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メーカーにおける 設計システムの現状 荏原製作所編

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メーカーにおける 設計システムの現状 荏原製作所編
第5回 設計研究会 2003年3月12日
メーカーにおける
設計システムの現状
荏原製作所編
(株)荏原総合研究所・機械研究室
足原 浩介
Property and CopyRight
Ebara Research Co., LTD.
JSME設計研究会 2003年3月12日
EBARA RESEARCH CO., LTD.
1
荏原製作所 紹介
本社・羽田工場
品川事務所
大型ポンプ
プラント設計
株式会社 荏原製作所
設立 1920年(大正9年) 5月20日
従業員数 4829名(2002年3月末)
売上高 3963億円(2001年3月末)
■風水力事業
水力機械・気体機械・冷熱機械 etc
■環境エンジニアリング事業
環境プラント・水処理プラント・ etc
■精密・電子事業
真空機器・半導体産業用装置機器 藤沢工場
小型ポンプ・半導体製造装置
■新エネルギー事業
冷凍機・燃料電池
新エネルギ機器 燃料電池、風車 etc 株 式 会 社・荏原総合研究所
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袖ヶ浦工場
蒸気タービン・ガスタービン
圧縮機・マイクロガスタービン
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荏原総合研究所 紹介
Site Area
530,000 m2
株式会社 荏原総合研究所
設立/ 1984年(昭和59年)7月
従業員数/ 110名(研究員76名)
Ebara Research Facilities
Ebara Corporation
- Fujisawa Plant
■事業内容
・風水力機械、産業用機械、水処理、環境改善装置、ビーム利用技術等に関する技術の研究開発
・荏原関連各企業から委託を受ける研究開発、あるいは共同で行う研究開発
・総合研究所独自の自主研究開発
・外部から受ける委託研究
・国内、海外から受ける技術調査、技術コンサルタント、実験、分析、計測、試作および特殊加工品
の製作
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3
話題提供の概要
1. ポンプ開発の概要
2. 逆解法・CFD設計システム
3. Rapid Prototype
4. 課題
Property and CopyRight
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1. ポンプ設計の概要
■ ポンプの製品開発の流れ
大型ポンプの場合
● 顧客
要求仕様
立会い試験
設計
モデル試験
納入
建設
据付
● ポンプメーカ
要求を達成する
流体形状の設計
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要求性能を
モデルで実証
製造
話題提供の範囲
ハイドロ開発
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1. ポンプ設計の概要
■ ハイドロ開発の変革
新設計支援システムを構築
● 従来
既存モデルを修正
要求仕様
鋳物
モデル試験
3ヶ月
新モデル設計
設計ノウハウ
2DCAD
木型図
品質が設計者の経験に依存
鋳物製作に時間が掛かる
● 新システム
要求仕様
逆解法・CFD
設計システム
データベース
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Rapid
Prototype
3DCAD
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3Dデータ
モデル試験
2週間
品質が安定
開発期間が短縮
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話題提供の概要
1. ポンプ設計の概要
2. 逆解法設計システム
3. Rapid Prototype
4. 課題
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2. 逆解法設計システム
■ 従来のポンプ設計
● ポンプの流体設計
● ポンプの形態
顧客からの
要求仕様
流量: Q [m3/min]
揚程: H [m]
回転数: N [rpm]
比速度: Ns
で整理できる
Ns =
N Q
H3 4
ポンプの比速度毎に設計法が異なる。
設計パラメータは線図を多用。
特性(効率・剥離・吸込性能)の制御には
設計者の勘と経験に依存。
新規モデル設計には時間が掛かり、
性能が出ないリスクがある。
● ハイドロ開発
Ns
小
Ns大
最適な形状
遠心
斜流
軸流
要求仕様によってポンプの形態が大きく変わる
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代表比速度・特性毎にモデルを用意し、
修正する事によって要求を満たす。
比速度や特性の異なるハイドロモデ
ルのラインアップと修正法のノウハウ
が重要
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2. 逆解法設計システム
■ 逆解法とは?
● コンピュータの設計利用
逆解法はコンピュータで形
状を求める設計ツール
CFD
形状
流体
1980年代 三次元理論の構築
1990年代 CFDの普及
→ 3D逆解法の実用化
逆解法
● 三次元逆解法 Zangeneh (1991) ロンドン大学
誘起速度場の
計算
翼負荷分布
に
基づく翼面形状の修正
inviscid slip condition
子午面形状
設計要項
初期
翼面形状
NO
主流(軸対称流れ)
流れ関数(2D ポアソン)
周期変動流
フーリエ級数(3Dポアソン)
YES
翼面形状の
誤差収束判定
翼面形状の
決定
周方向グリッド不用で高速解析
仮定:翼面は渦層で表される・非粘性・ポテンシャル流れ
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2. 逆解法設計システム
■ 三次元逆解法の利点
● 翼負荷分布
流体力学的
関係
ポンプの性能は翼面の圧力分布に影響される。
+
−
Ps − Ps =
2p
B
r Wm b l
¶ rVq
¶m
ρ : 密度
B : 翼枚数
m : 子午面方向座標
Vθ : 周方向速度
Ps+ : 圧力面静圧
P s- : 負圧面静圧
W mbl :翼面上子午面方向速度
翼負荷分布 (Ps+-P s-) は、角運動量 rVθ の分布で制御可。
Tip
三次元逆解法を用いる事によって
SLOPE
Tip
Hub
Hub
LE
NC
ND
角運動量 rV θ の分布は
8個のパラメータで定義可
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流体特性に論理的に関連した少ない数
のパラメータを直接設計に利用可能
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2. 逆解法設計システム
■ 三次元逆解法の実用化
● パラメータの研究
負荷分布
パラメータ
● 流体特性制御の例
負荷分布制御による
ポンプディフューザの剥離抑制
逆解法設計ポンプ
従来設計ポンプ
三次元
逆解法
三次元逆解法
CFD
CFD解析結果
実験結果
剥離抑制
効率5%アップ
CFD解析結果
実験結果
実証実験
パラメータの
データベース化
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比速度・流体特性に応じた翼負荷分布パラメータ
のデータを蓄積しデータベース化
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2. 逆解法設計システム
■ 逆解法設計システム構築 1
あるポンプシリーズの
子午断面形状
B2
θ2
TE
Ss
L
α1
B1
LE
D1
Sh
D2
ある設計パラメータ
● 設計パラメータの連続関数化
全設計パラメータの数値化
(子午面形状、翼負荷 etc ..)
従来設計の実績
逆解法入力に
対する最適関数
0
500
1000
1500
Ns (m, rpm, m3/min)
比速度
任意比速度の設計パラメータを連続関数より計算し逆解法設計
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2. 逆解法設計システム
■ 逆解法設計システム構築 2
● 任意特性を持つポンプシリーズの逆解法設計
シリーズ1(高効率)
Ns
任意特性の
シリーズ
逆解法パラメータが流体特性と論理的に関連し
ているため、特性間の補間が可能
任意の特性を持つポンプの設計パラメータを、他の
特性のポンプシリーズの設計パラメータから算出
Total
Head
シリーズ2
(通常特性)
Flow capacity
S=1.0
S=1.5
S=2.0
任意特性の設計パラメータをデータベースより計算し逆解法設計
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2. 逆解法設計システム
■ 自動最適化の適用
● 逆解法設計パラメータの自動探索
ポンプの自動最適設計での問題
ターボ機械
自動設計
最適化ソフト
iSIGHT
設計変数
翼負荷分布
パラメータ
逆解法
・CFDに掛かる時間が大きい
・三次元翼面形状のパラメータが多い
・要求仕様を満たす必要がある
自動最適化に掛かる時間が非常に大
最適化
アルゴリズム
目的関数
制御
CFD結果
三次元形状
逆解法を自動最適化にいれる利点
CFD
・要項仕様は逆解法入力で設定可
・設計パラメータが少ない
リーズナブルな時間で自動最適化が可能
新たな特性を持つ逆解法パラメータのデータベース作成で期待
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2. 逆解法設計システム
■ 自動解析格子生成技術
● 逆解法理論が適用できない場合
リターン流路・ボリュートなどは逆解法理論が適用できない
250
150
表皮モデル
ボリュートケーシング
50
-150
-50
-50
50
150
-150
自動メッシュ生成
(Pam-Flow)
流動解析
(Pam-Flow)
多段ポンプのリターン流路
CFD解析環境を向上して従来の設計手法を支援
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2. 逆解法設計システム
■ 逆解法-CFD設計システム
● 目的に応じた設計パラメータを組み込んだ設計システム
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1. ポンプ設計の概要
2. 逆解法設計システム
3. Rapid Prototype
4. 課題
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3. Rapid Prototype
■ モデル試験用部品製作の変革
● 従来プロセス
製作図
従来の
設計手法
木型作成
鋳造
機械加工
試験モデル
木型図
翼形状の展開図
工程が多い
木型製作、鋳造に時間が掛かる
鋳造のため形状的制約が多く、複雑形状不可
● 新プロセス
逆解法
設計システム
3Dモデリング
Rapid
Prototype
試験モデル
3Dモデリング導入による工程の単純化
Rapid Prototype で迅速造型
複雑形状の造型可能
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3. Rapid Prototype
■ 3Dモデリング
● 3Dモデリングの必要性
逆解法設計の翼面は3D形状で2D展開図では表現が不充分
3DモデルがあればRapid Prototypeへのデータ受渡しが容易
● 専用3Dモデリングシステム
市販の3DCADを、ポンプ・コンプレッサーなど
のターボ機械部品専用にカスタマイズ
三次元逆解法で設計した形状データから自動的
に3Dソリッドモデル生成
フィレットもなども自動生成可能
羽根車部品全体の3Dモデル生成に約30分
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3. Rapid Prototype
■ RP (Rapid Prototype)
製品開発において試作品を高速に製造する技術
● 光造型
特定波長の紫外線レーザに照射されると固まる特性を持つ
「光硬化性樹脂」を利用し、立体形状をスライス分割して下
から順番にレーザー照射し、立体モデルを造型する方法。
大型部品の造型が可能。
ケーシングや
LSL(Laser Stereo Lithography)
ディフューザで使用
エポキシ樹脂製ディフューザ
● 粉末焼結造型
粉末素材をローラーで供給し炭酸ガスレーザーで粉末温度
を瞬時に溶融温度まで上昇させ、下の層と溶融結合させる
。これを各層毎に繰り返して立体モデルを造型する方法。
高強度材料の造型が可能。
羽根車で使用
SLS(Selective Laser Sintering)
モデル試験用の部品を1日~2日で製造可能
新設計システムの効果を迅速に評価が可能
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ガラスナイロン樹脂製羽根車
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1. ポンプ開発の概要
2. 逆解法・CFD設計システム
3. Rapid Prototype
4. 課題
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4. 課題
■ メーカーが抱える問題
● 設計支援システムの構築
In house
設計システムの構築、維持管理は非常に大変
莫大な時間とコストが掛かる(バグも膨大)
リスクも大
● 設計支援システムの特徴
対象製品が
具体的
高度性 ↑高い
一般性 ↓低い
ルーティンには有効
新規開発には適用難?
● 実際の製品開発
実際の製品
トラブル
現状のCAEが対処困難な領域が多い
高非定常性・エロージョン・熱衝撃 etc 未だに研究段階
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4. 課題
■ 個人的希望
● 設計支援システムに期待する事
デファクト的な設計支援ツール(設計支援の一般化)
様々な開発業務に応じたカスタマイズ性(設計支援の高度化)
CAE高度化と実際問題への対処(理論の構築・実験・ツール)
実際問題の提議
大学
理論・解決法
デファクトな設計支援ツール
高度CAE構築のための連携
メーカー
カスタマイズ要求
デファクトな
設計支援ツール
高度CAE
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ベンダ
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END
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