Comments
Description
Transcript
ユ ネ ス コ と 共 に
2007/6月会報 岐阜県ユネスコ協会 事務局!500―8076 岐阜市司町総合庁舎内 TEL・FAX(058)―266―0070 http://www.unesco.or.jp.gifuken/ 平成1 9年6月1 2日発行 e-mail [email protected] 会長 平 井 花 画 ユ ネ ス コ と 共 に 藤 間 金 平成1 9年3月1 9日、平成1 8年 度「岐阜県伝統文化継承者顕彰」 扇 さったことが、とても嬉しかっ 藤間扇右と森川幸江さんこと藤 た。 間扇示が、 「道行恋苧環(みち を受賞。多くの方々に支えられ 舞踊家としての私は、当時、 ゆきこいのおだまき) 」に出演 て自分の好きな道を続けたにす 藤間流の大御所であった藤間勘 のためいま、猛特訓の最中であ ぎないのに、と面映ゆい気持で 寿朗師の舞台に魅せられて、押 る。母が在世中ならどんなに喜 頂いた賞状と向き合っている。 しかけ弟子として、お稽古場で んでくれた事だろう。私は、平 邦楽、日本舞踊、民俗舞踊、華 あった人間国宝坂田藤十郎丈 成2 0年には岐阜シティオペラ定 道、伝統工芸、茶道、鵜飼の各 (当時、中村扇雀)邸に1ヶ月、 期演奏会、權泰孝氏の指揮によ 部門 で 活 動 歴5 0年 以 上 の 方 々 4日間娘、扇右と通った。師の る「椿姫」の演出を依頼されて が、9 1歳を最年長者として一堂 お稽古は厳しく、今まで舞踊に いる。 に会した。さすがに筋金入りの 対する向かい方がいかに半端で 方ばかりであった。改めて次代 あったかを思い知らされた。 今まで私は舞踊家として分野 の違う舞台に携わり、その度に への継承の大事さを痛感した。 昭和4 1年、第1回「藤間金扇 学ぶ事も多く周囲の人達も惜し 私の母、鷲見房子は浄瑠璃作 の夕べ」を開催。平成1 8年には みなく力を借してくれた。例会 家として隋筆、俳句、茶道、ど 舞踊生活5 0年「藤間金扇の夕べ」 の私の指定席から痛々しい程、 の道にも優れていた。我が母な を開催することができた。その 重いものを背負った会長の背中 がら、私の羨望の的であった。 間には、階段を踏みはずして右 をみつめている。ユネスコに愛 その母が故江口三五会長の時、 足骨折、三ヶ月入院、入院中に 情を持った三代の母娘がいるこ 副会長としてユネスコの例会に 夫の死と不幸が続いたが、優れ とを忘れないで、いつまでも力 いそいそと出席する姿を見て、 た医師による手術とリハビリの 強い豊かなリーダーであること 私も羨ましく入会させて頂い 先生に恵まれ、娘夫婦を始め、 を心から希望しています。 た。あれから何年になるだろう。 多くの方々に支えられ 私も今は亡き河合年朗会長の て舞台復帰をすること とき副会長にさせて頂き、日本 ができた。宝塚の後輩 ユネスコ国内委員に就任、専門 である扇千景先生に 委員会は普及活動に所属した。 は、 「舞踊家が足を骨 凄いメンバーだった。私の肩書 折するなんて不心得 きは「舞踊教授」何となく肩身 じゃないの」と叱られ の狭い思いをしていた。お隣り たが、ご尤もである。 の席の平山郁夫先生にポロッと 本年6月、東京歌舞 お喋りしたら、 「僕は絵描きで 伎座で藤間流大会が開 すよ」とに こ っ と 笑 っ て く だ 催され、2 9日夜の部に 発行 岐阜県ユネスコ協会会報委員会 1 !戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。 スタディーツアー in インド(2) 私達の寺子屋 平井花画 ドゥルドゥンディ村に、名古 屋ユネスコ協会と岐阜県ユネス コ協会の名前を掲げた寺子屋が できた。1 9 8 9年来、私達は、ユ ネスコ世界寺子屋運動の良き理 解者であらねばならないと建物 の建設よりも、教科書、先生の お給料、学用品等のソフトの支 援に徹してきた。今回、初めて 建てられたこの寺子屋は、ひと つの記念碑みたいなものに思わ れて、誇らしくもあり、 嬉しかっ た。村人が土地を寄付し、建築 に力を貸してくれて、かなり安 価に出来上がったらしい。村人 にとっては、ここが「学び」ヘ の大きな動機になる。沢山の書 き損じ葉書と募金を寄せて下 さった皆様の善意がここに形と なって存在する。現地での素晴 らしいカウンターパート BIRDS の人と共にこの 寺 子 屋 の行方を見守りたい。 故郷? 皆がゴカック銀座(ユネスコ ST が勝手に名付けた)のある 店でお買い物していた。私は、 一人、前の道で待っていた。と、 2、3軒 先 の イ ン ド の オ ジ サ ン?オニイサン?が傍に来て、 「あなた、去年、ここに来たで しょ?」と、訊いた。ええっ! なんで知ってるの?と思いつつ 「イエス」と応えると、店に入っ て来いと言う。何か売り付けら れたら困るので警戒しつつ、恐 る恐る、その小さな店に入って いくと、二葉の写真を指し示し て、 「これ、あなたでしょ?」 と。その写真には、去年、村で の開所式の様子が写っていた。 この日の私の服装が、去年の開 所式と同じ服だったこともあっ て、気が付いてくれたのだ。彼 は、去年、その村に行っていて、 たまたま、これらの写真を撮っ たのだそうだ。驚くやら嬉しい やら感激するやら、近所の店の 人達も集まって来た。皆、ニコ ニコしている。やがて、辞そう とすると、 「写真を持って行く ように」と、言われた。 「皆に 報告したいから、名前と住所を 教えて」と、頼むと、書いてく れた上、絵はがきセット2組を 差出した。遠慮すると、集まっ ていた近所の店の人達が、 「貰っ ておけ」と口々に。辿り着くま での時間を考えると、ちょっと うんざりするけれど、インドの カルナータカ州のゴカックが、 私にとって、何番目かの故郷の ような気がするのだ…困ったこ とに。 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ゴカックの子供たち 笹川靖子 去る2月8日アジアで初の天台宗の海外寺院の禅定林が建立、完成に先駆け関係者の落慶法要が営ま れた。参列予定のチャンスを逃していた私へ弟(鵜飼武彦)よりこの度のスタツアに誘われた。比叡山 の総本山・延暦寺に留学していたインドの僧サンガラトナ・マナケさんが宗の協力、一般の人の善意に 支えられ母国インド中央部・デカン高原北のナグプールに本堂の建設を進めている。彼を6歳から育て 師である堀澤祖門大僧正は私と4 0年来の短歌をご縁とする交流がある。マナケさんの結納、結婚式にも 関わり彼等の新婚生活の出発は、わがセカンドハウスのマンションだった。彼を代表とするパンニャ・ メッタ協会にも賛同しその新聞でもユネスコの寺子屋運動と類似する働きを見聞するにつけ、ぜひ体験 のため一度インドへと念願していた。毎年3回世界各国へ旅する私にとって今回のインドは人生観を喜 びと感謝に変えた。今、地球上に生存する総ての人たちは争いのない平和な暮らしを痛切に願っている。 私自身、戦後の生ぬるい軽薄な思考や生き方に何と傲慢な態度だったと反省しきりです。貪欲に溜め込 む物に埋もれ、飽食と肥満、多忙といい貴重な刻を浪費し己を深くみつめる心を全く亡くしていた。家 族は温みの失せた個人主義、ペットの犬猫が子供の数より多い昨今という。ゴカックでは小さな家に裸 電球ひとつを囲み人牛犬鶏と共に平穏な暮しとゆったりした時間が流れている。人は常に合掌をし喧嘩 など目にしない。ポンプのある近辺では女性や子供らが洗濯、野菜など洗う。田園には数人の家族が円 になりスローテンポの作業、木陰で休み何かを食べている。ゴカックにはビニール袋など散乱していな い。むしろ空のペットボトルが貴重なものか欲しがった。お箸、紙なども見かけず考えられない質素な 生活でした。私は当地で三度の下痢に襲われこんな事は初体験で困惑の極み、長年蓄積した芥を除去す るように。不足は慎まなければと思いつつ日本食が恋しく1 0日間一体何を口にしたのだろう。デリー都 心の富士屋で頂いた寄せ鍋の美味しかったこと。帰国当時、体脂肪が随分減っていた。目的と達成感の テーマには随分はずれてしまいどうぞお許しを。1 9名の素晴らしい資質をお持ちの皆様方と1 1日間ご一 緒できたこと、ご厚情と優しさに触れとても幸せでした。ありがとうございました。 旅行詠4首 ねむの小枝歯ブラシ用に切り揃え売られていたるガンジスへの道 ガンジスの朝日は河面に帯と煌き沐浴の群集へ厳粛にとどく 牛糞よりガスを作るを学びいる寺子屋の子らは裸電球の下 ゴカックの寺子屋の子らと握手するチャイの色して細く乾く手 2 !平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。 卓 話 インドスタディーツアー報告 岐阜市生涯学習センター 3月1 4日 (水) ∼2 4日 (土) まで の1 1日間、岐阜からは、平井花 画さん、石原典子さん、鵜飼武 彦さん、笹川靖子さん、橋本禮 子さん、箕浦有見子さんと私の 7名が参加した。事前にインド 研修会などもあって、各々で肝 炎や破傷風など予防接種や体調 管理を行ない、いざ出発! インドへは、キャセイ航空に て、一度香港にて乗り継ぎ、バ ンコク経由でムンバイへ入っ た。朝1 0時にセントレアを出国 し、ムンバイに到着したのは夜 9時をまわった頃であった。 翌 日 我 々 は、ゴ カ ッ ク へ 向 かった。ムンバイから国内線で ゴアまで移動し、そこから専用 バスにて移動。途中でバスの故 障もあり、バスの長旅は8時間 にも及んだ。 BIRDS 寺 子 屋 事 務 所 を 訪 問 し、スタッフの方から様々な活 動の紹介などをしていただい た。BIRDS(バーズ)の具体的 な活動は、①社会的弱者の社会 経済発展、②教育・社会的事業、 ③様々な技術トレーニングの提 供、④地域開発への住民参加の 強化などである。こうした目的 を達成するために、教育、福祉、 職業訓練、識字教育、エイズ予 防などを行なっている。 寺子屋は、仕事や家事手伝い が忙しくて通えない子供たちの ために、昼と夜のクラスがある。 戸 田 特に印象的だったのは、子ども たちの笑顔である。都会の子供 たちと比べ、同じ国の子供とは 思えない。インドでも都会に住 む子供たちは、外国人に物乞い をしたり、お金を欲しいとねだ る。一方、村の子供たちは一切 そのような事はしない。私が荷 物に付いているキーホルダーを 落した時も、拾って持って来て くれた。それだけ、村の子供た ちの純粋で素直な気持ちに感激 した。 また、岐阜県ユ協と名古屋ユ 協の援助により建設された寺子 屋の開所式も行なわれた。3 8℃ を超える炎天下の中、2時間強 の式典が終わり、食事もご馳走 になった。村での食事は、 カレー というよりは、豆やジャガイモ などを様々な香辛料で味付けし た料理に、ナンやライスを混ぜ ていただく。もちろんインドで は食事や握手は右手を使う。 インドスタディーツアー後半 は、世界遺産の旅である。まず は、ゴアにあるフランシスコ・ ザビエルの遺体が眠るゴアの教 会と修道院を訪れた。ザビエル の遺体はボム・ジエズ教会の中 を突き当たり、すぐ右側のガラ スケースに安置されている。1 0 年に1度一般公開されている。 これは、以前熱心なキリスト教 信者が遺体に噛み付き、足か手 の指を食いちぎってしまったか らだと言われている。 アグラ城とタージ・マ ハルは、あまりにも有名 である。アグラ城は、 1 5 6 5 年にムガール帝国の第3 代皇帝アクバルによって 築かれた城である。赤砂 岩でできた城も中は色と りどりの宝石が壁面には め込まれ、その一室から 宗 威 は、ヤムナー川に浮かび上がる タージ・マハルが見渡せる。 そのタージ・マハルは、第5 代皇帝シャー・ジャハーンが最 愛の妃ムムターズ・マハルの死 を悼んで2 2年の歳月を費やし、 完成した白大理石の殿堂であ る。ここ数年は大気汚染がひど く、タージ・マハルへは、途中 の駐車場でバスを降り、そこか らは専用の電気自動車で近くま で向かう。また殿堂の中に入る には、裸足になるか靴カバーを しない と い け な い。し か し ム ガール朝建築の頂点を極めたと いう白く輝く姿は一目みただけ で時を忘れてしまう。圧巻であ る。 最後に訪れたのが、聖なる河、 ガンジス河である。朝5時前に ホテル出発をし、太陽が昇る前 にガンジス河までやってきた。 我々は舟に乗り込み、河の中か ら川岸で沐浴する人々を見た。 水は黒く濁っている。そこで沐 浴する人々。舟を川上へ進めて いくと、ガイドがここから先は カメラで撮らないでくださいと 言われた。今まさに遺体が燃や されている火葬場であった。遺 体は綺麗な布に包まれ、川岸で 薪と一緒に火葬する。カースト 制度のもと、階級が低い人は、 薪を買うお金がないため、半焼 けのまま流される。そして、こ うした火葬をする人も、最も階 級が低い人の仕事である。そし て更には、その灰をすくって、 砂金をとっている人もいるとい う。これぞインドの現実だとま ざまざと感じた。 こうしてインドスタディーツ アーで体験した経験は、参加者 全員にとって、一生忘れること ができない大切な経験になっ た。 3 !岐阜県ユネスコ協会の例会日は毎月第2火曜日 12:15∼(岐阜市司町)岐阜会館 !「ガヤガヤ会議」 ◎祝6月誕生(敬称略) 浅倉 恵一 岩田 十士 田邊 雅一 富田 洋市 西村世津子 平井 花画 福井 浩子 柳原 幸枝 !!!!!!!!!!!!!! 会 員 の 近 況 !!!!!!!!!!!!!! ◎伊佐治則子さん 5月2 4日(木)∼2 9日(火)ま で、名古屋市中区の妙香園画廊 で油彩画の個展を開かれまし た。 ◎田辺雅一さん 日本デザイナー芸術学院の校 長に就任されました。 ◎箕浦有見子さん 5月1日 (火) ∼2 1日 (月) まで ガレリア・デ・アルテで絵織物 +ガラス絵展を開かれました。 ◎服部朝子さん・山本悦子さん 5月3 0日、岐 阜 都 ホ テ ル で ―三輪山真長寺― 山名 恭子 「わたしの町のたからもの絵画展」など、民間ユネス コの活動には、文化の継承や郷土文化の研究、また保存 への働きかけ等がふくまれています。郷土の貴重な文化 財は数多くありますが、なかでも三輪山真長寺の文化財 保存の活動は、保存会を結成するなど、埋もれていた歴 史的遺産を掘りおこし、 修復し広く紹介するという、 地道 ながらも郷土文化の継承に大きく関わってきています。 国重要文化財の釈迦如来座像や名勝枯山水石庭につづ き「絹本著色涅槃図」 「絹本著色文殊菩薩像」が岐阜県 重要文化財に指定されました。また現在東京芸大で修復 中のものもあります。こうした数々の文化財が、この閑 静な三輪の地に7 0 0年近く残存したことに、先人の努力 を思います。更にそれを継承し保存していこうとする保 存会の活動は、ユネスコ活動の一端としても支えていき たいものの一つです。 5月5日には三輪釈迦まつりを開催。多くの方々が参 拝され、貴重な文化 財に感動されまし た。これからも観月 会(9月)や、もみ じまつり(1 1月)が 予定されています。 ▲釈迦堂での法要 ▲ !会長挨拶 !""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" !会務報告 文化財の保存活動 枯山水石庭 をゆく僧列 !""""""""""""""""""""""""""" !食 事 !""""""""""""""""""""""""""" !""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" !!!!!!!!!!!!!! 6 月 例 会 !!!!!!!!!!!!!! ハート ピア バンド ライブ 7月例会 (1 0日) 卓話 を開かれました。 !!!!!!!!!!!!!! ありがとうございました !!!!!!!!!!!!!! 協力:厚見中学校、堀田富美子 4 !会報委員会 予 「フランス各地を訪れて 感じたこと」 告 岐阜ダイハツ販売(株) 元取締役社長 太田秀興氏 本会報への投稿(含写真)をお願いします。〆切は毎月20日事務局へ