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主体 に とって必 要 なお金 、エ ネ ル ギー 、運 な どを全 て使 って しま い 、取 り返 しの つ か な い 状 書
■■る、見 限 り果 ■
「 援み果て る 、
「
│
にな るこ とを表 す
(1)こ の三 四年 間 にす っか り蓄 え を使 い 果 して 、今 で は 一 文 もな い の で した 。 (谷 崎 潤 一 郎「
虐 まれ 果 て た
「
人 の 愛 J)
この う ち 上 位 1
、「尽 き る _
②「 討 ち呆 たす J(任 務 の 達成 )
敵 を討 伐 す る とい う任 務 の 達成 を表 す
=二
す調 が 来 て い る こ
(2)長 崎 に於 いて 相 役横 田清 兵衛 を討 ち果 た し候 時 、(森 鴎外『興津 弥 五 右衛 門 の 遺 書 』
)
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3.「 Vl― 果 て る Jの
■ け果 て る 、リ
1、
Vlに
つ いて
能 力 な どが し
嘔限状 態 に達 ヒ
ニを表 して い る
「 Vl― 果 て る Jに つ い て 、城 田 (1998:146)で は「 ハ テ ル は う ご き の 程 度 の 強 調 と共 に 主 に 悪 い =
卜に 関 して 結 果 の 達 成 の 意 を 示 す 。 呆 レハ テ ル 、消 エ ハ テ ル 、絶 エ ハ テ ル 、 キ キ ハ テ ル (泉 姜
花 )Jと 述 べ られ て い る cし か し 、
「 悪 い コ トJの 中身 が 不 明確 で 、具 体 的 に どの よ うな Vlを 取 り,
3)か れ は 長
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で 空 を見 上
1)右
近 はなふ
F新 源 氏 物
「慌 て る J、 「 怯 え る J、 「 後 悔 す る J、 「 漏 れ る J、 「 散 ら か る _、
す い か 検 討 の 余 地 が あ る 。例 え ば 、
′
の
「 ぼ せ る 」、
「 劣 る J、 「減 る 」は い ず れ も「悪 い コ トJを 表 す が 、
「 慌 て 果 て る 」、
「・怯 え 果 て る 二、
`
`
‐
・
・
「 漏 れ 呆 て る 」、
「 散 らか り果 て る J、 「 の ば せ 果 て る 」、
「 後 悔 し果 て る 」、
「 '劣 り果 て る 」、
「 i=
5)踏 み わ け た
り果 て る Jは 不 自然 な 日本 語 に 思 わ れ る 。 ま た 、城 田 (1998)は 泉 鏡 花 の『 高 野 聖 』か ら「 聞 き 果 て
う)こ の よ うな
i
辺 聖 子『 新
:
る Jの 例 を挙 げ て い る が 、 これ だ け わ ざわ ざ 出 典 を示 して い る こ とか ら も わ か る よ うに 、
「 聞 き異
この仕 事 に
て る Jは あ ま り 自然 な 日本 語 で は な い よ うに思 わ れ る。そ こで 、本 稿 で は CD― ROM版「新 潮 文 庫 √
ア)彼 の 瞼 は 漂
100冊 Jを コー パ ス と して 検 索 し 、全 507例 、異 な り語 数 で 92語 の「 Vl― 果 て る」を抽 出 した 。(表 2)
表 2 新 潮 100「 Vl― 果 て る J(全 507例 、異 な り語 数92語
)
出現 数
1出 1現 1数
疲れ果 て る
1
2
変 わ り果 て る
3
荒れ果 て る
4
成 り果 て る
17
34
19
忘れ果 て る
6
果れ 果 て る
7
尽 き果 て る
21
117
13
8
弱 り果 て る
13
困 り果 て る
81
散 り果 て る
3
澱み果 て る
7
壊れ果 て る
倦み果てる
7
乾 き果 て る
2
暮れ果 て る
6
埋れ果 て る
2
古 び果 て る
2
困 じ果 て る
読 み果 て る
‐
9
凍 り果 て る
涸れ果 て る
31
吹 かれ て
_
9)小 柄 の 、今
きはてて し
10)物そは 糸日い
塔 にす ぎ
11)そ
8
朽 ち果 て る
9
枯れ果 て る
15
やつれ 果て る
渡 り果 て る
2
10
絶 え果 て る
13
寂れ 果 て る
厭 い果 て る
2
消 え果 て る
3)最 初 は 家 ブ、
出現 数
F7tれ 果 て る
痩せ果て る
の 日は ク ラ
2
冷 め果 て る
4
な し果 て る
2
ん な大
だ よ 。 (三
12)そ
こには
た 。 (有 慶
13)会 社 の 辞
疑 うべ き
「
これ に 対 し 、
=だ
んだん∼ し
てわ 1/Lに く い と 言
捨 て果 て る
9
見下 げ 果 て る
4
零落れ 果 て る
2
‐ も の の 、事 態 σ
見果 て る
9
汚れ果て る
4
萎れ る
2
「 る。
飽 き果 て る
9
倦 き果 て る
4
下 記 48語 ※
l
衰 え果 て る
9
錆び果 て る
4
こ の よ うに 、
「
=非 対 格 自動 詞 テ
※沈 め果 て る 、作 り果 て る 、洗 い 果 て る 、積 み 果 て る 、精 げ果 て る 、植 え果 て る 、言 い 果 て る 、聞 き果 て
を取 る 例 も 見 ら
、■ {ザ 果 て る 、疎 み 果 て る 、疎 ん じ果 て る 、成 し果 て る 、お 祓 い を し果 て る 、舞 い 果 て る 、反 き果 て る 、
こと が 述 べ られ
長 て る 、厭 き果 て る 、くた びれ 果 て る 、病 み 果 て る 、痺 れ 果 て る 、老 け果 て る 、老 い ばれ 果 て る 、生 き
」が 可 能 で あ る
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(14)世 の 幸 福 も捨 て は て た 貧 しい も の に の み 心 の 富 を 持 来 そ う と して 訪 れ て 来 る よ うな 春 で
あ った 。 (島 崎 藤 村『 新 生 』)
二Vlに「 見 る
_
「 最後 まで見 ら
「 見 る 」も他 動 詞 で あ る が「 見 果 て ぬ (見 果 て ず )」 の 形 で「 Vl
ま た 、例 (15)、 (16)に 示 す よ うに 、
「 見 果 て る Jは「 最 後 ま で 見 る 」の 意 味 で 使 わ れ て
― 果 て る Jの Vlに 来 る こ とが で き る 。 こ の 場 合 、
さ後 は 同 じ完
お り、格 別 主 体 に と って 悪 い 状 態 に な る とい う意 味 は 伴 わ な い 。む し ろ「 見 果 て る J自 体 は 主 体 の
■ .ヽ と考 え て い
「 見 果 て ぬ /見 果 て ず _
見 た か った 夢 や 大 願 を最 後 ま で 見 る とい うプ ラ ス イ メ ー ジ の 意 味 を 表 し 、
「 見 果 て る J自 体
で そ れ が 実 現 しな い と い うマ イ ナ ス イ メ ー ジ の 意 味 を表 して い る 。 こ の よ うに 、
参考文献
「 見 果 た す 」(よ って「 見 果 た さ ぬ (見 果 た さず )J)と 言 って も 良 さ そ うで
は 目的 の 達 成 を表 す た め 、
│:裁 田俊 (1998)
あ る が 、他 動 詞 形 の「 見 果 た す Jを 使 う と主 体 の 意 志 性 が 前 面 に 出 る た め 、主 体 の 無 意 志 的 な 境 遇
二
で あ る こ とが 表 され る よ うに 自動 詞 形 の「 見 呆 て る 」が使 わ れ る の で あ る と考 え られ る 。
(15)枕 頭 で 喚 覚 ます 下 女 の 声 に 見 呆 て ぬ 夢 を 驚 か され て 、文 三 が 狼 狽 た 顔 を 振 揚 げ て 向 うを
見 れ ば 、は や 障 子 に は 朝 日影 が 斜 め に 射 して い る 。 (二 葉 亭 四 迷『 浮 雲 』)
(16)も は や 、期 年 の 裡 に 成 就 す べ き大 願 を 見 果 て ず して 、死 ぬ こ とが 稽 悲 しま れ た が 、そ れ も
お の れ が 悪 業 の 報 で あ る と思 う と 、彼 は 死 す べ き 心 を 定 め た 。 (菊 池 寛『 恩 讐 の 彼 方 に 』)
「 捧 げ る 」や 例 (19)の よ うに 非 能 格 自動 詞 の「 降
そ の 他 、例 (17)、 (18)の よ うに他 動 詞 の「 聞 く」、
りる Jが「 Vl― 果 て る 」の Vlに 来 る例 も少 数 な が らあ る 。 これ らの「 Vl― 果 て る Jも 当該 行 為 を す っ
か り終 え る こ と を表 して い る の み で 、格 別 主 体 に と って 悪 い 状 態 に な る とい う意 味 は 伴 わ な い 。
これ ら の 例 は「 Vl― 果 て る Jの 周 辺 的 な 用 法 │で あ る と思 わ れ る 。
(17)私 は 畏 って 聞 き 果 て る と 、膝 に 手 を つ い た ッき り ど う して も顔 を 上 げ て 其 処 な 男 女 を 見 る
こ とが 出 来 ぬ 。何 か 胸 が キ ヤ キ ヤ して 、は らは ら と落 涙 した 。 (泉 鏡 花『 高 野 聖 』)
(18)本 当 に 罪 人 とな り切 る為 め に は 、 自分 の 凡 て を捧 げ 果 て る為 め に は 、私 の 想 像 し得 られ な
い よ うな 強 さが 必 要 とせ られ る の だ 。 (有 島 武 郎『 階み な く愛 は 奪 う』)
(19)文 三 は 些 し躊 躇 て 梯 子 段 を 降 果 て お 勢 の 子 舎 の 人 口ま で 参 りは 参 ッた が 、中 へ とて は 立 入
らず 、唯 鵠 立 で い る 。 (二 葉 亭 四迷『 浮 雲 』)
4.ま とめ
「 Vl― 呆 た す Jと「 Vl― 呆 て る 」は い ず れ も 事 態 の 完 了 的 な 意 味 を 表 す も の
以上 の考 察 の結果 、
の 、次 の よ うな 違 い の あ る こ と を 明 らか に した 。
「 Vl― 果 た す J
・Vlに は 基 本 的 に「 使 う」と
「 討 つ Jが 来 る
① 「使 い 果 た す J(完 遂 )
主 体 に とって 必 要 な お 金 、エ ネ ル ギ ー 、運 な ど を 全 て 使 って しま い 、取 り返 しの つ か な い 状 態
に な る こ と を表 す
② 「 討 ち 果 た す J(任 務 の 達 成 )
敵 を討 伐 す る と い う任 務 の 達 成 を 表 す
「 Vl― 果 て る J
「 荒 れ る J、 「 成 る J、 「 忘 れ る J、 「 果 れ る J、 「 尽 き る J、
「 変 わ る 」、
① Vlに は 基 本 的 に「 疲 れ る 」、
朽
ち る 」、
「 枯 れ る 」、
「 絶 え る J、 「 消 え る Jな ど変 化 の 結 果 を 表 す 非 対 格 自動 詞 が 来 て 、元 々 主 体
:し
持 って い た 生 命 力 、活 気 、気 力 、記 憶 、能 力 な どが しだ い に 消 え 去 って い き 、 こ れ 以 上 消 え る
こ J tiで き な い 所 ま で 行 きつ い た とい う極 限 状 態 に 達 して い る こ と を表 す 。
杉
村 泰 (2011)
古屋 大 学 大 学
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1]松 村 明・山 口ら
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編 /臭 大綱
責任編輯 /外 顆
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封面没 if/戚 亮 軒
出版友行 /隼 ホ理工 大学 出版社有 限公 司
地 llL:上 海 市 梅 防路 130号 ,200237
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