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SP養成プログラム全原稿

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SP養成プログラム全原稿
はじめに
本教材開発・SP委員会は第16期委員会において全国の実態調査等に基づき,基本的
な「模擬患者・標準模擬患者の養成カリキュラム」を策定し、SPになるために習得すべ
き内容を提案し「医学教育」誌に掲載して報告させて頂きました。この段階ではカリキュ
ラムで示された具体的なSP養成方法に関しては各SP団体に任せておりましたが、第1
7期委員会において、全国のSP研究会の協力によりSP養成カリキュラムに沿った養成
プログラムの事例を共有し公開することとしました。多くのSP養成者に活用して頂けれ
ば幸いです。尚、本稿はSP養成に焦点をあてましたが、SPの処遇や保障については今
後の課題として検討して行く必要があると考えています。
以下に「模擬患者・標準模擬患者の養成カリキュラム」(医学教育 2012;43(1):33-36)
の全体を載せてあります。1.緒言、2.カリキュラムの項目に該当するSP養成プログラ
ム具体事例についてはリンクから事例ページの pdf に飛べるようになっていますので、ク
リックして内容をご確認ください。また、各SP団体の養成プログラムの見学を希望され
る方は、所定の連絡先にお問い合わせください。
今回ご協力いただきましたSP団体の皆様に対して、この場を借りて謝意を評したいと思
います。
日本医学教育学会
第17期教材開発・SP委員会
委員長
廣橋一裕
副委員長
藤崎和彦
担当委員
阿部恵子
1.緒言
日本における組織的な SP 養成は 1992 年に始まり,すでに 19 年が経過した.その間,
医学教育におけるコミュニケーション,医療安全,生命倫理など,SP が参加する教育機
会は増加し,研修医教育,歯科医学教育,薬学教育など他の分野への展開などにより,今
後いろいろな教育場面で SP が必要とされることが予想される.また,共用試験 OSCE にお
ける標準模擬患者の演技の標準化,Advanced OSCE の導入と医療面接における標準模擬患
者の演技の標準化,わが国の実情に即した身体診察 SP の導入などの問題点が課題として
指摘されている.
第 16 期教材開発・SP 委員会は,
「模擬患者・標準模擬患者養成および参加型教育に関
する実態調査」を実施し,学内,学外にかかわらない SP 養成の推進,SP 養成の標準化の
必要性を提言した.そして,医学教育における SP の意義・役割を社会,医学部の教員・
学生等が理解し,SP が参加する教育が医学部教育に益々寄与するために,SP としての活
動目的を明示するとともに,SP 養成のために到達目標,行動目標が示されたカリキュラ
ムを策定する必要性を示した.
SP は日本における医学教育を理解し,各医学部・医科大学の教育理念・教育方針に賛
同し,患者のための医療を目指す医師を育てる人材として協力するものである.医療面接
および試験等のプログラムにおいて SP として患者役を果たし,医学生,研修医,医師お
よびその他の医療従事者等の技術およびコミュニケーション能力を向上させて信頼され
る医療人を育てることを目的とする.SP は患者役としての能力向上のために必要な知識
と技術を習得し,常に自己研鑽に励むことが望まれる.
第 16 期教材開発・SP 委員会は,全国の実態調査等に基づき,一般的な SP 参加型教育
のために模擬患者・標準模擬患者の養成カリキュラムを策定した.このカリキュラムは,
医学部教育における SP 養成を目的としたものであるが,研修医教育,歯科医学教育,薬
学教育など他の分野にも応用できる基本的な内容とした.身体診察,身体援助に関わる
SP の養成については,今後の課題とする.
なお,共用試験 OSCE の標準模擬患者については,医療系大学間共用試験実施評価機構
が別途定めるものであるが,本カリキュラムは参考になるものと考えている.
SP となるために修得すべき必須項目として,Ⅰ.対人コミュニケーション,Ⅱ.医学
教育における SP 参加型教育,Ⅲ.医学教育における医療面接を掲げ,SP 活動の主体とな
る項目Ⅲでは,医療面接の基本的事項,医療面接のシナリオの理解,役作りと演技,フィ
ードバックと評価について習得すべき到達目標を示した.このカリキュラムに基づいて養
成された SP が実際の教育場面に参加するに当たっては,SP を養成する施設あるいは組織
において適切な評価を行うとともに,その評価方法が明示される必要がある.
>> SP憲章:東京SP研究会
>> 日本医科大学SPの会
2.カリキュラム
Ⅰ.対人コミュニケーション
>> 岐阜大学模擬患者の会
SPが医学教育に協力するために、SPは基本的なコミュニケーションについて理解し、
良好なコミュニケーションができる。
Ⅰ-1 基本的な対人コミュニケーション >> NPO法人響き合いネットワーク岡山SP研究会
Ⅰ-1-1 対人コミュニケーションの基本事項について説明できる(認知)
。
Ⅰ-1-2 対人コミュニケーションの技法について説明できる(認知)
。
Ⅰ-2 良好なコミュニケーション
Ⅰ-2-1 学習者(学生など)
、他のSP、教員に対して、良好なコミュニケーションができる(技能)
。
Ⅰ-2-2 学習者(学生など)
、他のSP、教員に対して、共感的理解の態度が取れる(態度)
。
Ⅰ-3 医療面接におけるコミュニケーション
Ⅰ-3-1 医療面接における患者-医師関係のコミュニケーションの特徴を説明できる(認知)
。
Ⅱ.医学教育におけるSP参加型教育 >> 日本医科大学SPの会 >> 福島医大・模擬患
者の会
>> 模擬患者つつじの会
>> 模擬患者グループ“のぞみ”
>> つくばSP会
SPは医学教育に協力するために、SP参加型教育について理解できる。
Ⅱ-1 医学教育における模擬患者と標準模擬患者の違いを理解し、それぞれの役割と意義を説明できる
(認知)
。
Ⅱ-2 SPとして、能力向上のため必要な知識と技術を習得し、常に自己研鑽に励む態度を持つ(態度)
。
Ⅱ-3 学習者(学生など)に対して適切な態度で接することができる(態度) >> 模擬患者つつじの会
Ⅱ-4 教育の目的や対象によってSPの役割が違うことを説明できる(認知)
。
Ⅱ-5 当該教育機関の教育指針を理解し、その方針に従って行動できる(態度)
。
Ⅱ-6 実習、試験、講習等で得られた事項に関して、守秘することができる(態度)
。
Ⅲ.医学教育における医療面接
1.医療面接の基本的事項
>> 岐阜大学模擬患者の会
>> 九州大学SP登録模擬患者
Ⅲ-1 SPにとって必要な医療面接の基本的な事項について理解できる。
Ⅲ-1-1 医学教育における医療面接の意義を説明できる(認知)
。
Ⅲ-1-2 医学教育における医療面接教育の目的について説明できる(認知)
。
Ⅲ-1-3 医学教育における医療面接教育のSPの役割を説明できる(認知)
。
2.医療面接シナリオの理解 >> 日本医科大学SPの会
人権センターCOML
>> NPO法人ささえあい医療
>> 福島医大・模擬患者の会
Ⅲ-2 シナリオを理解できる。
Ⅲ-2-1 シナリオの目的を理解できる(認知)
。
Ⅲ-2-2 シナリオの患者背景を理解できる(認知)
。
Ⅲ-2-3 シナリオの病状・経過を理解できる(認知)
。
Ⅲ-2-4 シナリオに書かれた用語を理解できる(認知)
。
3.役作りと演技
SP研究会
>> 日本医科大学SPの会
>> NPO法人響き合いネットワーク岡山
>> 静岡医療コミュニケーション研究会
Ⅲ-3 医療面接のシナリオに基づいて、役作りと演技をすることができる。
Ⅲ-3-1 シナリオの内容を記憶し、設定されている背景や気持ちに基づいて役作りができる(技能)
。
Ⅲ-3-2 医師役からの質問・説明に対して、シナリオで示されている方向性に則って適切に応答できる
(技能)
。
Ⅲ-3-3 シナリオに示されている患者を学習目的に沿った現実感のある演技ができる(技能)
。
4.フィードバックと評価
>> 名古屋SP研究会
>> 秋田大学模擬患者の会
Ⅲ-4 医療面接の場面で起きた患者の気持ちの動きを十分に伝えるようなフィードバックができる。
Ⅲ-4-1 医療面接教育におけるフィードバックの目的について説明できる(認知)
。
Ⅲ-4-2 医療面接教育におけるフィードバックの教育上の効果を理解できる(認知)
。
Ⅲ-4-3 医療面接の場面で起きた出来事と患者の気持ちの動きを記憶できる(技能)
。
Ⅲ-4-4 医療面接の場面で起きた出来事と患者の気持ちの動きを適切に言語化できる(技能)
。
Ⅲ-4-5 医療面接の場面で起きた出来事と患者の気持ちの動きをSPの視点から教育的にふさわしい
形で学習者にフィードバックできる(技能)
。
Ⅲ-4-6 評価の目的と方法について理解し、SPの立場から学生の評価ができる(技能)
。
1. 緒言
SP 憲章
意義・目的:
東京SP研究会は 1995 年に活動を開始し、医療面接実習の手順や運営方法、シ
ナリオの開発、SPの養成を進めてきた。カリキュラムに医療面接実習がなか
った大学に初めて導入する段階からさまざまな支援を行ってきた。また、当会
が直接SP養成に関与したのは、弘前大学、千葉大学、独協医科大学、筑波大
学、高知大学、昭和大学歯学部、鶴見大学歯学部などであるが、スムーズな引
き継ぎができるまでには大学、地元SP候補者と当会との信頼関係が不可欠で
あった。そこで当会では「倫理綱領」を作成し、ホームページに掲載し、関係
各位にお互いを尊重する信頼関係づくりをお願いしている。 方略:初回のオリエンテーション時に印刷物にて説明
対象人数:10人程度
必要物品:印刷物
実施時間:30分程度
見学:可能。要予約
連絡先:東京 SP 研究会 代表 佐伯晴子
URL: h tt p: // ww w. t oky o sp-kenkyukai.com /
東京SP研究会倫理綱領(私たちの約束ごと、お願いしたいこと) 2009年 作成 2011年ホームページ公開 SPは模擬患者:Standardized Patient,Simulated Patientの略語です. (目的) 1.東京SP研究会は、医療を社会の基本的公共サービスととらえ,信頼にもとづく医
療づくりをめざしています。国民が「患者」と呼ばれる場面で安心して医療を受け、そ
の人らしく生きられるようにするためには、理解と納得に結び付く十分なコミュニケー
ションが不可欠です。医療現場のコミュニケーションの充実をはかり、医療に信頼を築
くことが活動の目的です. (使命) 2.私たち東京SP研究会は人間尊重を基本理念として、患者個人の尊厳と人格が最大
限に尊重され、患者がコミュニケーションによる深い信頼関係のもとで安心し納得して
患者本位の医療を受けられるようにすることを使命としています。 (責任と研鑽義務) 3.私たち東京SP研究会は、医療を受ける視点と立場で医療とコミュニケーションを
考え、たゆまず研鑚を積み、能力の向上に努め、あわせて人格の養成に努めてゆきます。 (基本的立場) 4.私たち東京SP研究会は、医療をとりまく社会的・文化的・歴史的な慣行を患者本
位で見直し改善する活動をしてゆきます。 (信頼関係の確立) 5.私たち東京SP研究会は、関係者との信頼関係を積極的に形成してゆきます。 6.私たち東京SP研究会は、活動によって知り得た個人・組織の秘密を守ってゆきま
す。特に個人のプライバシー権を尊重します。 7.私たち東京SP研究会の活動によって個人、当事者および関係者の方が知り得た内
容の使用については、当該学習に使用する場合以外は、事前の協議をお願いします。 (知的財産権の保護) 8.私たち東京SP研究会は、入手した資料、著作物を活動の場等で使用する場合は、
原作成者の承諾を得るとともに引用する場合は出典を明示します。 9.私たち東京SP研究会の活動によって個人、当事者および関係者の方が知り得た資
料等の使用については、事前に協議をお願いします。また、引用する場合は出典を明示
するようお願いします。 東京SP研究会 代表 佐伯晴子 〒171-0033東京都豊島区高田2-18-15-421佐伯方 電話・FAX 03-5985-0506 1. 緒言
SP 憲章
意義:学習者が、安全かつ有効な環境下で模擬患者(SP)と学ぶことができる
様に、ボランティアである SP が、その使命、役割を認識することに意義がある。
目的:SP は本学の教育理念に賛同した上で活動に参加することを認識すること。
大学の教育理念と SP の位置づけ、社会的役割、SP として必要な知識、技術、
態度、守秘義務について理解すること。SP 養成講座修了後も SP として常に研
鑽を積む必要性があること、指針に従って行動し、必要に応じて問題提起・提
言を行うことを認識すること。
運用上のコツ:SP の位置づけ・役割を意識づけるため、SP 憲章の内容を確認
する機会を年数回設ける。この際、SP 憲章の文章を SP 同士で交互に読み上げ
ることで、SP の意義を改めて確認する効果がある。日本医科大学では、毎年、
SP 養成講座の開始時に紙面を配布し、講座修了時に裏面に憲章が印刷された SP
認証カード(ネームカード)を授与し、憲章を確認する機会を設けている。ま
た、外国人 SP のために英文版も作成している。
方略:初回のオリエンテーション時に印刷物を配布し、説明して毎年署名してもらう。
SP 憲章
http://www.nms.ac.jp/cme/sp_code.pdf
対象人数:20~40 名
必要物品:印刷物、ネームカード
実施時間:10 分
見学:可能。要予約。
連絡先:日本医科大学医学教育センター、日本医科大学 SP の会
mail: [email protected](担当:藤倉 輝道)
URL: http://www.nms.ac.jp/cme/sp.html
日本医科大学模擬患者(Simulated Patient) 憲章
日本医科大学の教育理念は「愛と研究心を有する質の高い医師と医学者の育成」
である。日本医科大学模擬患者(SP)はこの教育理念に賛同し、
「患者のための
医療を目指す医師を育てる」という使命感のもと、教育活動にボランティアと
して協力するものである。以上の点を大学と模擬患者が相互に確認すべく、こ
の憲章を定める。
一
模擬患者は、医療面接および身体診察の実習および試験等のプログラムに
おいて模擬患者として患者役を果たし、医学生および医療従事者の技術お
よびコミュニケーション能力を向上させ信頼される医師を育てる。
一
模擬患者は、患者役としての能力向上のため、必要な知識と技術を習得し、
常に自己研鑽に励む。
一
模擬患者は、実習、試験、講習等で得られた資料、および内容に関して、
守秘義務を負う。
一
模擬患者は、日本医科大学模擬患者養成委員会の示す指針に従って行動す
る。
一
模擬患者は、日本医科大学模擬患者養成委員会に対し、必要に応じて問題
提起・提言を行う。
日本医科大学医学教育センター
日本医科大学 SP の会
日本医科大学医学教育センター
御中
私は、上記の憲章を理解し賛同します。
守秘義務ほか、上記の憲章を守り、ボランティアとして日本医科大学 SP に登録
します。
平成
年
月
日
模擬患者(SP)氏名
住所
2. カリキュラム I. 対人コミュニケーション 意義: SP が医学教育に協力するために、SP が基本的な対人コミュニケーションについて理解する
ことは、学習者への学びにつながり、且つ学習者との良好なコミュニケーションができる。 目的: SP が基本的対人コミュニケーションについて理解し、学習者に対して適切なコミュニケー
ションをとることができるようになること。 運用上のコツ: SP として協力いただけるような方は、そもそもコミュニケーションに対して興味
があり、学びたい意欲の高い方が多い。なので、SP が、興味がある内容や、より満足感が得られる
よう手法を用いることが大切である。また、長期間にわたり協力いただいている SP、新しく加わっ
た SP など個々のレベルはまちまちであるので、
すべてに対し効果的な内容を選択するのは難しいか
もしれないが、運営を工夫しながら定期的に実施するよう心掛けたい。 方略:学習者参加型のグループワーク
対象人数:20 人程度
必要物品:ワークシート、白紙、筆記用具
実施時間:2時間程度
見学:可能
連絡先:岐阜大学 医学教育開発研究センター
川上ちひろ
[email protected](SP 関連の専用アドレス)
トレーニング方法:
1、アイスブレイク、コミュニケーションゲーム(30分)
Ø
お絵かき
・ 教員もしくはスタッフ1名が、全体に対して、どのような絵を描くか指示をする
・ 指示の具体例:
「紙の中央に大きな教会があります」
「その教会の左側には庭があり
噴水があります」など
・ 絵の指示は一つの文章ずつ、ゆっくり間をあける
・ 周囲の人の絵を覗き見ないように伝えておく
・ 質問は一切受け付けない
・ 絵のうまい下手は、気にしないように伝える
・ 指示が終了したら、周りの人たちとどのような絵を描いたのかを見合う
・ ゲームの意味を伝える(同じ指示を聞いても、想像し表現するものは皆違う)
2、コミュニケーションワーク(60分)
・ 架空の場面を設定し、提示する。
・ 最初に自分の意見をワークシートに記入する。その後、グループでシェアする。
・ その場面を通じ、
「相手のこと自分がどう感じているのか」
、
「また相手の反応が変わる
ことで自分の考えや行動はどう変わるか」
「その考えや行動をするにはどのような信念
があるのか」を言語化してもらい、さらに、グループワークをすることで他の人との
感じ方の違いを理解してもらう。
(場面の例)洋服を買いに行きある店に入ったところ、店員が近づいてきて、
「いらっしゃませ」
「何をお探しですか?」と声をかけてきました。
さて、あなたはこのような状況のとき・・
(1)どう感じますか?
(2)どう行動(反応)しますか?
(3)なぜ自分はそうしたと思いますか?
・ グループワークのふりかえりをして、代表者に感想を話してもらう。
3、コミュニケーションの基本に関するミニレクチャー(30分)
ミニレクチャーのエッセンス
・ コミュニケーションとは、双方向・相互作用によるものであること
・ 状況による「意味」や解釈は、人それぞれであること。
・ 相手の価値観・経験・認識には違いがあり、それを尊重することが大切であること。
・ 対話を通して、お互いの価値観・解釈を理解していくこと。
・ 文脈にあった言葉の使い方をすること。
2. カリキュラム
I-1 基本的な対人コミュニケーション
意義: SP が基本的な対人コミュニケーションについて理解することは、教育に関わる SP
の役割に対する理解を深める一助となる。
目的: 対人コミュニケーションの基本を理解する。
運用上のコツ: 受講者およびスタッフの全員参加型の講座とし、受講者が楽しく参加で
きるような雰囲気作りを心がける。ゲームを通じてコミュニケーションについて考えても
らうのも、楽しく学べるポイントとなる。本講座において、すぐに演技やフィードバック
を練習するのではなく、全員参加型の体験を通して「聴く」というコミュニケーションの
基本行為の必要性とその難しさを感じてもらう。これにより、改めて、自分自身のコミュ
ニケーションの傾向を受講者に意識してもらう。さらにそのことが SP の役割である演技
やフィードバックなどと関連があることを理解してもらう。
方略:学習者参加型のグループワーク
対象人数:10〜15 人程度(30 人程度まで可能)
必要物品:画用紙、ペン、タイマー
実施時間:2 時間 30 分
見学・参加:可能、要予約(参加費要)
連絡先:NPO 法人・響き合いネットワーク 岡山 SP 研究会
代表 前田純子, 事務局 坂田真砂子([email protected])
研究会 Web ページ URL →http://okayamasp.main.jp/
トレーニング方法:
1、オリエンテーション(5 分)
講師によるプログラムの内容の説明
2、自己紹介(15 分)
受講者とスタッフの自己紹介
3、講師によるミニレクチャーとゲーム(90 分)
Ø
ミニレクチャー
・コミュニケーションとは?
コミュニケーションの過程、特徴、目的
・SP にとって必要なスキル
・フィードバックとは?
Ø
ゲーム
(例)
・伝言ゲーム
提示された絵をみて言葉だけで他の人へ伝える
・ジェスチャーゲーム
言葉を使わずに手振り身振りだけでテーマに沿った内容の話を伝える
・聴く・聴いてもらうってどういうこと?エクササイズ
話し役は聴く役の人に聴いてもらいたい話をし、聴く役のどのような態度が
聴いてもらったと感じたかを振り返る
4、まとめ(10 分)
参加者の感想や分かち合いを行う
※「気づき」を促す働きの SP だからこそ、まずは自らの「気づき」を体験して
もらうことに視点を置き、ファシリテーターは受講者の感想を引き出すよう
に心がける
2. カリキュラム
II. 医学教育における SP 参加型教育
意義:医学教育に協力する SP がいることで、学習者はシミュレーションを通し
て患者と医師との信頼関係構築、情報収集、情報提供について学ぶことができ
る。学習者は SP とのロールプレイや SP からフィードバックによって、患者-
医師間の信頼関係やコミュニケーションの重要性に気付く機会が得られる。ま
た市民の期待や使命感を自覚し、学習の動機づけとなる。
目的:SP は医学教育における SP 参加型教育の意義について理解し、学習者(主
に学生)に適切な態度や行動で対応できるようになること。
運用上のコツ:学生の授業に参加したことが無い SP は、授業や実習の様子をイメージし
にくいことから不安を感じることがあり、ビデオやパワーポイントで写真・動画を見せる
ことで初心者の不安を軽減できる。また、実際に授業・実習に初めて参加する際には、経
験者と一緒に行動し、分からない事などを経験者に質問できるように配慮する。
SP は、講座受講中は「学ぶ側」、授業や実習では教員に協力して「教える側」
になるため混乱が生じやすいことを養成者は理解しておく必要がある。また一
般の患者さんの視点から「教える側」として参加する意義を理解してもらうこ
とも重要である。
方略:講義
対象人数:20~40 名
必要物品:ビデオ、配布物
実施時間:数回に分けるので、各回 20 分~3 時間 30 分
見学:可能。要予約。
連絡先:日本医科大学医学教育センター、日本医科大学 SP の会
mail: [email protected](担当:井上千鹿子)
URL: http://www.nms.ac.jp/cme/sp.html
トレーニング方法:
SP 養成講座(4 年次の医療面接が中心のもの)
1、オリエンテーション(20 分)
「SP 憲章」の、模擬患者の意義、役割と、自己研鑽、守秘義務等の態度に
ついて説明する。
2、講義「医療面接における SP の役割・本学の医学教育」(60 分)
本学の学是、教育理念、SP 参加型教育の目的、6 年間のカリキュラムとその
中での SP 参加型教育の位置づけと必要性、SP への期待などについて説明す
る。
3、講義「OSCE(客観的臨床能力試験)、Advanced OSCE とは何か」(60 分)
試験の意義について説明し、実習に参加する模擬患者と試験に参加する標準
模擬患者の目的と違いを説明する。
(試験に参加する SP のトレーニングは別
途に設けることを説明する。)
4、講義「学生の実習に向けて総復習」(2 時間)
SP の演技、フィードバックの復習と、SP 参加型実習の流れ、守秘義務等を
説明する。
5、ふりかえりシート(10 分)
講義終了後には、その日の復習として 4~5 問の知識の確認クイズ「ふり
かえりシート」を実施する。SP は選択肢に挙げられた例を見て考えること
により理解が深まり、知識が定着する。
1 年次、2 年次コミュニケーション実習のための練習会
日本医科大学では、1、2 年次に基礎的なコミュニケーション能力を高める目的
で、一般市民(非医療者)とのコミュニケーション実習を行っており、この実習
も SP の協力で運営されている。
実習の前には練習会(3 時間 30 分)を設け、実習直前には説明会(30 分)を行
う。実習の目的や内容を説明し、フィードバックの内容や方法などを練習する。
質疑応答の時間を十分に設ける。学生にとって世代の違う人々と交流すること
は貴重な機会であり、SP からのフィードバックが学生の自信につながることを
説明する。
2. カリキュラム Ⅱ.医学教育における SP 参加型教育 意義:SP 参加型教育は医療人のコミュニケーション能力の向上をはかる効果的
な学習方略のひとつである。医療現場のニーズや問題点を踏まえたシナリオを
開発し、SP がリアリティーに迫る演技を行うことにより、学習者の対応能力の
向上が期待される。 目的:SP が医療面接シミュレーション学習の意義と自らの役割を正しく理解し、
同時に、医療人教育への参加意欲を高めること。 運用上のコツ:新しく SP として医療人教育に参加する人にとって、何らかの貢
献をしたいと感じていても実際の学生に応対することはハードルが高い。新規
に学習を始める SP には、実際の SP 参加授業を録画 DVD 等により供覧・解説し、
経験のある SP が加わったスモールグループでの討論を通じて理解を深め、不安
を取り除くとよい。また、教員は、学習者が SP への感謝・ねぎらいの気持ちを
持って授業を受けるように配慮することが大切である。医療人教育にとって、
SP が貴重な人的リソースである認識の共有は SP の教育貢献マインドの原動力で
ある。 方略:ミニ・レクチャー、グループワーク
対象人数:30~50 人
必要物品:パソコン、液晶プロジェクター、ホワイトボード、DVD 再生機器、
SP 参加型授業の録画 DVD)
実施時間:2 時間程度 (4 月~10 月の火曜日午後、隔週)
見学:可能。事前にお問い合わせください。
連絡先:福島県立医科大学医療人育成・支援センター
菅原亜紀子 石川和信
福島医大模擬患者の会
[email protected]
URL: http://www.fmu.ac.jp/home/cmecd/mogikan.html
トレーニング方法: 1.SP が参加する医療人教育についてのミニ・レクチャー(30 分)
Ø 医療人教育における SP の役割
Ø 標準模擬患者と模擬患者の違い
Ø 福島県立医科大学での SP 参加型授業の紹介
- コミュニケーション論(医学部 2 年生)
:模擬患者
- 臨床実習入門~医療面接実習(医学部 4 年生):標準模擬患者
- 共用試験 OSCE~医療面接ステーション(医学部 4 年生):標準模擬患者
- 臨床実習~医療面接実習(医学部 5 年生):模擬患者
- 看護学の基本(看護学部 1 年生):模擬患者
Ø 質疑応答
2.SP 参加型授業の録画 DVD 供覧(20 分)
Ø SP 参加型授業の様子を DVD で観て、医療面接演習の具体的なイメージ、
標準模擬患者、模擬患者学習者のパターンを理解してもらう
Ø 標準模擬患者の DVD 学習(医学部 4 年生臨床実習入門)
Ø 模擬患者の DVD 学習(医学部 5 年生臨床実習)
3.グループワーク(40 分)
Ø 1 グループあたり 3~4 人の新人 SP (自己紹介)
Ø 2~3 グループに 1 人の教員を配置する
Ø DVD 視聴をふまえ、SP の役割、要求される技能、遵守されるべき事項、標準
模擬患者と模擬患者などについて討論する
4.全体セッション(30 分)
Ø グループワークの内容ついて、さらに全体で討論し、疑問・問題点に対応する
Ø 質疑応答
Ø 継続的に今後取り組むべきニーズについて把握する
2. カリキュラム
II.医学教育における SP 参加型教育
意義: SP には実習での模擬患者と OSCE の標準模擬患者の2種類があるので、トレーニ
ングを行う前に、それぞれ役割や演じ方が違うことを十分に理解させることに意義がある。
目的: SP が授業の模擬患者と OSCE の標準模擬患者の違いを理解し、役割に応じて適
切な行動ができるようになること。
運用上のコツ: まず、実習と OSCE の違いを講義で学んだ後に、実際に OSCE のよう
なシナリオの SP を演じて、実習との違いを実感してもらう。トレーニングは、初心者に
は OSCE に参加できる自信をつけさせ、何回も OSCE に参加している経験者には、年1
回しかない OSCE の基本を思い出してもらうため、OSCE 実施前の時期に行うのが効果的
である。
方略:講義とグループワーク形式
対象人数:20人程度
必要物品:講義資料、PC、プロジェクター、メモ用紙、筆記用具
実施時間:1時間30分程度
見学:可能。要予約
連絡先:東京大学大学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 孫大輔 [email protected]
東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター
金子英司 [email protected]
模擬患者つつじの会 トレーニング方法:
1.実習と OSCE との違いについての講義(30分)
Ø
医療面接実習の目標
・ 医療面接の基本(患者医師関係)を理解し実践する
Ø
教育機関の教育要項
・ 教育機関の到達目標の説明と理解
Ø
OSCE とは何か
Ø
実習と OSCE の違い
① 教育/評価(試験)、② 話す内容は自由度がある/一問一答、
③ 個性あり/標準化、④ フィードバック/評価表
Ø 質疑応答
2.標準模擬患者を演じる(40分)
SP 役、医師役学生、観察者の3人1グループをつくる。観察者はメモ用紙に
気付いた点を書く。ロールプレイ後(5分)にディスカッション(5分)をする。
グループで役割を交替して3回繰り返す。演技の指針も付いている医師役用の
シナリオを3つ用意。SP 役のシナリオは OSCE に似た一問一答のシナリオ
を用意し予め覚えてきてもらう。
3.全体で各グループのディスカッションを共有とまとめ(20分)
グループでの演習の様子を発表してもらい、できたことや難しかったこと
を共有する。最後に質疑応答とまとめ。
2. カリキュラム
Ⅱ.医学教育における SP 参加型教育
意義: 医学教育における SP の果たす役割と期待を知り、カリキュラムにおけ
る SP 参加型教育の意義を知る。
目的: SP が医療面接における模擬患者と、標準模擬患者の違いを理解し、学
習者のレベルやニーズに応じた教育の機会を提供することができる。
運用上のコツ: 演技や学生へのフィードバックのあり方は、担当教員による
指導とともに、メンターとなるベテラン SP と新人 SP でペアを組み、役作り、
学生に応じた対応、コメントの方法を習得する。新人 SP のシナリオは SP の個
性や経験に合わせ、演じやすいものを選ぶ。SP に対するネガティブフィードバ
ックは、SP 同士ではなく教員が行う。模擬患者の経験を数年積んでから、標準
模擬患者の訓練を行う。
方 略:
対象人数:数名
必要物品:筆記用具
実施時間:90 分~180 分
見 学: 可能。要事前連絡。
連絡先:佐賀大学医学部医学教育開発センター
小田康友 [email protected]
電話:0952-34-2249
模擬患者グループ“のぞみ”
http://www.sme.med.saga-u.ac.jp/nozomi/index.html
トレーニング方法:
1. SP に関する基礎知識のレクチャー、ロールプレイの VTR 視聴(1回目、
60 分)
2. 先輩 SP の演技・ロールプレイを見学(2回目~3回目、60~180 分)
演技・フィードバックのやり方、学生に対する適切な態度を学ぶ。
セッション後は毎回全員でふり返りを行い、体験を共有する。
3. シナリオの練習・役作り(3回目~、30~60 分)
教員が演技の内容についてアドバイスする。医療情報だけでなく、患者の心
理社会背景にも理解を深める。
4. SP デビュー(4回目~、60~180 分)
常に先輩 SP がセッションを見守り、学生へのフィードバックのサポートを
する。演技についても終了後に指導する。
5. 学生の習熟度に応じた演技・フィードバック(5回目~)
低学年の学生:良好な患者医師関係の確立に重点を置いた医療面接。医学的
知識の不足によって医療面接トレーニングに強い苦手意識をもたないよう、
工夫をこらす。コミュニケーションにフィードバック。・
高学年の学生:医療情報の収集と患者医師関係の確立の両立を目指したセッ
ション。OSCE を意識した演技、診断に重点を置いたフィードバック。病状
説明・患者教育セッションも別に実施。
6. 共用試験 OSCE など、試験における標準模擬患者の練習(二年目以降)
レクチャー:シナリオの内容や守秘義務について。
SP 同士の練習:演技の標準化を目指す。練習セッションをビデオで撮影し、
非言語的コミュニケーションをも含めた標準化を目指す。
2. カリキュラム
II. 医学教育における SP 参加型教育
方略: 個別レクチャー、グループワーク
対象人数: 1人
必要物品: フィードバック集、机、椅子、
実施時間: 30 分~60 分
見学:可能。要予約
連絡先:つくばSP会 代表 佐藤菊枝
e-mail:[email protected]
トレーニング方法:
新人トレーニング
l
個別レクチャー:
・コミュニケーションとはどういうものかについての説明
・SP の役割についての説明 ・標準化された模擬患者と一般的な模擬患者の違いについて
・演技をするにあったてのポイント
・簡単なシナリオを使って役を演じてみる
l
フィードバックについて
・独自に作成したフィードバック集を基に、何にポイントを置いてフィード
バックをするかの練習
・言葉でのフィードバックと演技でのフィードバックの練習
l
先輩SP活動の見学
・実際にロールプレイをしている先輩SPの演技・フィードバックを見なが
ら個々の形を探っていく(自分の表現をどのタイプでするかの見極め)
l
ロールプレイ
・その都度傍についてアドバイスを与える
・シナリオの人物をどのように作り上げていくかのトレーニング
・ノン・バーバルな部分での表現の練習
2. カリキュラム II‐3. 学習者に対する適切な態度 意義: SP 参加型教育の意義を理解することは基本的な重要事項である。患者のための
医療を目指す医師を育てるために、SP という人材が必須であることを、学習者が知ること
に意義がある。 目的: SP が医学教育に参加するための基本的心構えとして、SP の役割を十分に理解する
こと。 運用上のコツ: SP は患者役として演技やフィードバックのトレーニングに入るが、その
前に役割や心構えをよく理解してもらい、トレーニングの動機づけにする。患者・医師間
のコミュニケーションに関する講義から始めると理解しやすい。 方略:講義形式 対象人数:20人程度 必要物品:講義資料、PC、プロジェクター、 実施時間:15分程度 見学:可能。要予約 連絡先:東京大学大学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 孫大輔 [email protected] 東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター 金子英司 [email protected] 模擬患者つつじの会 トレーニング方法: 1. コミュニケーションについての講義(5分) Ø コミュニケーション能力の必要性・重要性 Ø 患者・医師間のコミュニケーション 2. 模擬患者の心構えについての講義(10分) Ø
患者の視点 ・ 良好な関係を築けたか ・ 困っていることを聴いてもらったか、聞きたい情報を得られたか ・ 患者としてどのように感じたか Ø
教育者の視点 ・ 良い点はどこか、どこが問題なのか Ø
役割を理解する ・ 学生の気づきを期待 Ø
医療に対して中立的 ・偏見も過剰な期待も持たない Ø
シナリオの忠実に Ø
客観的な態度 ・ 適切なフィードバック ・ 臨床実習を行う臨床能力を身につけているかを試す実技試験 3. 質疑応答 2. カリキュラム
Ⅲ-1. 医療面接の基本的事項
意義: SP がコミュニケーション教育に関わるうえで、医療面接に関する基本的な知識と
理解を得ていることは必須である。もちろん、SP は教育全体に責任を持つ立場の教員では
ないので、医療面接に関する知識を網羅的・体系的に持っている必要性は全くないし、場
合によっては多すぎる知識は自然な SP としてのパフォーマンスの妨げになることもある
のではあるが、必要最低限の基礎知識を身につけたうえで SP 活動に望むことはとても重
要である。
目的: 模擬患者が医療面接に対する基本的な理解を身につける。ここで言う「医療面接
に対する基本的な理解」には、医療面接の意義、医療面接教育の目的、医療面接教育にお
ける SP の役割等が含まれる。
運用上のコツ: 知識教育が中心になるので、一方的で抽象的な講義ばかりだと座学に不
慣れの SP の集中力が切れやすい。また、総論的な話なので、ともすれば SP も一般論とし
て分かった気になりやすいので、いかに現実的、具体的な文脈での事例に落としこんで説
明できるかどうかがポイント。また、教員の説明が医学やコミュニケーションの専門用語
の多用で素人に分かりにくくなりやすいのでその面でも注意が必要。配布資料も読みやす
い大きな字で印刷して準備した方が良い。
方略:学習者参加型のグループワーク
対象人数:50人程度
必要物品:配布資料、ペンなど
実施時間:2時間程度
見学:可能。要予約
連絡先:岐阜大学医学教育開発研究センター
川上 ちひろ
[email protected]
岐阜大学模擬患者の会
URL: http://www1.gifu-u.ac.jp/~medc/
トレーニング方法:
1、まずは医療面接実習の実際をデモか動画で見てもらう(20分)
2、グループワークで各自の自己紹介と面接実習を見ての感想の交流(10分)
3、「医療面接の基本と医療面接教育における SP の役割」について講義(50分)
Ø
医療面接の意義
・ 医療面接の三つの役割
・ 医療現場でのコミュニケーションの特徴
・ 単なる情報伝達ではなく、ナラティヴの協働構築としての面接
Ø
医療面接教育の目的
・ なぜ医療面接教育か
・ 医療面接をトレーニングすることの意義と必要性
・ 本学における医療面接教育の全体像
・ 基本的用語の確認(開放型質問、閉鎖型質問、解釈モデルなど)
Ø
医療面接教育における SP の役割
・ 模擬患者と標準模擬患者の違い
・ 医療面接教育において SP に求められていることと求められていないこと
Ø
質疑応答
4、グループで学びと感想の交流(20分)
6〜8人1グループでフィードバックを紹介し合う。
一番良いと思うフィードバックを PNP で作成する。
5、全体での共有(20分)
2. カリキュラム
III-1医療面接の基本的事項
意義: 学習者にとって、医学教育に協力する SP の存在は、自身のコミュニケーション
能力の向上に大きく寄与し、患者中心の医療者として学習するためのよい機会となる。
目的: SP が医学教育における医療面接の意義や教育の目的、医療面接教育における SP
の役割など、SP にとって必要な基本的事項を理解し、医学教育に協力できるようになる。
運用上のコツ: SP 初心者にとって、医療における医療面接の意義、その教育の目的など
を客観的に捉え直すよい機会である。特にネガティブな医療体験を持つ SP 志望者は、
「(自
分が体験したような)コミュニケーションの苦手な人間が医療従事者になってはならない」
などの先入観を持ちやすく、将来的に学習者にとって不適切なネガティブフィードバック
を行う原因となる可能性もあるので、
「医療従事者の社会的役割自体が不適切な医療面接を
引き起こしやすい」という枠組みへの気づきは、必須であると言える。
方略:学習者参加型のグループワーク
対象人数:20人程度
必要物品:白板、ペン、KJ 法用紙
実施時間:3時間程度
見学:要相談
連絡先:九州大学医療系統合教育研究センター
伊東こずえ [email protected]
URL: http://www.medu.kyushu-u.ac.jp/
トレーニング方法:
1、医療従事者(医師)との会話で困った事、疑問に思った事、嬉しかったエピソ
ードについてディスカッションを行なう。(20 分)
1グループ4〜5 名
KJ 法で、意見を出し、ホワイトボードなど使用し、意見をまとめる。
2、医療従事者(医師)と非医療従事者(患者、家族など)との間の医療面接の意義
や目的について、ディスカッションを行なう。
1グループ4〜5 名でディスカッション(20 分)
①何のために医療面接を行なうのか? ②医療従事者と非医療従事者にとっての、医療面接の目的・意義 グループ発表し、意見を共有する。(10 分) ※適宜、ファシリテーターが補う。 3、ミニレクチャー(20 分)
「医療系学生が受ける教育の現状について」 4、求められる医療面接ができるようになるためには、どのような教育が必要であ
るかディスカッション
1グループ4〜5 名でディスカッション(20 分)
※1990 年以前は医療面接の教育が少なかったことを理解する。
医療面接に対する医療従事者と非医療従事者の眼差しのズレについて考える。
グループ発表し、意見を共有する。(10 分)
※ファシリテーターは適宜情報を提供する。
5、医療面接教育の SP の役割りについてレクチャー(30 分)
①シミュレーション教育における患者役の演技とフィードバックの意義ついて
②学生同士や教師とのロールプレイの教育ではなく、SP との教育が必要なのか?
→ 学生同士や教師では得られない「臨場感」
患者では実施できない「繰り返し」ができる
効果的なフィードバックのできるトレーニングを受けた SP は、医学生に
「気づき」を促す教育効果をもたらす
6、質疑応答、まとめ (20 分)
2. カリキュラム
Ⅲ-2. 医療面接シナリオの理解
意義: 学習者にとって、SP が医療面接シナリオを理解することで、学習者は現
実感のあるロールプレイを体験することができる。
目的:「医療面接シナリオの目的」を理解し、シナリオを読解した上で「読解シ
ート(※)」に患者背景、病状・経過等を記述ができること、学習者の目標と SP
の役割について理解を深めることを目的とする。
運用上のコツ: SP 初心者にとって、シナリオの構成そのものが舞台や映画の台
本とは異なる点やシナリオに書かれた用語に戸惑うことが多く、構成や読み方
を丁寧に説明するように心がける。シナリオに書かれた患者背景や病状・経過
は、「Ⅲ.役作りと演技」のトレーニングの基盤となるため、読解シートの使い
方と共に説明する。シナリオに記載がないものへの対応についても言及してお
く必要がある。また、シナリオの構成や読解シートの理解の確認のために、ク
イズを行う。
方略:学習者参加型のグループワーク
対象人数:20~40 人程度
必要物品:DVD((社)医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)の OSCE 医療面接
のビデオ)、シナリオ読解シート、白板、ペン、クイズ(個人用の問題、グルー
プ用の問題、グループ用の応用問題)
実施時間:1~4…2時間半程度
見学:可能。要予約
連絡先:日本医科大学医学教育センター、日本医科大学 SP の会
Mail: [email protected] (担当 井上千鹿子)
URL: http://www.nms.ac.jp/cme/sp.html
トレーニング方法:
1.シナリオについてのレクチャー(70 分)
シナリオ全体の構成(シナリオのねらい、場面設定、患者の気持ち、患者背景、
現病歴(最初のセリフ)…等)を説明し、シナリオの見方・読み方を解説する。シ
ナリオは、OSCE 医療面接で使用するシナリオなどの設定が細かく複数ページ
に渡るシナリオや、設定が少なくアドリブが多い 1~2 ページの文量のシナリオ
など数種用意して例示する。
シナリオを黙読する時間を十分に設け、質疑応答の時間も設ける。
2.シナリオに書かれた用語の説明(50 分)
シナリオに書かれた用語-部位、性状、程度、経過、起きる状況、増悪因子・
寛解因子、随伴する他の症状、等-を説明する。用語の説明のみではなく、ど
のような場面の質問なのか、(社)医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)の
OSCE 医療面接の説明用 DVD を見せながら解説する。
3.読解シートの使い方(20 分)
シナリオの読み方と併せて、読解シート(※参考図書 1 の p.67~68 で紹介され
ている「タイムライン・ワークシート」を元に改編)の使い方を説明する。
シナリオの場面設定、患者の気持ち、患者背景、現病歴…等の中から、読解シ
ートの上段の項目「主訴に関すること」と「そのほか」に分けて時系列に記載
する。下段には、家系図(家系樹)、主訴、ストレス、希望、心配事を記載してい
く。
読解シートの使い方の説明とは別に、記入の実習の機会を設ける。
「Ⅲ.役作りと
演技」の際に使用するシナリオに基づいて「読解シート」に記入し、SP 養成者
が確認・質問を受け付ける時間を設ける。
※ 参考図書
1.鈴木富雄、阿部恵子著「よくわかる医療面接と模擬患者」名古屋大学出版社 2011
2.Larry K. Michaelsen, Dean X. Parmelee, Kathryn K. McMahon, Ruth E. Levine (編著)、瀬
尾 宏美 (監修)「TBL-医療人を育てるチーム基盤型学習」シナジー 2009
4.ふりかえりシート(10 分)
講義終了後には、シナリオの構成や読解シートの理解を確認するために、4~5
問の知識の確認クイズ「ふりかえりシート」を実施する。講義終了後に個人で
クイズに答え、次の講義の最初に個人用のクイズと同じ問題をグループで解い
て回答を確認し、さらにグループで応用問題に取り組むという 3 つのステップ
で繰り返しクイズを行っている。これは TBL(※参考図書 2)にヒントを得た復習
形式のクイズで、SP の知識が定着するほか、クイズを解くグループを毎回固定
することで SP 同士の交流になっている。
(例) 読解シートの書き方について、正しいものに○、誤っているものに×を入
れてください。
設問
正解
A.四分割の表には、主訴、ストレス、希望、心配事について書く。
○
B.シナリオを読んで、時系列に「主訴」と「そのほか」を分けて書く。
○
C.家系樹/家系図には、血のつながらない家族については書かない。
×
2. カリキュラム Ⅲ-2.医療面接シナリオの理解 意義: SPが正しくシナリオの中身を理解することは演技やフィードバックの質や内容にまで影
響が及ぶ。教育目的に沿った適切なシナリオの理解があると、学習者への教育効果が向上する。 目的: 教育目的に沿った演技やフィードバックにつながるよう、SPが適切なシナリオ理解ができ
ているかの確認と、シナリオを修正する必要があるかどうかを判断すること。 運用上のコツ: SPは一人ひとりがそれぞれ個別の生活背景や価値観を持っているので、同じシナ
リオを読んでも、捉え方には大なり小なり差が生じる。また何気なく盛り込んだ内容がSPに誤解
を与えてしまうこともある。そのため、シナリオに対する質問や感想を聞く機会や、演技やフィー
ドバックの練習の場を設けて、SPのシナリオ理解が教育目的に沿ったものであるかどうかを確認
することが必要である。また、気兼ねなく意見を出してもらえるような日頃の関係づくりも重要で
ある。 方略 :Simulated Patient の場合 …… 個人練習 Standardized Patient の場合 …… グループ練習 対象人数:Simulated Patient の場合 …… 1名ずつ Standardized Patient の場合 …… 10 名程度 必要物品:シナリオ、筆記具、あればインターネット接続可能なパソコンや本など 実施時間:Simulated Patient の場合 …… 演技とフィードバックの練習を含め、 1時間半程度 Standardized Patient の場合 …… 一人ずつの演技練習を含めて2~3時間 見学 :可能 連絡先 :NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル) http://www.coml.gr.jp 模擬患者活動担当 山田彩乃 [email protected] << Simulated Patient の医療面接シナリオ理解 >> COMLではSP一人ひとりに合わせたオーダーメイドのシナリオを作成し、SPそれぞれが自
分のシナリオを理解し役作りをする。新しいシナリオを作成した際には必ず実際に演じるSPと話
し合い、疑問点の解消・すり合わせや、演技・フィードバックの練習を重ね、シナリオの理解に齟
齬がないか確認することが必要である。 1.シナリオに対する疑問点などの確認(15 分程度) 2.役作り(15 分程度) 3.医療面接練習(15 分前後) 4.フィードバック練習(15 分前後) 5.シナリオの理解や演技・フィードバックについて、適切だったか話し合い(30 分) 以下は当グループのSPが、シナリオを理解するために気をつけていることのまとめである。 ●シナリオ内の「設定とねらい」を読んで、シナリオの目的を理解し、それを念頭に役作りをおこ
なう。(設定とねらいについては別紙参照) ●シナリオを渡されたら、その患者の生い立ちや人生経験、日々の生活の流れ、いつから問題の病
気と関わっているのかなどの事柄を、頭のなかで一つの時系列に織り込んで具体的なイメージを
整理していく。 ●シナリオをイメージしたり役作りをしたりする際に、しっくりこないところや違和感があるとこ
ろ、具体的にわからない箇所をそのままにせず確認する。確認方法としては、病状に関すること
ならSP養成にかかわっている医療者に尋ね、生活部分に関することならインターネットや本、
経験者に情報を求めるなどの方法がある。 (例1)シナリオ内に「咳が続いている」とあった場合は、どのような咳で、頻度はどのぐらい
なのか、などを確認し、そこから「日常生活のこういった場面で支障が出ているのだろ
う」とイメージができるようにする。 (例2)シナリオ内に「義母の介護をしている」とあった場合に、介護度はどのぐらいか、ヘル
パーは週に何日来ているのか、ほかの家族の協力は得られているのか、などの情報を埋
めることができるように、確認したりや情報を集めたりする。 ※それでもなおSPの違和感が解消されない場合は、養成者がシナリオを書き直すことも必要に
なってくる。 ●一度適切な理解や納得をしたとしても、しばらくして再度同じシナリオを使用する際には、医療
制度が変わっていたり、SP自身の価値観や環境に変化があったりして、新たな疑問が生じるこ
ともある。その都度疑問点を解消できるように、養成者に確認をする。 << Standardized Patient の医療面接シナリオ理解 >> 統一したシナリオを複数人で担当する場合は、合同のシナリオ練習会を開催し、シナリオの理解
を揃えることが必要になってくる。 1.シナリオに対する疑問点などを出し合う(30 分程度) 2.1を踏まえたうえで暗記(20 分程度) 3.一人ずつ医療面接練習(10 分×人数) 4.一人ずつ、受け答えがシナリオ通りだったかどうかの確認と、追加してすり合わせたほう
がいいと思われる事項について話し合い(5分×人数) 以下は、当グループの標準SPが、シナリオ理解のために気をつけていることのまとめである。 ●標準化のためには、シナリオ内の受け答えを正確に覚え、的確に答えられるようにすることが一
番大事だが、やはりシナリオを深く理解しようとすると上記 Simulated Patient と同様、病状や
生活背景などに疑問が生じる場合がある。きちんと然るべき確認をし、そのシナリオを担当する
標準SP全員で情報を共有することが必要。 ●Simulated Patient のシナリオ理解との共通点は、きちんとその患者像がイメージできるように
努力すること。しかし、シナリオの内容に対して違和感が生じた場合に、共用試験 OSCE 等の場
合は内容を変更することができないので、割り切ってシナリオ通りに演じなければならないこと
が大きな違いである。 ●シナリオの内容以外にも、学生から聞かれそうな質問項目や、すり合わせたほうがいい細かい病
状・生活背景については、SP養成者に確認しながら標準SP全員で追加情報を統一する。 別紙1 設定とねらいの例 (フィードバックの前に、全体に向けて読みあげる、シナリオ設定の要約とねらいの説明文書) (設定) 私が先ほど演じました患者、秋○涼○さんは 45 歳。オーダーメイドの自転車屋で職人として
勤務する一人暮らしの男性です。資料(フェイスシート)にあるように昨日この病院を受診しま
した。ところが今朝、病院から電話がかかってきて、入院が必要になる可能性もあるのでと来院
を求められました。昨日のドクターには、そのようなことをお聞きしていなかったので驚きまし
た。電話がかかってくるほどなので、重い病状かもしれないとは考えましたが、それほど大きな
病気があるようには思えず、何かの間違いではないかという気持ちです。 実は来週から、妹の息子である6歳の甥を2週間預かる予定です。妹はこれまでシングルマザ
ーだったのですが、ようやくいい男性と出会い結婚することになりました。その新婚旅行でヨー
ロッパに行くので、その間甥の面倒を見ることになったのです。両親はすでに他界しており、ほ
かに預かってもらえる人はいませんし、これまで苦労してきた妹には、旅行を楽しんできてほし
いと思っています。 (ねらい) このシナリオは、あまり自覚症状がない患者に、なるべく早く入院したほうがよいことを伝え
る場面が設定されています。単に悪い情報を伝えるだけでなく、患者の生活状況をよく理解した
うえで病状の説明をし、患者の理解を得るのに適切なコミュニケーションを考えてもらうのがね
らいとなっています。 2. カリキュラム Ⅲ-2.医療面接シナリオの理解 意義: SP が医療面接のシナリオを的確に理解していることは、学習者が患者の
身体症状や心理社会的な背景を聴取するトレーニングのために不可欠な要素で
ある。 目的:全ての参加 SP がシナリオの場面設定(患者の身体症状、心理社会的背景、
解釈モデル、医療人への希望など)を正しく理解し、患者の役作りが適切にで
きるようになること。 運用上のコツ:指導者が、シナリオ演習のはじめに演じる患者の身体症状や臨
床経過について、わかりやすく説明することが SP の負担軽減につながる。グル
ープワークでは、シナリオを読み合わせながら役柄の理解を深める。適宜、ロ
ールプレーを行い、理解できないことや演じにくい点をあげてもらうと良い。
SP 間でシナリオの解釈に違いが生じないよう全体セッションで再確認する。ま
た、指導者は SP の経験や能力の違いに十分配慮し、全員のパフォーマンスを高
めることを念頭に置く。 方略:グループワーク、全体セッション(説明、質疑応答、ミニレクチャー)
対象人数:30~50 人
必要物品:パソコン、液晶プロジェクター、ホワイトボード、ピンマイク(2
本)、ビデオカメラ、モニターテレビ(50 インチ程度)
実施時間:2 時間 (4 月~10 月の火曜日午後、隔週)
見学:可能。事前にお問い合わせください。
連絡先:福島県立医科大学 医療人育成・支援センター
本谷亮 石川和信
[email protected]
福島医大模擬患者の会
URL http://www.fmu.ac.jp/home/cmecd/mogikan.html
1
トレーニング方法: 1.参加 SP 全体へのシナリオのアウトライン説明(10 分)
➣ シナリオ作成者(医師などの医療人が望ましい)から
① シナリオのねらい(学習ポイント)
② 場面設定(身体症状、心理社会的背景、解釈モデル、医療人への希望、等)
③ 演技のポイント(言語的・準言語的・非言語的表現について)
(例:耳が聞こえにくい役を演じるので、「少し聞こえにくいのですが。」と
聞き返す、聞こえが良い方の耳を前に出すようにする)
2.グループワーク(60 分)
➣ 1 グループは 3~4 人の SP で編成
・医師役、患者役、観察者役を担当する
・1 グループの人数が 4 人になる場合は、観察者は 2 人となる
➣ 2~3 の SP グループ毎に 1 人の教員がファシリテート
➣ シナリオ読み合わせ
・グループごとにシナリオ内容や表現を確認し記憶する
➣ 演技の練習
・医師役、患者役、観察者役は、適宜、ローテーションして演じる
(例:1 回目 A さん:医師役、B さん:患者役、C さん:観察者役
2 回目 A さん:患者役、B さん:観察者役、C さん:医師役)
・標準的な(10 分程度)医療面接シナリオであれば、3~4 回、交代しながら
行い、全員が患者役を演じることが望ましい
・疑問点は、適宜、経験のある SP や教員とやりとりして解決する
3.全体セッション(35 分)
➣ 教員の代表が司会進行し、タイムキーパーとなる
(1)模擬演技
・代表 2 グループ(10 分×2)
・あらかじめグループワークの時間中に医師役、患者役を決めてもらう
・別室で模擬演技をテレビモニターで全員が観察・視聴
・医師役・患者役に演技後の感想を簡単に述べてもらう(皆で拍手!!)
(2) ディスカッション
・SP の理解度・解釈を確認
① シナリオのねらい ② 場面設定 ③ 演技のポイント
・参加者からシナリオが実際の臨床場面として問題がないかどうか、意見を聴
取して検討する。海外のシナリオや他の地域のシナリオは、自分達の生活習
慣や社会的状況などに合わせるように、適宜、変更する
4.シナリオの理解を深めるためのミニ医学レクチャー(15 分) 担当教員から
・SP のシナリオ理解を助ける
・SP としてのモチベーションを高める効果が期待される
2
2. カリキュラム
Ⅲ-3. 役作りと演技
意義: 学習者にとって、SP がシナリオに基づいた役作りと演技をすることで、
学習者は現実感のあるロールプレイを体験することができる。
目的: SP は医療面接シナリオに基づいて、役作りと演技ができるようになるこ
とを目的とする。
運用上のコツ: SP に患者役の演技に慣れてもらうためにロールプレイの時間を
十分に取り、繰り返し演技の練習を行う。SP 初心者と経験者で 2 人組になって
練習し、適宜ペアを変えながら練習を行う。最初は簡易なシナリオを用い、医
療面接シナリオと使い分ける。SP 初心者向けに、まず患者役としての演技を体
験することを重視する。そのため、
「役作り」や「演技のすり合わせ」の一部の
内容は、養成講座を修了した SP を対象としたフォローアップの練習会や OSCE
医療面接の練習で取り上げる。OSCE の練習では、シナリオの暗記を兼ねたグ
ループでの演技練習(輪っか練習)を行う。
方略:学習者参加型のグループワーク、ディスカッション
対象人数:20~40 人程度
必要物品:シナリオ、机、椅子、適度な空間
実施時間:15 分~60 分(適宜、「Ⅱ.医学教育における SP 参加型教育」や「Ⅲ.2
医療面接シナリオの理解」と組み合わせて実施し、共用試験 OSCE の医療面接
の練習の際は、「3.役作り」、「4.演技と演技のすりあわせ」、「5.輪っか練習」を
組み合わせる。)
見学:可能。要予約
連絡先:日本医科大学医学教育センター、日本医科大学 SP の会
Mail: [email protected] (担当 井上千鹿子)
URL: http://www.nms.ac.jp/cme/sp.html
トレーニング方法
1.簡易なシナリオを用いたロールプレイ(30 分×2 回)
演技に慣れてもらう目的で、シナリオを手に持ちながら演技の練習を行う。シ
ナリオは、初心者向けに身近な設定のものを選んだ方が患者の気持ちを理解し
やすく、役作りしやすいので、腹痛、腰痛などのシナリオを用いる。SP 同士で
練習するため、医師(学生)からの質問をまとめた医師役(学生役)シナリオを用意
する。
2.場面別の練習 (40 分×4 回)
OSCE の医療面接シナリオに則した設定内容の多いシナリオを用いて練習する
場合、3 つの場面に分けて練習を行い、ロールプレイの流れを練習する機会を設
ける。
① 最初の場面(自己紹介、
「今日はどうなさいましたか?」等の開放型質問への応
答)の練習
② 主訴に関する質問の場面(「その症状はいつから始まりましたか?」等の主訴
に関する閉鎖型質問への応答)の練習
③ 主訴に関すること以外の質問の場面(全身状態、喫煙歴・飲酒歴、既往歴、家
族歴、解釈モデル、等)の練習
④ ①~③を統合したロールプレイ練習を行う。
3.役作り(20~30 分)
役作りは、
「Ⅲ.2 医療面接シナリオの理解」で取り上げた読解シートやディスカ
ッションを通して行っている。SP 養成者から「このシナリオの人物はどんな方
でしょうか?」
「どんなものが好きな方でしょうか?」といった質問を投げかけて、
シナリオに書かれていないことも含めて SP 同士でディスカッションし、シナリ
オの人物であればどのように考えるのか、どのように行動するのかなどを具体
的に話し合って決めていく方式である。役作りの一環で衣装・履物などをある
程度揃えることを行っているが、シナリオに書かれている設定や性格、社会的
背景や病院に来た時の状況などから推測して決めている。
(例)右腕に軽い麻痺がある設定→ネクタイを締めるのが困難なのでノーネクタ
イにする、靴ひもを結ぶのが困難なので紐靴を履いてこない、など
4.演技と演技のすり合わせ(15 分×3 回)
シナリオの内容の解釈の違いから演技に差が出てくる事がしばしば起こり、こ
れを調整することを「演技のすり合わせ」と表現している。SP は、シナリオの
解釈が人によって異なることを理解した上で「演技のすり合わせ」を行い、シ
ナリオの内容に即した現実感のある演技の練習をする。
ここでは、痛みに関する一連の練習を取り上げたが、痛み以外の内容でも「デ
ィスカッション+演技+役作り+演技すりあわせ」の組み合わせで練習すること
ができる。
4-1.痛みの身体表現①みぞおち(鳩尾)の押さえ方(15 分)
みぞおちを押さえる場面は腹痛シナリオを演じる際によく出てくる設定だが、
胸や下腹部など異なる所を押さえる SP が多いので、図を示しながら説明する。
シナリオの内容に即して、どんな場面で、どのように押さえるかなども説明し
ておくと良い。
4-2.痛みの身体表現② 腹部・胸部(15 分×2 回)
体調不良を訴える人物の写真を例示し、写真の人物は体のどの部分の体調不良
を訴え、その痛みがどれくらいなのかを話し合う。体の姿勢によって、どのよ
うに見えるかを意識し、演技の練習を行う。
・腹部を押さえている人物の写真(上腹部/下腹部に手を添えている場面、口元を
ゆがめて下腹部を押さえている場面、前かがみで上腹部/下腹部を押さえている
場面…e.t.c.)を見せ、どこが、どれくらい痛いかを話し合う。(15 分)
・胸部を押さえる人物の写真(胸元に手を添えている場面、胸元を両手で押さえ
ている場面…e.t.c.)を用い、胸がドキドキしている場面か、胸が苦しい場面なの
か、胸が痛い場面なのかを話し合う。(15 分)
4-3. 痛みの身体表現③ 痛みの程度(15 分×3 回)
シナリオに書かれている「痛みの程度」
(文章による表現、10 段階の痛みの評価)
は、人によって解釈が異なることをグループでの意見交換を通じて理解し、演
技の練習を行う。
・
「痛みの表現」についてのディスカッション(15 分)…シナリオに書かれている
「ひどく痛い」「我慢できるけど痛い」等の表現に関して、どのように解釈し、
演技をするかを SP 同士で話し合い、どのような演じ方にするかをグループでデ
ィスカッションする。
・10 段階の痛みについてのディスカッション(15 分)…シナリオに書かれている
10 段階の痛みの表現(ペイン・スケール)に関して、どのように解釈するかを SP
同士で話し合い、どのような演じ方にするかをグループでディスカッションす
る。
・演じ分けゲーム(15 分)
…10 段階の痛みの評価に基づいた 1~10 までの数字が書かれたくじを引き、引
いたくじの数字を「痛みの程度」に当てはめて演じる方法で、演技練習を兼ね
たゲームである。6~7 名のグループでくじ引きを行い、数字を明かさずに隣同
士で痛みの演技をしながら会話を交わし、お互いの痛みの程度を探り合いなが
ら痛みの強い順番に並ぶ。全員並び終わったところで互いの数字を明かす。 複
数グループがある場合は、グループ間で競争することもできる。
5.輪っか練習(40~60 分)
5~6 人の円陣を組んで行うグループ練習で、OSCE 医療面接シナリオを暗記す
るために行う。SP と養成者が輪になって座り、SP は養成者からの質問に順次
答えていく練習方法である。質問に対する応答が間違っていた場合、次の SP に
進み、正しい応答が得られるまで同じ質問を繰り返し聞いていく。この際、シ
ナリオに書かれていない質問をしたり、質問の表現や言い方を変えたりすると、
SP は様々なシチュエーションを練習できる。とりわけ初心者はシナリオに書か
れた順番どおりに記憶し、順番どおり質問されることを期待する傾向があるが、
ランダムに質問することで医師役への対応を練習することができる。
輪っか練習は、シナリオの暗記のために行うので演技には重点を置かないが、
演技の標準化が促される。SP が互いの演技を見ながら練習するので、互いの言
い回しの違いを意識するようになり、声のトーンやスピードなどが自然と揃っ
てくる。
2. カリキュラム Ⅲ-3. 役作りと演技 意義:SP が患者の生活や気持ちに基づいた役作りをすることは、学習者に対して、社会の 中で生きている患者をイメージさせ、その気持ちに配慮したコミュニケーションの取り方 や治療方針の選択について学習させることができる。 目的:シナリオに描かれている疾患の症状や生活背景を明確にイメージし、その状況に応 じた患者の感情に沿った演技や応答ができるようになる。 運用上のコツ: 医学部生、養成講座講師(医師)と実際にロールプレイをすることでよ り実践的なトレーニングを行う。講師からの演技に対するフィードバック、および、参加 者相互に患者を演じてみて感じたことをその場の全員が共有することで、自らの演技を客 観的に振り返ることができるようにする。しっかりした役作りと演技は、フィードバック にもつながる。 ※SP が行うフィードバックのやり方とその訓練方法が確立され難いと言われているが、こ
の「役作り」がフィードバックの際に非常に重要となる。 方略:学習者参加型のグループワーク 対象人数:10〜15 人程度(30 人程度まで可能) 必要物品:シナリオ、タイマー 実施時間:2 時間 30 分 見学・参加:可能、要予約(参加費あり) 連絡先:NPO 法人・響き合いネットワーク 岡山 SP 研究会 代表 前田純子, 事務局 坂田真砂子([email protected]) 研究会 Web ページ URL →http://okayamasp.main.jp/ トレーニング方法: 1、アイスブレイク(10 分) 自己紹介もかねて今の気持ちを話してもらう。 2、「患者のイメージを膨らませる」のミニレクチャー(25 分) ・シナリオに書かれている病気の症状を時系列で整理し覚える(10 分) ・シナリオを時系列で覚える中で、シナリオに描かれている人物像、生活状況、 周りの環境などのイメージを膨らませる(15 分) 【時系列での症状の暗記から、映像をともなった豊かな背景を持つ患者の時間軸 への流れに変化をもたらすことが目標である】 3、小グループでロールプレイの練習(10 分×グループの人数) ・グループ毎に医学部生(ボランティアで参加)を相手に、患者を演じる。 ・ロールプレイ後に分かち合いをする(それぞれ 5 分)。 4、全体で分かち合い(10 分) ロールプレイをしてみての感想をそれぞれ出し合う。 5、講師(医師)によるミニレクチャー(20 分) ・受講者のロールプレイをみたフィードバック ・医療者側からみた SP がイメージを膨らませてロールプレイに臨む意義 6、講師(医師)と SP のデモンストレーション(15 分) ・すでに SP として活動している SP が受講者と同じシナリオでロールプレイ 【先輩 SP と医師のデモンストレーションを見ることでより深い背景を持った 患者像を実感し、自らの課題を見出すことに役立てている】 7、全体を通しての感想と分かち合い(20 分) ※本プログラムの目的は、本講座の受講のみで達成されるものではない。SP とし
て日常から人の思いや気持ちを感じる訓練を経て近づくことができる目標である。 ※当養成講座では、連続した3回の講座で1つのシナリオを繰り返し演じる中で、
役作りと演技、フィードバックについて学ぶ。 ※当研究会では、言葉では伝えることのできない部分を最も重要視していることを
あえて付け加えておく。 参考資料 岡山 SP 研究会の模擬患者(SP)養成講座 全 4 巻セット 医学映像教育センター 2. カリキュラム
III-3. 役作りと演技
意義: 学習者(研修者)に SP との医療面接を体験することによって、患者と
のコミュニケーション技術を高める機会を与える。またその医療面接を観察す
ることで、観察者の学習意欲を高める。
目的: 詳細に設定された背景や気持ちをもとに患者になりきる役作りと、本
物の患者に近い演技をする。その結果、医療面接の中でごく自然的な気持ちの
変化や心の動きが生ずる。
運用上のコツ:シナリオ上に設定された患者背景を十分に理解し、医療面接の
場面設定に至るまでの生活についてイメージしながら役作りする。練習で医療
面接を行い、患者としての立ち位置(医療面接への気持ちの入り方、不安な内
容など)を決め、役作りや演技に矛盾がないかを確かめる。その際、第3者に
よる演技についての観察、指摘、評価も必要である。続けて同じ患者を演ずる
ときは、一度振り返りを行い(気持ちの変化を正確に記録してから)気持ちを
リセットし、次の医療面接に臨む。
方略 : 学習者参加型グループワーク
対象人数 : 50名程度 (100名での実施もあり)
必要物品 : シナリオ、コードレスマイク2本、フェースシート、
観察者用ワークシート、ペン、白板
実施時間 :一回の医療面接で45分~Ⅰ時間程度
見学 :可能、事前連絡
連絡先 : 静岡市葵区安東 1-22-25
医療コミュニケーション研究会
森田 みつ子 HP :http://www.smc-jp.com/
トレーニング方法:
○目標に掲げる事項
・シナリオに忠実な役作り
・SP 自身が違和感なく演じられること
・第三者からみて不自然でない演技
○参加者
司会進行役、医療面接の相手役、SP(各1名)
観察者(数名)
○トレーニング方法
〔準備〕作成されたシナリオをできる限り読み込み患者役の生活者としての
イメージを作る。ここでどうしてもイメージがわかない部分についてはその点
をチェックしておく
①シナリオの場面設定で、実際に医療者の相手役と医療面接のデモ(10分
~15分)
(このとき練習相手の医療者は可能な限り研修時の職種の人を選出)
②患者役を演じてみての感想 (5分~10分)
・無理のない範囲で演じられたか
・面接中の役についての違和感について
・面接中に起きた感情の変化の有無について
③観察者からの SP の演技、言動についての感想、意見、指摘(各自2分程度)
このとき面接相手に SP についての演技について感想をもらうこともあり
④②、③の内容について全体での話し合い、修正点を明確にする(30分~1
時間)
場合によってはシナリオについても検討し、加筆訂正を行う
⑤再度②~④を実施し、上記の目標に近づける
2. カリキュラム III-4 フィードバックと評価 意義: 学習者にとって、SP の適切なフィードバックは、自身の行動への気づきを与え、
コミュニケーション能力を高める。また、患者の思いを知る機会となる。 目的: 模擬患者がフィードバックの基本ルールを理解し、学習者に対して建設的なフィ
ードバックができるようになること。 運用上のコツ: SP にとって、「フィードバックは難しい」という先入観を持ちやすいの
で、トレーニングでは SP に対して*PNP で指導し、次につながるような楽しい勉強会を心
がける。また、普段やりなれていないことでもあるので、繰り返しトレーニングを行う。
1年くらいで上達が見えるようになる。また、新人からルールをしっかり身につけるとフ
ィードバックにブレが少ない。 *PNP: positive+Negative+Positive の頭文字を取った略語。最初に良かったところを褒め、
次に、改善すべき点を指摘して、最後に改善を含めて次のアクションを高めるような肯定
的な内容の提案をする。 方略:学習者参加型のグループワーク 対象人数:50人程度 必要物品:フィードバックワークシート(別紙参照)、白板、ペン 実施時間:2時間程度 見学:可能。要予約 連絡先:名古屋大学地域医療教育学講座 阿部恵子 [email protected] 名古屋 SP 研究会 URL: http://www.med.nagoya-u.ac.jp/general/meidaisp/ トレーニング方法: 1、フィードバックについてのミニレクチャー(図書参照)(50分) Ø
基本ルール ・ 「学習者の言動」と「SP の感じた事・考えた事」をセットにする ・ 役柄から抜けて客観的に伝える ・ Positive + Negative + Positive (PNP)のサンドイッチで伝える Ø
避けたい8つのフィードバック(図書参照) ① 漠然とした言い方 ②場外の出来事 ③人間の尊厳の配慮を欠く ④一般論や自分の価値観 ⑤ないものねだり ⑥欲張り ⑦自分の不出来を伝える ⑧ファシリテーターの視点になる Ø
質疑応答 2、全体で医療面接のデモを実施(10分) 3、各自でフィードバック作成(10分) デモの患者役になったと仮定して、各自でフィードバックを作成し、 フィードバックワークシートに書く。 4、グループでフィードバックの共有(10分) 6〜8人1グループでフィードバックを紹介し合う。 一番良いと思うフィードバックを PNP*で作成する。 5、全体でフィードバックの共有(30分) グループごとにフィードバックを聴き、白板に書く。その際、学習者の言動 (事実)と患者の思いに下線を引くなどして、ルールに沿っているかを明確 化する。改善が必要なものは、どのような言い方にしたら良いフィードバック になるかをみんなで検討する。 6、最もよいフィードバックは花丸をつけて共有、まとめ(10分) *PNP: positive+Negative+Positive の頭文字を取った略語。最初に良かったところを 褒め、次に、改善すべき点を指摘して、最後に改善を含めて次のアクションを高める ような肯定的な内容の提案をする。 参考図書: 鈴木富雄、阿部恵子著、「よくわかる医療面接と模擬患者」名古屋大学出版社 2011 別紙:フィードバックワークシート 2. カリキュラム
III-4. フィードバックと評価 意義: SP の適切なフィードバックは、患者の思いを知る機会となり学習者自身への強い
気づきを与え、コミュニケーション能力、プロフェショナル意識を高める。特に低学年か
らの効果が大きいと考えられるが学年別の対応についても今後検討が必要である。
目的: 1 年 4 年 6 年OSCE医療面接OSCEの実際の複数の事例を共有し、模擬患者
がフィードバックの基本ルールを理解し、学習者に対して建設的なフィードバックができ
るようになること。
運用上のコツ: 評価への不安を取り除くため、OSCEのビデオをもちいて実例を多く
提供し評価の訓練を行う。トレーニングでは SP に対して PNP*で指導し、次につながる
ような楽しい勉強会を心がける。実際のSPの評価のみならず、学習者同志の同一SPへ
のOSCEグループビデオ検討レポート、SPからの評価についての感想レポート等も利
用し、学年ごとの学習者の視点からも検討する。学年やテーマを変え、ワンセット2-3
回のセミナーによりトレーニング効果が上がってくる。
* PNP(Positive-Negative-Positive): 最初に良かったことを褒め、その次に改善すべき点
を指摘し、最後に改善を含めて次の行動を高めるような肯定的な内容の提案をすること。
方略:学習者参加型の 1 年 4 年 6 年次
医療面接OSCEビデオ画像によるグループワーク
対象人数:12人程度 (3名班 x 3チーム)
必要物品:各班にフィードバックワークシート、白板、ペン、
PCと実際の各学年OSCE等映像と
SPによる評価シート;各分野の点数とコメント例
(および参考程度:学習者同志の同一SPへのグループビデオ反省会レポート)
実施時間:2時間程度
見学:今後実施予定。
連絡先:秋田大学医学教育学講座 長谷川仁志 [email protected]
秋田大模擬患者の会
トレーニング方法:
1、フィードバックについてのミニレクチャー(図書参照)(50分)
Ø
基本ルール、避けたい8つのフィードバック等をおこなう。(図書参照)
Ø
質疑応答
2、全体で医療面接のデモビデオ数名分鑑賞
(5分x4学習者 同一模擬患者さん あるいは、
テーマにより 別でもOK。目的に応じて)
3、グループ別に事例を割り当てる、
まずは各自でフィードバック作成(10分)
デモの患者役になったと仮定して、評価とコメントを作成し、
フィードバックワークシートに書く。
4、グループでフィードバックの共有(10分)
4 名1グループでフィードバックを紹介し合う。
一番良いと思うフィードバックを PNP*で作成する。
5、全体で各事例のフィードバックの共有(30分)
グループごとにフィードバックを聴き、白板に書く。その際、学習者の言動
(事実)と患者の思いに下線を引くなどして、ルールに沿っているかを明確
化する。改善が必要なものは、どのような言い方にしたら良いフィードバック
になるかをみんなで検討する。
6、最もよいフィードバックは花丸をつけて共有、まとめ(10分)
徐々に学年別の対応について等の検討進める。
参考図書
鈴木富雄、阿部恵子著、「よくわかる医療面接と模擬患者」名古屋大学出版社 2011
* PNP(Positive-Negative-Positive): 最初に良かったことを褒め、その次に改善すべき
点を指摘し、最後に改善を含めて次の行動を高めるような肯定的な内容の提案をするこ
と。
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