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2.2 モニタリング併用型換気システム開発のための調査 1化学物質放散

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2.2 モニタリング併用型換気システム開発のための調査 1化学物質放散
2.2
モニタリング併用型換気システム開発のための調査
1化学物質放散挙動の測定
1-1構成材料の揮発性有機化合物放散の境界条件の設定
ここでの化学物質放散挙動把握の検討では、室内における対象物質の化
学反応(2次放散物質)については考慮しない。
吸 着については考慮して境界条件の設定を行う。
なお、17年 度 は 化 学 物 質 の う ち 建 築 基 準 法 に も 規 制 の 項 目 が あ る 「 ホ ル
ムアルデヒド」について優先して検討をおこなった。
測定用のチャンバーにおいて放散挙動を測定する際は、室内の気流に影
響を与える熱的な挙動と化学物質放散量の両方の測定を行なった。
1-2-1テレビ台の測定
【測定条件】
測定温度
:28℃、
測定湿度
:50%
測定チャンバー容積
:2
換気回数(n)
:0.5
換気量
:1
サンプル表面積
:6.7
試 料 負 荷 率 (L)
n/L値
m3
回/h
m3/h
m2
:3.35
m 2/m 3
:0.15
図 Ⅲ -2-2-1
大形チャンバーによるテレビ台の測定
Ⅲ-2-2-1
【測定結果ホルムアルデヒド】
バックグランド濃度
: 2 μ g / m3
以下
放散速度(7日目)
: 5 . 9 7 μ g / ( m2・ h )
ホルムアルデヒドを放散する材料ではn/L値の違いによりホルムアルデヒ
ドの放散速度が変化することが報告されている。
建 築 基 準 法 で 定 め る ホ ル ム ア ル デ ヒ ド に 関 す る 放 散 速 度 基 準 値( ☆ ☆ ☆ ☆ )は 5
μ g / m 2・ h で あ る が こ れ は n / L 値 が 0 . 0 5 の 時 の 値 と な っ て い る 。
今 回 の 測 定 で は n / L 値 が 0 .1 5 と し た た め 、n / L 値 を 0 .0 5 に 合 わ せ
る と 放 散 速 度 は 5 μ g / m 2・ h を 下 回 る も の と 考 え ら れ る 。
Ⅲ-2-2-2
1-2-2液晶テレビの測定
図 Ⅲ -2-2-2
大形チャンバーによる液晶テレビの測定
【測定条件】
化 学 物 質 測 定 用 の 5 m 3の チ ャ ン バ ー に よ り 稼 働 状 態 で 測 定 を お こ な っ
た。
測定温度
:28℃、
測定湿度
:50%
チャンバー容積 :5m3
換気量
:2.5m3/h
稼働状態:DVDで再生した信号を端子から取り込み映像、音声とも出
力
【測定結果】
表 Ⅲ -2-2-1
液晶テレビ測定結果
ブランク測定値
: 2 μ g / m3 以 下
3)
液 晶 テレビ(32型 )
ホルムアルデヒド
トルエン
スチレン
TVOC
48hr
5hr
24hr
18
34
11
29
9
25
36
598
13
296
9
218
気 中 濃 度 (μg/m
測定開始後24時間
一台当たりのホルムアルデヒド放散速度
:
28μg/h・unit
面積当たりのホルムアルデヒド放散速度
:
2 9 μ g / m 2・ h
Ⅲ-2-2-3
1-2-3プラズマテレビの測定
図 Ⅲ -2-2-3大 形 チ ャ ン バ ー に よ る プ ラ ズ マ テ レ ビ の 測 定
【測定条件】
化 学 物 質 測 定 用 の 5 m 3の チ ャ ン バ ー に よ り 稼 働 状 態 で 測 定 を お こ な っ
た。
測定温度
:28℃、
測定湿度
:50%
チャンバー容積 :5m3
換気量
:2.5m3/h
稼働状態:DVDで再生した信号を端子から取り込み映像、音声とも出
力
表 Ⅲ -2-2-2
ブランク測定値
プラズマテレビの測定結果
: 2 μ g / m3 以 下
5hr
24hr
34
93
82
22
58
38
17
52
28
1240
1038
753
気 中 濃 度 (μg/m3)
プラズマテレビ(42型 )
ホルムアルデヒド
トルエン
スチレン
TVOC
48hr
測定開始後24時間
一台当たりのホルムアルデヒド放散速度
:
55μg/h・unit
面積当たりのホルムアルデヒド放散速度
:
3 4 μ g / m 2・ h
Ⅲ-2-2-4
2数値解析
設 定 し た 境 界 条 件 を も と に 、数 値 解 析 を 乱 流 モ デ ル の 一 つ で あ る 低 R e 型
k -ε モ デ ル に 基 づ き 、 下 記 手 順 で 数 値 解 析 、 す な わ ち 放 散 挙 動 の シ ミ ュ レ
ーションを行った。
2 - 1 室 内 空 気 中 、 建 材 中 の VOC 輸 送 方 程 式 の 設 定
空気移動(化学物質輸送)についての設定、材料、素材の化学物質放散量
とその熱的、時間的な挙動変化の数値化を行った。
22m 3 (3150×3150×2200)
解析モデル
(6畳 寝 室 相 当 )
TV 発 熱 :
換気出口
ドア
TV
換空気入口
換 気 風 量 : 0.5 回
TVボード
床
図 Ⅲ -2-2-4
ベッド
解析モデル概略図
2-2吸脱着面に関する支配方程式設定
建 築 基 準 法 が 定 め る 放散速度には下記のクラスがあり建材における推定の目
安としている。過去における知見からパラメーターを推定した。
F☆☆☆☆
: 5μ g/m2h
F ☆ ☆ ☆ : 5~ 20μ g/m2h
F ☆ ☆ : 20~ 120μ g/m2h
F☆☆相当部材の当社測定結果
部 材 内 部 平 衡 濃 度 Ce= 760μ g/m3
部 材 内 部 物 質 拡 散 係 数 kg= 0.16m/h
を基に、F☆☆☆、F☆☆☆☆部材の物性値を推測設定した。
Ⅲ-2-2-5
表 Ⅲ -2-2-3
物質放散の境界条件(推定値)
Ce(μg/m3)
クラス
kg(m/h)
F☆☆
760
0.16
F☆☆☆
251
0.080
F☆☆☆☆
151
0.033
一方、テレビボードやベッドなどは上記のような知見がないことから
実測値からパラメーターを導いた。
表 Ⅲ -2-2-4
ベ ッ ド 、 TVボ ー ド の ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 放 散 量 測 定 結 果
※放散速度はともに木部材の露出面の面積を用いて算出した。
ベッド
TVボード
気中濃度測定結果
μg/m3
9
12
40
換気風量
m 3/ h
11
5.5
1
放散面積
m2
放散速度
μ g / m 2・ h
3.85
25.7
4.94
17.1
平 均 値 21 .4
8.1
上 記 の 推 定 と 図 ② - 2 - 6 に 基 づ き 、 放 散 速 度 に 対 す る Ce、 kgの 近 似 式 を 求 め 、
今 回 の ベ ッ ド と TVボ ー ド の 放 散 条 件 を 設 定 し た 。ま た 、H B F 式 に よ り 気 中 濃 度
の推定を行った。
ベッド
: Ce=296μ g/m3、 kg=0.073m/h
TVボ ー ド
: Ce=180μ g/m3、 kg=0.045m/h
TVボード ベッド
μ
8.1μg/m2h 21.4
0.32
g/m2h
700
600
Ce [μg/m3]
0.28
Ce近 似 式
0.24
y = 61.369x0.5137
R2 = 0.9812
500
0.2
400
0.16
kg近 似 式
300
kg[m/h]
800
0.12
200
0.08
◆: Ce
■: kg
y = 0.0161x0.4915
R2 = 0.9795
100
0
0
20
40
図 Ⅲ -2-2-5
60
80
放散速度 [μg/m2h]
100
120
0.04
0
140
ベ ッ ド 、 TVボ ー ド の 放 散 条 件 の 設 定
Ⅲ-2-2-6
HBF式
1
1
n
1
=
×
+
C
αCe L
Ce
1
1 ⎛ 1
n
⎞
=
×
+ 1⎟
⎜
C
Ce ⎝ α
L
⎠
1
1
1
=
+
α
kg
ko
α :吸収係数
C :チャンバー気中濃度
Ce : 平 衡 濃 度
n :換気回数
L :試料負荷率
kg :建材内部から表面ま
での物質熱伝達率
ko : 表 面 近 傍 の 気 中 物 質
熱伝達率
Ⅲ-2-2-7
2-3化学物質放散挙動の表現
パ ラ メ ー タ ー を 入 力 す る こ と に よ り 、化 学 物 質 放 散 挙 動 を 解 析 し 、室 内 の
化 学 物 質 分 布 を 可 視 化 で き る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し た 。テ レ ビ は 熱 放 散
が比較して大きいプラズマテレビを想定した。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 図 Ⅲ -2-2-6 に 示 す 。
断面位置
単
単 位 :
位 :℃
m/ s
T
V
TV
電
ベッド
源
オ
ン
<室 内 中 央 の垂 直 断 面 >
<室 内 中 央 の垂 直 断 面 >
<床 上 10cm高 さの水 平 断 面 >
温 度 分
速度分布
布
T
ベッド
V
電
源
オ
フ
<室 内 中 央 の垂 直 断 面 >
TVボード
<室 内 中 央 の垂 直 断 面 >
<床 上 10cm高 さの水 平 断 面 >
温 度 分
速度分布
布
図 Ⅲ -2-2-6
シミュレーション結果(温度、風速)
テレビの電源オンの際は上昇気流の発生によって部屋全体の空気
が撹拌されていることがわかった。
Ⅲ-2-2-8
2-4-1ホルムアルデヒドの室内濃度分布の推定(1)
テ レ ビ の 電 源 を 投 入 し た 際 の 室 内 濃 度 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 を 図 Ⅲ -22-7に 示 す 。 テ レ ビ か ら の 熱 放 散 に よ っ て 比 較 的 均 質 な 状 態 に な っ て い る の
がわかる。
ベッド付近とTVボード近くでやや濃度が濃い場所がある。
水 準 1 TV電源 ON
単 位 :
g/k g
TV
TVボード
ベッド
ベッド
<就 寝 時 脚 付 近 の垂 直 断 面 >
<就 寝 時 頭 部 付 近 の垂 直 断 面 >
ベッド
ベッド
TVボード
TV
<床 上 10cm高 さの水 平 断 面 >
<ベッド上 20cm(就 寝 位 置 )高 さの水 平 断 面 >
図 Ⅲ -2-2-7
シミュレーション結果(ホルムアルデヒド濃度1)
Ⅲ-2-2-9
4-1-2ホルムアルデヒドの室内濃度分布の推定(2)
テレビの電源を投入しない場合の室内濃度シミュレーションの結果を図
Ⅲ -2-2-8に 示 す 。ホ ル ム ア ル デ ヒ ド の 濃 度 の 高 い と こ ろ と 低 い と こ ろ の 差 が
大 き く な っ て い る 。ベ ッ ド や T V ボ ー ド に 近 い と こ ろ で は 非 常 に 濃 度 が 高 く
なっている。
水 準 2 TV電源 OFF
TV
単 位 :
ベッド
<就 寝 時 脚 付 近 の垂 直 断 面 >
TVボード
ベッド
g/k g
<就 寝 時 頭 部 付 近 の垂 直 断 面 >
ベッド
ベッド
TVボード
TV
<床 上 10cm高 さの水 平 断 面 >
図 Ⅲ -2-2-8
<ベッド上 20cm(就 寝 位 置 )高 さの水 平 断 面 >
シミュレーション結果(ホルムアルデヒド濃度2)
・ 数値計算より推定したホルムアルデヒド出口濃度
水準1
TV電源ON
20μg/m3
水準1
TV電源ON
2 3 μ g / m 3( テ レ ビ の 放 散 含 む )
水準2
TV電源OFF
15μg/m3
z T V 発 熱 に よ る 対 流 を 考 慮( T V 電 源 O N )し た 場 合 、考 慮 し な い( T V 電 源
O F F )場 合 に 比 べ チ ャ ン バ ー 出 口 濃 度 は 、約 1.35倍( テ レ ビ 放 散 を 含 む 場 合 約
1.5倍 ) と な っ た 。
こ の こ と か ら 、発 熱 体 か ら の 自 然 対 流 に よ り 、部 材 表 面 か ら の 物 質 放 散 が 促 進 さ
れたと考えられる。
Ⅲ-2-2-10
3実測による数値解析検証
3-1大 型チャ ン バーお よ び実大 住 宅によ る 実測検 証
数値解析シミュレーションは実現象を簡易にモデル化している部分が多
い た め 実 現 象 と の 対 応 の 検 証 が 必 要 で あ る 。検 証 と 数 値 解 析 を 繰 り 返 す こ と
に よ っ て シ ミ ュ レ ー タ の 精 度 向 上 を 図 る 。検 証 は 、大 型 チ ャ ン バ ー お よ び 実
大 住 宅 を 用 い て 実 施 す る 。外 部 環 境 の 影 響 を 受 け に く い 大 型 チ ャ ン バ ー に よ
る 検 討 を 先 行 し て 進 め 、大 型 チ ャ ン バ ー の 測 定 と 対 応 さ せ る 形 で 一 部 を 実 大
住 宅 で 検 証 す る 。大 型 チ ャ ン バ ー を 利 用 し 、表 面 風 速 、物 質 伝 達 率 、化 学 物
質 濃 度 を 直 接 測 定 し 、計 算 さ れ た 化 学 物 質 濃 度 と 比 較 す る こ と よ り 精 度 の 検
証と改善を行う。
17年度は大型チャンバーにて検証実験を行うための評価用のセンサについ
て 調 査 を お こ な っ た 。( 東 京 大 学 と の 共 同 実 施 )
国 立 大 学 法 人 東 京 大 学 は 、室 内 化 学 物 質 発 生 源 、発 生 物 質 、放 散 挙 動 調 査 の 中
で 、数 値 解 析 検 証 と し て 実 大 実 験 チ ャ ン バ ー 内 で の 化 学 物 質 の 空 間 濃 度 分 布 を 測
定 す る に あ た り 、使 用 す る 市 場 流 通 品 の セ ン サ の 仕 様 調 査 し 、そ の ス ク リ ー ニ ン
グ 調 査 を 行 な い 、今 後 行 う 市 場 流 通 品 セ ン サ の 本 担 当 分 の 適 応 性 を 明 ら か に す る
ことを目的とした。
実施概要
本調査を推進するに当たり以下の項目について検討を行った。
1. カ タ ロ グ に よ る 市 場 流 通 品 の TVOC 計 の デ ー タ 比 較
2. 選 択 し た TVOC 計 の 文 献 調 査
3. 室 内 フ ィ ー ル ド に お け る TVOC セ ン サ の 特 性
4. 屋 外 フ ィ ー ル ド に お け る TVOC セ ン サ の 特 性
実施内容
カ タ ロ グ に よ る 市 場 流 通 品 の TVOC 計 の デ ー タ 比 較
TVOC 計 に よ り 表 示 さ れ る 値 の 意 味
カ タ ロ グ に よ り 市 場 で 流 通 し て い る TVOC セ ン サ を 調 査 し た と こ ろ 、 TVOC
計 セ ン サ と い う も の は 市 場 に は 存 在 せ ず 、多 く の 場 合 炭 化 水 素 の 総 量 を 測 定 す る
モ ニ タ で あ る こ と が わ か っ た 。こ こ で 、TVOC と 炭 化 水 素 の 違 い で あ る が 、TVOC
は 室 内 VOCs の 総 量 を 表 し 、 国 内 で は 指 針 値 が 策 定 さ れ て い る 13 物 質 以 外 の
VOCs 総 量 規 制 の 指 標 と し て 用 い ら れ て い る 。そ の 定 義 は 対 象 範 囲 を C 6 か ら C 1 6
と し そ の 中 の 同 定 物 質 お よ び 未 同 定 物 質 の 濃 度 の 和 を 意 味 す る 。こ れ に 対 し 、総
炭 化 水 素 は 、屋 外 大 気 や 水 質 の 分 野 で 用 い ら れ て い る 手 法 で あ る 。屋 外 大 気 の 場
合は存在するほとんどの炭化水素がメタンであることから、メタンを除いた
VOCs の 炭 素 数 を 体 積 濃 度 比 で 表 す 非 メ タ ン 炭 化 水 素 ( Non-Methane Hydro
Carbon、 以 下 NMHC)と い う 指 標 を 用 い る 。水 質 の 分 野 で は 総 有 機 炭 素( Total
Organic Carbon、 以 下 TOC) を 用 い る 。 こ の 指 標 は 水 中 の 有 機 物 質 を 熱 分 解 し
有 機 体 の 炭 素 を 二 酸 化 炭 素 に し 、そ の 濃 度 を 測 定 す る こ と に よ り 炭 素 量 を 求 め た
も の で あ る 。市 場 に 流 通 す る 13 種 類 の セ ン サ の う ち TVOC 計 と し て 市 販 さ れ て
Ⅲ-2-2-11
い る セ ン サ は 上 記 の NMHC 計 あ る い は TOC 計 で あ っ た ( 表 Ⅲ-2-2-5 参 照 )。
センサ選定基準
表 Ⅲ-2-2-5 に 示 し た 13 種 類 の セ ン サ の う ち 本 研 究 で 数 値 計 算 の 検 証 用 に 使 用
す る セ ン サ に 要 求 さ れ る 項 目 と し て 、実 験 室 内 あ る い は 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 後 に 行
う 実 環 境 中 で の 濃 度 変 動 を 測 定 で き る こ と 、自 動 的 な 測 定 お よ び そ の 後 の 解 析 を
す る た め に コ ン ピ ュ ー タ に 接 続 で き る こ と 、さ ら に 空 間 分 布 が 測 定 で き る こ と が
要求される。
以上より、本プロジェクトで使用するセンサの選定基準を下記の 4 点とした。
1. 連 続 モ ニ タ リ ン グ が 可 能
2. 外 部 出 力 が あ る
3. 持 ち 運 び 可 能
4. 多 点 同 時 計 測 が 可 能
Ⅲ-2-2-12
表Ⅲ-2-2-5
市場流通品 TVOC 計一覧
●TVOC簡易測定法
検出方式
FID
水素炎イオン化検出器
メーカー名
表示単位
測定範囲(ppm)
測定精度/分解能
PHOTOVAC
1 (輸入・伯東)
Micro-FID
ppm
0.5-50,000ppm
2 PHOTOVAC
2020-PRO
ppm
0.5-20,000ppm
(輸入・伯東)
PID
名称・型式
3 Rae systems
(輸入・横河電機)
PGM7600
ppm
0-10,000ppm
4 Rae systems
(輸入・横河電機)
VM30
ppm
0-2,999ppm
光イオン検出器
ppbまたはppm
・172物質をトルエン換算
5 Rae systems
ppbRAE plus
(輸入・松下テクノトレーディング)
・レンジ切替(ppm)
PAS
INNOVA社
6 (輸入・松下テクノトレーディング)
1312型
7 MK Scientific
VOC計 C-21
8 フィガロ技研
FTVR-01
9 新コスモス電機
XP-339V
検出限界 メタン0.5ppm 2sec.
3.7Kg
2sec.
0.8Kg
±2ppm
分解能 0.1ppm
±2ppm
分解能 0.1ppm
〃 0.1ppm
10-99.9ppm
その他
3sec.
0.55Kg
(90%応答)
10sec.
0.18kg
(90%応答)
5sec.
0.553kg
(90%応答)
〃 1ppm
検出能力:1ppm
0.5-500 ppm
50-100ppm
光学フィルターで5種類まで定量可能
10%
0.14kg
~1000μg/m3 (トルエン換算 0.3ppm)
μg/㎥
半導体式検出器
重量
分解能 1ppb
0-9.999ppm
100-20,009ppm
光音響法
測定時間
・レンジ切替(μg/㎥)
1000/10000/100000
~10000μg/m3 (トルエン換算 2.7ppm)
~100000μg/m 3 (トルエン換算 26.9ppm)
無単位
(指示値 0-1000)
0.55kg
●ポータブルガスクロマトグラフィー(TVOC、VOC)
検出方式
メーカー名
名称・型式
表示
測定範囲(ppm)
測定精度/分解能
測定時間
重量
その他
ベンゼン 0.05-100ppm
PID
光イオン検出器
PHOTOVAC
10 (輸入・伯東)
トルエン 0.05-200ppm
Petro-Pro
ppbまたはppm
エチルベンゼン 0.1-200ppm
30-250sec.
6.6kg
ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,m-キシレン
10min.
9kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
パラジクロロベンゼン、TVOC
8min.
5.8kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
30min.
9kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
m-キシレン 0.05-100ppm
3
半導体式検出器
11 ジェイエムエス
JHV-1000
μg/㎥
10-1,000μg/m
(トルエン換算 0.03-0.3ppm)
12 アビリット
EGC-2
ppmまたはμg/㎥
19-4340μg/m 3
(トルエン換算 0.005-1.2ppm)
13 新コスモス電機
XG-100V
ppbまたはμg/㎥
4-3700μg/m3
(トルエン換算 0.001-1.0ppm)
Ⅲ-2-2-13
再現性±5%F.S.
指示濃度誤差±5%
表 Ⅲ -2-2-5 に 示 し た セ ン サ の 中 か ら 上 記 の 選 定 基 準 を 満 た す セ ン サ と し て 、 光
音 響 分 光 法 (Photo Acoustic Spectroscopy、 以 下 PAS 法 )に よ る Innova 社 の マ ル
チ ガ ス モ ニ タ ー 、お よ び 光 イ オ ン 化 検 出 器 法( Photo Ionization Detector、以 下
PID 法 ) に よ る Rae Systems 社 の ppb RAE Plus を 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 使 用 す る
測 定 器 と し た 。な お 、こ れ 以 外 の セ ン サ は い ず れ か の 選 定 条 件 が 欠 け る こ と か ら
仕様検討の時点で除外した。
選 択 し た TVOC セ ン サ の 文 献 調 査
PAS 法 の Innova 社 製 マ ル チ ガ ス モ ニ タ ー
基本原理
PAS 法 で は 、 光 学 フ ィ ル タ ー を 通 過 し た 測 定 対 象 分 子 固 有 の 赤 外 吸 収 波 長 の
赤 外 光 を 試 料 ガ ス に 照 射 し 、対 象 分 子 に 運 動 エ ネ ル ギ ー と し て 吸 収 さ せ る 。分 子
が 運 動 エ ネ ル ギ ー を 吸 収 す る と 気 体 の 温 度 が 上 昇 す る 。温 度 の 上 昇 は 、圧 力 一 定
の 場 合 に は 気 体 の 体 積 を 膨 張 さ せ 、或 い は 容 積 が 一 定 の 場 合 に は 圧 力 を 上 昇 さ せ
る 。圧 力 の 変 動 を マ イ ク ロ フ ォ ン で 音 と し て 検 出 す る 方 法 が 、光 音 響 分 光 法 の 原
理 で あ る 。 本 装 置 に は 25 種 類 の 光 学 フ ィ ル タ ー が 用 意 さ れ て い て 、 そ の 中 に は
炭 化 水 素 の 総 量 を あ ら わ す TOC の 他 、 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 開 発 が 進 め ら れ て い る
Formaldehyde、 Toluene、 Styrene な ど の 物 質 の 測 定 も 可 能 で あ る 。
PAS 法 の Innova 社 製 マ ル チ ガ ス モ ニ タ ー の 特 性
PAS 法 の Innova 社 製 マ ル チ ガ ス モ ニ タ ー の 特 性 に つ い て 検 討 し た 文 献 を 検 索
したが適当な文献を探し出すことはできなかった。
PID 法 の Rae Systems 社 ppb RAE Plus
基本原理
PID モ ニ タ 検 出 部 は 、イ オ ン 化 装 置 (UV ラ ン プ )、イ オ ン 検 出 器 (PID セ ン サ ー )か
ら 構 成 さ れ て い る 。 UV ラ ン プ が 照 射 す る エ ネ ル ギ ー (10.6eV)よ り も 低 い イ オ ン
化 ポ テ ン シ ャ ル を 持 つ VOCs が イ オ ン 化 さ れ 、 検 出 器 に 導 入 さ れ る 。 イ オ ン 化 ガ
ス の 電 荷 量 を 単 一 ガ ス 濃 度 に 換 算 し て 表 示 す る 。物 質 ご と に 相 対 感 度 を 基 準 と す
る 補 正 係 数 (Collection Factor)が 用 意 さ れ て お り 、 測 定 値 に 補 正 係 数 を 掛 け る
こ と で 任 意 の VOCs 換 算 濃 度 が 求 ま る 。表 示 さ れ る 測 定 値 は 、各 種 VOCs の 中 で 相
対 感 度 が 中 程 度 の イ ソ ブ チ レ ン が 標 準 と し て 用 い ら れ て い る( 図 Ⅲ -2-2-10 参 照 )
+
-
+
+
-
-
+
-
ガスを吸引
UVランプ10.6eV
イオン信号化
検出
図 Ⅲ -2-2-10
測定原理
Ⅲ-2-2-14
チャージされたガスイオンが
センサー内のチャージ・プレー
トと結合し電流が形成
野 崎 ら 1 )は 、GC/MS と PID モ ニ タ を 用 い て 、36 成 分 VOC 混 合 ガ ス の TVOC
濃 度 を 測 定 ・比 較 し た 。結 果 、両 者 の 値 に は R2 が 0.999 以 上 と 高 い 相 関 が 確
認 さ れ 、 PID の 測 定 性 能 が 実 験 室 レ ベ ル で 示 さ れ た 。 平 野 ら 2 ) は 、 改 正 大
気汚染防止法に係る測定法を決める際の検討として、簡易測定法の中から
FID、 触 媒 酸 化 -NDIR、 PID を 用 い 、 ト ル エ ン を 基 準 と し た 各 VOC 成 分 の 相 対
感 度 調 査 を 行 っ た 。そ の 結 果 、FID、触 媒 酸 化 -NDIR は 様 々 な VOC に 対 し て 一
様 な 感 度 を 有 し て い る 一 方 、 PID は 脂 肪 族 炭 化 水 素 や ア ル コ ー ル 類 な ど 、 一
部 の VOC に 対 し て は 感 度 が 低 い と 報 告 し て い る 。
図 Ⅲ -2-2-11( 左 : 族 別 , 右 : 炭 素 数 別 )
室 内 フ ィ ー ル ド に お け る TVOC セ ン サ の 特 性 の 検 討
目的
実 環 境 で は さ ま ざ ま な 物 質 が 存 在 す る こ と や 、水 蒸 気 な ど の 干 渉 が 考 え ら れ る
ことから、フィールドにおいて本センサを使用し精密法と比較することにより、
多成分共存下における各センサの特性とその影響に関するデータを蓄積するこ
とを目的とした。
Ⅲ-2-2-15
測定概要
測 定 は 2006 年 1 月 か ら 2 月 の 間 に 、住 宅 12 軒 、事 務 所 3 軒 、作 業 環 境 5 箇 所
の 測 定 を 行 っ た 。 そ れ ぞ れ の 環 境 で 、 PAS 法 、 PID 法 と レ フ ァ レ ン ス と な る 精 密
法 に よ る 同 時 測 定 を っ た 。詳 細 は 表 2 に 記 し た 。た だ し 、本 測 定 に お い て は PAS
法 の マ イ ク が 不 安 定 で あ っ た こ と が 測 定 後 判 明 し た た め PAS 法 に よ る 測 定 結 果
は欠測とした。
表 Ⅲ -2-2-6
精密法
捕集法
吸着剤捕集
Carbopack B 200g充填チューブ
定義
捕集・分析条件
簡易法(PAS)
直接導入
多点測定時:
Innova
Multi Point Sampler Doser 1303
TD: Perkin Elmer ATD 400
Primary Desorption: 300oC(10min.)
PAS
GC/MS
Innova
定性・定量 Hewlett Packard 6890
Multi Gas Monitor 1312
Hewlett Packard 5973
分離カラム
-1
分離条件
HP5-MS 30m x 0.25mm x 0.25um 光学フィルター:UA0987(2950cm )
昇温プログラム 40oC (4min.) - 10oC/min. - 280oC(0 min
キャリアー, 流速 He, 1mL/min.
120mL/min.
簡易法(PID)
直接導入
ppbRAE plus (PGM7240)
-
前処理
Ⅲ-2-2-16
PID
Rae Systems
ppbRAE plus (PGM7240)
イオン化ランプ:10.6eV
500mL/min.
実測による精密法と選定センサの関係
測 定 結 果 の う ち 住 宅 に 関 す る も の を 図 ② - 2 - 1 2 に 示 す 。横 軸 に は 精 密 法 に
よ る 値 を 、縦 軸 に は PID に よ る 測 定 結 果 を 示 す 。こ れ よ り 、実 環 境 で も 精 密 法 と
PID 法 に よ る TVOC 値 の 間 に は 相 関 関 係 が 存 在 す る 可 能 性 が 確 認 で き た 。 ま た そ
れ ぞ れ の 住 宅 に お け る 傾 き を 比 較 し た と こ ろ 、近 い 値 を 示 し た こ と か ら 用 途 が 似
通 っ た 環 境 で は 一 定 の 換 算 係 数 を 用 い る こ と が で き る と 考 え ら れ た 。た だ し 、そ
れぞれの相関式の切片にはばらつきが見られること今後はデータを蓄積するこ
と に よ り 、そ れ ぞ れ の 測 定 法 を 関 連 付 け る 式 1 に 示 す よ う な 補 正 式 を 提 案 す る こ
とができる。
C=kC m +b
( 式 1)
C: 精 密 法 に よ る TVOC
の 値 ( μg/m 3 )
k: 換 算 係 数
Cm: 簡 易 モ ニ タ ー に よ る TVOC 値 ( μg/m 3 )
b: 切 片
6.0E+02
TVOCPID
toluene eq〔μg/m
3
〕
y = 0.22x + 280
R2 = 0.89
4.0E+02
2.0E+02
y = 0.27x + 160
R2 = 0.27
住宅A
住宅B
y = 0.14x + 58
R2 = 0.28
0.0E+00
0.0E+00
4.0E+02
8.0E+02
研究室
3
1.2E+03
TVOCMS toluene eq 〔μg/m 〕
図 Ⅲ -2-2-11
精 密 法 と PID 法 の 関 係
Ⅲ-2-2-17
まとめ
・ 市 場 流 通 品 TVOC セ ン サ の 調 査 を 行 っ た 。
・ 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 使 用 す る セ ン サ の 仕 様 を 比 較 検 討 し た 結 果 、 PAS 法 の
Innova 社 の マ ル チ ガ ス モ ニ タ ー と PID 法 の Rae Systems 社 の ppb RAE Plus
を選定した。
・ 文 献 調 査 か ら 、 PAS 法 の 文 献 は 検 索 で き な か っ た 。
・ 文 献 調 査 お よ び 実 験 か ら 、PID 法 は 一 般 環 境 中 に 存 在 す る 単 一 物 質 に つ い て
は精密法とよい相関があることが分かった。
・ PID 法 は 物 質 に よ り 相 対 感 度 が 異 な る こ と が 分 か っ た 。
・ PID 法 に は 、応 答 に 若 干 の 遅 れ が 確 認 さ れ た が 、本 プ ロ ジ ェ ク ト で 必 要 と さ
れる応答性能は十分に満たしていた。
・ 複 数 の 成 分 が 存 在 す る 一 般 環 境 下 で 精 密 法 と PID 法 の 測 定 結 果 を 比 較 し た
結果相関がある可能性を確認した。
・ 一 般 環 境 下 に お け る 精 密 法 と PID 法 に よ る 時 系 列 デ ー タ と の 比 較 に よ り 、
精密法では確認できなかった濃度変動が生活行為により引き起こされるこ
と が 確 認 さ れ 、PID 法 に よ り こ の 濃 度 変 化 が 的 確 に 把 握 で き る こ と が 確 認 さ
れた。
・ 外 気 の VOC 濃 度 は 換 気 シ ス テ ム の 運 転 状 況 を 左 右 す る 因 子 で あ る た め 、 採
用 モ ニ タ を 使 用 し て 外 気 TVOC 濃 度 の 実 測 を 行 っ た が 、測 定 日 が 偶 然 低 濃 度
であったため、十分な検証を行うことはできなかった。
参照文献:
1) 野 崎 敦 夫 , PID モ ニ タ に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 測 定 性 に 関 す る 研 究 , 室 内 環
境 学 会 平 成 14 年 12 月 , (2002)
2) 平 野 耕 一 郎 , 明 ら か に な っ た VOC 規 制 」VOC の 測 定 方 法 , 大 気 環 境 学 会 関 東
支部総会講演会
平 成 17 年 8 月 8 日 , (2005)
Ⅲ-2-2-18
3-2寝室の人影響の数値解析
図 Ⅲ -2-2-12
寝室のシミュレーション結果
寝 室 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 図 Ⅲ -2-2-12 に 示 し た 。
人の発熱によって対流がおこることが確認された。
Ⅲ-2-2-19
図 Ⅲ -2-2-13
寝室のシミュレーション流れパターン考察
寝 室 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 空 気 の 流 れ パ タ ー ン を 考 察 し た も の を 図 Ⅲ -2-2-13
に示す。
テレビと人の発熱により複雑な空気の流れが生じているのがわかる。
Ⅲ-2-2-20
4換気システム開発のための調査
4-1制御法の調査
4-1-1換気システムの概略
省エネと化学物質対策のベストバランスを実現するために
以下の条件を設定した。
・化学物質発生源付近から排出する。
・少ないセンサ(できれば1個)で検知制御を行う。
・現 状 の 換 気 シ ス テ ム か ら 適 応 で き る 換 気 シ ス テ ム を 選 択 し 改 良 を 加 え る こ と
で制御の実用化を図る。
こ れ ら の 条 件 を 考 慮 し て 下 記 換 気 シ ス テ ム を 提 案 し た 。 (図 Ⅲ -2-2-14)
図 Ⅲ -2-2-14
換気システム概要
Ⅲ-2-2-21
4-1-2センサ設置位置の検討
室内の化学物質を検知するセンサの最適な設置位置をもとめるため室内の化
学 物 質 濃 度 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 っ た 。設 置 場 所 は 住 宅 の リ ビ ン グ ダ イ ニ ン グ
を 想 定 し て 発 生 源 を 床 と テ ー ブ ル と し て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 っ た 。設 定 条 件 を
図 Ⅲ -2-2-15
に示す。
図 Ⅲ -2-2-15
検討対象設定条件
Ⅲ-2-2-22
図 Ⅲ -2-2-16
センサ設置位置の検討
セ ン サ 設 置 位 置 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 図 Ⅲ -2-2-16 に 示 す 。
濃度分布の色から人体の吸入と排気口の位置で大きく濃度がことならないこと
がわかった。
Ⅲ-2-2-23
4-1-3化学物質吸着現象の影響
室内の化学物質濃度を検知して制御するために化学物質が室内の建材などへ
吸着する現象について調査しておく必要がある。
吸着現象測定法
JIS
A
1 9 0 5 - 1 、- 2 に 基 づ き 一 般 的 な 建 材 の 吸 着 性 能 測 定 を 行 っ
た。
装置はアドテック社製、A-4MIXを使用した。
概 念 図 を 図 Ⅲ -2-2-17 に 示 す 。
図 Ⅲ -2-2-17
化学物質吸着性能測定装置概略図
この測定のポイントは①建材の表面風速を詳細にコントロールすることと②供
給ガス濃度を一定に保つこと。であり、
①20Lの小型チャンバーでも精密に風速をコントロールするために内部構
造を工夫し、
ファンを作動させた。
② ガ ス 濃 度 が 1 ppm の ガ ス ボ ン ベ を 購 入 し 、1 / 1 0 に ク リ ー ン ガ ス で 希 釈 す
ることによって約0.1ppmのガスを供給する。
な ど の 対 策 を 行 い 。ま た 、同 時 に 4 系 統 の 測 定 が で き る の で リ フ ァ レ ン ス と し て
空のチャンバーを同時に稼働させ測定サンプルデータと比較した。
Ⅲ-2-2-24
図 Ⅲ -2-2-18
図 Ⅲ -2-2-19
吸着性能測定装置
吸着性能測定サンプル
Ⅲ-2-2-25
表 Ⅲ -2-2-1
吸着性能測定結果
Ⅲ-2-2-26
表 Ⅲ -2-2-2
吸着性能測定結果
まとめ
小形チャンバーおよび大形チャンバーを使用した室内での化学物質吸着現象
について以下のことがわかった。
・トルエンの吸着は温度変化よりも湿度変化に敏感であった。
・ア セ ト ア ル デ ヒ ド の 吸 着 は 壁 紙 を 使 用 し た も の が 大 き く 壁 紙 を 使 用 し な い も の
は 小 さ か っ た 。壁 紙 を 接 着 し て い る 接 着 剤 に 含 ま れ る キ ャ ッ チ ャ ー 剤 の 影 響 が
考えられるが詳細な原因は不明であった。
・大 形 チ ャ ン バ ー の 測 定 で は 小 型 チ ャ ン バ ー の 時 の よ う な 吸 着 量 が 発 生 し な か っ
た。
大形チャンバーでは表面の風速などはコントロールできないため吸着性能
に影響がでたものと考えられる。
・室 内 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を す る 場 合 は 室 内 の 建 材 表 面 の 風 速 が 重 要 な ポ イ ン ト
となると考えられる。
Ⅲ-2-2-27
4-2-1換気システム制御アルゴリズム(19年度検討内容)
プロジェクトで開発中の高感度化学物質検出器を利用した住宅用の換気シ
ステムの
基本的なアルゴリズムについて検討を行った。
図 Ⅲ -2-2-20 換 気 シ ス テ ム 制 御 ア ル ゴ リ ズ ム
図 Ⅲ -2-2-21
換気システム検知制御システム
Ⅲ-2-2-28
4-2-2換気経路制御アルゴリズム(20年度検討内容)
19年度の検討において住宅の化学物質の発生の傾向が建材などの全体的
な発生から部屋ごとの突発的な発生に問題があることがわかってきた。
部屋ごとの化学物質濃度と検知し、その情報をもとに新たな換気システム
を提案した。
図 Ⅲ -2-2-22
換気システム換気経路制御
Ⅲ-2-2-29
4-3実証法
4-3-1モデル住宅の概要
モ デ ル 住 宅 は 、財 団 法 人 ベ タ ー リ ビ ン グ つ く ば 建 築 試 験 研 究 セ ン タ ー 内 に 設 置
さ れ て い る 在 来 軸 組 構 法 木 造 2 階 建 実 大 実 験 住 宅 を 用 い る 。実 験 住 宅 の 基 本 仕 様
を 平 面 図 お よ び 立 面 図 を 図 Ⅲ -2-2-23~ 図 Ⅲ -2-2-25 に 、 写 真 を 図 Ⅲ -2-2-26 に 示
す。
表 Ⅲ -2-2-3
構
法
階
数
仕
木造
1820
在来軸組構法
2階
床 面 積( m 2 )
断熱性能
様
延 床 面 積 130.83( m 2 )、1 階 72.87( m 2 )、2
階 57.96( m 2 )
次世代省エネルギー基準のⅢ地域
1820
1820
910
浴室
洗面
ト
イ
レ
10010
910
910
3640
物入
キッチン
2275
目
リビング
5915
項
実験住宅の基本仕様
UP
1Fホール
玄関
物入
8190
8190
3640
物入
押
入
910
1820
和室
1820
910
3640
3640
10010
図 Ⅲ -2-2-23
実験住宅平面図(1階)
Ⅲ-2-2-30
8190
1820
2730
910
2730
1820
ト
イ
レ
2Fホール
8190
1820
DN
納戸
4550
洋室C
(北東子供部屋)
8190
物入
3640
洋室A
洋室B
910
(南東子供部屋)
4550
3640
8190
図 Ⅲ -2-2-24
実験住宅平面図(2階)
図 Ⅲ -2-2-25
立面図
Ⅲ-2-2-31
3640
(主寝室)
図 Ⅲ -2-2-26
実験住宅外観
Ⅲ-2-2-32
4-3-2システム制御の実証
実験住宅に設置されていた既存ダクト式換気システムのダクト及び室内グリ
ル は そ の ま ま に 、風 量 コ ン ト ロ ー ラ ー 部 と 給 気 フ ァ ン 、排 気 フ ァ ン の 取 り 替 え を
行い、第一種ダクト式換気システムを設置した。
第 一 種 ダ ク ト シ ス テ ム は 給 気 フ ァ ン と 排 気 フ ァ ン が 2 系 統 に 分 か れ て い る 。排
気 換 気 扇 の 端 部 に 補 助 排 気 フ ァ ン を 取 り 付 け 、汚 染 源 が 室 内 に 発 生 し た 場 合 、補
助 排 気 フ ァ ン の 風 量 を 変 化 さ せ る こ と で 、換 気 シ ス テ ム 全 体 の 消 費 電 力 を 抑 え か
つ効率よく室内濃度を低減させる方法を検討する。
図 Ⅲ -2-2-27 に 換 気 シ ス テ ム の 変 更 部 分 を 示 す
平 成 19 年 度
システム
平 成 20 年 度 シ ス テ ム
排気グリル(■部 1 階廊下、1 階リビング、2 階納戸 3 カ所)に補助排気ファ
ンを増設
図 Ⅲ -2-2-27
第一種ダクト式換気システム
Ⅲ-2-2-33
補助ファン設置改良状況
図 Ⅲ -2-2-28
図 Ⅲ -2-2-29
リビングへの補助排気ファン増設
1 階 廊 下( 左 写 真 )、2 階 納 戸( 右 写 真 )へ の 補 助 排 気 フ ァ ン 増 設
図 Ⅲ -2-2-30
2 階納戸と 2 階主寝室との通気グリル設置
Ⅲ-2-2-34
20年度提案の換気システムを検証するため2通りの換気経路を選択できる
ように改造を行った。
第 一 種 ダ ク ト 式 換 気 シ ス テ ム は 、排 気 フ ァ ン に 接 続 す る 1 階 排 気 口 の 違 い に よ
り、パターン A とパターン B の 2 種類に分ける。パターン A は、一階廊下天井
の排気口を排気ファンに接続するパターンである。パターン B は、一階リビン
グ天井の排気口を排気ファンに接続するパターンである。
パターンA
給 N o.4
浴室
洗面
ト
イ
レ
ト
イ
レ
キッチン
給 N o.8
洋室 NE
納戸
玄関
排 N o.9
排 N o.10
ホール
リビング
和室
給 N o.3
給 N o.7
給 N o.2
主寝室
給 N o.6
洋室 SE
給 N o.1
給 N o.5
パターンB
給 N o.4
浴室
洗面
ト
イ
レ
ト
イ
レ
キッチン
給 N o.8
洋室 NE
納戸
玄関
排 N o.9
排 N o.10
ホール
リビング
和室
給 N o.3
給 N o.7
給 N o.2
主寝室
給 N o.6
洋室 SE
給 N o.1
給 N o.5
図 Ⅲ -2-2-31
風量測定を実施した第一種ダクト式換気システムのダクト配管パ
ターン
Ⅲ-2-2-35
第一種ダクト式
給気ファンの風量測定
第 一 種 ダ ク ト 式 の 給 気 風 量 と 排 気 風 量 を 平 衡 さ せ る た め 、給 気 側 風 量 測 定 を 実
施 し た 。 測 定 結 果 を 表 Ⅲ -2-2-4、 図 Ⅲ -2-2-32 に 示 す 。 な お 給 気 グ リ ル 風 量 測 定
時における排気側風量設定は同一ノッチとした。
表 Ⅲ -2-2-4 第 一 種 ダ ク ト 式 換 気
Ⅲ-2-2-36
給気風量測定結果
200
2007測定
屋外グリル有
屋外グリル無
風量(m3/h)
150
100
50
0
弱
図 Ⅲ -2-2-32
中
第一種ダクト式
強
給気風量合計の比較
換 気 設 備 設 置 当 初 (2007 年 度 )測 定 し た 給 気 側 風 量 に 比 べ 、 今 回 の 測 定 結 果 は
弱 運 転 で 66%、 中 運 転 で 68%、 強 運 転 で 88%の 結 果 と な っ た 。 屋 外 グ リ ル の 目
詰 ま り に よ る 圧 力 損 失 が 増 大 す る こ と が 考 え ら れ る た め 、屋 外 グ リ ル を 取 り 外 し
て 状 況 を 確 認 し た 。防 虫 金 網 部 に 土 を 含 む 汚 れ が 付 着 し 圧 力 損 失 が 増 大 し た こ と
が 原 因 と 考 え ら れ た た め 、屋 外 グ リ ル を 取 り 外 し た 状 態 で 風 量 測 定 を 行 っ た 。屋
外 グ リ ル を 外 し た 状 態 で の 給 気 風 量 は 多 少 増 加 し た も の の 、昨 年 度 の 風 量 に 比 べ
る と 弱 運 転 で 71%、 中 運 転 で 72%、 強 運 転 で 90%の 結 果 と な っ た 。 給 気 フ ァ ン
の 送 風 機 の 能 力 低 下 が 考 え ら れ る 。給 気 フ ァ ン の フ ィ ル タ ー 目 詰 ま り も 確 認 し た
が、特に異状はなかった。
Ⅲ-2-2-37
第 一 種 ダ ク ト 式 に お け る 建 物 全 体 の 排 気 風 量( 補 助 フ ァ ン 停 止 状 態 )と 風 量 測
定 結 果 よ り 弱 運 転 で 120(m 3 /h)、中 運 転 で 160(m 3 /h)、強 運 転 で 210(m 3 /h)と し 、
給 気 風 量 測 定 結 果 と の 対 応 を 図 Ⅲ -2-2-33 に 示 す 。
こ の 結 果 、第 一 種 ダ ク ト 式 に お け る 排 気 弱 運 転 で の 風 量 120(m 3 /h)と 給 気 風 量
を 平 衡 さ せ る た め に は 、給 気 フ ァ ン の 設 定 を 中 と し 、か つ イ ン バ ー タ ー で 作 動 周
波 数 を 80Hz と す る こ と で 対 応 で き る 結 果 と な っ た 。
250
風量(m3/h)
200
150
弱
中
100
強
50
0
50
図 Ⅲ -2-2-33
60
70
80
90
100
インバーター設定周波数(HZ)
110
インバーター設定周波数と給気風量の関係
( 図 中 点 線 は 排 気 風 量 を 示 す 。)
Ⅲ-2-2-38
一定濃度法による換気量測定(定常運転)
測定方法
一定濃度法の測定原理は瞬時一様拡散の仮定で 式 1のように説明できる。 式
1は i 室におけるトレーサーガス濃度の変化量と流量および i 室内で発生するト
レーサーガス総量の関係式である。
左辺が i 室におけるトレーサーガス総量の変化を、右辺は第 1 項が i 室におけ
る発生量を第 2 項が外気を含む他室から流入してくるトレーサーガス総量を表
している。
mi
N
dCi
= S i + ∑ (C j − Ci )Qij (1 − δ ij )
dt
j =0
式 1
S i :トレーサーガスのi室における発生量 [ kg/h]
[ kg]
mi : i室の総空気量 C i : i室のトレーサーガス濃 度
[ kg/m 3 ]
Qij : j室からi室に流入する総空気量
[ kg/h]
[ h]
t : 時間 (i = jでδ ij = 1、i ≠ jでδ ij = 0)
δ ij : クロネッカーのデルタ 一 定 濃 度 法 は 外 気 を 除 い た 全 室 で 同 濃 度 と な る よ う に 制 御 を 行 う た め 、右 辺 第
2 項 の (C j − C i ) 部 分 が j ≠ 0 (外 気 以 外 )に お い て 0 と な る 。 ま た 濃 度 が 時 間 的 に 変 化
し な い よ う に 制 御 す る た め 、制 御 の タ イ ム ラ グ や 外 乱 の 変 動 に よ る 濃 度 変 化 が 無
視 で き る よ う な 場 合 に は 濃 度 変 化 の 項 が 0 と な り 左 辺 が 0 と な る 。そ の た め 式 2
のように整理できる。
0 = S i + (Ci − C0 )Qi 0
式 2
外 気 か ら i 室 に 流 入 す る 空 気 量 Qi 0 に つ い て 整 理 す る と 換 気 量 が 式 3 の よ う に な
り、各室におけるトレーサーガス発生量と外気および i 室のトレーサーガス濃度
が既知である場合、直接新鮮外気量が求められる。
Qi 0 =
Si
Ci − C 0
式 3
Ⅲ-2-2-39
トレーサーガスを用いた一定濃度法は、実験棟内を6つのブロックに分割し、
マ ル チ ガ ス モ ニ タ を 用 い 、ト レ ー サ ー ガ ス を 一 種 類 SF 6( 六 フ ッ 化 硫 黄 )と し た
実 験 と 、SF 6 と N 2 O( 亜 酸 化 窒 素 )の 二 種 類 の ト レ ー サ ー ガ ス を 同 時 に ド ー ジ ン
グした実験の2条件を行った。
実 験 条 件 を 表 Ⅲ -2-2-5 に 、実 験 棟 ブ ロ ッ ク 分 割
を 図 Ⅲ -2-2-34 に 、 実 験 仕 様 詳 細 を 表 Ⅲ -2-2-6 に 示 す 。
表 Ⅲ -2-2-5
トレーサーガスを用いた一定濃度法
実験条件
パターン
換気システム
A (廊 下 排 気 )
SF 6 、N 2 O
強
第一種ダクト式
B (リ ビ ン グ 排 気 )
同 時 測 定 SF 6 、N 2 O
(補助ファン停
中
〃
〃
止)
弱
〃
〃
同時測定
給 N o.4
浴室
洗面
ト
イ
レ
ト
イ
レ
キッチン
給 N o. 8
洋室 NE
玄関
納戸
排 N o.10
排 N o.9
ホール
リビング
和室
給 N o.3
給 N o.7
給 N o.2
主寝室
給 N o.6
洋室 SE
給 N o.1
給 N o.5
図 Ⅲ -2-2-34
第一種ダクト式
パターンA(廊下排気)
Ⅲ-2-2-40
給 N o.4
浴室
洗面
ト
イ
レ
ト
イ
レ
キッチン
給 N o.8
洋室 NE
玄関
納戸
排 N o.10
排 N o.9
ホール
リビング
和室
給 N o.3
給 N o.7
給 N o.2
主寝室
給 N o.6
洋室 SE
給 N o.1
給 N o.5
第一種ダクト式
1820
1820
910
浴室
洗面
ト
イ
レ
パターンB(リビング排気)
10010
910
910
3640
キッチン
2275
物入
リビング
5915
1820
図 Ⅲ -2-2-35
UP
玄関
物入
物入
8190
8190
3640
1Fホール
押
入
910
1820
和室
1820
910
3640
3640
10010
8190
1820
2730
910
2730
1820
ト
イ
レ
2Fホール
8190
1820
DN
納戸
4550
洋室C
(北東子供部屋)
洋室A
(主寝室)
洋室B
910
(南東子供部屋)
3640
3640
8190
物入
4550
3640
8190
図 Ⅲ -2-2-36
6ブロック分割による一定濃度法測定
Ⅲ-2-2-41
表 Ⅲ -2-2-6
ブロック分割による一定濃度法
対象室
ブロック詳細
床 面 積 A(m 2 )
気 積 V(m 3 )
1
和室
15.9
38.10
2
リビング
29.8
71.50
3
2 階主寝室
15.8
37.80
6ブロック分
4
2 階南東洋室
13.3
31.80
割
5
2 階北東洋室
11.6
27.80
28.8
69.00
112.5
269.9
6
玄 関 ・階 段 ・納
戸
計
備考:
・床面積には、トイレ、洗面、浴室は含まない。
マルチガスモニタを用いた一定濃度法測定状況及びリビングにおけるドーザ
ー、サンプラーチューブ及びトレーサーガス攪拌用ファン設置状況を図Ⅲ
-2-2-37 に 示 す 。 ト レ ー サ ー ガ ス 攪 拌 用 フ ァ ン は 、 居 室 及 び 廊 下 に 設 置 し 、 発 生
さ せ た ト レ ー サ ー ガ ス が 居 室 内 で 均 一 と な る よ う 、ド ー ザ ー チ ュ ー ブ を 攪 拌 フ ァ
ン の 風 上 側 に 設 置 し 、天 井 側 に 向 け て 攪 拌 を 行 っ た 。ま た 一 定 濃 度 法 で の 換 気 量
測 定 は 、 24 時 間 測 定 を 原 則 と し 、 実 験 住 宅 内 の 濃 度 が 一 定 と な っ た 状 態 で 換 気
量を算出した。
図 Ⅲ -2-2-37
マルチガスモニタを用いた一定濃度法測定状況
リビングにおけるドーザー、サンプラーチューブ及び
トレーサーガス攪拌用ファン設置状況
Ⅲ-2-2-42
及び
測定結果
設 定 排 気 風 量 と 建 物 全 体 の 換 気 量 の 関 係 を 図 Ⅲ -2-2-38
に示す。
パターンB
400
換気量(m3 /h)
300
200
100
SF6
N2O
0
弱
図 Ⅲ -2-2-38
中
強
設定と排気風量の関係
変動換気システム運転時の換気量測定
計測システム
一 定 濃 度 法 で 用 い た 2 種 類 の ト レ ー サ ー ガ ス の う ち 、 N2O( 亜 酸 化 窒 素 ) を
汚染源と仮定し居室に発生させ、そのときの換気量(外気導入量)の変化を、
SF6( 六 フ ッ 化 硫 黄 ) を ト レ ー サ ー ガ ス と し た 一 定 濃 度 法 で 測 定 す る 。
一 定 濃 度 法 で の 測 定 は 、 4 章 で 記 載 し た 測 定 方 法 と 同 様 で あ る 。 N2O を 汚 染
源とした一定発生法は、マルチガスモニタを用いた。
Ⅲ-2-2-43
N2O 発 生 位 置 は 、リ ビ ン グ と 2 階 主 寝 室 の 2 条 件 、発 生 量 は 1 秒 間 に 3mL の
流 量 を 持 つ バ ル ブ( ch2)の バ ル ブ 開 放 度 を 20%と 設 定 す る こ と を 原 則 と し て い
るが、バルブ開放度を変化させ室内濃度を確認する実験も行った。
変 動 換 気 シ ス テ ム の 濃 度 検 出 部 は 、 一 定 発 生 で N2O を 発 生 さ せ る 同 一 の 部 屋
と し 、発 生 側 チ ュ ー ブ を 攪 拌 フ ァ ン の 風 上 側 に 設 置 し 、濃 度 検 出 側 チ ュ ー ブ( 変
動換気制御用)を攪拌ファンの風下側に設置した。
N2O ガ ス の 発 生 方 法 と 測 定 条 件
各 換 気 シ ス テ ム に お い て 、汚 染 源 と 仮 定 し た N2O の 一 定 発 生 量 を 20%に 設 定
し た 。N2O ガ ス の 発 生 は 、8 時 間 一 定 発 生 16 時 間 停 止 を 1 サ イ ク ル と し 、連 続
3 サ イ ク ル の 測 定 を 行 い 室 内 濃 度 を 計 測 し た 。 測 定 条 件 を 表 Ⅲ -2-2-7 に 示 す 。
表 Ⅲ -2-2-7
測定条
件
換気システム
給気・排気
条件 3
補助ファン
ファン
条件 1
条件 2
測定条件
弱運転
パターン A
中運転
条件 5
停止
パターン B
弱運転
弱運転
中運転
条件 8
強運転
条件 9
停止
条 件 10
条 件 11
条 件 12
生対象部
発生
停止
強運転
条件 7
N2O ガ ス の
屋
条件 4
条件 6
N2O 発
パターン A
弱運転
中運転
強運転
Ⅲ-2-2-44
リビング
8 時間一定
リビング
主寝室
発生、
16 時 間 停 止
測定結果パターン A
リ ビ ン グ N2O ガ ス 8 時 間 一 定 発 生 16 時 間 停 止 条 件 で の
換気量測定
a).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 停 止
2 階納戸補助ファン停止の場合
SF6ガス 一定濃度法
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
80
200
和室
リビング
40
和室
20
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
濃度(mg/m3)
濃度(mg/m3)
60
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
2F 洋室北東
玄関廊下
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
12:00
0:00
時間(hour)
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
200
120
80
60
玄関廊下
40
和室
150
換気量(m3/h)
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
100
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
20
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
20000
N2O発生量(mg/h)
換気量(m3/h)
12:00
0:00
時間(hour)
15000
和室
20%
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-39
変動換気システムのパターン A 弱運転時の室内濃度測定結果
(1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 停 止 )
Ⅲ-2-2-45
b).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 弱 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン弱)
200
和室
濃度(mg/m3)
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン弱)
200
和室
換気量(m3/h)
150
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン弱)
N2O発生量(mg/h)
20000
15000
和室
20%
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-40
変動換気システムのパターン A 弱運転時の室内濃度測定結果
(1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 弱 運 転 )
Ⅲ-2-2-46
c).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 中 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン中)
200
和室
濃度(mg/m3)
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン中)
200
和室
換気量(m3/h)
150
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン中)
N2O発生量(mg/h)
20000
15000
和室
20%
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-41
変動換気システムのパターン A 弱運転時の室内濃度測定結果
(1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 中 運 転 )
Ⅲ-2-2-47
d).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 強 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン強)
200
和室
濃度(mg/m3)
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
0
0:00
12:00
0:00
12:00 0:00
時間(hour)
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン強)
200
和室
換気量(m3/h)
150
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
N2O発生量(mg/h)
20000
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン強)
15000
和室
20%
10000
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-42
変動換気システムのパターン A 弱運転時の室内濃度測定結果
(1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 強 運 転 )
Ⅲ-2-2-48
パターン B
リ ビ ン グ N2O ガ ス 8 時 間 一 定 発 生 16 時 間 停 止 条 件 で の 換 気 量
測定
a).1 階 リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 停 止
2 階納戸補助ファン停止の場合
SF6ガス 一定濃度法
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン停止)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン停止)
80
200
和室
リビング
40
和室
リビング
濃度(mg/m3)
濃度(mg/m3)
60
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
20
玄関廊下
0
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
12:00
0:00
0:00
12:00
時間(hour)
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン停止)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン停止)
200
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
80
60
玄関廊下
40
和室
150
換気量(m3/h)
100
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
20
0
0
12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hour)
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン停止)
20000
20%
N2O発生量(mg/h)
換気量(m3/h)
0:00
時間(hour)
15000
和室
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-43
換気システムのパターン B 弱運転時の室内濃度測定結果
(リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 停 止 )
Ⅲ-2-2-49
b).1 階 リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 弱 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
SF6ガス 一定濃度法
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン弱)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン弱)
80
200
和室
リビング
40
和室
20
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
濃度(mg/m3)
濃度(mg/m3)
60
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
2F 洋室北東
玄関廊下
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン弱)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン弱)
200
120
80
60
玄関廊下
40
和室
150
換気量(m3/h)
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
100
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
20
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
時間(hour)
20000
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン弱)
20%
N2O発生量(mg/h)
換気量(m3/h)
12:00
時間(hour)
15000
和室
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-44
換気システムのパターン B 弱運転時の室内濃度測定結果
(リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 弱 運 転 )
Ⅲ-2-2-50
c).1 階 リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 中 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
SF6ガス 一定濃度法
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン中)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン中)
80
200
和室
リビング
40
和室
リビング
2F主寝室
20
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
濃度(mg/m3)
濃度(mg/m3)
60
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
12:00
0:00
0:00
12:00
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン中)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン中)
200
120
80
60
40
和室
150
換気量(m3/h)
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
100
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
20
0
0
0:00
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
時間(hour)
20000
N2O発生量(mg/h)
換気量(m3/h)
0:00
時間(hour)
時間(hour)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン中)
15000
和室
20%
10000
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-45 動 換 気 シ ス テ ム の パ タ ー ン B 弱 運 転 時 の 室 内 濃 度 測 定 結 果
(リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 中 運 転 )
Ⅲ-2-2-51
d).1 階 リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 強 運 転
2 階納戸補助ファン停止の場合
SF6ガス 一定濃度法
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン強)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン強)
80
200
和室
リビング
40
濃度(mg/m3)
濃度(mg/m3)
60
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
20
2F主寝室
2F 洋室北東
100
玄関廊下
玄関廊下
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
12:00
0:00
0:00
時間(hour)
12:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン強)
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン強)
200
120
80
60
40
和室
150
換気量(m3/h)
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
100
換気量(m3/h)
12:00
0:00
時間(hour)
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
玄関廊下
50
20
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
時間(hour)
N2O発生量(mg/h)
20000
第一種ダクトB 弱運転(補助ファン強)
15000
和室
20%
10000
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-46
変動換気システムのパターン B 弱運転時の室内濃度測定結果
(リ ビ ン グ 補 助 フ ァ ン 強 運 転 )
Ⅲ-2-2-52
パターン A
主 寝 室 N2O ガ ス 8 時 間 一 定 発 生 16 時 間 停 止 条 件 で の 換 気 量 測
定
a).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 停 止
2 階納戸補助ファン停止の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(納戸補助ファン停止)
400
和室
リビング
濃度(mg/m3)
300
2F主寝室
2F 洋室北東
200
玄関廊下
100
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
200
180
和室
換気量(m3/h)
160
リビング
140
2F主寝室
120
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
80
玄関廊下
60
40
20
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン停止)
N2O発生量(mg/h)
20000
15000
和室
20%
リビング
10000
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-47 動 換 気 シ ス テ ム の パ タ ー ン A 弱 運 転 時 の 室 内 濃 度 測 定 結 果
(納 戸 補 助 フ ァ ン 停 止 )
Ⅲ-2-2-53
b).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 停 止
2 階納戸補助ファン弱運転の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(納戸補助ファン弱)
400
和室
リビング
濃度(mg/m3)
300
2F主寝室
2F 洋室北東
200
玄関廊下
100
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン弱)
200
180
和室
換気量(m3/h)
160
リビング
140
2F主寝室
120
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
80
玄関廊下
60
40
20
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
N2O発生量(mg/h)
20000
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン弱)
15000
和室
20%
10000
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-48 動 換 気 シ ス テ ム の パ タ ー ン A 弱 運 転 時 の 室 内 濃 度 測 定 結 果
(納 戸 補 助 フ ァ ン 弱 運 転 )
Ⅲ-2-2-54
c).1 階 廊 下 補 助 フ ァ ン 停 止
2 階納戸補助ファン中運転の場合
N2Oガス 一定発生法
第一種ダクトA 弱運転(納戸補助ファン中)
400
和室
リビング
濃度(mg/m3)
300
2F主寝室
2F 洋室北東
200
玄関廊下
100
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン中)
200
180
和室
換気量(m3/h)
160
リビング
140
2F主寝室
120
2F 洋室南東
100
2F 洋室北東
80
玄関廊下
60
40
20
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
N2O発生量(mg/h)
20000
第一種ダクトA 弱運転(補助ファン中)
15000
和室
20%
10000
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
5000
玄関廊下
0
0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00
時間(hour)
図 Ⅲ -2-2-49
変動換気システムのパターン A 弱運転時の室内濃度測定結果
(納 戸 補 助 フ ァ ン 中 運 転 )
Ⅲ-2-2-55
まとめ
本 研 究 は 、つ く ば 市 内 の 実 大 二 階 建 て 木 造 住 宅 に お い て 、室 内 空 気 質 の 向 上 と 換
気 に か か る エ ネ ル ギ ー 消 費 削 減 に 着 目 し 実 施 さ れ た 。住 宅 構 造 お よ び 設 置 さ れ た
換 気 シ ス テ ム の 基 本 的 な 性 能 の 確 認 を 行 い 、ト レ ー サ ー ガ ス を 汚 染 物 質 と 見 な し
て第一種ダクト式換気システムのパターン A とパターン B について換気量と室
内濃度測定を行った。本実験の結果により以下のような結果を得た。
1) 第 一 種 ダ ク ト 式 換 気 シ ス テ ム の 換 気 量 測 定 結 果 か ら 、1 階 の 廊 下 天 井 に
排気口を設置したパターン A と汚染源ガスが発生するリビングに排気
口 を 設 置 し た パ タ ー ン B で は 、建 物 全 体 の 換 気 量 が ほ ぼ 同 じ で あ る こ と
が確認できた。
2) 汚 染 源 ガ ス と 仮 定 し た N2O ガ ス の 室 内 濃 度 測 定 結 果 か ら 、換 気 シ ス テ
ムの風量設定が同じ条件の場合は、パターン B の室内濃度がパターン
A の室内濃度より低く推移することが確認できた。
Ⅲ-2-2-56
モニタリング併用型換気システム開発のための調査開発目標達成度
最終目標
研究開発成果
室内の化学物質の放
室内における化学物質の発生源とメカニズ
散、吸着挙動について
ムの調査を行って検出器を設置する位置を
調査し、検出器位置の
決定した。
達成度
達成
導出を行う。
VOC セ ン サ を 利 用 し
VOC セ ン サ 利 用 の 換 気 シ ス テ ム ( 全 体 換 気 風
た換気システムの提案
量制御、換気経路制御)の提案を行い、実大
と実用化のための課題
住宅で検証を行って効果を確認することが
抽出を行う。
できた。実用化への課題の抽出を行った。
Ⅲ-2-2-57
達成
2.3
室内環境のモニタリングを利用した性能評価法の調査
1 住宅の多様性を考慮した化学物質発生実態と関連因子の調査
1-1 概 要
本 調 査 は 、汚 染 発 生 状 況 の 資 料 の 乏 し い 鉄 骨 造 等 の 住 宅 の ,室 内 及 び 壁 等 の 躯
体 内 部 に お け る 空 気 環 境 に つ い て 実 測 調 査 を 行 な い ,居 住 者 の 健 康 に 影 響 が 指 摘
されている揮発性有機物質発生状況の予測と削減方策検討に資するデータを収
集するものである。
1-2 調 査 対 象 住 宅 の 概 要
表 Ⅲ -2-3-1 に 調 査 住 宅 の 一 覧 を 示 す 。 調 査 対 象 は , 戸 建 て 住 宅 に つ い て は ,
埼 玉 県 ,群 馬 県 と 栃 木 県 内 の ハ ウ ス メ ー カ ー か ら 紹 介 を 受 け て 調 査 に 協 力 を 得 ら
れ た 住 宅 15 件 で あ る 。 集 合 住 宅 に つ い て は , 神 奈 川 県 横 浜 市 内 の マ ン シ ョ ン 2
件と栃木県内のマンション 2 件の合計 4 件である。
戸 建 て 住 宅 の 工 法 は ,木 造 枠 組 壁( 2×4)が 7 件 ,木 造 在 来 が 1 件 ,軽 量 鉄 骨
造 が 2 件 ,鉄 骨 造 が 5 件 で あ る 。2×4 工 法 の 住 戸 は 相 当 隙 間 面 積 が 1cm 2 /m 2 以 下
と 非 常 に 高 気 密 で あ り , 軽 量 鉄 骨 造 の 住 戸 は 2~ 5 cm 2 /m 2 と 一 般 的 水 準 に あ る 。
集 合 住 宅 の 工 法 は , RC 造 が 2 件 ( 同 一 棟 ), 鉄 骨 造 が 2 件 ( 同 一 棟 ) で あ る 。
各 住 宅 と も 機 械 換 気 設 備 が 設 置 さ れ て お り ,第 1 種 機 械 換 気 方 式 が 10 件 ,第
3 種機械換気方式が 8 件であるが,第 3 種機械換気方式の住戸のうち,L 邸はハ
イブリッド換気システムである。
Ⅲ-2-3-1
表Ⅲ-2-3-1:調査住宅の一覧
ID
所 在 地
竣 工 年 月
床面積
[m2]
工
法
換 気 方 式
居住人数
気密性能
[cm2/m2]
A
群馬県藤岡市
2006 年 8 月
121.75
2×4
第 1 種機械換気*1
4
0.92
B
群馬県前橋市
2006 年 12 月
143.83
2×4
第 1 種機械換気*1
4
0.85
2×4
第 1 種機械換気*
1
4
0.99
1
2
0.58
C
群馬県太田市
2006 年 10 月
273.00
備
考
D
群馬県太田市
2006 年 10 月
138.25
2×4
第 1 種機械換気*
E
群馬県藤岡市
2007 年 6 月
139.59
2×4
第 1 種機械換気*1
3
0.56
鉄骨
第 3 種機械換気*
2
1
未測定
同一棟の
2
未入居
6.23
別住戸
F
栃木県足利市
2006 年 9 月
57.75
G
栃木県足利市
2006 年 9 月
57.75
鉄骨
第 3 種機械換気*
H
群馬県高崎市
2007 年 5 月
136.43
2×4
第 1 種機械換気*1
4
0.48
RC 造
第 3 種機械換気*
2
4
未測定
同一棟の
第 3 種機械換気*
2
1
〃
別住戸
1
4
0.57
4
2.89
未入居
4.24
I
J
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市
2006 年 8 月
2006 年 8 月
144.23
48.72
RC 造
K
栃木県足利市
2007 年 9 月
161.79
2×4
第 1 種機械換気*
L
栃木県佐野市
2004 年 11 月
148.92
軽量鉄骨
第 3 種機械換気*3
2
M
栃木県足利市
2008 年 3 月
126.16
軽量鉄骨
第 3 種機械換気*
N
埼玉県さいたま市
2008 年 2 月
104.81
鉄骨
第 1 種機械換気*1
3
3.88
O
埼玉県さいたま市
2008 年 4 月
142.11
鉄骨
第 1 種機械換気*1
4
2.41
P
埼玉県上尾市
2009 年 1 月
109.69
鉄骨
第 3 種機械換気
2
3.79
Q
栃木県宇都宮市
2005 年 12 月
145.86
鉄骨
第 1 種機械換気*1
3
4.48
R
群馬県高崎市
2003 年 8 月
125.71
鉄骨
局所排気
4
5.11
S
栃木県足利市
2005 年 8 月
152.93
木造在来
第 3 種機械換気
3
4.16
一部施工中
*1:セントラル給排気(熱交換無し)
*2:各室個別給気,トイレ・洗面所・浴室排気
*3:ハイブリッド換気
Ⅲ-2-3-2
1-3 調査方法
1-3-1 調査項目
調査項目を以下に示す。
(1)気中化学物質濃度(カルボニル化合物・VOC)
① 居間,寝室における気中濃度
② 壁体内・押入内における気中濃度
(2)気密性能・換気量
① 住宅全体の気密性能
② 給排気口における換気風量
(3)室内における温湿度・CO2 濃度の経時変動
① 居間,寝室における空気温度・相対湿度
② 居間,寝室における CO2 濃度
(4)住宅・居住者の情報
① 住宅・居住者に関するアンケート調査
② 住まい方に関するヒアリング調査
③ 測定対象室における観察調査
表Ⅲ-2-3-2 に分析対象の気中化学物質を,表Ⅲ-2-3-3 に各住宅において実施した調
査項目を示す。
表Ⅲ-2-3-2
分析対象の気中化学物質
ホルムアルデヒド
アセトアルデヒド
アセトン
アクロレイン
プロピオンアルデヒド
クロトンアルデヒド
n-ブチルアルデヒド
カルボニル
ベンズアルデヒド
化合物
iso-バレルアルデヒド
バレルアルデヒド
p-トルアルデヒド
m,o-トルアルデヒド
ヘキサアルデヒド
2,5-ジメチルベンズアルデヒド
2-ブタノン
テトラデカン
n-ヘキサン
2,4-ジメチルペンタン
iso-オクタン
テルペン類
ヘプタン
n-オクタン
脂肪族炭化水素 ノナン
デカン
ウンデカン
ドデカン
トリデカン
ペンタデカン
ヘキサデカン
トルエン
キシレン
エチルベンゼン
スチレン
ベンゼン
芳香族炭化水素
3-エチルトルエン
4-エチルトルエン
1,3,5-トリメチルベンゼン
2-エチルトルエン
1,2,4-トリメチルベンゼン
1,2,3-トリメチルベンゼン
1,2,4,5-テトラメチルベンゼン
Ⅲ-2-3-3
ハロゲン類
α-ピネン
β-ピネン
リモネン
p-ジクロロベンゼン
四塩化炭素
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
1,2-ジクロロプロパン
1,2-ジクロロエタン
ブロモジクロロメタン
酢酸エチル
エステル類
酢酸ブチル
ノナナール
アルデヒド類・
4-メチル-2-ペンタノン
ケトン類
デカナール
2-プロパノール
アルコール類・
エタノール
その他
2-エチル-1-ヘキサノール
1-3-2 測定方法
(1)気中化学汚染物質濃度(カルボニル化合物・VOC)
① 居間,寝室における気中濃度
カルボニル化合物については,DNPH カートリッジ(GL-Pak Mini AERO DNPH,ジーエ
ルサイエンス製)を用いて,ミニポンプ(MP-Σ30,柴田科学製)により流量 0.1ℓ/min
で 24 時間空気の捕集を行った。
VOC については,活性炭チューブ(Charcoal Tubes 8015-054,柴田科学製)を用い
て,ミニポンプ(MP-Σ30,柴田科学製)により流量 0.1ℓ/min で 24 時間空気の捕集を
行った。
なお,空気の捕集は,居間,寝室共に床上約 1.1m の高さで行い,サンプラーの分析
は,東スリーエス株式会社に依頼し,溶媒抽出 GC/MS 及び HPLC により行った。
② 壁体内・押入内における気中濃度
カルボニル化合物については,DNPH カートリッジ(GL-Pak Mini AERO DNPH,ジーエ
ルサイエンス製)を用いて,ミニポンプ(MP-Σ300,柴田科学製)により流量 1.0ℓ/min
で 30 分間空気の捕集を行った。
VOC については,活性炭チューブ(Charcoal Tubes 8015-054,柴田科学製)を用い
て,ミニポンプ(MP-Σ30,柴田科学製)により流量 0.2ℓ/min で 30 分間空気の捕集を
行った。
なお,空気の捕集は,外壁面のコンセントボックスのカバーを外し,テフロンチュー
ブを挿入して行った。サンプラーの分析は,東スリーエス株式会社に依頼し,溶媒抽出
GC/MS 及び HPLC により行った。
(2)気密性能・換気量
① 住宅全体の気密性能
住宅用気密測定器(KNS-4000,コーナー札幌製)を用いて,減圧法により行った。な
お,給排気口のシールは行わず,開閉が可能な場合には,閉じた状態で測定を行った。
② 給排気口における換気風量
各給排気口において熱線式の風量測定器(KNS-233 型,コーナー札幌製)を用いて約
10 秒間の平均風量を測定した。
(3)室内における温湿度・CO2 濃度の経時変動
① 居間,寝室における空気温度・相対湿度
床上約 1.1m の高さに温湿度計付き小型データロガー(TR-72S,ティアンドディ社製)
を設置して,5 分間隔で空気の温度,相対湿度を測定した。
外気温・湿度は,温湿度計付き小型データロガー(HOBO H8 Pro,Onset 社製)を日
射の当たらないベランダなどに設置して,5 分間隔で測定した。なお,都合により外気
温・湿度が計測できなかった住宅については,最寄りの気象台のデータを掲載する(前
橋市,渋川市:前橋)。
② 居間,寝室における CO2 濃度
床上約 1.1m の高さに CO2 モニター(Telaire 7001,Onset 社製)を設置して,5 分間
隔で室内の CO2 濃度を測定し,電圧データロガー(VR-71,ティアンドディ社製)に記
録した。
Ⅲ-2-3-4
(4)住宅・居住者の情報
測定期間中の換気設備の運転,窓の開閉,暖房器具の使用状況,室内空気の湿度感,
普段の生活状況(窓の開閉,在宅時間など)に関するアンケート調査用紙の記入を居住
者に依頼した。また,住宅の竣工年月,所有する暖房器具と使い方,居住者の情報に関
するヒアリング調査を行った。その他,測定対象室について仕上げ材,家具・什器など
の観察調査を行い,調査用紙に記入した。
1-4 各住宅における調査結果
(A 邸以外は(5)所見のみを示す。)
1-4-1 A 邸における測定結果
(1)気中化学物質濃度(カルボニル化合物・VOC)
① カルボニル化合物
3
濃 度( μg/m )
0
20
40
60
80
ホルムアルデヒド
100 120 140 160 180 200
居 間
アセトアルデヒド
寝 室
アセトン
アクロレイン
プロピオンアルデヒド
クロトンアルデヒド
n-ブチルアルデヒド
ベンズアルデヒド
iso-バレルアルデヒド
バレルアルデヒド
p-トルアルデヒド
m,o-トルアルデヒド
ヘキサアルデヒド
2,5-ジメチルベンズアルデヒド
2-ブタノン
図Ⅲ-2-3-1:A 邸におけるカルボニル化合物濃度
Ⅲ-2-3-5
② 揮発性有機化合物(VOC)
3
濃 度( μg/m )
0
100
200
300
トルエン
キシレン
p-ジクロロベンゼン
エチルベンゼン
スチレン
テトラデカン
ノナナール
n-ヘキサン
2,4-ジメチルペンタン
iso-オクタン
ヘプタン
n-オクタン
四塩化炭素
酢酸エチル
ノナン
2-プロパノール
エタノール
ベンゼン
トリクロロエチレン
デカン
4-メチル-2-ペンタノン
α-ピネン
テトラクロロエチレン
1,2-ジクロロプロパン
1,2-ジクロロエタン
酢酸ブチル
ウンデカン
β-ピネン
ブロモジクロロメタン
ドデカン
リモネン
3-エチルトルエン
4-エチルトルエン
1,3,5-トリメチルベンゼン
2-エチルトルエン
1,2,4-トリメチルベンゼン
トリデカン
1,2,3-トリメチルベンゼン
1,2,4,5-テトラメチルベンゼン
2-エチル-1-ヘキサノール
ペンタデカン
デカナール
ヘキサデカン
400
居 間
寝 室
図Ⅲ-2-3-2:A 邸における揮発性有機化合物(VOC)濃度
Ⅲ-2-3-6
500
(2)気密性能・換気量
① 住宅全体の気密性能
・ 単位床面積当たりの隙間相当開口面積:0.92 [cm2/m2]
② 給排気口における換気風量
・ 給排気口の位置・形状の問題により測定不可能
(3)室内における温湿度・CO2 濃度の経時変動
寝室温度
寝室湿度
外気温度
外気湿度
45
100
40
80
35
60
30
40
25
20
20
0
15
0:00
12:00
0:00
5/29
12:00
-20
0:00
5/30
図Ⅲ-2-3-3:A 邸における温湿度変動
居間
寝室
1000
CO2濃度(ppm)
900
800
700
600
500
400
300
0:00
12:00
0:00
5/29
12:00
5/30
図Ⅲ-2-3-4:A 邸における CO2 濃度変動
Ⅲ-2-3-7
0:00
相対湿度(%)
空気温度(℃)
居間温度
居間湿度
(4)住宅・居住者の情報
・ 冷暖房設備は,換気装置と一体化しており,全館空調を行っている。
・ 測定期間中,24 時間機械換気システムは,常時運転している。
・ 家族構成は,夫婦と子供 2 人である。
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,エタノール濃度が居間で 470μg/m3,寝室で 251μg/m3 と高いが,
それ以外の物質の濃度は低い。
・ 室内の温度は 25~28℃,相対湿度は 40%RH 程度で安定しており,室内の CO2 濃度
は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられる。
1-4-2 B 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトン濃度が 160μg/m3 である他は,特に高濃度
な物質はみられない。
・ VOC については,酢酸エチル,エタノールの濃度が 100μg/m3 程度検出されている
他は,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内の温度は 26~28℃,相対湿度は 40~60%RH で安定しており,室内の CO2 濃度
は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられる。
1-4-3 C 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトン濃度が 100μg/m3 である他は,特に高濃度
な物質はみられない。
・ VOC については,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内の温度は 25~27℃,相対湿度は 60%RH 程度で安定しており,室内の CO2 濃度
は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられる。
1-4-4 D 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトン濃度が 120μg/m3 程度である他は,特に高
濃度な物質はみられない。
・ VOC については,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内の温度は 26~29℃,相対湿度は 50~80%RH の範囲で変動しており,室内の CO2
濃度は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられ
る。
1-4-5 E 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトン濃度が 100~120μg/m3 であり,また,居
Ⅲ-2-3-8
間のアセトアルデヒド濃度が厚生労働省の指針値である 48μg/m3 を超えている。
・ VOC については,エタノール濃度が居間で 285μg/m3,寝室で 139μg/m3 であり,
その他,酢酸エチル,αピネンなどが検出されているが,高濃度ではない。
・ 室内の温度は 25~30℃,相対湿度は 50~60%RH で安定しており,室内の CO2 濃度
は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられる。
1-4-6 F 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトン濃度が 100μg/m3 であり,また,アセトア
ルデヒド濃度が居間,寝室ともに厚生労働省の指針値である 48μg/m3 をちょうど
超えている。
・ VOC については,2-プロパノール,エタノールの濃度が 300~400μg/m3 と高く,
また,パラジクロロベンゼンが 150μg/m3 程度検出されている。
・ 室内の温度は 11~13℃,相対湿度は 50~90%RH の範囲で変動しており,特に 0 時
付近で寝室の相対湿度が急激に上昇するのは,在室者か加湿器の運転による影響
だと考えられる。
・ 室内の CO2 濃度は居間では 1000ppm を超えることはないが,寝室で 1500ppm 程度ま
で上昇する。
1-4-7 G 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,
2-ブタノンが僅かに検出されているのみであり,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,トルエン,エタノール,ノナナールが僅かに検出されているのみ
であり,特に高濃度な物質はみられない。
・ カルボニル化合物,VOC ともに気中濃度と壁体内濃度の間に大きな差は見られない。
・ 未入居であるため,室内の温度は 5~10℃,相対湿度は 40~50RH 程度で安定して
いる。
1-4-8 H 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトンが 80~90μg/m3 である他は,特に高濃度
な物質はみられない。
・ VOC については,エタノールが 450~689μg/m3 と高濃度で検出されているが,そ
の他の物質の濃度は低い。
・ 室内の温度は,20~25℃で安定しており,相対湿度は 30~60%RH の範囲で変動し,
特に寝室で 0 時付近に急激に 60%RH まで上昇するのは,居住者の話から加湿器の
使用を確認している。
・ 室内の CO2 濃度は,在室者が存在する部屋では 1000~1400ppm まで上昇することが
確認できる。
Ⅲ-2-3-9
1-4-9 I 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,アセトアルデヒド濃度が 120μg/m3 と厚生労働省の
指針値である 48μg/m3 を大きく上回っている。
・ VOC については,エタノール濃度が 1460μg/m3 と高濃度であり,また,αピネン
が 200μg/m3 程度である他は,低濃度である。
・ 室内の温度は 16~25℃,相対湿度は 40~60%RH の範囲で変動している。
・ 室内の CO2 濃度は在室者がいる時間帯は,1300~1500ppm まで上昇する。
1-4-10 J 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内の温度は 15℃程度,相対湿度は 25%RH 程度で安定しており,室内の CO2 濃度
は測定機器を設置した直後のみ 1000ppm 程度であったが,その後は不在であった
ため 500ppm 程度まで減衰している。
1-4-11 K 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,パラジクロロベンゼンが居間で 610μg/m3,寝室で 688μg/m3 と
高く,また,エタノールが 130~150μg/m3 である他は,特に高濃度な物質はみら
れない。
・ 室内の温度は 18~23℃,相対湿度は 30~40%RH 程度で安定しており,室内の CO2
濃度は 1000ppm を超えることはなく,適切な換気が行われているものと考えられ
る。
1-4-12 L 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,居間のエタノール濃度が高い他は,特に高濃度な物質はみられな
い。
・ 室内の温度は 15~22℃,相対湿度は 30~50%RH 程度で安定している。
・ 室内の CO2 濃度は,在室者がいる時間帯では 1500~2000ppm まで上昇するが,不在
時は 500ppm まで減衰する。
Ⅲ-2-3-10
1-4-13 M 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,居室においてアセトンと 2-ブタノンの濃度が高く,
特に寝室の濃度が高い。壁体内については,特に高濃度な物質はみられない。
・ VOC については,居間と壁体内では,特に高濃度な物質はみられないが,寝室にお
いては,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,ノナン,デカンなど全体的に高
濃度であるが,これは,寝室のある 2 階吹抜け部の鉄骨梁(剥き出し)のペンキ
塗装が測定期間中に行われたことによる影響である。
・ 室内の温度は 12~15℃,相対湿度は 40~60%RH 程度で安定している。
1-4-14 N 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは厚生労
働省の指針値を下回り,アセトンが居間で 58.8μg/m3,寝室で 80.8μg/m3 である
以外は,特に高濃度な物質はみられない。ベンズアルデヒドのみが気中より壁体
内の濃度が高くなっている。
・ VOC については,エタノール濃度が居間で 246μg/m3,寝室で 164μg/m3 である以
外は,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内温度は,居間では 13~18℃,寝室では 13℃前後で安定している。相対湿度は,
居間では 40~60%RH,寝室では 50~80%RH で変動しており,寝室では就寝時に高く
なっている。室内 CO2 濃度は,居間では 500~1200ppm で変動しており,特に高濃
度にはならないが,寝室では就寝時に 2500ppm まで上昇しており,24 時間機械換
気システムを運転していないことが原因と考えられ,換気量が不足していると思
われる。
1-4-15 O 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,寝室のアセトン濃度が 43.7μg/m3 である他は,特
に高濃度な物質はみられない。A 邸と同様にベンズアルデヒドのみが気中より壁体
内の濃度が高くなっている。
・ VOC については,すべての物質で 100μg/m3 未満であり,高濃度な物質はみられな
い。
・ 室内温度は,居間では 15~20℃,寝室では 12~18℃で変動している。相対湿度は,
居間,寝室ともに 30~60%RH の範囲で変動している。室内 CO2 濃度は,居間では測
定期間中の殆どの時間帯で 1000ppm を超えることはないが,寝室では就寝中に
2000ppm まで上昇しており,換気量が不足していることが考えられる。
1-4-16 P 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは厚生労
Ⅲ-2-3-11
働省の指針値を下回り,居間のアセトン濃度が 60.1μg/m3 である他は,特に高濃
度な物質はみられない。
・ VOC については,エタノール濃度が高く,居間では 556μg/m3,寝室では 311μg/m3
である。その他は,特に高濃度な物質はみられない。
・ 室内温度は,居間では間欠暖房により 13~24℃の範囲で大きく変動しており,寝
室では 15~20℃で安定している。相対湿度は,居間,寝室ともにおおむね 40~60%RH
で安定しているが,1 日目の 13 時頃に一時的に低下しているのは,窓を開放した
影響と考えられる。室内 CO2 濃度は,居間では 1000ppm を超えることはないが,寝
室では就寝時に 1400ppm まで上昇する。
1-4-17 Q 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン
の 3 種類のみが検出されたが, いずれも 20μg/m3 未満である。
・ VOC については,居間ではエタノール濃度が 266μg/m3 であったが,その他の物質
は相対的に低濃度である。
・ 室内温度は,居間では間欠暖房により 15~27℃の範囲で大きく変動しており,寝
室ではおおむね 12~15℃で安定しているが,2 日目の 6 時頃に一時的に 25℃まで
上昇している。相対湿度は,居間,寝室ともに 30~50%RH の範囲で安定している。
室内 CO2 濃度は,室内温度の変動と対応しており,開放型ガスストーブの影響によ
り暖房時は 2000~4000ppm まで上昇する。
1-4-18 R 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,
ヘキサアルデヒドが検出されており,寝室のアセトン濃度が 41.1μg/m3,それ以
外は 20μg/m3 程度であり,ヘキサアルデヒド濃度は 5μg/m3 程度である。なお,
壁体内はサンプラーの不備により測定できていない可能性が高い。
・ VOC については,エタノール濃度が居間では 607μg/m3,寝室では 237μg/m3 であ
り,その他の物質は相対的に低濃度である。
・ 室内温度は,居間では 15~22℃,寝室では 13~17℃で変動している。相対湿度は,
居間では 20~35%,寝室では 20~55%RH で変動している。室内 CO2 濃度は,居間で
は 1000ppm を超える程度であるが,寝室では就寝中に 2500ppm 程度まで上昇し,
十分な換気量が得られていない可能性がある。
1-4-19 S 邸における測定結果
(5)所見(邸別)
・ カルボニル化合物については,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン
の 3 種類のみが検出されたが, いずれも 20μg/m3 未満である。
・ VOC については,いずれの物質も 100μg/m3 未満であり,高い濃度の物質はみられ
Ⅲ-2-3-12
ない。
・ 室内温度は,居間では 13~19℃,寝室では 12~20℃で変動している。相対湿度は,
居間,寝室ともに 20~40%RH の範囲で変動している。室内 CO2 濃度は,居間では
500~2000ppm,寝室では 500~1500ppm の範囲で変動しており,在室時に濃度が高
くなっていることが考えられる。
1-5 調査結果のまとめ
1-5-1 室内温度・相対湿度・CO2 濃度
・ 室内の温度については,各住戸で調査時期が異なるが,殆どの住戸で外気と比較
して変動幅が小さく安定し,また,居間と寝室の温度差も小さいことから,今回
調査した住戸の断熱気密性能の高さが伺える。
・ 室内の相対湿度については,各住戸で調査時期が異なるが,殆どの住戸で外気と
比較して変動幅が小さく安定している。
・ 室内の CO2 濃度については,一部の住戸で 1500~2000ppm まで上昇するが,殆どの
住戸で 1000ppm を超えることはなく,また,不在時には 500ppm 程度まで減衰する
ことから,適切な換気が行われているものと考えられる。
1-5-2 気中・壁体内における化学汚染物質濃度
【カルボニル化合物】
・ カルボニル化合物については,A~F 邸までの 5 件で全体的に高い傾向にあるが,
これは気温の高さが影響しているものと思われる。
・ ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトンは,全住宅で検出され,特にア
セトンの濃度が最も高い傾向にある。それ以外では,ヘキサアルデヒド,2-ブタ
ノンが検出されている住戸が多い。
・ アセトアルデヒドについては,厚生労働省の指針値を超過した住戸が 4 件 5 室(E
邸,F 邸,I 邸,M 邸)でみられ,特に I 邸は 122μg/m3 と高い。
・ 壁体内の測定を実施した 3 件(G 邸,L 邸,M 邸)では,壁体内で特に濃度が高い
傾向はみられなかった。
・ M 邸は,2 階吹抜け部の鉄骨梁(剥き出し)のペンキ塗装が測定期間中に行われた
ことから,他の住戸と比較して全体的に濃度が高い。
【VOC】
・ VOC については,厚生労働省の暫定目標値である 400μg/m3 を超過した住戸が 10
件 15 室でみられ,K 邸ではパラジクロロベンゼン,M 邸ではノナン,デカンなど
の濃度が高いことが原因である。
・ カルボニル化合物と同様に,壁体内の測定を実施した 3 件(G 邸,L 邸,M 邸)で
は,壁体内で特に濃度が高い傾向はみられなかった。
・ カルボニル化合物と同様に,M 邸は,2 階吹抜け部の鉄骨梁(剥き出し)のペンキ
塗装が測定期間中に行われたことから,他の住戸と比較して全体的に濃度が高い。
Ⅲ-2-3-13
1-5-3 VOC 濃度の組成比
・ VOC 濃度の組成比は,B 邸,C 邸,D 邸,H 邸,M 邸,S 邸以外では,エタノールの
割合が高い。
・ B 邸,C 邸,D 邸では,エステル類(酢酸エチル)とテルペン類(α-ピネン)の割
合が高いが,これらは同一メーカーの住宅であり,同じく E 邸でもその傾向はみ
られる。
600
2-ブタノン
2,5-ジメチルベンズアルデヒド
500
濃 度(μg/m3)
ヘキサアルデヒド
m,o-トルアルデヒド
400
p-トルアルデヒド
バレルアルデヒド
300
iso-バレルアルデヒド
ベンズアルデヒド
200
n-ブチルアルデヒド
クロトンアルデヒド
100
プロピオンアルデヒド
アクロレイン
0
居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 壁 居 寝 居 居 居 寝 居 寝 壁 居 寝 壁
体 体 体
間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 内 間 室 間 間 間 室 間 室 内 間 室 内
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
アセトン
アセトアルデヒド
ホルムアルデヒド
図Ⅲ-2-3-5:カルボニル化合物濃度の比較
200
2-ブタノン
180
2,5-ジメチルベンズアルデヒド
濃 度(μg/m3)
160
ヘキサアルデヒド
140
m,o-トルアルデヒド
120
p-トルアルデヒド
100
バレルアルデヒド
iso-バレルアルデヒド
80
ベンズアルデヒド
60
n-ブチルアルデヒド
40
クロトンアルデヒド
20
プロピオンアルデヒド
アクロレイン
0
居
間
寝
室
A
N
壁
体
内
居
間
寝
室
B
O
壁
体
内
居
間
寝
室
C
P
壁
体
内
居
間
寝
室
D
Q
壁
体
内
居
間
寝
室
E
壁
体
内
居
間
R
寝
室
F
壁
体
内
アセトン
アセトアルデヒド
ホルムアルデヒド
S
図Ⅲ-2-3-6:カルボニル化合物濃度の比較
※ E 邸の壁体内は,サンプラーに不備があり,正確に測定できなかった可能性がある
Ⅲ-2-3-14
濃 度(μg/m3)
4500
4000
脂肪族炭化水素
3500
芳香族炭化水素
テルペン類
3000
ハロゲン類
2500
エステル類
アルデヒド・ケトン類
2000
アルコール類・その他
1500
1000
暫定目標値400μg/m
500
3
0
濃 度(μg/m3 )
1000
900
脂肪族炭化水素
800
芳香族炭化水素
700
テルペン類
ハロゲン類
600
エステル類
500
アルデヒド・ケトン類
3
暫定目標値400μg/m
400
アルコール類・その他
300
200
100
0
居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 壁 居 寝 居 居 居 寝 居 寝 壁 居 寝 壁
体 体 体
間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 内 間 室 間 間 間 室 間 室 内 間 室 内
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
図Ⅲ-2-3-7:族別の揮発性有機化合物(VOC)濃度の比較
(下図は上図を 0~1000 μg/m3 の範囲で拡大)
1000
900
脂肪族炭化水素
800
芳香族炭化水素
テルペン類
濃 度(μg/m3)
700
ハロゲン類
600
エステル類
500
暫定目標値
400μg/m3
400
アルデヒド・ケトン類
アルコール類・その他
300
200
100
0
居
間
寝
室
A
N
壁
体
内
居
間
寝
室
B
O
壁
体
内
居
間
寝
室
C
P
壁
体
内
居
間
寝
室
壁
体
内
居
間
D
Q
寝
室
E
壁
体
内
R
居
間
寝
室
F
壁
体
内
S
図Ⅲ-2-3-8:族別の揮発性有機化合物(VOC)濃度の比較
Ⅲ-2-3-15
100%
脂肪族炭化水素
VOC濃度組成比(%)
80%
芳香族炭化水素
テルペン類
ハロゲン類
60%
エステル類
アルデヒド・ケトン類
40%
アルコール類・その他
20%
0%
居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 居 寝 壁 居 寝 居 居 居 寝 居 寝 壁 居 寝 壁
体 体 体
間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 間 室 内 間 室 間 間 間 室 間 室 内 間 室 内
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
H
L
M
図Ⅲ-2-3-9:VOC 濃度の組成比
100%
脂肪族炭化水素
芳香族炭化水素
VOC濃度組成比(%)
80%
テルペン類
ハロゲン類
60%
エステル類
アルデヒド・ケトン類
アルコール類・その他
40%
20%
0%
居
間
寝
室
A
N
壁
体
内
居
間
寝
室
壁
体
内
B
O
居
間
寝
室
C
P
壁
体
内
居
間
寝
室
壁
体
内
居
間
D
Q
寝
室
E
壁
体
内
R
居
間
寝
室
F
壁
体
内
S
図Ⅲ-2-3-10:VOC 濃度の組成比
1-6 まとめ
・ カルボニル化合物について今回調査した殆どの住戸で検出された物質は,ホルム
アルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,ヘキサアルデヒド,2-ブタノンであ
る。
・ VOC について今回調査した殆どの住戸で検出された物質は,トルエン,ノナナール,
酢酸エチル,エタノール,αピネン,βピネン,リモネンがあげられ,特に酢酸
エチルについては,同一メーカーの住戸(2×4 工法)で共通して検出されている
傾向がみられる。
・ ホルムアルデヒドやトルエンなどの代表的な指針値の定められている汚染物質に
ついては,高濃度で検出される住戸は殆どみられないが,アセトアルデヒドやパ
ラジクロロベンゼンについては,指針値を超える濃度で検出される住戸もいまだ
に見られる。
・ 現状で指針値の定められていない高濃度な物質としては,カルボニル化合物では
アセトン,VOC ではエタノール,αピネンなどがあげられる。
・ これまでの調査結果を通じて,検出される汚染物質の種類や組成比などの傾向は
捉えられたが,それらの汚染物質の発生源については,ピネンやパラジクロロベ
ンゼンなどを除いては特定が難しく,今後,指針値の有無に寄らず高濃度な物質
については,生活由来と建材由来のどちらなのかについて特定することが重要と
なる。
Ⅲ-2-3-16
2 実大住宅における実験評価環境の整備と仮想汚染質を用いた換気システム評価実験
(1)
2-1 概要
本研究は、つくば市内の実大二階建て木造住宅において、室内空気質の向上と換気に
かかるエネルギー消費削減に着目し以下の項目を実施した。
(1) 住宅構造及び設置された換気システムの基本的な性能の確認
(2) トレーサーガスを汚染物質と見なして換気システムの制御が行えるように調整
(3) 制御系及び測定のシステムの整備
2-2 実験住宅と換気設備
1820
1820
910
浴室
洗面
ト
イ
レ
10010
910
910
3640
物入
キッチン
2275
1820
2-2-1 実験住宅
実験住宅は、財団法人ベターリビング筑波建築試験センター内に設置されている在来
軸組構法木造2階建実大実験を用いる。実験住宅の基本仕様を 表Ⅲ-2-3-3、平面図を
図Ⅲ-2-3-11~図Ⅲ-2-3-12 に示す。
UP
1Fホール
8190
玄関
物入
押
入
リビング
910
1820
和室
5915
8190
3640
物入
1820
910
3640
3640
10010
図Ⅲ-2-3-11
実験住宅平面図(1階)
8190
1820
2730
910
2730
1820
ト
イ
レ
1820
DN
納戸
4550
洋室C
(北東子供部屋)
8190
2Fホール
洋室A
(主寝室)
洋室B
910
(南東子供部屋)
4550
3640
8190
図Ⅲ-2-3-12
実験住宅平面図(2階)
Ⅲ-2-3-17
3640
3640
8190
物入
表Ⅲ-2-3-3
実験住宅の基本仕様
項 目
構 法
階 数
床面積(m2)
断熱性能
仕
様
木造 在来軸組構法
2
延床面積 130.83(m2)、1階 72.87(m2)、2階 57.96(m2)
次世代省エネルギー基準のⅢ地域
2-2-2 換気システム
実験住宅に設置されていた既存ダクト式換気システムのダクト及び室内グリルはそ
のままに、風量コントローラー部と給気ファン、排気ファンの取り替えを行い、第三種
ダクト式換気システムと第一種ダクト式換気システムの2種類の換気システムを設置
した。
第一種ダクトシステムは給気送風機と排気送風機が2系統に分かれ、排気送風機は、
第三種ダクト式換気システムに用いる送風機のダクトの接続を変更することで対応す
る。
換気システムのシステム図を 図Ⅲ-2-3-13~図Ⅲ-2-3-14 に示す。また換気量の設定
は、強・中・弱の3ノッチ設定とし、換気システムの作動周波数は、インバーターを用
い 60Hz設定とした。さらに別途濃度感知型変動換気システムを運転する場合は、濃度
モニターによる制御を行う。
図Ⅲ-2-3-13
第三種ダクト式システム
システム図
図Ⅲ-2-3-14
第一種ダクト式システム
システム図
Ⅲ-2-3-18
2-2-3 換気量変動システム
室内化学物質濃度に応じた換気量変動システムを実験住宅に設置した。変動換気シス
テムは、濃度測定部と換気量制御部の2つからなり、その両者をパーソナルコンピュー
タで制御するものである。
濃度測定部は、光音響ガスモニタ(INOVA 1412)を用いた。このガスモニタには、
濃度測定フィルターとして N2O(亜酸化窒素)、SF6(六フッ化硫黄)を持っている。光
音響ガスモニタで測定した濃度で、換気量制御部に信号を送り、濃度毎に換気量の強・
中・弱の制御をパーソナルコンピュータに設置した PIO ボードを経由し行う。
2-3 実験住宅の基本特性
2-3-1 実験住宅の気密性
換気システム設置工事前後で住宅の気密性を測定した。測定方法は、JIS A 2201:送
風機による住宅等の気密性能試験方法に準拠し、減圧法とした。換気システム施工後の
気密性測定結果を 表Ⅲ-2-3-4 に示す。
表Ⅲ-2-3-4 の結果から、換気システム施工により実験住宅の気密性は変化していない
こと、併せて十分な気密性を有し本実験対象として問題がないことが確認された。
表Ⅲ-2-3-4
換気システム設置施工前後での実験住宅の気密性変化
測定条件
隙間特性n
相当隙間面積
αA(cm2)
単位相当隙間面積
αA’(cm2)
換気システム施工前
1.50
209.06
1.60
換気システム施工後
1.61
199.06
1.52
備考
延床面積 130.83(m2)
2-3-2 風量測定
実験住宅に設置した第一種ダクト式換気システム及び第三種ダクト式換気システム
の風量を、換気システムの端末部材において風量測定器を用いて測定した。
表Ⅲ-2-3-5 に第三種ダクト式換気システムの風量測定結果の例を示す。なお屋外軒
下排気口ベントキャップは、防虫網付で圧力損失が大きく、換気システムの設計風量を
満足することができなかったため、ベントキャップを取り外した状態で測定した。また
今後の実験ではすべてベントキャップは取り外している。
表Ⅲ-2-3-6 には第一種ダクト式換気システムの風量測定結果の例を示す。
Ⅲ-2-3-19
表Ⅲ-2-3-5
風量確認測定結果(三種換気
測定対象端末(排気口)
番号
位置
風量設定 中運転)
3
測定条件
風量測定結果(m /h)
給気ファン 排気ファン インバーター 風量設定 端末開閉状況 1 回目
2回目
3回目
平均
No.1 1F リビング
21.1
21.1
20.9
21.0
No.2 1F 和室
20.6
20.6
20.2
20.5
No.3 1F キッチン
18.8
19.1
19.2
19.0
21.7
21.2
21.6
21.5
18.0
17.9
17.7
17.9
No.6 2F 主寝室
21.1
21.0
21.0
21.0
No.7 2F 洋室NE
16.3
16.2
16.2
16.2
No.8 2F 納戸
17.6
17.7
17.7
17.7
No.4 1F 洗面
No.5 2F 洋室SE
表Ⅲ-2-3-6
OFF
ON
60
給
気
口
全開
風量確認測定結果(第一種換気
測定対象端末
番号
中
位置
端末風量の 換気回数
合計(m3/h) (回/h)
154.8
風量設定 中運転)
風量測定結果(m3/h)
測定条件
1 回目
2回目
3回目
平均
No.1 1F リビング 東
18.3
18.6
18.3
18.4
No.2 1F リビング 西
17.9
17.4
17.1
17.5
No.3 1F 和室
18.8
17.5
17.8
18.0
No.4 1F キッチン
23.7
24.6
23.8
24.0
12.9
13.3
12.9
13.0
13.7
13.4
14.0
13.7
No.5 2F 洋室SE
給気ファン 排気ファン インバーター 風量設定 端末開閉状況
ON
ON
60
中
0.57
全開
No.6 2F 主寝室 東
No.7 2F 主寝室 西
13.9
15.0
14.4
14.4
No.8 2F 洋室NE
16.9
17.6
17.2
17.2
100.4
101.1
102.0
101.2
71.0
70.7
71.1
70.9
排 No.9 1F 廊下
気
口 No.10 2F 納戸
端末風量の 換気回数
3
合計(m /h) (回/h)
136.3
0.49
172.1
0.62
2-3-3 温湿度測定及び風向・風速測定
風向・風速の測定は、超音波三次元風速計を用いた。超音波風速計を実験住宅に隣接
する実験棟(高さ 7.3m)の屋根に長さ 3m のポールを設置し地上高約 10m での風向・風
速測定を行った。実験は冬季に行われ、外気温が 0℃を下回る状況においてもリビング
や主寝室の室内温度は、も 10℃前後の値を示した。実験期間中のリビング平均温度は
15.1℃、2階主寝室の平均温度は 11.4℃、外気平均温度は 5.4℃であった。また外部風
は 10m/s を超える状況も観測され、風向は西風が中心となっている。
2-4 一定濃度法による換気量測定(定常運転)
2-4-1 測定方法
実験棟内を6つのブロックに分割し、マルチガスモニタを用い、トレーサーガスを一
種類 SF6(六フッ化硫黄)とした実験と、SF6 と N2O(亜酸化窒素)の二種類のトレーサ
ーガスを同時にドージングした一定濃度法の実験の2条件を行った。
マルチガスモニタを用いた一定濃度法測定では、トレーサーガス攪拌用ファンは、居
室及び廊下に設置し、発生させたトレーサーガスが居室内で均一となるよう、ドーザー
チューブを攪拌ファンの風上側に設置し、天井側に向けて攪拌を行った。また一定濃度
Ⅲ-2-3-20
法での換気量測定は、24 時間測定を原則とし、実験住宅内の濃度が一定となった状態
で換気量を算出した。
2-4-2 測定結果
一定濃度法による実験住宅換気量(外気導入量)測定結果を 表Ⅲ-2-3-7 に示す。ト
レーサーガスを用いた外気導入量と風量計で測定した風量には高い相関が見られ、今回
使用した二種類のトレーサーガスでは、結果が大きく異なることはなかった。また第三
種ダクト式換気システムと第一種ダクト式換気システムにおいても、外気導入量と風量
計で測定した風量には相関が見られた。
表Ⅲ-2-3-7
一定濃度法による実験住宅換気量測定結果
一定濃度法での換
気量
(m3/h)
測定日
SF6
第三種
ダクト
第一種
ダクト
第三種
ダクト
強
中
弱
強
中
弱
弱
弱
強
強
中
弱
2007/11/16
2007/11/17
2007/11/18
2007/11/20
2007/11/21
2007/11/22
2007/11/26
2007/11/27
2007/11/28
2007/11/30
2007/12/1
2007/12/3
230.2
168.2
127.4
258.7
201.8
161.3
161.3
161.8
中
強
中
強
中
2007/12/4
2007/12/5
2007/12/6
2007/12/16
2007/12/17
186.4
243.5
140.8
264.4
205.4
245.2
140.6
N2O
排気①
274.5
241.0
182.7
138.7
211.2
154.8
118.7
240.4
172.1
131.5
131.5
131.5
240.4
211.2
154.8
118.7
178.5
232.6
140.6
Ⅲ-2-3-21
154.8
211.2
154.8
211.2
154.8
風量計での風量
(m3/h)
給気②
MAX(①、
②)
176.6
136.3
102.8
102.8
102.8
176.6
211.2
154.8
118.7
240.4
172.1
131.5
131.5
131.5
240.4
211.2
154.8
118.7
154.8
211.2
154.8
211.2
154.8
一定濃度法では、6つのブロックごとの換気量(外気導入量)を求めることができる。
ブロックごと(和室、リビング、2階主寝室、2階洋室A、2階洋室B)での外気導入量
と換気量の関係を 図Ⅲ-2-3-15、図Ⅲ-2-3-16 に示す。建物全体での比較と同様、第三
種ダクト式換気システム、第一種ダクト式換気システムともブロックごとの比較におい
て、一定濃度法による外気導入量と風量計で測定した風量には高い相関が見られた、一
定濃度法での外気導入量が大きい傾向を示すのは、機械換気での外気導入以外に、外部
風、温度差による外気導入が影響している。
風量計で測定した換気システム風量(m3 /h)
80
60
40
20
SF6
N2O
0
0
20
40
60
80
一定濃度法で測定した外気導入量(m3/h)
図Ⅲ-2-3-15 ブロックごとの外気導入量と風量計で測定した風量の関係
(第三種ダクト式換気システム)
風量計で測定した換気システム風量(m3 /h)
120
100
80
60
40
SF6
20
N2O
0
0
20
40
60
80
100
120
一定濃度法で測定した外気導入量(m3 /h)
図Ⅲ-2-3-16 ブロックごとの外気導入量と風量計で測定した風量の関係
(第一種ダクト式換気システム)
Ⅲ-2-3-22
一定濃度法で求めた換気量(外気導入量)を気積で除して換気回数を算出し 図Ⅲ
-2-3-17 に示す。またブロックごとの換気回数を 図Ⅲ-2-3-18、図Ⅲ-2-3-19 に示す。
今回設置した換気システムは、建物全体での換気回数を算出した場合、弱運転で 0.5 回
/hを確保し、強運転では 0.8 回/hを超える性能を有していることを確認した。またブロ
ック毎の換気回数は必ずしも一定にはなっていないことも確認した。
1.0
換気回数(回/h)
0.8
0.6
弱運転
中運転
強運転
0.4
0.2
0.0
第三種ダクト 式
図Ⅲ-2-3-17
第一 種ダクト式
換気システム毎の換気回数(実験住宅全体)
第三種ダクト式換気システム
1.2
1.0
換気回数(回/h)
0.8
弱運転
中運転
強運転
0.6
0.4
0.2
0.0
和室
図Ⅲ-2-3-18
リビング
主寝室
洋室A
洋室B
廊下他
換気システム毎の換気回数(第三種ダクト式換気システム)
第一種ダクト式換気システム
1.8
1.6
1.4
換気回数(回/h)
1.2
1.0
弱運転
中運転
強運転
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
和室
図Ⅲ-2-3-19
リビング
主寝室
洋室A
洋室B
廊下他
換気システム毎の換気回数(第一種ダクト式換気システム)
Ⅲ-2-3-23
2-5 変動換気システム運転時の換気量測定
2-5-1 測定方法
2-5-1-1 計測システム
一定濃度法で用いた 2 種類のトレーサーガスのうち、N2O(亜酸化窒素)を汚染源と
仮定し居室に発生させ、そのときの換気量(外気導入量)の変化を、SF6(六フッ化硫
黄)をトレーサーガスとした一定濃度法で測定する。N2O を汚染源とした一定発生法は、
マルチガスモニタを用いた。
N2O 発生位置は、リビングと 2 階主寝室の2条件、発生量は 1 秒間に 3mL の流量を持
つバルブ(ch2)のバルブ開放度を 20%と設定することを原則としているが、バルブ開
放度を変化させ室内濃度を確認する実験も行った。
変動換気システムの濃度検出部は、一定発生で N2O を発生させる同一の部屋とし、発
生側チューブを攪拌ファンの風上側に設置し、濃度検出側チューブ(変動換気制御用)
を攪拌ファンの風下側に設置した。
2-5-1-1 変動換気システムの閾値
予備実験は、第三種ダクト式換気システムにおいて、N2O 発生量を 10%、20%、30%と
変化させた場合の室内濃度測定を行った。予備実験の結果から、N2O 発生量と室内濃度
との関係を求め、変動換気システムでの閾値を予備実験の結果から決定した。
図Ⅲ-2-3-20 にバルブ開放度設定毎のN2O発生量の関係を、図Ⅲ-2-3-21 にN2O室内濃度
測定結果を示す。第三種ダクト式換気システムを弱で連続運転した場合、リビングでは
開放度 20%の一定発生により、濃度は 150mg/m3 を超える値となった。また主寝室は開
放度 20%の一定発生により、濃度は 200mg/m3 を超える値となった。
18000
30%
15000
N2O発生量(mg/h)
12000
和室
20%
リビング
9000
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
6000
玄関廊下
10%
3000
0
6:00
12:00
18:00
0:00
6:00
12:00
18:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-20
バルブ開放度設定ごとの N2O 発生量(第三種ダクト式
Ⅲ-2-3-24
弱連続運転)
500
400
和室
濃度(mg/m3)
リビング
300
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
200
玄関廊下
100
0
6:00
図Ⅲ-2-3-21
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
6:00
12:00
18:00
バルブ開放度設定ごとの N2O 室内濃度(第三種ダクト式
弱連続運転)
以上の結果から、変動換気システムの閾値を 表Ⅲ-2-3-8 のように決定した。なおこ
の値は、今回の実験では発生室をリビングから主寝室に変えた場合も同様の値を用いた。
表Ⅲ-2-3-8
変動換気システム
N2O 濃度
(mg/m3)
閾値設定
弱運転
中運転
強運転
100 未満
100 以上
150 未満
150 以上
2-5-2 測定結果
2-5-2-1 第三種換気
リビング一定発生時の変動システム換気量測定(24 時間測定)
弱運転では、室内 N2O 濃度が 200(mg/m3)を超えているのに比べ、変動換気システムで
は、閾値上限の 150(mg/m3)前後の濃度を示した。弱運転に比べ変動換気システムは、換
気量が大きく、このことで室内濃度が減少している。変動換気での実験では、実験開始
から 18 時間経過後室内濃度が減少する現象を示しているが、これば温度差や外部風の
影響により機械換気システム以外から外気が室内に流れ込んだ可能性が高い。この現象
により室内濃度が閾値上限の 150(mg/m3) を下回ったため、換気量も変化している。
2-5-2-2 第三種換気
量測定
リビング 8 時間一定発生 16 時間停止条件での変動システム換気
弱運転の場合、リビングの濃度は 150(mg/m3)を超える結果となったが、変動運転では
閾値上限の 150(mg/m3)を大きく超えることはなかった。リビングの換気量を一定濃度法
で測定した結果、閾値を超えることで換気量が増加していることから、変動換気システ
ムが設定通り作動していることがわかる。
Ⅲ-2-3-25
2-5-2-3 第三種換気
測定
主寝室 8 時間一定発生 16 時間停止条件での変動システム換気量
発生を 2 階主寝室とした場合、リビングに比べ換気量が少ない主寝室では濃度が高く
なる傾向を示した。そのため変動換気といえ、閾値上限の 150(mg/m3)を超える結果とな
ったが、弱連続運転に比べて室内濃度は低い値であった。換気量も変動運転では室内濃
度に応じて変化する結果が得られた。
2-5-2-4 第一種換気
量測定
リビング 8 時間一定発生 16 時間停止条件での変動システム換気
第一種ダクト式換気システムを用い発生をリビングとした場合、変動換気では閾値上
限の 150(mg/m3)となったが、弱運転では 150(mg/m3)を超え 200(mg/m3)に近い濃度とな
った。第一種ダクト式の場合も換気量は変動運転において濃度に応じて変化する結果が
得られた。
2-5-2-5 第一種換気
主寝室 8 時間発生 16 時間停止条件での変動システム換気量測定
第一種ダクト式換気システムを用い発生を主寝室とした場合、変動換気では閾値上限
の 150(mg/m3)を多少超える濃度となったが、弱運転では 300(mg/m3)を超える濃度となっ
た。第一種ダクト式の場合も換気量は変動運転において濃度に応じて変化する結果が得
られた。
2-6 SRF を用いた室内濃度と省エネルギー性評価
Supply Rate Fulfillment: 必要新鮮空気量充足度指標を用い室内濃度を評価する。
一般にSRF指標は設計換気量に対する実測換気量で表される(式 1)
SFR =
Qms
Qds
式 1
N2O一定発生M時の室内濃度Cと換気量Qの関係は、式 2 で表されることから発生量
Mが一定であればSRF指標は 式 3 で表すことができる。
Q=
M
C
式 2
M
Cms Cds
Qms
SFR =
=
=
Cms
Qds M
Cds
式 3
すなわちCms(測定濃度)に対するCds(閾値上限)の比率となる。
Ⅲ-2-3-26
発生量が一定の場合、室内濃度を下げるためには換気量を増加させる必要があるが、
換気量増加に伴い、機械換気システムの消費電力も増加する。室内濃度指標 SRF と、基
準消費電力に対する実測消費電力の比率を省エネルギー指標とし、室内濃度指標 SRF に
乗ずることで、濃度と省エネルギー性の両方を考慮した指標となる。
ここでは、基準消費電力をPsとし、換気システム運転時の消費電力Pに対する比率と
し、式 4 に示すような形で評価した。
SRF ×
Ps C ds × Ps
=
P C ms × P
式 4
なお換気システムの消費電力は、電力計を用いて測定した。電力測定結果を 表Ⅲ
-2-3-9 に示す。今回の実験では、第三種ダクト式、第一種ダクト式とも基準消費電力
Psを弱運転時の消費電力とした。
表Ⅲ-2-3-9
換気システム電流測定結果及び消費電力算出
弱運転
に対する比率
電力(W)
第三種
ダクト式
第一種
ダクト式
第三種
ダクト式
第一種
ダクト式
弱
32
63
1.0
1.0
中
43
83
1.4
1.3
強
63
117
2.0
1.9
備考
第一種ダクト式は、給気ファンと排気ファンの合計で電力を計算した。
図Ⅲ-2-3-22、図Ⅲ-2-3-23 からSRF評価は変動換気システム運転時の方が高い値を示し、
室内濃度は設計値(閾値上限)に近くなることがわかる。またリビングは発生量に対し
て換気量が十分であることから、濃度が閾値上限で安定しているため、SRF評価も 1.0
に近づくが、主寝室では発生量に対し換気量が少ないことから、変動換気システムを運
転しても、閾値上限を超える結果となり、SRF評価ではリビングよりも低い値となった。
消費電力を考慮した SRF 評価では、弱での連続運転の方が変動換気運転時よりも良い
値を示した。換気量の三段階設定ごとに消費電力は比例的に増加する結果に対し、室内
濃度の現象は反比例の関係になっていないことが原因と思われる。しかし居住者の健康
と省エネルギー性の重み付けを現在の評価では同等としているが、重み付けを変えるこ
とで評価は変わる可能性がある。いずれにしても省エネルギー型換気システムの開発は
重要となる。
Ⅲ-2-3-27
第三種ダクト式 リビング
第三種ダクト式 リビング
第三種ダクト式 主寝室
1.2
1.0
1.0
0.8
0.8
SRF x (Ps/P)
SRF x (Ps/P)
1.2
SRF×(Ps/P)
第三種ダクト式 主寝室
0.6
0.4
0.6
0.4
変動運転
0.2
変動運転
0.2
弱運転
弱運転
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hr)
第三種ダクト式 リビング
12:00
0:00
第三種ダクト式 主寝室
1.2
1.0
1.0
0.8
0.8
SRF
SRF
SRF
1.2
0:00
時間(hr)
0.6
0.4
0.6
0.4
変動運転
0.2
変動運転
0.2
弱運転
弱運転
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hr)
第三種ダクト式 リビング
12:00
0:00
第三種ダクト式 主寝室
第三種ダクト式 リビング
300
0:00
時間(hr)
第三種ダクト式 主寝室
500
変動運転
400
N2O濃度(mg/m3)
200
N2O濃度(mg/m3)
N2O濃度(mg/m3)
弱運転
300
200
100
100
変動運転
弱運転
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
第三種ダクト式 リビング
第三種ダクト式 主寝室
変動運転
変動運転
100
100
弱運転
弱運転
80
換気量(m3/h)
80
換気量(m3/h)
0:00
120
120
換気量(m3/h)
12:00
時間(hr)
時間(hr)
60
60
40
40
20
20
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
図Ⅲ-2-3-22
SRF 評価
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hr)
時間(hr)
第三種ダクト式における変動運転と弱運転
Ⅲ-2-3-28
SRF 評価及び電力考慮した
第一種ダクト式変動 リビング
第一種ダクト式変動 主寝室
第一種ダクト式比較 主寝室
1.2
1.0
1.0
0.8
0.8
SRF x (Ps/P)
SRF x (Ps/P)
SRF×(Ps/P)
第一種ダクト式比較 リビング
1.2
0.6
0.6
0.4
0.4
第一種ダクト式
0.2
0.2
第一種ダクト式
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
第一集ダクト式比較 リビング
0:00
1.00
1.0
0.90
0.8
0.80
0.70
第一種ダクト式
0.6
0.2
第一種ダクト式
0.0
0.50
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクト式変動 リビング
0:00
0:00
第一種ダクト式比較 主寝室
300
第一種ダクト式
第一種ダクト式
200
N2O濃度(mg/m3)
N2O濃度(mg/m3)
200
100
100
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
第一種ダクト式比較 リビング
120
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hr)
時間(hr)
第一種ダクト式比較 主寝室
120
第一種ダクト式
100
100
80
80
換気量(m3/h)
換気量(m3/h)
12:00
第一種ダクト式変動 主寝室
第一種ダクト式 リビング
300
12:00
時間(hr)
時間(hr)
N2O濃度(mg/m3)
0:00
0.4
0.60
換気量(m3/h)
12:00
第一種ダクト式比較 主寝室
1.2
SRF
SRF
SRF
1.10
12:00
時間(hr)
時 間(hr)
60
第一種ダクト式
60
40
40
20
20
0
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hr)
図Ⅲ-2-3-23
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hr)
第一種ダクト式変動運転での SRF 評価及び電力考慮した SRF 評価
Ⅲ-2-3-29
0:00
2-7 まとめ
つくば市内にある実大の二階建て木造住宅において、室内空気質の向上と換気にかか
るエネルギー消費削減について調査を実施した。住宅構造及び設置された換気システム
の基本的な性能(住宅の気密性、換気システムの端末部材における風量など)の確認を行
うとともに、VOCを模したトレーサーガス(N2O)を用いて制御ができる状態に調節
し、当該実験用換気システムの制御系システムを整備した。また、汚染物質として用い
た N2O の発生量を変動させて室内汚染物質濃度、外気導入量及び消費電力量を収集して、
本評価法を換気システム制御のための濃度測定を行っている居室に適用して評価を行
うとともに、モニター換気システム運転時の実効性と課題を明らかにした。
Ⅲ-2-3-30
3 実大住宅における実験評価環境の整備と仮想汚染質を用いた換気システム評価実験
(2)
3-1 概要
本研究は、検知した室内の VOC(揮発性有機化合物)濃度データを用いて換気量を増
減させる手法により、室内空気質の維持・向上と省エネルギー性の両立を図ることをめ
ざして、換気量変動型換気システムの最新改良型(以下、
「改良型換気システム」)を設
置した実大実験住宅に、生活行動を再現した換気システムの運転、エアコン運転、汚染
ガスを模したトレーサーガスの発生など、複数の条件を課して実験を行い、実働的な性
能の評価に用いる資料を得ることを目的とする。
3-2 実験住宅と換気設備
3-2-1 実験住宅
実験住宅は、財団法人ベターリビングつくば建築試験研究センター内に設置されてい
る在来軸組構法木造2階建実大実験住宅を用いる。(第 2 章に示したものと同じ住宅で
ある。)
3-2-2 換気システム
第一種ダクト式換気システムと局所換気システムの2種類を設置した。第一種ダクト
式換気システムは、汚染対象となるリビングから排気するシステムとしている。
局所換気は、キッチンレンジフード、トイレ、脱衣室、浴室の 4 箇所に設置し、タイ
マーにより運転時間を制御できるように改良した。
3-3 実験住宅の基本特性の測定
3-3-1 実験住宅の気密性
換気システム設置工事前後で住宅の気密性を測定した。測定方法は、JIS A 2201:送
風機による住宅等の気密性能試験方法に準拠し、減圧法とした。換気システム施工後の
気密性測定結果を 表Ⅲ-2-3-10 に示す。
表Ⅲ-2-3-10 の結果から、今回の局所換気システム施工により実験住宅の気密性は単位
相当隙間面積αA‘において 2.0(cm2/m2)以下となり大きく変化していないこと、併せて
十分な気密性を有し本実験対象として問題ないことが確認された。
3-3-2 温湿度測定及び風向・風速測定
実験期間中温湿度は 1 分インターバルで測定した。
風向・風速の測定は、超音波三次元風速計を用いた。超音波風速計を実験住宅に隣接
する実験棟(高さ 7.3m)の屋根に長さ 3m のポールを設置し地上高約 10m での風向・風
速測定を行った。
Ⅲ-2-3-31
表Ⅲ-2-3-10
換気システム設置施工前後での実験住宅の気密性変化
隙間特性n
相当隙間面積
αA(cm2)
単位相当隙間面積
αA’(cm2/m2)
換気システム
施工前
1.50
209.06
1.60
換気システム
施工後
1.61
199.06
1.52
203.78
1.56
233.37
1.78
測定条件
2007
年度
2008
第一種ダクト
年度
換気システム
1.57
前半
排気口施工後
2008
局所換気
年度
システム
1.58
後半
施工後
備考
延床面積 130.83(m2)
3-3-3 風量測定
実験住宅に設置した第一種ダクト式換気システム及び局所換気の風量を、換気システ
ムの端末部材において風量測定器を用いて測定した。
室内排気グリルでの風量測定は 10 秒平均で測定した。第一種換気システムの給気及
び排気側の主換気装置の設定は、強・中・弱の3条件とした。それぞれの条件において、
補助排気ファンを停止、弱、中、協の設定で、排気側の風量測定を行った。
局所換気は、設定ノッチ毎の風量を測定した。なお第一種ダクト式換気は停止した状
態で、局所換気の風量測定を実施している。
3-3-3-1 第一種ダクト式換気システム風量測定
第一種ダクト式換気システムの風量測定から、弱ノッチで換気回数が 1 時間当たり
0.44 回、中ノッチで 0.57 回という結果となった。
3-3-3-2 局所換気の風量測定
改良工事を行った局所排気ファンの風量測定結果を 表Ⅲ-2-3-11 に示す。
Ⅲ-2-3-32
表Ⅲ-2-3-11
局所換気扇の風量測定結果
設置位置
風量設定
キッチン
トイレ
洗面
浴室
微
弱
中
強
弱
中
強
弱
中
強
1 回目
141.3
179.4
207.2
228.4
44.1
77.6
114.4
48.1
73.2
108.9
弱
中
強
51.6
75.7
93.9
風量(m3/h)
2 回目
3 回目
143.0
143.0
179.2
180.0
207.1
206.5
228.0
228.4
42.8
42.8
78.9
79.3
110.9
114.4
48.6
48.3
73.1
70.2
109.1
109.8
51.3
75.8
93.0
平均
142.4
179.5
206.9
228.3
43.2
78.6
113.2
48.3
72.2
109.3
50.8
74.8
92.5
51.2
75.4
93.1
3-3-4 生活行動を再現した局所換気の風量設定及び運転時間の設定
住宅金融支援機構監修の木造住宅工事仕様書(平成 20 年度改訂/フラット 35 記述基
準対応)等の既往の報告を参考に、レンジフードでは、朝、昼が 15 分運転、夜が 45 分
運転を想定、浴室は入浴及び入浴後の乾燥を想定し 4 時間、トイレは積算で 90 分、洗
面所は、朝 1 時間、夜 1 時間の合計 2 時間を想定した。実験棟に設置した局所換気のノ
ッチ及び運転時間を 表Ⅲ-2-3-12 に示す値に設定とした。
表Ⅲ-2-3-12 実験時の風量設定ノッチと風量測定結果
風量結果
室名
ノッチ
(m3/h)
運転時間(1)
228
朝 15 分
昼 15 分
夜 45 分
1.25 時間
強
93
夜 4 時間
4 時間
洗面所
中
72
朝 15 分
夜 45 分
1 時間
トイレ
弱
43
積算で 90 分
1 回 15 分
1.5 時間
キッチンレンジフー
ド
強
浴室
(1) 田島他:住宅用換気設備の使用方法に関する調査、日本建築学会大会梗概集
41641 ,2008
Ⅲ-2-3-33
3-3-5 換気量測定
トレーサーガスを用いた一定濃度法は、実験棟内を6つのブロックに分割し、マルチ
ガスモニタを用い、トレーサーガスを一種類 SF6 (六フッ化硫黄)とした実験と、SF6
と N2O(亜酸化窒素)の二種類のトレーサーガスを同時にドージングした実験の2条件
を行った。
マルチガスモニタを用いた一定濃度法測では、トレーサーガス攪拌用ファンは、居室
及び廊下に設置し、発生させたトレーサーガスが居室内で均一となるよう、ドーザーチ
ューブを攪拌ファンの風上側に設置し、天井側に向けて攪拌を行った。また一定濃度法
での換気量測定は、24 時間測定を原則とし、実験住宅内の濃度が一定となった状態で
換気量を算出した。なお計測機器は、和室に設置している。
3-3-6 エアコン運転と消費エネルギーモニター
リビング中心に生活することを想定し、リビングのエアコンを暖房運転 20℃設定で
一定とする。運転時間は一定運転と生活行動を再現した変動運転の 2 種類を設定する。
生活行動を再現したエアコン暖房変動運転は、23:00 就寝、6:00 起床の生活パターン
を想定し、23 時にエアコンを停止、朝 5 時にエアコン運転開始とした。なお昼間は、
気温上層とともにエアコン不要の条件も想定されるが、設置したエアコンはインバータ
ー制御により室温が設定温度以上となるとファンが停止し、電力消費がゼロとなるため、
昼間はエアコンを切らずに実験を行うことにした。
消費エネルギーは分電盤に設置した多回路エネルギーモニターによりブロック毎の
電力(kW)を測定した。
内外温度差とリビングに設置したエアコン消費電力の傾向を調べるため、1 日を外気
温が上昇し最高に達するまでの期間(グループ 1:6:00~14:00)と外気温が下がる
期間(グループ 2)に分け、室内及び外気の経時変化、リビング-外気内外温度差、及
びエアコン電力の経時変化を 図Ⅲ-2-3-24 に示す。図Ⅲ-2-3-25 に内外温度差と消費電
力の関係を示す。内外温度差と消費電力の関係はヒステリシス現象を示し、明け方から
午後 2 時までは下に凸のカーブを、午後 2 時から明け方までは上に凸のカーブを示して
いる。
Ⅲ-2-3-34
40
和室
主寝室
リビング
洋室SE
キッチン
洋室NE
玄関
外気温度
納戸
2F ホール
温度(℃)
30
20
10
0
12/2
12/3
時間
時間(日)
12/4
12/3
時間
時間(日)
12/4
12/5
内外温度差(リビング-外気)(℃)
20
15
10
5
0
12/2
12/5
1.0
電力(kW)
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
12/2
12/3
時間(日)
時間
12/4
12/5
図Ⅲ-2-3-24 室内及び外気の経時変化、リビング-外気内外温度差、及びエアコン電力の経時変
化
0.5
リビングエアコン電力(kW)
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
(リビング-外気)内外温度差(℃)
図Ⅲ-2-3-25
内外温度差と消費電力の関係(赤プロット 6:00~14:00 までのデータ)
Ⅲ-2-3-35
3-4 汚染物質を想定したトレーサーガスの発生
3-4-1 トレーサーガス発生装置
汚染物質を想定し、トレーサーガスには亜酸化窒素(N2O 分子量 44)を用いた。こ
の N2O ガスを一定発生法によりリビングに発生させた。発生量は、マルチガスモニター
の 3mL/sec バルブで開放度 20%とした。発生位置は、リビング中央に設置した攪拌ファ
ンの風上側とし、マルチガスモニターのドーザーバルブからチューブを介して設置した。
なお N2O 濃度検出側チューブは、攪拌ファンの風下側に設置した。発生時間は、24 時間
一定発生と 8 時間発生 16 時間停止の2条件とした。
3-4-2 トレーサーガス発生量、発生時間の設定のための予備試験
発生室となるリビングの換気量と発生量の関係を求めるため、N2O 発生装置の発生量
を 10%、20%、30%と発生装置のバルブ開放度設定を変化させ、各6時間一定発生させた
場合の室内濃度測定を行った。
この実験における換気システムは第三種ダクト式換気システムを弱連続運転とした。
トレーサーガス発生装置のバルブ解放度を変化させると、発生量は比例的に増加する。
また各部屋の換気量は連続運転で一定であるため、室内濃度も発生量に応じて比例的に
増加することが確認できた。この結果からリビングに汚染源を想定してトレーサーガス
を発生させる場合、発生装置のバルブ開放度は 20%の一定発生とすることで、リビン
グ濃度も精度良く測定が行われることが確認できた。
汚染源を想定したトレーサーガス発生時間を変化させた場合の室内濃度の測定結果
を 図Ⅲ-2-3-26、図Ⅲ-2-3-27 に示す。この実験は、汚染源を想定したトレーサーガス
をSF6 とし、リビングにバルブ開放度 20%で一定発生させた結果である。発生は、最初
の 3 時間停止状態で室内濃度が安定することを確認し、その後 1 時間発生-3 時間停止、
2 時間発生-3 時間停止、4 時間発生-3 時間停止とした。換気システムは第一種ダクト
式換気(リビング排気型)とし、風量設定は弱運転としている。1 時間発生、2 時間発
生では、リビング濃度上昇は直線的であるのに対し、4 時間発生では濃度上昇の勾配が
2時間を過ぎた当たりから緩やかになっている。しかし、まだ平衡状態にはなっていな
い。 図Ⅲ-2-3-27 に 8 時間発生-16 時間の 24 時間を1サイクルとし、3サイクル繰り
返しを行った場合のリビング濃度の関係を示す。なおトレーサーガスはN2Oを用いた。
第一種ダクト式換気システム弱運転では、8 時間発生でリビング濃度がほぼ平衡状態と
なっていることから、今回の実験では、昼間の 8 時間汚染物質が発生することを基本と
して実験を進める。
Ⅲ-2-3-36
150
和室
2F主寝室
2F 洋室北東
150
N2O濃度(mg/m3)
リビング
2F 洋室南東
玄関廊下
3
SF6濃度(mg/m )
120
90
60
和室
2F主寝室
2F 洋室北東
120
リビング
2F 洋室南東
玄関廊下
90
60
30
30
0
18:00
0:00
6:00
12:00
18:00
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間
時間(hour)
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-26, 汚染源を想定したトレーサー
発生時間と室内濃度の関係
図Ⅲ-2-3-27 汚染源を想定したトガス
レーサーガス発生 8 時間発生繰り返し
と室内濃度の関係
3-5 局所換気運転時のリビング濃度低減効果確認実験
局所換気は、調理、入浴・洗面、トイレを使用した場合の水蒸気やにおいを除去する
ことが主な目的であるが、局所換気を利用することで、汚染物質が発生した部屋の濃度
をどの程度低減することが可能であるかを検討した。そのため局所換気扇を運転した場
合の建物全体の換気量及び汚染物質発生源の換気量変化と汚染濃度減少などの測定を
実施した。
換気システム運転設定により実験は 表Ⅲ-2-3-13 に示す 7 条件とし、汚染物質発生対
象は居住者が長時間生活するリビングを想定した。換気は主換気と局所換気の 2 種類と
し、主換気は第一種ダクト式換気システムの弱運転、局所換気は、レンジフード、浴室、
洗面、トイレ(1 階)の 4 箇所を想定している。汚染物質発生室となるリビングは、エア
コン暖房運転 20℃で一定とし、エアコンの消費電力をモニターした。
表Ⅲ-2-3-13
実験
条件
実験条件毎の換気システム運転設定
主換気
局所換気
レンジ
1
フード
強
2
浴室
強
3
洗面
中
トイレ
弱
浴室
強
洗面
中
トイレ
弱
3hr 停止→15 分運転→3hr 停止→30 分運転→3hr 停止
→45 分運転→3hr 運転
3hr 停止→2hr 運転→3hr 停止→4hr 運転→3hr 停止
3hr 停止→15 分運転→3hr 停止→30 分運転→3hr 停止
→45 分運転→3hr 運転
第一種
4
ダクト式
3hr 停止→15 分運転→3hr 停止→15 分運転→3hr 停止
→15 分運転→3hr 運転
弱運転
5
6
7
停止
3hr 停止→15 分運転→3hr 停止→30 分運転→3hr 停止
→45 分運転→3hr 運転
すべて
生活行動再現運転
すべて
生活行動再現運転
Ⅲ-2-3-37
生活行動再現運転:
レンジフード
強運転
7:00→7:15、12:00→12-15、18:00→18:45
浴室換気
強運転
19:00→23:00
洗面換気
中運転
7:15→7:30、19:00→19:15、20:00→20:15、21:00→21:15
弱運転
7:15→7:45、10:00→10:15、13:00→13:15、16:00→16:15
1回
3回
合計 1.25 時間
4 時間
4回
合計 1 時間
トイレ換気
20:00→20:15、22:45→23:00
6回
合計 1.5 時間
3-5-1 第一種ダクト式換気システム運転時の換気量とリビング濃度
第一種ダクト式換気システムを弱連続運転した場合の経時-換気量曲線を 図Ⅲ
-2-3-29 に、またそのときのリビングN2O一定発生における各部屋濃度を 図Ⅲ-2-3-30
に示す。また第一種ダクト式換気システムを強連続運転した場合の経時-換気量曲線を
図Ⅲ-2-3-31 に、またそのときのリビングN2O一定発生における各部屋濃度を 図Ⅲ
-2-3-32 に示す。換気運転モード毎及び停止した場合の一定濃度法による換気量測定結
果を 表Ⅲ-2-3-14 に、リビングにN2Oを 8 時間一定発生 16 時間停止で 3 サイクル行った
場合の各部屋最大N2O濃度を 表Ⅲ-2-3-15 に示す。またリビング換気量とリビング濃度
の関係を 図Ⅲ-2-3-32 に示す。
第一種ダクト式 弱運転
120
和室
100
リビング
2F主寝室
換気量(m3 /h)
80
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
60
40
20
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-28 第一種ダクト式換気システム 弱連続運転 経時-換気量曲線
(実験途中でトレーサーガスが無くなったため、途中で換気量測定は中断となる。)
第一種ダクト式 弱運転
100
和室
リビング
80
2F主寝室
2F 洋室南東
3
濃度(mg/m )
2F 洋室北東
60
玄関廊下
40
20
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-29
リビング N2O 一定発生における各部屋濃度(弱運転時)
Ⅲ-2-3-38
第一種ダクト式 強運転
150
換気量(m3/h)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-30
第一種ダクト式換気システム
強連続運転
経時-換気量曲線
150
N2O濃度(mg/m3 )
120
和室
リビ ン グ
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
6:00
18:00
6:00
18:00
6:00
18:00
6:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-31
リビング N2O 一定発生における各部屋濃度(強運転時)
表Ⅲ-2-3-14
一定濃度法による第一種ダクト式換気システムの換気量測定結果
SF6 一定濃度法による換気量(m3/h)
廊下
和室
Living 主寝室 洋室 SE 洋室 NE
合計
納戸
停止
3.9
10.5
1.5
1.5
1.7
12.9
32.0
弱
中
強
第一種
ダクト式
30.0
36.7
46.7
76.7
93.3
129.8
36.6
47.3
61.9
15.9
20.3
26.5
19.9
24.7
33.1
15.1
21.4
41.6
表Ⅲ-2-3-15
第一種
ダクト式
リビング N2O 一定発生時の各部屋の N2O 濃度
実験期間内最大 N2O 濃度(mg/m3)
和室
リビング
主寝室
洋室 SE
洋室 NE
停止
227
284
147
137
146
弱
41
79
12
23
16
中
31
65
5
6
6
強
17
50
4
4
4
194.2
243.8
339.6
Ⅲ-2-3-39
廊下納戸
193
31
20
11
リビングN 2O一定発生によるリビング濃度(mg/m
3
)
300
250
200
150
100
50
0
0
20
40
60
80
100
120
140
3
SF 6 一 定濃 度 法に よ るリ ビ ング 換 気量 (m /h)
図Ⅲ-2-3-32
リビング換気量とリビング N2O 濃度の関係
3-5-2 レンジフード 変動運転時
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気としてレ
ジフードを運転時間を 30 分、45 分、60 分の3段階とした場合の経過時間-換気量の関
係を 図Ⅲ-2-3-33 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-34 に示す。なおレンジフード運転の
間隔は 3 時間とした。
キッチンに設置したレンジフードファンは、リビングと一体化した空間であり、かつ
レンジフードファンの風量が強運転で 200m3/h を超えることから、換気量も大きく変化
している。また2階主寝室もキッチンのレンジフードファンを運転することで換気量が
増加していることから、建物全体として負圧となっていることが予想される。レンジフ
ード運転による換気量の増加に伴い、実験期間内一定発生しているリビングトレーサー
ガス N2O 濃度は低下した。
実験3 レンジフード運転
150
換気量(m3/h)
120
90
60
30
リビング
0
12:00
15:00
18:00
2F主寝室
21:00
0:00
時間
図Ⅲ-2-3-33
レンジフード局所換気運転時の換気量経時変化
Ⅲ-2-3-40
150
N2O濃度(mg/m3)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-34
レンジフード局所換気運転時のリビング濃度変化
3-5-3 浴室換気 変動運転時
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気として浴
室換気を 2 時間及び 4 時間の2段階変動させた場合の経過時間-換気量の関係を 図Ⅲ
-2-3-35 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-36 に示す。なお浴室換気の運転間隔は 3 時間
とした。
浴室に設置した換気扇は、洗面所、廊下を介してリビングとつながっているため、換
気量測定を行った廊下エリアに浴室が含まれる。したがって廊下の換気量は大きく増加
したが、リビングの換気量増加は 20m3/h 程度であった。この結果汚染源を想定したト
レーサーガスのリビング濃度減少は小さい結果となった。
150
和室
2F主寝室
2F 洋室北東
換気量(m3/h)
120
リビング
2F 洋室南東
玄関廊下
90
60
30
0
9:00
12:00
15:00
18:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-35
浴室
局所換気運転時の換気量経時変化
Ⅲ-2-3-41
21:00
0:00
150
N2O濃度(mg/m3 )
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
6:00
12:00
18:00
0:00
6:00
時間
図Ⅲ-2-3-36
浴室局所換気運転時のリビング濃度変化
Ⅲ-2-3-42
12:00
18:00
3-5-4 洗面局所換気 変動運転時
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気として洗
面所の局所換気を運転時間を 30 分、45 分、60 分の3段階とした場合の経過時間-換気
量の関係を 図Ⅲ-2-3-37 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-38 に示す。なお洗面局所換気
運転の間隔は 3 時間とした。
洗面所に設置した局所換気も浴室と同様、廊下を介してリビングとつながっているた
め、換気量測定を行った廊下エリアに洗面所が含まれる。また洗面所の換気風量設定は
中としていることから、浴室の強設定に比べ風量が小さい。したがって廊下の換気量は
増加したが、リビングの換気量増加は 10m3/h 程度であった。この結果汚染源を想定し
たトレーサーガスのリビング濃度減少は小さい結果となった。
150
和室
2F主寝室
2F 洋室北東
3
換気量(m /h)
120
リビング
2F 洋室南東
玄関廊下
90
60
30
0
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-37
洗面所
局所換気運転時の換気量経時変化
150
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
3
N2O濃度(mg/m )
120
和室
90
60
30
0
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
時間
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-38
洗面所
局所換気運転時のリビング濃度変化
Ⅲ-2-3-43
0:00
3-5-5 トイレ
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気としてト
イレの局所換気を運転時間を 15 分ずつ3回運転した場合の経過時間-換気量の関係を
図Ⅲ-2-3-39 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-40 に示す。なおトイレ局所換気運転の間
隔は 3 時間とした。
トレイに設置した局所換気も、廊下を介してリビングとつながっているため、換気量
測定を行った廊下エリアに洗面所が含まれる。またトイレの換気風量設定は弱としてい
ることから、浴室や洗面所の設定に比べ風量が小さい。したがって廊下の換気量もほと
んど増加せず、リビングのも換気量増加はほとんど確認できなかった。このため汚染源
を想定したトレーサーガスのリビング濃度減少はほとんどみられなかった。
150
換気量(m3/h)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
12:00
18:00
0:00
6:00
12:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-39
トイレ
局所換気運転時の換気量経時変化
150
N2O濃度(mg/m3)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室北東
2F 洋室南東
玄関廊下
90
60
30
0
12:00
18:00
0:00
6:00
時間
図Ⅲ-2-3-40
トイレ
局所換気運転時のリビング濃度変化
Ⅲ-2-3-44
12:00
3-5-6 浴室・洗面・トイレ同時運転
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気として浴
室・洗面・トイレの局所換気を同時に運転とし、運転時間は 15 分、30 分、45 分の3段
階とした場合の経過時間-換気量の関係を 図Ⅲ-2-3-41 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ
-2-3-42 に示す。なお局所換気運転の間隔は 3 時間とした。
浴室・洗面・トイレに設置した局所換気は、廊下を介してリビングとつながっている
ため、換気量測定を行った廊下エリアに含まれる。浴室・洗面・トイレ同時運転では廊
下の換気量変化が大きく、リビングも局所同時運転時の換気量増加は比較的大きい結果
となったが、リビング濃度の減少は小さい結果となった。リビングに導入された外気が
リビングの濃度を希釈することなく、廊下へ流れていく換気経路となったのではないか
と予想する。
150
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
120
3
換気量(m /h)
90
60
30
0
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-41
浴室・洗面・トイレ
同時局所換気運転時の換気量経時変化
150
N2O濃度(mg/m3)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
6:00
12:00
18:00
0:00
6:00
12:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-42
浴室・洗面・トイレ
同時局所換気運転時のリビング濃度変化
Ⅲ-2-3-45
3-5-7 生活行動再現実験(第一種ダクト式換気弱運転)
主換気システムは、第一種ダクト式換気システム弱連続運転とし、局所換気は生活行
動を再現したパターンを想定し、実験6の設定で運転を行った。経過時間-換気量の関
係を 図Ⅲ-2-3-43 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-44 に示す。
個々の局所換気が動くごとに換気量は変動し、汚染源発生を想定したリビング濃度も
変化している。短時間に風量が大きいレンジフードが運転される条件よりも、浴室換気
扇のように比較的長時間運転を続けた方が、リビング濃度減少は大きな傾向が見られた。
150
和室
2F主寝室
2F 洋室北東
リビング
2F 洋室南東
玄関廊下
換気量(m3 /h)
120
90
60
30
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-43
生活行動再現
局所換気運転時の換気量経時変化
150
N2O濃度(mg/m3 )
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
時間
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-44
生活行動再現
局所換気運転時のリビング濃度変化
Ⅲ-2-3-46
12:00
3-5-8 生活行動再現実験(第一種ダクト式換気停止状態)
主換気システムである第一種ダクト式換気システムを停止した状態で、局所換気は生
活行動を再現したパターンを想定し、実験7の設定で運転を行った。経過時間-換気量
の関係を 図Ⅲ-2-3-45 に、室内濃度の関係を 図Ⅲ-2-3-46 に示す。
主となる第一種ダクト式換気を停止することで、建物全体の換気量が減少する。した
がって局所換気を断続的に運転するだけでは、室内汚染濃度は減少しない。またリビン
グで汚染物質が発生しているのに、1階和室、廊下さらに2階の部屋までもが高濃度と
なる結果となった。
150
換気量(m3/h)
120
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
0
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
0:00
12:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-45
生活行動再現
局所換気運転時の換気量経時変化(第一種ダクト式停止)
400
350
和室
リビング
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
N2O濃度(mg/m3)
300
250
200
150
100
50
0
0:00
図Ⅲ-2-3-46
止)
12:00
生活行動再現
0:00
12:00
時間
0:00
12:00
0:00
局所換気運転時のリビング濃度変化(第一種ダクト式停
Ⅲ-2-3-47
3-5-9 局所換気併用運転時の換気量及び濃度測定結果まとめ
局所換気併用運転時の換気量測定結果を 表Ⅲ-2-3-16 に、またリビングの換気量比較
を 図Ⅲ-2-3-47 に示す。実験条件1~6までは、第一種ダクト式換気システムが弱で連
続運転しているため、換気量の平均値はおおむね一定となっているが、局所換気運転に
より最大値は異なる結果となった。
局所換気によりリビング換気量が大きく増加するのは、レンジフードであり、トイレ
はリビングの換気量増加にはほとんど寄与していない結果となった。生活行動再現実験
は、複数の局所換気が断続的に運転されることから最大値はレンジフードの最大値と一
致することが予想されたが、生活行動再現実験では比較的短時間でレンジフードの運転
を停止するため、換気量の最大値が多少低くなっている。主換気を停止し、局所換気の
み運転すると、平均換気量は極端に小さくなった。
表Ⅲ-2-3-16
実
験
条
件
局所換気併用運転時の換気量測定結果
SF6 一定濃度法による換気量(m3/h)
主
第一
種
ダク
ト
局所
リビ
ング
和室
弱
主寝
室
洋室
SE
洋室
NE
廊下
納戸
合計
30.0
76.7
36.6
15.9
19.9
15.1
194.2
最大
54.1
138.2
57.3
34.3
36.3
85.6
405.7
平均
28.5
79.7
37.6
16.4
20.9
29.3
212.5
最大
37.5
93.6
50.5
24.1
29.4
60.7
295.7
平均
27.7
75.2
39.2
16.6
21.1
28.5
208.2
最大
35.2
92.8
40.9
20.7
24.2
42.3
256.1
平均
28.4
73.7
35.3
15.1
19.7
17.7
190.0
最大
30.5
79.2
37.7
16.0
19.8
21.9
205.1
平均
28.0
75.0
34.0
14.4
18.6
17.2
187.1
1
弱
レンジ
フード
2
弱
浴室
3
弱
洗面
4
弱
トイレ
最大
48.0
119.6
56.1
31.1
35.6
55.4
345.8
5
弱
浴室/洗
面
/トイレ
平均
32.8
83.8
39.4
18.7
24.1
19.6
218.5
6
弱
生活行動
再現
最大
50.4
119.2
56.4
32.3
34.5
75.7
368.5
平均
29.8
80.9
39.4
17.4
22.4
33.3
223.1
7
停止
生活行動
再現
最大
31.0
71.5
22.4
22.7
19.0
68.8
235.5
平均
10.5
19.8
6.6
5.2
4.5
27.4
74.0
Ⅲ-2-3-48
150
最大
平均
換気量(m 3/h)
120
90
60
30
停
止
)
現
(主
行
動
生
活
行
動
再
現
生
活
面
/ト
イ
室
/洗
再
レ
レ
ト
イ
洗
面
浴
室
浴
レ
ン
ジ
フ
ー
ド
0
図Ⅲ-2-3-47
局所換気併用運転時のリビング平均換気量と最大換気量
局所換気併用運転時のリビング濃度測定結果を 表Ⅲ-2-3-17 に、またリビングの濃
度比較を 図Ⅲ-2-3-48 に示す。実験条件1~6までは、第一種ダクト式換気システムが
弱で連続運転しているため、リビングN2O濃度の平均値はおおむね一定となっているが、
第一種ダクト式換気システムを停止するとリビング濃度は大きくなる結果となった。
局所換気によりリビング濃度が大きく減少するのは、レンジフードであり、トイレは
リビングの換気量増加にはほとんど寄与していない結果となった。生活行動再現実験は、
複数の局所換気が断続的に運転されることから最小値はレンジフードの最小値と一致
することが予想されたが、生活行動再現実験では比較的短時間でレンジフードの運転を
停止するため、濃度の最小値が多少高くなっている。主換気を停止し、局所換気のみ運
転すると、平均濃度は極端に大きくなった。
Ⅲ-2-3-49
表Ⅲ-2-3-17
局所換気併用運転時の各部屋 N2O 濃度
リビング N2O 一定発生時の各部屋濃度(mg/m3)
主
実
験
条
件
第一
種
ダク
ト
局所
リビ
ング
和室
弱
主寝
室
洋室
SE
洋室
NE
廊下
納戸
41
79
12
23
16
31
最大
15
41
2
2
3
9
平均
34
66
5
6
7
24
最大
31
65
4
4
4
19
平均
37
73
5
7
6
26
最大
35
69
5
6
5
21
平均
38
77
6
7
7
25
最大
38
76
6
6
6
24
平均
39
79
7
8
9
26
1
弱
レンジ
フード
2
弱
浴室
3
弱
洗面
4
弱
トイレ
最大
30
66
4
4
5
15
5
弱
浴室/洗
面
/トイレ
平均
36
72
5
5
6
23
6
弱
生活行動
再現
最大
16
47
3
3
3
9
平均
34
72
5
6
6
23
7
停止
生活行動
再現
最大
245
301
156
142
142
212
平均
221
274
122
125
124
186
150
最小
平均
濃度(mg/m 3)
120
90
60
30
止
)
現
停
再
(主
行
動
現
再
生
活
行
動
面
/ト
生
活
イ
レ
レ
イ
ト
面
洗
室
浴
浴
室
/洗
レ
ン
ジ
フ
ー
ド
0
図Ⅲ-2-3-48
局所換気併用時のリビング N2O 濃度
Ⅲ-2-3-50
3-6 窓開けによるリビング濃度変化確認実験
3-6-1 実験方法
機械換気運転とは異なり、窓開けにより直接外気を室内に取り込む生活行動も考えら
れる。冬季では比較的短時間の窓開けとなることから、窓開け時間を 15 分で一定とし、
リビング南側掃き出し窓 1 箇所を開放した場合と、さらに南側掃き出し窓と北東側窓の
2カ所を開放した場合の2条件を想定する。
窓開け実験の対象はリビングの南面及び東面の窓とした。
窓開け時間は、午前中 11:30~11:45 の 15 分間及び夕方 17:00~17:15 までの 15 分間
の2回行った。また換気システムは第一種ダクト式換気及び局所換気とも停止状態での
実験とした。リビングに一定発生法で N2O トレーサーガスを発生し続け、窓開け実験期
間中、SF6 トレーサーガスを用いて一定濃度法により換気量測定も行った。
3-6-2 窓開けによるリビング濃度実験結果
図Ⅲ-2-3-49 に南側掃き出し窓のみ開放した一方向開放時のリビング濃度変化を、
図Ⅲ-2-3-50 に南側掃き出し窓と北東窓の二方向開放時のリビング濃度変化を示す。ま
た 図Ⅲ-2-3-51 に時間軸をほぼ一致させた場合の窓開け条件ごとのリビング濃度比較
を示す。
二方向窓開けでは、リビング濃度は一方向窓開けに比べ急激に低下することが確認で
きた。一定濃度法による換気量測定では、あまりに急激な濃度変化に発生が間に合わず、
室内濃度が一定とならなかったが、一定発生法によるリビング濃度減衰を 図Ⅲ-2-3-52
に、換気量結果を 表Ⅲ-2-3-18 に示す。
また南側掃き出し窓一方向開放の場合のリビング濃度・温度・電力量の関係を 図Ⅲ
-2-3-53 に示す。
400
350
N2O濃度(mg/m3)
300
250
200
150
100
50
0
6:00
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
3:00
時間
図Ⅲ-2-3-49
南側掃き出し窓
一方向開放時
リビング濃度変化
Ⅲ-2-3-51
400
400
350
300
濃度(mg/m3)
N2O濃度(mg/m3)
300
250
200
150
200
100
100
50
リビング
0
6:00
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
玄関廊下
3:00
0
時間
6:00
図Ⅲ-2-3-50 南側掃き出し窓+北東窓
二方向開放時 リビング濃度変化
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
3:00
時間(hour)
30
リビング
キッチン
外気温度
窓2方向と窓1方向開放実験 リビングN2O濃度
400
20
温度(℃)
350
N2O濃度(mg/m3)
300
250
10
200
150
100
0
窓2方向開放実験
50
6:00
窓1方向開放実験(南窓のみ開
放
9:00
12:00
15:00
0
0:00
3:00
6:00
9:00
18:00
21:00
0:00
3:00
時間
12:00
1.2
図Ⅲ-2-3-51 時間軸を一致させた場合
の窓開放実験比較
1.0
3.0
y = -0.4377x + 2.398
R2 = 0.9617
2.5
電力量(kW)
0.8
0.6
log濃 度 (m g/m 3 )
0.4
2.0
0.2
1.5
建物全体
1.0
リビングエアコン
和室
0.0
y = -4.7847x + 2.4459
R2 = 0.9362
6:00
9:00
12:00
15:00
18:00
時間(hour)
21:00
0:00
0.5
0.0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
時間(時間)
図Ⅲ-2-3-52 リビング濃度減衰
濃度と時間の関係
図Ⅲ-2-3-53 南側掃き出し窓 一方向
開放時 リビング濃度・温度・電力の関
係
対数
Ⅲ-2-3-52
3:00
表Ⅲ-2-3-18
窓開けによる濃度減衰から求めた換気量
窓開け条件
傾き
換気回数
一方向
-0.4733
1.00
二方向
-4.7847
11.02
3-7 省エネルギー性を考慮したエアコン、換気システムの運転
3-7-1 実験条件の設定
リビングでの快適な生活と省エネルギー性のバランスを検討するため、居住者のリビ
ングでの生活時間を 6:00 ~ 23:00 の 17 時間と設定し、また汚染物質発生時間設定を
10:00 ~ 18:00 の
8 時間とした場合の、エアコン運転条件及び第一種ダクト式換気
運転条件によりリビング室内濃度と消費電力を測定する。なお1実験は 24 時間を基本
とする。表Ⅲ-2-3-19 に実験条件一覧を示す。
表Ⅲ-2-3-19 省エネルギー性を考慮したエアコン、換気システムの運転条件
実験
エアコン運転
1
24 時間連続
暖房 20℃設定
2
3
換気システム
5:00~23:00 まで 18 時間
暖房 20℃設定
5:00~10:00
18:00~23:00 10 時間
暖房 20℃設定
第一種ダクト式
弱
連続
第一種ダクト式
弱
連続
第一種ダクト式
弱
連続
4
5:00~10:00
18:00~23:00 10 時間
暖房 20℃設定
第一種ダクト式 弱
8:00~19:00 10 時間運転
5
エアコン停止
第一種ダクト式 弱
8:00~19:00 10 時間運転
備考
:居住者のリビング生活時間は 6:00~23:00 の 17 時間
リビングでの汚染物質発生は昼間の 10:00~18:00 の 8 時間を想定
3-7-2 測定項目
省エネルギー性を考慮したエアコン、換気システム運転実験では、以下の測定を連続
して行った。
①一定濃度法による換気量測定
②各部屋の温湿度測定
③外気温湿度測定
④外部風速・風向
⑤リビング電力測定(エアコン含む)及び建物全体の電力測定
Ⅲ-2-3-53
3-7-3 測定結果
3-7-3-1 換気量とリビング濃度
実験条件ごとの換気量測定結果を 図Ⅲ-2-3-54~図Ⅲ-2-3-58 に示す。換気システム
連速運転では、室内濃度はおおむね一定で 80(mg/m3)の値を示している。汚染物質発生
終了と同時に換気システムを停止する実験4では、リビング内に汚染物質が残留し、濃
度低下が遅れる傾向が見られた。
150
150
リビ ン グ
2F主寝室
120
90
60
玄関廊下
30
0
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
0:00
6:00
図Ⅲ-2-3-54
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
時間(hour)
実験1(2回目)
エアコン連続・換気システム連続運転
150
150
リビ ン グ
2F主寝室
120
N2 O 濃 度 (mg/ m3 )
120
換気量(m3/h)
2F 洋室南東
2F 洋室北東
60
0
90
60
和室
リビ ン グ
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
30
0
0:00
6:00
12:00
18:00
0
0:00
0:00
6:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-55
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
実験2(1回目)
エアコン 18 時間・換気システム連続運転
150
150
リビ ン グ
2F主寝室
120
和室
リビ ン グ
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
3
N2O濃度(mg/m )
120
3
リビ ン グ
2F主寝室
90
30
換気量(m /h)
和室
3
N2O濃度(mg/m )
換気量(m3 /h)
120
90
60
90
60
30
30
0
0
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
0:00
図Ⅲ-2-3-56
実験3(1回目)
6:00
12:00
18:00
時間(hour)
時間(hour)
エアコン 10 時間・換気システム連続運転
Ⅲ-2-3-54
0:00
150
150
リビ ン グ
2F主寝室
120
90
60
30
0:00
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
6:00
12:00
18:00
0
0:00
0:00
6:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-57
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
実験4(1回目)
エアコン 10 時間・換気システム 10 時間運転
150
150
120
120
N2O濃度(mg/m )
リビ ン グ
3
リビ ン グ
2F主寝室
30
0
換気量(m /h)
和室
3
N2O濃度(mg/m )
換気量(m3 /h)
120
3
2F主寝室
90
60
和室
リビ ン グ
2F主寝室
2F 洋室南東
2F 洋室北東
玄関廊下
90
60
30
30
0
0
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
0:00
実験5(1回目)
12:00
18:00
時間(hour)
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-58
6:00
エアコン停止・換気システム 10 時間運転
Ⅲ-2-3-55
0:00
3-7-3-1 温度と消費電力
実験条件ごとの温度と電力の測定結果を
図Ⅲ-2-3-59~図Ⅲ-2-3-63 に示す。エアコン連続運転では、リビング温度は一定と
なり、消費電力もおおむね一定の値を示している。エアコンON-OFFで運転時間を変化さ
せると、エアコン立ち上がりに大きな電力を消費する傾向が見られた。またエアコンOFF
により、リビング温度は 10℃程度まで低下する。エアコンを停止すると、電力消費は
減少するが、室内温度は外気と近づく結果となった。
30
2.0
建物全体
リビ ン グエアコン
和室
1.5
電力(kW)
温度(℃)
20
10
0
和室
キッチン
外気温度
0.5
リビ ン グ
玄関
-10
0:00
6:00
12:00
1.0
18:00
0.0
0:00
0:00
6:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-59
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
実験1(1回目)
エアコン連続・換気システム連続運転
2.0
30
建物全体
電力(kW)
20
温度(℃)
リビ ン グエアコン
和室
1.5
10
0
1.0
0.5
和室
キッチン
外気温度
リビ ン グ
玄関
-10
0.0
0:00
6:00
図Ⅲ-2-3-60
12:00
時間(hour)
18:00
実験2(1回目)
0:00
0:00
6:00
12:00
18:00
時間(hour)
エアコン 18 時間・換気システム連続運転
Ⅲ-2-3-56
0:00
2.0
30
建物全体
電力(kW)
温度(℃)
10
1.0
0.5
0
和室
キッチ ン
外気温度
リビ ン グ
玄関
0.0
-10
0:00
6:00
図Ⅲ-2-3-61
12:00
時間(hour)
18:00
0:00
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
実験3(1回目)
エアコン 10 時間・換気システム連続運転
2.0
30
建物全体
リビ ン グエアコン
和室
1.5
電力(kW)
20
温度(℃)
リビ ン グエアコン
和室
1.5
20
10
1.0
0.5
0
和室
キッチン
外気温度
リビ ン グ
玄関
0.0
-10
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
0:00
6:00
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-62
12:00
18:00
0:00
時間(hour)
実験4(1回目)
エアコン 10 時間・換気システム 10 時間運転
2.0
30
建物全体
リビ ン グエアコン
1.5
電力(kW)
温度(℃)
20
10
和室
1.0
0.5
0
和室
リビ ン グ
キッチン
玄関
外気温度
0.0
-10
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
0:00
実験5(1回目)
12:00
18:00
時間'hour)
時間(hour)
図Ⅲ-2-3-63
6:00
エアコン停止・換気システム 10 時間運転
Ⅲ-2-3-57
0:00
実験条件ごとの換気量の平均・最大・最小値比較を 図Ⅲ-2-3-64 に、リビング濃度の
平均・最大・最小値比較を 図Ⅲ-2-3-65 に示す。またリビング換気量と濃度の関係を
図Ⅲ-2-3-66 に示す。換気システム連続運転と断続運転では実験期間内の換気量が異な
るが、汚染物質を想定したガス発生時に換気システムを運転することを原則としている
ことから、リビング濃度は大きく上昇することはなかった。
100
80
60
20
40
20
平均
最大
リビング温度(℃)
換気量(m3/h)
25
最小
15
10
0
13
18
14
19
15
20
16
21
17
22
連続
18hr
10hr
10hr
停止
弱 連続
弱 連続
弱 連続
弱 9時間
弱 9時間
図Ⅲ-2-3-64
気量比較
5
平均
最大
最小
0
13
実験条件毎のリビング換
18
14
19
15
20
16
21
17
22
連続
18hr
10hr
10hr
停止
弱 連続
弱 連続
弱 連続
弱 9時間
弱 9時間
図Ⅲ-2-3-67 実験条件毎のリビング温
度 平均・最大・最小値
120
平均
100
最大
最小
2.0
平均
60
最大
最小
1.5
エアコン電力(kW)
濃度(mg/m3)
80
40
20
0
13
18
14
19
15
20
16
21
17
0.5
22
連続
18hr
10hr
10hr
停止
弱 連続
弱 連続
弱 連続
弱 9時間
弱 9時間
1.0
0.0
図Ⅲ-2-3-65
度比較
13
実験条件毎のリビング濃
18
14
19
15
20
16
21
17
22
連続
18hr
10hr
10hr
停止
弱 連続
弱 連続
弱 連続
弱 9時間
弱 9時間
100
1.0
80
0.8
エアコン電力(kw)
濃度(mg/m3)
図Ⅲ-2-3-68
実験条件毎のリビング
エアコン消費電力 平均・最大・最小値
60
40
20
0.6
0.4
0.2
0
0.0
0
20
40
60
80
100
10
換気量(m3/h)
12
14
16
18
20
温度(℃)
図Ⅲ-2-3-66 リビング換気量と濃度の
図Ⅲ-2-3-69 リビング温度とエアコン
関係
消費電力の関係
図Ⅲ-2-3-67 に実験条件毎のリビング温度を、図Ⅲ-2-3-68 にエアコン消費電力を示
Ⅲ-2-3-58
す。また 図Ⅲ-2-3-69 にリビング温度とエアコン消費電力の関係を示す。エアコン運転
時間を短くすると、最低温度が低くなるが、この実験住宅の場合、エアコン停止状態で
10℃程度であった。またエアコン消費電力の平均値はエアコン運転時間減少とともに低
下するが、最大値は断続運転が大きな結果となった。断続運転するため、エアコン立ち
上がり次に大きな電力を消費することが確認できた。リビング温度とエアコン消費電力
は正の相関が見られた。リビング温度を高めるため、エアコンを運転するため、消費電
力が大きな値となった。
3-7-4 省エネルギーの検討
第一種ダクト式換気システムを弱連続運転し、かつリビング 20℃暖房運転した際の
実験期間内の建物全体の電力を 図Ⅲ-2-3-70 に示す。この実験は 11/29 0:00~11/30
24:00 に掛けて行われたもので、外気温の平均は、10.4℃であった。図Ⅲ-2-3-71 に実
験期間内のリビング温度と外気温を示す。建物全体の平均電力を基準電力Psとし、省エ
ネルギー性を検討する。なお実験期間内平均電力は 0.73(kW)であり、その内訳を 表Ⅲ
-2-3-20 に示す。
1.5
電力[Ps]
1.2
0.9
0.6
0.3
建物全体の電力消費
Ps
0.0
図Ⅲ-2-3-70
0:00
0:00
0:00
実験期間内の建物全体の電力
(第一種ダクト式
弱連続運転、エアコン 20℃暖房設定)
30
25
温度(℃)
20
15
10
5
リビング
外気
0
11/29 0:00
図Ⅲ-2-3-71
11/29 12:00
11/30 0:00
11/30 12:00
実験期間内のリビング温度及び外気温
Ⅲ-2-3-59
12/1 0:00
表Ⅲ-2-3-20
基準電力算出時の建物電力内訳
電力(kW)
比率(%)
1F 和室の電灯・コンセント
0.37
50.9%
1F リビング エアコン
0.22
29.7%
1F 給気ファン
0.04
5.5%
1F 排気ファン
0.03
3.7%
1F 玄関・廊下の電灯・コンセント
0.02
3.1%
1F 食堂の電灯・コンセント
0.02
2.7%
2F 廊下・トイレの電灯・コンセント
0.02
2.7%
1F 電子レンジ用のコンセント
0.01
1.6%
建物全体の電力消費
0.73
100.0%
1階和室の電灯・コンセントが 50%となっているのは、計測機器を和室に集中させて
いるためである。計測機器は 24 時間安定作動していることから、電力 0.37(kW)は一定
となっている。
1F 給気ファン、排気ファンは、第一種ダクト式換気システムの給気側と排気側ファ
ンの電力を示している。またその他の電力は、居室内トレーサーガス攪拌用ファンの消
費電力となっている。攪拌ファンも 24 時間一定運転のため、電力は一定である。
基準電力 Ps に対し、各実験で求めた建物全体の電力 P の比率をエネルギーに関する
指標とする。
Ps
エネルギー指標 =
P
なお Ps>P の場合はエネルギー指標を 1.0 とした。
省エネルギー性を考慮した実験 1~実験 5 までの結果(1回目、2回目)の電力に対す
る基準電力Psの比率を 図Ⅲ-2-3-72、
図Ⅲ-2-3-73 に示す。なお通し実験番号と
しているため、実験 13~実験 17 が実験 1~実験 5 に対応する。また実験条件を 表Ⅲ
-2-3-21 に示す。
表Ⅲ-2-3-21 省エネルギー性を考慮した実験 1~実験 5 概要
No.
実験
エアコン設定条件
N2O 発生条件
弱・連続
暖房 20℃ 24hr 連続
8hr 発生 16hr 停止
弱・連続
暖房 20℃ 18hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
弱・連続
暖房 20℃ 10hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
弱・9 時間運転
暖房 20℃ 10hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
17
弱・9 時間運転
停止
8hr 発生 16hr 停止
18
弱・連続
暖房 20℃ 24hr 連続
8hr 発生 16hr 停止
弱・連続
暖房 20℃ 18hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
弱・連続
暖房 20℃ 10hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
弱・9 時間運転
暖房 20℃ 10hr 運転
8hr 発生 16hr 停止
弱・9 時間運転
停止
8hr 発生 16hr 停止
13
14
15
16
19
20
21
22
省エネ
確認実験 1
省エネ
確認実験 1
換気
設定条件
Ⅲ-2-3-60
2.0
2.0
実験13のPs/P
実験18のPs/P
1.5
Ps/P
Ps/P
1.5
1.0
0.5
1.0
0.5
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
0:00
2.0
12:00
実験14のPs/P
実験19のPs/P
1.5
Ps/P
Ps/P
1.5
1.0
0.5
1.0
0.5
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
実験20のPs/P
実験15のPs/P
1.5
Ps/P
Ps/P
1.5
1.0
1.0
0.5
0.5
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
0:00
12:00
0:00
2.0
2.0
実験16のPs/P
実験21のPs/P
1.5
Ps/P
1.5
Ps/P
0:00
2.0
2.0
1.0
1.0
0.5
0.5
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
0:00
2.0
12:00
0:00
2.0
実験17のPs/P
実験22のPs/P
1.5
1.5
Ps/P
Ps/P
0:00
2.0
1.0
1.0
0.5
0.5
0.0
0.0
0:00
12:00
0:00
0:00
図Ⅲ-2-3-72 電力に対する基準電力 Ps
の比率(1回目 実験 13(1)~実験 17(5))
12:00
0:00
図Ⅲ-2-3-73 電力に対する基準電力 Ps
の比率(2 回目 実験 18(1)~実験 22(5))
Ⅲ-2-3-61
表 Ⅲ -2-3-22、 図 Ⅲ -2-3-74 に 実 験 条 件 毎 の Ps/P指 標 の 比 較 を 示 す 。実 験 番 号 が
大 き く な る に つ れ て 、 エ ネ ル ギ ー 指 標 Ps/Pは 1.0 に 近 づ く 傾 向 を 示 し て い る 。
表 Ⅲ -2-3-22
実 験 条 件 毎 の 省 エ ネ ル ギ ー 指 標 Ps/P の 平 均 、最 大 、最 小 、標 準 偏
差
電 力 (kW)
1 回目
2回目
平均
最大
最小
標準偏差
実 験 13
0.72
1.00
0.41
0.10
実 験 14
0.82
1.00
0.33
0.18
実 験 15
0.85
1.00
0.32
0.20
実 験 16
0.86
1.00
0.33
0.20
実 験 17
0.99
1.00
0.67
0.06
実 験 18
0.74
1.00
0.47
0.14
実 験 19
0.83
1.00
0.33
0.18
実 験 20
0.84
1.00
0.32
0.20
実 験 21
0.89
1.00
0.33
0.16
実 験 22
1.00
1.00
1.00
0.00
1.1
Ps/Pの平均
1.0
0.9
0.8
1回目
0.7
2回目
0.6
0.5
1
図 Ⅲ -2-3-74
2
3
省エネ実験No
実 験 条 件 毎 の Ps/P 指 標 比 較
Ⅲ-2-3-62
4
5
3-8 ま と め
改 良 型 換 気 量 変 動 式 換 気 シ ス テ ム を 設 置 し た 実 験 住 宅 で の 換 気 量 、濃 度 、温 度 、
電力測定を行った結果、以下の結果を得た。
( 1 )第 一 種 ダ ク ト 式 換 気 シ ス テ ム を 連 続 運 転 し た 状 態 で 局 所 換 気 を 併 用 す る と 、
汚 染 物 質 発 生 室 に 設 置 さ れ て い る 局 所 換 気 の 効 果 は 見 ら れ る 。し か し 汚 染
室 か ら の 距 離 が 遠 く な る 局 所 換 気 は 、汚 染 室 の 濃 度 を 大 き く 低 下 さ せ る 効
果は見られなかった。
( 2 )窓 開 け に よ り 換 気 量 は 増 加 し 、室 内 汚 染 物 質 濃 度 は 低 下 し た 。特 に 二 方 向
窓 開 け を 行 い 、 通 風 が 良 く な る こ と で 、 換 気 回 数 に 換 算 す る と 10 回 を 超
え る 結 果 と な っ た 。た だ し 換 気 量 増 加 に 伴 い 、室 内 温 度 低 下 も 大 き く 、ま
た 温 度 が 急 激 に 下 が る こ と で 、そ の 後 の エ ア コ ン 消 費 電 力 は 急 激 に 増 大 し
た。
( 3 ) 省 エ ネ ル ギ ー を 考 慮 し た 実 験 に お い て 、 省 エ ネ ル ギ ー 指 標 Ps/P を 用 い る
ことで、主エネルギー性を表すことが可能であることが示唆された。
Ⅲ-2-3-63
4
住宅の多様性による空気環境とエネルギー消費削減効果への影響に関する
検討(1)
4-1 概 要
多 数 室 系 を 対 象 と し た 換 気 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 、住 宅 の 機 械 換 気 量 を 変 動
させたときの各室の空気質評価及び暖冷房消費エネルギーの変動について明ら
か に し た 。空 気 質 は SRF 等 の 評 価 指 標 を 用 い て 検 討 し た 。暖 冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー
計 算 に つ い て は 、本 研 究 課 題 に お け る 実 験・調 査 部 分 で 整 理 さ れ た 多 様 性 因 子 に
加 え 、特 に 暖 冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー に 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る 因 子 、例 え ば 暖 冷
房 パ タ ー ン 等 に つ い て も バ リ エ ー シ ョ ン を 設 け た 。暖 冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー に つ い
て は 、具 体 的 に 暖 冷 房 機 器 に ル ー ム エ ア コ ン デ ィ シ ョ ナ を 想 定 し 、暖 冷 房 負 荷 に
期 間 消 費 電 力 を 計 算 す る ロ ジ ッ ク を 追 加 し て 計 算 し た 。暖 冷 房 の 設 定 温 度 等 の 暖
冷 房 方 法 ご と に 、換 気 量 の 増 減 が 年 間 暖 冷 房 負 荷 に 与 え る 影 響 に つ い て 把 握 し た 。
4-2 検 討 対 象 住 宅 の 概 要
計算対象の住宅の概要及び平面図を示す。
4-2-1 集 合 住 宅
・建設地
:
茨城県つくば市
・構造
:
RC 造
・プ ラ ン
:
自 立 循 環 型 集 合 住 宅 実 験 棟 、最 上 階 妻 側 住 戸( 東 側 )、図 Ⅲ -2-3-75
参照
・断熱仕様
屋 根 : 外 断 熱 、 押 出 法 ポ リ ス チ レ ン フ ォ ー ム 1 種 t = 70
壁
: 内 断 熱 、 吹 付 け 硬 質 ウ レ タ ン フ ォ ー ム t=35
窓
: ア ル ミ サ ッ シ 、 普 通 複 層 ガ ラ ス (空 気 層 6 ㎜ )入 り
玄 関 ド ア : 金 属 製 ( K= 4.65W/㎡ K)
計算対象住戸
図 Ⅲ -2-3-75
集合住宅の平面プラン
Ⅲ-2-3-64
4-2-2 戸 建 住 宅
・
建設地
:
・
構造
・
プラン
・
断熱仕様
:
茨城県つくば市
木 造 (在 来 軸 組 み )
:
断 熱 改 修 実 験 棟 、 図 Ⅲ -2-3-76 参 照
:
H4 省 エ ネ 基 準 の R 値 基 準 に 適 合 す る 厚 さ を 5 ミ リ 単 位 で
設定。
天 井 : 吹 込 用 グ ラ ス ウ ー ル GW-1 t=100 R=1.92( 基 準 1.8 以 上 )
壁
: 住 宅 用 グ ラ ス ウ ー ル 10K t=60 R=1.2(基 準 1.2 以 上 )
窓
:アルミサッシ、単板ガラス入り
玄 関 ド ア : 金 属 製 引 き 違 い 戸 ( K= 6.51W/㎡ K)
図 Ⅲ -2-3-76
戸建て住宅の平面プラン
Ⅲ-2-3-65
4-3 空 気 質 評 価
本 研 究 課 題 で 提 案 す る 、高 感 度 濃 度 検 出 器 に よ り 汚 染 物 質 濃 度 を 検 出 し 、動 的
に 換 気 シ ス テ ム 風 量 を 制 御 す る シ ス テ ム で は 、実 際 の 住 宅 に お い て は 各 室 の 換 気
量 は 外 部 風 や 内 外 温 度 差 の 影 響 を 受 け る た め 変 動 が 生 じ る 。本 研 究 で 提 案 す る シ
ス テ ム で は 、こ れ ら の 影 響 に よ る 各 室 換 気 量 及 び 濃 度 の 変 動 に 対 応 し 安 全 側 と な
るような制御を行う必要がある。
こ の 章 で は 、換 気 シ ス テ ム 風 量 を 制 御 し た 場 合 に 、外 部 風・内 外 温 度 差 の 影 響
を受けて実際の室においてどのような汚染物質濃度環境が形成されるかに着目
した。
ま ず 、 換 気 回 路 網 計 算 プ ロ グ ラ ム VentSim を 用 い て 室 間 の 換 気 量 計 算 を 行 い 、
そ の 結 果 を 用 い て 各 室 に お け る 汚 染 物 質 濃 度 、 SRF( 新 鮮 空 気 量 充 足 度 ) を 計 算
し 、さ ら に 住 宅 の 居 室 全 体 に お け る 平 均 濃 度・最 大 濃 度・OSRF( SRF の 累 乗 平 均 )
を 算 出 し た 。 こ こ で は 主 に 各 条 件 に お け る SRF 及 び OSRF の 結 果 に つ い て 示 す 。
4-3-1 換 気 回 路 網 計 算 の 概 要
各 室 及 び 各 開 口 部・換 気 シ ス テ ム の 風 量 の 計 算 に は 、換 気 回 路 網 計 算 プ ロ グ ラ
ム VentSim を 使 用 し た 。
VentSim は 、 室 を 計 算 点 ( い わ ゆ る 節 点 ( ノ ー ド )) と し 、 室 間 の 開 口 部 ・ 換
気 シ ス テ ム を 通 気 抵 抗 を も つ 回 路 と み な し 、電 気 回 路 に 模 し た 回 路 網( 換 気 回 路
網)を形成して全体の連立方程式を解くプログラムである。
換 気 の 駆 動 力 と し て は 建 物 外 皮 に 加 わ る 外 部 風 圧 力 、室 間・室 内 外 温 度 差 に よ
る 浮 力 、及 び 換 気 シ ス テ ム に よ り 加 え ら れ る 圧 力 を 考 慮 で き る 。計 算 結 果 と し て 、
各 換 気 部 品 を 通 過 す る 風 量 、及 び そ れ ら を 集 計 し て の 各 室 へ の 流 入・流 出 風 量 が
得られる。
計算において着目した主なポイントは以下の 3 点である。
①外部風の風向・風速の変化が室の換気量に与える影響
②建物外皮の気密性能が室の換気量に与える影響
③換気システムの種類が室の換気量に与える影響
計 算 用 の 建 物 モ デ ル と し て 、集 合 住 宅( 1 住 戸 )と 戸 建 住 宅 そ れ ぞ れ 1 つ ず つ
モ デ ル を 用 意 し 、集 合 住 宅 モ デ ル を 用 い て ① ③ を 、戸 建 住 宅 モ デ ル を 用 い て ② ③
を考慮した計算を行った。
Ⅲ-2-3-66
4-3-2 集 合 住 宅 の 計 算 条 件
4-3-2-1 計 算 モ デ ル
12000mm
集 合 住 宅 の 計 算 モ デ ル( 室 分 割 )を 右 に 示 す 。
各 室 と も 天 井 高 は 2400mm と し た 。
住戸全体の位置としては、東西は隣接住戸が
ある状況を想定して開口部無しとし、南北面の
みに換気口等が設置されているものとした。
ま た 、建 物 全 体 と し て 0.5cm/m2 の 隙 間 が 存 在
す る も の と し 、玄 関 ド ア が そ の う ち 2.0cm2 の 隙
間に相当すると想定して、残りの隙間を南北壁
面に各面面積比率に応じて割り振った。
各室の床面積・容積、外皮面積、隙間面積等
をまとめて以下に示す。
図 Ⅲ -2-3-77
No.
室名
平面プラン
床面積
[m2]
天井高
[m]
室容積
[m3]
外皮面積
[m2]
外皮隙間
面積[cm2]
備考
1 居間
24.74
2.40
59.37
8.64
8.98 台所、納戸を含む
2 和室
11.85
2.40
28.45
6.72
6.98 押入れを含む
3 洋室1
13.51
2.40
32.43
9.12
9.48 WICを含む
4 洋室2
9.32
2.40
22.36
5.28
5.49 クローゼットを含む
5 廊下
5.36
2.40
12.86
3.31
3.44
6 便所
1.26
2.40
3.02
0.00
0.00
7 洗面室
3.62
2.40
8.68
0.00
0.00 PSを含む
3.09
2.40
8 UB
合計
72.75
7.41
0.00
0.00
174.59
33.07
34.38
外皮隙間面積は、総量を
72.75[m2]×0.5[cm2/m2]-2.0[cm2]=34.38[cm2]
と し 、 こ れ を No.1~ No.5 の 各 室 の 外 皮 面 積 に 応 じ て 配 分 し て い る 。
ま た 、 こ れ 以 降 で 「 居 室 」 と い う 場 合 は No.1~ No.4 の 「 居 間 」「 和 室 」「 洋 室
1」「 洋 室 2」 を 指 す も の と す る 。
Ⅲ-2-3-67
4-3-2-2 隙 間 配 置 等 の 詳 細
外皮隙間
No.
位置概要
αA
[cm2]
n
ドア隙間
αA
[cm2]
備考
n
1 居間外壁隙間
9.0
1.60
窓隙間を含む
2 和室外壁隙間
7.0
1.60
窓隙間を含む
3 洋室1外壁隙間
9.5
1.60
窓隙間を含む
4 洋室2外壁隙間
5.5
1.60
窓隙間を含む
5 玄関外壁隙間
3.4
1.60
ドア隙間を除く
6 玄関ドア
2.0
1.00
7 居間入口ドア
100.0
1.87
8 和室入口襖
100.0
1.87
9 洋室1入口ドア
100.0
1.87
10 洋室2入口ドア
100.0
1.87
11 便所入口ドア
100.0
1.87 第三種計算で考慮
12 洗面室入口ドア
100.0
1.87 第三種計算で考慮
13 浴室入口ドア
100.0
1.87 第三種計算で考慮
14 居間レジスタ
10.0
2.00 第三種計算で考慮
15 和室レジスタ
10.0
2.00 第三種計算で考慮
16 洋室1レジスタ
10.0
2.00 第三種計算で考慮
17 洋室2レジスタ
10.0
2.00 第三種計算で考慮
No.14~ No.17 の レ ジ ス タ は 、 第 三 種 換 気 の 計 算 時 に 考 慮 す る 。
αA は 、 隙 間 を
Q = αA
2
ρ
ΔP [m 3 /s]
で 表 現 す る 場 合 の 値 ( た だ し 式 中 で の αA の 単 位 は [m 2 ]) で あ る が 、 今 回 の 計 算
で は 指 数 部 分 を n≠ 2 と す る た め 次 式
Q = A' (ΔP )
1/ n
[m 3 /h]
を 用 い る ( Δ P の 単 位 は [mmAq])。 そ の た め 、 計 算 に あ た っ て は
A' = 1.452αA
という換算を行う。
4-3-2-3 計 算 パ ラ メ ー タ ( 変 化 さ せ る 条 件 )
変化させる条件は以下のとおりである。
①
気システム風量
換気システムの風量は、右に示す 6 とおりで変化
させる。
Ⅲ-2-3-68
No.
換気回数
[回/h]
風量
3
[m /h]
1
0.3
54.0
2
0.4
72.0
3
0.5
90.0
4
0.6
108.0
5
0.7
126.0
6
1.0
180.0
値 は 、 室 容 積 の 和 174.59m 3 ×0.5≒ 90 m 3 /h を 基 準 と し て 設 定 し て い る 。
②風圧係数
以下に示す 9 とおりで変化させる。
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
風向
北
北
北
北
無風
南
南
南
南
風圧係数(南面)
-1.692
0.000
0.000
0.000
0.000
0.174
0.489
0.974
1.000
風圧係数(北面)
1.000
0.973
0.508
0.217
0.000
0.000
0.000
0.000
-1.237
②換気システム種類(給気及び排気を行う空間)
第一種及び第三種の 2 とおりとし、それぞれ以下のように設定した。
■全館空調換気(第一種)
・ 各 居 室 に 設 定 風 量 の 1/4 ず つ を 給 気
・ 廊 下 か ら 設 定 風 量 の 100% を 排 気
・給気口・排気口とも北面にあるものとする
・ダクトによる抵抗は考慮しない
・ 便 所 ・ 洗 面 室 ・ UB は 空 気 の 入 口 が 一 つ し か 無 い た め 、 換 気 回 路 網 計 算 で は 換
気経路から外れる
■サニタリー換気(第三種)
・ 便 所 ・ 洗 面 室 ・ UB か ら 設 定 風 量 の 1/3 ず つ を 排 気
・排気口は北面にあるものとする
・ダクトによる抵抗は考慮しない
・ 各 居 室 の 外 皮 に α A=10cm 2 、 n=2.0 の レ ジ ス タ を 追 加 す る
全館空調換気(第一種)
サニタリー換気(第三種)
Ⅲ-2-3-69
4-3-2-4 計 算 結 果
汚 染 物 質 濃 度 の 計 算 に 関 し て は 、各 室 の 換 気 量 に 加 え 、各 室 に お け る 汚 染 物 質
発 生 量 や 吸 着 量 な ど の 設 定 が 必 要 に な る 。こ こ で は 汚 染 物 質 の 発 生 量 に 大・中 ・
小 の 3 レ ベ ル 、さ ら に そ れ ぞ れ に 壁 面 等 に お け る 吸 着 の 有 無 を 想 定 し 、計 6 ケ ー
スの汚染物質発生・吸着に関する状況を想定した。
次 ペ ー ジ 以 降 に そ の 計 算 結 果 を 示 す 。グ ラ フ の 横 軸 は 南 北 圧 力 差 を 示 し 、風 圧
係 数 の 設 定( No.1~ No.9)に 対 応 し て い る( 原 点 左 側 が 北 風 、右 側 が 南 風 、そ れ
ぞ れ 原 点 か ら 離 れ る ほ ど 強 風 を 示 す )。
①第一種
■ OSRF
1.0
1.0
0.8
n=0.3回/h
0.6
n=0.4回/h
n=0.5回/h
n=0.6回/h
0.4
n=0.7回/h
0.2
居室・廊下OSRF
居室・廊下OSRF
0.8
n=0.4回/h
n=0.5回/h
n=0.6回/h
0.4
n=0.7回/h
0.2
n=1.0回/h
0.0
n=1.0回/h
0.0
-30
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-78
30
-30
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
1.0
1.0
0.8
0.8
n=0.3回/h
0.6
n=0.4回/h
0.4
n=0.5回/h
n=0.6回/h
0.2
n=0.7回/h
0.6
n=0.3回/h
n=0.4回/h
0.4
n=0.5回/h
n=0.6回/h
n=0.7回/h
0.2
n=1.0回/h
n=1.0回/h
0.0
0.0
-30
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-79
30
-30
1.0
1.0
0.8
0.8
0.6
n=0.3
n=0.4
0.4
n=0.5
n=0.6
0.2
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
30
OSRF( 発 生 量 : 中 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
居室・廊下OSRF
居室・廊下OSRF
30
OSRF( 発 生 量 : 小 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
居室・廊下OSRF
居室・廊下OSRF
n=0.3回/h
0.6
0.6
n=0.3
n=0.4
0.4
n=0.5
n=0.6
0.2
n=0.7
n=0.7
n=1.0
n=1.0
0.0
0.0
-30
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-80
30
-30
-20
-10
0
10
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
OSRF( 発 生 量 : 大 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
Ⅲ-2-3-70
30
発生小
1.0
発生小
1.0
発生小(吸着)
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
発生中
0.8
居室・廊下OSRF
居室・廊下OSRF
発生小(吸着)
発生中
0.8
0.2
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
-40
発生小
1.0
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
発生小
1.0
発生小(吸着)
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
発生中
0.8
居室・廊下OSRF
居室・廊下OSRF
発生小(吸着)
発生中
0.8
0.2
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
-40
発生小
1.0
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
発生小(吸着)
発生中
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
発生中
0.8
居室・廊下OSRF
0.8
40
発生小
1.0
発生小(吸着)
居室・廊下OSRF
40
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-81
40
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
OSRF( 発 生 量・吸 着 に よ る 比 較 。左 上:0.3 回 、右 上:0.4 回 、右
下 : 1.0 回 )
Ⅲ-2-3-71
②第三種
1.0
1.0
0.8
0.8
n=0.3回/h
n=0.4回/h
n=0.5回/h
0.4
n=0.3回/h
0.6
OSRF
OSRF
0.6
n=0.4回/h
n=0.5回/h
0.4
n=0.6回/h
n=0.6回/h
n=0.7回/h
0.2
0.2
n=0.7回/h
n=1.0回/h
n=1.0回/h
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-82
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
1.0
1.0
0.8
0.8
n=0.3回/h
n=0.5回/h
0.4
OSRF
n=0.4回/h
n=0.3回/h
0.6
n=0.4回/h
n=0.5回/h
0.4
n=0.6回/h
n=0.6回/h
n=0.7回/h
0.2
n=0.7回/h
0.2
n=1.0回/h
n=1.0回/h
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-83
40
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
OSRF( 発 生 量 : 中 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
1.0
0.8
0.8
n=0.3
n=0.4
0.4
n=0.5
OSRF
1.0
0.6
OSRF
40
OSRF( 発 生 量 : 小 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
0.6
OSRF
40
0.6
n=0.3
0.4
n=0.4
n=0.5
n=0.6
n=0.6
0.2
n=0.7
0.2
n=0.7
n=1.0
n=1.0
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-84
40
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
OSRF( 発 生 量 : 大 、 左 : 吸 着 無 し 、 右 : 吸 着 有 り )
Ⅲ-2-3-72
40
発生小
1.0
発生小
1.0
発生小(吸着)
発生小(吸着)
発生中
0.8
発生中
0.8
発生中(吸着)
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
OSRF
OSRF
0.6
0.2
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
-40
発生小
1.0
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
発生小
1.0
発生小(吸着)
発生小(吸着)
発生中
0.8
発生中
0.8
発生中(吸着)
発生中(吸着)
0.6
発生大
発生大(吸着)
0.4
OSRF
OSRF
0.6
0.2
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
-40
発生小
1.0
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
発生小(吸着)
発生中
0.8
発生中
0.8
発生中(吸着)
発生大(吸着)
0.4
0.2
発生中(吸着)
0.6
発生大
OSRF
0.6
40
発生小
1.0
発生小(吸着)
OSRF
40
発生大
発生大(吸着)
0.4
0.2
0.0
0.0
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
図 Ⅲ -2-3-85
40
-40
-20
0
20
南北面圧力差[Pa](南面正圧時を正)
40
OSRF( 第 三 種 、 発 生 量 ・ 吸 着 比 較 。 左 上 : 0.3 回 、 右 上 : 0.4 回 、
右 下 : 1.0 回 )
Ⅲ-2-3-73
4-3-3 戸 建 住 宅 の 計 算 条 件
4-3-3-1 計 算 モ デ ル
戸建住宅の計算モデル(室分割)及び建具等の配置状況を以下に示す。
図 Ⅲ -2-3-86
4-3-3-2
戸建て住宅平面プラン
隙間配置等の詳細
各室の床面積・容積、外皮面積、隙間面積等をまとめて以下に示す。
No.
室名
床面積
[m2]
天井高
[m]
室容積
[m3]
外皮面積
[m2]
備考
1 リビング・ダイニング
34.78
2.40
83.47
41.50 キッチンを含む
2 和室
20.29
2.40
48.69
29.48 押入、縁側を含む
3 洗面脱衣室
2.48
2.40
5.96
6.55
4 浴室
3.31
2.40
7.95
4.37
5 トイレ
1.66
2.40
3.97
4.37
廊下(1F部分)
17.80
2.40
42.73
14.20
廊下(2F部分)
14.08
2.40
33.79
21.84
7 主寝室
13.25
2.40
31.80
17.47
8 子供室1
11.18
2.40
26.83
6.55
9 子供室2
11.18
2.40
26.83
17.47
4.97
2.40
6
10 クローゼット
合計
134.98
11.92
10.92
323.95
174.72
室内建具による隙間を以下のように設定した。
Ⅲ-2-3-74
玄関・階段室を含む
No.
位置概要
接続
ドア隙間
αA[cm2]
n
1 リビング・ダイニング入口ドア(1)
リビング・ダイニング⇔廊下
100.0
1.87
2 リビング・ダイニング入口ドア(2)
リビング・ダイニング⇔廊下
100.0
1.87
3 和室ふすま
和室⇔廊下
200.0
1.87
4 洗面脱衣室入口ドア
洗面脱衣室⇔廊下
100.0
1.87
5 浴室入口ドア
浴室⇔洗面脱衣室
100.0
1.87
6 トイレ入口ドア
トイレ⇔廊下
100.0
1.87
7 主寝室入口ドア
主寝室⇔廊下
100.0
1.87
8 子供室1入口ドア
子供室1⇔廊下
100.0
1.87
9 子供室2入口ドア
10 クローゼット入口ドア
子供室2⇔廊下
100.0
1.87
クローゼット⇔主寝室
100.0
1.87
集合住宅の計算と同様、
Q = A' (ΔP )
1 / 1.87
[m 3 /h]
で 計 算 す る た め ( n=1.87)、 集 合 住 宅 と 同 様 A'= 1.452αA の 換 算 を 行 う 。
なお、戸建住宅の計算ではすべての壁面の風圧係数をゼロとする。
4-3-3-3 計 算 パ ラ メ ー タ ( 変 化 さ せ る 条 件 )
①
気 シ ス テ ム 種 類 ( 給 気 及 び 排 気 を 行 う 空 間 ): 以 下 に 示 す 2 と お り と し た
No.1: 全 館 空 調 換 気 ( 第 一 種 )
No.2: 個 別 空 調 換 気 ( 各 居 室 で 第 一 種 換 気 )
Ⅲ-2-3-75
②換気システム風量:右に示す 6 とおり
換気回数
[回/h]
No.
※ 室 容 積 の 和 323.95m3×0.5≒ 160 m3/h を 基 準 と し 、
他は換気回数の比に応じて設定
風量
3
[m /h]
1
0.3
96.0
2
0.4
128.0
3
0.5
160.0
4
0.6
192.0
5
0.7
224.0
6
1.0
320.0
③外皮隙間量:以下に示す 4 とおり
外皮隙間
隙間No.
室名
No.1
C=0.50
αA
[cm2]
1~5
No.2
C=1.00
αA
[cm2]
隙間A'
換算値
リビング・ダイニング 16.03
No.3
C=2.00
隙間A'
換算値
αA
[cm2]
No.4
C=5.00
隙間A'
換算値
αA
[cm2]
隙間A'
換算値
4.65
32.06
9.31
64.12
18.62 160.29
46.55
11.39
3.31
22.78
6.61
45.56
13.23 113.89
33.07
11~15 洗面脱衣室
2.53
0.73
5.06
1.47
10.12
2.94
25.30
7.35
16~20 浴室
1.69
0.49
3.37
0.98
6.75
1.96
16.87
4.90
6~10 和室
21~25 トイレ
1.69
0.49
3.37
0.98
6.75
1.96
16.87
4.90
26~30 廊下(1F部分)
5.48
1.59
10.97
3.18
21.93
6.37
54.84
15.92
31~35 廊下(2F部分)
8.44
2.45
16.87
4.90
33.75
9.80
84.36
24.50
36~40 主寝室
6.75
1.96
13.50
3.92
27.00
7.84
67.49
19.60
41~45 子供室1
2.53
0.73
5.06
1.47
10.12
2.94
25.31
7.35
46~50 子供室2
6.75
1.96
13.50
3.92
27.00
7.84
67.49
19.60
51~55 クローゼット
4.22
1.22
8.44
2.45
16.87
4.90
42.18
12.25
合計[cm2]
67.49
134.98
269.96
674.90
※ 延 床 面 積 は 134.98m2
※外装ドアの隙間を含んだ値とみなす
④内外温度差:以下に示す 4 とおり
No.
室内空気温度
1
外気温に等しい
2
外気温+5℃
3
外気温+10℃
4
外気温+20℃
た だ し 、 個 別 空 調 換 気 の 場 合 は No.1 の 条 件 は 省 略 し た 。 こ の 場 合 、 各 居 室 は
フ ァ ン に よ る 給 気 と 排 気 で 換 気 が 完 結 し 、室 間 の 換 気 量 は( 計 算 上 )ゼ ロ と な る 。
Ⅲ-2-3-76
4-3-3-4
計算結果
汚 染 物 質 濃 度 の 計 算 に 関 し て は 、集 合 住 宅 の 計 算 と 同 様 に 発 生 量 大・中・小 、そ
れぞれ吸着の有無で計 6 ケースを設定した。
■ OSRF
1.0
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
OSRF
OSRF
0.6
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
1.0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
1.0
0.8
0.8
発生小
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大(吸着)
0.0
0.6
OSRF
OSRF
発生小
発生小(吸着)
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大(吸着)
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-87
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
OSRF( 換 気 回 数 0.3 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
1.0
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
OSRF
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
0.2
発生大
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
1.0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
0.6
OSRF
25
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-88
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
OSRF( 換 気 回 数 0.4 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
Ⅲ-2-3-77
1.0
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
OSRF
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
0
1.0
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
5
10
15
内外温度差[℃]
20
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-89
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
0.6
OSRF
25
OSRF( 換 気 回 数 0.5 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
1.0
発生中(吸着)
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
1.0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
0.6
OSRF
25
発生小
0.6
OSRF
0.6
OSRF
25
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大(吸着)
0.0
発生大(吸着)
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-90
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
OSRF( 換 気 回 数 0.6 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
Ⅲ-2-3-78
1.0
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
OSRF
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
1.0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
0.6
OSRF
OSRF
0.6
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
発生大
0.2
発生大
0.2
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-91
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
10
15
内外温度差[℃]
20
25
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
0.6
OSRF
0.6
OSRF
5
OSRF( 換 気 回 数 0.7 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
1.0
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
発生中(吸着)
0.2
発生大
0.2
発生大
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
1.0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
1.0
0.8
0.8
発生小
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生小
0.6
OSRF
0.6
OSRF
25
発生小(吸着)
発生中
0.4
発生中(吸着)
0.2
発生大
発生中(吸着)
0.2
発生大
発生大(吸着)
発生大(吸着)
0.0
0.0
0
5
図 Ⅲ -2-3-92
10
15
内外温度差[℃]
20
25
0
5
10
15
内外温度差[℃]
20
25
OSRF( 換 気 回 数 1.0 回 。左 上:C=0.5、右 上:C=1.0、右 下:C=2.0)
Ⅲ-2-3-79
4-4 暖 冷 房 負 荷 計 算 及 び エ ネ ル ギ ー 消 費 計 算
4-4-1 計 算 の 概 要
集 合 住 宅 及 び 戸 建 住 宅 に お け る 暖 冷 房 設 定 温 度 、換 気 回 数 、熱 交 換 換 気 の 有 無
の 暖 冷 房 負 荷 に 与 え る 影 響 を 、建 築 環 境 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 用 の 汎 用 入 力 イ ン タ ー
フ ェ イ ス 「AE-CAD」、 及 び 温 熱 環 境 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン プ ロ グ ラ ム 「AE-Sim/Heat」を
用いて暖冷房負荷を求め、検証する。
4-4-2 計 算 条 件
4-4-2-1 各 部 位 層 構 成
①集合住宅
部位
材料名
屋根
*外断熱
セメント・モルタル
押出法ポリスチレンフォーム3種
鉄筋コンクリート
密閉空気層
石こうボード
天井
石膏ボード
外壁
(妻側=東西壁)
*内断熱
熱伝導率
厚さ(㎜)
備考
(W/(m・K))
1.5
60
0.028
70
1.6
250 防水層省略
R=0.09
- →天井裏は 、空間として モデル 化する 。
0.22
12.5 →天井部位として設定
0.22
12.5 ビニルクロス省略
鉄筋コンクリート
吹付け硬質ウレタンフォーム
密閉空気層
石膏ボード
1.6
0.026
R=0.09
0.22
250
35
25
12.5 ビニルクロス省略
外壁
(桁側=南北壁)
*内断熱
注:柱は無視
鉄筋コンクリート
吹付け硬質ウレタンフォーム
密閉空気層
石膏ボード
1.6
0.026
R=0.09
0.22
160
35
25
12.5 ビニルクロス省略
戸境壁
石膏ボード
密閉空気層
鉄筋コンクリート
密閉空気層
石膏ボード
0.22
R=0.09
1.6
R=0.09
0.22
12.5 ビニルクロス省略
25
250
25
12.5 ビニルクロス省略
間仕切壁
石膏ボード
密閉空気層
石膏ボード
0.22
R=0.09
0.22
12.5 ビニルクロス省略
65
12.5 ビニルクロス省略
床板
合板
0.16
12
床板
畳
合板
0.11
0.16
55
12
床スラブ
鉄筋コンクリート
1.6
250
Ⅲ-2-3-80
②戸建住宅
部位
熱伝導率
厚さ(㎜)
備考
(W/(m・K))
0.16
9 屋根葺き材、防水紙省略
材料名
屋根
合板
天井(2F)
吹込用グラスウールGW-1
石膏ボード
天井(1F)
石膏ボード
外壁
サイディング
通気層
密閉空気層
住宅用グラスウール10K
石膏ボード
0.17
R=0.09
0.05
0.22
20 木片セメント板の物性値を採用
18 防止層省略
40
60
12.5 防湿フィルム省略、ビニルクロス省略
外壁
(下屋に接する)
住宅用グラスウール10K
石膏ボード
0.05
0.22
60
12.5 防湿フィルム省略、ビニルクロス省略
間仕切壁
石膏ボード
密閉空気層
石膏ボード
床(2F)
合板
0.16
12
床(1F)
合板
住宅用グラスウール10K
0.16
0.05
12
45
床(1F和室)
畳
合板
住宅用グラスウール10K
0.11
0.16
0.05
55
12
45
土間床
コンクリート
1.6
150 無断熱
基礎壁
コンクリート
1.6
150
0.052
0.22
0.22
0.22
R=0.09
0.22
100
12.5 防湿フィルム省略、ビニルクロス省略
12.5 ビニルクロス省略
12.5 ビニルクロス省略
100
12.5 ビニルクロス省略
4-4-2-2
4-4-2-3 窓 、 玄 関 ド ア 仕 様 ( 外 表 面 に 設 置 す る 開 口 部 品 )
①集合住宅
No.
設置空間
サイズ
(幅) (高さ)
方位
床面からの高さ
窓下端 窓上端
仕様
窓K値
ガラス種類
ガラス物性値
1
居間
2,200
1,940
S
0
1,940
4.65
普通複層ガラス*1
73.7%
13.4%
遮蔽
係数
0.9
2
和室
1,600
1,940
S
0
1,940
4.65
普通複層ガラス*1
73.7%
13.4%
0.9
3
洋室1
1,450
1,150
N
790
1,940
4.65
普通複層ガラス*1
73.7%
13.4%
0.9
4
洋室2
1,150
1,150
N
790
1,940
4.65
普通複層ガラス*1
73.7%
13.4%
0.9
5
廊下
800
1,900
N
0
1,900
4.65
(W/㎡K)
※ 全窓レースカーテンあり
透過率 反射率
金属製ドア
*1:空気層 6mm
開閉パターン冬季、中間季: 日中は開 、夜間は閉(居室)
夏季: 終日閉
Ⅲ-2-3-81
②戸建住宅
No.
サイズ
設置空間
(幅)
方位
(高さ)
床面からの高さ
窓下端 窓上端
仕様
窓K値
ガラス物性値
ガラス種類
1
LDK
1,650
1,800
S
0
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
遮蔽
係数
1.0
2
LDK
1,650
1,800
S
0
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
3
LDK
1,650
1,100
E
700
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
85.6%
7.7%
1.0
(W/㎡K)
透過率 反射率
4
LDK
360
900
E
900
1,800
6.51
単板ガラス入り
5
LDK
650
1,830
N
0
1,830
4.65
勝手口アルミドア*2
6
和室
2,560
1,800
S
0
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
7
和室
1,650
1,300
N
500
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
8
洗面脱衣室
360
900
W
900
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
9
浴室
740
700
N
900
1,600
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
85.6%
7.7%
1.0
10
トイレ
360
900
N
900
1,800
6.51
単板ガラス入り
11
廊下
1,690
2,330
S
0
2,330
6.51
玄関アルミ製引違戸*3
12
廊下(2F)
1,650
500
N
1,000
1,500
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
13
廊下(2F)
740
700
N
1,100
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
14
廊下(2F)
740
700
N
1,100
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
15
廊下(2F)
740
700
N
1,100
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
16
主寝室
1,650
1,800
S
0
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
17
主寝室
1,650
1,100
E
700
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
18
子供室1
1,650
1,100
S
700
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
19
子供室1
1,650
900
W
1,100
2,000
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
20
子供室2
1,650
1,100
S
700
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
21
クローゼット
360
900
E
900
1,800
6.51
単板ガラス入り
85.6%
7.7%
1.0
※ 全窓レースカーテンあり
*2:勝手口アルミドア(フラッシュ構造)
開閉パターン冬季、中間季: 日中は開 、夜間は閉(居室)
*3:玄関アルミ製引き違い戸
夏季: 終日閉
4-4-2-4
気象データ
拡 張 ア メ ダ ス 気 象 デ ー タ ( HASP 形 式 )
気象データ地点
:
/日本建築学会
長 峰 ( No.319)
4-4-2-5 暖 冷 房 期 間
暖 房 期 (冬 季 )
10 月 14 日 ~ 5 月 13 日 ( 日 平 均 気 温 15℃ 以 下 )
冷 房 期 (夏 季 )
7 月 1 日 ~ 8 月 31 日 ( 日 最 高 気 温 23℃ 以 下 )
4-4-2-6 換 気 回 数
0.3 回 /時 、 0.5 回 /時 、 0.7 回 /時
Ⅲ-2-3-82
4-4-2-7 在 室 者 ス ケ ジ ュ ー ル : 集 合 住 宅 、 戸 建 住 宅 共 通
平日
室
居間
和室
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
0
0
0
0
0
0
0.25
1.5
1
0.5
0.25
0
0.5
0.75
0
0
1
1.75
2.5
1
2
2
1
0.75
LDK
休日在宅
洋室1
2
2
2
2
2
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
主寝室
洋室2
居間
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0.5
0
0.5
0
0
0.75
0.75
0.25
1
1
1
1
子供室1 子供室2
0
0
0
0
0
0
0
0
1.5
1.25
2
2
1
0.5
0
0
1.5
2.5
1.5
2
2
2
1
0
LDK
和室
洋室1
洋室2
2
1
1
2
1
1
2
1
1
2
1
1
2
1
1
2
1
1
2
1
1
1
1
1
0
0.25
0.5
0
1
0.75
0
1
1
0
1
1
0
0.5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
0.5
0
0
0
0
1
1
0
1
0.25
0
1
1
1.75
1
1
主寝室
子供室1 子供室2
4-4-2-8 機 器 等 に よ る 内 部 発 熱 ス ケ ジ ュ ー ル : 集 合 住 宅 、 戸 建 住 宅 共 通
①平日のスケジュール
平日:その 1
室
居間
機器
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
29型TV
アイロン(+電 照明(居間) 照明(食堂)
話)
パソコン&プ 掃除機
リンタ
厨房照明
流し元照明
209.0 W
313.0 W
70.0 W
90.0 W
150.0 W
550.0 W
49.0 W
19.0 W
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
100.0%
75.8%
51.7%
27.5%
3.3%
51.7%
75.8%
3.3%
3.3%
51.7%
75.8%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
51.7%
51.7%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
16.7%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
100.0%
75.0%
100.0%
25.0%
0.0%
50.0%
75.0%
0.0%
0.0%
50.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
50.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
75.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
50.0%
50.0%
75.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
25.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
50.0%
50.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
50.0%
50.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
Ⅲ-2-3-83
平日:その2
室
居間
機器
冷蔵庫
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24時間換気
(ロスナイ)
和室(主寝室)
発熱装置
発湿装置
照明(和室)
洋室1
(子供室1)
24時間換気 14型TV
(ロスナイ)
照明(洋室1)
60.0 W
17.75 W
140.0 W
100.0 g/h
70.0 W
17.75 W
50.0 W
70.0 W
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
13.8%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
4.6%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
27.7%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
15.6%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
5.2%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
31.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
77.0%
31.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
50.0%
0.0%
75.0%
100.0%
25.0%
平日:その 3
室
洋室1
(子供室1)
機器
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
洋室2
(子供室2)
24時間換気 MDコンポ
(ロスナイ)
スタンド
玄関廊下
照明(洋室2) 24時間換気 廊下照明
(ロスナイ)
便所
玄関照明
トイレ照明(大
3分間)
17.75 W
48.0 W
60.0 W
70.0 W
17.75 W
114.0 W
57.0 W
57.0 W
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
25.0%
100.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
25.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
50.0%
25.0%
50.0%
25.0%
0.0%
0.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
25.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
15.0%
5.0%
0.0%
1.7%
0.0%
0.0%
1.7%
0.0%
0.0%
0.0%
1.7%
1.7%
1.7%
1.7%
1.7%
5.0%
0.0%
6.7%
Ⅲ-2-3-84
平日:その 4
室
便所
機器
トイレ照明
(小1分間)
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
洗面室
暖房便座
ヘアードライ 洗濯機電源
ヤー
浴室
洗面室照明
鏡台照明
浴室照明
57.0 W
30.0 W
650.0 W
190.0 W
57.0 W
19.0 W
54.0 W
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
9.3%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
17.5%
1.0%
9.3%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
10.7%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
50.0%
25.0%
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25.0%
0.0%
0.0%
25.0%
0.0%
0.0%
8.3%
8.3%
16.7%
25.0%
25.0%
100.0%
100.0%
25.0%
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0.0%
0.0%
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0.0%
25.0%
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8.3%
25.0%
0.0%
0.0%
25.0%
0.0%
0.0%
8.3%
8.3%
16.7%
25.0%
0.0%
50.0%
25.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
50.0%
75.0%
0.0%
②休日のスケジュール:在宅
休 日 (在 宅 ): そ の 1
室
居間
機器
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
29型TV
アイロン(+電 照明(居間) 照明(食堂) パソコン&プ 掃除機
厨房照明
流し元照明
話)
リンタ
209.0 W
313.0 W
70.0 W
90.0 W
150.0 W
550.0 W
49.0 W
19.0 W
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
3.3%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
27.5%
3.3%
3.3%
51.7%
100.0%
100.0%
51.7%
100.0%
100.0%
51.7%
3.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
25.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
75.0%
0.0%
0.0%
75.0%
25.0%
0.0%
0.0%
100.0%
50.0%
50.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
Ⅲ-2-3-85
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
75.0%
0.0%
0.0%
50.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
50.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
50.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
休 日 (在 宅 ): そ の 2
室
居間
機器
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
和室
洋室1
(主寝室)
(子供室1)
冷蔵庫
24時間換気 発熱装置
発湿装置
照明(和室) 24時間換気 14型TV
照明(洋室1)
(ロスナイ)
(ロスナイ)
60.0 W
17.75 W
140.0 W
100.0 g/h
70.0 W
17.75 W
50.0 W
70.0 W
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
15.6%
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0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
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0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
8.0%
100.0%
100.0%
100.0%
8.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
100.0%
100.0%
100.0%
50.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
休 日 (在 宅 ): そ の 3
室
機器
100%時
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
洋室1
洋室2
玄関廊下
便所
(子供室1)
(子供室2)
24時間換気 MDコンポ
スタンド
照明(洋室2) 24時間換気 廊下照明
玄関照明
トイレ照明(大
(ロスナイ)
(ロスナイ)
3分間)
17.75 W
48.0 W
60.0 W
70.0 W
17.75 W
114.0 W
57.0 W
57.0 W
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
82.8%
100.0%
100.0%
31.3%
31.3%
31.3%
31.3%
100.0%
100.0%
65.6%
31.3%
100.0%
48.4%
100.0%
31.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
25.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
50.0%
0.0%
100.0%
25.0%
100.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
75.0%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
25.0%
25.0%
25.0%
Ⅲ-2-3-86
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
10.0%
10.0%
0.0%
3.3%
3.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
5.0%
1.7%
0.0%
5.0%
1.7%
0.0%
5.0%
1.7%
休 日 (在 宅 ): そ の 4
室
便所
機器
100%時
洗面
浴室
トイレ照明
暖房便座
ヘアードライ 洗濯機電源 洗面室照明 鏡台照明
浴室照明
(小1分間)
ヤー
57.0 W
30.0 W
650.0 W
190.0 W
57.0 W
19.0 W
54.0 W
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
100.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
9.3%
9.3%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
9.3%
1.0%
1.0%
1.0%
9.3%
1.0%
9.3%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
10.7%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
2.6%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
75.0%
75.0%
100.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
50.0%
16.7%
0.0%
0.0%
75.0%
100.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
50.0%
0.0%
0.0%
8.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
8.3%
25.0%
16.7%
0.0%
0.0%
25.0%
25.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
25.0%
0.0%
0.0%
0.0%
50.0%
75.0%
0.0%
4-4-2-9 暖 冷 房 運 転 条 件 : 温 湿 度 、 最 大 能 力 、 ス ケ ジ ュ ー ル
*集合住宅、戸建住宅共通
その1
室
居間
設定
温湿度
最大能力
曜日
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
和室
暖房
冷房
暖房
冷房
22℃
6.1kW
26℃50%
3.7kW
22℃
3.6kW
26℃50%
2.6kW
平日
休日在宅
平日
休日在宅
平日
休日在宅
平日
休日在宅
OFF
OFF
OFF
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OFF
OFF
OFF
OFF
ON
ON
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
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OFF
ON
Ⅲ-2-3-87
その2
洋室1
室
設定
温湿度
最大能力
曜日
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
洋室2
暖房
冷房
暖房
冷房
22℃
3.6kW
26℃50%
2.6kW
22℃
3.6kW
26℃50%
2.6kW
平日
休日在宅
平日
休日在宅
平日
休日在宅
平日
休日在宅
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
ON
OFF
OFF
OFF
OFF
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OFF
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OFF
OFF
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OFF
OFF
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OFF
OFF
OFF
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OFF
OFF
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OFF
OFF
OFF
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OFF
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OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
OFF
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OFF
OFF
OFF
OFF
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OFF
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ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
OFF
OFF
OFF
OFF
ON
ON
ON
OFF
ON
OFF
ON
ON
4-4-3 計 算 パ ラ メ ー タ
集 合 住 宅・戸 建 て 住 宅 と も に 、換 気 回 数 を 0.3、0.5、0.7 回 の 条 件 で 暖 冷 房 負
荷 を 計 算 し た 。換 気 回 数 を 増 減 に よ り 、暖 冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー を 何 パ ー セ ン ト 増
減 さ せ る か を 検 証 す る に は 、暖 冷 房 負 荷 計 算 の み で 十 分 で あ る 。し か し 、そ の 暖
冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー の 絶 対 値 を 検 討 す る に は 、以 下 に 挙 げ る パ ラ メ ー タ を 勘 案 し
て 、具 体 的 な 暖 冷 房 方 法 を 想 定 し 、エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 算 出 す る 必 要 が あ る 。以
下 に 掲 げ る パ ラ メ ー タ 以 外 に も 、特 に 集 合 住 宅 で は 、隣 室 住 戸 の 温 度 設 定 が 暖 冷
房 消 費 エ ネ ル ギ ー の 多 寡 に 与 え る 影 響 が 大 き い 。こ の た め 、今 回 の 検 討 で は 、戸
建て住宅に検討対象を絞り、暖冷房エネルギー消費を算出した。
・暖冷房機器の種類(方法・機器能力・効率特性)
・設定温度
・ 暖 冷 房 方 式 ( 部 分 間 欠 暖 房 ・ 連 続 全 館 暖 房 ・ 連 続 部 分 暖 房 etc… )
Ⅲ-2-3-88
図 Ⅲ -2-3-23
戸建て住宅において検討したパラメータ
計算
番号
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
暖房方法
場所
時間
設定温度(℃)
通風としての
暖房 冷房 換気回数(回/h)
0.0
2.0
18℃
28℃
60%
5.0
10.0
0.0
2.0
部分
間欠
20℃
26℃
60%
5.0
10.0
0.0
2.0
22℃
24℃
60%
5.0
10.0
全館
連続
(24h)
18℃
28℃
60%
0.0
20℃
26℃
60%
0.0
22℃
24℃
60%
0.0
Ⅲ-2-3-89
熱交換の 換気回数
(回/h)
有無
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
有り
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
有り
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
0.3
有り
0.5
0.7
0.3
無し
0.5
0.7
4-4-4 暖 冷 房 負 荷 の 計 算 結 果
4-4-4-1 集 合 住 宅 の 室 別 ・ 月 別 暖 冷 房 負 荷
換気回数を変えたときの暖冷房負荷まとめを以下に示す。
換気回数別暖冷房負荷:集合住宅
18,000
16,000
暖冷房負荷(MJ)
14,000
12,000
10,000
暖房負荷
冷房負荷
8,000
6,000
4,000
2,000
0
1
2
換気回数(回/時)
3
4-4-4-1 戸 建 住 宅
①部分間欠暖冷房方式の暖冷房負荷グラフ
通 風 0.0 回 /h
通 風 2.0 回 /h
部分間欠暖冷房方式、通風0.0回/h
暖房
部分間欠暖冷房方式、通風2.0回/h
冷房
暖冷房
50,000
45,000
45,000
40,000
40,000
35,000
35,000
負荷[MJ/年]
負荷[MJ/年]
暖冷房
50,000
30,000
25,000
20,000
冷房
30,000
25,000
20,000
15,000
15,000
10,000
10,000
5,000
5,000
0
0
01
02
03
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房18℃、冷房28℃60%
13
14
15
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房20℃、冷房26℃60%
04
05
06
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房18℃、冷房28℃60%
25
26
27
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房22℃、冷房24℃60%
通 風 5.0 回 /h
部分間欠暖冷房方式、通風5.0回/h
暖冷房
暖房
16
17
18
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房20℃、冷房26℃60%
28
29
30
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房22℃、冷房24℃60%
通 風 10.0 回 /h
部分間欠暖冷房方式、通風10.0回/h
冷房
暖冷房
50,000
暖房
冷房
50,000
45,000
45,000
40,000
40,000
35,000
35,000
30,000
負荷[MJ/年]
負荷[MJ /年]
暖房
25,000
20,000
15,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
10,000
5,000
5,000
0
0
07
08
09
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房18℃、冷房28℃60%
19
20
21
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房20℃、冷房26℃60%
31
32
33
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房22℃、冷房24℃60%
Ⅲ-2-3-90
10
11
12
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房18℃、冷房28℃60%
22
23
24
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房20℃、冷房26℃60%
34
35
36
n=0.3
n=0.5
n=0.7
暖房22℃、冷房24℃60%
②全館連続暖冷房方式の暖冷房負荷グラフ
暖冷房負荷
全館連続暖冷房方式の暖冷房負荷
熱交換有り
熱交換無し
80,000
70,000
暖 冷 房 負 荷 [M J/ 年 ]
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房18℃、冷房28℃60%
10,000
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房20℃、冷房26℃60%
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房22℃、冷房24℃60%
0
37
40
38
41
39
42
43
46
44
47
45
48
49
52
50
53
51
54
計算番号(上段:熱交換有り、下段:熱交換無し)
暖房負荷
冷房負荷
全館連続暖冷房方式の冷房負荷
熱交換有り
熱交換無し
全館連続暖冷房方式の暖房負荷
熱交換有り
熱交換無し
80,000
80,000
70,000
70,000
n=0.3 n=0.5 n=0.7
冷房26℃60%
n=0.3 n=0.5 n=0.7
冷房24℃60%
冷 房 負 荷 [M J / 年 ]
60,000
60,000
暖 房 負 荷 [M J / 年 ]
n=0.3 n=0.5 n=0.7
冷房28℃60%
50,000
50,000
40,000
40,000
30,000
30,000
20,000
20,000
10,000
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房18℃
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房20℃
n=0.3 n=0.5 n=0.7
暖房22℃
10,000
0
0
37
40
38
41
39
42
43
46
44
47
45
48
49
52
50
53
37
40
51
54
38
41
39
42
43
46
44
47
45
48
49
52
50
53
51
54
計算番号(上段:熱交換有り、下段:熱交換無し)
計算番号(上段:熱交換有り、下段:熱交換無し)
③部屋別期間暖房負荷グラフ
夏 期 通 風 な し の 計 算 タ イ プ に つ い て 、部 分 間 欠 暖 房 方 式 の 計 算 パ タ ー ン に つ い て
は 各 居 室 の 期 間 暖 房 負 荷 を 、全 館 連 続 暖 房 方 式 に つ い て は 全 館 の 暖 房 負 荷 を グ ラ
フにした。
LDK
子供室1
子供室2
主寝室
全館
60
期間暖房負荷(GJ/期間)
50
40
30
20
10
0
01 02 03 13 14 15 25 26 27 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54
n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n= n=
0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7 0.3 0.5 0.7
熱交換有り 熱交換無し 熱交換有り 熱交換無し 熱交換有り 熱交換無し
暖房18℃
暖房20℃
部分間欠暖房
暖房22℃
暖房18℃
暖房20℃
全館連続暖房
Ⅲ-2-3-91
暖房22℃
④考察
部分間欠暖冷房方式
・ 暖 房 温 度 18℃ 、 20℃ 、 22℃ で は 、 暖 房 温 度 が 低 い ほ ど 暖 房 負 荷 が 小 さ い 。
・ 冷 房 28℃ 60% 、 26℃ 60% 、 24℃ 60% で は 、 冷 房 温 度 が 高 い ほ ど 冷 房 負 荷 は 小
さい。
・換 気 回 数 0.3 回 /h、0.5 回 /h、0.7 回 /h で は 、換 気 回 数 が 小 さ い ほ ど 暖 冷 房 負
荷が小さい。
・暖 房 負 荷 、冷 房 負 荷 別 に 見 て も 同 様 の 傾 向 で あ る 。た だ し 、冷 房 負 荷 に お い て
は換気回数による負荷の差はごく僅かである。
全館連続暖冷房方式
・ 暖 房 温 度 は 部 分 間 欠 暖 冷 房 方 式 と 同 じ く 18℃ 、 20℃ 、 22℃ で あ り 、 暖 房 温 度
による暖冷房負荷の大小の傾向は、部分間欠暖冷房方式と同様である。
・ 冷 房 温 度 は 部 分 間 欠 暖 冷 房 方 式 と 同 じ く 28℃ 60% 、 26℃ 60% 、 24℃ 60% で あ
り、冷房温度による冷房負荷大小の傾向は部分間欠暖冷房方式と同様である。
・換 気 回 数 は 部 分 間 欠 暖 冷 房 方 式 と 同 じ く 0.3 回 /h、0.5 回 /h、0.7 回 /h で あ り 、
換 気 回 数 に よ る 暖 房 負 荷 、冷 房 負 荷 及 び 暖 冷 房 負 荷 の 大 小 の 傾 向 は 、部 分 間 欠 暖
冷房方式と同様である。
・熱 交 換 有 り と 無 し で は 、熱 交 換 有 り の 方 が 暖 冷 房 負 荷 が 小 さ い 。暖 房 負 荷 、冷
房 負 荷 別 に 見 て も 同 様 の 傾 向 で あ る 。た だ し 、冷 房 負 荷 に お い て は 、熱 交 換 有 無
による負荷の差はごく僅かである。
4-4-5 エ ア コ ン 暖 冷 房 に よ る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 算 出
4-4-5-1 エ ア コ ン 性 能 モ デ ル
ル ー ム エ ア コ ン の 暖 冷 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 効 率 を 算 出 す る 方 法 を 以 下 に 示 す 。時 々
刻々の暖冷房負荷及び外気温度をもとに暖冷房消費エネルギーを算出した。
ル ー ム エ ア コ ン の 冷 房 / 暖 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 効 率 COP h ( -) は 以 下 の 式 に よ る
ものとする。
COPh = COPd × cl × ct
( 1)
ここに,
COP d : 冷 房 / 暖 房 定 格 COP( -)
c l : 負 荷 に 応 じ た 補 正 係 数 ( -)
c t : 外 気 温 度 に 応 じ た 補 正 係 数 ( -)
暖 房 時 の cl は 以 下 の 式 に よ り 算 出 す る 。
Lb< 0.5×Lh
の時
Ⅲ-2-3-92
cl =
0.8 × Lb
0.5 × Lh
( 2)
0.5×Lh≦ Lb< Lh の 時
L − Lb
cl = 1 − 0.2 × h
0.5 × Lh
Lh≦ Lb≦ Ld
( 3)
の時
cl = 1
Lb> Ld
( 4)
の時
c l = 1 − 0 .2 ×
Lb − Ld
L m − Ld
( 5)
冷 房 時 の cl は 以 下 の 式 に よ り 算 出 す る 。
Lb< Lh
の時
L
cl = b
Lh
( 6)
Lh≦ Lb≦ Ld
の時
cl = 1
Lb> Ld
( 7)
の時
cl = 1 − 0.2 ×
Lb − Ld
L m − Ld
( 8)
ここに,
Lh: ル ー ム エ ア コ ン の 中 間 冷 房 / 暖 房 能 力 ( kW)
Lh= 0.5×Ld
Ld: ル ー ム エ ア コ ン の 定 格 冷 房 / 暖 房 能 力
Lm: ル ー ム エ ア コ ン の 最 大 冷 房 / 暖 房 能 力 ( kW)
Lb: 冷 房 / 暖 房 負 荷 ( kW)
ct
は 別 表 1, 別 表 2 に 示 す 係 数 と す る 。
別表 1
負荷(Lb)[kW]
Lb<Lh
Lb=Lh
Lh<Lb<Ld
Lb=Ld
Ld<Lb<Lm
Lb=Lm
ct: 外 気 温 度 に 応 じ た 補 正 係 数 ( 暖 房 )
外気温度≦2℃
2℃<外気温度≦7℃
7℃<外気温度≦12℃
0.65
0.82
0.65
0.82
0.65+0.05×(Lb-Lh)/(Lh-Lb)
0.82
0.70
0.82
0.70+0.19×(Lb-Ld)/(Lm-Ld) 0.82+0.14×(Lb-Ld)/(Lm-Ld)
0.89
0.96
別表 2
負荷(Lb)[kW]
Lb<Lh
Lb=Lh
Lh<Lb<Ld
Lb=Ld
Ld<Lb<Lm
Lb=Lm
12℃<外気温度
1.00
1.18
1.00
1.18
1.00
1.18
1.00
1.18
1.00 1.18-0.14×(Lb-Ld)/(Lm-Ld)
1.00
1.04
ct: 外 気 温 度 に 応 じ た 補 正 係 数 ( 冷 房 )
35℃≦外気温度
25℃≦外気温度<35℃
外気温度<25℃
1.00
1.16
1.30
1.00
1.16
1.30
1.00
1.16
1.30
1.00
1.16
1.30
1.00 1.16-0.12×(Lb-Ld)/(Lm-Ld) 1.30-0.23×(Lb-Ld)/(Lm-Ld)
1.00
1.04
1.07
Ⅲ-2-3-93
4-4-5-2 エ ア コ ン の 能 力 別 、 居 室 の 処 理 負 荷 と 未 処 理 熱 量 グ ラ フ
部 分 間 欠 暖 房 方 式 の 暖 房 負 荷 に つ い て 、エ ア コ ン の 能 力 別 に 各 居 室 の 処 理 負 荷
と 未 処 理 熱 量 を グ ラ フ に し た 。エ ア コ ン の 能 力 は 、下 表 の 大・中・小 の 3 パ タ ー
ンである。
エアコン
エアコン
エアコン
大
中
小
定 格 COP
3.97
5,000
6,900
定 格 能 力 (W)
5.00
3,600
4,800
定 格 出 力 (W)
5.43
2,500
3,600
LDK 処理負荷
子供室1 処理負荷
LDK 未処理熱量
子供室1 未処理熱量
主寝室 処理負荷
子供室2 処理負荷
主寝室 未処理熱量
子供室2 未処理熱量
負荷又は熱量(GJ/期間)
25.00
20.00
15.00
10.00
5.00
01
02
03
13
15
25
26
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
14
n=0.3回/h n=0.5回/h n=0.7回/h n=0.3回/h
27
n=0.5回/h n=0.7回/h n=0.3回/h n=0.5回/h n=0.7回/h
暖房18℃
4-4-5-3
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
0.00
暖房20℃
暖房22℃
エアコンの能力別、居室の処理負荷と未処理熱量グラフ
部 分 間 欠 暖 房 方 式 の 暖 房 負 荷 に つ い て 、エ ア コ ン の 能 力 別 に 各 居 室 の 電 力 消 費
量 と 未 処 理 熱 量 、期 間 平 均 COP を グ ラ フ に し た 。エ ア コ ン 大 ・中 ・小 の 能 力 は 前 ペ
ージと同じである。
子供室1 電力消費量
子供室1 未処理熱量
子供室1 COP
子供室2 電力消費量
子供室2 未処理熱量
子供室2 COP
01
02
03
13
14
15
25
26
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
0.0
エアコン大
0.5
0.0
エアコン小
1.0
2.0
エアコン中
1.5
4.0
エアコン大
2.0
6.0
エアコン小
2.5
8.0
エアコン中
3.0
10.0
エアコン大
3.5
12.0
エアコン小
4.0
14.0
エアコン中
4.5
16.0
27
n=0.3回/h n=0.5回/h n=0.7回/h n=0.3回/h n=0.5回/h n=0.7回/h n=0.3回/h n=0.5回/h n=0.7回/h
暖房18℃
暖房20℃
暖房22℃
Ⅲ-2-3-94
期間平均COP
主寝室 電力消費量
主寝室 未処理熱量
主寝室 COP
18.0
エアコン大
期間暖房負荷(GJ/期間)
LDK 電力消費量
LDK 未処理熱量
LDK COP
4-4-5-4 ま と め
換 気 回 数 、設 定 温 度 、エ ア コ ン の 機 器 容 量 を 変 え た 場 合 の 期 間 暖 房 負 荷 を 計 算
し た 。換 気 回 数 の 増 減 が 期 間 暖 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 に 与 え る 影 響 は 、設 定 温 度 や 機
器 容 量 に 依 存 す る が 、お お む ね 換 気 回 数 を 0.5 回 /h か ら 0.3 回 /h に 減 じ る と 10%
の 削 減 、 0.7 回 /h に 増 加 さ せ る と 10% の 増 加 に な る と い う 結 果 が 得 ら れ た 。
10.0
期間暖房エネルギー消費(GJ/期間)
9.0
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
01
02
n=0.3回/h n=0.5回/h
03
13
14
n=0.7回/h n=0.3回/h
暖房18℃
15
25
26
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
エアコン小
エアコン中
エアコン大
0.0
27
n=0.5回/h n=0.7回/h n=0.3回/h
n=0.5回/h n=0.7回/h
暖房20℃
暖房22℃
4-5 ま と め
あ る 集 合 住 宅 及 び 戸 建 て 住 宅 を 想 定 し 、換 気 シ ス テ ム や 換 気 回 数 、外 界 気 象 条
件 が 変 わ っ た と き の 室 内 空 気 質 を SRF で 評 価 し た 。ま た 換 気 回 数 の 増 減 が 暖 冷 房
負 荷 に 与 え る 影 響 に つ い て 計 算 し た 。さ ら に 、暖 房 機 器 と し て エ ア コ ン を 想 定 し 、
期間エネルギー消費量を算出した。
室 内 空 気 質 の 評 価 は 、 各 室 個 別 に SRF で 評 価 す る 必 要 が あ る 。 OSRF で 評 価 で
は 、 集 合 住 宅 に お い て は 、 換 気 回 数 が 0.5 回 /h を 下 回 る と 、 南 北 面 差 圧 が 大 き
い と き に OSRF 評 価 が 低 く な る こ と 、 戸 建 て 住 宅 に お い て は 、 換 気 回 数 が 0.5 回
/h を 下 回 る と 、内 外 温 度 差 が つ か な い 場 合 に OSRF 評 価 が 低 く な る と い う 結 果 が
でた。
い ず れ に せ よ 、本 年 度 、戸 建 て 住 宅 に つ い て は 実 証 実 験 を 行 っ て い る 。換 気 回
数 を 0.5 回 /h よ り 下 回 る 場 合 に 、 内 外 温 度 差 の 影 響 が 室 内 環 境 の 低 下 に ど の よ
うに影響するか、実験結果を注意深く評価する必要がある。
換 気 回 数 の 増 減 が 、暖 冷 房 負 荷 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た 。集 合 住 宅 、戸
建 て 住 宅 と も に 、 換 気 回 数 0.5 回 /h に 対 し て 、 換 気 回 数 を 0.3 回 /h に す る と 約
Ⅲ-2-3-95
15%の 暖 冷 房 負 荷 の 削 減 、 換 気 回 数 を 0.7 回 /h に す る と 約 15%の 暖 冷 房 負 荷 の 増
加 、と い う 結 果 に な っ た 。た だ し 、集 合 住 宅 の 場 合 は 隣 室 条 件 に よ り 、全 暖 冷 房
負 荷 に 対 し て 換 気 負 荷 が 占 め る 割 合 が 変 化 す る こ と を 注 意 す る 必 要 が あ る 。戸 建
て 住 宅 で は 暖 冷 房 の 設 定 温 度 を 変 え た と き の 影 響 も 検 討 し た が 、い ず れ の 設 定 温
度 に つ い て も 、 増 減 の 割 合 は お お む ね 同 じ で ±15%で あ っ た 。
換 気 回 数 が エ ネ ル ギ ー 消 費 に 与 え る 影 響 を 検 討 す る 場 合 は 、暖 冷 房 消 費 エ ネ ル
ギ ー に 加 え 、換 気 動 力 も 加 算 す る 必 要 が あ る 。そ の た め 、上 記 暖 冷 房 負 荷 結 果 を
用 い て 、暖 冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー を 計 算 し た 。上 述 し た と お り 、戸 建 て 住 宅 の 暖 冷
房 負 荷 は 隣 室 住 戸 の 条 件 に よ り 大 幅 に 変 わ る 可 能 性 が あ る の で 、戸 建 て 住 宅 の み
暖 冷 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 算 出 し た 。暖 冷 房 の エ ネ ル ギ ー 消 費 を 算 出 す る に は 具
体 的 な 暖 冷 房 方 式 を 定 め る 必 要 が あ る た め 、本 検 討 で は 妥 当 な 暖 冷 房 能 力 、効 率
を も つ エ ア コ ン を 想 定 し て 計 算 を 行 っ た 。ま た 、暖 房 消 費 エ ネ ル ギ ー に 対 し て 冷
房 消 費 エ ネ ル ギ ー は 非 常 に 小 さ い こ と 、冷 房 消 費 エ ネ ル ギ ー を 求 め る に は 通 風 に
よ る エ ネ ル ギ ー 削 減 の 効 果 を 検 討 す る 必 要 が あ る が 、現 在 、通 風 の 効 果 を 評 価 す
る 妥 当 な 方 法 が 存 在 し な い こ と か ら 、暖 房 消 費 エ ネ ル ギ ー を 中 心 に 算 出 し た 。そ
の 結 果 、 暖 房 設 定 温 度 20℃ 換 気 回 数 0.5 回 /h で 暖 房 消 費 エ ネ ル ギ ー が 5( GJ/
期 間 )と な っ た 。な お 、こ の 結 果 は 、立 地 条 件 と し て つ く ば( 省 エ ネ ル ギ ー 法 で
い う Ⅲ 地 域 ~ Ⅳ 地 域 に 属 す る )を 想 定 し て い る 。暖 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 は 外 気 温 度
に 依 存 す る た め 、暖 房 エ ネ ル ギ ー 消 費 と 換 気 動 力 と の 割 合 は 、地 域 に よ っ て 大 き
く変わることに留意する必要がある。
Ⅲ-2-3-96
5
住宅の多様性による空気環境とエネルギー消費削減効果への影響に関する
検討(2)
5-1 概 要
空 気 環 境 モ ニ タ リ ン グ を 利 用 し た 換 気 シ ス テ ム 性 能 評 価 法 を 用 い て 、提 案 す る
換 気 シ ス テ ム に 導 入 し た 場 合 の 換 気 性 能 、汚 染 物 質 濃 度 及 び 空 調 負 荷 を 計 算 す る
こと、そのために必要なプログラムの改良を行うことを目的とする。
そ の た め 、対 象 と す る 住 宅 の 室 間 流 量 を 把 握 す る た め に 換 気 回 廊 計 算 プ ロ グ ラ
ム に よ る 計 算 を 行 い 、得 ら れ た 室 間 流 量 を も と に 換 気 性 能 、汚 染 物 質 濃 度 及 び 空
調負荷の計算を行った。
5-2 換 気 回 路 網 計 算 に よ る 室 間 流 量 の 行 列 デ ー タ の 作 成
室 間 流 量 の 計 算 に は 、 換 気 回 路 網 計 算 プ ロ グ ラ ム Ventsim( 以 下 、 Ventsim)
を使用した。
Ventsim は 室 を 計 算 点 ( い わ ゆ る 節 点 ( ノ ー ド )) と し 、 室 間 の 開 口 部 ・ 換 気
シ ス テ ム を 通 気 抵 抗 を も つ 回 路 と み な し 、電 気 回 路 に 模 し た 回 路 網( 換 気 回 路 網 )
を形成して全体の連立方程式を解くプログラムである。
換 気 の 駆 動 力 と し て は 建 物 外 皮 に 加 わ る 外 部 風 圧 力 、室 間・室 内 外 温 度 差 に よ
る 浮 力 、及 び 換 気 シ ス テ ム に よ り 加 え ら れ る 圧 力 を 考 慮 で き る 。計 算 結 果 と し て 、
各 換 気 部 品 を 通 過 す る 風 量 、及 び そ れ ら を 集 計 し て の 各 室 へ の 流 入・流 出 風 量 が
得られる。
5-2-1 換 気 回 路 網 計 算 ソ フ ト の 精 度 確 認
Ventsim の 計 算 精 度 を 確 認 す る た め に 、実 在 住 宅 で の 新 鮮 外 気 量 の 測 定 結 果 と
Ventsim に よ る 新 鮮 外 気 量 の 計 算 結 果 の 比 較 を 行 っ た 。
5-2-1-1 計 算 結 果
対象住宅における住宅全体、リビング、主寝室の新鮮外気導入量の実測値と
Ventsim 計 算 結 果 の 比 較 結 果 を 以 下 に 示 す 。 新 鮮 外 気 導 入 量 の 実 測 値 が Ventsim
計 算 値 よ り 10%程 度 多 く な る 傾 向 が あ る が 、実 際 の 測 定 に は 理 論 計 算 の モ デ ル に
落 と し 込 め な い 外 乱 条 件 や 、建 物 の 隙 間 位 置 の 偏 り な ど が 存 在 す る た め 、十 分 に
許容範囲内の差であると考えられる。
5-2-2 室 間 流 量 の 行 列 デ ー タ の 作 成
前 述 の 比 較 に よ っ て 計 算 精 度 が 確 認 さ れ た Vetntsim を 用 い て 戸 建 住 宅 に お け
る室間流量の行列データを作成する。
Ⅲ-2-3-97
5-2-2-1 計 算 条 件
(1)計 算 モ デ ル
対 象 住 宅 は 、木 造 2 階 建 て の 戸 建 て 住 宅 と し た 。戸 建 住 宅 の 計 算 モ デ ル( 室 分
割)及び建具等の配置状況を以下に示す。
0
0.91
1.82
2.73
3.64
4.55
5.46
6.37
7.28
8.19
9.10
10.01
10.92
11.83
12.74
13.65
0
1階
0.91
N
③洗面
脱衣室
1.82
④浴室
5
⑤
トイレ
4
6
⑥廊下
(玄関・階段室を含む)
2.73
2
3..64
②和室
(縁側・押入を含む)
4.55
3
①リビング・ダイニング
(キッチンを含む)
1
5.46
6.37
7.28
[m]
0.91
2階
(⑥廊下)
1.82
⑩クローゼット
7
2.73
8
10
9
3..64
⑧子供室1
⑨子供室2
⑦主寝室
4.55
5.46
6.37
1
図 Ⅲ -2-3-93
戸建住宅の室モデル
表 Ⅲ -2-3-24
Ventsimm モ デ ル の 室 設 定
No
室名
1
2
3
4
5
リビング・ダイニング
和室
洗面脱衣室
浴室
トイレ
廊下(1階部分)
6
廊下(2階部分)
7 主寝室
8 子供部屋1
9 子供部屋2
10 クローゼット
合計
床面積
天井高
m
m2
34.78
2.40
20.29
2.40
2.48
2.40
3.31
2.40
1.66
2.40
17.80
2.40
14.08
2.40
13.25
2.40
11.18
2.40
11.18
2.40
4.97
2.40
134.98
2 ・・・はドア隙間位置
室容積
外皮面積
備考
m2
m2
83.47
41.50 キッチンを含む
48.70
29.48 押入、縁側を含む
5.95
6.55
7.94
4.37
3.98
4.37
42.72
14.20
玄関、階段室を含む
33.79
21.84
31.80
17.47
26.83
6.55
26.83
17.47
11.93
10.92
323.952
174.72
(2)隙 間 、 室 間 開 口
Ventsim モ デ ル の 室 間 開 口 の 設 定 を 以 下 に 示 す 。
Ⅲ-2-3-98
表 Ⅲ -2-3-25
Ventsim モ デ ル の 室 間 開 口 設 定
ドア隙間
No
位置概要
αA
接続
cm
1
n
2
リビング・ダイニング入り口ドア(1)
リビング・ダイニング⇔廊下
100.0
1.87
2
リビング・ダイニング入り口ドア(2)
リビング・ダイニング⇔廊下
100.0
1.87
3
和室ふすま
和室⇔廊下
200.0
1.87
4
洗面脱衣室入り口ドア
洗面脱衣室⇔廊下
100.0
1.87
5
浴室入り口ドア
浴室⇔洗面脱衣室
100.0
1.87
6
トイレ入り口ドア
トイレ⇔廊下
100.0
1.87
7
主寝室入口ドア
主寝室⇔廊下
100.0
1.87
8
子供室1入口ドア
子供室1⇔廊下
100.0
1.87
9
子供室2入口ドア
子供室2⇔廊下
100.0
1.87
クローゼット⇔主寝室
100.0
1.87
10 クローゼット入口ドア
Ventsim モ デ ル の 隙 間 の 設 定 を 以 下 に 示 す 。
表 Ⅲ -2-3-26
Ventsim の 隙 間 設 定
外皮隙間 C = 2.0
No
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
室名
リビング・ダイニング
和室
洗面脱衣室
浴室
トイレ
廊下(1階部分)
廊下(2階部分)
主寝室
子供部屋1
子供部屋2
クローゼット
合計
aA
cm2
隙間A'換算値
64.12
45.56
10.12
6.75
6.75
21.93
33.75
27.00
10.12
27.00
16.87
269.97
93.10
66.15
14.69
9.80
9.80
31.84
49.01
39.20
14.69
39.20
24.50
(3)換 気 シ ス テ ム の 風 量
全般換気システムの制御方法及び風量を以下に示す。
全 般 換 気 シ ス テ ム は 第 1 種 換 気 シ ス テ ム と し 、各 部 屋 に 給 気 用 、排 気 用 端 末 を 設
置している。
端末は各室に 1 組ずつ設置するが、リビングのみ 2 つ設置する。
「 弱 運 転 」「 強 運 転 」 の 場 合 に は 、 給 気 用 、 排 気 用 端 末 は 同 一 の 風 量 と す る 。
「 リ ビ ン グ 優 先 」「 主 寝 室 優 先 」 の 場 合 に は 、 給 気 用 端 末 の み 優 先 室 の 風 量 を
増 や し 、優 先 室 以 外 の 室 の 風 量 を 減 ら す 。た だ し 、全 体 の 風 量 は「 弱 運 転 」時 と
同一とする。
Ⅲ-2-3-99
表 Ⅲ -2-3-27
Ventsim の 全 般 換 気 シ ス テ ム の 風 量 及 び 制 御 方 法
風量
給気
No
制御方法
1
2
3
4
弱運転
強運転
リビング優先
主寝室優先
排気
リビング
和室
主寝室
子供部
屋1
m3/h
53.3
106.7
80.0
20.0
m3/h
26.7
53.3
20.0
20.0
m3/h
26.7
53.3
20.0
80.0
m3/h
26.7
53.3
20.0
20.0
子供部
リビング
屋2
m3/h
26.7
53.3
20.0
20.0
m3/h
53.3
106.7
53.3
53.3
和室
主寝室
子供部
屋1
子供部
屋2
m3/h
26.7
53.3
26.7
26.7
m3/h
26.7
53.3
26.7
26.7
m3/h
26.7
53.3
26.7
26.7
m3/h
26.7
53.3
26.7
26.7
局所換気システムの風量は以下のように設定した。
表 Ⅲ -2-3-28
Ventsim の 局 所 換 気 機 器 の 風 量 設 定
風量
m3/h
300
100
局所換気システム
レンジフード
浴室
(4)室 内 外 温 度 差
室内外温度差は以下に示すように室温、外気温度を設定した。
表 Ⅲ -2-3-29
No
1
2
3
4
5
6
7
8
Ventsim の 温 度 設 定
室内外温度差
℃
-20
-10
0
5
10
15
20
40
室内温度
℃
20
20
20
20
20
20
20
20
室外温度
℃
40
30
20
15
10
5
0
-20
(5)計 算 パ ラ メ ー タ
室 間 流 量 の 行 列 デ ー タ の 計 算 条 件 の 一 覧 を 以 下 に 示 す 。換 気 は 各 室 に 給 気 端 末
と 排 気 端 末 を 設 置 し 、給 気 量 と 排 気 量 が 同 量 の 設 定 と す る 。た だ し 、制 御 方 法 が
「 リ ビ ン グ 優 先 」「 主 寝 室 優 先 」 の 場 合 は 、 給 気 量 の 比 率 の み 異 な り 、 排 気 量 は
各室で同一である。
Ⅲ-2-3-100
表Ⅲ-2-3-31 室間流量の行列データの設定条件一覧(2/4)
表Ⅲ-2-3-30 室間流量の行列データの設定条件一覧(1/4)
全般換気
換
気
風
量
回/h
m3/h
給気風量比
リ
ビ
ン
グ
和
室
1
1.000
1.000
2
1.000
1.000
1.000
1.000
No
制御方法
℃
弱運転
3
0.5
160
4
子
供
室
1
子
供
室
2
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
主
寝
室
5
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
6
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
強運転
7
8
9
1.0
320
1.000
-20
10
リビング優先
11
12
13
160
主寝室優先
15
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
16
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
17
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
18
弱運転
19
0.5
160
20
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
21
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
22
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
強運転
23
24
25
26
27
32
1.000
1.000
リビング優先
0.5
29
31
320
-10
28
30
1.0
主寝室優先
160
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
ON
1.000
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
1.000
1.000
弱運転
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
37
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
38
ON
39
ON
40
強運転
ON
43
ON
44
1.0
320
0
42
リビング優先
0.5
46
160
主寝室優先
ON
47
ON
48
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
49
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
52
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
53
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
50
ON
弱運転
51
54
ON
ON
ON
56
58
ON
ON
ON
59
ON
ON
64
Ⅲ-2-3-101
1.0
160
320
リビング優先
0.5
61
63
0.5
5
60
62
ON
強運転
55
57
ON
1.000
1.000
1.000
ON
ON
160
1.000
36
ON
ON
0.5
主
寝
室
子
供
室
2
ON
ON
1.000
m3/h
34
45
ON
回/h
33
制御方法
子
供
室
1
35
ON
ON
換
気
風
量
和
室
No
41
ON
換
気
回
数
局所換気
給気風量比
ON
ON
ON
全般換気
℃
ON
0.875
0.875
浴
室
室
内
外
温
度
差
リ
ビ
ン
グ
ド
1.000
1.500
1.500
0.5
14
1.000
レ
ン
ジ
フ
主寝室優先
160
レ
ン
ジ
フ
ー
換
気
回
数
局所換気
ー
室
内
外
温
度
差
浴
室
ド
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
表Ⅲ-2-3-33 室間流量の行列データの設定条件一覧(4/4)
表Ⅲ-2-3-32 室間流量の行列データの設定条件一覧(3/4)
全般換気
換
気
風
量
回/h
m3/h
給気風量比
子
供
室
1
子
供
室
2
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
68
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
69
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
70
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
80
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
81
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
84
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
85
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
86
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
0.875
0.875
No
制御方法
℃
65
66
弱運転
67
強運転
71
72
73
76
0.5
77
78
82
弱運転
83
強運転
87
91
96
1.0
160
320
リビング優先
0.5
93
95
0.5
15
92
94
160
主寝室優先
79
90
320
リビング優先
75
89
1.0
160
10
74
88
0.5
主寝室優先
160
リ
ビ
ン
グ
和
室
1.000
1.000
1.000
主
寝
室
レ
ン
ジ
フ
浴
室
No
ド
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
116
117
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
128
ON
ON
ON
ON
制御方法
弱運転
強運転
ON
Ⅲ-2-3-102
換
気
回
数
換
気
風
量
回/h
m3/h
0.5
1.0
160
320
20
リビング優先
0.5
160
主寝室優先
弱運転
115
ON
ON
全般換気
℃
ON
ON
室
内
外
温
度
差
強運転
0.5
1.0
160
320
40
リビング優先
0.5
主寝室優先
160
局所換気
給気風量比
リ
ビ
ン
グ
和
室
主
寝
室
子
供
室
1
子
供
室
2
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
1.500
1.500
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
1.500
1.500
1.500
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.500
1.500
1.500
1.500
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
1.500
1.500
1.500
1.500
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
0.875
レ
ン
ジ
フ
ー
換
気
回
数
局所換気
ー
室
内
外
温
度
差
浴
室
ド
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
ON
5-2-2-2 室間流量の行列データ
Ventsim の計算結果から整理した室間流量の行列データの例を以下に示す。
表Ⅲ-2-3-34 室内外温度差:-20 ℃ 全般換気:0.5 回/h 局所換気:なし
To
From
外気
リビング
和室
洗面脱衣室
浴室
トイレ
廊下
主寝室
子供室1
子供室2
クローゼット
外気
71.2
39.6
2.9
1.9
1.9
6.3
26.7
26.7
26.7
0.0
リビン
グ
54.3
0.0
0.0
0.0
0.0
17.0
0.0
0.0
0.0
0.0
和室
27.2
0.0
0.0
0.0
0.0
12.4
0.0
0.0
0.0
0.0
洗面
脱衣
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
4.6
0.0
0.0
0.0
0.0
浴室
トイレ
廊下
0.1
0.0
0.0
1.8
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
13.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1.9
0.0
0.0
0.0
0.0
15.2
3.9
10.0
0.0
主寝
室
36.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.8
子供
室1
30.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
子供
室2
36.6
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
クロー
ゼット
5.8
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
(単位:m3 /h)
表Ⅲ-2-3-35 室内外温度差:-20 ℃ 全般換気:0.5 回/h 局所換気:レンジ
To
外気
From
外気
353.3
リビング
26.7
和室
洗面脱衣室 0.0
0.0
浴室
0.0
トイレ
0.0
廊下
主寝室
26.7
子供室1
26.7
子供室2
26.7
クローゼット 0.0
リビン
グ
146.7
0.0
0.0
0.0
0.0
206.6
0.0
0.0
0.0
0.0
和室
66.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
洗面
脱衣
9.1
0.0
0.0
6.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
浴室
トイレ
廊下
6.0
0.0
0.0
0.0
6.1
0.0
0.0
0.0
0.0
58.9
0.0
40.2
15.1
0.0
6.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
45.0
11.6
29.7
0.0
主寝
室
54.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
17.1
子供
室1
38.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
子供
室2
56.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
クロー
ゼット
17.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
(単位:m3 /h)
表Ⅲ-2-3-36 室内外温度差:-20 ℃ 全般換気:0.5 回/h 局所換気:浴室
To 外気
From
外気
リビング
353.3
和室
26.7
洗面脱衣室 100.0
浴室
0.0
トイレ
0.0
廊下
0.0
26.7
主寝室
26.7
子供室1
26.7
子供室2
クローゼット 0.0
リビン
グ
164.2
0.0
0.0
0.0
0.0
189.1
0.0
0.0
0.0
0.0
和室
85.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
洗面
脱衣
16.1
0.0
0.0
10.7
0.0
73.3
0.0
0.0
0.0
0.0
浴室
トイレ
廊下
10.7
0.0
0.0
0.0
9.0
0.0
0.0
0.0
0.0
81.0
0.0
58.6
0.0
0.0
9.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
59.2
15.4
39.3
0.0
主寝
室
63.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
22.5
子供
室1
42.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
子供
室2
65.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
クロー
ゼット
22.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
(単位:m3 /h)
表Ⅲ-2-3-37 室内外温度差:-20 ℃ 全般換気:0.5 回/h 局所換気:レンジ 浴室
To 外気
From
外気
リビング
56.9
和室
29.1
洗面脱衣室 100.0
浴室
0.0
トイレ
0.4
廊下
1.1
26.7
主寝室
26.7
子供室1
26.7
子供室2
クローゼット 0.0
リビン
グ
65.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
和室
35.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
洗面
脱衣
8.5
0.0
0.0
5.6
0.0
85.9
0.0
0.0
0.0
0.0
浴室
トイレ
廊下
5.6
0.0
0.0
0.0
1.3
0.0
0.0
0.0
0.0
25.0
8.4
6.1
0.0
0.0
0.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
24.5
6.2
16.0
0.0
主寝
室
41.8
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
9.3
子供
室1
32.9
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
子供
室2
42.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
クロー
ゼット
9.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
(単位:m3 /h)
Ⅲ-2-3-103
5-3 室内濃度及び換気性能の計算ツールの開発及び換気性能評価
室内濃度及び換気性能を得るために Ventsim の計算から得られた室間流量の行列データ
から年間の 1 時間毎の室内濃度を計算するプログラムを作成し、そのプログラムの実行結
果から得られた室内濃度と室間流量データから換気性能評価を行うプログラムを作成した。
室内濃度は計算時間の室内外温度差に対して補正を行った室間流量及び汚染物質の発生
量スケジュールをもとに、汚染物質の収支式を前進差分で離散化し計算を行った。
換気性能評価指標には必要新鮮空気量の充足度 SRF(以下、SRF)を使用した。SRF は他
室からの流入空気に新鮮外気のポテンシャルを評価し、室に供給される実質的な外気導入
量である「有効新鮮空気量」を他室からの流入空気のポテンシャルを含めた必要新鮮空気
量である「実質必要新鮮空気量」で除した値で、最大値は 1 となり、その際にその室は必
要新鮮空気が充足していると評価される。また、住宅全体での SRF は OSRF として表わされ
る。
5-3-1 計算条件
5-3-1-1 換気システムの制御
全般換気システムの制御方法を以下に示す。
表Ⅲ-2-3-38 全般換気システムの制御方法
制御名
制御方法
定風量制御(換気回数0.75回/h)
常に一定の風量を維持する
変風量制御(全居室均一制御)
通常は0.5回/hの風量で運転し、住宅全体の平均濃度が許容濃度を上回った場合に1.0回/h
の風量で運転する。平均濃度がある一定以下の濃度に下がった場合に通常運転に復帰す
る。(住宅の平均濃度は各居室の容積による加重平均値とする)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
通常は0.5回/hの風量で運転し、優先する室(本業務ではリビング、主寝室)の濃度が許容濃
度を上回った場合に住宅全体で0.5 回/hの風量を維持したまま、優先室の給気量を1.5倍に増
加させる。排気風量は変化させない。優先室の濃度が一定以下の濃度に下がった場合に通
常運転に復帰する。
5-3-1-2 濃度設定
表Ⅲ-2-3-39 濃度設定
室内濃度計算にお
ける濃度設定を右に
示す。
設定値
mg/m3
0.100
0.075
項目
許容濃度
通常制御へ復帰する濃度
5-3-1-3 気象データ
濃度計算に用いた気象データの一覧を以下に示す。省エネルギー基準における地域区分
Ⅱ、Ⅲ、Ⅳから代表都市を 1 都市ずつ選び、その年の標準年データを使用した。
表Ⅲ-2-3-40 気象データ
No
1
2
3
省エネルギー基準に
おける地域区分
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
都市名
気象データの種類
盛岡
秋田
東京
標準年
標準年
標準年
5-3-1-4 暖冷房機器及び室温設定
濃度計算に用いた暖冷房期間及び設定温度を以下に示す。都市ごとの暖冷房負荷の比較
を明確にするため、暖冷房期間は任意に設定し、中間期の室温はなりゆきとした。
表Ⅲ-2-3-41 暖冷房期間及び設定温度
Ⅲ-2-3-104
種別
開始日
終了日
暖房期間
中間期(春季)
中間期(秋季)
冷房期間
11月1日
4月1日
10月1日
6月1日
3月31日
5月31日
1月31日
9月30日
室温(暖冷房機器の設定温度)
℃
20
なりゆき
26
5-3-1-5 室間流量の温度補正
計算時間の室内外温度差における室間流量を求めるため、計算時間の室内外温度差に最
も近い 2 点の室内外温度差の室間流量データに対して線形補完を行い、計算時間の室間流
量データとした。
5-3-1-6 スケジュール
(1)在室スケジュール
濃度計算に用いた在室スケジュールを以下に示す。
表Ⅲ-2-3-42 在室スケジュール
時刻
0:15
0:30
0:45
1:00
1:15
1:30
1:45
2:00
2:15
2:30
2:45
3:00
3:15
3:30
3:45
4:00
4:15
4:30
4:45
5:00
5:15
5:30
5:45
6:00
6:15
6:30
6:45
7:00
7:15
7:30
7:45
8:00
8:15
8:30
8:45
9:00
9:15
9:30
9:45
10:00
10:15
10:30
10:45
11:00
11:15
11:30
11:45
12:00
リビング
和室
主寝室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
子供部屋1 子供部屋2
時刻
リビング
12:15
12:30
12:45
13:00
13:15
13:30
13:45
14:00
14:15
14:30
14:45
15:00
15:15
15:30
15:45
16:00
16:15
16:30
16:45
17:00
17:15
17:30
17:45
18:00
18:15
18:30
18:45
19:00
19:15
19:30
19:45
20:00
20:15
20:30
20:45
21:00
21:15
21:30
21:45
22:00
22:15
22:30
22:45
23:00
23:15
23:30
23:45
0:00
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
和室
主寝室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
在室
Ⅲ-2-3-105
在室
在室
子供部屋1 子供部屋2
(2)換気機器の運転スケジュール
換気機器の運転スケジュールを以下に示す。
表Ⅲ-2-3-43 換気機器の運転スケジュール
時刻
0:15
0:30
0:45
1:00
1:15
1:30
1:45
2:00
2:15
2:30
2:45
3:00
3:15
3:30
3:45
4:00
4:15
4:30
4:45
5:00
5:15
5:30
5:45
6:00
6:15
6:30
6:45
7:00
7:15
7:30
7:45
8:00
8:15
8:30
8:45
9:00
9:15
9:30
9:45
10:00
10:15
10:30
10:45
11:00
11:15
11:30
11:45
12:00
局所換気機器風量
レンジフード
浴室
m3/h
m3/h
300
300
300
300
時刻
12:15
12:30
12:45
13:00
13:15
13:30
13:45
14:00
14:15
14:30
14:45
15:00
15:15
15:30
15:45
16:00
16:15
16:30
16:45
17:00
17:15
17:30
17:45
18:00
18:15
18:30
18:45
19:00
19:15
19:30
19:45
20:00
20:15
20:30
20:45
21:00
21:15
21:30
21:45
22:00
22:15
22:30
22:45
23:00
23:15
23:30
23:45
0:00
局所換気機器風量
レンジフード
浴室
m3/h
m3/h
300
300
300
300
300
300
300
300
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
(3)汚染物質発生量スケジュール
汚染物質の発生量を以下に示す。発生量は換気回数が 0.75 回/h
の時に許容濃度となるように定めた。局所換気が稼働している時
間帯は局所換気システムの風量を加味して発生量を定めた。
表Ⅲ-2-3-44 発生量スケジュール
発生量
発生量
時刻
リビング
和室
主寝室
0:15
0:30
0:45
1:00
1:15
1:30
1:45
2:00
2:15
2:30
2:45
3:00
3:15
3:30
3:45
4:00
4:15
4:30
4:45
5:00
5:15
5:30
5:45
6:00
6:15
6:30
6:45
7:00
7:15
7:30
7:45
8:00
8:15
8:30
8:45
9:00
9:15
9:30
9:45
10:00
10:15
10:30
10:45
11:00
11:15
11:30
11:45
12:00
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6.3
6.3
36.3
36.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
mg/h
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
2.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
Ⅲ-2-3-106
子供部屋1 子供部屋2
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
時刻
リビング
和室
主寝室
12:15
12:30
12:45
13:00
13:15
13:30
13:45
14:00
14:15
14:30
14:45
15:00
15:15
15:30
15:45
16:00
16:15
16:30
16:45
17:00
17:15
17:30
17:45
18:00
18:15
18:30
18:45
19:00
19:15
19:30
19:45
20:00
20:15
20:30
20:45
21:00
21:15
21:30
21:45
22:00
22:15
22:30
22:45
23:00
23:15
23:30
23:45
0:00
mg/h
36.3
36.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6.3
6.3
36.3
36.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
36.3
36.3
36.3
36.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
6.3
0.0
0.0
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
2.4
2.4
子供部屋1 子供部屋2
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
mg/h
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5-3-2 換気性能評価
換気性能評価の結果を以下に示す。定風量制御にはどの都市においても換気性能を満た
している結果となった。変風量制御時は優先制御に比べ全居室均一制御の換気性能が悪く
なる傾向がある。これは全居室均一制御の場合には、全般換気システムの制御を切り替え
る基準となる濃度が住宅全体での平均濃度のため、リビングなどが許容濃度を上回ってい
る場合でも他室の濃度と平均した場合に許容濃度を下回るため、全般換気システムの制御
が切り替わらないため許容濃度を超える時間が増える傾向があるためである。
全体的に SRF が 0.9 以上を確保しており新鮮空気充足度がおおよそ満たされていると考
えられる。
表Ⅲ-2-3-45 年間 SRF
都市
運転制御
定風量制御(換気回数0.75回/h)
盛岡 変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
秋田 変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
東京 変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
リビング
1.000
0.980
0.993
1.000
0.979
0.993
1.000
0.978
0.995
和室
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
年間SRF
主寝室
子供室1
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
子供室2
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
1.000
住宅全体
1.000
0.996
0.998
1.000
0.996
0.999
1.000
0.995
0.999
5-4 空調負荷計算及びエネルギー消費量計算
建築環境シミュレーション用の汎用入力インターフェイス「AE-CAD」、及び温熱環境シミ
ュレーションプログラム「AE-Sim/Heat」を用いて暖冷房負荷を求めた。
5-4-1 計算条件
5-4-1-1 計算モデル
図Ⅲ-2-3-76 を参照。
5-4-1-2 各部位層構成
AE-SimHeat モデルの窓、玄関ドアの仕様を以下に示す。
表Ⅲ-2-3-46 AE-SimHeat モデルの窓、玄関ドア仕様
部位
屋根
天井
外壁
間仕切り壁
床
土間床
基礎壁
土間床
基礎壁
材料名
合板
通気層
合板
高性能グラスウール断熱材 16K相当
吹込用グラスウール断熱材2種 30K相当
石膏ボード
木片セメント板
通気層
住宅用グラスウール16K
石膏ボード
住宅用グラスウール10K
石膏ボード
石膏ボード
密閉空気層
石膏ボード
合板
高性能グラスウール断熱材 16K相当
コンクリート
コンクリート
熱伝導率
W/(m・K)
0.16
0.16
0.038
0.04
0.22
0.17
0.045
0.22
0.05
0.22
0.22
R = 0.09
0.22
0.16
0.038
1.6
1.6
厚さ
mm
9
100
12.5
12.5
100
12.5
15
18
100
12.5
12.5
100
12.5
12
100
150
150
150
150
5-4-1-3 窓、玄関ドア仕様
AE-SimHeat モデルの窓、玄関ドアの仕様を以下に示す。
Ⅲ-2-3-107
備考
表Ⅲ-2-3-47 AE-SimHeat モデルの窓、玄関ドア仕様
材料名
No
設置空間
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
LDK
LDK
LDK
LDK
LDK
和室
和室
洗面脱衣室
浴室
トイレ
廊下
廊下(2階)
廊下(2階)
廊下(2階)
廊下(2階)
主寝室
主寝室
子供室1
子供室1
子供2
クローゼット
幅
高さ
mm
1,650
1,650
1,650
360
650
2,560
1,650
360
740
360
1,690
1,650
740
740
740
1,650
1,650
1,650
1,650
1,650
360
mm
1,800
1,800
1,100
900
1,830
1,800
1,300
900
700
900
2,330
500
700
700
700
1,800
1,100
1,100
900
1,100
900
床面からの高さ
仕様
方位
窓下端
窓上端
窓K値
S
S
E
E
E
S
N
W
N
N
S
N
N
N
N
S
E
S
W
S
E
mm
0
0
700
900
0
0
500
900
900
900
0
1,000
1,100
1,100
1,100
0
700
700
1,100
700
900
mm
1,800
1,800
1,800
1,800
1,830
1,800
1,800
1,800
1,600
1,800
2,330
1,500
1,800
1,800
1,800
1,800
1,800
1,800
2,000
1,800
1,800
W/(m2・K)
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
4.65
ガラス種類
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
勝手口アルミドア
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
玄関アルミ製引違戸
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
普通複層ガラス
透過率
%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
ガラス物性値
反射率
遮蔽係数
%
13.4%
0.9
13.4%
0.9
13.4%
0.9
13.4%
0.9
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
73.7%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
13.4%
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
5-4-2 年間空調負荷及び年間消費エネルギー量
年間空調負荷の計算結果を以下に示す。
表Ⅲ-2-3-48 年間空調負荷
都市
盛岡
秋田
東京
運転制御
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
リビング
MJ
25,427
23,108
23,040
25,309
23,106
23,038
17,361
15,417
15,235
和室
MJ
16,339
15,256
15,252
16,203
15,129
15,126
11,532
10,553
10,557
年間空調負荷
主寝室
子供室1
MJ
MJ
10,660
9,647
9,546
8,509
9,550
8,508
10,957
9,766
9,870
8,673
9,870
8,671
8,151
7,385
7,172
6,401
7,175
6,399
子供室2
MJ
7,916
6,769
6,769
8,024
6,918
6,915
6,127
5,147
5,143
住宅全体
MJ
69,990
63,189
63,119
70,259
63,696
63,620
50,556
44,690
44,508
年間消費エネルギー量の計算結果を以下に示す。
表Ⅲ-2-3-49 年間消費エネルギー量
都市
盛岡
秋田
東京
運転制御
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
定風量制御(換気回数0.75回/h)
変風量制御(全居室均一制御)
変風量制御(リビング、主寝室優先制御)
Ⅲ-2-3-108
年間消費エネルギー量(空調負荷+全般換気)
住宅全体
MJ
22,039
18,825
18,807
22,106
18,951
18,932
17,180
14,200
14,154
5-5 まとめ
空気環境モニタリングを利用した換気システム性能評価法を用いて、提案する換気シス
テムに導入した場合の換気性能、汚染物質濃度及び空調負荷を計算すること、そのために
必要なプログラムの改良を行うことを目的とし、対象とする住宅の室間流量を把握するた
めに換気回廊計算プログラムによる計算を行い、得られた室間流量をもとに換気性能、汚
染物質濃度及び空調負荷の計算を行った。
まず、
対象住宅における住宅全体、
リビング、
主寝室の新鮮外気導入量の実測値と Ventsim
計算結果を比較し、実測値が Ventsim 計算値より 10%程度多くなる傾向があるが、実際の
測定には理論計算のモデルに落とし込めない外乱条件や、建物の隙間位置の偏りなどが存
在するため、十分に許容範囲内の差であることを確認した。
次に、室内濃度及び換気性能を得るため室間流量の行列データを作成、これを用いて年
間の 1 時間毎の室内濃度を計算するプログラムを作成し、さらにそのプログラムの実行結
果から得られた室内濃度と室間流量データから換気性能評価を行うプログラムを作成した。
このプログラムによる換気性能評価により、定風量制御にはどの都市においても換気性
能を満たしている結果となった。変風量制御時は優先制御に比べ全居室均一制御の換気性
能が悪くなる傾向がある。これは全居室均一制御の場合には、全般換気システムの制御を
切り替える基準となる濃度が住宅全体での平均濃度のため、リビングなどが許容濃度を上
回っている場合でも他室の濃度と平均した場合に許容濃度を下回るため、全般換気システ
ムの制御が切り替わらないため許容濃度を超える時間が増える傾向があるためである。し
かし、全体的に SRF が 0.9 以上を確保しており新鮮空気充足度がおおよそ満たされている
と考えられる。
最後に、建築環境シミュレーション用の汎用入力インターフェイス「AE-CAD」、及び温熱
環境シミュレーションプログラム「AE-Sim/Heat」を用いて暖冷房負荷を求めた。その結果、
今回の設定条件では、定風量制御に比べて変風量制御の方が 2 割程度消費エネルギーの少
なくなることがわかった。
Ⅲ-2-3-109
2.4
センサ性能評価法の検討
国 立 大 学 東 京 大 学 は 、独 立 行 政 法 人 新 エ ネ ル ギ ー・産 業 技 術 総 合 開 発 機 構
よりの受託課題「揮発性有機化合物対策用高感度検出器の開発」の一環として、
「 セ ン サ 性 能 評 価 法 の 調 査 」業 務 を 担 当 し 、検 出 器 に 要 求 さ れ る 測 定 対 象 成 分 及
び応答性に係わる基礎データ収集を行うことを目的とした。
2.4.1
市 販 T-VOC計 の 選 択 と そ の 特 性 調 査
カ タ ロ グ に よ る 市 場 流 通 品 の T-VOC 計 の デ ー タ 比 較 す る こ と に よ り 、本 プ ロ ジ
ェ ク ト に 適 し た T-VOC 計 を 選 択 し 、対 象 T-VOC 計 の 文 献 調 査 及 び フ ィ ー ル ド に お
ける特性調査を目的とした。
2.4.1.1
T-VOC計 に よ り 表 示 さ れ る 値 の 意 味
カ タ ロ グ に よ り 市 場 で 流 通 し て い る T-VOC セ ン サ を 調 査 し た と こ ろ 、T-VOC セ
ン サ と い う も の は 市 場 に は 存 在 せ ず 、多 く の 場 合 炭 化 水 素 の 総 量 を 測 定 す る モ ニ
タ で あ る こ と が わ か っ た 。 こ こ で 、 T-VOC と 炭 化 水 素 の 違 い で あ る が 、 T-VOC は
室 内 VOC の 総 量 を 表 し 、 国 内 で は 指 針 値 が 策 定 さ れ て い る 13 物 質 以 外 の VOC 総
量 規 制 の 指 標 と し て 用 い ら れ て い る 。そ の 定 義 は 対 象 範 囲 を C 6 か ら C 1 6 と し 、そ
の 中 の 同 定 物 質 お よ び 未 同 定 物 質 の 濃 度 の 和 を 意 味 す る 。こ れ に 対 し 、総 炭 化 水
素 は 、屋 外 大 気 や 水 質 の 分 野 で 用 い ら れ て い る 手 法 で あ る 。屋 外 大 気 の 場 合 は 存
在 す る ほ と ん ど の 炭 化 水 素 が メ タ ン で あ る こ と か ら 、メ タ ン を 除 い た VOC の 炭 素
数 を 体 積 濃 度 比 で 表 す 非 メ タ ン 炭 化 水 素 ( Non-Methane Hydro Carbon 、 以 下
NMHC)と い う 指 標 を 用 い る 。水 質 の 分 野 で は 総 有 機 炭 素( Total Organic Carbon、
以 下 TOC)を 用 い る 。こ の 指 標 は 水 中 の 有 機 物 質 を 熱 分 解 す る こ と に よ り 、二 酸
化炭素とし、その濃度を測定することにより炭素量を求めたものである。
表 Ⅲ -2-4-1 に 示 し た 13 種 類 の セ ン サ の う ち 本 研 究 で 使 用 す る T-VOC セ ン サ
に 要 求 さ れ る 項 目 と し て 、実 験 室 内 あ る い は 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 後 に 行 う 実 環 境 中
で の 濃 度 変 動 を 測 定 で き る こ と 、自 動 的 な 測 定 お よ び そ の 後 の 解 析 を す る た め に
コ ン ピ ュ ー タ に 接 続 で き る こ と 、さ ら に 空 間 分 布 が 測 定 で き る こ と が 要 求 さ れ る 。
以上より、本プロジェクトで使用するセンサの選定基準を下記の 4 点とした。
①
②
③
④
連続モニタリングが可能
外部出力がある
持ち運び可能
多点同時計測が可能
Ⅲ-2-4-1
表 Ⅲ -2-4-1
市 場 流 通 品 T-VOC 計 一 覧
●TVOC簡易測定法
検出方式
FID
水素炎イオン化検出器
PID
メーカー名
名称・型式
表示単位
測定範囲(ppm)
測定精度/分解能
PHOTOVAC
1 (輸入・伯東)
Micro-FID
ppm
0.5-50,000ppm
2 PHOTOVAC
(輸入・伯東)
2020-PRO
ppm
0.5-20,000ppm
Rae systems
3 (輸入・横河電機)
PGM7600
ppm
0-10,000ppm
4 Rae systems
(輸入・横河電機)
VM30
ppm
0-2,999ppm
光イオン検出器
ppbまたはppm
・172物質をトルエン換算
5 Rae systems
ppbRAE
plus
(輸入・松下テクノトレーディング)
・レンジ切替(ppm)
PAS
INNOVA社
6 (輸入・松下テクノトレーディング)
1312型
7 MK Scientific
50-100ppm
8 フィガロ技研
FTVR-01
3.7Kg
2sec.
0.8Kg
±2ppm
分解能 0.1ppm
±2ppm
分解能 0.1ppm
その他
3sec.
0.55Kg
(90%応答)
10sec.
0.18kg
(90%応答)
5sec.
0.553kg
(90%応答)
〃 1ppm
検出能力:1ppm
光学フィルターで5種類まで定量可能
10%
0.14kg
~1000μg/m3 (トルエン換算 0.3ppm)
μg/㎥
半導体式検出器
検出限界 メタン0.5ppm 2sec.
〃 0.1ppm
10-99.9ppm
0.5-500 ppm
VOC計 C-21
重量
分解能 1ppb
0-9.999ppm
100-20,009ppm
光音響法
測定時間
・レンジ切替(μg/㎥)
1000/10000/100000
~10000μg/m3 (トルエン換算 2.7ppm)
~100000μg/m3 (トルエン換算 26.9ppm)
9 新コスモス電機
XP-339V
無単位
(指示値 0-1000)
0.55kg
●ポータブルガスクロマトグラフィー(TVOC、VOC)
検出方式
メーカー名
名称・型式
表示
測定範囲(ppm)
測定精度/分解能
測定時間
重量
その他
ベンゼン 0.05-100ppm
PID
光イオン検出器
PHOTOVAC
10 (輸入・伯東)
トルエン 0.05-200ppm
Petro-Pro
ppbまたはppm
エチルベンゼン 0.1-200ppm
30-250sec.
6.6kg
ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,m-キシレン
10min.
9kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
パラジクロロベンゼン、TVOC
8min.
5.8kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
30min.
9kg
トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン
m-キシレン 0.05-100ppm
半導体式検出器
11 ジェイエムエス
JHV-1000
μg/㎥
10-1,000μg/m3
(トルエン換算 0.03-0.3ppm)
12 アビリット
EGC-2
ppmまたはμg/㎥
19-4340μg/m3
(トルエン換算 0.005-1.2ppm)
13 新コスモス電機
XG-100V
ppbまたはμg/㎥
4-3700μg/m3
(トルエン換算 0.001-1.0ppm)
Ⅲ2-4-2
再現性±5%F.S.
指示濃度誤差±5%
表 Ⅲ -2-4-1 に 示 し た セ ン サ の 中 か ら 、 選 定 基 準 を 満 た す セ ン サ と し て 、 光 イ オ
ン 化 検 出 器 法 ( Photo Ionization Detector、 以 下 PID 法 ) を 用 い た Rae Systems
社 製 の ppb RAE Plus を 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 使 用 す る 測 定 器 と し た 。 な お 、 こ れ 以
外のセンサはいずれかの選定条件が欠けることから仕様検討の時点で除外した。
2.4.1.2
PIDの 特 性
・ 基本原理
PID モ ニ タ 検 出 部 は 、イ オ ン 化 装 置 (UV ラ ン プ )、イ オ ン 検 出 器 (PID セ ン サ ー )
か ら 構 成 さ れ て い る 。 UV ラ ン プ が 照 射 す る エ ネ ル ギ ー (10.6eV)よ り も 低 い イ オ
ン 化 ポ テ ン シ ャ ル を 持 つ VOCs が イ オ ン 化 さ れ 、 検 出 器 に 導 入 さ れ る 。 イ オ ン 化
ガ ス の 電 荷 量 を 単 一 ガ ス 濃 度 に 換 算 し て 表 示 す る 。物 質 ご と に 相 対 感 度 を 基 準 と
す る 補 正 係 数 (Collection Factor)が 用 意 さ れ て お り 、 測 定 値 に 補 正 係 数 を 掛 け
る こ と で 任 意 の VOCs 換 算 濃 度 が 求 ま る 。表 示 さ れ る 測 定 値 は 、各 種 VOCs の 中 で
相 対 感 度 が 中 程 度 の イ ソ ブ チ レ ン が 標 準 と し て 用 い ら れ て い る ( 図 Ⅲ -2-4-1
参 照 )。
+
-
+
+
-
-
+
-
ガスを吸引
UVランプ10.6eV
イオン信号化
図 Ⅲ -2-4-1
検出
チャージされたガスイオンが
センサー内のチャージ・プレー
トと結合し電流が形成
PID の 測 定 原 理
・ 文 献 調 査 に よ る PID 法 の Rae Systems 社 ppb RAE Plus の 特 性
野 崎 ら は 、GC/MS と PID モ ニ タ を 用 い て 、36 成 分 VOC 混 合 ガ ス の T-VOC 濃 度 を
測 定 ・比 較 し た 。結 果 、両 者 の 値 に は R 2 が 0.999 以 上 と 高 い 相 関 が 確 認 さ れ 、PID
の 測 定 性 能 が 実 験 室 レ ベ ル で 示 さ れ た 。平 野 ら は 、改 正 大 気 汚 染 防 止 法 に 係 る 測
定 法 を 決 め る 際 の 検 討 と し て 、 簡 易 測 定 法 の 中 か ら FID、 触 媒 酸 化 -NDIR、 PID
を 用 い 、ト ル エ ン の 感 度 を 基 準 と し た 各 VOC 成 分 の 相 対 感 度 調 査 を 行 っ た 。そ の
結 果 、FID、触 媒 酸 化 -NDIR は 様 々 な VOC に 対 し て 一 様 な 感 度 を 有 し て い る 一 方 、
PID は 脂 肪 族 炭 化 水 素 や ア ル コ ー ル 類 な ど 、一 部 の VOC に 対 し て は 感 度 が 低 い と
報 告 し て い る 。 図 Ⅲ -2-4-2 に PID の VOC 族 別 、 炭 素 数 別 感 度 を 示 す 。
Ⅲ-2-4-3
図 Ⅲ -2-4-2
PID の 相 対 感 度 ( 上 図 : 族 別 , 下 図 : 炭 素 数 別 )
Ⅲ-2-4-4
・ 室 内 フ ィ ー ル ド に お け る T-VOC セ ン サ の 特 性 の 検 討
目的
実 環 境 で は さ ま ざ ま な 物 質 が 存 在 す る こ と や 、水 蒸 気 な ど の 干 渉 が 考 え ら れ る
ことから、フィールドにおいて本センサを使用し精密法と比較することにより、
多成分共存下におけるセンサの特性とその影響に関するデータを蓄積すること
を目的とした。
測定概要
測 定 は 2006 年 1 月 か ら 2 月 の 間 に 、住 宅 12 軒 、事 務 所 3 軒 、作 業 環 境 5 箇 所
の 測 定 を 行 っ た 。そ れ ぞ れ の 環 境 で PID 法 と レ フ ァ レ ン ス と な る 精 密 法 に よ る 同
時測定をった。
VOC 濃 度 の 測 定 は ATD tube (PerkinElmer 社 製 )を 用 い 、ポ ン プ 流 量 100 ml/min
で 60 分 間 捕 集 し た 後 GC/MS 法 に て 分 析 し た 。 分 析 条 件 を 表 Ⅲ -2-4-2 に 示 す 。
カ ル ボ ニ ル 類 濃 度 の 測 定 に は 、 XpoSure Aldehyde Sampler (Waters 社 製 )を 用
い 、 ポ ン プ 流 量 1 L/min で 60 分 間 捕 集 し た 。 捕 集 後 ア セ ト ニ ト リ ル 10 ml で 抽
出 し 、 HPLC に て 分 析 し た 。 分 析 条 件 を 表 Ⅲ -2-4-3 に 示 す 。
表 Ⅲ -2-4-2
TD-GC/MS 分 析 条 件
Desorption instrument
ATD650 Turbo Matrix (Perkin Elemer)
Primary desorption
Secondary desorption
GC/MS
Column
Carrier gas
Column temperature
300 ℃ , 10 min
5 ℃ → 40 ℃ /min→ 300 ℃ (10 min)
HP6890/HP5973N
HP-1 (60 m×0.25 mm×1 mm)
He (1 mL/min)
40 ℃ (4 min) → 7 ℃ /min → 280 ℃ (4 min)
表 Ⅲ -2-4-3
HPLC 分 析 条 件
HPLC
Column
Mobile phase
Hewlett Packard HP1100
Supelco Discovery RP AmideC16, 250 mm×4.6 mm, 5 μ m
CH3CN:H2O = 65:35
Flow rate
Injection volume
Column temperature
Detector
1.0 ml/min
20 μ L
35 ℃
Diode Array Detector (DAD) 360 nm
Ⅲ-2-4-5
測 定 結 果 の う ち 住 宅 に 関 す る も の を 図 Ⅲ -2-4-3 に 示 す 。横 軸 に は 精 密 法 に よ
る 値 を 、 縦 軸 に は PID に よ る 測 定 結 果 を 示 す 。 こ れ よ り 、 実 環 境 で も 精 密 法 と
PID 法 に よ る T-VOC 値 の 間 に は 相 関 関 係 が 存 在 す る 可 能 性 が 確 認 で き た 。ま た そ
れ ぞ れ の 住 宅 に お け る 傾 き を 比 較 し た と こ ろ 、近 い 値 を 示 し た こ と か ら 用 途 が 似
通 っ た 環 境 で は 一 定 の 換 算 係 数 を 用 い る こ と が で き る と 考 え ら れ た 。た だ し 、そ
れ ぞ れ の 相 関 式 の 切 片 に は ば ら つ き が 見 ら れ た 。こ れ は 、そ れ ぞ れ の 住 宅 に お け
る VOC 組 成 の 違 い に 起 因 す る も の で あ る と 考 え ら れ る 。今 後 は 、デ ー タ を 蓄 積 す
る こ と に よ り 、そ れ ぞ れ の 測 定 法 と 関 連 付 け る 式 1 に 示 す よ う な 補 正 式 を 提 案 す
ることができる。
C = kC m + b
( 式 1)
: 精 密 法 に よ る TVOC の 値 ( μ g/m 3 )
:換算係数
: 簡 易 モ ニ タ ー に よ る TVOC 値 ( μ g/m 3 )
C
k
Cm
b
:切片
6.0E+02
TVOCPID
toluene eq〔μg/m
3
〕
y = 0.22x + 280
R2 = 0.89
4.0E+02
2.0E+02
y = 0.27x + 160
R2 = 0.27
住宅A
y = 0.14x + 58
R2 = 0.28
0.0E+00
0.0E+00
4.0E+02
8.0E+02
住宅B
研究室
1.2E+03
TVOCMS toluene eq 〔μg/m3〕
図 Ⅲ -2-4-3
実 居 住 住 宅 に お け る 精 密 法 と PID 法 の 関 係
Ⅲ-2-4-6
・ フィールドにおける濃度変動
住 宅 に お け る T-VOC の 時 系 列 濃 度 測 定 結 果 よ り 、精 密 法 で は 追 随 で き な い 濃 度
変 動 が PID 法 で は 確 認 さ れ た 。特 に 開 放 型 燃 焼 器 具 の 運 転 開 始 な ど の 生 活 行 為 に
よ り T-VOC 濃 度 が 急 激 に 上 昇 す る こ と が 確 認 さ れ た 。今 後 は こ の よ う な 実 環 境 下
での測定データを蓄積することによりセンサーに要求される応答性などを定量
化することが必要であるといえる。
Ⅲ-2-4-7
2.4.2
実 住 宅 環 境 調 査 と 市 販 T-VOC計 の 適 応 性
18 年 度 は 、 以 下 の 3 点 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。
①
②
③
本 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て 対 象 と す る T-VOC に つ い て の 情 報 収 集
実測による室内化学物質の調査
簡易センサによる実測調査
2.4.2.1
本 プ ロ ジ ェ ク ト で 対 象 と す る T-VOCに つ い て の 情 報 収 集
換 気 シ ス テ ム が 設 置 さ れ る 空 間 内 の 濃 度 は 、建 材・施 工 材 と い っ た 定 常 発 生 す
る 建 物 由 来 の VOC と 、居 住 者 の 活 動 に よ り 非 定 常 に 発 生 す る VOC が 混 在 し 、こ の
組 み 合 わ せ に よ り 空 間 内 の 総 揮 発 性 有 機 化 合 物 質 濃 度( 以 下 T-VOC)も 変 動 す る 。
よってここでは、室内環境を表現しうる揮発性有機化合物対策用高感度検出器
( 以 下 開 発 検 出 器 )の 開 発 に あ た り 、実 空 間 に 存 在 し う る 揮 発 性 有 機 化 合 物( 以
下 VOC) と 目 標 と す べ き 濃 度 範 囲 に つ い て 調 査 し た 。
・ 各 機 関 に お け る T-VOC の 取 り 扱 い
現 在 の と こ ろ T-VOC に 対 す る 明 確 な 基 準 が 定 め ら れ て い る 機 関 は ご く 一 部 で
あ り 、日 本 で も 暫 定 目 標 値( 400μ g/m 3 )が 示 さ れ て い る の み で あ る 。表 Ⅲ -2-4-4
に 各 機 関 に お け る T-VOC の ガ イ ド ラ イ ン を 、 表 Ⅲ -2-4-5 に Seifertno の 定 義 に
よ る 化 学 種 別 指 針 値 を 示 す 。た だ し 、こ れ ら の 数 値 は 毒 性 学 的 デ ー タ か ら 求 め ら
れたものではなく、合理的に達成可能なレベルとして判断されたものである。
表 Ⅲ -2-4-4
各 機 関 に お け る T-VOC ガ イ ド ラ イ ン
対象
ガ イ ド ラ イ ン ( μ g/m 3 )
一般住居
400
オフィス
1,300
学校
300
SCANVAC
一般住居
200( 目 標 値 )
500( 実 行 値 )
オーストラリア
一般住居
500( 1 時 間 値 )
機
関
北欧建築物規制協会
Ⅲ-2-4-8
表 Ⅲ -2-4-5
Seifert
T-VOC 定 義 に よ る 化 学 種 別 指 針 値 ( μ g/m 3 )
Alkane
100
Aromatic
50
Terpene
20
Halocarbon
30
Ester
30
Ketone
20
Etc.
50
T-VOC
300
な お 、こ こ で 述 べ ら れ て い る T-VOC は 、沸 点 が 50-100℃ か ら 240-260℃ ま で の
揮発性有機化合物の総量を指しており、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、
エ タ ノ ー ル な ど の 低 級 カ ル ボ ニ ル 化 合 物 や ア ル コ ー ル は 含 ま れ て い な い 。 T-VOC
の ス ク リ ー ニ ン グ 的 定 量 方 法 と し て は 、加 熱 脱 着 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ( TD-GC/MS)
法により得たピーク面積の総和をトルエン換算するのが一般的である。
・ 既往研究による室内化学物質の動向
現 在 、 室 内 環 境 の 評 価 に は 、 厚 生 労 働 省 に よ り 示 さ れ た 13 種 類 の 化 学 物 質 が
用 い ら れ て い る 。 表 Ⅲ -2-4-6 に 指 針 値 物 質 と そ の 主 な 発 生 源 を 、 表 Ⅲ -2-4-7
に 国 土 交 通 省 の 17 年 度 発 表 に よ る 新 築 住 宅 に お け る 指 針 値 物 質 の 平 均 濃 度 と 超
過 住 宅 の 割 合 を 示 す 。本 報 告 に よ れ ば 、厚 生 労 働 省 よ り 室 内 濃 度 指 針 値 が 示 さ れ
て い る 13 種 類 の 揮 発 性 有 機 化 合 物 お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 の 新 築 住 宅 内 濃 度 は 、
アセトアルデヒドの指針値超過住宅が微増傾向にある以外はいずれの物質につ
いても大幅に低くなってきている。
し か し 、T-VOC 濃 度 に つ い て は 必 ず し も 低 く な っ て お ら ず 、い く つ か の 自 治 体
に よ る 室 内 VOC 汚 染 実 態 調 査 で も 、使 用 建 材 特 有 の VOC や 居 住 者 の 活 動 に よ り 発
生 す る VOC が そ の 主 な 原 因 と し て 報 告 さ れ て い る 。以 下 に い く つ か の 例 を あ げ る 。
・エタノール・・・エタノール製品の使用、飲酒、調理等の生活活動より発生
・脂 肪 族 炭 化 水 素 類 、芳 香 族 炭 化 水 素 類・・・石 油 等 燃 料 の 揮 発 及 び 燃 焼 ガ ス よ
り発生
・パラジクロロベンゼン・・・衣類用防虫剤、トイレ用芳香剤より発生
・αピネン・・・天然木質建材より発生
・リモネン・・・芳香剤より発生
Ⅲ-2-4-9
表 Ⅲ -2-4-6
化学物質
室内空気中化学物質濃度の指針値とその主な発生源
室内濃度指針値
発生源
Formaldehyde
100μ g/m 3
合 板 、PB、集 成 材 、壁 紙 接 着 剤 、
ガラス繊維断熱材など
Toluene
260μ g/m 3
油性ニス、接着剤、木材保存剤
など
Xylene
870μ g/m 3
油性ニス、ペイント、接着剤、
木材保存剤など
p-Dichlorobenzene
240μ g/m 3
Ethylbenzene
3800μ g/m
Styrene
220μ g/m 3
防虫剤、防ダニ剤、消臭剤など
3
有機溶剤塗料、接着剤など
発泡ポリスチレン、断熱材、合
成ゴムなど
Dibutylphthalate
1 μ g/m 3 但 し 小 児 で
は 0.1μ g/m 3
220μ g/m 3
Tetradecane
330μ g/m 3
防蟻剤など
Bis(2-ethylhexyl)
phthalate)
120μ g/m 3
殺虫剤など
DAIAZINON
0.29μ g/m 3
防蟻剤など
Chlorpyrifos
3
Acetaldehyde
48μ g/m
FENOBUCARB
33μ g/m 3
塩化ビニル製品など
可塑剤
塗料の溶剤、灯油
接着剤、防腐剤
T-VOC( 暫 定 目 標 値 ) 400μ g/m 3
Ⅲ-2-4-10
表 Ⅲ -2-4-7
新築住宅における平均濃度と指針値超過住宅の割合
出典:国土交通省
平 成 17 年 度 室 内 空 気 中 の 化 学 物 質 濃 度 の 実 態 調 査 の 結 果 に つ い て
ま た 、指 針 値 物 質 の 代 替 と し て 使 わ れ る 物 質 の 出 現 も 原 因 の ひ と つ で あ る と 考
え ら れ る 。今 後 の 室 内 環 境 を 考 え た 場 合 、様 々 な 建 材 や 家 具 か ら 放 散 さ れ る 代 替
物 質 の 放 散 が 増 加 し て く る こ と が 予 想 さ れ る 。よ っ て 、開 発 検 出 器 に つ い て も そ
れらの物質に対応できる応答性を備えていることが求められる。
製 品 評 価 技 術 基 盤 機 構 ( nite) の 報 告 に よ れ ば 、 主 な 代 替 物 質 の 例 と し て は 、
次のようなものが挙げられる。
トルエン、キシレン→イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン
塩化メチレン、クロロホルム → アセトン、シクロヘキサン
エ チ レ ン グ リ コ ー ル 、エ チ ル ベ ン ゼ ン 、ア ミ ノ エ タ ノ ー ル → ト リ エ タ ノ ー
ルアミン
こ れ ら の 物 質 は 市 販 の T-VOC セ ン サ で も 感 度 が 劣 る こ と が 多 く 、開 発 検 出 器 に お
いても注意が必要である。
・ T-VOC に よ る 室 内 環 境 評 価
こ こ ま で 、T-VOC に よ る 室 内 環 境 評 価 が 必 要 で あ る こ と を 述 べ て き た が 、T-VOC
Ⅲ-2-4-11
に 含 ま れ る 物 質 の 全 て に 健 康 影 響 が 懸 念 さ れ る 訳 で は な い 。現 在 の と こ ろ 毒 性 学
的 知 見 に 基 づ い た T-VOC 指 針 値 設 定 は 困 難 で は あ る が 、将 来 リ ス ク 評 価 に 基 づ く
T-VOC 指 針 値 が 設 定 さ れ た 場 合 に は 、快 適 で 健 康 的 な 室 内 空 気 質 環 境 の 基 準 と し
て 個 別 VOC 濃 度 と T-VOC 濃 度 の 双 方 が そ れ ぞ れ の 指 針 値 を 満 た す こ と が 求 め ら れ
るであろう。
現 時 点 で は 、室 内 VOC の 種 類 や 濃 度 な ど の 実 態 調 査 結 果 を 最 大 限 に 活 用 し 、合
理 的 に 達 成 可 能 な 範 囲 で 、暫 定 目 標 値 を 提 示 す る こ と が 、快 適 で 健 康 的 な 室 内 空
気 質 環 境 を 実 現 す る 上 で 有 効 で あ る と 考 え ら れ る 。よ っ て 、室 内 環 境 を 評 価 す る
上 で は 、ホ ル ム ア ル デ ヒ ド や ト ル エ ン と い っ た 個 々 の 物 質 に つ い て 評 価 す る だ け
で な く 、そ の 他 の 物 質 も で き る だ け 広 く 総 括 し た T-VOC に よ る 評 価 を 行 う こ と を
提案する。
2.4.2.2
実測による室内化学物質の調査
調査概要
居 住 状 態 の 住 宅 7 戸 に つ い て そ れ ぞ れ 居 間 と 寝 室 の 室 内 濃 度 を 精 密 法 ( GC/MS
法 及 び HPLC 法 ) に よ り 測 定 し 、 同 一 住 宅 内 の 濃 度 差 と 指 針 値 物 質 、 市 販 さ れ て
い る 標 準 物 質 を 用 い て 定 量 し た 定 量 物 質 と T-VOC の 3 種 類 の 濃 度 を 用 い て 室 内
環境を評価した。
な お 、T-VOC 濃 度 は 次 の 方 法 で 求 め た 。閾 値 を ト ル エ ン 検 量 線 の 最 低 検 出 濃 度
( 1 ng) の ア バ ン ダ ン ス と し 、 保 持 時 間 9.38 分 か ら 33.95 分 (ヘ キ サ ン か ら ヘ
キ サ デ カ ン )の ト ー タ ル イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ ム (TIC)を 積 分 し 、ト ル エ ン の ア バ ン
ダンスの積分値で作成した検量線により、トルエン濃度に換算した。
調査結果
以 下 に 各 調 査 住 宅 に お け る 室 内 化 学 物 質 濃 度 を 示 す 。ま た 、T-VOC 濃 度 と 指 針
値物質濃度、標準物質による定量物質濃度割合を示す。
Ⅲ-2-4-12
表 Ⅲ -2-4-8
A 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度( μ g/m 3 )
工 法 : 木 軸 在 来 パ ネ ル 工 法 ( F P 工 法 )、 高 気 密 高 断 熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2004 年 3 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
居間
寝室
5.56
50.92
1.20
19.59
53.68
102.94
14.57
4.43
123.84
3.55
336.26
2.09
95.43
33.99
37.21
1.51
1.33
2.60
1835.47
204.77
885.14
N.D
1.29
1.04
7.39
0.48
N.D
1.06
N.D
26.50
0.28
3.44
3.10
1.08
N.D
N.D
0.49
157.76
3.37
51.72
居間
寝室
44.18
30.49
44.45
6.66
2.85
7.25
64.94
68.76
37.38
43.26
9.46
3.20
8.87
74.71
2000
1500
A邸
居間
寝室
3
μg/m 1000
500
0
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-4
指針値Total
定量物質Total
A 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-13
表 Ⅲ -2-4-9
B 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度( μ g/m 3 )
工 法 : 木 軸 在 来 パ ネ ル 工 法 ( F P 工 法 )、 高 気 密 高 断 熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2005 年 3 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
寝室
N.D
N.D
N.D
3.52
N.D
0.52
4.84
1.38
0.87
0.34
2.63
0.23
62.23
17.73
2.73
0.55
0.40
N.D
1.54
N.D
55.56
137.00
3.26
3.70
1.09
N.D
N.D
N.D
3.51
0.48
0.18
N.D
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
N.D
315.93
141.67
0.23
223.03
26.87
205.83
98.69
居間
寝室
67.04
117.91
259.51
23.41
18.81
46.74
215.41
63.99
105.18
243.57
21.08
17.04
43.31
197.94
400
B邸
300
居間
寝室
3
μg/m 200
100
0
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-5
指針値Total
定量物質Total
B 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-14
表 Ⅲ -2-4-10
C 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 ( μ g/m 3 )
工 法 : 木 軸 在 来 工 法 ( エ ア ー サ イ ク ル 工 法 )、 高 断 熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2006 年 3 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
17.13
N.D
700
600
500
400
μg/m3
300
200
100
0
図 Ⅲ -2-4-6
N.D
N.D
0.86
7.92
8.01
2.72
1.98
1.41
117.74
2.61
18.44
20.29
0.93
12.13
58.31
26.78
613.17
43.42
1.18
18.97
7.06
5.43
2.94
3.50
2.40
201.16
5.14
23.59
17.64
1.50
8.23
24.80
10.82
620.62
49.19
297.27
334.35
N.D
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
寝室
居間
寝室
19.49
39.80
31.96
3.06
0.85
2.28
23.84
21.93
78.57
98.08
7.07
3.77
7.77
92.88
C邸
居間
寝室
TVOC(toluene換算)
指針値Total
定量物質Total
C 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-15
D 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 ( μ g/m 3 )
表 Ⅲ -2-4-11
工 法 : 木 軸 在 来 工 法 ( エ ア ー サ イ ク ル 工 法 )、 高 断 熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2003 年 11 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
1400
1200
1000
800
μg/m3
600
400
200
0
寝室
13.96
N.D
4.49
12.43
16.98
4.73
2.39
5.17
1.66
537.46
1.01
93.53
23.18
1.71
1.99
1.15
1.79
1313.14
29.18
0.20
N.D
1.22
2.95
17.12
1.61
0.99
N.D
0.65
186.18
0.33
N.D
10.22
0.22
0.37
0.42
0.70
376.03
7.23
723.62
223.17
居間
寝室
23.94
48.65
74.61
3.51
1.58
5.98
34.60
26.38
51.44
97.43
4.82
0.80
5.17
41.26
D邸
居間
寝室
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-7
指針値Total
定量物質Total
D 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-16
表 Ⅲ -2-4-12
G 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 ( μ g/m 3 )
工 法 : 木 軸 在 来 軸 組 み 工 法 ( 内 断 熱 工 法 )、 高 気 密 高 断 熱
換気方式:第 1 種
建 築 年 : 2004 年 6 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
寝室
44.40
30.76
0.01
1.17
2.12
4.83
8.64
4.31
13.76
1.97
103.86
0.27
102.62
4.77
N.D
1.34
5.48
7.38
6.29
3.20
10.09
1.73
169.46
0.52
93.76
3.83
N.D
N.D
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
1.71
1.63
3.27
685.34
30.57
1.02
0.77
2.67
612.95
33.73
354.07
283.55
居間
-
寝室
14.02
18.77
32.51
1.89
1.39
2.89
21.15
700
600
μg/m3
500
G邸
400
居間
寝室
300
200
100
0
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-8
指針値Total
定量物質Total
G 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-17
表 Ⅲ -2-4-13
H 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 ( μ g/m 3 )
工 法 : 枠 組 み パ ネ ル 工 法 ( ト ス テ ム ス ー パ ー ウ ォ ー ル )、 高 気 密 高 断 熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2006 年 3 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
寝室
3.59
0.45
0.43
1.01
1.20
0.43
0.35
1.65
0.22
85.88
6.60
N.D
0.71
0.54
245.98
4.20
0.39
1.24
1.07
0.42
0.30
2.89
0.21
87.35
0.12
4.18
3.56
0.40
1.90
0.84
0.47
246.19
5.65
104.91
111.94
N.D
4.79
3.66
N.D
N.D
定 量 物 質 Total
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
居間
寝室
21.86
48.94
142.17
7.97
10.48
7.72
107.00
11.37
29.86
92.94
4.80
5.99
3.22
57.76
250
200
H邸
μg/m3
150
居間
寝室
100
50
0
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-9
指針値Total
定量物質Total
H 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-18
表 Ⅲ -2-4-14
I 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 ( μ g/m 3 )
工法:枠組パネル工法、高気密高断熱
換気方式:第 3 種
建 築 年 : 2005 年 6 月
VOC( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Ethylacetate
Benzene
4-methyl-2-pentanone(MIBK)
Toluene
n-Buthylacetate
Ethylbenzene
m,p-Xylene
Styrene
o-Xylene
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
d-Limonene
Nonanal
Undecane
Dodecane
Tridecane
Tetradecane
T-VOC(toluene 換 算 )
指 針 値 Total
居間
寝室
1.89
23.27
N.D
2.90
15.07
N.D
1.23
1.30
0.29
0.26
0.50
0.23
79.57
5.83
4.08
2.68
0.26
0.29
0.28
0.28
168.87
8.63
定 量 物 質 Total
1.38
1.00
0.31
0.19
3.66
0.18
56.23
16.77
3.09
2.38
0.29
0.21
N.D
0.18
157.63
22.67
122.25
Carbonyl( 太 字 は 指 針 値 物 質 )
Formaldehyde
Acetaldehyde
Acetone
Propionaldehyde
Butyraldehyde
Benzaldehyde
2,5-dimethylbenzaldehyde
居間
-
103.84
寝室
21.93
37.55
88.56
5.55
2.96
6.65
78.63
200
I邸
150
居間
寝室
μg/m3 100
50
0
TVOC(toluene換算)
図 Ⅲ -2-4-10
指針値Total
定量物質Total
I 邸 に お け る 室 内 VOC 濃 度 の 各 評 価 法 比 較
Ⅲ-2-4-19
・ まとめ
2)
3)
4)
5)
6)
Concentration( μ g/m 3 )
7)
指 針 値 物 質 の う ち ア セ ト ア ル デ ヒ ド 濃 度( 48μ g/m 3 )を 超 え た 住 宅 が 7 件
中 4 件あったが、他の指針値物質濃度を超えた住宅はなかった。
T-VOC の 暫 定 目 標 値 400μ g/m 3 を 超 え た 住 宅 は 、 7 件 中 4 件 あ り 、 1000μ
g/m 3 を 超 え る 住 宅 が 2 件 あ っ た 。
T-VOC 濃 度 に 比 べ 、 指 針 値 物 質 濃 度 は 著 し く 低 く 、 B 邸 を の ぞ き 10%以 下
であった。
T-VOC 濃 度 に 比 べ 定 量 物 質 濃 度 は 低 く 、 I 邸 を 除 き ほ ぼ 1/2 で あ っ た 。
A 邸 に お い て 、居 間 と 寝 室 の VOC 濃 度 差 が 大 き か っ た 。そ の 内 訳 を み る と 、
寝 室 で α ピ ネ ン 、ス チ レ ン 、リ モ ネ ン の 濃 度 が 高 く 、持 込 家 具 や 芳 香 剤 に
よる影響、また換気不測などの原因が考えられた。
D 邸では、A 邸と逆に居間においてαピネンとリモネンの濃度が高く、寝
室 と の VOC 濃 度 差 を 生 じ た 。
図 Ⅲ -2-4-11 よ り 住 宅 間 あ る い は 室 間 の T-VOC 濃 度 差 の 原 因 と な る 物 質
と し て 、酢 酸 ブ チ ル 、ス チ レ ン 、α ピ ネ ン 、パ ラ ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン が あ げ
ら れ る 。よ っ て 開 発 検 出 器 は こ れ ら の 物 質 に 対 す る 感 度 に つ い て も 検 証 し
ておく必要があることが確認された。
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
2 - B u t a n o n e (M E K )
E t h y la c e t a t e
B e n ze n e
C a r b o n t e t r a c h lo r i
de
T r ic h lo r o e t h y le n e
H epta ne
4 - m e t h y l- 2 p e n t a n o n e (M IB K )
T o lu e n e
n - B u t h y la c e t a t e
O cta ne
E t h y lb e n ze n e
m ,p - X y le n e
S ty rene
o - X y le n e
Nonane
a - P in e n e
p - E t h y lt o lu e n e
m - E t h y lt o lu e n e
1 ,3 ,5 - T M B
o - E t h y lt o lu e n e
b - P in e n e
1 ,2 ,4 - T M B
Decane
p - D ic h lo r o b e n ze n e
1 ,2 ,3 - T M B
d - L im o n e n e
Nonanal
Undecane
1 ,2 ,4 ,5 T e t r a m e t h y lb e n z e
Dodecane
T r id e c a n e
Tetradecane
P entadecane
H e xa d e ca n e
1)
図 Ⅲ -2-4-11
実 居 住 住 宅 に お い て 検 出 さ れ た VOC 成 分 別 濃 度 域
Ⅲ-2-4-20
2.4.2.3
簡易センサによる実測調査
室 内 空 間 の VOC 濃 度 が 常 時 変 動 す る こ と を 想 定 し 、セ ン サ に 要 求 さ れ る 性 能 に
つ い て 提 示 す る た め 、実 空 間 に お け る 簡 易 セ ン サ の 実 用 性 に つ い て 検 証 し た 。17
年 度 に 選 定 し た 光 イ オ ン 化 検 出 器 法 ( Photo Ionization Detector、 以 下 PID 法 )
に よ る 実 フ ィ ー ル ド に お け る 適 応 性 を 確 認 す る た め 、研 究 協 力 者 8 名 に PID を 持
参 し て も ら い 、室 内 の T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 パ タ ー ン を 調 査 し た 。な お 、PID か
ら 得 ら れ た 値 は 、Toluene 換 算 し て T-VOC 濃 度 と し た 。下 記 に 各 室 内 の T-VOC 濃
度の経時変化を示す。
1200
A
3
TVOC 濃度 (μg/m )
1000
800
600
400
200
8:00
6:00
4:00
2:00
0:00
22:00
20:00
18:00
16:00
14:00
12:00
10:00
8:00
0
Time
1200
B
3
TVOC 濃度 (μg/m )
1000
800
600
400
200
8:00
6:00
4:00
2:00
0:00
22:00
20:00
18:00
16:00
14:00
12:00
10:00
8:00
0
Time
図 Ⅲ -2-4-12
居 住 状 態 に お け る 室 内 の T-VOC 濃 度 の 24 時 間 変 化
Ⅲ-2-4-21
1200
C
3
TVOC 濃度 (μg/m )
1000
800
600
400
200
20:00
19:30
19:00
18:30
18:00
17:30
17:00
16:30
16:00
15:30
15:00
14:30
14:00
0
Time
600
3
TVOC 濃度 (μg/m )
D
400
200
20:00
19:30
19:00
18:30
18:00
17:30
17:00
16:30
16:00
15:30
15:00
14:30
14:00
0
Time
図 Ⅲ -2-4-13
多 人 数 在 席 室 内 の T-VOC 濃 度 変 化
図 Ⅲ -2-4-12 の A、B と も に 室 内 の T-VOC 濃 度 変 化 で あ る が 、そ の パ タ ー ン は
全 く 異 な っ て お り 、A に お い て は 、換 気 が 適 正 に 行 わ れ て い る こ と が 考 え ら れ る 。
開発検出器を用いたモニタリングでもここで得られたような濃度変化がみられ
る と 考 え ら れ る が 、換 気 設 備 の 制 御 に ど の よ う に 応 用 す る た め に は 、適 切 な ア ル
ゴリズムが必要であると考えられる。
図 Ⅲ -2-4-13 は C、D と も に 5 人 以 上 の 多 人 数 が 同 時 に 在 席 す る よ う な 居 室 で
測 定 さ れ た も の だ が 、そ の パ タ ー ン は 大 き く 異 な っ て い た 。こ れ は 、居 住 者 の 活
動 の 種 類 に よ り T-VOC 濃 度 の 変 化 も 大 き く 異 な る こ と を 示 唆 し て い る 。
Ⅲ-2-4-22
以上の結果により開発検出器を用いたモニタリングにより換気設備を制御す
る た め に は 、 図 Ⅲ -2-4-14 に 示 し た よ う な カ ッ ト オ フ ポ イ ン ト に よ る 制 御 や 、
瞬間的濃度変動の扱いなどを考慮する必要があると考えられる。
1000
900
24時間換気システム停止率:100%
800
3
Conc.(ug/m )
700
600
500
24時間換気システム停止率:71%
400
300
200
100
0
18:30 20:30 22:30 0:30 2:30 4:30 6:30 8:30 10:30 12:30 14:30 16:30
Time
図 Ⅲ -2-4-14
カットオフポイントによるエネルギー削減率
目的に照らした達成状況
① 本 プ ロ ジ ェ ク ト に お け る T-VOC
国 内 外 の 室 内 空 気 質 調 査 、T-VOC 濃 度 の 基 準 に つ い て 調 査 し た 結 果 、室 内 に は
厚 生 労 働 省 に よ っ て 示 さ れ た 指 針 値 物 質 の 他 に 建 材 由 来 の 化 学 物 質 、居 住 者 の 活
動 に よ っ て 生 じ る 化 学 物 質 、こ れ ま で 建 材 や 家 具 に 使 わ れ て い な か っ た 代 替 物 質
が 混 在 し て い る 。こ れ ら の 物 質 に 対 応 す る た め 、毒 性 に 係 わ ら ず 、総 量 と し て の
VOC を 把 握 す る こ と が 健 康 で 快 適 な 室 内 環 境 を 維 持 す る た め に は 重 要 で あ る こ
とを示した。
② 実測による室内化学物質濃度調査
精 密 法( GC/MS 法 、HPLC 法 )に よ る 居 住 状 態 の 一 般 住 宅 の 測 定 に よ り 、指 針 値
物 質 濃 度 お よ び 標 準 物 質 に よ り 定 量 さ れ る 物 質 以 外 の 物 質 、す な わ ち 未 同 定 物 質
が 多 く 存 在 し 、T-VOC と し て の 定 量 が 不 可 欠 で あ る こ と 、同 一 住 宅 内 で も 室 間 で
VOC 濃 度 に 差 が あ る こ と 、居 住 者 の 活 動 に よ り 生 じ る 高 濃 度 の VOC が 存 在 す る こ
と が 確 認 さ れ た 。 特 に 建 材 が 発 生 源 で あ る α -ピ ネ ン 、 居 住 者 の 持 ち 込 み に よ る
パ ラ ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 、リ モ ネ ン 、既 存 研 究 で 報 告 さ れ て い る エ タ ノ ー ル な ど は
高 濃 度 で 検 出 さ れ る 場 合 が あ り 、開 発 検 出 器 へ の 影 響 を 確 認 し て お く 必 要 が あ る
ことが確認された。
Ⅲ-2-4-23
③
簡易センサによる実測調査
PID 法 は お よ そ の T-VOC 濃 度 を 評 価 す る こ と が で き 、経 時 変 化 と と も に 室 内 環
境 評 価 の た め に 有 用 で あ る 。PID 法 に よ り 複 数 の 室 内 に つ い て T-VOC 濃 度 の 変 化
を 観 察 し た と こ ろ 、就 寝 時 に ゆ る や か な 減 少 傾 向 が 見 ら れ た ほ か に は 一 定 の パ タ
ー ン が 見 ら れ ず 、換 気 設 備 制 御 の た め に は 適 切 な ア ル ゴ リ ズ ム を 構 築 す る 必 要 が
あることが示唆された。
Ⅲ-2-4-24
2.4.3
実居住住宅の生活的要素調査と開発センサの評価
生活的要素
-フィールド調査-
室 内 で 放 散 さ れ る VOC に は 、建 材 や 持 ち 込 み 家 具 な ど に よ り 徐 々 に 放 散 さ れ る
ものと、居住者の行動により発生するものがある。
居 住 状 態 の 住 居 で は 、居 住 者 の 行 動 に よ っ て 室 内 の T-VOC 濃 度 は 大 き く 変 動 す る 。
喫 煙 や 化 学 製 品 の 使 用 、飲 食 な ど は T-VOC 濃 度 を 増 加 さ せ る プ ラ ス の イ ベ ン ト で
あ る 。ま た 、窓 開 け 換 気 や キ ッ チ ン な ど に 設 置 さ れ た 局 所 換 気 設 備 の 稼 動 な ど は 、
T-VOC 濃 度 を 減 少 さ せ る マ イ ナ ス の イ ベ ン ト で あ る 。更 に こ れ ら の イ ベ ン ト の 継
続 時 間 は 一 定 し て お ら ず 、測 定 時 間 分 解 能 を 決 定 す る た め に は 、居 住 状 態 に お け
る複数の実測調査により頻度の多いイベントの種類とその継続時間について明
ら か に し て お く 必 要 が あ る 。ま た 、こ れ ら の 情 報 を セ ン サ に よ る 換 気 設 備 制 御 に
利 用 す る た め に は 、セ ン サ が 検 出 す べ き VOC 成 分 と 濃 度 の 変 動 、住 宅 内 の 濃 度 分
布についても明らかにしなければならない。
東 京 大 学 で は 、こ れ ら の 項 目 に つ い て 明 ら か に す る た め 居 住 状 態 の 住 宅 に お い
て以下の通りの調査を行った。
① 住居内における高濃度かつ濃度変動の大きい居室の調査
居 住 状 態 の 住 居 内 に 複 数 の 市 販 T-VOC 計( 光 イ オ ン 化 検 出 器:PID)を 設 置 し 、
住 居 内 の T-VOC 濃 度 変 動 を 観 測 す る こ と に よ り 、 高 濃 度 か つ 濃 度 変 動 の 大 き
い居室を選定した。
② 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 変 化 の 調 査
① で 選 定 し た 居 室 に PID を 設 置 し 、 T-VOC 濃 度 変 動 を 観 測 す る と と も に 、 居
住 者 に 行 動 記 録 表 の 記 載 を 依 頼 し 、 居 住 者 の 行 動 と T-VOC 濃 度 変 動 の 相 関 を
調 査 し た 。ま た 、室 内 空 気 を 捕 集 し GC/MS 法 、HPLC 法 に よ る VOC 成 分 の 定 性 、
定 量 分 析 を 行 う こ と に よ り 、 居 住 者 の 行 動 に よ り 発 生 す る VOC の 種 類 お よ び
濃度について調査した。
③ モニタリングゾーンと非モニタリングゾーン間の汚染物質濃度変動影響の調
査
VOC 発 生 源 と な る 居 室 お よ び 住 居 内 の 複 数 点 に お い て PID に よ る T-VOC 濃 度
変動調査を行い、住居内の汚染物質濃度変動を調査した。さらに、換気量お
よび換気経路の状態変化による他室への濃度変動影響を調査した。
④ 実空間における開発センサの実証実験および適応性評価
実 験 室 お よ び 居 住 環 境 を 用 い て 、 プ ロ ト タ イ プ T-VOC 計 お よ び プ ロ ト タ イ プ
芳 香 族 計 と PID に よ る T-VOC 濃 度 変 動 の 同 時 測 定 を 行 っ た 。 実 験 室 に お い て
は 、ト ル エ ン 、α -ピ ネ ン 、エ タ ノ ー ル 製 品 を 放 散 さ せ 、開 発 セ ン サ の 感 度 お
よび応答性について調査した。居住環境においては、居住者による行動記録
表 を も と に 、 居 住 者 の 行 動 に よ り 発 生 す る VOC に 対 す る 開 発 セ ン サ の 応 答 性
を調査した。
Ⅲ-2-4-25
2.4.3.1
住居内における高濃度かつ濃度変動の大きい居室の調査
換 気 設 備 制 御 を T-VOC の モ ニ タ リ ン グ に よ っ て 行 う 場 合 、ま た 、居 住 者 の 行 動
に よ る 住 居 内 T-VOC 濃 度 変 動 を 調 査 す る 場 合 、住 居 内 の ど の 点 に お い て モ ニ タ リ
ングを行うことが有効であるかを決定する必要がある。
本 調 査 で は 、 複 数 の 住 宅 に お い て 光 イ オ ン 化 検 出 器 ( PID) を 住 居 内 に 複 数 個
設 置 し 、 居 住 状 態 に お け る T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 を 調 査 し た 。
a)は 、2F に キ ッ チ ン が 併 設 さ れ た リ ビ ン グ ル ー ム が あ る タ イ プ で あ る 。測 定 点
は 、 1F の 和 室 と 2F の リ ビ ン グ ル ー ム 、 個 室 に お い て 行 っ た 。 b)、 d) は 、 1F に
リ ビ ン グ ル ー ム が あ る タ イ プ で あ る 。測 定 点 は 、1F の リ ビ ン グ ル ー ム と 2F の 個
室 に お い て 行 っ た 。 c) は 、 ワ ン フ ロ ア ー の 住 居 で あ る 。 測 定 点 は 、 リ ビ ン グ ル
ームと同点と離れた子供部屋において行った。
a)
700
リビング(2F)
寝室(2F)
和室(1F)
600
化粧品使用
33
TVOC
(μg/m
TVOC(
ξ g/m ))
500
喫 煙
400
喫 煙
300
200
100
0
9:10
12:10
15:10
18:10
21:10
0:10
3:10
6:10
Time
Time
b)
子供部屋
リビング
500
3
TVOC(
TVOC
(μg/m
( g/m3 ) )
400
300
200
100
0
11:00
13:00
15:00
Time
Time
17:00
Ⅲ-2-4-26
19:00
120421
1200
子供部屋
リビング
c)
3
TVOC(
TVOCٛg/m
(μg/m) 3 )
1000
800
600
400
200
0
18:40
20:40
22:40
0:40
2:40
4:40
6:40
Time
Time
d)
2F
1Fリビング
500
TVOC
(μg/m 3 )
400
300
200
100
0
15:00
20:00
1:00
6:00
11:00
16:00
21:00
2:00
7:00
Time
図 Ⅲ -2-4-15
居 住 住 宅 内 の 複 数 点 に お け る T-VOC 濃 度 連 続 測 定 例
a)で は 、最 も T-VOC 濃 度 が 高 く 、濃 度 変 動 が 大 き い 居 室 は 、リ ビ ン グ ル ー ム で
あ っ た 。 ま た 、 1F 和 室 の T-VOC 濃 度 変 動 は 、 2F の リ ビ ン グ ル ー ム で 直 ち に 観 測
さ れ た 。た だ し 、同 じ く 2 F に あ る 個 室 で は 、殆 ど こ の 変 化 が 観 測 さ れ な か っ た
ことからドアの閉鎖などにより空気の流れが制限されていたものと考えられる。
逆 に 2F の T-VOC 濃 度 変 動 は 、 1F の 濃 度 に 変 動 を 与 え ず 、 こ の 住 居 で は 、 1F か
ら 2F へ の 空 気 の 流 れ が あ る も の と 考 え ら れ る 。ま た 、2F の リ ビ ン グ ル ー ム と 個
室 の T-VOC 濃 度 変 化 は 、弱 い 相 関 が あ っ た 。そ の 程 度 は 、ド ア や 窓 の 開 閉 に 影 響
されるものと考えられる。
b)に お い て も 、 リ ビ ン グ ル ー ム に お け る T-VOC 濃 度 変 動 が 大 き か っ た 。 2F の
子供部屋にはリビングルームの変動があまり影響していないように見られたが、
17 時 以 降 の 緩 や か な ベ ー ス ラ イ ン の 上 昇 は 、 住 居 内 全 体 の T-VOC 濃 度 レ ベ ル が
Ⅲ-2-4-27
上 昇 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し て い る も の と 考 え ら れ 、 20 時 の ピ ー ク は ド ア の 開
閉 に よ り リ ビ ン グ ル ー ム の T-VOC 濃 度 変 化 が 大 き く 影 響 し た も の と 考 え ら れ た 。
c)で は 、両 居 室 の T-VOC 濃 度 お よ び そ の 変 化 は 同 等 で あ っ た 。こ れ は 住 居 が ワ
ン フ ロ ア ー で 比 較 的 小 ス ペ ー ス で あ っ た た め 、一 方 で 起 こ っ た T-VOC 濃 度 変 化 は
短 時 間 の う ち に 住 居 内 全 体 に 及 ん だ も の と 考 え ら れ る 。ま た 、20:40 の 濃 度 変 動
は 、両 居 室 で 相 反 す る も の と な っ て お り 、窓 開 け な ど 大 き く 室 内 濃 度 を 変 動 さ せ
る居住者の行動があったものと考えられる。
d)で も 、T-VOC 濃 度 お よ び そ の 変 動 が 大 き い 居 室 は 、リ ビ ン グ ル ー ム で あ っ た 、
た だ し 、 2F の 個 室 で 数 回 に わ た っ て 見 ら れ る 大 き な T-VOC の 濃 度 変 動 は 、 1F の
濃 度 変 動 に 全 く 影 響 し て お ら ず 、同 じ 住 居 内 で も 居 室 の 密 閉 度 に よ っ て 住 居 内 各
所への影響は様々であることが示された。
以 上 の 結 果 か ら 、居 住 住 宅 に お い て T-VOC 濃 度 が 最 も 高 く 、変 動 も 大 き い 居 室
は リ ビ ン グ ル ー ム で あ っ た 。 ま た 、 多 く の 場 合 1F 居 室 の T-VOC 濃 度 変 動 は 、 2F
居室に影響を与えやすいことが示された。ただし、個々の居室への影響または、
居室から住居内全体への影響はドアの開閉により異なることが示唆された。
2.4.3.2
居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC濃 度 変 化
前 節 よ り 居 住 住 宅 に お い て 最 も T-VOC 濃 度 お よ び そ の 変 動 が 大 き い 居 室 は リ
ビングルームであったので、リビングルームを中心に居住者の行動と室内の
T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 の 相 関 を 調 査 し た 。さ ら に 居 住 者 の 行 動 に よ っ て 発 生 す る
VOC 成 分 に つ い て 調 査 し た 。
調査方法
居 住 住 宅 内 の T-VOC 濃 度 変 化 を 一 台 あ る い は 複 数 台 の T-VOC 計 を 設 置 す る こ と
に よ り 調 査 し た 。同 時 に 居 住 者 に 行 動 記 録 表 へ の 記 入 を 依 頼 し 、居 住 者 の 行 動 と
T-VOC 濃 度 変 化 の 相 関 を 明 ら か に し た 。 T-VOC 計 に は 市 販 品 で あ る
PID(RAEsystems 社 製 )を 用 い た 。ま た 、数 例 に つ い て は 、居 住 者 の 行 動 変 化 に 伴
い 室 内 空 気 を サ ン プ リ ン グ し 、 精 密 法 ( GC/MS 法 及 び HPLC 法 ) を 用 い て VOC 成
分の同定、濃度測定を行った。
VOC 成 分 分 析 で は ATD tube (PerkinElmer 社 製 )を 用 い 、ポ ン プ 流 量 100 ml/min
で 60 分 間 捕 集 し た 後 GC/MS 法 に て 分 析 し た 。
カ ル ボ ニ ル 類 の 分 析 で は 、 XpoSure Aldehyde Sampler (Waters 社 製 )を 用 い 、
ポ ン プ 流 量 1 L/min で 60 分 間 捕 集 し た 。捕 集 後 ア セ ト ニ ト リ ル 10 ml で 抽 出 し 、
HPLC に て 分 析 し た 。 分 析 条 件 は と も に 17 年 度 と 同 様 で あ る 。
Ⅲ-2-4-28
表 Ⅲ -2-4-15
8: 40
8: 50
9: 00
9: 10
9: 20
9: 30
9: 40
9: 50
1 0: 0 0
1 0: 1 0
1 0: 2 0
Ⅲ-2-4-29
備考欄:
その他
8: 30
殺虫剤使用
8: 20
アロマ使用
8: 10
薬剤使用
化粧
掃除
8: 00
換気扇の使用
換気
窓開け
使用
その他暖房機
エアコン使用
空調
喫煙
飲酒
食事
調理
在室
(居間・寝室)
外出
時刻
食事関係
居 住 者 行 動 記 録 表 (例 )
その他の活動についてい
やなにかにおいがしたり、
空気質に違和感を感じた
りした場合にご記入くだ
さい。
・ 就 寝 時 に お け る T-VOC 濃 度 変 化
居 住 住 宅 内 の 寝 室 に PID を 設 置 し 、室 内 T-VOC 濃 度 の 変 化 を 調 査 し た 。対 象
物 件 は 、 築 8 年 の 木 造 住 宅 と 築 1 年 の 木 造 住 宅 で あ る 。 築 1 年 住 宅 は 24 時 間
機 械 換 気 設 備 ( 第 3 種 ) が 設 置 さ れ て お り 、 居 住 者 に よ り ス イ ッ チ の ON/OFF
が可能な住宅である。
T-VOC (μg/m 3 )
1400
140
築8年の住宅
1200
1000
100
800
就寝時間
600
600
400
3
5
7
1
5
23
3
21
2
0
22
19
21
17
19
15
17
13
16
11
14
9
12
7
9
7
00
11
200
200
7
Time
T-VOC (μg/m 3 )
1400
140
就寝時間
24 時 間 換 気 設 置 住 宅
1200
1000
100
800
600
600
400
6
8
8
4
6
2
4
0
2
22
0
20
22
18
18
16
16
14
14
12
12
10
10
8
8
00
20
200
200
Time
図 Ⅲ -2-4-16
居 住 状 態 に お け る T-VOC 濃 度 変 化
改 正 建 築 基 準 法 施 行 前 に 建 て ら れ た 24 時 間 機 械 換 気 設 備 を 設 置 し な い 住 宅
で は 、一 般 に 居 住 者 が 就 寝 中 で あ る 時 間 帯 は 、室 内 の T-VOC 濃 度 が 徐 々 に 下 が
る 傾 向 に あ っ た が 、 24 時 間 換 気 設 備 設 置 住 宅 で は 、 就 寝 中 に T-VOC 濃 度 が 上
昇 す る 様 子 が 確 認 さ れ た 。こ れ は 、居 住 者 が 換 気 設 備 の ス イ ッ チ を 切 っ た た め
で あ る と 考 え ら れ る が 、同 時 に 近 年 の 住 宅 の 高 気 密 性 を 示 す も の で あ る 。居 住
者 の こ の よ う な 行 動 は し ば し ば 見 受 け ら れ る も の で あ り 、T-VOC 濃 度 に よ り 制
御 す る 換 気 設 備 を 考 え る 場 合 、 居 住 者 に よ っ て 容 易 に 換 気 設 備 の ON/OFF が で
きるような設備であってはならないと考えられる。
Ⅲ-2-4-30
・ 飲 食 に よ る VOC と T-VOC 濃 度 変 化
対 象 住 宅 は 、集 合 住 宅 内 の ワ ン フ ロ ア ー で あ り 、キ ッ チ ン と リ ビ ン グ は 隣 接 し
て い る 。寝 室 は 廊 下 を 経 て 2 室 離 れ て お り 、換 気 設 備 は キ ッ チ ン の 換 気 扇 と リ ビ
ングのエアコンのみである。
飲 食 開 始 後 リ ビ ン グ と 隣 接 し た キ ッ チ ン の T-VOC 濃 度 は 急 速 に 上 昇 し た 。さ ら に
リ ビ ン グ で 発 生 し た T-VOC 濃 度 変 動 は 、 約 10 分 遅 れ て 寝 室 の T-VOC 濃 度 上 昇 を
も た ら し た 。寝 室 に は 換 気 設 備 は 設 置 さ れ て い な い が 、T-VOC 濃 度 減 衰 は 、他 室
に 比 べ 比 較 的 緩 や か で あ っ た 。こ の こ と か ら 、発 生 源( リ ビ ン グ )に お け る 速 や
か な 換 気 が 住 居 内 の T-VOC 濃 度 を 低 く 保 つ た め に 有 用 で あ る と 考 え ら れ た 。
2000
①キッチン
②リビング
③寝室
1800
3
TVOC (
T-VOC
(μg/m
⎠ g/m3 ) )
1600
1400
飲食開始
①
1200
②
③
1000
800
600
400
200
0
14:00
15:00
16:00
17:00
18:00
Time
図 Ⅲ -2-4-17
飲 食 に よ る T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化
飲 食 前 後 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 の 同 定 、濃 度 分 析 を TD-GC/MS 法 、HPLC
法 を 用 い て 行 っ た 。 表 Ⅲ -2-4-16 に 結 果 を 示 す 。
飲 食 に よ る T-VOC 濃 度 上 昇 に も っ と も 寄 与 し て い る 成 分 は 、ア セ ト ア ル デ ヒ ド
で あ っ た 。 図 Ⅲ -2-4-18 に リ ビ ン グ に お け る 飲 食 前 後 の ア セ ト ア ル デ ヒ ド 濃 度
比 を 示 す 。ア セ ト ア ル デ ヒ ド は 、エ タ ノ ー ル の 摂 取 に よ り 体 内 で 容 易 に 生 成 さ れ
る 物 質 で あ る が 、 厚 生 労 働 省 に よ る 室 内 濃 度 指 針 値 は 48μ g/m 3 と ホ ル ム ア ル デ
ヒ ド (100μ g/m 3 )よ り 低 い 値 と な っ て い る 。 ま た 、 主 な 発 生 源 が 建 材 で あ る ホ ル
ム ア ル デ ヒ ド と 違 い 、ア セ ト ア ル デ ヒ ド の 発 生 は 居 住 者 の 行 動 に よ る こ と が 多 く 、
臭 い 強 度 と の 相 関 も 高 い こ と か ら 、ア セ ト ア ル デ ヒ ド 濃 度 を 指 標 と し た 室 内 空 気
質 の 評 価 も 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。こ の こ と か ら 、開 発 セ ン サ に つ い て も ア セ
トアルデヒドの検知が必要であることが示唆された。
Ⅲ-2-4-31
3
T-VOC
濃度((μg/m
⎯ g/m3 ))
60.0
飲食前
飲食後
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
formaldehyde acetaldehyde
図 Ⅲ -2-4-18
表 Ⅲ -2-4-16
acetone
飲 食 に よ る VOC の 発 生 例 ( リ ビ ン グ )
飲 食 前 後 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度
リビング
飲食前
キッチン
飲食後
飲食前
寝室
飲食後
飲食前
飲食後
2-Propanol
4.2
6.8
3.9
4.6
2.8
3.0
Ethylacetate
4.9
25.7
6.6
35.8
3.6
11.1
12.0
18.7
7.7
10.2
12.7
8.1
Toluene
Ethylbenzene
N.D
3.4 N.D
1.3 N.D
m,p-Xylene
N.D
2.8 N.D
2.0
o-Xylene
N.D
1.1 N.D
a-Pinene
1.3
2.6
N.D
1.8
1,2,4-TMB
N.D
1.4 N.D
Decane
N.D
3.6
1.5
1.6
N.D
2.9
N.D
1.3
1.0 N.D
2.1
1.3
1.8
1.6
N.D
2.1 N.D
p-Dichlorobenzene N.D
1.7 N.D
d-Limonene
7.6
6.3
8.4
3.8
2.7
N.D
5.3 N.D
3.6
Formaldehyde
15.4
18.4
12.8
21.8
15.7
15.5
Acetaldehyde
6.2
59.0
17.9
62.3
6.1
20.5
20.8
40.1
18.0
33.2
18.4
19.4
Acetone
( μ g/m 3 )
Ⅲ-2-4-32
・ そ の 他 の T-VOC 濃 度 変 動 要 因
複 数 の 居 住 住 宅 に お い て 、PID 法 に よ る リ ア ル タ イ ム モ ニ タ リ ン グ と 居 住 者 に
よ る 行 動 記 録 を 行 い 、 室 内 の T-VOC 濃 度 に 変 動 を 与 え る 要 因 に つ い て 調 査 し た 。
調査の一例を以下に示す。
窓閉め
120279
300
換気扇
換気扇
換気扇
食事
250
TVOC (μg/m3)
200
喫煙
食事
調 理 ・食 事
調理
150
100
殺虫剤使用
(液 体 蚊 取 り )
50
0
16:00
18:00
20:00
22:00
0:00
2:00
4:00
time
6:00
8:00
10:00
12:00
14:00
120011
1600
換気扇
換気扇
1400
エタノール製品
使用
1200
3
TVOC(μg/m )
1000
800
600
調理
食事
飲 食 ・喫 煙
喫煙
400
食事
調
理
喫煙
200
エアコン使
0
11:00
13:00
15:00
17:00
図 Ⅲ -2-4-19
19:00
21:00
23:00
time
1:00
3:00
5:00
7:00
9:00
居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 変 化 例
Ⅲ-2-4-33
今 回 の 調 査 は 、夏 季 に 行 わ れ た も の が 多 い た め 、窓 開 け 時 間 が 長 く 、窓 閉 め に
よ る 室 内 の T-VOC 濃 度 上 昇 が 顕 著 で あ っ た 。
居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 変 動 要 因 と し て は 、調 理 、食 事 、飲 酒 を 含 ん だ
飲 食 、喫 煙 が あ げ ら れ た 。調 理 時 に は 、殆 ど の ケ ー ス で 局 所 換 気 扇 が 稼 動 し て い
る た め 、 極 端 な T-VOC 濃 度 上 昇 は 見 ら れ ず 、 100μ g/m 3 以 下 の 上 昇 に と ど ま る こ
と が 多 か っ た 。 食 事 で は 200μ g/m 3 か ら 400μ g/m 3 の 濃 度 上 昇 が 見 ら れ る が 、 飲
酒を伴うと濃度上昇が極端に大きくなるケースが見られた。
喫 煙 も 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 上 昇 の 主 な 要 因 で あ る 。VOC 発 生 継 続 時
間 と し て は 数 分 間 で あ る が 、放 散 濃 度 が 大 き い た め 室 内 の 空 気 質 に 影 響 を 与 え る
こ と が 示 さ れ た 。よ っ て VOC が 発 生 し て か ら 拡 散 す る 前 に 速 や か に 排 気 す る こ と
が望ましいと考えられる。
また、近年よく見られる発生源として、エタノール製品の使用があげられる。
エ タ ノ ー ル は 、芳 香 剤 な ど の ほ か 、除 菌 ス プ レ ー や 、消 臭 ス プ レ ー な ど に 含 ま れ
て お り 、室 内 T-VOC 濃 度 に パ ル ス 的 な 変 化 を 与 え る 。今 回 の 調 査 例 で は 、エ タ ノ
ー ル 濃 度 と し て 2000μ g/m 3 に も な る ケ ー ス が あ っ た 。 し か し 、 濃 度 減 衰 が 速 や
かであることから、多用を避ければ速やかな換気が必要であるとは考えにくく、
むしろセンサの誤作動を招く危険性を考慮すべきであると考えられる。
調 理 で は 脂 肪 族 系 の VOC が 、飲 食 で は カ ル ボ ニ ル 化 合 物 、特 に ア セ ト ア ル デ ヒ ド
が多く発生することが確認された。
次 に 4 件 の 居 住 住 宅 に お い て PID に よ る T-VOC 濃 度 測 定 と T-VOC 濃 度 の ピ ー ク
検出時に自動で室内空気のサンプリングを行うピークキャプチャー法による
VOC 成 分 分 析 を 行 っ た 。な お 、ピ ー ク 検 出 時 の サ ン プ リ ン グ 時 間 は 30 分 と し た 。
以下にその一例を示す。
調 査 住 宅 は 、 新 築 1 ヶ 月 で 、 第 一 種 24 時 間 機 械 換 気 設 備 が 設 置 さ れ て い る 。
ま た 、居 住 者 は 窓 開 け 換 気 の 励 行 に よ り 、室 内 VOC 濃 度 を 低 く 保 つ 努 力 を 行 っ て
い る 。 よ っ て ベ ー ス ラ イ ン の 測 定 で は 、 T-VOC 濃 度 が 100ppb 以 下 の 時 間 帯 に 捕
集を行った。
図 Ⅲ -2-4-20 に PID に よ る T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 を 表 Ⅲ -2-4-17 に GC/MS 法 、
HPLC 法 に よ る 化 学 物 質 の 同 定 、 定 量 結 果 を 示 す 。
Ⅲ-2-4-34
800
TVOCtoluene eq.[μg/m 3]
700
600
Peak 2
500
Peak 1
400
Base
300
200
100
0
14:00
15:00
16:00
17:00
18:00
19:00
time
図 Ⅲ -2-4-20
表 Ⅲ -2-4-17
B 邸 の T-VOC 濃 度 変 化 と サ ン プ リ ン グ タ イ ミ ン グ
B 邸 の VOC お よ び カ ル ボ ニ ル 化 合 物 成 分 分 析 結 果
Compounds
Base
Peak 1
Peak 2
Toluene
N.D.
19.8
14.3
n-Buthylacetate
N.D.
9.37
12.8
Styrene
N.D.
a-Pinene
p-Dichlorobenzene
N.D.
0.79
N.D.
d-Limonene
0.33
53.5
74.0
192
51.6
99.3
11.4
25.1
Nonanal
N.D.
42.9
70.7
Undecane
N.D.
41.1
63.7
Formaldehyde
1.13
11.9
36.1
Acetaldehyde
1.06
10.0
53.7
Acetone
5.10
20.6
44.4
Total VOC & Carbonyls
12.9
382
666
( μ g/m 3 )
peak2 及 び peak3 の 分 析 結 果 よ り 、ピ ー ク を 構 成 す る 主 な VOC 成 分 は α -ピ ネ ン
や p-ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン で あ っ た 。 こ れ ら の 成 分 は 、 一 般 家 庭 に お い て 消 臭 剤 や
芳 香 剤 に 含 ま れ る 成 分 で あ り 、瞬 間 的 な 放 散 と い う よ り は 定 常 的 放 散 を も た ら す
発 生 源 と な り う る 。 ま た 、 図 Ⅲ -2-4-21 よ り ピ ー ク 1、2 の 成 分 比 に 大 き な 差 が
見 ら れ な い こ と か ら 、居 住 者 の 在 室 と 室 温 の 上 昇 に よ り こ れ ら の 物 質 の 放 散 速 度
が 増 加 し た た め 、室 内 T-VOC 濃 度 が 高 く な っ た も の と 考 え ら れ る 。ま た 、同 様 に
濃 度 が 上 昇 し て い る ア セ ト ン や ノ ナ ナ ー ル は 、人 体 か ら の 放 散 に よ る も の と 考 え
られる。
Ⅲ-2-4-35
900
800
TVOCtoluene eq. [μg/m3]
700
600
500
400
300
200
100
0
Base
Peak 1
others
Styrene
Undecane
p-Dichlorobenzene
Peak 2
Acetaldehyde
Acetone
Nonanal
a-Pinene
図 Ⅲ -2-4-21 B 邸 ベ ー ス お よ び ピ ー ク 1,2 の
主 な VOC、 カ ル ボ ニ ル 化 合 物 成 分 比
・まとめ
室 内 の T-VOC 濃 度 を 増 加 さ せ る 居 住 者 の 主 な 行 動 は 、食 事 、喫 煙 、調 理 で あ っ
た 。 特 に 飲 酒 を 伴 う 飲 食 で は 、 ア セ ト ア ル デ ヒ ド が 多 く 発 生 し た 。 調 理 は VOC
発 生 が 大 き い 行 動 で あ る が 、 換 気 扇 の 稼 動 を 伴 う こ と が 多 い た め 顕 著 な T-VOC
濃 度 上 昇 が 見 ら れ る こ と は あ ま り な か っ た 。発 生 す る VOC 成 分 と し て は 、燃 料 の
燃 焼 に よ る デ カ ン 、ウ ン デ カ ン な ど の 脂 肪 族 系 飽 和 炭 化 水 素 の ほ か ア セ ト ア ル デ
ヒ ド な ど の カ ル ボ ニ ル 化 合 物 が あ げ ら れ る 。ま た 、ブ チ ル ア ル デ ヒ ド の 発 生 も 多
く 見 ら れ る が 、VOC 類 の 酸 化 生 成 物 と し て 発 生 し て い る 場 合 と 接 着 剤 と し て 用 い
られている酢酸ブチルの加水分解により発生している場合の両方の発生原因が
あると考えられる。
こ の 他 に 特 記 す べ き VOC の 発 生 と し て 化 粧 品 や 除 菌 、消 臭 ス プ レ ー な ど の エ タ
ノ ー ル 製 品 の 使 用 が あ げ ら れ る 。 PID は エ タ ノ ー ル に 対 し て 感 度 は よ く な い が 、
パ ル ス 的 な 大 き な ピ ー ク と し て 観 測 さ れ た 。今 後 開 発 セ ン サ に 対 す る 影 響 、す な
Ⅲ-2-4-36
わち感度とベースラインに戻るための時間について確認する必要があると考え
られる。
い ず れ の 居 住 住 宅 で も 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 上 昇 は 速 や か で あ る
が 、減 衰 は ゆ る や か で あ る こ と か ら 、発 生 し た VOC が 住 居 内 に ゆ っ く り 拡 散 し て
い る こ と が 示 唆 さ れ 、発 生 源 か ら の 速 や か な 排 気 が 換 気 に よ る 室 内 空 気 質 改 善 に
有効であると考えられる。
ピ ー ク キ ャ プ チ ャ ー 法 で は 、PID に よ る T-VOC 濃 度 の 連 続 測 定 値 を 用 い る こ と
に よ り ピ ー ク を 抽 出 し ポ ン プ に よ る 室 内 空 気 の サ ン プ リ ン グ を 行 っ た 。本 手 法 は 、
VOC 成 分 分 析 の た め の サ ン プ リ ン グ だ け で な く 、換 気 設 備 の 制 御 に も 応 用 で き る
ものと考えられる。
Ⅲ-2-4-37
2.4.3.3
度変動影響調査
モニタリングゾーンと非モニタリングゾーン間の汚染物質濃
3.2 で 述 べ た と お り 、 居 住 住 宅 内 の 一 室 で VOC の 発 生 が あ っ た 場 合 、 他 室 の
T-VOC 濃 度 に も 影 響 を 与 え る こ と が 観 察 さ れ た 。こ こ で は 、住 居 内 の 換 気 経 路 に
あ た る 範 囲 を 中 心 に 発 生 源 の T-VOC 濃 度 変 化 が 住 居 内 の 他 の 部 分 に ど の よ う に
影 響 す る か を 調 査 し た 。 対 象 と し た 住 宅 は 、 1F に 調 理 、 飲 食 に よ る 発 生 源 が あ
り 、換 気 は 2F に 設 置 さ れ た 排 気 口 よ り 行 わ れ て い る 。よ っ て 測 定 点 は 、1F の 居
室 お よ び 換 気 経 路 と な る 階 段 室 、 階 段 室 に 隣 接 し た 居 室 と し た 。 図 Ⅲ -2-4-22、
図 Ⅲ -2-4-23 に 各 測 定 点 に お け る T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 を 示 す 。
2F
階段
1F
TVOC (μg/m 3 )
350
300
250
200
150
100
50
0
15:00
17:00
19:00
21:00
23:00
1:00
3:00
Time
図 Ⅲ -2-4-22
住 宅 内 の T-VOC 濃 度 分 布 お よ び 経 時 変 化
800
2F
階段
1F
700
TVOC (μg/m 3 )
その 1
600
500
400
300
200
100
0
11:20
15:20
19:20
23:20
3:20
7:20
Time
図 Ⅲ -2-4-23
住 宅 内 の T-VOC 濃 度 分 布 お よ び 経 時 変 化
Ⅲ-2-4-38
図 Ⅲ -2-4-22 よ り 、 1F の T-VOC 濃 度 変 動 は 、 階 段 室 お よ び 2F の 濃 度 変 動 に 影
響 を 与 え る が 2F の 濃 度 変 動 は 1F の 濃 度 変 動 に 影 響 を 与 え な い 傾 向 に あ っ た 。
ま た 、階 段 室 の T-VOC 濃 度 変 動 は 1F と 2F の 両 方 の 濃 度 変 動 を 反 映 し て い る こ と
か ら 、住 居 内 の 換 気 経 路 に お け る 気 流 は 必 ず し も 一 定 し て い な い も の と 考 え ら れ
た。
図 Ⅲ -2-4-23 は 、 1F 居 室 の 引 き 戸 を 閉 め 、 換 気 経 路 を 遮 断 し た 場 合 の 影 響 を
観 察 し た も の で あ る 。 引 き 戸 が 閉 め ら れ て い た 19:20 ま で は 、 1F 居 室 で 大 き な
T-VOC 濃 度 変 化 が あ っ た に も 係 わ ら ず 、2F 居 室 、階 段 室 に お け る 濃 度 変 化 は わ ず
か で あ っ た 。し か し 、19:20 に 一 旦 引 き 戸 を 開 放 し た 際 、階 段 室 の T-VOC 濃 度 は
パ ル ス 的 に 上 昇 し 、 そ れ に 伴 っ て 、 2F 居 室 の 濃 度 も ゆ る や か に 上 昇 し た 。 よ っ
て 、本 対 象 住 宅 に お け る 階 段 室 は 1F 居 室 、2F 居 室 の 両 方 の T-VOC 濃 度 変 化 を 反
映 す る た め 、住 居 内 の 空 気 質 を 評 価 す る た め に は 適 切 な 測 定 点 で あ る と 考 え ら れ
る が 、引 き 戸 は 換 気 経 路 に お け る 障 壁 と な り 、極 端 な T-VOC 濃 度 変 化 を も た ら す
場合があるという点でモニタリングには、注意が必要であると考えられる。
な お 、建 築 基 準 法 で は 、引 き 戸 は 、換 気 の た め の 通 気 が 十 分 実 現 で き る も の と
し て 考 え ら れ て お り 、1 つ の ゾ ー ン と し て 扱 う こ と が で き る と さ れ て い る が 、引
き戸の開閉により換気の効率は大きく異なるものと考えられる。
Ⅲ-2-4-39
2.4.3.4
センサ評価
居 住 住 宅 に お い て 精 密 法 に よ る VOC 定 性 、定 量 分 析 と T-VOC 濃 度 の リ ア ル タ イ
ム モ ニ タ リ ン グ を 並 行 し て 行 い 、両 方 法 に よ る 結 果 を 比 較 す る こ と に よ り 、開 発
検 出 器 に 求 め ら れ る 応 答 速 度 と 検 出 す べ き 物 質 、干 渉 す る 可 能 性 が あ る 物 質 に つ
いて解析した。また開発検出器から得られる値の補正方法について考察した。
2.4.3.4.1
センサに求められる性能
・開発センサに求められる応答時間の解析
PID を 用 い た 居 住 住 宅 に お け る T-VOC 濃 度 経 時 変 化 調 査 か ら 居 住 者 の 行 動 に よ
る T-VOC 濃 度 の 変 化 を 検 出 器 に よ り 評 価 す る た め に は 、数 十 分 レ ベ ル の 応 答 性 が
必 要 で あ る こ と が 示 さ れ た 。フ ィ ー ル ド 調 査 を も と に 睡 眠 と 食 事 の 継 続 時 間 解 析
す る と 、 食 事 時 間 で は 、 20 分 前 後 と 1 時 間 程 度 と 頻 出 継 続 時 間 に 2 つ の 時 間 が
あることが示された。これは、朝食などの短い食事と夕食などの長い食事が 1
日 の 中 に 存 在 す る こ と を 表 し て い る 。ま た 、睡 眠 時 間 は 4 時 間 か ら 8 時 間 の 範 囲
が多く、1 時間以下の睡眠は仮眠とみなしてよいと思われる。これは、1 日の中
で 少 な く と も 5 時 間 程 度 は T-VOC の 変 動 の な い 時 間 帯 が 存 在 す る こ と を 示 し て お
り 、セ ン サ の 校 正 な ど の ス ケ ジ ュ ー ル を こ の 時 間 帯 に 組 み 込 む こ と が 可 能 で あ る
と考えられる。
25
15
睡眠(時間)
食事(時間)
件
数
20
10
5
0
0
1~3
4~6
7~9
10~12 13~15 16~20 21~24
継 続 時 間 ( hour)
図 Ⅲ -2-4-24
食事と睡眠の継続時間解析
Ⅲ-2-4-40
・ 開 発 セ ン サ に 求 め ら れ る VOC 成 分
18 年 度 の 調 査 お よ び 20 年 度 に 行 っ た 新 築 保 育 園 調 査 に お い て 、精 密 法 に よ り
同 定 、定 量 さ れ る 成 分 濃 度 の 総 量 は 、リ ア ル タ イ ム モ ニ タ リ ン グ に よ り 得 ら れ る
T-VOC 濃 度 の 約 50 %で あ っ た 。こ れ は 、精 密 法 で は 同 定 で き な い 成 分 が 存 在 す る
た め で あ り 、開 発 検 出 器 の VOC 成 分 特 異 性 を 明 ら か に し て お く 必 要 が あ る こ と を
示している。すなわち、開発検出器は特定の物質のみを検出するものではなく、
類 似 し た VOC も 検 出 で き る こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ る 。
木 造 住 宅 内 で 高 濃 度 で 検 出 さ れ る α -ピ ネ ン は 、建 材 由 来 で あ る た め 開 発 検 出
器 の ブ ラ ン ク 値 に 与 え る 影 響 を 明 ら か に し て お く べ き で あ る 。ま た 、パ ラ ジ ク ロ
ロ ベ ン ゼ ン は 、居 住 者 の 持 ち 込 み に よ る も の で あ り 、高 濃 度 を 示 す 場 合 が あ る の
で検出すべき物質である。
VOC を 発 生 す る 主 な 居 住 者 の 行 動 で あ る 調 理 や 飲 食 に よ っ て 生 じ る ア セ ト ア
ル デ ヒ ド な ど の カ ル ボ ニ ル 化 合 物 は 、市 販 器 で あ る ホ ル ム ア ル デ メ ー タ に も 干 渉
する物質であり、においの原因物質でもある。よって、開発センサにおいては、
そ の 濃 度 を 把 握 し て お く と と も に 、そ の 影 響 と 感 度 を 明 ら か に し て お く 必 要 が あ
ると考えられる。
さ ら に 、近 年 さ か ん に 使 用 さ れ て い る エ タ ノ ー ル を 溶 媒 と し た 製 品 に は 、芳 香
剤 、除 菌 剤 、消 臭 剤 な ど が 挙 げ ら れ る 。フ ィ ー ル ド 調 査 で も こ れ ら の 商 品 の 使 用
に よ る T-VOC の 大 き な 濃 度 変 動 が み ら れ た 。よ っ て 開 発 セ ン サ に お い て も エ タ ノ
ー ル の 感 度 、バ ッ ク グ ラ ウ ン ド へ の 影 響 を 把 握 し て お く 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。
・市販センサを用いた室内空気質の評価
実 居 住 空 間 に お い て 、4 種 類 の 市 販 セ ン サ を 用 い て 室 内 空 気 質 の 経 時 変 化 を 計
測 し た 例 を 図 Ⅲ -2-4-25 に 示 す 。
PID 法 と ホ ル ム ア ル デ メ ー タ で は 化 学 種 に よ り 検 出 感 度 が 異 な る が 、両 検 出 器
を用いたリアルモニタリングによる濃度変化の傾向に大きな違いがない場合も
多 い 。よ っ て 、換 気 設 備 の 制 御 の た め に 室 内 空 気 質 を 評 価 す る 場 合 、そ の 性 能 に
よっては 1 種類のセンサのみでモニタリングすることも不可能ではないと考え
ら れ る 。た だ し 、VOC 組 成 と 開 発 セ ン サ の 感 度 と の 相 関 を 調 査 す る こ と が 不 可 欠
である。
Ⅲ-2-4-41
500
3000
TVOC[μg/m3]
ホルムアルデヒド[μg/m3]
におい[-]
2500
CO2[ppm]
450
350
2000
300
1500
250
CO2( ppm)
3
TVOC・ホルム アルデヒド(μ g/m )
400
200
1000
150
100
500
50
0
12:00
15:00
18:00
21:00
0:00
時
図 Ⅲ -2-4-25
2.4.3.4.2
3:00
6:00
9:00
0
12:00
間
複数のセンサによる居住室の
T-VOC、ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 、CO2 濃 度 変 化
実空間における開発センサの実証実験および適応性評価
実 空 間 に お け る 開 発 セ ン サ の 適 応 性 を 確 認 す る た め 、同 一 室 空 間 の T-VOC 濃 度
を 開 発 セ ン サ と PID を 同 時 に 用 い て 測 定 し 、 両 者 の 相 関 に つ い て 調 査 し た 。
調 査 は 、ま ず 実 験 室 内 に て 室 内 で 検 出 さ れ る 化 学 物 質 を 放 散 さ せ 、そ の 濃 度 の
経 時 変 化 を 両 セ ン サ お よ び PID を 用 い て 測 定 し た 。対 象 と す る 化 学 物 質 は 、ト ル
エ ン 、 α -ピ ネ ン 、 エ タ ノ ー ル 製 品 と し た 。
次 に 、実 居 住 空 間 に お い て 、両 セ ン サ に よ る 同 時 モ ニ タ リ ン グ を 行 い 、PID と
開 発 セ ン サ を 用 い た 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 変 化 を 比 較 し た 。
・実験室における化学物質放散実験
実 験 室 は 、 室 容 積 50 m 3 の 静 穏 な 空 間 で あ り 、 調 査 中 は 換 気 設 備 の ス イ ッ チ を
切 り 、扇 風 機 に よ っ て 室 内 空 気 質 が 均 一 に な る よ う に し た 。化 学 物 質 放 散 は 、壁
面 か ら 20 cm 高 さ 1.2 m の 点 に 均 等 に 対 象 物 質 を 入 れ た バ イ ア ル を 8 点 設 置 す
る こ と に よ り お こ な っ た ( 図 Ⅲ -2-4-26,37 参 照 )。
測 定 は 、一 旦 窓 開 け 換 気 を 行 い 、室 内 の VOC 濃 度 が 十 分 に 下 が っ て か ら 開 始 し
た。よって、測定開始時の室内濃度は外気レベルである。
濃 度 換 算 方 法 は 、PID で は PID が 検 出 で き る 化 学 種 の 中 で 中 程 度 の 感 度 を 示 す
イ ソ ブ チ レ ン を 標 準 物 質 と し て 検 量 線 を 作 成 し 、 ppb で 表 示 し て い る の に 対 し 、
Ⅲ-2-4-42
プ ロ ト タ イ プ セ ン サ で は 、一 般 住 宅 で 検 出 さ れ る VOC 比 を も と に 作 成 し た 標 準 ガ
ス を 用 い て 検 量 線 を 作 成 し て い る 。よ っ て 、両 者 の 値 を 単 純 に 比 較 す る こ と は 難
し い と 考 え ら れ る た め 本 調 査 で は 、各 セ ン サ に よ り 検 出 さ れ た 濃 度 を ppb で 示 し 、
比較することとする。
図 Ⅲ -2-4-27
図 Ⅲ -2-4-26
模擬化学物質発生源
実験室内発生源設置の様子
図 Ⅲ -2-4-28
PID と プ ロ ト タ イ プ T-VOC 計 に よ る 同 時 測 定 の 様 子
Ⅲ-2-4-43
1)ト ル エ ン
400
1200
トルエン放散開始
PID
TVOC
PID (ppb)
300
800
600
200
TVOC (ppb)
1000
400
100
200
0
0
50
100
150
200
250
300
0
350
Time (min)
1200
300
トルエン放散開始
PID
Arom.
800
200
600
400
100
Arom. (ppb)
PID (ppb)
1000
200
0
0
50
100
150
200
250
300
0
350
Time (min)
図 Ⅲ -2-4-29
T-VOC 計 ( 上 図 )、 芳 香 族 計 ( 下 図 ) と PID に よ る
トルエン放散測定
(2008.9.3 実 施 )
T-VOC 計 、芳 香 族 計 と も に ト ル エ ン の 放 散 に 伴 い 、測 定 濃 度 が 上 昇 す る 傾 向 が
み ら れ た 。た だ し 、絶 対 値 と し て の 上 昇 値 は 小 さ く 、実 空 間 で 使 用 す る た め に は
さらに広い測定レンジが必要であると考えられる。
Ⅲ-2-4-44
1000
500
PID
TVOC
400
600
300
400
200
200
100
0
0
50
100
150
200
TVOC (ppb)
PID (ppb)
トルエン放散開始
800
0
250
Time (min)
1000
30
PID
Arom.
トルエン放散開始
20
600
10
400
Arom. (ppb)
PID (ppb)
800
0
200
0
-10
0
50
100
150
200
250
Time (min)
図 Ⅲ -2-4-30
T-VOC 計 ( 上 図 )、 芳 香 族 計 ( 下 図 ) と PID に よ る
トルエン放散測定
(2009.2.13 実 施 )
T-VOC 計 は 、抵 抗 電 圧 を 10 kΩ に 設 定 し た と こ ろ Level が 1200 以 上 と な り 、
VOC の 発 生 が あ っ た 場 合 測 定 上 限 を 超 え る 可 能 性 が あ っ た た め 、 抵 抗 電 圧 を 6
kΩ に 設 定 し て 測 定 を 行 っ た 。測 定 中 は 早 い 時 間 で ベ ー ス ラ イ ン の ド リ フ ト が
起 こ り 、ト ル エ ン 放 散 開 始 の タ イ ミ ン グ は 検 知 で き る も の の 、そ の 後 の 測 定 値
の 上 昇 は ド リ フ ト 値 と 切 り 分 け ら れ な か っ た 。ト ル エ ン 放 散 停 止 後 、測 定 値 は
速やかに下降した。
芳 香 族 計 で は 、ト ル エ ン 放 散 後 の 細 か い 濃 度 変 動 が 検 知 で き た こ と か ら ト ル
エ ン へ の 感 度 が よ い も の と 考 え ら れ た 。た だ し 、濃 度 換 算 値 は 実 際 の 濃 度 よ り
かなり低く検量線の求め方を検討する必要があると考えられる。
Ⅲ-2-4-45
2) α -ピ ネ ン
木 質 建 材 を 用 い た 住 居 で は 、し ば し ば α -ピ ネ ン が 高 濃 度 で 検 出 さ れ る 。よ っ
て 、本 研 究 で は 、開 発 セ ン サ に よ る α -ピ ネ ン の 感 度 を 確 認 し 、合 わ せ て 湿 度 に
よる測定値への影響を観察した。
PID
TVOC
400
300
ピネン放散開始
PID (ppb)
350
200
150
300
100
TVOC (ppb)
250
250
50
0
200
0
50
100
150
200
Time (min)
300
350
200
150
300
TVOC (ppb)
ピネン放散開始
250
PID (ppb)
PID
TVOC
400
100
250
50
0
0
50
100
150
200
200
Time (min)
図 Ⅲ -2-4-31
PID、 T-VOC 計 に よ る ピ ネ ン 放 散 実 験
上 図 : 湿 度 80 %、 下 図 : 湿 度 60 %
( 2008.9.4 お よ び 2008.9.16 実 施 )
T-VOC 計 で は 、α -ピ ネ ン に 対 す る 感 度 は PID よ り 低 い こ と が 示 さ れ た 。ま た 、
湿 度 80 %と 60 %を 比 較 す る と 、 80 %の 場 合 に 応 答 性 が 劣 る 傾 向 に あ っ た 。
Ⅲ-2-4-46
300
PID
Arom.
400
ピネン放散開始
PID (ppb)
300
200
150
200
Arom. (ppb)
250
100
100
50
0
0
50
100
Time (min)
150
0
200
300
PID
Arom.
400
PID (ppb)
300
200
150
200
Arom. (ppb)
ピネン放散開始
250
100
100
50
0
0
0
50
100
150
200
Time (min)
図 Ⅲ -2-4-32
PID、 芳 香 族 計 に よ る ピ ネ ン 放 散 実 験
上 図 : 湿 度 80 %、 下 図 : 湿 度 60 %
( 2008.9.4 お よ び 2008.9.16 実 施 )
芳 香 族 計 で は 、 T-VOC 計 に 比 較 し て α -ピ ネ ン に 対 し 感 度 が 高 い こ と が 示 さ れ
た。また、湿度の違いによる応答性の差もみられなかった。
Ⅲ-2-4-47
160
ピネン放散開始
140
300
120
100
200
80
100
60
40
TVOC (ppb)
PID (ppb)
PID
TVOC
400
0
20
0
-100
0
50
100
150
Time (min)
200
250
300
ピネン放散開始
140
140
120
120
100
100
80
80
60
60
Arom. (ppb)
PID (ppb)
PID
Arom.
160
160
40
40
20
20
0
-20
0
0
50
図 Ⅲ -2-4-33
100
150
Time (min)
200
250
300
TVOC 計 ( 上 図 )、 芳 香 族 計 ( 下 図 ) と
PID に よ る ピ ネ ン 放 散 測 定
2 時 間 の 暖 機 運 転 の 後 、 1 時 間 後 ピ ネ ン を 放 散 さ せ た 。 T-VOC 計 で は 、 エ タ ノ
ー ル 製 品 と 同 様 、 α -ピ ネ ン 放 散 後 の 立 ち 上 が り が 速 く 、 放 散 停 止 後 の 減 衰 も 速
やかであったが、ベースラインが徐々に上昇する結果となった。
芳 香 族 計 で は 、α -ピ ネ ン に 対 し PID と 同 程 度 の 感 度 が あ る も の と 考 え ら れ た 。
Ⅲ-2-4-48
3) エ タ ノ ー ル
フ ィ ー ル ド 調 査 の 結 果 、居 住 環 境 で し ば し ば み ら れ る エ タ ノ ー ル 製 品 の 使 用 に よ
る T-VOC 濃 度 の 急 激 な 上 昇 に つ い て 、 開 発 セ ン サ の 応 答 性 を 確 認 し た 。
T-VOC 計 は 、 可 変 抵 抗 を 10 kΩ に 保 ち 2 時 間 暖 機 運 転 を し て か ら 、 測 定 を 開
始 し た 。 室 内 空 気 濃 度 を 2 時 間 連 続 測 定 し た 後 、 測 定 器 の 周 囲 1m の 範 囲 に エ タ
ノ ー ル 製 品 を 3 プ ッ シ ュ ( 2.4 g ) 噴 霧 し 、 応 答 値 を 観 測 し た 。
エタノール製品スプレー
600
500
400
400
300
300
TVOC (ppb)
600
500
PID (ppb)
PID
TVOC
700
200
200
100
100
0
-100
0
0
50
100
150
Time (min)
80
400
60
300
40
Arom. (ppb)
エタノール製品スプレ
500
PID (ppb)
PID
Arom.
100
600
200
20
100
0
0
0
50
100
150
Time (min)
図 Ⅲ -2-4-34
T-VOC 計 、 芳 香 族 計 と PID に よ る エ タ ノ ー ル 製 品 噴 霧 測 定
図 Ⅲ -2-4-34 よ り 、T-VOC 計 、芳 香 族 計 と も に エ タ ノ ー ル 製 品 の 噴 霧 に 対 し て
PID と 同 程 度 の 応 答 性 が 認 め ら れ た 。た だ し 、濃 度 換 算 値 を み る と T-VOC 計 が 最
も 高 い 感 度 を 有 し 、芳 香 族 計 の 感 度 は 低 い も の と 考 え ら れ た 。ま た 、T-VOC 計 で
は エ タ ノ ー ル の ピ ー ク を 検 知 し た 後 の 下 降 が ス ム ー ズ で は な く 、含 酸 素 物 質 に よ
る素子表面での化学反応などの影響を考える必要があると考えられる。
Ⅲ-2-4-49
・フィールド調査
700
110
600
90
500
70
400
50
300
調理
換 気 扇 ON
200
30
調理
換 気 扇 ON
100
10
窓開け
0
7:30
9:30
11:30
PID
Arom.
Arom. (ppb)
PID (ppb)
プ ロ ト タ イ プ 芳 香 族 計 を 用 い て 居 住 環 境 中 の T-VOC 濃 度 経 時 変 化 を 調 査 し た 。
図 Ⅲ -2-4-35 に 実 測 例 を 示 す 。 ま た 、 図 Ⅲ -2-4-36,37,38 に T-VOC 計 を 用 い た
調査例を示す。
13:30
15:30
17:30
-10
19:30
Time
図 Ⅲ -2-4-35
居 住 住 宅 に お け る 芳 香 族 計 と PID を 用 い た T-VOC 濃 度 経 時 変 化
芳 香 族 計 は 、居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 変 化 に 対 応 し た 応 答 性 を 示 し た 。た
だ し 濃 度 レ ベ ル が 低 く 計 測 さ れ る 様 子 が み ら れ 、定 量 値 と し て 示 す 場 合 に は 検 量
線 の 作 成 方 法 に つ い て 検 討 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。ま た 、一 部 の 住 宅 で 、PID
に よ る 応 答 と 芳 香 族 計 に よ る 応 答 が 異 な る 場 合 が あ り 、芳 香 族 計 に は PID と 応 答
性が全く異なる化学種が存在するものと考えられる。
Ⅲ-2-4-50
I邸
図 Ⅲ -2-4-36
I 邸 に お け る PID と T-VOC 計 に よ る T-VOC 濃 度 経 時 変 化
Ⅲ-2-4-51
I 邸 に お け る 調 査 に よ り プ ロ ト タ イ プ T-VOC 計 は 、す し 飯 の 温 め や 化 粧 品 の 使
用 に よ り 測 定 値 が 大 き く 変 動 す る こ と が 確 認 さ れ た 。前 節 で 述 べ た よ う に T-VOC
計 は エ タ ノ ー ル に 高 感 度 で あ る こ と か ら 、T-VOC 計 は 、エ タ ノ ー ル だ け で な く カ
ル ボ ン 酸 な ど の 含 酸 素 物 質 に 対 し 、高 い 感 度 を 持 つ と 考 え ら れ た 。逆 に 石 油 フ ァ
ン ヒ ー タ の 使 用 で は 測 定 値 が 下 が る 現 象 を 示 し た 。こ れ は PID に よ る 計 測 と 相 反
す る も の で あ り 、 酸 素 量 の 低 下 や NOx の 生 成 な ど が 原 因 と し て 考 え ら れ る た め 、
今後更に調査が必要であると考えられた。
E邸
I 邸 に お け る 調 査 に よ り 、燃 料 の 燃 焼 に よ っ て T-VOC 計 の 計 測 値 が 低 く な る 傾
向 が あ っ た た め 、他 の フ ィ ー ル ド に お い て ガ ス の 燃 焼 に よ る T-VOC 計 の 応 答 値 を
PID と 比 較 し た 。
調理
換 気 扇 ON
PID (ppb)
140
120
2500
調理
換 気 扇 ON
100
2000
1500
80
1000
60
40
PID
TVOC
TVOC (ppb)
160
500
20
0
16:00
20:00
0:00
Time
4:00
8:00
2500
160
調理時
換 気 扇 ON
PID (ppb)
140
2000
120
100
1500
80
1000
60
40
PID
TVOC
TVOC (ppb)
0
12:00
500
20
0
23:00
0
0:00
1:00
2:00
3:00
Time
図 Ⅲ -2-4-37
E 邸 に お け る PID と TVOC 計 に よ る T-VOC 濃 度 経 時 変 化
および調理時における濃度変化
Ⅲ-2-4-52
図 Ⅲ -2-4-37 に 示 し た 調 査 例 で は 、調 理 時 の ガ ス コ ン ロ 使 用 に よ る 、T-VOC 計 の
測 定 値 の 下 降 は 見 ら れ な か っ た 。調 理 中 は 換 気 扇 が 使 用 さ れ て い る た め 、酸 素 あ
る い は NOx に よ る 影 響 は 出 な か っ た も の と 考 え ら れ る 。
ま た 、T-VOC 計 で は 、実 験 室 に お い て 外 気 の 導 入 に よ り 測 定 値 が ゼ ロ レ ベ ル を 下
回 る 傾 向 が 見 ら れ る こ と が 多 く 、二 酸 化 炭 素 、一 酸 化 炭 素 、窒 素 酸 化 物 な ど の ガ
スによる影響についても確認をとる必要があると考えられた。
図 Ⅲ -2-4-38 に 一 酸 化 炭 素 な ど の 燃 焼 系 ガ ス が 多 く 発 生 す る と 考 え ら れ る 喫
煙 所 に お い て 、 T-VOC 計 を 用 い た 調 査 例 を 示 す 。
2000
500
1600
300
1400
200
TVOC (Le vel)
1800
400
PID(ppb)
PID
TVOC
1200
100
0
12:50
1000
800
13:50
14:50
図 Ⅲ -2-4-38
15:50
16:50
17:50
Time
18:50
19:50
20:50
21:50
T-VOC 計 を 用 い た 喫 煙 が 頻 繁 に 行 わ れ る 室 内 に お け る
T-VOC 濃 度 変 化
測 定 開 始 直 後 は 、 T-VOC 計 の 応 答 と PID の 応 答 は お お よ そ 一 致 し て い た が 、
19:50 頃 か ら は 、 T-VOC 計 の 測 定 値 が ベ ー ス ラ イ ン ま で 下 が ら ず 、 PID で 観 測 さ
れ た T-VOC 濃 度 の 変 化 に 追 随 で き な く な っ た 。理 由 と し て 、タ ー ル 分 な ど の 付 着
な ど を 考 え る こ と が 出 来 る が 、セ ン サ 部 分 が 高 温 で あ る こ と か ら タ ー ル 分 が 燃 焼
せずに付着しているとは考えにくく、むしろ酸化生成物による被毒が疑われる。
Ⅲ-2-4-53
・長期連続運転によるドリフト
2008 年 12 月 に 行 っ た 、 T-VOC 計 を 用 い た 居 住 環 境 の 調 査 で は 、 数 日 間 の 連 続 測
定を行ったため、ベースラインが徐々に上昇するドリフトが見られた。図 Ⅲ
-2-4-39 に そ の 様 子 を 示 す 。
4000
TVOC(Level)
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
14:00 18:00 22:00 2:00
6:00 10:00 14:00 18:00 22:00 2:00
6:00 10:00
Time
図 Ⅲ -2-4-39
居 住 住 宅 調 査 に お け る T-VOC 計 に よ る 長 期 連 続 測 定
T-VOC 計 お よ び 芳 香 族 計 の ド リ フ ト の 様 子 を 検 証 す る め 、実 験 室 内 に て PID を
併 用 し て T-VOC 濃 度 の 連 続 測 定 を 行 っ た 。 図 Ⅲ -2-4-40 に T-VOC 計 に よ る 長 期
連 続 測 定 結 果 を 、 図 Ⅲ -2-4-41 に 芳 香 族 計 に よ る 長 期 連 続 測 定 結 果 を 示 す 。
TVOC
800
90
80
600
PID
70
400
60
200
50
0
0
200
図 Ⅲ -2-4-40
400
600
Time(min)
800
1000
PID (ppb)
TVOC sensor (ppb)
1000
40
1200
T-VOC 計 と PID に よ る 長 期 連 続 測 定
Ⅲ-2-4-54
T-VOC 計 で は 、 抵 抗 値 を 12 kΩ ( 表 示 Level: 500) に 調 整 し 、 約 18 時 間 連 続
運 転 を 行 っ た 。そ の 結 果 、1 時 間 程 度 で T-VOC 濃 度 が 一 旦 上 昇 す る と ベ ー ス ラ イ
ン に 戻 ら な い 傾 向 が 見 え 始 め 、10 時 間 後 に ベ ー ス ラ イ ン 濃 度 が 最 も 高 く な っ た 。
そ の 後 ベ ー ス ラ イ ン は 徐 々 に 下 降 す る 傾 向 が 見 ら れ た 。本 調 査 は 、T-VOC 濃 度 が
実 居 住 空 間 よ り 低 い 状 態 で 行 わ れ た も の で あ る た め 、ベ ー ス ラ イ ン の ド リ フ ト が
強 調 さ れ た 結 果 と な っ た が 、居 住 環 境 の 測 定 に お い て は ど の 程 度 の ド リ フ ト ま で
許容できるか、ベースライン補正も含め検証すべきである。
80
16
P ID
70
12
60
10
50
8
6
Aro m.
PID (ppb)
Arom. sensor (ppb)
14
40
4
30
2
0
0
200
図 Ⅲ -2-4-41
400
600
Time (min)
800
1000
20
1200
芳 香 族 計 と PID に よ る 長 期 連 続 測 定
芳 香 族 計 で は 、長 期 連 続 測 定 に よ る ベ ー ス ラ イ ン の ド リ フ ト は 、殆 ど み ら れ な
かった。
まとめ
T-VOC 計 、芳 香 族 計 と も に 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 変 化 に 対 応 し た 応
答 性 を 有 す る こ と が 確 認 さ れ た 。た だ し 、両 セ ン サ と も に 二 酸 化 炭 素 や 窒 素 酸 化
物 な ど の 無 機 ガ ス に 対 し 測 定 値 が 変 動 す る 可 能 性 が あ り 、今 後 こ れ ら の ガ ス に つ
い て も 確 認 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。ま た 、市 販 品 で あ る PID で も 全 て の 物
質 に 同 程 度 の 感 度 を 有 す る の で は な く 、一 部 の 物 質 に つ い て は 、著 し く 低 い 感 度
し か 持 た な い 。よ っ て 、換 気 設 備 制 御 の た め の 揮 発 性 有 機 化 合 物 検 出 器 で あ る た
め に は 、複 数 の セ ン サ を 用 い て 居 住 環 境 で 検 知 さ れ る 物 質 全 て に つ い て 総 合 的 に
評 価 で き る こ と が 求 め ら れ る 。そ の た め に は 、個 々 の セ ン サ に つ い て 図 Ⅲ -2-4-2
に 示 し た よ う な 化 学 種 別 の 感 度 調 査 を 行 う 必 要 が あ る 。そ の 上 で 濃 度 換 算 す る た
めの検量線を作成することが望ましいと考えられる。
Ⅲ-2-4-55
2.4.4
目的に照らした達成状況
-生活的要素 フィールド調査-
本 研 究 で は 、 モ ニ タ リ ン グ に 適 し た 居 室 の 選 出 、 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC
濃 度 変 動 の 実 態 、モ ニ タ リ ン グ ゾ ー ン と 非 モ ニ タ リ ン グ ゾ ー ン の T-VOC 濃 度 分 布
状 況 を 明 ら か に す る た め 、実 フ ィ ー ル ド に お け る 調 査 を 居 住 者 の 協 力 を 得 て 行 っ
た。
最終目標
研究開発成果
達成度
① 住居内における高濃
度かつ濃度変動の大
きい居室の調査
T-VOC 濃 度 が 高 く 、 変 動 の 大 き い 居 室 は 、
リビングルームであった。
達成
T-VOC 濃 度 変 動 の 要 因 と な る 居 住 者 の 行 動
は 、調 理 、飲 食 、喫 煙 で あ っ た 。そ れ ぞ れ
の 行 動 の 継 続 時 間 は 、 飲 食 で は 30 分 間 前
後 と 1 時 間 前 後 の 2 種 、 喫 煙 で は 10 分 間
以下であった。
達成
③ モニタリングゾーン
と非モニタリングゾ
ーン間の汚染物質濃
度影響調査
ひ と つ の 居 室 に お け る T-VOC 濃 度 変 動 は 、
住居内の他室に少なからず影響を及ぼす
が 、そ の 程 度 は 住 居 内 の 空 気 の 流 れ に よ っ
て大きく異なった。
達成
④ 実空間における開発
センサの実証実験お
よび適応性評価
T-VOC 計 で は ト ル エ ン 、 α -ピ ネ ン に 一 定
の 感 度 を 示 し 、エ タ ノ ー ル に は 極 め て 高 い
感 度 を 示 し た 。し か し 、ベ ー ス ラ イ ン の ド
リフトが確認た。
芳 香 族 計 で は 、 ト ル エ ン 、 α -ピ ネ ン に 感
度 を 示 し た が 、エ タ ノ ー ル に 対 す る 感 度 は
低 か っ た 。ま た 、顕 著 な ベ ー ス ラ イ ン の ド
リフトはみられなかった。
住宅内で両センサを使用したところとも
居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 変 動 に
対する応答性を有することが示された。
T-VOC 計 で は 、エ タ ノ ー ル 以 外 の 含 酸 素 物
質 に 高 感 度 を 示 し 、燃 料 の 燃 焼 に よ り 測 定
値が下降する傾向が見られた。
達成
② 居住者の行動による
T-VOC 濃 度 変 化
Ⅲ-2-4-56
①
住居内における高濃度かつ濃度変動の大きい居室の調査
居 住 住 宅 に お い て 、複 数 の 市 販 T-VOC 計( 光 イ オ ン 化 検 出 器:PID)を 設 置 し 、
T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 を 調 査 し た 。そ の 結 果 T-VOC 濃 度 が 高 く 、変 動 の 大 き い 居
室 は 、リ ビ ン グ ル ー ム で あ っ た 。よ っ て リ ビ ン グ ル ー ム に お け る T-VOC 濃 度 変 動
を 調 査 す る こ と に よ り 、住 居 内 の T-VOC 濃 度 変 動 を 予 測 で き る と 考 え ら れ た 。さ
ら に キ ッ チ ン を 併 設 し て い る リ ビ ン グ ル ー ム の 場 合 、換 気 扇 の 稼 動 に よ っ て 室 内
の T-VOC 濃 度 が 大 き く 変 動 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 1F に VOC 発 生 源 と な
る 居 室 が あ る 場 合 は 2F の 居 室 に そ の 濃 度 変 動 が 影 響 し た が 、2F に 発 生 源 が あ る
場 合 は 1F に 濃 度 変 動 の 影 響 は 及 ば な い こ と が 確 認 さ れ た 。
②
居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 変 化
居 室 内 に 設 置 し た PID に よ る T-VOC 濃 度 の 経 時 変 化 と 居 住 者 の 記 載 に よ る 行 動
記 録 表 を も と に 、 T-VOC 濃 度 変 動 の 要 因 と な る 居 住 者 の 行 動 を 抽 出 し た と こ ろ 、
調 理 、 飲 食 、 喫 煙 が あ げ ら れ た 。 そ れ ぞ れ の 行 動 の 継 続 時 間 は 、 飲 食 で は 30 分
間 前 後 と 1 時 間 前 後 の 2 種 、 喫 煙 で は 10 分 間 以 下 で あ っ た 。 調 理 、 飲 食 で は 、
カ ル ボ ニ ル 化 合 物 濃 度 の 上 昇 が 認 め ら れ 、飲 酒 を 伴 う こ と に よ り ア セ ト ア ル デ ヒ
ド 濃 度 の 顕 著 な 上 昇 が み ら れ た 。調 理 な ど 燃 料 の 燃 焼 を 伴 う 場 合 、脂 肪 族 系 飽 和
炭 化 水 素 の 濃 度 上 昇 が み ら れ た 。こ れ ら の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 上 昇 は 速 や か
で あ っ た が 行 動 後 の 下 降 は 比 較 的 緩 や か で あ っ た こ と か ら 、VOC 発 生 直 後 の 排 気
が 住 居 内 T-VOC 濃 度 低 減 の た め に 有 効 で あ る と 考 え ら れ た 。ま た 、居 住 者 に よ る
窓 開 け 換 気 は 室 内 の T-VOC 濃 度 低 減 に 極 め て 有 効 で あ り 、 建 材 な ど か ら の VOC
放散速度も減少させる効果があることが示された。
③
モニタリングゾーンと非モニタリングゾーン間の汚染物質濃度影響調査
ひ と つ の 居 室 に お け る T-VOC 濃 度 変 動 は 、住 居 内 の 他 室 に 少 な か ら ず 影 響 を 及
ぼ す が 、そ の 程 度 は 住 居 内 の 空 気 の 流 れ に よ っ て 大 き く 異 な っ た 。特 に 換 気 経 路
が ド ア な ど の 障 壁 に よ っ て 遮 ら れ た 場 合 、他 室 へ の 影 響 は 少 な く な る が 、障 壁 が
取 り 除 か れ た 時 に は 経 路 に あ た る 空 間 で 急 激 な T-VOC 濃 度 変 動 が 生 じ 、換 気 経 路
におけるモニタリングには注意が必要であることが示された。
④
実空間における開発センサの実証実験および適応性評価
T-VOC 計 、 芳 香 族 計 の 2 種 の 開 発 セ ン サ と PID を 同 一 空 間 に お い て 稼 動 さ せ 、
ト ル エ ン 、 α -ピ ネ ン 、 エ タ ノ ー ル へ の 応 答 性 を 調 査 し た 結 果 、 T-VOC 計 で は ト
ル エ ン 、 α -ピ ネ ン に 一 定 の 感 度 を 示 し 、 エ タ ノ ー ル に は 極 め て 高 い 感 度 を 示 し
た 。し か し 、ベ ー ス ラ イ ン の ド リ フ ト が 大 き く 、長 期 連 続 測 定 を す る た め に は 何
らかの補正システムが必要であると考えられた。芳香族計では、トルエン、αピ ネ ン に 感 度 を 示 し た が 、エ タ ノ ー ル に 対 す る 感 度 は 低 か っ た 。ま た 、顕 著 な ベ
ースラインのドリフトはみられなかった。
こ れ ら の セ ン サ を 用 い て 居 住 住 宅 内 の T-VOC 濃 度 変 動 を 調 査 し た 結 果 、両 セ ン
サ と も 居 住 者 の 行 動 に よ る T-VOC 濃 度 の 変 動 に 対 す る 応 答 性 を 有 す る こ と が 示
Ⅲ-2-4-57
さ れ た 。T-VOC 計 で は 、エ タ ノ ー ル 以 外 の 含 酸 素 物 質 に 高 感 度 を 示 し 、燃 料 の 燃
焼 に よ り 測 定 値 が 下 降 す る 傾 向 が 見 ら れ た 。ま た 、外 気 の 導 入 に よ る 著 し い 測 定
値の下降がみられ二酸化炭素や窒素酸化物などの影響を確認する必要があるこ
とが示された。
い ず れ の セ ン サ も 濃 度 換 算 を 行 う と PID に よ る 濃 度 と 大 き く 異 な る 場 合 が あ
り 、検 量 線 を 作 成 す る た め に は 、そ れ ぞ れ の セ ン サ に つ い て 化 学 種 別 の 感 度 を 調
査することが必要であると考えられた。
Ⅲ-2-4-58
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