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Frasersニュースレター2011年2号

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Frasersニュースレター2011年2号
ニュースレター
2011年2月号
今月のニュースレターは、昨年に経営環境を巡った興味深い立法課題を集中してご紹介します。
•
刑法の改正法を適用して証券価格の操作行為を訴追した事件について
•
外国投資がベトナム高度な経済発展に重要な役割を果たしている背景に、外国投資家は営
業利益を容易に海外へ移転することができるのか?これについて、利益の海外移転制度を改
正した通達186号を紹介します。
•
ベトナム政府は、WTOコミットメントを履行して、保険市場を開放しました。国境を越えた保険
商品に関する規定の改正、保険会社の設立形態の自由化など保険事業法改正法の概要を
紹介します。
•
環境保護税は2010年1月から導入されました。この環境保護税は、今後ガソリン、油、グリスに
対する環境手数料を代替し、その他、石炭及び他の製品をはじめて適用するものです。環境
に影響を及ぼすおそれのある製品を輸入する事業者は、この新しい規定を留意して、対応す
るようにお勧めします。
•
最後に、外資系企業で働く従業員を対象に2011年1月1日から施行される最低賃金の新しい
制度を紹介します。
このニュースレターは皆様に興味深い情報をご提供できるように努力します。また、これまでの通
り、ご指摘、コメントは、[email protected] へご送付していただければ、幸いです。
証券価格の操作 – 法律適用の実務について
新聞に報道されたとおり、公安省捜査当局は2011年11月26日にヴィエン・ドン製薬会社(銘柄
「DVD」)の社長レ・ヴァン・ズン氏を「証券価格操作」の罪で逮捕、起訴をしました。国家証券委員
会の調査報告及び公安省捜査官によれば、レ・ヴァン・ズン氏は、他の同僚達と共に、ハティ製薬
会社(銘柄「DHT」)の株価を操作しました。また、彼らは、需給を偽造するために複数の株式取引
口座を開設して、ハティ製薬会社の株式を売買しました。レ・ヴァン・ズン氏及び他の被疑者らが、
DVDの売上高を偽造するために親族、親友を通じて複数の会社を設立して経営しました。ズン氏
は、ホーチミン市証券取引所でDVDの株式を公募している間、DVDの売上高、高額契約などのる
無実情報を提供して、DVD株式の需給及び価格を不当に操作しようとしたのです。
レ・ヴァン・ズン氏の逮捕事件は、証券価格操作罪に対する刑法改正法の適用強化という政府の
姿勢を示しました。証券価格の操作は、これまで行政処分にとどまりました。この制裁は、違反行
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為による損害、経済への悪影響に比べて、十分なものではありませんでした。今回の逮捕、起訴
は、刑事処罰の意味を強く示したものであると考えられます。
刑法が改正される前に、証券価格の操作及び証券取引の詐欺に対する処分を含めて証券及び証
券市場に関する行政処分は、政令85/2010/ND-CP号(政令85号)に定められました。具体的には、
政令85号第27条では、2億ドン~3億ドンまでの課徴金納付、違反行為によって得られた不当利益
の没収という制裁を定めました。ただし、こうした行政処分は、違反行為者が価格操作という不法行
為によって得られた利益にとって、十分な制裁ではありませんでした。
そこで、2009年6月19日に刑法の一部の改正法37/2009/QH12号が制定され、その第181条c項
は、証券価格の操作を刑事犯罪として定めました。同法によれば、重大な効果をもたらした証券価
格操作罪の犯罪者は、1億ドンから5億ドンまでの罰金及び懲役3ヶ月から3年間まで処せられます。
また、重大な事件に該当する犯罪は、より高額の罰金又は懲役7年まで処せられます。
刑法改正法は2010年1月1日より施行されました。制裁は強化されたが、犯罪行為を容易に処罰で
きるものではないと思われます。なぜなら、「大きな不正利益の獲得という犯罪」は、より長い懲役が
処せられますが、「不当利益」はどんな場合に想定されるのかはまだ不明です。刑法改正法の施行
細則は公表されるまで、これらの犯罪起訴は様々な検討が必要になります。
その他、SSCと司法機関との緊密な協力が求められています。SSCは、違反行為の発見に十分な知
識を持つ専門機関であるものの、刑事処罰の権限がないため、証券事件に関する刑法改正法の適
用には、大きな支障があると懸念されています。
上記の事件は、ベトナム当局の厳格な適用体制を示すものでしょうか?刑法改正法は、上記の解
釈問題によって証券詐欺の事件について必ずしも明確に適用できるものではないが、ベトナム当局
は十分根拠のある場合に刑事処罰をする姿勢を示しました。ズン氏の事件は進行中であり、その結
果は期待されています。この事件は、証券犯罪の最初起訴として、政府の証券犯罪に対する厳格
な制裁の態度を示すものとして注目されていますが、この事件の進展を見極める必要があるでしょ
う。
利益の海外移転を定める通達186号について
利益の海外移転の制度は、投資家が新しい市場へ進出するかどうかを決定する大きな関心課題で
す。2010年11月18日付財政省通達186/2010/TT-BTC号(通達186号)は、ベトナムの直接投資に
よって得られる外国の個人、組織(投資家)の利益の海外移転を定めました。
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通達186号は、その前身である2004年12月24日付の通達124/2004/TT-BTC号に比べて、利益の
海外移転に対する国家管理を強めたものとして見られます。その実務についてもう少し詳細に見て
みましょう。
旧制度について
通達124号では、投資家が、四半期又は6ヶ月ごとに、又は事業終了後に、暫定的に税後利益を海
外へ移転することが認められました。投資家もまた、納付した税額、利益額を税務局から確認をされ
ければなりません。
新しい制度について
これに対して、通達186号では、投資家が、毎年又は、事業終了後、ベトナムにおける直接投資から
得られた利益のみを海外へ移転することができます。
また、同通達では、投資家の出資した企業(企業)がベトナム国家に対する納税義務を完了し、会計
検査をされた財務報告書及び法人税決算申告書を税務当局に納付した場合に限って、利益の海
外移転を行うことができます。
すなわち、通達186号は、通達124号と違って、企業に法人税法の定める累計損失がある場合に、利
益の海外移転を認めません。
「国家に対する財政義務」とは何か?
通達186は、上記の「国家に対する財政義務」の詳細を定めていないし、これを解釈するガイドライン
もまだ公表されていません。この概念には、納税義務を含めるが、従業員の社会保険料金の納付義
務、そして反則課徴金という他の義務も含めることも考えられます。通達186号がこれらの義務を定め
ないので、外国投資家は財政義務の未完了という理由で利益の海外移転をできない場合があり得
ます。従って、この概念を明示する通達186号の施行細則が求められます。これについて今後引き
続き読者に適時に報告します。
税務署への通知
通達186号では、投資家が、利益の海外移転の予定日より7日前に税務署にそれを通知しなければ
なりません。通達186号は、投資家に対して、海外に移転できる利益額に関連する税額を税務署か
ら確認を受けるべきという通達124号のような義務を求めません。ただし、実際に銀行は、外貨管理
のために投資家に対してその税務署による確認を求めることがあり得ます。
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このように、投資家がベトナムでの営業から得られる利益を海外に移転することができるが、その前
に国家に対する義務履行の完了という利益移転の条件を政府は強化しようとし、かつ移転の時点を
管理する体制を試みているようです。
保険事業法の新しい規定について
2010年11月24日に、国会で保険事業法の改正法が通過しました。この法律は(保険改正法)は、保
険市場に対する国家管理を強化し、WTOコミットメントの要件を満たすために改正されました。
2011年7月1日より、保険改正法は以下の通り改正・施行されます。
•
国境を越えた保険サービスが可能になった。
•
新しい保険経営の方式の承認
•
保険企業の新しい形態の承認
•
被保険者の保護基金の開設
•
保険責任の発生時点に関する詳細規定
国境を越えた保険サービスの提供―事業拡大の機会
現行法で定められていない国境を越えた保険サービスは、ベトナムの保険事業の新しい分野で
す。WTOコミットメントを受け入れる保険改正法は、ベトナムに進出した損害保険会社にこのサービ
ス提供を認めました。すなわち、これらの業者は、ベトナムで合弁会社又は100%外資企業を設立
することなく、ベトナムでの支店を通じて損害保険商品を提供することができます。
ただし、保険改正法では、国境を越えた保険サービスの市場範囲をある程度制限されています。外
国保険会社は、外資系企業またはベトナムに勤務する外国人のみに対して、このサービスを提供
することができます。ベトナムの個人、組織は、引き続きベトナムで設立された保険会社からサービ
スを受けなければなりません。
また、保険改正法第105条は、国境を越えた保険サービスが政府の定める条件の下で提供すると
定めました。外国保険事業者は、これらの条件が具体化されるまで待たなければなりません。
最近、保険改正法の施行細則である政令草案は公表されました。これによれば、ベトナムで国境を
越えた保険サービスを提供しようとする外国保険会社は、10条件を満たさなければなりません。
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以下は、それらの一部の条件です。
•
保険事業者はWTO加盟国の法人である。
•
その設立してから少なくとも10年経った。
•
保険事業の最近3年間に如何なる法律の違反もなかった。
•
総資産が20億米ドル以上である。
•
「BBB」 (Standard & Poor’sによる) 又は「B++」 ( A.M. Bestによる) というランクが付けられた。
•
ベトナムにおける銀行口座に300万米ドル以上の金額を寄託する。
•
保険金が300万米ドルを越える場合には、銀行から保証書を発行される。
上記の草案が承認・施行される場合には、ベトナムで国境を超えた保険サービスを提供しようとする
外国保険会社は、かなり高度の要求を満たさなければならないことになります。
強制的な再保険について
現行法では、保険会社が海外再保険会社に再保険をかけようとする場合に、その一部の保険責任
(20%まで)を国内の再保険会社に再保険をかけなければなりません。
この規定は、ベトナム保険市場の効果を図るものですが、保険改正法は、WTOコミットメントに従う
ためにこの規定を排除しました。
ただし、保険市場の財政安全を確保するために、保険改正法では、ベトナムでサービスを提供使用
とする外国保険会社及び又は外国の再保険会社が、財政省に定められた国際信用評価機関に評
価された一定の信頼数を満たさなければならないと定めました。
保険会社の形態の変更
保険改正法の下では、国営保険会社が存在しなくなります。また、合弁会社、100%外資などの外
資保険会社は、様々な形態で保険事業を展開することができるようになります。
保険改正法第59条では、保険会社が以下のいずれかの形態で設立することができる。
−
株式会社
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−
有限責任会社
−
共同組合
−
相互保険組織
外国保険会社の現地法人設立、事業活動のライセンスに関する規定も改正されました。保険改正
法第63条では、保険会社又は保険仲介会社の設立に出資した個人、組織は、十分な財政能力及
び適法な財政源を証明しなければなりません。
保険代理については、保険改正法第86条は、以下の通り定めました。すなわち、財政省に認めら
れる教育機関によって発行される保険代理認証書のみが合法です。この規定をもって、人員が確
保できず、十分な専門知識がないという近年の保険代理を巡る問題が改善されると期待されます。
被保険者を保護する新しい制度について
保険改正法第97条は、準備金の他、被保険者基金の設立を定めました。被保険者基金の目的は、
保険会社の破産、支払不能などの場合における被保険者の利益を保護するものです。この基金は
保険料の割合で積み立てられ、すべての保険契約に適用されます。政府は、今後この基金に関す
る詳細規定を定めます。
保険会社は、この費用を顧客に負担させる可能性が高く、その結果保険料が高くなる可能性があり
得ます。ただし、その反面、被保険者の保護レベルも高くなります。
保険責任の発生時点に関する新規規定について
現行法では、保険責任は以下の場合において発生します。すなわち、
−
保険契約が締結された場合、又は
−
保険会社が保険を認め、かつ保険加入者は保険料金を支払った証拠がある場合
その他、現行法は、当事者の合意した時点で保険責任が発生することも定めました。
保険改正法は次のように追加規定を定めました。すなわち、契約上の保険料滞納に関する合意も
保険責任の発生時点を確定するための根拠です。
ただし、保険改正法は、当事者の合意による保険責任の発生を定めめません。すなわち、保険責
任が保険契約の締結日又は保険料金の支払日に発生するが、当事者は合意で発生日を決めるこ
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とができないことになります。そうであれば、当事者間の合意の円滑化は、一歩が下がったように見
られます。これについては、今後ガイドラインが公布されることが期待されます
環境保護税の規制について
2010年11月15日に国会は環境保護税法87/2010/QH12号(環境保護税法)を承認しました。これ
をもってガソリン手数料を定める、課徴金手数料法令38/2001/PL-UBTVQH10号が廃止されまし
た。環境保護税法は、環境保護税について、課税対象、非課税対象、納税者、課税根拠、税務申
告、税金の計算、納付、還付を定めました。
環境保護税法における課税対象は以下の通りです。
−
ガソリン、油、グリス
−
石炭
−
HCFC (冷却材として使われる物質)
−
課税対象のビニール袋
−
使用制限の除草剤
−
使用制限の臨床保管剤
−
使用制限の消毒・殺虫剤
注目すべきことは、環境保護税が、汚染物質の排出主体に対して適用する環境保護手数料と異な
り、課税対象の製品を生産し、又は輸入する主体に対して適用するということです(上記の通り)。
環境保護税の計算根拠は以下の通りです。
•
課税対象である製造又は輸入製品の数量
•
環境保護税法に定める絶対税率
環境保護税率は、環境への悪影響のレベルに基づいて確定されます。環境保護税法の施行に
伴って、課税対象品目の製造業者は、この環境保護税と環境保護手数料のいずれかを適用され、
場合によって両方を適用されます。環境保護税が適用されるときから、ガソリン、油の手数料の収納
は廃止されます。
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また、環境保護税法は、ガソリン4000ドン/リトル、油2000ドン/リトルという上限を定めました。この規
定は、生産、輸送の必要不可欠な燃料であるガソリン、油の価格上昇、それに伴う物価上昇に繋が
る可能性があります。結局消費者はこの物価上昇をっ負担せざるを得ない可能性があります。
被課税汚染物質について
環境保護税法は、洗剤、パソコン、電話機など環境を汚染するその他の物質に対して適用していま
せん(これらの製品の生産工程で排出された汚染物質の処理が環境に大きな負担を与えます)。こ
の税法は商品の消費に対して適用し、輸出に適用しないので、ベトナムで製造し輸出される製品が
課税されません。
誰がいつ納税するのか
環境保護税の納税者は組織、家族世帯、経営生産輸入の個人です。商品がベトナムへ輸入され
又は、はじめて販売されるときに1回のみ課税されます。輸入委託の場合には、輸入代理人は納税
者になります。
課税時点は以下の通りです。
•
商品の所有権又は使用権が移転するとき、又は
•
通関申告のとき、又は
•
ガソリン、油には、販売店が販売したとき
環境保護税の税務申告、税額の計算、納税は、月別又は輸入品の通関申告と一緒に行われま
す。納税者は、輸入品が在庫(国境通関口で通関局に管理される場合)に入庫され、再輸出され、
又は、再輸出の一時輸入品、展示会、見本市の展示目的の輸入品は税金を還付されます。
自社の製品は、この税法によって課税されるかどうか、又は環境税の減税について教務を持つ読
者は幣事務所へ連絡していただけれ、更なる解釈説明を申し上げます。
外資系企業、外国組織で働くベトナム従業員の最低賃金の調整
外資系企業、外国組織、国際組織で働くベトナム人従業員、ベトナムで働く外国人の最低賃金を
定める政令107/2010/NĐ-CP号は2011年1月1日より施行されます(政令107号)。
最低賃金は、勤務地域によって政令107号で列挙されます。すなわち、第1地域はハノイ市、ホーチ
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ミン市の地区、第2地域は、ホーチミン市の郊外県、ハノイ市、ビンズオン、ドンナイ、ダナン、ハフォ
ンの一部の区、県です。また、山岳地、遠隔地は第3地域、第4地域に位置づけられます。
ここで、政令107号及びその前身である政令 98/2009/NĐ-CP号(政令98号)それぞれに定める古
い最低賃金及び新しい最低賃金の格差を以下の表で示します。
地域
政令98号による最低賃金
政令107号による最低賃金
賃金上昇率
I.
II.
III.
IV.
1.340.000
1.190.000
1.040.000
1.000.000
1.550.000
1.350.000
1.170.000
1.100.000
15,67%
13,44%
12,5%
10%
ドン/月
ドン/月
ドン/月
ドン/月
ドン/月
ドン/月
ドン/月
ドン/月
また、ベトナムのインフレ率が年間12%、2011年2月11日に対米ドルのベトナムドンは9.3%切り下げ
られました情報をご参考まで提供します。
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