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肺クリプ トコッカス症の臨床的検討 - 感染症学雑誌 ONLINE JOURNAL
352 肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の臨床 的検 討 京 都 呼 吸器 真 菌 感染 症 研 究 会,1)国 立 療 養 所南 京 都 病 院呼 吸 器 科,2)倉 敷 中央 病 院 内科 3)神戸 市 立 中 央市 民 病 院 呼吸 器 内 科 ,4)天 理 よ うつ相 談 所 病 院呼 吸 器 内科 5)日赤和 歌 山 医療 セ ンタ ー呼 吸 器 科 ,6)京 都 大 学胸 部 疾 患 研究 所 呼 吸 器感 染 症 科 倉 澤 卓 也1)池 田 宣 昭1)佐 藤 敦 夫1)井 上 哲 郎1) 石 田 直2)岡 崎 美 樹3)種 田 和 清4)西 山 秀 樹5) 鈴 木 雄 二 郎5)網 谷 良 一6)久 世 文 幸6) Key words : (平成9年11月20日 受 付) (平成9年12月16日 受 理) cryptococcosis, 要 pulmonary infection 旨 肺 の ク リプ トコ ッカス症(肺 ク症)の 早 期診 断 のた めの要 点 を検 索 す るた め,肺 ク症 の患者32例(男 性20例,女 性12例,平 均 年齢53歳)を 対象 に,そ の臨床所 見 お よび画像 所見 を検 討 した.肺 ク症 の発症 に影 響 した可 能性 の あ る各種 の既 往 ・合併症 を有 す る症例 は14例 で(HIV感 染例 はない),18例 には これ らの既往 ・合併 症 はない.発 見動 機 で は,有 症状 受診 例 は18例で,そ の症状 は概 して軽度 で あ ったが, 胸 痛 の頻 度が やや 高 い事 が注 目され る.入 院時検 査所 見 で は,重 症 例 や合併 症 の病態 を反 映 して,一 部 に炎 症所見 や 栄養状 態 に異常 も認 め られ たが,異 常 値 を呈 す る例 は少 な く,異 常所見 の乏 しさが む しろ 注 目 され る.胸 部 単純X線 所 見で は,多 発 陰影 が約2/3を 占め,多 くは限局 性 の結節様 ・ 浸 潤様 陰影 を呈 した.空 洞 は10例 に,肺 門部 リンパ節 腫大 は3例 に認 め られ た.そ の分 布 は ほぼ各肺 葉 の容積 を反 映 し て お り,間 質 性肺炎 像 の1例 と多 葉 に広が る区域 性浸 潤影 の2例 を除 き,病 巣 の広が りは軽 度 で あった . 胸 部CT像 で は,病 巣 は多 く胸 膜 近傍部 にみ られ,一 部 は胸 膜 に接 す る.空 洞壁 は整 で,そ の壁 は厚 く, 多 く遍 在性 で あ った.ま た,3例 で は陰影 内 に気 管 支透豪 像 も認 め られた. 肺 ク症 は径気 道 的 に感 染 し,多 く慢性 的 に経過 す る.以 上 の臨床 像 ・画像 の特徴 を考慮 し,本 症 も念 頭 に,慎 重 に検 査計 画 を立 て る事 が肝 要 と思わ れ る. 序 膜 炎 発 症 例 の予 後 は良 好 で は な く3)4),早期 診 断 が 文 肺 の ク リ プ ト コ ッ カ ス 症(肺 rnunocompromised host"の 者 も発 症 す るCryptococcus ク 症)は,"im- み な ら ず,時 neoformansに 本 症 の 早 期 診 断 の 要 点 を検 討 す る 目 的 で,京 都 よ る肺 呼 吸 器 真 菌 感 染 症 研 究 会 に登 録 され た 肺 ク症 患 者 の 真 菌 感 染 症 で あ り1),そ の 診 断 の 糸 口 と な る 画 像 所 見 は 多 彩 で,肺 望 まれ る肺 感 染 症 疾 患 の ひ とつ で あ る. に健 常 を対 象 に,そ 癌 や 肺 結 核 症 な ど との 鑑 別 診 断 に 苦 慮 す る事 も 稀 で は な い2).ま た,肺 の単独感 染 例 の 予 後 は 一 般 に 良 好 と さ れ て い る が,特 に "immunoco mpromised host"に 合 併 しや す い髄 別 刷 請求 先:(〒610-0113)京 都 府城 陽市 中芦 原11 対象 および方法 1990年 よ り1996年 の7年 8施 設 で,肺 卓也 間 に研 究 会 に参 加 す る ク リプ トコ ッ カ ス症 と診 断 され た20 歳 か ら77歳 まで の男 性20例,女 性12例(平 53歳)の 計32例 を対 象 とし(Table 像 をretrospectiveに 国 立療 養 所 南京 都 病 院 呼吸 器 科 倉澤 の臨 床 像 を検 討 した. 2例 で,30例 1),そ 均 年齢 の臨床 検 討 し た.髄 膜 炎 合 併 例 は は肺 に 限局 した 症 例 で あ る.そ の 主 感 染 症学 雑 誌 第72巻 第4号 353 肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の臨 床 的検 討 Table * (1) mean 1 with Profiles cryptococcal age•}SD Table of Pulmonary 2 meningitis Table Cryptococcosis , ** (1) with 3 Main Laboratory Findings* pleurisy ; 53•}19y.o. Past History and Underlying Disorders *A/B: A is No , of case, B is No, of tested cases **Ma -R : Tuberclin skin test 結 果 1. 発 見 動 機 及 び 自覚 症 状 合 併 症 な し群 の18例 の発 見 動 機 は検 診9例,有 症 状 受 診9例 で あ り,合 併 症 あ り群 の14例 で は, 検 診2例,他 疾 患 治 療 中3例,有 症 状 受 診9例 で あ る.有 症 状 例 の 主 な 自覚 症 状 は,咳 嗽8例(合 *COPD with Mycobacteriosis : Chronic Obstructive 併 症 な し4例,合 pulmonary Disease M. gordonae with Mycobacteriosis due to 3例),喀 併 症 あ り4例),胸 痰4例(合 例(合 併 症 あ り3例),血 な診 断 根 拠 は,菌 培 養 陽 性16例,組 抗 原 陽 性12例,抗 体 陽 性4例 み の 陽性 例 は3例,組 織 診 陽 性21例, で あ り,う ち 抗 原 の 織 診 の み の 陽 性 例 は7例 で, 痰1例(合 併 症 な し1例) の 呼 吸 器 症 状 や 発 熱7例(5例,2例),倦 例(2例,1例)の 吸 困 難3 怠 感3 全 身 症 状 で あ り,一 部 の重 症 例 を 除 き,自 覚 症 状 は一 般 に軽 く,非 特 異 的 な も の で あ った が,胸 痛 を訴 え る症 例 が 比 較 的 多 い 点 22例 は複 数 の検 査 法 で 陽性 所 見 が 得 られ た. 個 々 の既 往 症 や 合 併 症 の 本 症 発 症 へ の 影 響 に つ い て,そ 痛7例(4例, 併 症 あ り4例),呼 の軽 重 を斜 酌 す る事 は不 可 能 で あ る が, は後 に 述 べ る病 巣 の 局 在 部 位 との 関 連 で 注 目 され る. 便 宜 上,既 往 に肺 結 核 症 を有 す る3例 と局 所 的 或 2. 入 院 時 の 主 な臨 床 検 査 所 見(Table い は全 身 的 な 合 併 症 を有 す る11例(副 腎皮質 ステ 主 な 臨 床 検 査 の う ち,貧 血 の 有 無,末 梢 血 白血 ロイ ド薬 投 与5例,悪 器 疾 患2例,甲 り群(with 性 腫 瘍 合 併3例,慢 状 腺 機 能 亢 進 症1例)の Complication)と の 検 討 症 例 に は 明 らか なHIV感 平成10年4月20日 合併症 あ これ らの 既 往 ・合 併 症 の な い 合 併 症 な し群18例(without tion)に 分 け て検 討 した(Table 性 呼吸 Complica2).な お,今 染 例 は な い. 回 球 数 や リ ンパ 球 数,血 清CRP値 炎症 マ ー カ ー,血 清LDH値,血 ブ ミン値,IgG値 3) や 赤沈値 な どの 清 総 蛋 白値 や アル は,い ず れ も合 併 症 の有 無 や そ の 活 動 度,本 症 の 重 症 度 な ど を反 映 して,一 部 に異 常 例 もみ られ るが,多 くは正 常 値 な い し は そ れ に 近 い例 で あ り,臨 床 検 査 値 の 異 常 所 見 の 乏 しさ が , 354 倉澤 卓也 他 Table 4 Findings A) Localization of Plain Chest X-rays Fig. 1 Multiple of Lesions upper *Bi -bilateral , I- : left, r- : right B) Features of Lesions 27y.o. female nodular and lower め られ た.更 with low shadows of (•©) fields lung grade right fever upper were (•¨), left obserbed. に,病 巣 の 広 が りを適 切 に表 現 す る 分 類 法 と して,日 本 結 核 病 学 会 の 肺 結 核 病 型 分 類 を用 い て 病 巣 の性 状 とそ の広 が りを検 討 し た.病 巣 の分 布 は,合 併 症 な し群 で は両 側 性8例,右 ( )* with pleurisy, ( ) **with cavitation 側3例,合 併 症 あ り群 で は各 々8例,2 例,4例 で あ り,病 型 は,合 併 症 な し例 群 で,II 型3例,III型15例,H2例,合 む し ろ注 目 さ れ る.ま た,ツ ベ ル ク リ ン反 応(ツ 併 症 あ り群 で,II 型7例,III型7例,H1例,Pl1例 で あ り,そ の 反)は 検 査 例 数 が 少 数 で あ るが,多 くは陰1生で あ っ 広 が りは,合 併 症 な し群 で"拡 が り2"3例,"拡 た.な お,合 併 症 あ り群 の ツ反 陽 性 の3例 が り1"15例,合 "拡 が り2"3例 はす べ て肺 結核 の既 往 歴 を有 す る症 例 で あ っ た. 3. 胸 部 単 純X線 所見 本 症 発 見 の 端 緒 とな る胸 部 単 純X線 所 見 で は, が り3"1例, ,"拡 で あ り,両 群 が り1"!0例 合 併 症 あ り群 にや や 高 率 に 認 め られ た. 4. 胸 部CT所 が 半 数 を越 え,陰 影 は左 右 の 下 葉 に 多 く分 布 す る 胸 部CTが (Table 併 症 あ り群 で,"拡 と も概 し て軽 症例 が 多 い が,有 空 洞 例 や 重 症 例 は 合 併 症 の有 無 に関 わ らず,多 発 性 陰 影 を呈 す る例 が,ほ ほ肺 葉 の容 積 に 比 例 し た分 布 を示 して い る 4).陰 影 の 性 状 で は び ま ん 性 間 質 性 陰 影 見(Table 5) 入 手 可 能 で あ っ た 症 例 は,合 併 症 な し群15例,合 併 症 あ り群12例 で あ る.CT画 胸 部X線 男 性)と 多様 に広 が る区 域 性 浸 潤 影 そ の性 状 が よ り詳 細 に観 察 し得 た.即 の2例(77歳 男性:胸 水 も合 併,72歳 多 く は胸 膜 の 近 傍 部,所 女性)を 除 謂outer き,限 局 性 の浸 潤 様 陰 影 や 結 節 様 陰 影(Fig.1)が れ,特 認 め られ,空 洞 影 は合 併 症 あ り群 の7例,合 潤 影 が合 併 症 な し群 の7例,合 にみ られ,ま 例 と合 併 症 な し群 の2例 併症 た,合 併 症 あ り群 の1 に肺 門 リンパ 節 腫 大 が 認 像では 単 純 像 の所 見 に加 え,病 巣 の局 在 部 位 や の1例(77歳 な し群 の3例 側 7例,左 ち,病 巣 の zoneに 認め ら に胸 膜 を底 辺 と し て肺 内 へ 広 が る結 影 や 浸 に認 め られ た(Fig.2).胸 併 症 あ り群 の8例 部単純 像で結節様 にみ られ た 陰 影 で もそ の周 辺 部 に淡 い 浸 潤 影 を伴 う例 感 染症 学 雑 誌 第72巻 第4号 355 肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の 臨床 的 検 討 Table 5 Findings of Chest CT Fig. 3 33y.o. bloody Small lar male peripheral shadow Cavity ) with small the thick, 2 61y.o. shadow pleura in left nodular same and chest pain and was to pleura obserbed shadow near (•¨) were in the the nodule in nodu- obserbed. lower was slises. seen. cavity Fig. Nodular right air-bronchograms adjacent Infiltration *( with sputum male with S1+2 was shadows slice. cavity The is with left cavity(•©) observed (•¨) wall were of chest and cabity pain adjacent Infiltration also is to and obserbed smooth in and ubiquitous. 断 有 用 な所 見 と思 わ れ る. 考 Cryptococcus 察 neoformansは 土壌 や汚水 な ど自 然 界 に広 く棲 息 し て お り,吸 入 に よ り経 気 道 的 に 末 梢 肺 に 至 り感 染 す る.自 然 界 に 棲 息 す る(λ neoformansは ヒ トの組 織 中 で 見 い 出 さ れ る も の と異 な り,末 梢 肺 ま で十 分 到 達 し得 るほ ど に小 型 で あ り(平 均 径3μm),ま た,そ の 貪 食 抵 抗 性 や 毒 力 に関 連 す る夾膜 を保 た な い.こ の た め,肺 末 梢 に 到 達 した 菌体 は容 易 に感 染 局 所 の マ ク ロ フ ァー ジ な どに貪 食 され,通 常 は 発 症 す る こ と はな い と され,不 顕 性 感 染 や 下 気 道 内 で のcolonizationも 稀 で は な い と され て い る5)6>.しか し,感 染 局 所 や もみ られ た.ま た,空 洞 は一 般 に遍 在 性 で,そ 壁 は明 瞭,平 滑 で あ り,や や 厚 い.さ 症 な し群 の3例 らに,合 併 で は気 管 支 正 接 像 と考 え られ る小 透 亮 像 が 陰 影 の 内部 に認 め られ た(Fig.3).ま 合 併 症 な し群 の5例 れ な い部 位 に もCT像 認 め られ た.こ の に単 純X線 た, 写真 で は認 め ら は 速 や か に貪 食 抵 抗 性 の 夾膜 を産 生 す る と共 に増 大 し(臨 床 的 に観 察 され る もの で は径5∼10μm), 増 殖 を開 始 し,発 症 に至 る と され て い る.そ の 進 展 様 式 は初 感 染 結 核 と類 似 して お り,AIDSな ど で は 淡 い 結 節 影 や 浸潤 影 が の 重 度 の細 胞 性 免 疫 機 能 障 害 例 を除 き,通 常 亜 急 れ らの 所 見 は慢 性 感 染 症 を示 唆 す 性 な い し慢 性 感 染 症 と して 経 過 し,徐 々 に周 辺 肺 る所 見 と して,肺 癌 や 肺 結 核 腫 な ど との 鑑別 上 診 平成10年4月20日 全 身 の感 染 防御 能 が 低 下 して い る場 合 に は,菌 体 実 質 へ 広 が る と共 に,時 に 初 期 変 化 群 と同 様,肺 倉澤 卓也 他 356 門 部 リ ンパ 節 炎 も引 き起 こす8).こ の感 染 ・発 病 様 性 に進 行 す る び まん 性 の粟 粒 陰 影 や 間 質 性 肺 炎 様 式 が,自 覚 症 状 の 欠 如 や あ っ て も軽 度 で 非 特 異 的 陰 影 を呈 す る11)12)と さ れ るが,今 な 自覚 症 状 を呈 す る 患 者 の 多 さ に結 果 し て い る と す べ て 非HIV感 考 え られ る.既 報 告 例2)9)と同様 に,今 回 の検 討 症 した1例 回 の検討症 例 は 染 者 で あ り,間 質 性 肺 炎 像 を呈 と多 葉 性 の 区 域 性 肺 炎 像 を呈 し た2例 例 で も検 診 や 他 疾 患 治 療 中 の発 見 例 が 半 数 以 上 を (いず れ も高 齢 者)を 除 き,す べ て限 局 性 の 多 発 性 占 め,ま た,画 像 上 の 病 巣 も軽 症 例 が 多 く,各 種 あ るい は単 発 性 の 腫 瘤 様 ・浸 潤 様 陰 影 を呈 し た. の炎 症 マ ー カ ー な どの 臨 床 検 査 値 も正 常 値 や そ れ そ の 分 布 は肺 葉 の 容 積 をほ ぼ 反 映 して お り,病 巣 に近 い例 が 多 い事 は容 易 に納 得 し得 る. 一 方 ,肺 ク症 は病 理 学 的 に, の 多 くは胸 膜 近 傍 領 域 に み られ,特 1. 比 較 的 良 く境 界 され た 単 発 性 あ る い は 多 発 性 の 結 節 性 病 変 で,ゴ ム状 あ るい は壊 死 を呈 し, る病 巣 が 多 い 事,時 に胸 膜 に接 す に 陰 影 内 に空 洞 の ほか,気 支 透 亮 像 が認 め られ る事,空 その 壁 は や や 整,明 管 洞 は や や 遍 在 性 で, 瞭 で 厚 い な どの 画 像 上 の特 徴 時 に空 洞 化 す る.重 度 の夾 膜 を持 つ 無 数 の 菌 体 の や 胸 痛 を 自覚 す る症 例 が 比 較 的 多 い 事 は上 述 の 肺 た め,時 に は粘 液 様 あ るい は ゼ ラ チ ン様 を呈 す る. ク症 の感 染 ・進 展 様 式 を反 映 した もの と考 え られ 2. 種 々 の 広 が りを 示 す 境 界 不 鮮 明 な肺 実 質 性 の 浸 潤 性 病 変 で,時 に ゼ ラ チ ン様 を呈 す る. 3. 血 行 性 散 布 に よ る径1∼2mmの 小 結節 の び まん 性 病 変 る. 肺 ク症 の 確 定 診 断 は,他 の肺 感 染 症 と同様,検 査 材 料 か らの 菌 の証 明 に よ り確 定 され る が,菌 培 養 陽性 率 は必 ず し も高 くな い.ム 4. AIDS患 者 に み られ る,炎 症 細 胞 浸 潤 に乏 し 色 やPAS染 色 な どの特 殊 染 色 に よ る組 織 診 の ほ く,肉 芽 腫 形 成 の 認 め られ な い間 質 性 病 変 か,近 の4つ とな り,ま た,PCR法 の型 に分 類 さ れ て い る6). 3. の病 変 は 播 種 型 結 核 症(粟 粒 結 核 症)に 対 応 の チ カ ル ミ ン染 年 血 清 や 気 管 支 洗 浄 液 中 の 抗 原 検 査 も容 易 要 に応 じて,こ も臨 床 応 用 さ れ て い る.必 れ らの 補 助 療 断 法 を用 い,そ の 臨 し,4.の 病 変 は無 反 応 性 の 結 核 性 肺 炎 に相 当 す る 床 像 の特 徴 を考 慮 して,本 症 も念 頭 に慢 重 に検 査 もの と思 わ れ る.一 方,1.と2.の 計 画 を立 て て検 索 を進 め る事 が 早 期 診 断 に最 も肝 病 変 が 元 来 の肺 ク症 の肺 炎像 で あ り,両 者 の 相 違 は感 染 後 の時 間 要 と思 わ れ る. 的 経 過 を含 め,局 所 の細 胞 性 免 疫 反 応 の 減 弱 に よ る肉 芽 腫 形 成 の 有 無 や そ の 程 度 を反 映 した もの と 1) Kohno S, Varma Epidemiology 推 測 さ れ る. cus 肺 ク症 で は,こ れ らの 病 理 像 を反 映 し て,画 像 上,種 々 の 広 が り を持 つ 腫 瘤 様 陰 影 や 浸 潤 様 陰 影, 空 洞 影 の ほ か,び 様 陰 影,の まん性 の 粟 粒 陰 影 や 間 質 性 肺 炎 ほか,初 感 染 結 核 類 似 の肺 門 リンパ 節 腫 大8)や胸 水 貯 留 像9)な ど多 彩 な 像 を 呈 す る 事 は 容 易 に理 解 され る.ま た,本 症 の 限 局 性 の結 節 様 ・ 浸 潤 様 陰 影 で は90°の 角 度 を つ け て 撮 影 さ れ た2 枚 の写 真 の 一 方 は結 節 様 に,他 方 は浸 潤 様 に観 察 され る と報 告 され て い る10)が,病 巣 の 性 状 を よ り 詳 細 に観 察 し得 るCT像 で み る と境 界 の極 め て 明 瞭 な胸 膜 側 とや や 不 鮮 明 な肺 側 の 辺 縁 が 観 察 され る例 もあ り,こ の所 見 が 上 述 の様 に観 察 さ れ る所 以 と考 え られ る. 通 常AIDSや それ類 似 の免 疫 不 全状 態 で は急 68 Length 献 A, Kwon-Chung Studies neoforrnans ment 文 of of Japan KJ, Isolates by of Restriction Polymorphism. Š´•õ•ÇŽ• Hara K : CryptococFrag1994 ; : 1512-1517. 2) 道 津 安 正, 真 崎 美 矢 子, 増 山 泰 治, 他: 原 発性 肺 ク リ プ トコ ッ カ ス 症11例 の 臨 床 像 と内 科 的 治 療 成 績. 25: 日胸 疾 会 誌1987; 229-239. 3) Kerkering TM, Duma RJ, Shadomy S : The evolution of pulmonary cryptococcosis. clinial implications from a Study of 41 patients with and without compromising host factors. Ann Inter Med 1981 ; 94 : 611-616. 4) McDonnell JM, Hutchins GM : Pulmonary cryptococcosis. Hum Path 1985 ; 16 : 121-128. 5) Hammerman KJ, Powell KE, Christianson CC et al. : Pulmonary cryptococcosis : Clinical forms and treatment., A center for disease control cooperative study. Am Rev Respir Dis 1973 ; 108: 1116-1123. 感染症学雑誌 第72巻 第4号 357 肺 ク リプ トコ ッカ ス症 の 臨床 的 検 討 6) Fraser RG, Pare JAP, Pare PD et al.: Diagnosis of Diseases of Diseases of the Chest 3rd Ed. II 1989 ; 975-985 W.B. Saunders, philadelphia 7) Dimond RD : Cryptococcus neoformans Pneumonia. In : Pennington JE ed. Respiratory infections : Diagnosis and management. Raven Press. 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A Clinical Study of Pulmonary Cryptococcosis The Study Group of Respiratory Mycosis in Kyoto Takuya KURASAWA1), Nobuaki IKEDA1), Atsuo SATo1), Tetsuro INOUE1), Tadashi ISHIDA2), Miki OKAZAKI3), Kazukiyo OIDA4), Hideki NISHIYAMA5), Yujiro SUZUKI5), Ryoichi AMITANI6) & Fumiyuki KUZE6) 1) Respiratory Medicine, 2) Internal 3) Respiratory Respiratory 5) Respiratory Division of Respiratory Medicine, Infection, Minami-Kyoto Kurashiki Medicine, 4) 6) National Medicine, Kobe Central Central City Tenri Hospital Medicine, Japan Red Cross Wakayama Chest During the 7 years from 1990, thirty-two Hospital Hospital Disease patients Research Hospital Medical Institute, Center Kyoto University (20 in male and 12 in female, mean age; 53 years old) were diagnosed as having pulmonary cryptococcosis. To clarify the essential points for early diagnosis of pulmonary cryptococcosis, we reviewed the clinical records and chest images. Three patients had a past history of pulmonary tuberculosis and eleven patients had underlying disorders such as malignancy, chronic pulmonary diseases and so on, but no HIV infection, which would affect this disease. Eighteen patients did not have any past history nor complications. The symptoms such as cough, sputum, chest pain and fever were generally of low-grade, 14 patients had no symptom at diagnosis. Except of some patients with severe infections and severe underlying disorders, laboratory findings such as inflamatory and nutritious markers were almost within near the normal range. On plain chest X-ray films the distribution of lesions was almost in proprtion to the volume of the lobes. The multifocal nodular and/or infitrative shadows wer observed in about 2/3 cases and single lesion in about 1/3. The width of lesions were minimal except of one case with interstitial pneumonia and two cases with multifocal segmental pneumonia. The cavity lesions were observed in 7 cases and hilar lymphadenopathy in 3 cases. On CT images, the lesions were almost located in the outer zone, the lesions which were adjacent to the pleura were observed in 15 cases. Cavitary lesions were almost smooth in edge and ubiquitous, the walls were also thick. The peripheral air-bronchogram in the nodular/infitrative shadows were observed in three cases. Pulmonary cryptococcosis is air-borne and almost a chronic infection except in AIDS patients, so careful planning for examination is essential tics of clinical and imaging features of this infection. 平 成10年4月20日 with considerations of the characteris-