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神奈川県議会友好代表団訪問結果 報告書

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神奈川県議会友好代表団訪問結果 報告書

メリーランド州友好提携30周年記念
神奈川県議会友好代表団訪問結果
報告書
Ⅰ
議会友好代表団派遣の概要
1
目的
アメリカ合衆国メリーランド州と本県との友好提携30周年を記
念し、議会友好代表団を派遣することにより、両県州の友好と信頼
を深め、今後のより一層の交流の推進を図る。
2
派遣先
アメリカ合衆国
3
代表団構成
団長
持
田
文 男
議長
自 民党
団員
森
正 明
議員
自 民党
木
村
謙 蔵
議員
自 民党
長
田
進 治
議員
自 民党
大 村 博 信 議 員 民 主 党 ・ か な が わ ク ラ ブ 豊 島 き よ し
議 員 民 主 党 ・ か な が わ ク ラ ブ 岩
本
一
夫
議員
みんなの党
鈴 木 ひ で し
議 員 公 明 党 相
原
高 広
議員
県 政会
随員
笠
原
達
夫
議会局長
吉
田
修
一
議事調査部議事課長
阿
部
浩
一
総務部経理課グループリーダー
4
派遣期間
平 成 23年 11月 15日 (火 )か ら 19日 (土 )ま で の 5 日 間 1
【目
次】
Ⅰ
議会友好代表団派遣の概要
・・・・・・・・・・・・・・・
1
Ⅱ
公式行事詳細結果
1
ワシントンD.C.内視察
・・・・・・・・・・・・・・・
3
2
経済状況調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
3
メリーランド州議会表敬訪問
・・・・・・・・・・・・・
10
4
ボルティモア市内視察
・・・・・・・・・・・・・・・・
21
5
メリーランド州警察視察
・・・・・・・・・・・・・・・
22
(1)
法医科学研究所視察
(2)
警察航空隊視察
6
メリーランド州危機管理庁視察
・・・・・・・・・・・・
29
訪 問 日 程 表
月日曜
現地時刻
内 容
第1日
11:10
成田発(NH002)
9:40
ダレス国際空港着
12:45
■ワシントンD.C.内視察(連邦議会議事堂)
16:30
■経済状況調査
11月15日
(火)
(アナポリス泊)
第2日
10:30
11月16日
■メリーランド州議会表敬訪問
①州務長官訪問
(水)
②州議会上院議長訪問
③州議会下院院内総務訪問
④昼食会
16:00
■ボルチモア市内視察(インナーハーバー)
(アナポリス泊)
第3日
8:45
11月17日
■メリーランド州警察視察
①科学捜査研究所視察
(木)
②州警察航空隊視察
14:45
■メリーランド州危機管理庁視察
(アナポリス泊)
第4日
メリーランド州からダレス国際空港へ
11月18日
(金)
11:20
ワシントンD.C.発(NH001)
(機内泊)
第5日
11月19日
16:00
成田着
(土)
-
2
-
Ⅱ
公式行事詳細結果
1
ワシントンD.C.内視察
○
連邦議会議事堂視察
【日時】
平成23年11月15日(火)12:45 【視察目的】
訪問国であるアメリカ合衆国の首都にある、世界中で最
も著名な民主主義政府の象徴とも言われる連邦議会議事堂
を訪れ、米国史に対する理解を深める。
【施設の概要】
ワシントンD.C.のやや東に位置し、ワシントンD.C.の住
所の東西南北の基準になっている。高さ287フィート(87m)
のドームが特徴的でキャピトル・ヒルと呼ばれている。中
央のドームを挟み北側が上院、南側が下院となっており、上院側は1800年に、下院側
は1811年に完成した。200年以上の間に、新しい州が連邦に加わるごとに増えてきた両
院議員を収容するために両翼が増築された。
【視察内容】
国会の歴史を紹介するオリエンテーションフィルム
を見た後、議事堂ビジターセンター職員の解説を受
けながらロタンダ(円形大広間)や彫像ホール等を視
察した。
ビジターセンターエントランス
彫像ホール
議事堂ドーム天井
3
2
経済状況調査
【日時】
平成23年11月15日(火)16:30 【場所】
ウェスティン・アナポリスホテル
会議室
【調査目的】
現地経済事情の調査、米国から見た日米経済関係、東日本大震災による影響などにつ
いて情報収集、意見交換等を行い、本県経済の活性化策を探る一助とする。
【調査内容】
ジェトロ・ニューヨーク事務所ディレクター(調査担当)松下美帆氏を招き、アメリカ
経済の現状と見通しについて説明を受けた後、質疑を
行った。
※松下氏の略歴
テレビ東京ワールドビジネスサテ
ライトのキャスターとして出演。
元内閣府職員。
○説明の概要
(1)
景気の現状について
2007年の金融危機の影響は非常に大きく、長く深いものになった。(景気後退の
期間は戦後最長の18ヶ月間、GDP成長率2009年比△3.5%)
・
2010年は、3.0%と割りといい成長であった。
・
2011年の年初の予想では、所得税減税の延長、年末商戦にかけて個人消費がよ
かったことを背景に3% 4%であったが、実際には2011年前半は、1%前後の
弱い成長になってしまった。
こうした成長を押し下げた要因は主に4つ。
①
原油価格の急騰
②
3月の日本の大震災
③
財政問題
④
欧州の金融危機、財政懸念の広がり
①、②は数字の上では回復したといってよい状態。③、④が最大の問題にな
っている。これから先の収束への道筋が見えず、長い問題として懸念される。
・
2011年第3四半期は、2.5%成長であるが、消費者・企業マインドが8月以降
急激に悪化しており、マインドが悪化すると先行きが見えないので、個人は投資、
消費をしない。企業は設備投資、雇用をしない。マインドの冷え込みが本当の経
済を冷え込ませてしまう、経済を収縮させてしまう懸念がある。
(2)
家計の動向について
米国では、個人消費がGDPの7割(日本は6割)を占めており、個人がどれだ
け財布のヒモを緩めるかが経済にとって非常に大きい。
所得が増えない状況で、物価の上昇を除いた実質可処分所得がここ3ヶ月減少
4
しており、消費を減らすか、貯蓄を減らすかになるが、貯蓄を取り崩して消費に
回している状況にあり、消費を力強く伸ばす状況にはない。
原油価格の急騰について。北アフリカ、中東、特にリビアの政情の変化による
価格急騰は、車社会の米国にとっては家計を直撃することになる。5月頃をピー
クに原油価格は下がる傾向だが、再び上昇傾向にあり、懸念はあるが一段落とい
った状態にあると思う。
ガソリン1ガロンの価格が4ドルを超えると相当な打撃があると言われる。こ
こ数週間上がってきており、所得が増えない中で、再びガソリン価格が上がれば
消費が減ることが心配される。
どういうものが売れているか。インターネットで買うオンライン販売が好調で
ある。住宅市場が低迷しており、家具、家電の伸びは弱い。
家計の資産総額は、金融危機前に比べ4%下げている。クレジットカードを使
って返済期限が来ても返さない、借金に抵抗がないアメリカ人の体質なのか、景
気が良くなるとまた借金をして消費を増やしていくという、消費を捉えるのに難
しい面がある。3ヶ月以上返済が滞っている率が金融危機以後あまり下がってな
い。
(3)
雇用の動向について
貧困層が増えている。 OCCUPY
WALL
STREET (「ウォール街を占拠せよ」)運動
が話題となっている。市民の不満の元は所得が増えない、所得格差が拡がっている
こと。1%の超富裕層に対して共通項として困っていることを言っているもの。
政府が発表する「貧困線」以下の所得の人の割合が、ここ数年急速に悪化してお
り、先進国で米国は特に所得格差が大きい。
失業率が9%を超え、セーフティーネットが薄い米国で職がなくなり、失業保険
も受けられなくなるとどうやって生きていくのかという状態である。無保険者が
5,000万人を超え、医療費はバカ高い。雇用はいわば生命線である。金融危機の後
の2008年から2年で875万人の失業者が発生したが、2010年3月以降の雇用は227万
しかない。スピードが極めて遅い。
来年2012年11月に大統領選挙がある。1936年以降の選挙で、2期目を賭けた大統
領選挙での現職の勝ち負けは10勝3敗。この3敗の時の失業率は、フォード7.6%、
5
カーター7.5%、ブッシュ父7.6%。オバマにとって今の9%の失業率は致命傷にな
る。なんとか雇用を創らないといけない、雇用をどう創るかが大統領選の最大の争
点になってくる。7%を超えて再選されたのはレーガンだけ。レーガンの場合は、
選挙前年の9月に9.2%であったが、減税や規制緩和などで1年で7.3%に下がって
再選された。
雇用が増えていない中で、製造業の雇用は若干増えてきている。しかし、製造業
の形はどんどん変化していて、これから先、製造業が雇用の創出源にはなかなかな
らないと思われる。
人材派遣など企業向け専門サービス、観光に関係する業種が好調である。医療・
福祉は好不況に関わらず堅調である。
OCCUPY
WALL
STREET 運動の大きな背景に、6ヶ月以上失業している長期失業
者の存在がある。米国全体で失業者1,400万人のうち長期失業者は約半分と非常に
多い。
若者の失業が多く、問題になっている。高卒位の年齢で大学に行かず就職しよう
とする者の4人に1人が職に就けない。大卒程度でも14%。大学に残るにしても学
費が高い。(私立で年間35,000ドルが平均、公立でも20,000ドル)自分でローンを組
んで学費を工面するのが基本で借金がかさんで行くことになる。若者にとって厳し
い状況にある。
(4)
企業の動向について
企業は大きな景気後退を経て徹底的なコストカットを行っている。企業収益、
キャッシュ(内部で蓄えていたカネ)は増えてきたが、設備投資の増加は弱い。投
資ができず、生産を増やしたり雇用を増やすことに踏み切れない状況にある。
企業のアンケートで一番の心配材料は何かというと、一番多い答えは、売り上
げが期待できない(weak
sales)、需要がないことである。
ア
日本の大震災について
震災直後にはアメリカ経済に影響は少な
いと見られていたが、相当大きな影響が出
た。
震災の影響を鉱工業生産指数で見ると、
第1四半期は前期比年率4.8%増の後、第
2四半期に0.5%増に鈍化し、第3四半期
5.1%増に回復した。
自動車の生産に影響が大きかった。自動
車と部品の生産が滞っていくと市場全体に影響が出ることが明らかになった。米
国内でも4月から6月に生産台数が急に減ったが、7月に震災前の水準に回復し
た。特に日系のメーカーの生産が相当減った。在庫が減り、買いたいモデルがな
いことで相当影響が出た。
6
イ
タイの洪水の影響について
TPP同様アメリカではほとんど報じられない。北米のホンダの工場で生産を
半分位に減らしたり、また、トヨタも減産している。アメリカにある日本の工場
にとってはサプライチェーン寸断の問題が出てくる。
(5)
経済政策の動向について
金融政策についてみると、FRB(連邦準備制度理事会)はなりふり構わず、で
きることはなんでも確信的にやっている状態である。
財政政策についてみると、財政赤字は2010年度対GDP比9.0%、2011年度
8.7%と高い。政府債務残高も対GDP比100%になってしまった。しかも、4割
は中国が保有している点が、95%を自国民に持たれている日本と違う。
財政赤字は何とかしなければいけない。しかし、景気は悪い、いつ景気後退に
入っていくかわからない中で、財政出動が必要ではないか。短期的には財政が景
気を刺激しながら、中期的には財政赤字を減らしていくことを市場に納得しても
らうような形で道を拓かねばならない。
8月の上旬に、アメリカが初めて格下げをされる事態となった。そのきっかけ
となったのが、政府債務上限の問題である。政府がどれだけ借金できるか上限を
その都度法律で決めているが、その是非を巡って大もめにもめた。引き上げない
となれば、アメリカはアメリカ国債を返せなくなるなど相当混乱を来たすことが
危惧された。直前になればオバマ大統領がなんとかするだろうとの観測があった
が、あまり乗り出してこなかった。そうしてい
るうちに期限が近づき金融市場に大きく影響を
与えた。
結局は、1.5兆ドルの財政赤字削減策をまと
めることを条件に、債務上限が引き上げられた。
削減策がうまくできず、格下げということにな
れば、金融市場が動揺し、マインドの冷え込み
につながり、家計の資産が目減りするというこ
とが短期的には心配される。
(6)
今後の見通し等について
9%の失業率を抱え、来年の大統領選挙に向けてどのように雇用を創出してい
こうとしているのか。
35兆円に及ぶ景気刺激策が議会に提案されたが、インフラ投資など個々のアイ
テムとしては良いものがあるにもかかわらず議論されずに廃案になった。大統領
選が終わるまで、ねじれの状態で何も通らない状態である。このまま弱い経済成
長が続き、いつまた後退に入っていくかわからない状態で何も政策ができない。
これが大統領選挙が終わるまで続くとなると非常に心配なことである。
7
オバマ大統領は、2010年から5年間で輸出を倍増することを宣言した。TPP
の議論を進めることもその一つ。オバマ大統領は、世界の消費者に「メイドイン
アメリカ」のものを買ってもらうことを強力に推進したい立場で、TPPの議論
が進むことは喜ばしいものと考えている。しかし、アメリカの一般の人々にとっ
ては新聞であまり見ることはない。
メリーランド州の経済開発局の職員と話したが、メリーランド州では、知事の
下で、エクスポートMDと言って輸出を増やす戦略にここ数年力を入れている。
広域ミッションとして色々な国と実際のビジネスにつながる企画を作っている。
今まであまり輸出に目を向けてこなかったアメリカが、国内だけではなく外でモ
ノを売るということを積極的にやり始めている。
今後のアメリカ経済について。来年にかけて弱い成長が続く見込みである。
色々なエコノミストの見方を見ると、来年は2%台前半の弱く遅い成長との見方
が多い。失業率も解消せず、来年は8.5 9%くらいとの見方が多い。
明るい材料は、日本と違って人口が増えていること。高齢化は進みつつも人口
は増えている。特に移民の人口が増えていることが大きい。
また、日本の福島原発の事故を契機に、今後エネルギーのあり方が変わってい
くかもしれない。アメリカには膨大な天然ガスが埋蔵されている。液化して輸出す
る設備があまりなく、大きな投資が必要であり、エネルギー安全保障上の問題もあ
って、すぐに輸出を進められないが、今後エネルギーのあり方を変えて行こうとい
う兆しがある。
○質疑応答
質疑
TPPの話があったが、どこの国も自らの輸出を増やしたくて参加する。み
んなの国がそうすればどうなるかという懸念がある。特に、日本では農業に対
する影響が懸念されている。アメリカの関税の状況について伺いたい。
応答
品目によって違っており、大括りでは説明しにくいが、アメリカでも例えば
砂糖など農業で弱い部分、保護したい部分を抱えている。
質疑
日本経済のためにという観点に立って、今後TPPの交渉の中で色々なオプ
ションが出てくると思う。日本の国益を守っていくためにはどういう感覚でや
っていったらいいと考えるか。
応答
アメリカで生活する中で、農業、乳製品、車などについて日本の閉鎖性とい
うことをよく耳にする。色々な品目について、日本で売れるような開発努力、
日本のマーケットに参入する努力をどれだけしているのか、冷静に見極めるこ
とが必要である。日本の規制によって参入できないと言われないための反証が
大事だと思う。一方、日本も強い農業にするなど変わっていかなければならな
いところもあると思う。
質疑
関税が安くなり、アメリカが日本で売れるような車を作る努力をしなかった
場合、日本国内の自動車価格が高い中で、アメリカに輸出した日本の車を買い
取ったほうが安いというような状況も出てくるのではと思う。
応答
各国それぞれの事情があり、関税ゼロというのを高い目標にしつつ、現実に
8
質疑
応答
質疑
応答
質疑
応答
どこで妥結していくのか、これから時間がない中で経産省、農水省が検証すべ
きと考える。
円高を日本は相当深刻に受け止めている。アメリカはアメリカのドル安をど
のように受け止めているのか。
米国では、強いドル政策はもう追求していない。ドル安はアメリカからの輸
出にとって快適なものになっているのでそのまま放置という状況にあると思う。
ドル安効果が出ているようには思いにくいが。
欧州の金融危機の中にあって、円への投機は強い流れになっていて、もはや
日本とアメリカだけの関係ではなく、世界中の金融市場の中で「弱いところつ
ぶし」で円が残っている状態。日本にとって厳しい状況になっている。
オバマ氏が大統領になったとき、もの凄い フィーバー が起きた。それは
アメリカ経済を引っ張って行ってくれることへの多くの人々の期待であった。
来年の大統領選挙が近づいて来るのに政策を実行できない。アメリカ国民の期
待感という意味では、肩透かしにあったように思うが。
チェンジを大きく掲げて当選したが、支持率が落ち、不支持率が高くなって
いる。豊かさを感じられるようになっているかというと、その逆になっていて、
それへの不満がある。2008年に大きな景気対策法を作り、景気を刺激しようと
したが、結局何に使われたのか、成果に結びついていない。債務上限の混乱を
巡ってもオバマが指導力を発揮したとは見られていない。
9
3
メリーランド州議会表敬訪問
【日時】
平成23年11月16日(水)10:30 【訪問目的】
本県とメリーランド州との友好提携30周年にあた
り、これまでの交流の歴史を相互に再認識するとと
もに、議会同士の交流の強化を始め、今後の行政や
県民・市民各界各層の友好の絆をさらに深める契機
とする。
<メリーランド州との友好提携の経緯>
昭和54(1979)年10月に開催された日米知事会議に長洲知事が出席し、米国各州知事
と親交を深めて以来、米国国務省、在日米国大使館等の仲介により友好提携への動き
が具体化した。
昭和55(1980)年6月に、メリーランド州ヒューズ知事が来日し友好提携を約束する
「趣意表明書」へ署名、同年9月には、メリーランド州港湾貿易推進調査団、10月に
は、メリーランド州経済視察団が来県した。
神奈川県は、昭和55(1980)年10月に、友好提携事前調査のため副知事を、11月には
経済交流促進準備調査団をメリーランド州に派遣した。
昭和56(1981)年4月、神奈川県代表団(知事、県議会議長等)をメリーランド州に
派遣し、友好提携を締結した。
<最近の主な交流>
○ 平成18(2006)年11月
友好提携25周年を記念して、松沢知事を団長とする訪問団がメリーランド州を
訪問し、両県州知事が「神奈川県とメリーランド州との教育分野での交流推進
に関する覚書」に署名。中村議長を団長とする議会友好代表団が同州を訪問。
○ 平成19(2007)年1月
メリーランド州経済開発局(DBED)観光・映像・芸術課担当課長及び州務長
官室国際担当が来県し県民部長を表敬。
○ 同年3月
神奈川県友好交流地域高校生派遣事業として県内高校生7名をメリーランド州
へ派遣。
○ 同年5月
メリーランド州ボルティモア郡高校教諭等3名が来県、横浜市立小学校及び県
立大和西高校を訪問。
○ 平成20(2008)年3月
神奈川県友好交流地域高校生派遣事業として県内高校生8名をメリーランド州
へ派遣。
10
○ 平成21(2009)年3月
神奈川県友好交流地域高校生派遣事業として県内高校生8名をメリーランド州
へ派遣。
(1)
州務長官表敬訪問
【対応】
John
McDonough
州務長官
Mendy
Nitsch氏(州務長官室
Director
of
International
Affairs)
Karl
Aro
立法局長(Department
of
Legislative
Service
Executive
Director)
【場所】
メリーランド州議会両院合同会議場
【訪問内容】
○
Mendy
Nitsch氏から本県との交流について説明
メリーランド州にとって、神奈川県との30年の交流は提携先としては2番目に
長いもので、大変誇りに思っている。
メリーランド州と各姉妹都市との友好提携は、主にボラ
ンティア組織がその運営に携わっている。神奈川姉妹州委
員会の委員長の岡島氏もボランティアで、委員会委員と共
に友好交流に関する企画・立案を行っていただいている。
メリーランドは、現在10の姉妹都市と友好関係を築いて
おり、知事同士あるいは議員同士など、様々な分野で交流
を行っている。スポーツのラクロスの交流も盛んである。
教育の分野では学校間の交流も行われている。
○
質疑応答
質疑
神奈川県をどう思うか。
応答
神奈川県とメリーランド州は地理的には港があること、首都に近いこ
と、教育、経済で進んでいることなど似ているところが多い。30年続い
たことは意義があると思うし、両者の選択は正しかったと思う。
質疑
これからの提携の中で何を望むか。
応答
世界中の経済が停滞
して いる中で 、両者 が
何ら かの形で 経済開 発
を進 めるため の協力 が
でき ればよい と考え て
いる が、それ とバラ ン
スを 取るため にも教育
や文 化の面で も同時 に
交流 を深めて いくこ と
が大事であると考える。
11
○
John
McDonough
州務長官挨拶
メリーランドへ、ようこそいらっしゃ
いました。私たちもサラエボから帰ってき
たばかりです。時差があって皆さんも大変
だったでしょう。同情します。
こうして皆さんを日本からお迎えできて
大変うれしく思っています。友好提携30周
年の記念すべきときにお越しいただきあり
がとうございます。
黒岩知事にも来ていただきました。メリ
ーランドで多くの雇用を創出している最先端技術の会社、テルモメディカルの
方々にお会いになりました。
知事からは、このたびの大震災について問題解決に努力しているとの話も伺い
ました。東京や神奈川は直接的には影響はなかったようですが、人には親戚や知
人などいろいろな人とつながりがあります。そういう意味では、日本人全員に何
らかの影響を与えた大きな災害であったと思います。メリーランドは普段あまり
地震がない地域ですが、最近地震がありました。また、ハリケーンも洪水も短い
期間に発生し、日本の皆さんの経験から学ばせていただくことはとても多いと思
います。そういう意味でもぜひとも交流を続けていきたいと思います。
皆さんはメリーランドの危機管理庁も訪れると伺っています。どんな政党に属
そうが、ひとたび緊急事態が起きたときには、市民のためにどう的確に対処する
かが一番重要と思います。そのためには事前の準備をしっかりしておくことが大
事で、起こってからでは遅いと思います。ぜひ有効な機会になることを期待して
います。
今日自分は知事の代わりとして来ていますが、州法に則って知事から指名を受
けた立場あり、国際関係も私の所管です。メリーランドはワシントンD.C.に近く、
国際的な貿易にも深く関わっています。また、人と人との交流にも深く関わって
います。そうした中で、神奈川県議会の代表の方々が訪ねてきていただいたこと
をとてもありがたく思っています。来年は私たちが神奈川に行きたいと思ってい
ます。
○
持田議長挨拶
今日こうしてお会いできたことを大変
うれしく思っております。快くお迎えい
ただいたことにお礼を申し上げます。
メリーランドと神奈川のこれまで30年
間の交流を踏まえ、これからもしっかり
と友好関係を続けてまいりたいと思いま
す。友好関係の持続に向けて、州の中で
重責を担われるMcDonoughさんにお会いで
12
き、大変心強く思います。これからも産業面、経済面はもちろんのこと教育分野
などさらに幅広く友好関係が深まるよう努力してまいりたいと思っております。
来年のMcDonoughさんのお越しを心よりお待ちしております。
○ Karl
Aro局長から州議会及び立法局(Department
of
Legislative
Service)の概
要について説明
・
立法局の組織について
1997年に現在の組織になった。それ以前は法律、
コンピューターなど役割ごとに3つに分かれていた
が、議会から一つにまとめたほうが無駄を省けるの
ではないかという指摘があり、機構改革を行った。
効率は上がったが、機構を変えた時に人員削減がで
きず、人件費を減らすには至らなかった。
①
Office
of
the
Executive
Director(局長室)
局長以下93名。財務、人事、文書の管理や編纂、印刷局もある。380人が
正社員として働いている。予算は4,300万ドル、その85%が人件費。
②
Office
of
Policy
Analysis(政策分析室)
職員は144名。法案、予算の分析を行っている。
全ての法案を分析する。時には委員会に職員を派遣することもある。議会
の図書館の管理も行っている。100名のアナリストは修士号以上を持ってお
り、動機付けの強い職員が頑張っている。
③
Office
of
Information
Systems(情報システム室)
職員は30人。プログラム開発、約1,200台のコンピューターの保守を担当。
必要なアプリリーションは自前で開発している。
④
Office
of
Legislative
Audits(監査室)
職員は115人。政治の中心アナポリスと離し、ボルティモアにある。メリ
ーランドの全省庁を3年ごとに監査する。予算が正しく執行されたか、無駄
遣いがないか監査する。市民は無駄遣いがあると思えばホットラインを使っ
てすぐに連絡できる。
・
議会と立法局について
Legislative
Serviceとして研究・調査、予算の分析など常に仕事がある。
約2,800の法案が提出され、その1/3が可決される。複雑なもの、新しいもの
もあるが、ちょっとした文言の整理など小さな改正に伴うものが多い。
自分たちのミッションは偏ることなく、客観的な情報を議員に流すことで
ある。
どんな法案であっても、一度は分析を行わなければならない。この法案が
通過したらどこにどのような影響・インパクトがあるか、予算はどのくらい
かかるか、中小企業や小さな自治体への影響はどうなのかといった分析を公
聴会の前までに完了しておかなければならない。
13
知事から予算案が提出されると、議会が会議を開いて予算を切る作業をす
る。逆に財源をしっかりさせて予算を付け足す場合もある。
どこを切るかも分析担当の仕事である。何
百万ドル切ったこともある。分析担当は、議
員に対して複数の選択肢を示し、それぞれの
メリット・デメリットをきちんと説明する。
自分たちにとって一番大切なのは、あくまで
中立であること、どちらかの政党に傾かない
こと。また、分析してもどこからか批判され
ることがある。関係ある市町村、民間団体か
ら意見を聴きながら分析している。また、憲
法をはじめ様々な法律に抵触しないかをチェックするのもわれわれの仕事であ
る。
1860年代にメリーランド憲法ができたが、ここはもともと農業地帯だった。
冬には農業の仕事がないので、その間だけ議会を開くのが農業国の伝統である。
議会の会期は1月の第二水曜日から4月の第二月曜日まで90日間となってい
る。83日経っても予算が決まらなかったら知事が必要な予算が決まるまで延長
することがある。デッドラインの90日が経っても予算や法案が通過していない
場合、予算が通るまでほかの事は何もしない。緊急なことや待つことができな
いことがあれば臨時議会を召集することがある。議員から召集するよう要求す
ることもできる。通常は知事が延長を発表する。
○
質疑応答
質疑
4月までの会期のあと公聴会のよ
うな機会はあるのか。
応答
10月に特別に公聴会が開かれたこ
とがある。
質疑
議長に召集権はあるのか。
応答
上院議長(president)と下院議長(speaker)の意見が一致した場合、知事
(governor)と3人で話し合いを持つ。最終的に知事が召集する。
質疑
寝る間も惜しんで職務に励んでいるとのことだが、何がそうさせるのか。
応答
個人的には、常に公共の仕事をしたいという思いが強い。民主主義の社
会において議会で働くことを光栄に思い、人々の生活に深く関わる仕事を
しているという誇りを持っている。政治には大変興味を持っている。自分
が選挙に出ることは好まない。皆さんを尊敬します。
質疑
政治も含めてメリーランド州の特徴について伺いたい。
応答
地理的には海あり山あり、都会と田舎など、アメリカを凝縮したのがメ
リーランドと言われることがある。多様性に富んでいる。
政治的な特徴としては、民主党が大多数を占めていて、共和党が一度も
多数を取ったことがない。メリーランド以外に3州のみである。20世紀の
14
初めに一度だけ下院で共和党が多数派を取ったことがあるだけである。
去年通過させた特徴的な法案がある。ドリーマーといわれる、ちゃんと
した書類を持たない移民の子供たちが公立学校に行った場合、他の州から
来た子供と同様高い授業料になるところ、法律を改正して州民と同額にし
た。
メリーランドでは州民は法律が気に入らなければリファレンダム(住民
投票)をするよう要求することができる。先ほどのドリーマー関連の法律
も議論があり、来年リファレンダムにかけられることになった。
質疑
議員に対する報酬はどうなっているのか。
応答
月給制で90日間の報酬は43,000ドルである。議長など役があれば加算さ
れる。
質疑
州は広い。90日間の会期中、住所地が遠い議員はどうしているのか。
応答
90日間アナポリスの近くに部屋を借りるなど滞在するための経費が認め
られている。自分で支払って払い戻しを受けるが、額は決まっている。車
を運転して来るなら距離に応じて支払われる。職員・助手を雇う予算もあ
る。
質疑
住民の議会に対する期待をどのように思うか。
応答
一人ひとりの市民がみな活発に活動しているわけではない。ある狭い項
目に興味がある場合、そこに対して活発に活動をすると感じる。
質疑
州議会の傍聴、夜間の議会開催について伺いたい。
応答
傍聴席を設けていて市民は傍聴することができる。議場ではセキュリテ
ィーがあって態度も制限している。市民はインターネットを通じて家でも
見ることができる。
15
(2)
上院議長表敬訪問
【対応】
Thomas
Miller
上院議長
【場所】
メリーランド州議会上院議場
【訪問内容】
○
Thomas
Miller上院議長挨拶
本日は皆さんに来ていただいて、大変光栄に思います。
今、皆さんは、メリーランド州の上院の議
場にいます。現在47名の上院議員がおり、約
13万人を代表して1人選ばれています。自分
は民主党ですが、現在の構成は、民主党33人、
共和党14人です。
この部屋に掲げられている肖像画の4人はメ
リーランドの上院議員だった人々です。独立
起草書に署名した人です。命を懸けてイギリ
スに宣戦布告したわけです。この議場には
色々な歴史が詰まっています。
連邦議会は、今ワシントンD.C.で開かれていますが、アメリカの独立戦争が終
わって最初に国会が開かれたのはここなのです。
アメリカは、皆さんの日本に比べれば大変若い国で歴史も浅い国です。日本か
ら学ぶことがたくさんあります。ですから皆さんに来ていただいて大変うれしく
思います。
○
持田議長挨拶
今日こうしてミラー上院議長にお目にかかることができましたことに、まず御
礼申し上げたいと思います。温かくお迎
えいただき感謝申し上げます。
私は、5年前、友好提携25周年のとき
に、団員としてミラー議長にお会いさせ
ていただきました。今回は友好代表団の
代表としてまいりました。今日お会いし、
懐かしく思い、また何よりうれしく思っ
ております。
○
懇談
持田議長
5年前に伺ったときには、浮世絵展のオープニングレセプション
がありました。その場でもお世話になりました。
Miller議長
あの頃自分の髪の色はあなたと同じでした。
持田議長
その時からすばらしい髪をお持ちでした。
16
Miller議長
日本の歴史について勉強しました。すばらしい歴史がありますね。
われわれは日本から学ぶことがたくさんあります。
先ほどの続きですが、ここにある絵に描かれた人々についてもう
少し話しましょう。金持ちしか教育を受けられなかった時代に、無
料で市民が教育を受けられるようにすべきとの思いから、誰でも公
共の教育を受けられるように尽力した人や、南北戦争のときは南軍
側に付いて戦った人で、後に知事になった人ですが、皆に投票する
権利を与えられるよう戦ってくれた人です。アメリカのゲイの人も
白人系の人もみんなが投票すべきだということでいち早く、公民権
運動に力を尽くした人です。
Miller議長
自分は25年間上院の議長を務めています。毎回選挙の度に選ばれ
ていますが、常に市民へのサービスということを念頭において、誠
意をもって対応するようにしています。私は党派が違っていても尊
敬できるところはするようにしています。民主党とも共和党ともう
まくやっています。
5年前のことで一つエピソードを思い出しました。訪問団の方か
ら私が何の業界に関係あるのか尋ねられました。私たちはタバコを
くわえてピストルを製造していると答えましたら、通訳の人が毒素
の多いものの代表者である
と言っていたことを覚えて
います。そのように見えま
すか?
持田議長
いずれにいたしましても、
われわれの神奈川とメリー
ランド、同じようなところ
がいろいろあるわけでござ
います。それぞれの国にお
いて大変重要なポジション
を占めているメリーランドと神奈川とが、30周年を期にこれからも
17
一層友好を深めさせていただきたいと思っております。そのために
もミラー議長さんの大きなお力添えを今後ともよろしくお願いした
いと思います。
(3)
下院院内総務表敬訪問
【対応】
Kumar
Barve
多数党院内総務
【場所】
メリーランド州議会下院議場
【訪問内容】
○
Kumar
Barve
院内総務挨拶
ようこそいらっしゃいました。
メリーランド州はアメリカが独立する
以前から地域として存在していました。
1635年にイギリスのカルヴァート家によ
り植民地化され、その後、州として誕生
しました。
この建物は議事堂の中でも最も古い建
物で、かつてアメリカの独立宣言後まも
なく首都として使われていました。
ここではアメリカの歴史上様々なことが行われてきました。皆さんは大変意義
のある場所にいらっしゃいます。
18
○
持田議長挨拶
今日こうして温かくわれわれをお迎えいただきありがとうございます。
神奈川はアメリカと大変親交が深いところです。ペリー総督が来たのも浦賀でし
た。和親条約を結んだのも横浜、それも私ども
の県庁の近くでありました。
30年に亘りこうして交流を続けてこられたの
は、メリーランド州と神奈川県が非常に似通っ
ていることがあると思います。地理的にも、ま
た、高度な先端産業の集積といった点でも大変
似ている地域であればこそ、今後ともしっかり
と交流を続けていかなければなりません。今後
ともぜひとも大きなお力添えをお願いします。
○
懇談
Barve議員
私はまだ日本に行ったことがありません。ぜひ日本に行きたいと
思います。来年に行く予定がありますので決まりましたらお知らせ
します。日本に近いところではインドまでしか行ったことがありま
せん。今年は祖父がインドから移住して100年になります。
日本の災害はどうだったのですか。
持田議長
アメリカの皆さん始め、世界各国の皆さんにお世話になりました。
特に、アメリカの皆さんには海上の軍艦からヘリで内陸に物資を運
んでいただいたり、あるいは救助活動などに大変大きなお力添えを
いただきました。
Barve議員
お金を出したりモノを出したり
国民皆が貢献しました。
持田議長
心から感謝します。
Barve議員
皆さんもこちらで何かあれば何
かしてくれると思います。お互い
様です。
持田議長
災害を契機にすばらしい友好が
より深まったと思います。
Barve議員
メリーランドにバイオテックやハイテクなど最先端技術が集積し
ているところがあります。神奈川
県の知事さんもここを訪ねて来ら
れて、こうした分野でこれからも
協力して行こうということをおっ
しゃっていました。
われわれはパートタイムの議員
だが、皆さんはどうなのですか。
19
持田議長
メリーランドの議会の会期は90日と伺いましたが、神奈川県議会
の会期は年間200日です。ですから少なくともパートタイムではあり
ません。
Barve議員
私は会計関係の専門家です。皆さんはどういう職業の出身なので
すか。
団員
プロサッカー選手、デザイナー、サラリーマンなどです。
Barve議員
アメリカの議員は、かつてほとんど弁護士という時期もありまし
た。
団員
国会議員には弁護士が多いです。女性議員は何人いますか。
Barve議員
およそ3分の1くらいです。上院は4分の1くらいです。
われわれの議会には24の地域から選ばれた議員がいます。皆さん
議会はいかがですか。
持田議長
選挙区は49あります。ちなみに神奈川県の人口は900万人、議員
数は107名です。
Barve議員
政党はいくつありますか。
持田議長
6パーティーです。第1党の自民党が44人、民主党が30人、みん
なの党が16人、公明党が10人です。
20
(4)
持田議長主催昼食会
John
McDonough
州務長官、Karl
Aro局長、神奈川姉妹州委員会
岡島
喜久子委員
長らを招いて意見交換を交え懇談を行った。
4
ボルティモア市内視察
【日時】
平成23年11月16日(木)16:00 【視察目的】
ボルティモア市は、州最大の都市であり、川崎市との姉妹提携により学生交流も活発
に行われている。
1960年代から主要産業の不況により、人口が流出、治安の悪化が進んだことから、市
は再開発を実施し、インナーハーバーの一新を図り、工業、貿易と共に多数のレジャー
施設を建設した。特にインナーハーバー地区は、ウォーターフロント開発の先駆といわ
れ、活況を呈しており、同地区を訪れ、本県施策の参考とする。
21
5
メリーランド州警察視察
【日時】
平成23年11月17日(木)8:45 【視察目的】
メリーランド州の治安対策、犯罪抑止の取組みについて調査し、今後の本県の取組み
の方向の参考とする。
(1)
メリーランド州警察
法医科学研究所(Forensic
Science
Laboratory)視察
【対応】
Mark
Carter
次長ほか
【場所】
法医科学研究所会議室他
【視察内容】
○
持田議長あいさつ
今日こうしてメリーランド州警察にお世話にな
りありがとうございます。皆さん方が快くお迎え
いただきありがとうございます。
メリーランド州と神奈川県とは1981年に友好提
携ができました。それからちょうど30年のこうい
う機会にお話できることをうれしく思います。メ
リーランド州警察の治安対策、犯罪防止について
教えていただきたいと思います。
限られた時間ですが、勉強させていただいて、
神奈川の安全と安心の対策のために持ち帰りたい
と思いますのでよろしくお願いします。
○
Carter次長、研究所スタッフから説明を受けた後、施設内を視察
・
施設について
犯罪捜査のありとあらゆることに対応し、州全体の警察官の捜査に必要な
調査・支援を行っている。
2006年に現在の位置に移転した。面積は68,000平方フィート、建設費は
3,000万ドル。研究棟が3棟、他に2つの分局がある。
セキュリティー上、アクセスカードを持った職員しか入れない。
22
・
職員について
職員数は100人。ほとんどが民間人。今までは警察官の研究者だったが、最
近民間人を雇用することになった。
新規雇用の職員は少なくとも4年生大学を出ており、その上の大学院で修
士号を取得した者が多い。
欠員が出ると何百人もの申し込みがある。TVで警察を扱った「CSI」
という番組のいい影響で、市民の間でこの仕事への理解が深まった。大学で
も犯罪調査のための科目を教えるようになった。
・
証拠収集について
警察官は現場に行き、まず、証拠となる物件はあるのか調べ、写真を撮っ
たりメモをとり、ルールに則って証拠を集める。この際、犯罪現場に行って
証拠を集める専門家(19名在籍)を派遣する。
集められた証拠は、ここに持ち込まれ、調査分析が行われる。
・
調査分析について
対象は、指紋、銃痕、血痕、靴跡、タイヤ痕などの
痕跡、ピストルの弾、DNA、麻薬、薬物、追跡にか
かる様々なものに及ぶ。
運転士が事故を起こした場合にアルコールや薬に起
因するものかどうか調べたり、散らばってしまった証
拠の調査、例えば、火事のあとの灰の分析であったり、
髪や繊維、塗料やガラスの破片などごく微量のものか
らも調べる。
被害者のためであればありとあらゆる分野から調べ
ていく。
23
・ DNA分析について
バイオロジーの部署では、DNAのレベルの分析をする。現在インターン
が2人いる。一人前になるのに2年かかる。
州全体で前歴者のDNAを集め、州レベル、FBI(連邦警察)レベルでも
データベース化しており、指紋とともに前歴者のデータ照合を行っている。
メリーランドでは10万人のDNAのデータを集めており、これまで25万回
データベースと一致した実績がある。
犯罪には国境がない。ここのほかに州内の市町村にも施設があり、市町村
で集められたものは最終的に州のDNAデータベースと照合される。また、
FBIにも提供されており、50州で照合できることになっている。例えカリ
フォルニアにいてもメリーランドのデータと照合できる。
2年前に新しい法律ができ、
凶悪な犯罪者は逮捕されただけ
でDNAのデータベースに入れ
るようになった。逮捕されただ
けでは犯罪者と確定しているわ
けではないが、殺人など凶悪な
ものはデータベースに入れてい
る。後に裁判で無罪になればデ
ータベースから削除することに
なる。
外注していたサンプル分析を、今年の夏からここで分析するようになり、
安く、早くできるようになった。
州の住民570万人に対して、ここに似た研究所が州内に5箇所あるが、施設
を持っていないカウンティーはここを使う。23のカウンティーがあり、裁判
所のスケジュールが混んでおり、できるだけ短時間に証拠集めして書類を出
さなければならない苦労がある。
・
銃犯罪に係る分析について
アメリカでは銃を自由に買えるが、シリアルナンバーを登録している。
銃を使った事件があれば、弾痕とシリアルナンバーを比較して分析する。
銃を悪用しようとする者はこの番号を消したりするが、化学物質を使うと番
号を浮きあがらせることができる。指紋
と同じようにデータベースを蓄積してお
り、国にもデータベースがあり、銃や弾
が見つかればテストしてみてデータベー
スと比較してみる。マイクロスコープで
スキャニングしてデータベースに蓄積し
ている。
24
○
質疑応答
質疑
再犯の傾向はどうか。
応答
一部の犯罪者グループに犯罪を繰り返す
傾向がある。
質疑
DNA鑑定で過去の判決が覆されること
はあるか。
応答
髪の毛のDNA分析で別人の鑑定結果が
出たことはある。かつては髪の毛を使っ
てDNA鑑定することが多かったが、今
は新しい方法ができ、髪の毛であっても分析の仕方が変わり、以前の鑑定
と違う結果が出ていることは何度かある。
質疑
日本では銃は禁止だが、犯罪の何パーセントくらいに銃が使われるのか。
応答
アメリカでは大変深刻な問題である。公式の数字はわからないが、1/4
から半分くらいが銃が関係している犯罪だと思う。
質疑
大変詳細なDNA分析をしているが、その出所は。
応答
裁判所で証拠書類として弁護士その他相手を確信させるために客観的に
分析して提出しなければならない。
質疑
麻薬の分析も大変詳細に行っているが、麻薬そのものが巧妙になってき
ているということか。
応答
単純なものから複雑なものまである。よく取り扱うのは、マリファナ、
コカイン、ヘロイン、処方箋の薬を混ぜて悪用するものなどである。
人工的に作れるものはどんどん変っているので、こちらもそれに合わせ
て分析していかなければならない。
質疑
死んだ人の血液も採取するのか。
応答
死んだ人からは採取しない。医療施設の一部で毒性のテストをする。こ
こは生きている人の血液を検査する。
質疑
DNA分析ミスは絶対に起きないものか。
応答
徹底した品質管理を行っている。品質保証制度もあり、認証を受けなけ
ればならないようになっている。ここの実験
室に入る人全員がDNAの専門家で、自分た
ちが汚染してしまわなかったか、間違って異
物を入れてしまわなかったかの確認をする。
そして、報告書を書き上げる前に、職員同士
で相互チェックしておかしなところがないか
どうか確認する。
質疑
隣のバージニア州との連携はどうなっているのか。
応答
隣の州同士、他の州とのデータベース交換など大いに協力し合っている。
地域が近いとデータベース上でヒットする確率は高くなる。
25
質疑
サイバー攻撃への対応はどうか。
応答
大変複雑なセキュリティーの方法を採っている。今までアタックを受け
たことはない。
(2)
メリーランド州警察航空隊視察
【対応】
州警察航空隊パイロット、整備スタッフほか
【場所】
州警察航空隊航空機格納庫(Martin
Star
Airport内)
【視察内容】
○
航空隊パイロットから説明
・
州内に7つの拠点がある。ヘリコプター11機、双発機
2機を保有している。双発機は患者や物資の搬送のほか
建物や道路の調査、逃走犯の護送などにも使っており、
経済性・効率性を考えて使用している。
・
ヘリコプターにはパイロットとパラメディク(救急救
命士)の2人が搭乗し、救急要請があれば、直ちに現場
に急行し応急措置を施した後、患者を医療機関へ搬送す
る。
・
ヘリコプターは、12分から18分以内にメリーランド州
26
内どこへでも到着できるようになっている。
・
乗員は毎日交替で12時間勤務体制となっており、だれかが必ず待機している。
・
自分は34年間この仕事をしているが、希望者は多い。
○
質疑応答
質疑
統制局はどこにあるのか。
応答
運行指令センターがダウンタウンの救急
医療センターの近くにある。
質疑
犯罪捜査あり救急もありということか。
応答
それが同時の場合もある。犯人を追跡し
ているときに誰かにぶつかってケガをさせ
てそのまま逃げたというような場合もある。
質疑
日本で通報する場合の電話番号は救急が
119番、警察が110番。ヘリコプターの要請はどのようにするのか。
応答
911番の緊急電話を受けると事故や災害の状況、患者の容態を聞きヘリ
コプター使用の判断をする。その発生場所を指令センターのスクリーン
で統制していてどの機が一番近いか管理している。
質疑
日本では警察が救急をやることはない。
応答
われわれは多様なことをやる。山の遭難事故、川
で起きたボートの事故、迷い子、アルツハイマーの
人の捜索の手伝い、高層ビルの上層階の火事などオ
ールマイティーにやる。
質疑
コーストガード(沿岸警備隊)との連携はどうか。
応答
夏には6万隻以上のボート、ヨットが湾に出てき
て、だいたい事故が起きる。コーストガードからの出動
要請でこのヘリコプターが出動する。
質疑
神奈川県では、ヘリコプターは警察、県、
病院と別々に保有している。ドクターヘリ
というものもある。
応答
ここでは費用効率が良いということで
別々にはしていない。
質疑
ヘリコプターの運行について日本では2
つ問題がある。1つは夜間に飛べないこと。
もう一つは着陸する場所を見つけることが難しいこと。
応答
ここは7日間24時間輪番で対応している。われわれはどこでも、必要な
ら裏庭にでも降りる。
質疑
メディカルトレーニングはしているか。
応答
アメリカのどこでもパラメデックの活動ができるよう登録している。
27
質疑
医療行為はどこまでできるか。
応答
気道確保のために穴を開けてチューブを
入れるといったことはやる。
質疑
1年間に何回ぐらい出動するのか
応答
メリーランド州全体で年に約6,000回出動
する。ここでは医療関係で400回位、犯罪・
捜査関係で4 500回位の出動がある。民間
に頼めば1分間当たり1,000ドルかかり、後
から請求されるが、ここでは全て税金で対
応し、患者に請求することはない。
質疑
勤務体制はどうなっているのか。
応答
自分の場合4日続けて12時間勤務し、その
後休みとなる。デイケアなど人によって家
庭の事情があれば、希望に合わせてスケジ
ュールを組んでいる。柔軟に対応している。
質疑
年間の飛行時間はどれくらいか。
応答
自分の場合約4,000時間。そのほか自分はデスクワークもある。
フライトデモンストレーション
28
6
メリーランド州危機管理庁(Maryland
Emergency
Mana gement
Agency)視察
【日時】
平成23年11月17日(木)14:45 【視察目的】
メリーランド州におけるハリケー
ン等の自然災害に対する対策につい
て調査し、今後の本県の取組みの方
向の参考とする。
【対応】
Richard
Muth
局長(Executive
Director)
ED
Mcdonough
氏(Public
Information
Officer)
Mark
Demski
氏(Assistant
Operations
Director)
【場所】
オペレーションセンター他
【視察内容】
○
Richard
Muth
局長あいさつ
MEMAへようこそいらっしゃいました。
今日は、われわれの仕事の責任範囲や権限、国や市
町村との関係、訓練といった話や、避難所や住民への
避難命令、メリーランドにある原子力発電所とのつな
がりなどについて説明をします。
皆さんにとって有益なものになることを期待してい
ます。
○
ED
Mcdonough
氏から説明
・
MEMAの概要について
職員は61名。局長の下に2人のディレクターがいる。600エーカーの土地は軍
隊の保留地である。
MEMAには、オペレーションセンター、合同センター、その他事務室がある。
オペレーションセンターでは、常に緊急事態への対応の必要がある警察官や消防
士の訓練、犯罪防止審議会や警察関係の審議会の委員との情報交換の場ともなっ
ている。国際的な犯罪その他の問題が起きた場合、
FBIがここで説明会を開くこともある。
主な業務は、企画・立案、訓練、助成金の管理、
事前対策から復旧対策、情報技術に関すること、
地域との連絡体制に関することである。
29
・
MEMAの歴史について
1949年にメリーランド市民のDefense
Agency(防衛機関)として知事の下で作ら
れた。もともとはソビエトからの核攻撃を受けた場合にどのように対処するかと
いうことから組織が作られた。1989年に現在の「危機管理庁」となった。1989年
代にアメリカの多くの州で、「Civil
Defense
Agency」から「Emergency
Management
Agency」という名称になった。
・
MEMAの役割について
メリーランド州の住民を全ての災害から守
るのが第一の任務である。メリーランドで何
か緊急事態が起こればここが中心になって対
応にあたる。災害に対する事前対策、災害発
生時の迅速な応急対応など諸々の仕事を全て
統括している。
MEMAは、州の軍事部門の一部になって
いる。市町村のレベルで十分対応できない大
きな災害・事故の場合、市町村と連邦政府が連携して解決するのが一般的であり、
MEMAは市町村のまとめ役をやったり、アシスタントをしたりコミュニケーシ
ョンがうまくいかなければその支援を行う。また、州政府と協力して市町村に多
くの人材を送り込んで対応にあたる。
ほとんど毎日のように市町村から消防車が足りないのでまわしてほしい、何の
機械が足りないのでまわしてほしいといった要請がある。われわれは機械そのも
のを所有しているわけではなく、市町村の間に入って橋渡しの役割を担う。これ
については一種の契約のような合意書が交わされていてお互いに融通し合ってい
る。
・
合同センター(Joint
Operations
Center)について
24時間休みなしに稼動しており、何かある
と外部からまずこの合同センターに情報が入
る。コミュニケーションのツールは全て揃っ
ている。昼夜問わず必要があれば、知事、州
政府、連邦政府に情報を流す。
モニターには気象情報、テロなどの国土安
全関係情報、原子力発電所に問題がないかど
うか、警察関係の緊急事態や火災が起こって
いないかどうかの情報が映し出されている。交通網に関する情報も各地からカメ
ラやテレビ、コンピューターを通して入り、FBIやFEMAとも共有している。
ときには子供の誘拐や行方不明に関する情報を扱うこともある。
WebEOCというウェブを使って全ての緊急事態の情報を集めることができる技術
や、洪水や事件があったときどこに誰をどのように避難させるか判断するための
30
情報を集めるHurrevacという最先端技術を活用している。
・
知事の権限について
知事には州が緊急事態にあることを宣言
する権利がある。それは事態の大きさによ
って決まる。
宣言により、限られた資源を必要なとこ
ろに集中的に持っていくことができるよう
になる。
また、National
Guardへの出動要請も知
事の権限である。知事の命令で一時的に法律の適用を排除することもできる。例
えばトラック運転手は1日のうち何時間まで路上で運転を続けていいかという連
邦政府の法律にあるが、緊急事態が起こって3日間だけは例外的にその法律を無
視して12時間以上運転してもよいことにすることもあり得る。電力会社が電力供
給設備の修理のため、あるいはガソリン会社がその運搬のためであれば、必要が
あれば何時間でも運転することができるようにすることもあり得る。一時的に車
両の重量制限を解除することもある。
入札の手続きを経ずに、例えば、自家発電機など必要なものをその場で買うこ
とができるようになることもある。
・
計画について
われわれは危機管理の最も基本となり、核となる計画を持っている。計画は定
期的に改訂されている。
まず、危機的状況が発生したらどうするか
という計画があり、さらに具体的にハリケー
ンの場合はどうするか、原子力発電所に何か
あったらどうするか、それごとに対策を練っ
ている。また、復旧対策のための計画もある。
最近の企画に「イニシアティブ」ものがある。
これはチェーンストアとパートナーシップを
組むことで、緊急事態が生じた場合に民間企
業にも参画してもらうようあらかじめ約束事を決めておくものである。
・
訓練について
州レベル、市町村レベルでの訓練のために教材を作るが、その際、連邦政府の
Incident
Manage
Systemという法律に準拠しているかどうか常に確認をしている。
これはアメリカ中の緊急事態に対応する人が基本的に同じ対応をとれるようにす
るためである。訓練をする場合には、市町村、州政府や連邦政府、National
Guardや軍とも連携している。そのほか民間企業や赤十字のような非営利団体、
さらには宗教団体とも協力して行っている。
31
年に4回知事を中心としてメリーランド州の主要な役職に就いている人が集ま
って緊急対策について話し合いがされるが、この話し合いを踏まえて、3年前の
夏にはフットボール競技場にたくさんの観客がいるという想定で、どのように早
く安全に避難させるかという訓練をしたことがある。
・
連邦政府の財政措置について
連邦政府からは訓練や災害復旧のために予
算が配分される。
また、例えば、建物が洪水に遭いやすい低
地帯にある場合、連邦政府はそういった土地
を買い取ってくれる場合がある。その所有者
は売った金でよその洪水にならないところに
買い換え、買い取った土地は公園にするなど
してお金がかからないようにしている。
・
広報、啓発について
新聞、ウェブサイトを使いここでの活動の広報に努めている。Facebookのよう
なソーシャルメディアもどんどん活用している。災害に対する備えや災害が起き
てしまったらどうすればいいかという情報を常に発信している。必要があれば連
邦政府、州政府の情報担当と協力して必要な情報提供を行っている。また、市民
からの電話にも対応している。
・
避難対策について
避難させることが安全であるかどうかを判断することが大変重要である。危機
的状況が収まるまで、例えば建物の地下室に隠れてもらっていた方がいい場合も
あるし、避難を命じなければならない場合もある。
2ヶ月前にハリケーンに襲われたが、このと
きオーシャンシティーには大勢の観光客が避暑
に来ていたので、この人たちは自分の家なりに
帰ってもらえばそれで済んだが、夏の間は東ヨ
ーロッパから5,000人くらいの学生がアルバイト
でオーシャンシティーのレストラン等で働いて
いる。この人たちはすぐに家に帰すわけには行
かず、州や市町村と協議して各地に避難所を提
供してもらい、安全な状況になってからオーシャンシティーに戻ってもらった。
通常メリーランドの避難所は市町村が赤十字や社会福祉団体と協力しながら管
理している。ほとんどの場合小中高校や大学の校舎、高齢者施設を使う。避難所
の開設は数時間だけの場合もあるし、数日間に及ぶ場合もある。
32
・
原子力発電所の事故対策について
州内には2つの原子力発電所がある。もちろん原子力発電所内で緊急事態が発
生したときに備えて、電力会社と協力して訓練などを行っている。市町村の緊急
対策本部、連邦政府とも協力している。
まず放射線をモニタリングすることが大事であり、その情報を市民にどう知ら
せるかということも重要なことである。また、政府には多くの省庁があるのでそ
れぞれをどううまくコーディネートして、どのように情報を市民に知らせるか、
避難ルートをどうするか、こうした全てのことが重要になる。
原子力発電所事故対応のため、一年おきに訓練を行っているが、数年に一回は
大規模な訓練を行っている。
万が一事故が起こった場合の長期的な復旧の方法、例えば農業への被害をどう
回復させるかといった計画もいろいろ練っている。
○
質疑応答
質疑
組織の壁ということについて伺いたい。軍が
あり、警察があり、消防があり、あるいは一般
の行政組織がある。何かに対応する場合にそれ
ぞれの組織が一つの方向に向かっていくわけだ
が、基本的に組織が違うから、違う組織のボス
からの命令に抵抗があったりはしないか。
応答
メリーランド州の場合、何か緊急事態が起こ
ればここの局長が知事の次に命令を下す権限を
あたえられる。ただ命令を下すだけでなく、コ
ーディネートをするということでもある。具体にどのように行動するか
は軍なり、警察なり、消防なりが決めるが、こういうアシストが必要だ
といえばそれに合ったものを出してくる。
市町村には対しては直接緊急対策をこうしなさい、ああしなさいとは
言わない。市町村の緊急対策本部から要請があったときに初めてアシス
トするのがわれわれの仕事。連邦政府との関係も同じであり、連邦政府
が命令的にああしろこうしろとは言わない。こちらがこういう緊急事態
が起きたのでこういうアシストがほしいと頼んだときにその分だけアシ
ストをしてくれるのであり、こちらが頼まない限り連邦政府は来ない。
質疑
その法的根拠は州法か。
応答
そのとおり。
質疑
他の州にも同様の機関はあるか。
応答
それぞれ法律が違うのでメリーラン
ドと同じとは限らない。日本では、このよ
うな緊急対策センターのようなところはあ
るか。
33
質疑
日本ではそういうものがないので、警察や消防や自衛隊の独立性が強
い。日本、神奈川県もこうした施設・設備を持っているが、災害が起こ
ったときに一時的に開かれるだけであって、このように日常は開かれて
いない。
洪水などの被害がありそうなところにはついては、事前に国家が買い
取るという話があったが。
応答
起こってから対応するのではなく事前に対処する、危険を減らすとい
うことである。
質疑
それは大変難しいことだと思う。
応答
長期的には金の節約になる。
質疑
そこに住みたくて住んでいる人もいる。そのジャッジメントはどのよ
うにするのか。
応答
高額でなければ建物を高床式に変えるという選択肢もある。少なくと
も人が住むところは高くする必要がある。その経費は、全部を政府が出
すのではなくて75%を政府が出して、残りの1/4くらいは本人が負担する
ということになる。
34
(参
考)
メリーランド州の概要
1
位置
首都ワシントンD.Cに隣接し、ペンシルバニア州とヴァージニア州には
さまれるかたちで、大西洋に面する。
緯度としては、日本の東北地方南部に位置する。
2
歴史・沿革
1634年、英国人カルヴァートにより初めて植民化され、次いでカトリッ
ク教徒ボルチモア公により治められた。
独立戦争後、1788年に7番目の州として合衆国に加入。
チェサピーク湾は、魚種に富み、古くから漁業が発達し、又、良港ボル
チモアは、沿岸貿易の中心として発展し、今世紀に入って外国貿易港とし
て重要な地位を占めている。
産業構造をはじめ、地理、気候、人々のくらしぶりが多様性に富むこと
から、「アメリカの縮図」といわれる。
3
州都
アナポリス(人口
約34,000人)
4
人口
約563万人(2008年現在)
5
面積
25,477k㎡(全米第42位、神奈川県の約11倍)
東西
317.8Km、南北
200.8Km
6
気温
11月の最高気温は14度、最低気温は4度
7
産業
(1)経済活動
ワシントンD.C.とボルチモア間を結ぶ経済活動は、ニューヨーク、ロ
サンゼルス、シカゴ地区に次いで全米4番目の規模。
ボルチモア港は米
国最良港のひとつ。
(2)工業
電気製品、製鉄、食品、化学
35
(3)農業
とうもろこし、たばこ、大豆、ブロイラー
(4)漁業
ニシン・スズキ等の魚類、カキ、カニ、貝類
8
政治
知事(任期4年、二期を限度)
現知事
マーチン・オマリー
(民主党)
議会(連邦議会・州議会ともに二院制)
連邦議会
上院2人
下院8人
州議会
上院47人
下院141人
9
在留邦人数
5,096人(2007年)
10 日本との関係
(1)文化・学術交流
ジョンズ・ホプキンス大学、メリーランド大学等で日本研究が行われて
いる。
ジョンズ・ホプキンス大学医学部及び付属病院、国立衛生研究所等に日
本の医学関係者が多くいる。
(2)姉妹都市交流
メリーランド州と神奈川県のほか、ボルチモア市と川崎市が姉妹都市関
係にあり、学生交流等を活発に行っている。
11
神奈川県の友好提携
1981年(昭和56年)4月23日
(州旗)
36
(州章)
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