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分割2 - 放送大学

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分割2 - 放送大学
達と教育」専攻において、専門志向が肯定的であり、また時系列で見て
も高くなっている。
図3−10 専攻別「専門志向」入学動機
3.21
2.94 2.94
3.36
3.11
3.00
2.97 2.95
2.86 3.00
2.81
2.77
逆に、「人間の探究」専攻では、この志向がほかの専攻と比べて肯定
的とは言えず、また時系列でも低くなってきていることが目立つ。さら
に、職業別では、管理職などで専門志向が高まってきている一方で、主
婦層や退職者層では低くなってきている。
エ
「大卒志向」
大卒志向は、20歳代から40歳代の若年層から壮年層にかけて多く見ら
れ、また男女差がかなりある。特に、この男女差に貢献しているのは、
中高年層で男性では大卒志向は低い比率を示すが、女性ではやや低くな
るものの男性ほど、比率が落ちないという事情である。
この結果、大卒志向は一般的な特徴としても、時系列でみても、主と
して若年層と女性の中高年層で肯定的であるという特徴がある。全体の
平均点数の推移で見ると、確かに大卒志向はこの13年間で減少傾向を示
している。しかし、これは全体の値が示す表面的な傾向であり、属性別
に見ると逆に増大しているところもある。この点で特に注目できるのは、
若年層から壮年層(20歳代後半から40歳代前半)にかけてはむしろ「大
卒志向」が高まってきている(「大卒志向」を肯定する人が増加してい
203
図3−11 年齢別大卒志向
図3−12 専攻区分別大卒志向
る。)ことである。また、専攻では、「生活と福祉」専攻と「発達と教育」
専攻で、大卒志向が高くなっている。
204
図3−13 年齢階層別「大卒志向」の時系列比較
3.14
3.25
2.99 2.96
2.95
2.80
2.75 2.70
2.24 2.42
2.05
1.77
「入学動機」のまとめと課題
3
以上の放送大学生が示す「入学動機」について、その結果をまとめてお
く。
1)
「自分の関心」志向以外では、「教養志向」と「専門志向」が強く
現れており、この二つが放送大学の特色を表す代表的な入学動機になっ
ている。
2)
入学動機を時系列で見ると、女性層では複数の志向性で点数がわず
かではあるが増加傾向を示しているのに対して、男性層では減少傾向を
示している。
3)
「教養志向」では、すべての属性で均等に高い得点を示している。
4)
「専門志向」では、壮年層で高い得点を示し、また増加傾向を示し
ている。この点では、「仕事志向」でも同様の傾向が存在する。
5)
「教養志向」と「専門志向」以外では、「余暇志向」と「大卒志向」
が特徴ある傾向を示している。
6)
「余暇志向」では、老年層で高い得点を示し、なおかつ増加傾向を
示している。専攻別では、「人間の探究」専攻で他の専攻と比べて高い
得点を獲得している。
7) 「大卒志向」では、若年層から壮年層にかけて高い得点を得ている。
また、中高年の女性層でも男性に比べると高い得点を得ている。
205
4
放送大学を選択した理由
放送大学生はなぜ放送大学を選んだのか、放送大学の選択理由について
見てみたい。学生に尋ねた結果が図3−14である。
図3−14 放送大学の選択理由
3.463.50
3.413.44
3.17
3.143.07 3.143.08
3.033.03
2.82 2.80
2.92
2.75
1.941.99
1.87
1.73
1.671.65
0
肯定傾向が強いのは、「家にいながら勉強できるから」という在宅学習
志向と、「マイペースで勉強できるから」というマイペース学習志向であ
る。両方の志向ともに、遠隔教育のメリットを求めている。放送大学を選
択するかなり強い理由には、このような遠隔教育の利点があることがわか
る。学生は、学習機会を享受する側としての時間的、空間的な利点を、放
送大学の入学に当たって最も期待していると言える。
前回調査との比較で見ると、これらの在宅学習志向とマイペース学習志
向という利点がややその比率を伸ばしていることがわかる。ほかの項目が
前回調査と今回調査との間に得点を減らしている中で、この二つの選択理
由だけが増大傾向を示している点は注目に値する。
次に、「科目が多彩だから」という質問は、今回の調査で初めて入れら
れたものだが、やはり放送大学の魅力の一つであり、高い得点を獲得して
いる。さらに、「生涯学習のための教育機関として適切だから」という選
択理由も高い得点を獲得している。前回調査と比べて横ばいではあるが、
放送大学の選択理由のなかでは常に上位を保っていることには留意すべき
である。
「正規の大学教育が受けられるから」「学費が手頃だから」なども肯定
206
傾向が高いが、前回調査と比べると、得点を下げている。これらの選択理
由については、必ずしも放送大学でなくとも、今日では達成可能となって
きた。つまり、これらは遠隔学習や生涯学習などの選択理由よりも、肯定
傾向が下ってきていると考えられる。
年齢階層別では、在宅学習志向とマイペース志向で、壮年層などの中間
年齢層の肯定傾向が目立つが、これについては職業別の主婦、あるいは被
雇用者の意識との重なりが大きいと考えられる。また、前回調査と比べて
も、壮年層では得点を上げてきている。また、高齢層では生涯学習志向、
マイペース志向がとりわけ高い得点を獲得しているのが目立つ。
専攻別では、全般的に在宅学習志向とマイペース志向などの遠隔学習志
向が強いという傾向があり、この遠隔学習志向は「生活と福祉」「発達と
教育」「産業と技術」などの専攻で、高い肯定率を示している。また、前
回調査と比べても、その比率を増大させている。
(2) 学習状況
1
テレビ・ラジオ授業の視聴状況
放送大学の学生が、どのような視聴状況を示すか見ておきたい。放送大
学では、各45分間の授業を15本のシリーズ番組に構成して、15週(約3カ
月)の間に放送している。この15本の講義のうち、何本視聴しているかと
いう質問を行った。
これによると、平均視聴本数は、テレビが8.2本で前回の8.1本をやや上
回ったが、ラジオでは6.8本であり前回7.3本を下回っている。やはり、テ
レビのほうが視聴率はよいという、これまでの一般的な傾向を表しており、
さらに前回と比較すると、この傾向は強まったと言ってよい。
年齢別の視聴状況を見ると、テレビでは平均視聴本数を上回るのは、45
歳以上であり、45歳未満では下回るという傾向がある。ラジオでは、35∼
54歳の中高年層で高い比率を示している。
入学動機のグループでテレビの視聴本数の多いのは、「余暇志向」グルー
プである。また専業主婦層と退職者層でも平均視聴本数が多い。この結果
から、やはり「時間に余裕のある」、あるいは「時間の融通性のある」層
では、視聴本数が多いと言える。ラジオ視聴でも多少は異なるところもあ
るが、概ね時間の余裕のある層で視聴本数が多いと言う傾向をテレビと同
様に示している。けれども、全般的に平均視聴本数は低い水準に止まって
いる。
207
図3−15 TV 科目の視聴状況(%)
40.0
35.6
18.8
20.3
11.3
8.2
5.5
10.6 9.7
12.0
8.9
6.2
5.7
7.2
図3−16 ラジオ科目の視聴状況(%)
32.7
30.3
21.1
19.5
13.6
11
8.4
11.6
8.5
11.1
10.1
7.3
7.5
7.4
また、テレビ授業の視聴状況をそれぞれ3本毎に分けて見ていくと、二
つのピークのあることが読み取れる。つまり、学生のなかで一番多いのは
15本のうち「13本以上」視聴する学生で、40%を示している。また、二番
208
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