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群馬県教育情報化推進構想 - 群馬県総合教育センター

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群馬県教育情報化推進構想 - 群馬県総合教育センター
群馬県教育情報化推進構想
−学校の情報化を進めるために−
平成18年12月
群馬県教育委員会
はじめに
群馬県教育委員会教育長
内山
征洋
教育委員会では、群馬県の学校教育における情報教育の推進の方向性を示すため、平成
1 1 年 1 1 月 に 群 馬 県 情 報 教 育 推 進 構 想 を 策 定 し ま し た 。そ の の ち 、情 報 化 社 会 の 進 展 や 、
国及び群馬県の情報施策等を反映させるために、平成12年11月及び平成15年3月に
改訂を行ってきました。
前 回 の 改 訂 か ら 3 年 が 経 過 し 、国 の e-Japan 重 点 計 画 が 平 成 1 7 年 度 末 で 区 切 り を 迎 え 、
新 た な 計 画 と し て 「 I T 新 改 革 戦 略 ( I T 戦 略 本 部 )」 や 「 u-Japan 政 策 ( 総 務 省 )」 等 が
示されました。また、社会の情報環境は、今後も激変することが予想されています。
平 成 1 8 年 3 月 の「 学 校 に お け る 教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に 関 す る 調 査 」の 結 果 を み る と 、
「 高 速 イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 率 」 が 全 国 平 均 を 若 干 下 回 っ て い る も の の 、「 コ ン ピ ュ ー タ の
設置状況、LAN整備率、指導できる教員の割合」については、全国平均を上回っていま
す。しかし、平成15年12月に改訂された推進構想の目標をすべて達成したことになっ
ておらず、今後の時代に対応した教育の情報化の在り方について、再度見直しをする必要
があると考えました。
情報教育の推進は、小学校、中学校、高等学校、盲・聾・養護学校のすべてにかかわる
ことであり、体系的・組織的に推進しなければならない施策です。そのような観点から、
このたび、これらの社会背景を考慮し、これからの群馬県における教育の情報化の指針と
す る た め 、「 群 馬 県 情 報 教 育 推 進 構 想 」 を 改 訂 し 、「 群 馬 県 教 育 情 報 化 推 進 構 想 」 を 策 定
しました。
教育の情報化は、多様な授業展開や学習の場の選択を可能とし、児童生徒の学習の理解
を深めることに役立ちます。また、校務の情報化により、教職員の時間的ゆとりが生み出
され、子どもたちと向き合う時間が増えることによって、よりよい学校づくりに結び付け
られると考えています。
変化の激しいこの情報化社会の中で、群馬県の児童生徒が生きる力を身に付けられるよ
う、また、この構想が教育の情報化を推進する指針となるよう積極的に活用していただき
き、学校の情報化を進めてほしいと考えています。
平成18年12月
目
次
はじめに
1
Ⅰ
Ⅱ
教育情報化推進構想の趣旨
3
群馬県の学校の情報化の現状と今後
4
1 群 馬 県 の 施 策 …………………………………………………………………………………… 4
2 群馬県の学校の現状
………………………………………………………………………… 4
(1)学校における情報教育の実態等に関する調査結果について
(2)市町村教育委員会へのアンケート調査結果について
3 めざす姿
………………………………………………………………………………………… 6
(1)学校(教育委員会等)
(2)教職員
(3)児童生徒
(4)保護者・地域
4 I C T の 利 活 用 ………………………………………………………………………………… 8
(1)授業・学習での利活用(わかる授業・楽しい授業を実現するために)
(2)校務での利活用
(3)開かれた学校づくりでの利活用
(4)情報モラル・情報セキュリティへの対応
5 情報環境の整備
…………………………………………………………………………… 1 1
(1)県の情報ネットワーク環境の整備
(2)学校の情報環境の整備
(3)学校の情報機器の整備
(4)学校で利活用するための環境整備
(5)情報セキュリティのための環境整備
(6)ICT指導力向上
Ⅲ 情報化社会への対応
14
1 情報モラルについて
……………………………………………………………………… 1 4
(1)児童生徒が情報化社会で快適に生活できるようにするために
(2)教職員の資質の向上
(3)保護者、地域の啓発
(4)教育委員会・学校の対応
2 情報セキュリティについて
……………………………………………………………… 1 5
(1)学校の規約等について
(2)技術的な情報セキュリティ
(3)人的な情報セキュリティ
(4)物理的なセキュリティ対策
(5)個人情報について
Ⅳ 参考
18
1 国 の 施 策 ……………………………………………………………………………………… 1 8
2 参考資料のURL
…………………………………………………………………… 1 8
-1-
Ⅰ
教育情報化推進構想の趣旨
近年の社会が情報化するスピードには、驚くべきものがある。携帯電話やモバイル機器
の高機能化、インターネット回線のスピードの向上、インターネットを通じたサービスの
広 範 さ や 多 様 化 な ど 、め ま ぐ る し い 変 化 の 嵐 の 中 で 私 た ち は 生 活 を し て い る 。1 0 年 前 に 、
「こんなものがあればいい」と想像した機器を、廉価で手に入れることが可能になってき
ている。
*1
総 務 省 で は 、「 u-Japan 政 策 」 を 策 定 し 、「 あ ら ゆ る 人 や 物 が 結 び つ く ユ ビ キ タ ス 社 会 の
実現」を提唱している。新たな情報機器や広範な情報環境が、意識せずに私たちの生活に
とけ込み、支援や補助を行うことで私たちの生活はさらに大きく変化することが確実視さ
れている。
私 た ち は 、「 大 き く 変 化 し て い く 情 報 化 社 会 に 生 き る 力 」 を 身 に 付 け た 人 間 を 育 て て い
くことが求められている。特に、地域や家庭と連携を図りながらも、学校教育がその役割
を 果 た す こ と が 期 待 さ れ て い る 。 こ の よ う な 背 景 を 受 け 、「 学 校 の 情 報 化 」 や 「 教 育 の 情
報化」の取組が世界中の学校で取り組まれているのは、御承知のとおりである。
激しく変化する社会に対応するために、今まで積み上げてきた教育実践を踏まえ、なお
かつ、その有効性を見極めながらよりよい実践を模索していくことが教育関係者や保護者
の使命であると考えている。
そこで、本推進構想は、群馬県における教育の情報化の充実を図っていく上で、群馬県
の初等中等教育における情報教育の在り方について、その将来の方向性を示し、県及び市
町村が一体となって、平成20年度までを計画の視野に入れ、学校の情報化・教育の情報
化 を 推 進 し 、「 情 報 化 に 対 応 し た 学 校 」、「 情 報 機 器 等 を 活 用 し た わ か る 授 業 ・ 楽 し い 授 業
の 実 現 」、「 効 率 の よ い 校 務 処 理 」 等 を 実 現 で き る よ う に 策 定 し た も の で あ る 。
また、子どもたちが情報化社会で、安全・快適に生活していけるよう、情報モラルや情
報セキュリティの基本を身に付けさせるとともに、学校教育において配慮すべき事項等を
明らかにするように配慮したものである。
*1 イ ン タ ー ネ ッ ト な ど の 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク に 、 い つ で も 、 ど こ か ら で も ア ク セ ス で き る 環 境 を 指 し 、 ユ
ビキタスが普及すると、場所にとらわれない働き方や娯楽が実現出来るようになる。アクセスに使う
端末は、パソコンや携帯電話に限らず、冷蔵庫や電子レンジといった家電製品、自動車、自動販売機
等もインターネットに接続され、ウェアラブル・コンピュータと呼ばれる身に付けるコンピュータも
開発中である。
-2-
Ⅱ
1
群馬県の学校の情報化の現状と今後
群馬県の施策
○ぐんまネットプラン
−群馬県情報化推進計画−
※現在、県情報政策課において19年度を初年度とする新計画の策定を進めているところである。
2
群馬県の学校の現状
(1)学校における情報教育の実態等に関する調査結果について
文 部 科 学 省 で は 、 e-Japan 重 点 計 画 に よ る 平 成 1 7 年 度 末 ま で に 達 成 す べ き 整 備 目 標 を
定め、毎年その実態等に関する調査を実施してきた。以下は、次の4つの指標とその結果
( H18.3.31 現 在 )を 、 全 国 の 平 均 値 と と も に 示 し た も の で あ る 。( 表 中 の 「 文 部 科 学 省 の 基 準 」
は、文部科学省が示した平成17年度末までの主な整備目標)
「学 校 における教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に関 する調 査 」 結 果
①教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数
文部科学省の基準
5.4人/台
調査年度
群馬県
全国
13年度
9.2
11.1
14年度
8.2
9.7
15年度
7.4
8.8
16年度
6.5
8.1
17年度
6.2
7.7
②校内LAN整備率
文部科学省の基準
100%
調査年度
群馬県
全国
13年度
28.9%
21.1%
14年度
37.3%
29.2%
15年度
46.0%
37.2%
16年度
58.1%
44.3%
17年度
69.1%
50.6%
教 育 用 コンピュー タ1台 当 たりの 児 童 生 徒 数
人/台
群馬県
全国
1 2 .0
1 0 .0
8 .0
6 .0
4 .0
2 .0
0 .0
13年 度
14年 度
15年 度
16年 度
17年 度
校 内 LAN整 備 率
群馬県
全国
100%
80%
60%
40%
20%
0%
13年 度
-3-
14年 度
15年 度
16年 度
17年 度
③高速インターネット接続率
文部科学省の基準
100%
調査年度
群馬県
全国
13年度
※
※
14年度
※
※
15年度
71.2%
71.5%
16年度
79.8%
81.7%
17年度
87.5%
89.1%
学校の高速インターネット接続率
群馬県
全国
100%
80%
60%
40%
20%
0%
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
※1 3・ 14年 度は 調査し てい ない。
(高 速と はおよ そ、 400kbps 以 上)
④コンピュータで指導できる教員の割合
文部科学省の基準
調査年度
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
コンピュー タで 指 導 で きる教 員 の 割 合
概ねすべての教員
群馬県
54.6%
60.2%
63.5%
69.5%
76.1%
群馬県
全国
47.4%
52.8%
60.3%
68.0%
76.8%
全国
100%
80%
60%
40%
20%
0%
13年 度
14年 度
15年 度
16年 度
17年 度
(2)市町村教育委員会へのアンケート調査結果について
平成18年6月現在で、市町村教育委員会に義務教育諸学校の情報整備に関するアン
ケートを依頼した。主な結果は、次のとおりである。
ア
教職員を対象にコンピュータの計画
的 な 配 布 を 行 っ て い ま す か 。( 教 職 員
一人1台のコンピュータ整備)
21%
1:既に配付済み
2:計画的に配付している
13%
3:計画的に配付はしていない
66%
イ
各市町村(教育委員会)
で、計画・規約等を策定し
ていますか。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
情報化の計画
ソフトウェアの管理等の規約
個人所有パソコンの規約
校内LA N の規約
情報セキュリティのルール
-4-
ある
ない
ウ
有 害 情 報 の フ ィ ル タ リ ン グ *1
を行っていますか。
11%
21%
%
8%
1:市町村(教育委員
会)で一括して実施し
ている
2:すべての学校で実
施している
3:一部の学校で実施
している
4:実施していない
60%
3
めざす姿
学校の情報化、教育の情報化を進めるのは、次の4つのねらいを達成するためである。
○
○
○
○
わかる授業・楽しい授業の実現
−有効な教具としての利活用−
校務の情報化による効率化・省力化・共有化
−少ない労力でたくさんの成果−
児童・生徒・教職員の情報活用の実践力の向上
−スキルの向上・知識の習得−
情報化社会に参画する態度の確立 −情報モラル・情報セキュリティ等の対応−
そ の た め に 、 学 校 ( 教 育 委 員 会 )、 教 職 員 、 児 童 生 徒 、 地 域 ・ 社 会 の そ れ ぞ れ の 立 場 か
ら、めざす姿を具体化するための施策を示すこととした。
(1)学校(教育委員会等)
・学校における情報化の方針の決定
学校経営方針の中に、情報教育(情報モラル・情報セキュリティを含む)が位置付け
られていること。
・情報環境の適切な整備
進展する情報機器や情報環境に対応し、必要な機器等を計画的に整備すること。運営
管理者の育成に努めること。専門技術者の支援体制の充実を図ること。また、わかる授
*2
業・楽しい授業の実現のため、普通教室でもICT を活用できるようにすること。
・校務の情報化の積極的な対応
校務の効率化・省力化・省資源化を図り、教職員の負担軽減を図るとともに、効率の
よい校務を推進するために、校務事務の標準化・情報化を進めること。その際、利用す
る環境等の標準化を行い、学校間の差異を少なくすること。その前提として、校務の標
準化を行うこと。
・学校の情報の適切・適時の発信
学 校 に つ い て 、 適 切 な 内 容 を 適 切 な 時 期 に Web ペ ー ジ や 電 子 メ ー ル で 情 報 発 信 し 、
開かれた学校の実現や、家庭や地域への情報交流を図ること。
・情報に関する安全の確保
児童生徒や教職員等の安全と個人情報を保護するための環境を確保し、教職員の意識
啓発に努めること。不正侵入を防ぐシステムを構築すること。
* 1 児 童 生 徒 に 不 適 切 な 情 報 を 含 む Web ペ ージ等 への閲 覧を制 限する など して、 インタ ーネッ トへの アク
セスを管理することができるしくみ。
* 2 Information and Communication Technology の略 で、情 報通信 技術を 表す言 葉。
日 本 で は IT ( Information
Technology ) が 同 義で使 われて いるが 、 IT に 「 Communication (コミ ュニケ ーシ
ョ ン )」 を 加 え た ICT の 方 が 、 国 際 的 に は 定着し ている 。
-5-
・個に応じた指導の支援
生徒の実態に応じて、同時間、同一場所に集まることなく、自分のペースで学習を進
めることができるようにするため、eラーニングを活用できるようにすること。
(2)教職員
・ICTを利活用したわかる授業・楽しい授業の実現
わかる授業・楽しい授業を実現するために、すべての教員がICTの活用を検討し、
効果的に活用すること。特に、校内LANとコンピュータ及び大型表示装置(電子黒板
*1
等) の活用を進めること。
・ICT活用指導力向上のための取組
ICTを学力向上のために用いるツールであると考え、ICT活用指導力を高めるこ
と。そのために、校内でのICT活用授業の実践研修に取り組むとともに、共に学び合
うように努めること。
・教材や役立つデータの収集と共有化
わかる授業・楽しい授業を実現するための環境整備として、ディジタル教材の作成や
データを収集し、情報の共有化を図ること。研修等へ積極的に参加すること。
・校務の情報化への適切な対応
校務の情報化を、積極的に推進し、効率化・省力化を図ること。
・情報モラルや情報セキュリティの理解と、安全利用の指導
加害者や被害者にならないために、計画的に情報モラルや情報セキュリティの学習を
行うとともに、研修に努めること。
(3)児童生徒
高等学校学習指導要領では、教科「情報」において、情報教育の目標として、「情報活用の実践
力」「情報の科学的な理解」「情報化社会に参画する態度」をあげている。小学校、中学校、高等学
校、盲・聾・養護学校等において、この3つの観点をバランスよく育成できるよう、発達段階を踏
まえ系統的に指導することが必要である。
・学習における情報機器の活用(情報活用の実践力)
情報機器を利用することにより、教材教具の選択の幅を広げるとともに、思考ツール
や表現ツールの一つとして利用し学習を深めること。また、情報の検索・収集、情報の
表現・発信等の各段階に、情報機器を効果的に利用できるようにすること。
・情報機器活用能力の向上(操作能力の向上・情報の科学的な理解)
情報機器やソフトウェアの操作能力を向上させるとともに、情報化社会の情報の科学
的な理解を進め、高度情報通信社会に生きるための技能を培うこと。
・ 情 報 モ ラ ル や 情 報 セ キ ュ リ テ ィ に 対 す る 理 解 と 安 全 へ の 対 応 (情 報 化 社 会 に 参 画 す る 態
度)
加害者や被害者にならないために、情報セキュリティの基本的な知識を身に付けると
ともに、情報モラルを育成し高度情報通信社会に生きるための素地を培うこと。
(4)保護者・地域
・情報の相互交流
学校と家庭・地域で情報を公開し交流し合いながら、児童生徒が健やかに成長できる
環境を醸成すること。
・地域の教育力の活用
情報についての専門知識と技術を備えた人材を活用し、学校の情報化の推進を図ること。
*1 電 子 情 報 ボ ー ド や 液 晶 プ ロ ジ ェ ク タ 等 、 コ ン ピ ュ ー タ 画 面 や デ ィ ジ タ ル カ メ ラ 画 像 を 大 き く 提 示 す る
装置のこと。
-6-
4
ICTの利活用
学校の情報化、教育の情報化では、情報機器やインターネット等の情報環境を必要に応
じて利活用し、効果的な学習や健全な児童生徒の育成を図ることが必要である。このこと
について、以下の(1)∼(4)に分けて示した。
(1)授業・学習での利活用(わかる授業・楽しい授業を実現するために)
授業において、児童生徒の実際の体験や活動、実物を利用した教材提示等が重要である
ことはいうまでもないが、授業を改善する一つの手段として、必要に応じて情報機器を取
り入れることを考える必要がある。例えば、教員にとって次のような利活用の手段が考え
られる。
○ ディジタルカメラやディジタルビデオカメラの画像を授業で利用する。
*1
○ 教 材 研 究 や 教 材 作 成 を す る た め の 資 料 を G-TaK や イ ン タ ー ネ ッ ト か ら 収 集 す る 。
○ ディジタル教材を提示する道具として、コンピュータやディジタルカメラ等と大
*2
型提示装置 (電子黒板等)を利用する。
○ 説明する際など、表現する方法を広げる道具として、グラフィックソフトやプレ
ゼンテーションソフト等のソフトウェアを利用する。
○ 特別な支援を必要とする児童生徒のニーズに応じるための道具として、情報機器
を利用する。
○ 考えを深めさせる道具として、ワープロソフトや各種の学習用ソフトウェア等を
利用する。
○ 学 習 す る 情 報 を 収 集 さ せ る 道 具 と し て 、イ ン タ ー ネ ッ ト や 電 子 メ ー ル を 利 用 す る 。
○ 共 同 学 習 を さ せ る ツ ー ル と し て 、 校 内 LAN で 接 続 さ れ た コ ン ピ ュ ー タ 等 を 利 用
する。
コラム1
小 学 校 で、情 報 機 器 を使 ってわ か りや すい授 業 づくりに取 り組 み ました。でも、情 報 機 器
を使 うの は 難 しそうなの で、は じめ は ディジタル カメラと液 晶 プロジェクタを接 続 して、教 科
書 をスクリー ンに投 影 して授 業 をすることか ら始 め ました。子 どもたちが スクリーンの 画 像
に注 目 するの で、子 どもの 表 情 を見 なが ら学 習 を進 めることが でき効 果 的 でした。
また、授 業 の 初 めに学 校 の サ ーバ に保 存 してあるG -T aK か ら、映 像 を選 択 して、プロジェ
クタで投 影 したところ、子 どもたちの 学 習 へ の 関 心 が 高 まるの が 感 じられ ました。
今 までの 授 業 にほ んの 少 し情 報 機 器 を加 えて工 夫 することで、授 業 改 善 になることを実
感 しました。
※ 授 業 ・ 学 習 で の 利 活 用 の 具 体 的 な 事 例 に つ い て は 、「 ぐ ん ま I T 活 用 ガ イ ド
・2」を参照してください。
授業編1
*1 群 馬 県 総 合 教 育 セ ン タ ー 楽 し い 授 業 づ く り 教 材 コ ン テ ン ツ 集 。 授 業 で 使 え る デ ィ ジ タ ル コ ン テ ン ツ を
学年別・教科別フォルダに収めたもの。
*2 電 子 情 報 ボ ー ド や 液 晶 プ ロ ジ ェ ク タ 等 、 コ ン ピ ュ ー タ 画 面 や デ ィ ジ タ ル カ メ ラ 画 像 を 大 き く 提 示 す る
装置のこと。
-7-
(2)校務での利活用
校務を効率化・省力化・省資源化し、よりよい学校教育を実現するためには、情報機器
を利活用する必要がある。例えば、次のような利活用の方法がある。
○ 教材研究や、校務分掌の作業の共有化を図る。
*1
○ ファイルサーバ にファイルを保存し校務情報を共有する。
○ ネットワーク上で、成績や出欠、健康状態等の情報管理をする。
○ 電子掲示板を利用し、全員に同時に連絡する。
○ 特別教室や機器などの利用の管理・調整を行う。
○ 校内の情報流通を明確にする。
○ 教育委員会等との通知・連絡・報告・提出等の連携を図る。
*2
○ 学 校 評 価 等 、 情 報 収 集 の 際 の ア ン ケ ー ト 集 計 等 に 利 用 す る ( S Q S シ ス テ ム )。
ポ ー ト タ ル サ イ ト の U R L : http://sqs.cmr.sfc.keio.ac.jp/gunma/
○ 印 刷 資 料 等 を ス キ ャ ナ で 読 み 取 り デ ィ ジ タ ル 化 す る こ と で 、省 ス ペ ー ス 化 を 図 る 。
○ 意見・要望・苦情等のデータを収集し、情報発信に活かす。
校務事務の際に情報機器や情報環境を活用して生み出された時間を、本来の教育活動で
ある児童生徒とのかかわりや、教材関係の時間に充てることが可能となる。さらにデータ
を 整 備 し 、共 有 化 す る こ と に よ り 、個 々 の 児 童 生 徒 に 応 じ た 不 登 校 ・ 問 題 行 動 対 策 の 検 討 、
補充学習の実施に役立てることができる。
コラム2
学 校 では 、個 人 情 報 を含 まないすべ ての 校 務 関 係 文 書 ファイル を、ファイル サ ーバ に保 存
し、職 員 室 の どの コンピュータか らでも開 けるようにしてあります。保 存 方 法 も、フォル ダを年
度
・学 年 ・分 掌 別 に工 夫 するとともに、ファイル 名 の 付 け方 の 規 則 を共 通 にすることで、だれ でも
いつでも必 要 なデータを利 用 できるの で、たいへ ん効 率 的 になりました。
また、年 2回 実 施 している学 校 評 価 に、SQSシステム (学 校 評 価 支 援 システム における
ツール )を利 用 したところ、集 計 作 業 時 間 と労 力 が 激 減 したため 、データ結 果 をどの ように
学 校 経 営 に生 か していくか 話 し合 う時 間 が とれ るようになりました。また、学 校 評 価 以 外 で
も授 業 研 究 や 実 態 調 査 等 の アンケート集 計 が 容 易 になったため 、すぐにアンケート結 果 を
生 か すことが できるようになりました。
(3)開かれた学校づくりでの利活用
学校の情報を家庭や地域に公開し、情報を共有する手段として、情報機器やインターネ
ットを利活用する必要がある。例えば、次のような方法がある。
*3
○ ア ク セ シ ビ リ テ ィ に 配 慮 し た 学 校 Web ペ ー ジ に よ る 学 校 の 情 報 公 開 と 、 最 新 情
報への更新を行う。
○ 携 帯 電 話 か ら の ア ク セ ス が 可 能 な 学 校 Web ペ ー ジ に よ る き め 細 か な 情 報 提 示 を
*1 校 内 L A N 等 に 接 続 さ れ た コ ン ピ ュ ー タ ( ハ ー ド デ ィ ス ク ) で 、 共 通 の フ ァ イ ル を 一 括 保 存 ・ 管 理 し
て お く こ と に よ り 、 接 続 さ れ た ど の コ ン ピ ュータ から でも、 ファイ ルが利 用でき る。
*2 学 校 評 価 支 援 シ ス テ ム の 1 つ の ツ ー ル 。 マ ー ク シ ー ト 式 ア ン ケ ー ト を 普 通 紙 に 印 刷 し 、 ス キ ャ ナ を 使
って簡便に集計することができるシステム。
*3 高 齢 者 や 視 覚 に 障 害 の あ る 方 な ど で も 、 ど ん な 環 境 か ら で も ペ ー ジ が 閲 覧 で き る よ う に 配 慮 し て 作 成
すること。
-8-
行う。
○ 携 帯 電 話 メ ー ル に よ る 、家 庭 と の 個 別 の 連 絡 や 不 審 者 情 報 の 周 知 等 の 利 用 を 図 る 。
コラム3
保 護 者 の 携 帯 電 話 の 利 用 率 が 高 いため 、学 校 W ebページの 一 部 を携 帯 電 話 でも見 られ
るように改 善 しました。保 護 者 に伝 えたい情 報 を絞 って掲 載 しているため 、毎 日 更 新 しても
負 担 感 は ありませ ん。また、この 夏 休 み は 、天 候 に応 じたプール の 開 設 状 況 を毎 日 掲 載 し
たところ、プール を実 施 しているか 確 認 できると保 護 者 か ら好 評 でした。
また、不 審 者 情 報 や 緊 急 携 帯 メー ル 網 につ い ても、必 要 が あるときには 利 用 してい ま
す。一 斉 に連 絡 が 送 付 できるうえ、保 護 者 も都 合 の いいときに確 認 でき、電 話 よりも間 違 い
なく連 絡 内 容 が 届 くようになりました。
(4)情報モラル・情報セキュリティへの対応
情報機器や情報環境を利活用でき、情報化社会に生きる児童生徒を育成するためには、
情報モラルや情報セキュリティを理解し、実践的な態度を身に付けた学習や体験を展開す
る必要がある。そのために、次のような対応が必要である。
○ 自分のIDとパスワードは、各自で管理できるようにさせる。
○ 人の書いた文章や、友人の写真を使うときには使っていいか本人に確認するよう
にさせる。
○ 電 子 メ ー ル や 学 校 Web ペ ー ジ の 作 成 等 の 体 験 を 通 し て 、 実 践 的 な 情 報 モ ラ ル に
ついて考えさせる学習を実践する。
○ インターネット上の情報を収集する中で、体験的にその有効性と危険性を実感さ
せる。
○ 個 人 情 報 の 取 扱 い を 、 Web ペ ー ジ 作 成 演 習 等 を 通 し て 具 体 的 に 学 習 す る 。
○ コンピュータや記録メディアを廃棄するとき、データを完全に消去するように注
意を促す。
コラム4
授 業 で、学 習 の まとめをW ebページにして発 信 することにしました。
「W ebページに掲 載 したデータは 、世 界 中 の 人 が 見 ることが できるんだ。だか ら、発 信 す
る前 によく確 認 しましょう。」と先 生 か ら、お話 が ありました。
私 の 作 ったページには 、調 べ た本 か ら写 した文 章 とグラフ、友 だちが 撮 った写 真 を借 りて
使 っています。文 章 は か ぎか っこ(「 」)でくくって本 の 題 名 を書 きました。グラフは 出 典 を
きちん と書 き加 えました。写 真 は 、撮 影 した友 だちに話 をして、使 ってい いことになりまし
た。
いろいろ気 をつけるところが あるけれ ど、最 後 に先 生 にも見 てもらおうと思 います。
-9-
5
情報環境の整備
「4 ICTの利活用」を実現し、利活用しやすく、安全で安心できる情報環境にする
ためには、様々な機器や情報環境の整備が必要である。
群馬県は、平成20年度までに次のような内容を目標に情報環境を整備する。
各市町村においてもこの目標を参考にして整備を行う。
(1)県の情報ネットワーク環境の整備
群馬県として、県立学校を中心としたネットワークである「ぐんまスクールネット(G
S N )」 に つ い て 、 次 の よ う な 基 本 構 想 に 基 づ き 整 備 を 継 続 す る と と も に 、 活 用 し て い く
こととする。
情報スクールネット基本構想図
インターネット網
光ファイバー
インターネット接続回線
一般電話回線
情報発信基地
ダイヤルアップ接続
I
SDN64Kbps
アナログ56Kbps
群馬県総合教育センター
県立高校
イーサネット網
県立高校
県立高校
現在、沼田市が接続
県立高校
県立高校
専用線接続(
イーサ網)
・
村教育委員会
・
村すべての小学校
・
村内すべての中学校
専用線接続(
イーサ網)
・市教育委員会
・市内すべての小学校
・市内すべての中学校
県立高校
県立高校
専用線接続(
イーサ網)
・町教育委員会
・町内すべての小学校
・町内すべての中学校
<安全で安心できる情報ネットワーク環境>
*1
・県内全域をイーサネット網 (光ケーブル)接続
総 合 教 育 セ ン タ ー を 中 心 と し て 、県 内 全 域 を イ ー サ ネ ッ ト 網( 光 ケ ー ブ ル )で 接 続 し 、
インターネット接続サービスを提供
・児童生徒や教職員、校種等でそれぞれに対応したフィルタリング
*2
・ウイルス対策やスパイウェア 対策など情報セキュリティ対策
<情報の共有化・効率化>
・校務、教務の効率化を図る情報共有
*3
県内を一つのネットワークと捉え、グループウェア やWebサーバなどによって、
校内のみならず他校との情報共有
・情報交換や校務処理におけるICTの有効活用
<教職員が利用するコンピュータの情報セキュリティ対策>
・業務用コンピュータを教職員が利用するための固有IDとパスワードを付与
* 1 一 般 的 な LAN 等 に 使 わ れ る ネ ッ ト ワ ー クの 規格。
*2 ユ ー ザ に 関 す る 情 報 を 集 め て 記 録 し 、 更 に は 集 め た 情 報 を あ ら か じ め 設 定 さ れ た 特 定 の ( 情 報 収 集 者
で あ る ) 企 業 や 団 体 ・ 個 人 等 に 送 信 す る ソ フトウ ェア のこと 。
* 3 企 業 や 組 織 内 の LAN を 活 用 し た 情 報 共 有の ための シス テムで ある。
- 10 -
・ウイルス対策や修正プログラムの適用などの端末管理
(2)学校の情報環境の整備
学校の情報環境を次の内容で整備する。
・校内すべての場所からのネットワークへの接続
*1
・すべての教室から、超高速インターネット (光接続等)へ接続できる環境の整備
・校務事務の標準化、標準化された校務事務の処理システム導入
・教職員全員のメールアドレスの取得と活用
・教育委員会と学校のグループウェアの構築
・教務用ファイルサーバの設置
・情報教育又はネットワーク担当者の単独の校務分掌への位置付け
(3)学校の情報機器の整備
IT新改革戦略に基づき、学校の情報機器を次の内容で整備する。
<コンピュータの整備>
・コンピュータ1台当たりの児童生徒数
3.6人/台
・コンピュータ室 一人1台のコンピュータ + 教師用2台
・普通教室 2台(1台は児童生徒用、1台は担任が利用)
・特別教室 6台以上
・移動用コンピュータ 1クラス分
・教職員一人1台のコンピュータの配備
・校務用ファイルサーバの設置
・教材用ファイルサーバの設置
<ソフトウェアの整備>
・基本的なソフトウェア
文書作成、表計算、プレゼンテーション、データベース、ブラウザ、メールソフト
・必要に応じたソフトウェア
画像処理ソフト、動画編集ソフト、音編集ソフト他
・校務支援ソフト
・情報共有するためのグループウェア
<周辺機器の整備 >
・電子黒板や液晶プロジェクタ等の提示装置
各学級1台
・ディジタルカメラ(動画撮影可) 10台(4人グループに1台程度)×学年分
・イメージスキャナ(SQSでも利用可)
各学校1台
・ネットワークプリンタ(カラー、モノクロ)
(4)学校で利活用するための環境整備
情報機器を利用した効果的な授業の実施や教員のICT活用能力の一層の向上を図るた
めに次の内容で整備する。
・グループウェアの導入
・ 教 材 用 デ ィ ジ タ ル コ ン テ ン ツ ( G-TaK 等 ) の 充 実
*2
・実践事例の交流(県総合教育センター カリキュラムセンター 等)
・県総合教育センターでの教職員研修の継続・実施・充実
* 1 光 フ ァ イ バ に よ る 高 速 の イ ン タ ー ネ ッ ト 接続。
*2 県 総 合 教 育 セ ン タ ー に 教 職 員 を 支 援 す る た め に 設 置 さ れ た 施 設 。 新 し い 教 育 に 対 す る 相 談 や 、 支 援 ・
資料の提供を行っている。
- 11 -
・校務処理を推進するため、グループウェア等を活用した校務データ情報の共通利用
・インターネット等による自主研修の実現できるシステム
・教え合い、学び合う研修体制の実現
・ICT活用指導力の更なる向上
具 体 的 に は 、校 内 I C T 活 用 研 究 授 業 の 実 施 、I C T 実 技 研 修 、G-TaK の 実 技 研 修 、
県総合教育センターの研修講座等の受講
・ICTの利用について、学校評価での定期的な評価
(5)情報セキュリティのための環境整備
学校で安心して情報機器を利用できる環境を次の内容で整備する。
・全教職員・児童生徒の固有IDとパスワードによるネットワーク接続の実現
*1
・校内LANの切り分け によるセキュリティの確保
・学校毎(ネットワーク毎)に、ファイアウォールの設置
・フィルタリング等による教育上不適切な情報の非接続
・全コンピュータへのウィルス対策ソフトの導入と最新のウィルス定義ファイルによ
る定期的なチェック
コラム5
朝 、職 員 室 の 席 について、まず コンピュータを起 動 します。自 分 の I
Dとパ スワードを入 力
してログインします 。自 動 的 に、ウィル ス対 策 ソフトが コンピュー タ内 の チェックを始 め まし
た。本 日 は 、成 績 処 理 をす るの で、別 に保 管 され ている文 書 庫 か ら記 憶 装 置 を取 り出 し、
必 要 なファイル の パ スワードを確 認 し、開 いてか らデータを入 力 しました。
初 め の 頃 は 、手 間 が か か ると思 っていましたが 、重 要 な情 報 の 保 護 について安 心 できる
の で、か えって何 もしていないコンピュータを使 うほ うが 不 安 に感 じるようになってきました。
一 般 の ファイル は 、一 括 管 理 され たファイル サ ーバ に保 存 され ているの で、自 分 の I
Dでロ
グインすると、どこか らでも利 用 できるの で便 利 です。
(6)ICT指導力向上
ICTを活用した指導法に関する教員研修を次の内容で行う。
・県総合教育センターの研究講座の実施
・校内研修の態勢づくり
<参考>IT新改革戦略(抄)IT戦略本部
次世代を見据えた人的基盤づくり
―全ての教員へのIT機器の整備、IT活用による学力向上―
<目標>
1 教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤のサ
ポート体制の整備等を通じ、学校のIT化を行う。
2 教員のIT指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。
3 自ら学ぶ意欲に応えるような、ITを活用した学習機会を提供する。
4 教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育等を通じ、児童生
徒の情報モラルを含む情報活用能力を向上させる。
○ I T 新 改 革 戦 略 U R L : http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119honbun.pdf
*1 校 内 L A N に 接 続 さ れ て い て も 、 生 徒 機 か ら 職 員 室 の コ ン ピ ュ ー タ に は ア ク セ ス で き な い が 、 そ の 逆
は で き る な ど 、 使 用 者 に よ っ て 制 限 を か け ること 。
- 12 -
Ⅲ
情報化社会への対応
情報化社会は、私たちの生活に多くの恩恵と利便性を与えている。反面、その影の部分
は、児童生徒や教職員に多大な影響を与える可能性がある。そのため、学校教育の中で適
切に対応することは喫緊の課題である。
1
情報モラルについて
情報化社会で快適な生活を送るためには、その影の部分についても知っておく必要がある。たと
えば、使いすぎによる健康への影響、教育上有害とされる情報の閲覧、著作権の扱い、いわれのな
い誹謗中傷、個人情報の流出、ウィルス等など、多岐にわたる。
(1)児童生徒が情報化社会で快適に生活できるようにするために
対処的なルールやマナーを教えるだけでなく、情報社会で適切な行動を行うための基に
なる考え方や態度を育成することが大切である。
<教えるべきことはしっかり教える>
・系統的・継続的な指導の実施
発達段階による計画的な教育活動による指導を進めるため、年間指導計画等に情報
モラル等の指導を位置付け、すべての教員が全学年で実施する。
・学校教育全般での取組
中学校・高等学校等では、技術科や教科「情報」だけで指導するのではなく、各教
科、総合的な学習の時間、道徳、特別活動など、教育活動全体を通して指導し、規範
意識を育成する。
・指導する内容
情報化社会の現状の理解、情報モラルや情報セキュリティの内容の理解、携帯電話
やインターネットの影響への配慮等を扱う。
※ 「学校における情報モラルの指導資料集」の活用 URL:http://www.center.gsn.ed.jp/
<児童生徒が被害者にならないために>
・ネットワーク上の危険とその対処方法
*1
不当請求、ワンクリック詐欺 、いわゆる出会い系サイト等の危険性を知らせる。
・ネットワーク上での個人情報の入力の注意
アンケートや懸賞などに個人情報を入力させないようにする。もし、入力が必要な
場合は、大人に相談させる。
・自分の身は自分で守るという自覚
情報化社会では、子どもだからと許されない場合が多い。危険には近づかないよう
な自覚を必要とすることを指導する。
<児童生徒が加害者にならないために>
・電子掲示板や電子メールの誹謗中傷等の書き込み
感情的になり、他人を傷つけることのないようにさせる。
・友人の個人情報や写真等の流出
おもしろ半分で、電子掲示板や出会い系サイト等に友人や知人の情報を書き込むこ
*1 携 帯 メ ー ル 等 に 記 さ れ て い る リ ン ク を 選 ん で そ の ペ ー ジ を 表 示 す る と 、 虚 偽 の 表 示 を し て 金 銭 の 振 込
みを要求するという手口。
- 13 -
との危険性を認識させる。
・ウィルスの感染による情報流出
親や管理者の許可なく勝手にソフトウェアをインストールさせない。
コンピュータが不自然な動作をしたら、すぐに大人に報告させる。
(2)教職員の資質の向上
教職員は情報リテラシーの向上に努めることが大切である。
・情報モラルの理解
インターネット社会のモラルや、情報環境の活用方法等の理解を図る。
・情報化社会の現状の理解の推進
電子メールやインターネットの相手方を思いやる気持ちの醸成を図る。
・ ア ク セ シ ビ リ テ ィ に 配 慮 し た 学 校 Web ペ ー ジ
誰 で も ス ト レ ス な く 閲 覧 で き る よ う に 、 学 校 Web ペ ー ジ を 作 成 す る 。 例 え ば 、 文 字
の配色や大きさ、ファイルサイズなどに留意する。
・インターネット上の情報の内容の信頼性の判断
イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 情 報 は す べ て 正 し い も の で は な い こ と を 知 り 、判 断 を す る こ と 。
(3)保護者、地域の啓発
機会あるごとに、情報モラルについて啓発をすることが大切である。
・定期的な情報モラルに関する情報発信
情 報 モ ラ ル は 、 新 し い 課 題 の た め 、 家 庭 で の 指 導 が 難 し い 。 そ こ で 、 学 校 Web ペ ー
ジ、学校便り、回覧板等を使って情報モラル等について情報発信をし、保護者を啓発
していく。
・保護者会等での啓発活動
「 親 子 で 学 ぶ 情 報 モ ラ ル 」等 の 講 演 会 の 実 施 や 、P T A 保 護 者 会 等 で の 啓 発 を 行 う 。
*1
( e-net キ ャ ラ バ ン 等 の 実 施 )
(4)教育委員会・学校の対応
教育委員会・学校が、情報モラルの推進役になる必要がある。
・教職員自身の情報モラル等の理解の促進
積極的に情報モラル等に関する研修等を実施し、教職員の理解を促進する。
・家庭や地域への情報発信による連携した取組
必 要 に 応 じ て 、 教 育 委 員 会 か ら も Web ペ ー ジ 等 で 情 報 発 信 す る 。
・危険情報を共有するためのシステムの開発(保護者、関係機関、学校)
警察等の関係諸機関と連携し、情報の共有を行う。
・各教科等での指導
特 別 活 動 等 で 、情 報 安 全 教 育 と し て 、交 通 安 全 ・ 生 活 安 全 指 導 と と も に 指 導 を 行 う 。
2
情報セキュリティについて
情 報 化 社 会 に お い て 、 情 報 機 器 や ネ ッ ト ワ ー ク を 利 用 す る 際 に 、「 被 害 者 に な ら な い た
め 」 だ け で な く 、「 加 害 者 に な ら な い た め 」 の 対 応 を 考 え る こ と が 重 要 で あ る 。 新 た に 発
* 1 文 部 科 学 省 ・ 総 務 省 等 で 行 っ て い る 事 業 。 無 料 で 情 報 モ ラ ル に つ い て の 講 演 等 を 実 施 で き る 。 (∼
H19 )
- 14 -
生している様々な問題に対しては、法整備が進められているが、深刻な事態にならないよ
うにアンテナを高くして対策をたてる必要がある。
(1)学校の規約等について
県や市町村等で策定している、情報セキュリティポリシー(情報環境の利用規約)を遵
守し、学校として次のような規約等を策定するとともに、研修などを通じて共通理解し実
践していく必要がある。
・情報セキュリティポリシー実施手順(情報セキュリティポリシーの学校における具
体的な実施方法)の策定と定期的な見直し
・学校の情報セキュリティ管理態勢の構築や、非常事態の場合の対応方法
・ 情 報 に 関 す る 危 機 対 応 マ ニ ュ ア ル( 実 際 に 問 題 が 起 こ っ た 場 合 を 想 定 し た 対 応 方 法 )
・ イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 規 約 ・ Web ペ ー ジ 作 成 規 約 ・ 個 人 情 報 取 扱 規 約 等
(2)技術的な情報セキュリティ
ネットワーク等の技術的なセキュリティは次のことが考えられる。
<外部からの脅威に対するシステムの対策>
・外部からの脅威に対する防護
*1
校内のネットワークと校外のネットワークの間には、ファイアウォール 等の外部
からの脅威を防ぐシステムを構築する。
・不適切な情報の制限
インターネットを利用する際には、不適切な情報を閲覧できないようにするため、
フィルタリング等を導入する。
・基本ソフトの修正プログラムの実行
Windows 等 の O S の 脆 弱 性 を 防 ぐ た め に 、 修 正 プ ロ グ ラ ム を 定 期 的 に 実 行 す る 。
・定期的なウィルスチェックの実施
すべてのコンピュータにおいて、最新のウィルス定義ファイルを使ったリアルタイ
*2
ムスキャン の機能を利用するなどして、常にウィルスチェックを行う。
<内部からの脅威への対策>
・校内LANの切り分け
校内LANの設定を行い、児童生徒のコンピュータから教職員用コンピュータにア
クセスできないようにする。
・データの定期的なバックアップ
重要なデータは、定期的にバックアップし、保存した記録媒体を別の場所で保管す
るなど適切に管理する。
(3)人的な情報セキュリティ
教職員等の遵守すべき事項の人的なセキュリティは次のことが考えられる。
・情報セキュリティに対する職員研修の充実
重要なのは、情報セキュリティの重要性をすべての教職員が理解することである。
*3
・校務に不必要なソフトウェア のインストール禁止
学校教育や業務上不必要なソフトウェアのインストールを禁止する。
・IDとパスワードの管理の徹底
*1 イ ン タ ー ネ ッ ト に 接 続 す る こ と に よ り 、 だ れ で も が 悪 意 を 持 っ た 攻 撃 に さ ら さ れ る 可 能 性 が あ る 。 そ
の よ う な 攻 撃 か ら 、 機 密 性 の 高 い ネ ッ ト ワ ークを 守る “防火 壁”の 役割を 果たす システ ムの こと。
* 2 フ ァ イ ル の 読 み 書 き ご と に 、 そ の フ ァ イ ルがウ イル スに感 染して いるか 否かを 調べる 機能 。
* 3 最 近 で は 、 フ ァ イ ル 共 有 ソ フ ト ( Winny 等)が 該当す る。
- 15 -
IDとパスワードを秘密にする。破られにくいパスワードを設定する。パスワード
の定期的な変更を行う。
・重要なファイルへのパスワードの設定
ファイル自体にパスワードをかけて、万一流出した場合等への対応を図る。
・重要なファイルの外部の持ち出しの制限
特に持ち出す必要がある場合には、管理者の許可を得る。
持ち出した情報については、盗難やファイル交換ソフト等による流出防止を図る。
(4)物理的なセキュリティ対策
サーバの管理等の物理的なセキュリティは次のことが考えられる。
・入退室管理
重要な情報を使用するコンピュータやサーバのある部屋は鍵をかけ、必要な者だけ
が入室できるようにする。
・停電時等の対応
システムやデータの損傷を防ぐために、停電時の対応として無停電電源装置等を設
置する。
・機器の配置の配慮
重要な個人情報等を取り扱うコンピュータは、ディスプレイを第三者に覗かれない
位置に設置する。
・情報の流出の防止
①サーバのある部屋は施錠する。②ネットワークハードディスク等は見えない場所
に設置する。③外部記録媒体の管理を適切に行う。等。
・廃棄時等のデータの完全消去
コンピュータ等をリース返却・売却・廃棄する際には、データ消去ソフトで完全に
デ ー タ を 削 除 す る か 、物 理 的 に 破 壊 す る 。外 部 記 憶 媒 体 を 廃 棄 す る 場 合 も 同 様 と す る 。
・個人用コンピュータの接続について
個人用コンピュータは、基本的に校内LANに接続しない。接続しなければならな
い場合は、ウィルスチェックを実施し、管理者の許可を受けてから接続する。
(5)個人情報について
最近の学校が情報化社会で特に配慮するべきものに、個人情報の流出防止がある。
個人情報の保護について、特に重ねて記すこととする。
<個人情報等の扱い方>
・学校毎(教育委員会毎)の個人情報等の取扱い基準の設定
「個人情報保護法」及び「群馬県個人情報保護条例」等を踏まえ、個人情報等の取
扱い基準を策定するとともに、それを教職員や保護者に周知徹底し、共通理解を図る
と と も に 、基 準 を 遵 守 し た 取 扱 い を す る 。重 要 な 情 報 と し て 考 え ら れ る も の と し て は 、
成績、健康に関する情報、生徒指導上の情報、家庭の情報等が考えられる。
・ Web ペ ー ジ に 掲 載 す る 情 報
Web ペ ー ジ は 、 不 特 定 多 数 が 閲 覧 で き る の で 、 公 開 す る と き に は 特 に 注 意 す る 。 顔
写真等を掲載する場合は、個人が特定されないように留意する。
・物理的な管理
重要な個人情報を扱うコンピュータは、原則として校内LANから切り離す。
重要な個人情報を保存したファイルは、外部記憶装置等に保存し鍵のかかる書庫に
保管する等、適切に管理する。
・人的な管理
教職員の情報セキュリティ研修を推進する。
- 16 -
取り扱い基準の周知徹底を図る。
・委託業者の管理・監督
・管理体制
チ ェ ッ ク 体 制 を つ く り 、 定 期 的 に 点 検 を 行 う 。 PDCA サ イ ク ル *1 に よ り 、 取 扱 い 基
準も定期的に見直す。
コラム6
個 人 情 報 の 取 り扱 いについて、わ か らない点 が 多 いの で、次 の ような校 内 研 修 を実 施
しました。
まず は じめ は 、「情 報 セキ ュリティの 事 件 ・事 故 に関 す る事 例 等 」を知 り、危 機 意 識 を
持 つため の 研 修 を行 いました。新 聞 等 を見 ると、個 人 情 報 を持 ち出 した記 録 媒 体 の 盗 難
等 、身 近 に感 じられ る事 例 が たくさんあることが わ か りました。
次 に、「学 校 における情 報 資 産 の 洗 い出 しと、重 要 な情 報 と脅 威 の 洗 い出 し」を行 いま
した。私 たちの 学 校 には 、どの ような個 人 情 報 が あるか 、その うち重 要 なもの は どれ か 、
具 体 的 に数 え上 げ てみ ました。大 変 多 くの 種 類 の 情 報 が あるの で驚 きました。また、そ
れ が 流 出 した場 合 、どの ようなことが 起 こるか 想 定 をしてみ ました。
最 後 に、想 定 され た事 例 を起 こさないようにするため 「リスク対 応 策 」を考 え共 通 理 解
を図 りました。普 段 使 っている情 報 を、新 たな視 点 か ら見 られ 有 効 でした。
Ⅳ
1
参考
国の施策
・IT新改革戦略
平成18年1月19日 IT戦略本部
−いつでも、どこでも、誰でも ITの恩恵を実感できる社会の実現−
・ u-Japan 政 策 総 務 省
2
参考資料のURL
○
文部科学省 情報化への対応(文部科学省の情報教育全般の資料等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/main18_a2.htm
IT新改革戦略
(学校に関わる内容はP32∼35)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119honbun.pdf
u-Japan 政 策 ( 総 務 省 )
http://www.soumu.go.jp/menu_02/ict/u-japan/index2.html
校内ネットワーク活用ガイドブック2005 (文部科学省)
http://www.eeaj.jp/mext/contents.htm
学 校 情 報 セ キ ュ リ テ ィ ハ ン ド ブ ッ ク (( 財 ) コ ン ピ ュ ー タ 教 育 開 発 セ ン タ ー )
TOP ペ ー ジ : http://www.cec.or.jp/CEC/index.html
http://www.cec.or.jp/e2e/gjs/gjhaifu.html
○
○
○
○
* 1 計 画 ( plan )、 実 行 ( do )、 評 価 ( check )、 改 善 ( act ) の プ ロ セ ス を 順 に 実 施 し 、 最 後 の 改 善 を 次 の 計
画 に 結 び 付 け 、 ら せ ん 状 に 継 続 的 な 改 善 を 推進す るマ ネジメ ント手 法。
- 17 -
○
情報の漏えい等の防止についての関連情報(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/kojin/info.htm
○
群馬県総合教育センター
http://www.center.gsn.ed.jp/
○ G-TaK.NET.BB
( 群 馬 県 総 合 教 育 セ ン タ ー 楽 し い 授 業 づ く り 教 材 コ ン テ ン ツ 集 Web 版 )
http://www2.g-tak.gsn.ed.jp/
○ 群馬県教育委員会義務教育課・高校教育課
http://www.pref.gunma.jp/kyoi/05/index.html
○ 群馬県 学校評価支援システム(SQSシステムポータルサイト)
http://sqs.cmr.sfc.keio.ac.jp/gunma/
索
引
[あ]
ICT
[い]
イーサネット網
[え]
SQSシステム
[お]
大型提示装置
[く]
ぐんまスクールネット
グループウェア
[し]
G-TaK
[す]
スパイウェア
[ふ]
ファイルサーバ
フィルタリング
[ゆ]
ユビキタス
5,6,10,11,12
10
8,18
7
10
10,11,12
7,11,12,18
10
8,11,12
5,10,12,15
2
- 18 -
群馬県教育情報化推進構想
− 学 校 の情 報 化 を進 めるために−
発 行 者 :群 馬 県 教 育 委 員 会
発 行 :平 成 18年 12月
著 作 権 者 :群 馬 県 教 育 委 員 会
〒 371-8570 群 馬 県 前 橋 市 大 手 町 1− 1− 1
TEL 027− 223− 1111(代 表 )
FAX 027− 243− 7759
中沢
公司
県立安中実業高等学校 教諭
黒澤 廣宣(委員長)上武大学
<
改訂委員
>
助教授
福田
保
県立太田高等養護学校 教諭
有阪
正芳
県立高崎商業高等学校
教諭
峯
市村
正好
中部教育事務所
指導主事
吉野
伊藤
錠司
管理課
係長
<事 務 局>
岩瀬
春男
(教 ) 総 務 課
GL
藤倉
新一
高校教育課
課長
唐澤
幸至
県立高崎工業高等学校
教諭
髙德
彰
義務教育課
課長
黒岩
晃
富士見村立原小学校
教諭
鵜生川隆之
高校教育課
GL
齋藤
俊明
県総合教育センター
GL
三好
賢治
義務教育課
GL
佐藤
健二
高崎市立群馬南中学校
教諭
閑野
泉
高校教育課
指導主事
下田
洋一
沼田市教育委員会
指導主事
町田
勲
義務教育課
指導主事
- 19 -
茂輝
信幸
情報政策課
主幹
県立高崎女子高等学校 教諭
- 20 -
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