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平成 19 年 2 月 14 日 上海産業情報センター 駐在員 稲熊浩一 中国
平成 19 年 2 月 14 日 上海産業情報センター 駐在員 稲熊浩一 中国ペット産業の興隆 近年の土地高騰や上海証券取引市場など昨年の指数(上海 A 株:1000 前後)に 比べて約3倍もの株高(同:2800 前後)が続く中、高所得者層の余暇活動に変化 の兆しが見られます。上海などの沿岸部や北京などの大都市では、一人っ子政策の 影響もあり核家族化が進み、地方出身者の一人世帯も多い状態です。こうした家庭、 特に子供が成長し家を出た老夫婦など、これまでペットを飼った経験のない家庭で もペットを飼う人が増えています。また、それに伴い、ペットショップなどの関連 産業も増え、中国のペット市場が注目されています。 <潜在力の大きい中国ペット市場> 公式統計によると、現在中国には少なくとも 1 億のペットがいて、年間 8%ずつで 増えています。その内の 1,000 万頭は犬、その他は猫、小鳥などです。 上海、北京、広州、重慶と武漢が中国の五大“ペット都市”で、ペット登録数でい うと、上海市と北京市はそれぞれ 70 万(匹)頭と 42 万(匹)頭に達していますが、 実際数は登録数を大幅に上回ると推測されています。また、北京市保護小動物協会の 調査結果によると、北京市と上海市の市民が毎年ペットのために使う額がそれぞれ 5 億元と 6 億元に達し、今後 3~5 年以内に、中国のペットフードとペット用品市場の 年間販売額は 60 億元を超える見こみです。 <中国初めてのペットレストランとペットホテル> 次に中国ペット業界の 2 大トピックスをご紹介します。 2006 年 3 月に中国初めてのペットレストラン「陪它来此(paradise)」が上海市平陽 路で正式に開業し、開業からたった 3 ヶ月で会員が 300 名以上に増えるなど大きな話 題を呼びました。ペット料理の単品価格は約 30 元~60 元で、全て天然原料を使用し、 ペットの嗜好に合わせてフランス料理のシェフが作っています。中国当局の検疫の厳 しさから、衛生管理も徹底的に行っています。店長はインタビューで「レストランに 連れて来られた全てのペットに対して、必ず犬証明書の所有と予防接種の状況をチェ ックしています、また当レストランでは一日少なくとも 2 回ほど消毒し、毎週火曜日 の定休日には全店内をくまなく消毒します」と答え、衛生管理の徹底ぶりを PR して います。 また、2004 年 6 月 1 日には中国初めてのペット専門ホテルである北京ゴルフ荘園 ペットホテルが正式に誕生しました。当ペットホテルでは、ペット専門家により、ペ ット宿泊、専門訓練、医療保健、美容などのきめ細かいサービスを提供しています。 特に専門訓練が売りで、しつけや技能訓練などさまざまなサービスが受けられます。 ペットの宿泊は一泊 40 元から 80 元で、現在はゴルフ会員のお客様がメインとなって います。 <課題> 中国のペット市場は既に一大産業となり、繁殖、訓練、関連用品、医療、医薬、貿 易の幅広い産業チエーンが築かれていますが、当局の関連法律、規定がまだ整ってい ません。 また、これは一見ペット産業とは関係がないようですが、狂犬病の蔓延の問題があ ります。2006 年全国法定伝染病発病、死亡統計では 06 年の狂犬病発生、死亡者数は 3,215 名となっています。狂犬病の予防接収は大都市ではかなり広く普及して、飼い 犬の登録が積極的になされているようですが、農村部ではまだまだです。こうした衛 生観念の低さもペット熱を冷ます要因になりかねません。 上海市虹橋地区は、日本人、西洋人が多く済む高級住宅地として知られていますが、 そこに獣医病院と併設されているペットショップに行ってきました。ビーフジャーキ ーや犬の種類別のペットフードや、また犬を引っ張るリードなど日本発の高級品が多 数売られており、実際に売れてもいるとのことでした。 店長によれば、獣医の技術や訓練士、トリマー(ペットの美容師)など日本の技術 は進んでいるとの話で、ペット関連産業については、今後も技術協力、法規制も含め て、日中協力の余地が大きいのではないかと思われます。 上海市内の高級ペットショップ