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GKH017203
45 闘南語・北京語に j示ける 発音についての検討 洗 文 良 中国の言語と文字 中国は多民族の国家である。五十以上の民族があるといわれ,多文字, 多言語の国家である。例えば, 5431 年建立された北京の西北郊外にある関 語 , 所「居庸関」の過街塔(アーチ〕の内壁には,モンゴル語,チベ γ ト ウィグル語,党語,漢語とともに西夏文字によっても塔建立の縁起が刻ま れている。しかし,中国ではこれら六種以外にも使用されていた文字があ る。即ち,北方民族契丹小字,契丹大字。ツングース系の女真族の契丹文 字,その文字の中には,大字の表意文字と小字の表音文字がある。 中国の文字の中で最も広く使用されているのが漢字で,漢字を用いてい る区域を漢字文化固とし、う。次に漢字の読み方であるが,一つの文字につ いての読み方も少なくない。例えば,日本では「生J の字をどのように読 んでいるか。 「しよう J 「 せ し 、 」 「なま」……など実に42 種類の読み方が あるのである。そして中国では北京語,間南語,客家語,福州語,上海語, 広東語など地域によってそれぞれ異なった発音のあることは,すでに周知 の通りである。 また,北京語の中でも同じ同ーの発音をする文字は少なくなし、。例えば, 「chi 」出?とし、う発音の文字は「智」「誌」「l持」…ーなど六十五宇もある。 更に一宇に二つの読み方,即ち「異読音J,「破音字」の例も少なくない。 その外に漢字(漢語)の宰体も大変複雑で,時代によって字体にもいろい (4) ろと変化がある。よく見られるものに「寿」の字体を百種集めた「百寿図 と「福」の字体を百以上集めた「百福図」がある。 伝説によれば,漢字は黄帝の時代に記録担当の役職にあった倉韻が烏や 獣の足跡からヒントを得て発明したといわれている。 4 64 天理大学学報 実際の漢字の始まりはどのようであったので、あろうか。それを考えるに は考古学の成果に頼らなければなな L 、。西安の半披遺跡,これの推定年代 は.B .C 084 .B .C 034 年である。従って現在から06 年以上も前の文 化を示すものと考えられるが,この半披遺跡から破損していない彩陶も発 見されたが,それよりもむしろ,多量に発見された彩陶の破片の中に文字 のように見える記号が刻まれたものがあること。 また,山東省陵陽河にある大波口文化の新石器時代の遺跡から発見され た陶器の図象には,絵文字に近いものがある。これらは L 、ずれも,しばし ば漢字の起源を示すものとして言及されている重要な資料である。 股代には有名な甲骨文があり,これはまちがし、なく現代漢字の祖先とい える文字だが,同じ肢でもその前の時代に属する遺跡から文字らしきもの を刻んだ陶器が発見されている。それは河北省藁城県の台西遺跡と江西省 清江県の呉城遺跡から発見されたものである。 肢・周時代の青銅器の中にはしばしば内壁などに文字を記したものがあ る。これらの文字を「金文」というが,金文は早いものでは肢の甲骨文と ほぼ同じ時代のものがある。このような文字の前に,もう一種類の「族徴 文字」がある。しかし,現在ではなお未解明の文字である。 周の時代,約.B .C 01 年ころの大孟鼎の192 宇銘文,毛公鼎の794 字 の銘文,宜侯矢肢の031 字銘文,その後斉の文字031 字の斉子中差鋳の銘文, また, .B .C .B-95 .C 185 年晋景公時代の「築書耀」 04 字の銘文, .B .C 42 年の侯馬盟書の字体,越主勾践の烏書体剣銘文,戦国時代の楚の華麗 文字「部君敵節」の銘文,及び編鐘文字もある。 戦国時代の秦の遺物としてもっとも有名なものに石鼓文がある。また, 景公時代(在位.B .C 675 ∼.B .C 735 )の祭器の一つ「秦公股」(しんこ うき〉に121 字の銘文があり,泰の小築,漢の瓦当文字がある。 以上に述べたように,中国の漢字の字体は大変複雑であり,始皇帝が全 国を統一するまでt土,文字はいうまでもなく政治の方法も制度も各国によ ってまちまちだった。秦が分裂状態の諸国を征覇し,全国を統一する帝国 となってから,先ず着手したのはそれまで地域によって異っていた制度・ 貨幣・度量衡・車軌などの統ーであった。しかし,始皇帝の行なった多く の政策の中でも,もっとも重要なものは文字の統ーであったということで 関市語・北京語における発音についての検討 74 ある。それまでの時代では,例えば斉なとや東方の固で、は縦長の書体が使わ れ,また南方で、は装飾的な烏書体が使われるなど,各地で、使われていた書 体はまちまちだった。だが,全国統ーされ,官僚が国を統治する体制にな ると,実際の行政の上できわめて多量の文書が必要となる。しかし,各地 方で{吏われる書体の異なる文字を使用していたのでは,実務上はなばだ不 便,且つ能率的でない。 そこで始皇帝は全国の標準としうる書体の作成を李斯に命じた。それが 小築(しようてん)とし、う書体である。小蒙はもともと秦の地域で、使われ ていた大家(あるいは稿文(ちゅうぶん〕ともいう〉を簡略したものとい われている。その後,泰山刻石という石碑の字体がある。 小集は始皇帝の命令によって制定された国家の標準字体で、ある。従つで 皇帝の詔勅のような正式文書にはもちろんその小集字体が使われた。だが 小蒙はもともと曲機が多く,書くのに時間かかり,短時間に多くの文字を 書かねばならない場合にはかなり不便な字体だった。そのころ監獄官であ った程遁(ていぼく〕とし、う人物は日ごろ感じていた小集の書きにくさを 解消するために,もっと簡単に書ける書体を考案した。これが隷書で、ある。 小家の字形を簡単にし,曲線にあらためて,上り速く書けるような文字で あった。 ところで,実際に泰代の官史たちが文書作成の時に使用した文字は小蒙 でなく,隷書だった。そのことは湖北雲夢県にある l睡虎1 号墓の泰代の墓 から発見された古文書によって証明されている。 二.漢語(漢字〕の音と義の記載 中国最古の文字学書として知られるのは,後漢の初期に作られた許慎の . 01 年成書〉である。この本の文字を一字一字正確に 『説文解宇』(A. D 理解すれば経書が正しく解釈できるとし、う。この書物には約039 の文字が 収められているが,許慎はすべての字について「六書」によって文字の成 り立ちを説明し,あわせてその文字が作られた時の最初の意味(本義)と 意を述べている。例えば「棺の音は古丸,関也,所以掩屍従木官声,槍音 七羊,櫨音力秋」とある。 l 天理大学学報 48 さらにまた,許慎は039 という多くの文字を書物の中に配列するのに 「部首法」とよばれる方法を考案した。これがのちの漢字字典で、使われる 部首による配列法の起源である。 わる,計045 「ー」の部から始まり, 「玄」の部に終 の部で構成されている。 中国の漢字の字形は複雑で,覚えにくし、。また,戸韻学的にも発音の方 法を述べることは困難である。書きにくい文字も沢山ある。このような漢 字を習得し自由に使えるようにとした場合,かなりの時聞が必要となる。 表音文字ならば自国語を表記するために覚えなければならない字数も少な くてすむが,例えば英語ならアルファベ γ トの62 文字,日本語なら05 音の かなだけで最低限の表記は可能である。しかし,中国の漢字の場合は簡単 な文章を書くのにも相当多くの字数を使わなければならない。康照字典所 収の五高字の発音を完全にマスターするということ,これは大変なことで ある。それには戸韻学という専門の学問分野があるが,最少限度一千字の 読み方が分からないと,全部の漢字の発音を理解することはできないであ ろう。 注 (1 〕 中国の漢字には「秦の八体,漢興六体,新六書,現並為五種j とがある。 秦八体は大家,小築,刻符,持、書,墓印,署書,主主書,隷書であり,漢興六 体は古文,奇字, Z 裏書,最書,謬書,佐書であり,現五種は古文,主主書, t誌 書,謬書,隷書である。 (2) 生 , う む , うまれる,いき,いかす,いきる,なま,おひる,おやす, はえる,はやす,そだっ,そだてる, Tこみ,なりはひ,みち,さが,なる, なす,き,はえる,くらしせい。 (3 〕 ihz ,至,致,軽, i致,志, f主,誌,銭,佼,%,治, ui ,抑l,製,知, 智 , j母,痔,痔,時,待, Z折,値,置,索L,附,長,稚,雑,漠,滞,撃, 賛,鷲,席,歳,臓,識,霊,質,腹, f質,遅, I扶,炎,到l,桂, l , 沙 1, 節 S質,窒,蛭, f氏自軍,秩,陪,様,麿,・ 〔4) 漢字の変遷は古文,小皇室,隷書,行書,草書である。 三.北京語の発音と芦韻学 (1 〕 071 年前の親・晋時代に北京語の読み方を示す「反切法」がつくられた。 (3) (4) それは漢字音を示すのに,他の漢字二字を借りて示す方法で,上の字の戸 4日 関市語・北京語における発音についての検討 (6) (5) の文字 と下の字の韻を合わせるとー音になるという方法である。約0,05 を読めるようにするためには,千字の漢字音の基礎が必要である。あまり 科学的な方法ではない。 漢語には戸・韻・品:ある。戸は簡単で単純である o 北京語の戸占~1i22 (9) あり,その符号を戸符とし、う。戸母は音母ともし、う。 例: ιCf), 〔,)b 金 (,)p 女 円(m), (,)n ラ ,, 1( ,) g), ぷC ( ,)q( T ,)x( )hz( ~, r,)st( 歩(,)c ム(s〕及び零声母。 ;: Ck ,) (,)hc 千 d), 勿C 大(,)t r Ch), 〕 刊j( , ; ,)hs( & 1( ,)r( の 韻の場合は複雑である。全部で43 ある。これは韻母ともいい,その符号 を韻符という。 調は戸調である。すなわち字音の高低升降長短である。 反切の字音の読み方の例は次の如くである。例えば『康照字典』の「東」 という字は『広韻』を引用して,徳紅切と書いている。又, 『集韻』を引 用して,都龍切と書く。又,蓄『辞海』には都翁切を書く。又例の一つ, 「同」という字の発音は徒紅切と示す。この意味は「徒」と「同」とは戸 母が同じ,すなわち「;i t( )」である。「紅」と「同」とは韻母が同じ,す weng x ( なわち「 ι .t t( )と XL. 〕」である。そうし、うわけで紅と同は「霊韻字」である o (weng〕をあわせれば「~ XL. 」(tong )になる。これで 「同」の発音が解るのである。 『広韻』の反切字は約05 字ぐら,1 ,,分類すれば4 種類あり,即ち 14 種 類の戸母がある。これは唐の時代に於ける 63 種類の戸母の沿襲であろうと 考えられる。 『広韻』の中には602 韻がある。また,陰戸・陽戸と入戸が あり,平戸の陰声韻は62 ,陽声韻は53 ,入声韻は43 ある。また,− ng 韻は ・m 韻は 9 ある。 ,21 n- 韻は41 , 『広韻d の戸調には平・上・去・入の四戸があり,漢までは四戸という 戸調が知られていない。斉・梁から四声があるようである。古代には平・ 入二戸しかなかった。これについては段玉裁は次の如く説明している。 古田戸之道有二無四,二者平入也,平梢揚之則為上,入梢重之則為去, 故平上一類也,去入一類也,抑之,揚之,吉子之,促之,!|国逆交遁而四 戸成。 天理大学学報 50 韻の「開合洪細」及び「陰揚入」は韻の原質問題に属し,平上去入とい うものは韻の声調問題に属するものである。 『広韻』の中に平上去入の四 戸があるが,それを「読平戸梢短而為上,読入声梢緩而為去」のように説 明している。 次に,銭玄同はローマ字の排音字母を次のように説明している。即ち, 今人用羅馬字母表中華音,子開口呼之字,但用子音,母音・字母併切。 斉・合・掘三呼,則用,i ,u ii ,三母介於子母音之間,以省其発音時口 歯状。 以上であるが,文中の「字母並切」は「子母並切」の誤りであろう。反切 音の例をもう少し挙げよう。 空,苦紅切。蒙,莫紅切。公,古紅切。翁,烏紅切,通,他紅切。 忽,倉紅切。洪,戸工切。窮,渠弓切。風,方戎切。 i;馬,房戎切。 隆,力中切。 上に述べた。音・韻・調の研究は戸韻学の分野に属するものであるが,閑 南語の『十五音』の発音方法は戸韻学の『広韻」に於ける14 の戸母の漢字 と同じ原理である。 『十五音』という本の中の05 の韻母である。その戸母 は51 ある。それで『十五音』といわれる。 古詩詞の中に韻があり,これには詩韻・詞韻がある。次の例の如くであ 。 る 李白の「夜思」の「え」韻,光,霜,郷とも陽韻。 昨前明月光,疑是地上霜。挙頭望明月,低頭思故郷。 杜甫の「春望」の「ヶ」韻,深,心,金,替とも「侵」韻。 国破山河在,城春草木深,感時花i賎涙,恨別烏驚心!蜂火連三月,家 書抵高金;白頭掻更短,揮欲不勝管。 以上は戸韻学における北京語の発音について,その音・韻及び閑南語に 関する『十五音』との関係の説明である。特に中国の詩詞の音・韻は音楽 のように美しく,研究すればする程興味は尽きなくなってくる。中国の読 書人が倦きずに詩詞を研究し,又,沢山の名詩秀詞を暗記するのは,その 音韻の美しさのためと考えるのである。 間南語・北京語における発音についての検討 15 注 反切:中国語の解釈は「以二字之音切成一字之音的方法,所以反切就是 取上一字之声,輿下一字之韻相切合而音者」ということである。『謹部韻略』 黄 1況の『音略』に詳しく説明がある。 漢字:日本でのいい方,中国では漢字やi英語,中国字或いは中国文字と (2) いい,東南亜細E では華語文字としづ。 字:文字の意,張世禄の『中国音韻学史』上, P32 ,図画文字(-gotcip (3) )とがある。許寿 ),標音文字(phonograph ),表意文字( ideograph raph (1) 裳の『中国文字学綱要』にも説明がある。 『説文解字』の序文に「倉領之初 作書,蓋依類象形,故謂之文,其後形声相益,即謂文字」とある。 戸:中国語の説明は「耳官所感覚者,声韻学説:凡白口腔或声帯震動発 )4( 出的音響,其短促無阻者,就稽為声」という解釈がある。 (5 〕 韻:中国語でのいい方は凡声音相合者就稽為「韻」。声韻学説:由気息 震動声帯所発出之声,可延長而不受問,帰於喉者,就謂之韻との解釈がある。 音:中国語では芦之所発而有節於外,就謂之音。芦韻学言,情発於声輿 韻相合成文,就稀為「音」也との説明がある。 (7 〕 調:中国での解釈は声調,声音之長短,高低,強弱,快慢,軽重稽為調, 中国文字有平上去入之読法,国語有陰陽上去軽之読法,関南語(台湾語〉有 平上去入再分陰陽之読法という説明がある。 参照。 I J p312-7 戸母:『中華韻学 (8) (9 )戸符:声母ともいい,北京語は12 あり,無戸戸母「引を加えれば2 あ (6) 。 る 参照。 )01( 韻母:『中華韻学』 ,p 317-9 )1( 広韻:又名『大宋重修広韻』,凡63041 関口呼:凡字音不帯有− x u(yi, )21( )31( )41( )51( 。 字 ,u yu )者,稽関口略。 斉:斉歯呼であり,凡字音含有「ー」(iy )音者,稀為斉歯呼。 (u )音者,稽為合口呼。 合:合口呼であり,凡字音含有「 K 」 ( yu )音者,稀為掻ロ呼。 掻:撮口 I乎て、あり,凡字音含有「 μ」 四.中国・台湾の言語状況 中国の総面積は,ヨーロッパ全体 より広く,人口も 12 億に近いので,各 地方にさまざまな方言が存在する のは当然で、ある。これの分類に ついては まだ定説はないが,およそ 8 方言に大別される。その中に呉方 言,すなわ ち上海語の使用人に約07 4 万,専方言,すなわち広東語の使 用人口約07 4 万,湘方言,すなわち湖南語の使 用人口約06 073 万,積方言の使用人口約02 万,客家方言の使用人に約 万,閑北方言の使用人口約Ol 万,北方 天理大学学揚 52 方言は,北京語を中心として西北方言,西南方言・下江方言を含め中国の 総人口の 65% 以上が使用,共通語の基礎方言である。間南方言は,福建南 部と台湾に分布,使用人口約082 万である。これらの方言問で基本語棄と 語法はあらまし共通するが,音韻の相異が大きいので,会話する場合はお 互にほとんど通じあわない。 一つの纏まりをもった近代的な国家を建設していくためには,全国共通 のことばなしではいろいろな方面で支障を来し困却することはいうまでも ない。従って中国の国民政府と人民政府が,北方方言を基礎とした,北京 の発音を標準とする共通語の普及に力をいれるようになってから,すでに 久しい。その成果は近03 年来特に目覚しく,今で、は一部の老人を除いて, この共通語を使用すれば,すでに全国で用が足りるようになった。 しかし,地方へ行くと,公的な場所では共通語を用いても,家庭の中や 街角など,日常生活一般で用いることばは依然として方言である場合が多 , .¥、。上海では全部上海語,香港でも広東語ばかり,台湾の場合は,選挙の ときなどは,台北市内から田舎までの選挙演説は殆んど閑南語(台湾語〉。 また,客家人の家とか村とかでは絶対に客家語以外のことばを使わない。 上海人と上海人は絶対に上海語以外のことばを使わない。これは民族性 か自尊心か祖先崇拝か,その理由はよくわからないが,日本人も同じでは ないだろうか。長崎の人は長崎ベんばかり使い,外の人はなかなか長崎人 の仲間にはいり難いようである。これは人類の共通点であると思う。 6591 年ごろ方言の分布資料によって示すと,次のごとくになる。 (3) 中国方言の分布と人口数 北方方言(下江官語及び西南官話を含む〉 783 百万人 江町方言(呉方言) 64 百万人 湖南方言(湖方言〕 62 百万人 江西方言(韓方言) 31 百万人 客家方言 02 百万人 間北方言 7 百万人 閏南方言 51 百万人 広東方言(専方言〉 72 百万人 これは伊地智善継・大原信一両教授の論文『中国語学事典』の「民族共 悶南語・北京語における発音についての検討 通語の問題」の中の資料である。又, 9691 35 年王育徳教授が東京大学文学博 士学位論文の『閑音系の研究』の中で次の如きの資料を示している 。 中国福建省の東北部 代表方言 中国福建省の東南部 代表方言 中国広東省の東部 代表方言 約07 万 人 福州方言 約001 万人 度門方言 約05 万 人 潮州、|方言 約02 万人 海南省の東部 代表方言 中国間l江省東南隅 代表方言 (4 〕 台湾のほぼ全域 代表方言 東南亜華僑居住地 代表方言 i毎日方言 約01 万 人 平陽方言 約01 万人 台南方言 約05 万 人 シンガポール華僑言語 これらの方言における基本的な差異は,何よりもその語音に存在す る。 戸母・韻母の差異は当然、音節の違いとなり,そのうえ戸調の差異のために, 時には違った方言区の人々のあいだに相互の理解が困難となる。それで、北 京語音による共通語の「普通語」が必要となるのである。 。主 『現代閑南語辞典』には①北方方言,②呉方言(江漸方言〉, ③与方言 (広東方言),④湘方言(湖南方言〉,⑤客家方言,⑥関南方言,⑦閤北方言, ③議方言(江西方言〉。(〉内∼は王育徳教授の意見である。王潔心の『中原 音韻新考』の中には察錦照の分け方を引用している。それによると中国方言 C 1) は十二系ある。即ち,河北系,河南系,河西系,江准系,江漢系,江湖系, 事海系である。 金沙系,太湖系, I折i原系,臨海系,関南系, Z 『中華韻学』の中では次ぎの如くである。 北方官話,西南官話,下江官話,呉音系,客語系,王手話系,湘語系,関東語, 閑南語。 。 『現代間南語辞典』天理大学おやさと研究所出版,昭和65 年 (2) 村上嘉英, (3) 中国の方言学の現状では,重要な音韻的特徴を基準とし,同時にその背 54 天理大学学報 景となっている歴史的変遷や地理的環境も考慮にいれて,次の五音系に分け るのが普通のようである。 ①官話音系,②呉音系,③号音系,④客家語,⑤閑音系。 音系とは広い地域にまたがる方言の大ワクというほどの意味である。客家語 は方言区域が分散しているので,音系によばないようである。哀家際氏の 『漢語方言概要』は五音系のほかに「湘方言」 「諸方言」を加えて七音系と する。王力の『漢語音韻学』による以上の五音系である。その外には章;柄麟 の九種に, 3長 J錦照は十三系に分けた。 五.閑南語の重要性 問南語は,中国の代表的な方言の一つである。本来福建省南部一帯で通 用するものであるが,現在では台湾全域から広東省の潮川|や海南省の一部 にも及び,東南アジア各地に居住する華僑の間でも根強い勢力を有してい る。特にシンガポールの存住の華僑は現地で、はほとんとや閑南語を使ってい る 。 中国の一方言ではあるが,その使用人口はおよそ 082 万 0891( 年の推 定)といわれ,日本と一衣帯水の地で意想外に多くの人々により生活語と して日常生活の中で、使われている。 天理大学は昭和14 年には閑南語の教育を他に先がけて始めた。これは天 理大学の独自の教育と研究方針の一翼を負うものといえよう。現在では, アメリカのハワイ大学と日本の筑波大学でも閑南語教育を進めているよう である。 ことばは,社会的な基盤の上に立って人聞が長い年月をかけて育み形成 して来たものである。従って,ことばには共通語であれ,方言で、あれ,い ずれも温かい祖先の血が流れ,民族の心が宿っている。方言は共通語の普 及の陰に隠れて,その存在すらともすると忘れられがちであるが,しかし 方言として立派な言語体系を内在しているものであるから,往々にして共 通語よりむしろ生々とした感情をあますところなく表現し伝えることがで きるのである。 方言は共通語の影響を受けて,徐々に微細なところでは変化を見せてい るが,中国においては,まだまだどの方言も強い力を持ち,それを使う人 間I有話・北京語における発音についての検討 5 々の心のきずなになっている。 間南語を使う人たちの心を深く認識理解し,その人たちの心のひだの中 に,教えの喜びをしっかりと伝えていくためにも閑南語の習得と研究が有 用であると思うのである。 六.闘音系の分布地域 王育徳博士の論文によると,間音系の使用人口は合計014 万人,億をも って数える官話音系は別格として,他の音系と比べると,約064 系には及ばないが, 002 万から003 万の呉音 万の線と目される客家語や専音系より は断然多い。 分布区域はきわめて特徴的で,大陸内部に向かつて拡散はしていないか わり,東南沿岸部一帯に帯状のごとく伸長し,その南端は東南アジアにま で達している。これは間音系が水路を伝わって発展した過程を示すもので ある。 この点から見れば中国で、北京語以外は間南語で、も重要な言語の一つであ るということは間違いなし、。もう一つ二十世紀末の現在,華僑の中の間南 語系の華僑及び台湾の二千万人の経済力には注目を集めている。これは中 華人民共和国の言語政策にある「中国各地の方言と少数民族語の調査,と くに語棄の蒐集と,語義の発展と社会経済生活との関連の調査に重点を置 く。」(『中国文化叢書①言語』「中国の文字改革」)ということから見れば, 今後間南語の研究は大変重要なことであると思う。 次に例として福建省内の方言分布は, 95-791 ば,およそ次の如くである。 年に行われた調査によれ (地名は調査点となった県市〉。 「闘方言区」 「聞東区」 福 州 長 楽 福 清 平i寧 永 泰 間 清 連 江 羅 源 古田寧徳、昇南福安周寧寿寧震浦福鼎 「背仙区」 甫 回 仙j持 「閑南区」 度門同安金門泉州晋江恵安南安安渓 永春徳化津州龍海長泰華安南靖平和 淳甫雲香詔安東山龍岩津平大田尤渓 天理大学学報 56 j昔、県三明市 「問中区」 永安 「閑北区」 建 国 松 渓 政 和 建 陽 崇 安 i市城 「客方言区」 「北組」 部武光津泰寧建寧 「中組」 将楽 「南組」 長汀寧北清流連城武平上杭永定 ) I民 昌 三 明 福建省は全体の4/3 が閑音系区(「聞方言区」に属し,西側の南半分,す なわち残り4/1 が客家語区(「客方言区」〉に属すると言えるようである。 両音系を通じてもっとも大きいブロックは閑南区で,次ぎに大きいのが 関東区である。閑南区は普通に閑南語とよばれているそれで、あり,聞東区 は普通に閏北語とよばれているそれで、ある。両者は二本の太い言語境界線 一一戸母,b t- の有無,(− ,JJ k- は共有〉によっ g の有無と−m, ,p- ,n- て分けられる。音韻体系と語棄にかなりの差異が見られ,殆んど通じ合わ ない。 台湾では長い年月を経て,前に述べたように閑南語・客家語・高砂族語 ・日本語・北京語の五つの言語集団が形成されたが,戦後,中国各地から 移住して来た外省人という人たちが北京語を基礎とした「国語」とその他 種々の方言をもたらしたので,言語生活はさらに複雑多様を呈を示すよう になった。いまこれを概観してみると,標準語である台湾の「国語J 以外 では,閑南語が優勢で台湾全島どこへ行っても通用することが知れる。客 家語は新竹・苗栗・昇東・花連などにある方言区内でのみ通用し,その使 用人口は台湾の 10% 程度といわれる。 (ある調査では 12% ともいし、),中央 山脈の山地と東部に居住する高砂族(高山族)は,タイヤル,サイシャッ ト・サウ・ツオウ・ルカイ・パイヮ γ ・ブヌン・アミ・ヤミ・ピナンの 01 種族で,それぞれマレーポリネシア語系の独自のことばを話し,全種族の 人口はおよそ04 万余である。日本語は,日本の統治時代に日本語教育を受 けた人たちの大部分(約台湾人口の 10% 〕が,いまもって使用することが で、きる。 こうした環境の中で,台湾では必要性に迫られたほとんどの人が二つ以 上のことばに精通しており,三重言語者も決して珍らしくない。 本論文は台湾の閑南語(台湾語ともいう〉, 特に台南で通用する度南語 関南語・北京語における発音についての検討 75 を基準にしたが,方言で台北方言と差異のある場合,台南方言と台北方言 の対照表を見れば一目瞭然であると思う。歴史的な要因により,福建南部 とか,度門音とかに通用する閑南語とは語尾とは語棄や音韻の一部で若干 の出入が見られるが,大略通じあうことはいうまでもなし、。 本論文の間南語表記法は,普通の ij-eo-hep 白話字と呼ばれる「教会 ローマ字」を採用した。閑南語の表記には,この外にカタカナ式,羅常培 式,周弁明式,台湾方音符号,注音符号,王育徳式,員1 1 良偉式などが考察 されたが,いずれも教会ローマ字ほど普及していなし、。調査によると,宗 教類を除く,教会ローマ字の教材参考資料は31 種,教会ローマ字以外の 参考資料は 71 類しかない。しかし,その外にもいろいろな音標符号・表音 文字が百種類以上もある。 教会ローマ字は次の如くである。 七.北京語・闘南語の名称について 閑南語は広義的には福建語に属する。福建語の系統は下図のようにたど れる。時代的には,第 1 段階は 3l t士紀,第 2 段階は 6 世紀,第 3 段階は 7 世紀,第 4 段階は 71 世紀と考えられる。 言語の名称と定義の問題は複雑である。本論文の中に北京語と閑南語を 使うのはごく簡単な理由である。それは「本来の名称」である。言語の名 称について争うのはある時には政治の要素もある。もう一つの理由は学術 研究上では日本の学者もよく悶南語という名称を使う。北京語はいま中国 では「普通話」,台湾では「国語」,シンガポールで、は「華語」という。アメ リカの国語は英語といい,アメリカ語という人は少ない。アメリカ英語と イギリス英語はもちろん差異があり,英語と呼んでもさしっかえない。 その理由で,中国語の元祖である北京方言を北京語と呼んでもいいので、 はないか。過去の学術文献ゃいまの日本人でもよく「北京語」とし、う言葉 を使う。実際に一般な場合は北京語と閑南語という名称で呼んでいる。 閑南語の名称は外にも沢山ある。例えば,福建話/福建語,福佑話/語, 台湾話/語などいろいろなものがあり,実は深く考えれば,ちょっと意味 が違う気がする。 85 天理大学学報 北京語の名称も同じである。例えば,国語,台湾国語,台湾の国語,華 語,官話,漢語,共通語,支那語,標準語,外省語,普通話/中国語など があり,指すものが同じが意味がちょっと違うこともある。ある人がこう いう質問をする。 台湾語と北京語の違いは言語の差異か方言の差異かと聞く。 実際は両者とも地方の方言である。北京語は共通語,国語に採用された だけ,もともと両方とも漢字文化圏或いは漢語の一部分で、ある。 台湾では閑南語だけではない,その外には客家語,広東語,日本語とさ きに述べた原住民(山地同胞)十族一一一アミ・サイセット・ブヌン・ツオ ウ・サウ・ヤミ・パイワン・ルカイ・ピナン・タイヤルの十族の言葉があ る。また,北京語などいろいろな方言がある。 シンガポールの国語は英語で、あるが,もし「華語」を採用すれば,シン ガポールの国語になる。台湾はもし国際的な国格或いは一つの国家になれ ば,台湾に採用された言語はもちろん台湾国語になる。いまいう「台湾国 語」とさきにいった「台湾国語J の意味が全然違うことである。 以上の理由で本論文に採用された「北京語」と「閏南語」の名称は一つ もおかしくないと思う。 いま台湾の閑南語は台南には惇州方言の要素が強いが,台北には泉州方 福建語系統図 第 1 段階 第 2 段階 第 3 段階 第 4 段階 i事j i章 台 慶 泉 州 dJ 南 門 汁 | 福 リ H ( 註 〉 福建語系統図:『台湾語入門』王育徳博士著 6 1.P ,台 i湾語は広義的には福建語に属する。 時間的には,第 1 階段は 3 世紀,第 2 階段は 6 世紀, 第 3 階段は 7 世紀,第 4 階段は71 世紀と考えられる。 関南語・北京語における発音についての検討 95 言の要素が強いようである。それだけ匿門方言に近いというわけである。 しかし,度門方言が台北はじめ台湾各地に広まったといっても間違いない のである。泉州府と津州府の人々が台湾に移住して来て,混在したので, 今日の不津不泉(p ut ,gnoihc put choan )の台湾の闘南語ができあが った。 台湾で詑りが違うのは,泉川、|の要素が濃いか,津川lの要素が濃いかによ るものである。 八.教会ローマ宇について 教会ローマ字は,キリスト教宣教師 W. .H Medhurst の手で考案され ており,すでに061 年近くの歴史があり,この聞に,数度改良が加えられ て十分使用に耐え得るものである。王育徳教授は『台湾語常用葉』の中で ローマ字の使用を提唱し,間南語の漢字の使用に反対の立場をとる人であ る。彼の意見は次ぎの如くである。 何故ローマ字を提唱するか? 台湾語を話し言葉として使用するだけ に満足せず,書きことばとしても発展させようとする動機から,台湾、 語の表記法が問題になってくる。つまり書き言葉としての台湾語にな にか適切で能率的な表記法 文字を与えることである。表記法なら 祖先伝来の漢字というのがあるのではないか。それはそうだ。しかし, その漢字が適切で能率的であるか。 適切といえば,漢字の伝統はそれほどにも長く漢字への仰慕の情はそ れほどにも強いものがあるので,漢字は人々の心には一番ぴったりく るだろう。 中国で80% 以上の人が文盲だったのは漢字のお陰で・ある。ということ は今では常識になっている。漢字を覚えるということは大変な努力だ。 あの走大なる漢字の量は一生涯かかっても消化し切れるものではない。 われわれはいわゆるインテリに属する部類の人間であるらしいが,お ぼえた漢字の何分のー,何百分のーかが,問題の本質は漢字そのもの にあることだ。日く非能率的,あまりにも非能率的であることだ。こ のことは誰にもおぼえのあることだから,多くいうこともなかろう。 天理大学学報 60 とし、う漢字反対論である。しかし,ローマ字を提唱するもののそのローマ 字は「新ローマ字」である。そして,彼の主張するところはローマ字を書 きことばとして発展させようとするもので,単純な表音文字・注音記号だ けに使うのではない,というのである。 事実上,教会ローマ字によって書き残された文献の数は多く,バイブル, キリスト教教義書,讃美歌集,閑南語学習書, 『三字経』,『大学」,『論語』 などの漢字,漢文の入門書,啓蒙書,歴史書,翻訳書,会議録,雑誌,閑 南語辞典など広範囲にわたって枚挙にいとまがない。 しかし,教会ローマ字が教会以外のところで使用されることはあまりな かった。教会関係のものが一番多い。小説,随筆,論説,童話,歌謡など の文字の各分野へ発展していかなかった。一般には,自分の意思を書き表 わしたり,記録を留めたりする時,民族共通の文語で書き,これを話した ことばとは別のところで、形成されて来た文語音で読んだのである。 日常生活の中で使われる閑南語をそのまま漢字で書き下すことは, 『 歌 仔冊』とし、う講釈の種本で僅かに試みられたが,語尾に公認の漢字をもた ないものにあて字や作字を各所で用いており,苦心の跡が伺える。ある場 合や充当する漢字のない場合が少なくなし、。 教会ローマ字の聖書 馬太福音 5 23 但是我告訴伽例:{民如有人不是 23 eng uhc-il 因魚妻子的不貞而離棄地,他就 Hn ,gn6k 有罪。因矯如果妻子再嫁,就等 kan-im 於他使妻子犯了姦淫;而要地的 naip 男人也算是犯姦淫。」 ;e an-nik 論設誓 naik ho an-n.lk g6a ka iif hios it-ii.i e nai ・ o・k iaI iI ie・ ,ob is reh i eohc i.i im-heng iI ,e hai 6s ・ choa is .mi-nak Koh 33 「依伺又聴見古人的数訓読: 『 3 i; is-an nil 不可取消自己的諾言,在主面前 ・c ha k6 − 所護的誓必須履行。」 pδe,aohc-i.iihc hc,a 43 但是我告訴伝伺:倫相根本不可 43 δ 是上帝的賓座; tit-hob m thang ,gn6k iJ "6s hoit heng ka nil δ hc-uih;ca δ h k6ng uihc ・C hu: iahk-tI b6h t・ it e -an y is g6a gnaJ i.i iut ’ l 、 l 以設誓。不可指天護誓,因馬天 tab nlk-naiht 16 関南語・北京語における発音についての検討 ,niht iu-ni niht is δ iSet-gn hc ii−i ;tit-hob 53 不可指地護誓,因潟地是上帝的 53 δ δ 1.-aI 困局官是大君王的城; e .nais iii-ni tihc 73 "oh i eohc 嬰白。」 ufl 邪悪者。」 M ,is uilc eδe h6it goa )03 83 「伽i門曾聴見有這様的数訓読: ka nfl 04 i白如有人打侃的右験,保連左股 tit-hoB kap D gn.nr tihc ,fl uihc ka fI hoihc :)63-23 Lin 34 Tioh 34 「依例又聴見這様的数訓読: 『愛佑t的朋友,恨伝的仇敵。』 4 hun 4 但是我告訴侭円:要愛侭何的仇 yteicoS kap ,e δ h . ,e boh t・it nfl tab nlk-naiht fI e nip-uhc naiht il 色 ;ket-iut ,gnok aδe ,gn6k t-iuT SIN-IOK SENG-KENG: oan is-an 色K 21 elbiB ・ i naib .uahc-tao 向伽借些甚歴,就借給他。」 (The ia δ k δ gnas-a gifn ,fl Tui fI rfik ;i beh 24 有人向依要東西,就給他;有人 nH,bp e-gnep-ot fI naik 24 naik g6a .i D gnal δ h ・ pang ・ is 込nfI ihc 込n gnal fI e,nas-ial het 14 偲如有イ占領軍的軍人強迫依替他 14 hai gn6ik 背行李走一哩路,伽就潟他多走 論愛仇敵(路加.6 7282 is-an 百 k6ng iuhc oh ・.i tao ,fI 。 ー哩P巴 .tuhc e ,e6hp-iuhc 控告佑t ,要俗的内衣, t示連外衣 04 ha1 -i aδe, ,gn6k peng 也給他; e-niichp ch ;む fhk-i I王 na t-ft 色; 也譲他打;{白如有人投保上法庭, ;iS M ;is e-haihc pe ,uihc-kab ep is-aN ,iS uihc tab n.)k-naiht 93 但是我告訴伽{門:不要向欺負伽 93 ihk 倒的人報復。 .hep ,gn6k uihc-kaB 『以眼還眼,以牙還牙 o 』 fI bδe ・eohc is iut tih 83 Lin tit-hb ik thau-mng, 0 aot ial δ hc-uih,ca ・ 就説不是;:再多読,便是出於那 2.6 論報復(路加9 haI khak fk IS !Il-U fk fI e uaht 漏{伝無法使自己的ー根頭髪嬰黒 iu-ni ;tit-hob ,gneI-tas- 63 甚至不可指着自己的頭設誓,因 63 nuk-niJ 73 似何説話::是,就読是;不是, fk ,eot δ te is Ie hat-hk 脚莞;也不可指耶路撤冷護誓, e )9791 g6a nfl ,e hoit ・ ka 2F U d主 天理大学学報 村上嘉英:『現代関南語辞典』天理大学おやさと研究所,p 1∼.2 .51 王育徳:『台湾語常用語蒙』永和語学社, ,p 1∼ (3 〕 村上嘉英:同前音,はしがきのところ。 (4 〕 村上嘉英:『福建語(関南語〉テキスト』ユネスコ東アジア研究セソタ , ,p .58 一 王育徳、:『台湾語入門』台湾青年社, ,p .61 (5) 王育徳:『台湾語常用語裳』 ,p .81-61 (6) (1) (2) 九.閑南語の発音と音節の構造 間南語の発音は北京語と同じように芦母,韻母,戸調の三つの要素に分 けて説明するのがわかりやすいと思う。それは間南語の音節それ自身の中 に切れ目が感じられず,その前後に切れ目の感じられる単音の連続は声母 +韻母の上に戸調がかぶさったものだからである。 戸母は普通に語頭子音と呼ばれるものにあたり,全部で71 種がある。そ れは.p ,hp m, ,t ,ht ,n ,1 ,k ,hk ,s ,j ,g ,gn ,hc ,h ,hc b であれ 発音の方法と音は北京語と同じ,すなわち,ヲ(b),矢(p ),円( m), >,7 ,)d( <,)q( ,) rCh ),刊(j ;i )t( ,ラ(n ),労1( ),《(g),ヨ,)kC T ,)x( ./6 )r( である。 ng は「ム」(巴ng )と同じ, g は日本語の「ゴ」と似ている。 j は r と似ている。 b は「ボ」と似ている。 北京語の戸母は12 種であり,閑南語は 71 種しかない。その中で j の発 音は「 2 」と似ているけれどもそう音ではない。同時に北京語 u の発音も ?hs( 〕は存在していない o ない。北京語のそり唇歯音生(zh ),イ(,)hc '1 z( ),官(c),ム(s)の発音は ,hc ,hc s と同じである。 (2) その語音の特徴を分類すれば,次の如くである。 無気音: ,p ,t ,hc k ,有気音: ,hp ,ht 有戸音: ,b ,1 ,g 鼻音: m, ,n .gn 無声擦音: ,s ,h 有戸擦音:.j 塞擦音: ,hc ,hc .hk .hc 鄭良偉博士の著作の中に北京語と閑南語とも「併」戸母が入れてあるから 両方とも一つの声母が増えた。 閑南語・北京語における発音についての検討 また, 63 『十五音J の中に 51 ケの切母,すなわち戸母の代表字はつぎの如 くである。 柳 )uil( 辺()naip 求()uik 去(ku) 地()et 頗(p o) 他()at 曽( )J1ist 入 )pil( 時()is 英( )J1e 門(bun) 語(gu) 出()tust 喜()ih その中に入の樟州音は(pizd ),語は(ig )である。 『漢語方言概要』の中につぎのように述べている。 這些方言韻書声母大致相同,都是『十五音』系統,韻母則有各地多寡 不一。他間対民間文字的発展有着影響。比如後来在津川、|・泉州一帯流 行的民間歌曲,如十七字詩;採茶歌等,就都以『十五音』為依据。各 地外国伝教土為通商或伝授而撰寓的美子聞方言的著作,也大部根据這 些方言韻書。 この資料から見れば, 『十五音』の重要性が分かるのであろう。 また,その論文の中には,度門音系の戸・韻・調の表がある。その41 或 いは 71 の声母表はつぎの如くである o 双唇音: p 悲 , p' 披 , b門 , Cm 盲〉。舌尖音: t知 , t' 他 , (n連 ) , 1高 。 遺 , st ‘ 差 , s紗 。 舌尖前音: stf 、 舌叶音: 牙I J侯音: k 飢 , k' 歎 , g宜 , (lft 支 ) , 'ft 痴 〕 , ( η硬 ) , h歓 。 零母音:¢伊 以上の,b m, ,n ,g J1 は皆同一音位の条件変異である。上の表から見れば, 現在閑南語の戸母(子音)は, 71 種あるという説と一致しているが,その 中には日J とし、ぅ子音がない,零声母を入れた数は 71 である。現在閏南語 の標音法は次の如くである。 子音:戸母 b 。 ip! ! ¥ ! :,I: ,p ph m, ,t ht ,n 1o ,k ,hk ihp 批 , mi 麺 , ib 米 。 it 諸 , iht 耽 , in,J; J/ il 里 。 ,h ,gn g 。 ik 基 , k hi 欺 , ih 希 , ign .s oj 聴 , is 詩 , ,hc ,hc ihc 支 , ihc po 褒 , pho 波 mo 摸 , bo 母 。 ot 万 , oht 討 no 老 ol 労 。 ko 司 , kho 科 , ho 河 , ngo 我 , go 王 。 硬 , ig 擬 。 ij 字 。 天理大学学報 64 , os 掻 牒 , cho 故 i{ cho 間南語の韻母(母音〉 韻母は複雑で全部で14 種あり, (入戸音を含まず),原則として介母+主 母音(単韻母〕+韻尾から構成されており,この中では主母音は欠かせな い要素である。 1( )単韻母: ,a ,i ,e ,o ,u o ・ その発音の方法は a はアで, i は鋭いイで,剣士広いエで, oは狭いオ , u はウで, で 0 ・は広いオである。 iu 。 ,eo ,iao ,ao ,ui ,uai 2( )複韻母:,ia ,ua ,,aoii 3( )鼻音尾韻母: 51 種,陽韻とし、う。 ,na am, ,nu .gnao 4( )入戸韻: ,pa ,ha ,he ,hi m, ,nai ,ta ,ti ,tai ,pi ,pai ,ho ,m1 ,gno ,gne ,gna 6( )鼻化複韻音: ,nua ,nai ,nuai ,nia hna 7( )鼻化入声韻: , ,hne ,hnj ,hn 0・ 8( )戸化韻: m, 0 ,hn ・ ,hnua ,ka ,koi ,kai ,ke ,hiu ,hao,heo ,huai ,ko n。 0・ 5( )鼻化単韻音: a,U ,ne ,nj 中には ,hna ,tu ,hui ,ha,ihoi ,hua ,hu ,tao ,1 ,nao o立 ,gn01 ,gnai ,mai hnuai .nao ,nhua ,hnai ,hnuai oanh ,その はあまり使わない。 .gn 以上の韻の発音は複母音が母音を組み合わせ,滑らかにつなげて発音す く4) る。鼻音尾韻母の−n は主韻母は調音された後, すく、さま舌先が上歯茎に 押しつけられて,尾音が鼻むろから軽く出される。司m は主韻母が調音さ ng は主韻母が調音 れていて,急に両唇が閉じられて生じられて生ずる 0 ・ されて,すぐに舌根と軟に蓋で強い閉鎖がつくられ,尾音が十分に鼻むろ から出される。 入声韻の−p は両唇で音尾を促る。ーt は舌先で音尾を促る。− k は舌根 , ,t- k- は音尾の気息が外に漏れ で音尾を促る。司h は戸門で音尾を促る。−p てはいけない。 鼻化単韻母,鼻化複韻母,鼻化入戸韻の発音方法は口の聞きや調音点の 位置は,単韻母,複韻母,入戸韻のそれぞれと同じであるが,鼻むろが強 く強張して,いわゆる鼻音を伴うことである。 悶南語・北京語における発音についての検討 56 戸化韻の m は強めに両唇を閉じて発音する。 gn- は鼻むろの緊強作用によって発音される。 また,王育徳博士の韻母分類には主韻母は 6 種であり,その外は陰韻61 種,半鼻韻01 種,陽韻31 種,陽韻入声31 種,声化韻 2 種である。 又 , 『台語興国語字音対応規律的研究』の中には非入声韻は14 種,入声 音節は43 種である。合計57 種がある。 村上教授のテキストの中には韻母の合計数字は97 種ある。 (閏南方言排 音方案』の中には韻が76 種あり,甘為霧氏」。『度門音新字典』の韻は65 種 ある。実家鴨氏の著作に76 ある。 閑南語常用韻母表は次ぎの如くである。 亜 ) , i( 衣 〕 , u( 子 ) , e( 青 ) , o( 寓 ) , 母音:韻母, a ( oi ( 腰 ) , eo ( 鍋 ) , ai ( 也 ) , ( 英 ) , g noi un ( 運 ) , o an ( 央 ) , g nai ( 湾 ) , ong 集 ) , pai ( 塩 ) , ni ( 因 ) , nai ( 央 ) , am ( 庵 ) , an ( 安 ) , ang ( 王 ) , ni ( 異λenc na ( 信 ) , nia ( 換 ) , no ( 悪 ) , nao plhc(pi ( 葉,)pai ( 摂 ) , niao Cti 乙 ) , tai ( 謁 ,)tai hi ( 鉄 ,)hiht h ( e 伯,)hep oah ek ( 益 ) , koi ( 約 〉 , (越 ,)tao hoi ( 薬 ) , hai ( 夏,)hai ( 活 ,)haohiu ( 血h ui oh ( 学 < ' >,)h 。 ) 『十五音』の中に五十個韻母代表字 n く十五音〉中五十ノ卜字母〔即由母代表字)是(注度 音): 君[ kun] 盟 []naik 金 []nik 規 []iuk 嘉[] ak 干 [k an] 公 [k ]JJJ: 講 []iauk 主 主 [ ]Jtlk 現 [k uan] f占 [ k] コ 嬬 []uaik 稽[]ek 恭 [ik コ η ] ok 高 [] 皆 []iak 巾 [k un][i 埠 ] 菱 [ik コ Jtaη ik[J 津]甘[kam] 瓜 [k ua] 江[ ]Jtak 兼 [ kiam] 交 [k ] u a 迦 []aik 桧[k ue] 監 [J ak a居 [k ] u 腰 [] ak 刊]uik[ 更 [ k[]Jtlk 邑津] 樟 [Jiuk 栢 []ik 董 [3ik[Juik 津]憶[]aik 居 [i k[]u 茄[]oik 津 ] ( 翁 ) , ( 横 ) , m (不而), ng (黄色g ) ta ( 遁 ) , ak ( 握 ) , tu ( 欝 ) , tao ( 控 o在 ,)h ( 畑 ) , 嬰 ) , nui ( 様 ) , ai n C影 〉 , ap ( 圧,)pa oeh ・ ( 烏 ) oa ( 娃 ) , ui ( 憂 ) , ia ( 哀 ) , iu ( 為 ) , uai ( 妖 ) , au ( 欧 ) , iao ( 歪 ) , im ( 音 ) , iam eng 0 ok ( 悪 〉 , ah ( 鴨 〉 , 天理大学学報 6 官民団] e][ [jfk ] 伽 [k 鋼 ,:::k J[ 姑 娼[ m] )lJ:k [ 光] [suan] 問 [Juaik 喋 飯田 im] 受[η泊] e][mai 鹿[ b l,:::k ]J[ 虹 淳] ] 樟 iak[J1rk [ 司 | 淳] []iiig 牛 閑南語の主母音六種があって下図のような体系をなす。 u i 〔i〕 巴〔 E 〕 。 a 〔a 〕 。 。 00 〔3 〕 註 o 〔o 〕 主 義 主 主 正 a u〕 u 〔 注 (1 〕 音節:漢字の音節は前に述べたとおり,北京語では14 種であり,声調も 4 種にすぎない。 14 種という単音節も原則的にいえば12 種の子音と, 53 種の 母音との組みあわせであり, 53 種の母音といっても単母音が 6 種,複母音が 4 種,あとに・n -ng を加えたものが五種, これに介音が三種といったふう に整理してみると,さほど複雑なものではない。 (2 〕 壬育徳:『台湾語入門』 ,p .21-9 (3 〕 越!|良文:『親子台湾』自立報系出版, ,p .3-1 村上嘉英:『関南語テキスト』 ,p .5-4 (4) 鄭良偉:『従国語看台語的発音』学生書局, ,p 651 .951 ( 5) 十.閑南語の声調 言語における三つの要素は,声母と韻母それに声調で、ある。中国では音 ・韻・調といい,これは音節や字音や詞音ということである。 間南語の中で八戸(入音)があり『漢語方言概要』に 相伝明戚参寧根据福州音所編『八音』一書,興後来林碧山『字義』,在 乾隆年間合刻為『戚林八音』i 距今二百儀年。十八世紀末,泉州人黄 llI 音妙語』 謙以泉州話為依据編撰『 081( 年)。后来淳州謝秀嵐有感子 悶南語・北京語における発音につ L 、ての検討 1『 11 音妙語』 「悉用泉音,不能達於外郡」, 67 又据津音将官改編成『雅 俗通十五音』,簡称『十五音』。這以後泊頭的『潮芦十五音』,福州、l的『正 音通俗表』,建甑的『建州、|八音』等相継出版。 という説明があるが,これは八音或いは八声の由来と思う。現在の第 2 戸と第 6 声は調値(音値と音調)が等しいので,調類は実質上 7 種であり, その外に軽声( o声)がある。第 4 声と第 8 戸は入戸,すなわち音尾が急に 促られる音。その音値表は次のごとくである。各声調の音値の高,低,昇, 降,長短は簡単な声調符号 C 1, J ,」,」 )を表示する。 声 類第一声第二戸第三声第四声第五戸第六戸第七声第八戸 伝統名称陰平上声陰去陰入陽平上声陽去 声調符号 1 J 」 」 1 音値高平高降低降低短昇 ローマ字 1 陽入 1 中平高短 -,h:kt,t/p! ' ・ ,P,h,k,t '" 戸 調 第 1 声半高平調或いは高平調,高調にして平坦,そしてすこし長く引 / く。符号を附せず,例(カラス〉音値: 044 第 2 声高降調或いは下降調,高調にして急激に上昇して短い。符号は 「〆」,例a Cあるいは)。音値: 035 第 3 声低平調或いは上去調,低調急激に低下して短い。符号:「、」, 例 a Cさあ〉。音値 1 。 第 4 戸中降促調,或いは低平短調,低調急激に音尾を促るもの。符号 なし,その入声韻母が,,p ,t- k- , ・h を付している。例 ah Cアヒ ル〉,高値: 23 。 第 5 声 中昇調或いは上昇調,下平調,低調に始まり徐々に屈曲して音 尾を上昇する。符号:「〈」,例 a Cああ〉,音値: 42 。 第 7 戸中平調,中調で,すこし長く平である。符号:「一」,例丞(や はり〉,音値: 3 。 第 8 戸半高促調或いは高平短調,高調急激に音尾を促るもの,符号 叫 − t, ・k , ・h 上に「 F」,例ah C小箱),音値: 44 。 軽声軽く短い調子。 『台湾教科書』は次のように。 語学ヲ学パントスル者ハ其如何ナノレ国ノ語学タルヲ問ワズ発音上の調 68 天理大学学報 長官ヲ識得スノレハ重要ナル一条件ニシテ殊ニ台湾語ユアリテハ同音異調 ノ語甚ダ多ケレパ最モ留意研修スルヲ要人台湾語の調ニ七種アリ と述べている。間南語を学ぶときには最初にもちろん声母と韻母の練習, つぎは子音と母音が調音された後,滑らかにつないで発音する。これは音 節・字音の練習である。次ぎに八音の練習は大変大切で、あり,八戸の区別 が出来ないと言葉が話せないことになる。入声の練習は次の例の完全で上 手にならなければならない。 tong 伊j むng t, gnot 業 東 例一 = hoan hoan 111 In 因 例五 扶 供 1t 抵 智 菊 滴 kim kfm kim 金 富 市 gnet gnet 0 例十 .6 tl | ヲ 5虫 1t 池 kim 口 t色ng δ ikgn 扶 k6i hlt 抵 pik kim kim S市 gnet 恰 gnet 控 芋 ka ka ka 榔 絞 支 日 kha khap 相 chiam 蓋 騎 kha 巧 定 0・ kha 汁 荘 敵 ・ 6k 口 11ac1 欽 ? kh1p 堅 磁 hc 占 p chiamchiam chiam paihc 聖 kha 及 t占k 湖 甲 礁 治 口 教 局 共 it 、 kah 逸 τ 月' gnoih 6・ 絞 斬 m 6・ 穆 尖 m ・ ok ka chiam 罰 . ka 例十二 c hiam 範 δ ka 巧 反 m 等 d互 山 豆 f骨 taoh 亭 控 脚 hoan hoan 竹 , 烏 kha ket 釘 等 ・ kha 急 、 金 ヌI王 ミ ミ tさng 灯 例九 pik t.uk 郡 漉 寅 hit 母 で台 葬 gnoik koi it 猪 例十一 ti 正 p 』 dong 例六 例入 官 主 111 | ヲ gnoik gn6ik 宮 例七 阪 反 Man taoh kun 裾 kot 洞 kun kun L,日 a, Man 黛 同 督 担 tδng gnot gnot kut 、 接 翻 例四 棟 kun kun kun 君 U71 kot 斬 砧 十 閑南語・北京語における発音についての検討 69 (2) 以上の例にあれ漢字に表わす場合はその語・字・音のすべてが等しい 漢字でない時もある。これは日本語を記述する際にも五月雨(さみだれ〕, f民令(たとしう,何慮(どこ〕,所謂 cし、わゆる〉如く文字がその意義のみ表 わすものであり,勝手(かつて),濡衣(ぬれぎぬ〉,猫婆(ねこばば〉,面白 (おもしろしうの如く文字がその音のみ表わすものもある。閑南語の漢字 も適当な漢字を使って学習する場合,その文字に拘泥することなく発音す ればよし、。もう一つ八戸の高低によって言語の意味を異にするがゆえに, は教であり,(kfo 〕の第 3 声 )の第 2 戸は犬の意であり,(kau これを用い,すなわち(kau )の第 5 戸は猿である。戸調というものは日本語にも ある。それはアクセントという。 {列として 雨= A me ,飴= A me 。 箸 = Ha ihs ,橋= Ha ihs ,蜘= k む m6 鵬= Ka ik ,柿= k 主fk 。 雲 = Kumo e 。 桃 = m6 竹=at k 色,丈=at k mo ,股= mo m6 以上の声調は両者とも第 2 声と第 3 戸を持って発音し,音調を利用して意 義を区別することである。例えば, 天理と天理大学,明治と明治大学,京都と京都大学の発音も違うであろ 。 う 次に閑南語を練習する例として一つの例文がある。次ぎの如しこれは 有名な閑南語の発音練習例である。その意味は次ぎのごとくである。 一匹の犬がいました。一きれの肉をくわえながら橋を渡っていると, 川の水は清く静かでしたので,彼自身の影が水中にうつりました。ふ と水中の犬も肉をくわえているのが見えました。彼は水中の犬の肉を 奪おうとして,水中に眺び込んだが,奪えないだけでなく,彼自身の 口にくわえていた肉も水中に落してしまいました。 その閑南語の発音は次ぎの如くである。 iuhc cheng in-na njk-naohk I uihc 61 uaht ,ihk-11・ beh ch ・ tih ial-iuhc nuihc ta-m u tihc ial hai na ・ nuihc haihc uaihc ,ob nail kau 色 e-oik k, odlhin oihc Ie nai i-6S g,nait-nait 巴n iuhc Tui haB 色, ka t-tihc ,uak haic U tihc ,uak hbI ,e6t-iuhc ka tihc 6s ka e Bah, I iuhc e hin et Bah, kau oit tih 司佳品 a ・ 天理大学学報 70 hol-mit .e6t-iuhc その間南語の漢語訳は次のごとくである。 有一隻狗,暁←塊肉,従橋裡過,橋下的水,清清静静,所以,伊的影 照落水底,如比,君見水内也有一隻狗,岐一塊肉,伊就要捨水内彼隻 狗所l度的肉,狗就跳落去,不但捨無,連伊I費内彼塊肉黙沈落水底。 上の文章は北京語訳といっても,閑南語の漢字訳の方が正しいと思う。こ の文章は短いけれども,八戸の発音と全部正しく発音することはそれほど 簡単ではない。 j主 (1) (2) 鄭良偉:『台語興国語字音針臆規律的研究」学生書局, .p .11-01 鄭良偉:『台湾福建話的語音結構及標音法』学生書籍, .p .33 (3 〕 兼松磁熊:『台湾語発音学』三盛商会, .71.p 盟問 古 書 間南語は北京語と比較すると,その発音は特徴は次の如くである。 )1( 戸母には有戸子音の「,b ,1 gj ,hs があり,北京語の反り舌音,hz ,hc と r と唇歯摩擦音 f がなし、。 yu とし、ぅ発音もなし、。舌尖歯音 ,z ,c s もない。 2( )韻母には揖口呼 )3( yu がなく, 0 ・と優勢な鼻母音 ,na ,ne ,ni 0・ n がある。 閑南語は話しことばとして発達している。その一部分には該当する漢 字があるかどうか,今の時点では明らかでなし、。従って,これらにつ いては,今後,閑南語関係資料。 (例えば,天理大学図書館蔵明嘉靖 版の『惹鏡記戯文』や『宋・元語言辞典』など〉を捜査して調べなけ ればならない。 )4( また,それと同時にそれらを補う俗字ゃあて字の制定機関或いは学術 研究機構が必要である。 )5( 閑南語教会ローマ宇が発明されたことによって,また甘為諜著『度門 音新字典』 (初版3191 年〉と天理大学村上嘉英教授編『現代間南語辞 典』 (昭和65 年〉とによるローマ字音標符号が広範囲に普及した。調 悶南語・北京語における発音についての検討 査によると,宗教類を除く,教会ローマ字の参考資料は 31 17 類,教会 ロマ字以外のは71 種しかない。しかし,その外にもいろいろな音標符 号がある。調査によると,百種以上もあり,その中に鄭良偉教授個人 で03 種を発明した。従って,間南語研究には先ず音標符号を統一する ことが緊急な課題と思う。 )6( 閑南語には八戸があり,現在の第 2 戸と第 6 声は調値や音値が等しい ので,調類は実質 7 種であっても,北京語の四声より学習は困難であ ある。 )7( 北京語の韻母は43 種しかないが,閑南語には57 種以上もあり,発音は 北京語より複雑である。 )8( 主韻母の中に特に 0 ・とし、う発音がある。 9( )塞音韻尾仏ー,t k- ,或いは・h があり,それは北京語より難しい入声 音である。中古漢語の入戸字の発音は間南語や日本語の中に沢山残っ ている。 。 。 閑南語の「b」の発音は帽(δb ,某b6 ・〉,「g 」の発音は賢(,)uag 研究( ,)uik-naig 北京語の「b, 」 ph=p, )11( 0 ・(国際音標コ〉であり,教会ローマ字の k=g, kh=k p は である。 間南語の発音には湾外l・泉州・同安・度門・台湾の区別があり,台湾 では泉州と津川|府の人が台湾に移住して来て,混在した為,今日の 「不津不泉」の台湾語ができあがった。いまの台湾にも台南・台北そ れぞれになまり(言(~り〉がある。従って台南と台北で同じ閑南語とい っても若干異るところがある。 )21( 高本漢(カールグレン)教授の調査によると,上古官話の音素は024 種であり,これについて香坂順一教授の調査によれば上古官話は904 で,広東話は617 ,客家話は056 ,間南語は48 であり,その語棄は外 の言語より豊富である。 そのほか,閑南語は,過去の歴史的な原因で,日本人にとっては,北京 語より習い安い点が多い。特に北京語も出来人にとっては,もっと習得し やすい,又,閑南語にはその社会機能があって,理解しやすいと文化経済 交流の為に学習する必要性がある。従って,人口やマスコミや教育や群体 認同とか,身分標誌とか,価値観とか,男女社会角色の変化とか見ると, 天理大学学報 72 閑南語は将来きっと重要な言語に なることであろうと思う。 又,間南語の「転調」すなわち「 声調交替」と日本語の発音につい ては 「天理台湾研究会」の会報に発表 の予定である。 後記一一この小論は一九九三年六月二十八日,天理大学「天理台湾研究会」第二回 研究大会において発表した「北京語と閑南語の発音比較」のうち,特に「悶 南語の発音について」の部分に加筆修正を加えたものであるが,研究大会に おいて未発表の内容も含んでいる。本論文執筆に際しては,金子和正先生に 若干修正を加えて頂いた。記して謝意を表する次第である。 参考資料 。 .1 村上嘉英:『現代関南語辞典』天理大学おやさと研究所,昭和65 年 .2 村上嘉英:『福建語(悶南語〉テキスト』ユネスコ東アジア文化研究セン 。 891 年 ター, 6 。 3 ,王育徳:『台湾語常用語業』永和語学社, 7591 年 4 越元任:『語言問題』台湾商務印書館, 7891 .5 実家際:『漢語方言概要』 出版社, 0691 (HANYU 。 年 FANGYAN GAIYAO 〕文字改革 。 年 。 陳修:『台湾話大辞典』遠流出版公司, 19 年 。 .7 王育徳:『台湾語入門』台湾青年社, 2791 年 。 .8 兼松磯熊:『台湾語発音学』台湾日日新報社,明治23 年 。 .9 天理教教会本部:『台湾語教科書』昭和15 年 。 呂叔湘:『語文常談』三朕書店, 2891 年 .01 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