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グローバル民主主義下の選挙法の比較憲法的考察
立命館大学研究部 2016 年 5 月 17 日 2015 年度採択 研究推進プログラム(科研費連動型)研究成果報告書 採択者 研究課題 所属機関・職名:法学部・教授 氏名:植松 健一 グローバル民主主義下の選挙法の比較憲法的考察 Ⅰ.研究計画の概要 平 成 27 年 度 科 学 研 究 費 助 成 事 業 - 科 研 費 - 申 請 時 の 研 究 計 画 に つ い て 、 概 要 を 記 入 し て く だ さ い 。 グローバル化の進行の下、従来の内容的・手続的な民主的正当化のシステム(選挙もまたそうした民主的正当化 の一手段である)の動揺が現代民主主義国家に共通の問題として生じている。こうした背景的問題を意識しつつ、 今世紀に入り様々な点で制度的な「不具合」をきたしつつあるドイツ連邦共和国の選挙制度の「ゆらぎ」とその克 服可能性を、ドイツ連邦憲法裁判所の判例法理、連邦議会での改正論議、学説・メディアにおける議論状況等の中 から読み解き、部分的には共通の課題を有している日本の選挙制度と選挙制度に規定された民主政の方向性へのヒ ントを探る。具体的には、以下の4点を獲得目標とする。 ① ドイツにおける選挙制度や選挙権に関する憲法論を、ワイマール期にまで遡りながら、その再読解を試みる。 この作業は②以下の基盤的作業と位置づけているので全体の概略的な把握にとどめるが、従来の見解とは異なる ような申請者なりの知見が得られそうな場合には、研究の比重により重きをおく可能性もある。 ② 選挙制度に関する連邦および州憲法裁判所の判例を辿りながら、その判例法理を内在的に理解する。ここで は、2000 年代以降の判例動向の変化を支えている判断枠組みの論理構造を捉えることも重要であると考えてい る。 ③ ドイツで長らく支持を得ていた比例代表制併用制への法理論的・政策論的な批判論を整理・検討する。また、 ドイツにおいてこのような併用制批判が高まっている政治的・社会的背景について、文献や当地での識者へのヒ アリングに基づき、申請者なりの見方を提示する。 ④ 選挙制度に関する連邦憲法裁判所の違憲判断に対して、政治部門がどのような対応をしてきたかを動態的に 分析する。 Ⅱ.研究成果の概要 研究成果について、概要を記入してください。 上記の研究計画は、おおむね達成することができ、その成果を以下のようなかたちで公表することができた。 ①「ドイツにおける民主政の現在―選挙制度の『ゆらぎ』をてがかりに」憲法問題 26 号(2015 年)82-94 頁。 ②「ドイツにおける民主主義のゆらぎと憲法論」本秀紀編『グローバル化時代における民主主義の変容と憲法学』 (日本評論社、2016 年)所収 365-395 頁。 ③「ドイツの民主政における阻止条項の現在(1)―自治体選挙と欧州選挙の阻止条項への違憲判決を契機として」 立命館法学 359 号(2015 年)1-51 頁。 さらに④「ドイツの民主政における阻止条項の現在(2)―自治体選挙と欧州選挙の阻止条項への違憲判決を契 機として」を立命館法学 365 号(脱稿済・2016 年 6 月刊行予定) 、⑤同(3・完)を立命館法学 366 号(同 9 月刊 行予定)として公表予定である。 また、研究課題と関連して「子ども法定年齢研究会」 (研究代表・山口直也)において、ドイツ公法学における法 定年齢に関する報告を行った(2015 年 11 月・立命館大学) 。 1