演 2 回
3 公演 3 回
10 公演 12 回
12 公演 12 回
1 公演 1 回
9 公演 9 回
45 公演 47 回
712 人
946 人
3,291 人
1,139 人
113 人
2,539 人
14,372 人
66.1%( 1,077 人)
66.9%( 1,414 人)
64.0%( 5,144 人)
37.9%( 3,008 人)
69.8%(
162 人)
54.0% (4,700 人)
61.7%(23,275 人)
84.7%(
603 人)
91.5%(
866 人)
84.5%( 2,781 人)
91.7%( 1,045 人)
87.6%(
99 人)
85.3%( 2,165 人)
85.5%(12,289 人)
組踊等沖縄伝統芸能
28 公演 29 回
4,605 人
63.4%( 7,258 人)
78.7%( 3,623 人)
73 公演 76 回
18,977 人
62.2%(30,533 人)
83.8%(15,912 人)
合
計
(2) 国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
・ 国立劇場各館での平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭:主催公演 5 公演・協賛公演 22 公演
・ 歌舞伎鑑賞教室等における地方自治体、教育委員会、専修学校各種学校協会、旅行社等の後援・協
力
・ 「社会人のための鑑賞教室」公演(歌舞伎・文楽とも)における一般社団法人日本経済団体連合会、
公益社団法人経済同友会、東京商工会議所、公益社団法人東京青年会議所の後援
・ 4 月歌舞伎公演の出演者による被災地でのチャリティー歌舞伎公演における名取市文化振興財団、多
賀城市文化センター指定管理者との共催
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室期間中の「親子で楽しむ歌舞伎教室(親子鑑賞特別週間)」における東京都教育委
員会との共催、文化庁、地方自治体、教育委員会、PTA 協議会、私立学校協会等の後援
・ 5 月舞踊公演「菅原草紙」における東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史
文化財団)、東京発・伝統 WA 感動実行委員会との共催
・ 6 月民俗芸能公演「東日本大震災復興支援 東北の芸能Ⅰ 岩手」における岩手県、岩手県教育委員
会の後援
・ 9 月特別企画公演「日本の太鼓-一打に込める思い-」における株式会社浅野太鼓楽器店の協力
・ 2 月民俗芸能公演「東日本大震災復興支援 東北の芸能Ⅱ 宮城」における宮城県、宮城県教育委 員
会の後援
・ 3 月琉球芸能公演「新作組踊と琉球舞踊」における松竹株式会社の協力、沖縄県酒造協同組合、オリ
オンビール(株)の特別協賛
・ 東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京発・伝統 WA 感動
実行委員会主催の「三弦 海を越えて―アジアから日本へ―」(10 月 11 日、東京芸術劇場コンサート
ホール)及び「はじめての邦楽-江戸の響きを体験しよう!-」(11 月 4 日、江戸東京博物館ホール)
に対して制作協力を実施
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭オープニング 国際音楽の日記念「伝統音楽の美― 雅楽 ―」
(10 月 1 日、国立劇場大劇場)の制作
(能楽堂)
・ 4 月特別企画公演「阿古屋松」における財団法人観世文庫との共催、及び関連展示「企画展/観世文
庫展」における財団法人観世文庫の協力
・ 9 月特別公演における鴨長明『方丈記』完成八〇〇年記念委員会の後援
・ 11 月企画公演における古典の日推進委員会の後援
(文楽劇場)
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場全公演)
・ 文楽劇場での文楽鑑賞教室等における教育委員会、NHK 大阪放送局、文楽協会の後援・協力
・ 文楽劇場公演(5~6 月開催)における大阪府・大阪市・公益財団法人関西・大阪 21 世紀協会が主催
する大阪文化祭への参加
・ 大阪の近隣で活動する小劇場、公共ホール、劇団等との活動連携(5~10 月むりやり堺筋線演劇祭)
・ 公益財団法人文楽協会が行う文楽地方公演等に対する、かしら・床山・衣裳・小道具の技術職員の
派遣
・ 関西学院大学との連携協力協定に基づく、大学の授業での文楽技芸員による解説・実演や、学生団
体鑑賞等の実施
(国立劇場おきなわ)
・ 11 月企画公演「インド伝統芸能」おける、インド大使舘・沖印友好協会の協力
19
・ 国立劇場おきなわ全公演における九州・沖縄文化力プロジェクト参加
・ 普及公演「組踊鑑賞教室 執心鐘入」3 公演における沖縄県、沖縄県教育委員会の後援
(3) 全国各地の文化施設等における公演
・ チャリティー歌舞伎名取公演(共催:名取市文化振興財団、4 月 25 日、名取市文化会館)
・ チャリティー歌舞伎多賀城公演(共催: 多賀城市文化センター指定管理者、4 月 26 日、多賀城市民
会館)
・ 歌舞伎鑑賞教室静岡公演(共催: 財団法人静岡県文化財団、静岡県、6 月 26 日、静岡県コンベンショ
ンアーツセンター グランシップ)
・ 歌舞伎鑑賞教室神奈川公演(共催:かながわ伝統芸能祭実行委員会、7 月 26 日~27 日、神奈川県立青
少年センター)
・ 国立劇場おきなわ第 2 回県外講演「琉球伝統芸能 鑑賞と講演」(2 月 11 日、国立文楽劇場)
(4) 舞台芸術等の国際交流
・ 海外の芸能関係者等の来場、見学等:国立劇場 3 件 7 人
・ 韓国藝術綜合学校による招請公演「韓国藝術綜合学校における琉球舞踊公演」(9 月 6 日~7 日)
【特記事項】
・ 国立劇開場 45 周年記念公演(4 月歌舞伎公演)
・ 4 月歌舞伎公演の出演者により、被災地(名取市、多賀城市)でのチャリティー歌舞伎公演を実施した。
・ 東日本大震災復興支援の民俗芸能公演「東北の芸能」シリーズを開催した(24 年 6 月「岩手」、25
年 2 月「宮城」)。
・ 10 月歌舞伎公演、3 月歌舞伎公演において、東日本大震災により避難生活を余議なくされている方々
を中心に被災者を招待した。(来場者:10 月歌舞伎 279 件 655 人、3 月歌舞伎 281 件 655 人)
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で、日本語(詞章)・英
語の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
(本館)
・
国立劇場開場 45 周年記念の掉尾を飾る 4 月歌舞伎公演では、昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 の た め 8
えほんがっぽうがつじ
しおばらたすけいちだいき
回 で 上 演 中 止 し た 「 絵 本 合 法 衢 」 を 再 演した。10 月歌舞伎公演は「塩原多助一代記」を 83 年ぶ
りの通し上演で原作から「山口屋店先の場」を新たに加え、初春歌舞伎公演では原作の
やぐらたいこおともよしわら
ゆめのいちおとこだてくらべ
「櫓太鼓鳴音吉原」を新たに補綴して娯楽作「 夢 市 男 達 競 」として再構成し、3 月歌舞伎公演は
すみだがわはなのごしょぞめ
「隅田川花御所染」を清新な若手の花形俳優たちを積極的に起用するなど、上演演目の拡充をはじめ、
伝統芸能の伝承と普及に配慮した特色のある公演を実施した。
5 月舞踊公演での大作舞踊劇「菅原草紙」の復活、6 月・2 月民俗芸能公演の「東日本大震災復興支
援」公演、3 月琉球芸能公演の歌舞伎俳優主演による新作組踊の上演など、国立劇場ならではの公演
を連続して開催し成果を上げることができた。
(演芸場)
・ 演芸場では例年通り定席公演、若手新人公演、企画公演を行った。企画公演では「歌声寄席」とし
て演芸家と音楽家による寄席形式の公演や、文化庁芸術祭主催公演で「芸術祭寄席」を行い、三遊 亭
円丈の「かぶき噺」など企画性に富んだ公演のほか、女流演芸家による「女が語る」公演や、上方で
成長している精鋭を集めた「上方若手演芸会」などの企画も多くの観客の支持を得ることができた。
(能楽堂)
・ 4 月特別企画公演 復曲能「阿古屋松」(復曲初演)、企画公演「能を再発見する」シリーズ(5 月
「高砂」、2 月「卒都婆小町」)のほか、10 月月間特集「古事記千三百年にちなんで」、11 月狂言の
会「特集・大藏虎明没後三百五十年記念」の上演など、国立能楽堂独自の切り口での公演を行うこと
ができた。
(文楽劇場)
・ 文楽公演は年間を通しておおむね好調であった。特に夏休み文楽特別公演は新作「鈴の音」や近松
の名作「曾根崎心中」が注目を集め、11 月文楽公演は通し狂言「仮名手本忠臣蔵」が近年にない集客
を記録した。また特別企画公演「萬福寺の梵唄」や大衆芸能各公演も好評で、計画を上回る入場者数
・
20
となった。
(国立劇場おきなわ)
・ 琉舞鑑賞会、沖縄芝居、民俗芸能、本土の芸能、新作組踊等大入りの出る公演もあり、組踊等沖縄
伝統芸能公演全体の入場者数について、年度計画の目標を達成することができた。また、昨年度に比
べ組踊の入場者数が増加した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 一部の分野で、目標入場者数を達成することができなかった。企画構成、広報宣伝等について一層
の検討を行い、集客増を図っていきたい。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 歌舞伎、文楽、舞踊、邦楽、声明、琉球芸能、大衆芸能の入場率は計画に対し未達であると共に、昨
年度比も減少している。減少、未達の要因が真に東日本大震災の影響であるかを分析し、対策を講じる
ことが必要である。(①)
・ 全体として成果を上げてはいるが、復活や新作募集事業などマンネリになっていないか、事業の意味
と目的意識を再検証する機会を増やして欲しい。(②)
(振興会評価委員会)
・ やはり集客は重要な課題である。何が原因かを更に見極め、観客の要望にも応えつつ、演目設定、周
知宣伝活動に一層工夫することが求められる。(①)
・ 公演と連携して出演者による「映像でたどる国立劇場の歌舞伎」と題した座談会を 3 回シリーズで開
催したのも意義ある企画であった。こうした催しは歌舞伎以外にジャンルを広げて行うことも検討して
ほしい。 (③)
【対応】
①公演結果の分析と改善
目標未達成の公演や入場者の増減等の分析については、専門委員会等において意見聴取を行うととも
に、役員及び関係部署で構成する観客委員会において、売上状況・見込をもとに内容や収支について分
析・検討を行い、企画や営業・広報・宣伝の面で見直しを図っている。企画面では、演目及び配役の工
夫や多様な演出の提示、テーマの設定等により、観客の幅広い興味に応える魅力的で充実した企画内容
に努める。営業面では、過去の類似した公演における一般・会員・出演者・団体の各区分の売上結果を
分析し、より効果的な広報・宣伝・販売の方針を公演毎に設定して目標達成に努める。また、アンケー
ト等の実施により開演時間の設定や観客の満足度について検証し、今後の公演計画に反映させていく。
さらに、新たな観客層を開拓するため、企画及び演出の一層の工夫に努める。
歌舞伎公演について、東日本大震災の影響については、6・7 月歌舞伎鑑賞教室における学校団体等の
キャンセルがあったこと、10 月からの歌舞伎公演における団体申し込み、特に新規の申し込みの減少が
あったことが挙げられる。震災以前に申し込みがあった 6 月・7 月歌舞伎鑑賞教室において、修学旅行
の中止や行き先の変更、留学生の日本への渡航禁止や帰国要請などを理由としたキャンセルがあった。
また観劇団体の幹事や担当者から、東日本大震災以降、出費を控える傾向があったとのコメントを得て
いる。
11 月及び 3 月公演については、震災の直接的な影響は少なかったものの、入場率及び入場者数が目標
に及ばなかった。11 月は近松門左衛門による時代と世話の二狂言、「日本振袖始」と「曽根崎心中」と
いう有名演目の上演であったが、様々な営業努力を行ったものの、演目・演者の魅力を十分に伝えきれ
ず、訴求の効果が薄く大きな成果にはつながらなかった。また、3 月は並木宗輔の絶筆「一谷嫩軍記」
で、義太夫狂言として歌舞伎の重要なレパートリーを上演した。例年 3 月公演は年度末ということもあ
り、団体客が少ないことから様々なキャンペーンを行って新規受注に努めたが、良い結果にはつながら
なかった。引き続きこれらの結果を分析して集客に努める。
また、団体営業に関しては、演目決定時期が集客に大きく影響するため、関係各部署の連携をより強
化し、演目決定以降の動きを最大限スピードアップすることが重要であり、引き続き実務レベルでの連
携会議を行うなど、より一層の集客に努める。。
21
演芸場公演については、入場率は全体的に落ちており、原因は東日本大震災による消費の落ち込みに
あると思われるが、内容によって震災前の入場率を維持している公演もあることから、観客が公演を峻
別する基準が厳しくなったと分析しており、更に企画性を高めて観客の興味を喚起するよう努める。
文楽劇場の文楽公演について、演目や配役による変動が少ない「文楽劇場友の会」及び「あぜくら会」
の会員によるチケット購入枚数が、22 年度に比べて減少しており、近畿圏においても、震災により拍車
がかかった消費の落ち込みの影響が窺える。ホームページによる宣伝・広報はもとより、テレビ、ラジ
オといったメディアにも採り上げられるよう、より一層広報活動に努め、会員・一般客に対して、公演
の企画意図や内容についての周知をさらに充実させ、集客増を図る。文楽劇場の大衆芸能公演に関して
は、入場者の増減は出演者により左右される面が強いが、文楽劇場小ホールでの「上方演芸特選会」に
おいては、近年固定客の増加がみられ、14 年度の公演開始時からの 10 年間で、入場者数はほぼ倍増し
ている。今後も恒常的な宣伝を継続し、固定客の増加に努める。
②事業の意味と目的意識の再検証
歌舞伎公演について、「復活狂言」や「通し狂言」を国立劇場が継続的に上演することにより、それ
らの重要性が認知されるようになってきており、伝統芸能の継承と発展に重要な役割を果たしている。
また、明治以後の定評がある新歌舞伎や新作歌舞伎の上演など、斬新な試みを随時行っており、商業ベー
スでは行い難い公演についても、次代への正しい伝承も視野に入れながら実施すべく努めている。
演目の拡充を目的として、優れた作品で上演が途絶えたものを復活して上演するための調査研究を継続
し、復活上演候補作品調査検討会において、候補作品の「有職鎌倉山」の準備稿と「命懸色の二番目」
の上演プランの内容につき、委員と共に検討を重ねた。「有職鎌倉山」については復活上演用準備台本
を 24 年度に作成した。
24 年度の歌舞伎公演では、10 月公演で「塩原多助一代記」を、原作の落語からあらたに「山口屋店先
の場」を書き加えて、実に 83 年ぶりとなる通し狂言として上演した。また、1 月公演では、河竹黙阿弥
の没後 120 年を迎え、慶応 2(1866)年初演の『櫓太鼓鳴音吉原』を原作に国立劇場文芸課が新たに脚本
化した「夢市男達競」を上演した。
歌舞伎の新作脚本の募集については、23 年度から 24 年度にかけて行ったが、前回の経験を踏まえて、
ポスター・チラシの掲示配布の協力を依頼する関係団体や広告掲載雑誌の選定、ネットメディアの活用、
興行会社との協力など、周知方法を拡充した。その結果、昭和 53 年度の開始以来、最多の 213 篇の応募
があった。
文楽公演について、現時点での上演可能な作品を次代に継承するとともに、上演の途絶えた作品の復
曲や新たな作品も企画し、文楽の保存、継承、普及に努めている。稀曲の復曲作業では、23 年度に復曲
した「大塔宮曦鎧 身替り音頭の段」について、東京・大阪で試演会を初めて開催し、復曲の成果を一
般にも公表することで、その目的意識の再検証を行った。さらに、24 年度には文楽素浄瑠璃公演で披露
しており、近い将来文楽公演での復活上演を予定している。
大衆芸能では、寄席形式の「定席公演」に加え、企画公演として若手の育成のための「花形演芸会」、
至芸を鑑賞する「国立名人会」、多彩なテーマによる「特別企画公演」など、他の寄席とは異なる独自
の公演を行っている。また、25 年度において、各分野の大衆芸能脚本募集の優秀作を特集する特別企画
公演を実施し、事業の検証を行う予定としている。
国立劇場おきなわでは、24 年度において国立劇場と共催で初めて歌舞伎俳優が主演する新作組踊を制
作した。
この企画の上演は、組踊の振興ばかりではなく、ジャンルを超えた伝統芸能間の交流にもつながった。
③公演と連携した企画の充実
本館では、24 年度は歌舞伎、雅楽等の演目に関連したあぜくら会員向けの企画を、公演内容の理解と
販売促進を兼ねて実施した。公演との連携企画の実施については、23 年度に実施したあぜくら会員向け
の「舞台稽古見学会」が好評であったため、今後も関係部署と調整して実施の可能性を検討し、集客増
につなげたい。また、公演記録鑑賞会や伝統芸能サロンについても、公演との連携の強化を図っていく。
演芸場では、24 年度は演芸資料室における展示「芝居噺と噺家芝居」に合わせて定席公演において林
家正雀の「芝居噺」を上演し、展示「曲独楽の世界」に合わせて定席公演においてやなぎ南玉の「曲独
楽」を上演して、展示と公演の相乗効果を図った。
能楽堂では、24 年 4 月特別企画公演で復曲能「阿古屋松」を上演したが、創立二十周年となる財団法
人観世文庫との共催とし、公演に先立って観世宗家を講師とする特別公開講座『世阿弥自筆本と復曲能
22
「阿古屋松」』を開催(平成 24 年 3 月 13 日)したほか、公演と連動して能楽堂展示室において企画展
「観世文庫展」を開催し、世阿弥自筆能本「阿古屋松」(重要文化財)ほか同文庫が所蔵する貴重な資料
を展示した。
文楽劇場では、公演と関連した催しとして、友の会会員を対象とした「文楽のつどい」や特別企画公
演に関連した「プレ講座」などを適宜実施している。公演記録映像を活用する企画については、26 年度
の開場三十周年記念事業の中で実施できるよう計画したい。
伝統芸能情報館においては、国立劇場で上演された歌舞伎・文楽・舞踊など各ジャンルの公演記録映
像を選定して上映する公演記録鑑賞会を毎月開催している。
国立劇場おきなわでは、24 年度においても 6 月沖縄芝居「伊江島ハンドー小」公演において、マスコ
ミ及び一般向けに人数限定で公開稽古を行うなど、事前の話題作りに努めた。また、同公演や民俗芸能
公演「多良間の八月踊り」では各観光協会等との連携により物産展や写真展を開催し、好評だったこと
から、劇場を賑わす効果や集客力の向上に繋がる関連イベントを引き続き行っていく。
23
伝統芸能の公開:詳細表
2-(1)-①
歌舞伎
《制作方針》
国立劇場開場 45 周年記念の掉尾を飾る4月公演では、昨 年 3 月 公 演 で 東 日 本 大 震 災 の た め 8 回 の
えほんがっぽうがつじ
上 演 で 公 演 中 止 と な っ た「 絵 本 合 法 衢 」を 可能なかぎり同一の配役により、台本・演出を練り直して
しおばらたすけいちだいき
上演する。10 月公演は名人三遊亭円朝が口演した人情噺「塩原多助一代記」を原作から「山口屋店先の場」
を新たに加えて 83 年ぶりに通して上演する。11 月公演は文化・文政期の江戸歌舞伎を代表する作者・四
うきよづかひよくのいなずま
世鶴屋南北円熟期の傑作「浮世柄比翼稲妻」を上演する。12 月公演は文耕堂・長谷川千四=作で源義経に
かかわる説話と史実を題材に、源氏再興に尽くす人々の姿を物語性豊かに描いた、義太夫狂言の名作
きいちほうげんさんりゃくのまき
「鬼一法眼三略巻 」を上演する。河竹黙阿弥の没後百二十年を迎える平成 25 年の初春公演は原作の
やぐらたいこおともよしわら
「 櫓太鼓鳴音吉原 」 を 新 た に 補 綴 し 、 市 郎 兵 衛 の 活 躍 を 中 心 に 様 々 な 達 引 が 展 開 す る 娯 楽 作
ゆめのいちおとこだてくらべ
「 夢 市 男 達 競 」として上演する。3 月公演は清新な若手花形俳優たちを積極的に起用するなど、意欲的
すみだがわはなのごしょぞめ
なキャスティングで四世鶴屋南北の傑作「隅田川花御所染」を 25 年ぶりに上演する。
入門公演では、歌舞伎鑑賞教室を実施し、6 月の「俊寛」に引き続き、7 月は「毛抜」を取り上げ、解説
を付して歌舞伎の継承、普及を図る。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
4 月歌舞伎公演
「通し狂言 絵本合法衢」
10 月歌舞伎公演
「通し狂言 塩原多助一代記」
11 月歌舞伎公演
「通し狂言 浮世柄比翼稲妻」
本館
大劇場
12 月歌舞伎公演
「鬼一法眼三略巻」
1 月歌舞伎公演
「夢市男達競」
3 月歌舞伎公演
「通し狂言 隅田川花御所染」
【歌舞伎公演
小計】
解説「歌舞伎のみかた」、
俊寛」
本館
大劇場
7 月歌舞伎鑑賞教室
解説「歌舞伎のみかた」、
「歌舞伎十八番の内
【歌舞伎鑑賞教室
毛抜」
小計】
区分
回数
日数
入場率
総席数
4/3(火)~
実績
21 回
21 日
25,084 人
(78.6%)
31,920 人
23(月)
計画
21 回
21 日
20,500 人
(64.2%)
31,920 人
10/5(金)~
実績
26 回
23 日
20,194 人
(51.1%)
39,520 人
27(土)
計画
25 回
25 日
24,250 人
(63.8%)
38,000 人
11/3(土)~
実績
24 回
24 日
16,500 人
(46.9%)
35,184 人
計画
24 回
24 日
21,650 人
(59.3%)
36,480 人
12/2(日)~
実績
24 回
24 日
20,177 人
(55.3%)
36,480 人
25(火)
計画
24 回
24 日
24,700 人
(67.7%)
36,480 人
1/3(木)~
実績
25 回
25 日
26,790 人
(70.5%)
38,000 人
27(日)
計画
25 回
25 日
25,500 人
(67.1%)
38,000 人
3/5(火)~
実績
23 回
20 日
14,849 人
(42.5%)
34,960 人
26(火)
計画
25 回
25 日
21,200 人
(55.8%)
38,000 人
実績
143 回
137 日
123,594 人
(57.2%)
216,064 人
計画
144 回
144 日
137,800 人
(63.0%)
218,880 人
6/2(土)~
実績
46 回
23 日
49,927 人
(71.4%)
69,920 人
24(日)
計画
46 回
23 日
51,500 人
(73.7%)
69,920 人
7/3(火)~
実績
44 回
22 日
65,077 人
(97.3%)
66,880 人
24(火)
計画
44 回
22 日
54,000 人
(80.7%)
66,880 人
実績
90 回
45 日
115,004 人
(84.1%)
136,800 人
計画
90 回
45 日
105,500 人
(77.1%)
136,800 人
26(月)
6 公演(計画:6 公演)
6 月歌舞伎鑑賞教室
「平家女護島
期間
2 公演(計画:2 公演)
24
入場者数
【歌舞伎
合計】
8 公演(計画:8 公演)
実績
233 回
182 日
238,598 人
(67.6%)
352,864 人
計画
234 回
189 日
243,300 人
(68.4%)
355,680 人
※ 3 月歌舞伎公演「隅田川花御所染」は、政府主催「東日本大震災二周年追悼式」開催のため、3 月 11 日
(月)、12 日(火)の公演を中止した。
2.営業・広報
・ マスコミ各社への記者会見及び取材依頼、テレビ出演、ポスター、チラシ、インターネット、あぜく
ら会報、振興会ニュース等により、また都内の比較的小規模な劇場におけるちらし設置など公演情報の
周知範囲拡大を図り、一般の集客に努めた。
・ 4 月公演は、昨年 10 月公演からはじまった 45 周年記念公演関連の広報を行った。また、45 周年記念
最後の公演であったため、締めくくりと被災地でのチャリティー公演の発表を兼ねた記者会見を行った。
また、宮城県名取市及び多賀城市でのチャリティー公演においては、取材対応のほか観客誘導等を行い、
関係部署と連携して公演の成功に努めた。
・ 10 月公演は、多助役の坂東三津五郎が、塩原太助の墓(足立区:東陽寺)にて成功祈願及び会見を行っ
た。また、太助の子孫との取材も行った。
・ 11 月公演及び 12 月公演は、記者会見等を行い周知に努めた。
・ 1 月公演は、初日前日にマスコミ各社に舞台稽古を公開。舞台上で出演者がインタビューに応じた。
初日(3 日)に出演者・理事長による鏡開きを行い、3 日から 7 日はロビーにて獅子舞、3 日から 27 日は
相撲協会関連のロビー展示を設け、初春公演らしい雰囲気を盛り上げた。
また、海外旅行者で賑わう羽田空港国際線到着ロビーに、日本⇒歌舞伎⇒国立劇場⇒初春歌舞伎公演
と連想してイメージさせる柱巻広告を掲出した。
・ 3 月公演は、記者会見、公開舞台稽古、イベントの撮影会の取材等を行い周知に努めた。また、出演
の中村福助、中村隼人がテレビにゲスト出演し、大きな波及効果が見られた。
・ 団体の集客については、今後の新規観劇見込み団体を含む顧客情報を整備・共有することによって、
営業活動の効率化を図るとともに、複数の担当者でフォローする等適宜人員を配置し、顧客のニーズに
対応した。
・ 各公演で実施した「ゆかりの地キャンペーン」では、顧客であるご当地の PR を劇場ロビーにおいて行
う等公演全体を盛り上げると同時に団体観劇の誘致にも成功した。
・ 企業 OB 会、大手企業系列の旅行代理店(インハウスエージェント)、専門学校等を主たるターゲットに
設定した営業活動を展開し、ダイレクトメール等をそれぞれの業種にあわせて作成するなど公演の魅力
をより的確に伝えられるように努めた。
・ 外国人観光客への情報発信・公演周知活動では、JTB 関連会社が企画・運営する外国人観光客向けホー
ムページを通じて販売実績を伸ばしている。
・ 中国語(簡体字・繁体字)・韓国語のパンフレットを作成し、欧米以外の外国人観光客への情報発信・
公演周知活動の足掛かりとした。
・ 円朝まつり(8 月 5 日)、巣鴨とげぬき地蔵尊前(11 月 2 日)、三囲神社前(1 月 4 日)で、それぞ
れ 10 月、11 月、初春・3 月歌舞伎公演の PR のため公演チラシを配布する等、ターゲットを限定した個
人客向けの営業活動も必要に応じて行った。
・ 理事長主導のもと、職員全員参加による「おすすめキャンペーン」を展開し、特に 3 月歌舞伎公演に
おいては集中的な案内・周知を行った結果、合計 1,260 枚の販売があった。
3.外部専門家等の意見
・ 4 月公演について、昨年3月、公演中に東日本大震災が発生し、やむなく中止せざるを得なくなった
公演の再上演であるが、ほぼ前回同様の座組で再度の上演を実現した制作関係者の努力を称えたい。昨
年の内容に新たな工夫を施し、ほぼ同じ配役で上演できたことで、本作の今後のよりよい舞台の可能性
が出てきた。開場記念企画の最後であるが、今後とも同様な力のこもった企画、公演を期待する。
・ 10 月公演について、時代物と違って元は円朝の落語で、「青の別れ」で年配者には親しまれた作品を
通しで取り上げたのは、特に若年層の歌舞伎離れが課題の昨今、大ヒットの企画といっていい。字幕が
欲しい難解な浄瑠璃や台詞も無く、日本人にはお馴じみの塩原多助の人間像を描き出したのはよかった。
道行などの所作事や華やかな幕があるわけでなく、全幕を通して同じような色調の場面が続くため、物
理的な時間以上に上演時間が長く感じられる。場面によっては世話物らしい軽快なテンポで進め、また
場面によっては演者の工夫によって芝居を作り込んでいくなど、メリハリをはっきりさせれば、さらに
興趣が生まれるものと思われる。
25
・
11 月公演について、通常みどり狂言としてよく上演される「鈴ヶ森」「鞘当」、さらにそれに準ずる
「山三浪宅」というお馴染みの場面に加えての事件の発端をわかり易く前半にまとめた「浮世柄比翼稲
妻」の通し上演は、まさに芝居見物としてこの作品を観客一人ひとりに楽しめる内容となりました。市
川染五郎の怪我による休演は残念なことであったが、名古屋山三の中村錦之助と白井権八の市川高麗蔵
が期待に応えて健闘し、公演の質を保った。染五郎の一人二役が別の俳優に振り分けられたことにより、
山三と権八の関係をきちんと示すことができ、芝居全体のつながりが把握しやすくなった。
・ 12 月公演について、序幕として清盛館の場を久々に上演したことによって、後に続く菊畑の場におけ
る鬼一法眼の立場とその苦悩がよく理解できるようになった。通し狂言の上演を指針に掲げる国立劇場
にふさわしい上演方法である。一方、奥庭の場が上演されなかったことは、鬼一という人物の謎も解け
ず、菊畑の場における話の展開が完結しないため、上記の上演方針に鑑みて残念なことであった。「檜
垣茶屋」「大蔵館」は、たびたびの上演があるが、各役に演者の個性、演技の相違が見られ、その点で
も面白い。
・ 初春公演について、珍しい演目を掘り起こしての上演は国立劇場ならではの意義ある仕事であり、複
雑なストーリーを整理し、演出上の工夫を凝らしたスタッフの努力を称えたい。通し狂言の形を取って
いるので、内容は分かり易く、これはこれで楽しめた。やはり通し狂言の上演が可能なのは、当劇場の
一つの強みである。全体的に女方の活躍が印象に残ったが、力士と新造を兼ねさせたのは、あまり無理
にも見えず面白かった。こんな点からでも、歌舞伎に馴染みのない客が、歌舞伎に興味を持てればよい
と思う。五幕目の台所は、竈等を大きくし、鼠の採りものを野菜や台所用品にしたところが目新しく、
鳴物も効果的に使われていた。但し、大詰の大鼠の仕掛けは、これまでの似たような場面と変わりばえ
がしない。今後も類似の場が出されるのなら、もう一工夫が必要であろう。
・ 3月公演について、出演者の層が厚いとは言えない残念な座組であったが、普段大きな役に恵まれな
い若手が意欲を見せて予想外の成果をあげた。興行的には苦戦したことと推察するが、図らずも若手に
勉強の場をあたえ、また日ごろの精進の成果を確認することのできる絶好の機会となったことは意味が
あった。歌舞伎座の杮落とし、また物故俳優が続き、いずれ世代交代、襲名等、松竹系は話題が豊富で
観客も賑わうであろう。その時期に当劇場なりの魅力をどう出してゆくのか。松竹系と対抗ではなく、
歌舞伎を担う両輪としてともにあらねばならない。上演が近年少なくなった作品の復活・新たな物の研
究的公演等は当劇場の重要な使命である。
・ 6月歌舞伎鑑賞教室について、解説に歌舞伎俳優研修生を登場させ、若い観客にとって歌舞伎俳優が
身近な存在であることを感じさせたのは良かった。親しみやすい人物画を投影してストーリーを丁寧に
説明していたのはわかりやすく、本編へのスムーズな導入になっていたと思う。芝喜松、芝のぶ等の研
修生出身が活躍した。真の実力をつけてきた研修出身者をこういう機会に主な役にベテランと共に起用
することで、彼らがワキを演じる時のよい参考になり、世間の人に研修生の存在もアピール出来る。
・ 7月歌舞伎鑑賞教室について、解説「歌舞伎のみかた」は、今回もよく作り込まれた丁寧な解説で、
初めての観客にも受け入れやすいものになっていたと思う。ことに化粧をしている姿を大きなスクリー
ンに映し出し、細かい部分まで見せるようにしたのは絶大なる効果がもたらされた。「毛抜」は、ベテ
ラン、中堅がいつもより多く出演したようだ。彼らと若手の競演だが、観劇初心者は、意外と両者の違
いを感じとることがある。今回もごく僅かでもその味の違いを知った者がいたことを願う。若手もこう
いう機会を活かして大いに成長して欲しい。
4.アンケート調査
全 8 公演で実施(8 回)した。
回答数 5,632 人(配布数 7,770 人、回収率 72.5%)。回答者の 84.0%が概ね満足と答えた(4,730 人)。
【特記事項】
・ 国立劇開場 45 周年記念公演(4月公演)
・ 4 月歌舞伎公演の出演者により、被災地でのチャリティー歌舞伎公演を実施(名取市、多賀城市)
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催公演(10 月公演)
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(11 月公演)
・ 字幕表示装置により、演奏に合わせて詞章を表示し、鑑賞の助けとした。(6 月歌舞伎鑑賞教室)
・ 政府主催「東日本大震災二周年追悼式」開催のため、3 月 11 日(月)、12 日(火)を中止とした。
(3 月歌舞伎公演)
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
26
本公演:実績 123,594 人/目標 137,800 人(達成度 89.7%)
鑑賞教室:実績 115,004 人/目標 105,500 人(達成度 109.0%)
合計:実績 238,598 人/目標 243,300 人(達成度 98.1%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 4 月公演については、昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 の た め 8 回 で 上 演 中 止 と な っ た 公 演 を 再 演 し
た 。前回からの主な変更点として、配役上では瀬左衛門と弥十郎が左團次の一人二役となり、太平次女
房お道が秀太郎に変わった。瀬左衛門と弥十郎を一人二役で見せるため、「多賀家陣屋」の立廻りに早
替りの演出を加えるなど、演出面でも修正を施した。
・ 10 月公演については、多助と悪党の道連れ小平の二役を演じた坂東三津五郎が、役の性根を深く掘り
下げ、特に多助という人物をただの成功者というだけにとどまらない深みのある人物として描くことに
成功したほか、ベテランの実力派から花形まで、適材適所の配役が可能な陣容が揃ったことで、この一
代記を単なる立志伝というだけでない、起伏に富んだ物語とすることが叶った。
・ 11 月公演については、白井権八を「初瀬寺」に登場させて、伴左衛門や山三との関係が明確になるよ
う図ったり、又平を「境木」と「初瀬寺」に登場させて伴左衛門一味の悪計に深く関わる設定とするこ
とで、「山三浪宅」へつながりやすくするなど細部に修正を施し、原作一番目の締め括りでもある「鞘
当」までで物語に一応の決着がつくような構成とした。
・ 12 月公演については、「菊畑」と「一條大蔵譚」は、それぞれに単独での上演頻度が高い人気場面で
あるが、同じ演目でありながら、内容的にはつながりが希薄なため、二場面を並べるだけでは公演とし
て成立させづらい。そこで今回は、昭和 44 年以来 43 年ぶりとなる「六波羅清盛館」を序幕に据え、物
語全体の背景となっている平家全盛期の清盛の横暴ぶりを最初に印象づけられるような場面構成とし
た。
・ 初春公演については、国立劇場文芸課の補綴により、設定や趣向が多岐にわたって複数の筋が入り組
む原作から脇筋を省き、現代の歌舞伎でも面白くなりそうな部分をピックアップした上で、それらを生
かした筋立てを新しく創作するという方針で台本作りに当たった。また監修の尾上菊五郎のアイデアも
随所に盛り込み、四幕目には原作にない「七福神」の所作事を盛り込んで、正月らしい賑やかな場面と
した。
・ 3 月公演については、立女方として着実に力をつけてきた中村福助が故中村歌右衛門、中村雀右衛門
に続いて国立劇場で清玄尼を勤めたことは、それ自体意義深いことであった。また、惣太・綱女・松若
丸・桜姫という主要な役を、松也・新悟・隼人・児太郎という若手が勤めたことも大きな話題となった。
伸び盛りの若手にとって、本興行での一日一日が進歩の貴重な機会であり、福助や、脇を固めた翫雀・
錦之助らの熱心な指導を受けながら、次世代の歌舞伎を担う人材に対して芸の継承が目に見える形で着
実に行なわれた公演であった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 入場者数に関し、10 月、11 月、12 月及び 3 月公演は目標に大きく及ばなかった。10 月は三遊亭円朝
口演の人情噺、11 月と 3 月は四世鶴屋南北円熟期の傑作、12 月は義太夫狂言の名作であり、それぞれ国
立劇場の標榜する“復活通し狂言”という命題に合致する企画であり、また義太夫狂言として歌舞伎の
大事なレパートリーである。今後も、企画内容、広報宣伝等について、制作と営業両部門が連携を密に
して、入場者増のための効果的な施策について十分検討し、実行するよう努めていきたい。
27
2-(1)-②
文
楽
《制作方針》
文楽の保存と振興のため、国立劇場本館では、名作の上演に留まらず、上演頻度が少ない演目や場面等
を積極的に取り上げるように工夫する。同時に、出演者にとっては、次世代への技芸の継承やレパートリー
の拡充につながる公演となるように努め、一層の活性化をめざす。
文楽劇場では名作狂言の上演だけでなく、通し(半通しも含め)狂言の上演や見取り上演をバランス良
く配置、演出も考慮することにより、文楽観客層を拡げるよう公演構成を工夫する。また、夏休み文楽特
別公演の第一部「親子劇場」では、親子で楽しめるよう、新作も含めた作品の上演を試みる。このことは、
次世代への技芸の継承やレパートリーの拡大に繋がり、今後の文楽の発展に必要なことと位置づけている。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
5 月文楽公演 「八陣守護城」「契情
倭荘子」/「傾城反魂香」「艶容女舞衣」
「壇浦兜軍記」
9 月文楽公演 「粂仙人吉野花王」「夏
祭浪花鑑」/「傾城阿波の鳴門」「冥途
の飛脚」
12 月文楽公演「苅萱桑門筑紫㵞」「傾
城恋飛脚」
日数
入場者数
入場率
総席数
5/12
実績
34 回
17 日
16,277 人
(85.5%)
19,040 人
28(月) 計画
34 回
17 日
16,500 人
(86.7%)
19,040 人
実績
34 回
17 日
18,054 人
(94.8%)
19,040 人
(月)
計画
34 回
17 日
17,000 人
(89.3%)
19,040 人
12/4
実績
13 回
13 日
6,770 人
(93.0%)
7,280 人
16(日) 計画
13 回
13 日
6,500 人
(89.3%)
7,280 人
2/9(土) 実績
~25
(月) 計画
51 回
17 日
20,874 人
(73.1%)
28,560 人
51 回
17 日
24,570 人
(86.0%)
28,560 人
実績
132 回
64 日
61,975 人
(83.8%)
73,920 人
計画
132 回
64 日
64,570 人
(87.4%)
73,920 人
実績
24 回
13 日
12,933 人
(97.4%)
13,272 人
計画
24 回
13 日
13,140 人
(99.0%)
13,272 人
実績
156 回
77 日
74,908 人
(85.9%)
87,192 人
計画
156 回
77 日
77,710 人
(89.1%)
87,192 人
実績
46 回
23 日
15,652 人
(46.5%)
33,626 人
(月・祝)
計画
46 回
23 日
17,500 人
(52.0%)
33,626 人
7/21
実績
54 回
18 日
25,508 人
(64.6%)
39,474 人
9/8(土)
~24
本館
小劇場
(火)~
本館
小劇場
12/4
(火)~
16(日)
5 公演(計画:5 公演)
【文楽(本館) 合計】
4/7(土)
4 月文楽公演 「加賀見山旧錦絵」/「祇
園祭礼信仰記」・「桂川連理柵」
夏休み文楽特別公演 「鈴の音」「文楽っ
てなあに」「西遊記」/「摂州合邦辻」「伊
勢音頭恋寝刃」「契情倭荘子」/「曾根崎
心中」
通し狂言 「仮名手本
初春文楽公演「寿式三番叟」「義経千本
桜」「増補大江山」/「団子売」「ひらかな
盛衰記」「本朝廿四孝」
【文楽劇場・文楽 小計】
回数
4 公演(計画:4 公演)
12 月文楽鑑賞教室「靭猿」「解説文楽の
魅力」「恋女房染分手綱」
11 月文楽公演
忠臣蔵」
区分
(土)~
2 月文楽公演「摂州合邦辻」「小鍛冶」
「曲輪ぶんしょう」「関取千両幟」「妹
背山婦女庭訓」
【本館・文楽公演 小計】
期間
~30
(土)~
文楽
8/7(火)
計画
54 回
18 日
20,000 人
(50.7%)
39,474 人
劇場
11/3(土・ 実績
祝)~25
計画
(日)
44 回
22 日
24,167 人
(75.1%)
32,164 人
44 回
22 日
17,500 人
(54.4%)
32,164 人
1/3(木)
実績
44 回
22 日
21,141 人
(65.7%)
32,164 人
計画
44 回
22 日
20,000 人
(62.2%)
32,164 人
実績
188 回
85 日
86,468 人
(62.9%) 137,428 人
計画
188 回
85 日
75,000 人
(54.6%) 137,428 人
~25
(金)
4 公演(計画:4 公演)
28
6 月文楽鑑賞教室「伊達娘恋緋鹿子」、
解説「菅原伝授手習鑑」
【文楽(文楽劇場) 合計】
【文楽 総合計】
文楽
劇場
6/8(金)
~21
(木)
5 公演(計画:5 公演)
10 公演(計画:10 公演)
実績
28 回
14 日
17,323 人
(84.6%)
20,468 人
計画
28 回
14 日
18,000 人
(87.9%)
20,468 人
実績
216 回
99 日
103,791 人
(65.7%) 157,896 人
計画
216 回
99 日
93,000 人
(58.9%) 157,896 人
実績
372 回
176 日
178,699 人
(72.9%) 245,088 人
計画
372 回
176 日
170,710 人
(69.7%) 245,088 人
2.営業・広報
(本館)
・ マスコミ各社への記者会見及び取材依頼、テレビ出演、ポスター、チラシ、インターネット、あぜく
ら会報、振興会ニュース等により、また都内の比較的小規模な劇場におけるちらし設置など公演情報の
周知範囲拡大を図り、一般の集客に努めた。
・ 5 月公演では、「八陣守護城」の関連で、出演者の豊竹咲大夫、鶴澤燕三、吉田玉女とともに港区白
金台の覚林寺にて成功祈願及び会見を行った。
・ 9 月公演は、8 月に渋谷パルコ劇場で上演されていた三谷文楽「其礼成心中」において、観客に配布す
るチラシの挟み込みを行い周知に努めた。
・ 団体の集客については、今後の新規観劇見込み団体を含む顧客情報を整備・共有することによって、
営業活動の効率化を図るとともに、複数の担当者でフォローする等適宜人員を配置し、顧客のニーズに
対応した。
・ 5 月文楽公演において、第 2 部「八陣守護城」にちなみ、加藤清正にゆかりのある清正公覚林寺檀信
徒への団体観劇誘致を行うとともに、5 月 5 日の清正公大祭当日、出演者の成功祈願と割引チラシ(約
3,500 枚)の配布を行った。
・ 中国語(簡体字・繁体字)・韓国語のパンフレットを作成し、欧米以外の外国人観光客への情報発信・
公演周知活動の足掛かりとした。
(文楽劇場)
・ 大阪市内各所(JR 大阪駅、地下鉄心斎橋駅、阪急百貨店)で、技芸員もボランティアで参加する公演
PR を、文楽協会と協力して行った。
・ 11 月と正月の文楽公演については、大阪市営地下鉄の協力により、公演の大型ポスターの駅貼りや車
両内中吊り広告が無料で掲出された。
・ 試験的にラジオ CM をスポットで実施するとともに、視聴者プレゼントを組み合わせた公演紹介の放送
を在阪ラジオ局に働きかけた。
・ 各公演演目のゆかりの地に関係の深い寺社や観光協会、地元企業とタイアップし、集客活動を行った。
・ 地元で行われる祭礼行事などに参加し、広く一般への普及活動を行った。
・ 大阪市との協力による「親子ペア文楽鑑賞優待事業」を実施し、参加対象者に対して文楽の楽しさを
アピールする広報活動を展開することにより集客の増大を図った。
・
6 月文楽鑑賞教室における、大阪市及び文楽協会との連携による「青少年のための文楽鑑賞教室」事
業には大阪市立の小、中、高校が多数参加し、文楽に対する親近感及び知識の向上を図ることができた。
3.外部専門家等の意見
(本館)
・ 5 月文楽について、第 1 部の『八陣守護城』では、現時点において上演可能な全ての段(毒酒・浪花
入江・ 主税之介早討・正清本城)を取り上げており、その企画は高く評価できる。重要無形文化財保持
者の年齢や健康問題などの様々な要因によって、昼夜での通し狂言を出しにくい状況が文楽では続いて
いる。それだけに、第 1 部か第 2 部かのどちらかで、物語として完結性のある狂言(複数の段で一つの
芝居となるような作品)を取り上げる今回のような努力は、とても意義のあることだと思う。加えて『八
陣守護城』は、東京での上演が昭和 54 年 9 月以来、大阪も「毒酒」に関しては平成 4 年 7 月以来となる。
技芸の伝承という観点からも意義深い興行であった。
・ 9 月公演について、『粂仙人吉野花王』は久し振りの演目(平成 3 年 5 月以来)、『傾城阿波の鳴門』
も本興行では取り上げられることの少ない演目。第 1 部・第 2 部ともに単なる有名狂言の取り合わせで
はない点は評価できる。『粂仙人吉野花王』は、作品の良し悪しを論じれば、問題が無いとは言い難い。
しかしながら、現代の我々が現代の感性で作柄の良し悪しを云々し上演の必要性を論ずるよりも、伝承
29
を途絶えさせない努力の方がはるかに重要であり、その点に関しては何ら疑問の余地はない。上演が間
遠になってしまった作品はまだまだある。様々な理由で、昼夜の通し狂言は企画しにくいのであろう。
その状況を大いに利用して、見取り公演であっても、安易に人気狂言に偏らず、知名度の低い作品を演
目に加えることに、今後とも積極的であって欲しい。
・ 12 月公演について、『苅萱桑門筑紫㵞』は、起伏にとんだ筋をもつ「守宮酒の段」と、昭和 32 年以
来 55 年振りの上演という「高野山の段」の組み合わせ。見所、聴きどころの多い「守宮酒の段」だが、
物語の終結部を続けてみることで、より大きな物語の中に位置づけて見ることができた。「高野山の段」
が久しぶりに上演されたことは大変喜ばしい。また、『傾城恋飛脚』「新口村の段」では、幕切れの孫
右衛門(玉也)の演出が見慣れた型とは違っており、興味深かった。単に人気のある演物を取り上げた
だけではないのだという、その意欲は評価できる。
・ 2 月公演について、2 月の文楽公演は三部制であるが、どの部もその特徴をうまく活かし、第 1 部と第
3 部はひとつの物語をじっくりと見せ、第 2 部では文楽の多様性を楽しむことができた。文楽ファンに
は三部制は時間が短くて物足りない感じがあるかもしれないが、見慣れていない人にとっては、休憩を
はさんで上演時間が 2 時間半というのは程良い長さであろう。12 月の文楽鑑賞教室をきっかけに 2 月の
文楽公演に足を運んでもらえるような仕掛けができれば、新しい観客層の獲得に繋がるのではないかと
感じた。ただし第三部の開演が 6 時という時間設定では、平日に一般の勤め人が観るのは難しい。さま
ざまな事情があるとは思うが、新しい観客層の開拓という視点からはもう少し遅い開演時間がのぞまれ
る。
(文楽劇場)
・ 加賀見山旧錦絵」又助住家は珍しかったが、現代人の目には、お家のために、幼い子供も含めた一つ
の家族が同時に死へと向かうありさまが、余りにも悲愴で理不尽に見えないかという危惧も覚えた。
「草
履打」以降は、社会の中でさまざまな思いを抱えて働いている現代の女性たちも、敵を討つために一人
で立ち上がるお初の姿にカタルシスを感じるのだろう、客席から大きな拍手がわいた。
「長局」で復帰し
た竹本源大夫師が尾上を勤められたことも喜びたい。技芸員の演技、演目は充実しており、文楽の魅力
を伝えることができていたように思うが、観客の動員数に不安を感じさせた。
・ 6 月文楽鑑賞教室は、四班がそれぞれに同じ演目を演じるという配役が、演技の比較を可能にしてお
り、固定客にも一定の評価を得ている。今回は技芸員による人形解説の場面で、舞台のスクリーンに人
形の姿や構造の写真が大きく映し出された。後方席の観客も話の内容がより理解しやすくなって、大変
よかったと思う。ただ、映し出されたのがすべて静止画だったので、舞台上の人形遣いの動きと人形の
表情がリアルタイムの動画となって大写しになれば一層いいのでは、とも感じた。
「社会人のための文楽
入門」の客席には、ワイシャツ姿のサラリーマンや、学生、外国人の姿も多く見られ、夜の鑑賞教室が
一般に知られるようになってきているように思われた。
・ 「鈴の音」は、小品ながらほのぼのとした雰囲気があり、現代の子供たちの感性にアピールする表現
があちこちに見られた点で興味深かった。
「解説」では、人形遣い体験で子供達に黒衣を着せた趣向が効
果的。
「西遊記」は親子劇場では何度も上演されている人気作だが、幕開きで劇場の壁面に孫悟空のイラ
ストが映し出されるなど、子供たちの期待感を盛り上げる工夫がなされていた。
「伊勢音頭恋寝刃」で住
大夫師が休演となったのは何とも残念。だが、その休演を懸命に埋めようとつとめる技芸員たちに対す
る観客の拍手は、とても温かかった。
「曾根崎心中」は、尻上がりに観客が増え、後半は大入り満員だっ
た。舞台内容の充実はもちろんだが、文楽が様々な形でメディアに取り上げられていることもプラスに
働き、観客増加につながったのだろう。思い切って演目、段毎に、それぞれ特色を出そうという企画・
制作の意図(年功序列による平凡な配役でなく)を強く感じる。
・ 11 月公演は、
「仮名手本忠臣蔵」の通しであった。昼夜ともに好調で、土日、最終週などほぼ満席の
状態であり、補助金問題とともに報道されたためか、文楽に対する関心が高まった結果であろうか。今
回は、大夫、三味線、人形遣いそれぞれに力を付けてきていることが、忠臣蔵という定番であればこそ
実感することができる公演となった。満席の客席の拍手がどれほど技芸員の力を引き出していくもので
あるかを、強く感じさせる公演でもあった。人間国宝をはじめベテラン陣を中心にやや休演が目立った
ものの、若手・中堅がきちんとカバーした。全体として「全員野球」
「総力戦」といった雰囲気が客席に
伝わったのもよかった。一座全員が心を一つにして取り組むという意味でも、この作品を数年に一度上
演することには大きな意義があることが納得できた。
・ 「寿式三番叟」
、この祝儀曲での竹本住大夫の復帰が、大きな慶事であり、初春のめでたさを倍増させ
た。住大夫の語りが格調高く、声もしっかりと出ていて、半年間のブランクを感じさせなかったのも喜
ばしい限り。初春は例年、見取り狂言の公演となるが、じっくりと「すしや」で人間ドラマを見せた後、
30
気分を発散させる「増補大江山」へとつながる展開は良かった。
「本朝廿四孝」の八重垣姫を、簑助は実
に生き生きと可憐に表現する。
「奥庭狐火」では八重垣姫は勘十郎に変わり、左も足も出遣いとなるが、
手に入った動きで、早替りをはじめ見どころが続く。全体に、著名な時代物の名場面と景事などがバラ
ンスよく配置され、楽しく見ることのできる初春らしい公演であった。
4.アンケート調査
9 月公演(本館小劇場) 、12 月文楽鑑賞教室(本館小劇場)で実施(2 回)。
回答数 712 人(配布数 1,077 人、回収率 66.1%)。回答者の 84.7%が概ね満足と答えた(603 人)。
6 月文楽鑑賞教室(文楽劇場)、夏休み文楽特別公演(文楽劇場)、11 月文楽公演(文楽劇場)で実施(3 回)。
回答数 946 人(配布数 1,414 人、回収率 66.9%)。回答者の 91.5%が概ね満足と答えた(866 人)。
【特記事項】
・ 地下鉄駅構内での文楽紹介イベント「メトロ文楽」は、24 年度は永田町駅改修工事のため、休止し
た。
・ 各公演とも字幕表示装置により、演奏に合わせて義太夫の詞章を表示し鑑賞の助けとした。
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催(文楽劇場 11 月文楽公演)
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場の全公演)
・ 大阪文化祭参加(文楽劇場 6 月文楽鑑賞教室)
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
本公演:実績 148,443 人/目標 139,570 人(達成度 106.4%)
鑑賞教室:実績 30,256 人/目標 31,140 人(達成度 97.2%)
合計:実績 178,699 人/目標 170,710 人(達成度 104.7%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館では、現在伝わる演目を次代へと継承することは国立劇場の重要な使命であり、公演は出演者と
観客が共同で芸を後世へ伝えていくための場でもあるとの観点から、5 月公演では 32 年ぶりとなる『八
陣守護城』を現在上演することができるすべての段を半通しで上演し、また、12 月公演では、『苅萱桑
門筑紫㵞』「高野山の段」を 55 年ぶりに復活上演し、高い評価を受けた。
・ 文楽劇場で、夏休み文楽特別公演以降好成績が続いたのは、大阪市の文楽協会への補助金削減問題の
影響で社会的にも文楽が注目を集めたことも一因であろう。また技芸員の間にも危機感が募り、公演の
宣伝・集客に積極的に協力してくれた。またこのタイミングを逃さず、従来以上に宣伝・広報に努めた
ため、マスコミからも様々な角度から採り上げられ、予想を超える成果を上げることができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 2 月文楽では竹本住大夫、竹本源大夫、吉田文雀という 3 人の人間国宝が休演となった。ベテラン技
芸員の高齢化により、今後も人間国宝クラスの休演の可能性が高まると思われる。技芸員の健康状態に
一層留意しながら公演制作をおこなっていく。また入場者数が目標を大きく下回った原因について関係
部署と検討し、改善に努める。
・ 文楽劇場の 4 月文楽公演及び 6 月文楽鑑賞教室公演は、残念ながら目標入場者数に届かなかった。ア
ンケート等による観客の意見も採り入れながら、より魅力ある演目構成に気を配り、集客に関しては広
報のあり方も含め、より一層の工夫が必要である。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 青少年のための文楽鑑賞教室をより充実させる等、底辺拡大に努められたい。(①)
(振興会評価委員会)
・ 開場 45 周年企画として、歌舞伎と呼応した企画があってもよかったのではないか。(①)
・ 世代交代に備えて中堅若手の抜擢等を行うことは、ますます喫緊の課題となっており、今後も辛抱強く
若手を使った企画を立て、育成していくことが必要である。(①)
・ さらに配役を含めた公演内容の早期決定と、そのことによる集客増に期待したい。このほか集客につな
31
げる工夫として、大阪・東京で交互に定期的に公演している運営形態を生かした企画の検討、大学との提
携・支援・協力の拡大等のほか、中堅世代の襲名などで話題を作ることも考えられよう。(①)
・ 源大夫襲名がメインタイトルに掲げられていることからすると、5 月の東京公演でも、事前に源大夫の
体調について発表してもよかったのではないか。(②)
・ 広報全般について一層の努力が求められる。演劇担当記者へのヒアリングなども有益ではないだろうか。
(②)
【対応】
①企画内容・配役の工夫
本館の文楽公演では、技芸の伝承のみならず、観客層の底辺拡大のため、より一層企画内容を工夫し、
併せて有望な若手の抜擢を積極的に行っていく。
開場 45 周年企画として国立劇場における 45 年間の文楽公演をふり返る企画等を設ければ、文楽への関
心を高めるのに有益だったと思われるので、今後の検討課題としたい。
文楽劇場の文楽公演では、初心者向きの人気演目や、上級者の鑑賞にも堪える本格的な演目をバランス
良く配し、常に話題を提供できるように努める。文楽鑑賞教室においては、解説の際、人形のかしらの仕
掛け等が客席後方からも見えるよう、リアルタイムの映像をプロジェクターで投影して、より理解が深ま
るように工夫する等、充実に努める。
②宣伝・広報の充実
演劇担当記者と、公演宣伝キャンペーンや取材等を通してより一層密接なコミュニケーションを図り、
宣伝に活用する等、一層の宣伝・広報の充実に努めていく。
人間国宝クラスの休演については、これまでの経験をふまえて早期の周知・広報に努める。
32
2-(1)-③
短期公演(舞踊、邦楽、雅楽、声明、民俗芸能、琉球芸能、特別企画)
《総
表》
1.公演実績
公演名
【舞踊】
【邦楽】
【雅楽】
【声明】
【民俗芸能】
【琉球芸能】
【特別企画】
【合計】
公演数
劇場
区分
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
5 公演
実績
11 回
7日
6,239 人
(68.1%)
9,156 人
本館大小劇場・文楽劇場
計画
11 回
7日
6,470 人
(70.7%)
9,156 人
6 公演
実績
9回
7日
4,511 人
(82.4%)
5,473 人
本館小劇場・文楽劇場
計画
9回
7日
4,380 人
(80.0%)
5,473 人
2 公演
実績
2回
2日
1,653 人
(76.2%)
2,170 人
本館大小劇場
計画
2回
2日
2,000 人
(91.7%)
2,180 人
1 公演
実績
2回
1日
824 人
(78.9%)
1,044 人
本館小劇場
計画
2回
1日
900 人
(86.2%)
1,044 人
2 公演
実績
4回
2日
2,112 人
(89.5%)
2,360 人
本館小劇場
計画
4回
2日
1,850 人
(78.4%)
2,360 人
1 公演
実績
3回
3日
1,677 人
(94.7%)
1,770 人
本館小劇場
計画
3回
3日
1,590 人
(89.8%)
1,770 人
5 公演
実績
6回
5日
3,578 人
(74.4%)
4,810 人
本館大小劇場・文楽劇場
計画
6回
5日
3,750 人
(78.0%)
4,810 人
実績
37 回
27 日
20,594 人
(76.9%)
26,783 人
計画
37 回
27 日
20,940 人
(78.2%)
26,793 人
22 公演
2.営業・広報
・ マスコミ各社への記者会見及び取材依頼、テレビ出演、ポスター、チラシ、インターネット、あぜく
ら会報、国立文楽劇場友の会会報、振興会ニュース等により、また都内の比較的小規模な劇場における
ちらし設置など公演情報の周知範囲拡大を図り、一般の集客に努めた。
・ 3 月琉球芸能公演に関しては、歌舞伎俳優の坂東玉三郎が出演することもあり、記者会見、スチール
撮影、公開稽古など、歌舞伎公演と同様の広報を行った。
3.外部専門家等の意見
(本館)
・ 舞踊公演について、5 月「舞踊菅原草紙」は、舞踊界の活性化・刺激、多角的な舞踊公演の創造、問
題提起となったのだろう。8 月「花形名作舞踊鑑賞会」では、「舌出し三番叟」「神楽娘」「蚤取り男」
の演目は楽しく夏らしい企画だった。花形舞踊家にとっても普段は中々手掛けられないような曲が並ん
でおり、観客にとってもご馳走といっていい。ただ、重量感たっぷりで実力が追いつかず、もたれ気味
の感がするものもあった。11 月「舞の会」は、今回も新人の登用は喜びたいが、かつての名手や現在の
ベテランの隙間を伺うような成果というと疑問符が付く。穴は埋められていない印象だ。息の長い取り
組みを望みたい。3 月「素踊りの会」は、初日に今、勢いのある花柳基を入れたのだから、各流のスター
級を 2 日間でもう 1 組でも加えたら全体の印象が違ってくる。素踊りの会の集客にあたっては思い切っ
た手法が今後は求められると思う。
・ 邦楽公演について、6 月公演「掛合の美」では、種目別ではなく、多種目を「掛合」という視点から横
断的に紹介した点に新鮮味があった。7 月公演「親子で楽しむ日本の音」は、タイトル通りの観客層にア
ピールできる内容で、藤原道山師のわかりやすく聞きやすい解説は、彼の知名度以上に観客を惹きつけ
ていた。同「名曲で知る邦楽の世界」は、《六段の調》《三千歳》《蘭蝶》《京鹿子娘道成寺》という
王道の名曲を、第一線で活躍中の演奏者によって提供する企画であった。体験コーナーは、参加してい
33
る人たちは非常に熱心で、このコーナーの役割は小さくないと思う。・10 月公演「琵琶の会」は、各流
派の演奏者を集めて紹介するというオーソドックスな企画も、若手の起用を視野に入れた人選も、目指
すところは納得のできるものであった。国立劇場ならではの企画力によって実現した公演と言える。10
月公演「文楽素浄瑠璃の会」は、人気のある名曲 2 作と復曲 1 作はそれぞれ性格が違い、組み合わせに
は工夫が感じられた。1 月公演「長唄の会」のプログラムは、唄と三味線の演奏、鳴り物入りの演奏、男
性・女性陣の演奏を上手く取り混ぜており、曲順も含めて、とても良かった「三曲の会」は満席ではな
いものの、かなりの客を集め、定着した公演としての人気の高さが示された。今後については、何か企
画性のあるテーマでプログラムを組むこともできるのではないかと思った。
・ 雅楽・声明公演については、9 月雅楽は、昭和 44 年以来久々の上演で、省略を最低限に抑え、聖霊会
の華やかな全体像を分かりやすく紹介するという姿勢が見てとれ、東京で居ながらにして聖霊会を楽し
むことを体現した公演であった。複雑な進行からなる次第が、字幕とプログラムで分かりやすく示され
ていたように思う。11 月声明は、全員の僧侶が声明の細かな装飾音にいたるまで、丁寧に揃って唱和さ
れ、雅楽と相和し、まさに極楽浄土はさもあらん、と思わずにはいられなかった。6 月特別企画、9 月雅
楽公演とともにいずれも仏教音楽と舞楽との協働によるもので、聴衆にとっても見応え聴き応えのある
公演であった。また雅楽と仏教行事との深い関わりを伝え、関西の人々に親しまれている仏教行事の様
子を関東の人々に伝える上でも非常に有意義であった。
・ 民俗芸能公演では、6 月公演はそれぞれ上演に先立って地域の被災状況と芸能伝承に対する取り組み、
上演芸能の内容等についての説明がなされた。今回公演された虎舞、剣舞、しし踊り、神楽は、岩手県
の北上山地から三陸沿岸地域の代表的な民俗芸能であり、限られた日程の中での公演芸能の選択として
は適切だったといえる。震災復興支援という目的に加え、印刷物の解説によって、この地方の主な民俗
芸能を知る機会にもなったといえよう。2 月公演では、宮城県内に伝わる数種の民俗芸能を上演するこ
とによって、多様な、しかも長い歴史の中で庶民によって育まれてきた芸能が存在することが理解され
たといえる。今回、雄勝法印神楽が上演した「鉤弓」は、実に 60 年ぶりの実演ということで、この国立
劇場への出演が、震災からの再起だけでなく、失われつつあった演目の再生にも一役かったことになる
と言えるだろうか。
・ 琉球芸能公演では、琉球芸能公演は今回で 16 回目を迎えるが、沖縄の若手の演者に、歌舞伎俳優の坂
東玉三郎を迎えての公演であり、今回の琉球芸能公演のもつ意義が大きいことは衆目の一致するところ
であろう。組踊そのものが、かつて玉城朝薫がヤマトの芸能を取り込みながら組み立てたことを考える
なら、こうした試みがあっても当然と思われるが、初めて歌舞伎俳優が主役を演ずるという今回の公演
については、関係各位の熱意と努力があって実現でき、その成功に祝意を表したい。
・ 特別企画公演では、6 月「伎楽」は、再現された伎楽はもとよりかつての姿そのままではないが、天
理大学の伎楽はすでに 30 年におよぶ歴史を有しているので、これ自体がすでに新たな伝統になりつつあ
ることも感じられた。9 月「日本の太鼓」は、神祭りなどで演じられる太鼓芸能と、創作芸能としての
太鼓を組み合わせた公演は、国立劇場ならではの企画といえる。「光の群像」は、その演奏の質の高さ
はいうまでもないが、倉敷天領太鼓とともに民俗芸能としての2つの太鼓と同様、身体技法としての太
鼓演奏が加味され、「全身全霊で打つ『打ち込み』がテーマです」という意図が、十分に理解できる内
容で、今後の太鼓公演のテーマ設定の豊かな可能性がうかがえる公演だった。
「日本の太鼓」のシリーズが担う役割は今後も大いにあると思われるが、継続させていくためには、
その回ごとの新しい展開を、幅広い人々に対してわかりやすくアピールするさらなる工夫を期待したい。
(文楽劇場)
・ 舞踊公演について、東西の流派の家元や実力者を一堂に見ることができる贅沢な舞踊公演。通常の舞
踊公演はたいてい流派の舞踊家だけしか出演しないので、こういう企画こそ国立ならでは。ぜひ続けて
いただきたい。
・ 舞踊・邦楽公演は、バラエティに富んだジャンルと人選で、実力もあり、こういう人材をきちんと取
り上げることができる劇場の制作陣の勉強ぶりに頭が下がる。ただ、多岐にわたるジャンルだからこそ、
全体を見たときの盛り上がりに欠けるので、テーマを決めるなり、これが今回の目玉と劇場側で打ち出
すなど、ときには公演自体に工夫をこらしてもいいのではないか。
・ 特別企画公演は、チケット完売ということだが、関西の観客の声明へ関心の高さがうかがわれると同
時に、東京からの観客もだいぶいたようである。宗教における伝統音楽の公演を国立の劇場で実施する
ことの意義深さも思った。
4.アンケート調査
舞踊公演 4 回(うち本館 5 月舞踊公演 3 回)、邦楽公演 2 回、雅楽公演 1 回、声明公演 1 回、民俗芸能公
34
演 1 回、琉球芸能公演 1 回、特別企画公演 2 回(計 12 回実施)
回答者数 3,291 人(配布数 5,144 人、回収率 64.0%)、回答者の 84.5%が概ね満足と答えた(2,781 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催公演(文楽劇場 10 月舞踊公演)
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(10 月邦楽 2 公演、11 月声明、11 月舞踊)
・ 本館の 5 月舞踊公演「菅原草紙」は、東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都
歴史文化財団)、東京発・伝統 WA 感動実行委員会と共催で実施した。
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場 5 月舞踊・邦楽、7 月邦楽、9 月特別企画、10 月舞踊の各公演)
・ 大阪文化祭参加(文楽劇場 5 月舞踊・邦楽公演)
・ 上演内容に応じて、字幕表示装置により、演奏にあわせて詞章等を表示し鑑賞の助けとした。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績 20,594 人/目標 20,940 人(達成度 98.3%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館は、5 月舞踊公演での大作舞踊劇の復活、6 月・2 月民俗芸能「東日本大震災復興支援 東北の芸
能」公演の実現、3 月琉球芸能の歌舞伎俳優主演による新作組踊の上演など、国立劇場ならではの公演
を連続して開催し成果を上げることができた。
・ 文楽劇場の短期公演では、公演内容によりプレ講座等の実施や、新たな観客層の掘り起こし、団体観
誘のために積極的に解説付き企画を行い、観客動員に努めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 一部の分野で目標入場者数に達しなかった。企画立案時において構成等の検討を綿密に行うとともに、
内容、時期、媒体等、効果的な広報宣伝についてより一層の工夫をしていきたい。
35
《短 期 公 演 詳 細 表》
舞
踊
【制作方針】
本館では、多種多様な日本の舞踊のうち、江戸・東京を中心に展開してきた歌舞伎舞踊と、上方・京阪
を中心に発展した上方舞を両輪として、各公演ごとにテーマを定めて企画する。本年の大劇場企画公演で
は、昭和 15 年の初演以来上演の途絶えていた大作舞踊劇『菅原草紙』の復活上演を試みる。現在鑑賞する
ことのできる最高水準の舞台を紹介することを基本に、日本舞踊界の第一線で活躍する東西の舞踊家によ
り、国立劇場の独自性を盛り込みながら、広範な観客層への普及を図る。
文楽劇場の「東西名流舞踊鑑賞会」は、日本舞踊界の第一線で華々しい活躍をみせる東西の名手たちが
一堂に会する公演である。演奏陣も第一人者が揃い、質の高い舞と踊それぞれの色合いが際立つ名曲の数々
を織り交ぜた内容豊かな構成とし、名手たちの至芸を堪能できる内容とする。
【実績】
1.公演実績
公演名
5 月舞踊公演 二代花柳壽輔に
よる「花形舞踊研究会」名作の
復活「菅原草紙」 舞踊『菅原
伝授手習鑑』
劇場
期間
区分
本館
5/25(金)~
5/26(土)
実績
3回
2日
計画
3回
実績
大劇場
8 月舞踊公演 「花形・名作舞
踊鑑賞会」
11 月舞踊公演 「舞の会-京阪
の座敷舞-」
3 月舞踊公演
8/18 (土)
本館
小劇場
3/16(土)~
17(日)
「素踊りの会」
【本館舞踊 小
計】
11/23 (金)
4 公演
10 月舞踊公演 「東西名流舞踊
鑑賞会」
文楽劇
【舞踊 合計】
5 公演
場
入場率
総席数
2,977 人
(67.7%)
4,398 人
2日
3,000 人
(68.2%)
4,398 人
2回
1日
711 人
(68.1%)
1,044 人
計画
2回
1日
770 人
(73.8%)
1,044 人
実績
2回
1日
948 人
(80.3%)
1,180 人
計画
2回
1日
1,000 人
(84.7%)
1,180 人
実績
2回
2日
787 人
(66.7%)
1,180 人
計画
2回
2日
910 人
(77.1%)
1,180 人
実績
9回
6日
5,423 人
(69.5%)
7,802 人
計画
9回
6日
5,680 人
(72.8%)
7,802 人
実績
2回
1日
816 人
(60.3%)
1,354 人
計画
2回
1日
790 人
(58.3%)
1,354 人
実績
11 回
7日
6,239 人
(68.1%)
9,156 人
計画
11 回
7日
6,470 人
(70.7%)
9,156 人
(計画:4 公演)
10/13 (土)
(計画:5 公演)
回数
日数
入場者数
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。
ポスター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、国立文楽劇場友の会会報、振興会ニュース等に
より、公演の周知を図り、一般の集客に努めた。本館 5 月公演は新聞 2 紙に取材記事、公演評も 1 紙
掲載。本館 8 月公演は新聞 2 紙に取材記事、公演評も 1 紙掲載された。文楽劇場 10 月公演は公演前の
掲載等は、新聞記事 2 件だった。
3.外部専門家等の意見
・ 5 月「舞踊菅原草紙」は、舞踊界の活性化・刺激、多角的な舞踊公演の創造、問題提起となったの
だろう。花柳壽輔の熱意、流儀に有能で各層に豊富な舞踊家の存在を示したとは思う。名作舞踊の復
活は、歌舞伎作品の通し・復活と共に大賛成である。一流儀のみで実現させるのは課題が多いが、他
の流派にはどう写ったのか。他の流派の舞踊家をもっと増やせたのか。検証をお願いしたい。
・ 8 月「花形名作舞踊鑑賞会」では、「舌出し三番叟」「神楽娘」「蚤取り男」の演目は楽しく夏ら
しい企画だった。花形舞踊家にとっても普段は中々手掛けられないような曲が並んでおり、観客にとっ
てもご馳走といっていい。ただ、重量感たっぷりで実力が追いつかず、もたれ気味の感がするものも
あった。流儀の特色ある演目の継承という面もあるかと思うが、過ぎたるは及ばざる…点もあるので
はないか。
・ 11 月「舞の会」は、京阪の花街を主な場にして独自の発展をしてきた、いわゆる上方舞に特化した
公演である。上方舞の魅力を広く東都の一般に示してきた、技芸の伝承という面でも大きな刺激を与
36
えてきた企画と思う。今回も、新人の登用は喜びたいが、かつての名手や現在のベテランの隙間を伺
うような成果というと疑問符が付く。穴は埋められていない印象だ。息の長い取り組みを望みたい。
・ 3 月「素踊りの会」は、初日に今、勢いのある花柳基を入れたのだから、各流のスター級を 2 日間
でもう 1 組でも加えたら全体の印象が違ってくる。素踊りの会の集客にあたっては思い切った手法が
今後は求められると思う。演劇界で今、流行りのアフタートークを付ける。トリの出演者か、素踊り
の演目について面白く話せる舞踊家と制作者とのトークという手もある。西川祐子の「萬歳」、基の
「外記猿」、尾上親子の「連獅子」が素踊りならではの舞台だった。新旧交代、世代交代、体が動か
なくなった踊り手の素踊り。課題が見つかった。
(文楽劇場)
・ 東西の流派の家元や実力者を一堂に見ることができる贅沢な舞踊公演。通常の舞踊公演はたいてい
流派の舞踊家だけしか出演しないので、こういう企画こそ国立ならでは。ぜひ続けていただきたい。
4.アンケート調査
5 月公演(本館大劇場・3 回、内 2 回は伝統 WA 感動実行委員会と共同で実施)・3 月公演(本館小劇場・1 回)
で実施。
回答数 515 人(配布数 1,133 人、回収率 45.5%)、回答者の 83.9%が概ね満足と答えた(432 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催(文楽劇場 10 月舞踊)
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(11 月公演)
・ 共催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京発・伝統 WA
感動実行委員会(5 月公演)
・ 舞踊公演では異例の両花道を使用した(5 月公演)。
・ 字幕表示装置により、演奏に合わせて歌詞を表示して鑑賞の助けとした。(本館の 4 公演)
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場 10 月舞踊)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館の 4 公演については、大作舞踊劇『菅原草紙』を復活上演した 5 月大劇場公演は、総出演者 130
名超、全十場・十二景、上演時間 3 時間という近年稀な大規模な企画で、舞踊公演では珍しく公演評が
新聞に掲載され、高く評価された。中堅若手を中心とした 8 月「花形・名作舞踊鑑賞会」では、国立劇
場では取り上げる機会の少なかった大曲を取り上げ、演者も意欲的に取り組み成果を上げた。上方舞を
特集した 11 月「舞の会」は、今回初あるいは久々の上演となる演目を多く取り上げてレパートリーの幅
広さを示す構成としたことや初登場となる若手の起用などにより、上方舞の今後へ向けて、その伝承に
資することができた。高水準の技芸を鑑賞する 3 月「素踊りの会」は、出演者の半数以上が初登場とな
る新しい顔ぶれとした。
・ 文楽劇場の 10 月公演は、立方は現在の舞踊界を牽引する東西の名手たちが顔を揃え、地方も関西なら
ではの地歌、長唄、清元、大和楽そして一中節と幅広く網羅し、名流の名にふさわしい内容で舞踊の魅
力を充分に伝えることができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 本館の舞踊公演については、5 月公演で花柳流の全面的な協力を得て公演制作を進めた。日本舞踊を
めぐる環境が厳しいなかにあって公演を成立させる一つの手法であったが、一方で名作舞踊の復活を一
流儀だけで実現させることの効果や影響などについては今後の検討が必要である。今後も様々な方法を
模索し、日本舞踊の活性化に努めていきたい。
・ 本館の 8 月は昼夜 2 回公演、3 月は 2 日各 1 回公演で実施したが、昼夜あるいは日にちによって、入
場者数に差が大きく出た。今後はこの結果も踏まえて番組立て等一層の工夫をしていきたい。11 月「舞
の会」も技芸の伝承のためのあらたな方策を検討しながら継続して実施していきたい。
邦
楽
【制作方針】
多様なジャンルそれぞれが固有の音楽性をもつ邦楽の魅力を、古典を中心とした構成で幅広い客層に楽
しんでもらう視点から公演制作に取り組む。また、ベテランだけではなく、中堅、若手も積極的に起用し、
37
活気ある公演となることを目指す。
そのために、邦楽に馴染みのない客層に向けては解説や体験コーナーを付した「邦楽へのいざない」を、
各ジャンルのファンに向けた最高水準の演奏会としては「琵琶の会・新内の会」「文楽素浄瑠璃の会」「長
唄の会・三曲の会」を、ジャンルを横断した企画性により邦楽の魅力を提示するものとしては「掛合の美」
を制作する。
文楽劇場 7 月邦楽公演「文楽素浄瑠璃の会」は、文楽の第一線で活躍する大夫・三味線陣が、それぞれ
の芸風に相応しい演目で臨む本格的な素浄瑠璃の公演とする。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
期間
【本館邦楽 小
計】
7月邦楽公演「文楽素浄瑠璃
の会」
【邦楽 合計】
5 公演
文楽劇場
6 公演
総席数
(71.2%)
590 人
計画
1回
1日
425 人
(72.0%)
590 人
実績
2回
1日
939 人
(79.6%)
1,180 人
計画
2回
1日
850 人
(72.0%)
1,180 人
実績
2回
1日
835 人
(70.8%)
1,180 人
計画
2回
1日
850 人
(72.0%)
1,180 人
実績
1回
1日
572 人
(96.9%)
590 人
計画
1回
1日
575 人
(97.5%)
590 人
1/19(土)~
実績
2回
2日
1,088 人
(92.2%)
1,180 人
20(日)
計画
2回
2日
1,000 人
(84.7%)
1,180 人
実績
8回
6日
3,854 人
(81.7%)
4,720 人
計画
8回
6日
3,700 人
(78.4%)
4,720 人
実績
1回
1日
657 人
(87.3%)
753 人
計画
1回
1日
680 人
(90.3%)
753 人
実績
9回
7日
4,511 人
82.4%
5,473 人
計画
9回
7日
4,380 人
80.0%
5,473 人
10/13(土)
10/27(土)
1 月邦楽公演 「邦楽鑑賞会
-長唄の会・三曲の会-」
入場率
420 人
7/21(土)
10 月邦楽公演 「文楽素浄瑠
璃の会」
入場者数
1日
7月邦楽公演 邦楽へのいざ
ない 「親子で楽しむ日本の
音/名曲で知る邦楽の世界」
本館
日数
1回
6/16(土)
小劇場
回数
実績
6 月邦楽公演 「邦楽名曲鑑
賞会 掛合の美」
10 月邦楽公演 「邦楽鑑賞会
琵琶の会・新内の会」
区分
(計画:5 公演)
7/7 (土)
(計画:6 公演)
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。ポ
スター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、国立文楽劇場友の会会報、振興会ニュース等により、
公演の周知を図り、一般の集客に努めた。本館 6 月公演は公演評 1 紙掲載。本館 7 月公演は新聞 2 紙に
取材記事が掲載された。文楽劇場 7 月公演は新聞記事掲載が 2 件、出演者のラジオへの出演が 1 件だっ
た。
3.外部専門家等の意見
(本館)
・ 6 月公演「掛合の美」では、種目別ではなく、多種目を「掛合」という視点から横断的に紹介した点
に新鮮味があった。また朝比奈は、富本を清元に移してのいわば復活上演のようなもので、大変意欲的
な取り組みだと思った。民俗芸能も視野に入れた「掛け合い」に関する小島美子氏の解説も面白かった。
・ 7 月公演「親子で楽しむ日本の音」は、タイトル通りの観客層にアピールできる内容で、藤原道山師
のわかりやすく聞きやすい解説は、彼の知名度以上に観客を惹きつけていた。実力をもった若手の演奏
者の人選、会場の使い方や選曲にも工夫があった。「名曲で知る邦楽の世界」は、《六段の調》《三千
歳》《蘭蝶》《京鹿子娘道成寺》という王道の名曲を、第一線で活躍中の演奏者によって提供する企画
であった。《六段の調》以外は演奏時間の長い曲であるが、曲の魅力が十分に引き出されていたため、
時間的な長さを感じさせなかった。葛西氏と篠崎氏の案内も、楽しい「いざない」になっていた。体験
コーナーは、参加している人たちは非常に熱心で、このコーナーの役割は小さくないと思う。
・ 10 月公演「琵琶の会」は、各流派の演奏者を集めて紹介するというオーソドックスな企画も、若手の
起用を視野に入れた人選も、目指すところは納得のできるものであった。奥村旭翠師はその実力を余す
ところなく披露。その声の劇的迫力に圧倒された。「新内の会」では、端もの、段もの、チャリものを
38
含む作品の選び方、若手・中堅・ベテラン、女性・男性を含む出演者の多彩な顔ぶれが、新内節の魅力
を多面的に伝えた。これだけの内容を一度に聴くことのできる機会は少なく、国立劇場ならではの企画
力によって実現した公演と言える。「琵琶の会」「新内の会」を同じ日に行ったことは、種目ごとに愛
好者が異なる日本音楽の事情や劇場の都合によるものと推察したが、両方の公演を楽しみたい観客もい
るであろうし、また、日本音楽に幅広く親しむ観客の開拓も望まれることを考えると、時間や体力に無
理がないよう、日にちを別に設定しても良かったかもしれない。
・ 10 月公演「文楽素浄瑠璃の会」は、太夫にとっても、長丁場を一人で語り通すのはなかなか大変だろ
うが、芸を磨くよい機会だと思う。できるだけ多くの太夫にこうした語りを経験する機会があるとよい
と思う。人気のある名曲2作と復曲1作はそれぞれ性格が違い、組み合わせには工夫が感じられた。《大
塔宮曦鎧 身替り音頭の段》が加わっていることが、プログラムの大きな魅力となっていた。解説書の
『大塔宮曦鎧』のあらすじは少々わかりにくかった。また、出演者情報がもう少し詳しく載ってもいい
かもしれない。
・ 1 月公演「長唄の会」のプログラムは、唄と三味線の演奏、鳴り物入りの演奏、男性・女声陣の演奏
を上手く取り混ぜており、曲順も含めて、とても良かった。それぞれに異なる曲趣を、長唄界を代表す
る中堅・ベテランの演奏によって楽しむことができた。今回開演時間が午後1時というのは、土曜日と
はいえやや早いのではないだろうかと思われる。「三曲の会」は満席ではないものの、かなりの客を集
め、定着した公演としての人気の高さが示された。「松竹梅」は山田、生田の他流試合としても聴き映
えのする演奏であった。《竹生島》は、一部にやや乱れはあったが、一中節と箏歌の声の特徴、中棹と
細棹の音色を対比させ、物語を立体的に表現した。長唄とともに、「格調高く華やかな響きの世界」、
つまり名人による名曲の名演というコンセプトはよいと思うが、今後については、何か企画性のある
テーマでプログラムを組むこともできるのではないかと思った。
(文楽劇場)
・ 7 月文楽劇場「文楽素浄瑠璃の会」は、ポピュラーな演目から、珍しい作品まで、おもしろい番組だっ
た。『入間詞長者気質』はほとんどやられない演目ということで、楽しく聴く事ができた。パンフレッ
トに、毎回、演者が語る「聴き所」を載せるのはたいへんよいと思う。より高度な理解への入り口とし
て、この種の情報が観客に提供されるのは有益である。
4.アンケート調査
7 月公演、10 月公演で実施(2 回)。
回答数 598 人(配布数 860 人、回収率 69.5%)。回答者の 82.9%が概ね満足と答えた(496 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(10 月邦楽「琵琶の会」「新内の会」、「文楽素浄瑠
璃の会」)
・ 字幕表示装置により、演奏に合わせて歌詞を表示して鑑賞の助けとした。(本館の 4 公演)
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場 7 月邦楽公演「文楽素浄瑠璃の会」)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館の各公演について、制作意図に沿った出演者、曲目を揃えることができた。演奏やお話・解説
も高い水準の舞台が多く、充実した成果を挙げることができた。とくに 7 月「邦楽へのいざない」に
おける子供向けの企画と若手の起用、6 月「掛合の美」と 10 月「文楽素浄瑠璃の会」における今後の
展開にも含みをもたせる復曲などは国立劇場ならではと言え、今後も取り組んでいきたい。
・ 文楽劇場 7 月邦楽公演「文楽素浄瑠璃の会」は、時代物、時代世話、おどけ浄瑠璃と変化に富んだ
内容で好評価であった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 目標人数が達成できなかった公演については、企画立案時において構成等の検討を綿密に行うとと
もに、内容、時期、媒体等、効果的な広報宣伝について担当部署と相談の上、工夫を図る。また、公
演日程、開演時間については、公演ごと内容や集客について最適となるよう配慮しながら決定してい
く。
雅
楽
【制作方針】
39
国立劇場の雅楽公演では古典曲の保存・伝承のほか、伝承の途絶えた楽曲や演奏法の復活、また演奏の機
会のない大曲・稀曲の上演にも力を入れ、雅楽の伝承・発展に努めてきた。
9月公演では、国立劇場では昭和44年以来の上演となる「四天王寺の聖霊会」を取り上げ、3月公演では宮
内庁式部職楽部による伝統的な「管絃」を上演する。特に「四天王寺の聖霊会」では、大阪・四天王寺で長
く受け継がれている雅楽の様式美や舞い振りを鑑賞する機会を提供するとともに、仏教法要における雅楽の
関わりを改めて示したい。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
9 月雅楽公演 「四天王寺の聖霊会
本館大
舞楽四箇法要」
劇場
3 月雅楽公演 「管絃-壱越調と平調
本館小
-」
劇場
【雅楽 合計】
2 公演
期間
区分
9/15 (土)
3/2 (土)
(計画:2 公演)
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
実績
1回
1日
1,104 人
(69.9%)
1,580 人
計画
1回
1日
1,500 人
(94.3%)
1,590 人
実績
1回
1日
549 人
(93.1%)
590 人
計画
1回
1日
500 人
(84.7%)
590 人
実績
2回
2日
1,653 人
(76.2%)
2,170 人
計画
2回
2日
2,000 人
(91.7%)
2,180 人
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。ポ
スター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等により、公演の周知を図り、一般
の集客に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ 9 月雅楽は、複雑な進行からなる次第が、字幕とプログラムで分かりやすく示されていたように思う。
また国立劇場の公演を意識したためであろうか、数年前に現地で聞いたときより、声明の付楽などは格
段に良い音響が作られていた。
四天王寺の行事として現代人に合わせたと思われる上演形態によって失われた伝統に関しても、何ら
かの方法で検証する必要がある。常に変化するのが伝統であり、その一翼を担う国立劇場だが、逆に、
伝統を守り、かつての姿を検証する一助になる事も、国立劇場の存在理由の一つと考えられないだろう
か。
昭和 44 年以来久々の上演で、省略を最低限に抑え、聖霊会の華やかな全体像を分かりやすく紹介する
という姿勢が見てとれ、東京で居ながらにして聖霊会を楽しむことを体現した公演であった。
・ 3 月雅楽は、伝統的な管絃の公演を、特に目を引くような細工もなく行っていくのは国立劇場の一つの
大きな役割のように思う。このような公演を是非定期的に行っていって欲しいと思う。
宮内庁楽部の演奏家の若手の台頭が著しく、はつらつとした演奏だと感じた。解説書の安齋省吾氏に
よる説明も分かり易く、特に「調子について」と「曲目解説」を分けた点は非常に親切であったと思う。
これまでの公演と前回・次回の公演の内容を見ると、公演間の関連があり、雅楽をより分かりやすく
伝えるよう配慮されている。
4.アンケート調査
3 月公演(本館小劇場)で実施(1 回)。
回答数 381 人(配布数 500 人、回収率 76.2%)。回答者の 86.6%が概ね満足と答えた(330 人)。
【特記事項】
・9 月公演、3 月公演ともに、あぜくらの会員を対象とした事前レクチャーを実施した。
(9 月公演)「四天王寺の聖霊会について」9 月 5 日(水)14:00、レクチャー室
参加者数 107 人
講演=南谷美保(四天王寺大学教授)
(3 月公演)「管絃-壱越調と平調-について」2 月 21 日(木)14:00、レクチャー室
参加者数 101 人
出演=豊英秋、安齋省吾、大窪永夫
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 9 月公演は、首都圏では上演が稀であり、舞楽法要の様式をいまにとどめる「四天王寺の聖霊会」を昭
40
和 44 年以来 43 年ぶりに本格的な形で上演することができた。また、出来る限り実際の聖霊会に合わせ、
二階席仮設舞台や客席通路を使うなど劇場空間を生かした演出を行った。あぜくら会員を対象とした事
前レクチャーと公演により、大阪に伝わる四天王寺の雅楽を首都圏の観客に紹介し関心を高めることが
できた。
・ 3 月公演は、観客、演者とも演奏に集中できるように高欄・地布を設えたオーソドックスな舞台にした。
よく知られた曲と演奏機会の少ない曲とで構成し、初心者から雅楽愛好者まで楽しめるよう工夫した。
あぜくら会員を対象とした事前レクチャーでは公演出演者による実演を交えた解説を行い、特に初心者
には得がたい鑑賞の手引きとなった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 9 月公演は、入場者数が目標に達しなかった。今後の宣伝・営業方法についてより一層工夫していく。
3 月公演のような伝統的な上演形態の公演をどのように行ってゆくかについては演者と共に検討してい
きたい。
声
明
【制作方針】
仏教儀式において僧侶が唱える声の音楽である「声明」。国立劇場では僧侶の声、打ち物、所作など、
仏教儀礼における様々な表現力に芸術性を見出し、声明公演として紹介してきた。今年度は、国立劇場初
出演となる融通念佛宗総本山大念佛寺の最大の行事である「万部法要」を取り上げる。幽玄な音色を奏で
る管絃、僧侶の荘厳な声明、そして法要の核をなす念仏が重なり合い、響き合う音楽的要素に焦点をあて
るとともに、厳かに装飾された二十五体の菩薩が入退堂するお練りをあわせて楽しめるようにする。
【実績】
1.公演実績
公演名
11 月声明公演 「大念佛寺の声明
万部法要」
劇場
本館
小劇場
期間
11/10(土)
区分
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
実績
2回
1日
824 人
(78.9%)
1,044 人
計画
2回
1日
900 人
(86.2%)
1,044 人
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。ポ
スター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等により、公演の周知を図り、一般
の集客に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ 全員の僧侶が声明の細かな装飾音にいたるまで、丁寧に揃って唱和され、雅楽と相和し、まさに極楽
浄土はさもあらん、と思わずにはいられなかった。6 月特別企画、9 月雅楽公演とともにいずれも仏教音
楽と舞楽との協働によるもので、聴衆にとっても見応え聴き応えのある公演であった。また雅楽と仏教
行事との深い関わりを伝え、関西の人々に親しまれている仏教行事の様子を関東の人々に伝える上でも
非常に有意義であった。
公演に先立つ吉村暲英宗務総長の解説も興味深く、分かりやすいものであった。花道を使った「お練
り」は観客を魅了したとともに、二十五菩薩が手にした楽器には、大いに興味をそそられた。
4.アンケート調査
回答数 353 人(配布数 431 人、回収率 81.9%)。回答者の 81.0%が概ね満足と答えた(286 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛
・ 字幕表示装置により、演奏に合わせて式次第、経文を表示して鑑賞の助けとした。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 声明、念仏、管絃と多様な音が重なり合う堂内の雰囲気をうまく作り出し、所期の目的を十分に達成
できた。また声明・管絃とも大念佛寺で執行される万部法要のときよりも格段に洗練されていた。これ
は今回劇場での公開を意識し、出演にあたり融通念仏宗僧侶が稽古を重ねられた成果であろう。今後万
部法要の行事を遂行する上でも有意義なことであった。また、花道を使用してお練りを行ったことは、
菩薩の全貌が見やすく効果的であった。
41
○
・
見直し又は改善を要する点
16 時の部の集客が 13 時の部に比べて少なく目標入場者数に及ばなかった。その理由の 1 つとして外
部専門家より、16 時の部に花道を使った菩薩の退堂があることが周知されていなかったためではないか
との指摘があった。チラシ等で見どころをいかに訴えかけるかについて、細心の注意を払っていきたい。
民俗芸能、琉球芸能
【制作方針】
国立劇場の民俗芸能公演は、日本各地で受け継がれる芸能を上演することで、これら芸能の多様さや独
自性を認識し、さらには伝統文化の後世への継承を目的としている。今年度は、先の東日本大震災による
被災地への復興支援として 6 月公演では「岩手」、2 月公演では「宮城」に伝わる芸能を取り上げる。
琉球芸能公演では、芸能史上初めて歌舞伎俳優が組踊の新作に主演することとなった。世界的な演劇活
動により国際的にも知名度の高い坂東玉三郎の出演により、国内外における組踊への関心が高まることを
企図する。沖縄の中堅若手の組踊伝承者が共演し、組踊と同じく宮廷芸能であった琉球古典舞踊もあわせ
て上演する。同内容の公演を本公演の 1 週間後に開催する国立劇場おきなわとの共同制作により実施する。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
6 月民俗芸能公演 「東日本大震
6/23(土)
災復興支援 東北の芸能Ⅰ岩手」
本館
2 月民俗芸能公演 「東日本大震
小劇場
2/2(土)
災復興支援 東北の芸能Ⅱ宮城」
【民俗芸能 小
計】
3 月琉球芸能公演 「新作組踊と琉
球舞踊」
【民俗芸能・琉球芸能 合計】
期間
区
回
分
数
実績
日数
入場者数
入場率
総席数
2回
1日
1,104 人
(93.6%)
1,180 人
計画
2回
1日
900 人
(76.3%)
1,180 人
実績
2回
1日
1,008 人
(85.4%)
1,180 人
計画
2回
1日
950 人
(80.5%)
1,180 人
実績
4回
2日
2,112 人
(89.5%)
2,360 人
計画
4回
2日
1,850 人
(78.4%)
2,360 人
2 公演
(計画:2 公演)
本館
3/8(金)~10
実績
3回
3日
1,677 人
(94.7%)
1,770 人
小劇場
(日)
計画
3回
3日
1,590 人
(89.8%)
1,770 人
3 公演
実績
(計画:3 公演)
7回
5日
3,789 人
(91.7%)
4,130 人
計画
7回
5日
3,440 人
(83.3%)
4,130 人
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。ポ
スター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等により、公演の周知を図り、一般
の集客に努めた。6 月は新聞 3 紙に取材記事、公演評 3 紙が掲載された。2 月は新聞 2 紙に取材記事が
掲載された。3 月琉球芸能は新聞 27 件に取材記事、公演評 9 件が掲載された。
3.外部専門家等の意見
・ 6 月民俗芸能公演では、それぞれ上演に先立って地域の被災状況と芸能伝承に対する取り組み、上演
芸能の内容等についての説明がなされた。今回公演された虎舞、剣舞、しし踊り、神楽は、岩手県の北
上山地から三陸沿岸地域の代表的な民俗芸能であり、限られた日程の中での公演芸能の選択としては適
切だったといえる。震災復興支援という目的に加え、印刷物の解説によって、この地方の主な民俗芸能
を知る機会にもなったといえよう。
虎舞、剣舞、しし踊り、黒森神楽のいずれも、実際に演じられる場で必要となる祭壇等々、民俗芸能
公演としての舞台設営も適切であった。時間が限られているので、上演演目はそれぞれ主要部に絞られ
ていたが、黒森神楽のシットギ獅子は、実際に演者が観客の顔にシトギ(粢)を付けてまわり、演者と
観客が一体感をもつという民俗芸能の特色を体感する工夫がなされていた。
・ 2 月民俗芸能公演では、宮城県内に伝わる数種の民俗芸能を上演することによって、多様な、しかも
長い歴史の中で庶民によって育まれてきた芸能が存在することが理解されたといえる。一地方がもつ多
様な伝承文化の復興への視点が提示できている。演技に先立って代表者が、3・11 被災以後の復興状況
報告と、全国からよせられた支援に対するお礼が述べられ、公演意図を観客に示す方法としてよかった
と思う。今回、雄勝法印神楽が上演した「鉤弓」は、実に 60 年ぶりの実演ということで、この国立劇場
42
への出演が、震災からの再起だけでなく、失われつつあった演目の再生にも一役かったことになると言
えるだろうか。
・ 3 月琉球芸能公演では、第一部は琉球舞踊で、女踊・四つ竹、若衆踊・麾(ぜい)、女踊・本貫花、
二才踊・前の浜、女踊・柳の 5 題、第二部は新作組踊として「聞得大君誕生」が上演された。琉球芸能
公演は今回で 16 回目を迎えるが、沖縄の若手の演者に、歌舞伎俳優の坂東玉三郎を迎えての公演であり、
今回の琉球芸能公演のもつ意義が大きいことは衆目の一致するところであろう。組踊そのものが、かつ
て玉城朝薫がヤマトの芸能を取り込みながら組み立てたことを考えるなら、こうした試みがあっても当
然と思われるが、初めて歌舞伎俳優が主役を演ずるという今回の公演については、関係各位の熱意と努
力があって実現でき、その成功に祝意を表したい。
4.アンケート調査
6 月民俗芸能公演で実施(1 回)。
回答数 425 人(配布数 562 人、回収率 75.6%)。回答者の 90.1%が概ね満足と答えた(383 人)。
3 月琉球芸能公演で実施(1 回)。
回答数 371 人(配布数 553 人、回収率 67.1%)。回答者の 81.9%が概ね満足と答えた(304 人)。
【特記事項】
(6 月民俗芸能公演 東日本大震災復興支援「東北の芸能」Ⅰ 岩手)
・ 後援:岩手県、岩手県教育委員会
・ 小劇場ロビーで「岩手の芸能」支援募金をおこなった。義援金は岩手県内被災地の民俗芸能の支援に
充てるため、公益財団法人岩手県文化振興事業団主宰「いわて芸術文化復興エイド寄附金」に寄附した。
・ 岩手県の協力で県内の観光パンフレットをロビーで配布し、劇場 2 階休憩所において岩手県の物産展
を開催した。
・ 字幕表示装置により、舞台の進行に合わせて詞章等を表示し鑑賞の助けとした。
(2 月民俗芸能公演 東日本大震災復興支援「東北の芸能」Ⅱ 宮城)
・ 4 時の部において皇太子同妃両殿下の行啓が行われた。
・ 後援:宮城県・宮城県教育委員会
・ 小劇場ロビーで「宮城の芸能」支援募金をおこなった。義援金は、宮城県内の文化芸術活動の支援に
充てるため、公益財団法人宮城県文化振興財団に寄附した。
・ 小劇場ロビーにて宮城県の観光案内、及び物産展を設けた。
(3 月琉球芸能公演 「新作組踊と琉球舞踊」)
・ 8 日第 2 部で、天皇皇后両陛下の行幸啓が行われた。
・ 2 社企業より特別協賛を得た。(沖縄県酒造協同組合、オリオンビール(株))
・ 小劇場ロビーで国立劇場おきなわ職員が紅型衣裳を模した法被をつけて広報宣伝活動をおこなった。
また、沖縄の物産販売コーナーを設けた。
・ 字幕表示装置により、舞台の進行に合わせて詞章等を表示し鑑賞の助けとした。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 6 月民俗芸能で、東日本大震災復興支援として東北地方の芸能を企画したことが大きな関心を持って
迎えられ、目標入場者数を達成することができた。この機会により多くのお客様に東北の芸能を知って
いただくため、入場料金を通常の民俗芸能公演より低く設定し、また通常有料販売する公演プログラム
を入場者全員に無料配布した。また、出演団体の協力も得てロビーで職員が岩手の芸能支援の募金を行っ
た。
・ 2 月民俗芸能は、13 時の部では沿岸部だけでなく県全域からこれまで出演歴のない 4 団体を選び、16
時の部では 22 年 6 月民俗芸能公演出演直後に被災され、大きな被害を受けた雄勝法印神楽を取り上げた。
特に雄勝法印神楽には、芸能の復興の先を見据えて演目の復活に意欲的に取り組んでもらった。
・ 3 月琉球芸能は、歌舞伎女方の第一人者が組踊に取り組むというかつてない試みの公演だった。坂東
玉三郎の人気知名度により組踊の社会的認知度を高め、あわせて沖縄の組踊伝承者にあたらな将来展望
を与えることを目指した。記者会見等を行ったことで前評判が高まり、入場者数の目標を上回ることが
できた。初めて接する沖縄の芸能や実演家を高く評価する意見がアンケート等で寄せられ、当初の目的
を達成できた。
特別企画
43
【制作方針】
本館の 4 月「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」は、将来の日本舞踊界・邦楽界を担う新進気鋭の
演者を起用し、主役や大曲に挑んでもらう舞踊と邦楽の合同公演。6 月「伎楽」では、日本伝来 1400 年と
なる伎楽を特集する。同じく 9 月の「日本の太鼓」は、テーマを「打ち込み」として各地より選りすぐり
の太鼓芸能を上演する。
文楽劇場の「新進と花形による舞踊・邦楽鑑賞会」は、現在躍進目覚ましい舞踊家・演奏家に脚光をあ
てて、将来の舞踊界・邦楽界を新たに展望する公演。本年は関西在住の期待の新進・花形実演家を厳選す
る。特別企画公演「黄檗宗大本山 萬福寺の梵唄~黄檗・禅の声明~」は、禅の一派でありながら様々な
鳴らし物を伴うリズミカルな梵唄が特徴的な黄檗宗萬福寺の声明を紹介する。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
4 月舞踊・邦楽公演「明日をになう新
4/21 (土)
進の舞踊・邦楽鑑賞会」
本館
6 月特別企画公演「伎楽-日本伝来
小劇場
1400 年-」
9 月特別企画公演「日本の太鼓 一
打に込める思い」
【本館特別企画 小
本館
大劇場
計】
期間
3 公演
5 月舞踊・邦楽公演 「新進と花形に
6/2 (土)
9/1 (土)
文楽劇場
9 月特別企画公演「黄檗宗大本山
9/15 (土)
萬福寺の梵唄~黄檗・禅の声明~」
【文楽劇場特別企画 小
【特別企画公演 合計】
計】
回数
日数
入場者数
実績
1回
1日
368 人
(62.4%)
590 人
計画
1回
1日
450 人
(76.3%)
590 人
実績
2回
1日
1,125 人
(95.3%)
1,180 人
計画
2回
1日
1,000 人
(84.7%)
1,180 人
実績
1回
1日
1,039 人
(64.5%)
1,610 人
計画
1回
1日
1,250 人
(77.6%)
1,610 人
計画
4回
3日
2,532 人
(74.9%)
3,380 人
実績
4回
3日
2,700 人
(79.9%)
3,380 人
計画
1回
1日
319 人
47.1%
677 人
実績
1回
1日
400 人
59.1%
677 人
計画
1回
1日
727 人
96.5%
753 人
実績
1回
1日
650 人
86.3%
753 人
計画
2回
2日
1,046 人
73.1%
1,430 人
実績
2回
2日
1,050 人
73.4%
1,430 人
計画
6回
5日
3,578 人
74.4%
4,810 人
実績
6回
5日
3,750 人
78.0%
4,810 人
(計画:3 公演)
5/12 (土)
よる舞踊・邦楽鑑賞会」
区分
2 公演
(計画:2 公演)
6 公演
(計画:6 公演)
入場率
総席数
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼を行い、各公演とも数社によるインタビュー記事掲載に尽力している。ポ
スター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、国立文楽劇場友の会会報、振興会ニュース等により、
公演の周知を図り、一般の集客に努めた。本館 9 月公演は新聞 3 紙に取材記事が掲載された。文楽劇場
5 月舞踊・邦楽公演は新聞記事掲載 2 件、9 月特別企画公演は新聞記事掲載 3 件、ラジオでの公演紹介 1
件であった。文楽劇場 9 月特別企画公演では萬福寺の関係団体に対し勧誘を行った。
3.外部専門家等の意見
(本館)
・ 4 月舞踊・邦楽公演では、邦楽については、新進芸術家の登竜門として伝統ある会だけに、出演者の
意気込みや緊張感が伝わるような熱演となった。例年に比べると、「新進」であるがゆえの未熟さがそ
れほどなく、むしろ、「新進」としての気概にあふれた好演が続いた。舞踊については、清元「玉屋」
の若柳薫子は、情景描写が細かく、顔の表情での演じ分けがクッキリと良い。小柄なのでキビキビとし
ていた。清元「雨の権八」の花柳琴臣は、台詞の巧さに感心したが、表情に課題。憂い顔が固定化した
ように多く、柔らかい色男ぶりがもっと欲しい。また 2 人とももっと観客にアピールするものがもっと
欲しい。新進らしいパンチが足りないと思う。本公演の更なる継続と、一層の内容の充実を願う。
・ 6 月伎楽公演では、再現された伎楽はもとよりかつての姿そのままではないが、天理大学の伎楽はす
でに 30 年におよぶ歴史を有しているので、これ自体がすでに新たな伝統になりつつあることも感じられ
た。プログラムに、芝祐靖氏、佐藤浩二氏、吉岡幸雄氏らによる伎楽曲の復曲の背景が記されているの
も、今回の公演の背景を知る上で参考になった。声明は、客席から登場する練供養に始まり、お客様も
参加させての「惣礼」なども、演出的に楽しめるものであった。ただ、非常にコンパクトにまとめすぎ
44
たことは否めない。「新伎楽」の筋の語りを、薬師寺の論義の語り口で行っていたが、これは薬師寺流
の語り物、現代の仏教の語り物として興味深い。伎楽は、復元・復曲ではなく、いわば現代の伎楽であ
り、新たな芸能、パフォーマンスともいえる。それぞれ個性ある役柄であり、関連性にも乏しいが、ス
トーリー性をもたせ、行道のあと、寝てしまった獅子を欄干の外側、舞台の上手に伎楽の奏者を下手に
それぞれ配して、舞台に奥行きを持たせ、観客は一つの音楽劇として楽しめたのではないだろうか。
・ 9 月「日本の太鼓」は、神祭りなどで演じられる太鼓芸能と、創作芸能としての太鼓を組み合わせた
公演は、国立劇場ならではの企画といえる。「光の群像」は、その演奏の質の高さはいうまでもないが、
倉敷天領太鼓とともに民俗芸能としての2つの太鼓と同様、身体技法としての太鼓演奏が加味され、
「全
身全霊で打つ『打ち込み』がテーマです」という意図が、十分に理解できる内容で、今後の太鼓公演の
テーマ設定の豊かな可能性がうかがえる公演だった。
「日本の太鼓」のシリーズが担う役割は今後も大いにあると思われるが、継続させていくためには、
その回ごとの新しい展開を、幅広い人々に対してわかりやすくアピールするさらなる工夫を期待したい。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場 5 月舞踊・邦楽公演は、バラエティに富んだジャンルと人選で、実力もあり、こういう人材
をきちんと取り上げることができる劇場の制作陣の勉強ぶりに頭が下がる。ただ、多岐にわたるジャン
ルだからこそ、全体を見たときの盛り上がりに欠けるので、テーマを決めるなり、これが今回の目玉と
劇場側で打ち出すなど、ときには公演自体に工夫をこらしてもいいのではないか。
・ 文楽劇場 9 月特別企画公演は、チケット完売ということだが、関西の観客の声明へ関心の高さがうか
がわれると同時に、東京からの観客もだいぶいたようである。宗教における伝統音楽の公演を国立の劇
場で実施することの意義深さも思った。
4.アンケート調査
本館 6 月特別企画公演で実施(1 回)。
回答数 346 人(配布数 518 人、回収率 66.8%)。回答者の 78.6%が概ね満足と答えた(272 人)。
文楽劇場 9 月特別企画公演で実施(1 回)
回答数 302 人(配布数 587 人、回収率 51.4%)回答者の 92.1%が概ね満足と答えた(278 人)
【特記事項】
・ 字幕表示装置により、詞章等を表示し鑑賞の助けとした(本館 4 月舞踊・邦楽、本館 6 月特別企画「伎
楽」、文楽劇場 9 月特別企画公演)
・ 本館 9 月特別企画公演「日本の太鼓」において、株式会社浅野太鼓楽器店の協力を得た。
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場 5 月舞踊・邦楽公演、9 月特別企画公演)
・ 大阪文化祭参加(文楽劇場 5 月舞踊・邦楽公演)
・ 文楽劇場 9 月特別企画公演プレ講座「禅の声明―萬福寺の梵唄―」を開催した。(8 月 23 日、小ホー
ル、参加人数 144 名)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
(本館)
・ 4 月舞踊・邦楽公演は、邦楽では、3 曲とも各ジャンルの代表曲ともいえる選曲で、若手らしい清々し
さが活かされた表現で高い演奏成果を収めることができた。師匠の指導により琴臣は芝居色の強い「雨
の権八」で、薫子は江戸風俗舞踊の定番である「玉屋」で実力を発揮した。
・ 6 月「伎楽」は、多くの人にとって実際に見る機会の少ない「伎楽」という芸能を紹介することがで
きた。
・ 9 月「日本の太鼓」は、「打ち込み」をテーマにバラエティに富んだ構成で太鼓芸能の奥深さを堪能
する公演となった。
(文楽劇場)
・ 5 月舞踊・邦楽公演は、若手花形実演家たちがそれぞれ意欲的に取り組み、熱意を感じられる好舞台
の競演となった。将来、関西の舞踊・邦楽界への期待感を一層高める内容であった。
・ 9 月特別企画公演「萬福寺の梵唄」は、鳴らし物の入った音楽的要素の強い独特の声明が観客の興味
をそそった。また字幕表示装置によって舞台上の法要の進行を解説し、理解を深める手だてとした。
○ 見直し又は改善を要する点
(本館)
・ 4 月舞踊・邦楽公演は、目標入場者数を達成できなかった。全体に若い出演者が多いなかで苦戦する
45
結果となった。チラシの折込みや新聞記事の斡旋など広報宣伝には努めたが、この結果を踏まえて企画
内容や宣伝広報を工夫していきたい。
・ 6 月「伎楽」について「復元・復曲ではなく、いわば現代の伎楽であり、新たな芸能、パフォーマンス
ともいえる」という指摘があった。今回はチラシ・プログラムの解説文において「復元」に替えて「復
興」という言葉を用いることで古典の復元ではないことを示していたが、今後はさらに明確な表現をし
なければならない。
・ 9 月「日本の太鼓」は、入場者数が昨年より減少した。新たな観客層を開拓するため、インターネット
を通じた公演 PR など、積極的に取り組むことで集客を計りたい。
(文楽劇場)
・ 5 月舞踊邦楽公演は、目標入場者数に達しなかった。引き続き公演の周知に努める。
46
2-(1)-④
大衆芸能
《総
表》
【制作方針】
大衆芸能には、落語・浪曲・講談のほか、太神楽曲芸・漫才・漫談・コント・奇術・ものまね・俗曲等
多様なジャンルがある。国立演芸場では、これらのジャンルを幅広く取り込むと共に、様々な出演者によ
る多彩な公演を企画する。
「定席公演」は、落語協会、落語芸術協会を中心とし、多様なジャンルを交えて幅広い観客層に楽しん
でいただく公演。「企画公演」は、落語の他に奇術・太神楽曲芸・講談・漫才などにより、公演毎にテー
マを設定して企画する公演。「若手新人公演」は、各演芸ジャンルの新人発掘、育成のため、若手を中心
とした番組構成による公演。「国立名人会」は、名人上手といわれる出演者を主とし、定席で聴くチャン
スの少ない演目なども取り上げる公演。「新春国立名人会」は、各ジャンルの豪華なメンバーと寿獅子の
舞で新春に相応しい公演とする。
文楽劇場「師走浪曲名人会」は関西を代表する浪曲師が顔を揃える恒例の浪曲公演。それぞれの得意の
演目を披露する番組構成で、浪曲の魅力を引き出す公演を目指す。「浪曲錬声会」は次代を担う若手浪曲
師の「語りを熟達させる」ことを目的に、若手を中心に構成した番組構成で、浪曲の魅力をアピールする
公演とする。「上方演芸特選会」は、上方演芸 4 団体(上方落語協会・浪曲親友協会・関西演芸協会・関西
芸能親和会)の総力を結集し、落語・漫才・浪曲・太神楽・講談など多彩で昔懐かしい寄席の雰囲気を体現
した公演とする。
【実績】
1.公演実績
公演名
【定席公演】
【花形演芸会】
【新春国立名人会】
【国立名人会】
【特別企画公演】
【大衆芸能(演芸場)合計】
【師走浪曲名人会】
【浪曲錬声会】
【上方演芸特選会】
【大衆芸能(文楽劇場)合計】
【大衆芸能公演 総合計】
公演数
区分
回数
日数
入場率
総席数
20 公演
実績
221 回
199 日
34,308 人
(51.7%)
66,300 人
演芸場
計画
219 回
199 日
32,700 人
(49.8%)
65,700 人
12 公演
実績
演芸場
12 回
12 日
3,151 人
(87.5%)
3,600 人
計画
12 回
12 日
3,310 人
(91.9%)
3,600 人
1 公演
実績
8回
6日
2,383 人
(99.3%)
2,400 人
演芸場
計画
8回
6日
2,300 人
(95.8%)
2,400 人
10 公演
実績
10 回
10 日
2,709 人
(90.3%)
3,000 人
演芸場
計画
10 回
10 日
2,900 人
(96.7%)
3,000 人
11 公演
実績
16 回
15 日
4,403 人
(91.7%)
4,800 人
演芸場
計画
16 回
15 日
4,470 人
(93.1%)
4,800 人
実績
267 回
242 日
46,954 人
(58.6%)
80,100 人
計画
265 回
242 日
45,680 人
(57.5%)
79,500 人
1 公演
実績
1回
1日
743 人
(98.7%)
753 人
文楽劇場
計画
1回
1日
700 人
(93.0%)
753 人
1 公演
実績
2回
1日
258 人
(81.1%)
318 人
文楽劇場小ホール
計画
2回
1日
260 人
(81.8%)
318 人
6 公演
実績
24 回
24 日
3,520 人
(92.2%)
3,816 人
文楽劇場小ホール
計画
24 回
24 日
2,880 人
(75.5%)
3,816 人
実績
27 回
26 日
4,521 人
(92.5%)
4,887 人
計画
27 回
26 日
3,840 人
(78.6%)
4,887 人
実績
294 回
268 日
51,475 人
(60.6%)
84,987 人
劇場
54 公演
8 公演
62 公演
47
入場者数
292 回
計画
268 日
49,520 人
(58.7%)
84,387 人
2.営業・広報
・ 広報として、インターネット・あぜくら会報・振興会ニュースの配布、公演ガイド等で国立演芸場に
係る公演の周知に努めた。公共施設、学校、デパート、近隣の施設などの団体顧客にポスター・チラシ
を配布し、また、新聞記事、雑誌記事、新聞広告等により公演の宣伝を図った。
・ 文楽劇場では、広報としてチラシ・ポスター・インターネット・国立文楽劇場友の会会報・振興会ニュー
スの配布等で公演の周知に努めた。また、地元ラジオ局に働きかけ、演者の番組出演や番組内での視聴
者プレゼントによる公演紹介を行った。
3.外部専門家等の意見
(演芸場)
・ 定席公演、企画公演、若手新人公演と、それぞれに特色があり、バランスが良い。
・ 観客のマナーが良く、前売券を販売することも国立演芸場の魅力。
・ 企画公演は、集客のみの成果を求めるのでなく、今後の発展を視野に入れて企画して欲しい。
・ 若手の育成や、新作脚本の発掘など、国立演芸場ならではの仕事は、意義深い。
・ 震災の影響で一時観客数が落ち込んだが、復活の兆しを見せている。いっそうの努力をされたい。
(文楽劇場)
・ 「上方演芸特選会」は団体の扱いがあり、客席は満席で非常に良い事だと思う。営業、企画、制作、
宣伝他スタッフのみなさんのご努力によるものだと思う。団体にしてはお客様の質も良く、きっと出演
者もやりやすかったのではと思っている。
4.アンケート調査
(演芸場)
12 公演で実施 (12 回) した。
回答数 1,139 人(配布数 3,008 人、回収率 37.9%)。回答者の 91.7%が概ね満足と答えた(1,045 人)。
(文楽劇場)
3 月上方演芸特選会で実施(1 回)した。
回答数 113 人(配布数 162 人、回収率 69.8%)。回答者の 87.6%が概ね満足と答えた(99 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(本館の 10 月・11 月実施の 8 公演)
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(文楽劇場 11 月上方演芸特選会)
・ 関西元気文化圏共催事業(文楽劇場)
・ 大阪文化祭参加(文楽劇場 5 月上方演芸特選会・5 月浪曲錬声会)
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績 51,475 人/目標 49,520 人(達成度 103.9%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
(演芸場)
・ 定席公演は、23 年度は 3 月の東日本大震災の影響により観客数が落ち込んだが、24 年度になって徐々
に回復の兆しを見せてきている。特に 24 年度は真打昇進披露や大名跡の襲名披露公演が良い刺激とな
り、また、鹿芝居やかぶき噺など企画性のある定席公演が好成績を収めた。企画公演はシリーズ化し
た公演のほか新企画も、多くの観客の支持を得ることができた。若手新人公演には、次代を担う人材
の発掘に取り組み、観客の興味も惹いている。
・ 「親子で楽しむ演芸会」は、インターネット販売の好調により、満席となる活況を呈している。
(文楽劇場)
・ 「上方演芸特選会」は落語、漫才、浪曲、諸芸と特色ある顔ぶれによる文楽劇場ならではの充実し
た番組を構成できた。団体客を含めた集客も充実し、目標を上回る入場者数となった。
○ 見直し又は改善を要する点
(演芸場)
・ 24 年度は、震災による不安や節約ムードが徐々に薄らいでいく様子が感じられた。一旦離れた観客
を呼び戻すことは難しいが、公演に企画性を持たせることや新規の団体なども勧誘し、活況を呈する
よう努めていく。
48
(文楽劇場)
・ 演芸公演全体に観客の高齢化が目立ってきた。番組構成に工夫を凝らし、新しい観客層の開拓も進
めていきたい。
49
《大 衆 芸 能 詳 細 表》
(1) 定席公演(上席・中席)
【制作方針】
落語協会、落語芸術協会を中心とした出演者による落語に加え、浪曲や講談のほか、太神楽曲芸・漫才・
奇術やコント等いわゆる色物も取り上げて多種多彩な番組構成とする。また、他の寄席では見られない国
立演芸場ならではの企画内容を盛り込んだ、興趣溢れる公演も行う。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
期間
4 月上席
4/1(日)~10(火)
4 月中席
4/11(水)~20(金)
5 月中席
5/11(金)~20(日)
6 月上席
6/1(金)~10(日)
6 月中席
6/11(月)~20(水)
7 月上席
7/2(月)~10 日(火)
7 月中席
7/11(水)~20(金)
8 月上席
8/1(水)~10(金)
8 月中席
演芸場
8/11(土)~20(月)
9 月上席
9/1(土)~10(月)
9 月中席
9/11(火)~20(木)
10 月上席
10/1(月)~10(水)
10 月中席
10/11(木)~20(土)
11 月上席
11/1(木)~10(土)
11 月中席
11/11(日)~20(火)
1 月中席
1/11(金)~20(日)
2 月上席
2/1(金)~10(日)
区分
回数
日数
実績
11 回
10 日
739 人
(22.4%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,200 人
(36.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
2,191 人
(66.4%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
2,600 人
(78.8%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
3,207 人
(97.2%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,700 人
(51.5%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
1,190 人
(36.1%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,300 人
(39.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
1,334 人
(40.4%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,300 人
(39.4%)
3,300 人
実績
10 回
9日
1,410 人
(47.0%)
3,000 人
計画
10 回
9日
1,500 人
(50.0%)
3,000 人
実績
11 回
10 日
980 人
(29.7%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,200 人
(36.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
1,153 人
(34.9%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,200 人
(36.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
3,408 人
(103.3%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
3,000 人
(90.9%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
837 人
(25.4%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,100 人
(33.3%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
865 人
(26.2%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,200 人
(36.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
645 人
(19.5%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,100 人
(33.3%)
3,300 人
実績
12 回
10 日
1,699 人
(47.2%)
3,600 人
計画
11 回
10 日
1,100 人
(33.3%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
2,329 人
(70.6%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,700 人
(51.5%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
2,707 人
(82.0%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,700 人
(51.5%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
2,501 人
(75.8%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
2,500 人
(75.8%)
3,300 人
実績
12 回
10 日
2,008 人
(55.8%)
3,600 人
50
入場者数
入場率
総席数
2 月中席
2/11(月)~20(水)
3 月上席
3/1(金)~10(日)
3 月中席
3/11(月)~20(水)
【定席公演】
20 公演(計画:20 公演)
計画
11 回
10 日
1,300 人
(39.4%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
3,076 人
(93.2%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
2,800 人
(84.8%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
1,107 人
(33.5%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
2,000 人
(60.6%)
3,300 人
実績
11 回
10 日
922 人
(27.9%)
3,300 人
計画
11 回
10 日
1,200 人
(36.4%)
3,300 人
実績
221 回
199 日
34,308 人
(51.7%)
66,300 人
計画
219 回
199 日
32,700 人
(49.8%)
65,700 人
※ 追加貸切公演を計 2 回実施した。(10 月中席 1 回、2 月上席 1 回)
2.営業・広報
・ マスコミへの宣伝材料の提供及びポスター・チラシ・インターネット・あぜくら会報・振興会ニュー
ス、新聞広告、演芸雑誌「東京かわら版」に公演案内等を行った。
・ 公演日程に合わせ学校ほか各種団体へ企画書を提出し、6 月には前年に引き続き「寄席の日」(6 月の
第 1 月曜日)を落語協会、落語芸術協会及び都内の 4 演芸場と提携し、当日券の割引を実施した。
・ スタンプラリーも引き続き実施し、リピーターによる観客増につなげるよう務めた(1 回の観劇でス
タンプを 1 回押し、スタンプ 5 個で粗品進呈)。また「秋の夜長」キャンペーンとして、夜の公演の鑑
賞者にはスタンプを2回押して販売促進に努めた。
・ 2 月上席の節分の日に入場者全員に豆を配布し、舞台からも豆撒きをして大いに喜ばれた。また、3 月
上席の雛祭には入場者全員に雛あられを配布し、サービスの向上に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ 定席公演で、落語協会と落語芸術協会が真打昇進披露を、桂平治が文治襲名披露公演を行ったことが
良いアクセントとなった。圓丈のかぶき噺や、恒例ともなった鹿芝居など、定席における企画物も成果
を挙げており、歌丸がネタ出しで定席を務めることも、観客の支持を得ている。
4.アンケート調査
定席公演では実施せず、花形・名人会・特別企画公演において実施した。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 企画公演で行ってきた「圓丈かぶき噺」だが、作品のストックが出来てきたので、10 月の定席で再演
するということを試みた。常の定席とは異なる雰囲気で、お客様にも喜んでいただけた。再演すること
は作品に磨きをかけることともなるので、今後も企画公演で新作を作り、定席で再演するということを
続けてみたい。
(2) 若手新人公演(花形演芸会)
【制作方針】
若手芸人の発掘及び育成を目的とし、幅広く多種多様な分野からの出演者で番組構成を企画する。併せ
て年間を通して審査を行い、優秀な演者には賞を授与してこれを奨励する。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
4 月花形演芸会(第 395 回)
期間
区分
4/21(土)
演芸場
5 月花形演芸会(第 396 回)
5/26(土)
51
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
実績
1回
1日
203 人
(67.7%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
181 人
(60.3%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
6 月花形演芸会(第 397 回)
6/30 (土)
7 月花形演芸会(第 398 回)
7/22(日)
8 月花形演芸会(第 399 回)
8/18(土)
9 月花形演芸会(第 400 回)
9/30 (日)
10 月花形演芸会(第 401 回)
10/20(土)
11 月花形演芸会(第 402 回)
11/3 (土)
11 月花形演芸会(第 403 回)
11/25 (日)
1 月花形演芸会(第 404 回)
1/19(土)
2 月花形演芸会(第 405 回)
2/2(土)
3 月花形演芸会(第 406 回)
3/9(土)
【花形演芸会】
12 公演
(計画:12 公演)
実績
1回
1日
298 人
(99.3%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
299 人
(99.7%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
217 人
(72.3%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
1回
1日
235 人
(78.3%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
305 人
(101.7%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
299 人
(99.7%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
1回
1日
296 人
(98.7%)
300 人
計画
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
実績
1回
1日
289 人
(96.3%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
1回
1日
249 人
(83.0%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
1回
1日
280 人
(93.3%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
12 回
12 日
3,151 人
(87.5%)
3,600 人
計画
12 回
12 日
3,310 人
(91.9%)
3,600 人
2.営業・広報
・ マスコミへの宣伝材料の提供、ポスター・チラシ・インターネット・あぜくら会報・振興会ニュース、
新聞広告、演芸雑誌「東京かわら版」等により公演の周知を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 定席では見られない、新たな出演者が発掘されていることは評価できる。花形演芸大賞を出すことで、
演芸界に良い刺激となっている。何よりも受賞者本人にとって良い励みで、過去の受賞者が現在多く活
躍している様子を見ると、この公演の重要性が感じられる。
4.アンケート調査
11 月・1 月公演で実施(2 回)
回答数 215 人(配布数 564 人、回収率 38.1%)。回答者の 94.0%が概ね満足と答えた(202 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度花形演芸大賞の受賞者
大賞:春風亭一之輔
金賞:桂吉弥、柳亭左龍、翁家和助
銀賞:古今亭今輔、三遊亭歌奴、母心
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 23 年度に続いて、春風亭一之輔が大賞に輝いた。24 年 3 月に真打に昇進したばかりの若さで連続受賞
したことは、実力があることの証しといえるだろう。話題性もあることから今後の活動にも弾みがつく
と期待される。客席に若い観客層が目立ち、若手の成長を期待し、応援していこうとする雰囲気が見ら
れることも、この公演の魅力となっている。
(3) 新春国立名人会/国立名人会
【制作方針】
名人会は、各分野の名人といわれる出演者を中心に構成し、定席では聴く機会の少ない演目等も取り上
げる企画とする。新春名人会は、落語協会、落語芸術協会、三遊亭圓楽一門や講談、浪曲、漫才、奇術等
各ジャンルの豪華なメンバーと太神楽曲芸協会員等による寿獅子で、新春にふさわしい企画とする。
52
【実績】
1.公演実績
(新春名人会)
公演名
劇場
期間
新春国立名人会
演芸場
1/2(水)~7(月)
(国立名人会)
区分
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
実績
8回
6日
2,383 人
(99.3%)
2,400 人
計画
8回
6日
2,300 人
(95.8%)
2,400 人
※目標入場者数:1 公演当り 290 人(96.7%)
公演名
期間
区分
回数
日数
入場者数
4 月国立名人会(第 352 回)
4/22 (日)
実績
1回
1日
294 人
(98.0%)
300 人
5 月国立名人会(第 353 回)
5/27 (日)
実績
1回
1日
289 人
(96.3%)
300 人
6 月国立名人会(第 354 回)
6/23 (土)
実績
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
7 月国立名人会(第 355 回)
7/21 (土)
実績
1回
1日
297 人
(99.0%)
300 人
8/26 (日)
実績
1回
1日
293 人
(97.7%)
300 人
9/23 (日)
実績
1回
1日
289 人
(96.3%)
300 人
10 月国立名人会(第 358 回)
10/13 (土)
実績
1回
1日
145 人
(48.3%)
300 人
11 月国立名人会(第 359 回)
11/24 (土)
実績
1回
1日
223 人
(74.3%)
300 人
2 月国立名人会(第 360 回)
2/7 (木)
実績
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
3 月国立名人会(第 361 回)
3/24 (日)
実績
1回
1日
299 人
(99.7%)
300 人
実績
10 回
10 日
2,709 人
(90.3%)
3,000 人
計画
10 回
10 日
2,900 人
(96.7%)
3,000 人
8 月国立名人会(第 356 回)
9 月国立名人会(第 357 回)
【国立名人会】
劇場
演芸場
10 公演
(計画:10 公演)
入場率
総席数
2.営業・広報
・ マスコミへの宣伝材料の提供、ポスター・チラシ・インターネット・あぜくら会報・振興会ニュース
の配信・配布、新聞広告、演芸雑誌「東京かわら版」等により公演の周知を図り、集客に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ 名人会はいつもその名にふさわしいでき栄えで、じっくり楽しめる会として高く評価できる。
・ 新春名人会は、他の寄席では各出演者の持ち時間が短くて新年の挨拶程度で入れ替わってしまうが、
国立演芸場は持ち時間をしっかりとり、新年から一席の噺を聴けるところが評価できる。
4.アンケート調査
5 月公演で実施(1 回)
回答数 103 人(配布数 284 人、回収率 36.3%)。回答者の 92.2%が概ね満足と答えた(95 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演)
・ 新春国立名人会の初日(1 月 2 日)には、吉例となった鏡開きを行い、観客にお酒を振る舞った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 名人会は安定した舞台成果を上げており、観客の支持も高い。今後も名人上手による、見応え、聞き
応えのある舞台を提供していく。
(4) 特別企画公演
【制作方針】
落語のほかに講談、浪曲、漫才、太神楽、奇術、コント、ものまね、俗曲、紙切り、漫談等多種多様の
分野における出演者構成で、公演毎にテーマを設けた企画とする。また立川談志一門、三遊亭圓楽一門に
よる落語会も行う。
53
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
期間
区分
4 月特別企画 立川流落語
4/27(金)~
実績
3回
3日
873 人
(97.0%)
900 人
会
29(日)
計画
3回
3日
870 人
(96.7%)
900 人
実績
1回
1日
294 人
(98.0%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
295 人
(98.3%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
293 人
(97.7%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
278 人
(92.7%)
300 人
計画
1回
1日
270 人
(90.0%)
300 人
実績
2回
1日
551 人
(91.8%)
600 人
計画
2回
1日
500 人
(83.3%)
600 人
6 月特別企画 花形スペ
6/24(日)
シャル~受賞者の会~
7 月特別企画 親子で楽し
7/28(土)
む演芸会
8 月特別企画 圓丈かぶき
8/25(土)
噺「白波五人男」を聴く会
9 月特別企画 歌声寄席
9 月特別企画 女が語る
9/22(土)
演芸場
10 月特別企画 芸術祭寄
9/29(土)
10/21(日)
席
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
10 月特別企画 五代目圓
10/26(金)~
実績
3回
3日
755 人
(83.9%)
900 人
楽一門会
28(日)
計画
3回
3日
800 人
(88.9%)
900 人
実績
1回
1日
268 人
(89.3%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
1回
1日
216 人
(72.0%)
300 人
計画
1回
1日
290 人
(96.7%)
300 人
実績
16 回
15 日
4,403 人
(91.7%)
4,800 人
計画
16 回
15 日
4,470 人
(93.1%)
4,800 人
11 月特別企画 正蔵、正蔵
11/23(金)
を語る
2 月特別企画 上方若手落
2/23(土)
語会
3 月特別企画公演 「圓朝
3/23(土)
に挑む!」
【特別企画公演】
11 公演
(計画:11 公演)
2.営業・広報
・ マスコミへの宣伝材料、ポスター・チラシ・インターネット・あぜくら会報・振興会ニュースの配布・
配信、新聞広告、演芸雑誌「東京かわら版」等により公演の周知及び広報に努め、集客増を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 「立川流落語会」、「圓楽一門会」は、他の寄席では手掛けることのできない国立演芸場ならではの
公演で、どちらもほぼ満席の集客を達成したことは次につながる成果と言える。
4.アンケート調査
4 月、6 月、7 月、8 月、9 月、10 月、2 月、3 月公演で実施(9 回)
回答数 821 人(配布数 2,160 人、回収率 38.0%)。回答者の 91.1%が概ね満足と答えた(748 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭主催公演
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭共賛公演
(10 月)
(10 月・11 月)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 昨年に続き、立川談志一門の「立川流落語会」、五代目三遊亭圓楽門下の「圓楽一門会」が 3 日間ず
つ公演でき、しかもいずれも大入りになったことは大きな収穫である。
54
・
「親子で楽しむ演芸会」はロビーを風船などで飾り付けをし、常の演芸場と一味違った楽しい雰囲気
が好評であった。
・ 新しい試みとなった「歌声寄席」は、演芸のジャンルを超えて芸達者が集い、それぞれが全体を盛り
上げていた。
(5) 師走浪曲名人会/浪曲錬声会/上方演芸特選会
【制作方針】
「師走浪曲名人会」は関西を代表する浪曲師が顔を揃える恒例の浪曲公演。それぞれの得意の演目を披
露する番組構成で、浪曲の魅力を引き出す公演を目指す。24 年度は「浪曲忠臣蔵」とテーマを設け、忠
臣蔵にまつわる演目で番組を構成する。
「浪曲錬声会」は浪曲界の次代を担う若手を中心にベテランの補導出演を加えた番組構成で、今後への
飛躍につながる公演とする。
「上方演芸特選会」は落語、浪曲、漫才、講談、曲芸など多彩な演芸を揃えた番組構成で、温かみのあ
る寄席づくりを目指す。
【実績】
1.公演実績
公演名
劇場
期間
師走浪曲名人会
文楽劇場
12/1(土)
【師走浪曲名人会】
浪曲錬声会
【浪曲錬声会】
日数
入場者数
入場率
総席数
1回
1日
743 人
(98.7%)
753 人
計画
1回
1日
700 人
(93.0%)
753 人
実績
1回
1日
743 人
(98.7%)
753 人
計画
1回
1日
700 人
(93.0%)
753 人
実績
2回
1日
258 人
(81.1%)
318 人
計画
2回
1日
260 人
(81.8%)
318 人
実績
2回
1日
258 人
(81.1%)
318 人
計画
2回
1日
260 人
(81.8%)
318 人
5/16(水)~
実績
4回
4日
606 人
(95.3%)
636 人
19(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
7/4(水)~
実績
4回
4日
641 人
(100.8%)
636 人
7(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
9/26(水)~
実績
4回
4日
652 人
(102.5%)
636 人
文楽劇場
29(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
小ホール
11/21(水)~24
実績
4回
4日
483 人
(75.9%)
636 人
(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
1/9(水)~
実績
4回
4日
548 人
(86.2%)
636 人
12(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
3/6(水)~
実績
4回
4日
590 人
(92.8%)
636 人
9(土)
計画
4回
4日
480 人
(75.5%)
636 人
実績
24 回
24 日
3,520 人
(92.2%)
3,816 人
計画
24 回
24 日
2,880 人
(75.5%)
3,816 人
実績
27 回
26 日
4,521 人
(92.5%)
4,887 人
計画
27 回
26 日
3,840 人
(78.6%)
4,887 人
1 公演
文楽劇場
小ホール
1 公演
7 月上方演芸特選会
9 月上方演芸特選会
11 月上方演芸特選会
1 月上方演芸特選会
3 月上方演芸特選会
【大衆芸能(文楽劇場)合計】
回数
実績
5 月上方演芸特選会
.【上方演芸特選会】
区分
6 公演
(計画:1 公演)
5/26(土)
(計画:1 公演)
(計画:6 公演)
8 公演 (計画:8 公演)
2.営業・広報
・ ポスター、チラシ、インターネット、国立文楽劇場友の会会報、振興会ニュース等により、公演の周
知を図るとともに、マスコミへの記者会見や取材依頼、ラジオ番組への出演や視聴者プレゼントによる
公演紹介等を行い、一層の集客に努めた。
55
3.外部専門家等の意見
・ 「師走浪曲名人会」は毎年盛り上がるが、今年も各演者に盛大に声がかかり、会場はすこぶる良い熱
気に包まれた。
・ 「浪曲錬声会」は、浪曲の聞かせ方に個々の持ち味があり、多様性を感じさせたが、大衆芸能という
点でいかにお客を高揚させ楽しませるか、そのセンスと方向性を考えさせた公演でもあった。
・ 「上方演芸特選会」は、落語、漫才、浪曲の 3 ジャンル共、ぜいたくな出演者が揃い、非常にグレー
ドの高い競演になったと思う。演者それぞれに芸の奥行きが感じられ、上方演芸を存分に楽しませてく
れた。
4.アンケート調査
3 月上方演芸特選会で実施(1 回)
回答数 113 人(配布数 162 人、回収率 69.8%)。回答者の 87.6%が概ね満足と答えた(99 人)。
【特記事項】
・ 関西元気文化圏共催事業(全公演)
・ 大阪文化祭参加(5 月上方演芸特選会、5 月浪曲錬声会)
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(11 月上方演芸特選会)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 落語、漫才、浪曲、諸芸と特色ある顔ぶれによる文楽劇場ならでは充実した番組を構成できた。団体
客を含めた集客も充実し、目標を大きく上回る入場者数となった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 観客の高齢化が目立ってきた。番組構成に工夫を凝らし、新しい観客層の開拓もすすめる。
56
2-(1)-⑤
能
楽
《総
表》
【制作方針】
定例公演は、能・狂言の伝統的な演目を曲柄や季節、能と狂言のバランスを配慮しつつ、能一番・狂言
一番により番組を構成し、初心者にも鑑賞しやすい公演とする。月 2 回のペースで上演し、年間を通して
能・狂言の持つ多様な魅力を余すところなく明らかにする。
普及公演は、能一番・狂言一番に事前の解説をつけ、分かりやすくて深く鑑賞するための公演としてい
る。能・狂言の伝統的な演目を曲柄や季節、能と狂言のバランスを配慮しつつ上演する。
企画公演は、上演頻度の少ない狂言を含めて狂言のみを三番上演する「狂言の会」、復曲能の初演など
を行う「特別企画公演」、能をたっぷり楽しんでもらう「特別公演」、テーマを持たせて能・狂言の魅力
を紹介する「企画公演」を上演する。
【実績】
1.公演実績
区分
期間
定例公演
21 公演
普及公演
11 公演
企画公演
18 公演
鑑賞教室
1 公演
【能楽 合計】
51 公演
区分
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
実績
21 回
21 日
12,011 人
(91.2%)
13,167 人
計画
21 回
21 日
12,453 人
(94.6%)
13,167 人
実績
11 回
11 日
6,762 人
(98.0%)
6,897 人
計画
11 回
11 日
6,523 人
(94.6%)
6,897 人
実績
19 回
19 日
11,062 人
(92.9%)
11,913 人
計画
19 回
19 日
11,267 人
(94.6%)
11,913 人
実績
10 回
5日
5,965 人
(95.1%)
6,270 人
計画
10 回
5日
5,900 人
(94.1%)
6,270 人
実績
61 回
56 日
35,800 人
(93.6%)
38,247 人
計画
61 回
56 日
36,143 人
(94.5%)
38,247 人
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等
により、公演の周知を図り、一般の集客に努めた。
・ 月毎のポスター・チラシのほか、公演内容等に応じて適宜特別ポスター・特別チラシを作成・配布し、
またホームページに公演内容等に応じて適宜トピックスを掲載して広報・宣伝に努めた。
・ 団体観劇への対応は、希望に応じてレクチャーを付けた。また適宜英文の特別チラシを作成し、都内
の観光情報センター、ホテル、成田空港、大学の留学センター等に配布・設置して外国人利用者の集客
を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 復曲能「阿古屋松」は「世阿弥自筆本による能」シリーズの最終公演。現存する世阿弥自筆本のうち
で唯一復曲されていない本曲の上演は特別企画の目玉となろう。シテの観世清和師はもちろん、監修の
松岡心平氏や関係各位の努力によって、一定の完成度を持った舞台となり、その意味では成功と評価で
きる。
・ 能「高砂」は世阿弥時代を模索して老体での上演だったが、それほど違和感なく観られた。上演前に
今回の公演に関わった天野氏と馬場氏の対談があったのはよい配慮。観客もそれを踏まえての鑑賞だっ
たので、抵抗が少なく受け入れられたと思える。
・ 能「卒都婆小町」は「申楽談儀」によるとある新演出の趣向を除いても、たいへんな力演で見応えが
あった。シテ・大槻文藏は芯の強い充実した演技で、問答の迫力など素晴らしかった。
57
4.アンケート調査
年間 51 公演のうち、9 公演にて 9 回実施した。
年間合計で回答数 2,539 人(配布数 4,700 人、回収率 54.0%)。回答者の 85.3%が概ね満足と答えた(2,165
人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催(11 月 21 日狂言の会)
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演、8 公演)
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で、日本語(詞章)・
英語の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績 35,800 人/目標 36,143 人(達成度 99.1%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 4 月特別企画公演 復曲能「阿古屋松」(復曲初演)、企画公演「能を再発見する」シリーズ(5 月
「高砂」、2 月「卒都婆小町」) のほか、10 月月間特集「古事記千三百年にちなんで」、11 月狂言の会
「特集・大藏虎明没後三百五十年記念」の上演など、国立能楽堂独自の切り口での公演を行うことがで
きた。
・ 社会人・親子向けの公演や平家琵琶と能の公演など、普段能楽に親しみのない観客層に対しても、魅
力をアピールすることができた。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(振興会評価委員会)
・ 狂言公演等全般に好調だが、入場者数の目標をかなり下回った公演については更に原因の分析が必要で
あろう。(①)
・ 国立能楽堂の主催公演は入場者数も多く観客の支持も大きいが、流派の例会や個人の会は急速に観客が
減少している。能楽人口の減少にどう対応していけばよいのか、今から考えておく必要があろう。(②)
【対応】
①公演結果の分析と改善
目標未達成の公演については、専門委員会等において意見の聴取を行うなどして要因の分析を行い、演
目・配役等の公演内容や広報・宣伝に改善策を反映させるよう努めているが、引き続き、要因分析と改善
策の検討に努める。
②能楽人口の減少への対応策の検討
能楽愛好者層を拡大するため、解説付きの「普及公演」、詞章の字幕表示、公開講座の開催等により能
楽の普及を図っているほか、将来の能楽愛好者層を育成するため、中・高校生を対象とした「能楽鑑賞教
室」、小学生以下を対象とした「夏休み親子で楽しむ能の会」「夏休み親子で楽しむ狂言の会」等の公演
を実施して、青少年期から能楽に接する機会の拡大を図っている。
また、若手能楽師が都内・地方へ赴き実技体験等のワークショップを行う、「届けます。体験教室」(小・
中・高校生を対象)及び「楽しもう!能と狂言」(地方のホール・美術館等と連携し社会人を対象)を実
施して、新たな能楽愛好者層の創出を図っている。
58
《能
楽
詳 細 表》
(1) 定例公演
【制作方針】
定例公演は、能・狂言の伝統的な演目を曲柄や季節、能と狂言のバランスを配慮しつつ、能一番・狂言
一番により番組を構成し、初心者にも鑑賞しやすい公演とする。月 2 回のペースで上演し、年間を通して
能・狂言のもつ多様な魅力を余すところなく明らかにする。
【実績】
1.公演実績
※目標入場者数:1 回当り 593 人(94.6%)、劇場:能楽堂
公演名
期間
区分
回数
狂言「土筆」、能「桜川」
4/11(水)
実績
1回
狂言「悪太郎」、能「蟻通」
4/20(金)
実績
狂言「夷大黒」、能「海人懐中之舞・二段返」
5/9(水)
実績
狂言「魚説経」、能「藤戸」
5/18(金)
狂言「膏薬煉」、能「夕顔山端之出」
入場者数
入場率
1日
617 人
(98.4%)
627 人
1回
1日
501 人
(79.9%)
627 人
1回
1日
530 人
(84.5%)
627 人
実績
1回
1日
452 人
(72.1%)
627 人
6/6(水)
実績
1回
1日
565 人
(90.1%)
627 人
狂言「簸屑」、能「敦盛」
6/15(金)
実績
1回
1日
620 人
(98.9%)
627 人
狂言「金藤左衛門」、能「氷室白頭」
7/4(水)
実績
1回
1日
539 人
(86.0%)
627 人
狂言「秀句傘」、能「鵺」
7/18(水)
実績
1回
1日
615 人
(98.1%)
627 人
狂言「栗焼」、能「鬼界島」
9/5(水)
実績
1回
1日
617 人
(98.4%)
627 人
狂言「口真似」、能「羽衣盤渉」
9/21(金)
実績
1回
1日
585 人
(93.3%)
627 人
狂言「昆布柿」、能「淡路」
10/10(水)
実績
1回
1日
500 人
(79.7%)
627 人
狂言「雁大名」、能「花筐」
10/19(金)
実績
1回
1日
605 人
(96.5%)
627 人
狂言「蟹山伏」、能「遊行柳」
11/7(水)
実績
1回
1日
505 人
(80.5%)
627 人
狂言「梟」、能「玄象替之型」
11/16(金)
実績
1回
1日
611 人
(97.4%)
627 人
狂言「鐘の音」、能「恋重荷」
12/12(金)
実績
1回
1日
446 人
(71.1%)
627 人
狂言「皸」、能「鉢木替装束」
12/21(金)
実績
1回
1日
618 人
(98.6%)
627 人
素謡「翁」、狂言「牛馬」、能「弓八幡」
1/5(土)
実績
1回
1日
622 人
(99.2%)
627 人
狂言「節分」、能「葛城」
1/18(金)
実績
1回
1日
621 人
(99.0%)
627 人
狂言「腰折」、能「頼政」
2/20(水)
実績
1回
1日
621 人
(99.0%)
627 人
狂言「竹生嶋詣」、能「雷電」
3/6 (水)
実績
1回
1日
602 人
(96.0%)
627 人
狂言「腹不立」、能「善知鳥」
3/15(金)
実績
1回
1日
619 人
(98.7%)
627 人
実績
21 回
21 日
12,011 人
(91.2%)
13,167 人
計画
21 回
21 日
12,453 人
(94.6%)
13,167 人
【定例公演 小
計】
21 公演(計画:21 公演)
日数
総席数
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等
により、公演の周知を図り、一般の集客に努めた。
・ 月毎のポスター・チラシのほか、公演内容等に応じて適宜特別ポスター・特別チラシを作成・配布し、
またホームページに公演内容等に応じて適宜トピックスを掲載して広報・宣伝に努めた。
・ 団体観劇への対応は、希望に応じてレクチャーを付けた。また適宜英文の特別チラシを作成し、都内
の観光情報センター、ホテル、成田空港、大学の留学センター等に配布・設置して外国人利用者の集客
を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 「藤戸」シテの観世恭秀は全体としてかなり突っ込んだ演技で、それが充分に生かされた。前場の盛
綱への恨み言などに迫真感があった。後場でも緊張感がよく伝わった。ワキの宝生欣哉も好演。強くきっ
ぱりとした言葉、ことに「とって引きよせ二刀刺し」の一句を息つぎなしに一気に語るのがみごとであっ
59
た。
「蟹山伏」シテの小笠原匡の味が生きた舞台。「生き不動」とまで言い放つ自信過剰な山伏を生き生
きと演じて小気味がよい。
・ 「遊行柳」シテの豊嶋三千春は朽ち始めた柳の古木を思わせる風情。声に力があるので、謡もだが語
リがきかせる。前場の宝生閑とのやりとりは聞き応え充分であった。腰がすわって安定感があり、後場
の舞も安心して見ていられる。金剛流にはこの人が居るのだな、という存在感を見せた舞台であった。
・ 「玄象」シテの梅若玄祥、ツレの観世清和、ワキの宝生閑、アイの山本東次郎と達者な役者が揃っ
た贅沢な配役である。後ツレに観世三郎太も出て、行儀のいいツレを演じた。後シテのゆったりと舞っ
た早舞が見ものであった。
・ 「牛馬」近時よく見られる大藏吉次郎と善竹十郎の組み合わせは珍しくないが、アドの目代役に山
本東次郎が加わったことで、好ましいトリオが生まれ、ほのぼのと味のある舞台となった。他愛ない
テーマながら、白垂と黒垂とをうまく使って牛馬を表し、狂言らしい気のきいたアイデアは、初めて
狂言を見た人にも興味ぶかい作品になったと思う。
4.アンケート調査
年間 21 公演のうち、1 公演にて 1 回実施した。(11 月 16 日)
回答数 281 人(配布数 585 人、回収率 48.0%)。回答者の 88.3%が概ね満足と答えた(248 人)。
・
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演)
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、全公演で、日本語(詞章)・英語の 2 チャンネル方式で字幕表
示を実施した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 全体として 90%を超える高い入場率を維持することができた。7 月「鵺」・11 月「玄象」など観客に
とって魅力ある演目を上演できたことが入場率の目標達成につながったと思われる。今後も引き続き、
高水準の入場率を保持していきたい。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 目標入場者数を達成できなかった公演があり、役者の世代交代の時期であるものの、内容の充実をさ
らに図り、集客に努めたい。
(2) 普及公演
【制作方針】
普及公演は、能一番・狂言一番に事前の解説をつけ、分かりやすくて深く鑑賞するための公演としてい
る。能・狂言の伝統的な演目を曲柄や季節、能と狂言のバランスを配慮しつつ上演する。
【実績】
1.公演実績
※目標入場者数:1 回当り 593 人(94.6%)、劇場:能楽堂
公演名
解説・能楽あんない 「花の山の力神」狂言「文
山立」、能「嵐山」
解説・能楽あんない「貴種流離譚の系譜」狂言
「謀生種」、能「須磨源氏」
解説・能楽あんない「鍾馗について―伝説と風
習―」狂言「千切木」、能「鍾馗」
解説・能楽あんない「兼平と義仲、そして巴」狂
言「重喜」、能「兼平」
解説・能楽あんない「龍田の神々」狂言「包丁
聟」、能「龍田」
解説・能楽あんない「能「大社」と古事記神話」
期間
区分
4/14(土)
実績
1回
1日
617 人
(98.4%)
627 人
5/12(土)
実績
1回
1日
618 人
(98.6%)
627 人
6/9(土)
実績
1回
1日
613 人
(97.8%)
627 人
7/14(土)
実績
1回
1日
621 人
(99.0%)
627 人
9/8(土)
実績
1回
1日
620 人
(98.9%)
627 人
10/13(土)
実績
1回
1日
618 人
(98.6%)
627 人
60
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
能「大社」 間狂言「神子神楽」
解説・能楽あんない「白い矢と朱の矢-賀茂社
の縁起と能」狂言「佐渡狐」、能「賀茂」
解説・能楽あんない「『平家物語』から能へ」狂
言「狐塚」、能「清経」
解説・能楽あんない「一角仙人、あまりに人間
的な!」狂言「文相撲」、能「一角仙人」
解説・能楽あんない「菊いろいろ-仙童の舞」
狂言「財宝」、能「菊慈童遊舞之楽」
解説・能楽あんない「弁才天は女体にて」狂言
「薩摩守」、能「竹生島」
【普及公演 小
計】
11/10(土)
実績
1回
1日
569 人
(90.7%)
627 人
12/1 (土)
実績
1回
1日
623 人
(99.4%)
627 人
1/12(土)
実績
1回
1日
620 人
(98.9%)
627 人
2/23(土)
実績
1回
1日
621 人
(99.0%)
627 人
3/9 (土)
実績
1回
1日
622 人
(99.2%)
627 人
実績
11 回
11 日
6,762 人
(98.0%)
6,897 人
計画
11 回
11 日
6,523 人
(94.6%)
6,897 人
11 公演(計画:11 公演)
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等
により、公演の周知を図り、一般の集客に努めた。
・ 月毎のポスター・チラシのほか、公演内容等に応じて適宜特別ポスター・特別チラシを作成・配布し、
またホームページに公演内容等に応じて適宜トピックスを掲載して広報・宣伝に努めた。
・ 団体観劇への対応は、希望に応じてレクチャーを付けた。また適宜英文の特別チラシを作成し、都内
の観光情報センター、ホテル、成田空港、大学の留学センター等に配布・設置して外国人利用者の集客
を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 「嵐山」四月半ばなのに外は冷たい雨模様、しかし能楽堂の中は春爛漫という気持ちのよい舞台であっ
た。ワキ登場の真ノ次第はテンポよく、颯爽とした滑り出しで、続く真ノ一声のシテとツレの出は一転
して厳かな雰囲気が漂う。シテ・ツレとも姿よし声よしで、連吟もなかなか聞き応えがある。ワキとシ
テの応対では舞台に花が咲いたかのようであった。後場は後ツレ二人の装束が華やかで、相舞も舞台の
作り物に映える。まさに舞台の上は花盛りといった観であった。
・ 「千切木」は中世の市井における連歌の場を彷彿とさせる佳作で、人数が必要なのであまり機会に恵
まれないが、もっと上演してもらいたい作品である。山本東次郎のシテが秀逸。人間の喜怒哀楽を演じ
させたら今一番ではなかろうか。ないがしろにされてつっぱねている前半と、へたれて虚勢をはってい
る後半の演じわけが見事である。
・ 「大社」はじめて観た演目で、
『古事記』1300 年記念の公演でなければ接する機会がなかったかもし
れない。実に堂々たる舞台であった。シテの観世銕之丞は前場の神人は端正に、後場は威厳のある素戔
鳴の神を堂々と演じた。観世長俊の作は物語性があるわけでなく、かといってあまり芸術性が高いもの
ではないが、出演者一丸となって中世神話の世界を現出した舞台と評価できよう。
・ 「文相撲」シテに野村万蔵、アドに三宅近成、小アドに野村又三郎と別の家の若手を起用すること
は大変に好ましいと思う。少しずつ芸質の異なる人を組み合わせることで舞台が新鮮になる。しかもシ
テを含めて三者の特色を生かしたヒット作である。
・ 「財宝」茂山千五郎が達者な老人を演じる。3人の孫が珍妙な名をつけてもらって喜ぶという、現
実離れした話をしごくまじめにしかも賑やかに演じる。その雰囲気は茂山家独特のものである。東西の
狂言でどことなく違うものを鑑賞するいい機会になった。
4.アンケート調査
年間 11 公演のうち、1 公演にて 1 回実施した。(1 月 12 日)
回答数 316 人(配布数 593 人、回収率 53.3%)。回答者の 81.6%が概ね満足と答えた(258 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演)
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、全公演で、日本語(詞章)・英語の 2 チャンネル方式で字幕表
示を実施した。
《自己点検評価》
61
○
良かった点・特色ある点
・ 11 公演で 98.0%という高い入場率を達成した。解説では、鑑賞の際に必要な知識を事前に伝えるこ
とができた。今後も、馴染みのある演目でも従来とは異なる観点から解説したり、初心者から常連まで
満足できる内容の知識を提供するなど、普及公演にふさわしい工夫を図りたい。
(3) 企画公演
【制作方針】
上演頻度の少ない狂言を含めて狂言のみを三番上演する「狂言の会」、復曲能の初演などを行う「特別
企画公演」、能をたっぷり楽しんでもらう「特別公演」、テーマを持たせて能・狂言の魅力を紹介する「企
画公演」を行う。
【実績】
1.公演実績
※目標入場者数:1 回当り 593 人(94.6%)、劇場:能楽堂
公演名
期間
区分
回数
特別
企画
世阿弥自筆本による能-観世文庫創立
20 周年記念解説、復曲能「阿古屋松」
4/27(金)・
29(日)
実績
2回
2日
1,223 人
(97.5%)
1,254 人
企画
公演
能を再発見するⅠ
―老体で見る高砂― 能「高砂」
5/24 (木)
実績
1回
1日
601 人
(95.9%)
627 人
企画
公演
素の魅力-源氏物語をめぐって仕舞「夢浮橋」、舞囃子「野宮」、間語リ
「源氏供養」・仕舞「浮舟」、仕舞「玉
葛」、舞囃子「葵上」
6/2(土)
実績
1回
1日
494 人
(78.8%)
627 人
企画
公演
復曲・再演の夕べ
おはなし、復曲能「常陸帯」
7/26(木)
実績
1回
1日
612 人
(97.6%)
627 人
企画
公演
夏休み親子で楽しむ能の会
おはなし、能「土蜘蛛」
8/4(土)
実績
1回
1日
616 人
(98.2%)
627 人
企画
公演
夏休み親子で楽しむ狂言の会
おはなし、狂言「六地蔵」、狂言「菌」
8/11(土)
実績
1回
1日
615 人
(98.1%)
627 人
企画
公演
働く貴方に贈る
対談、能「鵜飼空之働」
8/24(金)
実績
1回
1日
615 人
(98.1%)
627 人
企画
公演
狂言と落語・講談
講談「梅若丸」、落語「子別れ」、狂言
「六人僧」
8/30(木)
実績
1回
1日
620 人
(98.9%)
627 人
9/29(土)
実績
1回
1日
617 人
(98.4%)
627 人
10/25(木)
実績
1回
1日
539 人
(86.0%)
627 人
11/1(木)
実績
1回
1日
610 人
(97.3%)
627 人
11/21(水)
実績
1回
1日
478 人
(76.2%)
627 人
12/7(金)
実績
1回
1日
457 人
(72.9%)
627 人
特別
公演
企画
公演
企画
公演
狂言
の会
企画
公演
方丈記八百年記念
能「養老」、狂言「柑子」、能「舩弁慶重
前後之替」
蝋燭の灯りによる
狂言「因幡堂」、能「三輪」
古典の日記念 近江八景を訪ねて
小舞「海道下り」、平家琵琶「竹生島
詣」「木曽最期」、能「三井寺」
特集・大藏虎明没後三百五十年記念
復曲狂言「眉目吉」、復曲狂言「東西
迷」、狂言「金津」
天狗-その知られざる世界狂言「井杭」、能「大会」
日数
入場者数
入場率
総席数
企画
公演
天狗-その知られざる世界狂言「鞍馬参」、復曲能「松山天狗」
12/8(土)
実績
1回
1日
505 人
(80.5%)
627 人
特別
公演
能「胡蝶」、狂言「鬼瓦」、能「望月」
1/26(土)
実績
1回
1日
619 人
(98.7%)
627 人
62
狂言
の会
狂言の会
狂言「目近」、「伯母ヶ酒」、「唐人子宝」
1/30(水)
実績
1回
1日
614 人
(97.9%)
627 人
企画
公演
能を再発見するⅡ-憑依する少将解説、「鼎談」、能「卒都婆小町」
2/28(木)
実績
1回
1日
613 人
(97.8%)
627 人
特別
公演
仕舞「蝉丸」、狂言「花盗人」・能「草子
洗小町替装束」
3/20(水・
祝)
実績
1回
1日
614 人
(97.9%)
627 人
実績
19 回
19 日
11,062 人
(92.9%)
11,913 人
計画
19 回
19 日
11,267 人
(94.6%)
11,913 人
日数
入場者数
【企画公演 小計】 18 公演(計画:18 公演)
(能楽鑑賞教室)
公演名
期間
区分
回数
入場率
総席数
鑑賞教
6 月能楽鑑賞教室 解説「能楽のた
6/18(月)~
実績
10 回
5日
5,965 人
(95.1%)
6,270 人
室
のしみ」 狂言「柿山伏」・能「葵上」
22(金)
計画
10 回
5日
5,900 人
(94.1%)
6,270 人
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、あぜくら会報、振興会ニュース等
により、公演の周知を図り、一般の集客に努めた。
・ 月毎のポスター・チラシのほか、公演内容等に応じて適宜特別ポスター・特別チラシを作成・配布し、
またホームページに公演内容等に応じて適宜トピックスを掲載して広報・宣伝に努めた。
・ 団体観劇への対応は、希望に応じてレクチャーを付けた。また適宜英文の特別チラシを作成し、都内
の観光情報センター、ホテル、成田空港、大学の留学センター等に配布・設置して外国人利用者の集客
を図った。
3.外部専門家等の意見
・ 復曲能「阿古屋松」は「世阿弥自筆本による能」シリーズの最終公演。現存する世阿弥自筆本のうち
で唯一復曲されていない本曲の上演は目玉となろう。シテの観世清和師はもちろん、監修の松岡心平氏
や関係各位の努力によって、一定の完成度を持った舞台となり、その意味では成功と評価できる。
・ 能「高砂」は世阿弥時代を模索して老体での上演だったが、それほど違和感なく観られた。上演前に
今回の公演に関わった天野氏と馬場氏の対談があったのはよい配慮。観客もそれを踏まえての鑑賞だっ
たので、抵抗が少なく受け入れられたと思える。
・ 復曲能「常陸帯」は後半の女ツレと男ツレの応対が始まってから、一気に舞台は緊張を帯びて引き付
けられる。女ツレのカケリは効果的。ここからシテの明神が登場して、大団円となる終曲までのテンポ
はよかった。
・ 能「卒都婆小町」は「申楽談儀」によるとある新演出の趣向を除いても、たいへんな力演で見応えが
あった。シテ・大槻文藏は芯の強い充実した演技で、問答の迫力など素晴らしかった。
4.アンケート調査
年間 19 公演のうち、7 公演にて 7 回実施した。(5 月 24 日、6 月 2 日、8 月 4 日、8 月 11 日、8 月 24 日、
9 月 29 日、2 月 28 日)
回答数 1,942 人(配布数 3,522 人、回収率 55.1%)。回答者の 85.4%が概ね満足と答えた(1,659 人)。
【特記事項】
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭主催公演(11 月狂言の会)
・ 平成 24 年度(第 67 回) 文化庁芸術祭協賛公演(10 月・11 月公演)
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く全公演で、日本語(詞章)・英語
の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 復曲能「阿古屋松」は「世阿弥自筆本による能」シリーズの最終回として上演した。世阿弥の自筆本
をできるだけ忠実に上演するという方針を本曲にまで貫き、首尾一貫した企画を完結させることができ
た。
・ 能「高砂」は「能を再発見する」シリーズの最初として上演されたが、シリーズ全体に対する期待を
抱かせるに足る舞台を作ることができた。能「卒都婆小町」は同シリーズの第 2 回として上演されたが、
63
出演者全員の力が合わさって圧倒的な盛り上がりを見せた。ツレの烏が登場したこともいい方に作用し、
小町が成仏の境地に至る結末は、通常の演出では見られないカタルシスをもたらした。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 狂言の会「特集・大藏虎明没後三百五十年記念」は入場者数の目標を達成できなかった。企画意図が
伝わるよう、番組構成や広報を工夫していきたい。
64
2-(1)-⑥
組踊等沖縄伝統芸能
《制作方針》
組踊等沖縄伝統芸能は、国立劇場おきなわにおいて、定期公演、企画公演、研究公演及び普及公演を年間
30 公演公開する。伝承された古典の原点を尊重することを基本にしつつ、現代においても理解され易い演
出により、広く一般のニーズに合った多彩な演目の上演に努め、観客の満足度を高める公演制作を行う。
定期公演は、組踊公演、琉球舞踊公演、三線音楽公演、沖縄芝居公演及び民俗芸能公演により構成する。
組踊公演は、平成 22 年度にユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されたことから、
引続き著名な演目を中心に取り上げる。琉球舞踊公演は、重要無形文化財保持者による「琉球舞踊特選会」、
沖縄伝統舞踊保持者による「新春琉舞名人選」、次世代を担う舞踊家による「新進舞踊家の会」等を行う。
三線音楽公演は、県内外の出演者による民謡公演「琉球弧の島々」を上演する。さらに、沖縄芝居公演では、
真境名由康作「伊江島ハンド-小」を、また、民俗芸能公演では、「沖縄本島芸能祭」として宜野座村の芸
能を取り上げる。
企画公演では、アジア・太平洋地域の芸能として「インド伝統芸能」を紹介し文化交流を促進する。ま
た、新作組踊では、「十六夜朝顔」及び坂東玉三郎主演の「聞得大君誕生」を上演する。「創作舞踊」では、
昨年度に引続き作品を公募し、入選作品を上演して演目の拡充に努める。他に毎年秋に定着した「国立劇場
寄席」等を上演する。
研究公演では、冊封使歓待の際に首里城北殿御庭に設置された御冠船の舞台についての調査研究の成果を
活かし、嘉慶 13 年(1808 年)辰の冠船の宴で演じられた組踊「孝行之巻」を再現する。
普及公演では、夏休み期間中に行う「親子のための組踊鑑賞教室」で母性愛を描いた「女物狂」を取り上
げるほか、「生徒のための組踊鑑賞教室」及び「社会人のための組踊鑑賞教室」では、もっとも著名な「執
心鐘入」を上演し、いずれの公演にも解説を施す。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
4 月定期公演 琉球舞踊公演
「新進舞踊家の会」
4/28(土)
6 月定期公演 沖縄芝居公演
琉球歌劇「伊江島ハンドー小」
6/9(土)~
10(日)
6 月定期公演 琉球舞踊公演
「男性舞踊家の会」
7 月定期公演
「北山崩」
6/30(土)
組踊公演
8 月定期公演 組踊公演
「姉妹敵討」 ※1
9 月定期公演 組踊公演
「奇縁之巻」
期間
7/14(土)
国立劇場
おきなわ
大劇場
8/25(土)~
26(日)
9/8(土)
9 月定期公演 琉球舞踊公演
重要無形文化財保持者公演「琉
球舞踊特選会」
9/22(土)
9 月定期公演 組踊公演
「二童敵討 」 ※2
9/29(土)
10 月定期公演 民俗芸能公演
重要無形民俗文化財「多良間の
豊年祭 八月踊りの芸能」
10/14(日)
65
区分
回数
日数
入場者数
入場率
実績
1回
1日
343 人
(60.3%)
569 人
計画
1回
1日
316 人
(50.7%)
623 人
実績
2回
2日
1,115 人
(89.5%)
1,246 人
計画
2回
2日
727 人
(58.1%)
1,251 人
実績
1回
1日
563 人
(90.4%)
623 人
計画
1回
1日
348 人
(55.9%)
623 人
実績
1回
1日
467 人
(82.1%)
569 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
1回
1日
334 人
(58.7%)
569 人
計画
2回
2日
694 人
(60.7%)
1,143 人
実績
1回
1日
146 人
(25.7%)
569 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
1回
1日
542 人
(87.0%)
623 人
計画
1回
1日
411 人
(66.0%)
623 人
実績
-
-
-
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
1回
1日
548 人
(88.0%)
623 人
計画
1回
1日
474 人
(76.6%)
619 人
-
総席数
-
10 月定期公演
「巡見官」
組踊公演
10/20(土)
12 月定期公演 沖縄芝居公演
琉球史劇「虎!北へ走る」
12/22(土)~
23(日)
1 月定期公演 組踊公演
「孝行竹壽之巻」
1/6(日)
1 月定期公演 琉球舞踊公演
「新春琉舞名人選~嘉例吉の舞
~」
1/19(土)~
20(日)
2 月定期公演 組踊公演
「矢蔵之比屋」
2/9(土)
2 月定期公演 民俗芸能公演
「沖縄本島民俗芸能祭(宜野座
村)」
2/24(日)
3 月定期公演 琉球舞踊公演
「花形女性舞踊家の会」
3/24(日)
5 月定期公演 琉球舞踊公演
琉舞鑑賞会「うりずんの舞」
7 月定期公演 三線音楽公演
琉球弧の島唄
10 月定期公演 琉球舞踊公演
琉舞鑑賞会「豊穣の舞」
5/26(土)
国立劇場
おきなわ
小劇場
1 月定期公演 琉球舞踊公演
琉舞鑑賞会「初春の舞」
【定期公演 小
計】
7/28(土)
10/6(土)
1/26(土)
19 公演(計画 20 公演)
4 月企画公演 新作組踊
「十六夜朝顔」
4/14(土)~
15(日)
11 月企画公演
国立劇場寄席
11/10 日(土)
11 月企画公演
地域の芸能
アジア・太平洋
12 月企画公演
創作舞踊
国立劇場
おきなわ
大劇場
11/ 25(日)
12/8(土)
2 月企画公演
「新春ゆらてぃく遊ば」
2/16(土)
3 月企画公演 新作組踊
「聞得大君誕生」
3/15(金)~
17(日)
【企画公演 小
計】
研究公演 「御冠船踊の世界Ⅱ
組踊『孝行之巻』」
【研究公演 小
計】
「社会人のための組踊鑑賞教室
『執心鐘入』」
「親子のための組踊鑑賞教室」
6 公演(計画 6 公演)
国立劇場
おきなわ
大劇場
5/12(土)
1 公演(計画1公演)
国立劇場
おきなわ
大劇場
6/24(日)
8/11(土)
66
実績
1回
1日
196 人
(34.4%)
569 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
2回
2日
591 人
(52.2%)
1,132 人
計画
2回
2日
727 人
(58.1%)
1,251 人
実績
1回
1日
272 人
(47.8%)
569 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
2回
2日
716 人
(57.5%)
1,246 人
計画
2回
2日
822 人
(65.5%)
1,255 人
実績
1回
1日
364 人
(64.0%)
569 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
1回
1日
555 人
(89.7%)
619 人
計画
1回
1日
474 人
(76.1%)
623 人
実績
1回
1日
280 人
(44.9%)
623 人
計画
1回
1日
316 人
(50.7%)
623 人
実績
1回
1日
225 人
(90.4%)
249 人
計画
1回
1日
153 人
(61.4%)
249 人
実績
1回
1日
195 人
(78.3%)
249 人
計画
1回
1日
140 人
(56.2%)
249 人
実績
1回
1日
197 人
(79.1%)
249 人
計画
1回
1日
153 人
(61.4%)
249 人
実績
1回
1日
169 人
(67.9%)
249 人
計画
1回
1日
166 人
(66.7%)
249 人
実績
22 回
22 日
7,818 人
(66.7%)
11,714 人
計画
24 回
24 日
8,177 人
(62.8%)
13,020 人
実績
2回
2日
644 人
(51.8%)
1,243 人
計画
2回
2日
664 人
(53.1%)
1,251 人
実績
1回
1日
588 人
(94.4%)
623 人
計画
1回
1日
506 人
(81.2%)
623 人
実績
1回
1日
285 人
(45.9%)
621 人
計画
1回
1日
316 人
(51.1%)
619 人
実績
1回
1日
384 人
(61.6%)
623 人
計画
1回
1日
316 人
(50.7%)
623 人
実績
1回
1日
244 人
(39.4%)
619 人
計画
1回
1日
316 人
(51.1%)
619 人
実績
3回
3日
1,744 人
(92.7%)
1,881 人
計画
3回
3日
1,137 人
(60.4%)
1,883 人
実績
9回
9日
3,889 人
(69.3%)
5,610 人
計画
9回
9日
3,255 人
(57.9%)
5,618 人
実績
1回
1日
378 人
(66.4%)
569 人
計画
1回
1日
405 人
(71.7%)
565 人
実績
1回
1日
378 人
(66.4%)
569 人
計画
1回
1日
405 人
(71.7%)
565 人
実績
1回
1日
549 人
(95.0%)
578 人
計画
1回
1日
376 人
(66.5%)
565 人
実績
1回
1日
468 人
(82.8%)
565 人
「生徒のための組踊鑑賞教室」
【普及公演 小
3 公演(計画 3 公演)
計】
【組踊等沖縄伝統芸能 合
10/25(木)~
26(金)
11/15(木)~16
(金)
計】
29 公演(計画 30 公演)
計画
1回
1日
405 人
(70.1%)
578 人
実績
8回
4日
3,516 人
(76.3%)
4,611 人
計画
8回
4日
3,236 人
(70.0%)
4,624 人
実績
10 回
6日
4,533 人
(78.8%)
5,754 人
計画
10 回
6日
4,017 人
(69.7%)
5,767 人
実績
42 回
38 日
16,618 人
(70.3%)
23,647 人
計画
44 回
40 日
15,854 人
(63.5%)
24,970 人
※1)国立劇場おきなわの 8 月定期公演「組踊 姉妹敵討」は、台風 15 号接近のため、当初計画 2 回のう
ち 8 月 26 日(日)の公演を中止した。
※2)国立劇場おきなわ 9 月定期公演「組踊 二童敵討」は、台風 17 号接近のため、公演を中止した。
2.営業・広報
・ マスコミ各社、県内情報雑誌への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、国立劇場おきなわ
友の会会報誌等により公演の周知を図った。
・ 毎月、県内約 700 カ所(県、市町村、教育機関、主要企業等)に各公演のチラシを配布するとともに、
近隣市町村自治会長会でのチラシの配布及び地域住民への周知依頼等を行うなど、公演の周知に努めた。
・ 高齢者が主要な観客層であることから、県内各市町村文化協会や社会福祉協議会を定期的に訪問し、
公演の周知や団体客の誘客に努めた。
・ 各公演演目のゆかりの地の公民館や関係団体等への訪問を強化し誘客に努めた。
・ 県内 6 カ所の観光施設に本劇場の専用ラックを設置し、劇場及び公演の周知を図った。
・ 1 月及び 2 月公演において、県の助成事業を活用して、無料巡回バス及び無料団体配車サービスを行
い、一般及び団体客の誘客に努めた。
・ 沖縄県庁 1 階県民ホールにて、8 月 27 日~31 日にポスター展を実施した。
・ 商業施設(パレットくもじ)1 階エントランスホールにて、12 月 27 日~1 月 7 日にポスター展を実施
した。
・ 1 月定期公演組踊「孝行竹壽之巻」及び1月定期公演琉球舞踊「新春琉舞名人選」の新春公演では、
公演 3 日間計 350 名に呈茶を実施し、幕間に抽選による観客へのお年玉プレゼント(カレンダー、劇場
グッズなどの詰め合わせ)を行い、初春公演の雰囲気を盛り上げた。
3.外部専門家等の意見
・ 6 月定期公演「琉球歌劇伊江島ハンド-小」では、芝居の幕間に踊る役者の舞踊は、琉球舞踊とは趣
の異なる振りの大らかさや表情など、独特の身のこなしがある。今回は琉球舞踊家による役者舞踊であっ
たが、琉球舞踊の雑踊りの趣であった。琉球舞踊家の若さ、真摯に踊りに取り組む姿が踊りに出ていた
が、そのために、十分に役者舞踊の雰囲気が出なかったように見受けられた。
今回は全員が 30 代前後の若手ということで強い関心をもって鑑賞した。演技・歌・地謡とも一生懸命に
演じている様子が伝わってきた。全体的にまとまりがあったが、ドラマの展開においてやや盛り上がり
に欠けていた。ベテランと中堅、若手の組み合わせの配役で、また見てみたい。
・ 8 月定期公演組踊「姉妹敵討」では、劇場に入場すると、見事な御冠船舞台がライトアップされており、
開演前に気持ちの高揚があった。解説がわかりやすい言葉でなされており、あらすじやこれまでの上演
状況、他の仇討ちとの違い、本土からの影響等、鑑賞の手助けになった。
・ 12 月企画公演「虎!北へ走る」では、舞台転換もスピード感ありでとても楽しめました。役柄もよく
あっていましたし、その中でも普久原さんと高宮城さんはさすがだと思いました。戦場の中でのチャン
バラでは少々長すぎたかな?と思わないでもないです。巴志が迫力に欠けた感がありました。脚本が金
城哲夫さんだけあって、さすが正義感あふれる役所が随所に見える作品でした。
・ 12 月定期公演企画公演「創作舞踊」では、今回の作品が選ばれた理由等を述べられていましたが、果
たしてそうなのかと疑問を感じます。古典に対して創作(オリジナル)ではないかと考えます。曲・詞・
コスチューム・もちろん振付も含めて創作であって欲しいものです。古典の様式にこだわるなら創作で
はないはずです。審査員の方々が求めるものと、根っから私の考えが異なるようです。「来訪神童神」
は、民俗芸能を取り入れて構成した楽しい作品でした。パーントゥの3人に練習不足が大いに見られま
した。又、アンマーと子ども達の絡みを舞踊で表現して欲しかったですね。エピローグを考えたらもっ
と良くなる作品だと思います。「春華」は、現存在の若衆の出で立ちで、小道具を取り替えての舞踊で、
美男子ならではの歴とした振付舞踊でした。さわやかで上品で良かったと思います。「てだ心」は、見
67
ていて理解するのに難しいですし、曲が曲だけに少々眠気を誘う作品でした(周りの反応)。鎮魂の感
じはよく表現出来ていたと思います。
4.アンケート調査
年間 29 公演のうち、28 公演にて 29 回実施した。
年間合計で回答数 4,605 人(配布数 7,258 人、回収率 63.4%)。回答者の 78.7%が概ね満足と答えた(3,623
人)。
【特記事項】
・ 国立劇場おきなわにおいて、全公演に字幕にて歌詞を表示し、鑑賞の助けとした(「国立劇場寄席」及び
小劇場で行われた「琉球弧の島唄」公演を除く)。
・ 平成 24 年度文化庁芸術祭主催公演として、11 月企画公演でアジア・太平洋地域の芸能「インド伝統芸
能」を上演した。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績 16,618 人/目標 15,854 人(達成度 104.8%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 多彩で、収穫の多い年度であった。組踊については、当劇場で初演の「北山崩」や上演機会の少ない
「姉妹敵仇」など、隠れた名作を発掘し、より多くの観客に知っていただく機会を得たとともに、創作
組踊では「聞得大君誕生」で多くの集客を得たことは言うまでもないが、それにもまして坂東玉三郎と
の共演により中堅・若手の出演者が大いに啓発された。
・ また、琉球舞踊の会も種々上演した中で、大御所、中堅、若手、あるいは他流派との競演により、演
者各々が触発され、研鑽の機会を得たことは、後継者を育成する上で、大きな役割を果たした。そのほ
か、沖縄芝居「伊江島ハンドー小」も満席の中で、名作を若手に継承することができたし、「多良間の
豊年祭」や「宜野座村の芸能祭」を舞台にのせたことは、出身地の観客を喜ばせるのみならず、古来の
民俗芸能をそのままの姿で保存する上でも有意義であった。
・ 琉舞鑑賞会、沖縄芝居、民俗芸能、本土の芸能、新作組踊等大入りの出る公演もあり、組踊等沖縄伝
統芸能公演全体の入場者数について、年度計画の目標を達成することができた。また、昨年度に比べ組
踊の入場者数が増加した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 入場者数は目標を達成したものの、各分野の中では組踊の入場率が低い。近隣の劇場との開演月の重
複を避け、観劇環境の整備や、宣伝・営業にも新たな工夫が必要である。
・ また、アジア・太平洋地域の芸能として「インド伝統芸能」を取り上げたが、その内容は国立劇場独
自の公演とまではいい難く、音楽も録音の再生によるものであった。協力大使館の人事異動があったと
はいえ、やはり、制作担当者が時間をかけて温め、練り上げたプロダクションを上演する必要がある。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ アンケート調査での「概ね満足」との回答が、75.3%と、昨年の 72.0%からは微増だが、80~90%台の他
の分野に比べると依然として低いため、その要因を分析し、対策を講じることが必要である。(①)
(振興会評価委員会)
・ 組踊鑑賞教室の案内 DVD を配布し、マンガをホームページにアップし、マンガ冊子も無料配布する一
方、観光に携わるタクシー運転手を鑑賞教室に招待するなど、国立劇場おきなわの旺盛な集客の努力を
評価したい。振興会としても教育委員会や高校などに対して、沖縄への修学旅行に組踊鑑賞を組み込む
よう働きかけるなど、協力体制をとることが望ましい。(②)
【対応】
①公演結果の分析と改善
沖縄伝統芸能の観客のなかには芸能関係者や経験者が比較的多く、そのため厳しい批評眼で見られる
傾向があると推察される。また、来場者が「あまり満足でない」とアンケートに答える要因のなかに「琉
球語」が理解できないことが挙げられる。琉球語が難解となっている現状では、字幕付き上演のみでは
満足を覚えることが難しくなっている。一方近年琉球語に対する関心の高まりもあり、琉球語を理解で
きるような場を普及公演に盛り込むなど、親しみやすい企画を検討したい。
68
②営業における協力体制の検討
沖縄県の文化観光戦略推進事業に関する助成事業を活用し、振興会としては、県、財団と活発な意見
交換を行いながら、協同して誘客活動を実施した。本事業では、沖縄県の文化・芸能等を観光資源とし
て活用する観点から、国立劇場おきなわの事業をその推進基盤のひとつとして選び、施策を実証的・段
階的に導入するものである。具体的には将来、県内外から修学旅行生や観光客を呼び込み、劇場を常時
公演化する体制に向け、平成 24 年度は、研修修了生で構成される「子の会(しーのかい)」出演による
特別公演『守礼の心』を上演した(1 月 29・30 日組踊「二童敵討」、2 月 5・6 日「執心鐘入」、いずれ
も昼夜公演計 8 回)。
また、併せてこの上演を含む 1 月から 3 月の公演時には首里城、ゆいレールのおもろまち、市内主要
ホテル等と劇場を巡回するバス、さらにはチケット 10 枚以上を購入した団体へのチャーターバスを無料
運行した。
69
2-(1)-⑦
演目の拡充
《実
績》
1. 復活上演候補演目の上演候補台本準備稿の作成作業
・ 候補演目「塩原多助一代記」の準備稿を作成し、24 年 10 月歌舞伎公演で上演した。
・ 25 年 3 月 19 日に開催した復活上演候補作品調査検討会において、候補演目「春陽三獅頭」の準備稿
につき、委員と共に検討を重ねた。また、各委員から、準備稿の進捗状況の報告と新規の候補作品に関
する情報の提供を受けた。
・ 候補演目のうち、「春陽三獅頭」と昨年度に内容を検討した「有職鎌倉山」につき、復活上演用準備
台本を作成した。
2. 歌舞伎の新作脚本募集
23 年度に受け付けた応募作品 213 篇を対象に、予備選考を経て、9 月 13 日に選考会を実施し、佳作 2
篇と清栄会奨励賞 1 篇が決定した。
佳作「「上瑠璃」絵巻物語―岩佐又兵衛越前記―」森真実、佳作「這上成功名怪我」山崎赤絵、清栄
会奨励賞「花里亡者純真夢」吉井三奈子
3. 文楽における復曲等の上演準備作業
・ 国立劇場文楽演目復曲事業の一環として、明治 12 年を最後に上演が途絶えている『釜淵双級巴』の
「五右衛門内の段」「藤の森の段」「七条河原釜煎りの段」を三味線の朱(三味線の楽譜)をもとに復
曲し、浄瑠璃演奏の録音作業をかねてあぜくら会員を対象とする復曲試演会を実施した。(3 月 18 日、
伝統芸能情報館レクチャー室、参加者 132 名(出演者関係者招待を含む。応募者 374 名、当選者 150 名)
・ 文楽劇場夏休み文楽公演において、以前外部で幼児向けに上演された「鈴の音」を、演出を改訂して
再演した。
・ 文楽劇場で研究公演「稀曲を聴く」を開催し、『大塔宮曦鎧』「身替音頭の段」(素浄瑠璃)を上演
した。(8 月 30 日、文楽劇場小ホール、無料、参加者 149 名)
4. 大衆芸能の新作脚本募集
24 年度は「漫才・コント」部門の脚本を 8 月 1 日より募集開始し、8 月 31 日に締め切った(応募総数
249 篇)。1 月 30 日に選考会を開催し、優秀作 1 篇・佳作 2 篇、財団法人清栄会による奨励賞 1 篇が決定
した。
優秀作「内緒のアルバイト」(コント)横井正幸(注)、佳作「こんな子どもに育って欲しい」(漫
才)玉井一郎、佳作「思ひ出ぼろぼろ」(コント)蓮見国彦、清栄会奨励賞「301 号室の幽霊」(コン
ト)廣瀬大
(注)優秀作「内緒のアルバイト」(コント・横井正幸作)は、同じ作者による同一の内容の作品が、すでに他団
体の台本募集において入選・上演されていることが判明したため、平成 25 年 7 月 5 日授賞を取り消した。
5. 能楽における復曲および演出の見直しによる上演
・ 4 月特別企画公演 復曲能「阿古屋松」(復曲初演)
・ 5 月企画公演 「高砂」(能を再発見する-老体で見る高砂-)
・ 7 月企画公演 復曲能「常陸帯」(平成 23 年復曲)
・ 11 月狂言の会 復曲狂言「眉目吉」(昭和 47 年定本復曲)
・ 11 月狂言の会 復曲狂言「東西迷」(平成 18 年復曲)
・ 2 月企画公演 「卒都婆小町」(能を再発見する-憑依する少将-)
6.組踊等沖縄伝統芸能における新作組踊の上演
・ 4 月企画公演 新作組踊「十六夜朝顔」
・ 3 月特別企画公演 新作組踊「聞得大君誕生」
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 文楽では『釜淵双級巴』の「五右衛門内の段」「藤の森の段」「七条河原釜煎りの段」の復曲で、今
後舞台での上演を期待できる大きな成果を得ることができた。
・ 能楽堂の 4 月特別企画公演、復曲能「阿古屋松」(復曲初演)は、好評につき、来年度に作品の舞台
である山形市にて再演が予定されている。
70
2-(1)-⑧
青少年等を対象とした伝統芸能の公開
《制作方針》
伝統芸能を次世代に伝え、新たな観客層の育成を図るため、中高生をはじめ青少年を対象とした入門公
演を実施する。また、日頃伝統芸能に触れる機会の少ない社会人等を対象とした公演や、親子を対象とし
た公演を実施する。
本館では、歌舞伎鑑賞教室を 2 公演実施し、6 月は近松門左衛門の名作「俊寛」、7 月は歌舞伎十八番の
中でも特に人気が高い「毛抜」を取り上げる。いずれも初心者向きに、実演を交えた解説を付し、筋の展
開が理解しやすくなるように努める。なお、日頃伝統芸能に触れる機会の少ない社会人等にも配慮し、開
演時間を遅くした「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」や、夏休み期間には割安な親子セット料金を設定し
た「親子で楽しむ歌舞伎教室」として実施する。
文楽鑑賞教室では、昨年に引き続き、学生だけでなく、文楽を見たことがない一般層も視野に入れた公
演制作をめざし、解説の内容を充実させることで文楽入門として最適な公演とする。
能楽堂では、6 月には能楽鑑賞教室を実施し、分かりやすい狂言「柿山伏」、動きに変化のある能「葵
上」に、学生が体験出演する解説を付け、学生が親しみを持てるよう配慮する。8 月には、親子向けの公
演「親子で楽しむ能の会」「親子で楽しむ狂言の会」を、また仕事帰りの社会人向けの公演「働く貴方に
贈る」を実施し、初心者への啓蒙、普及の公演とする。
文楽劇場では、6 月に文楽鑑賞教室を実施し、分かりやすい演目に学生・生徒が体験出演する解説を付
け、親しみが持てるように配慮する。また公演中の 2 ステージを「社会人のための文楽入門」として夜公
演とし、勤め帰りに気軽に文楽鑑賞を体験できるよう工夫する。7、8 月の夏休み文楽特別公演の第一部「親
子劇場」では、親子で楽しめるよう、新作も含めた作品の上演を試みる。
国立劇場おきなわでは、組踊の普及を目的に第 1 部では「組踊の楽しみ方」で組踊体験を交えて解説し、
第 2 部では中堅・若手の伝承者の出演により組踊を上演する。
《実
績》
1.公演実績
(1) 青少年を対象とした鑑賞教室等の公演(再掲)
歌
舞
伎
文
楽
能
楽
組
踊
公演名
劇場
6 月歌舞伎鑑賞教室
解説「歌舞伎のみか
た」、「平家女護島
俊寛」
本館
大劇場
7 月歌舞伎鑑賞教室
解説「歌舞伎のみか
た」、「歌舞伎十八
番の内 毛抜」
12 月文楽鑑賞教室
「靭猿」「解説文楽
本館小劇
の魅力」「恋女房染
場
分手綱」
6 月文楽鑑賞教室「伊
達娘恋緋鹿子」、解
文楽劇場
説「菅原伝授手習鑑」
6 月能楽鑑賞教室
解説「能楽のたのし
み」
能楽堂
狂言「柿山伏」・能
「葵上」
「生徒のための組踊鑑
賞教室」
合計
国立劇場
おきなわ
大劇場
期間
6/2(土)~
24(日)
7/3(火)~
24(火)
12/4(火)
~16(日)
6/8(金)~
21(木)
6/18(月)
~22(金)
10/25(木)
~26(金)
11/15(木)
~16 (金)
6 公演
区分
回数
日数
実績
46 回
23 日
49,927 人
71.4%
69,920 人
計画
46 回
23 日
51,500 人
73.7%
69,920 人
実績
44 回
22 日
65,077 人
97.3%
66,880 人
計画
44 回
22 日
54,000 人
80.7%
66,880 人
実績
24 回
13 日
12,933 人
97.4%
13,272 人
計画
24 回
13 日
13,140 人
99.0%
13,272 人
実績
28 回
14 日
17,323 人
84.6%
20,468 人
計画
28 回
14 日
18,000 人
87.9%
20,468 人
実績
10 回
5日
5,965 人
95.1%
6,270 人
計画
10 回
5日
5,900 人
94.1%
6,270 人
実績
8回
4日
3,516 人
76.3%
4,611 人
計画
8回
4日
3,236 人
70.0%
4,624 人
実績
160 回
81 日
154,741 人
85.3%
181,421 人
計画
160 回
81 日
145,776 人
80.3%
181,431 人
71
入場者数
(入場率)
総席数
(2) 社会人や親子を対象とした企画等
(本館)
・ 6 月歌舞伎鑑賞教室「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」(6 月 15 日・22 日、計 2 回)
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」(7 月 18 日・20 日、計 2 回)
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室「親子で楽しむ歌舞伎教室」(7 月 15 日、16 日、20 日~24 日、計 13 回)。
・ 12 月文楽鑑賞教室「社会人のための文楽鑑賞教室」(12 月 7 日・14 日、計 2 回)。
(演芸場)
・ 7 月特別企画公演「親子で楽しむ演芸会」(7 月 28 日、1 回)。
(能楽堂)
・ 8 月企画公演「働く貴方に贈る」(8 月 24 日、1 回)。
・ 8 月企画公演「夏休み親子で楽しむ能の会」(8 月 4 日、1 回)。
・ 8 月企画公演「夏休み親子で楽しむ狂言の会」(8 月 11 日、1 回)。
(文楽劇場)
・ 6 月文楽鑑賞教室「社会人のための文楽入門」(6 月 11 日・20 日、計 2 回)。
・ 夏休み文楽特別公演、第 1 部を親子劇場として実施(7 月 21 日~8 月 7 日、計 18 回)。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわ 6 月普及公演「社会人のための組踊鑑賞教室」(6 月 24 日、1 回)。
・ 国立劇場おきなわ 8 月普及公演「親子のための組踊鑑賞教室」(8 月 11 日、1 回)。
(3) 各鑑賞事業の連携協力の強化等
・ 各館が行う親子を対象とした公演について、ホームページにそれぞれの親子企画を紹介するサイトを
設置し、あわせて振興会トップページのバナーから誘導することにより対象者に狙いを絞った広報を
行った。
2.営業・広報
・ 6 月歌舞伎鑑賞教室は中村橋之助の記者会見を行った。7 月歌舞伎鑑賞教室は片岡愛之助の記者会見及
び、朝日新聞読者招待を行い周知に努めた。
・ 本館では学校団体向けの鑑賞教室の公演案内を新しく作成し、内容を分かり易くして充実を図った。
また、担当教員を対象に下見見学会を行うなど関係者の理解を深め、参加校から受注を受ける等、一定
の成果が得られた。
・ 本館では中学・高校等の学校へ案内を送付して団体鑑賞を募るとともに、チラシ等により一般の観客
にも周知し、学生以外の団体鑑賞も促した。
・ 本館では都内及び近郊の日本語学校をターゲットとし、団体獲得につなげた。
・ 文楽劇場では、とくにこれまで利用のなかった学校の先生方を対象に、鑑賞教室公演見学や内容説明
を行なった。また、「社会人のための文楽入門」の専用チラシを作成し、広報に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ 6月歌舞伎鑑賞教室について、解説に歌舞伎俳優研修生を登場させ、若い観客にとって歌舞伎俳優が
身近な存在であることを感じさせたのは良かった。親しみやすい人物画を投影してストーリーを丁寧に
説明していたのはわかりやすく、本編へのスムーズな導入になっていたと思う。芝喜松、芝のぶ等の研
修生出身が活躍した。真の実力をつけてきた研修出身者をこういう機会に主な役にベテランと共に起用
することで、彼らがワキを演じる時のよい参考になり、世間の人に研修生の存在もアピール出来る。
・ 7月歌舞伎鑑賞教室について、解説「歌舞伎のみかた」は、今回もよく作り込まれた丁寧な解説で、
初めての観客にも受け入れやすいものになっていたと思う。ことに化粧をしている姿を大きなスクリー
ンに映し出し、細かい部分まで見せるようにしたのは絶大なる効果がもたらされた。「毛抜」は、ベテ
ラン、中堅がいつもより多く出演したようだ。彼らと若手の競演だが、観劇初心者は、意外と両者の違
いを感じとることがある。今回もごく僅かでもその味の違いを知った者がいたことを願う。若手もこう
いう機会を活かして大いに成長して欲しい。
・ 12 月文楽鑑賞教室について、鑑賞教室の演目として「靫猿」は文楽のみならず、日本伝統演劇の総合
的な理解に繋がり、一方の『恋女房染分手綱』の「道中双六の段」「重の井子別れの段」は、家や奉公
のしがらみなど江戸時代の武家社会の理解に繋がるよい選定である。
「また見に来たい」と思った聴衆のために、次回文楽公演の案内だけでなく、国立劇場での文楽公演月
についての情報や大阪文楽劇場の案内などもプログラムにあるとよい。他のジャンルの鑑賞教室の予定
(公演月)や伝統芸能情報館の案内などをプログラムに加えたり、過去のプログラムからの再掲でもよい
のでエッセイ的なものなどを加えるなどすると、より親しみがわくのではないか。
72
・
文楽劇場 6 月文楽鑑賞教室について 今回は技芸員による人形解説の場面で、舞台のスクリーンに人
形の姿や構造の写真が大きく映し出された 。後方席の観客も話の内容がより理解しやすくなって、大変
よかったと思う。ただ、映し出されたのがすべて静止画だったので、舞台上の人形遣いの動きと人形の
表情がリアルタイムの動画となって大写しになれば一層いいのでは、とも感じた。
・ 国立劇場おきなわで 20 年度から始まった鑑賞教室は、県内の小中高等学校等へ広く鑑賞案内を実施し
たところ認知度が上がり、集客が安定してきている。
4.アンケート調査
(本館)
・ 6 月歌舞伎鑑賞教室で実施(6 月 13 日 11:00 開演)
回答数 1,188 人(配布数 1,462 人、回収率 81.3%)。回答者の 84.9%が概ね満足と答えた(1,009 人)。
・ 7 月社会人のための歌舞伎鑑賞教室で実施(7 月 20 日 19:00 開演)
回答数 1,013 人(配布数 1,465 人、回収率 69.1%)。回答者の 85.6%が概ね満足と答えた(867 人)。
・ 12 月社会人のための文楽鑑賞教室で実施(12 月 7 日 18:30 開演)
回答数 400 人(配布数 515 人、回収率 77.7%)。回答者の 86.0%が概ね満足と答えた(344 人)。
(演芸場)
・ 7 月特別企画公演「親子で楽しむ演芸会」で実施。(7 月 28 日)
回答数 38 人(配布数 120 人、回収率 31.7%)。回答者の 97.4%が概ね満足と答えた(37 人)。
(能楽堂)
・ 「働く貴方に贈る」で実施(8 月 24 日)。
回答数 321 人(配布数 590 人、回収率 54.4%)。回答者の 82.9%が概ね満足と答えた(266 人)。
(文楽劇場)
・ 6 月社会人のための文楽入門で実施(6 月 20 日 18:30 開演)
回答数 365 人(配布数 513 人、回収率 71.2%)。回答者の 89.3%が概ね満足と答えた(326 人)。
(国立劇場おきなわ)
・ 社会人のための組踊鑑賞教室で実施(6 月 24 日)。
回答数 210 人(配布数 300 人、回収率 70.0%)。回答者の 80.5%が概ね満足と答えた(169 人)。
・ 親子のための組踊鑑賞教室で実施(8 月 11 日)。
回答数 172 人(配布数 300 人、回収率 57.3%)。回答者の 82.6%が概ね満足と答えた(142 人)。
【特記事項】
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室では、23 年度に引き続き国立劇場のマスコットキャラクター「くろごちゃん」が、
解説「歌舞伎のみかた」に出演したほか、ロビー等においても観客サービスに努めた。親子で楽しむ歌
舞伎教室では、くろごちゃんクイズや、たちいりハルコ氏のイラストを使用した記念撮影用ブースを設
置するなど等して、親しみやすい国立劇場のイメージを発信するとともに観客サービスに努めた。
・ 6 月歌舞伎鑑賞教室、12 月文楽鑑賞教室、6 月社会人のための文楽入門、では、字幕表示装置により
演奏に合わせて詞章等を表示し鑑賞の助けとした。
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、日本語(詞章)・英語の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施し
た。「能楽鑑賞教室」では中・高生向けの解説を追加し、また「夏休み親子で楽しむ能の会」「夏休み
親子で楽しむ狂言の会」では子どもにも分かり易い解説を追加して 3 チャンネル方式とし、観客層に合
わせたきめ細かい字幕表示を実施し好評を得た。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績 154,741 人/目標 145,776 人(達成度 106.1%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 歌舞伎鑑賞教室公演については、6月は「俊寛」、7月は「毛抜」を取り上げたが、若手俳優や名題
下俳優それぞれの研鑽の機会になり、また、養成研修出身者の存在を世間に大いにアピールする結果と
なった。「歌舞伎のみかた」では、竹本・長唄・鳴物を交えた歌舞伎俳優研修生による立廻りや女方の
化粧をして衣裳を着け、鬘をかける様子をカメラでスクリーンに大写しにするなど見せ方の工夫をした。
・ 12 月文楽鑑賞教室では、人形の猿が登場し筋も明快な景事、子どものあどけなさが目を引く時代物を
73
併せて上演することで、初心者の観客に対して多様な魅力をもった文楽の世界の入り口を提示すること
ができた。
・ 能楽鑑賞教室の解説では生徒の代表者 3~4 名が舞台に上がり、それぞれに謡や所作を体験し、実際の
能舞台の雰囲気を味わってもらった。客席の生徒たちにとっても興味深い体験となった。狂言「柿山伏」
はではよく笑いが起きていた。能「葵上」は短縮版にしたこともあり、スピーディな展開となった。観
客は総じてよいマナーで舞台を鑑賞していた。
・ 文楽劇場では、解説に初めて画像投影を導入し、人形の構造の細かい部分が見えるようにした。また
前年度までパネルで示していた人物関係図を投影で大写しにした。
・ 国立劇場おきなわの組踊鑑賞教室は、第 2 部の組踊を鑑賞するにあたって、分かりやすい解説を第 1
部につけており、初めて組踊を見る生徒にとって楽しく鑑賞する一助となっている。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 12 月文楽鑑賞教室の公演解説書に対する外部専門家からの意見については、関係部署で検討していき
たい。
・ 大阪市の貸切公演である「文楽デー」は、本年度実施が見送られたため、観客減の要因の一つとなっ
た。こうした不安定要素に素早く対応できる体勢作りが必要である。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 国立劇場、新国立劇場などで開催する公演のほか、学校など現地や地方に出向いての公演に、一層力
を入れる必要がある。(①)
(振興会評価委員会)
・ 文楽劇場では、学校の先生方に興味を持ってもらうよう、鑑賞教室見学の機会を設けるなどの工夫を
しているが、更に効果的な教員への周知方法を検討してはどうだろうか。(②)
【対応】
①学校や地方における公演の実施・検討
国立劇場における青少年を対象とした公演は、将来の観客を育てる点で重要である。今後とも伝統芸能
鑑賞の機会を広範に提供するために、多様化する要望の調査・分析に努め、解説方法や出演者の適切な起
用等に留意しつつ、内容の一層の充実を図る。なお、中高校生人口の減少傾向に対応するため、従来から
実施している「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」や「親子で楽しむ歌舞伎教室」を含め、今後の企画・実
施方法について検討を行っていきたい。また、23 年 10 月に神奈川県の学校法人の求めに応じて舞踊鑑賞
教室の出張公演を実施したが、こうした企画にも日本舞踊協会等と協力しつつ、積極的に取り組んでいき
たい。
能楽堂では、学校など現地や地方に出向いての本格的な能楽公演の実施は経費面で困難なため、ワーク
ショップ等の普及事業の充実に努めている。能楽の振興と地方への普及を目的として、若手能楽師が現地
へ赴き実技体験等のワークショップを行う、
「届けます。体験教室」
(小・中・高校生を対象)及び「楽し
もう!能と狂言」
(地方のホール・美術館等と連携し社会人を対象)を 20 年度から開始して、23 年度末ま
でに合計 74 回開催し、開催地域は北海道から鹿児島まで 1 都 1 道 13 県に及ぶ。引き続き、学校や地方に
おける青少年等を対象とした事業の充実に努める。
国立劇場おきなわでは、組踊研修修了生で構成する「子(しー)の会」が組踊鑑賞教室出演をはじめ、年
間、県内の 4 分の 1 の公立高等学校・中学校へ出向いて組踊の解説と実演を行って積極的な組踊の周知に
取り組んでいる。公演回数や上演場所を増やし、構成にも工夫を加えるなどして今後もこうした周知、宣
伝活動を継続していく。
②学校関係者への周知方法の工夫
能楽堂では、学校の先生方に能楽に興味を持ってもらうよう、24 年 12 月に埼玉県の音楽教員を対象と
したワークショップを実施した。学校関係者への広報活動としては、能楽・歌舞伎・文楽の各鑑賞教室を
掲載した総合案内の他に「能楽鑑賞教室」単独のリーフレットを作成し関東近県の小中学校・専門学校等
に送付している。また、親子のための能・狂言の公演はイラスト入りチラシを渋谷区内の全小学校に配布
して周知するほか、ホームページを利用した宣伝・広報を行っている。今後はさらに周知方法の充実、訪
問による学校団体への営業強化について検討して一層の展開を図る。
74
文楽劇場では、鑑賞教室の担当教員へのヒアリングを行い、鑑賞教室の内容や今後の周知方法等につい
て活用する。
国立劇場おきなわでは、「生徒のための組踊鑑賞教室」を 20 年度から実施し、年間 1,300 通の案内を学
校等教育機関発送している。また、引率の先生方を無料で招待するほか、事前学習用に解説書等を提供し
ている。
75
2-(1)-⑨
伝統芸能の公開に際しての留意事項等
《実
績》
1.外部専門家等の意見聴取、アンケート調査の実施
① 外部専門家等の意見聴取は、専門委員による公演ごとのレポート提出及び年 2 回の公演専門委員会の
開催により行った。国立劇場おきなわでは、国立劇場おきなわ公演事業委員による鑑賞後のレポート(公
演鑑賞報告書)提出及び年 1 回の公演事業委員会の開催により行った。
② アンケート調査の実施
回答数
回収率(配布数)
5,632 人
712 人
946 人
3,291 人
1,139 人
113 人
2,539 人
14,372 人
72.5%( 7,770 人)
66.1%( 1,077 人)
66.9%( 1,414 人)
64.0%( 5,144 人)
37.9%( 3,008 人)
69.8%(
162 人)
54.0% (4,700 人)
61.7%(23,275 人)
概ね満足との回答
(回答数)
84.0%( 4,730 人)
84.7%(
603 人)
91.5%(
866 人)
84.5%( 2,781 人)
91.7%( 1,045 人)
87.6%(
99 人)
85.3%( 2,165 人)
85.5%(12,289 人)
28 公演 29 回
4,605 人
63.4%( 7,258 人)
78.7%( 3,623 人)
73 公演 76 回
18,977 人
62.2%(30,533 人)
83.8%(15,912 人)
分野
実施回数
歌舞伎
文楽(本館小劇場)
文楽(文楽劇場)
短期公演
大衆芸能(演芸場)
大衆芸能(文楽劇場)
能楽
小 計
8 公演 8 回
2 公演 2 回
3 公演 3 回
10 公演 12 回
12 公演 12 回
1 公演 1 回
9 公演 9 回
45 公演 47 回
組踊等沖縄伝統芸能
合
計
2.国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
(1) 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭
区分
公演名
本館大小劇場:10 月歌舞伎公演
能楽堂:11 月狂言の会
主催公演
文楽劇場:10 月舞踊公演、11 月文楽公演
国立劇場おきなわ:11 月企画公演
本館大小劇場:11 月歌舞伎公演、10 月邦楽公演(2 公演)、11 月声明公
演、11 月舞踊公演 (5 公演)
協賛公演
演芸場:10 月・11 月定席公演、10 月特別企画 (5 公演)
能楽堂:10 月・11 月定例公演、普及公演、企画公演 (8 公演)
文楽劇場:11 月大衆芸能公演
受託公演
本館大劇場:文化庁芸術祭オープニング
(2) 国・地方公共団体等との後援・協力
ア 鑑賞教室等における地方自治体、教育委員会、専修学校各種学校協会、旅行社等の後援・協力
・ 歌舞伎・能楽・文楽(国立劇場)鑑賞教室における後援・協力等
後援:文化庁、東京都、千葉県、神奈川県教育委員会、埼玉県教育委員会、全国都道府県教育
委員会連合会、財団法人日本修学旅行協会
協力:公益社団法人東京都専修学校各種学校協会、社団法人神奈川県専修学校各種学校協会、
関東高等学校演劇協議会、東京都高等学校演劇研究会、株式会社ジェイティービー、株
式会社日本旅行、近畿日本ツーリスト株式会社、(文楽のみ)、公益財団法人文楽協会
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室期間中に実施する「親子で楽しむ歌舞伎教室」における共催・後援等
共催:東京都教育委員会
後援:文化庁、千葉県、埼玉県教育委員会、神奈川県教育委員会、一般社団法人東京都小学校
PTA 協議会、東京都公立中学校 PTA 協議会、東京私立初等学校協会、一般財団法人東京
76
私立中学高等学校協会
文楽劇場 6 月文楽鑑賞教室における後援・協力等
後援:文化庁、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、京都府教育委員会、兵庫県教育委員会、
奈良県教育委員会、滋賀県教育委員会、和歌山県教育委員会、NHK 大阪放送局
協力:(公財)文楽協会
イ 鑑賞教室地方公演における共催・後援等
・ 歌舞伎鑑賞教室静岡公演
共催:財団法人静岡県文化財団、静岡県
後援:文化庁、静岡県教育委員会、静岡市教育委員会
・ 歌舞伎鑑賞教室神奈川公演
共催:かながわ伝統芸能祭実行委員会(神奈川県立青少年センター内)
後援:文化庁、神奈川県教育委員会、神奈川県 PTA 協議会、神奈川県立高等学校 PTA 連合会
ウ 社会人のための鑑賞教室公演における後援・協力等
後援:一般社団法人日本経済団体連合会、公益社団法人経済同友会、東京商工会議所、公益社団法
人東京青年会議所
エ 関西元気文化圏共催事業
文楽劇場の全公演
オ 関西学院大学との連携協力に関する協定の締結
関西学院大学との連携協力協定に基づく、大学の授業での文楽技芸員による解説・実演や、学生
団体鑑賞等の実施
カ 九州・沖縄から文化力プロジェクト参加
国立劇場おきなわの全公演
キ その他の自主公演等における後援・協力等
(本館)
・ 4 月歌舞伎公演の出演者による被災地でのチャリティー歌舞伎公演における名取市文化振興財団、
多賀城市文化センター指定管理者との共催
・ 本館 5 月舞踊公演「菅原草紙」における東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東
京都歴史文化財団)、東京発・伝統 WA 感動実行委員会との共催。この公演は、東京都及び公益財団
法人東京都歴史文化財団が実施する「東京文化発信プロジェクト」における伝統芸能を広く公開す
る事業「東京発・伝統 WA 感動」の一環として、同プロジェクトの主催 3 団体と共催したもので、チ
ラシ等の配布や新聞広告への掲載など、宣伝、広報面で協力を得た。
・ 本館 6 月民俗芸能公演「東日本大震災復興支援 東北の芸能Ⅰ 岩手」における岩手県、岩手県
教育委員会の後援
・ 本館 2 月民俗芸能公演「東日本大震災復興支援 東北の芸能Ⅱ 宮城」における宮城県、宮城県
教育委員会の後援
・ 本館 3 月琉球芸能公演「新作組踊と琉球舞踊」における松竹株式会社の協力、沖縄県酒造協同組
合、オリオンビール(株)の特別協賛
・ 本館 9 月特別企画公演「日本の太鼓-一打に込める思い-」における株式会社浅野太鼓楽器店の
協力
(能楽堂)
・ 4 月特別企画公演「阿古屋松」における財団法人観世文庫との共催、及び関連展示「企画展/観世
文庫展」における財団法人観世文庫の協力
・ 9 月特別公演における鴨長明『方丈記』完成八〇〇年記念委員会の後援
(文楽劇場)
・ 文楽劇場公演(5・6 月開催)における大阪府・大阪市・公益財団法人関西・大阪 21 世紀協会が
主催する大阪文化祭への参加
・ 大阪の近隣で活動する小劇場、公共ホール、劇団等との活動連携(5~10 月むりやり堺筋線演劇祭)
・ 国立劇場おきなわ 11 月企画公演「アジア・太平洋地域の芸能」におけるインド大使舘、沖印友好
の協力
ク 外部の公演等への後援・協力等
・ 東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京発・伝統 WA 感
動実行委員会主催の「三弦 海を越えて-アジアから日本へ-」(10 月 11 日、東京芸術劇場コンサー
・
77
トホール)及び「はじめての邦楽-江戸の響きを体験しよう!-」(11 月 4 日、江戸東京博物館ホー
ル)に対して制作協力を実施
・ 社団法人伝統歌舞伎保存会主催の「第 10 回伝統歌舞伎保存会研修発表会」(4 月 18 日、国立劇場
大劇場)への協賛
・ 社団法人伝統歌舞伎保存会主催の「小学生のための歌舞伎体験教室」(7 月 7 日、8 日、31 日、8
月 1 日~7 日)への協賛及び協力
・ 文化庁・公益財団法人全国高等学校文化連盟・東京都教育委員会・東京都高等学校文化連盟主催
の「第 23 回全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演」(8 月 25 日~26 日、国立劇場大劇場)への
協賛
・ 一般社団法人江戸文化歴史検定協会主催の「第 7 回江戸文化歴史検定」(10 月 28 日)への協力
・ よこすか市民会議(YCC)主催の「2012 よこすか市民会議まちづくり文化フェア」のうち、「よ
こすか芸術文化フェア」の一環として開催された「伝統文化学習鑑賞会(文楽学習鑑賞会)」(12
月 13 日、伝統芸能情報館レクチャー室)への協力
・ 社団法人伝統歌舞伎保存会主催の「第 11 回伝統歌舞伎保存会研修発表会」(12 月 15 日、国立劇
場大劇場)への協賛
・ 文楽「八陣守護城」熊本公演(3 月 27 日、熊本県立劇場)への協力
・ 公益財団法人文楽協会が行う文楽地方公演等に対する、かしら・床山・衣裳・小道具の技術職員
の派遣
・ 沖縄県伝統芸能公演実行委員会(会長 沖縄県文化観光スポーツ部長) に実行委員として参加し、
国立劇場おきなわ大劇場及び小劇場における「沖縄県伝統芸能公演」の共催(主催:同実行委員会、
共催:沖縄県・(公財)沖縄県文化振興会・(公財)国立劇場おきなわ運営財団)
3.全国各地の文化施設等における公演
・ チャリティー歌舞伎名取公演(共催:名取市文化振興財団、4 月 25 日、名取市文化会館)
・ チャリティー歌舞伎多賀城公演(共催: 多賀城市文化センター指定管理者、4 月 26 日、多賀城市
民会館)
・ 歌舞伎鑑賞教室静岡公演(共催: 財団法人静岡県文化財団、6 月 26 日、2 回公演、静岡県コンベン
ションアーツセンター グランシップ、入場者数:1,160 人)
・ 歌舞伎鑑賞教室神奈川公演(共催:かながわ伝統芸能祭実行委員会、7 月 26 日~27 日、4 回公演、
神奈川県立青少年センター、入場者数:2,018 人)
・ 国立劇場おきなわ第 2 回県外講演「琉球伝統芸能鑑賞と講演」(2 月 11 日、文楽劇場小ホール)、
韓国藝術綜合学校による招請公演「韓国藝術綜合学校における琉球舞踊公演」を実施(9 月 6 日~7
日)
4.舞台芸術等の国際交流
(1) 海外の芸能関係者等の来場、見学等
・ 国立劇場 3 件 7 人
主な来場者:東京芸術大学建築科留学生、台湾文化局関係者、駐日ドイツ連邦共和国大使一行
(2) 海外における公演等
・ 韓国藝術綜合学校による招請公演「韓国藝術綜合学校における琉球舞踊
公演」を実施(9 月 6 日~7 日)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 特別企画公演、復曲能「阿古屋松」においては、財団法人観世文庫の協力により、関連展示を行い、
公演の意義をより一層高めることができた。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 業務改善につなげる方策としては、アンケート調査結果の詳細分析、モニターの活用が求められる。
(①)
・ 地方との連携に関して、より多くの国民に国立の芸術活動に接してもらえるように、全国ネットワー
クを構築して、各地での事業・広報活動に積極的に取り組んで欲しい。 (②)
・ 23 年度は東日本大震災の影響もあり、連携協力や地方での上演は大変厳しい時であったと推察される
78
が、今後は地方上演の充実も視野に入れて検討してもらいたい。(②)
地方との連携に関していくつかの点で努力が認められるが、より多くの国民に、国立の芸術活動に接
してもらえるよう、更に積極的な展開が望まれる。(②)
・
【対応】
①アンケート結果、モニターの活用
アンケート調査結果については、個々のアンケートに記入されたご意見も含めて内部ホームページに掲
載すること等により全職員に共有され、抽出された課題について各部署が連携して改善に取り組んでおり、
引き続き、調査結果の活用による事務・事業の充実を図る。
24 年度はあぜくら会員によるモニター調査を計 3 回実施し、意見や要望を具体的に聴取した。今後の企画・
サービスの実施に活かしていく。
②連携協力・地方における上演の実施・検討
地方公演の上演機会の拡充については、青少年を対象とした歌舞伎鑑賞教室の移動公演を地方公共団体
や文化庁などとの連携協力により、24 年 6 月に静岡県、7 月に神奈川県で実施した。24 年 4 月には、歌舞
伎公演の千穐楽を早め、当該公演出演者の片岡仁左衛門らをはじめ関係業者等の協力を得て、25 日に宮城
県名取市、26 日に同県多賀城市において被災者を無料招待する形での東日本大震災復興支援チャリティー
歌舞伎公演を実施し、「寿式三番叟」と「身替座禅」を上演した。なお、東京での公演期間中にロビーで
片岡仁左衛門のブロマイドを販売するなどの新しい試みも行い、その売り上げはチャリティー公演の経費
の一部に当てた。また、各市における公演当日に名取市立閖上中学校と多賀城市立高崎中学校の生徒を対
象とした片岡孝太郎によるレクチャーデモンストレーションを実施した。今後とも各地域の要望に応じつ
つ、上演機会の拡充を検討する。舞踊公演については、23 年 10 月に神奈川県の学校法人の求めに応じて
舞踊鑑賞教室の出張公演を実施した。日本舞踊協会等と協力しつつ、こうした企画にも積極的に取り組ん
でいきたい。
大衆芸能分野では、各地域での公演は、すでに各演芸関連協会や演芸家個人が盛んに行って定着してお
り、演芸場・文楽劇場・国立劇場おきなわでの上演を通じて普及に努めている。
能楽堂では、23 年 7 月特別企画公演で初演した新作能「影媛」が 24 年 1 月に新潟市民芸術文化会館で
再演され、また、23 年 10 月に茨城県鹿島神宮で上演された復曲能「常陸帯」を 24 年 7 月企画公演として
再演するなど、地方と連携して公演の実施及びレパートリーの充実に努めている。また、能楽の振興と地
方への普及を目的として、若手能楽師が現地へ赴き実技体験等のワークショップを行う、「届けます。体
験教室」(小・中・高校生を対象)及び「楽しもう!能と狂言」(地方のホール・美術館等と連携し社会
人を対象)を 20 年度から開始して、23 年度末までに合計 74 回開催し、開催地域は北海道から鹿児島まで
1 都 1 道 13 県に及んでいる。23 年 10 月には、東日本大震災復興支援として被災地の岩手県九戸郡洋野町
で鑑賞教室形式のワークショップを実施し、地元高校生約 500 人が参加した。これらのワークショップや
講座等には研修修了生を積極的に起用して、養成事業の周知にも努めている。引き続きワークショップや
講座等の充実に努める。
文楽劇場では、公益財団法人文楽協会と大阪府教育委員会共催の講座「きく・みる・ふれる 大阪の文
楽」(22 年度から 16 回開催)に対して、会場の提供や運営に協力し、文楽の普及に努めている。今後も
外部団体との協力を継続・拡大していく。
国立劇場おきなわでは、23 年度には神奈川県において、解説と実演で沖縄伝統芸能を紹介する県外講演を
実施しており、24 年度は大阪府で実施し、25 年度については愛知県で引き続き同様な活動を行う予定であ
る。
79
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
現代舞台芸術の公演
現代舞台芸術の公演 p.80
オペラ p.85
バレエ p.93
現代舞踊 p.101
演劇 p.107
青少年等を対象とした現代舞台芸術の公演 p.113
現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等 p.117
現代舞台芸術の公演:総表
2-(2) 現代舞台芸術の公演
《中期計画の概要》
(2) 現代舞台芸術の公演
ア オペラ公演
年間 13 公演程度
イ バレエ公演
年間 6 公演程度
ウ 現代舞踊公演 年間 4 公演程度
エ 演劇公演
年間 9 公演程度
(3) 青少年等を対象とした公演
イ 青少年等を対象とした鑑賞教室等を年間 3 公演程度実施
ウ 社会人などに配慮した企画等の実施、各鑑賞事業の連携協力の強化
(4) 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等
ア 適切な鑑賞者数の目標の設定
イ 外部専門家等の意見の聴取、アンケート調査の実施
ウ 国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
エ 各地の文化施設等における公演の実施
オ 舞台芸術等の国際交流に資する公演等の実施
《年度計画》
2 現代舞台芸術の公演
(2) 現代舞台芸術の振興普及を図るため、中期計画の方針に従い、主催公演を実施する。
① オペラ 11 公演(本公演 10、鑑賞教室 1)
② バレエ 7 公演(本公演 6、鑑賞教室等 1)
③ 現代舞踊 4 公演
④ 演劇 8 公演
(3) 青少年等を対象とした公演
イ 青少年等が現代舞台芸術に触れる機会を確保し、新たな観客層の育成と現代舞台芸術の普及を図るた
め、青少年を対象とした鑑賞教室等の公演を実施する。
ウ 新たな観客層の育成を図るため、主催公演のなかで社会人や親子を対象とした企画等を実施する。
エ 実施に当たっては、各鑑賞事業の連携協力を強化するなど充実に努める。
(4) 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等
ア 外部専門家等の意見を聴取するとともに、アンケート調査を適宜実施し、公演事業に反映させる。
イ 国、地方公共団体、芸術団体、企業等と連携協力し、国立劇場、新国立劇場等において共催、受託な
どによる公演等を実施する。
ウ 国、地方公共団体、教育委員会等と連携協力を図り、全国各地の文化施設等において公演を実施する。
エ 国等との連携協力を図り、舞台芸術等の国際交流に資する公演等を実施する。
《実
績》
1.公演実績
分野名
オペラ
バレエ
現代舞踊
劇場
区分
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
11 公演
実績
55 回
55 日
78,872 人
(81.2%)
97,091 人
オペラ劇場、中劇場
計画
55 回
55 日
74,260 人
(76.1%)
97,522 人
7 公演
実績
40 回
36 日
43,957 人
(70.9%)
61,994 人
オペラ劇場、中劇場
計画
40 回
36 日
44,900 人
(72.4%)
61,994 人
4 公演
実績
17 回
15 日
6,024 人
(82.3%)
7,324 人
中劇場、小劇場
計画
16 回
16 日
5,310 人
(74.9%)
7,088 人
80
演劇
現代舞台芸術 合計
8 公演
実績
164 回
145 日
61,325 人
(85.0%)
72,118 人
中劇場、小劇場
計画
164 回
145 日
51,400 人
(74.1%)
69,328 人
実績
276 回
251 日
190,178 人
(79.7%)
238,527 人
計画
275 回
252 日
175,870 人
(74.5%)
235,932 人
30 公演
2.青少年等を対象とした公演
(1) 青少年を対象とした鑑賞教室等の公演
公演名
劇場
期間
区分
高校生のためのオペラ鑑賞教
オペラ劇
7/12(木)~
実績
6回
6日
10,311 人
(97.1%)
10,624 人
場
19(木)
計画
6回
6日
9,000 人
(84.7%)
10,620 人
7/27(金)~29
実績
6回
3日
5,085 人
(92.5%)
5,496 人
(日)
計画
6回
3日
4,100 人
(74.6%)
5,496 人
実績
12 回
9日
15,396 人
(95.5%)
16,120 人
計画
12 回
9日
13,100 人
(81.3%)
16,116 人
室「ラ・ボエーム」
こどものためのバレエ劇場「シ
ンデレラ」
鑑賞教室 合計
中劇場
2 公演
(計画:2 公演)
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
3.現代舞台芸術の公演に際しての留意事項等
(1) 外部専門家等の意見聴取、アンケート調査の実施
① 外部専門家等の意見聴取
各部門の専門委員に各公演についてレポート提出を依頼し、意見の聴取を行った。
また、総括レポートの提出を半期ごとに依頼し、自己点検評価の総括に生かした。
② アンケート調査の実施
分野
有効回答数
概ね満足との回答(回答数)
オペラ
6,057 人
90.8%( 5,499 人)
バレエ
1,940 人
93.3%( 1,810 人)
現代舞踊
403 人
87.8%(
354 人)
演劇
704 人
91.9%(
647 人)
合 計
9,104 人
91.3%( 8,310 人)
(2) 国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
① 平成 24 年度(第 67 回)文化庁芸術祭主催 3 公演、協賛 5 公演を実施した。
② 地域招聘公演(バレエ1公演)を実施した。
③ 前年度の東京藝術大学に続き、新国立劇場運営財団と武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大
学、大阪音楽大学、桐朋学園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関
する協定を締結した。
(3) 全国各地の文化施設等における公演
全国で公演(オペラ 1 公演、バレエ 2 公演、演劇 3 公演、新国立劇場合唱団外部出演 17 公演、新国立
劇場研修所研修生等外部出演 4 公演)を実施した。
(4) 舞台芸術等の国際交流
・ 日中国交正常化 40 周年記念・2012「日中国民交流友好年」認定行事 オペラ「アイーダ」
(コンサー
ト形式)を新国立劇場(7 月 27 日・29 日)及び国家大劇院(8 月 3 日・5 日、中国・北京)で実施した。
・ 5 月には当時ソリスト(現ファースト・ソリスト)の米沢唯と菅野英男が、韓国ソウル市国立劇場の
招きで「日韓文化交流公演~同行~」に出演、2 月にはプリンシパルの小野絢子と福岡雄大が、英国バ
ーミンガム・ロイヤル・バレエによる「アラジン」
(英国初演)にゲストダンサーとして招かれた。
・ モスクワ(ロシア)ボリショイ劇場で開催されたオペラ・ヨーロッパの年次総会に出席し、各国の劇
場関係者と情報交換に努めた(10 月 25 日~27 日)。また、同事務局より加盟機関の 2011 年度(平成 23
年度)の運営状況に関する統計資料の提供依頼があったため、必要資料を提出した。
・ 台北(台湾)国立劇場他で開催されたアジア太平洋パフォーミングアーツ・センター連盟(AAPPAC)
の年次総会に出席し、各国の劇場関係者と情報交換に努めた(6 月 21 日・22 日)
。
81
・ 北京(中国)国家大劇院で開催された「世界劇場フォーラム 2012」に出席し、各国の劇場関係者と情
報交換に努めた(6 月 21 日・22 日)
。
・ 新国立劇場のオペラやバレエ作品制作における海外の芸術家や劇場との連携協力を広く紹介するため
に、オペラ公演「ローエングリン」や「ピーター・グライムズ」において、『国際連携プロジェクト』
として、作品制作に携わる海外の演出家や美術家等を招いてトーク・ショーを開催、またオペラ「ピー
ター・グライムズ」やバレエ「シルヴィア」等において、関連の展示会を開催した。
・ 文化庁「外国人芸術家・文化財専門家招へい事業」により来日した芸術家 2 名の受け入れを行い、研
修所での特別講義や研修生への指導、情報交換などを実施した。
・ 海外から劇場関係者など全 5 ヶ国 10 団体 91 名の訪問受け入れを行った。
・ 「在日各国大使のオペラ・バレエ鑑賞プログラム」を実施した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ オペラでは、新制作公演として 2013 年に生誕 200 周年を迎えるワーグナーの名作「ローエングリン」
、
ベルギー・モネ劇場からのプロダクションレンタルによりブリテン作曲の「ピーター・グライムズ」
等を上演した。特に、
「ピーター・グライムズ」の上演は、各方面から大変高い評価を得、新国立劇場
にとって大変意義深い成果となった。
・ バレエでは、ビントレー芸術監督自身がドリーブの美しいバレエ音楽に振付け、ダンサーの高度な
技術と音楽性、そして巧みなストーリー展開により観客を魅了する「シルヴィア」を上演した。また、
監督就任後最初のシーズンに上演直前まで至りながら東日本大震災によりやむなく中止となった「ダ
イナミック ダンス!」について、24 年度に念願の上演が叶い、新国立劇場バレエ団が再び挑戦して、
高い評価を得た。
・ 現代舞踊では、平山素子、中村恩恵、金森穣という日本を代表する作家の作品を新国立劇場バレエ
団が踊り、バレエと現代舞踊の融合を試みるという新国立劇場ならではの企画である「DANCE to the
Future」
、森山開次の意欲作「曼荼羅の宇宙」などを上演し、高い評価を得た。
・ 演劇では、2009 年秋に三部作同時上演で演劇界の話題をさらった「ヘンリー六世」に続く「リチャ
ード三世」
、新訳上演の「サロメ」及び「るつぼ」
、海外の話題作「負傷者 16 人」
、子どもも楽しめる
作品を目指した「音のいない世界」等、いずれも意欲的に取り組み、ほとんどの作品において集客も
好調で、新国立劇場の演劇ならではの意義のある公演を行うことができた。
・ 毎年恒例の「高校生のためのオペラ鑑賞教室」では、
「ラ・ボエーム」を上演した。本事業開始以来、
着実に公演回数を増やし、15 回目を迎えた 24 年度も全 6 回を実施した。さらに、入場者数は 1 万人
を超え、入場率は 97.1%と、今年度もオペラ劇場における全主催公演中で最高の入場率を記録した。
・ 子ども向けの公演として、こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」を新制作により上演した。こ
どものためのバレエ劇場として 2 作目となる今回は、多数の全国の劇場での上演を可能にするため、
上演時間、出演人数、舞台装置、場面転換などに工夫を凝らし、全国で 5 公演を実施することができ
た。
・ 開場 15 周年にあたる 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グライ
ムズ」、バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演した。
このことから、英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国
をテーマに舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を劇場挙げ
て開催した。各方面から注目を集め、開場 15 周年シーズン開幕を盛り上げた。
・ 2013 年がヴェルディとワーグナーという 2 大作曲家の生誕 200 年にあたることから、国内外有数の
オペラ団、オーケストラ等が一同に会し、1 年間にわたって共同プロモーションを行う「2013 ヴェル
ディ&ワーグナー生誕 200 年祭」に参加した。それぞれの団体だけではできないスケールの大きなプ
ロモーションとして、大きな話題を呼んだ。
・ 空席のある場合に限り、オペラ公演は 5,000 円、それ以外のジャンルは半額で予約できる 25 歳以下
の若年層を対象とした「アカデミック・プラン」を実施するとともに、26 歳以上 39 歳以下の年齢層
を対象に、「アカデミック・プラン」同等のサービスを提供する「アカデミック 39」を新たに立ち上
げ、新規顧客層の拡大に対して大変有効な手法となった。
・ 昨年に引き続き、新国立劇場愛好者に対し、必要な情報を的確に周知するため、e メールにて各種
情報を提供して、顧客の利便性の向上に資している。
82
・ 自己収入の確保に努めた結果、特に、オペラ「トスカ」
、オペラ「アイーダ」
、演劇「負傷者 16 人 ―
SIXTEEN WOUNDED―」、演劇「音のいない世界で」では 100%を超える収支率、オペラ「ドン・ジョヴァ
ンニ」、オペラ「セビリアの理髪師」、オペラ「ドン・ジョヴァンニ(演奏会形式)」、演劇「サロメ」、
演劇「リチャード三世」でも 90%を超える収支率を達成した。
・ 震災の影響によるキャスト変更もあったものの、大きな混乱はなく、公演に対する観客の満足度も
非常に高かった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ バレエについては、分野全体で目標入場者数を達成できなかった。要因を分析し、バレエの観客層の
拡大に努めていく。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ オペラとバレエの入場率が未達である。減少、未達の要因が真に東日本大震災の影響であるかを分析
し、対策を講じることが必要である。(①)
・ アンケートは入場者の観劇満足度を測る上で有効であるが、アンケートの回収率が極めて低いので、
回収率を上げるための対策が必要である。(②)
【対応】
①公演結果の分析と改善
23年度のオペラ公演については、震災の影響により9演目中7演目において出演者の、2演目において指揮
者の降板・変更が発生するなど、東日本大震災とそれに起因する原子力災害の影響が年度を通じて非常に
重い負担となった。新国立劇場オペラ公演の主要な販売チャンネルはシーズンセット券であるが、2011/20
12シーズン(23年10月~24年6月)公演について、セット券販売の重要な時期に東日本大震災が発生したこ
とも、長期間にわたり震災の影響が続いている理由の一つである。これに加え、震災後の経済的な先行き
の不透明感及び減速感が、心理的な要因として観客に大きく影響しているものと考えている。
具体的な課題としては、各演目とも特に、最も高額なS席の販売に伸び悩みがみられることが挙げられる。
今後とも、S席購入に抵抗のない観客層を模索する、また将来の観客となる若年層に働きかけるなど、多面
的な公演情報の発信を行い、観客動員に取り組んでいきたい。
バレエ公演もまた、シーズンセット券が主要な販売チャンネルであるが、オペラ公演同様、震災の影響
により同セット券の販売が伸び悩んだことで、苦戦を強いられた。また、ビントレー芸術監督の方針のも
と、現代作品を基調とする新しい演目の上演や、ゲストを初めとする特定のダンサー頼みではない、新国
立劇場バレエ団自体の魅力による観客の獲得に努めているが、まだ、その成果が十分数値に表れる段階に
至っていないことも関係があると考えられる。これを踏まえ、個々の演目について、公演特設サイトや各
作品の魅力をダイジェストで伝える動画の作成、ホームページへの掲載、メールマガジンでの告知などの
宣伝・広報を行い、演目への理解度、認知度の向上を図る一方、23年度に新国立劇場バレエ団ブログを開
始し、稽古風景やダンサーたちからのメッセージなどを発信することで、新国立劇場バレエ団への親近感
を強化、ファン層を拡大するとともに、公演への興味関心を喚起するよう努めている。
今後も、バレエ公演全体については芸術監督の振付による現代作品を基調とする新しい演目の広報等を
強化し、芸術監督の意向・芸術観、演目への観客の理解度・認知度の向上と興味喚起を図る一方、個々の
演目については作品の魅力や出演者の魅力を効果的に発信し、多くの人々の期待感を醸成して、鑑賞行動
に結び付くよう努め続けていきたい。
また、演目の選定にあたっても、レパートリーの幅を広げる工夫をしながら、人気古典演目を取り入れ
ていくことで、バレエ公演全体としての入場率を上げていきたい。
②アンケート結果の活用、回収率の向上
新国立劇場公演における23年度のアンケート回収率は、バレエ部門における16.7ポイント増をはじめ、
ほぼ全ジャンルにおいて前年度を上回っている。これは、特別アンケートとして粗品と引き換えに回収を
行うなど、回収率向上のため工夫を重ねて取り組んできたことの成果である。また、現在は、アンケート
用紙を受取ったかどうかに関わらず、当該公演日の有料入場者総数を配布数とみなして回収率を算出して
いるが、これを変更し、国立劇場に倣って、実際にアンケートの記入に同意した観客数を母数にするとい
う集計方法の採用により、回収率の精度を向上させることも検討していきたい。
アンケート調査に限らず、意見の表明を希望する観客に対して、新国立劇場ではそれがしやすい環境の
形成に日々尽力している。公演会場やチケット販売所での立会い、劇場各所に設置した自由提出用の用紙、
83
ホームページ上の「ご意見箱」、郵送、ファックス、eメール、電話など、多種多様な方法による意見表明
の機会を提供するとともに、伺った意見は真摯に受け止めきめ細かく対応することで、観客からの信用と
期待を得てきたところである。
その中にあって、アンケートの提出を望まない観客に対し、現在以上に強くそれを求めることは、観客
に不快な思いをさせ、快適な観劇環境を損なうことになるばかりでなく、かえって本来の観劇満足度を見
誤らせることにもつながりかねない。したがって、新国立劇場では引き続き観客の意見への傾聴に尽力す
る一方、観客の意志を尊重する観点から、アンケートの実施方法については慎重な姿勢で検討したいと考
えている。
84
現代舞台芸術の公演:詳細表
2-(2)-① オペラ
《制作方針》
① スタンダードな作品の上演
名作と呼ばれるような代表的な作品を上演し、それをレパートリーとして蓄積し、繰り返し上演していく
ことで、オペラを市民生活に普及・定着させる。
② 上演機会の少ない優れた作品の上演
優れた作品ながら、さまざまな理由で日本では上演される機会の少なかった作品にも積極的に取り組む。
③ 日本の作曲家の作品の上演
欧米の名作ばかりではなく、日本の作曲家のオリジナル作品の上演にも積極的に取り組み、レパートリー
として蓄積していく。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
期間
区分
4/1(日)~
実績
5回
5日
5,959 人
(66.5%)
8,960 人
13(金)
計画
5回
5日
6,300 人
(70.3%)
8,960 人
4/19(木)~
実績
5回
5日
6,985 人
(78.0%)
8,960 人
29(日)
計画
5回
5日
6,700 人
(74.8%)
8,960 人
6/1(金)~
実績
6回
6日
9,418 人
(87.6%)
10,752 人
16(土)
計画
6回
6日
8,300 人
(77.2%)
10,752 人
10/2(火)~
実績
5回
5日
6,238 人
(71.2%)
8,758 人
14(日)
計画
5回
5日
6,500 人
(72.5%)
8,960 人
オペラ
11/11(日)~
実績
5回
5日
7,550 人
(86.5%)
8,727 人
劇場
23(金)
計画
5回
5日
7,200 人
(80.4%)
8,960 人
11/28(水)~
実績
5回
5日
6,919 人
(77.2%)
8,960 人
12/9(日)
計画
5回
5日
6,300 人
(70.3%)
8,960 人
1/23(水)~
実績
5回
5日
7,389 人
(82.5%)
8,960 人
2/5(火)
計画
5回
5日
6,500 人
(72.5%)
8,960 人
1/23(水)~
実績
5回
5日
5,777 人
(64.5%)
8,960 人
2/5(火)
計画
5回
5日
6,300 人
(70.3%)
8,960 人
1/31(木)~
実績
7回
7日
11,762 人
(93.8%)
12,544 人
2/12(火)
計画
7回
7日
10,500 人
(83.7%)
12,544 人
実績
1回
1日
564 人
(63.7%)
886 人
計画
1回
1日
660 人
(74.5%)
886 人
実績
49 回
49 日
68,561 人
(79.3%)
86,467 人
計画
49 回
49 日
65,260 人
(75.1%)
86,902 人
「オテロ」
「ドン・ジョヴァンニ」
「ローエングリン」(新制作)
「ピーター・グライムズ」(新制
作)
「トスカ」
「セビリアの理髪師」
「タンホイザーとヴァルトブルク
の歌合戦」
「愛の妙薬」
「アイーダ」
「ドン・ジョヴァンニ」(演奏会形
式)
【小
計】
室「ラ・ボエーム」
計】
【オペラ 合
4/3 日(火)
10 公演(計画:10 公演)
高校生のためのオペラ鑑賞教
【小
中劇場
計】
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
オペラ
7/12(木)~
実績
6回
6日
10,311 人
(97.1%)
10,624 人
劇場
19(木)
計画
6回
6日
9,000 人
(84.7%)
10,620 人
1 公演
(計画:1 公演)
実績
6回
6日
10,311 人
(97.1%)
10,624 人
計画
6回
6日
9,000 人
(84.7%)
10,620 人
実績
55 回
55 日
78,872 人
(81.2%)
97,091 人
計画
55 回
55 日
74,260 人
(76.1%)
97,522 人
11 公演(計画:11 公演)
85
2.営業・広報
・ セット券購入の観客はオペラの最重要顧客であるとの位置づけのもと、2012/2013 シーズンセット券の
販売を実施した。
・ 空席のある場合に限り事前に 5,000 円で予約できる 25 歳以下の若年層を対象とした「アカデミック・
プラン」を昨年度に引き続き実施するとともに、26 歳以上 39 歳以下の年齢層を対象に、
「アカデミック
39」を新たに立ち上げた。
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、ジ・アトレ会報等により、公演の
周知を図り、集客に努めた。
・ 開場 15 周年にあたる 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グライムズ」、
バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演した。このこと
から、ブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国をテーマに舞台芸術の普及を図る企画「新国
立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を劇場挙げて開催した。期間中は特設サイトを開設して随
時情報を発信、同フェスティバルの関連企画として、英国大使館で記者発表を行うとともに、その模様
を動画中継システム(USTREAM)により配信した。各演目や英国の文化芸術に関連する各種の講座、トー
クセッション、展示、上映会、装飾等を実施し、関心を刺激するとともに活気に満ちた空間で来場者を
迎えた。
・ 2013 年がヴェルディとワーグナーという 2 大作曲家の生誕 200 年にあたることから、国内外有数のオ
ペラ団、オーケストラ等が一同に会し、1 年間にわたって共同プロモーションを行う「2013 ヴェルディ
&ワーグナー生誕 200 年祭」に参加した。共同でのチラシ作成、フェイスブック開設のほか、同祭の関
連企画として、新国立劇場オペラ劇場ホワイエにおいて同祭の「キックオフ記者発表」を実施、その模
様を動画中継システム(USTREAM)により配信した。国際連携プロジェクトなど各種イベントとの連携を
図り、両作曲家に関連する各種のイベント、展示等を展開し、観客の関心を刺激するとともに祝祭的雰
囲気を醸成した。
・ 演目別の広報については、さまざまな角度からアピールする方法を検討し、きめ細かいマスコミ対応に
よる記事掲載の促進や、特設サイトにおける動画の活用をはじめとしたコンテンツの充実、e メールクラ
ブ会員に対して公演関連情報や芸術監督のメッセージを送信するなど、観客向けのより詳細な情報を随時
発信することで、多くの人々の期待感を醸成し、鑑賞へと結び付けた。
・ さらに、24 年度には新しく新国立劇場オペラ Facebook アカウントを開設した。稽古の様子、公演準備
の様子、チケット情報などを迅速かつ継続的に発信し、公演へのより一層の関心を喚起するとともにファ
ンづくりに努め、既存の観客にも好評を博するとともに、新規観客の開拓においても効果が期待されてい
る。
・ インターネットを活用した特設サイトの開設や動画掲載、他劇場での告知活動などを通じて、公演に
対する注目度を向上させるとともに、期待感を高めることに努めた。
・ インターネットで関連キーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示される「検索キーワ
ード連動型広告」というアプローチを行い、精密な営業活動を行った。
・ 新国立劇場愛好者に対し e メールにて各種情報を提供、必要な情報を的確に周知し、顧客の利便性の
向上に努めた。
(e メールクラブ)。
3.外部専門家等の意見
(1)公演全体について
・ 前期は、3 本の本公演のうち新制作 1 本、ドイツもの 2 本とイタリアもの 1 本とバランス良く考えら
れ、ドイツものは、モーツァルトとヴァーグナーと安定確実路線で、公演水準も高かった。年間の並び
のバランスであるが、敢えて言うなら、平成 23 年度後期の「ルサルカ」のような公演がそこに 1 本入る
と劇場の独自色を打ち出せるのではないか。また 2 年目となるカヴァー歌手による演奏会形式公演は、
今後企画が定着していくことが望まれる。
(後期は)新国立劇場では初めてのイギリス・オペラとなる「ピ
ーター・グライムズ」、2013 年のヴェルディ&ワーグナー・イヤーを記念した「アイーダ」と「タンホ
イザー」
、イタリア・オペラ 3 本と手堅いラインナップで、どの公演も充実していたが、演目としては「ア
イーダ」以外は地味な印象で、集客においても少し寂しかったように感じた。
「セビリアの理髪師」の賑
やかで鮮やかな色彩の舞台や、
「愛の妙薬」のシラグーザの百戦錬磨の歌唱など、実際に劇場に足を運べ
ば、誰もが満足できる公演だと思うが、まだそれが、劇場の外には十分に伝わってないのではないか。
86
・
シーズン 10 作品を見渡してみると、非常にバランスの良い配置の選曲であったと思う。3~4 年前に
決めていたシーズン作品のはずだが、あの大震災や、ユーロ圏の危機的状況など予想も付かぬときであ
った。すこし刺激がなさすぎの感もあるが、今となってみると、まるで現在の厳しい状況を予知してい
たかのように手堅い演目選びであったと思う。
(2012/2013)シーズン終盤の 3 演目「オテロ」
「ドン・ジ
ョヴァンニ」
「ローエングリン」は息をもつかせずグランドオペラで締めくくった。これぞオペラの醍醐
味という楽しみをファンの方々に充分味わっていただく。そして、来シーズンへの期待をますます膨ら
ませ、この劇場ならば期待通り、いや、それ以上の上演をしてくれるに違いないと思っていただける 3
作品の公演であった。
(後期には)新国立劇場も 15 周年という節目の年を迎えたが、私の印象としては
もっと歴史のある劇場である。オペラ、舞踊、演劇、それぞれが高いレベルの主催公演を当たり前のよ
うに提供し続けている。その上演の内容をみたら、とても 15 年の歴史しかない、15 年の経験だけであ
るとは思えないものだからだ。
「ピーター・グライムズ」のような日本では上演の歴史もそれほどない作
品も、「アイーダ」や「タンホイザー」のような大作・名作も安心して楽しめる「わが街のオペラ劇場」
に育っていると思う。
・ この前期は新演出が「ローエングリン」くらいで再演主体となった。鑑賞教室や日中親善公演も含め
て、有名作ばかり。こうなると歌手によりかかる部分が大きいわけで、
「ドン・ジョヴァンニ」のクヴィ
エチェン、
「ローエングリン」のフォークトと、外題役に男性スター歌手が登場したのが大きな特徴であ
った。オペラには色々な「柱」があるわけで、こうした中心のつくり方も大いに「アリ」だと思う。た
だ、でき得ればかれらに匹敵するくらいのプリマ・ドンナが共演していると、もっと盛り上がったろう
にと思った。
・ 前期においては、新プロダクションに触れる前に、再演のステージについて述べておきたい。まず、
マルトーネ演出の「オテロ」では、主人公の妄想としてデズデーモナが媚態を示す演技プランをかなり
削っていたように思われたが、演技も難しく、解釈としても相当に込み入ったくだりではあるものの、
再演を機に、違う演唱者の力量を得て新たな境地を示せたものとも想像されるので、出来れば残してお
いて貰いたかった。一方、アサガロフ演出の「ドン・ジョヴァンニ」では、初演時に感じた「衣裳の色
合いと演者の個性との乖離」が解消され、題名役のクヴィエチェンのスター性もより強調される結果に
なった。このように、再演で「プロダクションの強み」に改めて感じ入ったことも、評者には今期の収
穫の一つであった。ただし、この公演では指揮者のテンポの弄り方が恣意的に過ぎると思われたので、
その点は改めて指摘しておきたい。それでは新制作の公演について。フォン・シュテークマン演出の「ロ
ーエングリン」では、エルザの幼児性&純粋さが徐々に脱皮&退行するくだりを、衣裳デザインの力も
得て斬新に表現しえた点と、合唱団が演じる「民衆」の無定見の様相を的確に描いた演出プラン、そし
てシュナイダーの力強い指揮、主役カップルのフォークトとメルベートの総合的な表現力など、賞賛す
べき点が多かった。再演も強く望みたい。それから、日中国交正常化 40 周年記念の「アイーダ」も、ス
テージの飾りつけも含めて大いに楽しめたステージとして評価しておきたい。今後も機を捉えて、喉の
テクニックを重要視する演目等で、演奏会形式による公演を鶴首する。また、カバーキャストによる演
奏会形式のステージも、若く可能性ある邦人勢を紹介する一助として、是非とも続けて貰いたい。特に
今期は、研修所出身のバリトン与那城敬の名演ぶりと、指揮と弦楽アンサンブル&ピアノの演奏水準の
高さに、重ねて賛辞を呈しておきたい。後期においては、
「タンホイザー」の停滞気味の演出プラン&振
付を除き、いずれの公演も総合的に高い水準を維持していた。特に「ピーター・グライムズ」での緻密
な人物配置を絶賛しておきたい。続いて、キャスティングの面では、ミーガン・ミラー(「タンホイザー」
)、
レナート・ジローラミ(
「愛の妙薬」)
、ラトニア・ムーア(「アイーダ」
)といった新しい顔ぶれが大成功
を収めたことと、研修所出身の糸賀修平(「ピーター・グライムズ」)の代役起用が、適材適所の見本の
ごとき好演をもたらしたことに賛辞を呈したい。これからも、実力ある新進歌手&邦人勢の積極的な登
用を望む次第である。また、中堅&ヴェテラン勢でも、マリアンナ・コルネッティ(「アイーダ」)の劇
的なパワー、ニコル・キャベル(「愛の妙薬」
)やダリボール・イェニス(
「セビリャの理髪師」)、ノルマ・
ファンティーニ(「トスカ」)のエネルギッシュな表現力が、第一線で活躍するスター歌手たちのこの劇
場に寄せる意気込みを象徴し、そのことも好ましく思われた。指揮者では、ミヒャエル・ギュットラー
(「アイーダ」
)の余裕の無い進め方のみ惜しまれた。
・ 4 月にモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」6 月にワーグナーの「ローエングリン」を鑑賞した。と
もにすぐれた演奏と演出で訪れた鑑賞者を圧倒していたといえよう。とりわけ後者に関しては近年まれ
にみる完成度で、こうした水準の高い作品を今後も制作していくことを望みたい。それにしても前者の
87
「水の都ベニス 」といい、後者の「スターウォーズ」風の舞台といい、これらのオペラを始めてみる観
客は戸惑うばかりではなかろうか。かりにすでにかなりのオペラ通であっても、多くの「疑問符」が終
演後に残った筈である。新国立劇場には世界の最先端の舞台を提供するという役割とともに、より多く
の観客にできあがった舞台とその作品のメッセージを正確に理解してもらうという役割もある筈だ。丁
寧な解説や図柄をつかってこれらの作品や演出を紹介していかないと、制作側の一方的なおしつけに終
始してしまう可能性があるだろう。
(後期は)再演公演はどれもが充実しており、安心して鑑賞すること
ができた。すぐれた歌手を招聘すれば必然的に高い水準の舞台ができあがり、安定した成果を獲得する
ことになる(その分、再演出を担当するスタッフには、苦労が増すわけであるが)。あまりアンサンブル
性を必要としない作品はともかく、それとは対局にある演出の場合、時間をかけてじっくりと作り上げ
て行くことを望みたい。たとえば《タンホイザー》のタイトルロールがアンサンブルから浮き上がった
場合などは、注意を要することになる。残念なのは、
「再演」という形になるとこれを取り上げるメディ
アが極端に少なくなる、という事実である。この注目度の低下を防ぐ方法を考えだすことはできないで
あろうか。
(2)創作面について
・ 「ドン・ジョヴァンニ」のクヴィエチェンと「ローエングリン」のフォークト、世界的に活躍する 2
人の歌手がそれぞれ得意とするタイトル・ロールで出演した公演は、どちらも素晴らしかった。総合芸
術とはいえ、やはり歌手あってのオペラという思いを今回は強くした。また「ローエングリン」の美術・
衣装を担当したロザリエのアーティスティックな仕事によって、これまで新国では鑑賞したことのない
斬新な舞台が作られ、極めて刺激的だった。それと同時に、ヴェネツィアの運河が再現された「オテロ」
もそうだが、演出家の発想を実現するために地道な準備を積み重ねていくスタッフの技術力の高さを改
めて実感した。(後期は)新制作の「ピーター・グライムズ」が強く心に残った。排他的な集団社会の恐
ろしさを強調したウィリー・デッカーの演出と、タイトルロールのスチュアート・スケルトンの、荒々
しさと細やかな心の動揺を丁寧に表現した歌唱は、胸を打った。フランコ・ゼッフィレッリ演出の「ア
イーダ」の豪華絢爛な舞台は、新国立劇場の財産となる舞台で、引き継いでほしい。気になるのは、
「タ
ンホイザー」を演奏した東京交響楽団で、ワーグナーとなると演奏の質が落ちる。今年に限ったことで
はなく、毎年ワーグナー作品になると状態が良くない。オーケストラの問題ではあるが、オペラ全体の
質に関わってくることなので、練習のコマを増やす等、改善の余地があれば話し合ってほしい。
・ 指揮陣はそれぞれジャン・レイサム=ケーニック、エンリケ・マッツォーラ、ペーター・シュナイダ
ーという実力者、なかでも「ローエングリン」のペーター・シュナイダーは豪華な顔ぶれのソリスト達
をのびのびと歌わせて、圧巻の劇場音楽空間を創り出していた。招聘歌手の中には少し首をかしげる歌
手も見られたが概ね満足の行くものであったと思う。特に「ローエングリン」の歌手たちは素晴らしく
(その中でもタイトルロール:フォークト)、この公演を観た観客は大きな満足感を得てお帰りになった
のではないか。招聘歌手に対し、日本人歌手たちの充実ぶりも特筆に価するものであったと思う。開場
から 15 年、この間ヨーロッパ式に初日の 4 週間前から立ち稽古が始まり、その間完全拘束でオペラ創り
に没頭するという、それまでの日本では不可能であった制作を実施し、日本人歌手たちにもプロ意識が
根付いてきたということだろうか。こういう状況をみると、そろそろ主役級や、作品によってはタイト
ルロールも歌ってもらいたいと、観客の方々も期待してきておられるのでは、と思った。
(後期について)
新国立劇場をとりまく経済的環境は毎年厳しさを増していることと思う。オペラという、舞台芸術の華
であり、あらゆる芸術ジャンルのすべてを結集したようなものは、そもそも構造的に採算がとりにくい
ものだと思う。しかし、ここにはすべての舞台表現のもとが詰め込まれている。オペラを極めることが、
その他の舞台芸術の表現の枠を広げることにつながるのだと思う。そういった意味でも、新制作の公演
が少なくなってきていることに不安を感じている。一方、再演が多くなっているわけだが、この場合何
と言っても歌い手、キャスティングによる音楽的な楽しみが主になってくる。そうしたなかで今年も概
ね適材適所のキャスティングができていたと思う。東京フィルハーモニー、東京交響楽団のオーケスト
ラは劇場付きのオーケストラではないのだがそのことのマイナスより、常に真剣に取り組む、狎れに陥
らない新鮮さを感じさせてくれていると思う。そして毎回のように触れてきたが、何よりその面では合
唱団の功績は大きいと思う。ファンの方々に新国立劇場のオペラはいつでも聴きごたえがあると思って
いただいていると思う。
・ 新たな地平を切り開くという意味でも、今回の「ローエングリン」の舞台は充実していた。今シーズ
ンのトップを飾るだけでなく、これまでの新国立劇場の上演史の中でも注目に値する領域に踏み込んで
88
いる。その理由は、斬新な舞台美術や舞台衣装だけにあるのではない。それはとりもなおさずこのオペ
ラの魅力を見抜く力、見通す力にある。
「ロマンチック・オペラ」から「悲劇」への大きな転換は、場合
によっては理解されにくい解釈であるかもしれないが、これを実証するかのように迫り来る背景の変化
や人間の想いを押しつぶしていく筒状のパイプの飛来に、だれもが底知れぬ不安と圧迫感を感じ取った
にちがいない。濃密であった舞台構造こそが雄弁にこの物語の悲劇を語っていたといえよう。東京発の
舞台として、これは大いに誇れる佳作である。(後期について)「ピーター・グライムズ」のように「難
解」とされるオペラを日本の観客にわかりやすく紹介したことは今期のハイライトであった。極端なま
でに舞台を簡素化し、観客の意識を徹底的に集中させることで、演出家や演奏家たちの意図はしっかり
と客席に届けられたであろう。舞台以外でのホワイエでの展示会、リブレットの販売などこれまでにな
い新機軸がうちだされた。今後も新たな挑戦に臨んでもらいたい。
・ 新演出の「ローエングリン」の舞台は、正直ピンと来なかった。写実的な舞台である必要はないし、
様式的なのも現代では当然だと思うが、人の動かし方に冴えがないのは、どの場合でも困り。それから
気になったのは、日本人指揮者たち。いい加減な外国人を使うくらいならどんどん日本人にチャンスを
与えてほしいと思っているが、7 月に聴いた 3 人は、オペラ的なドラマの喚起力に、かなりの不満を感
じざるを得なかった。しっかり振る、アンサンブルを形成することはもちろん基本で、おろそかにはで
きないこととは思うが、そこにサムシングを加えられる新しい才能を、今後も探し続けてほしい。
・ 「ピーター・グライムズ」の演出家ウィリー・デッカーがこのプロダクションのエンディングを自ら
再検討した結果、個人の心が集団に呑みこまれる悲哀をさらに強めた点にも賛辞を呈したい。恐らくは
稽古場での周囲の熱意に突き動かされてのことと思われる。評者は、偶然のことながら、事前にインタ
ヴューの機を得ていたので、彼のアイデアの変化をより鮮明に感じ取り、敬服の念を一層強くした。そ
のことも付記しておきたい。
(3)営業、広報面について
・ どの公演でも概ね、集客力が高まっているように感じられたが、今後の展開に関しては、出演歌手、
指揮者、演出家たちのコメントないしはインタヴュー記事が、報道各媒体でさらに掲載され、
「劇場の賑
わい」を伝える一環として活用されればと思う。また、後期の「ピーター・グライムズ」特設サイトに
おいては、インターネットという媒体を活かしたデザインが特に優れていると感じたので、その旨は率
直に申し述べておきたい。そして、高校生のためのオペラ鑑賞教室「ラ・ボエーム」では、場内の案内
係の具体的な指示法や上演前のアナウンスの内容など、高い効果を挙げていたと思われた。地道な努力
の積み重ねあっての成果として、敬服の念も覚えた次第である。後期では新演出のみならず、「トスカ」
や「アイーダ」のように演出プランとしてしごく穏当でクラシカルな舞台の再演も注目されていたと思
う。日本のオペラ・シーンにおいては、様々な演出法が並存し、一つの流れにむりやり収斂しないこと
が、却って発想の自由度を高めているように感じられる。それゆえ、新国立劇場においては、今後もよ
り多彩な人材が活用されるべく、その点を広報面でも強調できるよう、宣伝文、キャッチコピー等のさ
らなる練り上げに期待したい。ホームページなどインターネットの場での新しい試みが徐々に成果を挙
げているようでもあるので、新種の企画や新たな視点をチラシ等の紙媒体の場においても追求されるよ
う望みたい。
・ 未だに歌手のキャンセルが続いていて、営業・広報においては苦労が絶えないと思われるが、様々な
メディアを活用して発信した情報は浸透している。チラシは、以前は A4 見開き 4 ページのタイプが主流
だったようだが、最近は A4 両面タイプが多くなってきたようで、こちらの方が最初の情報提供には有効
だと思われる。よく聞かれるのは、急に予定が確保できて当日券を購入したくなったとき、残席の状況
を HP で確認できるかどうかだが、そのあたりの利便性があがると、社会人の観客も広くつかめるのでは
ないか。開場 15 周年を迎えて新国立劇場の名前は広く認知されたと思うが、公演内容については、まだ
伝わっていない部分もあると思う。最近、
「アカデミック 39」というプランが出来たようだが、30 代対
象の割引制度は本当に必要なのだろうか。かなり制限がかけられているので、様子をみながらかもしれ
ないが、若い世代が継続的にオペラを観るようになるかは疑問で、実際のチケットの販売状況等から分
析の必要があるだろう。また最近は、劇場がオペラの対訳や書籍を発行していて、広報にも活用される
と思う。
・ 平日マチネー公演はすっかり定着し、ゆったりと時間を過ごされている元気なリタイア層のかたがた。
ホワイエに適度にちらした椅子とテーブルで、最近はミニお寿司まである軽食やワインを楽しまれてい
る。休憩時にはもぎり線の入り口を階段のところまで広げた工夫も、会場全体をゆとりのあるものにし
89
ていて成功だと思う。このように上質な劇場文化を提供し、それが常に一定のクォリティで提供されて
いることが常連のお客様を獲得し、増やしていく一番の方法であり新国立劇場は着実にお客様の信頼を
獲得してきていると感じている。日本は今、様々な分野で厳しい状況があり、新国立劇場の営業も苦労
なされていると思うが、このような時であるからこそ、お客様に、この劇場で過ごす時間がとても大事
なもの、という気持ちになっていただけるようなサービスを今後とも続けていっていただきたいと思う。
(後期について)厳しい経済環境のなかでチケット販売、スポンサー支援体制は厳しい時代になって
いると思う。このレポート対象期間の公演も空席の目立つ時もあった。しかし愛好家の方々は必ずおら
れるし劇場の主たるターゲット層の熟年層はますます増加するということで、ぜひ前向きに取り組んで
いただきたい。パンフレットの内容はとても充実していると思う。知的好奇心を満たすものや、ちょっ
と軽い、楽しいものや、劇場の裏話的ものなどよく考えられていると思う。
・ クヴィエチェンとフォークト、スターに的を絞った広報は、アリだと思った。オペラには色々な切り
口があっていい。最後に、サイトに関して、去年と同じことを書くが、演目のキャストとスタッフ、も
っと「すぐわかる」ようにできないか。お客が知りたいのはまずそれではないかと思う。過去の公演に
関しても、舞台写真のページが最初でなくてもいいのでは。
・ もうすこし初心者の目線からみても理解できる案内、詳細な解説が望まれる。せっかくの高水準に到
達しながら、このレベルが歌手や演奏家の交代で消えてしまうような公演であるならば、あまりにも残
念である。演出家の意図、デザイナーのアイデア、デッサンなどはすでに全て存在している。これをも
う一度編集し、丁寧に観客に伝える努力をせつに望みたい。公演を記録に残し、広報し、販売していく
ことも必要であろうが、同時に現場の人々のメッセージを確実に受け手に渡していく努力をお願いした
いと思う。これまでのシーズンのなかではほとんどかえり見られることがなかったが、今回はもっとも
大きく変貌を遂げた箇所がある。それはエレベータの設置を含めエントラス部分が大きく様変わりした
点である。入り口の平面から館内へと入り、階段を上りながら顔を上げると目線のはるか上にセンスの
良い椅子やテーブルがまるで「空中庭園」のように点在するのが見える。そこに先客が腰を下ろしてい
たり、あるいは遊歩道代わりに利用している観客の姿がちらほらとみえる。これまで存在しながらも生
かされてこなかった空間に、さわやかな風が吹きこまれたかのような、新鮮な感動を覚える一瞬であっ
た。この回廊が現在のように途中で遮断されるのではなく、衣装展示スペースまで延長され、回遊でき
るコースとなることを願う。一カ所に滞留させるラウンジ方式も良いが、長時間椅子に座っている観客
が、せめて休憩の間には公演の余韻に浸りながら散策できる動線の可能性を探ってもらいたいものであ
る。最後に後期から始まったプログラム冊子の「初演にタイムスリップ」は、毎回楽しみにしている箇
所である。初演当時の写真や評判記、新聞などの「ナマ」の情報を掲載することで作品の持つ歴史的な
意味がさらに増すことを大いに期待したい。
4.アンケート調査
11 公演で 16 回実施した。
有効回答数 6,057 人(配布 24,075 人、回収率 25.2%)
。回答者の 90.8%が概ね満足と答えた(5,499 人)
。
【特記事項】
・ 平成 24 年 9 月、2014/2015 シーズンからのオペラ部門の次期芸術監督予定者として、飯守泰次郎氏が
芸術参与に就任した。
・ 前年度の東京藝術大学に続き、新国立劇場運営財団と武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、
大阪音楽大学、桐朋学園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関する協
定を締結し、教員のオペラ公演出演について協力が得られることとなった。
・ 『音楽の友』2 月号「特集 42 人の音楽評論家・記者が選ぶコンサート・ベストテン 2012」において、
オペラ「ピーター・グライムズ」が第 1 位を獲得した。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
本公演
実績68,561人/目標65,260人(達成度105.1%)
鑑賞教室 実績10,311人/目標9,000人 (達成度114.6%)
合計
実績78,872人/目標74,260人 (達成度106.2%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
90
・
新国立劇場の開場 15 周年にあたる 24 年は、翌年にヴェルディ、ワーグナーという 2 人の偉大なオペ
ラ作曲家の生誕 200 周年、そして 20 世紀を代表するオペラ作曲家ブリテンの生誕 100 周年を控え、同年
度のオペラ公演は、この記念すべき年を迎えるにふさわしい充実した内容により、大きな成果を上げる
ことができた。新制作公演としては、
“現代最高のローエングリン”との呼び声高いクラウス・フロリア
ン・フォークトを題名役に迎え、熱狂的な反響を得た「ローエングリン」
、翌年に生誕 100 周年を控える
ブリテンの代表作を、熟達した出演者・スタッフの緊密な連携により上演し、絶大な称賛を浴びた「ピ
ーター・グライムズ」を上演した。すべてにおいて意欲的な取り組みであり、意義深い成果を収めるこ
とができた。
・ 再演公演では、2013 年に生誕 200 周年を迎えるヴェルディの作品から、新国立劇場開場 15 周年記念
公演と銘打ち、平成 9 年の開場記念公演以来周年ごとに上演され、極めて高い人気を誇ってきた「アイ
ーダ」
、同作曲家晩年の傑作悲劇として名高い「オテロ」
、同じく 2013 年に生誕 200 周年を迎えるワーグ
ナーの作品のなかでも高い人気を誇る「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」、また、「ドン・ジョ
ヴァンニ」、「トスカ」、「セビリアの理髪師」、「愛の妙薬」と、オペラの醍醐味を味わうことのできるス
タンダードな名作や人気作品を、過去のレパートリーの中から計 8 演目選んで上演した。いずれの演目
においても、実力や話題性に富んだ充実の歌手陣を配し、再演ならではの魅力を感じさせたとして高い
評価を得るとともに、多くの演目において興行的にも高い成果を収めることができた。
・ 昨年度に続いて、
「ドン・ジョヴァンニ」本公演に先駆け、尾高監督による特別企画としてカヴァー歌
手による演奏会形式での公演を行い、日本人歌手の実力を知っていただく機会となった。
・ 東日本大震災の影響により、本年度も出演者の突発的なキャンセルに見舞われる状態が続いたが、迅
速な意思決定と柔軟かつ根気ある対応により、大きな事故なく公演を遂行することができ、観客の満足
度は非常に高かった。
・ 新国立劇場合唱団は、一層の充実を示した。個々のメンバーは高水準の歌唱力と優れた演技力を有し、
合唱団としての卓越したアンサンブル能力と豊かな声量が、共演する出演者、指揮者、演出家、スタッ
フはもとより、国内外のメディアからも高い評価を得た。
・ 厳しい財政状況の中、高い公演水準の維持に努めつつ、制作費の節約など予算のスリム化を徹底する
とともに、自己収入の確保に努めた結果、特に、
「トスカ」、
「アイーダ」では 100%を超える収支率、
「ド
ン・ジョヴァンニ」、
「セビリアの理髪師」
、
「ドン・ジョヴァンニ(演奏会形式)
」でも 90%を超える収支
率を達成した。
・ 制作体制はさらなる充実をみせており、本年度においては、
「ピーター・グライムズ」でベルギー・モ
ネ劇場からのプロダクションレンタルによる上演が実現するなど、工夫を凝らした取り組みを行った。
世界の一流スタッフ、キャストとの共同作業を通じ、ノウハウの獲得や交流が促進された。
・ 前年度の東京藝術大学に続き、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、大阪音楽大学、桐朋
学園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関する協定を締結した。この
ことにより、各大学に所属する教員のオペラ公演出演等について協力が得られることとなり、日本人歌
手の出演機会の増加と、その育成に資することが期待されている。なお、平成 25 年度オペラ公演「魔笛」
はオール日本人キャストによる上演を予定している。
・ 「オテロ」や「トスカ」の精緻かつ迫力あふれる舞台美術、
「ドン・ジョヴァンニ」におけるクヴィエ
チェン、ローエングリン」におけるフォークトなど世界的スターの主役出演、珍しい英国オペラ「ピー
ター・グライムズ」の深遠な作品性と舞台の高い完成度、
「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」の
壮大な物語性と、合唱団も交えた圧倒的な迫力の音楽、
「愛の妙薬」のおける実力豊かな歌手陣による声
の饗宴、「ドン・ジョヴァンニ」(演奏会形式)での日本を代表するソリスト陣の活躍など、演目・キャ
ストに係る基本情報や過去の実績をはじめとして、チケットの販売動向に関する分析と予測の結果をも
とに、最も訴求力を期待することのできる魅力を前面に押し出して宣伝・周知を行った。特にポピュラ
ーな演目では、一般観客や団体観客に重点的な営業を行うことによって、観客層を広げることが出来た。
・ 「アカデミック・プラン」の継続と「アカデミック 39」のプランの導入によって、これまで劇場に足
を運ぶことの少なかった潜在的な新規顧客の掘り起こしを図り、現代舞台芸術の普及に資することを期
待している。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
91
・
新国立劇場は海外でも高い評価を受けつつあり、さらに国際的評価を高めるために、演出家の選定に
配慮して欲しい。(①)
・ しかし、入場率は前年度比 7.4%減の 76.6%であり計画に未達である。オペラ劇場での9公演のうち、
計画達成は1公演のみであった。要因について分析し、対策が必要である。(②)
(振興会評価委員会)
・ 「コジ・ファン・トゥッテ」は、新国立劇場の度量の大きさや可能性を拡大したもので評価に値する。
ただ指揮者の力量には問題があった。(「ルサルカ」にいて)今年度の中でも出色となったこの舞台は、
ノルウェー国立オペラ・バレエとの提携により得られた成果だが、こうした提携によって費用を抑え、
公演の質を上げることも、今後新国立劇場が取るべき重要な方向性の一つといえよう。(①)
・ 今年度は、
「沈黙」以外に日本人指揮者が登用されていないが、日本人オペラ指揮者の育成の観点から
も、国立の劇場ゆえにこそ是非一考を願いたい。あわせて、外国人指揮者の招聘についても、更なる精
査が望まれる。(①)
・ 集客については、年明けの公演でも目標入場者数を下回っている公演があり、原因は震災の影響ばか
りとは言えないだろう。経済の低調も関与してはいるだろうが、この状況下でどのように観客数を維持
するか、きちんとした分析と対策が必要である。(②)
・ (「沈黙」について)上演の質も高く、このような日本オペラは、テーマも音楽の質も、海外で十分に
インパクトを与え得るものであり、関係のできた海外の劇場に売り込むことも考えてはどうか。(③)
・ 収支について、オペラ公演の実施には多額の経費を要することは理解できるが、公演内容の質や上演
回数を維持しながら、限られた予算を有効に活用して、引き続き収支の改善に努めたい。(④)
【対応】
①公演企画の工夫、充実
経費削減の状況下ではあるが、国際的水準のアーティストの確保に、引き続き最大限の努力を行いたい。
②公演結果の分析と改善
23 年度のオペラ公演については、震災の影響により 9 演目中 7 演目において出演者の、2 演目において
指揮者の降板・変更が発生するなど、東日本大震災とそれに起因する原子力災害の影響が年度を通じて非
常に重い負担となった。新国立劇場オペラ公演の主要な販売チャンネルはシーズンセット券であるが、
2011/2012 シーズン(23 年 10 月~24 年 6 月)公演について、セット券販売の重要な時期に東日本大震災
が発生したことも、長期間にわたり震災の影響が続いている理由の一つである。これに加え、震災後の経
済的な先行きの不透明感及び減速感が、心理的な要因として観客に大きく影響しているものと考えている。
具体的な課題としては、各演目とも特に、最も高額な S 席の販売に伸び悩みがみられることが挙げられ
る。今後とも、S 席購入に抵抗のない観客層を模索する、また将来の観客となる若年層に働きかけるなど、
多面的な公演情報の発信を行い、観客動員に取り組んでいきたい。
③日本オペラの海外発信の検討
「沈黙」の海外劇場への売り込みについては機会あるごとに試みたものの、世界的には概して既成日本
オペラへの関心が薄い傾向にあるうえ、海外でも経済状態の厳しい劇場が多く、実現には至らなかった。
このような現状ではあるが、日本オペラの海外発信については、良質な作品で提携できるよう、今後も心
がけたい。
④収支改善の取組
限られた予算を有効に活用するため、24 年度については、ベルギー・モネ劇場からのレンタルで「ピー
ター・グライムズ」を上演した。25 年度にはフィンランド国立歌劇場からのレンタルで「死の都」を上演
するほか、バイエルン歌劇場との過去の共同制作作品も再演を予定するなどしており、引き続き舞台装置
のレンタルや共同制作の促進に努めたい。
92
2-(2)-② バレエ
《制作方針》
① バレエ・レパートリーの充実
多様化する観客のニーズに対応するレパートリーの充実に努めながら、海外有数の劇場と比肩する芸
術的水準での舞台制作を目指す。同時に、再演の要望の高いスタンダードな演目を多彩なキャストで上
演し、バレエファン層の拡大を図る。
② 国内外の振付家による創作バレエの上演
質の高い創作バレエを企画、上演して、新国立劇場オリジナル作品のレパートリー化を図る。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
期間
区分
5/5(土・祝)~
実績
6回
6日
8,182 人
(76.1%)
10,752 人
13(日)
計画
6回
6日
7,000 人
(65.1%)
10,752 人
6/23(土)~
実績
5回
5日
4,948 人
(55.2%)
8,960 人
7/1(日)
計画
5回
5日
6,300 人
(70.3%)
8,960 人
オペラ
10/27(土)~
実績
6回
6日
6,480 人
(60.3%)
10,752 人
劇場
11/3(土)
計画
6回
6日
7,000 人
(65.1%)
10,752 人
12/15(土)~
実績
7回
7日
10,202 人
(81.3%)
12,544 人
24(月)
計画
7回
7日
10,000 人
(79.7%)
12,544 人
2/17(日)~
実績
5回
5日
6,294 人
(70.2%)
8,960 人
24(日)
計画
5回
5日
7,000 人
(78.1%)
8,960 人
1/24(木)~
実績
5回
4日
2,766 人
(61.1%)
4,530 人
27(日)
計画
5回
4日
3,500 人
(77.3%)
4,530 人
実績
34 回
33 日
38,872 人
(68.8%)
56,498 人
計画
34 回
33 日
40,800 人
(72.2%)
56,498 人
7/27(金)~
実績
6回
3日
5,085 人
(92.5%)
5,496 人
29(日)
計画
6回
3日
4,100 人
(74.6%)
5,496 人
実績
6回
3日
5,085 人
(92.5%)
5,496 人
計画
6回
3日
4,100 人
(74.6%)
5,496 人
実績
40 回
36 日
43,957 人
(70.9%)
61,994 人
計画
40 回
36 日
44,900 人
(72.4%)
61,994 人
「白鳥の湖」
「マノン」
「シルヴィア」(新制作)
「シンデレラ」
「ジゼル」
「ダイナミック・ダンス!」(新制
作)
【小
計】
6 公演(計画:6 公演)
こどものためのバレエ劇場「シ
ンデレラ」
【小
計】
【バレエ 合
中劇場
計】
中劇場
1 公演
(計画:1 公演)
7 公演
(計画:7 公演)
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
2.営業・広報
・ セット券購入の観客はバレエの最重要顧客であるとの位置づけのもと、2012/2013 シーズンセット券
の販売を実施した。
・ 空席のある場合に限り事前に半額で予約できる 25 歳以下の若年層を対象とした「アカデミック・プラ
ン」を昨年度に引き続き実施するとともに、26 歳以上 39 歳以下の年齢層を対象に、「アカデミック 39」
を新たに立ち上げた。
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、ジ・アトレ会報等により、公演の
周知を図り、集客に努めた。
・ 開場 15 周年にあたる平成 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グラ
93
イムズ」、バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演。
このことから、ブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国をテーマに舞台芸術の普及を図る企
画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を劇場挙げて開催した。期間中は特設サイトを開
設して随時情報を発信、同フェスティバルの関連企画として、英国大使館で記者発表を行うとともに、
その模様を動画中継システム(USTREAM)により配信したほか、各演目や英国の文化芸術に関連する各種
の講座、トークセッション、展示、上映会、装飾等を実施し、関心を刺激するとともに活気に満ちた空
間で来場者を迎えた。
・ 演目別の広報については、さまざまな角度からアピールする方法を検討し、きめ細かいマスコミ対応
による記事掲載の促進や、特設サイトにおける動画の活用をはじめとしたコンテンツの充実、他劇場で
の告知活動、e メールクラブ会員に対して公演関連情報や芸術監督のメッセージを送信するなど、観客
向けのより詳細な情報を随時発信することで、多くの人々の期待感を醸成し、鑑賞へと結び付けた。
・ バレエ公演については特に、現代作品を基調とする新しい演目の紹介や、ゲストをはじめとする特定
のダンサー頼みではない、新国立劇場バレエ団自体の魅力による観客の獲得を目指すビントレー芸術監
督の方針について、引き続き観客の理解度・認知度の向上を図った。さらに、新国立劇場バレエ団オフ
ィシャルブログを通じて、稽古の様子、公演準備の様子、チケット情報などを迅速かつ継続的に発信し、
公演へのより一層の関心を喚起するとともに、ファンづくりに努めた。
・ インターネットを活用した特設サイトの開設や動画掲載、他劇場での告知活動などを通じて、公演に
対する注目度を向上させるとともに、期待感を高めることに努めた。
・ インターネットで関連キーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示される「検索キーワ
ード連動型広告」というアプローチを行い、精密な営業活動を行った。
・ 新国立劇場愛好者に対し e メールにて各種情報を提供、必要な情報を的確に周知し、顧客の利便性の
向上に資した。
(e メールクラブ)。
3.外部専門家等の意見(現代舞踊と一部共通)
(1)公演全体について
・ (前期の)4 演目のうち「Dance to the Future 2012」「マノン」を拝見した。シーズン終盤に力の
入った公演が続き、コンテンポラリー作品、マクミラン作品のスタイルが身体に入っていて、たいへん
よかったと思う。前者はバレエ・ダンサーが現代作品に出演する意味がよくわかる(バレエ・ダンサー
でなくては踊りこなせない)高度な身体能力を活かした仕上がりであった。後者では、前回初演時と比
べて全体的に表現力が大きく向上していると感じた。ゲストの人選(日本では特に有名とはいえない存
在ながら、実力・本作品での経験がすぐれている)もよく、また団員キャストのうち拝見した小野絢子
/福岡雄大も、役作りのポイントをよく押さえて、初演ながらみごとな出来だったと感じた。主役ダン
サーとして自覚が芽生え、表現の幅も広がってきていると感じた。(後期は)現代作品、創作作品が充
実し、また主役を中心に、伸びるべきダンサーの皆さんが着実に(以上に?)成長なさったと感じた。
バレエ公演は、団員のみなさんのレベルの高さが活かせる演目が並んでいたとの印象。特に 2012 年 10
月の『シルヴィア』は、音楽に対してステップの密度の濃いビントレー振付を初主演の小野絢子さん、
米沢唯さんともにみごとにこなしており、見応えがあった。12 月の「シンデレラ」は回を重ねてアシ
ュトン振付の風味、あるいはスタイルといったものが全体によく表現できていて、すっかりバレエ団の
レパートリーとして定着した印象を受けた。道化の演技等にも(特に福田圭吾さん)即興に見えるくら
い自由なところがあり、全体に余裕のある舞台を心から楽しめた。逆に 2013 年 2 月の「ジゼル」は前
回から間が空いてしまったこともあり、ややメリハリの弱く、こなれていない出来だったかもしれない。
1月のトリプル・ビルは、踊りそのものの質を問われる点、異なる振付家のスタイルにいちどきに挑む
という点では物語作品以上に難度が高いかとも思うが、技術の達成度に対してアピールが弱いというか、
もっと公演タイトルどおりにダイナミックな気概を見せてくれたらとも思った。とはいえ、それぞれの
作品に全体を引き締めるパワフルな存在がいて(
「コンチェルト・バロッコ」の長田佳世さん、
「テイク・
ファイブ」の八幡顕光さん等)
、ヤマ場をきちんと盛り上げていたのがよかった。
・ 前期に私が見せていただいたのは、「Dance to the Future 2012」「白鳥の湖」「マノン」の 3 公演。
それぞれ異なる方向性をもった演目だが、いずれも、踊り、美術や照明など、すべてにおいてレベルの
高い公演で、国立の劇場が、このように変化とバラエティに富んだプログラムを、固定メンバーでコン
スタントに提供できることは、「そうでなくてはならない」と同時に、さすがだと思う。演目によって
異なる客層も、幅広く確実にお客様を掴んでいる証しかと思う。後期に私が見せていただいたのは、
『フ
94
ァースト・ステップス』『ダイナミックダンス』、DANCE PLATFORM 2012 AB 両プログラム(『美女と野
獣』
『明るい部屋』
)、それに、貞松浜田バレエ団による AB 両プログラム(『くるみ割り人形』と 3 つの
現代ダンス)。
『くるみ割り』以外はすべて現代作品、その『くるみ割り』にも貞松浜田バレエ団独自の
アイディアがあり、こうしたユニークなプログラムがならんだのは、非常に意欲的な姿勢のあらわれだ
と思った。不景気が続き、経済的、政治的、国際的、社会的に不安な要素がはびこる状況では、人はど
うしても保守的になる。それは世界的に見られる傾向だ。失敗や状況の悪化を恐れ、なるべく安全な方
途を選んで保身をめざすのは、生き残るための本能的欲求とも言える。そんな中、お客様をたやすく集
められるわけではない、しかも、多くの手間や経費、技術を要する斬新なプログラムを組み、それらが
すべて、非常に高い水準で実現されたことに、人間の創造力への讃歌のようなものを感じた。失敗を恐
れず、新しい分野や技術の開発に取り組む勇気と創造力こそが、人間の進化の原動力だからだ。国立劇
場とはいえ、収支のバランスも考慮されなくてはならないのだろうが、しかしこのような果敢な(しか
もすばらしい内容の)プログラムを、国のサポートなくして、他のどんな機関がここまでの高レベルで
実現し続けられるだろうか?そうした意味で、これまで以上に強く国立劇場としての方向性や、その意
義を意識させられ、心強く、また深く感激した公演ラインナップであった。
・ 前期は「平山素子・Dance to the Future2012」「白鳥の湖」「マノン」の三作を観たが、何れも秀作
であった。平山素子という逸材の振付で、新国立劇場バレエ団が挑んだコンテンポラリーダンスは、そ
の高度なテクニックにより、上質な表現が叶ったのではないか。国際的な評価を受けるには、ダイナミ
ズムやエロティシズムなど、プロとしての課題はまだあるかと思うが、有償に値する公演だったと思う。
「白鳥の湖」は中国から主役ダンサーを迎え、日中文化交流の一翼を担う公演になったと思う。国やメ
ソッドによって、美的表現や音楽解釈の違いなど多少あるかと思うが、欧米以外の優れたダンサーから、
私たち東洋人が学ぶものも多くあると思う。牧阿佐美氏の演出は、子供も大人も楽しめる美しいバレエ
世界であった。
「マノン」は英国 20 世紀バレエを知る上で、大変有意義な舞台であった。米国から主役
ダンサーを迎え、男女の心の機微、退廃、悲劇など、文学性の高い作品を、言葉のない身体表現で見事
に見せてくれた。今後、再演されるごとに磨かれていく作品なのだろう。舞台芸術は、表現者も観客も、
何れもが「熟達」したとき、はじめて『娯楽』になると思う。その努力を、双方が、楽しみながら続け
たいものだ。私が後期に拝見したバレエ公演は「シルヴィア」
「シンデレラ」
「ダイナミックダンス」
「ジ
ゼル」。ダンス公演は「森山開次・曼荼羅の宇宙」
「DANCE PLATFORM 2012A ユニット・キミホ」
、同じく
「B 高谷史郎『明るい部屋』」、「新国立ダンサーの振付けによる作品集・First Steps」。そして、地域
招聘公演の「貞松浜田バレエ団による「くるみ割り人形<お伽の国>」であった。新国立劇場開場 15
周年を迎えるシーズンは、エリザベス女王在位 60 周年、ロンドンオリンピック・パラリンピック開催
の年となり、「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル」と銘打って、英国関連の作品を選んでのス
タートとなり、バレエ、オペラ、演劇ともに、大変盛り沢山な、色彩感溢れる公演の数々を楽しむこと
が出来た。ビントレー監督は「シルヴィア」はフランスの作曲家・ドリーブの作品なので、英国とはあ
まり関係ないのだがと、記者発表では謙遜していたが、英国を代表する振付家・ビントレー氏のセンス
の良さとエスプリの利いた素晴らしい作品であったと思う。彼のステップと音楽の絶妙なコンビネーシ
ョンは周知のことだが、テレビ放送の映像を見ると、その斬新さと品の良さ、ユーモアのセンスなど、
あらためて実感し、ダンサーの高度なテクニックにも感心した。また、「ダイナミックダンス」は、ク
ラシックファンからコンテンポラリーのファンに至るまで、幅広い客層の心を掴んだ公演だったと思う。
震災の影響で公演が遅れたが、満を持しての『トリプルビル』公演に客席も満足したことと思う。「ジ
ゼル」は東京交響楽団の名演奏が光り、オーソドックスな舞台に華やかさとドラマ性を添えていた。初
日を飾った、長田佳世/菅野英男のペアもよく踊った。新国立バレエ団は、ここ数年、小野絢子/福岡
雄大という素晴らしいペアを育ててきたが、それに続く幾組かのペアも生まれ育ちつつある様だ。開場
15 年にして、日本を代表するバレエ団に育ってきたことは、奇跡のような長足の進歩と云わざるを得
ない。地域招聘公演「貞松浜田バレエ団・くるみ割り人形」も最高に楽しいバレエ公演だった。
・ 前期の舞踊公演は、
「こどものためのバレエ劇場」をのぞくと、バレエが 2 本とコンテンポラリーダ
ンス 1 本であった。このうちバレエはいずれも再演(
「マノン」については大幅な改定があったものの)
であり、コンテンポラリ-ダンスのほうは 2 日間 2 公演のみであった。スケジュールや予算の兼ね合い
もあるであろうし、再演が悪いということでもない(むしろ大いに必要)が、劇場のプレゼンスという
意味からすれば、半年に 1 本くらいは野心的な新作を組み込んでほしい気がする。必ずしも規模は大き
くなくても、新しい才能を思い切って起用するなど、話題性のあるプログラムがあるとよいのではない
か。「こどものためのバレエ劇場」のような企画は非常に重要である。最近は、地方の公共ホールや民
間劇場においても類似の取り組みがなされてはいるが、トップダンサーを起用しての、この“贅沢な”
プロダクションは、新国立劇場ならではといえる。子供対象や入門者向けこそ最高のものを、とは言い
古されたことであるが、ぜひ今後も継続していってほしい。
・ (後期は)古典バレエからコンテンポラリーダンスまで、バレエ研修所発表公演から新国立劇場バレ
エダンサーによる振付公演まで、実に幅広いジャンル、趣旨、出演者による公演が並んだ。従来は西洋
95
から移入したままの古典バレエがプログラムの多くを占めたが、芸術監督による創作バレエ、日本人振
付家によるコンテンポラリーダンスがバランスよく配置されることで、舞踊の楽しさ、芸術性と共に可
能性を広げた。このように年間を通してバランスをとり、それが長期的にはバレエ団、観客の育成につ
ながるようなプログラムを考え、実行することは、個々の私立のバレエ団には難しい。古典を尊重しつ
つ、グローバルな現代社会へと視野を広げること、また、日本の作家によるオリジナル作品を創作する
ことを通して、日本のバレエ界、ダンス界を成長させるためのリーダーシップをとることが“国立”と
しての存在意義でもあろう。また、ダンサーの成長が著しい。若く才能あるソリストが抜擢され、大き
な舞台を踏むことで大きく飛躍し、さらに、若手の台頭に刺激を受けたベテラン、中堅勢が持ち味を発
揮するという、好ましい循環が生まれており、ダブルキャスト、トリプルキャストすべてを見たいと思
わせるような公演になりつつある。東京一極集中を排す地域招聘公演(貞松浜田バレエ団)の企画、上
演も非常に高く評価できる。
(2)創作面について
・ (前期について)バレエダンサーの技術や、スタッフの技術の高さは、ナショナルシアターとして十
分胸を張れる水準に達している。とくにダンサーについては、若手も着実に力をつけており、新国立劇
場の養成システムは良く機能しているようだ。
・ (前期は)現代舞踊、古典バレエ、現代バレエ、子供向けの作品と選択のバランスがよく、シーズン
終盤に盛り上がるラインナップだったと思う。
(後期は)新しいレパートリー(必ずしも新作ではありませんが)が次々と加わり、ダンサーにとっ
ては毎日がルーティンにならず、絶えず挑戦の場になっていると思われるのがよい点。
・ (後期について)芸術監督ビントレーによる「シルヴィア」等はエンターテインメント性で観客の拡
大をめざしており、ダンサーたちもその目的に応えることで、プロフェッショナルとしてどのような作
品でも踊り、観客を楽しませることができるという意識と技術を身に着けられるようになってきた。こ
のプロ意識こそ、日本のバレエ界に必要なものであり、それがバレエ団と観客を育てることにつながる。
日本人振付家が数多く創作したことは、今期の大きな収穫である。才能のある若手、中堅作家に創作の
チャンスを与え、彼らもそれに応えようとしていた。すべての作品が満点ではなくても、長期的に見れ
ば、日本人振付家を育て、それぞれのスタイルに対応して踊ることのできるダンサーを育てることは、
新国立劇場バレエに強く求められることであろう。その意味で、創作面の充実を高く評価できる。
・ (前期について)『白鳥の湖』のようなメジャー作品が定期的にとりあげられるのは当然だが、現代
作品(平山素子さんの『兵士の物語』
)が、2 年と間をあけずに同じ劇場で再演されるのは、珍しいこと
なのではないか?新しい作品は、ある程度安定した古典作品に比べて、変動も大きいことと思う。そう
した演出や振付の変遷を目の当たりにできたのは、興味深いことであった。
「知る人ぞ知る」
「隠れた名
作」(=あまり上演されない)は、あまり観客動員にはつながらないのかもしれないが、国立の劇場だ
からこそ、バランスよく多方面に目を向けた、思い切った試みを期待したいと思う。
(後期について)
独自性あふれる公演であっても、創り手のアイディアが明確で、それを確実に実現できる驚異的技術や
表現力をもったダンサーたちの踊りが、説得力にあふれたすばらしいものなので、その評判によって、
多少なりとも公演の終盤には、集客が上向いたのではないか(そうだといいが)
。個人的には、
『ダイナ
ミックダンス』の 3 作品(特にバランシンとサープの、深い音楽的理解をしめす独創的な振付と、難度
の高い、しかし美しい踊り)や、貞松浜田 B プログラムのキリアン、ナハリンの機知と創造力には、度
肝を抜かれ、人間のもつさまざまな能力の可能性とそのエネルギーに魂を突き動かされる思いであった。
こうした作品のすばらしさは、何度も上演するうちに、必ずや人口に膾炙してゆくはずだ。「現代の古
典」たるこれらの作品の継承も、国立機関の重要な任務だと思う。
・ (前期について)開場 15 年という刻の経過は、新国立劇場のさまざまな分野を育て変容させてきた
と思う。コンテンポラリーダンスも、当初の関係者らしき人々のみが集まるマニアックな公演から、ダ
ンスに興味のある一般観客層にまでようやく広がりをみせてきたと思う。バレエ公演も、演出やテクニ
ックについて囁き合う高度なファンはもとより、「綺麗ね〜」と溜め息をついて心から楽しむ一般のバ
レエファン層に大きく広がってきたと思う。こうした広がりは、本当に大切なことで嬉しいことだ。が、
半面、もっとも敏感な観客層でもある。面白くなければ、来なくなるからだ。レストランの味が落ちる
と客足が遠退くのと同じだ。新国のコンテンポラリーダンスも、今後、どういう方向に進んで行くのか、
大切な時期に来ているようにも感じる。より個性化し先鋭化するのも1つの選択肢だ。エンターテイン
メント性を高めるのもひとつの選択肢かもしれないが、その線引きは難しいところだ。何れにせよ、日
本を代表する国立バレエ団として、国際的に通用する確固たる演目がなければならない。古典バレエと、
新作を含む現代バレエの両立も、すこし目鼻が付いてきたのか。ビントレー監督は「現代バレエにも力
を注ぎたい」と、かつておっしゃっていた。その成果が、現れてきているように感じる。振付けはもと
より、音楽、舞台美術、照明、衣装など、ビントレー監督にインスパイアーされて、新国立バレエが学
び手にしてきたものは、限りなく豊かで大きいと思う。
96
(3)営業、広報面について
・ ホームページが大変充実しており、公演前、公演後と、長い期間、多角的に演目について知識を深め
ることができるコンテンツに感嘆している。バレエ団ブログのような、親しみやすい公演の裏側(お稽
古の様子、団員の皆様の日常など)から、演目についてより深く、幅広く理解できる、知的なコラムま
で、さまざまな観客の興味に応える幅広い内容が魅力的である。
「永遠のファム・ファタル」と題して、
バレエの「マノン」と、同時期に上演している、演劇部門の「サロメ」をとりあげたコラムなど、他部
門の演目ともリンクさせたこのような取り組みは(少し前にはオペラ部門との「こうもり」の「競演」
もあった)、観客にいろいろな事象のつながりを示唆し、新たな興味を喚起させるという点で、非常に
有意義だと思う。内容が会場で販売されているプログラムとかぶっていないのもエライ!(かぶってい
たらプログラムを購入する必要、なくなる)。こうしたかたちで、時代や文化を幅広くとらえて演目を
紹介する試み、ぜひ今後も続けていただきたい。なじみの少ない現代作品や振付家についての記事やビ
デオをフォワイエで紹介しているのは、好奇心もそそるし、長い休憩時間のヒマつぶしにもなり、よい
アイディアだと思う。大雪の折、開演を 10 分遅らせたり、終演後に、すべての交通機関の運行状況を
貼り出したりしてくれた劇場の方々のご配慮は迅速で、状況のわからない公演後のお客様に安心感を与
えるものでもあり、日本らしい細やかなサービスだと思った。
・ 各演目についての情報は、ホームページや Atre 等においてきめ細かく提供されていると感じる。と
くに動画などを多用したプロモーションは充実度を増している。いっぽうで、関心を持って情報にアプ
ローチしてくる人たち以外の、潜在的な顧客に対する仕掛けはまだまだ工夫の余地を残しているように
思う。バレエ/ダンスへの関心を一般の人々に拡げていくためのアイデアが望まれる。また、劇場の運
営や財務的な部分についての広報が、公益財団としての義務的な開示レベルに依然としてとどまってい
るのも残念だ。関心を持ってチェックする人は多くないかもしれないが、今後、民間資金の比率を上げ
ていくべきことを考えると、そういう部分もわかりやすく説明していく努力が必要だろう。
・ (前期について)「マノン」はじつは最終日にもう一度拝見したが、かなり日が迫ってから購入した
にもかかわらず、4 階最前列中央ブロックというすばらしい席が取れたのが、うれしい半面少々残念で
もあった。学生、リピーター、家族連れ等、チケットの値段の面で手を出しやすい(開拓しがいのある?)
ところであり、何より、上の方の席に活気があると、公演の盛り上がり=お客様の最終的な満足度も断
然違ってくるのではないか。また、上の方の席は久しぶりだったが、階段の壁に演目にちなんだ写真や、
衣裳デザイン画等の展示があると、より雰囲気がよくなるのではとも感じた。(後期について)以前、
会場販売のプログラムに、上演作品そのものについての文章(該当のバレエや原作についての解説、音
楽について、上演史等)が少ないのではと私見を述べたが、今シーズンはその意味では充実した内容の
ものが多く、とくにダイナミック・ダンスは作品理解がたいへん深まるすぐれた内容であった。ホーム
ページも動画が増えるなど、よりバレエ・ファンの興味を引き付けるものになってきていると感じてい
る。
・ (前期について)「白鳥の湖」を二度目に拝見したとき、学生の鑑賞教室と一緒になった。多少の喧
噪はあったが、次世代の文化性を高めるためのこうした教育は、とても大切なことと思った。震災後、
一時遠退いた客足を取り戻すには、以前からの観客の復帰も望ましいが、新たな観客層の開拓と獲得が、
必至の課題かもしれない。大阪の文化政策を巡る論議と混乱は、他人事ではなく、データの蓄積や解読
と活用、斬新な企画力や、粘り強い営業活動など、日本の文化の「聖火ランナー」としての活躍を期待
している。「国立劇場」という「縛り」は、ときとして面白みを欠くこともある。私は、古典芸能も好
きで、半蔵門の国立劇場にもよく伺うが、たとえロビーにおいても「食べたり飲んだりしながら芝居や
文楽を楽しむ」という情緒はなかなか味わいにくい、ちょっとスクエアーな劇場である。最近は、少し
ずつ改善されている様子だが、小劇場など、休憩時間のお弁当タイムの席取り合戦やペットボトルの味
気なさは、外国人にも驚きで、すこし残念に感じている。新国立劇場も、小劇場のバーが営業されたり、
オペラパレスのホワイエの華やぎを演出したり、また劇場の方々が観客とお話されたり、クロークの案
内に至るまで、様々な努力をされていることを感じているが、ロンドンのコヴェントガーデンなどの趣
にはかなわない。劇場は、「素晴らしい演目」と「安全」が第一義だが、入り口を入った瞬間から、終
演後出口を出るまでの全てが、観客にとってのエンターテインメント・夢の世界なのだと思う。新国立
劇場ならではの、お洒落で心温まるサービスを、これからも期待したい。
(後期について)15 年前、開
場当時のことを思い出すと、オペラパレス・ロビーの観客の年齢層は、多少とも若返ったのではないか。
また、バレエの主役と云えば「ザハロワ」と言われるくらい、海外からのゲストスターダンサーを目当
てに、チケットを買い求めたものだが、最近は、バレエに関しては、新国立バレエ団の主役達で、充分
に満足して頂けるようになってきたと思う。また、クラシックもダンスも、ともに高いレベルの技術で
表現出来るバレエ団は貴重だ。まさに 15 年の積み重ねと、歴代芸術監督やスタッフの皆さんの努力が
実りつつあるのだろう。在京の多くのバレエ団がさまざまな問題を抱える今、新国立劇場バレエ団が、
ますます輝いていく時節到来ではないか。営業と広報は、大変重要。セレブリティのための「新国立バ
レエ団」を目指すのか、大衆にも愛される「新国立バレエ団」にするのか。新芸術監督を間もなく迎え
97
るに当たって、有効な戦略を立てるときが迫っていると思う。
・ 定番の古典バレエとは異なり、コンテンポラリーダンス、コンテンポラリーバレエ、地域招聘公演は
集客が難しいと思われるが、善戦していた。長期的に見れば、これらの作品を理解できる観客を育てる
ことが、観客全体のレベルアップにつながり、さらに観客から見られるバレエ団をレベルアップさせる
ことになる。コンテンポラリーダンスでも比較的集客しやすい人気作家やダンサーをバランスよく使い
ながら、試みを継続してほしい。ネットを使った公演前からの具体的な情報発信(インタビュー、リハ
ーサル風景など)が評価できる。
4.アンケート調査
7 公演で 7 回実施した。
有効回答数 1,940 人(配布数 12,365 人、回収率 15.7%)。回答者の 93.3%が概ね満足と答えた(1,810 人)
。
【特記事項】
・ 平成 24 年 9 月、2014/2015 シーズンからの舞踊部門の次期芸術監督予定者として、大原永子氏が芸術
参与に就任した。
・ 新国立劇場バレエ団プリンシパルの福岡雄大が第 44 回舞踊批評家協会新人賞を受賞した(
「マノン」
「シルヴィア」
「シンデレラ」ほかの成果に対して)
。
・ 新国立劇場バレエ団プリンシパルの山本隆之が平成 24 年度(第 63 回)芸術選奨文部科学大臣賞を受
賞した(「アンナ・カレーニナ」(23 年度公演)ほかの成果に対して)
。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
本公演
実績38,872人/目標40,800人(達成度95.3%)
こどもバレエ 実績5,085人/目標4,100人 (達成度124.0%)
合計
実績43,957人/目標44,900人 (達成度97.9%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ バレエの新制作公演においては、ビントレー芸術監督自身がドリーブの美しいバレエ音楽に振付け、
ダンサーの高度な技術と音楽性、そして巧みなストーリー展開により観客を魅了する「シルヴィア」を、
ビントレーが芸術監督を兼任するバーミンガム・ロイヤル・バレエからゲストを招いて上演した。
・ 監督就任後最初のシーズンに自身の芸術的信念を表明する意欲的公演として上演直前まで至りながら、
東日本大震災によりやむなく中止となった「ダイナミック ダンス!」について、24 年度に念願の上演
が叶い、新国立劇場バレエ団が再び挑戦して、高い評価を得た。
・ 再演公演においては、バレエの代名詞ともいえる名作中の名作を、新国立劇場バレエとして初めて東
アジア圏からゲストダンサーを招いて上演した「白鳥の湖」、“永遠のファム・ファタル”を描く衝撃的
な物語と演劇性に富むマクミランの振付に挑戦し、初演から 9 年を経てバレエ団の豊かな表現力と、そ
のさらなる深化を印象付けた「マノン」
、クリスマス時期に家族で楽しめるバレエとしての上演も恒例と
なり、一般、団体を含む幅広い客層から確固たる支持を得た「シンデレラ」
、一糸乱れぬ群舞の美しさと、
近年著しい充実を見せる表現力とを、ともに活かすことのできる古典の傑作「ジゼル」の 4 演目を上演
した。いずれも再演を重ねることによって磨き上げられた上演内容で、新国立劇場バレエ団全体として
も、また個々のダンサーについても、ビントレー芸術監督の下で多様な作品の上演経験を重ねてきた成
果がいかんなく発揮された。
・ 厳しい財政状況の中、高い公演水準の維持に努めつつも、効率的な公演制作手法等マネジメントの精
緻化をはかることにより予算のスリム化を徹底し、制作費の節約を図った。
・ 新国立劇場バレエ団は、設立 15 年目を迎え、ソリスト、コール・ド・バレエともに、一層の充実を示
した。
「シンデレラ」
「ダイナミック ダンス!」では、ゲストダンサーを招聘せず全日程をバレエ団のダ
ンサーでキャスティングし上演した。また、5 月には当時ソリスト(現ファースト・ソリスト)の米沢
唯と菅野英男が、韓国ソウル市国立劇場の招きで「日韓文化交流公演~同行~」に出演、「ドン・キホー
テ」第 3 幕よりグラン・パ・ド・ドゥを踊ったことに続き、2 月にはプリンシパルの小野絢子と福岡雄
大が、ビントレーが芸術監督を兼務する英国バーミンガム・ロイヤル・バレエによる「アラジン」
(英国
初演)にゲストダンサーとして招かれて好演、現地の観客から大きな喝采を浴びた。
98
・
東日本大震災の影響により、本年度も出演者の突発的なキャンセルに見舞われたが、迅速な意思決定
と柔軟かつ根気ある対応により、大きな事故なく公演を遂行することができ、キャスト変更後も公演に
対する観客の満足度は非常に高かった。
・ 「白鳥の湖」や「ジゼル」のように特にポピュラーな演目や、
「シンデレラ」のように家族向けを意識
した演目では、一般観客やバレエ教室・各種舞踊教室・学校・児童養護施設などを含む団体観客に重点
的な営業を行うことによって、観客層を広げることが出来た。また、「DANCE to the Future」ではバレ
エの観客、
「マノン」では演劇公演の観客というように、ジャンルを超えた観客層へのアプローチも図る
など、状況に応じて臨機応変な営業活動を展開した。
・ 「アカデミック・プラン」の継続と「アカデミック 39」のプランの導入によって、これまで劇場に足
を運ぶことの少なかった潜在的な新規顧客の掘り起こしを図り、現代舞台芸術の普及に資することを期
待している。
・ 文化庁の「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業の効果もあり、新国立劇場で制作したバレ
エ公演を兵庫県や新潟県、香川県、神奈川県で上演するなど、前年度以上に全国に展開することができ
た。
○ 見直し又は改善を要する点
・ バレエ公演はオペラ公演同様、シーズンセット券が主要な販売チャンネルであるが、23年度に続き震災
の影響により同セット券の販売が伸び悩んだことで苦戦を強いられた。また、ビントレー芸術監督の方針
のもと、現代作品を基調とする新しい演目の上演や、ゲストを初めとする特定のダンサー頼みではない、
新国立劇場バレエ団自体の魅力による観客の獲得に努めているが、まだ、その成果が十分数値に表れる段
階には至っていない。これらを踏まえ、個々の演目について理解度、認知度の向上を図る一方、新国立劇
場バレエ団への親近感を強化、ファン層を拡大するとともに、公演への興味関心を喚起するよう努めてき
た。今後も、バレエ公演全体については芸術監督の振付による現代作品を基調とする新しい演目の広報等
を強化し、芸術監督の意向・芸術観、演目への観客の理解度・認知度の向上と興味喚起を図る一方、個々
の演目については作品の魅力や出演者の魅力を効果的に発信し、多くの人々の期待感を醸成して、鑑賞行
動に結び付くよう努め続けていきたい。また、演目の選定にあたっても、レパートリーの幅を広げる工夫
をしながら、人気古典演目を取り入れていくことで、バレエ公演全体としての入場率を上げていきたい。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 公演数では昨年度に比べて1公演少ないが、入場率は昨年度比で 3.6%増、2,733 人増えており、改善
の兆しが見える。しかし、計画未達となっており、引き続き改善の取り組みが求められる。(①)
(振興会評価委員会)
・ バレエ公演全体で、入場者数が目標を達成できなかった。広報、営業や公演日程等についての問題の
抽出を早急に行い、改善策を考えるべきである。(①)
【対応】
①公演結果の分析と改善
23 年度のオペラ公演については、震災の影響により 9 演目中 7 演目において出演者の、2 演目において
指揮者の降板・変更が発生するなど、東日本大震災とそれに起因する原子力災害の影響が年度を通じて非
常に重い負担となった。新国立劇場オペラ公演の主要な販売チャンネルはシーズンセット券であるが、
2011/2012 シーズン(23 年 10 月~24 年 6 月)公演について、セット券販売の重要な時期に東日本大震災
が発生したことも、長期間にわたり震災の影響が続いている理由の一つである。これに加え、震災後の経
済的な先行きの不透明感及び減速感が、心理的な要因として観客に大きく影響しているものと考えている。
具体的な課題としては、各演目とも特に、最も高額な S 席の販売に伸び悩みがみられることが挙げられ
る。今後とも、S 席購入に抵抗のない観客層を模索する、また将来の観客となる若年層に働きかけるなど、
多面的な公演情報の発信を行い、観客動員に取り組んでいきたい。
バレエ公演もまた、シーズンセット券が主要な販売チャンネルであるが、オペラ公演同様、震災の影響
により同セット券の販売が伸び悩んだことで、苦戦を強いられた。また、ビントレー芸術監督の方針のも
と、現代作品を基調とする新しい演目の上演や、ゲストを初めとする特定のダンサー頼みではない、新国
立劇場バレエ団自体の魅力による観客の獲得に努めているが、まだ、その成果が十分数値に表れる段階に
至っていないことも関係があると考えられる。これを踏まえ、個々の演目について、公演特設サイトや各
99
作品の魅力をダイジェストで伝える動画の作成、ホームページへの掲載、メールマガジンでの告知などの
宣伝・広報を行い、演目への理解度、認知度の向上を図る一方、23 年度に新国立劇場バレエ団ブログを開
始し、稽古風景やダンサーたちからのメッセージなどを発信することで、新国立劇場バレエ団への親近感
を強化、ファン層を拡大するとともに、公演への興味関心を喚起するよう努めている。
今後も、バレエ公演全体については芸術監督の振付による現代作品を基調とする新しい演目の広報等を
強化し、芸術監督の意向・芸術観、演目への観客の理解度・認知度の向上と興味喚起を図る一方、個々の
演目については作品の魅力や出演者の魅力を効果的に発信し、多くの人々の期待感を醸成して、鑑賞行動
に結び付くよう努め続けていきたい。
また、演目の選定にあたっても、レパートリーの幅を広げる工夫をしながら、人気古典演目を取り入れ
ていくことで、バレエ公演全体としての入場率を上げていきたい。
100
2-(2)-③ 現代舞踊
《制作方針》
特徴あるスタイルを持つ振付家による新国立劇場ならではの斬新な企画で、ダンスが持つ自由な発想や
身体表現の可能性を追求して、現代舞踊の裾野を広げる。
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
「DANCE to the Future 2012」
中劇場
「森山開次 曼荼羅の宇宙」
期間
区分
4/21(土)~
実績
2回
2日
1,309 人
(88.3%)
1,482 人
22(日)
計画
2回
2日
1,180 人
(74.9%)
1,576 人
10/17(水)~
実績
6回
5日
1,772 人
(87.4%)
2,028 人
21(日)
計画
5回
5日
1,220 人
(74.8%)
1,630 人
11/29(木)~
実績
7回
6日
1,726 人
(86.2%)
2,002 人
12/9(日)
計画
7回
7日
1,540 人
(75.1%)
2,050 人
3/26(火)~
実績
2回
2日
1,217 人
(67.2%)
1,812 人
27(水)
計画
2回
2日
1,370 人
(74.8%)
1,832 人
実績
17 回
15 日
6,024 人
(82.3%)
7,324 人
計画
16 回
16 日
5,310 人
(74.9%)
7,088 人
小劇場
「DANCE PLATFORM 2012」
「DANCE to the Future 2013」
【現代舞踊 合
計】
中劇場
4 公演
(計画:4 公演)
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
2.営業・広報
・ セット券購入の観客は現代舞踊の最重要顧客であるとの位置づけのもと、2012/2013 シーズンセット
券の販売を実施した。
・ 空席のある場合に限り事前に半額で予約できる 25 歳以下の若年層を対象とした「アカデミック・プ
ラン」を昨年度に引き続き実施するとともに、26 歳以上 39 歳以下の年齢層を対象に、
「アカデミック
39」を新たに立ち上げた。
・ 演目別の広報については、さまざまな角度からアピールする方法を検討し、きめ細かいマスコミ対応
による記事掲載の促進や、特設サイトにおける動画の活用をはじめとしたコンテンツの充実、他劇場で
の告知活動、e メールクラブ会員に対して公演関連情報や芸術監督のメッセージを送信するなど、観客
向けのより詳細な情報を随時発信することで、多くの人々の期待感を醸成し、鑑賞へと結び付けた。
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、ジ・アトレ会報等により、公演の
周知を図り、集客に努めた。
・ インターネットを活用した特設サイトの開設や動画掲載、他劇場での告知活動などを通じて、公演に
対する注目度を向上させるとともに、期待感を高めることに努めた。
・ インターネットで関連キーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示される「検索キーワ
ード連動型広告」というアプローチを行い、精密な営業活動を行った。
・ 新国立劇場愛好者に対し e メールにて各種情報を提供、必要な情報を的確に周知し、顧客の利便性の
向上に資した。
(e メールクラブ)。
3.外部専門家等の意見(バレエと一部共通)
(1)公演全体について
・ (前期の)4 演目のうち「Dance to the Future 2012」「マノン」を拝見した。シーズン終盤に力の入
った公演が続き、コンテンポラリー作品、マクミラン作品のスタイルが身体に入っていて、たいへんよ
かったと思う。前者はバレエ・ダンサーが現代作品に出演する意味がよくわかる(バレエ・ダンサーで
なくては踊りこなせない)高度な身体能力を活かした仕上がりであった。後者では、前回初演時と比べ
て全体的に表現力が大きく向上していると感じた。ゲストの人選(日本では特に有名とはいえない存在
101
ながら、実力・本作品での経験がすぐれている)もよく、また団員キャストのうち拝見した小野絢子/
福岡雄大も、役作りのポイントをよく押さえて、初演ながらみごとな出来だったと感じた。主役ダンサ
ーとして自覚が芽生え、表現の幅も広がってきていると感じた。
(後期は)現代作品、創作作品が充実し、
また主役を中心に、伸びるべきダンサーの皆さんが着実に(以上に?)成長なさったと感じた。バレエ
公演は、団員のみなさんのレベルの高さが活かせる演目が並んでいたとの印象。コンテンポラリーは 10
月『曼荼羅の宇宙』、11~12 月『Dance Platform2012』A、Bプロを拝見したが、中ではキミホ・ハル
バートさんの『Beauties and Beasts』が、主題の掴み方、全体の構成、振付と選曲、そして緊張とリラ
ックスの絶妙のバランスに手腕を感じた。
・ 前期に私が見せていただいたのは、「Dance to the Future 2012」
「白鳥の湖」「マノン」の 3 公演。そ
れぞれ異なる方向性をもった演目だが、いずれも、踊り、美術や照明など、すべてにおいてレベルの高
い公演で、国立の劇場が、このように変化とバラエティに富んだプログラムを、固定メンバーでコンス
タントに提供できることは、
「そうでなくてはならない」と同時に、さすがだと思う。演目によって異な
る客層も、幅広く確実にお客様を掴んでいる証しかと思う。後期に私が見せていただいたのは、
『ファー
スト・ステップス』
『ダイナミックダンス』
、DANCE PLATFORM 2012 AB 両プログラム(『美女と野獣』
『明
るい部屋』)
、それに、貞松浜田バレエ団による AB 両プログラム(『くるみ割り人形』と 3 つの現代ダン
ス)で。
『くるみ割り』以外はすべて現代作品、その『くるみ割り』にも貞松浜田バレエ団独自のアイデ
ィアがあり、こうしたユニークなプログラムがならんだのは、非常に意欲的な姿勢のあらわれだと思っ
た。不景気が続き、経済的、政治的、国際的、社会的に不安な要素がはびこる状況では、人はどうして
も保守的になる。それは世界的に見られる傾向だ。失敗や状況の悪化を恐れ、なるべく安全な方途を選
んで保身をめざすのは、生き残るための本能的欲求とも言える。そんな中、お客様をたやすく集められ
るわけではない、しかも、多くの手間や経費、技術を要する斬新なプログラムを組み、それらがすべて、
非常に高い水準で実現されたことに、人間の創造力への讃歌のようなものを感じた。失敗を恐れず、新
しい分野や技術の開発に取り組む勇気と創造力こそが、人間の進化の原動力だからだ。国立劇場とはい
え、収支のバランスも考慮されなくてはならないのだろうが、しかしこのような果敢な(しかもすばら
しい内容の)プログラムを、国のサポートなくして、他のどんな機関がここまでの高レベルで実現し続
けられるだろうか?そうした意味で、これまで以上に強く国立劇場としての方向性や、その意義を意識
させられ、心強く、また深く感激した公演ラインナップであった。
・ 前期は「平山素子・Dance to the Future2012」「白鳥の湖」
「マノン」の三作を観たが、何れも秀作だ
った。平山素子という逸材の振付で、新国立劇場バレエ団が挑んだコンテンポラリーダンスは、その高
度なテクニックにより、上質な表現が叶ったのではないか。国際的な評価を受けるには、ダイナミズム
やエロティシズムなど、プロとしての課題はまだあるかと思うが、有償に値する公演だったと思う。私
が後期に拝見したバレエ公演は「シルヴィア」「シンデレラ」「ダイナミックダンス」「ジゼル」。ダンス
公演は「森山開次・曼荼羅の宇宙」
「DANCE PLATFORM 2012A ユニット・キミホ」、同じく「B 高谷史郎『明
るい部屋』」
、
「新国立ダンサーの振付けによる作品集・First Steps」
。そして、地域招聘公演の「貞松浜
田バレエ団による「くるみ割り人形<お伽の国>」であった。新国立劇場開場 15 周年を迎えるシーズン
は、エリザベス女王在位 60 周年、ロンドンオリンピック・パラリンピック開催の年となり、「新国立劇
場・英国舞台芸術フェスティバル」と銘打って、英国関連の作品を選んでのスタートとなり、バレエ、
オペラ、演劇ともに、大変盛り沢山な、色彩感溢れる公演の数々を楽しむことが出来た。ビントレー監
督は「シルヴィア」はフランスの作曲家・ドリーブの作品なので、英国とはあまり関係ないのだがと、
記者発表では謙遜していたが、英国を代表する振付家・ビントレー氏のセンスの良さとエスプリの利い
た素晴らしい作品であったと思う。彼のステップと音楽の絶妙なコンビネーションは周知のことだが、
テレビ放送の映像を見ると、その斬新さと品の良さ、ユーモアのセンスなど、あらためて実感し、ダン
サーの高度なテクニックにも感心した。また、
「ダイナミックダンス」は、クラシックファンからコンテ
ンポラリーのファンに至るまで、幅広い客層の心を掴んだ公演だったと思う。震災の影響で公演が遅れ
たが、満を持しての『トリプルビル』公演に客席も満足したことと思う。
「ジゼル」は東京交響楽団の名
演奏が光り、オーソドックスな舞台に華やかさとドラマ性を添えていた。初日を飾った、長田佳世/菅
野英男のペアもよく踊った。新国立バレエ団は、ここ数年、小野絢子/福岡雄大という素晴らしいペア
を育ててきたが、それに続く幾組かのペアも生まれ育ちつつある様だ。開場 15 年にして、日本を代表す
るバレエ団に育ってきたことは、奇跡のような長足の進歩と云わざるを得ない。地域招聘公演「貞松浜
田バレエ団・くるみ割り人形」も最高に楽しいバレエ公演だった。
102
・ 前期の舞踊公演は、
「こどものためのバレエ劇場」をのぞくと、バレエが 2 本とコンテンポラリーダン
ス 1 本であった。このうちバレエはいずれも再演(「マノン」については大幅な改定があったものの)で
あり、コンテンポラリ-ダンスのほうは 2 日間 2 公演のみであった。スケジュールや予算の兼ね合いも
あるであろうし、再演が悪いということでもない(むしろ大いに必要)が、劇場のプレゼンスという意
味からすれば、半年に 1 本くらいは野心的な新作を組み込んでほしい気がする。必ずしも規模は大きく
なくても、新しい才能を思い切って起用するなど、話題性のあるプログラムがあるとよいのではないか。
・ (後期は)古典バレエからコンテンポラリーダンスまで、バレエ研修所発表公演から新国立劇場バレ
エダンサーによる振付公演まで、実に幅広いジャンル、趣旨、出演者による公演が並んだ。従来は西洋
から移入したままの古典バレエがプログラムの多くを占めたが、芸術監督による創作バレエ、日本人振
付家によるコンテンポラリーダンスがバランスよく配置されることで、舞踊の楽しさ、芸術性と共に可
能性を広げた。このように年間を通してバランスをとり、それが長期的にはバレエ団、観客の育成につ
ながるようなプログラムを考え、実行することは、個々の私立のバレエ団には難しい。古典を尊重しつ
つ、グローバルな現代社会へと視野を広げること、また、日本の作家によるオリジナル作品を創作する
ことを通して、日本のバレエ界、ダンス界を成長させるためのリーダーシップをとることが“国立”と
しての存在意義でもあろう。また、ダンサーの成長が著しい。若く才能あるソリストが抜擢され、大き
な舞台を踏むことで大きく飛躍し、さらに、若手の台頭に刺激を受けたベテラン、中堅勢が持ち味を発
揮するという、好ましい循環が生まれており、ダブルキャスト、トリプルキャストすべてを見たいと思
わせるような公演になりつつある。東京一極集中を排す地域招聘公演(貞松浜田バレエ団)の企画、上
演も非常に高く評価できる。
(2)創作面について
・ (前期について)バレエダンサーの技術や、スタッフの技術の高さは、ナショナルシアターとして十
分胸を張れる水準に達している。とくにダンサーについては、若手も着実に力をつけており、新国立劇
場の養成システムは良く機能しているようだ。コンテンポラリーダンスについては、海外マーケットを
もう少し意識していけないだろうか。たとえば平山素子は、コンテンポラリーでは新国立の看板的存在
になりつつあるのだから、劇場として海外の主要劇場やフェスティバルにプロモーションしていってほ
しい。
・ (前期は)現代舞踊、古典バレエ、現代バレエ、子供向けの作品と選択のバランスがよく、シーズン
終盤に盛り上がるラインナップだったと思う。
(後期は)新しいレパートリー(必ずしも新作ではありま
せんが)が次々と加わり、ダンサーにとっては毎日がルーティンにならず、絶えず挑戦の場になってい
ると思われるのがよい点。また、『曼荼羅の宇宙』で森山開次さんが芸術選奨新人賞を受賞されたのも、
本人の力量はもちろんのことですが、劇場側の企画力、サポートも大きく資したのではと感じている。
・ (後期について)芸術監督ビントレーによる「シルヴィア」等はエンターテインメント性で観客の拡
大をめざしており、ダンサーたちもその目的に応えることで、プロフェッショナルとしてどのような作
品でも踊り、観客を楽しませることができるという意識と技術を身に着けられるようになってきた。こ
のプロ意識こそ、日本のバレエ界に必要なものであり、それがバレエ団と観客を育てることにつながる。
日本人振付家が数多く創作したことは、今期の大きな収穫である。才能のある若手、中堅作家に創作の
チャンスを与え、彼らもそれに応えようとしていた。すべての作品が満点ではなくても、長期的に見れ
ば、日本人振付家を育て、それぞれのスタイルに対応して踊ることのできるダンサーを育てることは、
新国立劇場バレエに強く求められることであろう。その意味で、創作面の充実を高く評価できる。
・ (前期について)
『白鳥の湖』のようなメジャー作品が定期的にとりあげられるのは当然だが、現代作
品(平山素子さんの『兵士の物語』
)が、2 年と間をあけずに同じ劇場で再演されるのは、珍しいことな
のではないか?新しい作品は、ある程度安定した古典作品に比べて、変動も大きいことと思う。そうし
た演出や振付の変遷を目の当たりにできたのは、興味深いことであった。
「知る人ぞ知る」
「隠れた名作」
(=あまり上演されない)は、あまり観客動員にはつながらないのかもしれないが、国立の劇場だから
こそ、バランスよく多方面に目を向けた、思い切った試みを期待したいと思う。
(後期について)独自性
あふれる公演であっても、創り手のアイディアが明確で、それを確実に実現できる驚異的技術や表現力
をもったダンサーたちの踊りが、説得力にあふれたすばらしいものなので、その評判によって、多少な
りとも公演の終盤には、集客が上向いたのではないか(そうだといいが)。個人的には、『ダイナミック
ダンス』の 3 作品(特にバランシンとサープの、深い音楽的理解をしめす独創的な振付と、難度の高い、
しかし美しい踊り)や、貞松浜田 B プログラムのキリアン、ナハリンの機知と創造力には、度肝を抜か
103
れ、人間のもつさまざまな能力の可能性とそのエネルギーに魂を突き動かされる思いであった。こうし
た作品のすばらしさは、何度も上演するうちに、必ずや人口に膾炙してゆくはずだ。
「現代の古典」たる
これらの作品の継承も、国立機関の重要な任務だと思う。こうした巨匠たちの手練手管があますことな
く活かされた作品にくらべると、新しい試み『ファーストステップス』や『DANCE PLATFORM』には、芸
術的熟成度や洗練度の点で物足りなさもあった。
『ファーストステップス』は事前セレクションがないだ
けに、
「
“未完成”のものをみる」という希有な機会であり、
「どんな振付/演出がおもしろいのか、そう
でないのか」という、普段の“完成された”公演では無意識に享受している(あって当然なので気付か
ない)
「振付・照明・演出の複合的魔術」について、観客にも考えさせる興味深い試みであった。新シー
ズンも第 2 弾が予定されているようで、振付家の卵たちの成長が楽しみだ。彼らに、観客からのフィー
ドバックが伝えられ、それが次年度以降の作品に反映されれば、お客の側にも「つくり育てる喜び」が
生まれるかもしれない。
・ (前期について)開場 15 年という刻の経過は、新国立劇場のさまざまな分野を育て変容させてきたと
思う。コンテンポラリーダンスも、当初の関係者らしき人々のみが集まるマニアックな公演から、ダン
スに興味のある一般観客層にまでようやく広がりをみせてきたと思う。バレエ公演も、演出やテクニッ
クについて囁き合う高度なファンはもとより、
「綺麗ね〜」と溜め息をついて心から楽しむ一般のバレエ
ファン層に大きく広がってきたと思う。こうした広がりは、本当に大切なことで嬉しいことだ。が、半
面、もっとも敏感な観客層でもある。面白くなければ、来なくなるからだ。レストランの味が落ちると
客足が遠退くのと同じだ。新国のコンテンポラリーダンスも、今後、どういう方向に進んで行くのか、
大切な時期に来ているようにも感じる。より個性化し先鋭化するのも1つの選択肢だ。エンターテイン
メント性を高めるのもひとつの選択肢かもしれないが、その線引きは難しいところだ。何れにせよ、日
本を代表する国立バレエ団として、国際的に通用する確固たる演目がなければならない。古典バレエと、
新作を含む現代バレエの両立も、すこし目鼻が付いてきたのだろうか。ビントレー監督は「現代バレエ
にも力を注ぎたい」と、かつておっしゃっていた。その成果が、現れてきているように感じる。振付け
はもとより、音楽、舞台美術、照明、衣装など、ビントレー監督にインスパイアーされて、新国立バレ
エが学び手にしてきたものは、限りなく豊かで大きいと思う。
(後期について)新国立バレエが、振付や
出演者として参加した「DANCE PLATFORM 2012 ユニット・キミホ」と「First Steps」は大変興味深く拝
見した。クラシックバレエとは違う『リアリティ』を求められるダンスの世界で、ダンサーや振付家が、
どこまで自分自身を裸にして表現出来るのか、様式にとらわれない世界でどのような自己表現が叶うの
か。コンテンポラリーなものでありながらも、表現の『放出』だけでなく、観客との『融和』も想像さ
れて、日本人の優しさを感じる創作になっていた。森山開次氏の作品もエネルギッシュで美しかったし、
高谷史郎氏の「明るい部屋」も空間の使い方がユニークであったが、私は、まだ未熟で不定形ながら、
品格と爆発力を持った、新国立バレエのオリジナル作品により強い期待感を感じた。
(3)営業、広報面について
・ ホームページが大変充実しており、公演前、公演後と、長い期間、多角的に演目について知識を深め
ることができるコンテンツに感嘆している。バレエ団ブログのような、親しみやすい公演の裏側(お稽
古の様子、団員の皆様の日常など)から、演目についてより深く、幅広く理解できる、知的なコラムま
で、さまざまな観客の興味に応える幅広い内容が魅力的である。「永遠のファム・ファタル」と題して、
バレエの「マノン」と、同時期に上演している、演劇部門の「サロメ」をとりあげたコラムなど、他部
門の演目ともリンクさせたこのような取り組みは(少し前にはオペラ部門との「こうもり」の「競演」
もあった)
、観客にいろいろな事象のつながりを示唆し、新たな興味を喚起させるという点で、非常に有
意義だと思う。内容が会場で販売されているプログラムとかぶっていないのもエライ!(かぶっていた
らプログラムを購入する必要、なくなる)
。こうしたかたちで、時代や文化を幅広くとらえて演目を紹介
する試み、ぜひ今後も続けていただきたい。なじみの少ない現代作品や振付家についての記事やビデオ
をフォワイエで紹介しているのは、好奇心もそそるし、長い休憩時間のヒマつぶしにもなり、よいアイ
ディアだと思う。大雪の折、開演を 10 分遅らせたり、終演後に、すべての交通機関の運行状況を貼り出
したりしてくれた劇場の方々のご配慮は迅速で、状況のわからない公演後のお客様に安心感を与えるも
のでもあり、日本らしい細やかなサービスだと思った。
・ 各演目についての情報は、ホームページや Atre 等においてきめ細かく提供されていると感じる。とく
に動画などを多用したプロモーションは充実度を増している。いっぽうで、関心を持って情報にアプロ
ーチしてくる人たち以外の、潜在的な顧客に対する仕掛けはまだまだ工夫の余地を残しているように思
104
う。バレエ/ダンスへの関心を一般の人々に拡げていくためのアイデアが望まれる。また、劇場の運営
や財務的な部分についての広報が、公益財団としての義務的な開示レベルに依然としてとどまっている
のも残念だ。関心を持ってチェックする人は多くないかもしれないが、今後、民間資金の比率を上げて
いくべきことを考えると、そういう部分もわかりやすく説明していく努力が必要だろう。
・ 定番の古典バレエとは異なり、コンテンポラリーダンス、コンテンポラリーバレエ、地域招聘公演は
集客が難しいと思われるが、善戦していた。長期的に見れば、これらの作品を理解できる観客を育てる
ことが、観客全体のレベルアップにつながり、さらに観客から見られるバレエ団をレベルアップさせる
ことになる。コンテンポラリーダンスでも比較的集客しやすい人気作家やダンサーをバランスよく使い
ながら、試みを継続してほしい。ネットを使った公演前からの具体的な情報発信(インタビュー、リハ
ーサル風景など)が評価できる。
4.アンケート調査
4 公演で 4 回実施した。
有効回答数 403 人(配布数 2,714 人、回収率 14.8%)
。回答者の 87.8%が概ね満足と答えた(354 人)
。
【特記事項】
・ 平成 24 年 9 月、2014/2015 シーズンからの舞踊部門の次期芸術監督予定者として、大原永子氏が芸術
参与に就任した。
・ 「曼荼羅の宇宙」は、チケット発売前から好評を得て、追加公演を実施した。
・ 森山開次が平成 24 年度(第 63 回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した(
「曼荼羅の宇宙」の成果
に対して)
。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績6,024人/目標5,310人(達成度113.4%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 平山素子、中村恩恵、金森穣という日本を代表する作家の作品を新国立劇場バレエ団が踊り、バレエと
現代舞踊の融合を試みるという新国立劇場ならではの企画である「DANCE to the Future2012」を 5 月に、
同じく「DANCE to the Future2013」を 2 月に上演した。
・ ソロダンスで活躍する森山開次が、高野山・金剛峯寺の両界曼荼羅から得たインスピレーションをもと
に創作し、世界的に注目を集める音楽・映像作家の高木正勝によるピアノ生演奏とともに上演した「曼荼
羅の宇宙」は、チケット発売前からの絶大な反響を得て追加公演も実施した。
・ 「DANCE PLATFORM 2013」では、ダンスシーンを牽引する振付家キミホ・ハルバートと、伝説的アーテ
ィストグループ〈ダムタイプ〉の創立メンバーとして活躍する高谷史郎が、それぞれのカンパニーを引き
連れて小劇場の空間いっぱいに自らの作品世界を展開した。
・ 厳しい財政状況の中、高い公演水準の維持に努めつつも、効率的な公演制作手法等マネジメントの精緻
化を図ることにより予算のスリム化を徹底し、制作費の節約を図った。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 入場率は公演によってバラつきが見られるので、要因の分析が必要である。(①)
(振興会評価委員会)
・ 「子ども/社会人のための現代舞踊鑑賞教室」のような、困難だが必要な企画を実施できるのは、新国
立劇場くらいではなかろうか。レクチャーもまじえて、コンテンポラリーダンスがバレエやモダンダン
スとどう違うかを、感得させるような入門講座を実施してほしい。(②)
【対応】
①公演結果の分析と改善
現代舞踊分野はファン以外の一般観客に興味を抱かせることが極めて難しい面もあるので、入場率のバ
ラつきは、振付家や出演者の人気に起因する要素が大きいと考えられる。これら振付家や出演者周辺のコ
アファン層に向けてのインターネットやチラシなどを活用した情報発信に、引き続き努めていきたい。公
105
演ごとに精度の高い分析と情報収集に努め、計画立案及び実施に取り組んでいきたい。
②現代舞踊の鑑賞教室、入門講座の実施の検討
全体の公演収支の見直しを行っているなかで、通常公演以上に収支差の大きい鑑賞教室事業を新規に行
うことは難しいが、現在も全国公演では、ワークショップを開催してコンテンポラリーダンスを分析・体
験できる場を作っている。今後も演目に応じて、実施の可能性を検討したい。
106
2-(2)-④ 演劇
《制作方針》
① 新作の上演
現代舞台芸術とは常に時代と向き合うという視点から、独自の新作上演を積極的に企画し、発信する。
② 海外の才能との積極的な交流
広く才能のある海外の演劇人や集団との共同作業により、現代演劇として意義のある優れた作品を企
画し、上演する。
③ 全国公演の積極的な展開
《実
績》
1.公演実績
公演名
劇場
「まほろば」
期間
区分
回数
日数
実績
16 回
12 日
3,614 人
(69.3%)
5,216 人
計画
16 回
12 日
3,800 人
(74.2%)
5,120 人
4/23(月)~
実績
28 回
25 日
8,475 人
(87.8%)
9,654 人
5/20(日)
計画
28 回
25 日
7,000 人
(78.1%)
8,960 人
5/31(木)~
実績
18 回
16 日
13,135 人
(92.4%)
14,220 人
6/17(日)
計画
18 回
16 日
10,400 人
(73.3%)
14,184 人
6/26(火)~
実績
20 回
19 日
6,059 人
(87.1%)
6,960 人
7/16(月・祝)
計画
20 回
19 日
4,800 人
(75.0%)
6,400 人
実績
18 回
17 日
11,662 人
(82.2%)
14,184 人
計画
18 回
17 日
10,400 人
(73.3%)
14,184 人
10/29(月)~
実績
20 回
19 日
6,106 人
(82.6%)
7,396 人
11/18(日)
計画
20 回
19 日
4,800 人
(75.0%)
6,400 人
12/23(日・祝)~
実績
28 回
21 日
8,715 人
(94.0%)
9,272 人
1/20(日)
計画
28 回
21 日
6,400 人
(71.4%)
8,960 人
実績
16 回
16 日
3,559 人
(68.2%)
5,216 人
計画
16 回
16 日
3,800 人
(74.2%)
5,120 人
実績
164 回
145 日
61,325 人
(85.0%)
72,118 人
計画
164 回
145 日
51,400 人
(74.1%)
69,328 人
4/2(月)~15(日)
小劇場
「負傷者 16 人 ―SIXTEEN
WOUNDED―」
「サロメ」
中劇場
「温室」
小劇場
「リチャード三世」
中劇場
「るつぼ」
「音のいない世界で」
小劇場
「長い墓標の列」
【演劇 合
10/3(水)~21(日)
3/7(木)~24(日)
計】
8 公演
(計画:8 公演)
入場者数
入場率
総席数
2.営業・広報
・ 「海外戯曲 春から夏へ」
(「負傷者 16 人」、
「サロメ」、
「温室」の 3 公演)
、
「それぞれの魅力―秋から
冬へ―」(「リチャード三世」、「るつぼ」、「音のいない世界で」3 公演)と題して、特別割引通し券を発
売した。
・ 空席のある場合に限り事前に半額で予約できる 25 歳以下の若年層を対象とした「アカデミック・プラ
ン」を実施するとともに、26 歳以上 39 歳以下の年齢層を対象に、
「アカデミック・プラン」同等のサー
ビスを提供する「アカデミック 39」を新たに立ち上げた。アカデミック・プランの発動に際し、演劇俳
優養成所に所属する 25 歳以下の方を対象に団体としてとりまとめて受付けるなどの施策を行った。
・ 演劇鑑賞団体やカード会社、生活協同組合など再販組織に対しての団体販売を行うとともに、出演者・
作家・演出家のファンクラブや関連分野の大学教員、常連客等に対しても積極的に営業活動を行った。
・ 内容に関連のある新国立劇場の他ジャンル主催公演と連携し、当該公演のチケット購入者に指定の演
劇主催公演のプログラム引換券を進呈するキャンペーンを実施した。
・ 「国立劇場・新国立劇場ダブル観劇キャンペーン」として、該当する国立劇場歌舞伎・文楽公演チケ
107
ットの提示により、指定の新国立劇場主催公演チケットを割引価格で購入できるキャンペーンを実施し
たほか、国立劇場の協力を得て、各公演会場にキャンペーン告知ポスター及びチラシを設置した。
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、ジ・アトレ会報等により、公演の
周知を図り、集客に努めた。
・ 開場 15 周年にあたる平成 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グラ
イムズ」、バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演。
このことから、ブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国をテーマに舞台芸術の普及を図る企
画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を劇場挙げて開催した。期間中は特設サイトを開
設して随時情報を発信、同フェスティバルの関連企画として、英国大使館で記者発表を行うとともに、
その模様を動画中継システム(USTREAM)により配信したほか、各演目や英国の文化芸術に関連する各種
の講座、トークセッション、展示、上映会、装飾等を実施し、関心を刺激するとともに活気に満ちた空
間で来場者を迎えた。
・ 演目別の広報については、さまざまな角度からアピールする方法を検討し、きめ細かいマスコミ対応
による記事掲載の促進や、特設サイトにおける動画の活用をはじめとしたコンテンツの充実、他劇場で
の告知活動、e メールクラブ会員に対して公演関連情報や芸術監督のメッセージの送信などを行ったほ
か、演目ごとにブログを開設し、チケット情報、稽古の様子、公演準備の様子、公演の背景に関する解
説や考察などの充実したコンテンツを掲載。観客向けのより詳細な情報を随時発信することで、多くの
人々の期待感を醸成し、鑑賞へと結び付けた。
・ 24 年度に新しく、新国立劇場演劇ツイッターアカウントを開設。チケット情報などを迅速かつ継続的
に発信し、公演へのより一層の関心を喚起するとともにファンづくりに努め、既存の観客にも好評を博
するとともに、新規観客の開拓においても効果を期待されている。
・ 舞台稽古の制作発表(フォトコール)を実施し、マスコミへのアピールを行った。また、テレビ局と
の共催により、コマーシャル映像及び音声を作成し、テレビ・ラジオ・インターネットで放送するなど、
大規模かつ広範なプロモーションを展開した。
・ インターネットを活用した特設サイトの開設や動画掲載、他劇場での告知活動などを通じて、公演に
対する注目度を向上させるとともに、期待感を高めるよう努めた。出演者へのインタビューや舞台稽古
の様子を動画として収録、インターネット上で公開するとともに、演劇主催公演の会場にモニターを設
置して放映するなどした。
・ また、プレイガイドの「ぴあ」や演劇専門ウェブサイトの協力を得て稽古場取材記事のサイト掲載や、
それと連動したメルマガ会員へのチケット割引販売を実施したほか、
「イープラス」、
「ローソンチケット」
など他のプレイガイドとも連携し、当該プレイガイドホームページへのキャスト及びスタッフによるメ
ッセージ動画の掲載や、同ホームページから新国立劇場ホームページ動画欄へのリンク設定などを行っ
た。
・ インターネットで関連キーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示される「検索キーワ
ード連動型広告」というアプローチを行い、精密な営業活動を行った。
・ 新国立劇場愛好者に対し e メールにて各種情報を提供、必要な情報を的確に周知し、顧客の利便性の
向上に資した(e メールクラブ)。DM メンバーの入会促進(無料)を図り、これら DM メンバーや e メー
ルクラブメンバーに対し、積極的に毎公演、先行発売やイベント情報の配信、販促活動を行い、効果を
上げた。また、開幕後に寄せられたアンケートの声をまとめ、配信した。
・ 演劇主催公演や他劇場の各種公演会場において継続的にチラシの折込・配布を行った。
・ 初演時の観客の声などをまとめた紙媒体のプリントを作成し、配布した。
・ 公演内容に関連のある施設や団体から各種参考資料を借り受け、公演の PR において活用したことに加
え、団体でのチケット購入やチラシ配布の協力を得た。
・ 戯曲の出版に合わせ、帯広告に公演の紹介を掲載したほか、チケットキャンペーンを行った。また、
書店でのチラシ設置の協力を得た。
・ 公演会場にて公演関連書籍・物品・飲食物等の販売や、公演関連情報の掲示を行い、会場のにぎわい
を演出するとともに公演に対する理解を深め、顧客満足度の向上を図った。
3.外部専門家等の意見
(1)公演全体について
・ 宮田芸術監督の任期二年目の前期は、一年目にまして芸術監督の方針が明確に伝わってきたレパー
108
トリーの並びだった。
『まほろば』は再演。それも新国立劇場が生み出した作品で、レパートリーシス
テムではない劇場で、こういう作品ならレパートリー同様に扱ってもいいのではないかという提案の
ように思える再演である。そういう言い方ができるなら、前年に上演された『焼肉ドラゴン』等もそ
の一つと言っていいだろう。新作が消耗されていくだけのことが多い日本で、これは貴重な試みであ
り、それに応える内容のある上演だった。もう一つは、海外の新しい紹介すべき作品を紹介する路線
で、この路線では、『負傷者 16 人』が意義深い成果を上げた。それと、忘れてはならない海外戯曲と
して上演された『温室』もふくめて、日本の観客にとっては身近ならざるパレスチナ問題、ユダヤ問
題といったテーマを並べたことを評価したい。ともすると避けて通りがちなこのようなテーマに挑戦
できたのは、国立劇場なればこその成果と思いたい。海外戯曲の紹介を通じて新劇のイメージを形成
してきた作品の再評価として上演された『サロメ』は、従来の先入観を払拭する試みとして、意義深
いものがあった。このような試みも、新国立劇場の役割に違いない。以上 4 作品、芸術監督が、これ
こそ国立劇場の任務だと考えての方向として、納得できるものがあった。惜しむらくは新作がないこ
とだが――直前に『パーマ屋スミレ』もあったことだし、後期にも予定されていることなので、それ
については年間を通じて評価ということにしたい。
(後期は)長時間記録を競う作品が並んだシーズン
だった。
『リチャード三世』が 3 時間 40 分、
『るつぼ』が 3 時間 40 分、
『長い墓標の列』が 3 時間半と、
いずれも 3 時間を超える。シェイクスピアは別格としても、あとの二本は新劇の上演が 3 時間を超え、
時に 4 時間を超える物があっても当然とされた時代の産物である。現今の劇場事情からすれば非常識
としか言いようのないこの長さに挑戦させたのは、長くともそれが障害にならないほど緊張感に富ん
だ舞台になるという、企画者・演出者の自信だろう。三本とも、それを裏付ける出来だった。主に公
立の会館の閉館時間の制約と、地方・郊外のバスの最終時間の制約から、2 時間が標準になってしま
った現在では、考えられないような大胆な企画を実現したのは、新国立劇場ならではであり、称賛を
送りたい。また『るつぼ』も『長い墓標の列』も見せ方にこだわるのでなく本質的なドラマを追求す
る演出、演技であったことも、成功の一因であった。
・ 24 年度前期は全体的に内容においては見るべきものはあったが、ダイナミックな作品群とはならな
かった(サロメなど大掛かりなものはあったが)。前年度もそうだが、後期に魅力的なものが並んだ。
今、後期も同じ傾向が感じられる。
「リチャードⅢ世」から「長い墓標の列」迄、観賞慾をそそられる
ラインナップである。年間を通してバランスが取れた企画を打ち出した方が良いと思うが。
(後期につ
いて)定着した年度シリーズが効果的に作用し、バランスの良い企画として受け入れられてきている。
重厚な戯曲、話題性も視野に入れた企画(キャスティングも含めて)が提供されており良い。その中
でも、どうしても繰り返し上演され続けてきた翻訳劇の確かさと、新作創作劇の完成度の違いが明確
に出た感がある。ときどき本公演に組み込まれた研修所出身キャストの演技力も、遜色ない技量が見
受けられ、違和感がなくなっている。
・ 今期(前期)は、
「負傷者 16 人」という新しいヒットがあった。読売演劇大賞の中間選考委員会に
おいて上半期ベスト 5 として、作品賞にノミネートされ、主演の井上芳雄は優秀男優賞、あめくみち
こは優秀女優賞候補とされた(7 月 30 日発表)。これは日本の劇壇をリードすべき新国立劇場として
誇るべき成績である。「サロメ」「温室」の失敗はあっても、大きなヒットが出せていれば吉とすべき
であろう。「サロメ」も「温室」も舞台美術に工夫があって斬新だっただけに残念であった。しかし、
「まほろば」の再演もよいものであり、全体としてはよい成績を残したと言うべきであろう。
(後期に
ついて)「リチャード三世」は興行的に成功し、「るつぼ」は芸術的完成度の高い作品となった。3 月
の「長い墓標の列」は新国立劇場演劇研修所の成果をとりこむ有意義な公演であった。総じて日本の
演劇界をリードする新国立劇場の役割を十分に果たす結果となった。ただし、難しい作品が多かった
ので、もう少し喜劇的作品がラインナップに入っていたほうが、親しみやすかったかもしれない。い
ずれもレベルの高い公演を行っている。
・ (前期について)
(海外)新作・旧作上演レパートリーのバランスを理解する「負傷者 16 人」が出
色。「サロメ」「温室」には、多くの観客に過度の期待があったと思われる。その分、わりをくったは
ず。合格をつけられる舞台だったのだが。(後期について)「長い墓標の列」の新国上演は画期、だっ
たと思う。60 年代における小劇場以前(前夜)の、いわゆる「新劇」(現代演劇)リアリズムを汲み
なおすという意味においてもこういう企画は大事にしたい。「悲劇喜劇」の新国立劇場 15 周年の特集
の栗山・鵜山・宮田の鼎談には、これからの新国をめぐるヒントがいくつもあるはずだ。
(2)創作面について
・ 企画として取り上げられた作品の成果が二つに分かれたと思う。シリーズとして、シーズンを通しての
サブタイトル≪JAPANMEETS≫として取り上げられた「サロメ」と「温室」の翻訳劇 2 本は、企画としては
面白いが、やや観客の視点に立って見ると、演劇的魅力を提案する方法としては不満を感じた。一方で、
再演する価値をもった作品を更に磨いたもの、現世界の実情を描く強さから、
「まほろば」と「負傷者 16
人」は見ごたえある作品に仕上がっていた。企画の段階でこの差を読み切るのは難しい。何時も悩ましい
事ではある。
「マンスリープロジェクト」は充実しているのではないか(一度しか参加していなくて、後
109
は告知の案内文からの推測だが)
。芝居を観る前に、後で、そして今後の為のちょっとした実験等、観客
との大きな接点になる。
(後期について)創作劇については、
「戯曲完成、即本公演」が日本の現状ではあ
るが、完成度の高い戯曲を次世代に残すためにも、新国立ならではの公演形態を取り入れる余地はないの
か、検討されたいと思う。広い稽古場もあり、実験劇場としての小劇場もそう云った使用(創作劇の実験
的上演)に利用出来れば効果が出る。単体経営が志向されている現状では難しい事ではあるが、新作上演
に於いては、その過程を経て完成度の高い本公演へと持ち込む方が尚良い。
・ 2011/2012(24 年度前期)は、
「負傷者 16 人」につきる。
「まほろば」の上演も成功。機会があれば
これからも新国から地方公演へと拡大させていければと思う(例、シベールアリーナ)。
(後期につい
て)新作は「音のいない世界で」。
〈こどもからおとなまで〉。
〈こども〉のほうが〈おとな〉より、は
るかに深く劇世界をつかんでいたかもしれない。新国の劇は、窓を広く社会に開いた劇をつくる使命
をもつ、と思う。そして可能性の劇を探究することも新国の使命。対極に「リチャード三世」のよう
なスペクタクルを据えるレパートリィの妙を大切にしたい。
・ (前期は)新作はなかったので、アフタートークのあり方について、ここで述べておきたい。
「サロ
メ」と「温室」において 1 時間に及ぶアフタートークを行ったが、1 時間に及ぶのは非常識であり、
15 分から長くて 30 分で要点をまとめたトークにすべきであろう。観客に対するサービスの姿勢を再
検討して頂きたい。それはプログラムにおいて、作品解説がきちんとなされていないことにも通じる。
新作であるならば作品解説がなくても仕方がないが、ある程度、研究の対象となる作品であるならば、
しっかりとした解説を行ってほしい。新国立劇場は国民に対して演劇という教養を供給するという誇
りと矜持を持って、サービスや作品解説の必要性をしっかりと認識してほしい。
(後期について)新作
の「音のいない世界で」は、企画自体はよかったのだが、結果としてあまりふるわなかった。新作は
常に冒険性があってしかるべきなので、そのこと自体は問題とすべきではない。ただ、小劇場の機能
を更に活かすために、もっと創作面に力を入れてもよい。具体的には新作の数を増やすことは考えら
れないか。イギリスのナショナル・シアターでは最も小さな劇場コテスローにて多くの新作が生まれ
ており、ハイ・レベルの公演を続けると同時に、イギリス演劇の新たな世代を自ら育成している。新
国立劇場は小劇場をできるだけ貸小屋にせずに、積極的な運営を考えてほしい。
・ (後期について)子ども観客をイメージした『音のいない世界で』には、期待があった。身体的表
現には定評のある演技者を二人もそろえて、松たか子とどういう組み合わせを実現するのか。この作
家は子供をどうとらえるのか、期待をそそられたが、その期待は裏切られた。俳優の特質は生かされ
ず、作家・演出家には、明確な子ども像がなかった。あるべき形が見えないための迷いがあったのだ
ろうが、表現のあちこちにつめの甘いところがあって、大人だけが面白がる趣味のレベルでまとまっ
ている。先進国のどこにもある国立・公立の児童劇場が、日本には皆無だという恥ずべき状況を、克
服する好機だったが、残念である。児童青少年演劇への真摯な取り組みを期待したい。
(3)営業、広報面について
・ (前期について)私が劇場を訪れた回は常に観客席が埋まっている印象があり、営業はとてもよく
がんばっているのではないか。リーディング等のさまざまな企画によって観客を集めることも活発で
あるようで、こうしたことはこのまま続けていけばいい。あとは、当日の残席を学生等に売るやり方
をもう少し工夫するなどして、若者がもっと新国立劇場に足しげく通うようにしてほしい。
(後期につ
いて)宣伝・集客にさらなる効果が望まれる。キャンペーン等を行い、特に学校などに働きかけて若
い観客をとりこむことはできないだろうか。貸小屋にするのではなく、優秀な若い人材を育てるよう
な企画を立てていってほしい。
・ (前期について)演劇書(上演台本など)の販売コーナーは大切だと思う。こういう機会をとらえ
て、上演台本などを知ってもらいたい。いまのフツーの学生(若者)は戯曲という表現形式を知らな
いのです。
(後期について)未来の観客(高校生・大学生は現在の観客であると同時に未来の観客)の
ための広報活動を拡大したい。観劇体験をもつ(本を読む)大学生は絶対少数。やはりかれらを将来
の新国観客にするための方法を考えていきたい。教室(やまた、教室外)でもせいぜい私は初台新国
のことを話しているのだが。マンスリィー・プロジェクトのさらなる継続を。
・ (後期について)
『長い墓標の列』は作者と同時代の観客が目立った。彼らが来やすい時間での上演
がどれほどあったか、いささか心配になった。
『音のいない世界で』を子ども観客に積極的に見せる意
図がどれほどあったのか。私の見た回は圧倒的に大人観客ばかりだった。つまらなければ大人しくは
していない子ども観客の目にさらされることが、この種の企画を成功に導く鍵なのである。
・ (後期について)近年、通し券の販売が成果として上っているようで、新国立の公演全体を一貫し
て観て貰うのは、新国立の上演姿勢を見せる上でも有効だと思う。
4.アンケート調査
8 公演で 8 回実施した。
有効回答数 704 人(配布数 3,333 人、回収率 21.1%)
。回答者の 91.9%が概ね満足と答えた(647 人)
。
110
【特記事項】
「負傷者 16 人-SIXTEEN WOUNDED-」において以下の賞を受賞した。
・ 第 20 回読売演劇大賞優秀作品賞
・ 出演者の井上芳雄が平成 24 年度(第 63 回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した(本作、
「組
曲虐殺」
、
「ダディ・ロング・レッグズ」及び「ルドルフ ザ・ラスト・キス」の演技に対して)
。
・ 出演者のあめくみちこが第 20 回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した(本作及び「竜馬の妻とそ
の夫と愛人」の演技に対して)
。
・ 美術の土岐研一が第 40 回伊藤熹朔賞新人賞を受賞した(本作の美術に対して)
。
「リチャード三世」において以下の賞を受賞した。
・ 美術の島次郎が第 20 回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞した(本作及び「NASZA KLASA」
の美術に対して)
。
・ 出演者の那須佐代子が第 47 回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した(本作及び「THAT FACE その顔」
の演技に対して)
。
「パーマ屋スミレ」(平成 23 年度公演)において以下の賞を受賞した。
・ 出演者の根岸季衣が第 20 回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞した(本作及び「しみじみ日
本・乃木大将」の演技に対して)。
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績61,325人/目標51,400人(達成度119.3%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 演劇公演全般について、いずれも意欲的な作品であり、ほとんどの作品において観客動員も好調で、
新国立劇場演劇ならではの意義のある公演を行うことができた。
・ 「まほろば」は、ユーモアあふれる日常会話とともに進行する女性 6 人の会話劇を通じて、生命のあ
りようを浮かび上がらせ、2008 年の初演時にも岸田國男戯曲賞を受賞するなど高い評価を受けた。
・ 「負傷者 16 人 ―SIXTEEN WOUNDED―」は、海外の優れた同時代作品を紹介するという宮田芸術監督の
念願を叶え、ユダヤ人パン職人とパレスチナ人テロリストとの出会いと別れを通して、争いや差別に対
し我々に今何が出来るのかを問い、大きな共感を呼んだ。
・ 「サロメ」は、〈JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく〉シリーズ 5 作目として、新訳によってオ
スカー・ワイルドの名作に宮本亜門がこれまでとは異なる解釈で迫り、新しいサロメ像を提示して広範
な議論と反響を巻き起こし、話題作となった。
・ 「温室」は、同シリーズ 6 作目として、ノーベル文学賞作家ハロルド・ピンターによる、一見混沌と
した劇世界を通じて社会の矛盾と陰謀を暴く問題作を、終始回転し続ける舞台を活かした独特のアプロ
ーチにより演出した。
・ 新シーズンに入り、
「リチャード三世」は、2009 年の上演時に合計 9 時間超という長さにもかかわら
ず熱狂的な支持を得るとともに、同年の演劇界各賞を総なめにしたシェイクスピア「ヘンリー六世」三
部作のキャスト・スタッフが奇跡的に再集結を果たし、同作続編として上演した。
・ 「るつぼ」は、〈JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく〉シリーズ 7 作目として、入植後間もない
アメリカを舞台に集団狂気の恐怖と人間の尊厳とを描き、宮田監督自身の演出による上演時間 3 時間 45
分の濃密で迫真のドラマが、2012 年を代表する成果として高く評価された。
・ 「音のいない世界で」は、新国立劇場演劇部門念願の“子どもも大人も一緒に観られる作品”として
長塚圭史とともに企画をあたためた。演劇界・ダンス界の第一線で活躍する 4 人のキャストが次々と姿
を変えながら一つの上質なおとぎ話を織りなし、親子のみならず一般観客からも絶大な人気を集めた。
・ 「長い墓標の列」は理想と現実の衝突する大戦前夜の日本の大学を舞台に、一人の知識人が格闘する
姿を描く福田善之作の群像劇を 50 年ぶりに取り上げ、その普遍性をあぶりだす宮田演出が高く評価され
るとともに、実力を備えた演劇研修所修了生を多数起用し、格好の活躍の場を提供することにも成功し
た。
・ 厳しい財政状況の中、高い公演水準の維持に努めつつも予算のスリム化を徹底することで制作費の節
約を図とともに、自己収入の確保に努めた結果、特に「負傷者 16 人 ―SIXTEEN WOUNDED―」、
「音のいな
111
い世界で」では 100%を超える収支率、「サロメ」、
「リチャード三世」でも 90%を超える収支率を達成し
た。
・ 芸術監督が企画するテーマに沿った演目をセットで組み合わせ、特別割引通し券として販売すること
で、作品へのより深い興味と理解を観客に提案し、販売の促進と売上の向上につなげることができた。
新たに新国立劇場演劇ツイッターアカウントを開設し、チケット情報などを迅速かつ継続的に発信し、
公演へのより一層の関心を喚起するとともにファンづくりに努めたが、既存の観客にも好評を博すると
ともに、新規観客の開拓においても効果が期待できるものとなった。
・ 文化庁の「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業の効果もあり、新国立劇場で制作した演劇
公演を長野県、山形県、兵庫県、そして宮城県、岩手県といった東日本大震災の被災地を含む各県で上
演するなど、前年度以上に全国に展開することができた。
《23 年度評価結果への対応》
【評価】
(振興会評価委員会)
・ 「JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく―」シリーズの 4 作目として「ゴドーを待ちながら」を新
訳、若手の演出家で上演した。舞台美術が優れていたのは衆目の一致するところだが、新訳の採用によ
って新国立劇場が何を目指すのかを明確にすることや、舞台成果にどのような影響があったかの検証が
必要ではないか。(①)
・ 演劇のアンケート回収率が悪化している。観客にとっても主体的に劇場運営に参加するチャンスなの
で、観客に理解と協力を求め、アンケートを通じて観客の意見を集めるよう、他分野と同様に努力すべ
きである。(②)
【対応】
①新訳による上演の成果の検証
新訳戯曲は、演出家と翻訳家、そして俳優たちによる今の時代の「息づかい」を感じながら紡ぎだした劇
的言語によって誕生するもので、新国立劇場では単に古い名作を上演するという観点からではなく、今を生
きる我々にも共通する生々しいものとして、作品を観客に届けることが出来ると考えてこれを採用している。
新訳の採用によって目指すものは、
「JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく―」シリーズの狙いとともに、
宮田演劇芸術監督自身が就任時から明らかにしてきたが、24 年 6 月の演劇公演「サロメ」にあたっては、
演出の宮本亜門と翻訳の平野啓一郎の対談を各種宣伝・広報媒体に掲載するなど、新訳の意義についてあら
ためて考察する機会も、公演に応じて設けている。
新訳採用の舞台成果については、従来のファンのみならず、作品を初めて観る若い観客にも、その効果が
確実に伝わっているものと考えている。今後の同シリーズの作品においても、引き続き外部専門家や評論家、
各種メディアなどの意見を踏まえて、自己点検評価報告書等でその成果を検証していきたい。
②アンケート結果の活用、回収率の向上
新国立劇場公演における23年度のアンケート回収率は、バレエ部門における16.7ポイント増をはじめ、ほ
ぼ全ジャンルにおいて前年度を上回っている。これは、特別アンケートとして粗品と引き換えに回収を行う
など、回収率向上のため工夫を重ねて取り組んできたことの成果である。また、現在は、アンケート用紙を
受取ったかどうかに関わらず、当該公演日の有料入場者総数を配布数とみなして回収率を算出しているが、
これを変更し、国立劇場に倣って、実際にアンケートの記入に同意した観客数を母数にするという集計方法
の採用により、回収率の精度を向上させることも検討していきたい。
アンケート調査に限らず、意見の表明を希望する観客に対して、新国立劇場ではそれがしやすい環境の形
成に日々尽力している。公演会場やチケット販売所での立会い、劇場各所に設置した自由提出用の用紙、ホ
ームページ上の「ご意見箱」、郵送、ファックス、eメール、電話など、多種多様な方法による意見表明の機
会を提供するとともに、伺った意見は真摯に受け止めきめ細かく対応することで、観客からの信用と期待を
得てきたところである。
その中にあって、アンケートの提出を望まない観客に対し、現在以上に強くそれを求めることは、観客に
不快な思いをさせ、快適な観劇環境を損なうことになるばかりでなく、かえって本来の観劇満足度を見誤ら
せることにもつながりかねない。したがって、新国立劇場では引き続き観客の意見への傾聴に尽力する一方、
観客の意志を尊重する観点から、アンケートの実施方法については慎重な姿勢で検討したいと考えている。
112
2-(2)-⑤ 青少年等を対象とした現代舞台芸術の公演
《制作方針》
青少年を対象とした鑑賞教室を実施し、新たな観客層の育成を図るとともに、現代舞台芸術の普及と理解を
図る。
《実
績》
1.公演実績
青少年を対象とした鑑賞教室等の公演(再掲)
公演名
劇場
期間
区分
高校生のためのオペラ鑑賞教
オペラ
7/12(木)~
実績
6回
6日
10,311 人
(97.1%)
10,624 人
劇場
19(木)
計画
6回
6日
9,000 人
(84.7%)
10,620 人
7/27(金)~29
実績
6回
3日
5,085 人
(92.5%)
5,496 人
(日)
計画
6回
3日
4,100 人
(74.6%)
5,496 人
実績
12 回
9日
15,396 人
(95.5%)
16,120 人
計画
12 回
9日
13,100 人
(81.3%)
16,120 人
室「ラ・ボエーム」
こどものためのバレエ劇場「シ
ンデレラ」
【鑑賞教室 合
計】
中劇場
2 公演
(計画:2 公演)
回数
日数
入場者数
入場率
総席数
2.営業・広報
・ マスコミ各社への取材依頼、ポスター、チラシ、インターネット、ジ・アトレ会報等により、公演の
周知を図り、集客に努めた。
・ 高校生のためのオペラ鑑賞教室については、前年度の 9 月に首都圏全域(東京、神奈川、埼玉、千葉
の高等学校、茨城、群馬、山梨の一部の高等学校、および特別支援学校)約 1,300 校に募集要項を送付
し、学校単位の受付を行った。
・ こどものためのバレエ劇場については、朝日新聞のアスパラクラブ会員向けに特別販売を行い、顧客
層の拡大を図った。また、e メールクラブで、公演の様子などを登録者に伝え、更なる集客に努めた。
3.外部専門家等の意見
・ (高校生のためのオペラ)鑑賞教室で《ラ・ボエーム》が取り上げられるのは初めてだったが、高校
生にも理解しやすい内容で評判もよく、《蝶々夫人》《トスカ》とともにレパートリーとして上演してほ
しい。
・ (高校生のためのオペラ鑑賞教室の)歌手たちはきわめて丁寧に歌っていたし、指揮も手堅いものだ
った。第 2 幕の初め、幕の絵がそのまま現実の舞台に転じた瞬間には、周囲の高校生が息をのんでひき
こまれているのを、肌で感じた。
・ (高校生のためのオペラ鑑賞教室は)起承転結が明解な物語とプッチーニの美しい音楽に引き込まれ、
高校生たちも集中して鑑賞できた。何もかもが新鮮な体験だったようだ。
・ (高校生のためのオペラ鑑賞教室は)今回、開演前の客席のざわめきがすぐに解消されたことには目
を見張った。
(アナウンス、指揮者登場、拍手へと)スムーズな流れが今後も続くよう、心から望みたい。
第 2 幕の群衆シーンを代表格に、舞台効果を満喫させるステージとしては申し分ないものである。
・ (高校生のためのオペラ鑑賞教室は)日本の劇場文化の、そしてオペラにとっての将来がかかってい
るともいえるこの事業を今後とも着実に続けていっていただきたいと思った。
・ 「こどものためのバレエ劇場」のような企画は非常に重要である。最近は、地方の公共ホールや民間
劇場においても類似の取り組みがなされているが、トップダンサーを起用してのこの贅沢なプロダクシ
ョンは新国立劇場ならではといえる。是非、今後も継続していってほしい。
4.アンケート調査
全 2 公演で 12 回実施した。
有効回答数 3,151 人(配布数 15,396 人、回収率 20.5%)。回答者の 90.1%が概ね満足と答えた(2,839 人)
。
【特記事項】
113
新国立劇場で開催する公演のほか、学校など現地や地方に出向いての現代舞台芸術の公演で、青少年等を
対象としたものとしては、下記の公演を実施した。
(1)オペラ
○高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演「愛の妙薬」
芸術監督=尾高忠明
作曲=ガエターノ・ドニゼッティ
指揮=城谷正博
演出=チェーザレ・リエヴィ
出演=光岡暁恵、大槻孝志、成田博之、鹿野由之、九嶋香奈枝
合唱=新国立劇場合唱団
管弦楽=大阪フィルハーモニー交響楽団
日時:10 月 24 日(水)13:00・25 日(木)14:30 開演 2 回公演
会場:尼崎市総合文化センター あましんアルカイックホール
入場者数:2,685 人(入場率 78.9%)
主催:尼崎市/公益財団法人 尼崎市総合文化センター/新国立劇場
助成:公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
協賛:ローム株式会社
(2)バレエ
○こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」
芸術監督=デヴィッド・ビントレー
音楽=セルゲイ・プロコフィエフ
監修=牧阿佐美
振付=小倉佐知子
出演=新国立劇場バレエ団
1)日時:8 月 11 日(土) 14:00 開演 1 回公演
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
入場者数:1,996 人(入場率 93.9%)
主催:公益財団法人朝日新聞文化財団/大阪国際フェスティバル協会/朝日新聞社/
兵庫県/兵庫県立芸術文化センター
2)日時:8 月 19 日(日) 15:00 開演 1 回公演
会場:柏崎市文化会館アルフォーレ 大ホール
入場者数:914 人(入場率 90.3%)
主催:新潟県/新潟県舞踊芸術普及育成事業実行委員会/柏崎市文化会館アルフォーレ
3)日時:8 月 26 日(日) 13:00 開演 1 回公演
会場:サンポートホール高松 大ホール
入場者数:1,374 人(入場率 92.7%)
主催:公益財団法人高松市文化芸術財団/高松市
4)日時:9 月 1 日(土)15:00 開演 1 回公演
会場:茅ヶ崎市民文化会館 大ホール
入場者数:1,238 人(入場率 90.0%)
主催:財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団
5)日時:9 月 5 日(水) 11:50 開演 1 回公演
会場:桐蔭学園鵜川メモリアルホール
入場者数:1,350 人(入場率 81.2%)
主催:学校法人桐蔭学園
(3)演劇
○「音のいない世界で」全国公演
芸術監督=宮田慶子
作・演出=長塚圭史
振付=近藤良平
114
出演=近藤良平 首藤康之 長塚圭史 松たか子
1)日時:1 月 22 日(火)18:30、 1 回公演
会場:シベールアリーナ
入場者数:484 人(入場率 99.0%)
主催:山形県、公益財団法人弦地域文化支援財団
2)日時:1 月 24 日(木) 19:00 /25 日(金)19:00、2 回公演
会場:仙台市宮城野区文化センター パトナシアター
入場者数:360 名(入場率 94.7%)
主催:仙台市、公益財団法人仙台ひと・まち交流財団、
公益財団法人仙台市市民文化事業団
3)日時:1 月 27 日(日)15:00 /18:30、2 回公演
会場:北上市文化交流センター さくらホール
入場者数:794 名(入場率 88.2%)
主催:財団法人北上市文化創造、北上市
(4)新国立劇場合唱団外部出演公演
○文化庁 24 年度次世代の子どものための舞台芸術体験事業 ヴェルディ「椿姫より乾杯の歌」他
指揮:冨平恭平
ピアノ:平塚洋子
合唱:新国立劇場合唱団(30 名出演)
日程/会場: 9 月 3 日(月)/青森県 平内町立山口小学校
9 月 4 日(火)/青森県 県立青森若葉養護学校
9 月 5 日(水)/ 秋田県 大館市立早口小学校
9 月 6 日(木)/ 秋田県 鹿角市立尾去沢中学校
9 月 7 日(金)/ 岩手県 住田町立有住中学校
9 月 10 日(月) /宮城県
気仙沼市立松岩小学校
9 月 11 日(火) /宮城県 気仙沼市立条南中学校
9 月 12 日(水) /宮城県 大崎市立松山中学校
9 月 13 日(木) /宮城県 登米市立豊里中学校
9 月 14 日(金) /宮城県 女川町立女川第二小学校
9 月 18 日(火) /宮城県 利府町立利府西中学校
9 月 19 日(水) /宮城県 角田市立北角田中学校
9 月 20 日(木) /宮城県 角田市立枝野小学校
○文化庁 24 年度次世代の子どものための舞台芸術体験事業 ヴェルディ「椿姫より乾杯の歌」他
指揮:三澤洋史
ピアノ:三澤志保
合唱:新国立劇場合唱団(30 名)
日程/会場: 2 月 12 日(火)/北海道 札幌市立東札幌小学校
2 月 13 日(水)/北海道 札幌市立ひばりが丘小学校
2 月 14 日(木)/北海道 札幌市立二十四軒小学校
2 月 15 日(金)/北海道白糠養護学校(釧路)
《数値目標の達成状況》
【目標入場者数の達成状況】
実績15,396人/目標13,100人(達成度117.5%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 「高校生のためのオペラ鑑賞教室」は、事業開始以来、着実に公演回数を増やし、15 回目を迎えた 24
年度も全 6 回を実施、入場者数は 1 万人を超え、入場率は 97.1%と、オペラ劇場における全主催公演中
で最高の入場率を記録した。
・ 「高校生のためのオペラ鑑賞教室」は、短い稽古期間ではあったが、1 月の本公演に続いての上演で
115
あったためもあり、レベルの高い公演が実現した。同年代の歌手が揃ったキャストは、まさに本作にふ
さわしいものになった。作品の知名度が抜群に高く、公演日程も定期試験後の夏休み前の時期に設定し
ていたため、多くの学校から応募があった。
・ バレエは、
「こどものためのバレエ劇場」として 2 作目となる「シンデレラ」を今回上演し、子どもの
ための公演でありながらも豪華で確かな手応えのある作品となり、入場者数は 5000 人を超え、入場率は
92.5%を記録した。
・ 「こどものためのバレエ劇場」は、全国公演も好評のうちに 5 か所を回ることができた。全国の多く
の劇場で公演をすることができ、若手ダンサーにも多くの舞台経験を積ませることができた。
・ 「こどものためのバレエ劇場」
、低料金で有名演目でもあったため、普段は劇場に足を運んだことのな
い観客も多く、バレエファンの裾野を広げるためには大変有効な公演であった。
「こどものための」と謳
っていたが、鑑賞後、観客からは「大人でも十分に楽しめる充実した内容だった」と好評であった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 「高校生のためのオペラ鑑賞教室」と「こどものためのバレエ劇場」は、若い観客に対する普及公演
として、年々その意義が広く認められてきている。しかしながらその低廉な入場料金を支えるために、
どの公演も協賛企業等の支援を仰いでおり、事業継続のためにはなんらかの支援が今後とも不可欠であ
る。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 国立劇場、新国立劇場などで開催する公演のほか、学校など現地や地方に出向いての公演に、一層力
を入れる必要がある。(①)
【対応】
①学校や地方における公演の実施・検討
新国立劇場では、
「高校生のためのオペラ鑑賞教室(関西公演)」
(20 年度より毎年=兵庫県尼崎市)、
「こ
どものためのオペラ劇場」
(23 年度=全国 2 か所)
、
「こどものためのバレエ劇場」
(22 年度=全国 8 か所、
24 年度=全国 5 か所)
、文化庁「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」の一環として合唱団が全国の学
校を訪問する公演(21 年度=中国地方の 9 校、22 年度=関西・四国地方の 8 校、23 年度=関西・北陸地
方の 8 校、24 年度=東北地方・北海道の 17 校)と、学校など現地や地方に出向いての公演をこれまでも
精力的に展開してきた。また、演劇においては 24 年度に、親子が一緒に楽しめる作品として「音のいない
世界で」の東北地方 3 ヶ所での公演を実施した。
今後はさらに、高校生のためのオペラ鑑賞教室の上演地方拡大やコンサートオペラ、バレエ・ガラ、こ
どもバレエを中心としたコンパクトな演目の地方公演実現に努めたい。また、合唱団の学校公演も引き続
き行っていきたい。
116
2-(2)-⑥ 現代舞台芸術の公演の実施に際しての留意事項等
《実
績》
1.外部専門家等の意見聴取、アンケート調査の実施
① 外部専門家等の意見聴取
各部門の専門委員に各公演についてのレポート提出を依頼し、
、意見の聴取を行った。
また、総括レポートの提出を半期ごとに依頼し、自己点検評価の総括に生かした。
② アンケート調査の実施
分野
有効回答数
概ね満足との回答(回答数)
オペラ
6,057 人
90.8%( 5,499 人)
バレエ
1,940 人
93.3%( 1,810 人)
現代舞踊
403 人
87.8%(
354 人)
演劇
704 人
91.9%(
647 人)
合
計
9,104 人
91.3%( 8,310 人)
2.国、地方公共団体、芸術団体、企業等との連携協力
(1) 平成 25 年度(第 68 回)文化庁芸術祭
区分
公演名
主催
公演
オペラ劇場: オペラ「ピーター・グライムズ」
、バレエ「シルヴィア」
小劇場:演劇「るつぼ」
協賛
公演
オペラ劇場:オペラ「トスカ」、
「セビリアの理髪師」
中劇場:演劇「リチャード三世」
小劇場:現代舞踊「森山開次『曼荼羅の宇宙』」、
「DANCE PLATFORM2012」
(2) 国・地方公共団体等との後援・協力
(バレエ)
・地域招聘公演
貞松・浜田バレエ団
A プログラム「くるみ割り人形」(全幕 新ヴァージョン≪お伽の国≫)
B プログラム「6DANCES」/「Memoryhouse」/「DANCE」
新国立劇場中劇場、1 月 12 日(土)/14 日(月・祝) 15:00 2 回公演
入場者数:1,347 名(入場率 74.8%)
主催:貞松・浜田バレエ団、新国立劇場(共催)
(3) 大学との連携・協力
前年度の東京藝術大学に続き、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、大阪音楽大学、桐朋
学園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関する協定を締結した。
3.全国各地の文化施設等における公演
(1) オペラ
① 高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演「愛の妙薬」
芸術監督=尾高忠明
作曲=ガエターノ・ドニゼッティ
指揮=城谷正博
演出=チェーザレ・リエヴィ
出演=光岡暁恵、大槻孝志、成田博之、鹿野由之、九嶋香奈枝
合唱=新国立劇場合唱団
117
管弦楽=大阪フィルハーモニー交響楽団
日時:10 月 24 日(水)13:00・25 日(木)14:30 開演 2 回公演
会場:尼崎市総合文化センター あましんアルカイックホール
入場者数:2,685 人(入場率 78.9%)
主催:尼崎市/公益財団法人 尼崎市総合文化センター/新国立劇場
助成:公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
協賛:ローム株式会社
(2) バレエ
① こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」
芸術監督=デヴィッド・ビントレー
音楽=セルゲイ・プロコフィエフ
監修=牧阿佐美
振付=小倉佐知子
出演=新国立劇場バレエ団
1)日時:8 月 11 日(土) 14:00 開演 1 回公演
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
入場者数:1,996 人(入場率 93.9%)
主催:公益財団法人朝日新聞文化財団/大阪国際フェスティバル協会/朝日新聞社/兵庫
県/兵庫県立芸術文化センター
2)日時:8 月 19 日(日) 15:00 開演 1 回公演
会場:柏崎市文化会館アルフォーレ 大ホール
入場者数:914 人(入場率 90.3%)
主催:新潟県/新潟県舞踊芸術普及育成事業実行委員会/柏崎市文化会館アルフォーレ
3)日時:8 月 26 日(日) 13:00 開演 1 回公演
会場:サンポートホール高松 大ホール
入場者数:1,374 人(入場率 92.6%)
主催:公益財団法人高松市文化芸術財団/高松市
4)日時:9 月 1 日(土)15:00 開演 1 回公演
会場:茅ヶ崎市民文化会館 大ホール
入場者数:1,238 人(入場率 90.0%)
主催:財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団
5)日時:9 月 5 日(水) 11:50 開演 1 回公演
会場:桐蔭学園鵜川メモリアルホール
入場者数:1,350 人(入場率 81.2%)
主催:学校法人桐蔭学園
② 「シンデレラ」全国公演
音楽=セルゲイ・プロコフィエフ
振付=フレデリック・アシュトン
出演:新国立劇場バレエ団
日時:1 月 6 日(日)13:30 1 回
会場:新潟県民会館
入場者数:920 人(入場率 56.0%)
主催:新潟県/公益財団法人新潟県文化振興財団/新潟県舞踊芸術普及育成事業実行委員会
(3) 演劇
① 「まほろば」全国公演
芸術監督=宮田慶子
作=蓬莱竜太
演出=栗山民也
出演=秋山菜津子、中村たつ、魏涼子、前田亜季、大西風香、三田和代
1)日時:4 月 18 日(水)19:00 開演 1 回公演
118
会場:まつもと市民芸術館 実験劇場
入場者数:247 人(入場率 73.5%)
主催:まつもと市民芸術館/信濃毎日新聞社
2)日時:4 月 21 日(土) 14:00 開演 1 回公演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
入場者数:647 人(入場率 84.7%)
主催:兵庫県/兵庫県立芸術文化センター
3)日時:4 月 28 日(土) 13:30 開演 1 回公演
会場:山形シベールアリーナ
入場者数:333 人(入場率 69.8%)
主催:公益財団法人 弦 地域文化支援財団
② 「負傷者 16 人―SIXTEEN WOUNDED―」全国公演
芸術監督=宮田慶子
作=エリアム・クライエム
翻訳=常田景子
演出=宮田慶子
出演=井上芳雄、東風万智子、粟野史浩、あめくみちこ、益岡徹
1)日時:5 月 26 日(土)17:00 開演、27 日(日) 13:00 開演 2 回公演
会場:兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
入場者数:1,188 人(入場率 79.3%)
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
③ 「音のいない世界で」全国公演
芸術監督=宮田慶子
作・演出=長塚圭史
振付=近藤良平
出演=近藤良平 首藤康之 長塚圭史 松たか子
1)日時:1 月 22 日(火)18:30、 1 回公演
会場:山形シベールアリーナ
入場者数:484 人(入場率 99.0%)
主催:山形県、公益財団法人弦地域文化支援財団
2)日時:1 月 24 日(木) 19:00 /25 日(金)19:00、2 回公演
会場:仙台市宮城野区文化センター パトナシアター
入場者数:360 名(入場率 94.7%)
主催:仙台市、公益財団法人仙台ひと・まち交流財団、
公益財団法人仙台市市民文化事業団
3)日時:1 月 27 日(日)15:00 /18:30、2 回公演
会場:北上市文化交流センター さくらホール
入場者数:794 名(入場率 88.2%)
主催:財団法人北上市文化創造、北上市
(4) 新国立劇場合唱団外部出演公演
① NHK 交響楽団 定期演奏会 デュリュフレ「レクイエム」
指揮=尾高忠明
管弦楽=NHK 交響楽団
合唱=新国立劇場合唱団(100 名出演)
日時:5 月 12 日(土)18:00/13 日(日) 15:00 2 回公演
会場:NHK ホール
主催:公益財団法人 NHK 交響楽団
② 東京フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 ショハット「アルファとオメガ」
(演奏会形式)
指揮:ダン・エッティンガー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(70 名出演)
119
日時/会場:5 月 20 日(日)15:00 開演/Bunkamura オーチャードホール
5 月 23 日(水)19:00 開演/サントリーホール
主催:公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団
③ 横浜芸術アクション事業 プッチーニ「蝶々夫人」(演奏会形式)
指揮:沼尻竜典
管弦楽:桐朋学園オーケストラ
合唱=新国立劇場合唱団(30 名出演)
日時:6 月 30 日(土)15:00
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
主催:公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
④ 東京オペラシティコンサートホール開館 15 周年記念公演 モンポウ「インプロペリア」
指揮:アントニ・ロス・マルバ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(60 名出演)
日時:9 月 1 日(土)15:00
会場:東京オペラシティコンサートホール
主催:公益財団法人東京オペラシティ文化財団
⑤ 文化庁 24 年度次世代の子どものための舞台芸術体験事業 ヴェルディ「椿姫より乾杯の歌」他
指揮:冨平恭平
ピアノ:平塚洋子
合唱:新国立劇場合唱団(30 名出演)
日程/会場: 9 月 3 日(月)/青森県 平内町立山口小学校
9 月 4 日(火)/青森県 県立青森若葉養護学校
9 月 5 日(水)/秋田県 大館市立早口小学校
9 月 6 日(木)/秋田県 鹿角市立尾去沢中学校
9 月 7 日(金)/岩手県 住田町立有住中学校
9 月 10 日(月) /宮城県 気仙沼市立松岩小学校
9 月 11 日(火) /宮城県 気仙沼市立条南中学校
9 月 12 日(水) /宮城県 大崎市立松山中学校
9 月 13 日(木) /宮城県 登米市立豊里中学校
9 月 14 日(金) /宮城県 女川町立女川第二小学校
9 月 18 日(火) /宮城県 利府町立利府西中学校
9 月 19 日(水) /宮城県 角田市立北角田中学校
9 月 20 日(木) /宮城県 角田市立枝野小学校
⑥ Music Weeks in TOKYO 2012 スーパー・コーラス・トーキョー特別公演マーラー「嘆きの歌」
指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:スーパー・コーラス・トーキョー(新国立劇場合唱団 21 名が参加)
日時/会場:10 月 3 日(水)19:00/東京文化会館大ホール
10 月 4 日(木)19:00/オリンパスホール八王子
主催:東京都、東京文化会館・東京文化発信プロジェクト室
⑦ Music Weeks in TOKYO 2012 まちなかコンサート オルフ「カルミナ・ブラーナ」ほか
指揮:高関 健
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:スーパー・コーラス・トーキョー(新国立劇場合唱団 9 名が参加)
日時:10 月 6 日(土)15:00
会場:立川市市民会館大ホール
主催:東京都、東京文化会館、東京文化発信プロジェクト室
⑧ 読売日本交響楽団第 553 回サントリーホール名曲シリーズ・第 198 回東京芸術劇場名曲シリーズ
ラベル「ダフニスとクロエ」
120
指揮:シルヴァン・カンブルラン
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(60 名)
日時/会場:10 月 18 日(木)19:00/サントリーホール
20 日(土)14:00/東京芸術劇場
⑨ マリインスキー歌劇場管弦楽団 ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」
(演奏会形式)
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団
合唱:新国立劇場合唱団(64 名出演)
日時:11 月 12 日(月) 19:00
会場:サントリーホール
主催:ジャパン・アーツ / 日本経済新聞社
⑩ 読売日本交響楽団第 520 回定期演奏会・第 149 回東京芸術劇場マチネーシリーズ ブラームス
「悲歌」
「運命の女神の歌」ほか
指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(60 名出演)
日時/会場:11 月 29 日(木)19:00/サントリーホール
12 月 1 日(土)14:00/東京芸術劇場
主催: 公益財団法人読売日本交響楽団
⑪ プレミアムコンサート武蔵野公演 ヴェルディ「アイーダ~凱旋の合唱」他
指揮:梅田俊明
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:スーパー・コーラス・トーキョー(新国立劇場合唱団 15 名が参加)
日時:12 月 2 日(日)15:00
会場:武蔵野市民文化会館
主催:公益財団法人東京都交響楽団
⑫ 読売日本交響楽団 ベートーヴェン「交響曲第9番 合唱付」
指揮:シルヴァン・カンブルラン
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(80 名出演)
日時/会場: 12 月 19 日(水)19:00・21 日(金)19:00 2 回公演 /サントリーホール
12 月 22 日(土)18:00・23 日(日) 14:00 2 回公演 /東京芸術劇場
12 月 24 日(月)14:00 /横浜みなとみらいホール
12 月 26 日(水)19:00 /東京オペラシティ コンサートホール
主催:公益財団法人読売日本交響楽団、読売新聞社 ほか
⑬ 第 56 回 NHK ニューイヤー・オペラコンサート ナブッコ「行け、我が思いよ」他
指揮:下野竜也
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(26 名)~二期会合唱団、藤原歌劇団合唱部と合同
日時:1 月 3 日(火)19:00
会場:NHK ホール
主催:NHK、NHK プロモーション
⑭ 東京フィルハーモニー交響楽団 ロッシーニ「小荘厳ミサ曲(オーケストラ版)
」
指揮:ダン・エッティンガー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(70 名)
日時/開場:1 月 17 日(木)19:00/東京オペラシティコンサートホール
1 月 18 日(金)19:00/サントリーホール
主催:公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団
121
⑮
⑯
⑰
文化庁 24 年度次世代の子どものための舞台芸術体験事業 ヴェルディ「椿姫より乾杯の歌」他
指揮:三澤洋史
ピアノ:三澤志保
合唱:新国立劇場合唱団(30 名)
日程/会場: 2 月 12 日(火)/北海道 札幌市立東札幌小学校
2 月 13 日(水)/北海道 札幌市立ひばりが丘小学校
2 月 14 日(木)/北海道 札幌市立二十四軒小学校
2 月 15 日(金)/北海道白糠養護学校(釧路)
東京フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 シェーンベルク「グレの歌」
指揮:尾高忠明
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団(120 名出演)
日時:2 月 23 日(土)15:00 開演
会場:Bunkamura オーチャードホール
主催:公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団
Music Weeks in TOKYO プレミアムコンサート ヴェルディ「アイーダ~凱旋の合唱」他
指揮:山下一史
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:スーパー・コーラス・トーキョー(新国立劇場合唱団 15 名が参加)
日時/会場:3 月 6 日(水)19:30 開演/板橋区立文化会館
3 月 7 日(木)19:30 開演/文京シビックホール
主催:東京都、東京文化会館、東京文化発信プロジェクト室
(5)新国立劇場研修所研修生等外部出演公演
① 浜離宮ランチタイムコンサート vol.100 木村俊光と巡るオペラの旅 2
解説:木村俊光
出演:倉本絵里、今野沙知恵、柴田紗貴子、立川清子、林よう子、吉田和夏、藤井麻美
伊藤達人、日浦眞矩、後藤春馬、村松恒矢
ピアノ:石野真穂
日時:5 月 23 日(水)11:30
会場:浜離宮朝日ホール
入場者数:550 名
主催:朝日新聞社
② 浜離宮ランチタイムコンサート vol.104 木村俊光と巡るオペラの旅 3
解説:木村俊光
出演:今野沙知恵、林よう子、清野友香莉、原璃菜子、藤井麻美、伊藤達人、日浦眞矩、
菅野 敦、小堀勇介、村松恒矢、後藤春馬
ピアノ:野間春美
日時:9 月 26 日(水)11:30
会場:浜離宮朝日ホール
入場者数:550 名
主催:朝日新聞社
③ 国立新美術館クリスマスオペラコンサート
出演:山口清子、髙橋絵理、小林紗季子、岡昭宏
ピアノ:谷池重紬子
日時:12 月 7 日(金)18:30
会場:国立新美術館1階ロビー
入場者数:327 名
主催:国立新美術館
④ トウキョウ・モーツァルト・プレーヤーズオペラプロジェクト第4弾「コジ・ファン・トゥッテ」
122
日時:12 月 9 日(日)15:00
会場:三鷹市芸術文化センター風のホール
指揮:沼尻竜典
管弦楽:トウキョウ・モーツァルト・プレーヤーズ
出演:研修生 5 名、修了生 1 名
入場者数:334 名
主催:公益財団法人三鷹市芸術文化振興財団
4.舞台芸術等の国際交流
・ 日中国交正常化 40 周年記念・2012「日中国民交流友好年」認定行事として、オペラ「アイーダ」
(コ
ンサート形式)を日中両国で実施した(7 月 27 日、29 日・新国立劇場オペラ劇場、8 月 3 日、5 日・国
家大劇院オペラハウス(中国北京)
)。
・ 韓国ソウル市国立劇場(ヘオルム劇場)の招きで、
「日韓文化交流公演~同行~」に当時ソリスト(現
ファースト・ソリスト)の米沢唯と菅野英男が出演し、
「新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』よりグ
ラン・パ・ド・ドゥ」を踊った(5 月 16 日、主催:韓日文化交流会議)
。
・ デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督が兼務する英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ「アラジン」
(英国初演)にプリンシパルの小野絢子と福岡雄大がゲストダンサーとして出演した(2 月)
。
・ モスクワ(ロシア)ボリショイ劇場他で開催されたオペラ・ヨーロッパの年次総会に出席し、各国の
劇場関係者と情報交換に努めた(10 月 25 日~28 日)
。また、同事務局より加盟機関の 2011 年度(平成
23 年度)の運営状況に関する統計資料の提供依頼があったため、必要資料を提出した。
・ 台北(台湾)国立劇場他で開催されたアジア太平洋パフォーミング・アーツ・センター連盟(AAPPAC)
の年次総会に出席し、各国の劇場関係者と情報交換に努めた(10 月 25 日~27 日)。
・ 北京(中国)国家大劇院で開催された「世界劇場フォーラム 2012」に出席し、各国の劇場関係者と情
報交換に努めた(6 月 21 日・22 日)
。
・ 新国立劇場のオペラやバレエ作品制作における海外の芸術家や劇場との連携協力を広く紹介するため
に、オペラ公演「ローエングリン」や「ピーター・グライムズ」において、『国際連携プロジェクト』
として、作品制作に携わる海外の演出家や美術家等を招いてトーク・ショーを開催、またオペラ「ピー
ター・グライムズ」やバレエ「シルヴィア」等において、関連の展示会を開催した。
・ 文化庁「外国人芸術家・文化財専門家招へい事業」により来日した芸術家 2 名の受け入れを行い、研
修所での講義や研修生への指導、情報交換などを実施した。
・ オペラ「ローエングリン」においてオーストリアより研修生を受け入れた(演出部門)
。
・ 海外から劇場関係者など 5 ヶ国 10 団体 91 名の訪問受け入れを行った。主な来訪者は以下のとおり。
韓国からソウル・アーツ・センター(芸術の殿堂)のスタッフ、中央大学校教授等、台湾から東呉
音楽大学院教授等、国立劇場スタッフ、台中メトロポリタン・オペラハウス建築メンバー、中国か
ら劇場視察団、英国からオペラ観劇グループ、等。
・ 「在日各国大使のオペラ・バレエ鑑賞プログラム」を実施し、新国立劇場が、内外で高い評価を受ける
オペラ専門劇場を有しており、質の高いオペラ・バレエを制作し、上演していることを国際的に発信した。
また、芸術・文化面における新たな観点からの日本に対する理解の増進を図り、国際交流の振興に寄与し
た。実施公演と大使(公使等による代理出席含む)
、文化機関等の参加国は以下のとおり。
①オペラ「ローエングリン」 6 月 1 日(金)17:00 開演 (13 カ国
文化機関 4)
(大使)オーストリア、ベルギー、EU、ドイツ、アイルランド、ラトビア、オランダ、ポルトガル、
スペイン、トルコ、ウクライナ、マレーシア、フィンランド
(文化機関)ドイツ、スペイン、アメリカ、中国
②オペラ「ピーター・グライムズ」 10 月 2 日(火)18:30 開演 (8 カ国 文化機関 2)
(大使)ベルギー、EU、ドイツ、フィンランド、ラトビア、スペイン、イギリス、韓国
(文化機関)フランス、イギリス
③バレエ「シルヴィア」 10月27日(土)14:00開演 (7カ国 文化機関1)
(大使)ハンガリー、アイルランド、ラトビア、ポルトガル、イギリス、ベネズエラ、韓国
(文化機関)イギリス
④オペラ「アイーダ」 3月11日(月)18:00開演
(12カ国 文化機関1)
123
(大使)ベルギー、EU、ドイツ、スロヴァキア、スペイン、スイス、ウクライナ、カナダ、
オーストラリア、ニュージーランド、韓国、マレーシア
(文化機関)イギリス
(※国名は欧州/北・中南米/オセアニア/アジアの、それぞれ英文国名アルファベット順)
【特記事項】
・ 「こどものためのバレエ劇場」の関連企画として以下の通りワークショップを行った。
6 月 2 日(土)新井ふれあい会館ふれあいホール(参加者 47 名)
6 月 3 日(日)上越文化会館大ホール(参加者 34 名)
7 月 14 日(土)柏崎市文化会館アルフォーレ・マルチホール(参加者 42 名)
7 月 31 日(火)サンポートホール高松リハーサル室(2 回実施、参加者 71 名)
8 月 7 日(火)茅ヶ崎市民文化会館練習室(参加者 16 名)
・ サンポートホール高松発行の季刊誌において、高松市出身のバレエ研修生の記事が取り上げられた。
また同研修生は高松公演に出演した。
・ バレエ「シンデレラ」新潟公演の関連企画として、クラスレッスン見学会を 1 月 5 日(金)、新潟県民
会館にて行った。
(参加者約 60 名)
・ 新潟県で行った「こどものためのバレエ劇場」及びバレエ「シンデレラ」は、主催者である「新潟県
舞踊芸術普及育成事業実行委員会」が文化庁「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業へ申請を
行い、助成金を得て上演が実現したものである。
・ バレエ「シンデレラ」新潟公演の主役 2 人(小野、福岡)に対して、新潟日報がインタビュー取材を
行い、事前告知を行った。また、主催者発行の機関紙が、主役 2 人に加え新潟県出身の出演者(竹田仁
美)にインタビューを行い、事前告知を行った。
・ 演劇「まほろば」兵庫公演については、主催者側が販促用チラシ作成したほか、読売新聞大阪版のコ
ラム「芝居をよむ」に作家の蓬莱竜太インタビューを掲載し、チケット販売強化につなげた。
・ 演劇「負傷者 16 人 ―SIXTEEN WOUNDED―」兵庫公演については、主催者が稽古場取材を元にした販促
用チラシ作成したほか、朝日新聞、読売新聞それぞれ大阪版にて事前記事が掲載された。また、チケッ
ト販売において、出演者(井上芳雄)のファンクラブ先行受付を実施した。
・ 演劇「音のいない世界で」北上公演の関連企画として、宮田慶子芸術監督によるリーディングワーク
ショップを 1 月 12 日(土)、13 日(日)、北上文化交流センターさくらホール練習室にて行った。
・ 演劇「音のいない世界で」仙台公演および北上公演の舞台仕込みにおいて、大道具や照明等の仕込み
の作業状況を見学する「仕込み見学会」を実施した。両会場とも 20 名程の参加者が、舞台や楽屋など普
段見ることの出来ない場所を、各会館スタッフの説明を受けながら 2 時間ほど見学をした。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ ほぼ全演目でアンケート調査を実施した。特に平成 24 年度後期には入場時にキャスト表と共にアンケ
ート用紙を希望者に配布し、終演後に粗品と引換に回収する「特別アンケート」を行う体制を整え、回
収率向上を実現することができた。
・ 25 年度(第 68 回)文化庁芸術祭の関連公演については、いずれも観客の評価が高く、上演の成果が
表れる舞台となった。
・ 地域招聘公演については、高い上演水準やダンサーの層の厚さばかりでなく、客席との一体感あふれ
るコミュニケーションも好評を得、大きな注目を集めるとともに、公演の意義についても高い評価を得
た。
・ 全国公演については、文化庁「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業の効果もあり、前年度
以上の大幅な拡充を実現した。各会場とも、主催者、観客から公演内容について高い評価を得ており、
あらためて新国立劇場の存在を知らしめることが出来た。また各主催者より、引き続き新国立劇場制作
の質の高い舞台を提供してほしいとの要望があった。
・ 今年度も「高校生のためのオペラ鑑賞教室『愛の妙薬』」を尼崎市総合文化センターとの共催で上演、
2,500 人を超える高校生がオペラを鑑賞し、関西においてもオペラの普及に資することができた。
・ 「こどものためのバレエ劇場」については、新国立劇場での上演が内定した早いタイミングから全国
公演の交渉を行った結果、5 ヵ所での実現に至った。公演だけではなく、ワークショップに関しても高
い評価を得ており、ワークショップの実施が公演実施における必須要因ともなっている。兵庫公演にお
いては、早い段階においてチケットが完売となった。他の会場においても、高い入場率を記録した。
124
・
演劇「まほろば」では、新国立劇場での再演が内定した早いタイミングから全国公演の交渉を行った
結果、3 ヵ所での実現に至った。各地域においてチケットの販売戦略が異なるため、各会場それぞれオ
リジナルデザインによりチラシを製作した。
・ 演劇「負傷者 16 人 ―SIXTEEN WOUNDED―」兵庫公演では、新作で宣伝材料が乏しかったため、主催者
および関西新聞記者が新国立劇場の稽古場に来場し、取材を行うなど、販売促進面での連携を図ること
ができた。
・ 演劇「音のいない世界で」では、出演者サイドより全国公演は東北に行きたいとの要望もあり、新国
立劇場にとっては初めてとなる仙台、北上を含む 3 ヶ所の全国公演が成立した。各会場ともチケットが
売り切れとなり、北上は追加公演を設定することとなった。
・ 新国立劇場合唱団出演公演関係では、昨年に引き続き、NHK 交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽
団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、マリインスキー歌劇場管弦楽団などの著名オーケストラや、
世界的に活躍する多くの指揮者との共演による各種演奏会など積極的に外部へ出演したほか、文化庁の
平成 24 年度「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」を受託し、東北及び北海道の小中学校等計 17 校
を巡回、多くの子供たちに生の歌声に触れる機会を提供するなど、多彩な活動を展開した。
・ 次年度以降も国際交流公演や全国公演、全国各地との共同制作公演、地域招聘公演等の事業を推進し、
全国にオペラ、バレエ、現代舞踊、演劇の魅力を伝えるとともに、全国地域で上演されている優れた現
代舞台芸術のプロダクションを紹介し、新国立劇場の存在意義を示す一助ともしたい。
・ 舞台芸術等の国際交流については、中国国家大劇院との間で 2011 年 4 月に締結した合意書に基づき、
国交正常化 40 周年記念 2012「日中国民交流友好年」認定行事としてオペラ「アイーダ」
(コンサート形
式)を、中国国家大劇院との共催により新国立劇場及び中国国家大劇院(北京)にて上演し、両国間の
文化交流に資したほか、オペラ・ヨーロッパ及びアジア太平洋パフォーミング・アーツ・センター連盟
(AAPPAC)の年次総会や北京(中国)国家大劇院で開催された「世界劇場フォーラム 2012」に参加し、各
国の劇場関係者との情報交換に努めた。また、海外から多くの芸術家や研修生、その他劇場関係者等の
訪問を受入れ、情報交換を行うとともに、優れた舞台芸術家の育成にも寄与し、新国立劇場の海外での
存在感を高めることができた。今後とも諸外国及び各国の劇場との国際文化交流の一層の発展を図り、
引き続き推進していくこととしている。
・ 「在日各国大使のオペラ・バレエ鑑賞プログラム」については、参加した各国大使が本プログラムの
実施の意義を高く評価しており、自身のブログやツイッターで新国立劇場公演の質の高さを称賛するな
ど、プログラムの目的に叶う成果が上がっている。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 以前より全国公演の平日公演に関しては集客の難しさがあったが、今年度も平日と休日での集客力の
差が如実に数字に表れた。全国公演においては、今後もますます平日公演の設定が難しくなると思われ
るので考慮したい。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 地方との連携に関して、より多くの国民に国立の芸術活動に接してもらえるように、全国ネットワー
クを構築して、各地での事業・広報活動に積極的に取り組んで欲しい。 (①)
・ 計画どおりに実施されていると判断できるが、新国立劇場の存在意義を示すことができる連携協力・
地方上演を期待する。(①)
(振興会評価委員会)
・ 地方公演の中には、観客動員が低調の公演もある。いずれも内容は評価が高いので、新国立劇場の作
品を少しでも多くの国民に見てもらうためにも、兵庫を初めとする地方公演での集客について、主催者
に協力して新国立劇場も努力してほしい。(①)
・ 「高校生のためのオペラ鑑賞講座」などは関西でも行っているが、オペラを国民のものにするために
も、地元のオーケストラを起用するなどコスト面に配慮しながら本公演についても地方の劇場で行うこ
とを検討できないだろうか。(①)
【対応】
①連携協力・地方における上演の実施・検討
新国立劇場では、各地の劇場と協力して、新国立劇場で制作した舞台作品を全国で上演してきたが、さ
125
らに各ジャンルとも、演目をラインアップする際には地方における上演の可能性を考慮し、作品を組み込
んでいきたい。
全国公演の主催者への集客・営業面での協力については、各主催者の意向を最大限尊重しながらも、緊
密な連携を保って可能な限りの協力を行っている。具体的には、新国立劇場が作成する媒体(チラシ、会
報誌、ホームページ、プレスリリース等)での告知、新聞・雑誌における東京公演の告知や劇評の掲載に
あわせた全国公演の告知、主催者及び公演地の地元誌による稽古場取材やスタッフ・出演者インタビュー
等のセッティング、チラシ等販促物のデザインデータや、公演内容・出演者についての資料、過去の公演
写真等の提供、営業戦略に関する情報共有のほか、団体営業先や販売チャンネルの紹介等を行っている。
なお、全国公演におけるコスト面への配慮として、本公演ではないが、
「高校生のためのオペラ鑑賞教室
(関西公演)」においては 23 年度より大阪フィルハーモニーオーケストラを起用し、地元との連携を図り
ながら、コスト削減に努めている。今後はさらに、高校生のためのオペラ鑑賞教室の上演地方拡大やコン
サートオペラ、バレエ・ガラ、こどもバレエを中心としたコンパクトな演目の地方公演実現に努めたい。
126
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
快適な観劇環境の形成
快適な観劇環境の形成 p.127
観劇環境整備、外国人利用者への対応 p.131
インターネット・チケット販売の活用 p.136
解説書の作成、字幕表示・音声同時解説の活用、公演説明会・施設見学等の実施 p.137
意見・要望等の把握と対応 p.139
広報・営業活動の充実
広報・営業活動の充実 p.141
効果的な広報・営業活動の展開 p.148
会員組織による観劇機会の増加 p.152
劇場施設の使用効率の向上等
劇場施設の使用効率の向上等 p.156
快適な観劇環境の形成:総表
2-(3) 快適な観劇環境の形成
《中期計画の概要》
(5) 快適な観劇環境の形成
観客本位の快適な環境の形成のため、以下のとおりサービスの向上に努め、来場者等の満足度の向上を図る。
ア 高齢者、身体障害者、外国人等の利用にも配慮した快適な観劇環境の提供
イ インターネットによる入場券販売の充実等による多様な販売方法の提供
ウ 解説書の作成、音声同時解説、字幕表示などのサービスの提供による公演内容等の理解の促進と、公演
内容の説明会、施設の見学会の実施
エ 劇場モニター制度の導入の検討
《年度計画》
2 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
(5) 快適な観劇環境の形成
ア 利用者の意見等を踏まえ、老朽化した劇場内備品の更新や新国立劇場内エスカレーターの設置等観客
用設備の整備を行うとともに、売店・レストラン等におけるサービスの充実や観劇時のマナーの呼びか
けを行い、利用者にとって安全で快適な観劇環境を提供する。
また、外国人利用者については、英文等パンフレットの配布など各種情報の提供に努め、利用環境の
整備を進める。
イ インターネット・チケット販売、電話予約など観客の利用形態に応じた多様な販売方法を提供し、販
売の促進を図る。また、インターネット・チケット販売において、安定的なサービスの提供に努めると
ともに、引き続き機能の向上を図る。
ウ 公演内容等の理解を促進するため、以下のサービス等を提供する。
・ 解説書を作成するとともに、内容の充実を図る。
・ 音声同時解説とともに、能楽堂の座席字幕装置をはじめとする字幕表示を積極的に活用する。
・ 鑑賞団体の求めに応じて公演内容の事前説明を適宜行うとともに、公演の実施に支障のない範囲に
おいて積極的に学生等の施設見学を受け入れる。
エ ホームページ、ご意見箱等を通じて寄せられた観客等の意見・要望について迅速な対応を図るととも
に、対応状況の把握・管理、職員への周知を行い、サービスの向上への活用に努める。
また、観客等の要望、利用実態等を把握するため、あぜくら会会員サービスについてのモニターに対
して意見の聴取を行う。
《実
績》
1.観劇環境整備、外国人利用者への対応
・ 大・小劇場内トイレの洋式トイレの数を増やし快適性を高めた。
・ 演芸場の 1 階及び 2 階のトイレを改修し、快適性を高めた。
・ 屋外のトイレ(多目的トイレを含め)
・喫煙室を新たに設置し利便性を高めた。
・ 飲料売店周辺に立食テーブルを配置しお客様の利便性を高めた。
・ 地震等緊急時に備え避難訓練等を実施した。
・ 観客の観劇マナー向上のため、チラシ・ポスターやホームページ、アナウンス等により呼びかけを行っ
た。
・ 国立劇場のマスコットキャラクター「くろごちゃん」の着ぐるみを利用し、観劇マナーの呼びかけや、
劇場ロビーでの観客との記念撮影を行い、親しみやすい国立劇場のイメージを発信した。
・ 国立劇場により親しんでもらうため、
「国立劇場さくらまつり」を開催した(平成 25 年 3 月 29 日~4 月
3 日)
。
・ 外国人利用者のために、劇場ロビー周りの表示類(英語表記付)について統一感をもたせ、分かり易く
した。
・ 外国人観光客への情報発信・公演周知活動をさらに強化するため、英語版に引き続き、中国語版(繁体
127
字・簡体字)
、韓国語版のコンパクトガイド(歌舞伎・文楽の紹介リーフレット)を作成し、都内のツーリ
ストインフォメーションセンター等に掲出を依頼した。
・ 大劇場ロビーに於いてインフォメーションディスプレイを活用し、次回公演の案内や観劇マナー、緊急
時の避難導線等を映し出しお客様の注目を集めた。
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室公演で、大劇場前庭に冷却ミスト機を設置、来場者の熱中症対策を行った。
(能楽堂)
・ 平成 25 年度に開場 30 周年を控え、施設の美観向上と維持保全のため、能舞台屋根等清掃、客席内京壁補
修、客席椅子・ロビー絨毯クリーニング、食堂テーブル・椅子・ショーケース補修更新等を実施した。
・ 施設紹介の英文パンフレット、演目解説の英文パンフレットの作成・配布、英語による案内表示、場内ア
ナウンスなどのサービスを提供し、引き続き外国人の利用環境の充実を図った。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では 1・2・3 階ロビー内装改修工事を行い、来場者への利用環境の整備をした。特にロビー内の
案内表示類について、統一性のある分かりやすいデザイン・表現に留意したものに改めた。また一部では
あるが老朽化した施設・設備を改修し、安全性を高めた。
・ 文楽公演(文楽劇場)では、引き続き英語に加え、中国語(簡体字)
、韓国語の解説リーフレットを作成・
配布した。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわでは、楽屋口に屋根を設置したほか、階段の高低差を小さくする改修工事を実施した。
(新国立劇場)
・ オペラ劇場ホワイエ他の木製ベンチ及び共通ロビーの木壁は、計画的に補修を行っており、今年度もメイ
ンエントランス木扉の塗装補修を実施した。
・ 2012 /2013シーズンのオープニングに際し、オペラ劇場クローク前より2階プロムナードまでレッドカー
ペットを敷設した。オペラ劇場ホワイエには、簡易組立式の小型のバナーを各所に設置し、オープニングら
しい豪華で華やかな雰囲気を醸し出した。
・ 特に、開場15周年にあたる平成24年度、2012/2013シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グラ
イムズ」
、バレエ「シルヴィア」
、演劇「リチャード三世」と、3部門とも英国ゆかりの作品を上演。このこ
とから、10月のシーズンオープニングに合わせ、英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウ
ンシルとの共催により、英国をテーマに舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティ
バル2012」を、劇場を挙げて開催し、その一環として同フェスティバル関連の装飾も施した。
・ オペラ劇場のオペラ、バレエ公演に合わせ、来場者のアメニティ向上を目的として、劇場共通ロビーに
演目をイメージした大型の装飾花「ウエルカム・フラワー」を昨年度に引き続き飾った。また池の上部の
テラス部分にテーブルとベンチを仮設し、テラス・カフェとしての利用に供し、好評を博した。
・ オペラ劇場クローク前の階段にエスカレーターを設置した。
2.インターネット・チケット販売等の販売方法の提供
・ インターネット・チケット販売システムにおいて、利用者の利便性向上のため、利用者が直接希望の座
席を選択できる機能を導入した。これより、購入者は、①自動選択、②ブロック内自動選択、③座席任意
選択のいずれかの方法を選んで購入できるようになった。座席任意選択の適用については、順次サービス
を拡大しており、平成 25 年度 4 月公演より各館の全公演で適用する予定である。
また、インターネット販売システムにおいて、24 年度はスマートフォンによる販売の準備を進め、平成
25 年 4 月 23 日よりサービスを開始した。
・ チケットセンターホームページに各館の親子企画を紹介するページを設置し、振興会トップページのバ
ナーから誘導するなど、インターネットを活用したチケット販売を行った。
・ 新国立劇場のインターネット・チケット販売では、オペラ劇場公演に続いて 24 年度には中劇場公演でも、
利用者が直接希望の座席を選択できる機能を導入した。
3.解説書の作成、字幕表示・音声同時解説の活用、公演説明会・施設見学等の実施
・ すべての自主公演に公演内容に応じて公演解説書(プログラム)を作成した。
・ 各公演の内容にあわせて字幕表示を活用し、公演内容への一層の理解を促した。
・ 本館では聴覚障害者向けに小型モニターを利用した字幕表示の試験的運用を行った。
(7月歌舞伎鑑賞教
室)
・ 歌舞伎公演・文楽公演については、イヤホンガイドによる音声同時解説を実施した。
128
・ 旅行代理店営業担当者を対象に施設見学・公演鑑賞会を実施した。
・ 22 年度より開催している社会人向け講座シリーズ「国立劇場 in 丸の内」の第 7 回~第 9 回を実施した(会
場:marunouchi cafe SEEK 旧称 丸の内カフェ)
。第 7 回、第 8 回では能楽を、第 9 回では文楽を取り上
げた。
・ 能楽堂では、公演内容等の理解を促進するため解説書「国立能楽堂」(月刊・年 12 回)を作成し、全自主
公演の解説を施した。また、公演内容に応じて、
「能楽鑑賞教室」
「夏休み親子で楽しむ能の会」
「夏休み
親子で楽しむ狂言の会」ではイラスト入りの分かりやすいパンフレットを作成し無料配布した。
・ 4 月特別企画公演の復曲能「阿古屋松」上演に際しては、世阿弥自筆本の写真等を掲載したパンフレット
を作成し無料配布した。
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で日本語(詞章)
・英語
の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
・ 国立劇場おきなわでは、ステージガイド「華風」
(月刊)の作成や、寄席や三線音楽公演を除くほとんど
の公演に字幕表示を実施し、公演内容の理解に努めている。
・ 新国立劇場では、オペラ公演 11 公演(高校生のためのオペラ鑑賞教室を含む)で字幕表示を行った。ま
た、公演説明会、施設見学の受け入れ、バックステージツアーを実施した。
4.意見・要望等の把握と対応
・ ホームページや各劇場に設置したご意見箱に寄せられたご意見・要望・苦情等に対しては、構築した連
絡体制に添って関係部署間で事実関係の調査・検討並びに協議を行い、迅速に対応した。また、これらの対
応に関しては、
振興会内で社内 LAN を使用した情報共有を図り、
事業等への反映及びサービス向上に努めた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ ホームページや劇場内ご意見箱に寄せられた意見・要望等については、連絡体制を更に充実させ、該当
部課の対応期限を明示し迅速な返答に努めた。館内 LAN による情報共有の継続により、職員間において苦
情対応等の相互検証が進み、職員の観客サービスに対する意識を高めることができた。また、意見・要望
等の内容を検討し、劇場内でのサービス方法、劇場内設備やホームページの改善等に反映させた。
・ 大・小劇場内トイレの洋式トイレの数を増やし快適性を高めるとともに屋外トイレ(多目的トイレを
含め)
・喫煙室を新たに改築し利便性を高めることができた。
・ 飲料売店周辺に立食テーブルを配置しお客様の利便性を高めることができた。
・ 能楽堂では座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で日本語(詞章)
・英語の
2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
「能楽鑑賞教室」では中・高生向けの解説を追加し、また「夏休
み親子で楽しむ能の会」
「夏休み親子で楽しむ狂言の会」では子どもにも分かり易い解説を追加して 3 チャ
ンネル方式とし、観客層に合わせたきめ細かい字幕表示を実施し好評を得た。
・ 国立劇場おきなわでは、公演によって特設会場を設け各地の観光協会等の協力により、演目に因んだ物
産品等を販売したが、公演を盛り上げ来場者にも好評であった。
・ 新国立劇場では、アンケートの回答者に粗品を進呈する特別日をオペラ・バレエ・演劇公演に引き続き、
現代舞踊公演でも設定し、アンケート回収率の向上に努めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 引き続き地震等緊急時の安全確保のため施設・備品類の見直しを図る。
《23年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ レストランなど付属の施設サービスについては改善すべき点もあり、業者の再選定も視野に入れ、更なる
サービスの向上に努めることが必要である。(①)
・ 劇場モニターの早期の有効活用が望まれる。(②)
(振興会評価委員会)
・ 観劇マナーに関するチラシ等の制作を評価する。一部にはまだマナーが徹底していないところも見受けられ
るので、なお細やかな目配りを願いたい。(①)
・ 本館小劇場2 階の無料休憩所の拡大や、
本館3 階の軽食がセルフサービスで安く利用しやすいことはよいが、
雰囲気にも気を配るなど更にサービスの改善を図ってもらいたい。(①)
129
・ 空港や新幹線のターミナル駅などの案内所に、国立各劇場の月刊総合公演案内チラシを日本語版・外国語版
で置くなど、他の国ではやっていて、日本ではまだ行われていない工夫がある。ますますの「国際化」を検討、
実施してほしい。(③)
【対応】
①観劇環境・サービスの改善に向けての取り組み
本館レストランについては、業者の入れ替えも視野に入れ、24 年度時に貸付期間 3 年間の簡易公募型のプロ
ポーザル方式によって広く公募した。能楽堂では、レストラン・売店のサービスについて毎年 2 回アンケート
を行い、その結果を踏まえて委託業者との話合いの場を設け、改善策を検討して運営に反映させるよう指導に
努めている。
本館大・小劇場の無料休憩所の充実や立食テーブルの配置によりお客様のサービスの充実に努め、また、本
館屋外トイレ・喫煙室等及び演芸場一階トイレを新規増設し観劇環境の改善を図った。
観劇マナーの周知については、引き続き開演前の呼びかけを行うとともに、大劇場ロビーの舞台モニターで「観
劇マナーに関する注意事項」を字幕表示している。
国立劇場おきなわでは、ビュッフェ・カフェの利用向上策を再検討すると共に、観劇記念の土産品の充実を
図るため、グッズ委員会を発足させ、劇場の賑わいづくりに努めている。24 年度に観劇マナー向上の方策とし
て、劇場内での禁止事項をパネルにして劇場入口付近に設置し注意喚起を行った。
②劇場モニター制度の活用
あぜくら会については、会員に対するモニター調査を、24 年度に計 3 回実施した。今後の催物など、何を希
望し、期待しているのか意見を聞き、検討・分析することで、入会意欲を喚起する催物を実施していきたい。
会員への国立劇場開場 45 周年の記念品として作成したチケットケースとクリアファイルが、会員の特典意識を
刺激するのに大変有効でり、新規入会の特典としても活用した。異なるデザインでの作成希望が数多くあるこ
とから、今後の周年事業等での作成を検討する。なお、同じ物を一般販売することについては会員の特典意識
に影響するため、販売方法等を検討する必要がある。
文楽劇場友の会については、報道関係者を会員のみが参加できる「文楽のつどい」などの催し物に招待する
などして、友の会を積極的に広報し、会員増を図る。
国立劇場おきなわでは、会員勧誘のための企画として、毎年友の会限定 1 日バスツアー(歌碑めぐり)
、半日バ
スツアー(史跡等めぐり)を実施している。
③外国人利用者向けのサービスの工夫・充実
千代田区観光協会との共同により、24 年 10 月開催の IMF 総会参加のため来日した外国人に対する劇場施設の
案内や伝統芸能の紹介を行った。引き続き機会を捉え外国人利用者増加のための企画を行う。英語版ホームペー
ジについては、公演情報入力機能の活用により基本情報を適切に掲載し、外国人利用者の便宜向上に努めた。
本館では、24 年度より、外国人観光客の取り込みに向けて、羽田空港国際線到着コンコースへの広報看板の
設置、同到着ロビーの柱を使用した柱巻き広告を実施した。羽田、成田両空港と都心を結ぶエアポートリムジ
ンバスのシートポケットのインフォメーション、羽田―浜松町のモノレール扉にステッカーを貼り付け国立劇
場案内広告を行っており、いずれも、英語・簡体字・繁体字・韓国語で表記している。また、22・23 年度に作
成した「歌舞伎のコンパクトガイド」
「文楽のコンパクトガイド」日本語版・英語版を、外国人向け旅行案内所
等に設置している。24 年度は歌舞伎・文楽それぞれ中国語版(簡体字・繁体字)
・韓国語版を作成した。さらに、
JTB の海外向けサイト内においてイヤホンガイド付きのチケット販売を開始し、徐々にではあるが着実に成果を
挙げてきている。
能楽堂では、座席字幕装置完備を明記した英文チラシを作成し、ホテル・観光情報センター・空港等に配布
して海外からの観光客への周知・集客に努めているが、引き続き広報活動の工夫を図る。
文楽劇場では、関西国際空港の協力を得て「関西国際空港観光情報センター」の電子告知板に、英文の文楽
紹介ポスター及び各公演宣伝ポスターを掲示している。今後は海外の現地旅行代理店を通じての公演チラシの
設置等、近年増加傾向にある韓国・中国・台湾・香港等の近隣アジア諸国を中心に、積極的に働きかける。
国立劇場おきなわでは、23 年 10 月の「我らが住むは五大州」公演で、日本語圏外の来場者が多く想定された
ことから、4 カ国語(日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語)の演目解説チラシを配布した。
24 年度から、地元の外国人向け英字新聞(週刊)に公演案内を送っており、琉球舞踊の紹介とあわせて 10 月
の舞踊公演案内を掲載してもらうなど、外国人向けの周知に努めている。また、23 年度に引き続き 24 年度も、
留学生センターに働きかけて団体客を獲得するなど、継続的な連携強化に努めている。
130
快適な観劇環境の形成:詳細表
<1>観劇環境整備、外国人利用者への対応
1.設備等の環境整備
(本館)
・ 外国人利用者のために、劇場ロビー周りの表示類(英語表記付)について統一感をもたせ分かり易く
した。
・ 大劇場ロビーに於いてインフォメーションディスプレイを活用し、次回公演の案内や観劇マナー、緊
急時の避難導線等を映し出しお客様の注目を集めた。
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室公演で、大劇場前庭に冷却ミスト機を設置、来場者の熱中症対策を行った。
・ 大・小劇場の客席については、安全性に留意し、破損部の補修・交換等、随時保守を行った。
・ 大・小劇場ロビー内の案内表示類については、統一性のある分かりやすいデザイン・表現に留意したも
のに改め大幅に更新した。更に検証をすすめ、客席内 2 階と 3 階を繋ぐ階段の段差が一定でなく危険であ
ることから、ステップの色を替え注意喚起を促した。
・ 客席内、車イススペースの絨毯の色を替え、段差部分を鮮明に差別化しお客様の足元の安全確保に努め
た。
・ 大劇場エスカレーター入口へロープパーティションを配置し、混雑時の導線確保による安全対策を図っ
た。
(演芸場)
・ 観客の要望に応え、1階トイレの新規増築及び従来のトイレの改修、更に 2 階トイレの全面改修を実
施した。
・ 特別企画公演「親子で楽しむ演芸会」
(7 月 28 日)において、ロビーを風船やバルーン人形などで装飾、
子供たちが演芸に親しめるよう工夫した。また親子連れのお客様に夏休みの絵日記等で使えるクレヨン
をお土産として手渡しした。
(能楽堂)
・ 平成 25 年度に開場 30 周年を控え、施設の美観向上と維持保全のため、能舞台屋根等清掃、客席内京
壁補修、客席椅子・ロビー絨毯クリーニング、食堂テーブル・椅子・ショーケース補修更新等を実施し
た。
・ 能楽堂の建物は能楽の幽玄な世界にふさわしい建築であり、観能の興趣をさらに醸成するよう、引き続
き夜間のガーデンライトアップや庭園管理に努めて景観を保持した。
・ 施設紹介の英文パンフレット、演目解説の英文パンフレットの作成・配布、英語による案内表示、
アナウンスなどのサービスを提供し、引き続き外国人の利用環境の充実を図った。
(文楽劇場)
・ ロビー内の案内表示類について、統一性のある分かりやすいデザイン・表現に留意したものに改めた。
・ 2 階ロビー内のモニターを利用し、NHK エンタープライズが制作した文楽の DVD のダイジェスト映像の
上映を行い、ロビーにおける顧客サービスや文楽 DVD の販売促進につなげることができた。また、演芸公
演の日は、寄席の雰囲気を作るために 1 階ロビー外で寄席囃子を流し、演芸公演を盛上げた。
(国立劇場おきなわ)
・ 出演者、稽古室利用者の要望に応え、楽屋口に屋根を設置し階段の高低差を小さくする改修工事を実
施し、楽屋口利用者が使いやすい快適な施設整備を行った。
(新国立劇場)
・ 昨年に引き続き甲州街道、青梅街道及び新宿駅周辺の歩行者用表示板等へ案内標識を掲出した。新国
立劇場は、都市計画法に定める初台淀橋街区に位置し同街区内の東京オペラシティビル㈱と共に各施設
案内誘導サインを掲出しているが、劇場等の案内誘導をより効果的に出来るよう改善した。また街区内
のバリアフリー表示標識を追加掲出した。
・ オペラ劇場ホワイエ他の木製ベンチ及び共通ロビーの木壁は、長年の利用による塗装の剥がれや傷が多
く発生し美観を損ねる状況となっていたため、計画的に補修を行っており、今年度もメインエントランス
木扉の塗装補修を実施した。
・ 2012 /2013シーズンのオープニングに際し、オペラ劇場クローク前より2階プロムナードまでレッドカー
ペットを敷設した。オペラ劇場ホワイエには、簡易組立式の小型のバナーをオペラ劇場もぎり等、状況に
応じて各所に設置し、オープニングらしい豪華で華やかな雰囲気を醸し出した。
131
・ 2012/2013シーズンの開幕公演が、オペラ「ピーター・グライムズ」
、バレエ「シルヴィア」
、演劇「リ
チャード三世」と、3部門とも英国ゆかりの作品となったことに関連して、10月のシーズンオープニング
に合わせ、英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国をテーマ
に舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル2012」を劇場を挙げて開催した。
その一環として、同フェスティバルに関連した装飾を劇場内に施した。
・ オペラ劇場のオペラ、バレエ公演に合わせ、来場者のアメニティ向上を目的として、劇場共通ロビーに
演目をイメージした大型の装飾花「ウエルカム・フラワー」を昨年度に引き続き飾った。2012/2013 シー
ズンのオープニングには草月流家元勅使河原茜氏の協力も得、その他の装飾ともあいまって、豪華で華や
かなウエルカム・フラワーとなった。また池の上部のテラス部分にテーブルとベンチを仮設し、テラス・
カフェとしての利用に供し、好評を博した。
・ オペラ劇場へのアクセスはオペラ劇場クローク前の階段等を利用してきたが、バリアフリー対策や観
劇者の利便性を向上させるため、エスカレーターを新たに設置した。
2.観客サービスの充実
①売店、レストランにおけるサービスの向上
(本館)
・ 飲料売店周辺に立食テーブルを配置しお客様の利便性を高めた。
・ 毎月の連絡会議において売店・食堂を運営する業者と意見を交わしながら営業方法の工夫に努めた。
・ 食堂に対して、各歌舞伎の公演内容に合わせたお弁当の考案を求め、魅力的なメニューの提供に努め
た。
・ 大劇場 2 階食堂では、壁面を利用し季節に合わせた装飾を行い華やかな雰囲気の創出に努めた。
・ 文楽公演では、終演後、次の部を引き続き観劇する観客のため、2 階・3 階の食堂・喫茶を継続して
営業し対応した。
・ 公演内容に因んで、各地の観光協会等の協力により、劇場ロビー内に特設会場を設けて物産品等を販
売した。
群馬県水上物産展 10/5~10/27(10 月歌舞伎「塩原多助一代記」にちなんで)
大江戸物産展 11/3~11/26(11 月歌舞伎「浮世柄比翼稲妻」にちなんで)
京都物産展 12/2~12/25(12 月歌舞伎「鬼一法眼三略巻」にちなんで)
大相撲物産展 1/3~1/27(初春歌舞伎「夢市男達競」にちなんで)
隅田川物産展 3/5~3/26(3 月歌舞伎「隅田川花御所染」にちなんで)
・ 特別メニュー・商品類の販売、物産展の開催、掲出については、場内看板や HP で周知し、利用者の
関心が得られるよう工夫した。
・ マスコットキャラクター「くろごちゃん」のメモ帳を国立劇場オリジナルグッズとして作成した。
(能楽堂)
・ 平成 25 年度に開場 30 周年を控え、食堂のテーブル・椅子補修、ショーケース更新等を実施した。
・ 食堂は公演状況に応じ開場前及び終演後も営業を行い、また売店は、公演中は一般の来場者でも買
物ができるようにして、利用者の利便を図った。
・ 国立能楽堂収蔵の能面・能装束等をデザイン化したオリジナルグッズ(絵はがき、クリアファイル、
一筆箋、等)の販売を能楽堂内売店及び国立劇場売店・新国立劇場シアターショップで継続した。
・ 食堂、売店に関するアンケート調査を 9 月と 3 月に実施して利用者の要望等を収集し、調査結果に
ついて関係部署、食堂・売店業者間で意見交換を行って、一層のサービス向上に努めるよう指導した。
(文楽劇場)
・ 好評の「文楽の衣裳」を増刷した。
・ 食堂と意見を交わしながら一層のサービス向上に努めるよう指導した。
・ ホームページにおいて、食堂のお勧め商品を掲載して、利用者の利便性向上を図った。
(国立劇場おきなわ)
・ 自主公演や貸劇場に関する集客情報等を楽屋食堂及びカフェ・ビュッフェを運営している業者に提供
し、サービス向上に努めるよう指導した。
・ 公演によって共通ホワイエや劇場ロビー内に特設会場を設け、各地の観光協会等の協力により、演目
に因んだ物産品等を販売した。
伊江島物産展 6/9~6/10(6 月沖縄芝居公演「伊江島ハンドー小」にちなんで)
132
多良間物産展 10/14(10 月民俗芸能公演「多良間の八月踊り~塩川の芸能~」にちなんで)
宜野座物産展 2/24(2 月民俗芸能公演「沖縄本島民俗芸能祭~宜野座村~」にちなんで)
琉球伝統菓子展 3/15~3/17(3 月企画公演「新作組踊 聞得大君誕生」にちなんで)
(新国立劇場)
・ 売店について、オペラ、バレエ、演劇の公演ごとに異なる品揃えとし、主力商品を中心に広い客層に
訴えることができるよう心がけた。
・ 昨年度に引き続き、公演オリジナルグッズとして T シャツやチョコレートを製作した。定番商品とし
て安定した人気を獲得している。
・ 昨年度に引き続き行っている小劇場・中劇場の演劇公演での販売は、まだ売上高が少なく採算的には
厳しいが劇場の賑わいを演出することには貢献できた。
・ インターネット販売も推し進めたことで、プログラムや DVD などについて遠方の観客への販売を伸ば
すことができた。
・ ホワイエでのブッフェは、毎公演、彩りの異なるプレートメニューを提供し、スイーツ類も多種にわ
たっているが、更に大幅なメニュー変更を行った。2011/2012 シーズンから、オペラやバレエの夜公演
の際、休憩時間にオペラ劇場 2 階上手側ホワイエで飲み物と軽食をバイキング形式で楽しめるサービス
「パレスサロン」を開始し、好評を得ている。
②その他の観客サービスの向上
・ 一年の幕開けを寿ぎ、各館で正月のイベントを実施した。
本館:鏡開き(1 月 3 日)
、曲芸・囃子(1 月 3 日)
、獅子舞(1 月 3 日~7 日)
、櫓太鼓の実演を日本相撲
協会の協力により実施(1 月 3 日~6 日)
、手拭いまき(1 月 3 日~27 日)
。また、2 階ロビー
にて相撲関連の展示(1 月 3 日~27 日)
、ロビーには繭玉をあしらった。また、口上看板や大
凧、劇場正面には積樽を飾り、初春の晴れやかな雰囲気を演出した。
演芸場 :鏡開き(1 月 2 日)
、囃子(1 月 2 日)
、獅子舞(1 月 2 日~7 日)
、手拭いまき(1 月 2 日~7
日)
。また、階段に啓翁桜を飾り(1 月 3 日~7 日)
、ロビーには繭玉をあしらった。また、正
面入口には積樽を飾り、舞台上に松竹梅のセットを配置し(1 月 2 日~7 日)
、初春の晴れや
かな雰囲気を演出した。
能楽堂:1 月 30 日まで舞台に注連をはり、お正月の雰囲気をお楽しみいただいた。
文楽劇場:鏡開き(1 月 3 日)
、手拭いまき(1 月 3 日~10 日)
、十日戎(1 月 10 日)
(本館)
・ 国立劇場オリジナルキャラクターの着ぐるみ「くろごちゃん」を活用し、歌舞伎公演・特別イベント時
を中心に、初日や中日等にロビーにて公演案内等のチラシの配布や土産品等の紹介をしたほか、一緒に記
念写真の被写体になる等観客を和ませ好評を得た。
・ 7 月の親子のための歌舞伎教室時に、
「くろごちゃん」を解説「歌舞伎のみかた」において出演者とし
て舞台上に登場させ、親しみやすい国立劇場をアピールした。また、劇場ロビーに立入晴子氏デザイン
による粂寺弾正のイラストを使った撮影コーナーや、くろごちゃんのイラストを使った歓迎看板を設置
したほか、来場者を対象に「かぶきクイズ」を実施し、回答者全員に参加賞(粂寺弾正×くろごちゃん
イラストシール)を配布(回答者 13 公演で約 7,500 名)するなど観客サービスに努めた。
・ 歌舞伎・文楽において託児サービスを行い、観客の利便を図った。また声明・邦楽等静寂を必要とする
短期公演でも実施した。(253 回開室、利用者数 320 名)
。
・ 休憩時にトイレが混み合うことが多いため、状況に応じて大・小劇場のトイレを相互に融通し、混雑を
軽減させる対策をとった。
・ 歌舞伎公演休憩時に、大劇場ロビーからチケット売り場のドアを開放し利用者の利便性向上とチケッ
ト販売促進を図った。
・ 観客相互が気持ちよく観劇できるよう観劇マナーの向上について協議・検討し、チラシ(和・英)
・解
説書・あぜくら会報・劇場ニュース等の印刷物や、教室公演の字幕・アナウンス・イヤホンガイド・ホー
ムページ等、様々な媒体を通じて周知に努めた。
・ ロビーに設置したご意見箱の意見を回収し、担当部署への迅速な報告によって観客サービスの向上に努
めた。
・ 国立劇場により親しんでもらうため、
「国立劇場さくらまつり」を開催した。
(平成 24 年 3 月 30 日~4
月 8 日、平成 25 年 3 月 29 日~4 月 3 日)
。
133
(国立劇場おきなわ)
・ 沖縄県の受託を受け 1~3 月の期間限で主要ホテル等と劇場間で無料巡回バスを運行させ、観客の利
便性向上を図った。
・ 楽屋食堂口エレベータ前の掲示板に、劇場内の業務に関する情報及び、劇場関係の新聞記事などを掲
示して広報に努めた。
・ 観劇上の禁止事項を場内に掲示し、注意喚起を図った。
(新国立劇場)
・ キッズルーム「ドレミ」において、0 歳から 12 歳までの児童を対象に、主催公演のうち指定日に、
託児サービスを実施した。
(実施:118 公演 83 日、利用者数 428 人)
・ 昨年度に引続き、平成 24 年度もオペラパレスにおけるオペラ・バレエ公演日の開場時に、劇場 1 階
メインエントランス中央に、インフォメーションカウンターを設置し、案内業務の強化を図ると共に、
車椅子の観客や足の不自由な観客を客席エリアに直通のエレベータで案内するサービスを実施した。
・ 新国立劇場は、身体障害者補助犬法に基づき、補助犬を伴って利用できることを周知するため、昨年
度に引き続き「ステッカー」をインフォメーションカウンターほか利用者の目につきやすい所に設置し
て周知を徹底した。
3.安全で快適な環境の整備
(本館)
・ 場内案内担当業者は継続して定期的なスキルアップ研修を行っているが、大震災を想定した訓練を
売店・食堂業者も含めて複数回実施した。
・ 職員、委託業者など全職域が参加する自衛消防訓練(地震火災総合訓練)を 11 月に実施した。
・ 劇場ロビー内へ新たな音響設備(スピーカーの増設)の導入により、より鮮明なアナウンス放送の
実現が可能になった。
(能楽堂)
・ 場内案内担当業者が避難訓練を含む研修を随時行い、
緊急時の誘導等についてスキルアップに努めた。
・ 職員、委託業者など全職域が参加する自衛消防訓練を年 2 回実施した。避難誘導、消火器の取扱い等
について実地訓練(9 月)を行い、また新しくなった非常放送設備の操作確認を兼ねて避難訓練(3 月)
を行った。
・ 職員、委託業者など全職域が参加して、火災・地震等の緊急時の対応について確認・検討する能楽堂
運営安全会議を 10 月に実施した。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では、6 月と 3 月に消防訓練を行った。6 月には観劇団体の高校生と先生方計 715 名の協力
を得、劇場関係者全員参加による大規模な避難誘導訓練を実施した。また、3 月は職員及び委託業者社
員が消防本部制作のビデオを鑑賞しビル火災について学んだあと、避難誘導訓練を実施した。
(国立劇場おきなわ)
・ 職員、委託業者など全職域が参加する自衛消防訓練を年 2 回(6 月、12 月)実施して、避難誘導、消
火器の取扱い等についての実地訓練を行った。
・ 共通ロビーから楽屋へ通じる扉にテンキーロック扉を導入し、防犯と安全性を高めた。
(新国立劇場)
・ 大規模災害時における公共施設としての社会的責任を果たすため、観劇者を含め、相当数の帰宅困
難者をカバーできる飲料水を追加備蓄した。
・ 東日本大震災を踏まえ、現状に応じた詳細なマニュアルを整備し、非常時の観客避難誘導対策を再
度確認した上で、公演本番時には常に緊張感を持った対応に努めた。
・ 職員、委託業者など全職域が参加する新国立劇場消防総合訓練を 11 月に実施した。
4.外国人利用者への対応
・ ホームページにおいて、英語での施設案内・公演案内・劇場周辺地図等を掲出し、外国人利用者の利
便の向上を図っている。
(本館)
・ 外国人観光客への情報発信・公演周知活動をさらに強化するため、英語版に引き続き、中国語版(簡
体字・繁体字)
、韓国語版のコンパクトガイド(歌舞伎・文楽の紹介リーフレット)を作成し、都内の
ツーリストインフォメーションセンター等に掲出を依頼した。
134
・ 歌舞伎公演・文楽公演では、公演解説書に英文の演目解説を併載した。
・ 歌舞伎鑑賞教室・文楽鑑賞教室・短期公演では、演目解説の英文リーフレットを作成し配布した。
・ 引き続き英語版の観客マナー及び緊急時の避難経路・チケットの購入方法等を記載したちらしを作
成し、ロビー等に設置した。
・ 場内放送において英語アナウンスを実施した。
・ 英語のイヤホンガイドを継続して実施した。
(能楽堂)
・ 施設紹介の英文パンフレット、演目解説の英文パンフレットの作成・配布、英語による案内表示、場
内アナウンスなどのサービスを提供し、引き続き外国人の利用環境の充実を図った。
・ 座席字幕装置を活用して、5 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で日本語・英語 2 チャンネル方式
で字幕表示を実施した。
・ 座席字幕装置完備を明記した英文チラシを作成し、ホテル・観光情報センター・空港等に配布して外
国人客への周知・集客に努めた。
(文楽劇場)
・ 文楽を紹介するリーフレットを英語・中国語(簡体字)
・韓国語で配布し、外国からの観客に文楽の
理解を深めてもらうために活用した。
・ 関西国際空港の関西観光情報センター(到着ロビー内)に英語・中国語(簡体字)
・韓国語の文楽紹
介パンフレットを置き、デジタルサイネージに毎公演のポスターを掲出した。
・ 短い時間で文楽を楽しめる「幕見席」について、ホームページに利用案内を掲載し、近隣ホテルのコ
ンシェルジュ等へ説明を行うなど、外国人観光客の勧誘とサービス向上に努めた。
・ 文楽公演・文楽鑑賞教室では、英文解説リーフレットを作成・配布した。文楽公演では英語に加え中
国語(簡体字)
・韓国語の解説リーフレットを作成・配布するとともに、英語版イヤホンガイドなどの
サービスを提供した。
・ 英語での対応ができる劇場案内スタッフを配置して、サービスの向上を図った。
・ 外国人利用者に対応した案内表示の整備をすすめ、英語による場内アナウンスを実施した。
(新国立劇場)
・ ホームページに英語での施設案内、公演案内、劇場周辺地図等を掲出した。
・ 公演プログラムに英文による物語解説を掲載した(一部除く)
。
・ 館内の劇場等への行き先を示す案内表示に、英文を併記した。
・ 英語での対応ができる劇場案内スタッフを配置した。
・ 劇場案内パンフレットの英語版を作成し、
劇場の活動に対する理解を深めてもらうために活用した。
・ シーズンガイドの英語版を作成し、広く公演概要を周知した。
・ 火災等の非常放送は、英語放送を入れるようにしており、秋の自衛消防総合訓練でも英語放送を入
れて訓練を実施し、非常時の対応に備えた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 大・小劇場ロビー内のソファー・床机・テーブルの配置を検証し、環境整備を常に心がけ、お客様に対
してロビー周りの快適性を高めることができた。
・ 避難訓練を徹底し、地震等緊急時に備えた。
・ 国立劇場おきなわでは、出演者、稽古室利用者の要望に応え、楽屋口に屋根を設置し階段の高低差を小
さくする改修工事を実施し、楽屋口利用者に使いやすく快適な施設環境を提供することができた。
・ 新国立劇場では、エスカレーターを設置したことにより、高齢者などから好評を得た。
・ 新国立劇場では、シーズンオープニング装飾はウエルカム・フラワーとも相俟って、オープニングを迎
えるにふさわしい空間を構成した。また、ロンドンオリンピック・パラリンピック開催年、また、エリザ
ベス女王在位 60 周年にあって、英国及びその文化が世界的に注目を浴びるなか、「新国立劇場・英国舞台
芸術フェスティバル 2012」の開催によって、各方面から注目を集め、開場 15 周年シーズン開幕を良好に盛
り上げることができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 地震等緊急時の安全確保のため、さらに施設・備品類について見直しを図る。
135
・ 新国立劇場ではエスカレーターの設置等により大幅な利便性向上を実現したが、この先も高齢者の来場
の増加が予想されることから、エントランス内等への椅子の増設など、お年寄りにやさしい劇場となるよう
引き続き劇場施設の改善を検討する必要がある。
・ 英語圏以外の方を含めた外国人の観客に対し、周知、勧誘、利便の向上を図るべく、引き続き検討する
必要がある。
<2>インターネット・チケット販売等多様な販売方法の提供
・ インターネット・チケット販売システムにおいて、利用者が直接座席を選択できる機能を導入、順次サー
ビス対象の公演を拡大し、平成 25 年度からは全公演において座席選択サービスを提供する。
・ インターネット販売においてスマートフォンでの販売を行うためシステムの整備を行った。25 年 4 月 23
日からサービスを開始した。
・ クレジットカード決済時のセキュリティを強化するために、24 年 4 月 13 日より購入手続きの際のセキュ
リティコードの入力及び NTJ メンバー登録を必須化した。
・ 親子を対象とする公演のインターネット販売では、本館・演芸場・能楽堂の各公演は、会員及び一般発売
に先行して発売した。文楽劇場の公演は一般発売に先行して会員発売日と同日に発売した。
・ チケットセンターホームページに各館の親子企画を紹介するサイトを設置し、さらに、振興会トップペー
ジのバナーから誘導した。
1)「親子で楽しむ歌舞伎教室」
(7 月 15 日(日)・16 日(月・祝)
・20 日(金)~24 日(火))
インターネット販売は 5 月 26 日(土)に開始、電話予約は翌 27 日(日)に開始
予約結果:インターネット予約 2,464 件(8,026 枚)
、電話予約 1,350 件(4,241 枚)
2) 「親子で楽しむ日本の音」
(7 月 21 日(土))
インターネット・電話予約販売は共に 4 月 28 日(土)に開始
予約結果:インターネット予約 11 件(31 枚)
、電話予約 11 件(29 枚)
3)
「親子で楽しむ演芸会」
(7 月 28 日(土))
インターネット販売は 5 月 28 日(月)に開始、電話予約は翌 29 日(火)に開始
予約結果 :インターネット予約 50 件(149 枚)
、電話予約 32 件(115 枚)
4) 「夏休み親子のための能の会」
(8 月 4 日(土))及び「夏休み親子のための狂言の会」
(8 月 11 日(土))
インターネット販売は 5 月 28 日(月)に開始、電話予約は翌 29 日(火)に開始
予約結果:
「夏休み親子のための能の会」インターネット予約 76 件(222 枚)
、電話予約 23 件(61 枚)
、
「夏
休み親子のための狂言の会」インターネット予約 114 件(339 枚)
、電話予約 52 件(154 枚)
5)「文楽親子劇場」
(7 月 21 日(土)~8 月 7 日(火)
)
インターネット販売は 6 月 2 日(土)に開始、電話予約は翌 3 日(日)に開始
予約結果:インターネット予約 11 件(34 枚)
、電話予約 14 件(41 枚)
・ 国立劇場おきなわでは、24 年から自主公演のインターネット・チケット販売サービスを行っており、遠
方のチケット購入希望者へのサービス向上に努めている。また、チケット購入時の利便性向上のため、コン
ビニエンスストア等でチケット代金の支払いができるサービスも引き続き行っている。
・ 新国立劇場のインターネット・チケット販売では、オペラ劇場公演に続いて 24 年度には中劇場公演でも
利用者が直接希望の座席を選択できる機能を導入した。購入者は、①自動選択、②ブロック内自動選択、③
座席任意選択のいずれかの方法を選んで購入できる。
《自己点検評価》
○良かった点・特色ある点
・ インターネット・チケット販売システムにおける座席選択機能の導入について、本館は 4 月販売開始日
から、演芸場は 6 月販売開始日から全公演で座席選択を可能にした。また、平成 25 年度から能楽堂・文楽
劇場の公演においても座席選択サービスを適用することとなり、インターネット販売の利用促進を図るこ
とができた。
・ インターネット販売において、スマートフォンを利用してチケット購入ができる機能を追加することで
チケット購入が更に容易になり、観客利便性の向上を図ることができた。
・ 振興会の「親子企画」として、販売に先立ちインターネット販売システムに専用ページを設け、国立劇
場・演芸場・能楽堂・文楽劇場の 4 館が合同でインターネットを活用した販売キャンペーンを行ったこと
136
により、多くの親子がこの企画を利用し、
「親子を対象とした伝統芸能の公開」という振興会の事業を推
進することができた。
・ あぜくら会員のおいても、インターネット購入者が電話での取得を上回る状況になってきており、イン
ターネット販売は、会員のチケット購入拡大のチャンスに繋がってきている。
<3>解説書の作成、字幕表示・音声同時解説の活用、公演説明会・施設見学等の実施
1.解説書の作成
・ 本館大劇場及び小劇場でのすべての自主公演について公演解説書(プログラム)を作成した。
・ 演芸場では、毎月「国立演芸場ガイド」を作成し、全自主公演の出演者・演目情報を掲載した。
・ 能楽堂では、公演内容等の理解を促進するため公演解説書(プログラム)
「国立能楽堂」(月刊・年 12 回)
を作成し、全自主公演の解説を施した。また、公演内容に応じて、
「能楽鑑賞教室」
「夏休み親子で楽しむ能
の会」
「夏休み親子で楽しむ狂言の会」ではイラスト入りの分かりやすいパンフレットを作成し無料配布し
た。4 月特別企画公演の復曲能「阿古屋松」上演に際しては、世阿弥自筆本の写真等を掲載したパンフレッ
トを作成し無料配布した。
・ 文楽劇場では、上方演芸特選会を除くすべての自主公演について公演解説書(プログラム)を作成した。
6 月文楽鑑賞教室では、演目の解説や登場人物紹介等をイラスト化し、親しみやすくなるように努めた。
・ 国立劇場おきなわでは、ステージガイド「華風」
(月刊・年 12 回)を作成し、全自主公演の解説をはじ
め、新作公演では公演制作レポートや対談を掲載した。また、本館と共催で上演した新作組踊公演では、
「華
風」と本館小劇場のプログラムをそれぞれの劇場で販売し、共に好評であった。
・ 新国立劇場では、すべての自主公演について公演解説書(プログラム)を作成した。
・ また、新国立劇場では、既存の日本語訳が未出版のオペラ「ピーター・グライムズ」について、リブレッ
ト対訳を上演に合わせて新たに作成した。
2.字幕表示・音声同時解説の活用
(1) 字幕表示の実施
ジャンル
実施公演数
内
歌舞伎公演(鑑賞教室含む)
1 公演
6 月鑑賞教室、
文楽公演(鑑賞教室含む)
10 公演
全公演
訳
5 月舞踊公演、8 月舞踊公演、11 月舞踊公演、3 月舞踊公演
舞踊・邦楽・声明・民俗芸能・
特別企画公演
6 月邦楽公演、7 月邦楽公演、10 月邦楽公演(2 公演)
、1 月邦楽
公演
16 公演
9 月雅楽公演
11 月声明公演
6 月民俗芸能公演、3 月琉球芸能公演
4 月舞踊・邦楽公演、6 月特別企画公演、
9 月特別企画公演(文楽劇場)
能楽公演(鑑賞教室含む)
50 公演
10 月企画公演(蝋燭能)を除く全公演
組踊等沖縄伝統芸能公演
28 公演
国立劇場寄席及び台風による中止公演を除く全公演
オペラ公演
11 公演
オペラ 10 公演、高校生のためのオペラ鑑賞教室 1 公演
(2) イヤホンガイドサービスの実施
・ 歌舞伎・文楽の全公演で、日本語と英語によるイヤホンガイドサービスを実施した(文楽鑑賞教室は
日本語版のみ)
。
・ イヤホンガイドの放送では、次回公演の案内を加えて宣伝に努めた。
・ 7 月歌舞伎鑑賞教室において、聴覚障害者向けに小型モニターを利用した字幕表示の提供を行った。
【特記事項】
・ 能楽堂では、座席字幕装置を活用して、5 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で日本語(詞章)
・英語
の 2 チャンネル方式で字幕表示を実施した。
なお、貸劇場公演においても座席字幕装置の利用が能楽協会など 4 件あった。
3.公演説明会・施設見学等の実施
各館において、鑑賞団体等に対する公演説明会、施設見学の受入れ、バックステージツアーを実施し、上
137
演演目への理解や劇場施設への親近感の醸成に努めた。
(1) 公演説明会の実施
区 分
本館・演芸場
件 数
参加人数
153 件
6,671 人
9件
283 人
文楽劇場
93 件
3,444 人
新国立劇場
13 件
4,046 人
268 件
14,444 人
能楽堂
合 計
(2) 施設見学の実施
区 分
件 数
参加人数
本館・演芸場
9件
200 人
能楽堂
9件
87 人
文楽劇場
7件
97 人
国立劇場おきなわ
36 件
960 人
新国立劇場
16 件
333 人
77 件
1,677 人
合 計
(3)バックステージツアーの実施
区 分
本館・演芸場
能楽堂
文楽劇場
国立劇場おきなわ
新国立劇場
合 計
件 数
参加人数
73 件
2,961 人
5件
114 人
31 件
722 人
2件
135 人
17 件
517 人
128 件
4,449 人
【特記事項】
・ 旅行代理店営業担当者向けに施設見学・公演鑑賞会を実施した。
・ 国立劇場おきなわのバックステージツアーは、8 月 3 日~5 日に各日 2 回行う予定であったが、8 月 5 日
は台風接近のために中止した。
・ 上記施設見学のほか、新国立劇場では 10 件 91 名の外国からの見学者受入れを行った。
(4) 劇場外での伝統芸能講座の実施
① 平成 22 年度より開催している社会人向け講座シリーズ「国立劇場 in 丸の内」の第 7 回~第 9 回を実
施した(会場:marunouchi cafe SEEK 旧称 丸の内カフェ)
。第 7 回、第 8 回では能楽を、第 9 回では
文楽を取り上げた。
・ 「国立劇場 in 丸の内 vol.7 日本の伝統芸能を知る 能の世界 その 1~囃子編~」
日時:12 月 12 日(水)19:00~20:30
講師:田邊恭資(能楽囃子 小鼓方大倉流)
、大倉慶乃助(能楽囃子 大鼓方大倉流)
モデレーター:猪又宏治 (国立能楽堂部企 画制作課長)
参加者数:40 名
・ 「国立劇場 in 丸の内 vol.8 日本の伝統芸能を知る 能の世界 その 2~面・装束編~」
日時:平成 25 年 1 月 21 日(月) 19:00~20:30
講師:川口晃平(能楽 観世流シテ方)
モデレーター:猪又宏治 (国立能楽堂部企画制作課長)
参加者数:41 名
・ 「国立劇場 in 丸の内 vol.9 日本の伝統芸能を知る 文楽の世界~人形~」
日時:平成 25 年 2 月 8 日(金) 19:00~20:30
講師:吉田幸助(文楽人形遣い)
138
モデレーター:廣瀬哲也 (国立劇場芸能部第二制作課長)
参加者数:56 名
② 渋谷区立恵比寿社会教育館からの依頼により、渋谷区内在住・在勤・在学の高校生以上を対象とした同
館主催の連続講座「初心者のための能・狂言入門」
(全 7 回/定員 50 名/受講者 48 名)の実施に協力した。
・ 第 1 回『公演の鑑賞の前に』6 月 8 日(金)18:30~20:30 会場: 渋谷区立恵比寿社会教育館
講師:猪又宏治(国立能楽堂企画制作課長)
・ 第 2 回『公演鑑賞』6 月 15 日(金)18:30~20:30 会場:国立能楽堂
国立能楽堂定例公演 狂言「簸屑」能「敦盛」
・ 第 3 回『狂言の魅力』6 月 20 日(木)18:30~21:00 会場: 渋谷区立恵比寿社会教育館
講師:大貫誠之(国立能楽堂企画制作課)
・ 第 4 回『体験 狂言の所作』6 月 27 日(水)18:30~20:30 会場:国立能楽堂研修能舞台
講師:山本則重(狂言方大藏流)
、山本則秀(狂言方大藏流)
・ 第 5 回『能の魅力』7 月 4 日(水)18:30~20:30 会場: 渋谷区立恵比寿社会教育館
講師:吉成大四郎(国立能楽堂企画制作課)
・ 第 6 回『体験 能の謡』7 月 11 日(水)18:30~20:30 会場:国立能楽堂研修能舞台
講師:川口晃平(シテ方観世流)
・ 第 7 回『体験 お囃子』7 月 25 日(水)18:30~20:30 会場:国立能楽堂研修能舞台
講師:栗林祐輔(森田流笛方)
、森貴史(幸流小鼓方)
、佃良太郎(高安流大鼓方)
、大川典良(金
春流太鼓方)
(5) ボランティアの活用
文楽劇場資料展示室において、平成 13 年発足のボランティア団体「文楽応援団」(24 年度団員数 55 人)が、
文楽公演期間中、文楽全般についての解説を行った。24 年度は、1 日平均 12 人の解説員が、414 人の観客に
対し解説を行った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 公演説明会、施設見学等は、普段できない体験ができる機会として参加者に好評であった。また、参加
者の舞台に対する興味・関心を高め、団体観劇をはじめとする集客に寄与する側面も大きいことから、今
後とも積極的に実施し、来場者の増加と普及に努めていきたい。
・ 能楽堂では座席字幕装置を活用して、10 月企画公演(蝋燭能)を除く 50 公演で日本語(詞章)
・英語の 2
チャンネル方式で字幕表示を実施した。
「能楽鑑賞教室」では中・高生向けの解説を追加し、また「夏休み
親子で楽しむ能の会」
「夏休み親子で楽しむ狂言の会」では子どもにも分かり易い解説を追加して 3 チャン
ネル方式とし、観客層に合わせたきめ細かい字幕表示を実施し好評を得た。
・ 能楽堂が実施した劇場外での伝統芸能講座については、能楽になじみの薄い社会人に対して積極的に働き
かける普及目的と共に、講座内容に能楽堂の公演鑑賞を組み入れ、団体客の誘致を図っている。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 新国立劇場では、外国人来場者のため、外国語の字幕の対応について、引き続き検討を行う必要がある。
<4>意見・要望等の把握と対応
1.意見・要望等への対応体制
・ 各劇場ロビーに「ご意見箱」を設置
ご意見箱 316 件(ご意見箱 本館 114 件、演芸場 23 件、能楽堂 35 件、文楽劇場 129 件、国立劇場お
きなわ 15 件)
・ ホームページに「ご意見欄」を設置
ホームページの「ご意見欄」323 件(振興会ホームページ 116 件、国立劇場おきなわホームページ 23
件、新国立劇場ホームページ 184 件)
2.意見・要望等への対応状況
・ ホームページや劇場内ご意見箱に寄せられた要望・苦情に対しては、構築した連絡体制に添って関係部署
間で事実関係の調査検討及び協議を行い、迅速に対応し、可能な限り回答を行うほか、感想・感謝等のご意
見に対しても、メール・手紙の発送等により利用者とのコミュニケーションの促進を図った。回答内容につ
いて役員へ報告の上、全職員へ館内 LAN による周知を行い、問題意識の共有を図るとともに、事業等への反
139
映とサービスの向上に努めた。
(新国立劇場)
・ ほぼ全演目でアンケート調査日を設定し、入場時にキャスト表と共にアンケート用紙を希望者に配布、
終演後に粗品と引換に回収する形で実施した。アンケート調査日以外においても、劇場各所にアンケート
用紙を設置し、自由にご意見を発言していただける態勢を整えている。
・ アンケート結果については、公演制作の参考にすべく関係部署間で内容を共有した。また、来場者アン
ケートに記載されたお客様の声のうち、掲載を許可されたコメントについて、ホームページにアップした。
・ 頂いた意見・要望については必要な対応を行い、提供するサービスの質の向上に努めた。劇場とボック
スオフィスにて聴取したご意見については、委託業者と共に行う月例のミーティングにて、対応を行った。
アンケートやホームページのご意見箱等を通じて寄せられたご意見については、即応を要するご意見に優
先的に対応する一方、それ以外については傾向別にとりまとめて検証の上、対応した。
3.モニターに対する意見の聴取
あぜくら会会員によるモニター調査は、9 月 12 日(水)文楽公演、10 月 12 日(金)演芸場中席公演、11 月 12
日(月)歌舞伎公演を観劇日に定め、募集は会報「あぜくら」に掲載しそれぞれ 20 名の応募者を募った。当選
者の選考は、あぜくら会に対しての意見や年齢、性別、職業の有無等を考慮しながら決定した。調査方法は、
モニター当選者に事前アンケートを送付し回答を返信してもらい、観劇当日にはアンケートで得た意見を念
頭に、グループインタビューを実施した。
当選者の内訳は、9 月 12 日(水)文楽公演 20 名(募集 20 名)
、10 月 12 日(金)9 名(募集 20 名)
、11 月
12 日(月)20 名(募集 20 名)で行った。会員ならではの視点からの意見も多くみられた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ ホームページや劇場内ご意見箱に寄せられた意見・要望等については、連絡体制を更に充実させ、該当部
課の対応期限を明示し迅速な返答送付に努めた。館内 LAN による情報共有の継続により、職員間において苦
情対応等の相互検証が進み、職員の観客サービスに対する意識を高めることができた。また、意見・要望等
の内容を検討し、劇場内設備やホームページに掲載する情報などの改善に反映させた。
・ 今回のあぜくら会会員に対するモニター結果で、
「あぜくら会事務局」「チケット売場」「チケットセンター」
「場内案内係」等の対応に関しては、いずれも非常に好意的な評価を得ることが出来た。また、会報につい
ては「公演を企画した理由がよくわかる、チケット購入のスケジュールが立てられる」等、会報の利用度の
高さを改めて実感した。会員特典の催物については参加経験者も多く、
「優越感に浸れる、直接生の声や意見
を聴ける」等参加してよかったとの感想が多かった。会報、催物等については今回いただいた意見を基に、
今後もより充実した内容と企画に努めて行く。
○ 見直し又は改善を要する点
・ あぜくら会会員に対するモニター結果において、会員になるための大きな理由の一つ「会員の先行申込み」
によるチケットの購入に関しては、電話、インターネットともに、半数以下の方が希望どおりにチケットの購
入が出来ていないという結果であった。チケットが購入出来ない要因は、電話、インターネットとも“繋がら
ない”点が最大のポイントであるが、売出しと同時に全ての人が満足ゆける対応をするということは難しく、
永遠の課題として今後も方策を考えて行くことに努めたい。
140
広報・営業活動の充実:総表
2-(4) 広報・営業活動の充実
《中期計画の概要》
(6) 広報・営業活動の充実
より多くの人が幅広い分野の公演を鑑賞することを目標として、以下の取組みにより一層効果的な広報・
営業活動を展開する。
ア 公演内容に応じた効果的な宣伝活動を実施する。また、伝統芸能、現代舞台芸術についての国民の理解
促進、情報入手等に寄与し、振興会の事業について周知を図るため、広報誌を定期的に発行するとともに、
英語を含むホームページ・メールマガジン等による情報提供を充実する。ホームページについては中期目
標期間のアクセス件数を前中期目標期間の実績以上とする。
イ 年間の公演を通して購入できるシーズンシート、セット券等の拡充など鑑賞者の需要を的確にとらえた
営業活動を展開する。
ウ 会員組織において、会報による定期的な情報提供、入場券販売サービス、会員向け催事の開催等により
観劇機会の増加を図る。また、会員に対しアンケート調査を適宜実施し、サービスの向上を図る。なお、
会員数については、前中期目標期間の実績以上とする。
《年度計画》
(6) 広報・営業活動の充実
ア 効果的な広報・営業活動の展開
a. ホームページにおける公演情報、行事情報等の早期掲載及び内容の充実に努める。またアクセス動向
等を分析して利用状況を把握し、より効果的なホームページ運用に努める。メールマガジンの記事内容
等を見直し、読者数増や集客効果の向上を図る。
・ 日本芸術文化振興会ホームページの年間アクセス目標:1,950,000 件
・ 国立劇場おきなわホームページの年間アクセス目標:206,000 件
・ 新国立劇場ホームページの年間アクセス目標:1,900,000 件
b. 次のとおり広報誌を定期的に発行する。
・ 日本芸術文化振興会ニュース(毎月発行)
・ 国立劇場おきなわ情報誌「華風」
(毎月発行)
・ 新国立劇場情報誌「ジ・アトレ」
(毎月発行)
c. 公演内容に応じた効果的な宣伝活動を実施する。
d. シーズンシートやセット券等による販売を推進する。
e. 学校・旅行代理店・ホテル・独立行政法人国際観光振興機構等の担当者に向けた劇場説明会を実施す
る等連携を強化して、団体観劇の促進と外国からの旅行者を含めた鑑賞者の増加を図る。団体観劇の
メールによる問い合わせを随時可能とするなど、新規顧客に対する営業を強化し、また、全職員が集
客に対する意識を高め、知人や関係するコミュニティー等に対して積極的に団体観劇を勧誘する「お
すすめキャンペーン」を引き続き実施する。
イ 会員組織の会員に対し、会報による情報提供、会員先行発売及び割引発売、催し物を実施するとともに、
引き続き会員を募集し、観劇機会の一層の増加を図る。また、アンケート調査を適宜実施し、回答内容に
ついて検討の上、会員サービスの一層の充実を図る。
a. あぜくら会(本館・演芸場・能楽堂)
・ 会報「あぜくら」
(毎月発行)
・ 会員向け催事:年 6 回程度
・ 目標会員数:17,800 人
b. 国立文楽劇場友の会
・ 「国立文楽劇場友の会会報」
(年 6 回発行)
・ 会員向け催事:年 6 回程度
・ 目標会員数:7,500 人
c. 国立劇場おきなわ友の会
141
・ 「国立劇場おきなわ友の会会報」
(年 4 回発行)
・ 会員向け催事:年 3 回程度
・ 目標会員数:1,550 人
d. クラブ・ジ・アトレ(新国立劇場)
・ 会報「ジ・アトレ」
(毎月発行)
・ 会員向け催事:年 1 回程度
・ 目標会員数:9,600人
《実
績》
1.効果的な広報・営業活動の展開
(1) ホームページにおける情報の内容の充実、メールマガジンの配信
(国立劇場)
・ ホームページの運用を効率的に実施するためにページ作成、アクセス分析などの運用支援及びサイ
トの保守業務を一体として業者に委託した。
・ 日本芸術文化振興会ホームページの年間アクセス件数:2,306,557 件(目標:1,950,000 件)
(内、47,945 件が携帯電話からのアクセス)
・ 外国人利用者の便宜向上のため、英語版ホームページの入力業務体制を整備し、情報入力機能の活
用により公演情報等を適切に掲載した。
・ 能楽堂の公演情報として、平成 25 年 1 月に 25 年度の全自主公演の番組を掲載し、団体観劇の受付
を開始して、集客を図った。
・ メールマガジン登録者数:36,886 人(25 年 3 月末)
・ アクセス分析ソフトを導入し、随時サイトの状況を確認した。
(国立劇場おきなわ)
・ ホームページの年間アクセス件数:259,376 件/目標 206,000 件
・ メールマガジン登録件数:533 人(25 年 3 月末)
(新国立劇場)
・ ホームページの年間アクセス件数:3,578,251 件(目標 1,900,000 件)
・ メールマガジン登録件数:9,323 人(25 年 3 月末)
(2) 広報誌の発行
一般向け広報誌として、日本芸術文化振興会ニュース、国立劇場おきなわ情報誌「華風」
、新国立劇場情
報誌「ジ・アトレ」を毎月発行したほか、会員組織の会員に対し会報による情報提供を行った。
(3) 公演内容に応じた効果的な宣伝・営業活動
・ 各公演ともマスコミ各社への記者会見及び取材依頼、テレビ出演、ポスター、チラシ、インターネッ
ト、あぜくら会報、振興会ニュース等により、公演情報の周知範囲拡大を図り、一般の集客に努めた。
・ 歌舞伎公演においては、特設サイトや銀座ホットビジョンの広告など、より多くの人目に触れるよ
う努めた。11 月歌舞伎公演の広告は第 69 回読売映画・演劇広告賞最優秀賞を受賞した。
・ 10 月歌舞伎公演「塩原多助一代記」では、ゆかりの地、群馬県みなかみ町に対しての宣伝、営業活
動を行った結果 6 件 290 枚の実績を得た。
・ 「親子で楽しむ歌舞伎教室」において、24 年度から埼玉県教育委員会の協力により、学校を通じて
県内の小学校高学年及び中学生に公演チラシを配布した結果、
「親子で楽しむ歌舞伎教室」は全日程ほ
ぼ売切れとなった。
(能楽堂)
・ チラシ、ポスター、ホームページ、広報誌等による通常の広報とともに、公演によっては企画性を
周知するため、特別チラシや特別パンフレットを作成するほか、ホームページにトピックス等を掲載
した。
・ 12 月 19 日(水)には 25 年度の演目決定をうけて演目、30 周年の企画発表記者会見を実施した。
・ 25 年 4 月特別企画公演・新作能「世阿弥」の上演に向けて、特別ポスター、特別チラシを作成・配
布したほか、1 月 23 日(水)京都観世会館能舞台において試演会及び制作発表を開催した。
(文楽劇場)
・ 「文楽のつどい」の開催や、演目ゆかりの地キャンペーンを積極的に行い、マスコミへの情報提供
142
や文楽技芸員の積極的なテレビ・ラジオ出演、視聴者プレゼントによる公演紹介等、多様な宣伝活動
を展開した。
(国立劇場おきなわ)
・ 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等における広告及び県内自治体、学校等へのチラシ配布、ホームペー
ジでの告知を継続的に行いながら、沖縄県庁や那覇市内デパートでのポスター展等により幅広い広報
宣伝を行った。
・ 修学旅行でおきなわに来る県外の学校に組踊観劇を計画に組み込んでもらうよう、
沖縄コンベンショ
ンビューローを経由して組踊鑑賞教室の紹介 DVD を配布した。また、沖縄県内の学校等にも配布した。
(新国立劇場)
・ 新国立劇場ではチラシ・ポスター、ホームページ等による通常の広報・営業活動に加え、公演内容
に応じ特設サイトの設置や国立劇場でのチケット販促キャンペーン等を行った。
・ インターネットで現代舞台芸術に関するキーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示
される「検索キーワード連動型広告」という新しいアプローチをとり、より精密な営業活動を行った。
(4) シーズンシートやセット券等の販売
・ 歌舞伎公演の各三日目の入場券をセットにした「三日目の会」の販売を行った。
(10 月~1 月の 4
公演分 2,204 枚)
・ 昼夜セット割引や通し割引を公演形態に合わせて実施した。歌舞伎 4 公演特別セット券の販売を限
定ステージで行った(10 月~1 月の 4 公演分 148 枚)
。また、短期公演でも内容の異なる 2 回公演の場
合は、同時に購入すると割引となるセット割引を行った(8 月舞踊 22 枚、11 月舞踊 58 枚、3 月舞踊 8
枚、11 月声明 125 枚、6 月民俗芸能 188 枚)
。
・ 親子を対象とする公演において、親子セットの割引料金を設定して好評を得た。
・ 文楽劇場では、一演目だけを鑑賞する幕見席の販売を引き続き行い、好評を得た。
・ 新国立劇場では、オペラ、バレエ、現代舞踊の 2012/2013 シーズンセット券の販売を行った。演劇
においても、
「海外戯曲 春から夏へ」
(
「負傷者 16 人」
、
「サロメ」
、
「温室」の 3 公演)
、
「それぞれの魅
力―秋から冬へ―」
(
「リチャード三世」
、
「るつぼ」
、
「音のいない世界で」3 公演)と題して、芸術監督
が企画するテーマに沿った演目をセットで組み合わせた。特別割引通し券として販売することで、作
品へのより深い興味と理解を観客に提案でき、売上向上につながった。
(5) 団体鑑賞の促進、外国からの旅行者を含めた鑑賞者の増加、おすすめキャンペーンの実施
・ 全役職員が個々に知人や関連コミュニティー等に対して積極的に観劇を勧誘する「おすすめキャン
ペーン」を行い、326 件 2,777 人の観劇があった。特に 3 月歌舞伎公演において一層の呼びかけを行っ
たことで、当該公演だけで 93 件 1,260 人の観劇があった。
・ 外部の旅行代理店(JTB)が発信する外国人旅行者向けのホームページにて、国立劇場歌舞伎公演
の告知及び、チケットのインターネット受付をし、年間で合計 90 枚の販売実績となった。
・ 新国立劇場では、演目や日程などの状況に応じて、団体観客に重点的な営業を行うことにより、観
客層を広げることが出来た。
2.会員組織による観劇機会の増加
(本館)
・ あぜくら会会員数 17,629 人
・ 振興会ホームページ上に会員向けページを公開し、会報で対応できない最新の公演情報や会員特典の催
物のリポート等を掲載した。
・ 主催公演に関連して、あぜくら会員を対象にした「あぜくらの集い」を 4 回開催した。
・ あぜくら会では、会員サービスとして行っている施策の評価等を把握し、今後の改善の参考として行く
ために、会員を対象にしたモニター調査を実施した。当選者に事前アンケートした資料を基に、9 月 12
日(水)文楽公演、10 月 12 日(金)演芸場中席公演、11 月 12 日(月)歌舞伎公演を観劇してもらうとともに、
グループインタビューを実施した。
(文楽劇場)
・ 国立文楽劇場友の会会員数 7,651 人
・ 主催公演に関連して、会員を対象にした「文楽のつどい」を 4 回開催した。
・ 文楽劇場では、
「友の会入会キャンペーン」を継続して実施したほか、友の会会員向けに年間公演の観
劇ラリーを実施し、会員の鑑賞機会の拡大と友の会の一般への周知を図った。
143
・ 国立文楽劇場友の会では、従来からの公演情報に加え、他機関実施の文楽催事などの情報を提供し、文
楽の普及に努めた。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわ会員数 2,193 人
・ 主催公演に関連して、会員を対象にした催事を 3 回開催した。
(新国立劇場)
・ クラブ・ジ・アトレ会員数 9,366 人
・ 10%割引の会員優先販売(郵送申込と電話、窓口およびインターネット申込の 2 つの期間)を会員サー
ビスとして実施した。一般発売後は 5%割引を実施した。
・ 会員がクラブ・ジ・アトレのサービスや手続きについて、詳細を容易に把握するための総合的な情報提
供の場として「チケットとクラブ・ジ・アトレWebサイト」を運営した。また、会員限定で、Webサイト上
で会報誌を読むことのできる仕組みを新たに導入した。
・ ポイントアップサービスとして、購入実績に応じてポイントを付与し、点数に応じて、商品やサービス
を提供した。
・ セット券販売に伴う入会キャンペーン、三井住友カードとの提携による入会促進キャンペーン(10~1
月実施、抽選で計140名のゲネプロ招待他)、インターネット入会スタートキャンペーン(2月~3月)を
実施した。
【特記事項】
・ あぜくら会の催物「あぜくらの集い・夕べ」において、講演に関連する読み物をプログラムとして配
布するように努めている。
・ あぜくら会が行っている催物「あぜくらの集い・夕べ」の内容を、公演の事前学習形式で行うように
している。会員の公演に対する専門知識や興味を高めることで、観劇機会の拡大につながるように努め
た。
《数値目標の達成状況》
【ホームページへのアクセス状況】
日本芸術文化振興会ホームページの年間アクセス件数:2,306,557 件/目標 1,950,000 件(達成度 118.3%)
国立劇場おきなわホームページの年間アクセス件数:259,376 件/目標 206,000 件(達成度 125.9%)
新国立劇場ホームページの年間アクセス件数:3,578,251 件/目標 1,900,000 件(達成度 188.3%)
【会員数】
あぜくら会:17,629人/目標17,800人(達成度99.0%)
国立文楽劇場友の会:7,651 人/目標 7,500 人(達成度 102.0%)
国立劇場おきなわ友の会:2,193 人/目標 1,550 人(達成度 141.5%)
クラブ・ジ・アトレ:9,366 人/目標 9,600 人(達成度 97.6%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ あぜくら会では、催し物に参加できなかった会員のために、振興会ホームページ上の会員向けページに
催し物リポートを掲載しているが、パソコンを持っていない会員のために、会報にもリポートを掲載する
ように努めた。
・ 10 月歌舞伎公演は「塩原多助一代記」は落語が元になっていることから、ジャンルを超えた宣伝の一環
として、演芸家の立場からの作品解説を行ってもらうとともに、
「塩原多助一代記」の落語・講談を聴いて
いただき、この作品の雰囲気を味わってもらう講演を実施した。
・ 催し物参加者から希望があった、講演当日の読み物(パンフレット)を毎回作成するよう勉めた。
・ 「文楽のつどい」の開催や、演目ゆかりの地キャンペーンを積極的に行った。また、年間公演の観劇ラリー
を実施し、好評を博した。
・ 国立劇場おきなわでは、特別企画公演「聞得大君誕生」の効果により、大幅におきなわ友の会の会員数
が増えた(22 年度 1,445 人、23 年度 1,657 人、24 年度 2,193 人)
。
・ 新国立劇場の会報誌「ジ・アトレ」は、公演情報の早期の掲載を行い、また、公演情報だけでなく、イベ
ント報告、新国立劇場バレエ団ダンサーの紹介(毎月)など、多彩な劇場の取り組みも伝えることができた。
144
○ 見直し又は改善を要する点
・ ホームページのアクセス分析を充実し、アクセス増や、ホームページの改善に一層努める。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 事業内容がさらに広く理解されるよう、広報活動には今後とも力を入れることが望ましい。
(①)
・ 振興会ホームページへのアクセス件数は昨年度に比べて減少している。(①)
・ 国内への発信だけでなく、海外からの観光客に向けて積極的に広報活動を行うことを期待する。(②)
(振興会評価委員会)
・ (新国立劇場ホームページ掲載の)
「現代舞台芸術入門オンラインツアー」はなかなか秀逸で、今後もこの
ような工夫をどんどん試みてほしい。これは伝統芸能分野においても応用できることである。(①)
・ 携帯電話でホームページ閲覧が可能になったことは大きな進歩である。今後はモバイル機器で、チケット予
約が可能になる環境を整備したい。(①)
・ 国立各劇場でもコストに留意したうえで、従来実施してきたあぜくら会の特製チケットケース、文楽劇場友
の会の観劇ラリー、国立劇場おきなわ友の会の組踊ユネスコ登録記念ポイント 2 倍キャンペーンなどの工夫を
今後も拡大したい。(③)
・ あぜくら会の特製チケットケースは、デザインがとてもよい。今後もこのような会員特典を継続して会員の
増加を図るとともに、好評であった特典については、一般にも販売するなど活用してはどうか。あぜくら会員
への舞台稽古公開を評価する。今後も回数を増やして実施することを期待したい。(③)
・ 文楽劇場が大阪の近隣の劇場と提携した「むりやり堺筋線演劇祭」に参加したことは、若い観客の掘り起こ
しのきっかけとなり得るもので、今後も積極的な活用・展開を図ってほしい。(④)
【対応】
(伝統芸能各館)
①インターネット等を活用した広報・営業活動の充実
振興会に関する広報活動について、ホームページについては、トピックスでの公演 PR や、講座等のイベント
の実施レポートの掲載を強化して内容の充実を図る。また、アクセス解析結果を踏まえた運用改善を本格化さ
せる。日本芸術文化振興会ニュースについては、引き続き観光案内所、ホテル等への設置拡大に努める。
劇場施設外でのイベントとして、marunouchi cafe SEEK(千代田区丸の内)における講座「国立劇場 in 丸の
内」を開催し、丸の内エリアに勤める社会人に対する国立劇場と伝統芸能の認知向上を図った。今後も関係機
関と協力し、事業を継続する。
国立劇場前庭で開催している「さくらまつり」は、皇居周辺に花見に訪れる人で近隣がにぎわう時期を狙っ
た国立劇場の PR イベントとして効果をあげている。
公演に関する広報・営業活動について、本館では、今後は歌舞伎に馴染みの少ない方に向けてのインターネッ
ト広告(PPC 広告)なども視野に入れ、従来の媒体も含めて複合的に活用していく。また、国立劇場マスコット
キャラクター「くろごちゃん」の公式ホームページを国立劇場ホームページ内に新たに作成し、くろごちゃんの
ロビーや遠征先での活動報告や、お客様との交流の様子を発信している。内容は常に公演と関連付けて作成して
おり、閲覧者を増やすことを主眼に、頻繁に更新を行っている。親しみやすいキャラクターを通して公演を紹介
することも、導入として有効と考えており、引き続き情報の発信を行う。さらに、営業時間外でも団体観劇に関
するお問い合わせができるようホームページに問い合わせフォームを作成した。
文楽劇場では、文楽の観客層拡大を目的とした「文楽かんげき日誌」等のコンテンツを作成し、インターネッ
トを活用した広報活動の充実を図る。
モバイル機器におけるチケット購入については、スマートフォンを含めたモバイル機器に対応したチケット販
売システム全般の整備が進んでおり、25 年 4 月よりサービスを開始する。なお、インターネット販売に於ける
座席選択機能は、23 年度の運用開始以来、販売対象公演を順次拡大しており、25 年度の公演からは、国立劇場
各館のほぼ全ての公演で発売初日から座席選択を利用できるようになる予定である。
国立劇場おきなわでは、ホームページにおいて、24 年 2 月の文楽公演上演の際には「文楽公演ご鑑賞の手引
き」ページを新規作成して、文楽紹介記事を掲載(6 回)した。さらに振興会の文化デジタルライブラリー等に
リンクすることにより文楽及び文楽公演の宣伝・普及に努めた。今後も、沖縄芸能関連との相互リンクや自主公
演関連トピックを充実させて積極的に活用していくとともに、ホームページのリニューアルも想定した、見やす
145
い工夫を逐次加えていく。なお、24 年 2 月からインターネットチケット販売サービスを開始している。
(新国立劇場)
広報分野では、これまでの演目ごとの特設サイト、ブログに加え、23 年度には新国立劇場バレエ団ブログ、
24 年度には演劇部門の公式ツイッターなど、新たな媒体での情報発信を次々と開始している。また、ホームペー
ジ上で公開しているデジタルコンテンツ「オンラインツアー」の DVD を資料として報道関係者に提供したほか、
演劇の新作書下ろし戯曲や新翻訳戯曲の演劇雑誌への掲載を積極的に働きかけ、実際に多くの上演戯曲が収載
されるなど、効果的な広報活動のための様々な工夫と努力を行っている。
今後も、事業内容をさらに広く理解いただけるよう、日常的な情報提供活動に加え、プレスリリースの送付、
演目の制作発表など様々な手段を通じて報道機関と更なる密接な関係性を保つとともに、ホームページなど自
前の媒体を効果的に活用し、多くの国民に向けて、劇場、公演に関する情報周知に努めたい。
また、営業分野では、カード会社、生活協同組合、福利厚生請負企業及び旅行代理店等、チケットを取り扱
うことによって公演情報を掲載いただける取引先の拡充を行うとともに、テレビ局、新聞社との共催による連
携など、さまざまな媒体で公演周知に努めてきた。このように、比較的軽い費用負担で、または費用をかけず
に公演情報を掲載できる媒体の開拓に、今後とも努めていきたい。
②外国人利用者増加のための工夫
千代田区観光協会との共同により、24 年 10 月開催の IMF 総会参加のため来日した外国人に対する劇場施設の
案内や伝統芸能の紹介を行った。引き続き機会を捉え外国人利用者増加のための企画を行う。英語版ホームペー
ジについては、公演情報入力機能の活用により基本情報を適切に掲載し、外国人利用者の便宜向上に努めた。
本館では、24 年度より、外国人観光客の取り込みに向けて、羽田空港国際線到着コンコースへの広報看板の
設置、同到着ロビーの柱を使用した柱巻き広告を実施した。羽田、成田両空港と都心を結ぶエアポートリムジ
ンバスのシートポケットのインフォメーション、羽田―浜松町のモノレール扉にステッカーを貼り付け国立劇
場案内広告を行っており、いずれも、英語・簡体字・繁体字・韓国語で表記している。また、22・23 年度に作
成した「歌舞伎のコンパクトガイド」
「文楽のコンパクトガイド」日本語版・英語版を、外国人向け旅行案内所
等に設置している。24 年度は歌舞伎・文楽それぞれ中国語版(簡体字・繁体字)
・韓国語版を作成した。さらに、
JTB の海外向けサイト内においてイヤホンガイド付きのチケット販売を開始し、徐々にではあるが着実に成果を
挙げてきている。
能楽堂では、座席字幕装置完備を明記した英文チラシを作成し、ホテル・観光情報センター・空港等に配布
して海外からの観光客への周知・集客に努めているが、引き続き広報活動の工夫を図る。
文楽劇場では、関西国際空港の協力を得て「関西国際空港観光情報センター」の電子告知板に、英文の文楽
紹介ポスター及び各公演宣伝ポスターを掲示している。今後は海外の現地旅行代理店を通じての公演チラシの
設置等、近年増加傾向にある韓国・中国・台湾・香港等の近隣アジア諸国を中心に、積極的に働きかける。
国立劇場おきなわでは、23 年 10 月の「我らが住むは五大州」公演で、日本語圏外の来場者が多く想定された
ことから、4 カ国語(日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語)の演目解説チラシを配布した。
24 年度から、地元の外国人向け英字新聞(週刊)に公演案内を送っており、琉球舞踊の紹介とあわせて 10 月
の舞踊公演案内を掲載してもらうなど、外国人向けの周知に努めている。また、23 年度に引き続き 24 年度も、
留学生センターに働きかけて団体客を獲得するなど、継続的な連携強化に努めている。
③会員増加のための企画の工夫
あぜくら会については、会員に対するモニター調査を、24 年度に計 3 回実施した。今後の催物など、何を希
望し、期待しているのか意見を聞き、検討・分析することで、入会意欲を喚起する催物を実施していきたい。
会員への国立劇場開場 45 周年の記念品として作成したチケットケースとクリアファイルが、会員の特典意識を
刺激するのに大変有効でり、新規入会の特典としても活用した。異なるデザインでの作成希望が数多くあるこ
とから、今後の周年事業等での作成を検討する。なお、同じ物を一般販売することについては会員の特典意識
に影響するため、販売方法等を検討する必要がある。
文楽劇場友の会については、報道関係者を会員のみが参加できる「文楽のつどい」などの催し物に招待する
などして、友の会を積極的に広報し、会員増を図る。
国立劇場おきなわでは、会員勧誘のための企画として、毎年友の会限定 1 日バスツアー(歌碑めぐり)
、半日
バスツアー(史跡等めぐり)を実施している。
新国立劇場友の会「クラブ・ジ・アトレ」では、22 年度に提携カード会社の切替えによる移行を行った。23
年度には、会員カード提携先の三井住友カードとの協議・連携により、新カード未移行者への DM「再入会のお
誘い」返信用はがきによる最終案内の発送(5 月)
、次シーズン演目先出し告知によるセット券申し込み優先受
146
付との同時入会の勧誘(11 月~)及び「オペラ・バレエが当たる!」入会キャンペーン(9、10 月)を実施し
た。また、新規入会者にはプログラム引換券やブッフェクーポンを付与し、入会者・紹介者にはゲネプロ見学
会への抽選招待等を行うなど、カードの移行後も途切れることなく入会促進策を行っている。引き続き工夫を
行い、入会促進及び会員活性化を図っていきたい。
④観客層の拡大のための他劇場との提携等
本館では、引き続き千代田区観光協会等の近隣諸団体との連携を図り、地域としての発信力強化に努める。
演芸場では、他劇場・ホールと連携してポスター・チラシの相互設置等を行っているほか、寄席に理解のあ
る施設等に対して、チラシ設置やポスター掲示等の協力依頼を行っているが、引き続き連携・協力を図ってい
く。
能楽堂では、他能楽堂と連携してポスター・チラシの相互設置等を行い、公演情報の周知及び観客層の拡大
を図っているが、引き続き、他能楽堂との連携を図る。
文楽劇場では、
「むりやり堺筋線演劇祭」等の他劇場との連携を今後とも継続していく。また参加劇団に対し
ては、貸劇場利用の勧誘を積極的に行う。
新国立劇場では、新国立劇場主催公演と国立劇場の歌舞伎公演の「ダブル観劇キャンペーン」をはじめ、主
催公演のチラシ(主に演劇、ダンス)の他劇場・他劇団との相互配付、松竹株式会社が行っている MET ライブ
ビューイング(映画館)との相互観劇キャンペーンなど、これまでも各種連携を進めてきた。24 年度には新国
立劇場を含む 11 の音楽関係団体が 1 年間にわたって開催する「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」に
参画するなどの活動を展開している。今後も、他劇場との連携を模索していきたい。
また、オペラ「ピーター・グライムズ」
、バレエ「シルヴィア」
、そして演劇「リチャード三世」にあわせて
開催した「英国舞台芸術フェスティバル」での、英国大使館及び英国の公的国際文化交流機関であるブリティッ
シュ・カウンシルとの協力関係(英国大使館内での制作発表・レセプション、新国立劇場内での企画展示、トー
クイベント、作品上映会)などのように、今後も劇場間にとどまらない幅広い提携を推進していきたい。
147
広報・営業活動の充実:詳細表
<1>広報・営業活動の充実
1.ホームページにおける情報の内容の充実、メールマガジンの配信、携帯電話での情報発信
(1) アクセス件数
日本芸術文化振興会ホームページの年間アクセス件数::2,306,557 件/目標 1,950,000 件(達成度 118.3%)
(内、47,945 件が携帯電話からのアクセス)
国立劇場おきなわホームページの年間アクセス件数:259,376 件/目標 206,000 件(達成度 125.9%)
新国立劇場ホームページの年間アクセス件数:3,578,251 件/目標 1,900,000 件(達成度 188.3%)
・ ページ作成、アクセス分析などの運用支援及びサイトの保守業務を一体として業者に委託することによ
り、ホームページの内容の充実・効果的な配信を行った。
・ アクセス分析ソフトを導入し、振興会サイト全てのページを随時、状況に合わせて分析した。
・ 新国立劇場ホームページのアクセス数をより増加させる方策として、公演情報の充実(特設サイト開設・
動画の配信)を図った。
(2) ホームページの内容の充実、使いやすさの向上
・ 振興会ホームページについては、公演情報をはじめとし、トピックス情報などより広範な情報の追加・
更新等について柔軟かつ迅速に実施し、新鮮な情報を多数提供することで、飽きのこないホームページを
目指した。これによりリピーターによるアクセス数を増大させると共に、検索サイトの検索結果でより上
位に表示させる効果の向上を図った。
・ 振興会ホームページについては、引き続きホームページの更新作業を内部で処理し、休演者情報の掲
載
等について、柔軟かつ迅速に実施した。
・ ホームページ上でアピール効果の高いプロモーションエリアを積極的に活用することにより、利用者に
とって見やすく、探しやすい情報提供に努めた。
・ 国立劇場開場 45 周年の際に培った特設サイトの効果を応用し、公演の魅力が伝わるよう、10 月・3 月
歌舞伎公演で特設サイトを作成した。
・ 能楽堂の公演情報として、早期(23 年 1 月)に 23 年度の全主催公演の番組を掲載し、団体観劇の受付
を開始して、集客を図った。
(新国立劇場)
・ 新国立劇場ホームページ及びジ・アトレ会員向けページの両方の内容を充実させた。
・ ホームページの利便性を高めるために、情報項目の整理を行い、デザイン改修を行った。
・ より多くの最新情報を迅速に公開し、新国立劇場の活動に対する理解向上をはかった。
・ トップページの写真を、公演やイベントに関係あるものに適宜変更するとともに、スライドの使用や
再演演目の紹介に過去の公演記録映像を配信する等、より視聴覚に訴えるデザインとした。
・ 演目ごとの特設サイトを作成し、より詳細な公演情報の提供に努めた。
・ デジタルコンテンツ「新国立劇場オンラインツアー」の、演劇編(演劇のつくりかた)を作成した。
新国立劇場演劇公演への一層の関心喚起、理解促進を図った。
・ 23 年度に開設したバレエ団ブログに加え、24 年度には演劇ツイッター、オペラ Facebook を開始した。
稽古の様子、公演準備の様子、チケット情報などを迅速かつ継続的に発信し、公演へのより一層の関心
を喚起するとともに、ファンづくりに努めた。
・ 研修所ページへのアクセスをより分かりやすく工夫するとともに、研修風景の動画や最新の修了生の
活躍状況など、より一層の情報提供に努めた。また、オペラ研修所ブログ、演劇研修所 Facebook などの
新たな情報発信手段を用いて、研修の様子、研修公演準備の様子などを継続的に発信し、研修所の活動
に対してより一層の理解促進を図った。
・ 動画中継システム(USTREAM)を用いて、トークイベントなどの一般観客向け企画や、報道関係者への
公演制作発表をインターネット上で生中継した。これにより新国立劇場の活動のより一層の周知を図った。
・ 報道関係者および一般利用者の利便性を高めるために公演情報を PDF でホームページに掲載した。
・ ニュースリリースをホームページに掲載し、より一層の情報公開に努めた。
(3) メールマガジンの配信
・ 国立劇場のメールマガジンの配信(月 2 回、必要に応じて臨時配信)を行い、公演情報、公演に関す
るイベント、その他事業等の広範な情報を掲載するなど内容の充実に努め、タイムリーな広報を行った。
メールマガジン会員数は、前年度から 9,955 人増加し 3 月末で 36,886 人となった。
148
・ 国立劇場おきなわメールマガジン会員数は、533 人(25 年 3 月末)
・ 新国立劇場では e-メールクラブ会員(9,323 名)を対象に、公演情報やイベントなどの新着情報、
お得なご案内、ゲネプロ後(公演直前)の公演詳細、またキャスト交代の場合のお知らせなどを随時配
信した。
2.広報誌の発行
一般向け広報誌として、日本芸術文化振興会ニュース、新国立劇場情報誌「ジ・アトレ」
、国立劇場おき
なわ情報誌「華風」を毎月発行したほか、会員組織の会員に対し会報による情報提供を行った。
また、以下の概要等を作成した。
・「独立行政法人日本芸術文化振興会概要(日本語)
」
(24 年 8 月作成)
・「独立行政法人日本芸術文化振興会概要(英語)
」
(24 年 10 月作成)
・「独立行政法人日本芸術文化振興会要覧」
(24 年 10 月作成)
・「独立行政法人日本芸術文化振興会年報 平成 23 年度」
(24 年 12 月作成)
・「公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団要覧」
(25 年 3 月作成)
・「新国立劇場 平成 23 年度年報」
(24 年 9 月作成)
3.公演内容に応じた効果的な宣伝、営業活動
(本館)
・ 10 月歌舞伎公演「塩原多助一代記」では、ゆかりの地、群馬県みなかみ町町内全戸に公演チラシ配布
がみなかみ町の協力で実現し、周知に努めた他、9 代目子孫塩原文雄氏や炭の関連団体等に対しての宣伝、
営業活動を行った結果 6 件 290 枚の実績を得た。三遊亭圓朝の作であることから円朝祭り(8 月 5 日開催
台東区谷中コミュニティーセンター前広場)での 10 月公演チラシ配布、入場券(2 等B席)販売を実施(販売
枚数 11 枚)。
・ 「親子で楽しむ歌舞伎教室」において、24 年度から埼玉県教育委員会の協力により、学校を通じて県内
の小学校高学年及び中学生(小中学校 160 ヶ所、教育委員会等 64 ヶ所)に公演チラシを配布した結果、
「親
子で楽しむ歌舞伎教室」は全日程ほぼ売切れとなり、相乗効果として「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」
も高い収入率を上げるなど結果を残した。
(能楽堂)
・ チラシ、ポスター、ホームページ、広報誌等による通常の広報とともに、公演によっては企画性を周知
するため、特別チラシや特別パンフレットを作成するほか、ホームページにトピックス等を掲載した。
・ 12 月 19 日(水)には 25 年度の演目決定をうけて演目、30 周年の企画発表記者会見を実施した。
・ 25 年 4 月特別企画公演・新作能「世阿弥」では、
特別ポスター100 枚、特別チラシ 20,000 枚を作成・配布。
1 月 23 日(水)京都観世会館能舞台において新作能「世阿弥」試演会及び制作発表を開催。
出席者:梅原猛、梅若玄祥、片山九郎右衛門ほか
ホームページにトピックス等を掲載。
新作能「世阿弥」試演会及び制作発表レポートを掲載(HP トピックス)
新作能「世阿弥」稽古レポートを掲載(HP トピックス)
以上の宣伝・広報に努めた結果、公演前の掲載・放送等は、新聞記事は主要 6 紙すべてを含む 11 件、
雑誌記事 2 件であった。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では、公演宣伝キャンペーンを積極的に行い、マスコミへの情報提供等多様な広報活動を展
開した。
6 月 25 日 夏休み文楽特別公演『曾根崎心中』
(大阪 露天神社) 報道 12 社取材
7 月 19 日 夏休み文楽特別公演(JR 大阪駅南口旧砂時計広場) 報道 9 社取材
10 月 23 日 11 月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』
(JR 大阪駅(大阪ステーションシティ)
「時空(とき)
の広場」
) 報道 8 社取材
10 月 24 日 11 月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』
(京都「一力亭」及び岩屋寺) 報道 8 社取材
11 月 2 日 11 月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』
(地下鉄心斎橋駅構内) 報道 7 社取材
3 月 16 日 4 月文楽公演(阪急百貨店うめだ本店「祝祭広場」
) 報道 7 社取材
(国立劇場おきなわ)
・ 新聞、雑誌等における広告及び県内自治体、学校等へのチラシ配布を継続的に行いながら、沖縄県庁
149
(8 月 27 日~8 月 31 日)や那覇市内デパートでのポスター展(12 月 27~1 月 7 日)により幅広い広報宣
伝 を行った。
・ 日本復帰 40 周年にちなみ、復帰世代が多く出演する、4 月琉球舞踊公演「新進舞踊家の会」及び 7 月
三線音楽公演「琉球弧の島唄」を、
「本土復帰 40 周年記念公演」と銘打ち、本土復帰と共に育ってきた
出演者による記者発表を行うなど、広報宣伝活動に務めた。
・ 21 年 5 月から行っているラジオ番組の生コマーシャルを継続して行い、自主公演出演者の協力による
公演の宣伝に取り組んだ。
・ ホームページによる公演の見どころ紹介や、公演トピックスを昨年度に続き実施した。
・ 1 月組踊公演「孝行竹壽之巻」及び 1 月琉球舞踊公演「新春琉舞名人選」の新春公演では、公演 3 日間
計 350 名に呈茶を実施し、幕間に抽選による観客へのお年玉プレゼント(カレンダー、劇場グッズなどの
詰め合わせ)を行い、初春公演の雰囲気を盛り上げた。
・ 6 月沖縄芝居公演「伊江島ハンドー小」
、10 月民俗芸能公演「多良間の八月踊り~塩川の芸能~」
、2 月
民俗芸能公演「沖縄本島民俗芸能祭(宜野座村)
」及び 3 月企画公演「聞得大君誕生」では、公演にちな
んだ地元の物産を販売する物産展やパネル展示、琉球伝統菓子の販売などを行い、地元の賑わいや琉球王
府時代の雰囲気を演出し、公演を盛り上げた。
・ 3 月企画公演「新作組踊聞得大君誕生」では、前売開始前日(1/12)に、近郊 3 市 14 万世帯に新聞の
折り込みを行った。
(新国立劇場)
・ チラシ・ポスター、ホームページ等による通常の広報・営業活動に加え、公演内容に応じ特設サイト
の設置や国立劇場でのチケット販促キャンペーン等を行った。
・ インターネットで現代舞台芸術に関するキーワードを入力すると新国立劇場の広告が自動的に表示さ
れる「検索キーワード連動型広告」という新しいアプローチを行い、より精密な営業活動を行った。
・ 空席のある場合に限り事前に 5,000 円(オペラ以外のジャンルは半額)で予約できる 25 歳以下の若年
層を対象とした「アカデミックプラン」を引き続き実施するとともに、平成 25 年 1 月からは 26 歳以上
39 歳以下の方を対象にした「アカデミック 39」を開設した。
(アカデミック 39 は一般:11,000 円、会
員:10,000 円)登録者数は 3 月末日現在 12,050 人(うち「アカデミック 39」は 843 人)で 3,290 人以
上の前年比増加となった。新規顧客層の拡大に対して大変有効な手法となった。
・ 開場 15 周年にあたる平成 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グライ
ムズ」
、バレエ「シルヴィア」
、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演。このこ
とから、英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国をテーマ
に舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を劇場を挙げて開催し
た。期間中は特設サイトを開設して随時情報を発信、同フェスティバルの関連企画として、英国大使館
で記者発表を行うとともに、その模様を動画中継システム(USTREAM)により配信した。
・ 2013 年がヴェルディとワーグナーという 2 大作曲家の生誕 200 年にあたることから、これを機にクラ
シック音楽のさらなる発展を図るため、国内外有数のオペラ団、オーケストラ等が一同に会し、1 年間に
わたって共同プロモーションを行う「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」に参加した。共同で
のチラシ作成、Facebook 開設のほか、同祭の関連企画として、新国立劇場オペラ劇場ホワイエにおいて
同祭の「キックオフ記者発表」を行うとともに、その模様を動画中継システム(USTREAM)により配信し
た。
・ 平成 25 年 1 月 14 日に報道関係者、評論家に対し「2013/2014 シーズンラインアップ発表会」を実施し
た。
・ 制作発表やフォトコール(写真撮影会)を行い、より一層の情報提供に努めた。
演劇「サロメ」フォトコール(5/29)
演劇「リチャード三世」制作発表(7/17)
、
演劇「With -つながる演劇-」
(平成 25 年度公演)3 作品合同制作発表(3/26)
・ 演目別の広報については、さまざまな角度からアピールする方法を検討し、きめ細かいマスコミ対応
による記事掲載の促進や、特設サイトにおける動画の活用をはじめとしたコンテンツの充実、e メールク
ラブ会員への公演関連情報や芸術監督メッセージの配信などを行った。
・ 演劇公演では演目ごとにブログを開設し、チケット情報、稽古の様子、公演準備の様子、公演の背景
に関する解説や考察などの充実したコンテンツを掲載。観客向けのより詳細な情報を随時発信した。
150
・ さらに、24 年度には新しく新国立劇場オペラ Facebook アカウントおよび新国立劇場演劇 Twitter アカ
ウントを開設したほか、23 年度に引き続き、新国立劇場バレエ団オフィシャルブログを運用した。公演
へのより一層の関心を喚起するとともにファンづくりに努め、既存の観客にも好評を博するとともに、
新規観客の開拓においても効果を期待されている。
・ 演劇公演では、内容に関連のある他ジャンルの主催公演と連携し、当該公演のチケット購入者に指定
の演劇公演のプログラム引換券を進呈するキャンペーンを実施した。
・ テレビ局との共催により、コマーシャル映像及び音声を作成し、テレビ・ラジオ・インターネットで
放送するなど、大規模かつ広範なプロモーションを展開した。
4.シーズンシートやセット券等の販売
・ あぜくら会会員向けに、10 月から 1 月の歌舞伎公演の各三日目の入場券(座席位置は 4 公演同一)を
セットにした「三日目の会」の販売を行っている。4 公演の入場券を一度に購入できる利便性を一般にも
適用するため、23 年度に引続き 24 年度も「三日目の会」の販売をあぜくら会会員に加え一般向けにも行っ
た。加えて、3 月歌舞伎公演においても「三日目の会」に準じた販売方法を行い、あぜくら会員のチケッ
ト確保の一助とした。(10 月~1 月の 4 公演分 2,204 枚)
・ 昼夜セット割引や通し割引を公演形態に合わせて実施した。歌舞伎 4 公演特別セット券の販売を限定ス
テージで行った(10 月~1 月の 4 公演分 148 枚)
。また、短期公演でも内容の異なる 2 回公演の場合は、
同時に購入すると割引となるセット割引を行った(8 月舞踊 22 枚、11 月舞踊 58 枚、3 月舞踊 8 枚、11
月声明 125 枚、6 月民俗芸能 188 枚)
。
・ 親子を対象とする公演において、親子セットの割引料金を設定して好評を得た。
・ 文楽劇場では、一演目だけを鑑賞する幕見席の販売を引き続き行い、好評を得た。
・ 新国立劇場では、シーズンセット券の購入者は最重要顧客であるという位置づけのもとに、会員に対
し、会報誌「ジ・アトレ」
、パンフレット及びジ・アトレ会員向けホームページ等を通じて、オペラ、バ
レエ、現代舞踊の 2012/2013 シーズンセット券の販売を行った。また演劇においても、
「海外戯曲 春か
ら夏へ」
(
「負傷者 16 人」
、
「サロメ」
、
「温室」の 3 公演)
、
「それぞれの魅力―秋から冬へ―」
(
「リチャー
ド三世」
、
「るつぼ」
、
「音のいない世界で」3 公演)と題して、芸術監督が企画するテーマに沿った演目を
セットで組み合わせ、特別割引通し券として販売した。作品へのより深い興味と理解を観客に提案でき、
売上向上につながった。
5.団体鑑賞の促進、外国からの旅行者を含めた鑑賞者の増加、おすすめキャンペーンの実施
・ 外部の旅行代理店(JTB)が発信する外国人旅行者向けのホームページにて、国立劇場歌舞伎公演の告
知及び、チケットのインターネット受付をし、合計 90 枚の販売実績となった。
(3/21 現在)
(新国立劇場)
・ 「トスカ」
、
「セビリアの理髪師」
、
「アイーダ」のように特にポピュラーな演目では、一般観客や団体観
客に重点的な営業を行うことによって、観客層を広げることが出来た。
・ 集客が困難なゴールデンウィーク中に開催された「白鳥の湖」のほか、
「ジゼル」のように特にポピュ
ラーな演目や、
「シンデレラ」のように家族向けを意識した演目では、一般観客やバレエ教室・各種舞踊
教室・学校・児童養護施設などを含む団体観客に重点的な営業を行うことによって、観客層を広げること
が出来た。
・ 演劇鑑賞団体やカード会社、生活協同組合など再販組織に対しての団体販売を行うとともに、出演者・
作家・演出家のファンクラブや関連分野の大学教員、常連客等に対しても積極的に営業活動を行った。
・ アカデミックプランの発動に際し、演劇俳優養成所に所属する 25 歳以下の方を対象に団体としてとり
まとめて受付けるなどの施策を行った。
・ 公演内容に関連のある施設や団体から各種参考資料を借り受け、公演の PR において活用したことに加
え、団体でのチケット購入やチラシ配布の協力を得た。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 振興会ニュースの配布先を拡大することにより、より積極的に振興会の公演情報を提供することに努め
た。
・ ホームページに、公演情報だけではなく関連するイベント等を掲載することにより、利用者が公演に一
151
層の興味関心を抱くよう誘導するほか、プロモーションエリアの積極的な活用により、観客層に必要な情
報の適切な提供に努めた。
・ 定期的に発行する広報誌と合わせて、速報性の高い情報についてはホームページやメールマガジンを活
用し、インターネット媒体と紙媒体の双方の特性を活かした広報活動を行った。
・ 演目ゆかりの市町村への積極的な営業活動では、23 年度の熊谷営業に引き続き、10 月歌舞伎公演「塩
原多助一代記」でも合計数百名の観劇動員ができた。都心からある程度の距離があり、且つ日帰りでの
観劇が可能なら、市町村側に十分なメリットを提示し、双方に利益を生むことを納得していただくこと
によって結果が得られることが実感できた。
・ 新国立劇場では、前年度に引き続きホームページを改修し、特設サイト、ブログ、動画等の使用によ
り、より詳細な公演情報等を観客に向け発信することができた。
・ 新国立劇場では、オペラ Facebook、バレエ団ブログ、演劇ツイッターと、各ジャンルに適した新たな
情報発信手段を用いることで、より広範な情報を継続的に発信することができた。
・ 新国立劇場では、自己収入の確保に努めた結果、特に、オペラ「トスカ」
、オペラ「アイーダ」
、演劇
「負傷者 16 人 ―SIXTEEN WOUNDED―」
、演劇「音のいない世界で」では 100%を超える収支率、オペラ「ド
ン・ジョヴァンニ」
、オペラ「セビリアの理髪師」
、オペラ「ドン・ジョヴァンニ(演奏会形式)
」
、演劇「サ
ロメ」
、演劇「リチャード三世」でも 90%を超える収支率を達成した。
・ 新国立劇場では、震災の影響によるキャスト変更もあったものの、大きな混乱はなく、公演に対する
観客の満足度も非常に高かった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 3 月歌舞伎公演では新規の団体獲得を短期で行うために各種企画販売を提案した。結果として実績を挙
げたのは従来から行っていた「筋書セット販売」と鑑賞教室利用・見込団体向けの特別割引による「ステッ
プアップキャンペーン」のみで、その他の法人向け企画販売は振るわなかった。今後は企画アイデアその
ものの研さんを行いつつ、提案時期、期間、対象、告知の方法なども精密に検討し、より効果的な方法を
追求していくことが重要である。
<2>会員組織による観劇機会の増加
1.あぜくら会
(1) 会員向けサービスの充実
・ あぜくら会では、催し物に参加できなかった会員のために、振興会ホームページ上の会員向けページに
催し物リポートを掲載しているが、パソコンを持っていない会員のために、会報にもリポートを掲載する
ように努めた。
・ 10 月歌舞伎公演 三遊亭円朝=口演「塩原多助一代記」に向けて、ジャンルを超えた公演宣伝の一環と
して、演芸家の立場からの作品解説や落語・講談で作品の雰囲気を味わってもらう公演を試みた。
・ 催し物参加者の希望があった、講演当日の読み物(パンフレット)を毎回作成できるように努めた。
・ 今後の会員サービスについての参考とするために、モニター調査を実施した。当選者に事前アンケート
した資料を基に、9 月 12 日(水)文楽公演、10 月 12 日(金)演芸場中席公演、11 月 12 日(月)歌舞伎公演を観
劇してもらうとともに、事前に行ったアンケートを参考にしたグループインタビューを実施した。
(2) 会報の発行(計画:毎月発行)
「あぜくら」を毎月 25 日に発行した(計 12 回)。
(3) 会員向け催事(計画:6 回程度実施)
「あぜくらの集い」を 5 回実施し、参加者数は 676 人となった。
1.「円朝と歌舞伎と塩原多助」
8 月 20 日(月)18:00、国立演芸場、参加者数 213 人(応募者 231 人、当選者 231 人)
出演=金原亭馬生(落語家)、一龍斎貞友(講談師)、高野実貴雄(日本文化研究者)
アンケートの実施:回答数 66 人(配布数 213 人、回答率 31%)
2.「四天王寺の聖霊会について」
9 月 5 日(水)14:00、レクチャー室、参加者数 107 人(応募者 131 人、当選者 131 人)
講演=南谷美保(四天王寺大学教授)
アンケートの実施:回答数 49 人(配布数 107 人、回答率 46%)
3. 「吉田一輔を迎えて」
152
12 月 1 日(土)17:00、レクチャー室、参加者数 123 人(応募者 272 人、当選者 150 人)
出演=吉田一輔、葛西聖司
アンケートの実施:回答数 80 人(配布数 123 人、回答率 65%)
4.「管絃-壱越調と平調-」について
2 月 21 日(木)14:00、レクチャー室、参加者数 101 人(応募者 209 人、当選者 130 人)
出演=豊英秋、安齋省吾、大窪永夫
アンケートの実施:回答数 85 人(配布数 101 人、回答率 84%)
5.「復曲素浄瑠璃を聞く会」-復曲の現場に立ち会うー
3 月 18 日(月)14:00、レクチャー室、参加者数 132 人(応募者 374 人、当選者 120 人)
アンケートの実施:回答数 95 人(配布数 132 人、回答率 72%)
(4) アンケート調査
・ 「あぜくらの集い」について毎回アンケート調査を行った。
(配布数 676 枚、回答数 375 枚)
・ アンケート結果として、
「あぜくらの集い」は好評で継続を望む声が多く、開催数・開催内容・多人数
が参加できる会場での開催を希望する意見もあった。
(5) 会員数
在籍者数(対前年度)
17,629 人(+192 人)
目標会員数
17,800 人
利用枚数
92,019 枚
2.国立文楽劇場友の会(文楽劇場)
(1) 会員向けサービスの充実
・ 会員に対し、チケット発売日等広報のメールを毎月発信し、購買数拡大に努めた。
・ 好評の観劇ラリーを本年も実施し、年間 4 回の文楽公演の入場券を購入した会員に記念品を進呈した
(1,032 名)
。
・ 本年も夏休み文楽公演において会員が引率する子供料金、学生料金を設定、販売した。
・ 会員数増のための対策について、入会申込書のリニューアルや申込書設置場所の増設、会員特典の告
知のほかに、申込時のプレゼント見本(解説書 1 冊・お食事割引券 1 枚進呈)の掲示を行い、入会促進
を図った。また、
「文楽のつどい」のスナップ写真等を場内やホームページに掲出し、友の会の魅力を強
調した。
(2) 会報の発行(計画:年 6 回発行)
・ 「国立文楽劇場友の会会報」を 4、5、7、9、11、2 月に発行した(計 6 回)。
(3) 会員向け催事(計画:4 回程度実施)
「文楽のつどい」を 4 回開催し、参加者は 454 人となった。
1.「夏休み文楽公演にちなんで」
7 月 3 日(火)18:30、国立文楽劇場小ホール、参加者数 146 人(応募者 182 人、当選者 182 人)
内容:夏休み文楽特別公演「伊勢音頭恋寝刃」にちなみ、神戸女子大学古典芸能研究センター長阪
口弘之氏の講演及び松永源六郎(刀匠)と吉田玉女(文楽人形遣い)との対談を実施。
2.「文楽列車」
10 月 28 日(日)、参加者数 50 人(応募者 152 人、当選者 50 人)
内容:近畿日本鉄道(株)主催の「文楽列車」に「文楽のつどい」として参加した。車内で文楽人形
(吉田簑二郎・桐竹紋臣)とふれあい、吉野山ふるさとセンターでの文楽ミニ公演を鑑賞した。
3.「初春文楽公演にちなんで」
12 月 18 日(火)14:00、国立文楽劇場 1 階レストラン「文楽茶寮」、参加者数 74 人(応募者 214 人、当
選者 75 人)
内容:初春文楽公演「義経千本桜」(すしやの段)にちなんだお話「すしやの段となれ寿司」及び文
楽技芸員(豊竹呂勢大夫・鶴澤清介・吉田一輔)による茶話会「文楽よもやま噺」を実施。
4.「4 月文楽公演にちなんで」
3 月 27 日(水)18:30、国立文楽劇場小ホール、参加者数 184 人(応募者 274 人、当選者 220 人)
内容:4 月文楽公演「心中天網島」にちなみ、西野由紀(天理大学准教授)のお話「心中天網島と
大坂の町並み」と、長尾多栄ほかの端唄等の演奏を交えた鶴澤寛治(文楽三味線)のお話「今は昔 北
の新地の情緒」。
(4) アンケート調査
153
・ 3 月 27 日の「文楽のつどい」においてアンケート調査を行った。
(配布数 184 枚、回答数 154 枚)
・ アンケート結果として、内容について 92.2%(142 人)の方々から「満足」の回答を得た。今後の希
望については技芸員による対談・座談会を望む声が多かった。
(5) 会員数
在籍者数(対前年度)
7,651 人(229 人)
目標会員数
7,500 人
利用枚数
23,316 枚
3.国立劇場おきなわ友の会
(1) 会員向けサービスの充実
前年度に引き続き、チケット購入時に押されるスタンプをためて割引券などがもらえるポイントカー
ド制度や、会員対象の講演会・バスツアーを実施した。
(2) 会報の発行(計画:年 4 回発行)
「国立劇場おきなわ友の会会報」を 6、9、1、3 月に発行した(計 4 回)
。
(3) 会員向け催事(計画:3 回程度実施)
年 3 回実施し、参加者数は 116 人となった。
1.「友の会バスツアー南部歌碑めぐり」
(10 月 13 日 参加者数 39 人)
垣花武信氏を講師に、貸切バスにて沖縄南部の歌碑(石川正通の碑・花風の港の碑・手水の縁の碑・白
浜節の碑・汗水節の碑・兄弟小節の碑)を回った。
2.「友の会半日バスツアー&公演鑑賞」
(12 月 8 日、参加者 35 人)
NPO 法人うらおそい歴史ガイドの仲間孝藏氏をガイドに、玉陵・首里城公園と浦添ようどれ館を見学後、
劇場に戻り自主公演「創作舞踊」を鑑賞した。
3.「友の会新春講演会」
(於国立劇場おきなわ小劇場、2 月 9 日、参加者 42 名)
(公財)国立劇場おきなわ運営財団常務理事の宜保榮治郎が講師を努め、組踊の楽しみ方等を解説した。
また若手実演家の玉城匠氏と平田旭氏が助手(実演)を努めた。
(4) アンケート調査
・ 「友の会バスツアー南部歌碑めぐり」
(配布数 39 枚、回答数 29 枚)28 人の参加者が満足・概ね満足
と回答した。
・ 「友の会半日バスツアー&公演鑑賞」
(配布数 35 枚、回答数 31 枚)30 人の参加者が満足・概ね満足
と回答した。
・ 「友の会新春講演会」
(配布数 42 枚、回答数 38 枚)33 人の参加者が満足・概ね満足と回答した。
(5) 会員数
在籍者数(対前年度)
2,193 人(+536 人)
目標会員数
1,550 人
利用枚数
3,903 枚
4.新国立劇場クラブ・ジ・アトレ
(1) 会員向けサービスの充実
・郵送申込、先行予約、割引販売
10%割引の会員優先販売(郵送申込と電話、窓口およびインターネット申込の 2 つの期間)を会員サー
ビスとして実施した。一般発売後は 5%割引を実施した。
・ポイントアップサービス
新国立劇場の会員であることのステータスを上げるとともに、サービス向上を図るため、購入実績に応じ
てポイントを付与し、点数に応じて、プログラム引換券、ブッフェクーポン、シアターショップクーポン、
チケットエクスチェンジ(同公演別日程でのチケット交換)
、アドバンストリザーブ(会員先行よりさらに
早い電話予約)
、舞台写真、ゲネプロ見学、公演招待、
「マエストロ」アフターシアターディナー券などを提
供した。
・会員向け Web サイトの運営
会員がクラブ・ジ・アトレのサービスや手続きについて、詳細を容易に把握するための総合的な情報提供
の場として「チケットとクラブ・ジ・アトレWebサイト」を運営した。
また、会員限定で、Webサイト上で会報誌を読むことのできる仕組みを新たに導入した。
154
・ゴールドカードのサービス拡大
アトレVISAゴールド会員への便宜拡大を目指し、通常会員よりさらに早くチケット予約ができるアドバン
ストリザーブを年間5回に、またチケットの日程変更ができるチケットエクスチェンジサービスを年間5回追
加導入した。
・会員増加対策
セット券販売に伴う入会キャンペーン、三井住友カードとの提携による入会促進キャンペーン(10~1月
実施、抽選で計140名のゲネプロ招待他)を行った。また、インターネットでの入会手続きが可能となり、
インターネット入会スタートキャンペーンを実施した(2月~3月)。
(2) 会報の発行(計画:毎月発行)
新国立劇場月刊会報誌「ジ・アトレ」を毎月発行した。(計 12 回)
(3) 会員向け催事(計画:1 回程度実施)
新制作オペラ、レパートリー作品のバレエについて、会員から希望を募り、入会キャンペーンの一環とし
て抽選でゲネプロ見学会を開催した(オペラ3演目 参加者120名 バレエ4演目 参加者 96名)
。
2011/2012 シーズンシート購入者及びシーズン・セット券購入者を対象に、6 月 16 日(土)に 11/12
シーズンオペラ・エンディング・パーティ、7 月 1 日(日)に 11/12 シーズンバレエ・エンディング・パー
ティを、いずれもレストラン・マエストロにて開催した。出演者・ダンサーとの懇談、写真撮影を行った。
(4) アンケート調査
会員の興味・関心等を把握するべく、アンケート調査を実施している。その分析結果は今後の運営に役
立てていく。
(5) 会員数
在籍者数(対前年度)
9,366 人(+183 人)
目標会員数
9,600 人
利用枚数
68,842 枚
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 国立文楽劇場友の会について、20 年度より始めた観劇ラリーキャンペーンが引き続き好評であった。また、
24 年度は全体の観客数が好調であったこともあって新規入会も多く、会員数を大きく伸ばすことができた。
・ 国立小劇場(東京)で開催された琉球芸能公演(3 月 8~10 日)に併せて国立劇場おきなわ友の会の案内を
行ったところ、関東圏在住の 4 名の新規入会があった。
・ 新国立劇場のクラブ・ジ・アトレは入会促進の結果、新規入会538名、187名の純増を上積みすることができ、
会員数は9,366名(3月末現在)に達した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 新国立劇場のクラブ・ジ・アトレは、引き続き会員の増加を図り、また、既存会員の方には新国立劇場の固
定客として定着し続けていただけるよう、今後も日常的に業務の質の検証と改善に努めたい。
155
劇場施設の使用効率の向上等
2-(5)劇場施設の使用効率の向上等
《中期計画の概要》
(7) 劇場施設の使用効率の向上等
ア 振興会が行う伝統芸能の公開、現代舞台芸術の公演等各種事業の実施に支障のない範囲で、伝統芸能の保存振
興、現代舞台芸術の振興普及、その他の目的のための事業に対し、劇場施設を積極的に貸与する。その際、主
催公演の利用計画の早期決定に努め、利用者に対する利便性の向上を図るとともに、各種事業について効
率良く日程を組むなど、劇場の使用効率の向上を図り、来場者の増加を図る観点から貸与日数を増やし、
劇場全体の公演回数の増加を図る。なお、中期目標期間における主催公演日数と貸し劇場日数を合計した
数を使用可能日数で除した率については、前中期目標期間の実績以上とする。
イ 利用者の利便性を高めるため、各施設及び設備等の概要、利用方法、空き日等の情報をホームページ等
により提供する。
また、施設等の利用料金については、定期的に他の施設の実態等を調査し、適正な価格となるよう努める
とともに、利用者に対しアンケート調査を適宜実施し、その調査結果を踏まえ、貸与手続きの簡素化・効率
化の推進等利用の一層の充実を図る。
《年度計画》
2 伝統芸能の公開及び現代舞台芸術の公演
(7) 劇場施設の使用効率の向上等
ア 中期計画に従い、伝統芸能の保存振興、現代舞台芸術の振興普及、その他の目的のための事業に対し、
劇場施設を次のとおり貸与するとともに、劇場の使用効率の向上を図る。
区分
本館大劇場
本館小劇場
演芸場
能楽堂本舞台
文楽劇場
文楽劇場小ホール
国立劇場おきなわ大劇場
国立劇場おきなわ小劇場
新国立劇場オペラ劇場
新国立劇場中劇場
新国立劇場小劇場
(合計)
貸与日数
使用効率
77 日
157 日
102 日
180 日
104 日
113 日
81 日
73 日
30 日
148 日
100 日
1,165 日
87%
80%
92%
68%
66%
57%
44%
45%
35%
62%
70%
66%
※ 使用効率は、使用可能日数のうちの主催公演日数と貸与日数を合計した数の割合。ただし、一日に
重複して貸与することの多い演芸場及び能楽堂本舞台については、それぞれ一ヵ月につき 6 日・3 日を
使用可能日数に加算している。
イ 利用者の利便性の向上等
① 各施設の設備等の概要、貸与手続き及び空き日等の情報をホームページへ掲載するとともに、劇場
ロビー等に設置したパンフレットや、利用実績のある団体等へのダイレクトメールを活用した広報を
行う。
② 利用申込受付開始前に、手続きについての説明及び劇場施設・設備の見学会を開催するとともに、
利用希望者に対し適宜説明・見学等の機会を設け、劇場利用者の増加に取り組む。
③ 利用者との事前の打ち合わせを通じて、入場券の点検、劇場内の案内、舞台機構操作等スタッフ、
舞台備品等の提供を適切に行うとともに、利用者の求めに応じて、舞台進行、照明デザイン、音響デ
ザイン等について職員の技術協力を行う。
④ 利用者に対しアンケート調査を実施し、その調査結果を踏まえ、サービスの充実を図る。
⑤ 他の劇場施設等の調査を引き続き行い、利用方法、利用料金等の検討を行う。
156
《実
績》
1.貸与実績
劇 場
貸与日数
実 績
使用効率
目 標
実 績
目 標
(参考)
劇場稼働率
本館大劇場
87 日
77 日
86.4%
87%
96.5%
本館小劇場
153 日
157 日
78.5%
80%
93.9%
演芸場
93 日
102 日
89.1%
92%
96.7%
能楽堂
182 日
180 日
69.7%
68%
88.4%
文楽劇場
104 日
104 日
70.3%
66%
84.5%
文楽劇場小ホール
129 日
113 日
66.8%
57%
80.5%
748 日
733 日
77.4%
76%
90.4%
国立劇場おきなわ大劇場
55 日
81 日
34.2%
44%
74.3%
国立劇場おきなわ小劇場
121 日
73 日
70.7%
45%
82.0%
176 日
154 日
49.9%
44%
77.6%
30 日
30 日
34.7%
35%
98.2%
新国立劇場中劇場
157 日
148 日
66.5%
62%
91.2%
新国立劇場小劇場
小 計
小 計
新国立劇場オペラ劇場
101 日
100 日
71.0%
70%
95.2%
小 計
288 日
278 日
57.2%
56%
95.0%
合 計
1,212 日
1,165 日
67.6%
66%
89.9%
2.利用者の利便性の向上等
① ホームページ、パンフレット等による広報、説明会等の実施
・ 施設、設備等の概要及び貸与手続き方法、空き日情報、貸劇場公演情報等を振興会ホームページに掲
載した。
・ 施設申込受付期間の案内を、過去 5 年間の劇場利用者へのダイレクトメールによる案内や、舞踊・邦
楽関係の冊子にも掲載して広報を行った。
・ 劇場利用パンフレットを作成して過去の利用者・利用団体・関係団体等に配布・送付した。
・ 簡易版劇場利用案内のリーフレットを作成し、広報用チラシとしてロビー等場内に配置した。
・ 施設申込受付期間や申込受付方法を、楽屋・稽古場等に掲示して周知を図った。
・ 劇場利用希望者に対して申込受付開始前に、申込手続きについての説明及び施設・設備の見学会を開
催し、劇場利用者の増加に努めた。
(本館小劇場及び文楽劇場小ホール)
・ 保守点検日や整備期間の設定について、関係部署と調整しながら貸与希望者の使用希望日に沿うよう
に調整した。
・ 国立劇場おきなわでは、ホームページやパンフレットによる広報に加えて、主催公演チラシ、国立劇
場おきなわ友の会報誌等に貸劇場利用に関する情報を掲載し、一般・会員等への広報宣伝を行った。ま
た、24 年度の貸劇場募集の際、説明会を開催し、舞台機構をはじめとした施設案内等を実施した。
・ 新国立劇場では、劇場施設の使用の方法及び手続きについて分りやすくホームページに掲載し、24 年
度を対象とする予約申込については、関係団体(約 200 団体)に郵送により通知し、上半期分は平成 23
年 4 月 1 日~4 月 15 日の間に、下半期分は同年 10 月 25 日~11 月 7 日の間に応募受け付けを行った。
② 利用者への適切なサービスの提供、職員の技術協力
・ 入場券の作成及び販売、場内のアナウンス及び案内業務、備品の貸出、稽古場施設の貸出を行った。
・ 舞台機構操作、照明操作、音響操作等、舞台関係の技術協力を行った。
(本館)照明 1 件、音響 3 件、美術 3 件、舞台監督等 4 件、その他(つけ打ち等)20 件
(文楽劇場)照明 6 件、音響 3 件、舞台 5 件
(国立劇場おきなわ)舞台監督 11 件
・ 新国立劇場では、全ての公演において、入場券の点検、劇場内の案内、クロークなどのサービスを行っ
た。また、オペラ劇場・中劇場・小劇場ともに、舞台進行・照明操作・音響操作等について補助を行った。
③ 利用方法、利用料金等の検討
・ 他劇場の施設見学方法・貸館事務手続き、舞台設備使用料(音響機材料金)などの料金改定について
157
検討をした。
・ 新国立劇場の劇場施設の使用料金については、他の劇場施設を参考に据え置きとした。料金体系のな
いホワイエや会議室の使用料については、他施設の料金表を調査し、それを参考とした。
④ アンケート調査の実施
施設利用者への一層のサービス向上を図るため、各館の貸劇場利用者に対しアンケート調査を実施した。
(本館・演芸場)配布数 175 件、回答数 69 件(回収率 39.4%)
・ 施設利用者の感想として全体的に、良い 75%・普通 25%・悪い 0%であった。全般に概ね好評の回
答を得た。その他の意見として、舞台と楽屋が同じ階にあるのが良い、施設利用係の対応が細やかで
気持ち良く使用できたなど好評の回答を得た。
(能楽堂) 配布数 81 件、回答数 22 件(回収率 27.2%)
・ 全体の満足度は 86.4%で概ね好評の回答を得た。その他の意見として、使用日決定の早期化希望、
使用時間区分の時間帯延長等があった。
(文楽劇場)配布数 134 件、回答数 49 件(回収率 36.6%)
・ 全体の満足度は 89.4%であった。楽屋について部屋数増加の要望が複数あった。
(国立劇場おきなわ)配布数 42 件、回答数 19 件(回収率 45%)
・ 全体の満足度は 81%であった。
満足度内訳:①舞台設備について 94% ②楽屋について 53% ③ロビー・客席について 84% ④劇場職
員の対応について 95% ⑤使用申込みについて 84% ⑥受付期間について 85% ⑦内定時期について
84% ⑧使用料金について 84%
(新国立劇場)
・ 施設利用者への一層のサービス向上を図るため、施設利用についてのアンケート調査を実施した。
【特記事項】
・ 新国立劇場では前年度の東京藝術大学に続き、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、大阪
音楽大学、桐朋学園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関する協定を
締結した。この一環として、提携の大学が、芸術家の育成や音楽研究等、オペラ、バレエ上演の基盤を
支える教育の場として、劇場施設を活用することが期待されている。
・ また、新国立劇場では、オペラ主催公演期間中の休演日に、オペラ研修の一環として舞台を活用するこ
とに貢献した。
《数値目標の達成状況》
【劇場施設の貸与状況】
実績78.6%/目標73.4%(達成度107.1%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館では、26 年度の施設使用の申込を 24 年 12 月に受け付けた。今回より、受付期間を従来の 2 ヶ月間よ
り 1 ヶ月間に短縮したが、特に混乱もなく実施することができた。
・ 演芸場の施設使用の申込みについて、26 年度の使用分より申込み受付開始を前年度から前々年度(25 年 2
月~)に早期化して、貸与日数の増加に努めた。
・ 本館では、26 年度小劇場申込抽選会で、会場に施設利用システム搭載のパソコン等を設置し、受付から抽
選、施設使用申込書や内定通知書発行までを短時間で処理することができた。
・ 文楽劇場の施設使用の申込みについて、27 年度の使用分より申込み受付開始を、本館と同じく前々年度(25
年 12 月~)に早期化して、貸与日数の増加に努めた。
・ 文楽劇場では、大阪の近隣で活動する劇団等との活動連携(5~10 月「むりやり堺筋線演劇祭」への参加)に
より、若い観客層を対象とする劇団の長期演劇公演という従来見られなかった新しいジャンルでの劇場利用を
獲得でき、新たな観客層へ文楽劇場の周知ができた。
・ 国立劇場おきなわでは、全体として利用日数が目標を達成し、特に小劇場の使用効率が 70%を超え、効率
的に劇場を運用することができた。
・ 国立劇場おきなわでは、出演者、稽古室利用者の要望に応え、楽屋口に屋根を設置し階段の高低差を小さく
する改修工事を実施し、楽屋口利用者に使いやすく快適な施設環境を提供することができた。
158
・ 新国立劇場においては、24 年度も引き続きコンサート等、オペラ・バレエ・演劇以外の使用希望団体にも
広く利用に供し、新しい観客を呼び込み、新国立劇場の周知に役立った。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 本館小劇場が目標に届かなかったことから、劇場利用についてさらなる広報・周知に努め利用者の獲得
を図りたい。
・ 新国立劇場では、予約受付の時期を早期化できるよう努めていく。また主催公演の上演や他団体への劇
場貸与と並行して、教育的・学究的見地からの劇場の有効活用についても模索していきたい。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 国立劇場おきなわの大・小劇場と文楽劇場小ホールが 5 割前後と低迷している。その要因分析と対策が求
められる。(①)
・ 新国立劇場オペラ劇場で貸与日数の計画を 3 倍(10→30 日)とするも目標を達成、貸与日数が大幅増(12
→33 日)となった。また、使用効率も前年度比 4.7%増となっていることを評価する。更なる改善を望みたい。
(①)
(振興会評価委員会)
・ 劇場施設の使用効率については、問題になっていたオペラ劇場の貸与日数が増えたことを評価する。ただし
目標設定がもともと低すぎる。少なくとも年間 50 日以上の貸与の目標をできる限り早く達成できるよう、民
間の団体の意見も取り入れながら、劇場を活性化する努力を重ねてほしい。(①)
・ 劇場施設としての魅力をアピールする方策として、例えば各劇場に在籍する経験豊富な舞台技術スタッフ
の技術協力を積極的に案内してみてはどうか。(②)
【対応】
①使用効率等の改善
文楽劇場小ホールについては、劇場施設の内覧会を実施し、既存のジャンルにとらわれず、幅広く劇場使用
を勧誘する。文楽劇場参加の「むりやり堺筋線演劇祭」の参加劇団等に対しても、積極的に劇場使用の勧誘を
行う。
国立劇場おきなわの使用効率改善対策としては、貸劇場の利用申込みが少ない夏場の営業に力を注ぐとともに、
秋口に集中する申込みの分散化を検討することが有効であると思われる。
オペラ劇場の貸与日数の目標を 50 日程度とし、他団体等への劇場貸与と並行して、芸術大学・音楽大学との
連携の一環として劇場貸与をおこなうなど、教育的・学究的見地からの劇場の有効活用についても模索していき
たい。
引き続き、適正な保守点検日や稽古日の設定に努め、舞台の安全と公演の質に留意しつつ、今後も可能な範囲
で貸与可能日の確保に努めたい。
②劇場利用の案内方法の工夫
本館では、24 年度において利用手続きについての説明及び小劇場施設・設備の見学会を開催し、舞台・照明・
音響のスタッフによる説明、質疑応答を行い、劇場利用者のサービス向上に努めた。劇場利用者に対して、希望
者には経験豊富な舞台技術スタッフの派遣を始め、公演プランナーによる各種相談等、今後も積極的に行ってい
く。
能楽堂では、能楽は照明・音響等の舞台技術を演出上使用することはあまりないため、建物が数々の能楽堂
を設計した建築家・大江宏の代表作で、日本建築の伝統的なデザインを取り入れた幽玄な能楽の世界にふさわ
しい和風建築である等、劇場施設のステータスを魅力としてアピールし、利用者の増加を図る。
文楽劇場では、使用申し込み時期の変更にあわせて貸劇場案内パンフレットを更新予定であるが、その際に
ホームページも含めて内容・デザインを工夫して、施設の魅力をアピールするよう努める。
国立劇場おきなわでは、稽古室利用者や実演家の来場機会を積極的に捉え、劇場を利用してもらうための営
業を行っている。その際には、沖縄では一般的ではないが利用者にとって利便性が高い、施設利用の基本サー
ビスに舞台技術スタッフによる技術協力が組み込まれている国立劇場おきなわならではの仕組みも紹介してい
る。
159
160
Ⅰ 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
伝統芸能の伝承者の養成
伝統芸能の伝承者の養成 p.161
歌舞伎(俳優・音楽)p.168
大衆芸能(太神楽)p.170
能楽(三役) p.171
文楽(三業) p.173
組踊(立方・地方) p.174
既成者研修 p.175
実施にあたっての留意事項 p.178
現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修 p.180
オペラ p.184
バレエ p.186
演劇 p.189
実施にあたっての留意事項 p.192
伝統芸能の伝承者の養成:総表
3-(1) 伝統芸能の伝承者の養成
《中期計画の概要》
(1) 伝統芸能の伝承者の養成
ア 伝統芸能の各分野の伝承者について、重要無形文化財保持者等を講師として、実技研修・研修発表
会等を中心とする実践的・体系的なカリキュラムにより、中期目標の期間中に以下の人数の研修修了
を目途とした養成研修を実施する。
① 歌舞伎俳優、音楽伝承者養成:24 人程度(研修期間 2 ないし 3 年間)
② 大衆芸能伝承者養成:4 人程度(研修期間 3 年間)
③ 能楽伝承者養成:基礎課程 5 人程度(研修期間:基礎課程 3 年間、専門課程 3 年間)
④ 文楽伝承者養成:6 人程度(研修期間 2 年間)
⑤ 組踊伝承者養成:9 人程度(研修期間 3 年間)
イ 研修修了生を中心に伝承者の技芸の向上を図るため、次のとおり既成者研修を実施するとともに、
組踊既成者研修の実施について検討を行う。
① 既成者研修発表会
・ 歌舞伎俳優既成者研修発表会(年 2 回程度)
・ 歌舞伎音楽既成者研修発表会(年 1 回程度)
・ 能楽既成者研修発表会(年 3 回程度)
・ 文楽既成者研修発表会(年 3 回程度)
② 能楽研究課程(1 年間)
③ その他必要に応じた研修
ウ 実施に際しては、毎年度の各分野の実情を踏まえ、対象分野の存廃も含めて不断に見直しを行う。
その上で、各分野の伝承者の人数、年齢構成、公開の実施状況等についての把握・調査・検討、研修
修了後の就業機会確保のための関係団体等との協議、外部専門家等の意見等を踏まえつつ、養成すべ
き分野及び人数等を決定する。
(3) 実施に当たっての留意事項
ア 広報活動の充実
イ 児童・生徒等の体験学習や劇場外における様々な文化普及活動への参画
ウ 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
エ 外部評価、研修実施方法等について、外部の有識者等を含めた委員会等において検討し、その結果
を踏まえ、共通科目の統一的実施などメニューや研修実施方法等の改善を図るとともに、事業全体の
経費の効率性の向上に努める。また、研修修了生の動向把握により、成果の検証を行う。
オ 公演制作者や舞台技術者等の実地研修等の受入れ、協力
《年度計画》
3 中期計画に基づき、次のとおり伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の
研修を実施する。
(1) 伝統芸能の伝承者の養成
ア 以下のとおり養成研修を実施する。
① 歌舞伎俳優・音楽
(歌舞伎俳優:研修期間 3 年)
・ 第 20 期生(9 名)の 3 年目の養成を行い、修了を予定。
・ 第 21 期生の募集について検討を行い、実施する予定。
(歌舞伎音楽)
・ 竹本第 20 期生(研修期間 2 年、1 名)の 2 年目の養成を行い、修了を予定。
・ 竹本第 21 期生の募集について検討を行い、実施する予定。
・ 鳴物第 15 期生の募集について検討を行い、実施する予定。
・ 長唄第 5 期生(研修期間 3 年、2 名)の 3 年目の養成を行い、修了を予定。
・ 長唄第 6 期生の募集について検討を行い、実施する予定。
161
②
大衆芸能(太神楽:研修期間 3 年)
・ 第 6 期生(1 名)の 3 年目の養成を行い、修了を予定。
・ 第 7 期生(3 名)の 2 年目の養成を行う。
③ 能楽(ワキ・狂言・囃子:研修期間 6 年)
・ 第 8 期生(4 名)の 5 年目の養成を行う。
④ 文楽(大夫・三味線・人形:研修期間 2 年)
・ 第 25 期生(4 名)の 2 年目養成を行い、修了を予定。
・ 文楽第 26 期生の募集について検討を行い、実施する予定。
⑤ 組踊(立方・地方:研修期間 3 年)
・ 第 3 期生(9 名)の 2 年目の養成を行う。
イ 以下のとおり既成者研修を実施する。
① 既成者研修発表会を以下のとおり実施する。
a. 歌舞伎俳優既成者研修発表会(2 公演実施)
・ 歌舞伎会・稚魚の会合同公演(本館小劇場)8 月 23 日~26 日、8 回
・ 上方歌舞伎会(文楽劇場)8 月 10 日~11 日、4 回
b. 歌舞伎音楽既成者研修発表会(1 公演実施)
・ 音の会(本館小劇場)8 月 4 日~5 日、2 回
c. 能楽既成者研修発表会(3 公演実施)
・ 若手能(京都:観世会館)7 月 28 日、1 回
・ 若手能(大阪:大槻能楽堂)未定、1 回
・ 若手能(東京:能楽堂)3 月 2 日、1 回
d. 文楽既成者研修発表会(4 公演実施)
・ 文楽若手会(文楽劇場)6 月 23 日~24 日、2 回
・ 文楽若手会(本館小劇場)6 月 29 日~30 日、2 回
・ 義太夫節に親しむ会(文楽劇場小ホール)8 月 31 日、1 回
・ 義太夫節に親しむ会(文楽劇場小ホール)3 月 1 日、1 回
e.組踊既成者研修発表会(1 公演実施)
・ 子の会(国立劇場おきなわ大劇場)12 月 15 日、1 回
② 能楽について、研究課程を開講し、研修機会の拡大と伝承者間の交流を促進する。
③ その他必要に応じて、既成者に対する研修を適宜実施する。
ウ 中期計画に従い、今後の募集等に向けて、各分野の伝承者の人数、年齢構成、公演の実施状況等
についての把握・調査・検討を行い、養成すべき分野、研修期間及び人数等について見直しを行う。
その上で、研修修了後の就業機会確保のための関係団体等との協議、外部専門家等の意見等を踏ま
えつつ、養成すべき分野、研修期間及び人数等を決定する。
(3) 実施に当たっての留意事項
ア 広報活動の充実
養成研修事業についての国民の関心を喚起するため、ホームページでの情報発信など広報活動を
充実し、事業の周知徹底に努める。
また、伝統芸能の伝承者の募集について、ホームページでの情報の告知、マスコミ、学校等への
働きかけを積極的に行うほか、研修内容を紹介する広報用 DVD 及びパンフレットの活用、研修見学
会等の内容の充実により応募者の増加を図る。
イ 文化普及活動等への参画
研修生等が実演経験を積む機会の充実を図るため、児童・生徒等の体験学習や劇場外における
様々な文化普及活動への参画に努める。
a. 能楽研修生及び研修修了生による能楽入門者を対象としたワークショップを実施する。また、
児童・生徒が伝統芸能を身近に感じることを目的とした体験教室を小・中学校等において実施す
る。また、震災の被災地において、学校単位での鑑賞型の体験教室を実施する。
b. 文楽研修生及び研修修了生等により、文楽を身近に感じてもらうためのワークショップを学校
等で実施する。
d. 組踊研修修了生による、学校等での組踊ワークショップや劇場外における様々な文化普及活動
162
への参画に努める。
ウ 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
幅広い分野で養成・研修事業を実施している振興会の特長を活かし、伝統芸能分野と現代舞台芸
術分野の相互交流を進め、伝統芸能・現代舞台芸術双方の研修生を対象とした特別合同講義を実施
する。
エ 委員会における検討等
外部専門家による委員会等において、メニューや研修の実施方法等の検討を行うとともに、その
結果を踏まえ、共通科目の統一的実施などの改善を図る。また、研修修了生に現在の活動報告を求
めるなど動向把握に努め、修了後の活動を通じての成果検証等を行う。
オ 公演制作者・舞台技術者等の研修の受入れ等
国の文化振興施策との連携に留意しつつ、国立劇場、新国立劇場等の人材や施設を活用し、公演
制作者や舞台技術者等の実地研修等の受入れ、協力に努める。
《実
績》
1.養成研修の実施
(1) 養成研修の実施
区分
歌舞伎
俳優・音楽
俳優 20 期(3 年次)
3年
9名
9名
9名
15 名
竹本 20 期(2 年次)
2年
1名
1名
1名
3名
25
24 名
-
-
-
-
2名
名
程度
3年
2名
2名
2名
5名
-
-
-
-
-
太神楽 6 期(3 年次)
3年
1名
1名
1名
太神楽 7 期(2 年次)
3年
2名
-
3名
3名
2名
4名
鳴物(休止)
寄席囃子(休止)
基礎課程 3 年
修了者
年度計画
中期計画(20~24 年度)
研修実績
長唄 5 期(3 年次)
大衆芸能
うち
研修期間
修了者累計
2名
4名
程度
基礎課程 4 名、
基礎課程
専門課程 2 名
5 名程度
能楽
8 期(5 年次)
文楽
25 期(2 年次)
2年
4名
4名
4名
9名
組踊
3 期(2 年次)
3年
9名
-
9名
9名
専門課程 3 年
2名
目標
6名
程度
9名
程度
(2) 研修発表会等の実施
・ 新人研修発表会(3 月 13 日、本館小劇場)
歌舞伎俳優第 20 期生、竹本第 20 期生、長唄第 5 期生、太神楽第 6・7 期生の研修発表会を合同で実
施。
・ 能楽研鑽会 3 回(6 月 11 日・10 月 15 日・3 月 11 日、国立能楽堂)、東西合同研究発表会 1 回(8
月 28 日、大阪大槻能楽堂)
・ 第 25 期文楽研修修了発表会(1 月 27 日、文楽劇場)
・ 第 3 期組踊研修生第 3 回発表会(10 月 4 日、国立劇場おきなわ大劇場)、第 3 期組踊研修生第 4 回
発表会(3 月 7 日、国立劇場おきなわ大劇場)
2.既成者研修の実施
(1) 既成者研修発表会の実施
区分
実績
年度計画
公演名
歌舞伎俳優既成者研修発表会
2 公演
2 公演 「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」「上方歌舞伎会」
歌舞伎音楽既成者研修発表会
1 公演
1 公演 「音の会」
能楽既成者研修発表会
3 公演
3 公演 「若手能」(京都公演・大阪公演・東京公演)
「文楽若手会(本館、文楽劇場)」「義太夫節に
文楽既成者研修発表会
4 公演
4 公演
親しむ会(8 月、3 月)」
組踊既成者研修発表会
1 公演
1 公演 第 2 回若手伝承者発表会
163
(2) 能楽研究課程の開講
能楽の既成者研修として引き続き、研修修了生と能楽師子弟を対象に研究課程を開設した。(受講者
43 名)
3.伝承者の実態についての把握・調査・検討
・ 本館で実施している歌舞伎、大衆芸能研修については、伝承者の活動状況の実態を調査し、研修修了
生の動向の把握に努め、研修生・修了生の現状分析を行うとともに、次年度の実施内容・募集内容につ
いての検討を引き続き行った。特に、大衆芸能分野では、休止中の寄席囃子研修並びに開講中の太神楽
研修について、関係団体と協議し、現状及び将来の聞き取りを実施し、今後の養成計画の検討を行った。
・ 能楽研修については、能楽公演実施状況や研修修了生の活動状況について調査するとともに、次期募
集へ向けて能楽(三役)の各流儀へ後継者養成に関するアンケートを実施した。
・ 文楽研修については、文楽協会と協議の上、伝承者の人数、年齢構成、公演の実施状況等を調査し、
将来にわたる中長期的予測・展望の下に、外部専門家等の意見を踏まえながら、実施内容の見直しを行っ
ている。
・ 組踊研修については、組踊研修講師会議を 5 回開催し、研修生の発表会やカリキュラムの内容等につ
いて進捗状況を共有し、技芸の習得状況を踏まえた指導に努めた。修了生には、1 年間の活動報告書を
提出させ、現状把握を行っている。また、外部専門家等の意見を踏まえ、第 4 期についても従来どおり
の人数・研修規模で養成を行うこととし、組踊研修生選考委員会第 1 回会議を開催し、募集や研修内容
等に関する検討を行った。
4.実施に当たっての留意事項
(1) 広報活動の充実
・ 本館では、前年度に作成した全 5 コースを総覧した DVD(歌舞伎俳優・竹本・鳴物・長唄・太神楽
の研修内容・実技指導の様子を映像・音声で紹介)に続き、一般に馴染みの少ない歌舞伎音楽につい
て DVD を作成するため、素材映像の収録等の準備を行った。DVD は、8 月の既成者発表会 2 公演、3 月
の研修生発表会のロビーでの映写、見学対応時、平成 24 年実施の歌舞伎俳優・音楽の4コースの募集
に際して実施した研修説明会等で活用した。
・ 研修見学会は 24 年度募集した歌舞伎俳優・竹本・鳴物・長唄の 4 コース応募希望者を対象に、11 月
18 日(日)、12 月 8 日(土)、1 月 20 日(日)の 3 回実施し、応募希望者のみならず、古典芸能に
関心のある人々を含めた計 85 名の参加を得て、養成事業の広報に努めた。
・ 3 月中旬・下旬に本館の歌舞伎俳優養成事業に対するNHK報道局制作番組の取材に協力し、歌舞
伎座再開場を主とした内容に連動して、振興会における養成事業の意義・必要性を述べた担当理事イ
ンタビュー、研修発表会時の映像が採り上げられた。TV放映後は多くの問い合わせが寄せられ、事
業の周知につながった。
番組名:NHK総合「クローズアップ現代」タイトル「歌舞伎新時代 “日本文化”の行方」
放映日:平成 25 年 4 月 2 日(火) 19:30~19:56
・ 能楽堂では、次期募集へ向けてパンフレット「国立能楽堂能楽(三役)研修概要」を作成した。
・ 文楽劇場では、第 26 期文楽研修生募集の広報活動として、関西圏を中心としたポスターの駅貼りや
新聞への広告掲載を行い、積極的な募集周知を図った。
・ 国立劇場おきなわでは、組踊の養成研修について、研修修了生が学校公演活動を行っている情報を
ホームページに掲載したり、学校で「子の会」
(しーのかい)のパンフレットを配布して周知に努め、
研修生募集の一助とした。
(2) 文化普及活動等への参画
・ 日本体育大学体操部主催第 44 回演技発表会(12 月 16 日(日)、於:国立代々木競技場第 2 体
育館)に、歌舞伎俳優研修生 9 名が出演し、歌舞伎の立廻り・とんぼ等の演技を披露した。また、
同発表会プログラムへの研修生募集告知の掲載や会場でのチラシ配布などの協力を得て、養成事業
の普及と周知活動を行うことができた。
・ 能楽堂では、引き続き渋谷区の社会教育館と共催で「能楽講座」(参加者 50 名)を開催し、好評
を得た。また、普及・振興事業として、「届けます。体験教室」(23 校)文化施設等の「ワークショッ
プ」(5 件)「楽しもう!能の世界」(2 回)を実施し、小学生たちが能楽に親しみを持つ機会を作る
とともに、研修事業の周知に役立てた。
・ 文楽劇場では文楽技芸員や劇場職員により、文楽を身近に感じてもらうための文楽研修見学会を
164
劇場内外で実施した。(8 月文楽劇場研修室(文楽研修説明会)、11 月大阪府立東住吉高校(文楽研
修についての講義)、12 月国立劇場レクチャー室(本館養成課と合同での研修見学会))
・ 国立劇場おきなわでは、親子、生徒等を対象とする鑑賞教室公演に修了生が出演した。また、夏
休み親子劇場探検ツアー(8 月 3・4 日)では、実演や体験を交えた組踊ワークショップに修了生が参
加した。また、沖縄県や教育機関に組踊研修修了生で構成する「子の会」
(しーのかい)のパンフレッ
トを配布し、学校の芸術鑑賞会等に研修修了生を活用するよう依頼した。その結果、県内高等学校 7
校で実施した「芸術鑑賞会」に出演することにより劇場外でも文化普及活動への参画に努めることが
できた。また、南城市芸能公演(2 月 17 日)では、子の会の脚本・演出・出演により、組踊の解説や
創作組踊の公演を実施した。
(3) 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
・ 五館合同特別講義、研修生交流会
12 月 11 日(火)14:30~17:30
講義:国立能楽堂大講義室(2 階)、交流会:食堂(1 階)、施設見学(能舞台・楽屋等)
講師:野村万作(狂言師、第 8 期能楽(三役)研修狂言方主任講師)
講義内容:「良き舞台人になるために」
研修生参加者:50 名及び受講生 1 名(歌舞伎俳優 9 名、竹本 1 名、長唄 2 名、太神楽 3 名、太神
楽受講生 1 名、能楽 3 名、文楽 2 名、組踊 9 名、オペラ 5 名、バレエ 5 名、演劇 11 名)
(4)委員会における検討等
養成事業委員会を 3 月 21 日(木)に開催し、24 年度養成事業実施概要、25 年度養成事業実施計
画及び振興会の 23 年度に係る業務の実績に関する評価、次期第 3 期中期計画(案)・中期目標(案)
等についてご意見を聴取し、検討を行った。
(5) 公演制作者・舞台技術者等の研修の受入れ、協力
歌舞伎鑑賞教室の地方公演において、職員の派遣を行い、現地の技術者等へ協力等を行った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館では、昨年度作成した養成研修事業の周知を図るため研修内容を紹介した広報用 DVD を 8 月の
既成者発表会 2 公演、3 月の研修生発表会のロビーでの映写、見学対応時等の利用で活用し、動画映
像による、より具体的な研修内容の理解につなげることができた。特に 24 年度に実施した歌舞伎俳
優・音楽の4コースの募集に際して実施した研修説明会では、歌舞伎俳優だけでなく、音楽の竹本、
鳴物、長唄の芸能及び養成内容について参加者の理解の大きな一助になった。
・ 太神楽研修では、前年度の成果を踏まえ、引き続き第 6 期生・第 7 期生と、異なる期の研修生が合
同で実技研修を行った。目的を同じくする研修生同士の親交や連帯感が深まるとともに、年度末の修
了を控えた第6期生の真剣さが第7期生技芸向上のための良い刺激になった。
・ 養成事業委員会において、今後の養成事業に反映を図るため、通例議題の評価結果報告・事業実施
状況・事業計画に加え、次期第 3 期中期計画(案)・中期目標(案)について説明し、中期的計画の
観点からも伝承者養成分野や養成人数等について外部識者から意見聴取をした。
・ 第 8 期生 5 年目は、開始時は研修生 4 名(ワキ方 1 名、囃子方小鼓 1 名、狂言方 2 名)だったが、
平成 24 年 12 月に狂言方 1 名が辞退したため 3 名となった。このうちワキ方 1 名と狂言方 1 名の計 2
名は技芸優秀につき主任講師の了承を得て、独立行政法人日本芸術文化振興会伝統芸能伝承者養成研
修規程第 5 条第 2 項の規定により研修期間を短縮し、6 年間のところを 5 年間で平成 25 年 3 月をもっ
て研修を修了した。なお、囃子方小鼓 1 名については、引続き研修を継続する。
・ 20 年度から実施している能楽堂の普及・振興事業も 5 年目となり。今年度は新たに、青森・千葉・
神奈川・山梨・山口熊本の各学校において「体験教室」等を行うとともに、音楽教員を対象とした「能
楽器の体験教室」を初めて実施した。
・ 第 26 期文楽研修生の募集に向けて、文楽劇場で「文楽研修説明会」、東京(国立劇場)で「合同研
修見学会」、大阪府立東住吉高校にて文楽研修についての講義を行い、養成研修事業の紹介ができた。
・ 21 年度から実施している研修生への振興会宿舎提供は、現在東京地区で 2 名(歌舞伎俳優研修生1
名、太神楽研修生1名)が利用している。通常に比べ軽い家賃負担で利用できるため、研修期間中の
生活費の軽減の助けとなっている。24 年度の本館・文楽劇場の研修生選考試験合格者においても、5
名の入居希望者があり、地方出身の応募や受入れを促進できる要因となっている。
165
・
○
昨年度より開始した組踊既成者研修発表会は、2 回目ということもあり順調な集客効果をあげた。
組踊研修修了生が既成者研修をはじめ自主公演、小中高の芸術鑑賞会へ出演し、伝統芸能普及活動を
充実させることで、後継の第 3 期研修生にとっても将来の具体像が見えて、良い刺激となった。
見直し又は改善を要する点
・ 研修修了生で構成する「子の会」の活動が活発になったことは良いことだが、組踊衣裳、道具等の
協力に国立劇場おきなわがどのような支援、関わりを持てるかを検討し、一層の充実を図っていきた
い。
《23年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 意義のある事業ではあるが、国費投入の必要性を国民に説明する必要がある。(①)
・ 定着率の更なる上昇について努力を求めたい。(②)
(振興会評価委員会)
・ 研修辞退者の問題について、ある程度辞退者が出るのはやむを得ないとしても、近年の要因を分析し、
可能な措置があれば講じられるよう望みたい。(②)
・ 国立劇場おきなわがホームページに「組踊伝承者養成」のページを設け、研修修了生の活動状況やメッ
セージを掲載するなど、研修事業を周知する努力をしていることを評価したい。本館で研修生募集用の
DVD を作成したことを評価し、他館にも広げてほしい。(③)
・ 「文楽研修一日体験」や「文楽三業体験教室」、高校での竹本研修生による歌舞伎音楽の実演・実技体
験授業などを実施したことは、養成研修事業の実態を体験的に周知させるための工夫として高く評価で
きる取組であり、更に拡大することを期待したい。(③)
・ 将来的には、適性を早めに判断し最も適した道を選択できるよう、ややゆるやかに、総合的くくりか
ら専門分野へ進んでいくような仕組みを考えることができないだろうか。 (③)
・ 能楽堂や国立劇場おきなわで実施している研修修了生による普及活動が、他の分野でも広がることを
期待する。 (④)
【対応】
①国費で実施する必要性のアピール
国立劇場の養成事業は、我が国の貴重な財産である伝統芸能の伝承者の育成を長期的な観点から実施す
るものである。社会経済情勢の急激な変化などにより、伝承者が直接弟子を抱えて技芸を継承していくこ
とが困難となっている今日、伝統芸能の保持のために必要な後継者の育成や技芸の継承について、国の支
援がますます重要不可欠なものとなっている。
研修生募集にかかる広報活動や研修生・研修修了生が参加する公演・ワークショップを通じて、養成研
修事業の意義と必要性や、研修修了生が後継者の育成に大きな成果を挙げていることを周知し、国民に一
層理解されるよう努める。
②中退辞退の要因分析・改善策の検討
辞退者の要因分析については、聞き取りにより理由の把握に努めている。理由としては、家庭の事情、
経済的事情、身体的理由、進路の見直し等、各々の事情によるものあり、特に目立つ傾向は認められない。
なかには、伝統芸能は外部から馴染みの薄い世界だけに、研修開始後に本人の想像と異なることに起因し
て辞退に至る者もみられる。今後も、研修生の募集段階において研修見学会や広報資料を通じて伝統芸能
の技芸・知識習得、研修内容についての周知を図るとともに、研修中は各研修生の状況把握に努める。
また、履修内容、教授方法、研修環境などについて改善を検討するとともに、研修生の心身の健康管理
や生活環境にも留意して、定着率の向上に努める。
③研修生募集の広報活動・応募方法の工夫
今後も、募集ポスター・チラシの工夫・効果的な配布等の情報提供方法の充実や、研修生説明会や事業
紹介 DVD の作成を継続し、よりきめ細かい募集活動を展開して、応募者を増やす工夫に努める。また、
「や
やゆるやかに、総合的くくりから専門分野へ進んでいくような仕組み」づくりについては、現状では課題
が多いと思われる。多くのコースの研修期間は2年であるが、この期間内で研修生に負担が少ないよう配
慮しながら、修了後、プロの舞台人として必要な基礎技術・知識を習得できるよう、実技、座学、舞台・
楽屋実習等多様なカリキュラムを体系的に組んでいる。一方、研修応募者の多くが 20 代であるため、就業
年齢を考えると研修期間の延長も困難である。そのため、現状のような、ある程度の専門性を前提にした
166
研修の方が効率的であると思われる。
能楽堂では、研修修了生等の若手能楽師が地方の学校等へ赴き、小・中・高校生を対象にワークショッ
プを行う「届けます。体験教室」などを更に充実させ、実技体験等の機会の拡大と研修修了生の活躍の紹
介を通じて、養成事研修事業の周知と理解を図る。
文楽劇場では、募集年次だけではなく、体験学習的なワークショップを継続的に実施している。また、
文楽協会が実施している地方公演においても、積極的に広報の場を設け、幅広い広報活動を行っている。
国立劇場おきなわの研修生募集にあたっては、ホームページに「組踊伝承者養成」のページを設けるほ
か、県内のテレビ・ラジオ・新聞の取材を可能な限り申し入れ、その中で研修制度や募集について広く周
知している。さらに研修生発表会等の助演者等には、次回の研修生募集に応募する可能性のある 10 代から
20 代前半の若手を起用し、研修制度の理解を深め、事前に実体験できる機会にしている。
④文化普及活動等への参加機会の拡充
本館の歌舞伎俳優、歌舞伎音楽等の研修修了生は、東京・大阪・京都・福岡など各地の劇場に幅広く出
演し、普及を目的とした地方公演に修了生も配役され参加している。修了生を中心にした文化普及活動等
については、芸能の性質上舞台を披露するために多数の修了生並びに監修者、指導者及び裏方スタッフの
確保が必要であるため、実現については検討を要する。
文楽研修修了生は、修了後すみやかに文楽技芸員として活動を開始する。その中で地方公演における広
報活動のほか、各種普及活動にも積極的に取り組んでいる。
国立劇場おきなわでは、研修修了生を自主公演に積極的に起用するほか、劇場主催のイベント(シンポ
ジウム、他団体との交流会等)や沖縄県等外部の団体が実施する公演等の出演依頼等に対して、研修修了
生で構成する「子(しー)の会」を紹介し、広く活動の場を提供している。
167
伝統芸能の伝承者の養成:詳細表
3-(1)-① 歌舞伎(俳優・音楽)
《方
針》
国立劇場及びその他の劇場等において開催される伝統芸能の公演に歌舞伎俳優等実演者として出演し、
伝統芸能の保存及び振興に寄与する若く優秀な技芸者を育成する。歌舞伎俳優研修、歌舞伎音楽(鳴物・
長唄)研修においては、1 年目に基礎研修、2 年目に専門研修を行い、3 年目にはそれぞれ実践の場におい
て、すぐに役立つような実技研修を実施し、歌舞伎音楽(竹本)研修においては、1 年目に基礎研修、2 年
目に専門研修と並行し実践の場においての実技研修を行う。
《実
績》
1.研修の実施
歌舞伎俳優(研修期間 3 年):第 20 期生 9 名の 3 年目の研修を実施。
歌舞伎音楽・長唄(研修期間 3 年):第 5 期生 2 名の 3 年目の研修を実施。
歌舞伎音楽・竹本(研修期間 2 年):第 20 期生 1 名の 2 年目の研修を実施。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
授業内容
歌舞伎実技
立廻り・とんぼ
実 技
計 368 回
日本舞踊
義太夫
長唄
鳴物
筝曲
歌舞伎
俳 優
その他
計 173 回
謡曲
鳴物
長唄
その他
計 161 回
米川文子、米川文清
作法・講義
野村万作
体操
天森悦子
公演・稽古見学
舞台・楽屋実習
衣裳・化粧・かつら 松本錦吾、海老沢孝裕
部外研修
その他(発表会等)
合
計
長唄
実 技
計 502 回
主な講師
澤村田之助、中村時蔵、市川團蔵
尾上松太郎、荒木達雄
花柳壽輔、花柳寿楽、花柳錦吾、花柳典幸、
藤間勘祖、藤間勘十郎、藤間弘
竹本朝輝
今藤長十郎、今藤政太郎、今藤美知
田中佐太郎、田中傳次郎、望月太左衛、望月太左寛
講義
体操
公演・稽古見学
舞台・楽屋実習
部外研修
その他(発表会等)
鳥羽屋里長、杵屋淨貢、杵屋巳太郎、杵屋栄十郎、杵
屋十三郎、杵屋長四郎、和歌山富之、鳥羽屋里夕、杵
屋巳津也、杵屋巳丞、杵屋正園、杵屋巳織
坂口貴信
田中佐太郎、田中傳次郎、望月太左衛門、望月太左治、
望月太左一郎
野村万作、配川美加、
天森悦子
合
168
計
回数
127 回
84 回
69 回
21 回
25 回
29 回
13 回
1回
15 回
15 回
114 回
9回
1回
18 回
541 回
433 回
20 回
49 回
12 回
22 回
47 回
76 回
0回
4回
663 回
実 技
計 252 回
竹本
その他
計 221 回
義太夫(竹本)
義太夫
狂言
作法・講義
体操
公演・稽古見学
舞台・楽屋実習
部外研修
その他(発表会等)
竹本喜太夫、竹本葵太夫、竹本谷太夫、竹本東太夫
野澤松也
竹本駒之助、竹本綾之助、竹本朝輝、鶴澤清介
茂山正邦
野村万作、景山正隆、倉田喜弘、近藤瑞男
天森悦子
合
計
152 回
94 回
6回
77 回
22 回
56 回
61 回
1回
4回
473 回
3.発表会
・ 新人研修発表会「第 20 期歌舞伎俳優研修生、第 20 期歌舞伎音楽(竹本)研修生、第 5 期歌舞伎音楽
(長唄)研修生、第 6 期・第 7 期大衆芸能(太神楽)研修生発表会」
歌舞伎俳優第 20 期生、竹本第 20 期生、長唄第 5 期生、太神楽第 6・7 期生の研修発表会を合同で実施
した。
日時:3 月 13 日(水)13:00 開演、1 回公演、会場:国立劇場小劇場
入場料:無料、入場者数:461 人
歌舞伎俳優研修生:歌舞伎「鳥辺山心中」、日本舞踊「島の千歳」、「玉屋」、立廻り「小金吾の
立廻り」
竹本研修生:歌舞伎「鳥辺山心中」、義太夫「団子売」
長唄研修生:長唄「五色の糸」、長唄「正治郎連獅子」、黒みす音楽「黒みす音楽のさまざま」
4.募集・選考の状況
歌舞伎俳優、歌舞伎音楽(竹本・鳴物・長唄)計4コースの研修生募集を実施した。
コース
選考日
応募者数
受験者数
合格者数
歌舞伎俳優
2 月 26 日(火)
15 名
14 名
10 名
歌舞伎音楽(竹本)
2 月 27 日(水)
5名
5名
4名
歌舞伎音楽(鳴物)
3 月 5 日(火)
3名
3名
0名
歌舞伎音楽(長唄)
2 月 22 日(金)
2名
2名
2名
5.今後の募集等に向けた、関係団体等との協議、見直し等
・ 今回募集・選考した歌舞伎4コースについて、選考に際してそれぞれの関係団体担当者、講師が一堂
に会した機会に、実演者の現状や動向、それを踏まえた募集等の方向性などについて意見交換をすると
ともに、振興会の養成事業を取り巻く現状を把握してもらった。
【特記事項】
・ 研修の一環として、講師及び関係者を前にした発表会(「あげざらい」)を実施した(一般非公開)。
○第 20 期歌舞伎俳優研修生・第 20 期竹本研修生 研修発表試演会
日時:平成 24 年 9 月 18 日(火)14:00~16:00
会場:国立劇場大稽古場
内容:歌舞伎「鏡山旧錦絵」営中試合の場(中村時蔵=指導、尾上松太郎=立廻り指導)
「菅原伝授手習鑑」吉田社頭車引の場(市川團蔵=指導、竹本葵太夫=竹本指導)
太鼓「京鹿子娘道成寺」(望月太左衛・望月太左寛=指導)
出演:第 20 期歌舞伎俳優研修生 9 名・第 20 期竹本研修生 1 名
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 予定された研修カリキュラムを順調に実施し、24 年度中に辞退者を出すことなく、歌舞伎俳優 9 名・
竹本 1 名・長唄 2 名、大衆芸能研修生 1 名が研修を修了し、全員が次年度 4 月以降の就業先を決定する
ことがことができた。
169
・
研修カリキュラムでは、第 7 期太神楽研修生以外の各コースが研修期間修了年に当たり、より実戦的
な舞台・楽屋自習などを充実させるよう配慮した。
・ 本館の研修発表会では、研修期間修了年に際し、研修生にとっては難役が課せられる歌舞伎演目「鳥
辺山心中」を採り上げ、修了が迫った研修生の最後の修練と自覚を促す舞台となった。また、太神楽研
修生においては、修了する 6 期生と、7 期生が共演し、授業カリキュラムにおいて合同で実技実習を行っ
てきた成果が出て華やかな舞台であった。
・ 歌舞伎俳優研修期間修了年に、「あげざらい」(研修発表試演会)を実施し、これまでの研修による
各人の技芸習得状況を、講師以外の関係者へも公開し研修成果を把握してもらった。また研修生各人も
技芸習得ができ、有意義な試演会となった。
・ 研修内容を紹介する広報用 DVD を新人研修発表会の開場時や幕間にロビーにて放映したところ、多く
の来場者から高い関心を得た。また、募集に際して開催した研修説明会においても有効活用し、参加者
の研修内容への理解を促進できた。
3-(1)-② 大衆芸能(太神楽)
《方
針》
国立演芸場及びその他の演芸場において開催される伝統芸能の公演に太神楽の実演者として出演し、伝
統芸能の保存、普及及び振興に寄与する優秀な技芸者を養成する。太神楽研修においては、1 年目に基礎
研修を行い、2 年目に上演頻度の高い演目を確実に習得できるよう重点的に研修を行う。3 年目には一層高
度な技の習得及び太神楽に必要な技芸である祭囃子等に取り組む。
《実
績》
1.研修の実施
太神楽(研修期間 3 年):第 6 期生 1 名の 3 年目の研修を実施。
太神楽(研修期間 3 年):第 7 期生 2 名の 2 年目の研修を実施。
2.主な授業及び回数、主な講師
【第 6 期生】
区分
授業内容
主な講師
翁家和楽、翁家小楽、鏡味仙三郎、鏡味勇二郎、
投げもの
鏡味繁二郎
翁家和楽、翁家小楽、鏡味仙三郎、鏡味勇二郎、
立てもの
実 技
鏡味繁二郎
計 422 回
日本舞踊
藤間理衣
望月太左衛、望月太左博巳、望月鏡子、望月美沙輔、
囃子(太鼓・笛等)
鏡味仙志郎、鏡味味千代
寄席囃子
小口けい
野村万作、倉田喜弘、鏡味勇二郎、鏡味正二郎、瀧川
作法・講義
鯉ちゃ、鏡味仙三郎、北川央、鏡味味千代
体操
天森悦子
その他
公演・稽古見学
計 91 回
舞台・楽屋実習
部外研修
北川央
その他(発表会等)
合
計
【第 7 期生】
区分
授業内容
主な講師
実 技
翁家和楽、翁家小楽、鏡味仙三郎、鏡味勇二郎、
投げもの
計 553 回
鏡味繁二郎
170
回数
170 回
126 回
45 回
63 回
18 回
20 回
21 回
21 回
20 回
4回
5回
513 回
回数
211 回
翁家和楽、翁家小楽、鏡味仙三郎、鏡味勇二郎、
鏡味繁二郎、鏡味正二郎
日本舞踊
藤間理衣
囃子(太鼓・笛等) 望月太左衛、望月太左博巳、望月鏡子、望月美沙輔
長唄
杵屋喜三郎、杵屋吉之丞、杵屋寒玉、杵屋勘五郎、
作法・講義
野村万作、倉田喜弘、北川央
体操
天森悦子
公演・稽古見学
部外研修
北川央
その他(発表会等)
合
計
立てもの
その他
計 80 回
176 回
46 回
49 回
71 回
16 回
24 回
31 回
5回
4回
633 回
3.発表会
・ 新人研修発表会
歌舞伎俳優第 20 期生、竹本第 20 期生、長唄第 5 期生、太神楽第 6・7 期生の研修発表会を合同で実
施した。
日時:3 月 13 日(水)13:00 開演、1 回公演、会場:国立劇場小劇場
入場料:無料、入場者数:461 人
太神楽研修生:太神楽「曲桴・五階茶碗・傘」囃子「祭囃子・寄席囃子」
4.募集・選考の状況
・ 次期募集(26 年度開講予定)は、大衆芸能(寄席囃子)を予定している。
5.今後の募集等に向けた関係団体等との協議、見直し等
・ 日本演芸家連合、落語協会、落語芸術協会、太神楽曲芸協会の関係団体と、寄席囃子研修の再開、
太神楽研修の休止について、協議した。
・ 寄席囃子については、関係団体の考え方、現状、今後の動向をヒアリングし協議を行い、再開の必
要性を確認した。現状に即した応募資格等の募集内容、募集方法、講師選定・カリキュラム等の構築
について関係団体と協議、検討し、実施を図る予定である。
・ 太神楽研修については、寄席囃子研修の再開にあたり、第 7 期生の修了をもって休止とすることに
ついて、関係団体との協議において、実演家の現状から問題無いとの確認に至った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 予定された研修カリキュラムを順調に実施することができた。
・ 昨年に引き続き、6 期生・7 期生と異なる期の研修生が、合同で実技研修を行ったが、研修講師の高
い指導力もあり、スムーズに研修を実施することができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 研修辞退者が 1 名あったことについては、その要因を分析して、研修内容・研修方法を見直し、研
修生・講師・職員相互の円滑な意思疎通を図り、研修生の生活環境の改善に努めたい。
3-(1)-③ 能楽(三役)
《方
針》
国立能楽堂ほか各能楽堂に出演する三役(ワキ方・囃子方・狂言方)の実演家を育成するため、第 8 期
生に専門課程(3 年間)の 2 年次計画を実施する。専門課程 2 年目(通算 5 年目)のカリキュラムは、そ
れぞれ「ワキ」「小鼓」「狂言」の各専攻実技の更なる習得を目指すとともに、楽屋実習、舞台実習など実
践の場での研修による技能の習得も目指す。
《実
績》
1.研修の実施
171
能楽(三役)研修(基礎課程 3 年、専門課程 3 年)第 8 期生 4 名(ワキ方 1 名、小鼓方 1 名、狂言方
2 名)の 5 年目の研修を実施。それぞれ専攻実技と、副科(シテ謡・笛・大鼓・太鼓・講義)の研修も
実施し、成果を能楽研鑽会(3 回)において発表した。
平成 24 年 12 月に狂言方 1 名が辞退したため 3 名となった。このうちワキ方 1 名と狂言方 1 名の計 2
名は技芸優秀につき主任講師の了承を得て、独立行政法人日本芸術文化振興会伝統芸能伝承者養成研修
規程第 5 条第 2 項の規定により研修期間を短縮し、6 年間のところを 5 年間で 25 年 3 月をもって研修を
修了した。
なお、囃子方小鼓 1 名については、引き続き研修を継続する。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
授業内容
主な講師
回数
ワキ
ワキ謡・型 (福王流) 福王茂十郎、福王和幸、福王知登
185 回
小鼓
観世流
観世豊純、観世新九郎
181 回
狂言
狂言・間狂言 (和泉流) 野村万作、野村萬斎、石田幸雄
179 回
シテ謡
観世流
観世清和、木月孚行、山階彌右衛門
62 回
笛
一噌流
一噌庸二、藤田次郎
24 回
大鼓
高安流
安福建雄、國川純、安福光雄、柿原弘和
45 回
太鼓
観世流
観世元信、観世元伯
25 回
和裁
堂本朋子
15 回
講義
五館合同特別講義
野村万作
1回
楽屋・舞台
楽屋作法など
福王茂十郎、観世新九郎、野村万作
399 回
実習
合
計
1,140 回
3.発表会
(1)「能楽研鑽会」(3 回実施)
・「第 25 回能楽研鑽会」
6 月 11 日(月)16:00 開演、国立能楽堂能舞台
狂言「成上り」、舞囃子「草子洗小町」小鼓、能「養老」ワキ・アイ
事前申込制:応募者 775 名(当選者 550 名)
・「第 26 回能楽研鑽会」
10 月 15 日(月)16:00 開演、国立能楽堂能舞台
狂言「昆布売」、能「賀茂」ワキ・小鼓
事前申込制:応募者 918 名(当選者 570 名)
・「第 27 回能楽研鑽会」
3 月 11 日(月)16:00 開演、国立能楽堂能舞台
狂言「清水」、舞囃子「菊慈童」小鼓、能「清経」ワキ
事前申込制:応募者 889 名(当選者 570 名)
(2)「東西合同研究発表会」(1 回実施)
・「第 43 回東西合同研究発表会」(主催:大阪能楽養成会 共催:京都能楽養成会・国立能楽堂)
8 月 28 日(火) 10:30 開演、大阪大槻能楽堂
舞囃子「草紙洗」「放下僧」小鼓
入場者数:352 人(入場率 70.1%)
4.募集・選考の状況
次期第 9 期能楽(三役)研修(26 年度開講予定)の研修生募集の準備として、ワキ方(3 流儀)、囃
子方(笛 3 流儀・小鼓 4 流儀・大鼓 5 流儀・太鼓 2 流儀)、狂言方(2 流儀)へ、後継者養成に関す
るアンケートを実施した。
5.今後の募集等に向けた、関係団体等との協議、見直し等
講師会議(2 回実施)を開催して研修内容・研修方法について意見を徴するとともに、研修修了生の
活動状況について調査して、今後の募集等に向けた検討を行った。
次期第 9 期能楽(三役)研修(26 年度開講予定)については、関係団体と協力連携し、また、募集方
法を見直し広報用 DVD や冊子を活用して積極的な募集を図る。
172
【特記事項】
・研修の一環として、講師及び関係者を前にした発表会を実施した(一般非公開、3 回実施)。
・「第14回稽古会」
日時:4月23日(月) 16:00開演、1回公演、会場:国立能楽堂研修能舞台
狂言「成上り」、舞囃子「田村」小鼓、能「養老」ワキ・アイ
・「第15回稽古会」
日時:7月23日(月) 16:00開演、1回公演、会場:国立能楽堂研修能舞台
狂言「入間川」、舞囃子「松虫」小鼓、能「鵺」ワキ・アイ
・「第16回稽古会」
日時:2月18日(月) 16:00開演、1回公演、会場:国立能楽堂研修能舞台
狂言「清水」、舞囃子「源氏供養」小鼓、能「清経」ワキ
《自己点検評価》
・ 第 8 期生 5 年目は、開始時は研修生 4 名(ワキ方 1 名、囃子方小鼓 1 名、狂言方 2 名)だったが、24
年 12 月に狂言方 1 名が辞退したため 3 名となった。このうちワキ方 1 名と狂言方 1 名の計 2 名は技芸優
秀につき主任講師の了承を得て、独立行政法人日本芸術文化振興会伝統芸能伝承者養成研修規程第 5 条
第 2 項の規定により研修期間を短縮し、6 年間のところを 5 年間で 25 年 3 月をもって研修を修了した。
なお、囃子方小鼓 1 名については、引続き研修を継続する。
・ 東西合同研究発表会では、京都・大阪の各養成会研修生等と合同で参加し、相互交流を深めた。
・ 研修では初めて「和裁」の授業を実施。研究生も参加して装束の簡単な修繕方法を実習し成果を挙げ
た。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 研修辞退者が 1 名あったことについては、その要因を分析して、研修内容・研修方法を見直し、研修
生・講師・職員相互の円滑な意思疎通を図り、研修生の生活環境の改善に努めたい。
3-(1)-④ 文楽(三業)
《方
針》
国立劇場、国立文楽劇場等で実施する文楽公演における大夫・三味線・人形の後継者を育成するため、2
年間の基礎的研修を行う。2 年目は、舞台実習を多く取り入れるなど、実践的技能の習得を目指す。
《実
績》
1.研修の実施
第 25 期生 4 名の 2 年目の研修を実施。(内訳:三味線 2 名、人形 2 名)
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
授業内容
主な講師
回数
義太夫・
義太夫の実践等
竹本住大夫、豊竹嶋大夫、野澤錦糸
3回
三味線
鶴澤寛治、竹澤團七、鶴澤清友、鶴澤清介、野澤錦糸、
169 回
三味線
三味線の実践等
鶴澤燕三、竹澤宗助
吉田和生、桐竹勘十郎、吉田玉女、吉田玉也、豊松清十
46 回
人形実技
人形の足の遣い方等
郎
野村万作、倉田喜弘、高木浩志、阪口弘之、山田智恵子、
39 回
講義
文楽の歴史・概論等 荻田清、望月太明藏、技術係かしら担当職員、技術係床
山担当職員
舞
日本舞踊
山村若
6回
作法
茶道
安田宗敏
14 回
その他
稽古・公演見学
57 回
その他
舞台実習等
579 回
合
計
913 回
173
3.発表会
「第 25 期文楽研修修了発表会」(1 月 27 日(日)、14:00 開演、文楽劇場、入場者 420 名)
「団子売」(三味線、人形専攻)
素浄瑠璃「菅原伝授手習鑑」喧嘩の段(三味線専攻)
素浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」裏門の段(三味線専攻)
「ひらかな盛衰記」逆櫓の段(人形専攻)
4.募集・選考の状況
第 26 期文楽研修生募集のポスター・チラシを作成し、ポスターの駅掲示や新聞広告を利用するなどの他、
大阪府下の高校や中学校・近畿圏の公共ホール・NHK 各放送局に対して、研修生募集周知の依頼を行った。
第 26 期文楽研修生を募集し、選考試験を 10 月 30 日、3 月 15 日の 2 回実施した。5 名(受験生 6 名中)
が合格。
5.今後の募集等に向けた、関係団体等との協議、見直し等
文楽研修については、文楽協会と協議の上、伝承者の人数、年齢構成、公演の実施状況等を調査し、将
来にわたる中長期的予測・展望の下に、外部専門家等の意見を踏まえながら、実施内容の見直しを行って
いる。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
講義のカリキュラムを組むにあたっては、講師の多くが文楽の技芸員であることから、時間の制約を受
けることが非常に多くなっている。講師陣とコミュニケーションを深め、効率的なカリキュラム作りに努
めている。
通常の講義に加え、三味線の製作現場見学や、公演の演目にゆかりの地を訪ねて講師の話を聞く部外研
修も積極的に行い、芸能に対する理解を深めることができた。
第 26 期文楽研修生の募集に向けて、文楽劇場で「研修説明会」
、東京(国立劇場)で「合同研修見学会」、
大阪府下の高校にて文楽研修についての講義等を行い、養成研修事業の紹介ができた。
3-(1)-⑤ 組踊(立方・地方)
《方
針》
国立劇場おきなわ等において、組踊の保存振興に寄与することを目的とし、将来にわたり質の高い優れ
た立方・地方を確保し、興行的かつ定期的に組踊の公演を行うことができるよう、組踊伝承者養成研修を
実施する。
《実
績》
1.研修の実施
第 3 期生 9 名の 2 年目の研修を実施。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
授業内容
主な講師
回数
組踊実技
立方・地方
宮城能鳳、城間德太郎、比嘉聰
312 回
副実技
琉球舞踊・箏等
玉城節子、安里ヒロ子、大湾清之、新城清弘
39 回
基礎実技
発声訓練等
宮里京子、川畑三矢、小波則夫、幸地貞子
96 回
講義研修
琉球方言基礎
波照間永吉
11 回
詞章研究
大城學
8回
演劇・舞踊論
田中英機
8回
琉球音楽論
金城厚
8回
鑑賞・見学研修等
歌舞伎鑑賞等
野村万作
24 回
その他
研修発表会等
4回
合
計
510 回
174
3.発表会(2 回実施)
・ 第 3 期組踊研修生第 3 回発表会(10 月 4 日(木)19:00~20:45、国立劇場おきなわ大劇場、入場者
496 名)
発表演目:組踊「銘苅子」
、舞踊「作田」「前之浜」
・ 第 3 期組踊研修生第 4 回発表会( 3 月 7 日(木)19:00~20:40、国立劇場おきなわ大劇場、入場者
454 名)
発表演目:組踊「孝行の巻」
、琉球舞踊「谷茶前」、
「鳩間節」
4.募集・選考の状況
第 4 期組踊研修生(研修期間 3 年)の募集に向けて、25 年 3 月 4 日(月)
、第 4 期組踊研修生選考
委員会第 1 回会議を開催した。
5.今後の募集等に向けた、関係団体等との協議、見直し等
組踊研修講師会議を 5 回実施し、発表会やカリキュラムの内容等について進捗状況を共有し、技芸
の習得状況を踏まえた指導に努めた。また、半年ごとに組踊研修講師から研修生の評価表の提出を受
け、それをもとに今後の研修の実施や募集等に関する検討会を実施した。
【特記事項】
・ 平成25年3月特別企画公演「聞得大君誕生」の舞台稽古を研修生・研修修了生・講師ともに見学した。
同じ伝統芸能でもジャンルの異なる歌舞伎俳優の坂東玉三郎と共演した研修修了生をはじめ、第3期研修
生にとっても大きな収穫となった。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 25年3月特別企画公演「聞得大君誕生」の公演実施により、県内外で組踊への関心が深まり、研修
修了生及び研修生の伝統芸能伝承への意識が高まった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 第4期生募集に向けては、従来のホームページによる情報発信や学校でのチラシ配布に加え、沖縄県立
芸術大学などで直接、説明会を設けるなど、広報等のさまざまな工夫が必要となる。
3-(1)-⑥ 既成者研修
《方
針》
研修修了生の技芸の一層の向上を図るとともに、就業者としての意識の向上を促すため、既成者研修発
表会等の公演を行う。さらに既成者の技芸の向上のため、必要に応じて各種研修を適宜実施する。
1.発表会
引き続き既成者研修発表会を実施することとする。
歌舞伎俳優 2 回・歌舞伎音楽 1 回・能楽 3 回・文楽 3 回
2.能楽の研究課程の開講
能楽の既成者研修として、引き続き、研修修了生と能楽師子弟を対象に研究課程を開設する。
《実
績》
1.既成者研修発表会
(1) 歌舞伎俳優既成者研修発表会(実績 2 回・目標 2 回)
期間
日数・回数
会場
第 18 回稚魚の会・歌舞伎会合同公演
8/23(木)~26(日)
4日8回
本館小劇場
内容:「絵本太功記」尼ヶ崎閑居の場(中村魁春・市川團蔵=監修・指導)、「妹背山婦女庭訓」道行恋
苧環(藤間勘祖=振付)、「身替座禅」(藤間勘祖=振付)
開演時間:11:00/16:00
入場料金:4,000 円(学生 2,800 円)、障害者割引 2 割引、入場者数 3,315 人(入場率 79.4%)
第 22 回上方歌舞伎会
期間
8/10(金)~11(土)
175
日数・回数
2日4回
会場
文楽劇場
内容:「恋飛脚大和往来」新町井筒屋の場―封印切―、新口村の場(片岡仁左衛門・片岡秀太郎・片岡我
當=指導)、「加賀の千代」「うかれ角兵衛」「浮無瀬の猩々」(山村若=振付)
開演時間:11:00/16:00
入場料金:4,000 円(学生 2,800 円)、障害者割引 2 割引、入場者数 2,288 人(入場率 84.5%)
(2) 歌舞伎音楽既成者研修発表会(実績 1 回・目標 1 回)
期間
日数・回数
会場
第 14 回音の会
8/4(土)~5(日)
2日2回
本館小劇場
内容:鳴物・長唄「老松」、長唄「五條橋」、長唄「めりやす 女気」、鳴物・長唄「正治郎 連獅子」、
歌舞伎「新版歌祭文」野崎村百姓久作住家の場・同 土手の場(中村福助=監修・指導)
開演時間:16:00
入場料金:2,500 円(学生 1,750 円) 、障害者割引 2 割引、入場者数 955 人(入場率 91.5%)
(3)能楽既成者研修発表会(実績 3 回・目標 3 回)
期間
日数・回数
会場
7/28(土)
1日1回
京都観世会館
内容:能「小督」、舞囃子「放下僧」「実盛」「天鼓」、狂言「伯母ケ酒」、能「船弁慶」
開演時間:11:00
入場料金:3,000 円(当日)2,500 円(前売・一般)1,500 円(学生)
入場者数:516 人(入場率 108.9%)
第 22 回能楽若手研究会:「若手能」京都公演
期間
日数・回数
1/19(土)
1日1回
内容: 能「杜若」、素囃子「鞨鼓」、狂言「棒縛」、能「安達原」
開演時間:13:00
入場料金:3,000 円(当日)2,700 円(前売・一般)1,500 円(学生)
入場者数:512 人(入場率 102.0%)
第 22 回能楽若手研究会:「若手能」大阪公演
期間
3/2(土)
第 22 回能楽若手研究会:「若手能」東京公演
日数・回数
1日1回
会場
大阪大槻能楽堂
会場
国立能楽堂
内容:能「杜若」、狂言「鎌腹」、能「安達原」
開演時間:13:00
入場料金:正面 3,000 円・脇正面 2,500 円(学生 1,800 円)・中正面 2,000 円(学生 1,400 円)、障害者
2 割引
入場者数:582 人(入場率 92.8%)
(4)文楽既成者研修発表会(実績 4 回・目標 4 回)
期間
日数・回数
会場
6/23(土)~24(日)
2日2回
文楽劇場
内容:「二人三番叟」「義経千本桜」すしやの段、道行初音旅
開演時間:13:00
入場料金:2,000円(学生1,400円)、障害者割引2割引、入場者数1,379人(入場率94.3%)
第 12 回文楽若手会
第 1 回文楽若手会
期間
日数・回数
6/29(金)~30(土)
2日2回
会場
国立劇場
小劇場
内容:「二人三番叟」「義経千本桜」すしやの段、道行初音旅
開演時間:13:00
入場料金:2,500円(学生1,800円)、障害者割引2割引、入場者数1,080人(入場率97.6%)
176
期間
日数・回数
会場
文楽劇場
8/31(金)
1日1回
小ホール
内容:「絵本太功記」妙心寺の段(豊竹靖大夫、豊澤龍爾)、「日吉丸稚桜」駒木山城中の段(豊竹芳穂
大夫、野澤喜一朗)
開演時間:18:30
入場料金:1,000円(学生700円)、障害者割引2割引、入場者数155名(入場率97.5%)
期間
日数・回数
第 11 回義太夫節に親しむ会
第 12 回義太夫節に親しむ会
会場
文楽劇場
3/1(金)
1日1回
小ホール
前(豊竹睦大夫、鶴澤清馗)、後(豊竹希大夫、鶴澤清丈)
内容:「一谷嫩軍記」熊谷陣屋の段
開演時間:18:30
入場料金:1,000円(学生700円)、障害者割引2割引、入場者数161名(入場率101.3%)
(5)組踊既成者研修発表会(実績 1 回・目標 1 回)
第 2 回若手伝承者発表会
期間
日数・回数
会場
12 月 15 日(土)
1日1回
国立劇場おき
なわ大劇場
内容:組踊「手水の縁」
、琉球舞踊「女特牛節」
、斉唱「出砂節」・
「辺野喜節」
開演時間:14:00
入場料金:2,000円(学生1,000円)、障害者割引、友の会・団体割引等、入場者数 308人(入場率 53.3%)
2.能楽研究課程
研究生 43 名が受講した(実施回数:420 回)。本課程では、若手能楽師が専攻以外の副科(シテ謡・
笛・小鼓・大鼓・太鼓)を受講し、他役・他流との交流を経験し研鑽を積んだ。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 今年度、周囲の要望に応え、文楽若手会が東京でも開催され、若手にとって貴重な研鑽の場として好
評を博した。
・ 8 月開催の音の会、稚魚の会・歌舞伎会合同公演については、各ジャンルの若手俳優、演奏家が参加し、
意義深い既成者研修の場となった。特に音の会は本年度より長唄修了生による発表の演目が加わり、よ
り充実した会の展望が期待できる契機となった。
・ 「若手能」は、京都公演・大阪公演、東京公演ともに多くの観客を動員することができた。出演者が
積極的に集客活動を行い、若い観客が増加傾向にあることは良い傾向である。また、東京公演では、振
興会ホームページに公演広報を掲載して、観客動員とともに養成修事業を周知することができた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 能楽若手研究会の東京公演は毎回 90%以上の入場率であるが、次年度は国立能楽堂開場 30 周年にあ
たるため、これまでの能楽(三役)研修の成果を示す公演を企画して、宣伝方法を検討し、より集客増
を目指したい。
177
3-(1)-⑦ 実施に当たっての留意事項
《実
績》
1.広報活動の充実
・ 本館では、既に作成した研修事業紹介の媒体(冊子、DVD)を活用して日常の広報活動に役立てたほ
か、「研修見学会」を、11 月 18 日(日)、12 月 8 日(土)、1 月 20 日(日)の計 3 回実施し、24
年度募集した歌舞伎俳優・竹本・鳴物・長唄の 4 コース応募希望者の他、古典芸能に関心のある人々を
含めた計 85 名の参加を得て、養成事業の広報に努めた。
・ 応募期間中に、新聞に 11 回雑誌等に 9 回募集広告を掲載した結果、応募者増につながった。
・ 3 月中旬・下旬に本館の歌舞伎俳優養成事業に対する NHK 報道局制作番組の取材に協力し、歌舞伎
座再開場を主とした内容に連動して、振興会における養成事業の意義・必要性を述べた担当理事イン
タビュー、研修発表会時の映像が採り上げられた。TV 放映後は多くの問い合わせが寄せられ、事業の
周知につながった。
・ 能楽堂では、次期募集へ向けて、写真を多用したわかりやすいパンフレット「国立能楽堂能楽(三
役)研修概要」を作成した。
・ 国立劇場おきなわでは、今年度も引き続き沖縄県や教育機関に組踊研修修了生「子の会」
(しーのか
い)のパンフレット配布や、ホームページで研修修了生が学校公演活動を紹介する広報を行った。
2.文化普及活動等への参画
(本館)
・ 日本体育大学体操部主催第第 44 回演技発表会(12 月 16 日(日)、於:国立代々木競技場第 2 体
育館)に、歌舞伎俳優研修生 9 名が出演、歌舞伎の立廻り・とんぼ等の演技を披露した。また、同
発表会プログラムへの研修生募集告知の掲載や会場でのチラシ配布などの協力を得て、養成事業の
普及と周知活動を行うことができた。
(能楽堂)
・ 研修生及び研修修了生を講師として以下の講座・ワークショップを実施し、能楽の普及振興を図っ
た。
○ 一つの能楽器を集中的に稽古する「連続講座」(有料 6 月「大鼓」全 5 回 応募者 44 名)を
実施し、最終日にはミニ発表会を開催した。
○ 研修能舞台にて実施する「楽しもう!能の世界」(体験+舞台鑑賞)(9 月「舞の世界」応募
者 51 名、11 月「狂言」応募者 21 名)を継続して実施した。「舞の世界」は上級者向けの新講
座で、初心者向けから一歩進んだ企画となった。
○ 学校における「届けます。体験教室」(東京 1 校、地方 22 校で実施、体験参加者 1,117 名、
鑑賞会形式参加者 1,580 名)を継続して実施した。
○ 地域の社会教育館と連携した「能楽講座」(6 月全 7 回、参加者 50 名)、地方の文化会館を
利用して行うワークショップ(新潟・赤穂)を引き続き実施した。
(文楽劇場)
・ 文楽技芸員の協力も得て「研修説明会」を劇場内で開催し、養成研修事業の意義を周知した。(8
月 29 日(水)、国立文楽劇場第 7 研修室、8 名参加)
・ 大阪府立東住吉高校芸能文化科 3 年生 39 名を対象に養成事業についての講義を実施した。(11 月
28 日(水)東住吉高校内)
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわでは、組踊研修修了生が実演経験を積む機会づくりの促進と組踊の普及を図るた
め、国立劇場おきなわ社会人のための組踊教室(6 月 24 日)
、親子のための組踊鑑賞教室(8 月 11 日)
、
生徒のための組踊鑑賞教室(11 月 15・16 日)や夏休み親子劇場探検ツアー(8 月 3・4 日)のなかの
実演や、体験を交えた組踊ワークショップへ修了生を起用している。
・ 劇場外でも上記1の広報活動の結果、沖縄県立小禄高等学校(10 月 15 日)
、沖縄県立開邦高等学
校(10 月 19 日)
、沖縄県立宜野湾高等学校(11 月 7 日)、沖縄県立八重山高等学校・八重山商工高等
学校・八重山農林高等学校(11 月 8 日)
、沖縄県立南風原高等学校(12 月 12 日)での「芸術鑑賞会」
に研修修了生が出演し、文化普及活動への参画に努めた。
178
3.伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
幅広い分野で養成・研修事業を実施している振興会の特長を活かし、各分野の研修生が一堂に会して
一流の舞台芸術家から舞台に対する心構えを学ぶとともに、伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交
流を図った。
・ 五館合同特別講義、研修生交流会
12 月 11 日(火)14:30~17:30
講義:国立能楽堂大講義室(2 階)、交流会:食堂(1 階)、施設見学(能舞台・楽屋等)
講師:野村万作(狂言師、第 8 期能楽(三役)研修 狂言方主任講師)
講義内容:「良き舞台人になるために」
研修生参加者:50 名及び受講生 1 名(歌舞伎俳優 9 名、竹本 1 名、長唄 2 名、太神楽 3 名、太神楽
受講生 1 名、能楽 3 名、文楽 2 名、組踊 9 名、オペラ 5 名、バレエ 5 名、演劇 11 名)
4.委員会における検討等(メニューや研修の実施方法等の検討、研修修了生の動向把握)
養成事業委員会を 3 月 21 日(木)に開催し、24 年度の実施状況、25 年度事業実施計画及び振興会の
23 年度に係る業務の実績に関する評価等について検討を行った。
5.公演制作者・舞台技術者等の研修の受入れ、協力
・ 歌舞伎鑑賞教室の地方公演において、職員の派遣を行い、現地の技術者等へ協力等を行った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 本館では、歌舞伎関連 4 コースの開講準備となり、多様な方面に研修事業をアピールできる機会と
なり、研修生募集と供に研修事業や伝統芸能の継承の必要性まで含め広報できた。今後も多角的に内
容を充実させつつ広報活動に努めていきたい。
・ 能楽堂では、次期募集へ向けて、写真を多用したわかりやすいパンフレット「国立能楽堂能楽(三
役)研修概要」を作成した。
「ワークショップ」
「体験教室」については、新たに青森・千葉・山梨・山口・熊本の各県において実施
した。生徒・学生が大人数の場合は「装束付き舞囃子による鑑賞教室形式」も試みたが、大変好評で
あった。さらにその内容を検討し、一層の充実を図りつつ継続して行っていきたい。
・ 組踊研修の広報活動については、沖縄県や教育機関等への働きかけを行い、また、既成者研修発表
会や第 3 期生の研修発表会に向け新聞取材を可能な限り受け入れ、これらの発表会の告知と組踊研修
事業を広く周知した。さらに、ホームページに研修修了生による学校公演等の写真、研修生の活動等
を掲載し、充実した広報ができた。
・ 五館合同特別研修講義は 5 回目の実施となり、伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の研修生の相互交
流が一層深まり、振興会役員との質疑応答など、大変意義のある時間を持つことができた。
・ 歌舞伎の地方公演の際に職員を派遣することで、歌舞伎の舞台づくりを通して、現地の技術者等へ
舞台技術の指導を行うことが出来た。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 本館では、研修辞退者が 1 名あったことについては、その要因を分析して、研修内容・研修方法を
見直し、研修生・講師・職員相互の円滑な意思疎通を図り、研修生の生活環境の改善に努めたい。
・ 能楽堂では、研修辞退者が 1 名あったことについては、その要因を分析して、研修内容・研修方法
を見直し、研修生・講師・職員相互の円滑な意思疎通を図り、研修生の生活環境の改善に努めたい。
179
現代舞台芸術の実演家等の研修:総表
3-(2) 現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
《中期計画の概要》
(2) 現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
高い技術と豊かな芸術性を備えた実演家等を育成するため、実演家等の研修を次のとおり実施する。
ア オペラ研修及びバレエ研修については、国際的な活躍が期待できる水準の実演家を育成することを
目標とし、演劇研修については、確かな演技力等を備えた次代の演劇を担う実演家を育成することを
目標として、第一線で活躍する各分野の専門家等を講師として実践的・体系的なカリキュラムにより、
中期目標の期間中に以下の人数の研修修了を目途とした研修を実施する。
① オペラ研修:25 人程度(研修期間 3 年間)
② バレエ研修:30 人程度(研修期間 2 年間)
③ 演劇研修:75 人程度(研修期間 3 年間)
イ 実施に際しては、対象とする分野、人数等について、関係団体等の要望、専門家の意見等を踏まえ、
計画的・系統的に行うとともに、成果の検証とその結果に基づき、研修分野・規模について不断の見
直しを行う。
(3) 実施に当たっての留意事項
ア 広報活動の充実
イ 児童・生徒等の体験学習や劇場外における様々な文化普及活動への参画
ウ 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
エ 外部評価、研修実施方法等について、外部の有識者等を含めた委員会等において検討し、その結果
を踏まえ、共通科目の統一的実施などメニューや研修実施方法等の改善を図るとともに、事業全体の
経費の効率性の向上に努める。また、研修修了生の動向把握により、成果の検証を行う。
オ 公演制作者や舞台技術者等の実地研修等の受入れ、協力に努める。
《年度計画》
3 伝統芸能の伝承者の養成及び現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
(2) 現代舞台芸術の実演家その他の関係者の研修
ア 以下のとおり研修を実施する。
① オペラ研修(研修期間 3 年)
・ 第 13 期生(4 名)の 3 年目の研修を行い、修了を予定。
・ 第 14 期生(5 名)の 2 年目の研修を行う。
・ 第 15 期生(5 名)の 1 年目の研修を行う。
・ 第 16 期生(5 名程度)の募集を行う。
・ 研修発表会等(3 公演実施)
a. 研修公演(新国立劇場中劇場)
3 月 1 日~3 日、3 回
b. 試演会 オペラ・ハイライツ(新国立劇場小劇場)
7 月 28 日~29 日、2 回
c. 歌唱コンサート(新国立劇場中劇場)8 月下旬~10 月下旬、1 回
・ 修了後の国際的なキャリア形成を目標とし、春季(4 月)及び秋季(10~11 月)に海外研修
を行う。
・ オペラ研修所第 16 期生について、多くの応募者を確保するため、選考を早期(秋季)に実
施する。
② バレエ研修(研修期間 2 年)
・ 第 8 期生(6 名)の 2 年目の研修を行い、修了を予定。
・ 第 9 期生(6 名程度)の 1 年目の研修を行う。
・ 第 10 期生(6 名程度)の募集を行う。
なお、予科生については以下の通り研修及び募集を行う。
・ 第 3 期生(2 名)の 2 年目の研修を行う。
180
・
・
・
第 4 期生(若干名)の 1 年目の研修を行う。
第 5 期生(若干名)の募集を行う。
研修発表会等(3 公演実施)
a. 合同発表会(新国立劇場中劇場)
10 月 28 日、1 回
b. 研修公演(新国立劇場中劇場)
2 月 16 日~17 日、2 回
c. 「バレエ・アステラス★2012」
(新国立劇場オペラ劇場)
7 月 22 日、1 回
③ 演劇研修(研修期間 3 年)
・ 第 6 期生(15 名)の 3 年目の研修を行い、修了を予定。
・ 第 7 期生(12 名)の 2 年目の研修を行う。
・ 第 8 期生(12 名)の 1 年目の研修を行う。
・ 第 9 期生(12 名程度)の募集を行う。
・ 研修発表会等(4 公演実施)
a. 修了公演(新国立劇場小劇場)
2 月上旬
b. 研修公演(新国立劇場小劇場)
8 月または 9 月
c. 試演会 2 公演
・ 第 6 期生試演会①(新国立劇場小劇場)7 月下旬
・ 第 6 期生試演会②(新国立劇場小劇場)12 月中旬
イ 研修の実施に当たっては、対象とする分野、人数等について、関係団体等の要望、専門家の意見
等を踏まえ、成果の検証とその結果に基づき、研修分野・規模について、引き続き見直しを行う。
また、バレエ研修所におけるバレエ教師の養成、演劇研修における演出家の養成について、海外の
実施状況やその実施の可能性等を調査する。
(3) 実施に当たっての留意事項
ア 広報活動の充実
養成研修事業についての国民の関心を喚起するため、ホームページでの情報発信など広報活動を
充実し、事業の周知徹底に努める。
イ 文化普及活動等への参画
研修生等が実演経験を積む機会の充実を図るため、児童・生徒等の体験学習や劇場外における
様々な文化普及活動への参画に努める。
c. オペラ研修、バレエ研修、演劇研修において、研修生による発表会等を全国で実施するように
努めるとともに、他の劇場、コンサートホールや文化施設、協賛企業などと協力し、研修生及び
研修修了生の外部公演への出演依頼に積極的に応じて、文化普及活動への参画に努める。
ウ 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
幅広い分野で養成・研修事業を実施している振興会の特長を活かし、伝統芸能分野と現代舞台芸
術分野の相互交流を進め、伝統芸能・現代舞台芸術双方の研修生を対象とした特別合同講義を実施
する。
エ 委員会における検討等
外部専門家による委員会等において、メニューや研修の実施方法等の検討を行うとともに、その
結果を踏まえ、共通科目の統一的実施などの改善を図る。また、研修修了生に現在の活動報告を求
めるなど動向把握に努め、修了後の活動を通じての成果検証等を行う。
オ 公演制作者・舞台技術者等の研修の受入れ等
国の文化振興施策との連携に留意しつつ、国立劇場、新国立劇場等の人材や施設を活用し、公演
制作者や舞台技術者等の実地研修等の受入れ、協力に努める。
《実
績》
1.研修の実施
(1) 研修の実施状況
181
区分
研修期間
研修実績
うち修了者
年度計画
中期計画(20~24 年度)
修了者累計
目標
13 期(3 年次)
3年
4名
4名
4名
オペラ 14 期(2 年次)
3年
5名
―
5名
24 名
25 名程度
15 期(1 年次)
3年
5名
―
5名
8 期(2 年次)
2年
6名
6名
6名
バレエ
30 名
30 名程度
9 期(1 年次)
2年
6名
―
6 名程度
2年
2名
2名
2名
バレエ 3 期(2 年次)
10 名
―
予科
4 期(1 年次)
2年
3名
―
若干名
6 期(3 年次)
3年
14 名
14 名
15 名
演 劇 7 期(2 年次)
3年
12 名
―
12 名
67 名
75 名程度
8 期(1 年次)
3年
12 名
―
12 名
(2) 研修発表会等の実施
オペラ:3 回 (7 月試演会、ブリティッシュ・ガスの支援によるガラ・コンサート、3 月研修所公
演他)、その他 3 回(浜離宮ランチタイムコンサート他)
バレエ:3 回 (第 8 期生・第 9 期生合同発表会、2 月研修公演、バレエ★アステラス 2012)その
他 3 回(第8期生自作自演発表会他)
演劇:4 回 (第 6 期生試演会①、朗読劇公演、第 6 期生試演会②、第 6 期生修了公演)
(3) 募集
オペラ第 16 期生 (研修期間 3 年間)
:5 名合格(93 名中)
バレエ第 10 期生 (研修期間 2 年間)
:6 名合格(46 名中)
バレエ予科第 5 期生(研修期間 2 年間):3 名合格(31 名中)
演劇第 9 期生(研修期間 3 年間):12 名合格(125 名中)
2.24 年度の募集等に向けた研修分野・規模についての見直し
各研修所で定期的に行われる講師会等において、平成 24 年度の募集等に向けた検討を行い、研修分
野・規模については、変更を行わないことにした。
3.実施に当たっての留意事項
(1) 広報活動の充実
研修修了生の活動状況を随時把握するほか、ホームページやパンフレットに加え、新国立劇場情
報誌「ジ・アトレ」誌上コラム、ブログ、Facebook などの新たな情報発信手段を通じて研修の様子
や研修所公演準備の様子を紹介するとともに、修了生の活動状況などの成果を公表し、また、研修
所公演での映像による研修内容の紹介や外部への公演出演を通して研修事業の意義を広く周知した。
(2) 文化普及活動等への参画
オペラ研修生が、浜離宮朝日ホールや公益財団法人三鷹市芸術文化振興財団主催のコンサート等
に出演した。
バレエ研修生が、子どもたちのレッスン見学会やブリティッシュ・ガス主催のイベントに出演し
た。
(3) 伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
12 月 11 日に五館合同特別講義を開催した(講師:野村万作)
。
(4) 委員会における検討等 (メニューや研修の実施方法等の検討、研修修了生の動向把握)
各研修所において定期的に講師会を開催し、研修状況の確認を行うとともに、修了生の動向を把
握し、研修事業の成果の検証と研修の効率化のための各種の見直しを図った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 順調に今年度のカリキュラムを実施し、当初の目的を充分達成することができた。
・ いずれの研修所においても第一線で活躍する各分野の専門家等を講師とする実践的・体系的なカリ
キュラムによって研修を実施した。各時期に行われる発表会、試演会、研修公演等ではその成果を広
く国民に示しており、高い評価を得ている。
・ 各研修所において定期的に開催する講師会や修了生の動向把握を通じて、研修事業の成果の検証と、
研修の効率化を実現することができた。
182
・
○
新たな試みを含む多様で充実した広報活動により国民の関心を喚起し、事業の周知を図ることがで
きた。
・ オペラ研修及びバレエ研修において、他団体が主催する公演等に積極的に参加し、文化普及活動の
幅を広げることができた。
・ 五館合同特別講義、研修生交流会等を通じ、伝統芸能分野との相互交流を進めることができた。
見直し又は改善を要する点
・ 新国立劇場の研修事業には、各方面からの大きな期待が寄せられているところであり、今後、事業
内容のさらなる検討を重ね、役割を果たしていくことが求められている。
《23年度評価結果への対応》
【評価】
(文科省評価委員会】
・ バレエも国際水準の表現力を保つために、オペラ研修同様、海外での研修を検討してもらいたい。(①)
・ 意義のある事業ではあるが、国費投入の必要性を国民に説明する必要がある。(②)
(振興会評価委員会)
・ 非常に質の高い教育がなされているオペラ研修であるが、年間の募集人員はわずか 5 名にとどまって
いる。国立である以上さらに多くの人材を送り出す責任もあり、門戸を広げることも、そろそろ検討す
る時期に来ているのではないか。(③)
【対応】
①バレエ研修における海外研修の検討
現在のバレエ研修では、限られた予算のなかで、数週間単位の海外研修よりも、むしろ世界のバレエ学
校との相互交流により全体のレベルアップを図っている。国際的な場で各国のバレエスタイルを見極め、
学校同士が競うとともに友好を深めることは、技術の向上のみならず、バレエ芸術への大きな示唆を研修
生に与えるもので、研修成果は極めて大きい。24 年度には「バレエ・アステラス」で海外バレエ学校 1 校
を新国立劇場に招聘したほか、過去に 2 回、ワシントンにおける「国際バレエ学校フェスティバル」(米国
ケネディセンター主催、参加 6 校)に招聘されるなど、活発な交流活動を行っており、25 年度は、モスク
ワにおける「ボリショイ劇場バレエ学校 240 周年記念ガラ公演」に出演する予定である。
なお、バレエ研修生のほとんどが修了後に入団を希望するのは、いわゆる海外の有数劇場バレエ団では
なく、それらに比肩するレパートリーを持つ新国立劇場バレエ団である。その点、欧米エージェントに所
属して各国歌劇場の企画するプロダクションで活躍する道を志向するオペラ研修生とは、修了後の進路希
望が異なっており、このことがカリキュラムの組み方の違いにも現れている。今後も、研修生の将来を見
定めながら、研修内容の見直し、検証を行いたい。
②国費で実施する必要性のアピール
新国立劇場研修所は、日本初の劇場付の実演家研修所として、広範なネットワークを通じて招かれた優
秀な講師陣と、最新の世界レベルのカリキュラムによって、特定流派等に偏ることなく、日本における実
演家養成のスタンダード確立をめざす、他に例のない研修機関である。これまでも国内外で活躍する日本
人の若手実演家を輩出しており、これら研修修了生の活躍が同世代の実演家を刺激することにより、次世
代トップグループの実力の底上げにもつながっている。
3 つの研修所の修了生の合計は、24 年 3 月末には約 200 名に達し、その多くが国内外で活発に活躍して
いることのみならず、研修生が例年、全国各地の応募者から高倍率のオーディションで選ばれていること
も、新国立劇場研修所が多くの国民から期待されており、その存在意義が広く浸透していることを示して
いる。
新国立劇場ではさらに、ホームページ、パンフレットへの掲載のほか、研修所公演のなかで日頃の研修
の様子を紹介する等、研修事業の意義を国民に説明することに尽力してきたが、24 年度には新国立劇場友
の会会報誌に紹介コラムを掲載する等、事業内容への理解を深める新たな試みも行っている。
今後も、公平性、透明性を担保し、全国からの支持を得ながら、高レベルの研修活動を行うため、適正
な広報周知に努める所存である。
③オペラ研修における募集規模の検討
新国立劇場内の研修場所や、予算的な制限を考慮すると、現状では残念ながら研修生の募集枠を拡大す
ることは困難であるが、引き続き研修内容の向上と、質の高い研修生の輩出に努めたい。
183
現代舞台芸術の実演家等の研修:詳細表
3-(2)-① オペラ研修
《方
針》
プロのオペラ歌手としての舞台活動を目指している人のために、国際的なレベルの研修を行うことを目的
として、5名を募集し、3年制の研修を行う。各種音楽レッスンを行う他、語学、演技、発声法等、オペラ歌
手として必要な技能を総合的に研修する。また、コンサート、試演会、研修所公演等聴衆を意識した演奏や
舞台経験を積み、新国立劇場主催公演への出演をはじめ、海外歌劇場の舞台に立てる人材育成を目指す。
《実
績》
1.研修の実施
第 13 期生(4 名、3 年目)
、第 14 期生(5 名、2 年目)、第 15 期生(5 名、1 年目)の研修を行い、
第 13 期生が修了した。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
第 13 期
授業内容
実 技
計 1,018 回
オペラ実習
座 学
計 151 回
講義
その他
計 29 回
身体表現
語学
舞台実習他
主な講師
木村俊光、大藤玲子、谷池重紬子
第 14 期
オペラ実習
座 学
計 168 回
講義
その他
計 27 回
身体表現
語学
舞台実習他
767 回
他
251 回
0回
英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語
試演会、研修所公演
151 回
他
29 回
計
1,198 回
木村俊光、大藤玲子、谷池重紬子
他
三浦安浩、伊藤明子、伊藤範子、橋本佳子
890 回
他
255 回
0回
英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語
試演会、研修所公演
合
第 15 期
他
三浦安浩、伊藤明子、伊藤範子、橋本佳子
合
実 技
計 1,145 回
回数
168 回
他
27 回
計
1,340 回
実 技
計 1,217 回
オペラ実習
座 学
計 169 回
講義
五館合同特別講義
語学
英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語
その他
計 29 回
舞台実習
試演会、研修所公演
他
17 回
見学他
劇場見学、稽古見学
他
12 回
身体表現
木村俊光、大藤玲子、谷池重紬子
他
三浦安浩、伊藤明子、伊藤範子、橋本佳子
合
計
959 回
他
258 回
1回
168 回
1,415 回
3.発表会等
(1)研修公演
① 試演会「コジ・ファン・トゥッテ」~重唱で綴るオペラ短縮版~(7 月 28・29 日、2 回、小劇場)
入場料:2,000 円、入場者数:526 人、出演:研修生全員・修了生 3 人
② ブリティッシュ・ガスの支援によるガラ・コンサート「NNTT Young Opera Singers Tomorrow」(9
月 22 日、1 回、中劇場)
入場無料、入場者数:686 人、出演:13 期生 3 名・14 期生 3 名・15 期生 3 名・修了生 1 名
③ 研修所公演「カルディヤック」P.ヒンデミット作曲(3 月 1 日~3 日、3 回、中劇場)
入場料:4,200 円・1,500 円(Z 席)、入場者数:1,428 人、出演:研修生全員・修了生 1 名・賛
助出演 2 名
(2) その他出演
・ 浜離宮ランチタイムコンサート「木村俊光と巡るオペラの旅2」
(5 月 23 日、1 回、浜離宮朝日ホー
ル)
184
主催:朝日新聞社、入場者数:550 人、出演:13 期生 4 名・14 期生 5 名・15 期生 1 名・修了生 1
名
・ 浜離宮ランチタイムコンサート「木村俊光と巡るオペラの旅3」
(9 月 26 日、1 回、浜離宮朝日ホー
ル)
主催:朝日新聞社、入場者数:550 人 出演:14 期生 5 名・15 期生 5 名・修了生 1 名
・ トウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズ オペラ・プロジェクト第4弾「コジ・ファン・トゥッ
テ」
(演奏会形式)
(12 月 9 日、1 回、三鷹市芸術文化センター 風のホール)
主催:公益財団法人三鷹市芸術文化振興財団/有限会社ミュージック・マスターズ、入場者数:
334 名、出演:14 期生 2 名・15 期生 3 名・修了生 1 名
(3) 海外研修
・ オペラ研修所第 13 期生が海外研修を実施した(4 月 1 日~24 日、アムステルダム及びデュッセルド
ルフ)。
・ オペラ研修所第 14 期生が海外研修を実施した(9 月 30 日~10 月 20 日、アムステルダム)
。
4.募集・選考の状況
・ 大学卒業以上、声楽について極めて優れた実力を有する者で、入所時年齢が 35 歳以下の者を対象に、
第 16 期生の募集を行った。応募総数 93 名、10 月 29 日から 11 月 12 日まで、3 次にわたる選考を経て、
5 名(ソプラノ 2 名、テノール 1 名、バリトン 1 名、バス 1 名)が合格した。
5.研修内容・実施方法等の検討
・ 主に、午前中は研修生全員による基礎演技指導および語学研修、午後は声楽の個人レッスンとし、
個人レッスンは各研修生が 1 日 1 回以上受講した。
・ 年間を通じてのべ 6 名の海外講師を招聘し、ネイティブの指導者による声楽指導、マスタークラス
を行った。
・ 基礎演技研修として、主任講師によるオペラのシーンスタディを行った。年間数回の発表の機会を
設け、うち 1 回は実際のオペラ劇場舞台を使用して行い、劇場に設けられた研修所の利点を活用した。
・ 語学研修は本年度より特に英語に力を入れ、秋に実施される海外研修(於オランダ、主に英語によ
る)に備えた。
・ 実演研修の機会としては、年 2 回の研修公演の他、新しい試みとして、ブリティッシュ・ガス・グ
ループ(BGG)の支援によるガラ・コンサートを開催した。
・ 従来行っていたクラシック専用ホールにおいてのコンサート(自主開催)に代わり、朝日新聞社(浜
離宮朝日ホール)や三鷹市芸術文化振興財団(三鷹市芸術文化センター風のホール)といった外部主
催団体からの依頼出演を以て、実演研修の機会を増やした。
・ 最終年次に行っていた海外研修については、本年度より 2 年次に実施することとし、アムステルダ
ムのオペラスタジオ・ネザーランドに派遣。なお移行期間として、13 期生(3 年次)を 4 月上旬、14
期生(2 年次)を 10 月上旬にそれぞれ派遣した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 主に午前中に基礎演技と座学、午後に声楽レッスンというサイクルを確立し、体の管理と声の管理
を毎日行うことで、研修生がオペラ歌手として、長期的かつ継続的な活動に対応できる自己管理能力
を醸成するための研修活動を実施することができた。
・ 海外研修での経験は、研修生の技術等を著しく伸ばすきっかけとなり、その経験を早期に日常の研
修に活かすことができるよう、最終年次に行っていた海外研修を、本年度より 2 年次に実施すること
にした。
・ 今年度、新たな実演研修として、一般企業からの支援に基づくガラ・コンサート「NNTT Young Opera
Singers Tomorrow」を入場無料で開催した。今後もこのような形で、オペラ専門家によるオーディショ
ンで選ばれた研修生がそれぞれの成果を披露する機会が増えることを期待したい。
・ 研修公演では、7 月の「コジ・ファン・トゥッテ短縮版」及び 3 月の「カルディヤック」の上演そ
れぞれにおいて、研修生は平素からの研修成果をいかんなく発揮した。特に 3 月公演は、日本初演か
つ非常に演奏困難な楽曲ということで評論家の耳目を集めるほどだったが、研修生の集中力ある演奏
により、聴衆及び専門家から高評価を得たことは特筆したい。
・ 第 13 期生 4 名は全員優秀な成績で研修を修了した。修了者全員が平成 25 年度文化庁新進芸術家海
185
外留学制度(音楽部門)によって、海外留学することが決定している。
・ 第 16 期生の選考試験では、昨年度に比べ、20 名ほど応募者が増え、良い人材を確保することがで
きた。
見直し又は改善を要する点
・ 語学研修においては、英語に重点を置いたため、ドイツ語、イタリア語、フランス語の履修時間が
少なくなった点は否めない。来年度においては、イタリア語・ドイツ語の履修時間を増やしたい。
・ 基礎演技では、シーンスタディを通じてオペラ歌手としての所作および演技の表現方法について履
修しているが、この科目の意義に関する認識が十分浸透していない様子も見受けられ、必ずしも高い
研修効果を得ているとは言えない。現在のカリキュラムの他に、体系的な演技指導のプログラムを加
えることを検討したい。
○
3-(2)-② バレエ研修
《方
針》
プロのダンサーを目指す者のために、ダンサーとして必要な技能の研鑽、知識と教養の付与及び舞台実
習を行うことを目的として、入所時年齢 17 歳から 19 歳までの者を対象に、6 名を募集し、2 年制の研修を
行う。また、現在の研修生よりさらに年齢の低い 15 歳から 16 歳の者を対象とした「予科生」を募集し、
ダンサーとして必要な基礎的なテクニックを体得させる研修を行う。
《実
績》
1.研修の実施
第 8 期生 6 名および予科 3 期生 2 名が、2 年目の研修を行い修了した。第 9 期生 6 名及び予科生 4
期生 3 名が 1 年目の研修を行った。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
授業内容
クラシカル・バレエ
実 技
計 637 回
キャラクテル、コンテ
ンポラリー・ダンス
身体表現
第8期
座 学
計 61 回
その他
計 39 回
講義
語学
舞台実習
舞台鑑賞 他
主な講師
新井咲子、坂西麻美、岸辺光代、佐藤勇次、鈴木和子
他
ゲンナーディ・イリイン、木賀真佐子
実 技
計 641 回
キャラクテル、コンテ
ンポラリー・ダンス
身体表現
第9期
座 学
計 59 回
その他
計 39 回
講義
語学
舞台実習
舞台鑑賞
他
34 回
福田一雄、芳賀直子、中西麻澄、鳥取二三子、新谷佳
冬
他
ブリティッシュ・カウンシル(英語)
他
主催オペラ・バレエ・現代舞踊・演劇公演
他
計
他
他
三輪えり花、松井工
福田一雄、芳賀直子、中西麻澄、鳥取二三子、新谷佳
冬
他
ブリティッシュ・カウンシル(英語)
新国立劇場バレエ団公演、バレエ研修所発表会、修了
公演
他
主催オペラ・バレエ・現代舞踊・演劇公演、劇場見学
他
186
15 回
24 回
737 回
新井咲子、坂西麻美、岸辺光代、佐藤勇次、鈴木和子
ゲンナーディ・イリイン、木賀真佐子
42 回
19 回
新国立劇場バレエ団公演、バレエ研修所発表会、修了
公演
500 回
103 回
三輪えり花、松井工
合
クラシカル・バレエ
回数
490 回
117 回
34 回
40 回
19 回
14 回
25 回
合
クラシカル・バレエ
実
技
計 549
回
他
テンポラリー・ダン
身体表現
ゲンナーディ・イリイン、木賀真佐子
他
43 回
三輪えり花、松井工
34 回
講義
福田一雄、芳賀直子、中西麻澄、有澤宗智
計 50 回
語学
ブリティッシュ・カウンシル(英語)
その他
舞台実習
バレエ研修所 10 月研修発表会、修了公演
計 35 回
舞台鑑賞他
主催オペラ・バレエ・現代舞踊・演劇公演
座
学
クラシカル・バレエ
実
技
計 539
回
他
31 回
19 回
他
11 回
他
24 回
計
634 回
新井咲子、坂西麻美、岸辺光代、志賀三佐枝、西川貴子
他
465 回
キャラクテル、コン
テンポラリー・ダン
ゲンナーディ・イリイン、木賀真佐子
他
40 回
ス
予科
身体表現
三輪えり花、松井工
学
講義
福田一雄、芳賀直子、中西麻澄、有澤宗智
計 50 回
語学
ブリティッシュ・カウンシル(英語)
座
472 回
キャラクテル、コン
合
4期
739 回
ス
予科
3期
計
新井咲子、坂西麻美、岸辺光代、志賀三佐枝、西川貴子
その他
舞台実習
計 30 回
舞台鑑賞 他
バレエ研修所 10 月研修発表会、修了公演
34 回
他
19 回
他
主催オペラ・バレエ・現代舞踊・演劇公演、劇場見学
合
計
31 回
5回
他
25 回
619 回
3.発表会等
(1)研修公演
① 第 8 期生・第 9 期生合同発表会(10 月 28 日、1回、中劇場)
入場料:2,000 円、入場者数:934 人、出演: 第 8 期研修生・第 9 期研修生・予科生
ゲスト出演:逸見智彦、三木雄馬
プログラム:◎キャラクター・ダンス(振付・指導:ゲンナーディ・イリイン)
◎研修生振付作品
◎クラシカル・バレエ
『パキータ』パ・ド・トロワ、『海と真珠』、
『白鳥の湖』第 2 幕のグラン・アダージオ、
『ディアナとアクティオン』、『シンフォニエッタ』ほか
② 研修公演「エトワールへの道程 2013 新国立劇場バレエ研修所の成果」
(2 月 16・17 日、2 回、中劇
場)
入場料:3,000 円、入場者数:1,086 人
出演: 第 8 期研修生・第 9 期研修生・予科生
ゲスト出演:逸見智彦、清瀧千晴、中家正博
指揮:アレクセイ・バクラン 管弦楽:新国立劇場アンサンブル 監修:牧阿佐美
プログラム:◎クラシカル・バレエ
『ワルツ』
『眠れる森の美女』第 3 幕パ・ド・ドゥ『ドン・キホーテ』グラン・パ・ド・
ドゥ
◎研修生振付作品
◎クラシカル・バレエ
『コッペリア』第 3 幕ディヴィルティスマン
③ 平成 24 年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業「バレエ・アステラス☆2012」(7 月 22 日、
1 回、オペラ劇場)
入場料:5,000 円(S席)
、3,000 円(A席)、2,000 円(B席)
、1,500 円(Z席)
入場者数:1,604 人
187
出演:新国立劇場バレエ研修所修了生・研修生ほか
指揮:デヴィッド・ガルフォース 演奏:イルミナートフィルハーモニーオーケストラ ※一部録
音音源による上演あり。
(2) その他出演
① 第8期生自作自演発表会(9 月、1 回、芸能花伝舎)
② 「ブリティッシュ・ガスの夕べ」におけるパフォーマンス(10 月 24 日、1 回、新宿パークハイアッ
ト)
③ 子どもたちのレッスン見学会(12 月 16 日、1 回、バレエリハーサル室) 入場者数 47 人
(3) 舞台実習
① 舞台実習 新国立劇場公演「シンデレラ」(12 月、7 回、オペラ劇場)
4.募集・選考の状況
・ バレエ研修第 10 期生 6 名の募集に対し 46 名(女性 43 名、男性 3 名)の応募があった。書類選考、3
次に亘る実技及び面接の結果、6 名(女性 4 名、男性 2 名)が合格した。
・ 予科生若干名の募集に対し 31 名(女性 28 名、男性 3 名)の応募があった。書類選考、3 次に亘る実
技及び面接の結果、3 名(女性 2 名、男性 1 名)が合格した。
5.研修内容・実施方法等の検討
・ 今年度より新井咲子講師が主任講師となり、また新国立劇場バレエ団プリンシパルダンサー西川貴子
が新たに講師に加わった。
・ 演劇基礎研修に松井工(文学座)を新たに迎えた。
・ ロシア・マリインスキー劇場バレエミストレスであるタチヤナ・テーレホワ講師による特別講義を 3
週間にわたり実施した。
・ 下記の方々による、芸術論についての講義を実施した。
ピーター・マックミラン(杏林大学客員教授、文学博士、詩人)、矢崎彦太郎(指揮者)
、河村晴久
(能楽師)
、野村万作(狂言師)
6.その他
・ 平成 25 年バレエ研修所入所希望者を対象に、夏期特別講習会を開催した(8 月 20 日~24 日 場所:
新国立劇場 B リハーサル室 参加人数:109 名)
。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 主任講師が変わり、また現役のバレエダンサーである西川貴子氏を講師に迎え、新体制でのスター
トとなった。演劇基礎研修にも男性講師を新たに迎え、より幅広い表現力を身につけるべく、ダンサー
の育成にあたった。
・ 震災の影響で昨年中止となった「バレエ・アステラス」公演が、平成 24 年度の文化庁新進芸術家育
成公演等事業に採択され、文化庁主催のもと再開することができた。今回はサンフランシスコ・バレ
エ学校の研修生を招くことも実現し、目標を同じくする同年代の海外の研修生との交流も果たすこと
ができた。
・ 2 月に「エトワールへの道程 2013 新国立劇場バレエ研修所の成果」公演を、同じく文化庁主催のも
と実施した。海外から指揮者を招き、オーケストラ演奏による本格的な公演となった。
・ 文化庁外国人芸術家招へい事業により、
「エトワールへの道程 2013 新国立劇場 バレエ研修所の成果」
の公演直前に 3 週間にわたり、ロシア・マリインスキー劇場より名教師として名高いタチヤナ・テー
レホワを招き、基本のレッスンに加え、公演リハーサル指導もお願いすることができた。研修生にとっ
ては本場ロシアのクラシカル・バレエに触れることが出来、良い経験となった。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 研修生 2 学年に加え予科生も合同で研修を行っているが、稽古場が一つしかないため、研修公演の
リハーサルを行うことが極めて困難である。また人数に比し、稽古場が手狭であるため、稽古場の確
保が大きな課題である。
・ 研修事業そのものの認知度を全国的に広げ、優秀な人材を確保するための有効な手段を探る必要が
ある。
188
3-(2)-③ 演劇研修
《方
針》
演劇研修所は、明晰な日本語を使いこなし、柔軟で強度のある精神と身体を備えた次世代の演劇界を担
える人材の育成を目指す。18 歳~30 歳の者を対象に毎年募集を行い、長期少人数制を採用して研修を行う。
開所から 8 年目にあたる今年度は、6 期生が修了する年度にあたり、3 年間の研修の仕上げとして、2 回の
試演会と朗読劇、修了公演の制作を行う。修了する研修生の卒業後の進路指導、修了生の活動支援を行う。
また、これまでの実績を踏まえて、一層の充実を図るべく研修内容の再検討を行う。
《実
績》
1.研修の実施
第 6 期生(14 名 3 年次)
、第 7 期生(12 名、2 年次)
、第 8 期生(12 名、1 年次)の研修を行い、第
6 期生が修了した。
2.主な授業及び回数、主な講師
区分
第6期
実 技
計 613 回
授業内容
主な講師・内容
演劇実習
試演会①、朗読劇、修了公演稽古、試演会②、修了公演
演技講習
高泉淳子、ローナ・マーシャル
合
ローナ・マーシャル、木村早智
140 回
鈴木ひがし、豊田めぐみ、古城十忍、ローナ・マーシャ
674 回
ル、黒岩亮
花柳千代、花柳千慶
20.5 回
歌唱と演技
伊藤和美
84.5 回
河野有紀子
41.5 回
バレエ・ダンス
アクション
アレクサン
ムーヴメント
その他
講義
渥美博、亀山ゆうみ
60 回
橋本佳子
15 回
32 回
鍬田かおる
鍬田かおる
29.5 回
シーンスタディまとめの会、鈴木裕美WS
38.5 回
垣ヶ原美枝、河合祥一郎、田中伸幸
観劇と
ディスカッショ
ン
サロン
見学
29.5
回
20 回
三田和代
1.5 回
江戸深川資料館
合
第8期
9回
樋田慶子
ダー・テクニーク
実技
計 775.5
回
69 回
所作
ショニング
その他
計 23.5
回
613 回
演技基礎
ボディ・コンデ
座 学
計 29.5
回
19 回
池内美奈子
日本舞踊
第7期
594 回
声と演技
シーンスタディ
実技計
1,213.5
回
計
回数
計
2回
1,266.
5回
声と演技
池内美奈子、ポール・フェリントン、飯原道代
演技基礎
ローナ・マーシャル、木村早智、高泉淳子、藤野節子
239 回
保科耕一
108 回
シーンスタディ
日本舞踊
所作
84.5 回
花柳千代、花柳千慶
31.5 回
樋田慶子
22.5 回
189
歌唱と演技
バレエ・ダンス
和楽器
狂言
アクション
ボディ・コンデ
ショニング
アレクサン
ダー・テクニーク
ムーヴメント
座 学
計 91 回
講義
伊藤和美
48 回
河野有紀子
33 回
杵屋巳織
31.5 回
野村万作、高野和憲、深田博治、
24 回
渥美博、亀山ゆうみ
35 回
橋本佳子
28.5 回
49.5 回
鍬田かおる
鍬田かおる
40.5 回
西川信廣、田中麻衣子、宮田慶子、栗山民也、垣ヶ原美
枝、河合祥一郎、田中伸幸
観劇とディス
91 回
22 回
カッション
その他
計 33.5
回
サロン
修了生、ピーター・マクラミン、三田和代
オリエンテー
4.5 回
1回
ション
見学
劇場見学
合
他
6回
計
900 回
3.発表会等
(1)研修公演
① 研修公演 朗読劇「ハーメルンの死の舞踏」
(9 月 12~13 日、2 回、小劇場)
入場料:1,000 円 入場者数:302 人
② 第 6 期生 試演会①「抱擁家族」
(7 月 20~22 日、4 回、小劇場)
入場料:A 席 2,500 円 B 席 1,500 円 入場者数:760 人
③ 第 6 期生 試演会②「ブルーストッキングの女たち」
(12 月 14~16 日、4 回、小劇場)
入場料:A 席 3,000 円 B 席 2,500 円 Z 席 1,500 円 高校生以下 1,000 円 入場者数:676 人
④ 修了公演「インナーヴォイス-内なる声-」
(2 月 6~8 日、4 回、小劇場)
入場料:A 席 3,000 円、B 席 2,500 円、Z 席 1,500 円、高校生以下 1,000 円、入場者数:666 人
4.募集・選考の状況
演劇研修第 9 期生 12 名の募集に対し、125 名(女性 74 名、男性 51 名)の応募があった。3 次にわ
たる選考の結果、12 名(女性 6 名、男性 6 名)が合格した。
5.研修内容・実施方法等の検討
・ 所長、副所長、ヘッドコーチ他、講師陣と研修状況を確認する講師会を月 1 回のペースで開催し、
日々の研修に反映させた。
・ 広く専門家の意見を傾聴するために、演劇研修所スタジオ・サポート委員会(委員 3 名;大笹吉雄、
河合祥一郎、宮田慶子)を組織し、栗山民也所長、西川信廣副所長らとともに委員会を 2 回開催し、
研修所の運営・方向性について議論を重ねた。
6.その他
・ オープンスクールの開催
研修所のカリキュラム内容を広く一般に告知し、俳優養成の必要性への理解促進を図るために、
オープンスクールを開催した(8 月 2 日~5 日、場所:新国立劇場 D リハーサル室、参加人数:20
名)
。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 第一線で活躍する現役の演出家・スタッフ・俳優や国外の一流の講師からの協力体制が整い、高度な
カリキュラムを組むことができた。2 年次には、シーンスタディを中心とするカリキュラムに変更し、
演劇の舞台制作により近い環境での授業を行った。
190
・ 修了生が活動の場を広げており、新国立劇場の主催公演をはじめ、多くの公演に出演するようになっ
てきたことは、個人の実力に加え、研修所での研修が生かされているものと考えられる。特に 24 年度
には、新国立劇場の演劇主催公演「長い墓標の列」において演劇研修所修了生が多数起用され、的を
得たキャスティングにより、各修了生の個性や実力が存分に発揮され、その好演ぶりが称賛を浴びた。
今後も劇場内での更なる連携を目指したい。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 実施の可能性等について調査している演出家養成について、今後も検討を続けていきたい。
191
3-(2)-④ 実施に当たっての留意事項
《実
績》
1.広報活動の充実
研修修了生の活動状況を定期的に把握し、また、ホームページやパンフレットに加え、新国立劇場
情報誌「ジ・アトレ」誌上コラム、ブログ、Facebook などの新たな情報発信手段等を通じて研修の様
子や研修所公演準備の様子を紹介するとともに、修了生の活動状況などの成果を公表し、また、研修
所公演での映像による研修内容の紹介や外部への公演出演を通して研修事業の意義を広く周知した。
2.文化普及活動等への参画
(オペラ研修)
・ 浜離宮ランチタイムコンサート「木村俊光と巡るオペラの旅2」
(5 月 23 日、1 回、浜離宮朝日ホー
ル)
出演:13 期生 4 名、14 期生 5 名、15 期生 1 名、修了生 1 名
・ ブリティッシュ・ガスの支援によるガラコンサート「NNTT Young Opera Singers Tomorrow」(9
月 22 日、1 回、中劇場)
出演:13 期生 3 名、14 期生 3 名、15 期生 3 名、修了生 1 名
・ 浜離宮ランチタイムコンサート「木村俊光と巡るオペラの旅3」
(9 月 26 日、1 回、浜離宮朝日
ホール)
出演:14 期生 5 名、15 期生 5 名、修了生 1 名
・ トウキョウ・モーツァルト・プレイヤーズ オペラ・プロジェクト「コジ・ファン・トゥッテ」
(演奏会形式)
(12 月 9 日、1 回、三鷹市芸術文化センター風のホール)
出演:14 期生 2 名、15 期生 3 名、修了生 1 名
・ 国立新美術館クリスマスオペラコンサート(12 月 7 日、国立新美術館 1 階ロビー)
出演:オペラ研修所修了生 入場者数:327 名 主催:国立新美術館
(バレエ研修)
・ 「ブリティッシュ・ガスの夕べ」におけるパフォーマンス(10 月 24 日、1 回、新宿パークハイアッ
ト)
・ 子どもたちのレッスン見学会(12 月 16 日、1 回、新国立劇場バレエ・リハーサル室)
入場者数:47 人
3.伝統芸能分野と現代舞台芸術分野の相互交流
・ 五館合同特別講義、研修生交流会
12 月 11 日(火)14:30~17:30
講義:国立能楽堂大講義室(2 階)、交流会:食堂(1 階)、施設見学(能舞台・楽屋等)
講師:野村万作(狂言師、第 8 期能楽(三役)研修 狂言方主任講師)
講義内容:「良き舞台人になるために」
研修生参加者:50 名及び受講生 1 名(歌舞伎俳優 9 名、竹本 1 名、長唄 2 名、太神楽 3 名、太神楽
受講生 1 名、能楽 3 名、文楽 2 名、組踊 9 名、オペラ 5 名、バレエ 5 名、演劇 11 名)
4.委員会における検討等(メニューや研修の実施方法等の検討、研修修了生の動向把握)
(オペラ研修)
所長、主任講師、招へい講師等と研修状況を確認する講師会を週 1 回のペースにて開催し、日々の
研修に反映させた。
(バレエ研修)
所長、主任講師他、日本を代表する舞踊界の講師陣と研修状況を確認する講師会を月 1 回のペース
にて開催し、日々の研修に反映させた。
(演劇研修)
所長、副所長、ヘッドコーチ他、講師陣と研修状況を確認する講師会を月 1 回のペースにて開催し、
日々の研修に反映させた。
また、広く専門家の意見を傾聴するために、演劇研修所スタジオ・サポート委員会(委員 3 名;大
笹吉雄、河合祥一郎、宮田慶子)を組織し、栗山民也所長、西川信廣副所長らとともに委員会を 2 回
192
開催し、研修所の運営・方向性について議論を重ねた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 研修所ページへのアクセスをより分かりやすく工夫するとともに、研修風景の動画や最新の修了生の
活躍状況など、より一層の情報提供に努めた。また、オペラ研修所ブログ、演劇研修所 Facebook などの
新たな情報発信手段を用いて、研修の様子、研修公演準備の様子などを継続的に発信し、研修所の活動
に対してより一層の理解促進を図った。
・ 文化普及活動への参画に努める観点から、研修生や修了生が外部で実施されたコンサートに出演する
など、様々なアウトリーチ活動に積極的に参加し、成果をあげることができた。
193
Ⅰ国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため
とるべき措置
伝統芸能に関する調査研究・資料の収集及び活用
伝統芸能に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用 p.194
上演資料集の刊行 p.201
「近代歌舞伎年表」
「義太夫年表」の刊行 p.202
古文献の復刻等 p.202
「沖縄芸能史年表」等の刊行 p.203
資料の収集・分類整理、閲覧 p.203
資料を活用した刊行 p.205
文化デジタルライブラリー等の整備と公開 p.205
展示公開 p.207
自主公演の記録の作成 p.211
公演記録映像の有効活用 p.211
鑑賞会・講座等の実施 p.212
組踊普及のための DVD の活用 p.215
現代舞台芸術に関する調査研究・資料の収集及び活用
現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用 p.216
海外戯曲の翻訳に関する調査等 p.222
新訳戯曲の刊行の検討 p.223
海外の主要劇場の調査・活用 p.223
主催公演の公演記録映像等の整理・活用等 p.223
過去の上映作品に関する著作権等の調査・活用等 p.223
日本の近代の洋舞上演に関する調査結果の公開等 p.224
資料の収集と公開 p.224
展示 p.225
普及出版物の刊行 p.226
公演記録の作成。活用、普及活動の実施 p.227
現代舞台芸術に対する理解の促進と普及を図るための鑑賞会・講座等の実施 p.229
現代舞台芸術の普及のためのオンラインコンテンツの公開等 p.231
伝統芸能に関する調査・資料:総表
4-(1) 伝統芸能に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
《中期計画の概要》
4 伝統芸能に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
(1) 伝統芸能に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
ア 台本研究等の実施、上演資料集の作成
イ 「近代歌舞伎年表」の作成、昭和以降に上演された文楽の年表の刊行に向けた準備
ウ 伝統芸能に関する古文献の復刻、意識及び実態に関する調査統計資料の作成、書籍等の刊行
エ 「沖縄芸能史年表」の作成
オ 図書、博物資料等の収集及び分類整理、閲覧、目録・図録等の作成、貸与等
カ 文化デジタルライブラリー等の整備とインターネットによる公開
キ 収集した資料等の展示公開
・ 伝統芸能情報館資料展示室
年 3 企画程度
・ 演芸資料館資料展示室
年 3 企画程度
・ 能楽堂資料展示室
年 4 企画程度
・ 文楽劇場資料展示室
年 5 企画程度
・ 国立劇場おきなわ資料展示室 年 4 企画程度
(3) 公演記録の作成・活用、普及活動の実施
ア 演技・演出等の記録の作成・保存、閲覧・視聴
イ 公演記録映像の鑑賞会等の開催等による有効活用
ウ 公開の講座、鑑賞会等の実施
《年度計画》
4 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
中期計画に基づき、次のとおり調査研究並びに資料の収集及び活用を実施し、公演等の充実に資する
とともに、その成果を研究者や国民一般に提供する。また、実施にあたっては、外部専門家等との連携
を図る。
(1) 伝統芸能に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
ア 公演の実施に当たり、過去の公演記録、演出等を調査した上演資料集を、演目内容に応じておお
むね以下のとおり作成し、上演内容への理解促進等に活用する。
・ 歌舞伎 8 冊
・ 文楽 5 冊
・ 組踊等沖縄伝統芸能 3 冊
イ 日本各地の歌舞伎を主とした演劇興行に関する記録の調査研究を以下のとおり行い、再演等に活
用する。
・ 「近代歌舞伎年表」名古屋篇第七巻の刊行及び第八巻の刊行準備(平成 25 年度刊行予定)
・ 「近代歌舞伎年表」に関する劇界記事 120 件程度の原稿化、興行カード 800 件程度の作成
・ 「義太夫年表 昭和篇」第二巻の刊行準備及び第三巻の刊行に向けた資料収集を行う。
ウ 伝統芸能に関する古文献等について調査研究を行い、以下のとおり復刻・刊行等を行い、公演の
充実等に活用する。
・ 歌舞伎資料選書第十二巻の刊行
・ 未翻刻戯曲集第十九巻の刊行
・ 正本写合巻集(2 冊)の刊行
・ 国立能楽堂調査研究(7)の刊行
・ 英文演目解説「The Guide to Noh of National Noh Theatre」の刊行
・ 観世文庫展報告書の刊行
エ 御冠船の時代から現代に至るまでの沖縄伝統芸能の上演等の記録を調査整理し、
「沖縄芸能史年表」
第 9 集を作成し、再演等に活用する。
194
オ
伝統芸能に関する図書及び資料等について、各館の収集方針の下、適宜適切に収集、分類整理し、
閲覧に供する。図書については、開架図書を充実させるとともに、ホームページで蔵書検索サービ
スを提供し、一般の利用の促進に努める。
また、収集した資料等を活用し、以下のとおり刊行を行うとともに、博物館施設等の求めに応じ、
収集した資料を貸与し、伝統芸能に対する理解の促進に努める。
① 各館の収集方針
a. 本館・演芸資料館
伝統芸能全般の基本的な新旧の図書、雑誌、博物資料等を収集、公開する。主として歌舞伎と
大衆芸能に関する新旧の一般書、基本的な研究書を中心に収集する。歌舞伎については、錦絵(役
者絵)、番付、ブロマイド写真、上演台本を、大衆芸能については、落語、講談の速記本、見世
物、曲芸等の絵画資料(錦絵)
、映像・音声資料(ビデオ・CD)等の収集を行う。
b. 能楽堂
伝統芸能全般の基本的な新旧の図書、雑誌、博物資料等を収集、公開する。主として能楽に関
する研究書、実演資料、図録、一般図書等の芸能図書の収集を行うとともに、能楽の研究上意義
があると認められる芸能資料の収集を行う。
c. 文楽劇場
伝統芸能全般の基本的な新旧の図書、資料を収集、公開する。主として人形浄瑠璃、義太夫節
に関する新旧の一般書、基本的な研究書を中心に、人形浄瑠璃興行関連資料(番付等)、演者関
連資料、義太夫丸本、義太夫段物集、舞台関係絵画資料(錦絵・絵番付を含む)等の収集を行う。
d. 国立劇場おきなわ
組踊に関する新旧の台本、一般書、研究書、過去の主な公演パンフレット、組踊衣裳、小道具
などを主とし、琉球舞踊、沖縄芝居、民俗芸能等の台本、一般書、研究書、パンフレット等の寄
贈等による収集を行う。沖縄の伝統芸能と深い関わりのある日本の芸能(能楽、歌舞伎、文楽等)
やアジア太平洋地域の芸能関係の図書・博物資料も収集する。
② 資料を活用した刊行
・ 特別展示図録の刊行(能楽堂)
カ 収集した資料のデータベース化やデジタルコンテンツの作成など、文化デジタルライブラリー等
の整備を行い、伝統芸能情報館及びインターネットにおいて一般の利用に供する。
① 図書、資料及び公演記録等に関する情報のデータベース化を以下のとおり進める。
・ 図書:8,500 件程度(本館:筋書等)
・ 錦絵:150 件
・ ブロマイド:250 点
・ 公演記録情報:上演情報 100 公演、公演記録写真 23,000 点、扮装図鑑 7 公演
② 収集した図書資料等を活用し、デジタル技術によるコンテンツを次のとおり作成する。
・ 文化デジタルライブラリー
舞台芸術教材「琉球芸能編」
舞台芸術教材「大衆芸能編」
・ 伝統芸能情報館展示
映像コンテンツ「文楽の魅力」
③ 文化デジタルライブラリーホームページへの目標アクセス件数:360,000 件
キ 収集した資料等を適切に保管するとともに、各劇場施設の目的に沿って展示公開する。展示公開
に当たっては、展示目録等を作成するとともに、来場者の利便性の向上と広報活動の強化を図る。
(3) 公演記録の作成・活用、普及活動の実施
ア 主催公演を中心に、録音・録画・写真等による記録を作成し、閲覧・視聴に供する。引き続き、
磁気テープで保存されている公演記録映像のデジタルデータへの変換を行う。また、本館での公
演記録映像の視聴に際しては、デジタル媒体による提供を行い、より質の高いサービスを目指す。
イ 公演記録映像について、鑑賞会を開催し、講座・レクチャー等で活用するとともに、必要な著作
権処理を行った上で、外部制作会社等と連携して、DVD を作成する等の有効活用を図る。
ウ 講座等の実施
① 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する公開の講座、公演記録映像の鑑賞会等を実施する。また、
195
広報活動を十分に行うとともに、参加者に適宜アンケート調査を実施し、回答者の 80%以上から
有意義であったと回答されるよう内容等の充実に努める。
② 公演の実施にあわせた関連講座、展示等を適宜実施し、内容に応じてホームページ等で公開す
る。
③ 教職員の伝統芸能への理解を深め、教育を受ける児童・生徒に対して伝統芸能の普及促進を図
る観点から、教員免許更新制における免許状更新講習を、文部科学大臣の認定を受けて実施する。
エ 組踊紹介パンフレットの配布及び組踊解説 DVD の貸出しを行い、組踊への理解を促進し、より一
層の普及を図る。
《実
績》
1.調査研究・資料収集活用
事 項
実 績
歌舞伎 8 冊(計画 8 冊)
、文楽 5 冊(計画 5 冊)
、組踊 3 冊(計画 3 冊)
上演資料集
合 計 16 冊(計画 16 冊)
刊
行:
「近代歌舞伎年表 名古屋篇」第七巻(25 年 3 月)
刊行準備:
「近代歌舞伎年表 名古屋篇」第八巻のデータ集積、一部原稿作成
「義太夫年表 昭和篇」第二巻の刊行準備
近代歌舞伎年表
調査作業:
「近代歌舞伎年表 名古屋篇」劇界記事の作成 158 件(計画 120 件)
義太夫年表
「近代歌舞伎年表 名古屋篇」原稿作成のための興行カード作成 1,003 件
(計画 800 件)
「義太夫年表 昭和篇」第三巻以降の資料調査
刊
行:
「芝居見たまま 明治篇」第一巻<歌舞伎資料選書・12>(25 年 2 月)
「エノケン喜劇のドラマツルギー‐榎本健一と菊谷栄が見た夢‐」<演芸資料選
書・10>(25 年 3 月)
「小幡怪異雨古沼」〈未翻刻戯曲集・19〉
(25 年 3 月)
古文献の復刻等
「糸廼時雨越路一諷」〈正本写合巻集・10〉
(24 年 11 月)
「怪談木幡小平次・小幡怪異雨古沼」
〈正本写合巻集・11〉(25 年 3 月)
刊行準備:
「芝居見たまま 明治篇」第二巻<歌舞伎資料選書・12>の文献調査
「未翻刻戯曲集・20」の古文献調査
「正本写合巻集」2 冊の古文献調査及び原稿準備
沖縄芸能史年表
資料の収集・分
類整理、閲覧
資料を活用した
刊行
データベース化
刊行: 沖縄芸能史年表「第 9 集」
(25 年 3 月)
伝統芸能情報館:収集図書 3,518 冊、収集資料 1,419 点
能楽堂:収集図書 639 冊、収集資料 6,945 点
文楽劇場:収集図書 672 冊、収集資料 1,288 点
国立劇場おきなわ:収集図書 368 冊、収集資料 612 点
伝統芸能情報館:閲覧室利用者 3,773 人(開室 256 日)、写真複製使用 310 件、視聴利用
者:1,072 件
能楽堂:閲覧室利用者数 3,931 人(開室 252 日)、特別資料閲覧 12 件、写真複製使用 77
件、視聴利用者 2,065 件
文楽劇場:閲覧室利用者 1,137 人(開室 246 日)
、写真複製使用 14 件、視聴利用者 598 件
国立劇場おきなわ:閲覧室利用者 1,630 人(開室 172 日)
、写真複製使用 5 件、視聴利用者
1,033 件
特別展「加賀の能楽名品展」展示図録(24 年 9 月)
英文演目解説「The Guide to Noh of the National Noh Theatre ―2」
(25 年 3 月)
「国立能楽堂調査研究 7」
(25 年 3 月)
企画展「『観世文庫展』報告書」(25 年 3 月)
図 書
8,500 件(計画:8,500 件程度)
錦絵 150 点、ブロマイド 278 点(計画:錦絵 150 点、ブロマイド 250
資 料
点)
上演情報
176 公演(計画:100 公演)
196
公演記録写真
扮装図鑑
31,375 枚(計画:23,000 枚)
8 公演(計画:7 公演)
デジタルコンテ
ンツの作成
「琉球芸能編 組踊」、
「大衆芸能編 寄席」
インターネット
による公開
文化デジタルライブラリーホームページへのアクセス件数
件)
473,258 件(計画:360,000
伝統芸能情報館資料展示室
実施 4 回、来場者数 46,362 人(計画:4 回 43,400 人)
演芸場資料展示室
実施 3 回、来場者数 38,867 人(計画:3 回 30,960 人)
展示
能楽堂資料展示室
実施 5 回、来場者数 28,231 人(計画:5 回 24,210 人)
文楽劇場資料展示室
実施 5 回、来場者数 81,141 人(計画:5 回 63,800 人)
国立劇場おきなわ資料展示室
実施 4 回、来場者数 11,248 人(計画:4 回 12,000 人)
2.公演記録の作成・活用、普及活動の実施
(1) 自主公演の記録の作成
(本館・演芸場)
・ 自主公演等 67 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
・ 歌舞伎公演(鑑賞教室を含む)では、鬘・衣裳・小道具等の写真による記録を作成(扮装図鑑)
し、下座の附帳等を保存した。また、文楽公演(鑑賞教室を含む)では、人形・大道具・小道具
等の写真による記録を作成した。
(能楽堂)
・ 自主公演 51 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
(文楽劇場)
・ 自主公演 15 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
(国立劇場おきなわ)
・ 自主公演 27 公演、研修修了発表会 1 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
(2) 公演記録映像の有効活用
・ 視聴室において出演者、一般来場者の視聴に供するとともに、出演者からの要望に応じて複製物
を提供した。また、出版社・放送局の依頼に応じて複製物を提供した。
・ 文楽「冥途の飛脚」の DVD(全 2 枚)を外部の制作会社と協力して作製した。(25 年 3 月 22 日発
売)
・ 能楽堂では、公開講座において講演と併せて公演記録映像を活用した。
・ 国立劇場おきなわでは、10 周年記念プレ事業として、7 月に「芸能づくしの1週間!公演記録鑑
賞会」を小劇場で開催し、開場当時の公演記録映像(13 公演)を上映した。
(3) 講座等の実施
・ 伝統芸能情報館のレクチャー室において「公演記録鑑賞会」を 12 回(各月 1 回)、
「伝統芸能サロ
ン」を 6 回(6, 7, 9, 12, 1, 2 月)開催した。
・ 能楽堂では、公開講座を 12 回(各月 1 回)、展示と連携した特別講座を 2 回(1,3 月)開催した
(東日本大震災の影響により中止した分を含め実施した)
。
・ 文楽劇場では、「公演記録鑑賞会」を年 12 回、「プレ講座」を 1 回(8 月)
、
「伝統芸能講座」を 1
回(11 月)開催した。
・ 国立劇場おきなわでは、国立劇場収録の公演記録映像を利用した「公演記録鑑賞会」を 4 回(6, 8,
11, 3 月)、伝統芸能にまつわる実演や研究、資料の公開などを取りあげる「伝統芸能公開講座」を
4 回(7, 8, 12, 3 月)開催した。
3.外部専門家等からの意見聴取
25 年 3 月 19 日に調査事業委員会を実施し、外部専門家から意見を聴取した。
・ 「正本写合巻集」
「未翻刻戯曲集」については、資料として大変貴重であり、これらが刊行されるこ
とによって芸能分野の研究者のみならず多方面で活用されているとの意見があった。
・ 「芝居見たまま」は、明治期の資料を読みやすく扱いやすい形にしてあり、近年、歌舞伎も文楽も
世代交代が進む中で、近代の記録の重要性がますます増してくる。今後とも継続して刊行してほしい
との意見があった。
197
【特記事項】
(本館)
・ 3 月 11 日に大劇場で「東日本大震災二周年追悼式」が実施されたため、視聴室・図書閲覧室・資料
展示室を閉室した。
(能楽堂)
・ 23 年 3 月 24 日に東日本大震災の影響により中止した特別講座(講師・大森恵子)を 12 月 7 日・1
月 7 日の公開講座として実施した(12 月「天狗・山岳信仰と能」
・1 月「稲荷信仰と能」)
。
・ 企画展「観世文庫展」は、特別企画公演「世阿弥自筆本による能」と連携して開催し、観世文庫創
立 20 周年記念として同文庫所蔵の特別協力により、世阿弥自筆本(重要文化財)ほかの貴重な資料を
展示した。また、展示成果を「
『観世文庫展』報告書」として刊行した。
・ 特別展「加賀の能楽名品展」では、金沢能楽美術館と共催して交換展示を行い、展示図録を作成し
た。
・ 収蔵資料展では、法政大学能楽研究所創立 60 周年記念として同研究所所蔵の貴重資料を展示した。
また、展示と連携した特別講座を、前期「みちのくの能・狂言」
(1 月)では列品講座として、後期「能
絵鑑と狂言古図」
(3 月)では「描き伝えた芸能」と題してシンポジウム形式で実施した。
(国立劇場おきなわ)
・ 組踊公演「姉妹敵討」に関連した学習会を 8 月 24 日に会議室で開催し、15 名の参加者があった。
「組踊 姉妹敵討のルーツを探る-『奥州白石噺』と『団七踊り』について」
講師:茶谷十六(財団法人民族芸術研究所研究員)
主催:沖縄県歴史教育協議会
協力:国立劇場おきなわ調査養成課)
・ 戦前の琉球芸能を記録した、明治生まれの画家、片山春帆のスケッチ画帳の研究会を研究者及び実
演家等と行い、その成果を国立劇場おきなわ展示室において特別企画展「片山春帆の世界」
(24 年 12
月 18 日~12 月 23 日)として公開した。短期間の展示であったがテーマに対する高い関心から延べ 5
回の紹介記事、新聞掲載があり、434 名の入場者があった。
《数値目標の達成状況》
【図書、資料等のデータベース化】
図書:実績8,500件/計画8,500件程度(達成度100%)
資料(ブロマイド):実績278点/計画250点(達成度111.2%)
公演記録情報
上演情報:実績176公演/計画100公演(達成度176.0%)
公演記録写真:実績31,375点/計画23,000点(達成度136.4%)
扮装図鑑:実績8公演/計画7公演(達成度114.3%)
【舞台芸術教材の作成状況】実績2件/計画2件(達成度100.0%)
【文化デジタルライブラリーホームページへのアクセス状況】
年間アクセス件数:473,258件/目標360,000件(達成度131.5%)
【展示公開の実施状況】実績21回/計画21回(達成度100.0%)
【展示公開の参加者数】実績205,849人/計画174,370人(達成度118.1%)
【講座等の実施状況】実績53回/計画53回(達成度100.0%)
【講座等の参加者数】実績6,448人/計画5,962人(達成度108.2%)
【講座等の満足度】実績89.2%/計画80%(達成度111.5%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
(本館)
・ 公演記録情報の登録数が、上演情報と公演記録写真とも目標数より大幅に上回った。
・ 「文化デジタルライブラリー」の「舞台芸術教材」に初めてのジャンル「琉球芸能編 組踊」「大衆芸能
編 寄席」の 2 作品を加えることができた。
(能楽堂)
・ 企画展では、観世文庫創立 20 周年記念として同文庫の特別協力により、公演では「世阿弥自筆本による
能」の復曲上演を、公演と連携した展示では世阿弥自筆本(重要文化財)ほかの貴重な資料を展示し、ま
198
た、展示成果を「
『観世文庫展』報告書」として刊行した。
・ 収蔵資料展では、法政大学能楽研究所との共催で、双方の貴重な収蔵資料によりテーマ性の高い企画展
示を行い、さらに紀要と特別講座・シンポジウムにより、分野横断的検証の場を作り、能楽研究の歴史と
今後の指針を示す連携事業を行うことが出来たことは、極めて意義深い。
・ 公開講座では、各月の主催公演と連携して毎月 1 回、能の主題となった文学だけではなく能に影響を与
えた音楽や信仰、また能の影響を受けた芸能に至るまで広範囲に紹介した。
・ 特別講座では、収蔵資料展と連携して、後期「能絵鑑と狂言古図」
(3 月)では「描き伝えた芸能」と題
してシンポジウム形式で、展示紹介した「狂言古図」等について、能楽史・芸能史・美術史の専門家によ
り分野横断的検証を加える試みを行ったが、会場からも貴重な見解が導き出され、今後の能楽研究の新た
な指針として大いに注目を集めた。
・ 能楽堂では、収集した能楽資料の公共の博物館などへの外部貸出、また、紀要による収蔵資料の研究紹
介により他館の収蔵作品との比較研究が進み、その実績が認められ、他館及び研究施設との協力も広範化
し、能楽の振興への寄与が拡大している。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では、
「義太夫年表 昭和篇」第二巻の刊行準備及び第三巻の刊行に向けた資料収集を精力的に
行った。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわでは、第 4 回企画展「収蔵資料展」において、昨年寄贈された映像資料の中から 40 数
年前に収録された貴重な記録映像をデジタル化し、展示室内モニターで公開上映した。故人や名優の貴重
な記録映像を紹介することは、伝統芸能を理解するため有効な手段であることから、今後も展示の内容に
応じ、収集した記録映像等を活用したい。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 今後は単なる調査・記録に終わらせず、新しい視野を開拓し、一般向けの資料としての価値を上げて
はどうか。(①)
(振興会評価委員会)
・ 昨年度の「かぶきの本」につづいて、「ぶんらくの本」「のう・きょうげんの本」の刊行が行われたこ
とを高く評価したい。数多く配布されていることも評価できるが、これらがその後、配布されたところ
でどのように利用されたかを検証することも必要である。伝統芸能分野への国民の理解が一層深まると
思われるので、振興会としても利用促進に向けた努力を続けてほしい。(①)
・ 文化デジタルライブラリーが非常に充実してきたので、個人はもちろん教育現場で広く利用されるこ
とを期待する。ただしそのためには、このライブラリーの存在を広く知らしめることが必要であり、ま
ずは子供や学生にアピールする方法を検討したい。各国立劇場の公演プログラムなどで案内することも、
効果的な周知方法ではないだろうか。(①)
・ 各劇場が所蔵する様々な資料や記録を積極的に活用して、例えば地方の美術館や公共施設などで公開
することに、もっと積極的になってもよいのではないか。そのことによって国立劇場の存在意義や役割
が一層大勢の人に理解されるだろう。(②)
【対応】
①一般に向けた成果の発信の実施・検討
「ぶんらくの本」
「のう・きょうげんの本」は、配布先から送られてきた礼状や教員免許講習受講者へ行
ったアンケートから「写真や資料が豊富でたいへんわかりやすく、教材として利用している」との意見が
多数寄せられている。具体的な例として、茨城県かすみがうら市立上佐谷小学校では、ホームページ上で
「伝統や文化に関する学習」の事例として「のう・きょうげんの本」を利用した授業が公開されている。
今後は小学校だけでなく、中学校・高等学校から一般社会人まで利用して頂けるよう周知を図りたい。
文化デジタルライブラリーの周知については、新たに紹介パンフレットを作成し、25 年度の歌舞伎鑑賞
教室、文楽劇場文楽鑑賞教室の団体観劇勧誘の案内 DM を送付する際にこれを同封し、関東・東海地方の中
高学校等に約 9,000 通、近畿地方の中高学校等に約 3,000 通を発送した。公演プログラムでの案内は、情
報量の制限もあるが、引き続き周知を行う。また、実際にどの程度周知されているかを知るため、24 年度
の教員免許状更新講習の参加者にアンケート調査を実施した。得られた結果を踏まえ、今後も周知に努め
199
ていく。
能楽堂では、調査・研究の成果として、24 年度は「加賀の能楽名品展」図録、英文演目解説書「The Guide
to Noh of National Noh Theatre」を一般向けに作成・販売した。また、「国立能楽堂調査研究」№7 を作
成し、関係機関に配布して研究者等の有効活用に供した。
文楽劇場では、文楽劇場が所蔵している SP レコードについて、20 年度に「義太節 SP レコード目録」を
刊行し、併せて音源のデジタル化を進めているが、これを活用して、24 年 11 月に「義太夫節 SP レコード
を聴く会」を開催した。今後も所蔵資料の活用に努める。
国立劇場おきなわでは、調査・収集した資料の中から特に伝統芸能に関する資料を選定し、沖縄県内の
若手研究者等で立ち上げた研究会において歴史資料の解読を行っている。24 年 6 月に「片山春帆民俗芸能
記録画帳」の研究会を発会させ、様々な分野の研究者及び実演家と共同で上述資料の調査研究を行った。
この研究会での成果を一般に紹介するため、24 年 12 月に国立劇場おきなわにおいて展示会を実施した。
②所蔵資料等の外部での公開の推進
本館では、外部企画との連携として、24 年 9 月から 11 月にかけて、千代田区立日比谷図書文化館で開
催された開館一周年記念特別展「市川團十郎荒事の世界」に、本館所蔵の錦絵「歌舞伎十八番」
「芝居きや
うげんの図」等を提供し、展示に協力した。今後は歌舞伎鑑賞教室の地方公演の会場で、演目に関連する
資料の展示についても検討したい。
能楽堂では、所蔵する能楽資料を地方の美術館等からの依頼に応じて貸出しており、24 年 9 月に福岡市
博物館で開催された「能のかたち」展に面・装束を貸出した。また、能楽堂展示室において開催した 24 年
度特別展示「加賀の能楽名品展」は、金沢能楽美術館との共催とし、同美術館他の所蔵資料を借用して展
示したが、交換展示として同美術館では「国立能楽堂コレクション展」が開催された。
文楽劇場では、外部の要望に応じて、かしら、三味線、見台、人形等の「出張展示」を年数回行っている。
今後も、資料の収集を進め、地方の美術館や公共施設等で要望があれば積極的に対応したい。
200
伝統芸能に関する調査・資料:詳細表
(1) 上演資料集の刊行
<方針>
自主公演の上演にあたり、過去の上演情報、演技・演出等の情報を調査し、出演者及び公演スタッフの
参考に供し、あわせて一般の鑑賞・研究の一助とするため、上演資料集を刊行する。
国立劇場においては、歌舞伎公演・歌舞伎鑑賞教室公演及び文楽公演・文楽鑑賞教室公演に際して刊行
する。
国立劇場おきなわでは、自主公演の実施にあたり、過去の公演記録、演出等を調査した資料集を刊行す
る。上演資料集を通して、沖縄の伝統芸能に関する論文、資料等を編集刊行する。
<実績>
1.刊行実績
区
分
歌舞伎
刊行 8 冊
(計画 8 冊)
文楽
刊行 5 冊
(計画 5 冊)
内容
4 月公演「絵本合法衢」(No.556 )
6 月鑑賞教室「平家女護島 俊寛」
(No.558 )
7 月鑑賞教室「毛抜」
(No.559)
10 月公演「塩原多助一代記」(No.561 )
11 月公演「浮世柄比翼稲妻」(No.562 )
12 月公演「鬼一法眼三略巻」(No.563 )
1 月公演「夢市男達競」(No.566 )
3 月公演「隅田川花御所染」
(No.568)
5 月公演「八陣守護城・契情倭荘子・傾城反魂香・艶容女舞衣・壇浦兜軍記」
(No.557 )
9 月公演「粂仙人吉野花王・夏祭浪花鑑・傾城阿波の鳴門・冥途の飛脚」(No.560 )
12 月鑑賞教室「靭猿・恋女房染分手綱」(No.564 )
12 月公演「苅萱桑門筑紫㵞・傾城恋飛脚」
(No.565 )
2 月公演「摂州合邦辻・小鍛冶・曲輪ぶんしょう・関取千両幟・妹背山婦女庭訓」
(No.567)
8 月定期公演 組踊「姉妹敵討」(No.27)
10 月定期公演 組踊「巡見官」(No.28)
2 月定期公演 組踊「矢蔵之比屋」(No.29)
組踊
刊行 3 冊
(計画 3 冊)
2.配付実績
(1)歌舞伎・文楽
出演者及び公演スタッフ 150 件、研究者等 70 件、研究機関等 50 件
(2)組踊
第 27 集 出演者及び公演スタッフ:86 件、研究者等 27 件、研究機関等 69 件
第 28 集 出演者及び公演スタッフ:75 件、研究者等 20 件、研究機関等 68 件
第 29 集 出演者及び公演スタッフ:74 件、研究者等 26 件、研究機関等 66 件
3.外部専門家等の意見及びアンケート調査
(1)外部専門家等の意見
・ 個々の演目に関する貴重な参考資料で、大変意義がある。今後も継続して出版してほしい。
(2)アンケート調査
研究者・関係機関等に対し、刊行物発送時にアンケート用紙を添付して調査を行った。
・歌舞伎 No.563
:回答者数 52 人(配布数 106 人、回答率 49.1%)
98.1%の回答者から満足との回答を得た(51 人)
。
・文楽
No.564~565 :回答者数 59 人(配布数 93 人、回答率 63.4%)
94.9%の回答者から満足との回答を得た(56 人)
。
・組踊
No.27~29
:回答者数 12 人(配布数 227 人、回収率 5.2%)
83.3%の回答者から概ね満足との回答を得た(10 人)
。
201
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 各演目について十分に調査し、現在では見ることの困難な文献や資料図版を掲載することができた。
・ 国立劇場おきなわ『上演資料集』は、これまでは県内地域の比較研究だけであったが、
『上演資料集 第
28 集 姉妹敵討』では、本土各地域との比較研究を取り上げた。市町村に対して行った同公演の上演状
況のアンケート調査からは芸能の伝播とその影響について掲載することができた。また、調査を実施す
るなかで組踊台本の発掘とその修復保存にも協力することができた。
(2) 「近代歌舞伎年表」「義太夫年表」の刊行
<方針>
日本各地の歌舞伎を中心とした演劇興行についての年表・資料である「近代歌舞伎年表」を作成する。す
でに刊行した「大阪篇」全九巻十冊、
「京都篇」全十巻十一冊に続き、24 年度は「名古屋篇」第七巻の刊行
及び第八巻刊行に向けての基礎調査、原稿準備を行う。
「義太夫年表 昭和篇」については、第二巻の刊行準
備を行う。
<実績>
1.刊
行:「近代歌舞伎年表 名古屋篇」第七巻(25 年 3 月)
刊行準備:「近代歌舞伎年表 名古屋篇」第八巻 資料の収集、データ整理、原稿の一部作成を行った。
「義太夫年表 昭和篇」第二巻につき、約 360 件の資料を新たに調査した。さらに第二巻
の編集に着手した。
調査作業:
「近代歌舞伎年表 名古屋篇」作成のための劇界記事の作成:158 件(計画 120 件)、興行
カード作成:1,003 件(計画 800 件)
「義太夫年表 昭和篇」第三巻以降の資料調査
2.外部専門家等の意見及びアンケート調査
(1)外部専門家等の意見
・ 「近代歌舞伎年表」は歌舞伎等演劇についての基礎的文献として貴重であり、国立劇場ならで
はの地道な作業の集積である。
・ 研究者にとって有益で、明治期の名古屋の演劇興行の実態が明らかになった。
(2)アンケート調査
回答者数 49 人(配布数 103 人、回答率 47.6%)
、89.8%の回答者から満足との回答を得た(44 人)
。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
「近代歌舞伎年表名古屋篇」については、東京と京阪の中間にあり興行上でも特異な位置を占める名古
屋の状況を明らかにし、歌舞伎史の不詳部分に光をあてることができた。特に大正元年を収録した七巻は
明治天皇の崩御による興行の自粛・停止などが見られ、興行記録と社会的な事象とを関連付けることによ
り、明治期の様相を生き生きととらえることができるものとなった。
「義太夫年表 昭和篇」第二巻の刊行に向けた準備は順調に実施されている。
(3) 古文献の復刻等
<方針>
伝統芸能に関する古文献についての調査研究を行い、解題を付した復刻、翻刻として公開する。また過
去の刊行物等について増補・改訂等を行い、改訂版の刊行に向けた準備作業を行う。
<実績>
刊
行: 「芝居見たまま 明治篇」第一巻<歌舞伎資料選書・12>(25 年 2 月)
「エノケン喜劇のドラマツルギー‐榎本健一と菊谷栄が見た夢‐」<演芸資料選書・10>(25
年 3 月)
「小幡怪異雨古沼」〈未翻刻戯曲集・19〉
(25 年 3 月)
202
刊行準備:
「糸廼時雨越路一諷」
〈正本写合巻集・10〉(24 年 11 月)
「怪談木幡小平次・小幡怪異雨古沼」
〈正本写合巻集・11〉(25 年 3 月)
「芝居見たまま 明治篇」第二巻の文献調査
「未翻刻戯曲集・20」の古文献調査
「正本写合巻集」2 冊の古文献調査及び原稿準備
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 雑誌『演芸画報』に連載された「芝居見たまま」は、
「型」の記録に留まらず衣裳・小道具に至るまで
当時の舞台を詳細に記述した記録である。長期に亘り雑誌に連載されたものであるため、まとめられた
状態のものがなく利用が煩雑であったが、今回の刊行により研究、鑑賞の手引きとして広く活用できる
こととなった。
・ 初演系の台本で未翻刻である「小幡怪異雨古沼」を未翻刻戯曲集・19 として翻刻出版した。正本写合
巻集では台本未詳の「糸廼時雨越路一諷」を第 10 として刊行した。
「小幡怪異雨古沼」に対応して同系
統の作品である台本未詳の「怪談木幡小平次」を取り上げ、参考として過去に翻刻文のみが出ている「小
幡怪異雨古沼」を「怪談木幡小平次」と同様に影印・錦絵・解題などを加えて充実した形で第 11 として
刊行した。いずれも現行の文献や上演形態を補うものとして、将来の歌舞伎レパートリーの充実にも寄
与できるものと期待される。
(4) 「沖縄芸能史年表」等の刊行
<方針>
・ 23 年度の第 8 集に引き続き、1978 年から 5 年間分の沖縄(琉球)の伝統芸能に関連する新聞記事を調
査・収集・整理して「沖縄芸能史年表」を刊行し、再演及び研究等に活用する。
<実績>
・ 「琉球・沖縄芸能史年表 第 9 集(戦後篇 4)上・下」
(1978 年 1 月 1 日~1982 年 12 月 31 日)を刊行
した。
《自己点検評価》
○ 見直し又は改善を要する点
芸能に関する記事データが膨大になっているため、今後冊子としての刊行以外にデータベース化やネッ
ト上での公開も検討する余地がある。
(5) 資料の収集・分類整理、閲覧
<方針>
伝統芸能全般に関する基本的な新旧の図書、雑誌、博物資料の収集を主軸とする。歌舞伎については、
錦絵・番付・ブロマイド写真・上演台本を、大衆芸能については、落語・講談の速記本、見世物・曲芸の
絵画資料と映像・音声資料(ビデオ・CD)等の収集を行う。また、図書のデータベース化をすすめ、研究
者及び一般の利用に供する。
能楽堂では主として能楽に関する研究書、実演資料、図録、一般図書等の芸能図書及び能楽の普及・伝
承・研究の上で、特に意義があると認められる装束、面、楽器、文献、絵画等の特別資料の収集を行う。
文楽劇場では、特に人形浄瑠璃・義太夫節に関する新旧の一般書・基本的な研究書を中心に、人形浄瑠璃
興行関連資料(番付等)・演者関連資料・義太夫丸本・義太夫段物集・舞台関係絵画資料(錦絵・絵番付を
含む)等の収集を行う。
国立劇場おきなわでは、組踊に関する新旧の台本、一般書、研究書、公演パンフレット・チラシ・ポスタ
ー、組踊衣裳・小道具を主軸とし、併せて琉球舞踊、沖縄芝居、民俗芸能等の沖縄伝統芸能の台本、研究書
等についても収集を行う。インターネットを活用した情報提供を図り、研究者及び一般の利用に供する。
<実績>
1.実績
203
区
分
伝統芸能
情報館
図書の収集・活用
能楽堂
収 集
収集図書:3,518 冊
単行本 404 冊、逐次刊行物 1,357 冊、
筋書等 1,757 冊
収集図書:639 冊
単行本等 110 冊、逐次刊行物 292 冊
番組等 237 冊
資料の収集・活用
文楽劇場
収集図書:672 冊
単行本 134 冊、逐次刊行物 141 冊、
筋書等 397 冊
国立劇場
おきなわ
収集図書:368 冊
単行本 48 冊、逐次刊行物 257 冊、
筋書等 63 冊
伝統芸能
情報館
収集資料:1,419 点
レコード・CD11 点、公演記録等資料 682
点、その他 737 点
能楽堂
収集資料:6,945 点
公演記録資料(ビデオ等 624 点、写真
6,277 点)、その他 44 点
閲 覧
閲覧室利用者数:3,773 人
図書閲覧者数:436 人(2,331 冊)
開室日数:256 日
閲覧室利用者数:3,931 人
図書閲覧者数:1,028 人(2,284 冊)
開室日数:252 日
閲覧室利用者数:1,137 人
普及コーナー利用者数:11,921 人
図書閲覧者数:657 人(2,577 冊)
開室日数:246 日
レファレンスルーム利用者数:1,630 人
図書閲覧者数:1,063 人(323 冊)
開室日数:172 日
特別閲覧件数:2 件(59 点)
特別貸出件数:108 件(779 点)
映像音声資料閲覧件数:1,023 件(2,312
時間)
写真複製使用件数:310 件(1,443 点)
特別閲覧件数:12 件(163 点)
特別貸出件数:4 件(69 点)
映像資料閲覧件数:2,065 件(3,365 時間)
写真複製使用件数:77 件(325 点)
収集資料:1,288 点
映像音声資料閲覧件数:598 件(146 時間)
公演記録等資料 26 点、視聴覚資料 1,185
写真複製使用件数 14 件(30 点)
点、その他 77 点
収集資料:612 点
映像音声資料閲覧件数:1,033 件(1,067
国立劇場
公演記録等資料 339 点
時間)
おきなわ
視聴覚資料 273 点
写真複製使用件数:5 件(12 点)
組踊等衣装 2 点
2.外部専門家等の意見及びアンケート調査
(1) 外部専門家等の意見
なし
(2) アンケート調査
・ 伝統芸能資料館図書閲覧室において、25 年 2 月 10 日~3 月 25 日に実施。
回答者数 71 人(満足数 56、やや満足 12、普通 2、無回答 1)
。 回答者の 95.8%が概ね満足と答え
た(68 人)
。
・ 能楽堂図書閲覧室において、10 月 4 日~10 月 30 日に実施
回答数 90 人(配布数 100 人、回収率 90%)回答者の 87%が概ね満足、と答えた(87 人)
。
・ 国立劇場おきなわレファレンスルームにおいて、アンケート用紙を設置。
回答者数 8 人、
(満足数 6、不満 1、無回答1) 回答者の 75.0%が概ね満足と答えた。
文楽劇場
【特記事項】
・ 伝統芸能情報館の図書閲覧室及び本館視聴室は、引き続き、第 2 日曜日の開室と第 3 水曜日の開
室時間の延長(20:00 まで)を行った。
・ 3 月 11 日は大劇場で「東日本大震災二周年追悼式」が行われたため、伝統芸能情報館の図書閲覧
室及び本館視聴室を休室した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 東日本大震災を受け、図書閲覧室内の開架書棚に、地震による書籍の落下とそれによる人的被害を
204
防ぐため、感震式の書籍落下防止装置を設置した。
(6) 資料を活用した刊行
<方針>
能楽堂では、能楽堂展示室での展示のための調査結果をもとに図録を刊行し、研究者及び研究機関等へ
配布し一般に販売する。
<実績>
・ 特別展「加賀の能楽名品展」展示図録(24 年 9 月)
・ 英文演目解説「The Guide to Noh of the National Noh Theatre ―2」(25 年 3 月)
・ 「国立能楽堂調査研究 7」(25 年 3 月)
・ 企画展「『観世文庫展』報告書」
(25 年 3 月)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 観世文庫創立 20 周年記念として 23 年度から 24 年度へかけて 4 回にわたり実施した企画公演「世阿弥
自筆本による能」シリーズと連携して開催した企画展『観世文庫展』では、同文庫所蔵の世阿弥自筆
本 4 点(重要文化財)ほかの貴重な資料を特別協力により展示したが、その成果を「
『観世文庫展』報
告書」として刊行したことは意義深いことであった。
(7) 文化デジタルライブラリー等の整備と公開
<方針>
収集した資料のデータベース化やデジタルコンテンツの作成など、文化デジタルライブラリー等の整備
を行い、インターネットにより公開する。図書については、書誌データをサーバーに登録し、
「国立劇場図
書検索」により一般の利用(検索)に供する。収蔵資料については、画像をデジタルデータ化し、併せて
情報のデータベース化を進め、伝統芸能情報館及びインターネットにおいて一般の利用(検索・閲覧)に
供する。
自主公演に関する情報(場割、配役、上演時間、出演者等)のデータベース化を進め、伝統芸能情報館
及びインターネットにおいて一般の利用(検索・閲覧)に供する。
公演記録写真については、画像をデジタルデータ化した上で文化デジタルライブラリーに登録し、伝統
芸能情報館(情報展示室、図書閲覧室)や能楽堂(図書閲覧室)での一般の利用(検索・閲覧)に供する。
歌舞伎公演に係る扮装(鬘、衣裳、小道具等)や文楽公演に係る人形、小道具の写真と情報を、文化デ
ジタルライブラリーに登録し、伝統芸能情報館(情報展示室、図書閲覧室)や能楽堂(図書閲覧室)での
一般の利用(検索・閲覧)に供する。
収集した図書資料等を活用し、デジタル技術により教育普及を目的としたコンテンツを作成するととも
に、インターネットにより小・中学校等教育機関及び一般に提供する。
<実績>
1.実績
(1) データベース化
事 項
実 施 内 容
逐次刊行物等 8,500 件(計画:8,500 件程度)
本館所蔵の他劇場の公演筋書 6,999 件、能楽堂所蔵の公演筋書 29 件、逐次刊行物 869
図 書
件、台本 153 件、図書 450 件を、図書管理システム及び国立情報学研究所のデータベー
スに登録した。
錦絵 150 点(計画:150 点)
ブロマイド 278 点(計画:150 点)
資 料
「芝居版画等図録第 14 巻」に掲載の錦絵 150 点と、新たに考証・整理が終了したブロ
マイド写真(戦前の歌舞伎俳優)278 点を、文化デジタルライブラリーに追加登録した。
205
上演情報
公演記録
写真
扮装図鑑
176 公演(計画:100 公演)
歌舞伎 12 公演、文楽 18 公演、舞踊・邦楽 14 公演、雅楽・声明 3 公演、民俗芸能 3 公
演、特別企画 2 公演、能・狂言 65 公演、大衆芸能 59 公演の公演情報を、文化デジタル
ライブラリーに登録した。
31,375 点(計画:23,000 点)
国立劇場で 22 年 6 月から 23 年 11 月までに撮影した全ジャンルの公演記録写真 27,322
点、国立劇場で昭和 41 年 12 月から平成 13 年 6 月までに撮影された民俗芸能公演の公
演記録写真 4,053 点を文化デジタルライブラリーに登録した。
8 公演(計画:7 公演)
国立劇場で 23 年 10 月から 24 年 6 月までに上演された歌舞伎公演(鑑賞教室を含む)2
公演と、20 年 2 月から 21 年 2 月までに上演された文楽公演(鑑賞教室を含む)6 公演
の「扮装図鑑」を、文化デジタルライブラリーに登録した。
(2) デジタルコンテンツの作成
・ 収集した図書・資料等の活用として、デジタル技術により、教育・普及を目的とした舞台芸術教
材コンテンツを次のとおり作成し、25 年 4 月よりインターネットで配信した。
・舞台芸術教材「琉球芸能編 組踊」
・舞台芸術教材「大衆芸能編 寄席」
(3)上映用コンテンツの作成
・ 22 年度に伝統芸能情報館 1 階の大型テレビ(85 インチ)を更新したことに伴い、フルハイビジョン
による上映用コンテンツを計画的に作成し、公開した。
・映像コンテンツ「文楽を味わう」
(4) 文化デジタルライブラリーホームページへのアクセス件数
473,258 件(計画:360,000 件)
2.外部専門家等の意見
・ コンテンツが充実してきた。若い世代には重要になってくるので、理解しやすい内容も考えたほ
うが良いとの意見があった。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 6 月に「文化デジタルライブラリー」のトップページのデザインを更新した。また、新たに作成した
紹介パンフレットを、25 年度の本館の歌舞伎鑑賞教室と文楽劇場の文楽鑑賞教室の団体観劇勧誘の案内
DM に同封し、関東・東海地方の公立、私立の中高学校などに約 9,000 通、近畿地方の同種校に約 3,000
通を発送し、「文化デジタルライブラリー」の周知を図った。
・ 舞台芸術教材「琉球芸能編 組踊」に、国立劇場おきなわの舞台を使用して、役柄の演技(若衆、按司、
大主など)
、唱え(セリフ)
(若衆、女、老人など)
、音楽(地謡)などを新規に撮影し、それをコンテン
ツに盛り込むことができた。
・ 舞台芸術教材「大衆芸能編 寄席」に、落語家が扇と手拭を使って演じる様々な仕方(手紙を読む・書
く、刀を抜く、そばを食べるなど)や役柄による演じ方の違い、動作(障子から覗く、酔っぱらう)な
どの実際を、演芸場 2 月上席に出演の春風亭小柳枝が、高座後に第一演芸研修室で演じたものを撮影し、
その映像をコンテンツに盛り込むことができた。
・ 今年度よりデータの登録システムを改修したことにより、公演記録写真などの登録を外注せずにでき
るようになったため、より効率的な作業が可能となり、目標数を遙かに超える登録数となった。同様に
公演情報の登録数も大きく超えた。
・ 錦絵 150 点を「芝居版画等図録第 14 巻」
(インターネットのみでの公開の図録第 2 巻)に掲載するこ
とができた。
・ 伝統芸能情報館内の上映用コンテンツ「文楽を味わう」は、文楽劇場の初春公演から「ひらかな盛衰
記」を取り上げ、舞台面と出演者のインタビュー(豊竹咲大夫、鶴澤燕三、吉田玉女)を交えて、文楽
の歴史、
「ひらかな盛衰記」のあらすじ、文楽の三業(大夫、三味線、人形遣い)の役割を紹介する作品
に仕上がった。
206
(8) 展示公開
<方針>
収集した資料を、各劇場施設の目的に沿って一般に展示公開するとともに、目録を作成する。
伝統芸能情報館の情報展示室は、収集した資料に視覚的効果のため歌舞伎衣裳や研修用教材を併用し、
また、演芸場資料室は収集した資料やビラ等を展示する。
能楽堂では資料収集及び外部の能楽資料の調査とその成果を展示公開し、図録の刊行を行い能楽の理解
と普及を図る。
文楽劇場の「文楽入門」では、文楽の資料・解説パネル等により、文楽の基本的内容を紹介する。また、
「企画展示」は、主に演目にちなむ資料等により公演への興味と理解を深めることを目的として開催する。
国立劇場おきなわの展示は、収集した沖縄伝統芸能に関する新旧の台本や衣裳小道具を、一般に公開す
ることを目的として開催する。
<実績>
1.展示公開の実績(実施 21 回・計画 21 回)
展示室
企画内容
期間
情報館
資料
展示室
6,939 人
7,700 人
企画展示「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世界―」
6/2~9/24
114 日間
18,794 人
15,900 人
企画展示「曽我物歌舞伎」「黙阿弥の仕事」
10/5~1/27
110 日間
13,402 人
13,000 人
2/9~3/27
46 日間
7,227 人
6,800 人
4回
328 日間
46,362 人
43,400 人
4/1~7/20
94 日間
14,324 人
10,960 人
演芸資料展「曲独楽の世界」
8/1~11/25
98 日間
14,612 人
12,300 人
演芸資料展「収蔵資料展」
1/2~3/24
61 日間
9,931 人
7,700 人
3回
253 日間
38,867 人
30,960 人
企画展「観世文庫展」
4/11~4/29
17 日間
2,861 人
1,700 人
入門展「能楽入門」
5/24~8/11
70 日間
8,732 人
7,590 人
特別展 「加賀の能楽名品展」
9/21~11/21
54 日間
9,017 人
8,100 人
12/12~1/31
37 日間
3,464 人
3,960 人
2/20~3/20
26 日間
4,157 人
2,860 人
5回
204 日間
28,231 人
24,210 人
企画展示「昭和初期の文楽」・-文楽入門-
4/7~5/20
44 日間
12,863 人
11,800 人
「文楽入門Ⅰ」・「曾根崎心中 元禄と現代」
6/8~8/12
65 日間
30,117 人
17,800 人
「文楽入門Ⅱ」・「萬福寺の魅力」
9/1~10/21
51 日間
5,114 人
4,600 人
企画展示「忠臣蔵資料展」・-文楽入門-
11/3~12/2
30 日間
12,018 人
11,600 人
「文楽入門Ⅲ」・「初春文楽公演の演目にちなんで」
1/3~3/20
77 日間
21,029 人
18,000 人
企画展示「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」」「黙阿
弥の仕事」
計
演芸資料展「芝居噺と噺家芝居」
展示室
合
資料
展示室
計
収蔵資料展(野上記念法政大学能楽研究所設立 60
周年記念) 前期
収蔵資料展(野上記念法政大学能楽研究所設立 60
周年記念) 後期
合
文楽
劇場
資料
展示室
目標
58 日間
演芸場
能楽堂
実績
4/1~5/28
合
資料
日数
企画展示「琉球王朝の華「組踊と琉球舞踊」」
伝統
芸能
来場者数
開催
計
207
5回
267 日間
81,141 人
63,800 人
企画展「琉球歌劇への誘い~伊江島ハンドー小~」
4/14~6/24
72 日間
2,533 人
3,096 人
企画展「紅型 ~組踊・琉球舞踊の衣裳~」
7/14~9/23
72 日間
1,937 人
3,096 人
企画展「踊衣裳の美-名匠展-」
10/6~12/16
72 日間
3,629 人
3,096 人
企画展「収蔵資料展」
1/12~3/17
65 日間
3,149 人
2,712 人
4回
281 日間
11,248 人
12,000 人
205,849 人
174,370 人
合
国立
劇場
おきなわ
資料
展示室
合
総
計
計
21 回(計画 21 回)
計
(伝統芸能情報館)
・ 「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世界―」は、23 年度に開催した企画展示「歌舞伎入門」で取り上
げた「義経千本桜」「仮名手本忠臣蔵」に続き、義太夫狂言の三大名作の残り「菅原伝授手習鑑」の
全段を紹介し、作品で使用される小道具(牛車、牛、俵、鶏、首桶など)や衣裳(直衣)などを展示
した。
・ 「曽我物歌舞伎」は、江戸時代の歌舞伎のヒーローとして、庶民に絶大な人気を博してきた曽我兄
弟を題材にした作品群「曽我物」から「対面」「草摺引」「矢の根」などを、収蔵資料(錦絵、舞台写
真など)を使用して紹介した。
・ 「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」」展について、洋画家長谷川昇(日本芸術院会員・日展理事)
が、歌舞伎、文楽を画題に制作した油彩画 60 点を文化財保護委員会(現 文化庁)に寄贈し、現在は
日本芸術文化振興会が借用し、大小劇場ロビー等劇場内各所に常設展示しているが、一般の来場者の
目に触れる機会が少ない作品も含めて、前期・後期に分けて展示するもので、前期では 20 点を 3 月
27 日まで展示した。
・ 河竹登志夫氏より寄贈を受けた黙阿弥関係資料のうち、「硯」「矢立て」「遺言状」「狂言作者心得」
「家督譲状」などを展示ケースや覗きケースで展示し、
「黙阿弥の仕事」として「曽我物歌舞伎」から
同時開催した。
(「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」
」展の終了まで継続して展示)
(演芸場)
・ 「芝居噺と噺家芝居」では、林家正雀の協力により、師匠の林家正蔵(後の林家彦六)の遺品や芝
居噺で使用した背景画(仕掛け有り)を展示し、高座で実際に用いられた道具を間近で見ることがで
きるようにしたことで、芝居噺に一層の興味と理解が深まる展示となった。
・ 「曲独楽の世界」では、寄贈資料のうち、三増紋也、やなぎ女楽が舞台で使用していた独楽や道具
と、今回初めて十七代松井源水の独楽、テーブル掛け、刀、煙管なども展示した。また、やなぎ南玉
が蒐集した日本各地の玩具の独楽も紹介し、実際に高座で使用する曲独楽を手に取り廻すことのでき
る体験コーナーも併設した。
・ 「収蔵資料展」では、各種の演芸を広く取り上げた展示とした。錦絵で講談、番付で浪曲、ビラと
錦絵でサーカスや、落語家の書画、奇術師の隈取、腹話術人形などを、また直近に寄贈を受けた「ニ
ューマリオネット」の人形なども展示した。
(能楽堂)
・ 企画展「観世文庫展 阿古屋松」では、特別企画公演「世阿弥自筆本による能‐復曲能初演『世阿
弥』」と連携して、観世文庫創立 20 周年記念として同文庫所蔵の世阿弥自筆本「阿古屋松」
(重要文化
財)ほかの貴重な資料を特別協力により展示した。また、展示成果を「『観世文庫展』報告書」として
刊行した。
・ 特別展「加賀の能楽名品展」では、金沢能楽美術館と共催して交換展示を行い、金沢市尾山神社、
加賀市江沼神社の協力も得て、加賀藩前田家・大聖寺藩前田家伝来の能面・能装束を中心とした展示
を行った。展示作品はいずれも東京では初公開で、特に悪尉面「泡吹」は尾山神社に秘蔵されている
名物面で好評を博した。
・ 収蔵資料展では、法政大学能楽研究所設立 60 周年記念として同研究所所蔵の貴重資料を中心に展示
した。前期「みちのくの能・狂言」では東北諸藩にゆかりのある文献を、後期「能絵鑑と狂言古図」
では同研究所と国立能楽堂が所蔵する絵画資料の比較展示を実施した。
208
(国立劇場おきなわ)
・ 第 1 回企画展「琉球歌劇への誘い~伊江島ハンドー小~」では、自主公演沖縄芝居の「伊江島ハン
ドー小」をテーマに取り上げ、琉球歌劇の代表作である本作品の誕生の歴史や見どころを衣裳や小道
具、写真等を通して展示した。第 2 回「紅型~組踊・琉球舞踊の衣裳~」展では、琉球染織の粋であ
る紅型衣裳を琉球舞踊や組踊で用いられる扮装写真とともに紹介した。第 3 回「踊衣裳の美-名匠展
-」では、名匠達が制作した「琉球舞踊」や「創作舞踊」に用いられる踊り衣裳を展示紹介した。第
4 回「収蔵資料展」では、平成 16 年 1 月の開場以来、国立劇場おきなわが収集してきた各種沖縄伝統
芸能関連の貴重資料の一部を展示公開した。
2.目録等刊行物の実績
(伝統芸能情報館)展示目録「琉球王朝の華「組踊と琉球舞踊」」「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世
界―」「曽我物歌舞伎」「黙阿弥の仕事」「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」
」
(演芸場)展示目録「芝居噺と噺家芝居」
「曲独楽の世界」「収蔵資料展」
(能楽堂)特別展「加賀の能楽名品展」展示図録(24 年 9 月)
企画展「『観世文庫展』報告書」
(25 年 3 月)
3.外部専門家等の意見及びアンケート調査
(1) 外部専門家等の意見
・ 伝統芸能情報館については、なお一層の工夫をして増員に努めてほしいとの意見があった。
(2) アンケート調査
(伝統芸能情報館)
・ 「琉球王朝の華「組踊と琉球舞踊」」
(4/1~5/28)期間中に実施。回答数 95 人。回答者の 97.9%
が概ね満足と答えた(93 人)。
・ 「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世界―」(6/2~9/24)期間中に実施。回答数 104 人。回答者
の 95.2%が概ね満足と答えた(99 人)
。
・ 「曽我物歌舞伎」
「黙阿弥の仕事」
(10/5~1/27)期間中に実施。回答数 44 人。回答者の 88.6%
が概ね満足と答えた(39 人)。
・ 「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」」
「黙阿弥の仕事」
(2/9~3/27)期間中に実施。回答数 57
人。回答者の 100%が満足と答えた(57 人)
。
(能楽堂)
・特別展示「加賀の能楽名品展」(9/21~11/21)期間中に実施。回答数 312 人。回答者の 82.7%
が概ね満足と答えた(258 人)
。
(文楽劇場)
・ 常設展示「文楽入門Ⅲ」(1/3~3/20)期間中に実施。回答数 163 人。回答者の 84.7%が概ね満
足と答えた(138 人)
。
(国立劇場おきなわ)
・ 全展示期間中に実施。回答数 93 人。回答数の 79.6%が概ね満足と答えた(74 人)
。
【特記事項】
(伝統芸能情報館・演芸場)
・ 「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世界―」では来場者が、展示した小道具(俵)に直接触れられる
ようにして、舞台で実際に役者が使う小道具の大きさや重さなどが実感でき、より歌舞伎に興味が持
てるものとなった。
・ 黙阿弥没後 120 年に因んで上演した 25 年初春歌舞伎「夢市男達競」の公演期間中(3 日~27 日)
、
大劇場ロビー1階に展示ケース1台を特設し、河竹登志夫氏より寄贈を受けた黙阿弥ゆかりの品々
(「河竹家表札」「英国製八角時計」など)を展示し、公演終了後はそのまま情報館にそれを移動して
展示した。
・ 「曲独楽の世界」では、曲独楽師が実際に舞台で使用する独楽を来場者が手に取り廻すことができ
る体験コーナーを設置したことにより、独楽の大きさや重さなどを実感でき、曲独楽がより身近に感
じられる展示となった。
・ 演芸場 1 月からの「収蔵資料展」では、11 月に寄贈を受けた「ニューマリオネット(糸操り)」が
舞台で使用していた人形を早々に展示、紹介した。
・ 3 月 11 日は大劇場で「東日本大震災二周年追悼式」が行われたため、伝統芸能情報館の展示を休室
209
した。
・ 千代田区立日比谷図書文化館で開催された「市川團十郎荒事の世界」展(9 月 29 日~11 月 28 日)
に、振興会所蔵の錦絵(「歌舞伎十八番錦絵(組物)」
「千歳座新舞台仕初図」など)6 点を貸し出し、
展示の充実に寄与した。
・ サントリー美術館で開催された歌舞伎座開場記念展「歌舞伎 江戸の芝居小屋」
(2 月 6 日~3 月 31
日)に、振興会所蔵の錦絵など(「芝居きやうげんの図」
「新板浮絵三芝居顔見世大入之図」
「東都名所
猿若町芝居」
「五代目市川団十郎筆 扇子」
「同短冊」など)23 点を貸し出し、展示の充実に寄与した。
(能楽堂)
・ 企画展「観世文庫展」は、特別企画公演「世阿弥自筆本による能」と連携して開催し、観世文庫創
立 20 周年記念として同文庫所蔵の特別協力により、世阿弥自筆本(重要文化財)ほかの貴重な資料を
特展示した。また、展示成果を「『観世文庫展』報告書」として刊行した。
・ 特別展「加賀の能楽名品展」では、金沢能楽美術館と共催して交換展示を行い、展示図録を作成し
た。
・ 収蔵資料展では、法政大学能楽研究所設立 60 周年記念として同研究所所蔵の貴重資料を展示した。
また、展示と連携した特別講座を、前期「みちのくの能・狂言」
(1 月)では列品講座として、後期「能
絵鑑と狂言古図」
(3 月)では「描き伝えた芸能」と題してシンポジウム形式で実施した。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では「義太夫年表 昭和篇」第一巻の刊行にあわせ、企画展示「昭和初期の文楽」を開催
した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
(伝統芸能情報館・演芸場)
・ 「曲独楽の世界」で展示した十七代松井源水の舞台使用の道具類は、展示協力者のやなぎ南玉が探
し当てた源水の子孫から借用し、今回初めて展示できたもので、これにより曲独楽の歴史に残る名人
たちの道具を体系的に紹介でき、より充実した内容となった。
・ 「長谷川昇「歌舞伎絵・文楽人形絵」
」展では、作成したチラシを東京都内の美術館など 30 か所(山
種美術館、サントリー美術館、国立新美術館など)に送付し、絵画の愛好者にも来場を促せるよう掲
出を依頼した。その結果、入場者数について昨年の 3 月と比較すると、23 年度 3,365 人(30 日開室)、
1 日当たり 112.2 人、24 年度 3,225 人(26 日開室)
、1 日当たり 124.0 人となっており、1 日当たりの
入場者数は約 12 人増加している(3 月歌舞伎の入場者数は、23 年度 18,295 人、24 年度 14,849 人で
逆に減少している)。
(能楽堂)
・ 企画展では、観世文庫創立 20 周年記念として同文庫の特別協力により、公演では「世阿弥自筆本に
よる能」の復曲上演を、公演と連携した展示では世阿弥自筆本(重要文化財)ほかの貴重な資料を展
示し、また、展示成果を「
『観世文庫展』報告書」として刊行した。
・ 収蔵資料展では、法政大学能楽研究所との共催で、双方の貴重な収蔵資料によりテーマ性の高い企
画展示を行い、さらに紀要と特別講座・シンポジウムにより、分野横断的検証の場を作り、能楽研究
の歴史と今後の指針を示す連携事業を行うことが出来たことは、極めて意義深い。
・ 能楽堂では、収集した能楽資料の公共の博物館などへの外部貸出、また、紀要による収蔵資料の研
究紹介により他館の収蔵作品との比較研究が進み、その実績が認められ、他館及び研究施設との協力
も広範化し、能楽の振興への寄与が拡大している。
・ 国立劇場おきなわ第 4 回企画展「収蔵資料展」において、寄贈された映像資料をデジタル化し、展
示室内のモニターで公開上映した。
○
見直し又は改善を要する点
・ 「琉球王朝の華「組踊と琉球舞踊」」の入場者数が目標入場者数に達しなかった。24 年度は東日本
大震災で中止した歌舞伎公演「絵本合邦衢」を 4 月に大劇場で再演したため、この観劇者を見込んで
目標値を設定したが届かなかった。今後は来場者数の数値をより厳密に検討して設定しなければなら
ない。
210
(9) 自主公演の記録の作成
<方針>
自主公演について、映像、写真等による記録を作成し、今後の伝統芸能の振興・普及に活用する。
<実績>
1.収録実績
区分
記録件数・内容
本館・演芸場
映像・音声・写真 67 公演、扮装図鑑等 8 公演、文楽人形等 5 公演
能楽堂
映像・音声・写真 51 公演
文楽劇場
映像・音声・写真 15 公演、文楽人形等 5 公演
国立劇場おきなわ
映像・音声・写真 30 公演、小道具写真 6 公演
(本館)
・ 自主公演等 67 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
・ 歌舞伎公演(鑑賞教室を含む)では、鬘・衣裳・小道具等の写真による記録を作成(扮装図鑑)
し、下座の附帳等を保存した。また、文楽公演(鑑賞教室を含む)では、人形・大道具・小道具
等の写真による記録を作成した。
(能楽堂)
・ 自主公演 51 公演について映像・写真等による記録を作成した。
・ 過去の公演記録映像マスターテープのうち、現在製造が中止された方式のデータ保存方法を検
討した。視聴用記録映像の DVCAM 方式が製造中止されているため、DVD 方式への媒体変換作業を
継続して行った。
(文楽劇場)
・ 自主公演 15 公演について、映像・写真等による記録を作成した。
(国立劇場おきなわ)
・ 自主公演 29 公演、若手伝承者発表会1公演について、映像・写真等による記録を作成した。
(10) 公演記録映像の有効活用
<方針>
自主公演の記録を出演者、演出家、研究者及び一般の利用に供することにより、芸能文化の振興・普及
に努める。
<実績>
1.公演記録映像・音声の活用
・ 複製依頼のあった出演者・演出家等に、公演記録映像・音声を提供した。また、依頼に応じて、出
版社・放送局等に複製物を提供した。
・ 文楽「冥途の飛脚」
(全 2 枚)の DVD を外部制作会社と共同で製作し 25 年 3 月に発売した。
・ 能楽堂では、公開講座において講演と併せて公演記録映像を活用した。
・ 国立劇場おきなわでは、第 1 回企画展「琉球歌劇への誘い~伊江島ハンドー小~」、第 4 回「収蔵資
料展」において、公演記録映像の一部及び寄贈資料映像をデジタル化して展示室内のモニターで上映
し、展示資料の参考として紹介した。
2.活用実績
(1) 視聴(映像資料及び音声資料)利用数総計:4,719 件(7,189 時間)
区 分
一 般
関係者(出演者等)
合 計
本館
663 件( 1,806 時間)
347 件( 487 時間)
1,010 件(2,293 時間)
能楽堂
1,468 件( 2,848 時間)
597 件( 817 時間)
2,065 件(3,665 時間)
文楽劇場
19 件(
37 時間)
579 件( 109 時間)
598 件( 146 時間)
国立劇場おきなわ
283 件(
192 時間)
750 件( 874 時間)
1,033 件(1,066 時間)
(2) 複製(映像資料及び音声資料)
211
区
分
関係者(出演者等)
本館
340 件( 754 時間)
能楽堂
198 件( 247 時間)
文楽劇場
131 件( 303 時間)
国立劇場おきなわ
356 件( 124 時間)
※ 複製は出演者等に対してのみ実施。
3.外部専門家等の意見及びアンケート調査
なし
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 文楽 DVD は、時代物 4 作品(「義経千本桜」
「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「妹背山婦女庭訓」
)
に続き、初めて世話物の「冥途の飛脚」が制作・発売された。引き続き文楽作品の DVD 制作を検討する。
(11) 鑑賞会・講座等の実施
<方針>
伝統芸能に関する理解の促進と普及を図るため、公演記録鑑賞会や入門的講座のほか、上演に合わせた
関連講座等を適宜実施する。また、教員免許状更新講習も昨年に引き続き実施する。公演記録鑑賞会は、
過去の貴重な映像を選択する工夫をし、鑑賞者の増加に努める。
<実績>
(1) 伝統芸能に関する理解の促進と普及を図るための講座等
会場
名称
伝統芸能サロン
伝統芸能
情報館
公演記録鑑賞会
能楽公開講座
能楽堂
能楽特別講座
文楽劇場
公演記録鑑賞会
公演記録鑑賞会
国立劇場
おきなわ
沖縄伝統芸能公開講座
国立劇場おきなわ県外講演
合 計
回数
参加者数
アンケートによる
有意義回答の割合
実績
6回
615 人
計画
6回
540 人
実績
12 回
1,598 人
計画
12 回
1,080 人
実績
12 回
1,723 人
計画
12 回
1,800 人
実績
2回
240 人
計画
2回
200 人
実績
12 回
1,675 人
計画
12 回
1,500 人
実績
4回
338 人
計画
4回
600 人
実績
4回
136 人
計画
4回
112 人
実績
1回
123 人
計画
1回
130 人
実績
53 回
6,448 人
89.2%
計画
53 回
5,962 人
80%以上
90.6%
92.6%
90.9%
84.4%
90.6%
77.8%
79.4%
90.7%
(伝統芸能情報館)
・ 4 月の公演記録鑑賞会は、情報館の展示「琉球王朝の華「組踊と琉球舞踊」
」に因み、国立劇場おきなわ
の公演記録映像から、琉球舞踊 6 作品と組踊「執心鐘入」を上映した。
・ 5 月~7 月の公演記録鑑賞会は、情報館の展示「歌舞伎入門―菅原伝授手習鑑の世界―」に因み、
「菅原
伝授手習鑑」を取り上げ、5・7 月は歌舞伎、6 月は文楽の公演を、3 か月連続で「河内国道明寺の場」か
212
ら「寺子屋の場」まで上映した。
・ 8 月の公演記録鑑賞会は恒例の納涼公演として演芸の落語を取り上げ、「名流二人会―志ん朝・圓楽―」
で、故人の芸を偲ぶ会とした。
・ 9 月の公演記録鑑賞会は邦楽公演のシリーズ「江戸三味線音楽の歴史」の 5 回目で「変わりゆく社会 天
保の改革~幕末」を上映した。
・ 10 月の公演記録鑑賞会は 23 年 1 月に逝去した歌舞伎俳優の中村富十郎を偲び、
「雷神不動北山桜」を上
映した。
・ 11 月の公演記録鑑賞会は、翌 12 月に大劇場の歌舞伎公演で上演される「鬼一法眼三略巻」を、事前に
文楽での公演をご覧いただき、歌舞伎との違いを楽しんでもらえる会とした。
・ 12 月の公演記録鑑賞会は 22 年 3 月以来、久しぶりに舞踊を取り上げ、人間国宝 6 名の至芸を上映した。
・ 1 月の公演記録鑑賞会は東北地方の復興支援として岩手県の民俗芸能から「毛越寺の延年」を上映した。
・ 2 月・3 月の公演記録鑑賞会では、黙阿弥没後 120 年に因み、黙阿弥作品を取り上げ、2 作品を上映した
(「天衣紛上野初花」
「初霞空住吉―かっぽれ―」
)。
・ 第 34 回の伝統芸能サロン(6 月 16 日開催)は、演芸場の展示「芝居噺と噺家芝居」に因み、落語家の
林家正雀が「林家彦六の芸と人」の題で、芝居噺を得意とした師匠の林家正蔵(後の林家彦六)の思い出
話を話し、最後に一席披露した。(
「旅の里扶持」
)
・ 第 35 回の伝統芸能サロン(7 月 28 日開催)は、2 月に逝去した歌舞伎俳優の中村雀右衛門を偲び、振興
会の歌舞伎俳優研修修了生で弟子の中村京妙が「女方の芸と師匠の思い出」の題で、役柄としての女方に
ついて解説し、入門から接してきた師匠の思い出を、国立劇場に出演の記録映像を見ながら語った。
・ 第 36 回の伝統芸能サロン(9 月 29 日開催)は、演芸場の展示「曲独楽の世界」に因み、曲独楽師のや
なぎ南玉が「寄席の色物 曲独楽に生きる」の題で、日本における曲独楽の歴史についてスライドを用いて
解説し、最後に曲独楽を実演した。
・ 第 37 回の伝統芸能サロン(12 月 2 日開催)は、小劇場の 12 月文楽公演に因み、国立文楽劇場文楽技術
室の村尾愉が「文楽人形 首(かしら)のはなし」の題で、首の製作工程や構造、仕掛けなどについて、管
理と補修に従事する立場から解説した。
・ 第 38 回の伝統芸能サロン(1 月 19 日開催)は、正月には獅子舞の風物詩に因み、大阪城天守閣学芸主
幹の北川央氏が、「伊勢大神楽の魅力」の題で、関東では馴染の薄い伊勢大神楽(獅子舞と放下芸(曲芸)
を行う。昭和 56(1981)年に国の重要無形文化財に指定)の歴史や魅力をスライドなどを用いて解説した。
・ 第 39 回の伝統芸能サロン(2 月 9 日開催)は、梅花女子大学教授の荻田清氏が、「見立番付のおもしろ
さ」の題で、演芸場の「収蔵資料展」で展示している浪曲技藝士銘鑑(番付)に因み、相撲番付に見立て
た様々な番付の面白さについてスライドを用いて解説した。
(能楽堂)
・ 23 年 3 月 24 日に東日本大震災の影響により中止した特別講座(講師・大森恵子)を 12 月 7 日・1 月 7
日の公開講座として実施した(12 月「天狗・山岳信仰と能」・1 月「稲荷信仰と能」)。
・ 公開講座では、各月の主催公演と連携して 12 回、能の主題となった文学だけではなく能に影響を与えた
音楽や信仰、また能の影響を受けた芸能に至るまで広範囲に紹介した。
・ 特別講座では、収蔵資料展と連携して、前期「みちのくの能・狂言」
(1 月)では列品講座を、後期「能
絵鑑と狂言古図」(3 月)では「描き伝えた芸能」と題してシンポジウム形式で展示紹介した「狂言古図」
等について、能楽史・芸能史・美術史の専門家により分野横断的検証を加える試みを行った。
(文楽劇場)
・ 文楽劇場では、「公演記録鑑賞会」を年 12 回開催した。
(国立劇場おきなわ)
・ 国立劇場おきなわでは、国立劇場収録の記録映像も利用して公演記録鑑賞会、沖縄伝統芸能公開講座を
各 4 回開催した。伝統芸能公開講座では、当初 4 回の合計で 112 人の参加者を予定したが、136 人の参加
者があった。
・ また、10 周年記念プレ事業として、「芸能づくしの1週間!公演記録鑑賞会」(7/16~7/22)の公演記録
鑑賞会を小劇場で開催し、開場当時の公演記録映像(13 公演)を上映した。
(2) 公演内容に対する理解の促進を図るための講座等
名 称
213
回数
参加者
「あぜくらの夕べ」(国立演芸場)「円朝と歌舞伎と塩原多助」(8/20)
「あぜくらの集い」(伝統芸能情報館レクチャー室)「四天王寺の聖霊会について」
(9/5)
「あぜくらの夕べ」(伝統芸能情報館レクチャー室)「吉田一輔を迎えて」(12/1)
あぜくらの集い(伝統芸能情報館レクチャー室)「管絃-壱越調と平調-について」
(2/21)
あぜくらの集い(伝統芸能情報館レクチャー室)「復曲素浄瑠璃を聴く会-復曲の
現場に立ち会う-」(3/18)
「文楽のつどい」
(国立文楽劇場 小ホール)夏休み文楽特別公演第2部「名作劇
場のたのしみ」(7/3)
「文楽のつどい」
(奈良県吉野町)文楽列車 貸切列車で行く秋の吉野山(10/28)
「文楽のつどい」(国立文楽劇場 食堂)すしやの段となれ寿司(12/18)
「文楽のつどい」
(国立文楽劇場 小ホール)お話「心中天網島と大坂の町並み」
お話と演奏「今は昔 北の新地の情緒」(3/27)
伝統芸能講座(国立文楽劇場 小ホール)「義太夫節SPレコードを聴く会」
(11/29)
プレ講座(国立文楽劇場 小ホール)特別企画公演「黄檗宗大本山萬福寺の梵唄」
の事前講座「萬福寺の梵唄」(8/23)
研究公演(国立文楽劇場 小ホール)
「稀曲を聴く」
(8/30)
1回
数
213 人
1回
107 人
1回
123 人
1回
101 人
1回
132 人
1回
146 人
1回
1回
50 人
74 人
1回
184 人
1回
55 人
1回
144 人
1回
149 人
(3) 教員免許状更新講習
文部科学省の認可を受けて「教員免許状更新講習」を実施した(国立劇場本館、7 月 21 日~24 日)
。
伝統芸能に関心のある現職教員 80 名を募集し(受講者 80 名)、体系的に伝統芸能の知識を身につけても
らうため、各種芸能に関する講義・公演見学(歌舞伎鑑賞教室)
・舞台見学・邦楽(義太夫節)の実演体
験等 19 時間の講習を開催し、伝統芸能の裾野を広げることができた。
【特記事項】
・ 文楽劇場では、中学生の社会体験学習の受け入れを行った(11 月 13 日~14 日)
。7 名の中学生が公演
見学、ロビーでの接客業務体験を行い、若年層への文楽の普及につながった。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 第 35 回の伝統芸能サロン「女方の芸と師匠の思い出」は、中村雀右衛門が逝去してわずか 7 カ月後
の開催で、弟子の中村京妙が思い出を語りながら思わず涙ぐむ姿に、師匠想いのやさしい人柄がにじみ
出たサロンとなった。
・ 公演記録鑑賞会、伝統芸能サロンとも全体では目標入場者数を超え、好評を得た。
(能楽堂)
・ 公開講座で、東日本大震災発生の際に中止した特別講座をあらためて実施した。
・ 公開講座では、各月の主催公演と連携して毎月 1 回、能の主題となった文学だけではなく能に影響を
与えた音楽や信仰、また能の影響を受けた芸能に至るまで広範囲に紹介した。
・ 3 月の特別講座「能絵鑑と狂言古図」は、収蔵資料展と連携して、「描き伝えた芸能」と題したシンポ
ジウム形式で開催した。展示紹介した「狂言古図」等について、能楽史・芸能史・美術史の専門家に
より分野横断的検証を加える試みを行ったが、会場からも貴重な見解が導き出され、今後の能楽研究
の新たな指針として大いに注目を集めた。
○
見直し又は改善を要する点
・ 伝統芸能サロンの 1 月「伊勢大神楽の魅力」、2 月「見立番付のおもしろさ」は、目標入場者数に届か
なかった。千代田区立図書館(4 か所)、チラシ設置を交換で受けている山崎記念中野区立歴史民俗資料
館、貨幣博物館、根津美術館をはじめ、平素協力関係にある早稲田大学演劇博物館・江戸東京資料館・
214
江東区芭蕉記念館・深川江戸資料館などにもチラシの掲出や配布を依頼するなど周知に努めたが及ばな
かった。公演記録鑑賞会、伝統芸能サロンとも、内容により入場者数に差がみられるので、参加者がな
かなか見込みにくい場合、通常の告知以外にも、より効果的な宣伝を行う必要がある。
(12) 組踊普及のためのDVDの活用
<方針>
教育関係からの要望に応じ、組踊への理解と普及を推進する資料として DVD を活用した貸出を引き続き
行っていく。
<実績>
組踊への理解と普及を図るため、組踊普及映像「組踊の世界へようこそ」と「組踊鑑賞の手引き」の貸
出を沖縄県内資料保存機関や市町村の小中学校及び高等学校に行った。
振興会のホームページ・文化デジタルライブラリーで 24 年度に「組踊」が取り上げられることになり、
制作のため情報提供及び撮影等の協力を行った。
《自己点検評価》
○ 見直し又は改善を要する点
作成した DVD の積極的な貸出を図るため、周知活動の機会を捉え活用を推進していく。表記や説明の差
異について、今後、様々な質疑や照会に対応するため、参考となる資料の充実を図るとともに当劇場が発
信する組踊及び琉球舞踊に関する用語表記について検討する必要がある。
215
現代舞台芸術に関する調査・資料
4-(2) 現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
《中期計画の概要》
(2) 現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
ア 現代舞台芸術に関する資料調査の実施
イ 図書、文献資料、視聴覚資料、主催公演の上演情報等の収集、閲覧・視聴、貸与
ウ 収集した資料等の展示公開
・ 舞台美術センター資料館 年 2 企画程度
(3) 公演記録の作成・活用、普及活動の実施
ア 演技・演出等の記録の作成・保存、閲覧・視聴
イ 公演記録映像の鑑賞会等の開催等による有効活用
ウ 公開の講座、鑑賞会等の実施
《年度計画》
4 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
中期計画に基づき、次のとおり調査研究並びに資料の収集及び活用を実施し、公演等の充実に資する
とともに、その成果を研究者や国民一般に提供する。また、実施にあたっては、外部専門家等との連携
を図る。
(2) 現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用
ア 新国立劇場で主催する現代舞台芸術に関し、上演や作品について以下のとおり資料調査を実施す
るとともにホームページ等を活用して広く一般にその成果を公開する。
① 海外戯曲の翻訳についてその背景を広く調査し、新国立劇場での上演に活用するとともに、調
査結果に基づいて講演会やリーディング公演を実施する。
② 主催公演の実施にあたり、観客の作品内容への理解を促進するため、民間出版社と連携して新
訳戯曲を刊行する。
③ 海外の主要劇場等から収集した情報を引き続き分析して、公演の充実等に活用するとともに、
情報センターにおいて一般に向け公開する。
また、各国主要劇場の概要を公演プログラムに記載し、ホームページで広く公開する。
④ 主催公演の公演記録映像、写真、舞台演出・美術資料などについて、引き続き、整理・保存を
行い、活用を図る。
・ オペラ 146 公演
・ バレエ 86 公演
・ 現代舞踊 61 公演
・ 演劇 131 公演
⑤ 過去の上演作品及び関連情報について、著作権等の調査を行い、今後の活用に資する。
⑥ 我が国の近代の洋舞上演に関して、引き続きホームページで公開する。
イ 現代舞台芸術に関する図書、文献資料、視聴覚資料、主催公演の上演情報等を広く収集し、分類
整理して公演の実施に活用し、一般の閲覧に供するとともに、他の劇場施設等への貸与を行う。
ウ 情報センターの利用を促進させるため、開架図書を充実させ、外部の機関のデータベースを利用
した記事、論文等の検索を含めたインターネット検索機能の充実等、資料及びその利用環境の向上
に努める。
エ 図書資料管理システムのデータベースを充実させるため、以下の件数を新たに登録し、公演の実施
に活用するとともに、一般に向けホームページで公開する。また、非出版資料については、必要な著
作権等の処理を行った上で閲覧に供する。
・ 図書:約 700 件
・ その他資料:約 500 件
・ 他団体のプログラム等:約 600 件
オ 所蔵品管理システムへの過去の寄贈資料のデータ登録を引き続き行い、公開点数をさらに増やす
とともに、インターネットで検索可能とする。
216
カ
収集した図書、衣裳、舞台装置等の資料を適切に保管するとともに、展示公開する。展示公開に
当たっては、展示目録等を作成するとともに、来場者の利便性の向上と広報活動の強化を図る。
(3) 公演記録の作成・活用、普及活動の実施
ア 主催公演を中心に、録音・録画・写真等による記録を作成し、閲覧・視聴に供する。引き続き、
磁気テープで保存されている公演記録映像のデジタルデータへの変換を行う。また、本館での公
演記録映像の視聴に際しては、デジタル媒体による提供を行い、より質の高いサービスを目指す。
また、新国立劇場では、過去の上演作品及び関連情報について、必要な著作権等の処理を行った
上で閲覧・視聴に供する。
イ 公演記録映像について、鑑賞会を開催し、講座・レクチャー等で活用するとともに、必要な著作
権処理を行った上で、外部制作会社等と連携して、DVD を作成する等の有効活用を図る。
ウ 講座等の実施
① 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する公開の講座、公演記録映像の鑑賞会等を実施する。また、
広報活動を十分に行うとともに、参加者に適宜アンケート調査を実施し、回答者の 80%以上から
有意義であったと回答されるよう内容等の充実に努める。
② 公演の実施にあわせた関連講座、展示等を適宜実施し、内容に応じてホームページ等で公開す
る。
オ 新国立劇場ホームページにおいて、オンラインコンテンツ「現代舞台芸術入門オンラインツアー」
を公開して、現代舞台芸術の魅力をより多面的に、幅広い層に向けて発信する。また、ビデオシ
アターでの上映や、必要に応じて DVD 等の二次媒体を作成し、学校等への頒布や広報資料として
活用を進める。
《実
績》
1.調査研究・資料収集活用
事 項
海外戯曲の翻訳に関する調
査研究・活用
新訳戯曲等の刊行
海外の主要劇場の調査研
究・活用
主催公演の公演記録映像等
の整理・活用等
実 績
宮田慶子演劇芸術監督及び 3 名の企画サポート委員による「企画サポー
ト会議」を毎月開催し、その成果として、
「マンスリー・プロジェクト」
を実施した。また、その記録内容をホームページにて公開した。
(全 12 講座 20 回)
情報センター現代戯曲研究会翻訳の戯曲から、他の劇場において 4 作品
が上演された。
民間出版社と連携して下記戯曲を刊行した。
2011/2012 シーズン演劇公演「サロメ」
2012/2013 シーズン演劇公演「るつぼ」
2012/2013 シーズン演劇公演「音のいない世界で」
国内外の劇場の運営主体、組織図、勤務者数、公演入場率等について、
劇場のホームページや年報などの情報を基に調査・比較を行った。
また、23 年度に引き続き、ナショナル・シアター(国立劇場)を中心
に、世界各国の劇場の概要をプログラムやホームページにおいてシリー
ズで発信した。
(世界 7 カ国)
主催公演の公演記録映像、写真、舞台演出・美術資料などについて、
整理・保存を行った。
・オペラ 146 公演
・バレエ 86 公演
・現代舞踊 61 公演
・演劇 131 公演
過去の上演作品に関する著
作権等の調査・活用等
新国立劇場ホームページでの掲載情報について、著作権等の調査を実
施し、記述内容を更新した。
日本の近代の洋舞上演に関
「日本洋舞史年表Ⅰ~Ⅵ」
(1900~1985)を、引き続き新国立劇場ホーム
ページで公開した。この資料に所収の洋舞史データを、提携先の学校法人東
217
する調査結果の公開
成学園・昭和音楽大学舞台芸術センターバレエ研究所に提供した。
資料の収集と公開
① 収集:図書 3,728 冊、視聴覚資料 78 点
② 活用:情報センター閲覧室利用者 29,708 人
うちビデオブース利用者 2,824 人
ビデオシアター利用者 3,110 人
図書貸出 685 件
舞台美術センター利用者 1,197 人
うち AV コーナー利用者 456 人
・ 主催公演に関連する各種の参考書籍を開架にて、一般利用者が閲覧
できるようにした。
・ 図書資料管理及び所蔵品管理システムにより、図書・視聴覚資料、
その他各種寄贈資料について、一般の利用者がインターネット上及び
閲覧室内で、検索可能な態勢を整えたほか、一部の資料についてはシ
ステム画面上での閲覧にも供した。
・ 以下の図書資料を新たに登録し、ホームページで公開した。
・図書:854 件
・その他資料:643 件
・他団体のプログラム等:2,231 件
舞台美術センター展示
展示
出版物の刊行
5 回(計画:3 回)
、来場者 1,197 人(計画:800
人)
新国立劇場情報センタ
1 回、来場者 5,571 人
ー内企画展
「戦後のオペラ 1945~2013」
「日本のバレエ 三人のパブロワ」
「ピーター・グライムズ リブレット対訳」
「新国立劇場名作オペラ 50 鑑賞入門」
(新国立劇場監修、世界文化社か
ら刊行)
2.公演記録の作成・活用、普及活動の実施
(1) 主催公演の記録の作成・活用
・ 主催公演を中心に 30 公演について、録音・録画・写真等による記録を作成した。
・ 主催公演の公演記録映像のデータベース化を 17 件行った。
・ 主催公演の公演記録映像 17 件を情報センター閲覧室にて追加公開し、閲覧・視聴に供した。
・ 公演記録写真について、新国立劇場 WEB サイト上に「舞台写真・公演記録」ページを設け、平成
9 年の開場以降ほぼ全ての公演に関して、一般の閲覧に供した。
・ DVD 現代舞台芸術鑑賞会を舞台美術センター資料館で 12 回、新国立劇場情報センターで 14 回実
施した。
・ 公演記録映像を利用して、団体観劇者・学校・劇場見学者を対象に、レクチャーや研修会を情報
センター ビデオシアターで実施した。(23 件 511 名)
・ 外部制作会社等との連携により情報センター編集・製作(平成 22 年度オペラ編)の現代舞台芸術
入門オンラインツアーを使用した DVD を含む書籍「新国立劇場名作オペラ 50 鑑賞入門」が世界文化
社から刊行された。
(2) 講座等の実施
・ 新国立劇場において現代舞台芸術入門講座として「マンスリー・プロジェクト」を実施した。(12
回)
・ 新国立劇場情報センターにおいて DVD 現代舞台芸術鑑賞会を実施した。(14 回)
・ 舞台美術センタ-資料館において現代舞台芸術入門講座として舞台美術センター コンサート「銚
子!?のいい仲間たち」を実施した。(1 回)
218
・
・
舞台美術センタ-資料館において DVD 現代舞台芸術鑑賞会を実施した(12 講座 12 回)。
公演内容に対する理解の促進を図るため、上演に合わせてオペラトーク、シアタートーク等を適
宜実施した。(17 講座)
(3) 現代舞台芸術入門オンラインツアーの公開
「オペラのつくりかた」
「バレエのつくりかた」に続く、シリーズ最終編「演劇のつくりかた」を
制作、ホームページで公開するとともに、このコンテンツの一部を編集して DVD を製作し、新国立
劇場ビデオシアターでの上映、学校等への頒布や広報資料として活用することを予定している。
【特記事項】
前年度の東京藝術大学に続き、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、大阪音楽大学、桐朋学
園大学、北海道教育大学、昭和音楽大学の 7 大学との間で連携・協力に関する協定を締結した。
このことにより、調査研究においても各大学との連携・協力による内容の充実が期待されている。
《数値目標の達成状況》
【展示公開の実施状況】実績6回/計画3回(達成度200%)
【展示公開の参加者数】実績1,197人/計画800人(達成度 149.6%)
【講座等の実施状況】実績39回/計画37回(達成度105.4%)
【講座等の参加者数】実績3,782人/計画1,700人(達成度222.5%)
【講座等の満足度】実績93.5%/計画80%(達成度116.9%)
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 現代舞台芸術に関する調査研究の成果を著すため、
「戦後のオペラ 1945~2013」及び「日本のバレエ 三
人のパブロワ」の 2 冊を刊行した。
・ オペラ主催公演に合わせ「ピーター・グライムズ リブレット対訳」を作成した。
・ 新国立劇場の公演記録を元に外部出版社により「新国立劇場名作オペラ 50」が刊行された。
・ 公演プログラムにおいては、オペラ・バレエ・演劇の主催公演上演演目に関し、多様な観点からの調査
研究に基づく記事を多数掲載し、来場者の理解促進の一助となるのみならず、演目毎に調査研究の成果を
まとめる場としても高い評価を得た。
・ 海外戯曲に関する調査研究においては、翻訳戯曲のリーディング形式等による上演を通じてその結果を
発表するとともに、宮田慶子演劇芸術監督及び 3 名の企画サポート委員により定期的に開催される「企画
サポート会議」の成果として、毎月直近の演劇公演にリーディング、講座、トークセッション、ワークシ
ョップなどにより多角的にアプローチする「マンスリー・プロジェクト」を実施した。
・ 各国主要劇場の調査研究活動が、次年度における海外の演劇人と新作に取り組むシリーズ企画「With-
つながる演劇-」の 3 作品連続上演(2012/2013 シーズンウェールズ編「『効率学のススメ』」
、韓国編「ア
ジア温泉」
、ドイツ編「つく、きえる」)に結びつくなど、公演の充実にも資した。
・ 現代舞台芸術に関する調査研究の成果に基づく上演として、情報センター現代戯曲研究会翻訳の戯曲か
ら 4 作品が上演され、実演芸術団体との連携・協力に資した。
・ 24 年度には新たに 7 つの大学との間で連携・協力に関する協定を締結し、このことにより、調査研究に
おいても各大学との連携・協力による内容の充実が期待されている。
・ 展示においては情報センターで収集した資料(主催公演に関する衣裳・舞台装置などの舞台美術等)及び関
係資料を新国立劇場内及び舞台美術センター資料館において展示公開し、現代舞台芸術に対する理解を促
進した。展示は常設展のほか、主催公演に連動する形で各種企画展を実施し、24 年度は特に「新国立劇場・
英国舞台芸術フェスティバル 2012」及び「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」の開催に合わせて
各種の関連展示を実施した。
・ また、公演の実施に合わせた関連講座等として、各種トークイベント、演目説明会、公開舞台リハーサ
ル、上映会など多種多様な公演関連企画を実施するとともに、内容に応じてその模様をホームページ等で
紹介した。24 年度は特に「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」及び「2013 ヴェルディ&ワ
ーグナー生誕 200 年祭」の開催に合わせて各種の関連企画を実施した。
・ さらに、現代舞台芸術の魅力をより多面的に、幅広い層に向けて発信するため、現代舞台芸術入門オン
ラインツアーを公開、24 年度には「オペラのつくりかた」
「バレエのつくりかた」に続くシリーズ最終編
「演劇のつくりかた」を制作し、ホームページで公開するとともに、このコンテンツの一部を編集して DVD
219
を製作し、新国立劇場ビデオシアターでの上映、学校等への頒布や広報資料として活用を予定している。
《23 年度評価への対応》
【評価】
○ 現代舞台芸術に関する調査研究の実施並びに資料の収集及び活用(評定B)
【文科省評価委員会】
・ 調査研究については踏み込んだ分析がなされておらず、十分とは言えない。(①)
・ 伝統芸能における同事業のノウハウを応用して、資料の収集・活用方法を改善して欲しい。(②)
○ 現代舞台芸術の調査研究(評定B)
【文科省評価委員会】
・ 調査研究は計画どおりに実施されているが、内容については作品に踏み込んだ分析や研究が希薄であ
る。(①)
【振興会評価委員会】
・ 他の大学等の調査研究事業と連携しつつ、それと競合しない形で、古い資料の掘り起こしや、そのア
ーカイブ化を進めるべきである。さらに、日本におけるオペラ受容の歴史や、日本人の手になるオペラ
の歴史的、体系的研究などがもう少しなされてもよいのではないか。 (①)
○ 現代舞台芸術の調査研究資料の収集・活用(評定B)
【文科省評価委員会】
・ 新国立劇場主催公演にとどまらず、広く国内の現代舞台芸術に関する資料を収集するなど、国立とし
ての役割を認識し、さらなる対応に期待したい。(②)
【振興会評価委員会】
・ 公演記録映像を作成し、情報センター閲覧室で公開していることは大変意義がある。また、こうした
情報センターの活動を広く知らせて利用してもらうことも、データの収集整理と並んで重要であろう。
(③)
○ 公演記録の作成・活用、普及活動の実施(評定B)
【文科省評価委員会】
・ 普及活動としての講座等の開催において、開催数は計画比 10 回増、前年度比 13 回増にもかかわらず、
参加者数は昨年度を 500 人強下回っており、要因の分析と対策が必要である。(④)
・ 講座等について有意義との回答は、昨年度に比べて、8.4%減となっており、対策が必要である。(④)
【対応】
①調査研究の内容の充実
23 年度に刊行した「日本のオペラ~海外からの受容と日本のオペラの進化~」及び「<要点>日本演劇史
~古代から 1945 年まで~」は専門書としての評価を受けて丸善丸の内本店で取り扱われ、後者は大学の教
科書としても採用されるなど、新国立劇場情報センターにおける調査研究は、これまでにも様々な成果を上
げてきた。
24 年度にはさらに、民間出版社と連携に努めてきた成果が実り、新国立劇場監修の下、
「新国立劇場名作
オペラ 50」が世界文化社から出版されたことに加え、この書籍の鑑賞入門特別付録 DVD「オペラのつくりか
た~新国立劇場へようこそ~」に、新国立劇場情報センター作成の現代舞台芸術入門オンラインツアーが使
用された。
他の大学等の調査研究事業との連携による資料の掘り起こし・アーカイブ化の好例として、24 年度には情
報センター発行の「日本洋舞史年表Ⅰ~Ⅵ」
(1900~1985 年)所収の洋舞史データを学校法人東成学園・昭
和音楽大学舞台芸術センターバレエ研究所に提供したことが挙げられる。同研究所では、当該データをもと
に、24 年度末に「バレエ情報総合データベース」の公開を目指している。
このほかにも、情報センター現代戯曲研究会翻訳の戯曲から、24 年度に 4 作品(
「THAT FACE~その顔」
(東
京)、「アテンプツ・オン・ハー・ライフ」(東京、伊丹、仙台)、「キック」(京都)、「ハーベスト」(東京))
が上演されるなど、同研究会翻訳の戯曲が、国内演劇界における海外現代戯曲の翻訳上演にあたって貴重な
レパートリーを提供するとともに、実演芸術団体との効果的な連携・協力に資していることも、新国立劇場
情報センターにおける調査研究の大きな成果である(過去の上演実績は 22 年度 5 作品、23 年度 4 作品)
。
これまで民間出版社との連携に努め、公演プログラムや上演台本(新訳など)の形で、主催公演の演目に
ついて分析研究の成果を表してきたが、今後も様々な方策を検討したい。
②資料の収集・活用方法の改善
220
資料の収集・活用については、オペラ・バレエ・現代舞踊・演劇の四分野で毎年 150~300 点程度の資料
を購入し、寄贈書の受入を重点的に進めている。また、民間出版社との連携に努めてきた成果が実り、24
年度に新国立劇場監修の下、
「新国立劇場名作オペラ 50」が世界文化社から出版されたほか、世界各国の国
立劇場の概要をシリーズ「世界の劇場」としてまとめるとともに、プログラム・ホームページで公開するな
ど、主催公演関連を中心としながらも、国際的なネットワークを活かして現代舞台芸術に関する資料の収
集・活用を行っている。一方、今日ではインターネットで検索することにより多くの資料が手に入るため、
コストをかけて資料の収集を行う意味が薄れているという面もある。主催公演関連を中心に効率的な資料収
集を心がけつつ、各種研究機関等とのネットワークを活かして、広く現代舞台芸術に関する収集活動にも努
めるとともに、資料の活用方法も工夫していきたい。
③新国立劇場情報センターの活動の周知
情報センター開催のリーディング公演、研究者による講座、トークセッション、ワークショップや情報セ
ンター所蔵の静止画、文字情報等の現代舞台芸術関連資料の検索・閲覧を広く一般の利用に供しており、好
評をいただいている。
また、一般の利用者や学校の授業のため、舞台芸術教材をインターネットにより配信することを主な目的
として企画・制作した現代舞台芸術入門オンラインツアーのアクセス数が 10,319 件(23 年度)に達し、広
く利用されている。なお、
「新国立劇場名作オペラ 50」
(世界文化社)の鑑賞入門特別付録 DVD「オペラのつ
くりかた~新国立劇場へようこそ~」にも、この現代舞台芸術入門オンラインツアーが使用されている。
④公演関連講座等の充実
24 年度は、公演の実施に合わせた関連講座等として、各種トークイベント、演目説明会、公開舞台リハ
ーサル、上映会など多種多様な公演関連企画を実施するとともに、内容に応じてその模様をホームページ等
で紹介した。24 年度は特に「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」及び「2013 ヴェルディ&ワ
ーグナー生誕 200 年祭」の開催に合わせて各種の関連企画を実施した。
23 年度評価で指摘のあった、22 年度との比較における開催数・参加者総数の差は、1 回あたりの参加者
数が多い大規模企画を整理する一方、少人数制の参加・体験型講座を新規に複数企画して、従来以上に幅広
い企画を展開したことによるものである。23 年度は夏休み時期の親子向けを含む 2 つのワークショップを
新たに実施し、少人数制の参加・体験型講座を新規に企画する等、より幅広い企画の展開に注力した。
221
現代舞台芸術に関する調査・資料
詳細表
1.調査研究・資料収集・活用
(1) 海外戯曲の翻訳に関する調査研究・活用
<方針>
海外戯曲の翻訳についてその背景を広く調査し、新国立劇場での上演に活用するとともに、調査結果に基
づいて講演会やリーディング公演等を実施する。
<実績>
1.海外戯曲に関する調査研究の結果発表
宮田慶子演劇芸術監督及び 3 名の企画サポート委員による「企画サポート会議」を定期的に開催し、そ
の成果として、下表のとおり、直近の演劇公演に合わせた講演会やリーディング等の「マンスリー・プロ
ジェクト」を実施した。また、その記録内容をホームページにて公開した。
実施年月日
内容
講師等
参加者数
4 月 9 日(月)
5 月 12 日(土)
5 月 13 日(日)
出席者:倉持裕、蓬莱竜太、
トークセッション
前川知大
「戯曲を書くということ」
リーディング公演
「エリ・プレスマン作
265 人
聞き手:鈴木理映子
『ドン!』
」
出
演:中嶋しゅう、粟野史
翻
演
浩、熊坂理恵子
訳:佐藤康
出:宮田慶子
250 人
167 人
講
師:平野啓一郎
466 人
講
師:喜志哲雄
238 人
講
師:西垣耕造
演劇講座
6 月 9 日(土)
「『サロメ』でワイルドは何を描きたか
ったのか?」
7 月 7 日(土)
演劇講座
「ハロルド・ピンターの世界」
8 月 3 日(金)
ワークショップ
8 月 4 日(土)
8 月 5 日(日)
「子どもと親のコミュニケーション・ワ
9 月 7 日(金)
9 月 8 日(土)
9 月 9 日(日)
10 月 8 日(月・祝)
夏休み特別企画
ークショップ」
講
師:宮田慶子
演劇講座
講
師:小田島雄志、鵜山仁
「リチャード三世の魅力」
ゲスト:岡本健一
「リーディングをやってみる?」
「ミラー・アメリカ・20 世紀、そして
講
演劇講座
シリーズ「世界の演劇の今」Ⅰ-イギリ
ス-
1 月 18 日(金)
19 日(土)
2 月 15 日(金)
16 日(土)
3 月 16 日(土)
演劇講座
シリーズ「世界の演劇の今」Ⅱ-韓国-
師:水谷八也
黒川陽子
21 世紀」
12 月 7 日(金)
12 月 8 日(土)
22 人
35 人
26 人
ワークショップ
演劇講座
11 月 10 日(土)
22 人
講
師:古城十忍、みなもと
ごろう
講師:木村典子
演劇講座
シリーズ「世界の演劇の今」Ⅲ-ドイツ
講師:新野守広
-
トークセッション
講師:福田善之、扇田昭彦
「福田善之の世界」
222
39 人
41 人
585 人
217 人
75 人
85 人
85 人
63 人
80 人
66 人
149 人
12 講座
計
2,976 人
2.調査研究の成果に基づく上演等
情報センター現代戯曲研究会が翻訳した戯曲を使用して、他の劇場において「THAT FACE~その顔」(東
京)、「アテンプツ・オン・ハー・ライフ」(東京、伊丹、仙台)、「キック」(京都)、「ハーベスト」(東京)
の 4 作品が上演されるなど、実演芸術団体との連携・協力に資した。
(2) 新訳戯曲等の刊行
<方針>
主催公演の実施にあたり、観客の作品内容への理解を促進するため、民間出版社と連携して新訳戯曲等を
刊行する。
<実績>
主催公演の実施にあたり、観客の作品内容への理解を促進するため、民間出版社と連携して新訳戯曲等を
刊行した。
・ 2011/2012 シーズン演劇公演「サロメ」の戯曲を光文社古典新訳文庫から刊行した。
・ 2012/2013 シーズン演劇公演「るつぼ」の戯曲を『悲劇喜劇』2012 年 11 月号に掲載して刊行した。
・ 2012/2013 シーズン演劇公演「音のいない世界で」の戯曲を『悲劇喜劇』2013 年 2 月号に掲載して刊
行した。
(3)海外の主要劇場の調査研究・活用
<方針>
海外劇場の調査・研究にあたっては、平成 23 年度に提携が実現した学校法人東成学園(昭和音楽大学)
から学術資料やデータ等の提供を受けつつ、引き続き公演の充実等に活用するとともに、情報センターに
おいて公開する。
また、海外の主要劇場から収集した情報の概要を公演プログラムに記載し、ホームページで広く公開す
る。
<実績>
国内外の劇場の運営主体、組織図、勤務者数、公演入場率等について、劇場のホームページや年報等の
情報を基に調査・比較を行った。
また、昨年度に引き続き、新国立劇場通信「世界の劇場」として、ナショナル・シアター(国立劇場)を
中心に、世界 7 カ国(スコットランド、イスラエル、アイルランド、ジャマイカ、イングランド、カナダ、
ロシア)の劇場の概要をプログラムやホームページおいて発信した。
(4) 主催公演の公演記録映像等の整理・活用等
<方針>
主催公演の公演記録映像、写真、舞台演出・美術資料などについて、引き続き、整理・保存を行い、活用
を図る。
<実績>
ポスター、衣裳などの主催公演資料を管理する所蔵品管理システムのデータの移行を実施した。
・ オペラ 146 公演
・ バレエ 86 公演
・ 現代舞踊 61 公演
・ 演劇 131公演
(5) 過去の上演作品に関する著作権等の調査・活用等
<方針>
過去の上演作品及び関連情報について、著作権等の調査等を行い、今後の活用に資する。
<実績>
新国立劇場ホームページでの掲載情報について、著作権等の調査を実施し、記述内容を更新した。
(6) 日本の近代の洋舞上演に関する調査結果の公開等
223
<方針>
日本の近代の洋舞上演に関して、引き続きホームページで公開する。
<実績>
情報センター発行の「日本洋舞史年表Ⅰ~Ⅵ」
(1900~1985)を新国立劇場ホームページで公開し、研究者や
一般の利用に供した。なお、この資料に所収の洋舞史データを、提携している学校法人東成学園・昭和音楽大
学舞台芸術センターバレエ研究所に提供した。同研究所では、当該データをもとに、
「バレエ情報総合データベ
ース」の公開を目指している。
図書・資料の収集・閲覧
(7) 資料の収集と公開
<方針>
1.現代舞台芸術に関する図書、文献資料、視聴覚資料、主催公演の上演情報等を収集、分類整理して公
演の実施に活用し、閲覧に供する。
・ 開架図書、インターネット検索機能の充実等、資料およびその利用環境の向上に努める。
・ 図書資料管理システムのデータベースを充実させ、公演の実施に活用するとともに、非出版資料に
ついては著作権者の許諾を得た上で閲覧に供し、ホームページで公開する。
2.寄贈資料の文字データ、画像、写真データ等の所蔵品管理システムへの登録を行い、公開点数を増や
すとともに、新たに資料やポスター類についてもインターネットで検索可能となるよう、データベース
化を進める。
<実績>
1.収集・閲覧等
区 分
収 集
閲 覧
収集図書:3,728 冊
単行本 854 冊
逐次刊行物 561 冊
閲覧室利用者数:29,708 人
新国立劇
うち、ビデオブース利用者数:2,824 人
プログラム 2,231 冊
場情報セ
ビデオシアター利用者数:3,110 人
公演・演出台本 82 冊
図書貸出件数:685 件(1,410 冊)
ンター
収集視聴覚資料: 78 件
開室日数:294 日
主催公演記録映像 53 件
その他受贈等 16 件
作製 9 件
舞台美術
資料館利用者数:1,197 人
センター
-
うち、AV コーナー利用者数:456 人
資料館
開室日数:278 日
・ 新国立劇場主催公演に関する上演資料のほか、我が国の現代舞台芸術に関する資料を収集した。
・ 図書については、新国立劇場情報センター閲覧室で閲覧に供している。映像は、情報センター内ビデ
オブース、ビデオシアターで視聴に供しているが、舞台美術センター資料館(千葉県銚子市豊里台)内 AV
コーナーでも同様に視聴に供した。
2.情報センター等の利用促進
・ 主催公演の期間中にその公演に関連する各種の参考書籍を開架にて閲覧できるようにするとともに、
閲覧室内に展示スペースを設けて作品関連のポスターの掲示や、プログラムを自由に閲覧できるように
する等、利用者の利便性を向上するための工夫に力を注いだ。
・ 図書資料管理システム及び所蔵品管理システムを一般の利用者に公開した。公開に当たっては、外部
の公演及び主催公演を通じて収集した図書・視聴覚資料に加え、ポスター、展示衣裳、小道具、装置模
型、貴重書、その他各種寄贈資料についても、利用者が検索可能とし、また、一部の資料については、
システム画面上での閲覧にも供する等、利用環境の向上に努めた。
・ 舞台美術センター資料館が、銚子市の「まちあるきスタンプラリー」のラリー地点の一つとなり、銚
子市報・映像、銚子電鉄、読売新聞、ぐるっと千葉等のパンフレットなどで紹介された。
3.図書資料管理システムのデータベースの充実
以下の図書資料を新たに登録し、公演の充実に資するとともに、ホームページで公開した。
・ 図書:854 件
224
・ その他資料:643 件
・ 他団体のプログラム等:2,231 件
4.所蔵品管理システムへの登録
プログラム、ポスター、台本、衣裳などの主催公演資料、寄贈書、貴重書などを管理する所蔵品管理
システムの入力項目等の整理を行い、カスタマイズを完了させて、データの移行を実施した。
また、インターネット上及び閲覧室内で所蔵品管理システムを一般の利用者に公開し、登録資料を検
索可能な態勢を整えたほか、一部の資料については閲覧にも供した。
(8) 展示
<方針>
収集した図書、衣裳、舞台装置等の資料を適切に保管し、展示公開する。また、展示目録等を作成し、
来場者の利便性の向上を図る。
<実績>
現代舞台芸術に対する理解を促進するため、情報センターで収集した資料(主催公演に関する衣裳・舞台
装置などの舞台美術等)及び関係資料を、新国立劇場内及び舞台美術センター資料館(千葉県銚子市豊里
台)で展示公開した。
(1) 舞台美術センターにおける展示
※目標来場者数:800 人
舞台美術センターでは、常設展を実施したほか、企画展は演劇シーズンのシリーズテーマに沿って「[美
×劇]-三島由紀夫と泉鏡花の世界-」展と、オペラシーズンの開幕演目「ピーター・グライムズ」の
上演及び作曲者の生誕 100 周年に合わせて「ベンジャミン・ブリテン」展をそれぞれ実施した。
区分
期
間
内
容
4/1~3/31
「オペラハウスの感動」
4/1~11/5
「現代演劇ポスター展 2010」(23 年度より継続)
11/8~3/31
「現代演劇ポスター展 2011」(25 年度まで継続)
11/8~3/31
「イギリス関連舞台写真展」(11 月~)
4/1~2/24
「[美×劇]-三島由紀夫と泉鏡花の世界-」展(23 年
度より継続)
2/27~3/31
「ベンジャミン・ブリテン」(平成 25 年度まで継続)
来場者数
常設展
企画展
1,197 人
(2) 新国立劇場情報センターにおける展示
区分
期
間
内
容
来場者数
【英国舞台芸術フェスティバル関連展示】
5,571 人
「シェイクスピア特別展」
・ 情報センター閲覧室では、シェイクスピア「ファースト・フォリオ」(戯曲全集の初版)をはじめ、
シェイクスピア劇の銅版画、作品肖像画集、シェイクスピア生誕地の写真画像、日本でのシェイクス
ピア上演作品のチラシなど、シェイクスピア特別展を実施した。
・ こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」の公演期間にあわせて、こども向けのバレエやオペラの絵
本展示を実施するなど、常時情報センター所蔵品の展示公開を行った。
企画展
9/4~11/4
(3) 新国立劇場(ホワイエ)における展示
・ 常設展のほか、主催公演に連動する形で来場者を対象に資料の展示を行った。
・ 開場 15 周年にあたる 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演として、オペラ「ピーター・グライ
ムズ」、バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門とも英国ゆかりの作品を上演す
ることから、英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国を
テーマに舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」を開催した。
劇場ホワイエでは、「新国立劇場上演のイギリス関連作品舞台写真展」「英国を彩るバラと舞台芸術
225
展」を実施した。
オペラ劇場ホワイエでは、ブリテン及び「シルヴィア」の関連資料を展示した。
中劇場ホワイエでは、「リチャード三世」登場人物関係系図、模型、シェイクスピア年譜などを展
示し、「シェイクスピアの世界展」を実施した。
・ 2013 年がヴェルディとワーグナーという 2 大作曲家の生誕 200 年にあたり、これを機にクラシック
音楽のさらなる発展を図るため、国内外有数のオペラ団、オーケストラ等が一同に会して 1 年間にわ
たって共同プロモーションを行う「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」が開幕した。
新国立劇場では、これに合わせて関連する展示を実施した。オペラ劇場ではヴェルディ&ワーグナ
ーの生誕 200 年祭の一環として、2 大作曲家の年譜、新国立劇場上演の舞台写真、「椿姫」「アイー
ダ」の衣裳、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」自筆スコアを展示した。
来場者数
区分
期 間
内 容
通年
舞台衣裳展示
-
通年
公演記録写真展示
-
常設展
10/2~14
10/2~21
公演関
連展示
10/2~11/3
10/2~11/3
10/27~11/3
1/23~3/31
※
【英国舞台芸術フェスティバル関連展示】
ブリテン関連資料展示
【同上】
「シェイクスピアの世界展」
【同上】
「新国立劇場上演のイギリス関連作品舞台写真展」
【同上】
「英国を彩るバラと舞台芸術展」
【同上】
シルヴィア関連資料展示
2013 年ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭関連
資料展示
6,238 人
11,662 人
12,718 人
12,718 人
6,480 人
24,928 人
来場者数は、公演の来場者数。
(9) 普及出版物の刊行
<実績>
・「戦後のオペラ 1945~2013」(25 年 3 月)
第二次世界大戦後、世界のオペラがどんな動きをし、どんな作品を生んできたのか、日本人作曲家
による海外の劇場での世界初演作品も含め、戦後のオペラを 57 作品取り上げ、作品ガイドとなる小冊
子を作成した。
・「日本のバレエ 三人のパブロワ」
(25 年 3 月)
日本に洋舞が移入されて 100 年が経ち、日本の土壌における芸術としてのバレエの普及、啓蒙に尽
力したロシアの三人の舞踊家の功績と日本のバレエとのかかわりを検証した小冊子を作成した。
・
「ピーター・グライムズ リブレット対訳」(24 年 10 月)
既存の日本語訳が未出版の演目のリブレット対訳を、上演に合わせて新たに作成した。
・「新国立劇場名作オペラ 50 鑑賞入門」
(24 年 11 月)※世界文化社から刊行
新国立劇場監修の下、同新国立劇場において上演した人気オペラ 50 作品を、各種公演記録を元に
紹介する書籍が世界文化社から刊行された。なお、この書籍の鑑賞入門特別付録 DVD「オペラのつく
りかた~新国立劇場へようこそ」の素材には、情報センター編集・製作(22 年度オペラ編)の現代舞
台芸術入門オンラインツアーが使用されている。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ マンスリー・プロジェクトは 3 年目を迎え、参加人数も大幅に増え、各講座とも大好評であった。
・ マンスリー・プロジェクト企画の演劇研究所修了生によるリーディング公演及び宮田芸術監督による
226
ワークショップが演劇研修所修了生の「長い墓標の列」公演や、全国公演の関連企画として実施した宮
田慶子講師の北上市文化交流センターでのワークショップ「リーディングをやってみる」に結びついた。
・ 新国立劇場通信「世界の劇場」シリーズでは 7 カ国を取り上げ、好評を得た。海外の演劇人と新作に
取り組むシリーズ企画「With-つながる演劇-」の 3 作品連続上演(2012/2013 シーズン ウェールズ
編「
『効率学のススメ』」
、韓国編「アジア温泉」
、ドイツ編「つく、きえる」
)に結びついた。
・ 24 年度には、情報センター発行の「日本洋舞史年表Ⅰ~Ⅵ」
(1900~1985)所収の洋舞史データを学
校法人東成学園・昭和音楽大学舞台芸術センターバレエ研究所に提供するなど、他の大学等の調査研究
事業との連携による資料の掘り起こし・アーカイブ化において、成果を上げることができた。同研究所
では、当該データをもとに「バレエ情報総合データベース」の公開を目指している。
・ 23 年度より本格稼働を開始した、公演記録映像を閲覧できる VOD システムについては、公演記録映像
がハイビジョン化された 2010/2011 シーズン以降のコンテンツの登録を充実させ、最新の美しい舞台映
像を提供することができ、オペラ・バレエ愛好者の方々に大好評を得ている。
・ 所蔵品システムのインターネット上及び閲覧室での公開により、一般利用者が図書・視聴覚資料以外
の資料も検索・閲覧できるようになり、利用者満足度の向上に貢献できた。さらに、プログラム、ポス
ター、台本、衣裳などの主催公演資料、寄贈書、貴重書などを所蔵品管理システムに順次登録すること
で、内容も少しずつ充実してきている。
・ 情報センターで収集した資料を劇場ホワイエでの企画展で紹介したり、直近の公演関係資料を閲覧室
に常設することにより、積極的な資料の利用を促すことができた。
・ 24 年度には「新国立劇場英国舞台芸術フェスティバル」及び「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200
年祭」という、広範な影響力をもつ企画を実施した。主催公演、講座等と関連した企画により、質の高
い展示をすることができた。
・ 舞台美術センター資料館が、銚子市の「まちあるきスタンプラリー」のラリー地点の一つとなり、銚
子市報・映像、銚子電鉄、読売新聞、ぐるっと千葉等のパンフレットなどで紹介され、老人ホーム、コ
ミュニティセンター利用者などの来館に結びついた。
・ 24 年度に編集・発行した「戦後のオペラ 1945~2013」
「日本のバレエ 三人のパブロワ」について、
発売元の丸善出版より、全国の丸善書店、ジュンク堂書店の主要店舗、Amazon のネット販売などでの
発売が決定した。
・ 23 年度に編集・発行した「日本のオペラ~海外からの受容と日本のオペラの進化~」及び「<要点
>日本演劇史~古代から 1945 年まで~」は、専門書としての評価を受けて、丸善丸の内本店をはじめ、
Amazon で取り扱われている。また、
「<要点>日本演劇史~古代から 1945 年まで~」は、大学の教科書
としても採用されるなど成果を上げている。
・ 民間出版社と連携に努めてきた成果が実り、新国立劇場監修の下、
「新国立劇場名作オペラ 50 鑑賞
入門」が世界文化社から出版された。この書籍の鑑賞入門特別付録 DVD「オペラのつくりかた~新国
立劇場へようこそ」の素材に、情報センター編集・製作(22 年度オペラ編)の現代舞台芸術入門オンラ
インツアーが活用された。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 情報センターの告知を十分に行いたい。
・ 所蔵品管理システムへのデータ登録作業を引き続き行い、ホームページでの公開資料件数を増やして
いきたい。
2.公演記録の作成・活用、普及活動の実施
(1) 公演記録映像の作成・活用
<方針>
1.主催公演を中心に、録音・録画・写真等による記録を作成し、閲覧・視聴に供する。また、過去の上演
作品および関連情報について、著作権の権利処理や違法コピー対策等を行った上で、常時来場者に向けて
公開する。
2.公演記録映像について、上映鑑賞会を開催するとともに、企業・学校等の団体鑑賞及びオペラ・バレエ
鑑賞教室における事前レクチャーでの利用、各国の劇場関係者及び学校等の施設見学や舞台技術研修での
上映、DVD の作成など、現代舞台芸術の普及のために活用を図る。
227
<実績>
現代舞台芸術に関する理解の促進と普及を図るため、以下のとおり、講座、公演記録映像の公開・鑑賞
会を実施した。
1.公演記録映像の作成
主催公演を中心に 30 公演について、録音・録画・写真等による記録を作成した。
主催公演の公演記録映像のデータベース化を 17 件行った。
2.公演記録映像の有効活用
(1) 公演記録映像の公開
以下の主催公演の公演記録映像を情報センター閲覧室にて追加公開した(17 件)
。
・ オペラ(9 件):「イル・トロヴァトーレ」、「オテロ」、「こうもり」、「さまよえるオランダ人」、
「ばらの騎士」
、子どものためのオペラ劇場「パルジファルとふしぎな聖杯」、
「沈黙」、
「ラ・ボエ
ーム」、
「ルサルカ」
・ バレエ(2 件):「トリプル・ビル」、
「ラ・シルフィード」
・ コンテンポラリーダンス(3 件):「Shakespeare THE SONNETS」、近松 DANCE 弐題 A プログラ
ム「女殺油地獄」、近松 DANCE 弐題 B プログラム「エゴイズム」
・ 演劇(3 件):「雨」、「イロアセル」、「朱雀家の滅亡」
公演記録写真については、新国立劇場ホームページに「舞台写真・公演記録」ページを設け、9 年
の開場以降ほぼ全ての公演に関して、公演記録写真及び公演情報等を一般の閲覧に供している。同ペ
ージ上にはキーワード、ジャンル、シーズン等によって目的の公演を検索できる機能が備えられてお
り、利便性を高めている。
(2) DVD 現代舞台芸術鑑賞会
一般への現代舞台芸術の理解の促進と普及を図るために主催公演記録映像の鑑賞会を実施した。
ア.舞台美術センター資料館(千葉県銚子市)2 階視聴覚室にて実施(12 回)。
実施年月日
4 月 8 日(日)
5 月 13 日(日)
6 月 10 日(日)
7 月 8 日(日)
8 月 5 日(日)
9 月 9 日(日)
10 月 14 日(日)
11 月 11 日(日)
12 月 9 日(日)
1 月 13 日(日)
2 月 10 日(日)
3 月 10 日(日)
内
容
バレエ「牧阿佐美の椿姫」
オペラ「椿姫」
オペラ「カルメン」
オペラ「アンドレア・シェニエ」
こどもオペラ「パルジファルとふしぎな
聖杯」/朗読劇「少年口伝隊一九四五」
バレエ「白鳥の湖」
オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」
オペラ「蝶々夫人」
バレエ「シンデレラ」
演劇「朱雀家の滅亡」
演劇「天守物語」
オペラ「イル・トロヴァトーレ」
入場者数
(2010 年 7 月公演)
(2011 年 2 月公演)
(2010 年 6 月公演)
(2010 年 11 月公演)
(2011 年 7 月公演)
(2010 年 7 月公演)
(2010 年 1 月公演)
(2011 年 6 月公演)
(2011 年 6 月公演)
(2010 年 12 月公演)
(2011 年 10 月公演)
(2011 年 11 月公演)
(2011 年 10 月公演)
計
10 人
17 人
35 人
20 人
2人
31 人
7人
20 人
14 人
8人
15 人
7人
186 人
イ.新国立劇場情報センター ビデオシアターにて実施 (14 回) 。
・ 前年度に引き続き毎月 1~4 回の鑑賞会を実施した。
・ こどものためのバレエ劇場 「シンデレラ」の公演期間は、こども向け公演の記録映像を上映した。
・ 「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル 2012」として、オペラ「ねじの回転」「オテロ」、演
劇「夏の夜の夢」、バレエ「アラジン」の上映会を実施した。
実施年月日
4 月 15 日(日)
内
バレエ「牧阿佐美の椿姫」
228
容
入場者数
(2010 年 7 月公演)
12 人
5 月 20 日(日)
オペラ「ローエングリン」
(1997 年 11 月公演)
39 人
6 月 17 日(日)
オペラ「サロメ」
(2011 年 10 月公演)
36 人
7 月 28 日(土)
こどもオペラ
「パルジファルとふしぎな聖杯」
(2011 年 7 月公演)
7人
18 人
小劇場オペラ「ねじの回転」
(2002 年 9 月公演)
14 人
オペラ「オテロ」
(2009 年 9 月公演)
26 人
(2009 年 6 月公演)
32 人
7 月 29 日(日)
9 月 16 日(日)
10 月 7 日(日)
10 月 8 日(月・祝) 演劇「真夏の夜の夢」
10 月 21 日(日)
オペラ「アンドレア・シェニエ」
(2010 年 11 月公演)
24 人
10 月 31 日(水)
バレエ「アラジン」
(2011 年 5 月公演)
18 人
11 月 18 日(日)
12 月 16 日(日)
1 月 20 日(日)
2 月 17 日(日)
3 月 17 日(日)
オペラ「蝶々夫人」
(2011 年 6 月公演)
33 人
演劇「アジアの女」
オペラ「こうもり」
オペラ「ばらの騎士」
オペラ「イル・トロヴァトーレ」
(2006 年 9 月公演)
(2011 年 12 月公演)
(2011 年 4 月公演
(2011 年 10 月公演)
計
13 人
35 人
23 人
37 人
367 人
ウ.レクチャー等
団体観劇者・学校・劇場見学者を対象に、レクチャーや研修会を情報センター ビデオシアターにて実
施した(23 件 511 名)。
(2) 現代舞台芸術に対する理解の促進と普及を図るための鑑賞会・講座等の実施
<方針>
現代舞台芸術に関する理解の促進と普及を図るための講座等を実施するとともに、公演内容に対する理解
と促進を図るため、上演に合わせてオペラトーク、シアタートーク等を適宜実施する。
<実績>
(1) 現代舞台芸術に関する理解の促進と普及を図るための講座等
名称(会場)
回数
DVD 舞台芸術鑑賞会(舞台美術センター)
*詳細は既出
DVD 舞台芸術鑑賞会(新国立劇場)
*詳細は既出
現代舞台芸術入門講座(新国立劇場)
*マンスリープロジェクトとして既出
現代舞台芸術入門講座(舞台美術センター)
合
計
計画・目標
・
参加者数
アンケートによる
有意義回答の割合
12 回
186 人
14 回
367 人
92.4%
12 回
2,976 人
95.3%
1回
253 人
90.2%
39 回
3,782 人
93.5%
37 回
1,700 人
80%
現代舞台芸術入門講座(舞台美術センター資料館)
現代舞台芸術の理解の促進と普及を図るという観点から、現代舞台芸術の展示・公開に加えて、舞
台美術センター資料館の入館券の購入者(高校生以下、65 歳以上及び心身障害者は無料)を対象にコ
ンサートを実施した。
舞台美術センターコンサート「銚子!?のいい仲間たち」
日程:平成 24 年 11 月 7 日(水) 11:00(一般)/14:00(銚子第七中学校貸切)
出演:新国立劇場合唱団員
229
直野容子(ソプラノ)、立川かずさ(アルト)、大木太郎(テノール)、秋本 健(バス)、
飯坂 純(ピアノ)
曲目:歌劇“ファウスト”より「宝石の歌」、
歌劇“サムソンとデリラ”より「あなたの声に私の心は開く」、「忘れな草」、「アヴェ・
マリア」に寄せて
ほか
場所:新国立劇場舞台美術センター資料館 1F展示ホール
入場者数:253人
(2) 公演内容に対する理解の促進を図るための講座等
内 容
名 称
英国舞台芸術フェスティバル 2012
共催:ブリティシュ・カウンシル
開場 15 周年にあたる平成 24 年度、2012/2013 シーズンの開幕公演としてオペラ「ピ
ーター・グライムズ」
、バレエ「シルヴィア」、演劇「リチャード三世」と、3 部門と
も英国ゆかりの作品を上演。このことから、10 月のシーズンオープニングに合わせ、
英国の公的な国際文化機関であるブリティッシュ・カウンシルとの共催により、英国
をテーマに舞台芸術の普及を図る企画「新国立劇場・英国舞台芸術フェスティバル
2012」を劇場を挙げて開催した。
同フェスティバルの関連企画として、各演目や英国の文化芸術に関連する各種の講
座、トークセッション、展示、上映会、装飾等を実施し、関心を刺激するとともに活
気に満ちた空間で来場者を迎えた。
全体イベント
<イベント>
・オープニング・トークセッション「ベンジャミン・ブリテンの世界」
・シアター・トーク「リチャード三世」
・ミニトーク「英国を彩るバラと舞台芸術展」
・マンスリー・プロジェクト演劇講座「リチャード三世の魅力」
<上映会>
・小劇場オペラ「ねじの回転」
・オペラ「オテロ」
・バレエ「アラジン」
・演劇「夏の夜の夢」
内
容
オペラ関連
バレエ・
現代舞踊関連
演劇関連
名 称
国際連携協力関連イベントトークセッション(「ローエング
リン」「ベンジャミン・ブリテンの世界」)、2013/2014 シー
ズンオペラ演目説明会
終演後トーク(「DANCE to the Future2012」)
、スペシャルト
ーク(高谷史郎×高木正勝)、公開リハーサル(「テイク・フ
ァイブ」
)、2013/2014 シーズンバレエ&ダンス演目説明会
シアタートーク(「まほろば」
「負傷者 16 人」
「サロメ」
「温
室」
「リチャード三世」
「るつぼ」
「音のいない世界で」
「長い
墓標の列」)
舞台稽古見学・プレトーク(「サロメ」)、演出家によるスペ
シャルトーク(「サロメ」
)
、
回数
参加者数
3回
425 名
4回
1,050 名
10 回
3,471 名
【特記事項】
・ 「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」キックオフ記者会見への一般参加
2 大作曲家の生誕 200 年にちなみ、二人の作品を上演する国内外有数のオペラ団体やオーケストラ
が一同に会し、これを盛り上げようとする「2013 ヴェルディ&ワーグナー生誕 200 年祭」
。この記者
会見を一般公開した。
230
平成 24 年 12 月 5 日(水) オペラ劇場ホワイエ
参加団体:新国立劇場、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京二期会、東京・春・音楽祭、トリ
ノ王立歌劇場(ジャパン・アーツ)、藤原歌劇団(日本オペラ振興会)、読売日本交響楽
団、ローソン HMV エンタテイメント、MET ライブビューイング(松竹)
ゲスト:茂木健一郎(脳科学者)
、司会:松本志のぶ
一般参加者:60 名
・ 日本ヴェルディ協会・日本ワーグナー協会共催例会
ヴェルディ、ワーグナー生誕 200 年を記念した両協会初の共催例会に協力し、一般公開として、専門家
による 2 大作曲家のオペラの特徴や魅力を周知した。
平成 25 年 3 月 2 日(土) オペラ劇場ホワイエ
ゲスト:加藤浩子(音楽評論家)
、山崎太郎(東京工業大学教授、ドイツ文学)
参加者数:約 100 名
(3) 現代舞台芸術の普及のための、オンラインコンテンツの公開等
<方針>
現代舞台芸術への理解を促進するために、劇場施設、公演実施までのプロセスを映像にて収録し、ホーム
ページで公開するとともに、必要に応じてDVD等の二次媒体にて、学校等に頒布する。
<実績>
(1) 現代舞台芸術入門オンラインツアー
映像でわかりやすく伝える情報センター編集・制作のオンラインツアー「オペラのつくりかた」
「バレ
エのつくりかた」に続く、シリーズ最終編「演劇のつくりかた」を制作。3 月演劇公演『長い墓標の列』
に出演する演劇研究所出身の俳優男女 2 人がレポーターとして出演して、それぞれの現場をナビゲート
し、スタッフの打ち合わせ、稽古の進行、スタッフの声をまじえながら、本番初日までを撮影する内容
で、ホームページで公開するとともに、このコンテンツの一部を編集して DVD を製作し、新国立劇場ビ
デオシアターでの上映、学校等への頒布や広報資料として活用することを予定している。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 公演記録映像がハイビジョン化された 2010/2011 シーズン以降は、最新の美しい舞台映像を提供する
ことができ、舞台美術センター来館者に好評をいただいている。
・ 前年度に続いて、24 年度も YAHOO!JAPAN のトップページのニュース欄「スポットライト」で情報セ
ンター編集・製作の現代舞台芸術入門オンラインツアー(「オペラのつくりかた」
「バレエのつくりかた」
)
が紹介された。現代舞台芸術入門オンラインツアーついては、新たに制作するのは本年度が最後となっ
たが、次年度も既存のコンテンツをホームページ上で公開していきたい。
・ 舞台美術センター資料館(銚子)でのコンサートは、一般来場者と校外学習の一環となっている近隣
の銚子第七中学校の団体鑑賞とを分けて実施し、プログラムや演出などを工夫して、参加者から大好評
を得たほか、銚子市報・映像、読売新聞・ぐるっと千葉等でも取材・紹介された。
・ オペラ部門においては、上演機会の少ないブリテン作品についてのトークイベントを開催、様々な観
点から紹介され、作品の理解増進に大いに貢献した。
・ ヴェルディ協会とワーグナー協会の初の合同例会の開催に協力し、それを一般にも公開するなど、 両
作曲家に関連する各種のイベント、展示等を展開し、観客の関心を刺激するとともに祝祭的雰囲気を醸
成した。
・ オペラ、舞踊部門において、2012/2013 シーズン・ラインアップ発表直後の公演会場において、芸術
監督による演目説明会を開催し、周知に努めた。東日本大震災の影響により公演中止となった「ダイナ
ミック・ダンス!」の待望の実現にちなみ、チャリティー・イベントとして、公開リハーサルとチャリ
ティ・コンサートを開催した。
・ 演劇部門においては、恒例となった演出家や出演者によるトークイベントをシアタートークとして実
施し、観客から好評を博した。
・ 国際連携協力関連イベントでは、新国立劇場と海外の芸術家や劇場との連携協力による作品制作等の
活動を様々な視点と方法により企画した。トークイベントにおいては特に演出や美術等の作品創造を支
える技術的な側面にも重点を置いて紹介できるように試みた。
231
・
「ワーグナー生誕 200 周年記念・新国立劇場上演作品」と「ヴェルディ生誕 200 周年記念・新国立劇
場上演作品」の企画展示をオペラ劇場ホワイエにて開催した。貴重な情報を一挙に閲覧する機会となり、
観客からも好評を得た。
・ マンスリー・プロジェクトは 3 年目を迎え、参加人数も大幅に増え、各講座ともに大好評であった。
マンスリー・プロジェクト企画の演劇研究所修了生によるリーディング公演及び宮田芸術監督によるワ
ークショップが演劇研修所修了生の「長い墓標の列」公演や、全国公演の関連企画として実施した宮田
慶子講師の北上市文化交流センターでのワークショップ「リーディングをやってみる」に結びついた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ いずれの活動も、職員が企画立案・会場作り・展示準備等をしており、負担が非常に大きいため、実
施に際しては、効果をよく見極めた上で実施する必要がある。
・ 舞台美術センター資料館での企画展・上映鑑賞会・年 1 回のコンサートは、近隣地域、銚子第七中学
校(統合・再編)
、銚子市長等、利用者・関係者の要望にこたえ存続させたい。
232
Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
業務運営の効率化
業務運営の効率化 p.233
効率化に関する取組み p.238
事務手続きの簡素化 p.238
随意契約の見直し及び外部委託の推進 p.239
省エネルギー、リサイクルの推進 p.240
給与水準の適正化等 p.241
組織機構の在り方の検討 p.243
情報開示の推進 p.247
効率化に関する目標の達成状況 p.247
事業評価の実施 p.249
業務運営の効率化:総表
Ⅱ-1 業務運営の効率化
《中期計画の概要》
Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 劇場利用者等へのサービスその他の業務の質の向上を考慮しつつ、運営費交付金を充当して行う業務について、
国において実施されている行政サービス実施コストの効率化を踏まえ、既存事業の徹底した見直し、業務の効率
化を進め、平成19年度予算を基準として中期目標期間中に、退職手当、特殊要因経費を除き、一般管理費などの
事務的経費については15%以上、事業費についても毎事業年度につき1%以上の効率化を図る。
また、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)を踏まえ、人件費については、平成22年度にお
いて、平成17年度の人件費に比較して、5%以上削減するとともに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2
006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づき、人件費改革の取組みを平成23年度まで継続する。但し、今後の人事
院勧告を踏まえた給与改定分については削減対象より除く。人件費の範囲は国家公務員でいう基本給、職員諸手
当及び超過勤務手当を含み、退職手当及び福利厚生費は含まない。なお、役職員の給与については、国家公務員
の給与構造改革を踏まえ、必要な見直しを進める。
これらを達成するため、以下の措置について検討・実施する。
(1) 効率化に関する取組み
ア 効率的な情報システムの整備により、各事業の効果的・効率的な運営を支援する。情報システムの整備に当たっ
てはセキュリティ対策に十分留意する。
イ 手続きの簡素化等により、業務運営の効率化及び利用者の利便性の向上を図る。
ウ 国立劇場等の管理運営業務については、外部委託の範囲を拡大し、一層の経費削減を図る。
エ 省エネルギー、廃棄物減量化、リサイクル、ペーパーレス化等を推進し、使用資源の縮減を図り、環境に配慮し
た業務運営に努める。
(2) 随意契約の見直し
契約については、原則として一般競争入札等によることとし、以下の取組により、随意契約の適正化を推進する。
また、その実施に当たっては、監事による監査を受けるとともに、財務諸表等に関する監査の中で会計監査人による
チェックを要請する。
ア 「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に実施するとともに、その取組状況を公表する。
イ 一般競争入札等により契約を行う場合であっても、特に企画競争や公募を行う場合には、競争性、透明性が十
分確保される方法により実施する。
(3) 給与水準の適正化等
独立行政法人整理合理化計画を踏まえ、国家公務員制度改革や類似独立行政法人等の人事・給与制度改革の動向を
勘案しつつ、職員の能力や業績を適切に反映できる人事・給与制度への移行を推進する。また、給与水準については、
適正化に関する検証結果や取組み状況について公表する。
(4) 組織機構の在り方の検討
業務運営の効率化等の進捗状況を踏まえ、組織機構の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずる。
(5) 情報開示の推進
国民の理解が得られるよう、分かりやすく説明する意識を徹底するとともに、国民が最新の情報を円滑に得られる
よう、ホームページにおける情報アクセスを容易にするなど、必要な措置を講ずる。
《年度計画》
1 業務運営の効率化を進めるため、次の措置を講ずる。
ア 効率化に関する取組み
① 情報システムの活用
・ 平成 23 年度に更新したネットワーク機器を活用して、振興会各情報システムの遠隔保守体制を構築し、
メンテナンス業務の強化と対応の迅速化によりシステムの安定稼動を図る。
・ 能楽堂・文楽劇場のパーソナルコンピューターを更新し、振興会内の端末の仕様の共通化をすすめると
ともに、処理速度の向上・データ容量の増加等により各職員の業務の効率化を推進する。
・ 文化デジタルライブラリーシステムの再構築を行い、コンテンツ登録作業等の効率化を図るとともに、
検索機能の強化等利用者へのサービス向上を図る。
・ 施設利用システムの機器更新及び、データベースの暗号化などによりセキュリティ対策を行う。
・ チケット販売関係システムの最適化を図るため、チケット管理システム及びインターネットチケット販
233
売システムを統合した総合チケットシステムの開発を引き続き実施する。
・ 文書管理システムを改修し、適切な文書管理を実施する。
・ 情報セキュリティ対策についての意識の向上を図るため、各職員の自己点検の実施に加え、専門家によ
る情報セキュリティ研修を実施する。
② 事務手続きの簡素化
事務手続きの効率的な実施や情報システムの見直し等により、内部統制の強化を図りつつ決裁事務の簡素化を
進める。
③ 外部委託の推進に伴う随意契約の見直し、一者応札・応募の改善
・ 引き続き「随意契約見直し計画」に基づき、原則として一般競争入札によることとし、その取り組み
状況をホームページで公表する。
・ 同種の、又は各館に共通する物品購入や役務の調達において、契約内容や入札方法の集約化・一元化に
よる効率性について検討し、一体的な契約や複数年契約を推進する。
・ 真にやむを得ない理由により競争性のない随意契約を継続する場合、定期的な価格交渉を実施するなど
して費用低減への取り組みを適切に行う。
・ 一者応札・応募改善のため、参加資格等の要件緩和や仕様内容の見直しなどを検討し、競争排他的な入
札条件の排除に努める。また、入札公告とともに、参加に必要な入札情報を積極的にホームページ等に掲
載するとともに、文部科学省ホームページや業界紙へ情報を掲載して競争参加者の増加を図る。あわせて
情報入手後、応札しなかった者がいた場合、その辞退理由の収集を行うなど今後の改善策の参考とする。
・ 入札事務の効率化と競争参加者の利便性向上のため、電子入札を一部の案件で導入する。
・ 契約監視委員会においては、定期的に契約の点検・見直しを行い、その結果を踏まえた契約方式を実施
する。
④ 省エネルギー、リサイクルの推進
引き続き、以下のとおり省エネルギー、リサイクルを推進する。
・ 特定地球温暖化対策事業所として、地球温暖対策中長期計画書等を作成し二酸化炭素(CO2)の削減を
推進する。
・ 夏季軽装等の推進による、事務所部分を中心とした光熱水量の節減を図る。
・ 廃棄物の減量化を図るため、両面コピー及び分別収集を徹底する。
・ 情報システムの利用促進により、ペーパーレス化を進める。
・ グリーン購入法に基づく環境配慮物品等の調達を行い省エネルギー、リサイクルを促進する。
イ 給与水準の適正化等
・ 給与水準について、適正化に関する検証結果や取組み状況について公表する。
・ 役職員の給与について、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずる。
ウ 組織機構の在り方の検討
引き続き、効率化の進捗状況を踏まえ、人員配置の検討など組織機構の在り方について検討し、より効率的な
事業実施体制を整備する。あわせて労務管理の充実と職員の専門性の確保を図る。
エ 情報開示の推進
国民が振興会に関する情報を円滑に得られるよう、ホームページでの情報提供に伴う検索機能を見直すなど、
外部利用者の利便性向上を図る。また、情報開示に当たっては、国民の理解が得られるよう、分かりやすく説明
する意識を徹底する。
《実
績》
1.効率化に関する取組み
(1) 情報システムの活用
・ 振興会内各業務システムの安定稼動のため、ネットワーク機器の活用による遠隔保守体制を構築し、メンテ
ナンス業務の強化と対応の迅速化を図った。
・ 能楽堂・文楽劇場のパーソナルコンピューターを更新し、業務の効率化を行った。
・ 文化デジタルライブラリーシステムの再構築を行い、業務の効率化、利用者へのサービス向上を図った。
・ 施設利用システムの機器更新及びセキュリティ機能の強化を行った。
・ チケット販売関係システムの最適化を図るため、総合チケットシステムの開発を行った。
・ 文書管理システムを改修し、平成 23 年 4 月 1 日に施行された「公文書等の管理に関する法律」に準拠した管
理体制を整えた。
234
・ ホームページで公開している法人文書ファイル情報の検索機能を改修し、情報公開制度のより適正な運用に
努めた。
・ 各職員のセキュリティ自己点検に加え、専門家による情報セキュリティ研修を実施し、情報セキュリティ対
策についての意識の向上を図った。
(2) 事務手続きの簡素化
引き続き決裁事務の簡素化の徹底と、館内 LAN を介してのグループウェアや内部ホームページ等の活用により、
事務手続きの効率的な実施と事業の速やかな実施に努めた。
(3) 随意契約の見直し及び外部委託の推進
・ 「随意契約見直し計画」に基づく一般競争入札の取組状況に関し、昨年度に引続き、
「日本芸術文化振興会
契約監視委員会」
(第7回、第 8 回)を開催し、改善点などの検討を行った。
・ 入札機会の拡大を図るため、ホームページ上の「調達情報」に仕様書のほか、セキュリティ面において公開
することに問題があると判断されるものを除き、その他すべての資料を掲載した。また、工事及び設計・コン
サルティング業務について、文部科学省文教施設企画部施設企画課契約情報室ホームページへ入札情報の掲載
を行うとともに、電子入札の運用を開始した。
・ 一者応札・応募事案の事後点検体制として、仕様書を取り寄せる等調達に関心を示した業者に対し、応札を
行わなかった理由を聴き取るなど要因分析を行い、一者応札・応募の改善を図った。
(4) 省エネルギー、リサイクルの推進
・ 光熱水量の削減について、引き続き各館において、観劇環境や業務に支障のない範囲で節電対策を行った。
・ 廃棄物について、引き続き減量化を図るとともに種別分別の徹底をすすめた。
・ ペーパーレス化促進について、両面コピー、印刷物裏面の再利用、グループウェアの活用等に努めた。
事 項
光熱水量
廃棄物
ペーパーレス化
区 分
電気使用量
ガス使用量
水道使用量
一般廃棄物
再利用廃棄物
産業廃棄物
コピー枚数
用紙購入枚数
使用量・処理量・枚数
7,946,120kwh
414,001 ㎥
60,765 ㎥
77,002kg
144,695kg
78,690kg
2,480,800 枚
3,650,500 枚
対前年度増減
3.0%
3.3%
0.4%
△1.9%
△2.0%
△0.2%
0.0%
0.1%
2.給与水準の適正化等
・ 引き続き、ホームページに「独立行政法人日本芸術文化振興会の役職員の報酬・給与等について」を掲載し、給
与水準に係る適正化に関する検証結果及び取組み状況を公表するとともに、国からの財政支出の割合が 76.2%(23
年度予算ベース)であることを踏まえ、その適正性について検証を行った。
・ 国家公務員の給与見直しに準じ、平成 24 年 4 月 1 日から平成 26 年 3 月 31 日までの間、臨時特例により役職員
の給与を減額して支給する措置を実施している。
・ 民間における退職給付の実情に鑑み、退職手当の引き下げを行うことを内容とする国家公務員の退職手当制度の
改正に準じて、必要な措置を実施した。
3.組織機構の在り方の検討
・ 業務の質の向上と一層の効率化のための事業実施体制整備について組織改正の検討を進め、24 年 4 月に総務企画
部に人事労務課を設置し、新国立劇場部と総務企画部総務課国立劇場おきなわ係を統合して新国立劇場・おきなわ
部と改組した。また、平成 25 年 4 月に総務企画部総務課にお客様相談室を設置することとし、国立劇場芸能部及
び国立劇場営業部を改組することとした。
・ 引き続き新人職員に対して公演業務に関する研修を実施するなど、専門性の確保に努めた。
・ 文楽技術室においては、複数年にわたる採用プログラムを作成し、確実に後継者を採用することに努めている。
4.情報開示の推進
・ 振興会の実施する事務事業に対する国民の理解が得られるよう、役員会等において、職員が国民に対し懇切丁寧
に分かりやすく説明する意識の徹底を図った。また、ホームページで公開している法人文書ファイル情報の検索が
容易になるよう、機能改修を行った。
5.効率化に関する目標の達成状況
235
・ 24 年度も引き続き適切な執行に努めた結果、一般管理費については基準額である 19 年度運営費交付金予算額
(1,256 百万円)に対し 30%の効率化を達成した。事業費については前年度からの繰越執行により前年度予算額に
対し 1%増となったが、19 年度運営費交付金予算額(10,136 百万円)に対し△8.2%の効率化を達成した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 振興会各情報システムの遠隔保守の実現により、システム保守対応の迅速化が図られた。
・ 総合チケットシステム開発の過程におけるリスクを減らすために、開発に係る支援業務の委託を行った。
・ 入札事務の効率化と競争参加者の利便性向上のため、工事及び設計・コンサルティング業務について、文部科学
省文教施設企画部施設企画課契約情報室ホームページへ入札情報の掲載を行うとともに、電子入札の運用を開始し
た。
・ 廃棄物の減量化について、前年度に比べ処理量が減少した。
・ 光熱水量及びペーパーレス化について、概ね前年度程度の実績に抑制することができた。
・ 給与水準について、
国家公務員との給与水準(年額)の比較指標は 102.5 であるが、職員の学歴や振興会の地域性を踏まえ検証し、適
切な水準にあることを確認した。
・ 国からの要請を踏まえ、役職員給与及び役職員退職手当について、国家公務員に準じた減額を実施することとし
た。
・ 効率化に関する目標の達成状況について、24 年度も引き続き適切な執行に努めた結果、一般管理費については
基準額である 19 年度運営費交付金予算額(1,256 百万円)に対し 30%の効率化を達成した。事業費については前
年度からの繰越執行により前年度予算額に対し 1%増となったが、19 年度運営費交付金予算額(10,136 百万円)
に対し 8.2%の効率化を達成した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ システムの多様化、複雑化に対応した管理体制を維持することが課題となっており、外部サービスの利用も含め
て対応策の検討を進める。
・ 今後とも適切な給与水準を維持し、組織機構のあり方について検討を行い、必要な措置を講じる。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 職員の専門性を高めるよう、人事・研修などさらなる配慮を求めたい。(①)
・ 複数年契約への移行は、そのメリット・デメリットを十分検討した上で、契約の適正化に努めて欲しい。(②)
・ 一者応札・応募については劇場業務特有の案件や著作権を有することに関わる案件もあるので、やむを得ない面
があり、契約の競争性、透明性の確保については、問題は無いと判断する。その上で、一者応札・応募の条件の見
直し、契約情報提供の充実、事後点検体制を行うことにより、更に入札機会の拡大を図られたい。(②)
・ (契約監視委員会での審議内容について)前回も指摘したが、競争入札の推進に伴う価格面での効果は明示され
るが、顧客に対するサービスなどの質的な面での効果や問題点を検証することが望まれる。(②)
(振興会評価委員会)
・ 今後の人件費削減に当たっては、安全や観客サービス等に支障を来さないよう十分に配慮したい。また、振興会
は、伝統芸能の公開・現代舞台芸術の公演をはじめ多彩な事業を実施しており、各事業について専門性の高い職員
の育成を、更に進める必要があるだろう。(①)
・ 人件費については、総人件費改革の目標を達成したことを評価する。業務の質の維持・向上のためにも、行き過
ぎた削減とならないよう配慮が必要である。(①)
【対応】
①人件費削減への対応・職員の専門性の確保
専門性の確保、人件費の抑制及び人員配置の適正化の推進のため、専門的な知識経験を有する者を当該専門的な知
識経験が必要とされる業務に従事させる場合における任期付職員採用制度を 24 年度から導入した。この制度により、
24 年 4 月に調査研究に関する業務に携わる職員 1 名を採用した。引き続き、各職員の適性を把握し、各部門の専門
性の確保にも配慮した人事異動を行い、人員配置の一層の適正化に努める。
各事業について専門性の高い職員を育成するため、引き続き採用後 3 年以内の職員を対象として公演業務に関する
研修を行い、舞台技術部門の若手職員についても振興会内の技術の継承に努めるとともに外部研修も活用する。また、
広い識見と高度の実務能力、並びに語学力の育成を図るため、文部科学省国際業務研修制度を利用し、職員 1 名を研
修生として参加させた。24 年 1 月には、職員特別研修として、外部の専門家(江戸東京博物館館長 竹内 誠 氏)を
236
招へいしその専門分野についての講習を実施した。
人件費に関して、国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、
「国家公務員の給与の改定及び
国家公務員の給与の臨時特例に関する法律」
(24 年法律第 2 号)が成立し、独立行政法人の役職員の給与については、
国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずるよう要請された。振興会においてもこの要請に基づき、
国家公務員の給与見直しに準じ 24 年 3 月 1 日から人事院勧告を踏まえ給与を改定し、24 年 4 月 1 日から 26 年 3 月
31 日までの間、臨時特例により役職員の給与を減額して支給する措置を講じることとした。一方、職員の士気を高
めるため、勤務成績に応じた勤勉手当の支給、昇給を行っているが、人件費削減によって人員が抑制される状況は引
き続いており、独立行政法人改革の進展の中で理解を得る必要がある。
②契約の適正化の継続的検討
物品購入や役務の調達について、契約内容や入札方法の集約化・一元化による効率性、経済性について十分検討し、
一括契約や複数年契約を推進する。複数年契約については、安定したサービスの提供、コストの削減、事務の効率化
等のメリットがある一方で、デメリットも考えられるため、移行については十分検討に努める。
一者応札・応募となった案件については、引き続き、できるだけ競争性を確保できるよう、参加資格、仕様内容、
公示期間等を見直し改善を図るとともに、事前に問い合わせのあった業者に応札を行わなかった理由をヒアリングす
るなど事後点検を行い、多くの入札者の参加を促し、より一層競争性の確保に努めたい。また、24 年度内に工事及
び設計・コンサルティング業務について、電子入札を導入した。応札者の手続きの簡素化という観点から一者応札・
応募の改善につながると考えている。
競争入札を推進した結果、質が伴わない状態となる場合もあり、仕様書で求める質を明確にするなど一層留意する
とともに、今後は価格面と質的な面での効果の検証も検討し、より良い履行となるよう努めたい。
237
業務運営の効率化:詳細表
<1>効率化に関する取組み
(1) 情報システムの活用
①遠隔保守体制の構築
・ ネットワーク機器(ファイアウォール)の活用により、インターネットチケット販売システム、施設利用シ
ステム、文化デジタルライブラリーシステム、図書管理システム、公演情報管理システムのサーバーと各保守
業者の環境を VPN(バーチャルプライベートネットワーク)接続し、遠隔でのシステム保守を実現した。
②能楽堂・文楽劇場のパーソナルコンピューターの更新
・ 能楽堂・文楽劇場の業務用パーソナルコンピューターを更新し、OS のバージョンアップ・処理速度の向上・
データ容量の増加等により、各職員の業務の効率化を図った。
③システムの最適化
・ 文化デジタルライブラリーシステムの再構築を行い、外注していた画像、テキストなどのコンテンツ更新作業
を振興会職員が、随時行えるように改修した。また、ジャンル間の検索を可能にするなどデータベースの検索機
能を大幅に強化し、利用者の利便性の向上を図った。
・ 施設利用システムの再構築を行い、証跡管理などのセキュリティ機能の強化を行った。
・ 総合チケットシステム開発においてインターネット販売用サーバーの更新及びスマートフォンからの予約機能
を構築した。
④文書管理システムの改修
・ 文書管理システムを改修し、平成 23 年 4 月 1 日に施行された「公文書等の管理に関する法律」に準拠した管理
体制を整えた。また、ホームページで公開している法人文書ファイル情報の検索機能を併せて改修し、情報公開
制度のより適正な運用に努めた。
⑤情報セキュリティへの対応
・ 「情報セキュリティポリシー対策実施基準」に従い、総務企画部総務課を対象に、文書管理システムの情報セ
キュリティの対応状況について監査を実施し、指摘事項に対する対応計画を策定した。
・ 情報セキュリティ対策についての意識の向上を図るため、自己点検の実施に加え、専門家を招いて情報セキュ
リティ研修を行った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 遠隔保守の実現により、システム障害への保守対応やホームページの更新作業などの運用支援業務の迅速化が
図られた。
・ 23 年度隼町地区に引き続き、能楽堂・文楽劇場のパーソナルコンピューターを更新したことにより、OS 等の情
報基盤の標準化が進められた。
・ 文化デジタルライブラリーの更新において外注していたコンテンツ更新作業を自前で行えるようにしたことで、
コストの削減が図られた。また検索機能の強化により、一般利用者の閲覧および職員の業務利用における利便性
を大きく向上させた。
・ 施設利用システムについて証跡管理を徹底したことによりセキュリティを向上させた。
・ 総合チケットシステムにおいてインターネット販売用サーバーを更新したことにより、システムの安定性及び
安全性を向上させた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ システムの多様化、複雑化に対応した管理体制を維持することが課題となっており、外部サービスの利用も含
めて対応策の検討を進める。
(2) 事務手続きの簡素化
引き続き決裁事務の簡素化の徹底と、館内 LAN を介してのグループウェアや内部ホームページ等の活用により、事
務手続きの効率的な実施と事業の速やかな実施に努めた。また、電話交換業務委託を本館、能楽堂一括で調達するな
ど、調達手続きの簡素化にも努めた。
《自己点検評価》
238
○ 良かった点・特色ある点
・ 22 年度に本館、演芸場、事務棟の職員用に導入した管内 PHS について、ロビー、楽屋、駐車場など隼町管内の
どの場所でも相互に電話が使用できるという利点が、連絡業務の迅速化、連携の強化に有効に機能している。
(3) 随意契約の見直し及び外部委託の推進
1.契約監視委員会の開催、
「随意契約等見直し計画」に関する取組み
・ 外部有識者を含めた委員による「日本芸術文化振興会契約監視委員会」
(第7回、第8回)において、定期的な契
約の点検を実施し、それぞれ報告書を理事長に提出した。
・ 平成24年7月31日に第7回契約監視委員会を開催し、競争性のない随意契約、一者応札・応募になった案件を中心
に点検審議を行い、一者応札、高落札率の改善について検討した。また、システム等の著作権に係る適切な契約方
法について検討した。
・ 平成25年1月28日に第8回契約監視委員会を開催し、平成23・24年度連続一者応札・応募等事案について、点検を
行い、一者応札の改善等について検討した。
・ より競争性、透明性の高い入札・契約事務を実施することを目的として20年度契約を基準として策定した「随意
契約等見直し計画」のフォローアップを行い、公表した。
2.契約内容及び入札方法の見直し等外部委託の推進
案件ごとに業務内容を精査し、以下の通り契約形態を見直して、より効率的な外部委託を推進した。
(24 年度契約からの移行業務)
・ 「平成 24・25 年度国立劇場ターボ冷凍機・冷温水発生機保守業務」
(単年度から 2 年間の複数年契約へ移行)
・ 「平成24・25年度国立劇場空調等自動制御装置保守業務」
(単年度から2年間の複数年契約へ移行)
(25 年度契約からの移行準備を行った業務)
・ 電話交換業務委託(本館・能楽堂を一括した2年間の複数年契約へ移行)
・ 国立劇場本館及び演芸資料館における公演記録映像収録等の業務に係る要員の派遣(本館・能楽堂を一括した
契約へ移行)
業務の質的な面での特殊性を検証した上で適正な契約方法を検討し、以下のように実施した。
(24 年度契約からの移行業務)
・ 「平成 24 年度国立劇場大劇場吊物機構操作盤改修工事」
(一般競争入札から随意契約へ移行)
・ 「平成 24 年度国立劇場小劇場床機構挟まれ検知改修工事(一般競争入札から随意契約へ移行)
3.入札機会の拡大
(1) 一者応札、一者応募をリストアップし、以下の見直しを行った。
① 仕様書の内容の見直し
・ 特定の業者しか納入することができない条件を見直す。
② 公告期間の見直し
・ 一般競争入札について、10 日以上としている公告期間を 10 営業日以上確保する。
・ 公募については、20 日以上としている公告期間を 20 営業日以上確保する。
③ 入札参加要件の緩和
・ 過去の納入実績、請負実績等の条件を緩和する。
(2) 契約情報提供の充実
・ 入札公告などを劇場敷地内に掲示するとともに、入札機会の拡大を図るため、ホームページ上の「調達情報」
に仕様書のほか、セキュリティ面において公開することに問題があると判断されるものを除き、その他すべて
の資料を掲載した。
・ 工事及び設計・コンサルテンング業務について、文部科学省文教施設企画部施設企画課契約情報室ホームペ
ージへ入札情報を掲載するとともに、電子入札の運用を開始した。
(3) 一者応札・応募事案の事後点検体制
仕様書を取り寄せる等調達に関心を示したが、応札を行わなかった業者に対してその理由を聴き取るなど、一
者応札・応募となった要因分析を行い、一者応札の改善を図った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 「随意契約等見直し計画」に基づき、引き続き競争性のある契約への移行を推進した。その一方で、明らかに競
争性のない特殊な案件については、契約監視委員会に説明し、意見を聴取した上で随意契約へ変更できることとし、
契約方法の適正化を図った。
・ 入札情報入手の利便性向上を図るため、ホームページ(調達情報)に掲載する情報を公示だけではなく、仕様書
等も掲載することなどにより、一層充実させることができた。新規参入も含めた入札参加者の増加を図るため、工
239
事及び設計コンサルティング業務について、文部科学省文教施設企画部施設企画課契約情報室ホームページへ入札
情報の掲載を行っている(平成 23 年 12 月 6 日公告から)
。
・ 入札事務の効率化を図るほか、入札参加者の利便性向上のため、工事及び設計・コンサルティング業務につい
て電子入札の運用を開始した。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 業務効率の向上、事務作業の軽減、経費の削減効果を得られることが見込まれる契約については、一本化や複数
年での契約締結について継続的に検討していく。
・ 入札辞退の理由について確認する体制に関し、仕様書・入札説明書等情報を入手又は入札参加申請書提出後に参
加を辞退する場合、辞退届の提出を求める等、できる限り理由を調査することを継続して行い、更に広く参加者を
募るための参考とする。
(4) 省エネルギー、リサイクルの推進
1.光熱水量の節減
事 項
電気
ガス
水道
※ 光熱水量は、食堂・売店等テナントの使用量を除く。
区 分
使用量
対前年度増減
本館・演芸場
5,025,649kwh
5.2%
能楽堂
780,550kwh
1.8%
文楽劇場
2,139,921kwh
△1.4%
合 計
7,946,120kwh
3.0%
本館・演芸場
196,257 ㎥
10.0%
能楽堂
80,838 ㎥
△2.2%
文楽劇場
136,906 ㎥
△2.0%
合 計
414,001 ㎥
3.3%
本館・演芸場
36,489 ㎥
3.0%
能楽堂
6,803 ㎥
△0.1%
文楽劇場
17,473 ㎥
△4.4%
合 計
60,765 ㎥
0.4%
①引き続き各館において、観劇環境や業務に支障のない範囲で下記の節電対策を行った。
・ 執務室、会議室、通路等の照明を業務に支障のない範囲で間引き・減灯した。
・ 提灯やロビーで使用している白熱灯の LED 電球への交換や、通路の照明に人感センサー式スイッチを併設
し通行時のみ自動点灯する等の対策を実施した。
・ 施設課執務室で電力や空調の運転状況をリアルタイムで把握できる端末機を設置し、よりきめ細かな空調
等の運転を指示できる体制とした。
・蓄熱槽を活用して客席の室温を適正に保ちつつ、使用最大電力(KW)と電力使用量(KWH)を削減し省エネ
ルギーを図った。
・ 事務所部分を中心に夏季の軽装を奨励するとともに、冷暖房の抑制(夏季ピーク時の制限、設定温度の制
限)を実施した。
・ 自動販売機において、ディスプレイの照明を消し、夏季ピーク時の冷却時間を制限して節電を行った。
②国立劇場が東京都の
「特定地球温暖化対策事業所」
に指定され、
CO2 の排出量を平成 22~26 年の 5 年間で 1,145
t(年平均 229t)削減の義務が課せられたため、この対応策の一環として暖房・給湯用ボイラー燃焼方式を
23 年度に重油からガスに変更する等、引き続き抑制に努めた。
2.廃棄物の減量化
事 項
区 分
処理量
対前年度増減
本館・演芸場
32,510kg
2.5%
能楽堂
11,190kg
△21.6%
一般廃棄物
文楽劇場
33,302kg
2.4%
合 計
77,002kg
△1.9%
本館・演芸場
125,270kg
△0.1%
再利用廃棄物
能楽堂
9,855kg
4.2%
240
文楽劇場
9,570kg
△24.9%
合 計
144,695kg
△2.0%
本館・演芸場
69,140kg
5.3%
能楽堂
6,220kg
△33.1%
産業廃棄物
文楽劇場
3,330kg
△14.2%
合 計
78,690kg
△0.2%
・ 廃棄物の減量化を図るため、種別分別を徹底したほか、自動販売機設置業者が事務所部分数ヶ所にペットボ
トル・缶等用のごみ箱を設置し、自主回収している。
3.ペーパーレス化
事 項
区 分
使用量
対前年度増減
本館・演芸場
715,714 枚
△5.2%
事務棟
1,065,239 枚
3.3%
伝統芸能情報館
229,637 枚
△10.9%
コピー枚数
能楽堂
230,006 枚
20.8%
文楽劇場
240,204 枚
△2.7%
合 計
2,480,800 枚
0.0%
うち管理部門
836,649 枚
△3.1%
本館・演芸場・事
務棟・伝統芸能情
2,852,000 枚
△0.2%
報館
コピー用紙
能楽堂
360,000 枚
10.3%
購入枚数
文楽劇場
438,500 枚
△5.6%
合 計
3,650,500 枚
0.1%
・ ペーパーレス化促進について、両面コピー、グループウェアの活用等に努めた。
4.グリーン購入法に基づく調達
事務用消耗品を中心に、環境物品等の調達の推進を図るための方針に基づいた物品購入及び複合機の賃貸借を行い、
可能な限り環境への負荷の少ない物品等の調達に努めた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 廃棄物の減量化について、前年度に比べ処理量が減少した。
・ 光熱水量及びペーパーレス化について、概ね前年度程度の実績に抑制することができた。
<2>給与水準の適正化等
1.給与水準に係る適正化に関する検証結果・取組み状況の公表
引き続き給与構造改革を踏まえた給与改定を実施し、国家公務員との給与の比較を行い、ホームページに「独立行
政法人日本芸術文化振興会の役職員の報酬・給与等について」を掲載し、給与水準に係る適正化に関する検証結果及
び取組み状況を公表した(23 年度ベース)。
<一般職俸給表適用者との比較(23 年度ベース)>
項
目
国の一般職俸給表適用者
平均年齢
42.3 歳
学歴(大学卒の割合)
52.6%
振興会一般職俸給表適用者
47.8 歳
82.6%
<他の独立行政法人との比較(23 年度ベース)>
項
目
全独立行政法人
日本芸術文化振興会
給与総額
6,929 千円
7,107 千円
平均年齢
43.5 歳
47.8 歳
※
ラスパイレス指数
105.7
102.5
※ 国の一般職俸給表適用者の給与を 100 としたときの給与水準の指数。
241
<国からの財政支出>
支出予算の総額に占める国からの財政支出の割合 76.2%
(国からの財政支出額 14,955 百万円/支出予算の総額 19,619 百万円(23 年度予算))
2.効率的な事業遂行のための職員配置及び採用
人員配置については、各部長から要望を広く聞き、適切な人事異動を行うとともに、58 歳以上を対象とした高齢
者雇用等、人件費の抑制を踏まえた採用を実施した。
3.人事・給与制度の検討
(1) 国家公務員の給与見直しに準じた役職員の給与減額改定
国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、
「国家公務員の給与の改定及び国家公務員の給与
の臨時特例に関する法律」
(平成 24 年法律第 2 号)が成立した。
これに関して、
「国家公務員の給与減額支給措置について」
(平成 23 年 6 月 3 日閣議決定)及び「公務員の給与改
定に関する取扱いについて」
(平成 23 年 10 月 28 日閣議決定)において、独立行政法人の役職員の給与については、
国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずるよう要請された。
振興会においてもこの要請に基づき、平成 24 年 4 月 1 日から平成 26 年 3 月 31 日までの間、臨時特例により役職
員の給与を減額して支給する措置を実施している。
①臨時特例による役員給与の減額支給(△9.77%)
・減ずる額
本給 ……………… 本給月額×9.77%
特別手当(賞与)… 支給額×9.77%
地域手当 ………… 本給月額×地域率 [東京:18% 大阪:15%]×9.77%
②臨時特例による職員給与の減額支給(平成 24 年 4 月から平成 26 年 3 月まで)
減額率
役職
本給
管理職手当
賞与
課長以上(5-7 級)
△9.77%
△10%
課長補佐・係長(3-4 級)
△7.77%
△9.77%
係員(1-2 級)
△4.77%
その他の手当のうち、地域手当、超過勤務手当、制作・演出手当についても支給減額率を乗じて得た額を
減額する。
(2) 国家公務員の退職手当見直しに準じた役職員の退職手当減額改定
国家公務員の退職手当の支給水準を引き下げ官民較差の解消等を図るため、国家公務員退職手当法等の一部を改
正する法律(平成 24 年法律第 96 号)が成立した。
これに関して、
「国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等について」
(平成 24 年 8 月 7 日閣議決定)において、
独立行政法人の役職員の退職手当については、国家公務員の退職手当の見直しの動向に応じて、今般の国家公務
員の退職手当制度の改正に準じて必要な措置を講ずるよう要請された。
振興会においてもこの要請に基づき、役員については平成 25 年 1 月 1 日適用、職員については平成 25 年 4 月 1
日適用として、国家公務員に準じた改正を行うこととした。
国
期間
現行
H25.1.1
~H25.9.30
H25.10.1
~H26.6.30
H26.7.1 以降
振興会 役員
期間
調整率
調整率
104/100
98/100
92/100
87/100
現行
振興会 職員
期間
調整率
無し(100/100) 現行
H25.1.1
~H25.9.30
H25.10.1
~H26.6.30
98/100
92/100
H26.7.1 以降
242
87/100
H25.4.1
~H26.3.31
H26.4.1
~H27.3.31
H27.4.1 以降
無し(100/100)
98/100
92/100
87/100
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 東京、大阪の大都市に事務所があることや大学卒以上の職員の比率が高いことから、地域と学歴を勘案した対国
家公務員比較指数は 89.1 となっており、比較指標(102.5)は適切な水準にあるといえる。
・ 国からの要請を受け、民間における退職給付の実情に鑑み退職手当の引き下げを行うことを内容とする国家公務
員の退職手当制度の改正に準じた改正を行うこととした。役員については平成 25 年 1 月 1 日適用とし、職員につ
いては平成 25 年 4 月 1 日適用とすることとした。
<3>組織機構の在り方の検討
1.人員配置の検討、組織機構の在り方の検討
(1) 24 年 4 月に以下の組織改正を実施した。
①総務企画部人事労務課の設置
【現行】
総務企画部長 - 総務課長
|
主任専門員 ――
人事給与係
福利係
【改正】
総務企画部長 - 人事労務課長 ―― 人事給与係
労務福利係
◎ 改正理由
人事管理の適切性・機密性の確保に併せ労務管理の充実を図るため。
②新国立劇場・おきなわ部の設置
【現行】
総務企画部長
―――
新国立劇場部長
―――
総務課長 ― 国立劇場おきなわ係
管理課長 ― 管理係
【改正】
新国立劇場・おきなわ部長 - 管理課長 - 新国立劇場係
国立劇場おきなわ係
◎ 改正理由
新国立劇場及び国立劇場おきなわの業務委託の効率化を図るため。
(2) 業務の質の向上と一層の効率化のための事業実施体制整備について、組織改正の検討を進め、25 年 4 月に以下の
組織改正を実施することとした。
①総務企画部総務課お客様相談室の設置
【現行】
総務課
総務係
普及渉外係
管理室
管理係
243
【改正】
総務課
お客様相談室
管理室
総務係
普及渉外係
お客様相談係
管理係
◎ 改正理由
事業全般に対する問い合わせ、苦情、ご意見に総合的に対応し、方針決定・対応のスピードを向上すること
で、各種事業・サービスの充実と向上を総合的に継続して推進するため。
②国立劇場芸能部文芸課改組、国立劇場営業部宣伝課改組、組織名の変更
【現行】
国立劇場芸能部
企画課
公演企画係
文芸課
文芸係
第一制作課
第一制作係
第二制作課
第二制作係
舞台監督課
舞台監督係
美術係
国立劇場営業部
宣伝課
営業課
チケットセンター
劇場課
施設利用室
宣伝係
編集係
営業係
会員サービス係
販売管理係
サービス係
施設利用係
【改正】
国立劇場制作部
公演計画課
歌舞伎課
伝統芸能課
舞台監督美術課
宣伝課
国立劇場営業部
営業課
編集企画室
販売計画課
劇場課
施設利用室
公演計画係
制作係
文芸係
制作係
文芸係
舞台監督係
美術係
宣伝係
営業係
会員サービス係
編集企画係
販売計画係
サービス係
施設利用係
◎ 改正理由
文芸課を改組し、第一、第二制作課に各々の文芸係として配置する。歌舞伎の芝居がつくられていくプロセ
スを理解し、台本の執筆、補綴に役立て、また文楽、舞踊のジャンルでの復曲、復活に対応する。
公演制作及び公演宣伝の指揮命令系統を統一し、より一層効果的で機敏な公演宣伝を推進する。編集企画室
を設置し、専門的見地から編集係の業務を処理するとともに、国立劇場オリジナル商品の企画・開発を行う。
244
また業務内容をより明確に反映させるために、組織名を変更する。
2.職員の専門性の確保
・ 職員の専門性の確保を図るため、20 年度より実施している公演研修を 24 年度も行い、新規採用職員に対し伝統
芸能の公演制作過程の実習を行うとともに観劇レポートの提出を課題とする新人研修を実施した。
・ 専門性の確保、人件費の抑制及び人員配置の適正化の推進のため、専門的な知識経験を有する者を当該専門的な
知識経験が必要とされる業務に従事させる場合における任期付職員採用制度を 24 年度から導入した。この制度に
より、24 年 4 月に調査研究に関する業務に携わる職員 1 名を採用した。
・ 採用 2 年次、3 年次の職員についても歌舞伎、文楽公演に関する事前レクチャーと観劇及びレポート作成を義務
付け、加えて 23 年度に引き続き振興会が行う教員免許状更新講習の「伝統芸能にみる日本のこころ」を聴講させ
た。
・ 舞台技術部門の若手職員については、振興会内での教育、技術の継承に加え、外部研修も積極的に利用し、公益
財団法人愛知県文化振興事業団他主催の「愛知県舞台技術者セミナー」や大道具事業協議会団主催の「大道具研修会」
に参加し、専門性の確保に努めた。
・ 広い識見と高度の実務能力、並びに語学力の育成を図るため、文部科学省の国際業務研修に参加させた。当該職
員については、平成 25 年度は国際教育交流担当職員長期研修プログラム「LEAP」に参加させ米国の大学等で研修
を行うことを決定した。
・ 文楽技術室の衣裳担当においては、23 年度に非常勤職員(アルバイト)
、24 年度に嘱託職員として勤務した者に
対して、常勤職員採用試験を実施し、1 名を合格とした。25 年度から常勤職員として、組織内での技術指導を行い
技術の継承を図る。
・ また、文楽技術室のかしら担当及び小道具担当において 24 年度に非常勤職員(アルバイト)として勤務した 5
名に対して、嘱託職員採用試験を実施し 2 名を合格とした。25 年度から嘱託職員として勤務し、将来的には本人
の適性などを考慮して選考を行い、常勤職員とすることを目指すものである。
【特記事項】
文楽技術室の後継者については引き続き養成が必要であるため、25 年度も非常勤職員(アルバイト)の公募を行
う。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 事業全般に対する問い合わせ、苦情、ご意見に総合的に対応し、方針決定・対応のスピードを向上することで、
各種事業・サービスの充実と向上を総合的に継続して推進するために、お客様相談室を設置することとした。
・ 国立劇場芸能部文芸課及び国立劇場営業部宣伝課の改組を行い、公演事業の充実を図るための体制を整えること
とした。
・ 任期付職員採用制度を導入し、専門的な知識経験が必要とされる調査研究に関する業務に携わる職員を採用した。
・ 文楽技術室の後継者の育成については、非常勤職員(アルバイト)
、嘱託と複数年に渡る採用プロセスをもつこ
とで、本人の適性を十分に見極め、常勤職員として採用することが可能となっている。
245
[組織図]※ 数字は職員数
総務企画部 62
総務課 20
お客様相談室 1
人事労務課 7
管理室 8
施設課
施設課4
情報推進課 6
計画課 7
経理担当副部長 1
経理課 7
契約課 8
基金部 19
企画調査課 6
芸術活動助成課 8
地域文化助成課 4
新国立劇場・おきなわ部 6
管理課 5
国立劇場制作部 34
公演計画課 5
歌舞伎課 6
伝統芸能課 7
評議員会
舞台監督美術課 11
宣伝課 4
理事長 1
理 事3
国立劇場営業部 35
営業課 18
編集企画室 5
販売計画課 6
劇場課 9
監 事2
職員数 298
施設利用室 6
舞台課 12
国立劇場舞台技術部 25
技術課 11
芸能調査役 1
国立劇場調査養成部 22
調査記録課 7
資料サービス課 7
養成課 6
国立演芸場部 12
演芸課 7
営業課 4
国立能楽堂部 29
事業推進課 11
企画制作課 7
営業課 9
事業推進課 12
国立文楽劇場部 54
企画制作課 8
営業課 13
舞台技術課 19
(25 年 4 月 1 日現在)
246
文楽技術室 8
<4>情報開示の推進
1.分かりやすく説明する意識の徹底
独立行政法人に対して国民の厳しい視線が向けられている現状に対応して、振興会の実施する事務事業に対する国
民の理解が得られるよう、役員会等において、職員が国民に対し丁寧に分かりやすく説明する意識を引き続き持つよ
う徹底を図った。
2.情報提供の迅速化
ホームページ利用者に速やかに正確な情報を提供することは、振興会の実施する事業の成否にも関わることから、
役員会等重要会議で繰り返し指示され業務改善に努めている。特に迅速さを求められる公演情報については、担当者
の直接入力と責任者の認証機能を備えた公演情報管理システムを活用し、利用者へ速やかかつ正確に情報提供を行っ
ている。また、内部ホームページにマニュアルを掲載して職員に周知を図り、情報の誤謬等が生じないよう体制の整
備を図っている。
3.情報公開への対応
「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」に基づき、振興会が保有する法人文書の公開を実施した。法
人文書の開示請求は 3 件(うち開示実施は 2 件)あり、速やかな対応を行った。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 公演情報管理システムの活用により、ホームページ上で利用者へ迅速に正確な公演情報を提供することができた。
また、ホームページで公開している法人文書ファイル情報の検索機能を併せて改修し、情報公開制度のより適正な
運用に努めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 情報公開担当窓口における開示・不開示の判断には、最新の答申や判例の活用を行い、担当者は関連する講習会
等にも積極的に参加するなどして情報公開の適切な実施に向けより一層の努力をする。
<5>効率化に関する目標の達成状況
<中期計画>
1 劇場利用者等へのサービスその他の業務の質の向上を考慮しつつ、運営費交付金を充当して行う業務について、国
において実施されている行政サービス実施コストの効率化を踏まえ、既存事業の徹底した見直し、業務の効率化を進
め、19 年度予算を基準として中期目標期間中に、退職手当、特殊要因経費を除き、一般管理費などの事務的経費に
ついては 15%以上、事業費についても毎事業年度につき 1%以上の効率化を図る。
また、
「行政改革の重要方針」
(17 年 12 月 24 日閣議決定)を踏まえ、人件費については、22 年度において、17 年
度の人件費に比較して、5%以上削減するとともに、
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006」
(18 年 7 月 7
日閣議決定)に基づき、人件費改革の取組みを 23 年度まで継続する。
<実績>
1.一般管理費
以下の数式により効率化の達成状況を計っている。
A: 平成 19 年度の一般管理費予算額(退職手当を除く)
※運営費交付金算定の基礎となった額
B: 当該年度の一般管理費決算額(退職手当を除く)
増減比率:
(B-A)÷A
(単位:百万円、%)
区分
種別
24 年度
一般管理費
603
基準額(A)
人件費
653
計
1,256
一般管理費
280
金額(B)
人件費
593
計
873
増減比率
△30%
247
2.事業費
以下の数式により効率化の達成状況を計っている。
A: 前年度の事業費予算額(退職手当を除く)
※運営費交付金算定の基礎となった額
B: 当該年度の事業費決算額(退職手当を除く)
増減比率:
(B-A)÷A
(単位:百万円、%)
区分
種別
24 年度
事業費
7,361
基準額(A)
人件費
1,880
計
9,241
事業費
7,591
金額(B)
人件費
1,716
計
9,307
増減比率
1%
※前年度からの繰越執行により前年度予算額に対し、1%増となったが、19 年度運営費交付金予算額(10,136 百万
円)に対し、△8.2%の効率化を達成している。
248
事業評価の実施:総表のみ
Ⅱ-2 事業評価の実施
《中期計画の概要》
2 振興会に、外部の有識者、各分野の専門家等で構成する評価委員会を設置するとともに、当該委員会において、振
興会の目標等を踏まえ、組織、運営、事業などについて評価を実施する。評価に際しては、担当部署が行う自己点検、
事業の実施結果に対する当該分野の外部専門家からの意見聴取等を踏まえ実施する。また、評価結果については、公
表するとともに、組織の改善、事業の見直し、事務の改善等に反映させ、業務運営の効率化、国民に対するサービス
の向上等に資する。
《年度計画》
2 事業評価の実施
ア 平成 23 年度の事業の実施結果について担当各部が自己点検評価を行うとともに、伝統芸能の公開、現代舞台
芸術の公演等については、各分野の専門家からの意見聴取を行う。
イ 上記の自己点検評価をもとに、外部有識者等により構成される外部評価委員会において検討・評価を行い、評
価結果については、公表するとともに、組織の改善、事業の見直し、事務の改善等に反映させる。
《実
績》
<1>自己点検評価
1.自己点検評価の実施
(1) 23 年度の業務実績に関する自己点検評価について
24 年 2 月~3 月 各公演専門委員会、事業委員会において事業に対する意見聴取を実施
24 年 3 月~4 月 各部において自己点検評価を実施
24 年 4 月~5 月 総務企画部計画課を中心に自己点検評価を取りまとめ
24 年 5 月 11 日 理事長により自己点検評価を決定
24 年 6 月 28 日 評議員会において、23 年度の業務の実績に関する評価を審議・決定
(2) 24 年度の業務の実績に関する自己点検評価について
自己点検評価は膨大な作業量となるため、毎月の業務実施状況について定期的に役員会で報告するとともに、公
演事業については四半期ごとに自己点検評価を実施して、作成業務の効率化と内容の充実を図った。
<2>外部評価委員会による評価
1.評議員会の開催
第 28 回(6/28)、第 29 回(10/18)、第 30 回(3/26)の 3 回開催した。
議題等:23 年度評価及び 23 年度決算についての審議、23 年度評価結果ついての報告、24 年度計画実施状況の
報告、25 年度計画についての審議等
2.評価委員会の開催
23 年度第 2 回(5/15)、第 3 回(6/12)、第 4 回(6/22)、24 年度第 1 回(10/2)の 4 回開催した。
議 題 等:23 年度評価の実施、23 年度評価についての審議等
視
察:養成研修視察(10/2 、国立劇場本館・新国立劇場・芸能花伝舎)
委員改選:24 年 7 月 1 日付けで評価委員 1 名の改選・新任を行った。
3.公演専門委員会、事業委員会、芸術文化振興基金運営委員会の開催
(1) 公演専門委員会
議題等:24 年度公演状況の報告、24 年度公演計画の説明、25 年度公演計画についての意見聴取等
歌舞伎公演専門委員会 2 回開催(6 月 20 日・3 月 21 日)
文楽公演専門委員会(本館)2 回開催(6 月 5 日・3 月 18 日)
舞踊公演専門委員会 2 回開催(6 月 21 日・3 月 21 日)
邦楽公演専門委員会 2 回開催(6 月 20 日・3 月 25 日)
雅楽・声明公演専門委員会 2 回開催(6 月 19 日・3 月 25 日)
民俗芸能公演及び琉球芸能公演専門委員会 2 回開催(6 月 21 日・3 月 13 日)
能楽公演専門委員会 2 回開催(1 月 31日・3 月 1 日)
文楽公演専門委員会(文楽劇場)2 回開催(5 月 28 日・2 月 28 日)
文楽劇場短期公演専門委員会 2 回開催(5 月 29 日・2 月 14 日)
249
(2) 事業委員会
議題等:23 年度評価結果の報告、24 年度の事業実施状況、25 年度事業計画についての意見聴取等
養成事業委員会 1 回開催(3 月 21 日)
調査事業委員会 1 回開催(3 月 19 日)
(3) 芸術文化振興基金運営委員会 3 回開催(9 月 15 日・1 月 31 日・3 月 15 日)
議題等:25 年度助成活動の審査の付託、25 年度助成活動の決定、改善意見についての審議等
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 事業の実施状況について、担当各部が月次又は四半期ごとに取りまとめることにより、効率的に年間の自己点検
評価を行うことができた。文部科学省独立行政法人評価委員会、振興会評価委員会等において行われる評価の結果
については、公表するとともに、可能な限り事業内容の改善等に反映させた。公演専門委員会等において各分野の
専門家から意見聴取を行い、今後の事業への反映を図った。
・ 養成事業委員会において、今後の養成事業に反映を図るため、通例議題の評価結果報告・事業実施状況・事業計
画に加えて、次期第 3 期中期計画(案)・中期目標(案)についても説明し、中期的な計画の観点からも伝承者養
成分野や養成人数等について外部識者から意見聴取ができた。
250
Ⅲ 予算
予算
財務状況(予算・収支計画・資金計画)p.251
剰余金 p.253
運営費交付金債務 p.254
積立金の状況 p. 254
外部資金の獲得状況 p. 254
短期借入金 p. 254
Ⅳ その他主務省令で定める業務運営に関する事項
その他主務省令で定める業務運営に関する事項
人事に関する計画 p.256
施設・設備に関する計画 p.257
運営委託(国立劇場おきなわ・新国立劇場)p.259
予算
Ⅲ
予 算
《方
針》
収入面に関しては、実績を勘案しつつ、外部資金等を積極的に導入することにより、計画的な収支計画
による運営を図る。また、管理業務の効率化を進める観点から、各事業年度において、適切な効率化を見
込んだ予算による運営を図る。
《実
績》
1.財務状況
(1) 予算
(単位:千円)
区分
計画額
実績額
増△減
収
入
運営費交付金(注 1)
10,062,159
9,874,175
△187,984
文化芸術振興費補助金
3,795,660
3,791,169
△4,491
施設整備費補助金(注 2)
2,242,745
111,546
△2,131,199
助成事業収入(注 3)
1,428,288
1,447,723
19,435
公演事業収入(注 4)
2,826,633
2,728,546
△98,087
研修事業収入
34,228
37,864
3,636
調査研究事業収入
9,947
13,012
3,065
国立劇場おきなわ事業収入
2,264
3,171
907
新国立劇場事業収入
271,872
297,671
25,799
受託事業収入(注 5)
0
20,168
20,168
一般管理収入
24,484
12,498
△11,986
計
20,698,280
18,337,543
△2,360,737
支
出
文化芸術振興費(注 6)
3,795,660
3,634,831
160,829
施設整備費(注 2)
2,242,745
111,546
2,131,199
助成事業費
1,471,866
1,470,759
1,107
公演事業費
5,639,531
5,629,829
9,702
研修事業費
388,676
405,279
△16,603
調査研究事業費
661,286
637,039
24,247
国立劇場おきなわ事業費
671,797
684,616
△12,819
新国立劇場事業費(注 7)
4,766,643
4,842,776
△76,133
受託事業費(注 5)
0
17,840
△17,840
一般管理費(注 8)
1,060,076
1,109,903
△49,827
計
20,698,280
18,544,418
2,153,862
主な増減理由
(注1) 職員給与の臨時特例による減
(注2) 補正予算事業の翌年度繰越のため
(注3) 過年度助成金返還の増による収入増
(注4) 劇場入場料の減
(注5) 受託事業の増
(注6) 助成金の減額・要望の取下げによる支出減
(注7) 施設整備事業の前年度からの繰越による支出増
(注8) 退職手当の増
(2) 収支計画
区
分
計画額
251
実績額
(単位:千円)
増△減
費用の部
基金助成事業費(注 1)
公演事業費(注 2)
研修事業費
調査研究事業費
国立劇場おきなわ公演等事業費
受託事業費
新国立劇場公演等事業費(注 3)
一般管理費
減価償却費(注 4)
固定資産除却損
計
収益の部
基金助成事業収入
公演事業収入
研修事業収入
調査研究事業収入
国立劇場おきなわ公演等事業収入
受託事業収入
新国立劇場公演等事業収入(注 3)
一般管理収入
資産見返運営費交付金戻入(注 4)
資産見返寄附金戻入
中期目標期間終了に伴う
運営費交付金債務残収益化
計
5,268,000
5,356,000
350,000
574,000
655,000
0
4,441,000
1,038,000
1,229,000
0
18,911,000
5,107,397
5,083,723
403,527
593,533
640,062
17,840
4,165,435
1,026,163
1,037,006
4,452
18,079,138
160,603
272,277
△53,527
△19,533
14,938
△17,840
275,565
11,837
191,994
△4,452
831,862
5,268,000
5,356,000
350,000
574,000
655,000
0
4,441,000
1,038,000
1,229,000
0
5,233,049
5,194,434
403,903
624,841
648,226
20,169
4,439,885
1,036,273
766,881
7,223
△34,951
△ 161,566
53,903
50,841
△6,774
20,169
△ 1,115
△1,727
△ 462,119
7,223
0
253,047
253,047
18,911,000
18,627,931
△ 283,069
0
0
0
548,793
0
548,793
548,793
0
548,793
純利益
積立金取崩額
総利益
主な増減理由
(注 1)基金助成事業の減
(注 2)固定資産取得の増
(注 3)固定資産取得の増
(注 4)取得資産の減少等
(3)資金計画
区
分
資金支出
業務活動による支出(注 1)
投資活動による支出(注 2)
財務活動による支出(注 3)
翌年度への繰越金
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
文化芸術振興費補助金による収入
公演事業による収入
計画額
26,515,000
24,082,000
888,000
0
1,545,000
26,515,000
24,856,000
10,062,000
3,796,000
3,090,000
252
実績額
53,667,737
41,064,557
7,236,393
223,410
5,143,377
53,667,737
42,239,198
9,874,175
3,791,169
2,715,526
(単位:千円)
増△減
27,152,737
16,982,557
6,348,393
223,410
3,598,377
27,152,737
17,383,198
△187,825
△4,831
△ 374,474
基金運用による収入
1,408,000
その他の収入(注 4)
6,500,000
投資活動による収入
114,000
施設整備費補助金による収入
114,000
その他の収入(注 5)
0
財務活動による収入
0
民間出えん金受入れによる収入
0
前年度よりの繰越金
1,545,000
主な増減理由
(注 1)有価証券、投資有価証券の取得による支出増
(注 2)有価証券の取得、定期預金の預入による支出増
(注 3)リース債務の返済による支出
(注 4)有価証券の償還、投資有価証券の償還による収入増
(注 5)定期預金の払戻、投資有価証券の償還による収入増
1,415,732
24,442,596
6,273,305
55,346
6,217,959
368
368
5,154,866
7,732
17,942,596
6,159,305
△58,654
6,217,959
368
368
3,609,866
2.剰余金
(1) 損益計算の結果、24 事業年度の当期純利益は 548,793 千円である。
(2) 利益が生じた主な理由
[収入支出決算]
① 助成事業において、20,542 千円の収支差増が生じた。その主な内容は次のとおり。
(増要因)
・ 助成事業収入のうち交付決定取消等による過年度助成金返還の増による 12,288 千円の収入増
・ 助成事業収入のうち基金運用収入の 7,861 千円の収入増
・ 助成事業費のうち業務委託費などの業務経費の 9,628 千円の支出減
・ 助成事業費のうち自己財源による人件費の職員給与の臨時特例の影響などによる 9,883 千円
の支出減
(減要因)
・ 助成事業費のうち助成金の減額・要望の取下げの減による 22,000 千円の支出増
② 公演事業において、88,385 千円の収支差減が生じた。その主な内容は次のとおり。
(増要因)
・ 公演事業収入のうち施設使用料関連収入などの 52,120 千円の収入増
・ 公演事業収入のうち共催公演等収入の 3,721 千円の収入増
・ 公演事業費のうち歌舞伎公演、文楽公演などの公演費の 103,362 千円の支出減
・ 公演事業費のうち解説書作成費などの附帯事業費の 51,856 千円の支出減
(減要因)
・ 公演事業収入のうち歌舞伎公演、文楽公演などの劇場入場料収入の 138,577 千円の収入減
・ 公演事業収入のうち解説書収入などの附帯事業収入の 18,426 千円の収入減
・ 公演事業費のうち運営費交付金を財源とする施設整備事業の前年度からの繰越などによる
145,516 千円の支出増
③ 新国立劇場事業において、運営費交付金を財源とする施設整備事業の前年度からの繰越などによ
る 50,334 千円の収支差減が生じた。
④ 一般管理費において、自己都合退職に伴う退職金の 75,780 千円の支出増が生じた。
[損益計算]
⑤ 自己財源等からの資本的支出により 65,657 千円の費用の減となった。
⑥ 自己財源で取得した資産の減価償却により 42,415 千円の費用の増となった。
⑦ 未収収益等の発生により 178,502 千円の収益の増となった。
⑧ 中期目標期間終了に伴う運営費交付金債務残高の収益化により、253,047 千円の収益の増と
なった。
253
3.運営費交付金債務
25 年 3 月 31 日現在における運営費交付金債務残高は 0 円である。
費用進行基準
区分
期首残高/受入額
による振替額
平成 20 年度運営費交付金
25,347
0
平成 21 年度運営費交付金
7,095
0
平成 22 年度運営費交付金
365,762
362,574
平成 23 年度運営費交付金
304,871
210,434
平成 24 年度運営費交付金
9,874,175
9,751,195
計
10,577,250
10,324,203
(単位:千円)
会計基準第 81 第 3
期末残高
項による収益化額
25,347
0
7,095
0
3,188
0
94,437
0
122,980
0
253,047
0
4.積立金の状況
区分
(単位:千円)
期首残高
当期増加額
当期減少額
期末残高
通則法 44 条 1 項積立金
222,471
0
151,668
70,803
前中期目標期間繰越積立金
784,353
0
21,410
762,943
計
1,006,824
0
173,078
833,746
※ 通則法 44 条 1 項積立金の当期減少額 151,668 千円は、前期未処理損失にあてたるため取崩したもので
あります。また、前中期目標期間繰越積立金の当期減少額 21,410 千円は、固定資産の取得によるもので
あります。
5.外部資金の獲得状況(82 件、53,869 千円)
・ 文化庁芸術祭祝典等の受託事業収入(2 件、20,168 千円)
・ 文化庁芸術祭主催公演等における負担金による収入 (13 件、30,421 千円)
・ 芸術文化復興支援基金への募金(57 件、2,912 千円)
・ 芸術文化振興基金に対する民間出えん金 (10 件、368 千円)
6.短期借入金
なし
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
21 年度より文化庁から振興会に移管された文化芸術振興費補助金による助成事業については、トップレ
ベルの舞台芸術等及び映画製作支援として、384 団体に対し 3,567,000 千円の助成を行った。
芸術文化振興基金による助成事業においては、基金管理運用について、安全性を重視するとともに安定
した収益の確保によって継続的な助成が可能となるよう資金内容及び経済情勢の正確な把握に務めた。再
運用に当たっては安定した収入を確保するとともに資産の安全性を重視し、少しでも有利な運用を行える
よう多くの金融機関から情報収集を行った。また、
「芸術文化活動に対する助成制度に関する調査分析事業」
を文化庁から受託し、9,344 千円の受託事業収入を獲得した。
自己財源による公演事業については、国立劇場大小劇場の劇場入場料が予算に比べ実績額が下回り、劇
場入場料収入全体で 138,577 千円の減収となり、また解説書売上等の附帯事業収入についても 18,426 千円
の減収となった。しかしながら、出演者や舞台装置等の公演内容の質を維持しつつ公演費の節減に努めた
ことにより、公演費や附帯事業費において 155,218 千円の支出減とし、また施設使用料収入関連などの
55,841 千円の収入増により、54,058 千円の収支差増となった。なお、運営費交付金等も含めた公演事業全
体では、運営費交付金を財源とする施設整備事業の前年度からの繰越などによる支出増があったため、
88,385 千円の収支差減となった。
また、前年度に引き続き、外部資金の獲得を推進し、公演事業においては「文化庁芸術祭祝典」の受託
事業収入を 10,825 千円、
「文化庁芸術祭主催公演」、
「歌舞伎教室地方公演」
、
「東京発・伝統 WA 感動」等の
共催収入を 30,421 千円獲得した。
施設整備費については、国立劇場おきなわの敷地購入を計画通り実施し、24 年度の購入をもって、全劇
場用地の取得を完了した。なお、24 年度補正予算対象事業については、当初計画から設計内容及び調達計
254
画等を見直す必要が生じたため、翌年度繰越となった。
運営費交付金については、予算に比べ 187,984 千円の収入減となったが、これは、職員給与の臨時特例
による減である。それにともない、人件費の執行にあたっては職員給与の臨時特例の内容を踏まえ適切に
行った。
○ 見直し又は改善を要する点
今後はより一層の劇場入場料、施設使用料の増収を図るとともに、外部資金の獲得を積極的に進め、ま
た、より一層、効率的な予算執行に努め、適切な財務内容の実現を図る。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 資金管理委員会が、運用方針を定めるとともに金融商品、再運用の先等の検討を行っている。利回り
の高い国債が将来償還されると基金運用収入が減少すると考えられる。また、現在の環境下では、満期
まで 20 年を超える資金が長期に固定される商品やリスクのある商品は避けることが望まれるので、今後
はポートフォリオを考慮する必要がある。(①)
・ 東京電力債の一部に約 36%下落したものがあるが減損はしていない。東京電力を含めた電力債約 58
億円については、その運用に十分注意する必要がある。(①)
・ 早急に、有価証券等の減損規程を作成する必要がある。(②)
(振興会評価委員会)
・ 芸術文化振興基金の運用について、世界の経済情勢が不安定かつ厳しい中、安定的な収入を確保した
ことを評価する。今後も、引き続き安全性を第一に、より有利な運用が行われることを期待する。(①)
・ 現代舞台芸術の公演事業のうち、オペラの収支差については、芸術面での質の維持を考慮しつつ、引
き続き改善することが必要であろう。新制作と再演の割合の見直しなど努力は認められるが、さらに舞
台装置のレンタルや共同制作の推進など、改善策について検討すべきであろう。(③)
【対応】
①今後の資金運用の方策
基金の管理運用については、安全性を重視するとともに安定した収益の確保によって継続した助成が可
能となるよう、法人内に設置している資金管理委員会において運用方針を定めるとともに、日頃から金融
機関を通じた情報収集に努め、リスクとリターンを考慮しながら効率的な運用を行っている。
今後も安定した運用収入が得られるよう、運用期間やリスクの検討をより慎重に行い、適切な運用に努
める。
②有価証券等の減損規程の整備の検討
満期保有目的の債券が取得原価に対して時価が著しく下落したときの下落率について、50%程度を下回
る下落率であっても、状況によっては時価の回復可能性がないとして減損処理を要する場合があることか
ら、状況に応じて時価が「著しく下落した」と判定するための合理的基準の整備を検討している。
③オペラ公演の収支改善
限られた予算を有効に活用するため、24 年度については、ベルギー・モネ劇場からのレンタルで「ピー
ター・グライムズ」を上演、25 年度にはフィンランド国立歌劇場からのレンタルで「死の都」を上演する
ほか、バイエルン歌劇場との過去の共同制作作品も再演を予定するなどしており、引き続き舞台装置のレ
ンタルや共同制作の促進に努めたい。
255
その他業務運営に関する事項
Ⅳ
その他主務省令で定める業務運営に関する事項
《年度計画》
Ⅳ 短期借入金の限度額
運営費交付金の受入の遅延が生じた場合、短期借入金の限度額(10 億円)の範囲内で借り入れを行う。
Ⅴ その他主務省令で定める業務運営に関する事項
1 人事に関する計画
(1) 職員の計画的、適正な配置を図るとともに、外部機関との人事交流を適切に進め、多様な人材を確
保・育成する。
(2) 引き続き、職員の能力の向上、意識の改善を図るため、各種研修の実施及び福利厚生の充実を図る。
・ 接遇研修、国語研修等の内部研修を企画・実施する。
・ 会計・人事・国際関係業務等の外部研修に派遣する。
・ 職員の心身の健康の保持増進を図り、業務の能率向上に資する。
2 施設・設備に関する計画
(1) 施設・設備の老朽化への対応、劇場利用者の安全確保及び利便性の向上等のため、長期的な視野に
立った整備計画を策定し、施設・設備に関する計画に沿った整備を推進する。
また、国立劇場本館が開場以来 45 年以上経過していることに鑑み、国立劇場本館長期整備方針検討
委員会における議論を踏まえ、長期的な視野に立った整備方針について検討する。
(2) 国立劇場おきなわの管理運営を適切に実施するため、用地(未購入の土地)について、施設・設備
に関する計画に基づき、関係機関と調整を行い、計画的に購入を進める。
(3) 国立劇場の観劇環境の整備のため、劇場利用者及び外部専門家の意見等を踏まえ、振興会に設置す
る環境整備委員会等において施設・設備の充実、セキュリティの向上等の検討を行い、可能なものは
速やかに実施する。
(4) 中期計画に基づき、オペラ・バレエ演目のレパートリーの蓄積と、舞台装置等の有効活用を図るた
め、舞台美術センター保管棟(D 棟)の整備を計画的に実施する。
3 その他振興会の業務の運営に関し必要な事項
国立劇場おきなわの管理運営については、沖縄芸能・文化の独自性とその伝統を活かし、地方自治体
等地元の協力を得るため、財団法人国立劇場おきなわ運営財団に委託して行う。
また、新国立劇場の管理運営についても、芸術家、芸術団体等の創意、工夫を取り入れるとともに民
間等の協力を得るため、財団法人新国立劇場運営財団に委託して行う。
なお、委託に当たっては、経費削減に資する効果の検証を厳密に行った上で、更に効率化を図るとと
もに、透明性を確保する。
1.人事に関する計画
《実
績》
・ 24 年度は、新規採用の一般事務職員 11 名、中途採用の 58 歳以上を対象(以下「高齢採用」という。
)
とした一般事務職員 6 名、中途採用の任期付職員 1 名を採用した。また、25 年度は、一般事務職員 10
名、舞台技術職員 5 名の新規採用を行うほか、高齢採用の一般事務職員 3 名及び中途採用 1 名を予定
している。
・ 国の機関、国立大学法人等との人事交流を実施し、多様な人材の確保によって組織の活性化を図っ
た。
・ 国立劇場おきなわ運営財団及び新国立劇場運営財団の要請により振興会職員を派遣し、国立劇場お
きなわ及び新国立劇場における円滑な委託業務の実施に資することができた。
(受入)
国の機関及び国立大学法人から出向者の受入(7 人)
新国立劇場運営財団からの出向者の受入(2 人)
(派遣)
国の機関への職員の派遣(5 人)
国立劇場おきなわ運営財団への職員の派遣(3 人)
256
新国立劇場運営財団への職員の派遣(16 人)
・ 新規採用職員を対象とした観客サービス研修・電話マナー研修や、営業部門の職員を対象とした営
業力強化研修、接遇研修を行い、職員の能力を向上させるとともに、顧客サービスの充実を図った。
・ 採用後 3 年以内の職員を対象として公演業務に関する研修を行い、専門的知識の習得と意識の向上
を図った。また、舞台技術部門の若手についても振興会内の技術の継承に努めるとともに外部研修を
積極的に利用した。
・ 全職員を対象として、外部の専門家(江戸東京博物館館長竹内誠氏)を招へいし、その専門分野で
ある江戸時代について講習(職員特別研修)を行い、職員に対する啓発を図った。
・ 振興会の各課に、文書責任者、文書アドバイザーを設置し、研修を実施することで、振興会が作成
する文書における国語標記の適正化を図った。
・ 全職員を対象として、振興会情報セキュリティポリシーに基づき、情報セキュリティの向上を図る
ため、情報セキュリティ研修を実施した。また、パソコン研修の実施についても全職員を対象として
事務作業に必要な知識、技術の習得を図った。
・ 施設整備研修を実施し、施設整備に関し技術的な課題、工事契約等の事務執行についての理解を深
めるとともに、東日本大震災における非構造部材の破損、落下等の被害があったことをふまえ、非構
造部材の耐震性調査、補強対策についての知識、技術の習得を図った。
・ 従前の主任に対するリーダーシップ研修に加え、主事に対するフォローアップ研修を実施し、若手
職員が主体的に業務の中核を担えるように努めた。
・ 経理部門所属職員が講師となり、各課の経理業務を担当している職員に対して、予算作成・収入支
出業務・契約業務等についての経理関係業務研修を実施し、振興会経理業務の適正化を図った。
・ セクシャルハラスメント防止研修・メンタルヘルス研修を行い、これらに起因する問題が職場にお
いて生じることのないよう配慮し、職員の利益の保護及び職務能率を発揮できるように努めた。
・ その他、内部研修や外部研修の積極的な導入を行い、業務に必要な専門的知識の習得に努めた。
・ 心の健康に関する相談窓口は、引き続き、外部専門業者と密に連携しながら電話・メール・面談等
によってプライバシーの保護に配慮し気軽に相談できる環境を整えるとともに、内部ホームページ等
により周知を図った。
・ メンタルヘルスの専門医を平成 24 年度より医務室の医師に委嘱した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 業務に必要な専門的知識の習得、職員の能力の向上、意識の改善を図るため、新規の研修を実施す
るなどして内部研修を一層充実させた。
・ メンタルヘルスの専門医を 24 年度より医務室の医師に委嘱することで、職員の心身の健康の保持増
進のための体制の整備を進めることができた。
2.施設・設備に関する計画
《実
績》
1. 施設整備費補助金による施設・設備の整備等
○国立劇場等施設整備
・ 新国立劇場エスカレーター設置工事 56,200 千円
○国立劇場おきなわの敷地購入(平成 24 年度の購入をもって、全劇場用地 24,000 ㎡の取得を完了)
・ 国立劇場おきなわ土地購入 55,347 千円
2.運営費交付金による施設・設備の整備等
・ 国立劇場屋外便所等新営工事 35,123 千円
・ 国立劇場本館給水設備(受水槽)改修工事
24,823 千円
・ 国立劇場小劇場舞台機構制御盤機器改修工事 14,175 千円
・ 国立演芸場1・2階便所等増築・改修工事
69,300 千円
・ 国立演芸場吊物機構改修工事 83,769 千円
・ 国立文楽劇場 1・2・3 階ロビー内装改修工事 51,861 千円
・ 国立文楽劇場小ホール吊物機構改修工事 33,075 千円
257
・ 新国立劇場舞台美術センター保管棟新営工事 603,225 千円(総契約額)※23 年度及び 24 年度の
2 ヶ年で整備
3.長期的な視野に立った整備方針の検討
・ 「環境整備委員会」に作業部会を設け、
「国立劇場本館長期整備方針検討委員会」の報告を踏まえ、平成
29 年度に着手予定の大規模改修までの間に必要な整備事項を整理した。また、同部会で本館大規模改修
について検討を開始し、隼町地区全体の建替えも視野に入れての検討とすることを確認し、具体的な検
討体制を立ち上げた。
【特記事項】
・ 舞台美術センター保管棟 D 建設工事について
新国立劇場は、オペラ、バレエのジャンルにおいては、蓄積された演目をレパートリーとして再演
し、新制作の演目とともに年間のプログラムを構成するという公演方式をとっており、現在、レパー
トリーとしてふさわしい演目の充実に努めている。これらの舞台で使用する大道具等を効率的に、保
管・運用するための保管棟の増設が求められてきた。23 年度に建設工事等について総合評価方式によ
る入札を行い、施工業者を決定した。引き続き建設工事に着手し、24 年 9 月に竣工した。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 地球温暖化対策の推進のため、こまかな点灯等の調整を可能とする本館大・小ロビー照明スイッチの改
修の実施や、白熱灯の LED 化等の工事を実施し、安定的・効率的な設備の整備を行った。
・ 本館の屋外便所・喫煙室整備や大・小ロビー便所の和式便器の洋式化、演芸場の 1・2 階来場者用便所整
備により、鑑賞環境の向上ができた。
・ 飲料用水を隼町地区全体に配水している受水槽を地下式から地上式とし、より衛生的な飲料用水とし
た。
・ 本館の長期整備計画案を踏まえ、大規模改修工事について具体的な検討を開始した
・ 文楽劇場では 1・2・3 階ロビー内装改修工事を行い、来場者への利用環境の整備をした。特にロビー内
の案内表示類について、統一性のある分かりやすいデザイン・表現に留意したものに改めた。また計画
的に老朽化した施設・設備を改修、安全性を高めた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 平成 29 年度より大規模改修を実施することを前提に、建替えも視野に入れた具体的な課題の検討を推
進するとともに、施設・設備の老朽化の状況や劇場の利用計画を踏まえつつ、安全性・快適性・効率性・
サービスの向上の観点から整備計画を見直し、緊急に必要な整備を行う。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 今後の人事管理については専門性の確保を望みたい。(①)
(振興会評価委員会)
・ 振興会において、既に人員削減は限界に近く、今後更に拡大となれば、職員間の知識・技術の伝承や、
職員の年齢構成に問題が発生する恐れがある。また、人事異動について、経験が生きるような人員配置
にしないと、振興会らしい職員育成にもつながらない。劇場間の異動や配置転換も、効率性のみで判断
しないよう十分留意が必要である。(①)
【対応】
①人件費削減への対応・職員の専門性の確保
専門性の確保、人件費の抑制及び人員配置の適正化の推進のため、専門的な知識経験を有する者を当該
専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させる場合における任期付職員採用制度を 24 年度から導入
した。この制度により、24 年 4 月に調査研究に関する業務に携わる職員 1 名を採用した。引き続き、各職
員の適性を把握し、各部門の専門性の確保にも配慮した人事異動を行い、人員配置の一層の適正化に努め
る。
各事業について専門性の高い職員を育成するため、引き続き採用後 3 年以内の職員を対象として公演業
務に関する研修を行い、舞台技術部門の若手職員についても振興会内の技術の継承に努めるとともに外部
研修も活用する。また、広い識見と高度の実務能力、並びに語学力の育成を図るため、文部科学省国際業
258
務研修制度を利用し、職員 1 名を研修生として参加させた。24 年 1 月には、職員特別研修として、外部の
専門家(江戸東京博物館館長 竹内 誠 氏)を招へいし、その専門分野についての講習を実施した。
人件費に関して、国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、
「国家公務員の給与の
改定及び国家公務員の給与の臨時特例に関する法律」
(24 年法律第 2 号)が成立し、独立行政法人の役職
員の給与については、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずるよう要請された。振
興会においてもこの要請に基づき、国家公務員の給与見直しに準じ 24 年 3 月 1 日から人事院勧告を踏まえ
給与を改定し、24 年 4 月 1 日から 26 年 3 月 31 日までの間、臨時特例により役職員の給与を減額して支給
する措置を講じることとした。一方、職員の士気を高めるため、勤務成績に応じた勤勉手当の支給、昇給
を行っているが、人件費削減によって人員が抑制される状況は引き続いており、独立行政法人改革の進展
の中でこの状況を好転させる必要がある。
3.運営委託(国立劇場おきなわ・新国立劇場)
《実
績》
1.国立劇場おきなわ運営委託(公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団)
(1) 委託契約の状況
24 年 4 月 1 日付けで、24 年 4 月 1 日から 25 年 3 月 31 日までの組踊等沖縄伝統芸能に係る業務及び劇
場の管理運営に関する業務委託契約について 612,462,000 円を限度として締結した。委託費の確定額は
610,162,000 円である。
(2) 委託内容
① 沖縄伝統芸能等の公演
② 組踊(立方・地方)伝承者の養成
③ 沖縄伝統芸能に関して調査研究を行い、また資料を収集し、利用に供すること
④ 劇場施設を沖縄伝統芸能の振興又は普及を目的とする事業その他のための利用に供すること
⑤ 劇場施設の管理運営
⑥ 附帯する業務
(3) 運営に関する協議及び報告の状況
① 業務委託に関係する規程の改正を協議(施設使用規程等の一部改正について)
② 業務委託契約の変更、収支計画の変更を協議
③ 各四半期終了後に受託業務状況報告書を受領
④ 委託期間終了後に受託業務実績報告書を受領
⑤ 劇場施設(固定資産)取得報告書兼引き渡し書を受領
(4) 運営委託の方針・連絡体制の整備等
・ 財団の業務内容が振興会の年度計画に従い効率的に実施され、かつ成果が挙がるよう、23 年度に引
き続き東京における職員の研修を実施した。
・ 運営財団の業務が業務委託契約書に定める事業計画書及び収支計画書に沿った形で実施されている
ことについて、意見交換や受託業務状況報告書により、検証を行っている。また、財団の理事会、評
議員会には常に振興会職員が出席するなど、連絡体制の強化に努めている。
(5) 効率化状況等
① 効率化状況等
・ 委託費の状況
(単位:千円)
年度
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
金額
681,219 665,836 617,157 616,640 610,162
前年度比
99.9%
97.7%
92.7%
99.9%
98.9%
② 委託先における業務の効率化等
ア 効率化に関する取組み
a. 事務手続きの簡素化
決裁書類については、合議を最小限にとどめ、事務手続きの簡素化を行った。
b. 外部委託の推進
入札公告などは劇場敷地内に掲示するとともに、ホームページで競争入札参加に必要な公示
(資格・競争参加資格有資格者一覧・入札情報を含む入札公告等)を掲載し、引き続き入札機会
259
の拡大を図った。
c. 省エネルギー、リサイクルの推進
光熱水量の削減について、前年度に引き続き以下のことを行った。
・ 公演スケジュールの管理や劇場内の状況(人数)等を把握しながら空調機器の効率的な運用
を図り、電力量を節減した。
・ 夏季の軽装勤務奨励及び冷暖房の抑制を行った。
・ ペーパーレス化について、会議資料等の両面コピー及び両面印刷を実施している。
事
項
光熱水量
廃棄物
ペーパーレス化
区
分
使用量/処理量
対前年度増減
電気使用量
ガス使用量
水道使用量
一般廃棄物
2,336,882kwh
18,670 ㎥
5,903 ㎥
△2.5%
△21.2%
△22.9%
1,850kg
77.9%
産業廃棄物
390kg
225.0%
656,781 枚
675,000 枚
3.7%
82.7%
コピー枚数
用紙購入枚数
イ
組織名称の変更
24 年 4 月 1 日、公益財団法人への移行を完了したが、新法人制度の下では、機関運営の在り方も
変更を求められることとなった。6 月理事会・評議員会については、法律上の要請により、理事会
及び評議員会の間に期間を空けて開催した(それぞれ 6 月 19 日及び 6 月 28 日に開催)
。また、次
年度の事業計画・予算のための 3 月理事会・評議員会については、それぞれ 3 月 12 日、3 月 19 日
に開催した。
ウ 情報開示の推進
公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団の業務及び財務等に関する情報を開示するため、ホーム
ページにより以下の情報を公開している。
定款・役員名簿・事業報告書・正味財産増減計算書・貸借対照表・財産目録・事業計画書・
収支予算書・委託に係る事業概要・組織図・事務分掌
【特記事項】
・ 国立劇場おきなわ 8 月定期公演組踊「姉妹敵討」は、台風 15 号接近のため、当初計画 2 回のうち 1
回を中止した。
・ 国立劇場おきなわ 9 月定期公演組踊「二童敵討」は、台風 17 号接近のため、計画 1 回公演を取り止
めた。
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 振興会の担当役員及び担当職員が国立劇場おきなわに出向き、国立劇場おきなわ運営財団の理事会・
評議員会や自主公演・養成研修等事業の状況を把握するとともに、財団職員が振興会において事業報告
等を行うなど、常に振興会と財団の間で連携を図った。
・ また、振興会、県、財団それぞれの間で、人事交流や事業について積極的な意見交換の場が持たれた。
特に 24 年度は、県文化観光戦略推進事業を実施するための協力依頼があった。
・ 財団への業務委託において、主たる業務である公演事業、劇場施設の管理運営等と直接的な関係が少
ないと思われる光熱水量について、23 年度に引き続き振興会が供給業者と直接契約し、国立劇場おきな
わでの光熱水量を管理した。
・ 23 年度に振興会で 1 年間研修していた職員が財団に戻り、24 年度から業務を行っているが、振興会の
各部署とのつながりができ、業務上の意見交換がより円滑になった。
・ 24 年 4 月 1 日から公益財団法人へスムーズに移行できた。
・ 25 年 2 月 11 日に国立文楽劇場において、第 2 回県外講演(琉球伝統芸能鑑賞と講演)を実施した(整
理券配布 150 名、当日入場者 123 名)
。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 運営委託費が削減される厳しい財政状況の下で、一般競争入札等による節減を図り、より効果的な業
務の運営を図る。
260
2.新国立劇場運営委託(公益財団法人新国立劇場運営財団)
(1) 委託契約の状況
24 年 4 月 1 日付けで 24 年 4 月 1 日から 25 年 3 月 31 日までの現代舞台芸術の公演等及び劇場の管
理運営に関する業務委託契約について 4,017,840,000 円を限度として締結した。委託費の確定額は
3,977,840,000 円である。
(2) 委託内容
① 現代舞台芸術の公演
② 現代舞台芸術の実演家その他関係者の研修
③ 現代舞台芸術に関して調査研究を行い、資料を収集し、利用に供すること
④ 劇場施設を現代舞台芸術の振興又は普及を目的とする事業その他のための利用に供すること
⑤ 劇場施設の管理運営
⑥ 附帯する業務
(3) 運営に関する協議及び報告の状況
① 業務委託契約に関する規程の改正を協議(規程の一部改正について)
② 各四半期終了後に受託業務状況報告書を受領
③ 委託期間終了後に受託業務実績報告書を受領
④ 固定資産取得報告書及び不要通知書を受領
(4) 運営委託の方針・連絡体制の整備等
運営財団の業務が業務委託契約書に定める事業計画書及び収支計画書に沿った形で実施されている
ことについて、定期及び随時に行う業務に関する意見交換や受託業務状況報告書により、検証を行っ
ている。また、財団の主要な会議には常に振興会職員が出席するなど、連絡体制の強化に努めている。
(5) 効率化状況等
① 効率化状況等
・ 委託費の状況
(単位:千円)
年度
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
金額
4,876,603
4,810,055
4,306,857
4,013,428
3,977,840
96.5%
98.6%
89.5%
93.2%
99.1%
前年度比
②
委託先における業務の効率化等
効率化に関する取組み
a. 情報システムの活用
・ 公益財団法人への移行にあたっては、運用の工夫により各システムの改修範囲を最小限に抑えた
ことで、低コストかつ迅速に対応することができた。
・ 次期総合情報システム更新に際し、各個別システムについても最適化を行い、シンプルで低コス
トな構成となるよう仕様を工夫した。
・ 24 年度で使用開始から 17 年目を迎えた業務支援システムについて、現行システムの利用契約が
切れる平成 25 年 7 月を前に、公募プロポーザル方式により更新業務の調達を行った。調達の仕様決
定は、外部専門家の協力を得、現行システムの詳細な調査、職員へのインタビュー、最適化プラン
の策定及び市場の調査を経て行った。これにより、新システムにおいては大幅な事務の効率化が実
現する見込みとなった。平成 24 年 7 月に更新を担当する事業者と契約し、24 年度中に設計・開発
業務の主要部分について実施することができた。
・ 劇場内ネットワーク基盤の更新について、現行基盤の利用契約が切れる平成 25 年 7 月を前に、入
札により更新業務の調達を行った。調達の仕様には、外部専門家の協力を得、通信速度の向上、利
用者のセキュリティレベル別認証機能や、最新の脅威防御機能、先進的かつ柔軟な内部統制機能等
を盛り込み、より高速で業務効率の向上に資する IT 環境を実現できる見込みとなった。平成 25 年
3 月に更新を担当する事業者と契約し、設計業務を行っている。
・ 端末パソコン、周辺機器について、現行機器の利用契約が切れる平成 25 年 7 月を前に、調達に向
けての準備を行った。調達の仕様決定に向けて、外部専門家の協力を得、最新機器に関するスペッ
クの研究、市場の調査を行った。職員へのアンケート、デモ機を用いた操作感の確認などを行い、
ア
261
職員毎の業務に最適な機器を調達できるよう、仕様の検討を行った。
・ 公式ウェブサイトの利用契約が切れる平成 25 年 7 月を前に、簡易公募プロポーザル方式により更
新業務の調達を行った。公募仕様の決定にあたって、外部専門家の協力を得、現行ウェブサイトに
関する次の検証を行った。最新のコンテンツ管理機能、スマートフォンなど最新デバイスへの対応、
SNS への対応、脅威防御機能、コンテンツ更新体制の構築等を盛り込み、近年進歩の著しいこの分
野に十分対応できる公式ウェブサイトを導入できることとなった。
・ 情報セキュリティへの対策として、メールサーバーに、送信ドメイン認証を導入し、なりすまし
メールに対する対策強化を図った。最近増加している標的型攻撃への対策として、役職員への注意
喚起を定期的に行っている。
・ 財団内のサーバー及び全てのパソコンについて適宜 OS アップデートを行い、最新の機能を利用で
きる環境の提供と、システム全体のセキュリティレベル向上の双方を実現させた。
・ 現代舞台芸術情報システムを充実するために 23 年度より本格稼働を開始した VOD システムについ
ては、公演記録映像がハイビジョン化された 2010/2011 シーズン以降のコンテンツの登録を充実さ
せ、観客に最新の美しい舞台映像を提供することができた。
・ 23 年度からインターネット上の動画公開 Web サービス Ustream を利用してきたが、24 年度も引き
続き記者会見等各種イベントの中継を行い、内外に財団の活動をアピールすることができた。さら
にアクセス数の多い YouTube にも新国立劇場チャンネルを設置し、継続的に動画の公開を行って宣
伝・広報活動に役立てている。
b. 事務手続きの簡素化
・ 営業部の組織変更にあたっては、旧組織の枠組みを活用することにより、業務にほぼ支障を来す
ことなく迅速に対応することができた。
・ 21 年度より導入した人事給与システムについて、24 年度の復興特別税導入に対応した改修を早
急に実施したことにより、制度変化に柔軟に対応することができた。
c. 随意契約の見直し及び外部委託の推進
外部委託のうち、委託業務について 23 件、物品の製造、販売、工事等 11 件の合計 34 件につい
て一般競争入札による契約を行った。このうち 11 件について総合評価落札方式を行っている。他
に簡易公募型プロポーザル方式による契約が 2 件、
随意契約事前確認公募による契約が 1 件あった。
d. 省エネルギー、リサイクルの推進
光熱水量については、地域冷熱(冷水、蒸気)が大きなウエイトを占めるが、地域冷熱の使用量
の節減に努め、基本料金(契約量)の低減につなげている。地球温暖化対策計画においても、省エ
ネルギー対策を目標以上に実施している。
事
項
光熱水量
廃棄物
ペーパーレス化
区
分
使用量/処理量
電気使用量
ガス使用量
水道使用量
一般廃棄物
対前年度増減
6,420,549kwh
4,769 ㎥
14,509 ㎥
4.3%
△3.5%
3.4%
67,303kg
4.9%
再利用廃棄物
38,565kg
8.7%
産業廃棄物
22,029kg
0.5%
コピー枚数
1,310,983 枚
△12.1%
用紙購入枚数
2,745,000 枚
△10.4%
イ 給与水準の適正化等
・ 新国立劇場運営財団の職員給与については、振興会職員給与規程に準拠した規程を整備し、適正
に執行している。
・ 国家公務員の給与見直しに対応する振興会の措置に準じ、平成 24 年 4 月 1 日から平成 26 年 3 月
31 日までの間、臨時特例により役職員の給与を減額して支給する措置を実施している。
・ 民間における退職給付の実情に鑑み退職手当の引き下げを行うことを内容とする国家公務員の退
職手当制度の改正に対応する振興会の措置に準じて、必要な措置を実施した。
ウ 組織機構の変更
・ 平成 24 年 4 月 1 日、公益財団法人への移行を完了したが、新法人制度の下では、機関運営の在り
方も変更を求められることとなった。
262
・
前年度の事業報告・決算のための 6 月理事会・評議員会については従来同日に行っていた
が、法律上の要請により、理事会及び評議員会の間に期間を空けて開催した(それぞれ 6 月 6
日及び 6 月 21 日に開催)
。
・ 次年度の事業計画・予算のための 3 月理事会・評議員会については、定款上、評議員会の
開催が義務づけられなくなったため、懇談会という形式で評議員からの意見集約を行うこと
とした(3 月 13 日に理事会と同日開催)。
・ 財団事務局組織においては、営業部の体制の大幅な見直しを行い、平成 24 年度から、劇場支配人
を中心に観客対応の充実を図る公演事業課、チケット販売等の営業活動に特化した営業課、会員組
織の運営や宣伝活動等を担う観客サービス課の 3 課体制とすることによって、これまで以上に機動
的かつ効率的に機能する営業部を目指すこととした。
エ 情報開示の推進
・ 公益財団法人新国立劇場運営財団の業務及び財務等に関する情報を開示するため、ホームページ
により以下の情報を公開している。
定款・役員名簿・事業報告・収支計算書・正味財産増減報告書・貸借対照表・財産目録・
事業計画・収支予算書・目的・事業・組織・入札情報
《自己点検評価》
○ 良かった点・特色ある点
・ 今年度は、業務支援システム、劇場内ネットワーク基盤、公式ウェブサイト、端末パソコンといった、
新国立劇場総合情報システム全体の大規模な更新に当たった。いずれの分野においても、外部専門家を
まじえ、詳細な調査を行ったうえ、その結果をふまえた仕様により調達を実施することができた。また、
仕様の決定に当たっては、現場の職員にも積極的に意見を求めた。これらのことから、次期システム更
新後はさらに一層の効率化が進む見込みである。
・ 調達にあたっては、事業者間の競争を促進し、より高い水準の技術を低コストで得ることを目標とし、
従来、IT システム全体の一括調達であったものを、適切に分割し、新規事業者が参入しやすいようにし
た。既に調達が終了した分野については、目標通りの成果を出すことができたと考える。また、調達仕
様や契約の作成にあたっては、
「情報システムに係る政府調達の基本指針」
(平成 19 年度総務省)に準拠
し、公正かつ適正コストを実現できた。
・ 法令等により対応が強く求められているメンタルヘルスケア及びセクシャルハラスメント防止に関し、
財団主催の内部研修として、19 年度以降毎年実施し、23 年度までにほぼ全職員が受講した。24 年度か
らは、メンタルヘルス研修では専門員以上の職員を対象としたラインケア研修を行い、ラインケアの基
礎知識及び管理監督者としての役割と対応をワークショップやディスカッションを通して考え学び、共
通の認識を持つことができた。ハラスメント研修は、係長以下の職員を対象とし、セクハラだけではな
くパワハラ、モラハラの違いの確認や、事例研究を通じて、予防の観点から職場のコミュニケーション
の重要性を学んだ。いずれもグループ討議の手法により、実効性の高い研修となった。外部研修では、
舞台技術者の研修、Facebook の活用など、実践的ですぐに役立つ研修の機会を提供できた。
・ 一般競争入札等の推進により外部委託の効率化が図られた。従来随意契約であったシステム関連の調
達を今年度と来年度にかけて総合評価落札方式や簡易公募型プロポーザル方式等で行うこととした。1
社応札について、次年度に向けた入札において従来 1 社応札であったところに新規参入があった。引き
続き、仕様や公示方法の見直しを行い、競争を活性化させたい。
・ 光熱水量については、地域冷熱(冷水、蒸気)が大きなウエイトを占めるが、地域冷熱の使用量の節
減に努め、基本料金(契約量)の低減につなげた。24 年度の電気、水道の使用量が前年度に比し増加し
たのは、東日本大震災による影響が少なくなって公演が平準化したためである。地球温暖化対策計画に
おいては、省エネルギー対策を目標以上に実施できた。
○ 見直し又は改善を要する点
・ 新国立劇場総合情報システム全体の更新について、入札、公募などで調達が終了した案件についても、
実際の稼働を問題なく迎えられるよう、設計、開発、テストなどを円滑に進めるよう、引き続き努力す
る必要がある。平成 25 年 8 月に新国立劇場総合情報システム全体が更新された後も、継続的に業務の効
率化ができるよう、IT の利用法について研究していく必要がある。
・ 開場以来継続して使用している光ファイバー等のインフラについては、老朽化が進んでおり、中長期
263
的な計画のもと更新を行う必要がある。
・ 一般競争入札等による外部委託を推進しているが、価格競争だけでは業務の質を十分担保できない問
題が見受けられたので、公募の導入など調達方法の多様化によって対応したい。
・ 省エネルギー、リサイクルの推進について、職員への啓発活動や協力要請を重ねて行う。
《23 年度評価への対応》
【評価】
(文科省評価委員会)
・ 継続的に効率的な運営を実施していると思われるが、更なる効率化が望まれる。(①)
・ 新国立劇場運営財団においては、24 年 4 月 1 日からの公益財団法人への移行により、さらなる公益性
の確保が望まれる。(①)
(振興会評価委員会)
・ 新国立劇場運営財団への業務運営委託に関しては、その必要性、妥当性、透明性について、更に一般
の理解が得られるよう努力が必要である。(①)
・ 国立劇場おきなわは、まもなく開場 10 周年を迎えるが、今後より一層の発展を遂げるためには、実演
家たちとの協力関係を維持し、また劇場運営のノウハウを身に付けた職員を育成する必要があるだろう。
(①)
・ 「国立劇場おきなわ県外講演(琉球舞踊講演と芸能鑑賞)
」を初めて実施したことは、良い取組であり、
さらに研修修了生が参加したことを併せて評価する。今後の継続と拡充を望む。(①)
・ 同じ国立の名を冠する劇場同士の交流が深まることは我が国の看板劇場であるところからも好ましい
取組であろう。振興会と両財団の、更に効果的な協力関係を進め、事業成果に反映されることを期待す
る。(②)
・ 国立劇場おきなわにおける文楽公演の実現と、現地での普及活動を評価する。これを契機として、国
立文楽劇場と国立劇場おきなわは、首都圏以外という同じ立地条件で、地元の芸能を上演している共通
点もあるので、両館による情報交換の場を設けてはどうだろうか。(②)
【対応】
①一層の効率的な運営・公益性の確保
国立劇場おきなわ運営財団は、24 年度から公益財団法人へ移行しており、これまで以上に公益性の確保
及びより効果的で効率的な運営に努める。今後も職員の部内研修の実施、振興会、沖縄県や民間等が主催
する研修への職員の参加を促進すること等により、劇場運営のノウハウを身につけた職員の育成を図って
いく。また、23 年から県外講演を実施しており、同年度は神奈川県、24 年度は大阪府で行い、25 年度に
は愛知県での開催を予定している。
新国立劇場運営財団においては、更に効率的な運営のため、今後とも広範な措置を講じていく。
情報システムの活用については、劇場開設当初より業務の IT 化に努め、随時、劇場内 IT システムに改
良を加えてきたが、24 年度で現行 IT システムの使用開始から 17 年目を迎えることを踏まえ、25 年 7 月
には最新の技術を用いた抜本的な再構築を行うことを目指している。再構築の調達にあたっては、事業者
間の競争を促進し、より高い水準の技術を低コストで得ることを目標としており、従来は IT システム全
体の一括調達であったものを、適切に分割し、新規事業者が参入しやすいようにすることで、経費の削減
を図っている。
また、情報システムを活用した情報発信機能についても、同様に抜本的な再構築を行う予定で、近年著
しい、クラウドコンピューティングの発展やソーシャルネットワークサービス(SNS)の伸長に対応する
IT 情報発信基盤を整備することにより、財団の広報活動、営業宣伝活動を一層円滑に、効果的に行えるよ
うにすることを目指している。また、上記再構築にあたっては、現場の職員と議論を重ね、意見を広く取
り入れることにより、業務の実情に合わせたシステムの構築を目指しており、事務手続きの簡素化にも資
すると考えている。
組織体制の見直しについては、23 年度に新設された総合企画室と国際連携協力室が機能しているほか、
24 年度には営業部の組織体制を大幅に見直すことで、入場料収入の増と顧客サービスの充実という劇場の
直面する課題に対応できる体制を整えており、ねらいどおり、機動的かつ効率的に機能し始めている。効
率的な運営に向け、今後も不断の見直しを行っていくこととする。
新国立劇場運営財団は、24 年度から公益財団法人へ移行しており、これまで以上に公益性の確保及びよ
り効果的で効率的な運営に努める。
264
②振興会と財団の協力関係の推進
国立劇場おきなわでは、20 年度から本館と共催で琉球芸能公演を東京と沖縄の両劇場で上演しており、
24 年度は、歌舞伎俳優の坂東玉三郎の主演による新作組踊「聞得大君誕生」を制作上演した。今後は地元
の芸能を上演するという共通点のある国立文楽劇場と、25 年 2 月に県外講演を開催したことを端緒として
情報交換を行っていく。毎年の財団職員の振興会における研修については、業務への相互理解、協力体制
の推進に効果的であり、引き続き人数、期間などを調整し、実務的な研修に主眼をおいて実施していく。
新国立劇場では、振興会との協力関係を推進しており、人事交流に関しては、財団設立当初より振興会
から財団への職員派遣が行われ、また、財団から振興会への職員派遣も 19 年度より行われており、両劇
場職員間のノウハウの共有や相互理解が進められてきた。今後も更なる人事交流の充実が望まれるが、短
い派遣期間で職員が交代することにより職場にノウハウ・経験が蓄積されていかないことや、財団で新卒
職員の採用を長期間できなかったことから、振興会への派遣対象職員を見出しにくくなっていることなど
の課題もある。
営業活動に関しては、国立劇場の歌舞伎公演と新国立劇場主催公演の「ダブル観劇キャンペーン」のほ
か、新国立劇場の公演が行われていない期間の団体申し込みに対する国立劇場の歌舞伎公演の紹介、国立
劇場との団体営業先の情報交換などを行ってきたが、これまで以上に、相互に観客を確保するべく情報共
有を推進させていきたい。
研修事業に関しても、現代舞台芸術分野のオペラ、バレエ、演劇について研鑽を積む研修生と、日本の
伝統芸能分野の研修生の交流は、互いの芸術特性を知り自らの芸術を高めるためにも大変意義が深く、現
在は年一度の五館合同特別講義や、互いの劇場の公演観劇等を行っているが、今後も交流の幅を広げるよ
う検討を行いたい。
265
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