Comments
Description
Transcript
News Release 『中堅・中小企業におけるM&Aの実態調査』
News Release 『中堅・中小企業におけるM&Aの実態調査』 全国の中堅・中小企業約 700 社のM&Aに対する取組実態を分析 近年注目を集めるM&Aを成功に導くための勘どころとは? 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、社長:元田充隆)は、2007 年 10 月、全国の中堅・中小企業を対象に「中堅・中小企業におけるM&Aの実態調査」を実施いたしました。 近年注目を集めるM&A(企業の合併・買収)は大企業特有のものではなく、すでに中堅・中小企業の 間でも自社の経営目標を達成するための有効な手段として活用されつつあります。しかしながら、中堅・ 中小企業のM&Aに関する情報は少なく、多くの企業が自社のM&Aを検討する上でのひとつの壁と感じ ています。 当調査の目的は、そうした企業の課題解決の一助とすべく、全国の中堅・中小企業がM&Aに対して「ど のような問題意識を持ち」 「どのように取り組んでいるのか」を明らかにすることにあります。 当調査結果を広く公表することで、今後の企業経営のヒントとしていただければと考えております。 【要 旨】 中堅・中小企業におけるM&Aへの取組状況は、業種による濃淡がみられるものの、中期的には全 業種でより活発化するとの見通し。 中堅・中小企業の約 4 割が過去にM&Aを実施した経験を持ち、2002 年以降に実施した企業のうち 半数は期待通りの成果を得られている。 さらなる競争力強化のため、中堅・中小企業の 2 社に 1 社は、今後M&Aに対して前向きに取り組 んでいくとの考えを持っている。 M&Aの成否は、中期的な視点に基づいた明確な戦略とそれに基づく適切な相手探しにかかってい る。あわせて、企業価値評価や買収監査を通じたリスク抽出にも慎重に取り組むことが肝要。 一方、中堅・中小企業にとって、M&Aを実行する際の最大の懸念は、買収後の統合作業の成否。 M&Aを実行した企業の大半が、中期経営計画の策定等の統合作業に取り組んでいるものの、従業 員のモチベーションや組織風土の融合というソフト面の統合は大きな壁となっている。 2007 年 11 月 27 日 <本調査に関するお問合せ先> 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) コンサルティング事業本部 経営戦略部 大楠・小見山 〒4608621 名古屋市中区錦 3−20−27 TEL:0522035323/FAX:0522320477 EMail:[email protected] 本資料の内容・データを使用される場合は、出所を必ず明記いただきますようお願いいたします。 1 1.調査概要 調査名称 調査対象 : 「中堅・中小企業におけるM&Aの実態調査」 : 上場企業及び未上場有力企業 (いずれも「単体売上高 30 億円以上 500 億円以下」の企業を抽出) 調査実施 : 2007 年 9 月∼10 月 調査手法 : 郵送調査 調査依頼数 : 上場企業:2,248 社、未上場企業:2,736 社 有効回収数 : 686 社(回収率:13.8%) 回答企業の属性: 下図参照 【上場・未上場】 【本社所在地】 中国・ 四国 5% 九州・ 沖縄 4% 北海道・ 東北 4% 近畿 22% 上場 45% 関東 46% 未上場 55% 東海 13% 北信越 6% 2.業種別にみたM&Aへの取組状況 業種別のM&A動向指数は、建設・運輸・製造業ではマイナス、金融・保険・各種サービス 業はプラスとなっている。 今後 3 年間の見通しでは、各業種ともより活発化するとの見方で一致。 Q:貴社の属する業界ではM&Aがどの程度行われていますか(現在/今後 3 年間の見通し)? 農業・林業・漁業・鉱業 建設業 製造業 情報通信業 運輸業 卸売・小売業 不動産業 金融・保険業 飲食店・宿泊業 医療・福祉 教育・学習支援業 その他サービス 全体 回答 企業数 【ご参考】 過去5年間の 平均件数(概算) 3 49 265 72 25 146 33 16 15 5 3 54 686 1.5 1.8 2.2 2.7 1.9 2.3 2.4 4.0 1.5 6.6 0.0 2.0 2.3 M&A動向指数 今後3年間の 現在 見通し -33 33 -65 16 -37 25 -1 31 -52 20 -14 25 -18 33 13 25 33 27 60 40 67 67 2 44 -23 27 (注)M&A動向指数:自社の属する業界におけるM&Aの実施状況について「活発」と回答した企業の割合から、 「活発でない」と回答した企業の割合を差し引いた値。今後 3 年間の見通しについては「より活発化する」と 回答した企業の割合から「沈静化する」と回答した企業の割合を差し引いた値。 2 3.中堅・中小企業におけるM&Aへの取組状況 過去、M&Aを実施した経験のある企業は全体の約 4 割。未上場企業に限ってみても経験 企業の割合は約 3 割に達する。過去 5 年間でみると、4 社に 1 社がM&Aを実施している 計算。 過去 5 年間に実施されたM&Aの成果について、全体では約 5 割の企業がほぼ期待通りの 成果が得られていると回答。さらに、実施件数が多い企業ほど成果に対する満足度も高い 傾向にある。 Q:過去 5 年間におけるM&Aの実施件数は? 6件以上 0% 3∼5件 10% 全体 1 4 (n=686) 20% 30% 20 上場 2 7 (n=309) 未上場 12 (n=377) 1∼2件 0件(ただし2001年 以前には経験あり) 40% 50% 60% 70% 12 80% 90% 100% 62 26 15 0件(全く経験なし) 13 51 12 71 Q:過去 5 年間に実施したM&Aの成果は? 期待を上回る成果が得られている どちらともいえない かなり期待を下回っている状態 0% 全体 2 (n=177) 1∼2件 2 (n=138) 3∼5件 (n=29) 6件以上 (n=10) 10% 20% 30% 40% ほぼ期待通りの成果が得られている 期待したほどの成果は得られていない 無回答 50% 60% 49 70% 80% 28 43 15 31 66 90% 17 24 80 3 3 4 3 10 10 3 100% 10 4.今後のM&Aに対する取組姿勢 中堅・中小企業の約 5 割は、M&Aに対して今後前向きに取り組んでいく方針を持ってい る。この傾向は、M&Aの実施件数の多い企業ほど顕著。 前向きに取り組もうと考える企業におけるM&Aの目的は、事業規模の拡大や技術・ブラ ンドの獲得を通じた競争力の強化にある。 Q:今後M&Aにどのように取り組んでいくのか? 積極的に取り組んでいく 当面は様子見 全く考えていない 0% 全体 (n=686) 10% 20% 7 1∼2件 (n=138) 30% 40% 50% 44 0件(経験なし) 3 (n=424) 0件(経験あり) (n=85) 良い案件があれば検討したい どちらかといえば消極的 無回答 67 60 1 13 9 16 6 1 1 59 6件以上 (n=10) 100% 27 19 31 90% 18 16 52 9 80% 13 19 7 70% 18 34 3∼5件 (n=29) 60% 10 0 40 Q:M&Aに期待することは? 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 自社の属する業界に おけるシェア拡大 66% 事業エリア・商圏の 拡大 58% ノウハウ・技術・ ブランド等の獲得 50% 異業種への参入 経営不振企業に 対する支援・救済 純投資 その他 70% 19% 3% 1% 3% (注)1.M&Aに前向きに取り組むと回答した企業(n=346)の集計結果。 2.複数回答のため、合計は 100%を超える。 3. 「その他」には無回答を含む。 4 5.M&A成功のポイント M&A成功のポイントとして、戦略立案及びターゲット企業の選定、企業価値評価を重視 する企業が多い。 成果が得られていない企業ほど、 「中期的な視点に基づいたM&A戦略」と「対象企業が 抱える各種リスクの抽出」の重要性をあげている。裏を返せば、これがM&Aで失敗しな いためのカギとも考えられる。 Q:M&Aを成功させる上で重要なことは? 戦略 0% M&A戦略 立案 相手 相手企業 探し 条件 企業 企業価値 評価 買収 条件交渉 アフター 買収監査 アフター M&A 5% 10% 15% 20% 25% 経営トップの リーダーシップ 中期的な視点に 基づいたM&A戦略 自社の戦略に合致した ターゲット先の選定 徹底した情報管理 対象企業の的確な 企業価値の把握 M&Aによるシナジー 効果の算定 多面的な検討に基づいた スキームの選定 買収価格に対する 明確な投資判断基準 対象企業の事業力の 的確な把握 対象企業の抱える 各種リスクの抽出 従業員等に対する 適切な情報開示 全体(n=686) 成果が得られている企業(n=89) 成果が得られていない企業(n=33) 統合作業への 適切な取組 (注)1.優先順位の高い上位 2 項目について回答している。 2.第 1 位に回答した選択肢に 3 点、第 2 位に回答した選択肢に 1 点を割り振り集計している。 5 6.M&A実行上の課題 M&A実行時の不安として約 6 割の企業が買収後の統合作業の成否を挙げている。 次いで、 約 5 割の企業が、 自社の戦略にマッチした相手企業を見つけることができるのか、 最終的に適切な価格で買収することができるのか、といった不安を抱えている。 Q:M&Aに取り組むに当たって不安に感じる点は? 0% 10% 20% 30% 40% 50% 買収後の統合が 上手くいくかどうか 70% 63% 適切な相手が 見つかるかどうか 50% 適切な価格で買収 できるかどうか 49% 買収による相手 企業の従業員流出 32% 買収による相手 企業の顧客流出 18% 社内外への 情報漏洩リスク 16% 買収資金の調達が できるかどうか 9% 誰に相談すれば よいかわからない 3% M&Aによる自社の イメージダウン 3% その他 2% 特にはない 60% 4% (注)1.前掲の質問で今後M&Aに前向きに取り組むと回答した企業(n=346)の集計結果。 2.複数回答のため、合計は 100%を超える。 3. 「その他」には無回答を含む。 6 7.M&A後の統合作業の実態 M&Aを実行した企業の約 9 割が、買収後に中期経営計画の策定や組織変更等の統合に向 けた施策を講じている。 その一方で、5 割近くの企業が、被買収企業の従業員のモチベーション向上や企業文化・ 組織風土の融合といった、ソフト面の統合作業でつまずいている。 Q:統合作業を進める上で取り組んだ施策は? (左側のグラフ) 50% 40% 30% 20% 10% 26% Q:統合を進める上で特に苦労した点は? (右側のグラフ) 0% 0% 経営ビジョンの策定 39% 中期経営計画の策定 37% 組織変更 29% 情報システムの統合 29% 人事制度の統合 戦 略 ン / 組 織 / 制プ 度ロ セ ス / E 風 S 土 / 特にこれといった 施策は講じていない 13% 3% 20% 30% 経営ビジョンの共有 40% 50% 25% ョ 会社名、ブランド名 の変更 28% ビ ジ 10% 事業戦略の統合 業務プロセスの 見直し 36% 情報システムの統合 18% 人事制度の統合 16% ノウハウの水平展開 18% 相手先企業の従業員 のモチベーション向上 43% 企業文化・組織 風土の融合 特にない その他 22% その他 48% 7% 6% (注)1.左右のグラフとも過去 5 年間にM&Aを実行した経験ありと回答した企業(n=177)の集計結果。 2.複数回答のため、合計は 100%を超える。 3. 「その他」には無回答を含む。 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 2006 年 1 月、UFJ総合研究所、ダイヤモンドビジネスコンサルティング、東京リサーチインターナシ ョナルの 3 社の合併により誕生した総合シンクタンク。コンサルティング事業本部は、三菱UFJフィ ナンシャルグループのコンサルティングファームとして、大企業から中堅・中小企業に至る幅広いお客 様に対し、経営戦略・人事戦略・マネジメントシステムを中心とした総合的なコンサルティングサービ スを提供している。 7