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プルサーマル ~経緯と現状
プルサーマル ~経緯と現状~ Pu-thermal operation - Introduction and Current status 九州電力株式会社代表取締役副社長 段上 守 Mamoru Dangami 1.はじめに 玄海原子力発電所3号機は、平成21年12月2日より、国内初となるプ ルサーマルによる営業運転を開始している。本講演では、プルサーマル導入にあたって当 社が取り組んだ理解活動、および検査・許認可対応その他の活動についてご紹介させてい ただくとともに、プルサーマルを開始以降の状況についてご紹介させていただく。 2.プルサーマル理解活動 原子力発電所の設備改造や、新しい技術の導入にあたっては、 法令に基づき国に許可申請を提出し、安全審査により原子炉の安全性に関する確認を行っ た上で導入されるが、特にプルサーマルのような新しい取り組みについては、地元の十分 な理解を大前提として一歩一歩計画を進めることが必要である。 当社は、プルサーマルの実施にあたっては、社内体制を整えた上で訪問説明活動、講演 会・イベントの開催、新聞・雑誌広告、テレビ CM、などを通じてきめ細かな理解活動を 行った。訪問説明活動では585回、延べ約14000人の方々に、また講演会・イベン トでは約40回、延べ約11500人の方々にプルサーマルの必要性や安全性に関する説 明を直接お聞きいただいた。 理解活動にあたっては、プルサーマルに慎重な方が疑問を感じている点について丁寧に 答えていくことが重要であり、地元で開催されたプルサーマル公開討論会(当社,県,国 がそれぞれ実施)は、賛成、反対の意見を十分に議論することで、地元のみなさまの理解 を深めていただく良い機会となった。 3.MOX 燃料製造および輸送 MOX 燃料の製造に関しては、平成18年9月に三菱重工 業との間に MOX 燃料の供給契約を締結し、平成19年10月よりフランスのメロックス 工場で製造を開始、現在まで合計32体の MOX 燃料の製造を終えている。 燃料の製造にあたっては,工場を事前に監査し、燃料製造工場および燃料メーカーの品 質保証体制の確認を行ったほか、現地メロックス工場に部長クラスを筆頭とした社員が駐 在するとともに、第三者機関(ビューロベリタス)による確認も実施し、調達に係る品質 保証活動に万全を期した。 フランスから日本に向けた初回 MOX 燃料の海上輸送は、中部電力・四国電力と共同で 平成21年3月から5月に実施した。米国のテロ以降、核物質防護上厳しい措置がとられ 1 ているが、発電所到着時には、発電所への受入れ作業について核物質防護の観点で可能な 限りの情報公開を行った。 現在2度目の MOX 燃料輸送を実施しており、6月後半に日本到着の予定である。 4.MOX 燃料の装荷および起動時の検査 発電所で受け入れた MOX 燃料は、発電所内 で外観検査を行ったのち、国から輸入燃料体検査合格証を受領、その後、IAEA の査察官 の監視の下、平成21年10月、16体の MOX 燃料を原子炉内に装荷した。 原子炉の起動時には、制御棒の効きを確認する原子炉停止余裕検査等の使用前検査を受 検し、原子炉の特性を確認したのち発電を開始、段階的に出力を上昇させながら調整運転 を行った。平成21年12月2日には、総合負荷性能検査、炉心性能確認検査(使用前検査) を受検、国から合格証を受領してプルサーマルによる営業運転を開始した。 当社では、透明性確保の観点より起動時に行った原子炉停止余裕検査等の結果をホーム ページに公表しているほか、皆さまにご安心いただけるよう、燃料からの漏れがないこと を確認するため実施している『一次冷却材中の放射性よう素濃度の測定結果』等の運転監 視データをホームページ上に公開している。 5.現在の運転状況および今後の予定 当社がプルサーマルを開始して以降、約半年が経 過したが、これまでの運転状況は従来と変わらず、安全運転を行っている。今後も原子力 発電所の安全確保を最優先として、積極的な情報公開に努め、地元の皆さまのご理解を得 ながらプルサーマルを着実に進めていく。 2