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平成28年度 入学式式辞 - 愛媛県立西条農業高等学校

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平成28年度 入学式式辞 - 愛媛県立西条農業高等学校
平成28年度
入学式式辞
H28.4.8金
霊峰石鎚を望む武丈の地にも柔らかな陽光が降り注ぎ、桜が咲き誇る春爛漫の今日の佳
き日、多数の御来賓の御臨席を賜り、平成28年度、愛媛県立西条農業高等学校の入学式が
挙行できますことは、生徒並びに教職員一同の大きな喜びであります。
ただ今、入学を許可いたしました、 120名の新入生の皆さん、入学おめでとうございま
す。
本校は、大正8年に誕生し、まもなく百周年を迎える輝かしい歴史と伝統を誇る愛媛県
下でも屈指の農業高校です。ここで、西農がどのようにして誕生したのか、そのことにつ
いて少し触れたいと思います。当時、愛媛県東予地区には、周桑郡に甲種農蚕学校、新居
郡に乙種農学校、宇摩郡に甲種農林学校と三つの郡立農学校がありました。甲種と乙種の
違いは、修業年限や入学資格によるものであります。その頃の日本は、好景気が続き経済
発展と近代化が進んでいました。そこで愛媛県は、地方農業の開発や県教育界発展のため
に東予地区の郡立学校を整理し、県立甲種農業学校の新設を決定します。これを受けて、
周桑、新居、宇摩それぞれの郡は、自分の所へ農業学校を誘致しようと設置運動を展開し
ました。中でも周桑郡と新居郡の争奪戦は激しかったと言われています。結果はどうなっ
たのかというと、愛媛県当局は、各種調査の後、新居郡が希望した東予の中心地である西
条設置が適当として県会に発案したものの、この案は2票差で否決となります。西条案は
ひっくり返り、農業学校設置場所は周桑郡と決定したのでありま す。これにより、西条派
と周桑派は決裂し、熾烈な誘致運動へ突入したそうです。大騒動の末、文部省の裁定は西
条案承認となり、こに「県立西条農業学校」が誕生したのであります。現在では想像もで
きない「西農」の誕生秘話を通して私は、先人の方々の学校設立にかける強烈な情熱と学
校教育に対する極めて大きな期待を感じるのであります。入学生の皆さん、私たちと共に
西農をさらにさらに発展させて参りましょう。
さて、皆さんは今、高校生活というキャンバスに何を描き、学んだことを生かして将来
はどんな仕事をしたいと思っていますか。ここで、義務教育を終えた皆さんに充実した高
校生活を送ってほしいとの願いを込めて、渋沢栄一という人の話をしたいと思います。こ
の人は、1840年に今の埼玉県に生まれ、幕末から明治維新の頃は武士として、明治時代か
ら大正時代には官僚・実業家として大活躍した人です。たくさんの企業設立にかかわり、
現在まで続いている会社も多くあります。彼は、第一国立銀行や東京海上火災保険、王子
製紙、秩父セメント、帝国ホテル、京阪電気鉄道、東京証券取引所、キリンビール、サッ
ポロビール、東洋紡績など、それまで日本に存在しなかった多種多様な企業を作り 、その
数は500以上もあって日本資本主義の父と言われています。
では、彼はどうやってそのような情熱や力を身に付けたのでしょうか。その答は、彼の
生い立ちにあるのではないかと私は思っています。渋沢少年の家は、藍染めに使う藍の原
料である藍玉を仕入れて、加工した藍を売る商いをしながら、蚕を飼う養蚕や米、麦、野
菜の栽培を手掛ける兼業農家でした。そのような家庭環境でしたから、栄一は幼い頃より
父親に連れられてよく手伝いをし、今の中学生に当たる 14歳の頃からは一人でその商売を
していたと言われています。また、5歳の頃から父 親より読書の指導を受け、「論語」を
始めとして「四書五経」等を学び、学問や道徳を身に付けると同時に、剣術の修行に打ち
込み体力や精神力を鍛えていたそうです。
これから皆さんが学ぶ西条農業高校では、渋沢栄一の子供の頃の生活によく似た体験が
たくさんできます。農場では、農作物等を栽培し、それらを加工したり付加価値を付けて
販売したり、また、測量や調理・被服製作等の技術の習得や棚田保全活動、地域の人々と
の交流等、様々な体験をします。さらに、勉学にしっかりと励んで知性や徳性を養い、部
活動を通して体力や気力、そして心を鍛えることができるのです。どうか、三年後にたく
ましく成長した自分自身を思い描いて、「今」というときを全力で駆け抜けてください。
最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様の御入学、誠におめでとうござい
ます。心からお祝い申し上げます。これからの三年間、教職員一同、お子様がいきいきと
した高校生活を送り、西農へ入学して良かったと思えるよう全力を尽くしたいと思います。
今後とも本校の教育活動に御理解をいただき、御支援と御協力を賜りますようお願い申し
上げ、式辞といたします。
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