F01. 図面尺度の考え方

埼玉工業大学
テーマ F01：
機械工学学習支援セミナー（小西克享）
図面尺度の考え方－1/2
図面尺度の考え方
１．定義
製図では，実物の長さ通りに描いたのでは，図面内に収まりきらないことが良くありま
す．このような場合，実際の寸法の何分の 1 かの大きさで描く必要があります．たとえば，
実物が 1000mm(=1m)のとき，図面には 500mｍで描くとします．このとき，図面上には実
際の寸法の 2 分の 1 で描いたことになります．この比率を『図面尺度』といい，1:2 と表記
することになっています．
機械工学分野では，ごく小さな精密部品を描かなければならない場合もあり，実物の長
さ通りに描いたのでは，図が小さすぎて何も分からないことになります．そのような場合
には，実際の寸法を拡大して描く必要があります．たとえば，実物が 1mm のとき，図面に
は 10mｍで描くとします．このとき，図面上には実際の寸法の 2 倍で描いたことになりま
す．この場合の比率もやはり『図面尺度』といい，2:1 と表記することになっています．
1 より小さな尺度は，
『縮尺』といい，1 より大きな尺度は，
『倍尺』といいます．日本工
業規格（JIS）には，尺度についての規定があり，次の値を用いなければなりません．
『縮尺』 1:2, 1:5, 1:10, 1:20, 1:50・・・
『倍尺』 2:1, 5:1, 10:1, 20:1, 50:1・・・
２．尺度変更
一度描いた図を，小さく描き直したいという場合があります．たとえば，実際の寸法が
1000mm のとき，図面上に 1:2 の尺度で描いたあとで，これを 1:5 の尺度に変更する場合，
図面上には何 mm で描けばよいかを考えます．
1:2 の尺度では 1000mm の寸法の図面上の長さは，
1000 
1
 500
2
すなわち，500mm です．1:5 では
1000 
1
 200
5
となり，200mm で描けばよいことが分かります．
CAD では，尺度設定を倍率で指定する場合があります．すでに，1:2 の尺度で描かれた図
面を 1:5 の尺度に変更するには，どうすればよいでしょう？上の例で，500mm を 200mm に
変更することと全く同じなので
200
 0.4
500
すなわち，現在の図面をさらに 0.4 倍すればよいことになります．ただし，いちいち長さ
を求めてから計算するのでは面倒ですので，次の式を覚えておくと便利です．
埼玉工業大学
現在の図面からの倍率 
機械工学学習支援セミナー（小西克享）
図面尺度の考え方－2/2
変更後の尺度
現在の尺度
ただし，尺度は分数で表わす必要があります．この式を使うと
1
5  2  0.4
1 5
2
と同じ結果が得られます．
例題
図面尺度 1:5 で描かれた図に描かれた 2 点間の長さを測定すると 200mm であった．この
図をコピー機で縮小コピーしたところ，2 点間の長さは 50mm となった．縮小コピーされ
た図の図面尺度はいくらになったか？
解答
200mm が 50mm に縮小されたのだから，コピーしたことにより，図はコピー前の
50
す
200
1
なわち， になったことになる．コピー前の尺度に，この比率をかければ良いから
4
1 1 1
 
5 4 20
すなわち，1:20 となった．
http://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/L_Support/SupportPDF/DrawingScale.pdf
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