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有珠火山泥流上の滊丘

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有珠火山泥流上の滊丘
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Issue Date
有珠火山泥流上の滊丘
大井上, 義近
札幌博物学会会報 = Transactions of the Sapporo Natural
History Society, 4(2): 204-206
1913-04-30
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/60861
Right
Type
article
Additional
Information
File
Information
Vol.4No.2_008.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
有珠火山泥流上の替え丘
理皐士大井上義近
NUMEROUSCONESO NTHEMUDFLOW
OF
THEUS¥JVOLCANO.
By
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OINOUYE,
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明治四十三年夏期北海道路振間有珠火山爆裂の際北房風山北
側斜面に於て洞爺湖遁に沿μ四十有除の爆裂火口を生じ多量の噴
煙 と 共 に 幾 多 の 火 山 部 及 び 砂 友 を 拠 出 せ し が 猶 五 火 口 よ bは 泥 流
を 溢 出 せ b就 中 著 し 3 も の は 西 国 山 南 麓 に 位 せ し ー 火 口 よ b流 出
せしものにして其量に於ても亦噴出同教に於ても他に優るものな
b該 泥 流 は 嘗 て 西 国 山 西 麓 に 住 せ し 中 須 某 の 居 宅 を 流 し 敷 百 の 率
樹 を 埋 設 せ し め 火 口 よ b湖 迭 に 至 る ま で 約 七 百 米 間 厚 平 均 一 、 五 米
にして巾約二百米に達し湖中に注入せるものをも合すれば約二十
三 万 立 方 尺 を 慨 算 す 而 し て 其 泥 土 は 常 時 噴 火 前 地 震 頗 繁 な bし 時
有珠湾内及洞爺湖遺に生じたる泥丘を構成せるものと同一質物に
し て 細 粒 友 色 砂 肢 の も の な b剥 長 石 、 紫 蘇 輝 石 . 普 通 輝 石 、 磁 鍛 錬 及
赤錨鎖片等を混有し其他友色縦密安山岩及黒色粗質安山岩の小塊
を 交 ゆ る も 此 等 岩 片 は 質 量 大 在 る を 以 て 流 下 す る に 常 b底 部 氏 沈
み 表 面 に は 僅 少 な bとす。
泥土は噴出常時多量の水分を合有し温度高〈且つ頗る粘着性
な bし が 漸 〈 日 月 を 経 る に 従 以 水 分 は 次 第 に 蒸 殺 し 土 砂 は 愈 φ 密
δINOUYE:CONESONTHEMUDFLOWOFTHEUSUVOLCANO.
205
着し一ヶ年稜には足跡を印せぎるのみか鍬の如きものを用ゐぎれ
ば泥砂を採集する能i
まぎる硬度 R 務 じ 従 っ て 表 面 に は 不 定 形 の 亀
裂を生じ極めて属卒在る鰻頭朕小突起の波紋を呈し℃起伏せるを
認めしが夏らにニヶ年を鰹t
?
.る 今 日 に 於 て は 其 鐘 蹟 朕 突 起 は 漸 〈
泥流面よ
b突 出 し 殆 ど 該 泥 流 一 帯 に 亘 b無 載 の 小 正 を 形 成 す る に
。
至れ b
小 丘 の 形 肢 は 飽 頭 賦 万 至 鐘 般 に し て 大 ,J
、積
φ
あれ芝も最も大
本 る も の は 底 謹 径 三 米 高 志 一 、 五 米 に 及 ぶ も の あ bィ、在るものは径
0、五米高苫
o、ー米粍:に し て 側 面 傾 斜 ・ 極 め て 緩 在 る も の あ れ 芝 も 念
在 る も の は 四 十 度 に 達 す る も の あ b而 し て 其 頂 黙 に は 特 に 縦 横 に
裂 目 あ る も 孔 形 を 有 す る も の 甚 芦 稀 在 b此 等 小 丘 は 殆
E一 定 の 配
列在〈各十米万至三十米位を距て、一個づ、散在し異様在る地形
を呈せ b
有珠火山泥流上ノ汽正
明治四十五年五月十六日撮影
吾人は澱粉又は小豆粉に水を混じ濃厚に之れを煮沸するに常
b最 早 充 分 沸 騰 し 粘 着 質 物 に 襲 ず れ ば 其 中 氏 合 有 せ る 水 分 は 嵐 泡
206
大弁上ー有珠火山泥滅上の減丘
と在 b内 部 よ b表 面 に 接 出 し 濃 度 高 き も の 程 号 襲 撃 し っ 、 破 裂 し 扇
卒 園 錐 形 火 口 肢 の 小 突 起 を 遺 b再 び 水 平 の 位 置 に 復 す る を 見 る O
上 記 せ し 西 園 山 南 麓 の ー 爆 裂 火 口 は 七 月 下 旬 よ b八 月 初 旬 に
豆 b噴 火 最 も 織 在 る 嘗 時 は 殊 に 多 量 に 噴 水 し 恰 も 間 敏 温 泉 の 如 〈
敷舟万至数十分を距て敷丈の水柱を昇騰せしめ又屡泥土と共に混
じ て 泥 流 を 成 し 火 口 よ b溢 出 せ し む 而 し て 其 泥 流 は 水 卦 及 び 克 斯
を合蓄せしが冷却すると共に表面に近接したる泥流中の水分及克
期体は次第に蒸殺し表面は乾燥牧縮し亀裂を生ぜるに猶ほ内部に
は水分及克期体を蓄積し地下尺除以下の深慮に貯へらる水卦は長
時日を経て初めて気体に襲じ他の克期体等と共』'漸次相集合し脱
力愈増大するに従日抵抗力最も小なる方向即ち地表に其影響を及
ほ.し之れを歴し上げ徐。と地膨れを成し究第に礎遣して属国錐形
/ ) 、 正 を 形 成 せ る も の な る べ し 此 の 如 く 地 表 よ h尺 飴 以 下 の 内 部 氏
無数の蓄鼠所を生じ各其気体の脹力に鷹じ小突起を無敢に泥流面
上に作 J
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とれば予はままは該丘を名けて旗丘(通常在る名稀を付せん
之とを欲す)と呼ぺ b0
溶岩中に包有せる気体が地表に於て接出する時は恰も月面上
に目撃するが加さ[− -v-- JV」 肢 噴 鼠 孔 を 即 時 に 形 成 す る も の あ れ f も
有珠泥流上の嵐丘の如きは他民多〈の例なく本邦にても稀在る現
象に属す将来如何に襲形するか猶注意すぺきものなれども恐らく
今後著しき脅達まく次第に浸蝕作用の矯め崩壊せられ卒地にイとす
べ.
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(明治四十五年五月中旬稿)
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