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ミャンマー短信 : 2015-№25(10下旬・11月上旬)

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ミャンマー短信 : 2015-№25(10下旬・11月上旬)
ミャンマー短信 : 2015-№25(10下旬・11月上旬)
16.NOV.15
小島正憲
1.総選挙関連情報
《11/10午前11時ごろのスー・チー氏自宅前》
《11/10午前11時ごろの NLD 本部前》
①スー・チー氏率いる NLD 圧勝。過半数を制し、来年3月に政権交代決定
11/13、連邦選挙管理委員会発表の開票結果によると、スー・チー党首率いる NLDが上下両院の過半数の議席
を獲得して圧勝した。選管はこれまでに上下両院(定数合計664)の改選議席491議席中431議席の開票結果を発
表。NLDは獲得議席を348議席まで伸ばした。下院の7議席が治安上の理由で投票中止となっているため、NLD が
過半数確保した。これでテイン・セイン大統領の任期切れとなる来年3月末に、順調に行けば政権交代が実現する。
②選挙前、ヤンゴンで警戒レベル引き上げ
総選挙前、ミャンマー警察が内務省の指示を受けてヤンゴン管区の警戒レベルを引き上げていた。1日から警戒レ
ベルを、「赤」に次いで2番目に高い「オレンジ」に引き上げていた。テイン・ルウィン警察少佐は、「ヤンゴン管区の全
警官の約 50%に当たる 3,000 人以上を動員し、14 日までは警戒レベルを引き上げて警備に当たる」と説明。4,000
人以上の市民特別警察官も採用していたという。
③「政治が変わる」と喜ぶ、在日ロヒンギャ
11/09、ミャンマー総選挙でアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が勝利する見通しとなったこ
とを受け、日本で暮らすイスラム教徒少数民族ロヒンギャからは9日、「ミャンマーの政治が変わっていく」と喜びの声
が上がった。ミャンマー政府はロヒンギャを自国民と認めておらず、今回は選挙権が与えられなかった。在日ビルマロ
ヒンギャ協会によると、日本に住むロヒンギャ約 230 人のうち 200 人ほどが群馬県館林市に居住。多くは工場に勤め
るほか、中古車販売業を営むなどして生計を立てる。ミャンマーで民主化運動に加わり、軍政による弾圧を恐れ日本
に来たというアウン・ティン会長(47)は、ミャンマーで一緒に運動に加わり、獄中で亡くなった「仲間を思い出してしま
う」とかみしめるように語り、開票結果について「本当にうれしい。人権問題は少しずつなくなっていくと思う」と期待を
込めた。
④平静さを取り戻したスー・チー氏自宅前と党本部前
11/09には、スー・チー氏が独自の集計結果をもとに、選挙での圧勝、単独過半数の獲得を発表した。スー・チ
ー氏自宅前や党本部前には、多数のNLD党員や支援者たちは、集結し涙を流し合いながら喜んだ。道路を埋め尽く
すほどのその光景はメディアなどで大々的に報道され、全世界に知れ渡った。しかし同日、スー・チー氏は、浮かれ
調子の NLD 党員たちに、「多数の人間が1個所に集まると不測の事態が起き、軍側の挑発に乗ってしまう可能性があ
る。自重するように」との声明を出した。その結果、11/10には、スー・チー氏自宅前も NLD 党本部前も、平静さを取
り戻した。
⑤スー・チー氏、自らが政権指揮=ミャンマー次期大統領に「権限なし」
11/10、ミャンマー総選挙での勝利を確実にしている国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー党首は、シ
ンガポールのテレビ局チャンネル・ニューズ・アジアのインタビューで、次期大統領には「権限がない」と述べ、自らが
実権を握って政権を指揮する考えを表明した。スー・チー氏は息子2人が外国籍のため、NLDが政権を獲得しても
憲法規定で大統領になれない。スー・チー氏は「(次期大統領は)自らに権限がないこと、党の決定に従って行動す
ることを完全に理解する必要がある」と述べ、全ての決定は自らが行う意向を示した。スー・チー氏は5日の記者会見
で、NLDが選挙で勝利した場合、「大統領より上の存在になる」と述べていた。一方、ヤンゴン郊外の選挙区から下
院選に出馬していたスー・チー氏は再選が決まった。連邦選挙管理委員会が11日発表した。
⑥大統領と国軍司令官に協議要請=スー・チー氏が書簡
11/11、ミャンマー総選挙で勝利が確実となった国民民主連盟(NLD)は、アウン・サン・スー・チー党首がテイ
ン・セイン大統領とミン・アウン・フライン国軍司令官に書簡を送り、来週中の協議開催を要請したことを明らかにした。
NLD政権樹立が濃厚となったのを受け、円滑な政権交代に向けて協力を求める意向とみられる。
⑦チャット相場が下落、ドル高と総選挙で
ミャンマー通貨チャットの対米ドル為替レートが、8日の総選挙以降、下落している。選挙前の数週間は、ミャンマー
中央銀行による為替規制強化もあって上向いていた。下落の背景には、国際市場での米ドル上昇と、ミャンマーの政
治・経済の先行き不透明感があるという。銀行家のソー・テイン氏は「政治的な不安定は為替レートに影響を及ぼす可
能性がある」とした上で、総選挙後のチャット下落は「米ドル上昇によるところが 75%、総選挙を含む国内問題が
25%」と指摘。「向こう数週間は不安定な状況が続くかもしれない」との見方を示した。ニューヨーク外国為替市場では
4日、米連邦準備制度理事会(FRB)が 12 月の利上げを示唆したことで米ドルが上昇。ミャンマー中銀の公式レート
は5日の1米ドル= 1,277 チャットから、11 日には 1,286 チャットに下落。ヤンゴン市内の両替所では 10 日、1米ド
ル=1,290 チャット以上で取引されたという。チャットの対米ドル相場は年初来で約25%下落。慢性的な貿易・財政赤
字の拡大や、米ドル高基調を背景に、下落傾向が長期的に続くと予想されている。自
⑧不動産売却し現金化、選挙後の政治混乱懸念
2014 年末から低迷していたミャンマーの不動産取引が、8日の総選挙前の数週間、小規模ながら活性化した。選
挙後の政治的混乱や制度変更を心配する不動産所有者が、資産を売却して現金化しようとしたためだ。11 年の経
済開放後、ヤンゴンでは値上がりを見込んで、土地や家屋の売り惜しみが横行したため、不動産価格が高騰、ピーク
時の 14 年後半には、周辺国の中で不動産価格の最も高い都市の一つとなった。しかし、14 年末から取引は落ち込
んでいた。不動産業者のヘイン・ザン氏によると、数週間前から売却を希望する顧客が増え、売り主は2割ほどの値
下げにも応じている。「90 億チャット(約8億 6,000 万円)の物件が 60 億チャットまで下がったケースもある」と話す。
ミャンマー人の三大投資先は、「不動産」「米ドル」「金」だが、ある不動産業者は、「今回は米ドルが最も好まれてい
る」と話す。マンダレーでもヤンゴンと同様の現象が起きている。今後、不動産価格は反落するとの情報も流れている
が、不動産関係者らは、値下がりは「一時的」で、二大都市では長期的には高止まるとみている。
⑨急進派仏教団体、新政権支持を表明
11/10、ミャンマーの急進派仏教団体「国家と宗教保護のための委員会」(通称マバタ)の高僧ソパカ師は、ミャン
マー・タイムズ紙と会見し、「われわれは、どの政党が政権に就いても歓迎するし支持するが、民族や宗教問題に関し
て厳しく監視していく」と述べ、含みをもたせながらも新政権を支持する方針を表明した。ソパカ氏は8日に投開票さ
れた総選挙での野党、国民民主連盟(NLD)の躍進は認めたものの、公式結果はまだ出ていないと強調。その上で、
「新政権が民族や宗教の利益に反する政策をとれば修正を迫る。民族や宗教を侮辱する行為は容認しない。これが
われわれの方針だ」と述べた。また、選挙後に「望ましからぬ」状況が起こる可能性を警告しながらも、「われわれは支
持者に選挙結果を受け入れるよう訴えている。民意は尊重されるべきだ」と言明した。
2.最近の外資の進出状況
・ピザハット1 号店、ヤンゴンで開業
ファストフード世界大手の米ヤム・ブランズが 10 月下旬、ヤンゴンにファストフードチェーン「ピザハット」の1号店を開
業した。同じヤム傘下の「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」は先に2号店が開業しており、米系ファストフードの
進出が本格化する兆しだ。
・タイの家具モダンフォーム、ミャンマー工場計画
タイの家具大手モダンフォーム・グループのタムマニット副社長補は、タイ北西部ターク県メーソート郡か、ヤンゴンの
いずれかに工場を開設する計画を明らかにした。住宅やオフィスビルなどの建設が増え、家具市場も拡大すると期待
する。
・英系旅行会社ペグトラベル、ヤンゴンに設立
英国とミャンマーの民間資本による合弁旅行代理店「ペグトラベルズ」が先ごろ、ヤンゴンに設立された。欧州の言語
に堪能かつ経験豊かなガイドによる現地文化を巡るツアーのほか、企業の研修旅行やMICE(ミーティング、インセ
ンティブ、コンベンション、エキシビション)の予約なども手掛ける方針だ。 従業員は 30 人。
・日本の介護3社が合弁設立
11/11、さくらコミュニティーサービス(札幌市北区)など日本の介護サービス3社は、ミャンマーのポールスター・グ
ループと合弁会社を設立し、ヤンゴンで記念式典を開いた。日本が早ければ来年度にも、介護分野で外国人技能実
習生の受け入れを始めると見込まれることから、ミャンマー人を日本に送り出して技術を習得してもらい、将来は合弁
会社がミャンマーで計画する介護サービス人材として活躍してもらう。
・JFEエンジ、ヤンゴン市のごみ焼却発電所受注
11/12、JFEエンジニアリングは、ミャンマー初のごみ焼却発電プラントの建設をヤンゴン市から受注したと発表した。
ごみ焼却発電プロジェクトとして、ミャンマーで初めて「二国間クレジット制度(JCM)」を適用する案件となる。
以上
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