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ノイズ対策を施した産業用コンピュータの開発(PDF:822KB)
平成26年度 研究成果発表会 平成 26 年度 研究成果発表会 ノイズ対策を施した産業用コンピュータの開発 ○ 佐 野 宏 靖 *1)、 佐 藤 研 *1)、 髙 橋 文 緒 *1)、 山 下 俊 紀 *2)、 時 川 昌 大 *2) 1. 目 的 ・ 背 景 通信速度の高速化に伴って放射ノイズの問題が顕著となり、電子製品の開発では、適用 する規格の規制値内にノイズを抑えることが課題である。製品完成後では、可能な放射ノ イズ対策に限りがあるため、設計段階から対策を施すことが重要となっている。 本研究では、サンリツオートメイション株式会社が設計・販売している高密度・高速通 信 の 産 業 用 コ ン ピ ュ ー タ を 対 象 に 、 VCCI/FCC 規 制 ( 放 射 ノ イ ズ 規 制 ) CLASS A か ら 規 制 の よ り 厳 し い CLASS B に 対 応 し た 製 品 を 開 発 し 、ノ イ ズ 対 策 効 果 を 検 討 し た 。本 研 究 に よ り 、製 品( 図 1)の 規 格 適 合 範 囲 の 拡 大 及 び 実 用 的 な EMC 対 策 設 計 ル ー ル の 蓄 積 を 行 え た 。 (2)結果及び考察 測定の結果、効果的であった主な対策は、①高速信 号 線 に 対 し て の GND ビ ア や GND‐ 電 源 間 キ ャ パ シ タ ンス配置によるリターンパス確保、②リターンパス確 保を容易にするための基板層構成変更、③コモンモー ド ノ イ ズ を 抑 制 す る た め の 内 部 接 続 コ ネ ク タ の GND シ ャ ー シ の 強 化 、で あ っ た 。対 策 ① の 配 置 例 を 図 2 に 、 対 策 効 果 を 図 3 に 示 す 。こ の こ と か ら 、VCCI CLASS B の 規 制 値 よ り 6dB 以 上 の マ ー ジ ン が あ る こ と が 分 か る 。 本研究の結果、放射ノイズ設計ルールソフトや電磁 界シミュレーターを用いて設計段階から効果を検証す ることで、放射ノイズ規制値より、マージンを持った 製品を開発することができた。 図 1. 開発した産業用 コンピュータボード GND ビ ア 追 加 高速信号線ビア GND ビ ア 追 加 (左:対策前、右:対策後) 図 2. 対策①の配置例 6d B 以 上 VCCI CLASS B 規 制 値 放射ノイズレベル [dB(μV/m)] 2. 研 究 内 容 (1)測定及び解析方法 既 存 製 品 の ノ イ ズ 源 を 特 定 し 、CLASS B に 適 合 さ せ るためのノイズ抑制対策を行う。本研究では、以下の 手順で測定及び解析を行い、対策を施した。 ① IC の 動 作 周 波 数 高 調 波 と 遠 方 界 測 定 結 果 の 比 較 ②近傍界測定 ③ オ シ ロ ス コ ー プ を 用 い た FFT 測 定 ④ 放射ノイズ設計ルールソフト(DEMITASNX、(株) NEC 情 報 シ ス テ ム ズ 製 ) に よ る チ ェ ッ ク ⑤ 電 磁 界 シ ミ ュ レ ー タ ー ( MW STUDIO、CST 製 ) の比較 ⑥既存基板に対策が施せる場合は実機で確認 ⑦基板改版後①~③を再測定 手順①~③でノイズ源を特定し、手順④~⑥でノイ ズ対策効果を確認することを目的としている。 55 55 50 50 45 45 40 40 35 35 30 30 25 25 20 300 400 500 600 700 800 9001000 周波数 [MHz] 20 300 400 500 600 700 800 9001000 周波数 [MHz] (左:対策前、右:対策後) 図 3. 遠 方 界 ( 3m 電 波 暗 室 ) の 測 定 結 果 3. 今 後 の 展 開 製 品 は 平 成 25 年 10 月 よ り 販 売 し て い る 。ま た 、CLASS B へ と 規 格 適 合 範 囲 が 広 が っ た ことで、より広い分野へ販路を拡大することが可能となった。本研究結果は、社内及び都 産 技 研 の EMC 設 計 対 策 ル ー ル と し て 蓄 積 す る 。 *1)電 子 ・ 機 械 グ ル ー プ 、 *2)サ ン リ ツ オ ー ト メ イ シ ョ ン 株 式 会 社 H24.10~ H25.9【 共 同 研 究 】 ノ イ ズ 対 策 を 施 し た 産 業 用 コ ン ピ ュ ー タ の 開 発 | 20 |