...

第21号(平成23年11月発行)

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

第21号(平成23年11月発行)
家保だより
第21号
福井県家畜保健衛生所
Tel:0776-54-5104
2011 年 11 月発行
〒918-8226 福井市大畑町 69-10-1
Fax:0776-54-5966
http://www.pref.fukui.jp / doc / kaho / index.html
「飼養衛生管理基準」が見直されました
昨年の宮崎県での口蹄疫発生と全国的な高病原性鳥インフルエンザの発生を受けて、本年4月に家
畜伝染病予防法が改正されました。
その中で、家畜伝染病を発生させないために、畜産農家の皆様が最低限守っていただく「飼養衛生管
理基準」が、畜種ごとにより詳しく定められました。
それに加えて、年1回「飼養家畜の種類と飼養頭数」・「畜舎の数」や「飼養衛生管理基準のチェック表」
等を県に報告することも義務付けられました。
新しい「飼養衛生管理基準」の主な内容は、
① 家畜保健衛生所から送られてくる病気等に関する最新情報を確認して下さい。
② 農場に病原体の侵入を防止するための衛生管理区域(例えば畜舎やその周辺の飼料タンク・倉庫、
生乳処理室、GP 施設等)を設け、他の区域と区分して下さい。
③ 出入り口に消毒設備を設けるなどして、衛生管理区域に病原体を持ち込まないようにして下さい。
④ 畜舎や飼料の保管場所、給水設備にネズミや野鳥等の野生動物の糞等が入らないようにして下さ
い。
⑤ 家畜の健康観察を毎日行い、異常を見つけたらすぐに家畜保健衛生所に連絡をして下さい。
⑥ 家畜の導入状況や衛生管理区域に入った来場者(集乳車、餌配送車の運転手等)を記録し1年以上
保管して下さい。
家畜保健衛生所の職員が、随時畜産農家を巡回して詳しく説明していますが、不明な点があればいつ
でも家畜保健衛生所まで連絡をお願いします。
(次長 向井)
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)および
低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)発生予防について
1)最近の国内の HPAI の発生について
1
昨年 11 月から今年 3 月までに 9 県 24 養鶏場で HPAI の発生が確認され、最終的に合計約 185 万羽
の鶏の殺処分に繋がる過去最大の発生となりました。
昨年 10 月に北海道大沼で野生のカモ類の糞便から HPAI ウイルスが分離されたことから、従来の朝鮮
半島経由だけでなくシベリア経由でもウイルスに感染した渡り鳥が国内に飛来していたとされています。
加えて 16 道府県で 15 種 60 羽の野鳥からウイルスが分離されたことから、全国的に感染した野鳥が存
在していたと考えられています。
2)防疫対策の確認
①衛生管理区域へのウイルスの持ち込みの防止
 外来者の出入りの制限
 車両消毒の徹底
 踏込消毒槽と手指消毒用消毒器の設置 など
②野鳥・野生動物によるウイルスの侵入の防止
 防鳥ネットの再点検(必要があれば補修してください)
 隙間をふさいで衛生害虫等の侵入を防止 など
③衛生管理区域の整理・整頓・清掃
出典 鶏病研究会報 第 47 巻 2011 年 伊藤壽啓
④鶏の適正な飼養管理
以上の防疫対策の重点事項を再度確認のうえ、ウイルスの侵入防止に努めていただくようお願いいた
します。
★島根県で死亡したコハクチョウから 11 月 15 日に H5N2 亜型のインフルエンザウイルス(低病原性の特
徴を有している)が、分離されましたので、特に、上記②の野鳥・野生動物によるウイルスの侵入防止に
ついて徹底しましょう。
★多数の鶏が死亡するなどの異常が発生した場合は速やかに家畜保健衛生所へ連絡してください。
(病性鑑定課 田中)
家畜伝染病防疫演習を開催しました
平成23年9月29日福井県自治研修所において、これからの時期特に警戒が必要な高病原性鳥イン
フルエンザを対象に、発生時に迅速かつ的確なまん延防止措置が行えるよう県主催で防疫演習が開催
されました。参加者は国関係(北陸農政局福井地域センター、自衛隊)・県関係(警察、県出先機関)・市
町関係・畜産関係団体等で、約120名の担当者が集まりました。講義では、昨年の国内での家畜伝染病
の発生状況や、家畜防疫指針の改正に伴う防疫作業内容の説明があり、実習では殺処分時に着る防護
服の着脱、鶏の殺処分、消毒ポイントでの関係車両の消毒方法について実演し、担当者数名にも実際に
体験してもらいました。
また、発生時に現地対策本部となる各農林総合事務所でも防疫演習が行われており(坂井地区:10
月11日(火)、福井地区・丹南地区:10月27日(木)、奥越地区:11月9日(水))、県庁内でも職員を対
象とした演習が11月15日(火)に開かれております。
備えあれば憂いなしと言います。この様な病気は発生しないのが一番ですが、万が一発生しても万全
の体制が敷けるよう努力しておりますので、飼養者のみな様におかれましてもご理解とご協力よろしくお
願いいたします。
(保健衛生課 吉田)
2
成牛の下痢症 「牛コロナウイルス病」
流行の時期に!
11 月中旬、県内一酪農家の搾乳牛において、牛コロナウイルス病の発生を確認しました。
本病は、秋から春にかけての冬季に多発します。急激な気温の低下、著しい気温の日較差、牛の導入な
どが誘因となります。症状は、暗緑色~黒色の水様性下痢(一部で血便あり)で、牛舎内に急速にまん延
し、泌乳量の急激な減少、呼吸器症状の併発がみられます。本病を予防するには、流行前にワクチン接
種を終わらせておくことが必要です。
常日頃より牛舎出入りの際の履物および出入りする車輛の消毒の徹底ならびに導入牛の隔離飼育と
観察の徹底など飼養衛生管理基準の順守により発生を予防することが重要となります。
水様性下痢など飼養牛に異常を認めた場合は、早めに診療を依頼するとともに、家畜保健衛生所にご
相談ください。
(病性鑑定課長 二本木)
めん羊、山羊を飼っている皆様へ
 伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathy;TSE)
の検査を受けましょう。
めん羊、山羊が、運動失調、麻痺、掻痒感それに伴う脱毛、無気力化、原因不明の衰弱などを呈した場
合、もしくは、12ヶ月齢以上のめん山羊が死亡した場合には、TSEの検査を行ないますので、直ちに家
畜保健衛生所までご連絡ください。当所で検体(延髄および扁桃)を採材し、茨城県つくば市にある動物
衛生研究所にて検査を実施します。
TSEは異常プリオンが原因で起こりますが、このなかには、BSEや人のクロイツフェルトヤコブ病、め
ん山羊のスクレイピーがあります。スクレイピーは 250 年以上前から知られており、ヨーロッパ、北米のほ
か我が国でも散発的な発生が確認されています。ヒトへの感染はありません。最近では、平成 17 年に神
奈川県、23 年 4 月には福岡県でいずれも羊で発生しています。
また、万が一、本病が発生した場合には疫学調査が必要になりますので、次の事項について記録・保
管をお願いします。




飼養管理状況、分娩、疾病と治療記録
導入先、移出入、死・廃用状況
給与したすべての飼料(配合飼料、粗飼料、添加剤、医薬品など)と製造メーカー
預託農場がある場合は、預託期間、同居畜のリストアップ、預託先における飼料給与状況、施肥状
況など
(病性鑑定課
3
笠原)
第 1 回福井県乳牛共進会が開催されました
平成 23 年 10 月 26 日(水)に福井県奥越高原牧場にて『第 1 回福井県乳牛共進会』が開催されました。
これまでは『福井県ホルスタイン共進会』として福井県家畜改良協会の主催で行われてきましたが、今回
から若手酪農家を中心とする福井県ホルスタイン改良同志会が主催で開催することとなり、心機一転、名
称を『福井県乳牛共進会』と改め開催されることになりました。県内の各農家から 21 頭の牛が出品され、
活気のある共進会となりました。グランドチャンピオンには未経産の部で越前市の佐々木勝海さんの牛が、
経産の部では大野市の稲津智沙都さんの牛が選ばれました。
審査委員長から総評の中で「前回に較べて出品の技術や、牛のレベルが非常に上がってきた。また、
若い世代がこの福井県にもきている、若い風が吹き始めているなというのは非常にこれからの福井県の
酪農を見たときには、喜ばしいこと。」とのお話がありました。
家畜保健衛生所も若い世代の皆様が福井県の酪農を牽引していただくことを期待しています。
グランドチャンピオン(未経産の部)
出品者:越前市 佐々木 勝海さん
グランドチャンピオン(経産の部)
出品者:大野市 稲津 智沙都さん
(保健衛生課 横田)
県内における主な家畜伝染性疾病の発生状況
(病性鑑定課長 二本木)
4
Fly UP