...

Weekly Outlook

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

Weekly Outlook
投資情報部
2015 年 9 月 10 日(木)
Weekly Outlook
週刊投資情報
CONTENTS
1. 日本株見通しとポイント~割高解消した米国株が日本株をサポート .....................2
2. 米国株見通しとポイント~FOMC が株価を大きく左右 .........................................3
3. 円相場見通しとポイント~FOMC 利上げ見送りで不安心理後退か ......................4
4. 国内経済動向~7-9 月以降の回復ペースのカギを握るのは個人消費 .................6
5. 新興国市場・経済動向 ........................................................................................8
6. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移 .......................................................12
7. 今週のストラテジー・セレクション .......................................................................13
8. メキシコ~輸出回復や油田入札での落札率改善見通しがペソの下支えに.................14
9. 来週・再来週の主なスケジュール ......................................................................15
※次号は 9 月 25 日(金)に発行予定です。
引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
1
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
No.221
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
1.日本株見通しとポイント~割高解消した米国株が日本株をサポート
日本株担当: 長谷川 浩
足元の国内経済統計はさえないものが多く、世界的にリスクオフが進む中では、日米で比較した場合の年
初以降の日本株のアウトパフォームが目に付きやすい。今回の世界的な株価下落のきっかけは米国利上
げ懸念と中国景気悪化懸念だが、その背景には米国株が歴史的に割高な水準にあったことも影響している
とみられる。米株の割高感が解消されつつあることから、ここからの株価の下値は限定的とみていいだろう。
 乱高下が乱高下を呼ぶ状況
る投資環境下では、こうした日本経済の弱さがクローズ
アップされる可能性は十分考えられる。となると、米国株
と比べていまだにアウトパフォームしている日本株を売
る、という行動が正当化されやすいのではないか。
9月第2週の日経平均は、週初の7日こそ前週末比68
円高と比較的小動きとなったものの、8日は433円安、9
日は1,343円高とボラティリティの高い展開となった。もっ
とも、7日の日中値幅は500円を超えており、あくまでも
終値が前週末比で小動きとなったに過ぎない。9日の東
証1部売買代金はさすがに3.1兆円台といくぶん増加し
たが、8月31日以降、9月8日までは連日2兆円台となっ
ている。来週のFOMCが近づくにつれ、様子見に転じる
市場参加者が増えていることがうかがえる。
 米国株の割高感は解消されつつある
世界的な株価下落の背景の一つに、米国株が歴史
的に割高な水準にある、という不安感があったとみられ
る。米国株の予想PERは、株価下落の直前まで、歴史
的な平均水準である15倍を大きく上回って推移してい
た。しかし、足元では概ね15倍程度まで低下している
(図表2)。依然として平均並みであり、必ずしも割安とな
 国内景気指標は株価下支えに力不足
足元で発表される国内経済指標はさえない結果が続 ったわけではないが、米国株の割高感の解消は世界的
いており、景気判断が下方修正されるものも散見される。 な株価下落の連鎖を鈍化させることが期待される。
7月の鉱工業生産は前月比マイナスで、経済産業省に
図表1. 日米株価指数の推移(月次)
よる生産の基調判断は先月から据え置きの「一進一退」
(2014年末=100として指数化)
TOPIX
である。8月の消費者態度指数は前月比で若干改善し
120
たものの、内閣府による消費者心理の基調判断は「足
110
踏みがみられる」に据え置かれている。なお、今回の調
100
査は株価下落前の8月15日頃に実施されており、足元
S&P500
90
では悪化している可能性がある。7月の機械受注は前
月比マイナスとなり、内閣府は機械受注の基調判断を
80
「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みがみら
70
(9月9日終値まで)
れる」へ下方修正した。
60
国内景気は、昨年の消費税増税による景気減速から
徐々に立ち直りつつあり、今後はアベノミクスの効果が
表れることが期待されていた。つまり、デフレ脱却機運
等から設備投資が増加し、賃上げによる所得の改善が
個人消費を下支えする流れとなることが想定されていた。
その流れは概ね継続しているものの、歩みは期待され
たほど強くないのが実態である。日米株価を比較すると、
年初からの株価推移に関して相対的に日本株優位の
展開が続いている(図表1)。その理由として、企業収益
面で日本株が優位にある点があげられる。しかし、経済
のファンダメンタルズで見た場合、米国では生産や個人
消費が堅調に推移していることから、足元の日本の内
需の弱さは気になるところである。米国利上げ懸念や中
国の景気先行き懸念が増幅し、リスクオフの流れが強ま
2013
2014
2
(年)
出所: Astra ManagerよりSMBC日興証券作成
図表2. S&P500と予想PERの推移(週次)
(倍)
2,200
S&P500指数
(左軸)
2,100
18
17
2,000
16
1,900
1,800
15
1,700
14
S&P500予想PER
(右軸)
1,600
13
1,500
1,400
12
2013
2014
注:予想はIBES12ヵ月先予想
出所: DatastreamよりSMBC日興証券作成
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015
2015
(年)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
2.米国株見通しとポイント~FOMCが株価を大きく左右
日本株・米国株担当: 河田 剛
9月3日以降の米国株は、利上げや中国景気の動向に対する不透明感などから、ボラティリティの高い動き
が続いた。16~17日にFOMCを控え、目先は様子見姿勢が強い状況が続こう。FOMCで利上げが見送ら
れ、イエレンFRB議長の記者会見で慎重姿勢が示されれば、株価のプラス材料となろう。一方、利上げの可
能性も残っており、その場合には株価は短期的に下落しよう。
 先週、今週のレビュー~ボラティリティの高い動き
数は事前予想を下回ったものの、趨勢としては回復傾
向が続いているとみられる。また、失業率はFRBが目標
とする水準にほぼ到達したと考えられる。このため、ファ
ンダメンタルズ面からは利上げを合理的に説明できる状
態にさらに一歩近づいたといえよう。ただ、一部には弱
い指標も残っており、利上げを決定するのに十分である
かどうかは不透明な状況となっている。
9月3日の米国株市場は、翌日に雇用統計の発表を
控えて様子見気分が強かったものの、ECB(欧州中央
銀行)のドラギ総裁が2016年9月以降も量的緩和を続け
る可能性に言及したことや、8月のISM非製造業景況指
数が事前予想を上回ったことなどから、ダウ工業株指数
(NYダウ)は前日比+23ドルとなった。4日は、欧州株が
下落したことや、雇用統計で失業率が低下し、利上げ
観測がやや強まったこと、リッチモンド連銀ラッカー総裁
がタカ派的な発言を行ったこと、連休前のポジション整
理などから、NYダウは▲272ドルとなった。連休明け8日
は、8月のNFIB(全米独立事業連盟)中小企業楽観度
指数が事前予想を下回ったものの、中国政府の景気対
策期待から中国株市場が引け前に持ち直したことや、
マイクロチップ・テクノロジーが業績見通しを上方修正し
たことで半導体セクターが買われたことなどから、NYダ
ウは+390ドルとなった。9日は、日本株や欧州株の上昇
で買いが先行したものの、7月の求人件数が事前予想
を大きく上回り、利上げ懸念につながったことや、アップ
ルの新製品発表に対する反応が低調だったこと、原油
価格の下落などから、NYダウは▲239ドルと反落した。
 当面の見通し~FOMCが株価を大きく左右
経済指標では11日発表予定の9月のミシガン大学消
費者信頼感指数(速報値)(事前予想:91.1)、15日発
表予定の8月の小売売上高(事前予想:前月比+0.4%)
などが注目される。9月16~17日にFOMC(連邦公開市
場委員会)が開催されるため、目先は様子見姿勢が強
い状況が続こう。FOMCでは、8月半ば以降の金融市場
の混乱から、利上げを見送る可能性が高いと考えられる。
さらに、イエレンFRB議長が会合後の記者会見で慎重
姿勢を示した場合、株式市場には当面のプラス材料に
なると考えられる。ただし、雇用市場の改善に加え、フィ
ッシャー副議長が、インフレ率が目標に達することを合
理的に確信できるとの趣旨の発言を行っていることなど
から、9月に利上げを決定する可能性も依然として残っ
ている。この場合、会合後の記者会見で利上げペース
がきわめて緩慢であることを強調し、市場の鎮静化に努
めるとみられるが、株価は短期的に下落するものとみら
れる。
 8月の雇用統計
4日に発表された8月の雇用統計では、非農業部門
雇用者数が前月比+17.3万人(事前予想:+21.7万人、7
月は+21.5万人→+24.5万人、6月は+23.1万人→+24.5
万人に修正)、民間部門雇用者数が同+14.0万人(事前
予想:+20.4万人、7月は+21.0万人→+22.4万人、6月は
+22.7万人→+21.8万人に修正)と、事前予想を下回っ
たが、6月分、7月分は概ね上方修正となった。失業率
は7月5.3%→8月5.1%と低下し、事前予想(5.2%)を下
回った。また、6月時点のFRB(連邦準備制度理事会)メ
ンバーによる長期的な失業率の予測値5.0~5.2%の範
囲 に入 ってきている。労 働 参 加 率 は7月 62.6%→8 月
62.6%と横ばいだった。FRBが重視する全人口に占める
雇用者数比率は7月59.3%→8月59.4%と上昇した。一
方、27週以上の長期失業者、経済的理由でのパートタ
イマーはいずれも増加した。時間当たり賃金は前月比
+0.3%と事前予想(+0.2%)を上回った。足元の雇用者
事前予想は Bloomberg、2015 年 9 月 10 日 10 時時点のもの
図表1. 非農業部門雇用者数(前月比)の推移
(千人)
600
非農業部門雇用者数
(前月比)
400
200
0
3ヵ月平均
-200
-400
10/10
11/4
11/10
12/4
12/10
13/4
13/10
出所: DatastreamよりSMBC日興証券作成
3
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
14/4
14/10
15/4
(年/月)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
3.円相場見通しとポイント~FOMC利上げ見送りで不安心理後退か
欧米・為替担当: 本間 英至
ドル円は足元まで内外株の乱高下に左右される展開が続いており、年内利上げ期待などを反映する米金
利との連動性が大きく低下している。短期的には内外株を睨みながらの神経質な展開が続きそうだが、株
式市場が落ち着きを取り戻した際には、ドル円と米金利の連動性回復によりドルが上値を試す展開が期待
されよう。来週はFOMCが開催される。決定内容と合わせ、イエレン議長の記者会見も要注目だ。
 この1週間(9/3~)のレビュー
は来週にかけても基本的に内外株の動向を睨みながら
の展開が予想されよう。
ドル円は、4日に日米欧の株式市場の大幅安を受け
てリスク回避的なドル売り円買いが進み、一時118.61円
まで売られた。週明け7日は米国市場休場で小動きとな
ったが、翌8日に中国株が大きく上昇すると、リスク回避
の巻き戻しから円が全面安商状。9日には日本株の急
騰なども加わり、121.20円まで上昇した。ただ、その後は
米株が下落に転じたこと、本日に日本株が大幅反落し
たことを受け、120円を割り込む水準まで一時押し戻さ
れている。ユーロは、3日にドラギECB(欧州中央銀行)
総裁がハト派姿勢を示したこと等から下落基調を強め、
4日には132円台前半まで下落。しかし、週明け後はリス
ク回避の巻き戻しから徐々に水準を切り上げ、足元135
円前後で推移している。豪ドル、NZドルも、前週末にか
けて下落後、週明け後に切り返す展開となり、豪ドルは
9日に85.49円をつけた。NZドルも9日に77円台後半ま
で買われたが、10日に同国中銀が利下げを発表、追加
利下げの可能性を示唆したことが嫌気されて75円台前
半まで一時売られている。(東京時間9/10正午時点)
米金利上昇は中国要因だけではない
一方、米金利の上昇に関しては、中国が人民元買い
米ドル売り介入の原資を確保するため米国債を売却し
ていることが背景にあるとの見方があるが、それだけが
理由とは考えにくい。根底には、米国景気の好調推移
および、それを受けた根強い年内利上げ期待があると
推測される。
図表1. 米金利とドル円相場の推移
(円/ドル)
127
(%)
0.80
0.75
0.70
 ドル円相場の見通しと来週にかけての注目材料
126
米2年国債利回り
(左軸)
125
124
0.65
123
0.60
122
0.55
121
120
0.50
8月下旬以降、米金利とドル円の動きが大きく乖離
119
ドル円(右軸)
0.45
118
ドル円と米金利(2年国債利回り)の推移をみると、両
者は比較的連動して推移していたものの、8月下旬以降
に大幅に乖離。米金利が大きく切り返して急低下前の
水準を既に取り戻しているのに対し、ドル円は、取引時
間中の安値(8/24:116.18円)から戻しているとはいえ依
然として120円台に留まっている(図表1)。
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
ドル円は足元で株式市場との連動性が強まる
21500
両者が著しい乖離をみせている時期、ドル円は株式
市場との連動を強めている(図表2)。内外の株式市場
は乱高下を続けており、この1週間を振り返っても、前週
末は米株安から118円台半ば近くまで下落。8日は中国
株の大幅反発を機にドルが大きく上昇。9日は日本株の
急騰を受けて一時121円台を回復。しかし、その後の米
株安および本日(9/10)の日本株の大幅反落を材料に
一時120円を割り込むなど、ドル円は前週に続いて内外
の株式市場動向に振り回される展開となっている。株式
市場は依然落ち着きを取り戻すに至っておらず、ドル円
21000
125
20500
124
20000
123
19500
122
19000
121
18500
120
0.40
4/1
2015年
5/1
6/1
7/1
8/1
117
9/1
(月/日)
図表2. 日本株とドル円相場の推移
22000
18000
17500
17000
(円/ドル)
127
(円)
日経平均株価(左軸)
126
119
ドル円(右軸)
※ドル円はNY取引終了時間のレートを使用
4/1
5/1
6/1
7/1
2015年
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
4
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
※ドル円はNY取引終了時間のレートを使用
8/1
118
117
9/1
(月/日)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
米国景気については、4日に8月の雇用統計が発表。
非農業部門雇用者数は前月比+17.3万人と市場予想
(+21.7万人、Bloomberg調査)を下回ったものの、過去2
ヵ月分の雇用者が上方修正され、失業率は5.1%と2008
年4月以来の水準まで低下。平均時給も予想を上回る
伸びを記録した。さらに、8月の雇用者数が例年上方修
正される傾向があることも踏まえると、今回の雇用統計
は概して良好な結果であり、米景気が好調に推移して
いるとの見方と整合的な内容だったと判断される。
ベース)が約4ヵ月ぶり、2013年以降で2番目に低い規
模にまで縮小したことが明らかとなった(図表3)。内外
株の大幅下落を受け、投機筋は円売りポジションの解
消(=円買いドル売り)を積極的に進めたことが窺える。
同時に、ポジション整理が進んだことで、投機筋の円買
い余力は相当程度減退したと推測され、今後ドルが下
振れしても、その度合いは大きなものにならない可能性
が高まったといえよう。
既述の通り、短期的には内外株の変動に振り回され
る局面が続きそうだが、株式市場が落ち着きを取り戻し
た際には、ドル円と米金利との連動性が回復すると考え
ている。このことは、先行きのドル上昇の余地が大きいこ
とを示唆しているといえよう。
ドル以外の通貨に関しては、ドル円と同様、来週にか
けても世界の株式市場動向を見ながらの神経質な展開
が続くことが予想される。
 ドル以外の通貨について
それぞれの通貨の主な材料を紹介すると、先ずユー
ロについては、15日に9月ZEW期待指数が発表される
来週のFOMCは利上げ見送りと引き続き予想
他、20日にギリシャで総選挙が開催される(詳細は9/9付
いよいよ来週16~17日にFOMC(連邦公開市場委員 「主要通貨デイリー」をご参照下さい)。豪ドルに関して
会)が開催される。米国の景気実体のみに焦点を当て は、中国で13日に発表される小売売上高や鉱工業生
るならば、今回の会合での利上げは十分に正当化され 産などの8月の主要経済指標が注目材料となる。8月に
よう。しかし、金融市場は依然として乱高下を続けている。 関しては、中国株の大幅下落の影響や、中国政府が9
一方、FF先物市場によれば、9月利上げ実施の確率は 月初旬の抗日戦勝70周年記念式典に向けて8月下旬
30%程度と、織り込みが進んでいるとは言い難い水準に から工場の操業停止を指示したこともあり、冴えない結
留まっている。こうした中で利上げが行われると、内外の 果も予想される。その際は、中国政府の対応や当局者
金融市場にサプライズを与えて混乱を助長し、米国内 からの発言が注目されよう。一方、NZドルについては、
外の実体経済に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあろう。 17日に4-6月の実質GDPが発表される。
こうしたことから、FOMCでは利上げ見送りで合意に至る
可能性が依然高いと考えている。その際のドル円の反
応だが、利上げの織り込みが3割程度まで低下している
ため、ドル売り圧力は限定的とみている。むしろ、不安
心理の後退から円売りドル買いで反応する展開も想定
されよう。
一方、予想外の利上げ決定となった場合、イエレン
FRB(連邦準備制度理事会)議長は先行きについて緩
慢なペースでしか利上げを行わない旨の説明を行い、
市場の過剰な動揺の回避に努めると推測される。ただ、
既述の通り、織り込み不十分な中での利上げとなるだけ
に、「利上げ→金利差拡大→ドル高」ではなく「利上げ
→株安→リスク回避でドル安」に反応する可能性があり、
注意が必要だ。
図表3. 投機筋の円に対するポジション(対米ドル)の推移
30,000
(枚)
(円/ドル)
80
85
0
円買い残高-売り残高(左軸)
90
95
-30,000
100
なお、来週にかけては、FOMC以外にも、地区連銀
の9月製造業景況指数や8月小売売上高、鉱工業生産、
住宅着工件数など注目度の高い経済指標の発表が相
次ぐ。
-60,000
105
-90,000
110
115
-120,000
120
125
-150,000
投機筋主導の円買い圧力は相当程度減退
(1枚=12,500,000円)
投機筋の円に対するポジション残高をみると、最新デ
ータとなる9月1日時点での円売りドル買い残高(ネット
130
135
13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7
(年/月)
出所: CFTC、DatastreamよりSMBC日興証券作成
5
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
ドル円(右逆軸)
-180,000
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
4.国内経済動向~7-9月以降の回復ペースのカギを握るのは個人消費
日本経済・金利担当: 野村 真司
4-6月の実質GDPは年率▲1.2%と、1次速報から上方修正された。但し、主因は需要低迷に伴う民間在庫
品の増加であり、いわば「悪い上方修正」。7-9月以降は内需主導のプラス成長が見込まれる。設備投資は
更新投資、省力化投資等から拡大基調が期待されよう。回復ペースのカギを握るのが個人消費。7-9月も
個人消費が伸び悩むようであれば、年末にかけて補正予算編成等の政策対応を政府は迫られよう。
 4-6月GDP2次速報:上方修正も内容悪し
図表1.実質GDP項目別前期比・寄与度の推移
GDP統計2次速報によれば、4-6月の実質GDPは前
期比▲0.3%(同 年率▲1.2%)となり、1次 速報の同 ▲
0.4%(同年率▲1.6%)から上方修正された(図表1)。上
方修正の主因は民間在庫品の増加(寄与度:+0.1%pt
→+0.3%pt)であり、決して評価すべきものではない(図
表2)。内容は「原材料在庫」と「仕掛品在庫」が減少す
る一方、「製品在庫」、「流通在庫」が増加した。在庫増
は統計上プラスに寄与するものの、実態は製造したもの
の売れ残りが積み上がっている状況を示唆している。ま
た、設備投資は同▲0.1%から▲0.9%へと下方修正。財
務省が1日に発表した法人企業統計で、食料品や鉄鋼
業等の設備投資が減少したことを反映した。
2.7
2
1.5
1.1
1.5
1.1
0.2 1.0
1.3
1.1
0.6 0.6
0.3
0
-0.5
-2
-0.4
-0.5
-0.7
-1.9
-0.1
住宅投資
民間在庫品増加
設備投資
実質GDP
-4
-6
-0.2
公的需要
外需
個人消費
-0.3
-0.3
-2.0
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(年/四半期)
出所: 内閣府「国民経済計算」よりSMBC日興証券作成
図表2.実質GDP前期比 需要項目別寄与度
7-9月以降の国内経済はプラス成長が見込まれる。た
だ、外需(輸出)主導の回復には期待できない。中国経
済の減速に加え、中国経済の減速→資源安→資源国・
新興国経済の減速という負の連鎖が輸出の回復を妨げ
ている。従って、内需主導のプラス成長が見込まれよう。
牽引役として期待されるのが設備投資。老朽化に対応
する更新投資、人手不足に対応する省力化投資等が
設備投資の拡大基調に結びつく公算が大きい。回復ペ
ースのカギを握るのが個人消費だ。後述するように雇
用・所得は改善傾向にある一方、消費マインドは頭打ち
している。7-9月も個人消費が伸び悩むようであれば景
気対策含みの補正予算編成等、年末にかけての政策
対応が必至の情勢となろう。
(%pt)
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
1次速報
2次速報
-0.8
個
人
消
費
住
宅
投
資
設
備
投
資
在
庫
投
資
政
府
消
費
公
共
投
資
輸
出
輸
入
注: 2015年4-6月実質GDP前期比に対する需要項目別寄与度
出所: 内閣府「国民経済計算」よりSMBC日興証券作成
 7月毎月勤労統計:ベア効果が顕在化
図表3.雇用者所得の推移
7月の毎月勤労統計(従業員5人以上)によれば、従
業 員 1 人 当 た り平 均 の 現 金 給 与 総 額 は 前 年 同 月 比
+0.6%と2ヵ月ぶりのプラス。特に基本給や家族手当に
あたる所定内給与の伸び率も同+0.6%と、ベースアップ
(ベア)が徐々に広がり、2005年11月以来となる大幅な
伸び率を記録した。一方、6月に同▲6.7%と下ブレした
ボーナスが中心となる特別給与は、同+0.3%と伸び率は
今一つ。円安効果のあった製造業は増加したものの、
円安がコスト上昇要因となる小売等、内需企業は横ば
いや減少した公算が大きい。夏のボーナス全体でも同
マイナスとなる可能性が出てきた。また、現金給与総額
(前年同月比、寄与度、%)
6
3.9
4
3.6
2.6
2
0
-2
特別給与(賞与)
所定外給与(残業代)
所定内給与
常用雇用指数
雇用者所得(=雇用指数×給・賞与計)
-4
-6
(注)事業所規模5人以上
-8
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(年)
出所: 厚生労働省「毎月勤労統計」よりSMBC日興証券作成
6
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(前期比、寄与度、%)
4
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
から物価変動の影響を除いた実質賃金指数は同
+0.3%と2013年4月以来のプラスに転じている。常用雇
用(一般労働者+パートタイム労働者)は、同+2.0%と堅
調な伸びを維持し、雇用者所得は同+2.6%と2ヵ月ぶり
のプラス(図表3)。足元の雇用・所得の改善、マイルドな
物価動向を勘案すれば、名実共に雇用者所得の改善
が見込まれ、個人消費の下支えに寄与しよう。
ヵ月連続の減少となった。2ヵ月連続の減少は消費増税
直後の昨年4~5月以来。業種別にみると、製造業が同
▲5.3%と2ヵ月連続の減少で、6月の2ケタ減に続く減少
となった。電気機械(電子計算機等)、食品製造業(運
搬機械)等からの受注が低調。また、非製造業(船舶・
電力を除く)は同▲6.0%と2ヵ月ぶりの減少で、情報サ
ービス業(電子計算機)、通信業(通信機)からの受注が
落ち込んだ。7-9月見通し(前期比+0.3%)を達成するた
めには8月、9月でそれぞれ前月比+9.6%以上の大幅増
加が必要。7-9月は5四半期ぶりの減少となる可能性も
出てきた。内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直し
の動きに足踏みがみられる」とし、従来の「持ち直してい
る」から下方修正(昨年11月以来)。但し、機械受注の
足踏みは一時的とみる。製造業中心に輸出・生産の停
滞で足踏み状態にある一方、前述した更新投資、省力
化投資等は中長期的な見通しに基づいた企業行動だ。
また、非製造業では電力・ガスの安定供給、鉄道の高
速化等、目先の景気に左右されない案件が目白押し。
当面の設備投資は拡大局面にあるとみている。
 8月景気ウォッチャー:現状、先行き共に50割れ
8月の景気ウォッチャー調査(調査期間8月25~31日)
では、足元の景況感を示す現状判断DIが前月比▲2.3
ポイントの49.3となり2ヵ月ぶりの低下で、横ばいを示す
50を7ヵ月ぶりに下回った(図表4)。家計関連では小売
関連等が低下(2ヵ月ぶり)。背景として中国の景気減速
の影響や、株安が消費マインドに悪影響を与えたこと等
が挙げられる。因みに、調査期間中は日経平均が2万
円の大台を大きく割り込んだ直後の時間帯だ。企業関
連では公共事業の減少も指摘され製造業、非製造業
共に低下(3ヵ月ぶり)。一方、雇用関連は2ヵ月ぶりに低
下したものの、8ヵ月連続で50超を維持した。
2~3ヵ月先の景気に対する先行き判断DIは、前月比
▲3.7ポイントの48.2となり3ヵ月連続の低下。低下幅は
消費増税前の2014年3月以来となる大幅なもので、節
目の50を8ヵ月ぶりに下回った。先行きについては、6年
ぶりの大型連休となるシルバーウィーク、プレミアム付商
品券への期待等がみられる一方、中国経済の情勢や
生活必需品を中心とする物価上昇への懸念等がみられ
ている。内閣府は街角景気の判断について「緩やかな
回復基調が続いている」と6ヵ月連続で据え置いた。但
し、調査対象者の間で世界同時株安の震源地となって
いる中国経済の行方を不安視するコメントが増えたこと
から、冒頭に「景気は、中国経済に係る動向の影響等
がみられるが」との文言を加えている。
図表4.景気ウォッチャーと消費者態度指数の推移
(DI)
60
55
50
45
40
35
30
25
景気ウォッチャー調査:現状判断DI
景気ウォッチャー調査:先行き判断DI
20
消費者態度指数(訪問留置法による)
15
消費者態度指数(郵送法による)
(シャドウ部分は景気後退期)
10
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2014
2015
(年)
出所: 内閣府「景気ウォッチャー調査」、
「消費動向調査」よりSMBC日興証券作成
 8月消費者態度指数:2ヵ月ぶりに改善
8月の消費者態度指数(一般世帯・季節調整値)は
41.7と前月比1.4ポイント上昇(図表4)。2ヵ月ぶりの改善
で、過去平均(1982年6月~2015年8月)の42.2をやや下
回った。内訳項目の「暮らし向き」、「収入の増え方」、
「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4指標す
べてが上昇。内閣府は消費者心理の基調判断を「足踏
みがみられる」に据え置いている。但し、調査基準日は8
月15日と、下旬以降の世界同時株安の前であり、今回
の結果は多少割り引く必要はあろう。
図表5.機械受注の推移
(億円)
16,000
(季節調整値・月次ベース)
14,000
外需
12,000
民需(除く船舶・電力)
10,000
8,000
6,000
非製造業(除く船舶・電力)
4,000
2,000
 7月機械受注:足元の足踏み状態は一時的
製造業
*マーカー入りの太線は3ヵ月移動平均。
0
2008
7月の機械受注統計によれば、民間設備投資の先行
指標である船舶・電力を除く民需は、前月比▲3.6%と2
2009
2010
2011
2012
2013
2014
出所: 内閣府「機械受注統計」よりSMBC日興証券作成
7
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2013
2015
(年)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
5.新興国市場・経済動向
新興国担当: 山本 正樹 / 白岩 千幸 / 武田 泰典 / 前田 佑太
新興国市場では、株式・通貨とも引き続き米中発の材料に一喜一憂する展開となった。来週の米FOMC(連
邦公開市場委員会)までは神経質な展開が続こうが、その後は利上げ見送りの場合に加え、実施の場合も
声明文の内容次第では新興国資産がひとまず買い戻されるとみている。新興国では、中国で13日に8月分
の主要な経済指標が、インドでも今週末から来週にかけて注目度の高い経済指標が発表される予定。
 最近の新興国市場の動向
新興国株式市場は、先週半ばから先週末にかけて
は買い戻しが優勢であったものの、4日発表の米雇用統
計を受け9月利上げ観測が再浮上、リスク回避姿勢が
強まると総じて下落した。8日以降は中国株上昇等を背
景に市場心理は改善し、値を戻す展開となった。その
後、9日の米国株が下落に転じたことから、10日のアジ
ア株式市場およびアジア新興国通貨は再び軟調となっ
ている。直近1週間の株価指数騰落率(図表1、9日時点)
では、中国・上海株(+2.6%)が上位となった。休場(3~4
日)明けの上海株式市場は、8月末の外貨準備高(7日
発表)や輸入(8日発表)が予想を上回る大幅な減少と
なったことから下落したものの、その後は反発。景気刺
激策への期待に加え、公的資金の買いも株価を押し上
げたとみられる。一方、トルコ株(▲2.2%)は大幅安。再
選挙に伴う政治的な不透明感に加え、政府とクルド系
過激派組織PKK(クルド労働者党)との対立激化等が
売り材料となった(詳細は後述)。
新興国通貨も株式市場と同様、米金融政策を巡る思
惑や中国の動向等に左右され乱高下する展開。最近
の為替市場では、投資家のリスク回避姿勢が強まる局
面で円高・新興国通貨安が進行する一方、リスク回避
姿勢が和らぐと新興国通貨が買い戻される傾向が続い
ている。直近1週間の騰落率(図表1、9日時点、対円)
では、国内の治安悪化等を受け、トルコリラ(▲3.0%)が
大幅安となった他、南アフリカランド(▲2.4%)は主な輸
出品であるプラチナ等の価格下落を背景に下げが目立
っている。(前田)
図表1. 主な新興国市場の動向
直近値
騰 落 率 (% )
9月 9日
2015年 初 来 2014年 年 間 過 去 1週 間 過 去 30日 間 過 去 90日 間 過 去 1年 間
株価指数
中国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
為替
上海総合指数
香港ハンセン指数
SENSEX30種指数
韓国総合指数
ジャカルタ総合指数
SET指数
FBM KLCI総合指数
フィリピン総合指数
MICEX指数
イスタンブール100種指数
JSE全株指数
ボベスパ指数
ボルサ指数
3,243.08
22,131.31
25,719.58
1,934.20
4,347.27
1,396.29
1,603.36
6,942.47
1,722.43
72,003.34
49,723.55
46,657.10
42,754.68
0.3
▲6.2
▲6.5
1.0
▲16.8
▲6.8
▲9.0
▲4.0
23.3
▲16.0
▲0.1
▲6.7
▲0.9
52.9
1.3
29.9
▲4.8
22.3
15.3
▲5.7
22.8
▲7.1
26.4
7.6
▲2.9
1.0
2.6
5.7
1.0
1.0
▲1.2
1.7
0.8
▲1.8
1.9
▲2.2
1.0
0.4
▲0.5
▲17.4
▲9.7
▲8.5
▲3.4
▲8.5
▲1.7
▲3.1
▲7.9
1.2
▲7.1
▲4.4
▲5.5
▲5.7
▲36.7
▲17.8
▲2.5
▲6.0
▲11.8
▲7.8
▲7.6
▲7.5
4.2
▲10.9
▲4.2
▲13.1
▲4.2
39.4
▲12.1
▲5.7
▲5.6
▲16.4
▲11.8
▲14.4
▲4.3
17.3
▲10.1
▲3.8
▲20.5
▲6.9
▲2.0
▲4.4
▲7.5
▲12.5
▲8.5
▲18.3
▲3.9
▲14.6
▲22.6
▲15.6
▲29.2
▲11.7
10.9
11.4
9.4
11.7
13.0
6.5
12.8
▲35.6
4.6
3.2
1.0
0.5
▲0.2
▲0.3
▲0.5
▲0.7
▲1.1
▲1.9
0.2
▲1.9
▲3.0
▲2.4
▲0.4
0.1
▲5.8
▲7.1
▲5.9
▲8.2
▲6.3
▲11.8
▲5.7
▲11.0
▲11.5
▲11.3
▲12.1
▲7.1
▲5.0
▲6.1
▲8.7
▲8.7
▲9.1
▲15.4
▲6.0
▲21.9
▲13.1
▲12.5
▲20.2
▲10.9
9.2
3.7
▲1.4
▲6.3
0.6
▲16.2
5.8
▲38.5
▲17.9
▲10.1
▲31.4
▲11.0
※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高
中 国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
円/人民元
円/インドルピー
円/韓国ウォン(x100)
円/ルピア(x100)
円/バーツ
円/リンギ
円/フィリピンペソ
円/ルーブル
円/トルコリラ
円/ランド
円/レアル
円/メキシコペソ
18.89
1.81
10.11
0.84
3.32
27.92
2.56
1.76
39.68
8.73
31.88
7.16
注: 「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
8
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
 新興国市場関連トピック
図表3. 中国の貿易統計
中国~2014年の実質GDP成長率を下方修正
(前年比、%)
中国国家統計局は7日、2014年の実質GDP成長率を
0.05%pt下方修正し+7.30%に改定した。また、10日には
四半期ベースの実質GDP成長率も改定。2014年の実
質GDP成長率(前年比)は全ての四半期でほぼ0.1%pt
ずつ下方修正された。統計局は国際標準に近い形で
GDPの算出方法を見直したとしている。(白岩)
(100万ドル)
貿易収支(右軸)
70
70,000
60
60,000
50
50,000
輸出(左軸)
40
40,000
30
30,000
20
20,000
10
10,000
0
図表2. 中国の実質GDP成長率(改定前と改定後)
0
-10
-10,000
-20
(前年比、%)
8.2
-20,000
輸入(左軸)
-30
13/1
13/7
14/1
14/7
-30,000
15/1
15/7
(年/月)
8.0
出所: CEIC、中国通関統計よりSMBC日興証券作成
7.8
7.6
中国~8月末の外貨準備高は過去最大の減少
改定前
7日に発表 された8月末の外貨準 備高 は前 月比▲
939億ドルの3.56兆ドルと月間ベースでは過去最大の減
少幅となった。中国からの資金流出の動きが強まり、人
民銀行が大規模な外貨売り人民元買い介入を実施し
たことが窺える。中国人民銀行は8月半ばの人民元切り
下げの理由を市場実勢に近付けるためと説明してきた
が、8月の外貨準備高が大幅に減少したことにより、資
本流出による人民元安圧力の大きさが改めて示唆され
たといえよう。一方、李克強首相は9日、「中国の成長率
は合理的な範囲内にあり、外貨準備も比較的潤沢であ
り、人民元レートが継続して下落する理由は存在しない」
と述べた。また「人民元レートの継続的な下落は人民元
の国際化に不利である」とし、継続的な人民元安を容認
しない姿勢を見せた。(白岩)
7.4
改定後
7.2
7.0
6.8
12/3
12/9
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3 (年)
出所: CEIC、中国国家統計局よりSMBC日興証券作成
中国~8月の輸入は前年比二桁減で景気悪化を示唆
8日に発表された8月の輸出は前年比▲5.5%(7月▲
8.3%)とマイナス幅が縮小した。EU向け(7月▲12.3%⇒
8月▲7.5%)や日本向け(▲13.0%⇒▲5.9%)を中心に
先進国向けのマイナス幅が縮小。新興国向けは特に資
源国向けが不振となり、ブラジル向けが▲29.8%(7月▲
17.8%)となった。一方、8月の輸入は前年比▲13.8%(7
月▲8.1%)とマイナス幅が拡大。単価の大きい飛行機
の輸入が前年比マイナスに転じるなど特殊要因はあっ
たものの、工作機械のマイナス幅も拡大した。6月半ば
以降の本土株安等で企業の設備投資が一段と鈍化し
た可能性があろう。また、資源価格の下落に加え、原油
輸入量が大幅に鈍化するなど、景気の不透明感から資
源輸入が抑制されたとみられる。この結果、8月の貿易
収支黒字は前年比+20.8%の+602億ドルに拡大した。
図表4. 中国の外貨準備と人民元の対ドルレート
(兆ドル)
6.0
4.0
人民元の対ドルレート(右軸)
3.5
6.5
3.0
7.0
2.5
2.0
7.5
1.5
外貨準備高(左軸)
1.0
なお、輸入の大幅な減少は国内景気の一段の減速
を示唆するものの、8月は①人民元引き下げ、②株安、
③商品市況の下落、④天津の爆発事故、⑤9月3日の
軍事パレードを控えた工場の操業停止(8月20日から9
月3日まで北京周辺の2万社近くの工場が対象)など、
悪材料が重なった。9月以降は少なくとも④、⑤の一時
的な要因が剥落するため、マイナス幅は縮小すると予
想している。(白岩)
8.0
0.5
0.0
8.5
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15 (年)
出所: Bloomberg、CEIC、中国人民銀行よりSMBC日興証券作成
インドネシア~投資誘致を目指す政策パッケージ発表
政府は8月27日、ルピア安に対応した政策パッケージ
を近く発表するとしていた。そうした中、ジョコ大統領は9
9
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(元/ドル)
4.5
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
月9日、投資誘致等を目指した政策パッケージを発表し
た。競争力の向上や事業環境の改善のため、手始めと
して10月末までに89の規制を見直すことや、電子化に
より許認可手続きの簡素化を図る計画等を挙げている。
なお、今後第2弾としてインフラ整備など国家事業の加
速、第3弾として不動産分野への投資拡大を目的とする
政策パッケージを順次発表する方針を示した。
他方で、前述の通り、GSTそのものについてはBJPと国
民会議派の間で意見の相違は大きくないだけに、州議
会選挙の終了後は歩み寄りの機運が生じる可能性もあ
るとみている。(山本)
トルコ~政府とPKKとの対立が激化
トルコでは6日以降、政府とクルド系過激派組織PKK
(クルド労働者党)との対立が激化している。6日にPKK
は軍用車両に対し攻撃を加え、トルコ軍兵士16名が死
亡。これを受け、軍は7日夜から8日未明にかけPKKに
対する空爆を実施し、PKKの戦闘員約35名が死亡した。
その後、PKKは8日に警察官14名を殺害している。両者
の対立激化でトルコの治安は一段と悪化している。
ジョコ政権は8月上旬にも経済閣僚を中心とした内閣
改造を断行したほか、9月に入ってからは国会に48議席
を有する国民信託党の与党入りが決まり、国会での与
党過半数確保に目処をつけている。政権運営の円滑化
につながる前向きな動きが続いているといえよう。
ジョコ政権は、就任早々に難題とされた燃料補助金
改革を断行し、インフラ整備予算の拡充を図るなど、そ
の改革姿勢が高く評価された。しかし、その後は目玉で
あったインフラ予算の執行遅れが景気の下押し要因と
なるなど、経済政策運営への不信感が強まっていた。
最近の一連の動きからはジョコ政権が信頼回復へ向け
て攻勢を強めていることが窺われ、市場でもポジティブ
に受け止められよう。(山本)
トルコ政府は7月下旬にPKK等に対する空爆を決定
したが、この背景には再選挙での勝利を目指すエルド
アン大統領や与党AKP(公正発展党)の思惑があろう。
エルドアン大統領らはPKK等に対する強硬姿勢を強め
ることにより、AKPに対する支持回復を狙っていると考え
られる。また、大統領らはクルド系合法政党HDP(人民
民主党)を「テロ支援政党」として公然と非難しており、6
月総選挙で躍進したHDPの支持率を低下させる狙いも
窺える。ただ、直近の世論調査では、AKPの支持率は6
月総選挙の得票率よりもわずかに上昇しているが、単独
過半数獲得に必要とされる支持率には届いていない。
また、HDPの支持率は概ね横ばい圏にとどまっている。
このため、11月1日の再選挙を控え、政府はクルド系勢
力に対する強硬姿勢をさらに強める可能性があり、一段
の治安悪化が懸念される。トルコリラは治安の悪化や政
治的な不透明感等から、再選挙が終了するまでは売ら
れやすい地合いが継続すると予想している。(前田)
インド~GST関連法案は次期国会に持ち越しへ
インド政府は9日、休会状態のまま8月13日に会期末
を迎えていた国会を閉会することを決定した。政府与党
は州ごとに異なる間接税を一本化する商品サービス税
(GST)の導入へ向け、会期を延長して関連法案の成立
を目指していたが、断念した格好となった。11月の次期
国会で再度成立を目指すものの、予定していた2016年
4月からの導入は事実上先送りが確実となった。
GSTは投資環境の大幅な改善につながり、導入が決
まればモディ政権発足以来で最大の成果となり得ただ
けに、市場でもネガティブに受け止められよう。
図表5. トルコリラ相場
2.0
2.1
2.2
2.3
2.4
2.5
2.6
2.7
2.8
2.9
3.0
3.1
3.2
与党第1党のインド人民党(BJP)は下院では議席の
過半数を有するものの、上院では過半数に満たず、野
党の抵抗で厳しい国会運営が続いている。GSTについ
ては、現野党第1党の国民会議派も与党時代に導入を
目指していた経緯があり、歩み寄りが不可能なほどの意
見の相違があったわけではない。にもかかわらず、法案
が成立しなかった背景としては、ビハール州の州議会
選挙(10月12日から11月5日の間に5回に分けて投票、
11月8日に開票)が控えている事情が考えられる。ビハ
ール州はインドの中でも人口の多い州の1つ。昨年の総
選挙で歴史的な惨敗を喫し、再起を賭ける国民会議派
は、妥協よりは与野党の対立ムードを盛り上げた上で選
挙戦に臨む方が得策と考えてもおかしくはないだろう。
(円/リラ)
54
52
50
48
46
44
42
リ
ラ
高
14/1 14/3
対米ドル(左逆軸)
対円(右軸)
14/5
14/7
14/9 14/11 15/1 15/3
15/5
40
15/7
38
15/9
(年/月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
ブラジル~S&Pが投資不適格級に格下げ
格付け大手S&Pは9日の市場取引終了後、ブラジル
の外貨建て長期債格付けを投資適格級の中で一番低
10
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(リラ/ドル)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
い「BBB-*」から投資不適格級の「BB+*」に1段階引き
下げ、見通しも「ネガティブ*」に据え置いた。S&Pは7月
28日に格付け見通しを「安定的*」から「ネガティブ*」に
引き下げたが、わずか1ヵ月余りと異例の早さでの格下
げとなった。なお、格付け大手3社によるブラジルの格付
けは、ムーディーズが2009年9月22日に投資適格級へ
格上げして以降はいずれも投資適格級となっていた。
インドでは、11日に7月の鉱工業生産、14日に8月の
消費者物価指数、卸売物価指数が発表される。足元で
は食品の価格動向に影響を及ぼすモンスーン(雨季:
6~9月)の降雨量が不足気味(9月9日時点で平年比▲
15%)となっているが、食品価格の高騰は一部にとどま
っている模様。モンスーン序盤の降雨が良好だったこと
や、政府による諸々の対策が奏功しているとみられる。
原油等の国際商品市況安も相まって、市場では追加利
下げ観測がくすぶっている。定例の金融政策決定は29
日と、米国のFOMC(16~17日)終了後に予定されており、
グローバルな市場環境が安定すれば、国内経済指標
が金融政策を大きく左右しよう。このため物価指標が良
好な結果となれば、利下げ観測が強まり、株式市場で
はポジティブに受け止められよう。
S&Pは格下げの理由として、政府が8月31日に基礎
的財政収支が赤字となる来年度予算案を発表したこと
を指摘した。財政再建を巡る政府内及び政府と議会と
の対立や景気悪化に懸念を示し、さらなる格下げの可
能性も3分の1以上あるとしている。
市場では、投資不適格級への格下げ自体は一部で
予想されていたものの、これほど早いタイミングでの格下
げや、格下げ後も見通しが「ネガティブ*」で据え置かれ
た点は予想外であったとみられる。目先はレアルに対し
て一段と下押し圧力がかかろう。(武田)
インドネシアでは、17日に金融政策が決定される。同
日の米国時間にはFOMCの結果が判明する予定となっ
ているだけに、今回も現状維持(7ヵ月連続)が予想され、
市場への影響は限定的となろう。
注:「*」は日本では無登録の格付機関による格付け又は見通し
トルコでは、主要な経済指標の発表等は予定されて
おらず、新たな材料に乏しいため、引き続き米中等の外
部要因に左右されやすい地合いが継続しよう。一方、
格付け大手フィッチは、来週にもトルコの格付けの見直
 来週にかけてのスケジュールと見通し
先週から今週にかけても、米中発の材料に翻弄され、 しを発表する予定。同社は現在トルコの外貨建て長期
新興国市場は上下に振れる展開が続いた。米国の金 債格付けを「BBB-*」、見通しを「安定的*」としているが、
融政策を巡って、9月利上げ観測は浮上、後退を繰り返 再選挙に伴う政治的不透明感の長期化を懸念するコメ
す格好となっており、こうした状況は来週のFOMC(連邦 ントを8月末に発表しており、見通し引き下げなどを発表
公開市場委員会、16~17日)まで続こう。FOMCで利上 する可能性があろう。格付け大手3社のうち、ムーディー
げが見送られれば、新興国資産に対する買い安心感が ズとフィッチは投資適格級の格付けを付与しているが、
広がるとみている。一方、利上げが決定される場合でも、 ムーディーズは見通しを「ネガティブ*」としている。フィッ
先行きの金融政策に対して声明文でハト派的なスタン チが見通しを引き下げた場合、ムーディーズが投資不
スが示されれば、同様に新興国資産の買い戻しを誘うも 適格級へ格下げするリスクを市場が意識する可能性も
のとみている。なお、今回利上げが見送られる場合は あり、要注意と言えよう。
「いつ利上げを開始するのか」という不透明要因が残る
ブラジルでは、引き続き中国等の動向に加え、国内
だけに、年末にかけて神経質な局面が再来する可能性 の政治・政策動向が注目される。足元では政府が所得
はあろう。
税の最高税率引き上げなど追加の財政再建策を検討
していると報じられている。S&Pによる投資不適格級へ
の格下げを受けて政府が新たな対策を講じる可能性も
あろうが、当面は既に議会に提出済みの財政再建関連
法案の行方が焦点となろう。また、引き続きルセフ大統
中国では、13日に8月の主要経済指標が発表される。 領の不正疑惑に対する司法判断も注目される。
8月の鉱工業生産は前年同月が低調だったことによる (山本、白岩、武田、前田)
押し上げ効果(ベース効果)もあり、市場予想では7月の
前年比+6.0%を上回るとみられている。ただし、下振れ
した場合は株価の急落等も想定され、注意が必要であ
ろう。また、景気下支え効果が期待されるインフラ投資
の動向も注目される。
これから来週にかけても、新興国市場は引き続き外
部環境に左右されやすい展開となろうが、新興国のスケ
ジュールでは、以下のようなイベントが注目される。
11
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
6.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
日本株担当: 溝渕 彩乃
中国の景気減速懸念や米利上げを巡る不透明感から日経平均は値動きの荒い展開が続いている。9日は、
1,343円高と1994年以来、歴代6番目となる大幅上昇となったが、翌日は大幅に反落した。今後も、中国の
経済統計の発表や16、17日のFOMCを控え、ボラティリティの高い展開を余儀なくされるとみられる。テクニ
カル面では売られ過ぎの水準にあり、大きく調整する場面では、押し目買い意欲が高まろう。
図表1. 主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
【国内主要株価指数】
130
(150日前を100として指数化)
【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】
(pt)
1,950
(%)
0.7
1,900
120
0.6
1,850
110
0.5
1,800
0.4
1,750
100
1,700
90
0.3
1,650
日本10年物国債利回り(右軸)
東証REIT指数(左軸)
1,600
80
日経平均
日経JASDAQ指数
70
2/4
3/6
4/5
5/5
東証マザーズ指数
7/4
8/3
【日経平均と25日移動平均・乖離率】
(円)
9/2
(%)
20
0
2/4
(月/日)
日経平均株価
(左軸)
21,000
0.1
1,550
1,500
6/4
2015年
23,000
0.2
3/6
4/5
5/5
6/4
7/4
8/3
2015年
23,000
【日経平均と100日移動平均・乖離率】
(円)
9/2
(月/日)
(%)
日経平均株価(左軸)
15
15
21,000
10
20
10
5
5
19,000
19,000
0
0
-5
17,000
25日移動平均(左軸)
25日移動平均乖離率
(右軸)
17,000
-10
15,000
-5
100日移動平均乖離率(右軸)
-10
100日移動平均(左軸)
-15 15,000
2/4
3/6
4/5
5/5
6/4
7/4
8/3
2015年
(円)
23,000
9/2
-15
2/4
(月/日)
3/6
(円)
250
6/4
7/4
8/3
9/2
(月/日)
【日経平均 ストキャスティクス(9日)】
300 23,000
21,000
5/5
2015年
【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】
日経平均株価(左軸)
東証一部25日騰落レシオ(右軸)
4/5
300
日経平均株価(左軸)
%D(右軸)
Slow %D(右軸)
21,000
250
200
200
(%)
19,000
19,000
150
100
120%ライン
17,000
(%)
80%ライン
150
100
17,000
50
70%ライン
15,000
50
2/4
2015年
3/6
4/5
5/5
6/4
7/4
8/3
15,000
9/2
(月/日)
20%ライン
2/4
2015年
3/6
0
4/5
5/5
6/4
7/4
8/3
9/2
(月/日)
注: データは2015年9月9日まで。
出所: 各図表ともAstra ManagerよりSMBC日興証券作成
テクニカル指標の見方
 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買わ
れ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。
 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。
%D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均)
Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。
12
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
7.今週のストラテジー・セレクション
日本株担当: 井場 浩之 / 松永 良輔
日興ストラテジー・セレクションのなかから、株価トレンド面を踏まえて以下の銘柄を紹介する。株価が神経
質な動きをするなか、今週も引き続き、業績が堅調で上振れ期待感が変わらない銘柄に着目。
【株価チャート(週次)】
◎大成建設(1801) 売買単位:1,000 株
900
【会社概要と株価状況】
総合建設大手の一角。大型土木か
ら建築、戸建て住宅と幅広く展開。
週次移動平均線状況
9/10 現在
794.0 円
株価
13週線
759 円 乖離率
4.57%
26週線
723 円 乖離率
9.79%
【注目ポイント】
ポジティブな 16/3 期 1Q 決算では、完
成工事総利益率の好転を確認、受注
も大幅増、上期決算発表前に通期計
画の増額修正期待大。株価は年初来
高値(8/18)から約 16%下落、うち 9/10
終値では約 9%分値を戻した水準。
週次移動平均線状況
9/10 現在
1,731.0 円
株価
13週線
1,756 円 乖離率
-1.42%
26週線
1,733 円 乖離率
-0.12%
750
600
450
300
13/9
週次移動平均線状況
9/10 現在
8,915.0 円
株価
13週線
9,763 円 乖離率
-8.68%
26週線
9,215 円 乖離率
-3.25%
14/3
2,000
【注目ポイント】
SAP 販売好調に支えられて、1Q 決算
発表時に上期 会社計 画の利益を増
額、原料安の寄与大きく、さらに上振
れ期待。株価は年初来高値(8/11)か
ら約 16%下落、うち 9/10 終値では約
5%分値を戻した水準。
(円)
1,400
1,200
1,000
800
13/9
【注目ポイント】
1Q 決算発表時に連続最高益予想の
16/3 期会社業績計画は据え置きとな
ったが保守的とみられる。決算発表後
の株価は堅調だったが、上場来高値
(8/3)から約 26%下落、うち 9/10 終値で
は約 4%分値を戻した水準。
週次移動平均線状況
9/10 現在
3,055.0 円
株価
13週線
3,074 円 乖離率
-0.62%
26週線
2,848 円 乖離率
7.27%
14/3
15/3
(年/月)
(円)
6,000
3,000
13/9
13週線
26週線
14/3
14/9
15/3
(年/月)
【株価チャート(週次)】
【注目ポイント】
1Q 決算は好調。16/3 期会社計画は
据え置きだが営業利益は過去最高を
7 期ぶりに更新の見通し。来期以降に
向けた受注増も顕著。株価は年初来
高値(7/31)から約 14%下落、うち 9/10
終値では約 5%分値を戻した水準。
【注目ポイント】
1Q 決算はポジティブ、数年単位で持
続的な寄与が見込める製品の利益貢
献拡大を確認、2Q 以降の業績見通し
についても期待大。株価は年初来高
値(8/12)から約 20%下落、うち 9/10 終
値で約 10%分値を戻した水準。
(円)
5,000
4,000
3,000
13/9
13週線
26週線
14/3
13
14/9
15/3
(年/月)
【株価チャート(週次)】
3,500
(円)
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
13/9
13週線
26週線
14/3
注: 中期的な株価トレンドが良好な銘柄を紹介。各種テクニカル指標をベースに判断
出所: 株式調査部アナリストレポート、東洋経済会社四季報最新銘柄レポート、Astra Manager等よりSMBC日興証券作成
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
14/9
9,000
◎スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684) 売買単位:100 株
【会社概要と株価状況】
ゲーム大手。ドラクエ等人気タイトル
保有。アミューズメント施設運営も。
13週線
26週線
【株価チャート(週次)】
12,000
6,000
週次移動平均線状況
9/10 現在
5,540.0 円
株価
13週線
5,614 円 乖離率
-1.32%
26週線
5,500 円 乖離率
0.73%
(年/月)
15/3
1,600
◎NTT データ(9613) 売買単位:100 株
【会社概要と株価状況】
SI 専業国内最大手。官公庁、金融
機関向け大型システムに強み。
14/9
1,800
◎日本電産(6594) 売買単位:100 株
【会社概要と株価状況】
精密モータ大手で HDD 用は世界首
位。車載、産業用等に注力中。
13週線
26週線
【株価チャート(週次)】
◎日本触媒(4114) 売買単位:1,000 株
【会社概要と株価状況】
紙おむつに使用される高吸水性樹
脂(SAP)で世界トップ。
(円)
14/9
15/3
(年/月)
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
8.メキシコ~輸出回復や油田入札での落札率改善見通しがペソの下支えに
メキシコ担当: 武田 泰典
メキシコペソは原油安や初回の油田入札が不調となったことなどを背景に下落基調が続いている。政府は8
月25日、次回入札における最低落札額の事前公表と参加資格要件の緩和を発表。これにより、次回の入
札は落札率が改善すると予想される。原油安を背景に悪化している貿易収支についても、米国向けの工業
製品輸出の拡大により悪化に歯止めがかかるとみられ、これらの要因はペソの下支えとなろう。
 足元では原油安や油田入札の不調がペソの重石に
図表1. メキシコペソの対ドル相場及び原油価格
原油安などを背景に資源国通貨が全般的に売られる
なか、通貨メキシコペソも下落基調が続いている。メキシ
コは世界10位の産油国(2014年)であり、原油安は貿易
収支の悪化や政府歳入の減少等につながっている。原
油の生産量も相次ぐ事故や原油安等を背景に昨年後
半以降急減しており、1-7月の石油関連品目の貿易収
支(季節調整値)は▲42億ドル(2014年:+11億ドル)と
赤字に転じ (注 ) 、全体の貿易収支も▲75億ドル(14年:
▲33億ドル)と赤字幅を拡大した。政府が9月8日に発表
した来年度(1~12月)予算案では、石油関連収入(政府
歳入の3割強)の減少を受けて歳出が大幅に削減され
ている。一方、現ペニャ・ニエト政権下で石油産業への
民間参入が解禁され、それに伴う1回目の油田入札が7
月15日に実施されたが、落札率は14%(入札された14
鉱区のうち2鉱区落札)に留まった。市場では入札に伴
う投資資金流入が期待されていただけに、入札の不調
もペソの重石となっている。
(メキシコペソ/ドル)
(ドル/バレル)
130
米ドル・メキシコペソ
(右・逆軸)
11.0
12.0
110
13.0
14.0
90
15.0
70
16.0
メ
キ
シ
コ
ペ
ソ
高
50
WTI原油先物価格
(左軸)
※データは15年9月8日まで
30
10/1
11/1
17.0
12/1
13/1
14/1
18.0
19.0
15/1 (年/月)
出所: BloombergよりSMBC日興証券作成
図表2. メキシコの原油生産量
(前年比、3ヵ月移動平均、%)
2.0
0.0
▲ 2.0
注:メキシコは主に原油を輸出する一方、ガソリン等の精製品を
輸入
▲ 4.0
 次回入札での落札率改善や輸出の回復が支援材料に
▲ 6.0
初回油田入札の不調を受け、政府は8月25日に次回
入札(9月30日予定)における最低落札額の事前公表と
参加資格要件の緩和を発表した。初回入札では、落札
されなかった12鉱区のうち4鉱区は応札があったものの、
当日発表された最低落札額に企業の提示額が届かな
かった。政府は初回入札後に複数の企業から「最低落
札額を事前に知っていれば、提示額をそこまで引き上
げていた」との批判を受けたことを明らかにしている。次
回は入札方法の見直しにより落札率も改善するとみら
れる。
一方、7月の輸出は前月比+4.3%(6月:+4.0%)と、約
8割を占める工業製品をけん引役に2ヵ月連続で増加。
輸出は今後も、主要輸出先である米国景気の回復を背
景に持ち直しが続くとみられる。予想される輸出の回復
や次回油田入札での落札率改善はペソのサポート要
因となろう。
▲ 8.0
▲ 10.0
▲ 12.0
※データは15年6月まで
▲ 14.0
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1 (年/月)
出所: CEICおよび国営石油会社ペメックスよりSMBC日興証券作成
図表3. 米国の工業生産およびメキシコの工業製品輸出
2
(前月比、3ヵ月移動平均、%)
(前月比、3ヵ月移動平均、%)
6
米国の工業生産
(左軸)
1
3
0
0
▲1
▲3
メキシコの
工業製品輸出
(右軸)
▲2
▲6
※データは15年7月まで
▲3
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
▲9
15/1 (年/月)
出所: CEIC、国立統計地理情報院、FRBよりSMBC日興証券作成
14
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
9.来週・再来週の主なスケジュール
<来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
ユーロ圏
9 月1 4 日(月)
インド
-
日本
米国
9 月1 5 日(火)
ユーロ圏
独
英国
インドネシア
ロシア
-
日本
米国
9 月1 6 日(水)
ユーロ圏
英国
タイ
ブラジル
日本
9 月1 7 日(木)
米国
NZ
インドネシア
ロシア
ブラジル
9 月1 8 日(金)
日本
9 月1 9 日(土)
9 月2 0 日(日)
ギリシャ
市場予想 前月・ 前期・ 前年
-
7月
8月
8月
-
-
8月
8月
8月
9月
7月
9月
8月
8月
8月
-
8月
9月
-
8月
-
8月
5-7月
8月
-
7月
8月
8月
8月
8月
-
-
8月
8月
8月
8月
9月
-
-
4-6月期
-
8月
7月
8月
-
-
日銀金融政策決定会合( ~1 5 日)
鉱工業生産(前月比)
卸売物価指数(前年比)
消費者物価指数(前年比)
IAEA総会(~18日、オーストリア・ウィーン)
黒田日銀総裁が記者会見
小売売上高( 前月比)
小売売上高( 除自動車、 前月比)
鉱工業生産指数( 前月比)
ニュ ーヨーク連銀製造業景況指数
貿易収支(季調済)
ZEW景気期待指数
消費者物価指数(前年比)
貿易収支
鉱工業生産(前年比、発表日未定、~16日)
国連総会(~28日、米国・ニューヨーク)
JNTO訪日外客数
金融経済月報(日銀)
安全保障関連法案、参院特別委で採決(?)
消費者物価指数(除食品&エネルギー、前年比)
FOMC ( 連邦公開市場委員会、 ~1 7 日)
消費者物価指数(前年比、確報、前回値は速報値)
ILO失業率
失業保険申請件数
政策金利
小売売上高指数(前月比)
輸出( 前年比)
輸入( 前年比)
貿易収支( 季調済)
貿易収支
安全保障関連法案、参院本会議で採決、成立(?)
黒田日銀総裁が全国証券大会にて挨拶
住宅着工件数(年率換算)
住宅着工許可件数(年率換算)
住宅着工件数( 前月比)
住宅着工許可件数( 前月比)
フィラデルフィア連銀製造業景況指数
政策金利
イエ レンFRB( 連邦準備制度理事会) 議長記者会見
実質GDP(前期比)
政策金利
実質小売売上高(前年比)
経済活動指数(前月比、発表日未定、~18日)
全国百貨店売上高(前年比)
日銀金融政策決定会合議事要旨(8月6~7日分)
ギリシャ総選挙
-
-
▲4.35%
3.58%
-
-
0.4%
0.3%
▲0 . 2 %
0.50
-
-
-
-
▲4.5%
-
-
-
-
1.9%
-
-
-
-
1.50%
▲1.1%
-
-
-
-
-
-
114.5万戸
115.0万戸
▲5 . 1 %
1.8%
6.0
0.25~0.50%
-
-
-
▲9.0%
-
-
-
-
▲0.4%
▲4.05%
3.78%
-
-
0.6%
0.4%
0.6%
▲1 4 . 9 2
219億ユーロ
25.0
0.1%
13.32億ドル
▲4.7%
-
191.8万人
-
-
1.8%
-
0.2%
5.6%
▲4,900人
1.50%
▲0.4%
7.6%
▲3 . 2 %
▲3 , 6 8 8 億円
▲2 , 6 8 4 億円
-
-
120.6万戸
113.0万戸
0.2%
▲1 5 . 5 %
8.3
0.00~0.25%
-
0.2%
7.50%
▲9.2%
▲0.58%
3.4%
-
-
-
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2015年9月10日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
15
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
<再来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
9 月2 1 日(月)
9 月2 2 日(火)
米国
メキシコ
日本
米国
トルコ
日本
ユーロ圏
9 月2 3 日(水)
中国
マレーシア
南ア
日本
米国
9 月2 4 日(木)
独
NZ
フィリピン
日本
9 月2 5 日(金)
9 月2 6 日(土)
9 月2 7 日(日)
米国
ユーロ圏
中国
ベトナム
日本
日本
スペイン
市場予想 前月・ 前期・ 前年
8月
-
8月
-
-
7月
-
-
9月
9月
9月
8月
8月
-
8月
8月
8月
8月
9月
8月
-
8月
9月
4-6月期
8月
-
1-9月
-
-
-
全国スーパー売上高(前年比、発表日未定、~25日)
休場(敬老の日)
中古住宅販売件数( 前月比)
政策金利
休場(国民の休日)
FHFA住宅価格指数(前月比)
政策金利
休場(秋分の日)
サービス業PMI(速報)
製造業PMI(速報)
財新製造業PMI( 速報)
消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(前年比)
政策金利
全国コンビニエンスストア売上高(前年比)
耐久財受注( 前月比)
耐久財受注( 除輸送用機器、前月比)
新築住宅販売件数( 前月比)
IFO景況指数
貿易収支
政策金利
全国消費者物価指数( 生鮮食品除く、前年比)
都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比)
実質GDP( 前期比年率、確報、前回値は改定値)
マネーサプライM3(前年比)
米中首脳会談(米国・ワシントン)
実質GDP(前年比、発表日未定、~30日)
安倍首相、国連総会出席のため米国へ出発予定(~10月2日)
延長国会会期末
カタルーニャ州議会選
1.9%
-
-
-
-
2 .0 %
3.00%
-
-
-
0.2%
-
7.50%
-
-
-
54.4
-
52.3
-
-
4 7 .3
3.3%
-
5.0%
-
6.00%
-
1.2%
-
-
2 .2 %
-
0 .4 %
-
5 .4 %
-
1 0 8 .3
- ▲6.49億NZドル
4.00%
-
-
0 .0 %
▲0.1%
-
-
3 .7 %
5.3%
-
-
-
6.3%
-
-
-
-
-
-
-
注: 発表日は現地時間。市場予想と実績は2015年9月10日12時時点のBloombergの値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります
出所: Bloombergおよび各種報道などよりSMBC日興証券作成
16
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
投資情報部作成最新レポートのご紹介
【定期発行レポート】
Daily Outlook(日刊投資情報)、主要通貨デイリー 、新興国通貨デイリー、Global Market Review、Japan Market
Review、Weekly Outlook(週刊投資情報)、投資部門別売買動向(現物・先物)、月刊投資情報(株式・為替・金利の見
通し)、日本株投資戦略(月刊プレゼン資料)、日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト)、注目スケジュール etc
【スポット・レポート】
<日本株式>
2015/09/07
過去 2 度の調整局面からみる日本株の見通し
2015/09/04
日経平均は再び直近安値を更新
2015/09/01
二番底形成局面か
<マクロ・為替・金利・新興国・海外株式>
2015/09/10
NZ ドル
中銀の緩和スタンスから下振れしやすい展開へ
2015/09/10
ブラジル経済
S&P が外貨建て長期債格付けをジャンク級に引き下げ
2015/09/08
NZ ドル
乳製品価格の持続的上昇がカギ
2015/09/08
豪ドル
押し目買いのチャンス
2015/09/04
ブラジル経済
レアルの中長期見通し
2015/09/04
中国株式
大規模市場介入の抑制で株価持ち直しは後ずれ
2015/09/03
ブラジル経済
中銀が政策金利を 8 会合ぶりに据え置き
2015/08/31
米国株式
Hot Topics:株価下落局面での投資戦略
2015/08/27
豪ドル
今後の上値の重さを示唆する民間設備投資動向
2015/08/26
中国株式
利下げにもかかわらず株価の本格回復は 9 月以降となろう
【カンパニー・ブリーフ】
2015/09/10
NTTデータ(9613)
2015/09/08
クボタ(6326)
2015/09/09
日本ハム(2282)
2015/09/04
トヨタ自動車(7203)
2015/09/08
三越伊勢丹 HD(3099)
2015/09/04
スクエニ HD(9684)
2015/09/08
セコム(9735)
2015/06/10
ブラジル概観
【カントリー・レポート】
2015/07/14
メキシコ概観
【注目の投資テーマ&業界ナビ】
2015/09/04
株価調整で魅力高まる、高配当・株主優待銘柄
2015/08/31
注目の投資テーマ~2015 年 9 月~
【その他プレゼン資料】
2015/09/04
米国主要企業決算発表スケジュール
2015/09/02
投資初心者向け資料~9 月の日本株と為替のポイント
2015/09/01
日経平均株価・ドル円の推移と主な出来事
2015/09/01
海外・個人投資家売買動向
2015/09/01
日銀の金融緩和策(ETF・REIT)
2015/08/31
米 2015 年 4-6 月期実質 GDP2 次推計値
2015/08/27
日経平均株価は 3 万円を超えるか
* 上記レポートをご希望の方は、最寄りの支店までお問い合わせください。
17
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
無登録格付に関する説明書
格付会社に対しては、市場の公正性・透明性の確保の観点から、金融商品取引法に基づく信用格付業者の登録制が導入されてお
ります。
これに伴い、金融商品取引業者等は、無登録格付業者が付与した格付を利用して勧誘を行う場合には、金融商品取引法により、
無登録格付である旨及び登録の意義等を顧客に告げなければならないこととされております。
つきましては、格付会社(ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク、スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ、フィ
ッチ・レーティングス)の「無登録格付に関する説明書」を下記の通りお知らせ致します。
<無登録格付に関する説明書(ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク)>
○登録の意義について
登録を受けた信用格付業者は、①誠実義務、②利益相反防止・格付プロセスの公正性確保等の業務管理体制の整備義務、③格付対
象の証券を保有している場合の格付付与の禁止、④格付方針等の作成及び公表・説明書類の公衆縦覧等の情報開示義務等の規制を
受けるとともに、報告徴求・立入検査、業務改善命令等の金融庁の監督を受けることとなりますが、無登録格付業者は、これらの規制・
監督を受けておりません。
○格付会社グループの呼称等について
格付会社グループの呼称:ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:ムーディーズ・ジャパン株式会社(金融庁長官(格付)第2号)
○信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要 に関する情報の入手方法について
ムーディーズ・ジャパン株式会社のホームページ(ムーディーズ日本語ホームページ(http://www.moodys.co.jp)の「信用格付事業」をク
リックした後に表示されるページ)にある「無登録業者の格付の利用」欄の「無登録格付説明関連」に掲載されております。
○信用格付の前提、意義 及 び限界について
ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク(以下、「ムーディーズ」という。)の信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類似
証券の将来の相対的信用リスクについての、現時点の意見です。ムーディーズは、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期
日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失と定義しています。信用格付は、
流動性リスク、市場リスク、価格変動性及びその他のリスクについて言及するものではありません。また、信用格付は、投資又は財務に
関する助言を構成するものではなく、特定の証券の購入、売却、又は保有を推奨するものではありません。ムーディーズは、いかなる形
式又は方法によっても、これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性
について、明示的、黙示的を問わず、いかなる保証も行っていません。
ムーディーズは、信用格付に関する信用評価を、発行体から取得した情報、公表情報を基礎として行っております。ムーディーズは、こ
れらの情報が十分な品質を有し、またその情報源がムーディーズにとって信頼できると考えられるものであることを確保するため、全て
の必要な措置を講じています。しかし、ムーディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で受領した情報の正確性及び有効性について
常に独自の検証を行うことはできません。
この情報は、平成26年2月18日に信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するもの
ではありません。詳しくは上記ムーディーズ・ジャパン株式会社のホームページをご覧ください。
18
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
<無登録格付に関する説明書(スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ) >
○登録の意義について
登録を受けた信用格付業者は、①誠実義務、②利益相反防止・格付プロセスの公正性確保等の業務管理体制の整備義務、③格付対
象の証券を保有している場合の格付付与の禁止、④格付方針等の作成及び公表・説明書類の公衆縦覧等の情報開示義務等の規制を
受けるとともに、報告徴求・立入検査、業務改善命令等の金融庁の監督を受けることとなりますが、無登録格付業者は、これらの規制・
監督を受けておりません。
○格付会社グループの呼称等について
格付会社グループの呼称:スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(金融庁長官(格付)第5号)
○信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要 に関する情報の入手方法について
スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社のホームページ(http://www.standardandpoors.co.jp)の「ライブラリ・規制関
連」の「無登録格付け情報」(http://www.standardandpoors.co.jp/unregistered)に掲載されております。
○信用格付の前提、意義 及 び限界について
スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「レーティングズ・サービシズ」)の信用格付は、発行体または特定の債務の将
来の信用力に関する現時点における意見であり、発行体または特定の債務が債務不履行に陥る確率を示した指標ではなく、信用力を
保証するものでもありません。また、信用格付は、証券の購入、売却または保有を推奨するものでなく、債務の市場流動性や流通市場
での価格を示すものでもありません。
信用格付は、業績や外部環境の変化、裏付け資産のパフォーマンスやカウンターパーティの信用力変化など、さまざまな要因により変
動する可能性があります。
レーティングズ・サービシズは、信頼しうると判断した情報源から提供された情報を利用して格付分析を行っており、格付意見に達するこ
とができるだけの十分な品質および量の情報が備わっていると考えられる場合にのみ信用格付を付与します。しかしながら、レーティン
グズ・サービシズは、発行体やその他の第三者から提供された情報について、監査・デュー・デリジュエンスまたは独自の検証を行って
おらず、また、格付付与に利用した情報や、かかる情報の利用により得られた結果の正確性、完全性、適時性を保証するものではあり
ません。さらに、信用格付によっては、利用可能なヒストリカルデータが限定的であることに起因する潜在的なリスクが存在する場合もあ
ることに留意する必要があります。
この情報は、平成26年2月18日に信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するもの
ではありません。詳しくは上記スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社のホームページをご覧ください。
<無登録格付に関する説明書(フィッチ・レーティングス)>
○登録の意義について
登録を受けた信用格付業者は、①誠実義務、②利益相反防止・格付プロセスの公正性確保等の業務管理体制の整備義務、③格付対
象の証券を保有している場合の格付付与の禁止、④格付方針等の作成及び公表・説明書類の公衆縦覧等の情報開示義務等の規制を
受けるとともに、報告徴求・立入検査、業務改善命令等の金融庁の監督を受けることとなりますが、無登録格付業者は、これらの規制・
監督を受けておりません。
○格付会社グループの呼称等について
格付会社グループの呼称:フィッチ・レーティングス(以下「フィッチ」と称します。)
グループ内の信用格付業者の名称及び登録番号:フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社 (金融庁長官(格付)第7号)
○信用格付を付与するために用いる方針及び方法の概要 に関する情報の入手方法について
フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社のホームページ(http://www.fitchratings.co.jp)の「規制関連」セクションにある「格付方針等
の概要」に掲載されております。
○信用格付の前提、意義 及 び限界について
フィッチの格付は、所定の格付基準・手法に基づく意見です。格付はそれ自体が事実を表すものではなく、正確又は不正確であると表現
し得ません。信用格付は、信用リスク以外のリスクを直接の対象とはせず、格付対象証券の市場価格の妥当性又は市場流動性につい
て意見を述べるものではありません。格付はリスクの相対的評価であるため、同一カテゴリーの格付が付与されたとしても、リスクの微
妙な差異は必ずしも十分に反映されない場合もあります。信用格付はデフォルトする蓋然性の相対的序列に関する意見であり、特定の
デフォルト確率を予測する指標ではありません。
フィッチは、格付の付与・維持において、発行体等信頼に足ると判断する情報源から入手する事実情報に依拠しており、所定の格付方
法に則り、かかる情報に関する調査及び当該証券について又は当該法域において利用できる場合は独立した情報源による検証を、合
理的な範囲で行いますが、格付に関して依拠する全情報又はその使用結果に対する正確性、完全性、適時性が保証されるものではあ
りません。ある情報が虚偽又は不当表示を含むことが判明した場合、当該情報に関連した格付は適切でない場合があります。また、格
付は、現時点の事実の検証にもかかわらず、格付付与又は据置時に予想されない将来の事象や状況に影響されることがあります。
信用格付の前提、意義及び限界の詳細にわたる説明については、フィッチの日本語ウェブサイト上の「格付及びその他の形態の意見に
関する定義」をご参照ください。
この情報は、平成26年2月18日に信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を当社が保証するもの
ではありません。詳しくは上記フィッチのホームページをご覧ください。
19
2015 年 9 月 10 日(木) 投資情報部
Weekly Outlook No.221
本資料について
【免責事項】
本資料は証券その他の投資対象の売買の勧誘ではなく、SMBC日興証券株式会社(以下「弊社」といいます)が投資情報の提供を目
的に作成したものです。本資料は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づいて作成していますが、これらの情報
が完全、正確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本資料に記載する価格、数値等
は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等は予告なしに変更する
ことがありますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。本資料は将来の結果をお約束するものでもありませんし、本資料に
ある情報をいかなる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用されるものであり、本資料にある情報の
使用による結果について、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。本資料は、本資料を受領される特定のお客様
の財務状況、ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものではありません。本資料はお客様に対して税金・法律・投資上のアド
バイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目
論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
本資料は、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本資料に含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご使用ください。本
資料は弊社の著作物です。本資料のいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製
または転送等を行わないようにお願いいたします。本資料に関するお問い合わせは、弊社の営業担当者までお願いいたします。
本資料に記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。
【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項 】
手数料等について
弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内
の金融商品取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400
円)の委託手数料をお支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大 4.32%の
申込手数料、最大 4.5%の換金手数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管理費用)及
びその他の費用等)をお支払いいただきます。債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお
支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商品の場合、
円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによるものとしま
す。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含む料率又は金額を記載しております。
リスク等について
各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財
務・経営状況を含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は元
本を超過する損失を生ずるおそれ(元本超過損リスク)があります。
なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバ
ティブ取引等についてお客様の差入れた委託保証金又は証拠金の額(以下「委託保証金等の額」といいます。)を上回る場合があると共
に、対象となる有価証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過
損リスク)があります。
また、店頭デリバティブ取引については、弊社が表示する金融商品の売付けの価格と買付けの価格に差がある場合があります。
上記の手数料等及びリスク等は商品毎に異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料等をよ
くお読みください。なお、目論見書等のお問い合わせは弊社各部店までお願いいたします。
商 号 等 SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2251 号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商
品取引業協会
(2015/04/09 版)
20
Fly UP