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EMSと廃棄物リサイクル - 公益財団法人 茨城県中小企業振興公社

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EMSと廃棄物リサイクル - 公益財団法人 茨城県中小企業振興公社
省エネ・環境
中小企業の環境問題への取り組み ─ 第4回 ─
EMSと廃棄物リサイクル
技術士
(生物工学)
1.はじめに
高 木 建 次
廃棄物対策で重点を置いているのは廃棄物
の分別・選別の徹底が69.1%と多く、廃棄
2 0 0 0 年 に は「 循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 法 」
が制定され、大量生産・消費・廃棄社会から
物の発生量の抑制、回収ボックスの設置の順
3 R( リ デ ュ − ス 、 リ ユ − ス 、 リ サ イ ク ル )に
となっています。廃棄物対策に取り組んでい
よる資源循環型社会に転換がはじまりました。
ない企業(全体の27.6% )に対し、コスト
第一に廃棄物の「発生・排出を抑制(リデ
増40.6%、回収ル−トの未確立および分
ュ − ス )」 す る 、 次 い で 使 用 済 み 製 品 や 部 品
別・選別の問題が、ともに26.1%、技術情
を 「 そ の ま ま の 形 で 再 使 用 ( リ ユ − ス )」 す
報不足23.9%、人材・人員不足21.1%の問
る、さらに「形を変えて廃棄物を原材料とし
題があげられています。今後の取組む必要の
て 再 生 利 用( リ サ イ ク ル )」す る 3 R に 加 え 、
ある対策として、分別選別の徹底42.8%、
そ れ で も う ま く い か な け れ ば 、「 燃 焼 に よ り
廃棄物の発生抑制が40.2%、コストの低減
熱として回収利用」を、どうしても使えない
36.9%、リサイクル率の向上27.0%となっ
も の を 「 適 正 処 分 ( 埋 立 )」 す る と い う 優 先
ています。
また図1に示したように、廃棄物のリサイ
順位が決められています。
「循環型社会形成推進基本法」の全面施行
クル率は、国民の意識の高まりとともにかな
と 前 後 し て 、「 資 源 有 効 利 用 促 進 法 ( リ サ イ
り高くなってきています。例えばペットボト
ク ル 法 )」 や 国 な ど が 再 生 品 な ど の 調 達 を 推
スチール缶
進 す る「 グ リ − ン 購 入 法 」に 加 え 、容 器 包 装 、
アルミ缶
家電、食品、建設、自動車の各リサイクル法
ガラス瓶
が整備、施行され、対象となる事業者はリサ
デスクトップパソコン
イクルを進め、廃棄物を減量化する責務を負
液晶モニター
い、事業活動に伴い発生する廃棄物は自己責
CRTモニター
任で適正に処理しなければならなくなりました。
古 紙
ペットボトル
ノートパソコン
2.リサイクルの実態・意義
牛乳パック
茨 城 県 中 小 企 業 振 興 公 社 が ま と め た「 中 小
廃プラスチック
企業のエネルギー・環境に関する実態調査」
0
(2005年1月)では、72.4%の企業が廃棄
20
40
60
80
100
図1.廃棄物のリサイクル率(回収率、%)
物リサイクル対策に取り組んでいます。
WING 21 いばらき 2005.11
10
省エネ・環境
ルは年々リサイクル率が著しく向上し、PET
M S )( シ リ − ズ 9 月 号 参 照 )
ボトルリサイクル推進協議会の報告書では、
調査では、ISO14001の導入動向は、取
2003年にPETボトル回収率は事業系回収
得済みと取得中をあわせても10%程度と低
量を加えて61%と前年の53%に比べ、大幅
く、取り組みを検討中が32.4%もある一方、
に向上しています。
取り組むつもりはないが半分以上を占めてい
PETボトルは「リデュ−ス」としての軽
ます。
量化も進められ、500ミリリットルのボト
EMSの流れを、簡易なEMSである環境
ルで従来の32gから23gに軽量化が図られ
省主導の「エコアクション21」の例を図2
ています。
に示しています。EMSでは、環境方針の作
また従来は衣料等に「リサイクル」されて
成 か ら は じ ま り ま す 。ま ず「 紙 ・ ゴ ミ ・ 電 気 」
いましたが、化学分解により原料化し、再び
があげられます。多くの場合、廃棄物は多種
もとのPETボトルに「リサイクル」もでき
の物質の複合した形態にあり、分別がポイン
るようになりました。あらたに石油からつく
ト と な り 、「 混 ぜ れ ば ゴ ミ 、 分 け れ ば 資 源 」
る場合に比べ、もとのPETボトルに「リサ
です。紙、ゴミに加えて、プラスチック、金
イクル」することによ
り、消費されるエネル
ギ−は約半分ですむと
いう試算結果も出てい
ます。
環境経営システムガイドライン
継続的改善
Plan
(計画)
環境負荷・環境への取組状況把握・評価
「リサイクル」の意
環境関連法規等の取りまとめ
義としては、①化石資
環境目標・環境活動計画の策定
源、森林資源、水資源
等限りある資源の有効
利用、②環境負荷低
減、③逼迫している廃
棄物の最終的行き場と
なる最終処分場の節約
があり、さらに④企業
の社会的責任(CS
R )、 ⑤ 草 の 根 活 動 、
教育的啓蒙活動があげ
3R(例)
環境方針の作成
Do
(計画の実施)
実施体制の構築
教育・訓練の実施
環境コミュニケーション
実施・運用
環境上の緊急事態への準備・対応
Check
(確認・評価)
取組状況の確認・問題の是正
環境関連文書・記録の作成・整理
らます。
リデュース
空調用動力削減機の設置
省エネ機器の導入
水使用量の削減
廃棄物ゼロエミッション
紙使用量の削減
厨房機器の長寿命化
リュース
通い箱による物資の運搬
事務用備品・厨房機器
厨房機器の再使用
リサイクル
環境配慮製品調達
事務用品等備品
PET再生制服配布(意識高揚)
生ゴミの堆肥化
割箸のリサイクルボード化
(W社、ふれあい報告書2004)
Action
(全体評価・見直し)
3.環境マネジメン
ト シ ス テ ム( E M S )
代表者による全体の評価・見直し
(エコアクション21)
図2.EMSの流れと3R
1)ISO14001(E
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省エネ・環境
4.終わりに
属類の分別、リサイクルも実施されていま
す。このほか廃水、廃油も有効な「リサイク
優 先 順 位 を 念 頭 に 、「 リ サ イ ク ル 」 あ る い
ル」対象となります。
は 「 3 R 」 を 進 め る の が い い で し ょ う 。「 リ
サイクル」の意義についてはすでに述べてい
2 ) E M S と 「 リ サ イ ク ル 」・「 3 R 」
ますが、とりわけ「3R」の「リデュ−ス」
EMSと「リサイクル」との関わりについ
は原材料原単位の改善、長寿命化等により、
てみると、事業活動に必要な資機材や原材料
「 リ ユ − ス 」も 資 源 の 有 効 活 用 と い う 視 点 で 、
としてリサイクル品など環境に配慮された材
コ ス ト ダ ウ ン 、環 境 改 善 に 直 接 的 に 有 効 で す 。
料・製品を購入するグリ−ン購入・調達、設
環境への関わりに気づき、目標を持ち行動
計では分解を容易にし、リサイクル方法が確
する。例えば、ごみの発生を極力抑え、ゼロ
立している等、できるだけリサイクルしやす
エミッションに近づける設計・生産・流通の
い材料を選び、リサイクルしやすい構造の設
仕組みをつくりあげ、環境負荷の少ない製
計とすることが環境改善に寄与します。
品・サ−ビスの提供にチャレンジする大きな
「エコアクション21」のEMSと外食産業
目標のもと、できることから、また効果の大
W社の取り組み例を対照させて図2に示して
きいところから手をつけ、一歩一歩前に進む
み ま し た 。 こ の よ う に 、「 紙 、 ゴ ミ 」 か ら は
ことが肝要であり、PDCAサイクルの繰り
じまり、日常的に実施、管理している「リサ
返しによる「継続的改善」につながります。
イ ク ル 」、 さ ら に は 「 3 R 」 が 、 E M S に つ
ISO14001の序文にあるように「環境目
ながることが見てとれます。
的を達成するために、EMSは組織が適切な
次に「リデュ−ス」は、排出の低減、資
ところで、費用対効果が高く、経済的に実行
源・エネルギ−使用量の低減により、環境負
可能であり、利用可能な最もよい技術を適用
荷を軽減するものですが、電力・熱の節減・
することが望ましい」としており、財政的に
有効利用による省エネ、原単位改善による原
無理なことまでは要求していません。
材料・水の省資源、工程改良・原材料転換、
このようにEMSは日常的に取り組んでい
廃棄物の総合的利用、有害物質排出抑制等々
るところが多く、壁も意外に低く、また各種
有効性の高いものばかりです。是非、事業所
のEMSの選択肢(シリ−ズ9月号参照)も
内・事業活動を見まわしてみてください。す
あります。是非一歩踏み込み、取り組んでい
ぐに2つ・3つは思いつくはずです。
ただきたいものです。
「リユ−ス」は業種としては限定されます
が、使い捨てカメラ、ビ−ルびん等びん類、
筆者プロフィール
パソコン部品、リサイクルショップの活用
高 木 建 次 氏
等々、日常的には関係の深いものです。知ら
高木技術士事務所(グリ−ン工学研究所)所長、
(社)
日本技術士会 茨城県技術士会理事
E-mail [email protected]
ず知らずに、循環型社会に浸かっているの
です。
ご意見、ご感想、ご質問等をお寄せ下さい。
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[email protected]
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