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サステナブル建築事例の 分析 - Japan Valuers
サステナブル建築と鑑定評価∼調査・分析の実践 第3回 サステナブル建築事例の 分析 日本ヴァリュアーズ㈱「環境と不動産評価」研究グループ 1.はじめに CASBEEで最上位のSランクの認証(SBIアーキクオ 「サステナブル建築と鑑定評価」というテーマで, リティ株式会社) を取得している。延床面積が3,755㎡, 第1回はオフィスビルの現地調査,第2回は戸建住 オフィスビルとしてはそれほど大きくはないが,50 宅の現地調査について述べてきた。昨今,様々なア 項目の環境配慮を施したオフィスビルである。 セットを中心に環境配慮型不動産が増加しているこ 募集賃料は月額23,000円/坪(共益費込) ,賃料は とに伴い,不動産の鑑定評価においても,今後この 周辺相場並みに抑えているとのことであり,CBRE社 ような不動産を評価する機会が増えることが予想さ 発 行 の「OFFICE MARKET REPORT JAPAN れる。 Q1 2011」によれば,2011年3月期の青山エリアの 不動産の鑑定評価を行うにあたっては現地調査を 平均募集賃料は月額18,320円/坪(共益費抜き)と 行うことが必要となっている以上,評価の対象とな なっている。これに標準的な共益費3,000 〜 4,000円 る不動産がどのような環境性能を有し,環境に対し を加算しても,周辺相場並みの水準であると考えら てどのような効果があるのかについての知識を習得 れる。建設費は約9億円(設計費別) ,環境技術を導 することは,環境配慮型不動産が普及するに伴い,ま 入したことによる建設費の増加分は10%程度とのこ すます重要になってくると考えられる。前回までの とである。本件建物が導入した主な環境技術は以下 連載において,オフィスビルや戸建住宅の実査にお の通りであり,主要なものについてその環境に与え ける具体的なチェックポイントを明示したが,今後 る影響,効果について解説を加える。 は明示したチェックポイントが価格形成においてど のように影響を与え,各手法の適用においてどのよ ①屋上緑化と壁面緑化 うに反映させていく必要があるのかを検討すること ②昼光制御 が課題となろう。第3回となる本稿では, (1) ③昼光利用制御 CASBEEでSランクを取得したオフィスビル, (2) 「再 ④ダブルスキンカーテンウォール 生(リノベーション) 」により新しい命が吹き込まれ ⑤太陽光発電システム た共同住宅の事例を紹介し,アセットは異なるもの ⑥光ダクト の,新築と中古という二つの環境配慮型不動産から ⑦自然通風 アプローチし,環境配慮型不動産の現状並びに今後 ⑧輻射空調システム の可能性について考えてみたいと思う。 ⑨雨水貯留槽 2.事例紹介 (1)CASBEEでSランクを取得したオフィスビル ⑩暗騒音 ⑪人感センサー ⑫節水型衛生器具の導入 大手ゼネコンである戸田建設株式会社が, 地下鉄 「青 ⑬界壁遮音性能 山一丁目」駅から徒歩約3分の外苑東通り沿いの自 ⑭LED照明,LED誘導灯 社所有地に建設(2011年3月31日竣工)した中規模 ⑮BEAMS導入 賃 貸 オ フ ィ ス ビ ル「TODA BUILDING 青 山 」 。 ⑯省エネ空調システム 50 Appraisal & Finance 2011. 7 ⑰リサイクル品のタイルカーペットを使用 といった人間の内面に働きかけるものについては,そ ⑱高炉セメントの使用 れほど考慮されていないというのが実情であり,こ ⑲地中熱利用 のような価値を定量的に把握し,価格形成要因(個 ⑳低炭素施工システム 別的要因)として鑑定評価額に反映することは現段 階では難しいと考えられる。 【ダブルスキンカーテンウォール】 ダブルスキンカーテンウォールはLow-eペアガラ スとともに,透過型太陽光発電パネルをファサード デザインに採用することで,内部からの眺望を確保 しながら,外部からの日射の抑制を図るものである。 建物の全面をガラスで覆うことでダブルスキン化し, ダブルスキンの間にできた空間を自然換気などに利 用することで,夏季は熱の上昇気流を利用した排熱 を行い,冬季はダブルスキンの蓄熱性を利用し,外 部の負荷低減に貢献することが可能である。これに より,快適なオフィス環境の創設と空調設備(エア コン)の稼働抑制による空調費の削減に貢献する。 【太陽光発電システム】 屋上に太陽光発電パネルを設置,また透過性太陽 光発電パネルをファサードデザインに採用すること で,太陽光による発電を実現している。導入時のイ 「TODA BUILDING 青山」筆者撮影 ニシャルコストがかかるものの,太陽光発電のよう な自然エネルギーには火力発電によるエネルギーと 比べて大幅なCO2 排出量の削減が期待できるととも 【屋上緑化(壁面緑化) 】 に,その取り組みはCSR(企業の社会的責任)の観 屋上緑化(壁面緑化)には,大気浄化,省エネ(エ 点からも重要であると考える。また,先に発生した アコンなどによる冷房負荷の節減) ,輻射熱の低減, 東日本大震災などの災害時においても,ライフライ 建築物の劣化防止等の効果があり,多くの面で環境 ンの復旧までの一時的な電力供給が可能であろう。夜 負荷軽減に役立つ。しかし一方で,継続的な維持管 間に発電ができないことや地域,天候,気候の状況 理の手間と費用がかかり,導入している例は比較的 等により発電量の多寡が左右される場合が多いもの 多いものの,管理の状況如何によっては,その効果 の,保有時及び運用時の経費は比較的安価であるこ が半減するのみならず,優れた環境性能を持つはず とから,中長期的な観点からみれば十分採算がとれ の不動産の魅力が低下してしまう危険性を有してい るものと考えられ,将来的なランニングコストを抑 る。 える効果が期待できる。 屋上緑化の維持管理費には,水道料金,電気料金 【雨水貯留槽】 のほか,植栽および設備の管理費用,施設内清掃,潅 屋根から集水した雨水を貯留し屋上緑化と壁面緑 水装置点検,除草,剪定,刈り込み,施肥,病害虫 化の散水に利用する。雨水を有効利用することで,屋 防除などの費用が必要であり,屋上緑化の形態(平 上緑化と壁面緑化の維持管理に係る費用(水道費) 面緑化,ビオトープ緑化等)にもよるが,年間1㎡ の削減につながる。また,地震などの災害時には非 あたり数千円の費用がかかることもある。維持管理 常用水としても利用が可能であり,防災面での役割 費の増加は避けられないものの,一方で「緑」は「安 も果たす。 らぎ」 , 「癒し」 , 「創造性」の観点から,オフィスワー 【昼光利用制御等】 カーにとって重要な意味をもつとも考えられるため, 昼間の明るい窓側エリアは,照明を自動的に調光 単にコストパフォーマンスのみをもっては計れない し,照明電力の低減に貢献する。また,光ダクトを 価値が「緑化」にはあると考えられる。不動産の鑑 採用することで,屋上からエレベーターホールなど 定評価においては,このような「安らぎ」や「癒し」 に自然な太陽光を取り入れることができ,日中の照 Appraisal & Finance 2011. 7 51 明電力低減に貢献する。さらに長寿命・省電力の 【リノベーションによる環境負荷低減】 LED照明,LED誘導灯を共用部に採用することで, リノベーションは既存の建物を活用するため,構 照明電力の低減に貢献する。照明電力の低減は,最 造上どうしても変更できない部分があることから,新 終的には電気料金の削減につながることから,光熱 築に比べて設計・プランニングの自由度は低いと言 費の削減に貢献する。 わざるを得ない。しかし,既にある不動産をリノベ ーションすることで,建物の解体等による廃材の削 上記のとおり,CASBEEでSランクを取得した最 減によりCO2の排出量を抑えることできる。つまり, 新の環境配慮型不動産については,CO2 排出量の削 解体による廃材や建設に係る資材などが少ないため, 減,水道光熱費や維持管理費の削減に直接的につな 環境負荷が低い開発手法であり,統計では建物を壊 がる環境性能が備わっている。当然ながら,このよ して新築するスクラップ・アンド・ビルドに比べて, うなオフィスビルを建築する際には,通常のオフィ 廃棄物で22分の1,CO2 排出量で33分の1と大幅な スビルを建築するよりもイニシャルコストがかかる 削減が可能である。 ことが予想される。本件のような賃貸型のオフィス したがって,まだまだ利用できる状態の建物をス ビルについては,オーナーの立場に立てば,環境性 クラップするような無駄は避けるとともに,取り壊 能を備えるために必要となったイニシャルコストを, す必要のない不動産は手入れをきちんとすることに 月額賃料に上乗せしてテナントにある程度負担して よって,環境負荷を減らしていく必要がある。 もらうように考えるであろう。したがって,周辺相 【オール電化】 場よりはやや高めの賃料での募集となることが予想 リノベーションの不動産でよく目にするのが,オ される。 ール電化を採用するケースである。建物にオール電 株式会社住信基礎研究所「環境配慮型ビルに関す 化を採用することにより,エアコンやエコキュート る企業の意識調査(2009年7月) 」によれば,テナン などの高効率なヒートポンプを使用し,省エネとCO2 ト側も省エネ,省CO2,省資源などの環境配慮を重視 排出の削減に貢献することができる。これまでガス するとともに,水道光熱費などのコストダウンに見 料金と電気料金とで基本料金を別々に支払ってきた 合った賃料の上乗せであれば,認めるテナントが多 場合を考えれば,料金が一本化したことによって,光 いという結果が出ている。 熱費の削減が可能となるであろう。 以前に比べて環境配慮型不動産の認知度は高まっ ただし,東日本大震災のような災害が起きた場合 てきてはいるものの,鑑定評価における評価手法は を考えてみると,今まではオール電化は環境に優し まだ確立されていないのが現状であり,今後の大き い,エコである,といった絶対的な神話のようなも な研究課題であろう。 のがあったが,現在ではやや陰りが出てきてしまっ ているのも事実であろう。大震災直後,確かにいち (2)再生(リノベーション)された共同住宅 早く復旧したのはガスよりも電気であり,ライフラ 一般的には,環境配慮型不動産というとCO2の排出 インの確保という点からは,復旧スピードの速い電 量を抑えるような環境性能,最新の省エネ設備等を 気を利用するオール電化のほうが優れているように 施した不動産のことを言い,新築として建築される も見える。しかし,今回のように原子力発電所の機 ことが多いのではないだろうか。新築であれば,一 能が麻痺している状況にあって,計画停電が実施さ から建物を作り上げるのであるから,建物の設計・ れ,夏の電力不足が叫ばれるなか,電力量を火力発 プランニングの自由度が高く,建築主の意向に沿っ 電などにより賄う必要があり,結果としてCO2の排出 た建物の建築が可能である。当然ながら建築された 量が増加してしまっているといった弊害が生じてい 建物は,耐久性・耐震性に優れ,最新の環境性能を る。このような状況にあって,オール電化について 備えた環境負荷の低い環境配慮型不動産であること は賛否両論があろうが,現在,原子力発電に頼って は言うまでもない。 いる日本の電力供給構造を,先に述べた太陽光発電 しかし一方で,既にある不動産を改修し,手を加 や水力発電,風力発電,バイオマス発電などの自然 えることで,環境配慮型不動産として世に送り出す エネルギーを用いたクリーン電力にシフトしていく 場合も考えられる。ここでは, 再生(リノベーション) 必要があろう。 不動産である一棟の共同住宅について述べたいと思 う。 52 【リノベーション共同住宅の鑑定評価】 株式会社不動産経済研究所が発表している,2011 Appraisal & Finance 2011. 7 年4月度の首都圏のマンション市場動向によれば,東 超える抽選倍率もあったようだ。 日本大震災の影響で営業期間が半減し,前年同月比 ここで,この建物がリノベーションされる前の状 に比べて約3割供給戸数が減少したが,売れ行き(契 態,つまり,まだ社員寮だった時に鑑定評価の依頼 約率)については76%と好調を維持している。この があったらどう判断するだろうかと考えてみよう。 ところマンション市場が順調なのは,低金利,住宅 本件は「自用の建物及びその敷地」であるという ローン減税,贈与税の非課税枠の拡大による親から 前提に立つが,不動産鑑定評価基準によれば, 「自用 の資金贈与など,購入者にとっては有利な条件が整 建物及びその敷地の鑑定評価額は,積算価格,比準 っていることが要因になっていると考えられる。震 価格及び収益価格を関連付けて決定する」とある。 災後,最近になってまた販売が再開され,即日完売 また, 「建物の用途を転換し,又は建物の構造等を するマンションもあることから,震災を挟んでも,マ 改造して使用することが最有効使用と認められる場 ンション需要は依然として堅調である。ただし,首 合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は, 都圏においても液状化や家屋の倒壊など,震災によ 用途変更後の経済価値の上昇の程度,必要とされる る甚大な影響を受けたエリアもあり,今後は需要者 改造費等を考慮して決定する」ものとし, 「建物を取 の立地に対する選好性がより強く現れていくものと り壊すことが最有効使用と認められる場合における 考えられる。 自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は,建物の解 こうした新築マンションが順調に販売されていく 体による発生材料の価格から取壊し,除去,運搬等 なか,一方で中古マンションに対する需要も堅調に に必要な経費を控除した額を,当該敷地の最有効使 推移している。これまでの新築>中古という価値観 用に基づく価格に加減して決定するものとする」と が崩れ,特に駅近などの立地を重視する人たちが,供 定められている。 給量の少ない新築マンションよりも,安い価格で購 不動産鑑定評価基準では,基本的には,原価法に 入できる中古マンションに興味を持ち始めており,購 よる積算価格, (土地建物一体としての)取引事例比 入後に自分のライフスタイルに合わせたリフォーム 較法による比準価格及び収益還元法による収益価格 (リノベーション)を行って,自分だけのオリジナル を関連づけて決定するものとされているが,実務上 マンションを持ちたいと考える人も増えている。 は取引事例比較法の適用は困難なケースが多く,積 以下では,筆者が以前興味をもったリノベーショ 算価格と収益価格のみを求めるケースが多い。実務 ン共同住宅(分譲マンション)を紹介したいと思う。 上,こういったケースでは以下のように考えるのが 川崎市に所在し,小田急線とJR南武線の両線が徒 Before 歩圏内に存する閑静な住宅地域に立地する共同住宅。 売主は東京電力グループの株式会社リビタ。そのマ ンションは一専有部分だけではなく,一棟丸ごとリ ノベーションしたマンションで,現在は既に竣工し ている。もともとは大手企業の社員寮として利用さ れていた建物(新耐震基準以降に建てられた建物)で, その建物を解体することなく,新築並みの設備,環 境性能を備えて再生し,リノベーションした分譲マ ンションとして市場に流通させたものだった。天井 After 高や水回りの位置など,どうしても変更できない部 分はあるが,専有部についてはスケルトン状態から 自由にアレンジすることが可能で,購入者のライフ スタイルに合わせた間取りの実現が可能であった。新 築マンションではないけれども,上質な中古マンシ ョンとして再生した物件である。当然ながら,周辺 の新築マンションに比べて価格が安く,オール電化 など最新の設備を備えたオリジナルマンションが購 入できるとあって即日完売。物件によっては10倍を 株式会社リビタHPより Appraisal & Finance 2011. 7 53 一般的ではなかろうか。 ①現在の建物は社員寮という特殊用途であるが,社 Sランクを取得したオフィスビル,既存の建物を再生 (リノベーション)することで,新しい価値を見出し 員寮として利用したいという需要者が存しており, た分譲マンションの事例を紹介し,新築と中古,オ 現状のまま利用することが最有効使用であると判 フィスと共同住宅,最新の環境性能を備えた物件と 定すれば,原価法を適用し,土地及び建物の再調 建物の解体による廃材の削減によって環境に配慮し 達原価を個別に求め,これを合計し,これに減価 た物件など,それぞれ異なる視点から環境配慮型不 修正を施して積算価格を試算する。 動産が有する価値というものにアプローチしてきた。 ②一棟借りして社員寮として利用することが最有効 環境配慮型不動産の鑑定評価においては,現在,十 使用であると判定する,または,バス・トイレが 分に環境付加価値が評価されているとは言えない状 部屋ごとにあるため,賃貸アパートとして賃貸す 況であり,環境配慮型のオフィスビルの場合を例に ることが最有効使用であると判定し,当該社員寮 挙げれば,通常(環境配慮型ではない)の不動産と を賃貸することを想定した収益価格を試算する。 比べて,環境付加価値が利回りや賃料に対してどの ③建物の老朽化が進んでいるため,更地にして分譲 くらいのインパクトを与えるものなのか,確立した マンション適地等としてデベロッパーに売却する メルクマールがない。今後の不動産市場において,環 ことが最有効使用であると判定すれば,開発法を 境配慮型不動産がメインストリームになることは確 適用する。 実であるし,そのなかで不動産鑑定士も専門職業家 しかし,実際,この社員寮は一棟丸ごとリノベー として果たす役割は重要となろう。 ションされ,分譲マンションとして市場に流通する 近時,東日本大震災が発生し,被害の大きかった ことになり,販売も好調で即日完売することとなっ 東北地方を中心に,現在,復興計画の策定など復興 た。仮に社員寮を取り壊して更地にして,新築の分 に向けた取り組みがなされている。防災体制の強化, 譲マンションを建築していたとしたら,どうだった エネルギー政策の見直しなど,新しい都市のあり方, であろうか。リノベーションという選択肢を選ぶこ 街づくりのあり方が問われ始めており,サステナブ とで,新築物件に比べて廃材の処分費や建設費など ル建築に対する期待も高くなっている。長寿命化の のコストを抑えることができ,販売価格を低く設定 みならず耐久性,耐震性にも配慮した環境配慮型不 しても採算性は十分に確保できた。しかも,既存建 動産の普及がさらに進むものと考えられ,そういっ 物の解体,廃棄,そして新たな建物の建設に伴う環 た時代背景のなかで,我々不動産鑑定士が,環境配 境負荷を低減させることができ,環境にも配慮した 慮型不動産とどのように関わっていく必要があるの 不動産として再生させることができた。新築マンシ かを考えなければならない時期にきているのではな ョンを建築したとしても,販売好調で終了すること いか。 があったかもしれないが,リノベーションを活用し (執筆者:高嶋 俊幸) たことによる工事期間の短縮,投資採算性,流動性 等の面から,このエリアでマンション購入を求める -参考文献- 需要者の意向と合致したものであると考えられる。し 1) 「性能時代の建築リノベーション 33 事例に学ぶ たがって,少なくとも「リノベーション」という選 択肢が,最善の方法(最有効使用)であったと言え るのではないか。 実務上,自用の建物及びその敷地の評価において は,現況利用か,あるいは取壊しかという観点で最 有効使用を判断する傾向が強いと思われる。自用の 建物及びその敷地に限ったことではないが,再生(リ 改修のノウハウ」日経アーキテクチュア 2002年 2) 「環境と共生する建築 25のキーワード」大西正 宜 2005年 3) 「環境配慮型ビルに関する企業の意識調査」株式 会社住信基礎研究所 4) 「2011年4月度版首都圏マンション・建売市場 動向」株式会社不動産経済研究所 ノベーション)という観点から不動産が持つ価値を 5) 「OFFICE MARKET REPORT JAPAN Q1 見出すことも,環境配慮型不動産の鑑定評価を行う 2011」シービー・リチャードエリス株式会社 上で,重要なことであると考える。 6)財団法人建築環境・省エネルギー機構HP http://www.ibec.or.jp/ 3.終わりに 7)株式会社リビタHP 本稿では環境配慮型不動産について,CASBEEで http://www.rebita.co.jp/ 54 Appraisal & Finance 2011. 7