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Title Author(s) 福祉工学の概念とその焦点(1) 安藤, 忠 Editor(s) Citation Issue Date URL 社會問題研究. 1991, 40(1・2), p.51-81 1991-03-31 http://hdl.handle.net/10466/6624 Rights http://repository.osakafu-u.ac.jp/dspace/ 福祉工学の概念とその焦点 ( 1 ) 安藤 忠 1. は じ め に 社会福祉の理念であるノーマリゼーションの実現のためには、現存する 諸科学の積極的参加が不可欠である。 20世紀の後半から、医学や教育学や心理学などの境界科学が、この理 念、の実現の手段として提供されており、障害者の全人的復権を図るリハビ リテーション(以下リハと略す)の体系の中に、それぞれ医学的リノ¥教 育的リハ、心理的リハとして位置づけられている O しかし、工学の分野における福祉的とりくみは、これより遅れ、福祉工 学またはリハビリテーション工学の名で独自の視点から障害者の生活援助 9 7 0年代になるまで待たねばならなかった。 にあたるようになるのは 1 けれども現在では、この分野がその規模と内容において、 21世紀のリ ハを担う協力な推進者として高い期待を寄せられている。 今回は、この福祉工学という社会福祉の境界学問の概念および現状につ いてとりあげ、社会福祉の立場から考察する。 l l . 福祉工学の概念とその成立 福祉工学という学問的領域が、わが国の関係者の間ではっきりと意識さ 9 6 5年から 1 9 7 0年頃であろう O れはじめたのは、 1 残された、まとまった初期の記録の一つに、 1 9 7 5年 7月1 8日、本郷学士会 館で行われた「社会福祉と科学技術」というテーマでの座談会記録。がある。 この中で、福祉工学は、計測自動制御学会との関りという観点から、 「要 するに福祉工学は計測自動制御のソフトウェア、ハードウェア両面の技術 の新しい適用の場J ( 市 川 ) 1 ) 、 「広い意味の人間活動における経済的側面 から、精神的な側面、それからいわゆる社会環境といいますか、エコロジ Fhu 社会問題研究・第4 0 巻 第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) カルな問題を含めた側面などを総合して社会における福祉と科学技術を調 1 )と語られて 和し、制御するものとして福祉工学を考えてみたい J (合田 ) いる。 また同時にその研究テーマは、 「福祉工学は、福祉関連科学技術を総括 するテクノロジで、これまでわれわれが展開してきた科学技術を、人間を 中心とした観点から、人間活動におけるあらゆる分野を福祉化するために、 これをいかにトランスファーストするか、というテーマを持つものである」 と (合田戸具体化されている。 その背景には、科学技術の研究・開発・普及のプロセスがあるが、福祉 工学は図(1)に示す如く、経済的発展段階の最終の第 3レベルにある工学 発展段階 人 第 3レベル一一 間 高開発段階 人間化のウエイ トが大きい ーーー』第 2しベルーー 中開発段階 効率化のウエイ トが大きい 公 平 第 lレベルーー 低開発段階 公平イヒのウエイ 化 トが大きい 1 0 0 図(1) 経済的発展段階と科学技術の特性ウエイト (合田論文2) より引用) (科学技術)であるという、工学分野内での位置づけがあり、リハビリテー ション医学が第 3( 4 )レベルの医学であるとの云われ方と好一対をなすのは 興味ある事である。 5 2 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) ここで述べられた福祉工学の領域は、従って、図 ( 2 ) に示されたように、 工学技術は勿論その関連として、自然科学、生態学、教育学、社会心理学、 社会学、法学、経済学に及ぶ。 9 8 1年 7月 7日に、再度同所で「福祉の時代と科学技術Yとい この後、 1 う座談会が持たれたが、ここではあらたに、障害者の知的活動あるいは情 報にかかわる問題へのアプローチが、福祉工学の分野に期待され、今後の 方向性が定められた。 福祉工学 の領域 図( 2 ) 福祉工学の領域(合田論文2) より引用) 以上の点から見て、福祉工学は「障害者の全人的復権のための多角的ア プローチの一つで、工学側から提供される、ハード、ソフト両面を重視し e l f a r eO r i e n t e dT e c h n o l o g y l lの総称 た福祉志向型科学技術(し、わゆる W H a n d i c a p ) の視点に立つものであるから、 である」と云え、社会的不利 ( 内容的に、医学的リハ、心理的リノ¥教育的リハと同列に位置づけられる、 工学的リハビリテーションと称すべきものであろう O 一方、当時のアメリカには、それまでは医学的アプローチの補助的手段 にすぎぬと考えられていた医用工学とは異なり、総合的立場から障害者一 人ひとりに対するリハプログラムの最適化を図る、システム(ズ) ・アプ 円台U 社会問題研究・第4 0 巻第 1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) ローチによる補装具工学、運動工学、筋神経系工学、訓練工学、環境改善 工学等の、リハ工学の概念が芽ばえていた。 4) 国立科学アカデミーに属する 義肢装具研究開発委員会が、宇宙開発計画の終罵に際して職業的リハ省よ り諮問された際に、次に重点的開発をなすべき新らしい科学に関する報告 書(19 7 1年)を提出したが、その中にはじめて「リハビリテーション工学 ( R e h a b i l i t a t i o nE n g i n e e r i n g ) という名称が出現した。 5 ) これと同時にリハ工学センターも構想化され、このような事から、リハ 工学という語が定着して来たと考えられる。 同報告書には、当時のリハ工学が当面研究すべき項目が、表(1)のよう に定められているが、この事が以後のリハ工学のイメージを、ごく狭く限 定してしまった恨みが残る。 表(1) リハ工学が当面扱うべき研究開発 目標(土屋論文5) より引用) 1) 下肢義肢 C L o w e r e x t r e m i t yP r o s t h e t i c s ) 2 ) 上肢義肢 CUp p e r e x t r e m it yP r o s t h e t i c s ) 3 ) 下肢装具 C L o w e r e x t r e m i t yO r t h o t i c s ) 4 ) 上肢装具 C U p p e r e x t r e m i t yO r t h o t i c s ) 5 ) 脊髄装具 C S p i n a lO r t h o t i c s ) 6 ) 感覚補助器 7 ) 外科医学 C S u r g e r y ) 8 ) 評価 9 ) 小児問題 1 0 ) 方法論 C S e n s o r yA i d s ) C E v a l u a t i o n ) C C h i l d r e n ' sP r o b l e m s ) CMethodology-R e h a b i l i t a t i o nE n g i - n e e r i n gC e n t e r s ) わが国でも、 1 9 7 2年に科学技術庁計画局が「リハビリテーションに関す る技術開発目標体系化委員会」で、リハ工学の体系化を図ったが、その見 解が前記のアメリカのそれと類似の「リハ工学は、身体障害者に最大限の -54- 福祉工学の概念とその焦点( 1 ) ( 安藤) 自立を獲得させる手助けとなる機器の研究開発に関する学問であって、医 工学の一分野であるJ5)という定義づけに終ったため、その後にリハ工学が、 肢体不自由、感覚障害、精神障害、内部障害など、リハ医学が対象とする 障害すべてを対象にして発展して来ているにもかかわらず、リハ関係者の 間では、リハ工学はやはりリハ医学に付随するものという受けとめられ方 しかされ得なかったのである O また表(1)に示した、リハ工学の研究内容が義肢・外科医学など機能・ 形態障害と、装具、感覚補助器など能力障害に対応するものに限定されて いるためにその印象はさらに強まった。 ともあれ、以後我々はこのような機器類をリハ機器、あるいは福祉機器 ) と呼ぶが、厳密に分類すると、これらにもやはり微妙なニュ ( 図 3・図 4 アンスの違いが感じられる(表 ( 2 ) )。 、 、 、 ~~日常生活) 住宅・股 1 繍1 、¥ 、、 、 、 、 、 、 ¥ 、 、 、 、 ¥ 1 1 1 1 1 1 1 f f r J , 〆 , 〆 〆 rf f J ノ / , J a' / / γ 唱曲 叫開 努 伽﹄、 総 1-m'A j 公 7 -Aド 畠帽 ( ゐ 関側 ・ ・m u A I 外 H " 、 、 、 、 、 図( 3 ) 福祉機器の概念(実戦で囲んだ部分) (加倉井論文6) より引用) phU RU 社会問題研究・第4 0 巻第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) │ 、 プ ー お騨 復帰 機能訓練機器 〔治療材料〕 図( 4 ) 障害者を取り巻く機器類 一一障害者とリハビリテーションを中心に一一 (斉場論文7) より引用) 5 6 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 表( 2 ) リハビリ機器の分類 1 . 主として疾患に対応するもの 整形外科治療・訓練用具 a .起立・歩行用具の類(松葉杖、各種歩行用杖、歩行器、歩行車等) b .副子の類(安静保持用副子、矯正用副子等) C . 訓練治療用機具の類 d .整形外科診断、治療用機器 2 . 主として機能・形態障害に対応するもの 義肢 a .義手の類(義指、前腕義手等) b .義足の類(祉義足、下腿義足等) C . 補綴義肢の類 3 . 主として能力障害に対応するもの 議装具 a .頭部・頚部装具 b .体幹装具(コルセット、硬性および軟性) C . 上肢装具の類(スプリント、関節装具各種、上腕装具等) d . 下肢装具の類(短下肢装具、長下肢装具、股関節装具等) e .矯正靴の類(ハイトップシューズ等) f.足底板の類 4 . 主として社会的不利に対応するもの 福祉機器※ a . 日常生活用具の類 b .作業用具の類 C . 特別な移動具の類(各種車椅子等) d .環境アクセスのための機器類 ( ※ 福祉機器については数多いので、成書を参照されたい) 一 57- 社会問題研究・第4 0 巻第 1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) 最近では、これらのうち、障害者の日常生活 (ADL) 援助のための機 T e c h n i c a lA i d sf o rHandicapped) B ), 8 ) と称し、そ 器をテクノ・エイド ( のデザイン的考証を重視する方向が示されて来ている O このテクノエイド とリハ工学との関係は図 ( 5 ) のように考えられている。 テクニカルエイドデザイン 図( 5 ) テクノエイドと他の領域 の関係(繁成論文 8) より引用) これまでに述べて来た如く、福祉工学とリハビリテーション工学という 概念は、その成立の課程で明らかな相違が見られるが、私見では、リハ医 学が医学的リハに包含されるの 知く、リハ工学もまた工学的リハ(福祉工 1 0 ) 学)に包含されると考えるのが妥当であり、今後はそのような区別が必要 である。 しかし、 「制御工学の誕生以後、工学自体が生体工学、システム工学、 教育工学、知識工学などの戦略研究手法や評価手法ばかりか、最適手法決 定のためのシュミレーション工学技術へと著しく進歩してきており」ω 現 を革命的に変化させ得る能力を秘めた、コンビュー 在では、障害者の QOL タの発達と、それによる電子情報の生活環境への活用が焦点になってくる におよんで、この二つの概念は著しく接近して居るのも否めない事実であ るO リハ工学を広義(リハの過程に発生するさまざまな問題解決法に関して、 工学的手法が有効であるとみなされる事柄をすべて包括したもの)と狭義 n6 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) (問題解決の対象を障害者のハンディキャップの改善に絞ったもの)とする 考え方ωlこは多少そのニュアンスが込められてはいるが、これまでに福祉 工学とリハ工学という二つの概念が関係づけられて議論される事は極めて 少なく、文献上渉猟し得た範囲では、わずかに「……社会全体に対するソ フトウェア的リハ工学を包含したハードウェア(別の意味を使えば福祉工 学)思想、の普及戦略を開発することがリハ工学の最終目標といえる戸との べた土屋の見解に見るのみである、 この見解は今後の 1 )ハ工学の方向性に、リハ過程の中で必要とされる戦 術的道具としてのニーズに、戦略的技術として有効なソフトウェア的工学 ((1)品質管理技術、 ( 2 )オペレーション・リサーチ理論、 ( 3 )ゲーム理論、 ( 4 )制 御工学、 ( 5 )システム工学、 ( 6 ) 信頼性工学、 ( 7 )PERT ( Program E v a l u a t i 8 )あいまい性理論、 on& ReviewT e c h n i q u e )手法、 ( (9)A1 ( A r t i f i c a lI n t e l l i g e n t ω を積極的にとり入れる事の提唱で、例えば、合田による CARE 6 ) )などの、電子情報 (ComputerAidedR E h a b i l i t a t i o n ) 2 )システム(図 ( をリハ過程に最大限に生かしたソフトウェアの開発志向を予見したもので あり、 21世紀の福祉工学の焦点、であろう。 C A R Eセンター d雪 dB 唾 繍 C A R E 末 オプチカル│ネットワーク 受話器 ラ l 組 話 字 ハ チ キ ン lリ 手 タ ン : 点成 作 プ ム ロ グ 人 モ 病 康 ノ 、 診 ビ 断 専用回線 品 盆 霊 鍵 周 T9き互雪b : / ' ; J . . [電括回線 ~舎 廼三玉〉 ー ー " ' ス 部 ラ 情 各 c C,..,. 報 種 Aピ ン Aン ピ 検 タ グ ン 自 ' 1 : {プロッタ 査 喜 相 , . . . . . . . コ コ Iユ Dユ 談 長 習 よ タ 設 ) 計 t よ タ る こ 途│ 図( 6 ) 情報伝送による CAREシステム の概念図(合田論文2) より引用) ~59- 社会問題研究・第4 0 巻第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) i l l . 福祉工学の焦点 20世紀後半における電子技術、電子工学の分野における情報と通信に 関する技術革新はめざましく、電子情報の利用は、日常生活中でも大きな 割合を占める。特にこの恩恵は、いわゆる健常者よりも障害者や高齢者に 新しい生活の質を提供しつつあるといっても過言ではない。 事実、その幾多の例が、日本電子工業振興会の手になる『障害者対応情 報機器技術調査研究報告書J l のにも明らかにされているが、これらの工学的 技術は、 「障害者の根本的問題を解決するというよりは、これによって生 じる二次的、三次的障害をコンピュータを利用して除去して行く Y という 方向性を選択しており、特定の障害に偏せず、どのような障害にも対応で きるという利点を持つ O 以下、電子情報を利用した障害者への働きかけを、医学、教育、福祉の 場面で概説する。 1 . 医学分野における応用 I C(集積回路:I n t e g r a t e dC i r c u i t )、L S I ( 大規模集積回路:L argeSca こともない、医学的リハビリテーションの領 1 eI n t e g r a t i o n )等の技術進歩 l 域では、次のような場面での利用が認められる O 1).評価 ( 1 ) 医学的検査 神経伝導速度、容積脈波、加速度容積脈波、誘発電位、脳電位分布図、 サーモグラフィ一、 CT 、MRI、ABR等 ( 2 ) 動作分析ω 歩行分析システム、動作分析システム、立位バランス分析システム ( 3 ) 高次脳機能検査 ( 4 ) R e a 1ADL 検査 2 4時間自動ADL 記録装置 ( 5 ) リハビリテーションゴールの予測 ( 6 ) 運動負荷中監視装置 ホルタ一心電計 60- 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 2 ) .機能訓練・ ADL指導におけるコンピュータ 16) (1)訓練機器 Cybexマシーン、ロボット ( 2 ) 自助具、介助機器 ワープロ、パソコン、多機能ベッド、盲導ロボット ( 3 ) ペースメーカー 心臓ペースメーカ一、横隔膜ペースメーカー ( 4 ) コミュニケイション・エイズ トーキングエイド ( 5 ) 患者観察システム 16) 3 ) . 各種制御システム ( 1 ) 音声制御システム ( 2 ) バイオフィードパックシステム 1 7 ) 4 ) .CAREシステム ystem17) ( 1 ) KOSHICARES ( 2 ) KRIS( KinsmenR e h a b i l i t a t i o nI n f o r m a t i o nSystem) 1 8 ) 2 . 教育分野における応用 “情報化"というキーワードを抱えた教育の分野では、メディア教育 (媒体活用教育)、コンピュータ利用の教育(コンピュータ教育)が、むし ろ特殊教育分野での 21世 紀 的 課 題 と し て ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ て 来 て い るω O 大貫らによれば、その利用場面は次のように分類されている om) 1 ) . CAI( ComputerA s s i s t e dI n s t r u c t i o n ) 的利用 ドリル形式、チュートリアル形式、シュミレーション形式、ゲーム形 式 (CAL: ComputerA s s i s t e dL e a r n i n gと呼ばれる)などの諸形態 で、児童・生徒一人ひとりの能力を生かした個別指導に対応すること 2 ) .CMI(ComputerManagedI n s t r u c t i o n ) 指導内容・方法をより適切にするために児童・生徒の状況把握や指導 -61- 社会問題研究・第4 0 巻 第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) 記録の整理等に利用すること 但し最近では、この1)と 2 )はシステムとして統合されつつある 021) 3 ) . コンピュータ・リテラシー ( C o m p u t e rL i t e r a c y ) を育てるための 教材 コンピュータに触れ、その活用方法を学習し、情報社会により良く適応 するためにコンピュータ(使用)能を育てるための教材として利用するこ と 。 実際の活用方法においては、問題解決リテラシーから生活リテラシーへ と重点が移りつつある。 4 ) . 障害の補完としての利用 感覚運動障害による情報収集能の制限、コミュニケーションの制約、 移動能力の制約などによる学習上の制約を、コンビュータ利用により軽減 すること O 個別性の重視と尊重に留意されねばならない。 5 ) .事務処理用としての利用 年間・月間計画、行事計画、家庭への連絡の作制等に利用するもので、 教師サイドの利用が主である。 3 ) これらの用途が、障害別にどのように活用されているかについて、表 ( にまとめたがコンピュータ・リテラシーとアクセシピリティの問題は、ど の障害児に関しても重大で、さらなる対応の仕方が強く求められている。 3 . 福祉(障害者の生活援助)分野における利用 1).ハードウェア開発ω ( 1 ) 身体障害者用多機能ベッド ( 2 ) グ 機能回復訓練装置 ( 3 ) 点字複製装置 ( 4 ) モジュール型電動車椅子 ( 5 ) 植込型人工中耳 ( 6 ) 言語障害者用発話訓練装置 nL PO 表( 3 ) 教育分野におけるコンビュータ利用一一障害別現状と問題点一一(文献 22 ) CAI的利用 アクセシピリティ 肢体不自由 -キーボード改良 -キー数の調節 -入力装置の開発 -音声応答装置(時に必要) -ロック機能追加 C C H I F T .C O N T R O L ) │ ワープロソフトで言葉の 学習等 多くの場合、ソフト、ハード 共に何らかの改良が必要であ る 。 ‘ -キー操作時間の制御 -キーリピート機能の解 除等 視覚障害 igl 聴覚言語障害 病 弱 ( 筋l Aト a 7 { 症) -使用出来る児童・生徒は 非常に少ない -ソフトは自作に頼る -特に音声合成機能のサボー トが必要 -特にハード付加の必要なし -音声出力仕様ソフト以外は すべて可 -市販の C AIソフトで可 -スピーチトレーナ、 聴覚訓練用ソフトも開発 ずみ .CADによる製図 -キー数多く、マスキング 必要 -キーリピート解除必要 -タッチパネルに転換 (画面表示と指示内容とキー の関係が理解出来な L、 ) -市販のソフト利用 -半具体物の操作 ソフト有用 •L O G O使用例あり -音楽ソフトか有用 -キーボード操作に惑のある 場合がある -呼吸訓練、歩行訓練 よ肢機能訓練 •L O G Oによるプログラミング 学習 コン一テラシー の育成 障害の補完 -学校教育としては不要 。パソコン通信が有用 -新しいコミュニケーション 手段 -自宅学習 -入口情報の的確な判断 -国際感覚 -総合的学習 -ワープロ機能の重視 -コミュニケーションエイド -手、足、口俊能の代行 -学習の意欲づけ -文書作制機能 -情報処理機能 -生活の拡大 -自己実現の手段 -社会生活・職業生活のため に大いに必要 -点字と活字〈墨字)の相互 交換が必要 聴力管理および補聴器の フィッティングに利用 -聾学校高等都に、情報処理 科設置の動きあり -プログラム開発にはむしろ 有利 -音声合成装置付加で意志を 言葉で伝えられる -トーキングエイドの製品化 -タッチパネル、スチルピデ オの応用 -二次的情報障害防止 非常に少ない -利用例は少ない -映像、音響的刺激効果大 -即時フィードパックの利 -細かいステップ、分岐で進 める -繰り返し;が容易 -動後づけしやすい -健康上の情報管理 (てんかん、他の合併症) 要望多し / , ・軽度の児童・生徒には可能 / -情報処理学習を行なう例 あり / (安藤:再構成) 前芹い円特色頭砂川作市S獅沿戸)(時親) 精神遅滞 -音声出力装置付加 -点字ディスプレイ付加 -点字キーボード接続 -点字プリンタ接続 -タッチパネル -文字拡大機能 l CMI的利用 社会問題研究・第4 0 巻 第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) ( 7 ) 盲人用歩行補助器 ( 8 ) 下肢機能補助装置 ( 9 ) 盲人用読書装置 ( 1 0 ) 身体障害者用介助移動装置 ( 1 1 ) 体温自動調整器 ( 1 2 ) 義足ソケットの CAD/CAM 2 ) . ソフトウェア開発 ( 1 ) 福祉周辺機器の標準化と支給システム日 i)サービス(メソテナンス)システム i i ) フォローアップシステム ii)製作管理システム i v )研究・試験システム ( 2 ) リハ戦略用ソフトウェア i )CAREシステム(,情報を中心とした) 公共情報システムおよびコミュニケーションシステム i i )環境の制御システム ( E C S: E n v i r o n m e n tC o n t r o lS y s t e m ) ii)環境へのアクセスシステム i v )住環境の整備システム ( 1 .2 .3 .の内容については、一部重複や、機能分離が無理なものも多いが、 役割を重視して分類した) 以上、実に多くのハード、ソフト面での電子情報の利用が行なわれてお り、ここで挙げられたものは、その一部に過ぎないが、これらの情報を障 害者自身が得るべく活用できる場面が少ないのが難点であるし、また実際 にその目的で電子機器を利用しようとする際の重大な問題の一つは、電子 機器アクセシビリティ ( A c c e s s i b i l i t y )である O I V . 電子機器アクセシビリティ アクセシピリティという語の意味は、 Access~P ち、接近、通路、面会な どの意から派生した、近づきやすさ、利用しやすさ、手に入れやすさとい 6 4 福祉工学の概念とその焦点、(1)(安藤) う事で、これまでカリフォルニア・アクセス法 ( a c t ) 、アクセス権(移動の 権利)、公共機関のアクセス化などと使用されている。 ここでとりあげる電子機器アクセシビリティとは、 「電子機器を体の不 自由な人でも使えるようによる仕組み」と定義される 23)が、これは、 1 9 8 6年 米議会が、リハビリテーション法に、電子機器アクセシビリティに関する 条項、第5 0 8 条「障害を持つ個人が、特別な周辺機器の有無に関わらず、事 務機器にアクセスできるよう保証する」を追加し、翌年 1 9 8 7年に教育省が 作制した電子機器アクセシピリティ指針に用いられている定義である ωO 議会による米連邦政府への、体の不自由な人でも容易に使えるような電 9 8 8 年 9月3 0日付けで、米国連邦情報資源管理令公報第5 6 子機器調達令は、 1 号として公布されたが、その内容は、 1 9 8 8年 1月に日本でも、福祉システ ム研究会(19 8 5年設立)により翻訳され、“あらゆる障害者の交流を目的と する市民の会"を通じて『障害者の情報活動への参加』として出版され た紛。これが基本となって、同年通産省機械情報商業局では、 『障害者等対 応情報機器の調査研究』を、高度技術集約方産業動向調査の一項目に加え、 9 9 0年 6月『情報処理機器 電子協、福祉システム研究会等の協力を経て、 1 アクセシビリティ指針J26)を確立した。(両国の指針については、巻末資料 1.資料 2を参照されたい) 表( 4 ) に、両国の指針にもられた内容を対照して示したが、前述したよ うに、成立の過程で、日本側指針が米国のそれを叩き台にしているので、 双方が類似のものであるのは当然としても、日本側の指針には入力基本仕 様の項に、米国の仕様には明確ではない、 1-3キ一入力確定条件設定機 能が加えられているのは、特に不随意運動に悩む肢体不自由児・者にとっ て極めて有用な利点となる。 また、その他の注意事項に、 4-2記録媒体に取り扱いについて、フロッ ピーディスクの自動挿入排出装置を用意するという一項と 4-3電源スイッ チ・リセットスイッチへの配慮-がつけ加えられているのは、アクセシビリ ティの保障という点で、ほとんどの障害者にとって有難い。 アクセシビリティを満足させた機器やソフトは、使い勝手において障害 ァ 65- σコ σコ b 出力 1)音響出力機能 2 )情報表現の多様化 3 ) モニタディスプレイ ( a ) 拡大表示 ( b ) 視覚情報アクセス ( c ) 色表現 C 文 書 (日本側指針) 乙 出力基本仕様(ディスプレイ対策) 2-2 画面表示文字の音声化機能 2-4 出力情報の多重表現機能 2-1 画面の拡大表示機能 2-3 表示中の画面情報出力機能 2-1 表示色変更機能 3 . 文書基本仕様 3- 1 電子化文書の提出 4 . その他の注意事項 4-2 記録媒体の取り扱いについて 4-3 電源スイッチ、リセットスイッチの配慮、 4-4 問い合わせ窓口の明確化 ω・臼) ・ 4 )キー・リピート 5 ) トグルキー状態制御 6 ) キーボード用補助具 7 ) キーガード 仕様 1 . 入力基本仕様 1-1 順次入力機能 1-4 マウス代行機能 4-1 代行入力装置について 1-6 キーボード接続インターフェース公開 1-2 反復入力(キー・リピート)条件設定機能 1-5 トグルキー状態表示機能 1-8 キ一位置の触覚識別手段の提供 1-7 キーガードの提供 1-3 キ一入力確定条件設定機能 --N ゆ辛岨(.2 機能的仕様‘(米国側指針) a 入力 1)多重同時操作代替手段 2 )入力の多様化 3 )代替入力装置 洋ゆ耳醐豊浦・輔さ赫瀦 表( 4 ) 日米両国間のアクセシピリティ指針の比較 福祉工学の概念とその焦点( 1 ) ( 安藤) 者と健常者の差を減少され得るので、特にエレクトロニック・イコライザ ( E l e c t r o n i ce q u a l i z e r:能力等化機構)と呼ばれるが27)Equa 1 iz e r (平等化 するもの、一様化するもの)という名の如く、テクノロジーと人権という 観点を改めて指摘した今回の日米両国における指針決定の意義は、次の諸 点において明らかである。 第一に、工業技術が、障害者問題のまさに核心ともいえる心ωの問題、即 ち存在の平等性実現に向けて、あきらかな第一歩を印した事。 I 技術の発 達が障害者に,恩恵をもたらすのではなくて、障害者とともに歩むことで技 術も進展していく m という考えは、テクノロジー至上主義の反省に立つも ので、これまで、工学の対象として、市場経済的にも絶対的にマイノリティ であった障害者のニーズを明らかにすることで、技術開発の原点に立ち戻 れという意味と理解できる。 第二にこれはノーマリゼージョンという考え方に対する工学的解答の一 つであり、また自立援助の強力な手段ともなり得るこのアクセシビリティ という考え方が、福祉工学の焦点のーっとなり、かっ障害者の文化的生活 に不可欠な電子機器に応用され、今後の障害者問題の観点、がさらに明確化 された事は、今後の福祉の展開には重要な点である O 第三に、この指針の内容が、問題解決にあたっての課題、即ち「合成の 誤謬 ( f a l l a c yo fc o m p o s i t i o n )を極力少なめにする」紛という努力に立ち、 それがかなりの成果を挙げ、そのため、今後の対障害者施策のあり方に一 つの示唆を与え得た事は特記さるべき点である。 第四に、この指針が、福祉工学の目標の一つでもある、製品やシステム の標準化を容易にすると同時に、 )という課題をもまた改めてう 「人間化J H e a r tware)J ω 的発 きぼりにし、その技術開発の手段に「ハートウェア ( 想が必要である事を示したが、それは福祉工学の新たな存在意義として、 リハビリテーションのチームアプローチに、強烈なインパクトを与えた。 第五に、日本における指針の確定の緒が、障害を持つ人々を含めたボラ ンティア活動によって聞かれた事も、社会福祉的方法として意義がある。 ← 67- 社会問題研究・第4 0 巻第 1 . 2合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) v . おわりに リハ過程への工学の参加は、リハの方法論に著しい変革を強い、同時に 障害を持つ人々の生活の質に彩りを深め、自立生活への可能性をより希望 に満ちたもものにしている。 リハ工学そのもののあり様、即ち「福祉社会への貢献」は、近年明らか にその実を挙げて来ている。けれども、リハ工学自体が比較的新らしい学 問分野であるため、リハ医学ほどにはその概念、が定まっておらず紛、福祉 工学という表現との違いが解りにくドきらいがあった。 この問題を少しでも整理すべく、今回は、福祉工学とリハ工学の成立を 通して考証し、二つの学問的領域に概念化を試みた。 その成り立ちにおいて、福祉工学は 医学的リハに対応する、いわゆる 工学的リハ(広義のリハ工学か)と同一であると考えられ、従ってリハ工 学は、リハ医学に相当する狭義のテリトリーを持つものととらえておくの が最も解りやすい考え方であろう O このような福祉工学(およびリハ工学)の中での最近の焦点は、電子情 報の活用であり、活用に関する問題の中でも電子機器アクセシビリティが 新しく浮上して来ているので、日米両国のそれぞれで指針を検討して、そ の方向性が社会福祉的日見て大きな意義がある事を述べた。 残された問題として、使える者と使えない者との差の一層の拡大、普遍 化にともなうニーズの細分化、職域の圧迫、保障とコスト問題があるが、 これまで「はからずも障害人を排除}l)しつづ、けて来た新しいハイテク製品 を、逆に障害人の強力な味方するための橋頭室が、ささやかで、はあるが確 保された事を素直に喜びたい。 著者らは、昭和 63年度以来 3年間にわたり文部省科学研究費により、 「エキスパートシステムによるダウン症児療育プログラムの開発研究」を行 い、また平成 2年度より 3年間にわたり、厚生省心身障害研究班(主任研 究者高松鶴吉博士)に属し、障害者地域福祉に関するコンピ z ータ試行 研究を行なう事になった。太田茂(福祉システム研究会代表) r ハイテク. を生かした新らしいコミュニケーションと福祉のあり方」、中邑賢龍(香 -68 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 川大学助教授) 1-コミュニケーション・エイドの効果的利用に関する心理 コミュニケーション手段と 学的研究」、立目章(北九州養護学校教諭) I してのコンビュータ活用の可能性と環境作りのあり方」、大員茂(北九州 障害児のコンピュータアクセシビリ 市総合療育センタ一言語療法係長). I 心身障害者の家族援助へ ティの改善J、太田義弘(大阪府立大学教授) I の情報処理シュミレーションの研究」安藤忠(同) r ケースワーク実戦プ ログラムの個別化と臨床応用」などがその内容であるが、今後、福祉学に おける研究や教育三および福祉の実戦活動の中でも、ハイテク利用が急増 すると恩われるので、自分自身の研究課題の位置づけを図る意味で、手は じめに、リハビリテーション、福祉、工学を Keyword としてこの論文をま とめた。 (以上) <引用文献> 1) 合田周平(司会)、大島正光、加藤一郎、市川惇信「社会福祉と科学 r JV o1 .4 ,N o . 12 PP.868~878 , 技術J 計測と制御I 1 9 7 5 r 2) 合田周平「福祉産業技術の体系化-福祉ヱ学の課題- 計測と制御 J Vo l .1 4,N o . 12 P P . 8 7 9 8 8 5,1 9 7 5 3) 合田周平〈司会)上田敏、大島正光、小林久雄、土屋和夫「福祉の時 r JV o 1 .2 0,N O . 2 0 代と科学技術-現状と課題J 計測と制御I P P . 1 0 9 7 - 1 1 0 41 9 8 1 4 ) 土屋和夫「計測と制御の立場からみたリハビリテーション工学の現状 計測と制御JV ol .1 4,N o . 12 P P . 2 0 3 0,1 9 7 5 と将来J r 5) 土屋和夫「リハビリテーション工学の概念上の諸問題 J r 医用電子と o 1 .2 3,N o . 4P P . 2 2 3 2 3 2,1 9 8 5 生体工学JV 6) 加倉井周一「医学側から見た福祉機器の開発と展望 J r 総合リハビリ JV o 1 . 7 ,N o . 1 PP. 121 8,1 9 7 9 テーションI 7 ) 斉場三十四「福祉と機器-リハビリテーション・工学・福祉との接点 -69- 社会問題研究・第4 0 巻第 1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) を考える Jr ソーソャルワーク研究JlV o. 11 6,N O . 2 PP. 40 4 5,1 9 9 0 8 ) 繁成剛『障害児のためのテクノエイドJl (高松鶴吉・繁成剛) P P . 1 4 4, ぶどう社東京 1 9 8 8 . 7 6 岩波新書,東京, 1 9 8 4 9 ) 砂原茂一『リハビリテーションJlP 1 0 )上田敏『リハビリテーションを考える-障害者の全人間的復権-P . l l 0, 9 8 3 青木書庖,東京, 1 1 1 )土谷和夫「リハビリテーション工学の進歩J r 障害者の福祉Jl V o 1 .7 , N o . 7 PP. 151 9 .1 9 8 7 1 2 )窪田俊夫 fM側から見たリハビリテーション工学のテリトリー J ~医 用電子と生体工学JlV o 1 .2 3,N . o 4P P . 2 4 0 2 5 6, 19 8 5 1 3 )土屋和夫「わが国のリハビリテーション工学の現状 J r 総合リハビリ o l .1 4,N o . 10 ,P P . 7 3 5 7 3 9, 1 9 8 6 テーションJlV 1 4 ) 日本電子工業振興協会 「障害者等対応情報機器技術調査研究報告書』 1 9 9 0 1 5 )太田茂『向上報告書JlP . 9 総合リハビリ 1 6 )福井園彦「コンビュータとリハビリテーション機器J r テーションJlV ol .1 4,N o . 10 ,PP . 7 5 9 7 6 4,1 9 8 6 1 7 )長尾龍郎「コンピュータ支援リハビリテーション医療システム J r 総 o l .1 7,N ム . o PP. 10 9 -1 1 5, 1 9 8 9 合リハビリテーションJlV 総合リ 1 8 ) 白野明ら「地域リハビリテーションにおける情報システム J r o l .1 7,N ム . oP . 9 6,1 9 8 9 ハピリテーションJlV 1 9 )詫間晋平・柴若光昭「コンビュータ利用の障害児教育ーその光と影」 『コンビュータ利用の障害児教育JlP.4,学習研究社,東京, 1 9 8 8 前掲書Jl P P . 2 0 )大貫勉「障害児教育におけるコンピュータの利用状況J r 1 8 2 3 2 1)永岡慶三「パソコンによる授業評価法 S -P表分析・ IRS 分析法の考え方 と生かし方J rNEW 教育とマイコンJlN O . 5 3,PP. 12 6 1 3 3,1 9 9 0 2 2 )文献 ( 1 9 )r コンピュータ利用の障害児教育』第 2章 PP . 1 8 3 5および 文献 ( 21 ) rNEW教育とマイコン』に掲載された障害児とパソコン -70- 福祉工学の概念とその焦点( 1 ) ( 安藤) N o . 1(APR. 19 8 9 ) N o . 9 ( J a n, 1 9 9 0 ) の各章より抜粋 2 3 )福祉システム研究会『ハイテク時代のコミュニケーション JP 2 . 1 9 9 0 2 4 ) 浅野史郎(編) ,高松鶴吉,太田茂『障害者の可能性を拡げるコンビュー タJP. 19 0,中央法規,東京, 1 9 9 0 2 5 ) 太田茂「情報処理機器アクセシビリティ指針の背景と内容 J 情報処 理機器アクセシビリティ指針の普及促進シンポジウム(資料) JP . 5, r 9 9 0,-資料 1 日本電子工業振興協会 1 2 6 ) 障害者等対応情報機器開発普及推進委員会「情報処理機器アクセシビ 2 5 )資料JP P . 3 8 4 1,1 9 9 0 -資料 2 リティ指針J r 2 7 ) 前掲文献2 5 ) のP.4および同 2 4 ) のP . 3 8 2 8 ) 江田裕介「高度情報社会における障害児教育の展開J r 前掲文献 2 5 ) J P . 3 1 2 9 ) 合田周平「前掲の文献2 ) JP. 13 3 0 ) 加倉井周一「臨床サイドから見たリハビリテーション工学への要望と 1 .2 1,N ム . o PP. 19 3 -1 9 7,1 9 8 4 今後の課題J rリハ医学JVo 3 1)高松鶴吉「前掲の文献 2 4 ) JP . 5 -71- 社会問題研究・第4 0 巻第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) 資料 1 1.目的 米国連邦情報資源管理令・公報第 5 6 号抜粋 障害職員に対し、電子機器アクセシビリティと、公開情報資源へ のアクセスを提供する自動データ処理機器を入手するための指針を確 立する。 2 .失効期日 恒久的。廃止されるまで有効。 3 .背景 a . 1 9 8 6 年、議会はリハ法に第5 0 8 条の追加を承認し、1)障害者が、電子事 務機器を特別な周辺機器の有無を問わず使用できるよう保証するため の指針制定と、 2 )連邦機関が電子機器を購入またはリースする場合、 それに従うよう命じた。 b .教育庁と連邦調達庁は特別諮問委員会や電子機器業界・障害者団体な どと協議して「障害者の情報社会への参加」という指針を開発した。 本公報はこの指針の関連部分を実施するもので、技術の進歩や対象機 器の拡大などに応じて定期的に改訂されよう O 4 .定義 a .電子機器アクセシビリティとは、生産性を高め、仕事に関連し、かっ、 公開された情報資源へのアクセスを促進するために、障害者の機能的 な制限を考慮した方式で適応させた電子機器の応用/構成である O b .障害者とは、電子事務機器アクセシビリティで利益を得ることのでき 9巻 1 6 1 3 . 7 0 2条({)項に準拠)のこと る有資格障害者(連邦省令法典第2 である。 C.特殊周辺機器とは、通常、電子機器にアクセスできない障害者をアク セスできるようにするために必要となる補助装置のことである。 5 .まえがき 障害の有無に関わらず、電子事務機器へのアクセスは平等で なければならない。マイコンなどによって、文字拡大機能や音声入出力 機能、点字ディスプレイやキーボード代替製品の利用が可能となった。 以下略。 6 .管理責任 -72- 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) a .各機関に本公報履行の責任者として、情報資源管理官を置き、障害職 員に対する電子事務機器アクセシビリティ(連邦政府の公開された情 報資源に対するアクセスの提供も含む)の保証責任の徹底と、そのゴー ルに到達するための進歩を監視させる O b .各機関の実験する管理職は、機器の入手計画や調達の段階で、障害を 持つユーザの要求事項をはっきりさせ、こうした必要性が調達に反映 させなければならなし、 C.画像情報の重要性が高まりつつあるので、視覚的に表現された電子的 利用可能情報を取り出し、視覚障害者のために別の形式で表現するこ とは非常に重要である O b .障害職員に対し電子機器アクセシピリティを提供した時に起こりうる 様々な問題に対処できるシステムエンジニアの費用を、商談時点で設 定しておく必要がある。 e .障害職員への対応方針や決定すべき管理職は、調達庁発行の手引書を 熟読されたし、。 コンピュータ設備の相談や手引書の入手には、設備情報センタに連 絡されたい。 7 .全般的考察 a .連邦情報資源管理令に従って障害職員の要件を定め、事務機器アクセ シピリティに対する要望を分析しなければならない。各機関の要望書 類に、次章の機能的仕様と、その機関独自の追加仕様とを加えた障害 職員の要望を記述しなければならなし、 b .要望には、サードパーティ製ハード・付加ソフト(例、階層化方式) 拡張機能で対処する方法などがある。階層化方 か本体組込ハード・ 08 式とは、ユーザ階層と 08 階層との聞に別のソフト階層を追加する方式 で、機能・性能面の利点はあるが、費用面などに問題が残る。 C.画像の情報処理の重要性が高まりつつあるので、視覚的に表現された 情報を非視覚的形式で表現できるよう電子的に利用可能な形式にする ことは、極めて重要である。 ー -73- 社会問題研究・第4 0 巻第 1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) d .障害職員に対して電子事務機器アクセシピリティを提供する時に起こ りがちな通信やインタフェースに関する問題を、解決できるシステム エンジニアのサービス費用を、商談時点で設定しておく必要がある。 e .障害職員の対応責任者は、障害ごとの特殊事情や、最善の対処方法に ついて調達庁の作成した手引書を参照されたい。コンピュータ設備の 相談や、手引書を入手するには、調達庁の設備情報センタに連絡され f こ し 、 。 8 . 機能的仕様入力・出力・文書という各節は機器取得の計画から調達 までの期間内に決めるべき主な分野を反映している。画像情報の外部 出力機能以外の仕様については、現時点で、企業は対応できる。 a .入力 1 ) 多重同時操作代替手段ーマイコンには複数数個のキーやボタンを同 時に押さねばならない機能が幾っかある。これらを順次押す操作で代 行できるようにする。 2 ) 入力の多様化 マウスなどを用いて入力するプログラムは、精密な 筋肉制御を要するため、運動能力障害者は、こうした機器操作ができ ない。キーボードや他の代替入力装置(例えば、音声言語入力)を用 いて、マウスなどの機器の機能が代行できるようにする。 3 ) 代替入力装置 改造標準キーボードを利用できない人のために、代 替入力装置(キーボードとシステムで用いている全ての標準入力装置 を補うもの)が接続できるようにする。代替入力接続能力とは、物理 的なポート(シリアル、ノマラレルなど)、または、キーボードの働き を助けたり代わりをする補助装置の接続が可能な機構のことである。 代替入力装置は、標準入力装置(キーボードやマウス)の機能をハー ド的に模擬し、その人にとって最も使い易い入力方法を選んで挑えた ものでなれればならなし、 4 ) キー・リピートーあるキーを押し放しにすると、同じ文字を繰り返 して発生する機能は筋肉を充分に制御できないユーザにとっては問題 である。キーボード反復機能が働き出すまでの時間と間隔時間を延長 -74- 福祉工学の概念とその焦点( 1 ) ( 安藤) するか、または、この反復機能を完全に停止することによって、ユー ザが制御できるようにする。 5 ) トクールキー状態制御一押すたびに状態が変わるトグルキーが、今、 オンか、オフかを視覚的に確認しなくても済むような代替モードを用 意する。 6 ) キーボード用補助具-視覚障害者が、重要キーを識別できるよう、 触覚オーバーレイつまり、キ一部の交換用部品、または、他のキーと 区別できるような独特の記号が付いた透明な粘着テープを用意する。 7 ) キーガード一運動機能障害ユーザーの手の働きを安定させ、自分の 望むキーを正しく押すことができるようにキーガードを用意する O こ れは、キーボードのキ一位置に穴を開けた型板(テンプレート)のこ とである。 b .出力 1 ) 音響出力機能 音声言語出力を必要とする障害ユーザのために、コ ンビュータで音声を喋らせる音声合成装置が必要である。音量調節機 能と、ヘッドフォンジャックも用意せねばならない。 2 ) 情報表現の多様化ーマイコンのスピーカを活用して情報を提供して いるプログラムの中には、その情報が視覚的に把握できないものもあ る。視覚障害ユーザのために、音響的情報と同時の視覚的情報を用意 する O 3 ) モニタ・ディスプレイ ( a ) 拡大表示-弱視者のために画面で一部分を拡大できるようにする。 ウインドウなどの仕組みを用いて、利用者自身で倍率を制御できるよ うにする。仕事に関連するどんな応用ソフトからでも、この機能がキー ボードやコントロールパッドから呼び出せなければならない。もし、 応用ソフトが画像情報を含んでいれば、それの拡大もできるようにす る 。 ( b ) 視覚表現情報アクセス-視覚障害者用の音声・点字出力をするため、 画面アクセス能力が必要である O 現在、標準的な応用ソフトで画面の ー -75- 社会問題研究・第4 0 巻第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) 任意の場所の文章に対応する情報を音声か点字かの形式で再生できる。 サードパーティ業者は、画面情報を内蔵、または外付きの音声合成装 置や点字ディスプレイ装置で利用できるようにし続けなければならな い。視覚以外の方法で表示できる日に備えて、画像情報の外部出力も 必要である。 ( c ) 色彩表現 ディスプレイ上の情報を理解するのに、色彩識別が必要 なら、視覚異常者が表示色を選べるようにしておくこと。 C.文書納入業者は、障害職員のために、文書の写しを電子的利用が可 能な形式で提供する責任がある。 資料 2 米国リハビリテーション法第 508条 a)(1)教育省長官は、国立障害リハビリテーション研究所および連邦調 達庁長官を通じてエレクトロニクス業界と協議の上、障害を持つ個 人が、特別な周辺機器の有無にかかわらず、電子事務機器を利用で きることを保証するように企画された電子機器のアクセシビリティ に関する指針を作成し、確立しなければならない。 ( 2 ) (1)項に基づき制定した指針は、購入・リースを問わず、電子機器 に適用しなければならなし、。 ( 3 ) 指針初版は遅くとも 1 9 8 7 年1 0月 1日までに作成され、技術の進歩な 変化に応じて定期的に改正されなければならなし」 b ) 1 9 8 9年 9月3 0日から後、調達庁長官は電子機器の連邦政府調達に際 して、(1)項に従って制定した電子機器アクセシビリティに関する指 針を採用しなければならない。 c ) この条文の目的に対する「特別な周辺機器」とは、普通なら電子機 器にアクセスできないような障害を持つ個人でも電子機器がアクセス できるようにする特別な要求に応える補助装置のことである。 d ) 修正について-この法令の目次の「第 507条」の後ろに下記の新 しい項目を挿入して修正する。 「 第 508条電子機器アクセシビリティ」 -76- 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 情報処理機器アクセシビリティ指針 平成 2年 6月 20日 障害者等対応情報機器開発普及推進委員会 目 的 : キーボードやディスプレイなどの入出力手段を改良することに より、情報処理機器を利用する際の下記の障壁を克服又は軽減し、 使い易さを向上させる。 (1)上肢機能や視力の低下による情報処理機器利用上の 障壁 ( 2 ) 聴覚・言語障害によるコミュニケーション上の障壁 ( 3 ) 情報処理機器を特殊教育に利用する際の障壁 ( 4 ) 高齢化に伴って発生する情報処理機器利用上の障壁 対象機器: 情報処理機器(例えば、パソコン、ワークステーション、メ インフレームなどのコンピュータ及びその関連機器) 基本方針 この指針は、多くの障害者が可能な限り多くの利益を早いうちに享受す ることが出来るようにするため、次の考え方に立脚して策定するものであ る。即ち、 ( a ) 実現性重視比較的短期に開発が可能なもの等実現性の高いものを優 先する。 例えば、音声認識技術のように要望は高いが発展途上段階にある技術 や、画面内容出力機能のように規格化を要するものについては、その 技術開発が終了近くなるか、規格化が行なわれた時点で検討の対象と する。 osの規格化とかフロッピィの標準化などのより広い関係分野 での合意が必要なものは、対象に含めない。 ( b ) 全障害に対する配慮-障害の程度、種類によって各々要求が異なり、 77- 社会問題研究・第4 0 巻第1 ・ 2 合併号 ( ' 91 .3 . 31 ) 一部には細かい要求があるが、ここでは、公平を確保するため要求の 普遍性を重視する。 ( c ) 聞かれたシステムへの配慮市販の情報処理機器に対する脱着の容易 性を重視する。 これはごく限定されて用途の製品を否定しているものではない。なるべ く多くの人々が使えるようにするには、聞かれたシステムの方が望ましい と判断し、これを優先する O 個々の方針については、このような考え方によって選定されたものであ るが、今回においてはそれが多岐、多項目に渡ることから更に必要度、実 現性の観点から、①【必須機能】、②【重要機能】、③【推奨機能】と 3 段階に分類した。①は情報処理機器として不可欠な機能であって、使用対 象者は多いものと考えられる。②は教育・娯楽などに必要な機能であり、 重度の人でも使えるようにするため、やや対応が難しい。③は望ましい機 能であるが、実現する上でやや問題が残っている O 実現の可能性が高いものを重視する姿勢は、なるべく多くの人に役立つ という基本方針と矛盾しない。この指針を速やかに普及させるためには実 現しやすいものから行なうという現実的な発想が重要である。 仕 様 1 入力基本仕様(標準キーボード対策) 1-1 順次入力機能 【必須機能】文字キーと同時に打鍵することで、その文字に別な意味を与 えるキ一、例えば SHIFT (シフト)キーや CTRL(コントロール)キーを 単独で押した時は、次の打鍵を待って入力文字を確定する順次入力操作を 可能にする。 1-2 反復入力(キーリピート)条件設定機能 tl)と繰り返しの間隔時間 ( t 2 )と 【必須機能】反復機能の停止及び開始時間 ( を利用者が設定できるようにする。 -78- 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 【重要機能】反復入力機能の有効/無効をキー毎に指定できるようにする。 1-3 キ一入力確定条件設定機能 【重要機能】各キースイッチの状態は、打鍵直後確定するのではなく、一 t 3 )保持して初めて有効となり、その後、一定時間 ( t 4 )経過するまで 定時間 ( 次の打鍵を無効とするモードを用意する。 1-4 マウス代行機能 【必須機能】画面上での位置指定を標準キーボードのカーソル移動キーな どでできるようにする。 【重要機能】ジョイスティックやタッチパッド (CRT画面に密着させた スクリーンパッドも含む)などの様々なポインティングデバイスから、位 置情報が入力できるようにする。 1-5 トグルキー状態表示機能 【必須機能】トグルキー(例えば、英文タイプライタの大文字ロックキー などのようにミ押すたびにコンピュータの内部状態が変化するような機能 キー)を押すたびに、新しい状態を音声などで知らせるようにする。ただ し、現在の状態が触覚で確認できる機構的ロックキーについてはその必要 はない。 1-6 キーボード接続インターフェース公開 【,必須機能】標準キーボード又は代替入力装置の接続インターフェースを 公開する。 1-7 キーガードの提供 【必須機能】キーガード(合成樹脂や金属の板にキーボードの各キーに対 応する穴を開けたもの)を本体メーカーが供給する。 1-8 キ一位置の触覚識別手段の提供 【~\須機能】主要キーの触覚識別手段を本体メーカーが提供する。 2 出力基本仕様(ディスプレイ対策) 2-1 画面の拡大表示機能 【必須機能】ディスプレイ上の文字情報を、拡大表示できるようにする。 -79- 社会問題研究・第4 0 巻 第1 ・ 2 合併号 ( ' 9 1 . 3 . 31 ) 拡大する領域は、カーソル移動キーやマウスなどで指定できるものとする。 いろいろな視力の人に適合するよう数段階の拡大率を用意する。 【重要機能】グラフィックス画面の拡大もできる。 2-2 画面表示文字の音声化機能(かな漢字変換の候補文字音声化機能 を含む) 【必須機能】音声合成装置(本体内蔵が望ましい)を接続できるようにす る 。 かな漢字変換の際は、①打鍵した文字と②変換候補文字とが音声で確認で き、かっ、②については、音声で同音意義語の区別ができること。指定に より、変換確定文字の音声化もできる方がよい。 o 【 、須機能】イヤホンジャックを装備する。 【,必須機能】画面の任意の領域の文字読み上げができるようにする。 【必須機能】必要に応じて、音声の ON/OFFができるようにする。 【重要機能】漢字の熟語を正しく読めるようにする。 【重要機能】漢字や熟語の音声辞書の変更を利用者に許す。 【推奨機能】英単語も読める方がよい。 2-3 表示中の画面情報出力機能 【重要機能】ディスプレイに表示されている文字情報を外部出力できるよ うにする。 【推奨機能】ディスプレイに表示されている図形情報を外部出力できるよ うにする。 2-4 出力情報の多重表現機能 【重要機能】ブザー等の聴覚を利用する警告情報を、画面や LED (発光 ダイオード)などや、凹凸・振動などの視覚や触覚を利用した別の手段で 分かるようにする。また、ディスクドライブの使用状況が音や振動など非 視覚的手段で分かるようにする。 2-5表示色変更機能 【重要機能】特定の色に需要な意味を持たせないようにするか、配色を変 更できるようにする。 -80- 福祉工学の概念とその焦点(1)(安藤) 3 文書基本仕様 3- 1 電子化文書の提供 【必須機能】利用者用マニュアルの文章部分を電子的記録媒体(フロッピ イや光ディスクなど)に入れて提供する O 【重要機能】利用者用マニュアルの図形部分も電子的記録媒体に入れて提 供する O 4 その他の注意事項 4-1 、代替入出力装置について 【推奨機能】標準キーボードやディスプレイに代わる代替入出力装置をオ プション装置とて、本体メーカーが用意する O 4-2 記録媒体の取り扱いについて 【推奨機能】フロッピィディスクの自動挿入排出装置を用意する。 【推奨機能】ハードディスクの接続を可能にする。 4-3 電源スイッチやリセットスイッチへの配慮 【推奨機能】電源スイッチやリセットスイッチなどについて、使い易くす ると同時に、誤動作が防げるような配慮が望ましい。 4-4 問い合わせ窓口の明確化 【必須機能】本指針を採用する製造元各社は、自社製品に関する問い合わ せ窓口を用意し、説明書などに明記する。 : -8 1-