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Page 1 学校法人北海学園 Ilekkai-Gakuen Or9anization of

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Page 1 学校法人北海学園 Ilekkai-Gakuen Or9anization of
 タイトル
電子社会におけるクレジットカードの役割
著者
松原, 英二
引用
北海商科大学論集, 1(1): 47-55
発行日
2009-11-00
47
電 子 社 会 に お け る ク レジ ッ トカ ー ドの 役 割
松
1は
原
英
二
じめ に
わ が 国 で は じめ て ク レジ ッ トカ ー ドが 発 行 され た 昭 和35(1960)年
、 カー ドは 単 な る1Dを
した だ け の もの だ っ た 。 や が て 、磁 気 ス トラ イ プの つ い た い わ ゆ る 電 子 情 報 式IDカ
記入
ー ドに な り、
今 や 王Cカ ー ドが標 準 型 に な りつ つ あ る 。 この 間 約50年 で あ る。 半 世 紀 を経 て 、 ク レジ ッ トカ ー ド
は最 新 技 術 に 支 え られ た消 費 者 の 日常 の携 帯 デ バ イ ス に な っ て い る が 、 ク レジ ッ ト業 昇 全 体 の 視 点
で み る と、金 融 お よび 消 費経 済 の 領域 に お い て 、 ク レジ ッ トカー ドあ る い は ク レジ ッ ト金 般 の ポ ジ
シ ョ ンが 大 き く変 わ っ て きた とい っ て よい 。 ク レジ ッ ト自体 が 消 費 を支 え る サ ブ ・ッ ー ル で あ る こ
とか らす れ ば 、現 代 入 の 生 活 に不 可 欠 な ア イテ ム
サ ー ビ ス等 一
イ入
衣 食 住 や 自動 車 、 家 電 、IT、
娯楽、各種
と 隅等 の水 準 で語 る こ とは で きな い が 、 淘 汰 な い しは 自然 消 滅 、 衰 退 して きた デ バ
レ コ ー ド、 レーザ ー ・デ ィス ク 、 ポ ケ ベ ル 、 タイ プ ラ イ ター 、 公 衆 電話 等 一
た 別 カ テ ゴ'J-、
とは異 な っ
た とえ ば進 化 タ イ プ の ッ ー ル とみ な す こ とが で きる 。
本 稿 は 、電 子 社 会 に お け る ク レジ ッ トカ ー ドの 方 向性 を模 索 す る こ とに す る 。 次 節 で は 、電 子 社
会 の概 要 を説 明 す る た め に 、 わ れ わ れ の 身 近 の メ デ ィア(機 器)が
どの よ うな ラ イ フ サ イ ク ル の デ
バ イ ス だ っ た か を 提 示 し、 ク レ ジ ッ ト ・デ バ イ ス との 穀 比 を 試 み る。 第3蜘
ま、 最 嚢 の ク レ ジ ッ
ト ・デ バ イ ス と して イ ン タ ー ネ ッ ト利 用 の ク レジ ッ トとケ ー タイ ク レジ ッ トを取 り上 げ 、 そ の特 微
を吟 味 す るO第4節
は 、 ク レジ ッ ト ・デバ イ ス を貨 幣 経 済学 的視 点 か ら論 じる。 最 終 節 は 本稿 の ま
とめ と して、 現 代 ク レジ ッ ト全 般 の傾 向 と得失 を論 じる 。
∬
電 子 社 会 に お け る ク レ ジ ッ トの変 容
変 化 の早 い 事 象 を表 現 す る 用 語 は 重 要 度 や 使 用 頻 度 も変TL'す る 傾 向 に あ る 。1970代
後半 、
キ ャ ッ シ ュ レ ス な る 用 語 が 新 語 と して 登 場 し、 多 くの 文 献 や メ デ ィ ア で 使 わ れ て い た が 、 今 や
キ ャ ッ シ ュ レス は弼 語 で は な い もの の、 と りた て て特 別扱 い され る よ う な用 語 で は な い。 こ う した
例 と して 、 ク レジ ッ トの 分 野 で はサ ラ 金(サ
ラ リー マ ン金 融)が
あ る。 周 知 の よ う に 、 これ は イ
メー ジの 問 題 で 業 鼻 内 部 か ら メデ ィ ア等 に使 用 しな い よ う に鋤 きか け た もの で あ るが 、 こ れ も死 語
で はな い の で 、 経 済 評 論 家 の 中 に は未 だ に使 胴 を差 し控 え な い もの もい る。
電 子 社 会 は 、 電 子 と社 会 と い う独 立 して 聞 け ば容 易 に イ メ ー ジで きる ものが 「
電 子 社 会 」 と統 合
す る とtl-一__F21U-]itsに
映 るか も しれ ない が 、ITや
で あ る0い
デ ジ タ ル ・エ コ ノ ミー と 同類 語 と して使 わ れ る よ う
う まで もな く、 工Tは 情 報 技 術 の こ とで あ り、 デ ジ タル2>は 情 報 のilfl工・伝 送 の タ
イプ で あ る。 これ らが す べ て 電 子 ない しは電 気 処 理 技 術 に よ る こ とか ら そ れ ら を総 揺 してr電 子 」
とい う最 も大 き な カテ ゴ リー で 表 現 す る こ と もで き る。
した が って 電 子社 会 は 、 商 取 引 は も ち ろ んの こ と、 製 造 や 流 通 、 物 流 、 金 融 、 ビ ジ ネ ス、 果 て は
政 治 に 至 る まで あ らゆ る領 域 で 共 通 に使 われ て い る コ ン ピ ュ ー タ を 申心 デバ イ ス と した有 線 の 情 報
ネ ッ トワ ー ク や デ ジ タル 伝 送 の 電 波 に よ る無 線 通 信 が 導 入 さ れ た経 済 主 体 の 総 体 を指 す こ と に な
る 。 た とえ ば 、 本稿 で 取 り上 げ る ク レ ジ ッ トカー ドは テ レ ビや パ ソ コ ン を購 入 した と き に現 金 に換
48
わ っ て 支払 う手段 で あ った が 、 今 や 、 そ の ク レ ジ ッ トカー ド支 払 い が パ ソ コ ンや テ レビで 行 う こ と
が で きる の で あ る 。 多 少 制 約 を緩 め て 表 現 す れ ば 、 ク レ ジ ッ トカ ー ドの 王D機 能 が 家 庭 の デ ジ タ ル
機 器 で使 え る よ うに な っ た とい う意 味 で 、 地 デ ジ 対 応 の テ レ ビや イ ン ター ネ ッ トが 使 え るパ ソ コ ン
が ク レジ ッ トカ ー ド ・リー ダ ー に 化 した の で あ る 。
ク レジ ッ トカ ー ドの進 化 過程 を み る と、 単 な る1D機
二 世 代 、環 在 のICチ
能 だ け の 第 一 世 代 、 磁 気 ス トライ プ 付 の 第
ップ付 は 第 三世 代 に分 類 さ れ る 。 こ れ らは技 術 的 進 歩 と軌 を 一 に して お り、
亙Cチ ップが 開発 さ れ て い な い時 代 に は磁 気 ス トラ イ プ式 カ ー ドしか使 え な い の は 当 然 で あ る が 、
セ キ ュ リ テ ィ ーへ の 要 求 水 準 が 高 ま っ た の で 亙Cカ ー ドに移 行 せ ざる を得 な か っ た の で あ る が 、 こ
の よ う なニ ー ズ と技 術 利 用 の 同 時 期 性 は あ なが ち偶 然 と は い え な い か も しれ な い 。企 業 の技 術 者 な
ら ビ ジ ネス ・ユ ー ス を考ry;せざ る を得 な いで あ ろ う か ら 、ICや
コ ン ピュ ー タ 、 デ ジ タ ル ・ネ ッ ト
ワー ク関 連 の 開 発 技 術 者 はそ れ らの デ バ イ スや 技 術 が 完 成 した後 に は 、比 較 的 短 蒔 問 に薪 商 品 に な
る可 能 性 が あ る。 デ ジ タ ル機 器 の ラ イ フサ イ ク ル は比 較 的 ア ナ ロ グ機 器 の それ よ り短 い。
褒2-1で
は 、 身 近 なAV関
連 の ア ナ ロ グ ・デ ジ タ ル メ デ ィア と機 器 の 簿 命 を ま とめ た もの であ
る。 こ の うち カ セ ッ トと レ コー ド、 β、VHSの4種
類 が ア ナ ロ グ、 そ れ 以 外 は デ ジ タル で あ る。
民 生 機 と して の βは 製 品 販 売 が 終 了 した が 、 ベ ー タ カ ム と呼 ばれ る放 送 局 用 標 準 規 格 の 機 器 と して
生 き残 って い るの で 、 い ず れ の ア ナ ロ グ機 器 も現 行 機 器 とい う こ とが で き る。 カセ ッ トが45年 、 レ
コー ドが100年 以 上 、 β、VHSが30年
義2-1各
以 上 で あ る 。 こ れ に 反 して 、 デ ジ タ ル機 器 とな る とワ ー ドプ
種 メ デ ィ ア ・機 器 の 開 発 年 と特 徴
名称
開 発 年(寿 命 ・終 了)
特徴
カ セ ッ ト ・レ コ ー ダ ー
1962一
DAr,MD,CD,PC,ICな
日 本 語 ワ ー ドプ ロ セ ッ サ ー
1978(約23年)
PCが
レ コ ー ド ・プ レ イ ヤ ー
1951(国
蓄 音 機 で は100年 前 。CDが
内 初LP)
どが 代 替 。
代替。
DAT1>
1987(2005年
終 了)
業 務 用 で わ ず か に残 存 。
DCC2)
1992(2000年
終 了)
カ セ ッ トとコ ン パ チ ブ ル 。
MD3>
1992一
CD
1980一
Q
1975(2002年
`JHS
LD(レ
3本 のみ 普 及。
CD-R,CD-RW等
終 了)
1976一
ー ザ ー デ ィ ス ク)
ソニ ーの 醐 発 。
終 了)
国 内3G5Cは
ス1977年
出 所)根
DVDの
1996一
来 龍 之 ・荒 川Jai.紀 子
田 火 学1丁
録 音 メ デ ィア 有
鰹本 ビ ク タ ーが 開 発 。
1981(2007年
DVD
「ぎ顯 客 コ ン テ ン ッ が 存 在 す る 製Ann,の
パ イ オニ ア。 開 発 は フ ィ リ ッ プ
。
開発 は1990年 代 初 頭 。
予 想 寿 命期 問 の 主 観 的 モ デ ル の 構 築 」 早 稲
戦 略 研 究 所 ワ ー キ ン グ ペ ー パ ー シ リ ー ズNα26、19…20。
(http://www.wasedajp/prj-riirn/paper/2008
代替。
_RIIM-WP-26.Pdf)お
(hrip://vnvw.sonyjp/products/Consumer/media/Kist◎ry/#y1960)、Wikipediaか
注Dデ
ジ タ ル ・オ ー デ ィ オ ・テ ー プ(DigitalAudioTape)
注2)デ
ジ タ ル ・コ ン パ ク ト ・カ セ ッ ト(◎igitalCompactCassette)
注3)ミ
ニ ・デ ィ ス ク(MiniDisc)
よ び ソ ニ ーHP
ら。
電 子社 会 にお ける ク レジ ッ トカ ー ドの役 割49
ロ セ ッサ ー23年 、D蟹,!8年DCC
,8年
、 レー ザ ー ・デ ィス ク26年 で あ る。 後 発 のCD,●i,DVD
が今 後 どれ だ け の 寿 命 が あ る か は定 か で は な いが 、巷 間 い わ れ る とこ ろ で は 、MDは
て い る と示 唆 さ れ る し、DVDも
衰 退 期 に入 っ
ブ ル ー レ イや 圏 定 メデ ィ ア に とっ て 替 わ られ る 可 能姓 もあ る。 こ
の よ うな比 較 で 、 一 概 に 技 箭 の 寿 命 を論 じ られ る と は思 わ ない が 、 進 歩 ス ピー ドが 速 い分 、 終 焉 を
迎 え る 時期 も早 くな っ て い る か も しれ ない 。
電 子 社 会 で は 、 ひ とた び デ ジ タル ・ネ ッ トワー クが 構 築 され る と、 急 速 に端 末 を利 用 した 派 生 ビ
ジ ネ スが 生 ま れ て い く。 以 下 、 クvジ ッ トに 関 連 す る もの を取 り上 げ て み よ う。flit述した よ う に、
ク レジ ッ トカ ー ドは大 き く分 け る と第 三 世 代 まで 分 類 され る もの の 、 基 本 的 にID機
能のセキュ リ
テ ィ ーが 向 上 した もの で あ る の で 、進 化 した こ とは 事 実 で あ る が 、 基 本 機 能 に 変 化 は ない 。 そ の 意
味 で は 、 ク レジ ッ トカ ー ドも単 ∼機 能 で そ ろ そ ろ 半 世 紀 使 わ れ て い る こ とに な る。 磁 気 ス トラ イ プ
が 王Cチ ップ に換 わ っ た こ とは大 きな 変 化 で あ っ た が 、 サ イズ は 変 化 して い な い し、 何 よ りも ク レ
ジ ッ ト決 済 シ ス テ ムへ の ア ク セ ス カ ー ドで あ る こ とに 変 わ りは な い 。
ク レジ ッ トカ ー ドが 目に 兇 え る形 で進 化 した の は 、 カ ー ドに よ らな い ク レジ ッh一
や ク レジ ッ トカー ドと は呼 ぱ な い が一
そ れ は もは
イ ン ター ネ ッ ト売 買 に お け る ク レジ ッ ト利胴 や ケ ー タイ 電
話 に よ る ク レジ ッ ト契 約 で あ ろ う。flitは イ ンタ ー ネ ッ トで 買 い物 を した 場 舎 に 、16桁 の ク レジ ッ
ト会 員 番 号 と有 効 期 限 を キ ー ボ ー ド入 力 す る もの で あ る。 こ れ を梗 宜 的 に ネ ッ トク レジ ッ トと呼 ぼ
う。 後 春 は 、 た と え ば、 み ず ほ銀 行 のHPを
参 照 す る と 、NTTド
コモ の お サ イ フケ ー タイ を使 い 、
「お 持 ち の お サ イ フ ケ ー タ イ を ご利 粥 店 舗 の 読 み 取 り機 に か ざ す だ け で お 支 払 い が 完 了 す る 、簡
単 ・ス ピ ー デ ィ な 後 払 い 式 電 子 マ ネ ー で す 」 と あ る3)。Jt本 的 に は、 電 子 マ ネ ー機 能付 の ケ ー タ
イに ク レ ジ ッh機 能 が 付 加 さ れ た もの で あ る。 当初 はNTTド
だ っ た が 、現 在 はKDDIと
コモ の商 品 名(お サ イ フ ケ ー タ イ)
ソ フ トバ ンク モ バ イ ル もhlじ 商 標 を使 用 して い る 。 以 下 こ れ をケ ー タ
イ ク レジ ッ トと呼 ぶ 。
この よ うに 見 て くる と、 従 来 か らの ク レ ジ ッ トの 分 類 で あ る個 贔割 賦 と総 合 割 賦 のF総 合 」 に分
岐 す る 領域 が で きる こ と に な る。 側 品 割iは 要 す る に書 類 に よ っ て契 約 す る タ イ プの ク レジ ッ トで
あ る が 、総 合 割賦 は カー ドに よ る ク レ ジ ッ トで あ る。 ネ ッ トク レジ ッ トと ケ ー タ イ ク レジ ッ トは 、
まっ た く新 しい タ イ プの ク レ ジ ッ ト ・デ バ イス で あ る。
IIネ
ッ トク レ ジ ッ トと ケ ー タ イ ク レ ジ ッ トの 経 済 学 的 特 徴
薪 タ イ プ の ク レジ ッ ト ・デ バ イ ス た る ネ ッ トク レ ジ ッrと ケー タ イ ク レジ ッ トは経 済 学 的 に どの
よう に捉 え れ ば よ い の で あ ろ うか 。
!ネ
ッ トク レ ジ ッ ト
従 来 の ク レジ ッ トカ ー ドに よる ク レジ ッ ト契 約 は 既 存 の ク レジ ッ ト ・ネ ッ トワー ク ・シス テ ムへ
の ア ク セ ス カ ー ドと して ク レジ ッ トカ ー ドが機 能 して い た 。 カー ドは い わ ば ポ ー タブ ル の 王D機 器
であ る。 ク レジ ッ ト決済 で は 、 「
誰 がjrい
か ら、 支 払 者 のIDが
つjr何
をjrい
く ら」 支 払 っ た か が きわ め て 重 要 で あ る
決 定 的 に重 要 とな る。 支 払者 が 本 入 で あ る こ と を示 す 手段 は も ち ろん カー ド
だ けで は ない 。 近 年 金 融 機 関 で試 行 され て い る 指紋 に よる 静 脈 認 証 や 瞳 の 中 の 虹 彩 を利 胴 す る い わ
ゆ る生 体 認 証(biometrics)な
どは 、 お そ ら くは最 も確 度 の 高 い 亙D識SiJ方 法 で あ ろ う。 こ れ に 比
べ れ ば ク レ ジ ッ トカ ー ドは盗 難 や偽 造 な どの 問 題が 払 拭 で きな い で い た か ら、 世 界 中 に 唯 一 つ とい
50
うIDを
確 定す る た め に よ り有利 な 生体 認 証 を普 及 させ る こ とで セ キ ュ リテ ィー を飛 躍 的 に 向 上 さ
せ る で あ ろ う。
こ の よ うに現 在 実 現 して い る最 も儒 頼 性 の 高 い生 体 認 証 を基 準 に して み る とネ ッ トク レジ ッ トの
セ キ ュ リテ ィ ー は比 較 に な らな い ほ ど信 頼 性 が 低 い。 ク レジ ッ トカ ー ドの情 報 お よび 生年 月 日等 を
入 手 して い れ ば 、誰 で もい く らで も ク レ ジ ッF購 入 で きる か らで あ る。 もち ろ ん こ れ は犯 罪 な い し
は犯 罪 に近 い行 為 で あ るが 、 セ キ ュ リテ ィ ー と い う面 で は き わ め て低 レベ ル と雷 わ ざ る を得 ない 。
「誰 がjrい
つ 」 「何 を」 「い くらで 」 買 っ たか とい う取 引 情 報 が 残 るか ら、 トレーサ ビ リテ ィ ーの 観
点 か ら ク レ ジ ッ トカー ドそ の もの の 利 用 よ り若 干 セ キ ュ リテ ィ ー は高 いか も しれ な いが 、 そ れで も
一 憾 の 取 引 で 高 額 の ク レ ジ ッ ト購 入 され た 場 合
、 被 害 は甚 大 と な る。
い う まで もな く、 ネ ッ トク レ ジ ッ トは イ ン ター ネ ッ ト購 入 の 決 済 手 段 で あ るか ら
、 自宅 や パ ソ コ
ンが 接 続 可 能 な 施 設 、 ネ ッ トカ フェ 等 さ ま ざ まな と ころ で 利 用 で きる 。 これ は店 舗 内 で ク レ ジ ッ ト
カ ー ドを指 し示 す とい う従 来 の購 入 ス タ イル と大 き く異 な る。 あ えて い うな らば 、 カー ドリー ダー一
が 自 ら利 用 す る パ ソ コ ンに 備 え付 け られ た の と同 じで あ る 。 カ ー ドリー ダー に よるID入
力 をキ ー
ボ ー ド入 力 に換 え た だ け か も しれ な い 。 そ れ ゆ え 、 ネ ッ トク レ ジ ッ トは既 存 の カー ド型 ク レ ジ ッ ト
契 約 の拡 張 とい え る だ ろ う。 家 に居 なが らの ネ ッ トシ ョ ッ ピ ング な の だ か ら、 この ス タイ ル に マ ッ
チ した決 済方 法 が 求 め られ る の は 当然 だ ろ うが。 す で に イ ンタ ー ネ ッ ト ・バ ンキ ング が定 着 して い
る わ け だ か ら 、 ク レ ジ ッ ト購 入 もそ れ な りの 決 済 方 法 が 考 案 され て 当 然 だ が 、 比 較 的 厳 重 なパ ス
ワ ー ドで セ キ ュ リ テ ィ ーが 保 証 され て い る キ ャ ッシ ュ カ ー ドと異 な り、 ク レジ ッ トカ ー ドは十 全 と
はい え な い状 況 で あ る。
ネ ッ トク レ ジ ッ トを経 済 学 的 にみ る と、 以 下 の 特 徴 を指 摘 で き る。
①
財 ・サ ー ビ ス購 入 機 会 の 増 大
②
決 済 コス トの 低 下 ない しは合 理 化
③
オ ン ラ イ ン決 済
逓 常 の わ れ わ れ の 財 ・サ ー ビス 購 買 行 動 の 標 準 形 は 店舗 で そ れ ら を選 択 し、 現 金 で 購 入 す る こ と
で あ る。 こ れ に よ っ て 一 回 の 経 済 取 引 が 完 結 す る。 しか し、 ネ ッ ト購 入 に な る と店 舗 が 不 要 に な
り、 これ に ネ ッ トク レジ ッ ト決 済 に な る と現 金 が 消 え る。 これ は 情 報購 入 ・情 報 決 済 で あ る 。 た と
え ば 、 近 くの 家 電量 販店 に購 入 した い 薄 型 液 晶 大 画 面 テ レ ビが な い場 合 、 あ る い は価 格 的 に 折 り合
い が つ か な い場 合 、 わ れ わ れ は そ の 店 で予 約 した り他 の店 舗 に行 く しか な い。 だ が 、購 入 した い テ
レ ビの概 要 が わ か っ て い れ ば、 そ れ を イ ン タ ー ネ ッ ト検 索 す る こ とで 、全 国 の ネ ッ トシ ョ ップ で 当
該 テ レ ビの価 格 ・送 料 他 の条 件 が 一 挙 にチ ェ ックで き る。 そ して気 に入 っ た ネ ッ トシ ョ ップ で銀 行
振 り込 み や 代 金 引 換 、 ク レジ ッ トで 購 入 で き る。 多 くの 店 舗 を 麟 っ て テ レビ をチ ェ ッ クす る必 要 は
ない 。 この 一 連 の 購 入 過 程 か ら わか る よ う に、 われ われ は ネ ッ トシ ョ ッ ピン グで ① ② の メ リ ッ トを
享 受 す る こ とが で き る。 通 常 の ク レ ジ ッ トカー ド決 済 は も ち ろん オ ン ラ イ ン決 済 だが 、 この ネ ッ ト
ク レ ジ ッ トも オ ン ラ イ ン決 済 で あ る。 か つ て ネ ッテ ィ ン グA)と い っ た 企 業 間 決 済 が 注 目 され た が 、
い わ ゆ る企 築 と金 融 機 関 の フ ァー ム ・バ ンキ ン グ、 家 計 と金 融機 関 の ホ ー ム ・バ ンキ ン グが ほ ぼ 実
用 化 され 、 そ して この ネ ッ トク レ ジ ッ トで あ る 。信 用 供 与 を伴 わ な い 金 融 機 関 決 済 と信 用 供 与 を伴
う ク レジ ッ トを併 せ た オ ン ラ イ ン決 済 手段 サ ー ビス を利朋 で きる よ うに な った の で あ る 。
電 子社 会 にお け るク レジ ッ トカー ドの役割51
2ケ
ー タイ ク レジ ッ ト
この タ イ プ の ク レジ ッ トもク レジ ッ トカ ー ドとは異 な る特 徴 を有 す る。 ケ ー タ イ クLジ
レジ ッ トカ ー ドのIDが
ッ トは ク
ケ ー タイ に移 っ た もの と解 釈 され るが 、 こ の種 の デ バ イ ス の最 も特 長 的 な
と こ ろ は モバ イル(mobile)と
い う と こ ろで あ る 。 も ち ろ ん ク レジ ッ トカ ー ドもモ バ イ ル で あ る
が 、ケ ー タ イ は電 話 とい う電 波 機 器 で あ る か ら電 波が 届 く範 囲 で は どこ で も買 い物 ・支 払 いが で き
る。 これ はモ バ イ ル ・コ ン ピュ ー テ ィン グ(mobilecomputing)で
あ る。 したが っ て上 記(1)の
ネ ッ トクLジ
タの 分 野 で は、 身 に つ け て 使 う
ッ トの バ リエ ー シ ョン と も考 え られ る 。 コ ン ビi一
ウ ェ ア ラ ブ ル ・コ ン ピュ ー タ(wearablecomputer)が
開 発 途 上 に あ る が 、 高 機 能 ケ ー タ イは す で
に この 領 域 に達 して い る。
上 述 の よ う な ケ ー タ イ は 、小 型 の パ ソ コ ンで あ る か ら、 機 能 は もは や 単 な る携 帯 電 話 機 で は な
い 。 電 話 機 能 の つ い た ウ ェ ア ラ ブ ル ・コ ン ピュ ー タで あ る。 金 融 決 済 デバ イ ス と して は電 子 マ ネ ー
の 導 入 が 先 だ っ た。 チ ャ ー ジ した マ ネ ー を 決 済 す る ス タ イ ル で あ る 。 こ れ に ク レ ジ ッ ト機 能 が 加
わ った が 、 実 は これ が 従 来 の ク レ ジ ッ トの 定 義 か ら若 干 逸 脱 して い る。 ク レジ ッ トの古 典 的定 義 は
後 払 い で 僑 用 供 与 が あ るた め 利 息 が つ く、 とい う もの で あ る。 しか し、マ ンス リー ク リ ア(翌 月 一
括 払 い 〉 が 、2ヶ 月3Q払
い を割 賦 とす るr割 賦 販 売 法 」 の 範 購 外 の ため 、 ク レ ジ ッ トで は な い と
示 唆 す る もの もい た が 、 ク レジ ッ ト取 引 情 報 の 発 生 と ク レ ジ ッ トコス ト5)の 発 生 が あ る こ と を考
慮 す る と、 マ ンス リー ・ク リ ア も ク レジ ッ トとみ なす べ きで あ る。 実 際 、 ク レジ ッ ト統 計 に は非 割
賦 と して デ ー タが 出 され て い る6)。
経 済 学 的 に 、 ケ ー タ イ ク レ ジ ッ トは次 の よ う な特 徴 を有 す る。
①
財 ・サ ー ビス 購 入 機 会 の 増 大
②
集 中 型 決 済 デ バ イス に よ る葬 現 金 決 済 ス タ イ ルの 進 展
③
オ ンライン
① ③ は、(1)の
ネ ッ トク レ ジ ッ トとnと
考 え られ る が 、② に つ い て は説 明が 必 要 で あ る。 前
述 した よ うに ケ ー タ イ ク レ ジ ッ トは 各 種 決 済 手 段 を集 中化 す る と と も に、 ポ イ ン トサ ー ビ ス も利 用
で きる の で 販 売促 進 効 果 も期 待 で き る。 さ ら に、 商 品 ・サ ー ビス 検 索 も可 能 で あ り、 また メモ リ容
量 が 飛 躍 的 に 増 大 した た め 、 各 種 カー ド(の 機 能)を 取 り込 む こ とが で き るか ら、 商 品 取 引 ・購 入
の 意 味 で は 、 ほ ぼ 完 全 に決 済 機 能付 の ウ ェ ア ラ ブ ル ・コ ン ピ ュー タで あ る。
N現
代 ク レジ ッ トの 金 融 論 的 特 徴
ク レ ジ ッ ト ・デ バ イ ス の 貨 幣 牲
消 費考 の 金融 行 動 とい うの は 概 して 貯 蓄 行 動 な い しは 金 融 資 産 購 入 な どの ど ち らか とい う とマ ク
ロ 的 分析 に 主 限 が 概 か れ て きた 。 経 済 学 に お け る 消 費 者 行 動 は 古 典 的 な効 用 分 析 か らは じま るが 、
ク レジ ッ ト利 用 者 の 消 費 者 行 動 は ミル トン ・フ リー ドマ ン(MiltonFriedman)の
恒常所 得仮説 に
即 した 異 時 点 問 にお け る 生 涯 効 用 の 最 大 化 を 求 め る よ うな タ イ プ に 拡 張 さ れ て い る7>。 しか し、
こ の よ う な拡 張 され た 消 費 者 行 動 理 論 、 と りわ け 恒 常 所 得 仮 説 を取 り入 れ る よ うな 長 期 の分 析 で
は 、mご
との 消 費 決 定 や 決 済 手段 の 選 択 を説 明 す る こ とは で きな い 。 消 費 者 行 動 の よ う な経 済 分
析 は 、多 岐 に わ た る消 費 者 行 動 を 普 遍 的 に 扱 う こ とは で きな い た め 、 消 費 者 の 所 得 をい くつ か 類 型
化
恒 常 所 得 仮 説 や絹 対所 得 仮 説 、 絶対 所 得 仮 説 等一
して 、 彼 らが どの よ う に財 ・サ ー ビス を
選 択 す る か を分 析 す る 。 多 岐 に わ た る 消 費 者 の行 動 を説 明 す る た め に は 、 そ の マ ー ケ テ ィ ン グで 展
開 さ れ て い る よ うな効 用 ・所 得 分析 に 依存 しな い 、 ブ ラ ン ドや 利 便牲 、 フ ァ ッ シ ョンな どの 経 済 学
52
で は外 的 要 困(定 量 化 と その 一 般 化 が 困難)と
して扱 わ れ る よ う な非 定 最 的 変 数 で 説 明 した方 が 説
得 力 を得 や す い 。 多 くの消 費 者 に と っ て、A購
入 に際 しての 価 格 は 自 らの 所 得 と並 んで 極 め て 大
きな変 数 で あ るが 、合 理 的消 費 が 不 可 能 な場 合 の 消 費 、 た とえ ば デ ー トや会 合 な どで 急 な食 事 の 機
会 に直 面 した り、 緊急 入 院 しな けれ ば な ら な くな っ た場 合 、 わ れ われ は必 ず し も最 適 な溝 費 機 会 や
最 低 コ ス トの決 済 手 段 を利 用 で きる と は 限 らない 。 この よ う な突 発 的 あ る い は刹 那 的消 費 を説 明 す
る最 も的 確 な要 素 は所 得 や効 用 よ り も情 報 で あ る。 いか に 多 くの有 益 な情 報 を有 して い るか で 、 刹
那 的消 費 もよ りよい 効 用 水 準 が 得 られ る可 能 性 が 高 くな る。
金 融 の 世 雰 で ボ ー ダLス と い え ば、 主 に金 融 機 関 の 国 際 的 取 引 が イ メ ー ジ され るが 、 金 融 論 的 に
薪 種 の ク レジ ッ トを考 え た と き 、 ま さ に多 種 多 様 な ミク ロ的 決 済 手 段 が 用 意 され て い る こ とか ら、
決 済 のマ ルチ ・フ ァン ク シ ョン化 あ る い はマ ルチ ・モ ー ド化 とい って も よい だ ろ う。 現 金 決 済 と ク
レジ ッ トは従 来 、縦 の 関 係 す な わ ち現 金 を基 準 に して コ ス ト順 に デ ビ ッ トカー ドや マ ンス リ ー ク リ
ア 、 ク レジ ッ トカ ー ドに よ る割 賦 購 入 、 憾 晶 に よ る割 賦 購 入 、 さ らに最 も高 利 の キ ャ ッシ ン グ(消
費 者 金 融)ま で 使 い分 け る とみ な され てい た が 、 本 稿 で 取 り上 げ てい る ク レ ジ ッ ト ・デバ イ スは 、
もは や そ の よ うな利 息 ・手 数 料 で 選 択 さ れ て は い な い 。 ラ イ フ ス タ イ ルやIT習
度 、職 業 や 居 住 地 域 、 学 歴 な どの デ モ グ ラ フ ィ ッ ク な特 徴 とIT利
和 性 に よ ってi択
熟 度 お よび 依 存
用 の ク レジ ッ ト ・デ バ イ スの 親
され るで あ ろ う。 さす が に現 金 決 済 は 決 済 の 基 本 で あ るが 、 決 済 デ バ イ ス は横 一
線 と はい わ ない まで も、 時 と場 合 、 環 境 に よ って 無 差 別 的 に選 択 され るで あ ろ う。 この よ う な ク レ
ジ ッ ト ・デ バ イ スの 扱 い 方 は 経 済 学 の 基 本 的 分#r法
で あ る最 適 化 か ら若 干 離 れ る考 え方 で あ る 。
比 喩 的 にい えぱ 、 東 京 一大i間 の 新 幹 線 と飛 行 機 、 高 速 バ ス の 選 択 の よ う な もの で あ る。 も ちろ ん
輸 送 灘 に は圧 倒 的 な差 異 が あ るが 、 あ る グ ルー プは 高 額 で も飛 行 機 を利 用 す る し、 また あ る グル ー
プ は長 隣 問か か っ て も商 速 バ ス を利 用 す る。 これ らの 消 費 者 群 に優 劣 や 順 位 をつ け る こ とは で き な
いo
と ころ で 、 こ う した マ ル チ ・モ ー ド決 済 は 貨 幣 と して どの よ う な特 質 が あ る だ ろ うか 。 これ まで
の 消 費 者 信 用 の 経 済 学 で は、 「ク レジ ッ トカ ー ドは 貨 幣 か?」
な ど とい うエ レ メ ン タ リー な 議 論 が
な され た 時 期 もあ った が 、 プ リペ イ ドカー ドや 電 子 マ ネ ー が 出 揃 った 現 在 で は 、 初 心 者 向 け の パ ン
フ レ ッrで もそ の よ う な論 調 で ク レ ジ ッ トカー ドを説 明 す べ きで は な い だ ろ う。 多 重 債 務 者 防 止 の
た め の ∼ 文 に ク レ ジ ッ トカー ドを打 ち 出 の 小 槌 に 例 えて い る もの もあ った が 、 か え っ て 紛 らわ しい
説 明 で あ る。 ク レ ジ ッ ト ・デ バ イス の 中 で 貨 幣 銚 を論 じる 際 に キ ー ポ イ ン トと なる の は 、 デ バ イ ス
を使 用 す る前 に決 済 して い る か ど うか で あ る。 す な わ ち 、 前 払 い の プ リペ イ ドカー ドと電 子 マ ネ ー
は 貨 幣 で あ るが 、 こ こで 中 間 にinす
る の が デ ビ ッ トカ ー ドで あ る。 周 知 の よ うに デ ビ ッ トカー ド
は 利 用 者 の 金 融 機 関 の 残 高 以 下 で カ ー ド決 済 時 に 瞬 時 に取 引 が 成 立 す る 。 これ は あ え て い うな ら
ば 、 デ ビ ッ トカー ドは残 高 限 度 まで の 預 金 通 鰻 を持 っ て い る の とC!じ で あ る か ら、 も ちろ ん デ ビ ッ
トカー ドは 貨 幣 で は な い もの の 小 切 手 の よ うな 貨 幣 に 近 い ツー ル で あ る とい え る 。
貨 幣 の 定 義 につ い て は 、古 くは ハ イエ ク(FriedrichAugustvonHayek)が
、 現 代 の混 沌 と した
貨 幣 の 議 論 に一 筋 の 光 明 を与 え て い る 。
わ れ わ れ は 通 常 は 貨 幣 と貨 幣 で な い もの との 間 に は っ き り と した境 界 線 が あ る と仮 定 して お
り、 そ して 法 律 は 一 般 的 に こ う した 区 別 をお く よ うに して い る 。 け れ ど も、 貨 幣 的 事 象 の 因 果
関 係 に 関 す る か ぎ り、 こ の よ うな 明 白 な相 違 は な い とい う こ とで あ る 。 わ れ わ れ が 見 出 す の は
一 つ の 連 続体 で あ る8)
。
電 子 社 会 に お け る ク レ ジ ッ トカ ー ドの 役 翻53
表4-t決
済 デ バ イスの 代替 メ リッ ト
決済デバイス
代 替 す る 決 済 デ バ イス
代替する際のメ リッ ト
現金
現金以外すべての決済手段
安 全 で 小 額 の 場 合低 コス ト
小 切手
現金
決 済 リス クの 低 減
手形
現金、小切手、銀行振替
信用供与に よる支払の繰延
プ リペ イ ドカー ド
現金、各種 クレジッ ト
小 額決済の利便性、ポイ ン ト
電子マネー
現金、各種 クレジッ ト
決 済 コス ト、購 買機 会 の増 大
デ ビ ッ トカ ー ド
現金、各種 クレジッ ト
決 済 コス ト、購 買 機 会 の増 大
ク レ ジ ッrカ
現 金 、 個 品 割 賦 、 デ ビ ッ ト、 電 子 マ ネ ー
高 額 利 用 、購 買 機 会 の 増大
現 金 、 総 合 ク レ ジ ッ ト、 手 形 、
高 額 利 用 、購 買 機 会 の 増大
ー ド
個 晶 ク レジ ッ ト
ハ イエ クの こ の示 唆 「貨 幣 的事 象 の 因 果 関 係 」 は ま さに 、 ク レジ ッ トデ バ イ ス の 指 向姓 す な わ ち
各種 決 済 手段 の 守備 範 囲 を物 語 って い る 。 貨 幣 は 最 大 の購 買 力 を もつ もの で あ ろ うが 、 高 額 支 払 い
に な れ ば な る ほ ど不 適 格 に な る。!00THF9を
チ ェ ック す る に は数 分 で 済 む だ ろ うが 、!000万 円 、
1億 円 とな る とた い へ ん で あ る 。 ま して 偽 造 まで チ ェ ッ クす る とな る と、 た とえ ば 日本 銀行 の 銀行
券 自動 鑑 査 機 で も、1分 間 あ た り1800枚 とい う こ と なの で 、10分 で1億8000万
円、100分 で18億 円
しか で き な い の で あ る9)。 消 費蓄 レベ ル で は この よ う な 高 額 決 済 を 想 定 す る必 要 は な い の で あ ろ
うが 、 現 金 決 済 とい うの は 意 外 と不 便 な こ と もあ る。 小 切 手 や 銀 行 決 済 は この よ うな 環 金 決 済 の デ
メ リ ッ トを補 完 す る が 、 ク レジ ッ ト ・デ バ イス に よ る決 済 には 以 下 の よ うな メ リ ッ トが あ る 。
もち ろ ん 、 す で に 述 べ た よ う に、 ラ イ フス タ イル や フ ァ ッシ ョン、IT習
熟 度 、 環 境 な ど もあ げ
られ るだ ろ う。 プ ラチ ナ カ ー ドや ブ ラ ッ ク カー ド1。
〉な どは あ る種 の ス テ イ タス で あ る と捉 え る 向
き もあ る とい うが 、 も しそ う な らス テ イ タス や 見 栄 も カー ド決 済 の イ ンセ ンテ ィブ とな ろ う。 ク レ
ジ ッ ト ・デ バ イ ス の 貨 幣 性 は 、 換 金 性 と決 済 シス テ ム へ の ア クセ ス で 論 ず べ きで あ ろ う。 後 者 は 金
融 論 で い う と ころ の 流 動 性 に 近 い 捉 え方 で あ る。 す べ て の 資 産 は 貨 幣 に どの よ うな コス トと時 間 を
経 て換 金 され る か が 要 で あ る が 、 ク レ ジ ッ ト ・デ バ イス は い か に して 最 終 的 に利 用 者 の 資 塵 か ら利
用 代 金 と金 利 ・手 数 料 が 支 払 わ れ る か で あ る。
Vむ
すび にかえて
ク レ ジ ッ トの 再 検 討
昭和30年 代 、 ク レ ジ ッ トが 今 の よ う な多 機 能 ・高 機 能 に進 化 す る とは 誰 も予 想 し なか った で あ ろ
う。 ク レ ジ ッ ト ・デバ イ ス は高 価 格 商 品 を 販 売 す る販 促 ツ ー ルが 原 点 で あ る が 、 これ が や が て 金
利 ・手 数 料 収 入 をOfihと す る消 費 老 金 融 の 発 展 につ なが り、 現 下 の よ う なハ イテ ク を駆 使 した 最 先
端 の 情 報 機 器 ・端 末 に 付 加 され る よ う に な った の で あ る。 マ ー ケ テ ィ ン グや ビ ジネ ス の 観 点 か らは
い か に売 り上 げ るか が 露標 の 一 つ で あ るか ら、 強 力 な販 売 促 進 ツー ルが あ れ ば 、 そ れ を積 極 的 に 導
入 しよ う とす る で あ ろ う。 昨 今 の ア メ リ カ発 の 金 融 不 況 で 、 世 界 約 に景 気 後 退 局 面 に移 行 す る と予
測 され て い るが 、 当 事 者 の ア メ リカで は住 宅 を担 保 と した サ ブ プ ラ イ ム ・ロー ンは も と よ り、 逓 常
の ク レジ ッrも 影 響 を受 け 、GDPの70%を
され て い る。 サ ブ プ ラ イ ム ・mン
占め る とい わ れ る旺 盛 な消 費 者 支 鵬が 低 下 す る と懸 念
は ク レ ジ ッ トの 領 域 で は ない もの の 、 今 さ ら なが ら健 全 なm
ン また は 消 費 者 信 用 シス テ ム が 必 要 な こ と を今 圏の 事 件 が 如 実 に物 語 っ てい る。 担 保 付 ロー ンは 担
54
保 と な る資 産価 格 の上 昇 トLン
ドと安 定 性 に依 存 してお り、一 度 そ れ らの 資 産 価 格 が 下 落 ・不 安 定
化 した場 含 の貸 付 が い か に脆 弱 な もの とな るか を今 回の 一 連 の 事 件 が 教 えて くれ るの で あ る。 通 常
の感 覚 で は 、 か つ て の慣 習 の よ うに損 保 貸 付 は リス クが 低 い と思 わ れが ち だが 、 実 際 に はバ プ ル と
み な され る 資産 価 格 の上 昇 傾 向 に あ る と きに は 、評 価 を誤 る こ とが 多 々 あ るの であ る。 ア メ リ カの
失敗 は あ ま りに 巨額 の た め に 、消 費 者 儒 爾 の世 界 と はか け離 れ た もの と受 け取 られ るが 、 基 本 は 同
じで あ る。 む しろ 、 無 担 保 の 消 費 者 借 用 の シ ス テ ム を 高 度 化 して低 リス ク の融 資 シス テ ム を構 築
し、消 費者 領域 の ロ ー ン ・シ ス テ ム を健 全 化 す べ きで あ ろ う。
消 費 者 信 用 の 決 済 デ バ イス は 、 シ ス テ ム上 デ フ ォル ト(債 務 不 履 行)が 起 こ らな い電 子 マ ネ ーや
プ リペ イ ドカ ー ドー-)、
デ ビ ッ トカ ー ドとや や もす る とデ フ ォル トを起 こす 可 能 性 の あ るマ ンス リ ー
ク リア 、 そ して僑 耀棋 与 が あ る た め に 、 デ フ ォル トを起 こ しや す い ク レジ ッ ト(総 合 と個 晶)が と
くに 障壁 な く利 用 で きる よ うに な っ て い る。 本 来 、最 も審 査 が 厳 しい は ず の ク レジ ッhカ ー ドで さ
え 、 わ が 国 で は そ う苦 労 しな い で取 得 で きる 。 限度 額 もは じめ か ら高 額 利 用(た
とえ ば50万 円)で
き る。 ク レ ジ ッ ト ・デ バ イス の 利便 性 や機 能 の ス ペ ク トラ ム は比 較 的 簡 単 に描 け る だ ろ うが 、 リス
クが 顕 在 化 す る デ バ イス と しな い デ バ イス の 境 界 を明確 に した類 型化 と整備 が 必要 な こ とは い うま
で も ない 。 さ らに セ キ ュ リテ ィー も新 次 元 の 領域 に きた 。 もは や 紛 失 や 盗難 で事 故 が起 こ る レベ ル
で は ない 。 パ ソ コ ンに よ るオ ン ラ イ ンの ク レジ ッ ト決 済 で あ る 。 これ とネ ッ トバ ンキ ング が セ ッ ト
に な った 犯 罪 が 起 きな い とい う保 証 は あ る だ ろ うか 。 知 らな い 問 に 、 ク レジ ッ トカ ー ド情 報 とネ ッ
トバ ンキ ン グ につ い て の 情 報 が 流 失 した ら ど うな るだ ろ うか 。 利 用 者 の セ キ ュ リテ ィー情 報 が 乏 し
い 場 合 、 意 外 な ほ ど簡 単 に犯 罪 が 成 立 す る か も しれ ない 。 現在 、 ケ ー タ イ ク レ ジ ッ トや ネ ッ トク レ
ジ ッ トな どの 最 新 の 決 済 シス テ ム と ネ ッ トバ ンキ ン グ を縦 横 無 尽 に駆 使 して い る利 用 者 は お そ ら く
ITデ
バ イ ドの 消 費 者 で はな い で あ ろ うが 、 彼 の 認 知 力 が 低 下 して きた と き を想像 す る と必 ず し も
最 毅 の 機 器 が 最 良 の セ キ ュ リテ ィー を保 証 す る もの で は な い か も しれ な い 。
注
1)奥
野 正 寛 ・竹 村 彰 通 ・新 宅 純 二 郎 編 著
容 雲 新 世 枇 、2002年
2)Digitalは
、11月
ぎ電 子 社 会 と 市 場 経 済 一 情 報 化 と 経 済 シ ス テ ム の 変
。
不 連 続 の慧 で あ るが 、 多 くの 場 合 、 コ ン ピ ュー タ の伝 送 方 式 で 使 わ れ る。 原 理 的
に 伝 送 蒔 に 劣 化 が な い の で 、 大 量 伝 送 に 適 して い る 。
3)み
ず ほ 銀 行HP(hip://www.mizuhobank.co.jp/mmc/card/keitaicredit,html)
4)企h間
5)加
、 グ ル ー プ企 業 間 で、 債 権 と償 務 を相 殺 す る な ど して相 互 間の 決 済 を行 う。
盟 店 が ク レ ジ ッ ト販 売 の 数 パ ー セ ン ト を ク レ ジ ッ ト会 社 に 支 払 う 。
6)(社)日
本 ク レ ジ ッ ト産 業 協 会 の 統 計 を 参 照 の こ と。 ち な み に 平 成18年
額 は 約31兆7600億
円(前
年 度 比8.2%)で
度 の非 割賦 方 式 の 総
あ る 。(http://wwwjccia.orjp/11/11_003.htm1)
7)GiuseppeBertola,RichardDisneyandCharlesGrant(ed.)TlaeEconomicsofCosaszcmerCred一
甑MassachusettsInstituteofTechnology,2006.(江
学 』 舞{ギ
羊経 学
斉新 幸浸譲二、2008年
夏 健 一 ・坂 野 友 昭 監 訳
、12-20頁)0
8)FAHayek.DenationalisationofMoney:7YzeArguntezztRefined.InstituteofEconomicAffairs,
1976.(川
9)日
口慎 二 訳
郵貨 幣 発 行 自 由 化 講
東 洋 経 済 新 報 祉 、1988年
本 銀 行HP(http://www3.boj.or.jp/hakodate/shigoto/kansa.htm)
、63頁)。
『消 費 者 信 用 の 経 済
電 子 社 会 に お け る ク レ ジ ッ トカ ー ドの 役 割55
10)た
と え ば 、 三 井 住 友 の プ ラ チ ナ カ ー ドは 年 会 費5万2500円(2年
www.smbc-card.com/camp/pt/card.html)ブ
ス の セ ンチ ュ リ オ ン カ ー ドで 年 会136TH7500F9で
目 以 降)で
あ る 。(http://
ラ ッ ク カ ー ドは 有 名 な ア メ リ カ ン ・エ キ ス プ レ
あ る 。(httu://www
.cardyapan.com/backwork62.
html)
11)プ
リ ペ イ ド に つ い て は そ の 供 給 元 が デ フ ォ ル トす な わ ち 財 ・サ ー ビ ス を 提 供 で き な い 状 態 に
陥 る こ と が あ る 。 こ れ を 防 止 す る た め に 「萬 払 式 証 票 の 規 制 等 に 関 す る 法 律(プ
ド法)」
リペ イ ドカー
が 綱 定 され た 。
(原 稿 受 理B:平
成21年
圭月10F3)
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