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マクロ経済学 Ⅰ
マクロ経済学 Ⅰ 第4回 GDPとは何か(2) 三面等価, ISバランス 小巻泰之 経済は,バランスしている.突出は許されない 本日の講義は,経済のバランスを考えよう (1)三面等価:生産されたものは必ず消費される (2)日米をISバランスでみると... (3)乗数効果 を扱います. 三面等価は, ・単なる一致ではない. ・一致するのは「生産されるものは全て消費される」との前提があ る.その結果, (生産)付加価値=産出額-中間投入(中間消費) (支出)=民間消費+企業投資+政府支出+輸出-輸入 (分配)=雇用者報酬+固定資本減耗+営業余剰+(間接税-補 助金) (=消費+貯蓄+租税) が成立する. 三面等価: 生産=支出=分配 貯蓄投資バランスと呼ばれ,経済構造を知るうえで重要である.また,どのよう な制度を構築するべきかをマクロバランスは示唆している. 経済活動において,貯蓄は,設備投資への貸付,政府への貸付,海外への資 本移転を意味する. IS バランス 三面等価より Y = C + I +G + X − M = C + S +T (生産)= (支出) =(分配) ⇒ Y = C + I + G + (X − M ) Y = C + S +T X − M = (S − I ) + (T − G ) (経常収支)=(貯蓄投資バランス)+(財政収支) ISバランスで日米経済を考える (1990年以前の状況) I-Sバランスで経済を考える <日本> <米国> <②支出面GDP > <①生産面GDP > 労働力 ・時間 資本 ・設備量 ・稼働率 消費 消費 ・賃金 ・雇用数 投入 GDP ISバランス 技術力 民間投資 貯蓄 貯蓄過剰 政府 海外 それでも 補えない <財政赤字> <貿易黒字> 貯蓄 →失業での調整 民間投資 貯蓄 不足 労働力等の対価として GDPの分配が行われる <③分配面GDP > 財政赤字は増やせない、米国景 気低迷で輸出が伸びないと、経済 のバランスが保てない 構造改革の焦点はこの部分の調 整であり、日本経済低迷の原因は ここにある 米国で足りない部分が輸入され、 対日貿易赤字が拡大する。 しかし、貿易赤字が縮小すると、 米国内に資本、財貨が不足する ので、超過需要からインフレ圧力 が高い GDP 日本のISバランスの推移 日本は1990年代以降,企業部門は貯蓄超過 消費と投資 消費:安定的,投資:変動が大きい 消費財の特性: 耐久財,半耐久財,非耐久財,サービス 耐久消費財=ストックとしての調整要素(長期に保有) 消費と投資の区分:短期と長期 一定期間内において便益やサービスを使用されつくす 将来に便益をもたらすかを基準としてなされる. 投資は本来,最終需要ではない.GDP及びGDP各需要項目の変動性 民間消費支出 住宅投資 民間設備投資 民間在庫 政府消費 公的固定資本形成 公的在庫 輸出 輸入 GDP 標準偏差 前期との絶対開差 1.45% 5.13% 4.06% 1806.77% 1.31% 4.51% 1296.75% 3.45% 4.26% 3.99% 1.23% 4.82% 2.72% 578.24% 1.24% 4.36% 635.09% 3.24% 3.46% 1.09% (注)数値は1955年7-9月期から98年10-12月期までの174期間で計算したもの (出所)内閣府経済社会総合研究所「国民経済計算年報」 投資の二面性 直近の動き 設備投資は途中 で中止できない ストックは、その 後増加へ 需要の将来予測 設備投資計画 適正な投資水準 見込み違い 設備投資 = 資本ストック 過剰な投資水準 ・投資はフロー,需要(需要効果) ・積み上がれば資本ストックへ.ストックは供給能力(生産力効果) (問題点)投資決定段階と完工後における経済環境の違い(ラグ)→ストック調整(モデル)