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協議事項3 ライフラインの確保

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協議事項3 ライフラインの確保
協議事項3
協議事項3
ライフラインの
ライフラインの確保
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協議事項3
1
ライフラインの確保
ライフライン確保のための対策
災害時においてライフラインに支障が生じた場合、各医療機関がそれぞれのライ
フライン関係機関等に問い合わせ等を行うと、情報が錯綜する恐れがあるため、医
療対策本部が一元的に情報を集約し、医療対策本部から本市災害対策本部を通じて
各ライフライン関係機関に優先復旧について依頼する。
医療機関のライフラインは優先的に復旧されることとなっているが、被害状況等
によっては、必ずしもすぐ復旧できるとは限らない。このことから、各医療機関に
おいては、平常時から施設の設備点検、事故点検マニュアルの作成や訓練を行うと
ともに、水・電気・ガスの配管系統図を備える等、自施設の災害対策を強化するこ
とが必要である。参考までに、医療機関における防災・災害医療対策マニュアルチ
ェックリストを資料編59・60ページに示す。
(1)水道の確保
水道局では、生命維持のため、発災後3日間は市内各地に設置した「緊急貯水槽」
で、生命維持のため1日1人当たり3リットル、合計68万人分の飲料水を確保し
ているが、医療機関に対する特別な対応は規定していない。
札幌市内の病院における災害対策等実態調査(詳細は資料編18ページを参照)
の結果によると、97%の病院が貯水槽(水を一時的に蓄える受水槽・高置水槽)
を保有していることから、各医療機関における自衛策として、平常時の1日平均使
用水量や貯水槽の基数・容量を把握しておくとともに、発災時には、貯水槽前のバ
ルブを閉め赤水等の流入を避ける等の対応をすることが必要である。
なお、札幌市水道局においては、災害時に優先的に給水する必要のある災害時基
幹病院へ向う水道管の耐震化工事を進めている。具体的には、平成19年度より市
立札幌病院・札幌東徳洲会病院・北海道がんセンター・北海道社会保険病院から工
事に着手し、平成22年度までに札幌医科大学附属病院・札幌厚生病院・NTT東
日本札幌病院・北海道大学病院・勤医協中央病院・札幌社会保険総合病院・独立行
政法人国立病院機構西札幌病院・手稲渓仁会病院の12施設の供給ルートを耐震化
する予定である。
(2)電気の確保
停電時には、非常電源車による送電という対策も考えられるが、台数が少ないう
えに、道路状況により現場まで到達できない等の状況が想定される。
平成18年に実施したアンケート結果によると、市内の病院の80%で自家発電
による非常電源を持っている。しかし、5時間以上運転を継続できる施設は40%
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程度にとどまっていることから、十分な燃料の確保等の対策が必要である。
(3)燃料用ガスの確保
ガスの供給がストップした場合、一般市民に対しては、ガス発生車やカセットボ
ンベの補給等により対応できるが、医療機関にとっては容量が小さいために有効な
対応が非常に難しい状況である。
医療機関は、優先復旧の施設として位置づけされているが、復旧するまでに、か
なりの日数(およそ20~30日)が必要となる。
以上のことから、医療機関における災害時のガス確保対策については、今後十分
な検討を行う必要がある。
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協議事項4
協議事項4
災害時医療に係る
研
修
・
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訓
練
1
訓練の実施
災害等発生時においては、適切な対応を速やかに行うことが市民の生命の確保に
つながる。特に初動が非常に重要であることから、関係機関が一堂に会し、定期的
に訓練を実施し、災害発生時に即した経験を積み重ねていくことが必要不可欠であ
る。
また、傷病者受入れの中心的な役割を担う災害時基幹病院においては、速やかな
受入れ等対応を行うために、関係機関との連携を含めた広域的な訓練や病院単体の
個別訓練を定期的に実施することが重要である。
なお、平成20年7月7~9日に「北海道洞爺湖サミット」が開催されたことに
合わせて、札幌市災害時医療体制検討委員会における検討内容に基づき、札幌市及
び札幌市医師会において以下のとおり訓練等を行った。その結果を以下に示す。
① 医師会緊急連絡システムによる緊急情報収集訓練
【取組概要】 テロ発生時等における多数傷病者対策として、
「医師会緊急連
絡システム」を活用し、医療救護班の出動可否・医療救護班の出動要請・
医療機関における空床状況等について、緊急情報収集訓練を実施した。
【取組結果】 医療救護班の出動可否・医療救護班の出動要請・医療機関に
おける空床状況等に対する応答率は、それぞれ 39.3%、21.3%、32.6%で
あったことから、応答率の向上に向けて、今後とも定期的な送信訓練等を
行っていく必要がある。
② 化学テロ等を想定した解毒剤の確保
【取組概要】 化学テロ・生物テロの発生を想定し、市内の医療機関や医薬
品卸売販売業者等に対して解毒剤の保有状況を確認した。
【取組結果】 最終的には必要な解毒剤を確保できたが、一部の解毒剤につ
いては、通常、医療機関・医薬品卸売販売業者で取扱うものでないため、
必要数の確保に時間を要した。このことから、解毒剤を確保するための連
絡体制・確保見込量を定期的に医薬品卸売販売業者等に確認するととも
に、道内で調達できない場合の対応について整理しておく必要がある。
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また、札幌市医師会においては、災害時の医療救護活動の実施訓練として、平成
19年2月及び11月に発災現場におけるトリアージ訓練を行っている。
③ 災害時医療活動に関する実施訓練
【取組概要】
災害時の医療救護活動の実施訓練として、平成 19 年 12 月は
以下のプログラムにより訓練を実施している。
1 講義
(1)現場までのイメージ
(2)トリアージ・応急処置
2 実習
(1)災害現場でのトリアージ
(2)救護所での応急処置とトリアージ
(3)トリアージ・タッグの書き方
(4)全体シミュレーション
【取組結果】
平成 19 年 2 月は 30 名(医師 11 名、看護師 19 名)、平成 19
年 11 月は 31 名(医師 10 名、看護師 20 名、検査技師1名)が訓練に参
加している。
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第3章
今後の取り組みについて
先述の訓練結果も踏まえ、今後は以下の課題等を改善し、取り組みを進めていく
必要がある。
1
被害想定の見直しによる対策の見直し
札幌市防災会議では、平成 20 年 9 月に、地震発生に伴う被害想定の見直しを行
った。それによると、札幌市において、マグニチュード 7.3 の直下型の地震が発生
した場合、最大で 8,234 人の死者が出るとの想定結果となったが、これは、新たな
活断層の発見や冬場の救出の遅れなどを反映したものである。札幌市としては、こ
の被害想定をもとに、現在の地域防災計画について 2010 年度を目標に見直しを行
う予定としている。
災害時医療体制の整備においても、このような動きと連動し、新たな被害想定を
ベースとした医療救護活動を具体的に検討していくことが必要である。
2
訓練の実施
大地震等により多数の負傷者が発生した場合に適切な医療を迅速に市民に提供す
るため、例えば以下のような訓練を定期的に実施し、災害発生時に必要な医療救護
活動に即した経験を積み重ねることが重要である。
・関係機関間の情報伝達訓練
・発災現場におけるトリアージ訓練
・災害時基幹病院間の患者搬送・受入訓練
・各医療機関における災害時想定訓練
・札幌市総合防災訓練における医療救護活動の組込み・拡充
3
装備等の確保
災害現場や応急救護所において、医療救護班等が活動するにあたり、市民から一
目で医療救護者と判別できるよう服装に統一すること、また、災害現場で各関係機
関が迅速に医療救護活動を行うにあたって、拡声器や通信機器(トランシーバー等)
を使用することが必要不可欠である。
また、被災現場において速やかに医療救護活動を行えるように、行政として必要
な医療資器材等を一定数整備しておくことが必要である。
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4
災害時基幹病院の見直し
札幌市災害時基幹病院制度が実施されて12年が経過したが、その間、北海道立
北野病院が廃止になった後、清田区においては新たな災害時基幹病院が指定されて
いないこと、また、各々の医療機関の役割や診療内容が変化していることなどを踏
まえ、これらの状況に合わせて早急に災害時基幹病院の見直しを検討する必要があ
る。
5
市域外医療機関との連携
1で述べたように、被害想定の見直しにより、死傷者が大幅に増加する結果とな
った。このため、これまで以上に、札幌市内の医療機関だけでは、十分な対応がで
きないことが懸念される。
このような状況に対しては、市域外の医療機関との連携を強化するとともに、他
自治体との相互協力体制を構築することが必要である。
6
地震以外の災害に対する備え
今回は地震発生を想定して検討を行ったが、この検討内容はその他の自然災害及
び大規模事故等の人為災害についても応用が可能であることから、本検討結果をベ
ースとして、災害の種類に応じた対応体制を今後具体化していくことが必要である。
7
市民に対する被害軽減のための啓発
地震発生時においては、負傷者を発生させないこと、さらには被害を最小限に抑
えることが重要であることから、家庭における家具の配置や、けがをした場合の適
切な対応等について、市民を対象に積極的な啓発を進める必要がある。
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