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肺クリプ トコッカス症の臨床的検討 - 感染症学雑誌 ONLINE JOURNAL

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肺クリプ トコッカス症の臨床的検討 - 感染症学雑誌 ONLINE JOURNAL
352
肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の臨床 的検 討
京 都 呼 吸器 真 菌 感染 症 研 究 会,1)国 立 療 養 所南 京 都 病 院呼 吸 器 科,2)倉 敷 中央 病 院 内科
3)神戸 市 立 中 央市 民 病 院 呼吸 器 内 科
,4)天 理 よ うつ相 談 所 病 院呼 吸 器 内科
5)日赤和 歌 山 医療 セ ンタ ー呼 吸 器 科
,6)京 都 大 学胸 部 疾 患 研究 所 呼 吸 器感 染 症 科
倉 澤
卓 也1)池
田
宣 昭1)佐
藤
敦 夫1)井
上
哲 郎1)
石 田
直2)岡
崎
美 樹3)種
田
和 清4)西
山
秀 樹5)
鈴 木 雄 二 郎5)網
谷
良 一6)久
世
文 幸6)
Key
words
:
(平成9年11月20日
受 付)
(平成9年12月16日
受 理)
cryptococcosis,
要
pulmonary
infection
旨
肺 の ク リプ トコ ッカス症(肺 ク症)の 早 期診 断 のた めの要 点 を検 索 す るた め,肺 ク症 の患者32例(男
性20例,女 性12例,平 均 年齢53歳)を 対象 に,そ の臨床所 見 お よび画像 所見 を検 討 した.肺 ク症 の発症
に影 響 した可 能性 の あ る各種 の既 往 ・合併症 を有 す る症例 は14例 で(HIV感
染例 はない),18例 には これ
らの既往 ・合併 症 はない.発 見動 機 で は,有 症状 受診 例 は18例で,そ の症状 は概 して軽度 で あ ったが,
胸 痛 の頻 度が やや 高 い事 が注 目され る.入 院時検 査所 見 で は,重 症 例 や合併 症 の病態 を反 映 して,一 部
に炎 症所見 や 栄養状 態 に異常 も認 め られ たが,異 常 値 を呈 す る例 は少 な く,異 常所見 の乏 しさが む しろ
注 目 され る.胸 部 単純X線
所 見で は,多 発 陰影 が約2/3を 占め,多 くは限局 性 の結節様 ・
浸 潤様 陰影 を呈
した.空 洞 は10例 に,肺 門部 リンパ節 腫大 は3例 に認 め られ た.そ の分 布 は ほぼ各肺 葉 の容積 を反 映 し
て お り,間 質 性肺炎 像 の1例 と多 葉 に広が る区域 性浸 潤影 の2例 を除 き,病 巣 の広が りは軽 度 で あった .
胸 部CT像
で は,病 巣 は多 く胸 膜 近傍部 にみ られ,一 部 は胸 膜 に接 す る.空 洞壁 は整 で,そ の壁 は厚 く,
多 く遍 在性 で あ った.ま た,3例
で は陰影 内 に気 管 支透豪 像 も認 め られた.
肺 ク症 は径気 道 的 に感 染 し,多 く慢性 的 に経過 す る.以 上 の臨床 像 ・画像 の特徴 を考慮 し,本 症 も念
頭 に,慎 重 に検 査計 画 を立 て る事 が肝 要 と思わ れ る.
序
膜 炎 発 症 例 の予 後 は良 好 で は な く3)4),早期 診 断 が
文
肺 の ク リ プ ト コ ッ カ ス 症(肺
rnunocompromised
host"の
者 も発 症 す るCryptococcus
ク 症)は,"im-
み な ら ず,時
neoformansに
本 症 の 早 期 診 断 の 要 点 を検 討 す る 目 的 で,京 都
よ る肺
呼 吸 器 真 菌 感 染 症 研 究 会 に登 録 され た 肺 ク症 患 者
の 真 菌 感 染 症 で あ り1),そ の 診 断 の 糸 口 と な る 画
像 所 見 は 多 彩 で,肺
望 まれ る肺 感 染 症 疾 患 の ひ とつ で あ る.
に健 常
を対 象 に,そ
癌 や 肺 結 核 症 な ど との 鑑 別 診
断 に 苦 慮 す る事 も 稀 で は な い2).ま た,肺
の単独感
染 例 の 予 後 は 一 般 に 良 好 と さ れ て い る が,特
に
"immunoco
mpromised
host"に
合 併 しや す い髄
別 刷 請求 先:(〒610-0113)京
都 府城 陽市 中芦 原11
対象 および方法
1990年 よ り1996年 の7年
8施 設 で,肺
卓也
間 に研 究 会 に参 加 す る
ク リプ トコ ッ カ ス症 と診 断 され た20
歳 か ら77歳 まで の男 性20例,女
性12例(平
53歳)の 計32例 を対 象 とし(Table
像 をretrospectiveに
国 立療 養 所 南京 都 病 院 呼吸 器 科
倉澤
の臨 床 像 を検 討 した.
2例 で,30例
1),そ
均 年齢
の臨床
検 討 し た.髄 膜 炎 合 併 例 は
は肺 に 限局 した 症 例 で あ る.そ の 主
感 染 症学 雑 誌
第72巻
第4号
353
肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の臨 床 的検 討
Table
* (1)
mean
1
with
Profiles
cryptococcal
age•}SD
Table
of Pulmonary
2
meningitis
Table
Cryptococcosis
, ** (1)
with
3
Main
Laboratory
Findings*
pleurisy
; 53•}19y.o.
Past
History
and
Underlying
Disorders
*A/B: A is No , of case, B is No, of tested cases
**Ma -R : Tuberclin skin test
結
果
1. 発 見 動 機 及 び 自覚 症 状
合 併 症 な し群 の18例 の発 見 動 機 は検 診9例,有
症 状 受 診9例
で あ り,合 併 症 あ り群 の14例 で は,
検 診2例,他
疾 患 治 療 中3例,有
症 状 受 診9例
で
あ る.有 症 状 例 の 主 な 自覚 症 状 は,咳 嗽8例(合
*COPD
with
Mycobacteriosis
: Chronic
Obstructive
併 症 な し4例,合
pulmonary
Disease
M. gordonae
with
Mycobacteriosis
due
to
3例),喀
併 症 あ り4例),胸
痰4例(合
例(合 併 症 あ り3例),血
な診 断 根 拠 は,菌 培 養 陽 性16例,組
抗 原 陽 性12例,抗
体 陽 性4例
み の 陽性 例 は3例,組
織 診 陽 性21例,
で あ り,う ち 抗 原 の
織 診 の み の 陽 性 例 は7例 で,
痰1例(合
併 症 な し1例)
の 呼 吸 器 症 状 や 発 熱7例(5例,2例),倦
例(2例,1例)の
吸 困 難3
怠 感3
全 身 症 状 で あ り,一 部 の重 症
例 を 除 き,自 覚 症 状 は一 般 に軽 く,非 特 異 的 な も
の で あ った が,胸 痛 を訴 え る症 例 が 比 較 的 多 い 点
22例 は複 数 の検 査 法 で 陽性 所 見 が 得 られ た.
個 々 の既 往 症 や 合 併 症 の 本 症 発 症 へ の 影 響 に つ
い て,そ
痛7例(4例,
併 症 あ り4例),呼
の軽 重 を斜 酌 す る事 は不 可 能 で あ る が,
は後 に 述 べ る病 巣 の 局 在 部 位 との 関 連 で 注 目 され
る.
便 宜 上,既 往 に肺 結 核 症 を有 す る3例
と局 所 的 或
2. 入 院 時 の 主 な臨 床 検 査 所 見(Table
い は全 身 的 な 合 併 症 を有 す る11例(副
腎皮質 ステ
主 な 臨 床 検 査 の う ち,貧 血 の 有 無,末 梢 血 白血
ロイ ド薬 投 与5例,悪
器 疾 患2例,甲
り群(with
性 腫 瘍 合 併3例,慢
状 腺 機 能 亢 進 症1例)の
Complication)と
の 検 討 症 例 に は 明 らか なHIV感
平成10年4月20日
合併症 あ
これ らの 既 往 ・合 併
症 の な い 合 併 症 な し群18例(without
tion)に 分 け て検 討 した(Table
性 呼吸
Complica2).な
お,今
染 例 は な い.
回
球 数 や リ ンパ 球 数,血
清CRP値
炎症 マ ー カ ー,血 清LDH値,血
ブ ミン値,IgG値
3)
や 赤沈値 な どの
清 総 蛋 白値 や アル
は,い ず れ も合 併 症 の有 無 や そ の
活 動 度,本 症 の 重 症 度 な ど を反 映 して,一 部 に異
常 例 もみ られ るが,多
くは正 常 値 な い し は そ れ に
近 い例 で あ り,臨 床 検 査 値 の 異 常 所 見 の 乏 しさ が
,
354
倉澤 卓也 他
Table
4
Findings
A) Localization
of Plain
Chest
X-rays
Fig.
1
Multiple
of Lesions
upper
*Bi -bilateral
, I- : left, r- : right
B) Features
of Lesions
27y.o.
female
nodular
and
lower
め られ た.更
with
low
shadows
of
(•©)
fields
lung
grade
right
fever
upper
were
(•¨),
left
obserbed.
に,病 巣 の 広 が りを適 切 に表 現 す る
分 類 法 と して,日 本 結 核 病 学 会 の 肺 結 核 病 型 分 類
を用 い て 病 巣 の性 状 とそ の広 が りを検 討 し た.病
巣 の分 布 は,合 併 症 な し群 で は両 側 性8例,右
(
)* with pleurisy,
(
) **with cavitation
側3例,合
併 症 あ り群 で は各 々8例,2
例,4例
で あ り,病 型 は,合 併 症 な し例 群 で,II
型3例,III型15例,H2例,合
む し ろ注 目 さ れ る.ま た,ツ
ベ ル ク リ ン反 応(ツ
併 症 あ り群 で,II
型7例,III型7例,H1例,Pl1例
で あ り,そ の
反)は 検 査 例 数 が 少 数 で あ るが,多 くは陰1生で あ っ
広 が りは,合 併 症 な し群 で"拡 が り2"3例,"拡
た.な お,合 併 症 あ り群 の ツ反 陽 性 の3例
が り1"15例,合
"拡 が り2"3例
はす べ
て肺 結核 の既 往 歴 を有 す る症 例 で あ っ た.
3. 胸 部 単 純X線
所見
本 症 発 見 の 端 緒 とな る胸 部 単 純X線
所 見 で は,
が り3"1例,
,"拡
で あ り,両 群
が り1"!0例
合 併 症 あ り群 にや や 高 率 に 認 め られ た.
4. 胸 部CT所
が 半 数 を越 え,陰 影 は左 右 の 下 葉 に 多 く分 布 す る
胸 部CTが
(Table
併 症 あ り群 で,"拡
と も概 し て軽 症例 が 多 い が,有 空 洞 例 や 重 症 例 は
合 併 症 の有 無 に関 わ らず,多 発 性 陰 影 を呈 す る例
が,ほ
ほ肺 葉 の容 積 に 比 例 し た分 布 を示 して い る
4).陰 影 の 性 状 で は び ま ん 性 間 質 性 陰 影
見(Table
5)
入 手 可 能 で あ っ た 症 例 は,合 併 症 な
し群15例,合 併 症 あ り群12例 で あ る.CT画
胸 部X線
男 性)と
多様 に広 が る区 域 性 浸 潤 影
そ の性 状 が よ り詳 細 に観 察 し得 た.即
の2例(77歳
男性:胸
水 も合 併,72歳
多 く は胸 膜 の 近 傍 部,所
女性)を
除
謂outer
き,限 局 性 の浸 潤 様 陰 影 や 結 節 様 陰 影(Fig.1)が
れ,特
認 め られ,空 洞 影 は合 併 症 あ り群 の7例,合
潤 影 が合 併 症 な し群 の7例,合
にみ られ,ま
例 と合 併 症 な し群 の2例
併症
た,合 併 症 あ り群 の1
に肺 門 リンパ 節 腫 大 が 認
像では
単 純 像 の所 見 に加 え,病 巣 の局 在 部 位 や
の1例(77歳
な し群 の3例
側
7例,左
ち,病 巣 の
zoneに
認め ら
に胸 膜 を底 辺 と し て肺 内 へ 広 が る結 影 や 浸
に認 め られ た(Fig.2).胸
併 症 あ り群 の8例
部単純 像で結節様 にみ
られ た 陰 影 で もそ の周 辺 部 に淡 い 浸 潤 影 を伴 う例
感 染症 学 雑 誌
第72巻
第4号
355
肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の 臨床 的 検 討
Table
5
Findings
of Chest
CT
Fig.
3
33y.o.
bloody
Small
lar
male
peripheral
shadow
Cavity
)
with
small
the
thick,
2
61y.o.
shadow
pleura
in
left
nodular
same
and
chest
pain
and
was
to
pleura
obserbed
shadow
near
(•¨)
were
in
the
the
nodule
in
nodu-
obserbed.
lower
was
slises.
seen.
cavity
Fig.
Nodular
right
air-bronchograms
adjacent
Infiltration
*(
with
sputum
male
with
S1+2
was
shadows
slice.
cavity
The
is
with
left
cavity(•©)
observed
(•¨)
wall
were
of
chest
and
cabity
pain
adjacent
Infiltration
also
is
to
and
obserbed
smooth
in
and
ubiquitous.
断 有 用 な所 見 と思 わ れ る.
考
Cryptococcus
察
neoformansは
土壌 や汚水 な ど自
然 界 に広 く棲 息 し て お り,吸 入 に よ り経 気 道 的 に
末 梢 肺 に 至 り感 染 す る.自 然 界 に 棲 息 す る(λ
neoformansは
ヒ トの組 織 中 で 見 い 出 さ れ る も の
と異 な り,末 梢 肺 ま で十 分 到 達 し得 るほ ど に小 型
で あ り(平 均 径3μm),ま
た,そ の 貪 食 抵 抗 性 や 毒
力 に関 連 す る夾膜 を保 た な い.こ
の た め,肺 末 梢
に 到 達 した 菌体 は容 易 に感 染 局 所 の マ ク ロ フ ァー
ジ な どに貪 食 され,通 常 は 発 症 す る こ と はな い と
され,不 顕 性 感 染 や 下 気 道 内 で のcolonizationも
稀 で は な い と され て い る5)6>.しか し,感 染 局 所 や
もみ られ た.ま
た,空 洞 は一 般 に遍 在 性 で,そ
壁 は明 瞭,平 滑 で あ り,や や 厚 い.さ
症 な し群 の3例
らに,合 併
で は気 管 支 正 接 像 と考 え られ る小
透 亮 像 が 陰 影 の 内部 に認 め られ た(Fig.3).ま
合 併 症 な し群 の5例
れ な い部 位 に もCT像
認 め られ た.こ
の
に単 純X線
た,
写真 で は認 め ら
は 速 や か に貪 食 抵 抗 性 の 夾膜 を産 生 す る と共 に増
大 し(臨 床 的 に観 察 され る もの で は径5∼10μm),
増 殖 を開 始 し,発 症 に至 る と され て い る.そ の 進
展 様 式 は初 感 染 結 核 と類 似 して お り,AIDSな
ど
で は 淡 い 結 節 影 や 浸潤 影 が
の 重 度 の細 胞 性 免 疫 機 能 障 害 例 を除 き,通 常 亜 急
れ らの 所 見 は慢 性 感 染 症 を示 唆 す
性 な い し慢 性 感 染 症 と して 経 過 し,徐 々 に周 辺 肺
る所 見 と して,肺 癌 や 肺 結 核 腫 な ど との 鑑別 上 診
平成10年4月20日
全 身 の感 染 防御 能 が 低 下 して い る場 合 に は,菌 体
実 質 へ 広 が る と共 に,時 に 初 期 変 化 群 と同 様,肺
倉澤 卓也 他
356
門 部 リ ンパ 節 炎 も引 き起 こす8).こ の感 染 ・発 病 様
性 に進 行 す る び まん 性 の粟 粒 陰 影 や 間 質 性 肺 炎 様
式 が,自 覚 症 状 の 欠 如 や あ っ て も軽 度 で 非 特 異 的
陰 影 を呈 す る11)12)と
さ れ るが,今
な 自覚 症 状 を呈 す る 患 者 の 多 さ に結 果 し て い る と
す べ て 非HIV感
考 え られ る.既 報 告 例2)9)と同様 に,今 回 の検 討 症
した1例
回 の検討症 例 は
染 者 で あ り,間 質 性 肺 炎 像 を呈
と多 葉 性 の 区 域 性 肺 炎 像 を呈 し た2例
例 で も検 診 や 他 疾 患 治 療 中 の発 見 例 が 半 数 以 上 を
(いず れ も高 齢 者)を 除 き,す べ て限 局 性 の 多 発 性
占 め,ま た,画 像 上 の 病 巣 も軽 症 例 が 多 く,各 種
あ るい は単 発 性 の 腫 瘤 様 ・浸 潤 様 陰 影 を呈 し た.
の炎 症 マ ー カ ー な どの 臨 床 検 査 値 も正 常 値 や そ れ
そ の 分 布 は肺 葉 の 容 積 をほ ぼ 反 映 して お り,病 巣
に近 い例 が 多 い事 は容 易 に納 得 し得 る.
一 方 ,肺 ク症 は病 理 学 的 に,
の 多 くは胸 膜 近 傍 領 域 に み られ,特
1. 比 較 的 良 く境 界 され た 単 発 性 あ る い は 多 発
性 の 結 節 性 病 変 で,ゴ
ム状 あ るい は壊 死 を呈 し,
る病 巣 が 多 い 事,時
に胸 膜 に接 す
に 陰 影 内 に空 洞 の ほか,気
支 透 亮 像 が認 め られ る事,空
その 壁 は や や 整,明
管
洞 は や や 遍 在 性 で,
瞭 で 厚 い な どの 画 像 上 の特 徴
時 に空 洞 化 す る.重 度 の夾 膜 を持 つ 無 数 の 菌 体 の
や 胸 痛 を 自覚 す る症 例 が 比 較 的 多 い 事 は上 述 の 肺
た め,時 に は粘 液 様 あ るい は ゼ ラ チ ン様 を呈 す る.
ク症 の感 染 ・進 展 様 式 を反 映 した もの と考 え られ
2. 種 々 の 広 が りを 示 す 境 界 不 鮮 明 な肺 実 質 性
の 浸 潤 性 病 変 で,時
に ゼ ラ チ ン様 を呈 す る.
3. 血 行 性 散 布 に よ る径1∼2mmの
小 結節 の び
まん 性 病 変
る.
肺 ク症 の 確 定 診 断 は,他 の肺 感 染 症 と同様,検
査 材 料 か らの 菌 の証 明 に よ り確 定 され る が,菌
培 養 陽性 率 は必 ず し も高 くな い.ム
4. AIDS患
者 に み られ る,炎 症 細 胞 浸 潤 に乏 し
色 やPAS染
色 な どの特 殊 染 色 に よ る組 織 診 の ほ
く,肉 芽 腫 形 成 の 認 め られ な い間 質 性 病 変
か,近
の4つ
とな り,ま た,PCR法
の型 に分 類 さ れ て い る6).
3. の病 変 は 播 種 型 結 核 症(粟
粒 結 核 症)に 対 応
の
チ カ ル ミ ン染
年 血 清 や 気 管 支 洗 浄 液 中 の 抗 原 検 査 も容 易
要 に応 じて,こ
も臨 床 応 用 さ れ て い る.必
れ らの 補 助 療 断 法 を用 い,そ の 臨
し,4.の 病 変 は無 反 応 性 の 結 核 性 肺 炎 に相 当 す る
床 像 の特 徴 を考 慮 して,本 症 も念 頭 に慢 重 に検 査
もの と思 わ れ る.一 方,1.と2.の
計 画 を立 て て検 索 を進 め る事 が 早 期 診 断 に最 も肝
病 変 が 元 来 の肺
ク症 の肺 炎像 で あ り,両 者 の 相 違 は感 染 後 の時 間
要 と思 わ れ る.
的 経 過 を含 め,局 所 の細 胞 性 免 疫 反 応 の 減 弱 に よ
る肉 芽 腫 形 成 の 有 無 や そ の 程 度 を反 映 した もの と
1)
Kohno
S, Varma
Epidemiology
推 測 さ れ る.
cus
肺 ク症 で は,こ れ らの 病 理 像 を反 映 し て,画 像
上,種 々 の 広 が り を持 つ 腫 瘤 様 陰 影 や 浸 潤 様 陰 影,
空 洞 影 の ほ か,び
様 陰 影,の
まん性 の 粟 粒 陰 影 や 間 質 性 肺 炎
ほか,初 感 染 結 核 類 似 の肺 門 リンパ 節
腫 大8)や胸 水 貯 留 像9)な ど多 彩 な 像 を 呈 す る 事 は
容 易 に理 解 され る.ま た,本 症 の 限 局 性 の結 節 様 ・
浸 潤 様 陰 影 で は90°の 角 度 を つ け て 撮 影 さ れ た2
枚 の写 真 の 一 方 は結 節 様 に,他 方 は浸 潤 様 に観 察
され る と報 告 され て い る10)が,病 巣 の 性 状 を よ り
詳 細 に観 察 し得 るCT像
で み る と境 界 の極 め て 明
瞭 な胸 膜 側 とや や 不 鮮 明 な肺 側 の 辺 縁 が 観 察 され
る例 もあ り,こ の所 見 が 上 述 の様 に観 察 さ れ る所
以 と考 え られ る.
通 常AIDSや
それ類 似 の免 疫 不 全状 態 で は急
68
Length
献
A,
Kwon-Chung
Studies
neoforrnans
ment
文
of
of
Japan
KJ,
Isolates
by
of
Restriction
Polymorphism. Š´•õ•ÇŽ•
Hara
K
:
CryptococFrag1994
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357
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A Clinical Study of Pulmonary
Cryptococcosis
The Study Group of Respiratory Mycosis in Kyoto
Takuya KURASAWA1), Nobuaki IKEDA1), Atsuo SATo1), Tetsuro INOUE1),
Tadashi ISHIDA2), Miki OKAZAKI3), Kazukiyo OIDA4), Hideki NISHIYAMA5),
Yujiro SUZUKI5), Ryoichi AMITANI6) & Fumiyuki KUZE6)
1)
Respiratory
Medicine,
2)
Internal
3)
Respiratory
Respiratory
5)
Respiratory
Division
of Respiratory
Medicine,
Infection,
Minami-Kyoto
Kurashiki
Medicine,
4)
6)
National
Medicine,
Kobe
Central
Central
City
Tenri
Hospital
Medicine,
Japan Red Cross Wakayama
Chest
During the 7 years from 1990, thirty-two
Hospital
Hospital
Disease
patients
Research
Hospital
Medical
Institute,
Center
Kyoto
University
(20 in male and 12 in female, mean age; 53
years old) were diagnosed as having pulmonary cryptococcosis. To clarify the essential points for
early diagnosis of pulmonary cryptococcosis, we reviewed the clinical records and chest images.
Three patients had a past history of pulmonary tuberculosis and eleven patients had underlying
disorders such as malignancy, chronic pulmonary diseases and so on, but no HIV infection, which
would affect this disease. Eighteen patients did not have any past history nor complications.
The symptoms such as cough, sputum, chest pain and fever were generally of low-grade, 14
patients had no symptom at diagnosis. Except of some patients with severe infections and severe
underlying disorders, laboratory findings such as inflamatory
and nutritious markers were
almost within near the normal range. On plain chest X-ray films the distribution of lesions was
almost in proprtion to the volume of the lobes. The multifocal nodular and/or infitrative shadows
wer observed in about 2/3 cases and single lesion in about 1/3. The width of lesions were minimal
except of one case with interstitial pneumonia and two cases with multifocal segmental pneumonia. The cavity lesions were observed in 7 cases and hilar lymphadenopathy
in 3 cases.
On CT images, the lesions were almost located in the outer zone, the lesions which were
adjacent to the pleura were observed in 15 cases. Cavitary lesions were almost smooth in edge
and ubiquitous, the walls were also thick. The peripheral air-bronchogram
in the nodular/infitrative shadows were observed in three cases.
Pulmonary
cryptococcosis
is air-borne and almost a chronic infection except in AIDS
patients, so careful planning for examination is essential
tics of clinical and imaging features of this infection.
平 成10年4月20日
with considerations
of the characteris-
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