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Ⅰ 検査・鑑定等の概要 1 公的試験の役割 ① 農業者に対して、適正な
Ⅰ 検査・鑑定等の概要 1 公的試験の役割 ① 農業者に対して、適正な農業機械の選択と利用の指針を与える ② 製造者に対して、農業機械の開発・改良の支援を行う ③ 安全性を確保し、機械作業における事故を防止する ④ 環境及びエネルギー問題の対策を行う ⑤ 国際取引の円滑化や優良な農業機械の輸出入を促進する ⑥ 誇大広告及び不当競争を防止する ⑦ 不良製品を排除する 2 生研センターで実施している農業機械の公的試験 型式検査、安全鑑定、総合鑑定、任意鑑定、OECDテスト、農耕作業用自動車等の 機能確認などを実施している。 1)型式検査 (1) 沿革 【年 次】 【検査の歴史】 (農機の生産額) ○粗悪な製品が出回り、農業現場が ----- 1949 ----- ○農林省が「農機具依頼検査規程」を制定 混乱 (1950: 58億円) ・農林省関東東山農業試験場及び各県農試等 7ヶ所(東京、岐阜、新潟、静岡、愛知、岡 山、宮城)で検査を実施 ・検査の重要性に対する認識の低い中で零細 多数メーカーに対応するため、広い範囲に 検査機関を配置 【農業機械の状況】 ----- 1953 ----- ○「農業機械化促進法」の制定 ・法的根拠がなく制度的基盤が脆弱であった ため、農業機械化を促進する一環として農 機具の国営検査制度を法制化 ----- 1954 ----- ○農機具検査室を設置(関東東山農業試験場内) ・専門の職員が検査を実施 ○メーカーの技術・開発力向上への (1960: 517億円) 努力と国営検査による技術力のチェ ック、それに対応した欧米各国から ----- 1962 ----- ○国の機関の一部を分離して、農機具の研究部 の技術導入、ノックダウンから順次 門と検査部門とが一体となった「農業機械化 国産化によって製品の品質も大幅に 研究所」(農機研)が、民間の出資も得た特殊 向上 (1970:1781億円) 法人として設立される ・メーカーの技術水準の向上に対応し、さら に大幅な技術向上を目指して、高度な技術 ○日本独自の小型トラクターの開発 (1980:6275億円) 力を有する農業機械のセンターを設置 (全世界への輸出) ・検査実施機関を農機研に一元化 ------ 1986 ----- ○「農機研」を「生研機構」に改組、特別認可 (1986:6743億円) 法人化 ○生研機構との共同研究による新種 ・新型機械の開発 (1995:6500億円) (緊急プロジェクト事業) (2000:5200億円) ○第3次緊プロのスタート ----- 2003 ----- ○生研機構は農研機構と統合、独立行政法人化 (2003:4722億円) 「生研センター」に (2) 概要 ① 国の法律(農業機械化促進法)に基づき、通常生産品の型式ごとの性能、構造、 耐久性、操作の難易(安全性を含む)について試験を実施 ② 農林水産大臣が対象機種(平 17 は 10 機種)、試験方法・基準を定める ③ 生研センターは農林水産省の指定する検査実施機関 ④ 依頼によって生研センターが実施し、合格・不合格を決定する ⑤ 生研センターは、結果を農林水産大臣に報告(合格機の公表と成績表の公開) ⑥ 依頼者は、合格機に「検査合格証票」を貼付できる(成績表を機械に添付) 農林水産大臣 型式検査対象機種 の決定及び公示 型式検査の主要な 実施方法及び基準 の決定及び公示 (報告) 生物系特定産業技術 研究支援センター 型式検査申込案内 の作成 (配布) (申込み) 受け付け 合格機の公示 型式検査の実施 型式審議委員会 事後検査の実施 依頼者 (通知) 合格・不合格の決定 (3) 対象機種選定の考え方 対象機種は、農業機械化促進法にいう農機具であって、次のいずれかに該当する ものであること。 ① 全国的に広範囲にわたり相当程度普及しているもの ② 今後、全国的にみて広範囲にわたり普及するとみられるもの ③ 特定高性能農業機械として政令で指定されているもの ④ 国の助成事業の対象となっているもの ⑤ 上記 1)~4)のもののほか、農業機械化行政上重要となっているもの 対象機種のうち、次のいずれかに該当するものは、対象としないものとする。 ① 性能が安定し、構造、操作、の難易からみて問題となる点が見当たらないもの ② 調査、研究が十分でなく、試験データ等から判断して、型式検査の主要な実施 方法及び基準の制定が困難であるもの ③ 生物系特定産業技術研究支援センターの研究開発において、性能等が十分に確 認された型式のみが製造、販売されているもの (4) 平成 17 年度(2005 年度)型式検査対象機種 ① 農用トラクター(乗用型) ② 田植機(乗用型) ③ 野菜移植機 ④ 動力噴霧機(走行式) ⑤ スピードスプレヤー ⑥ コンバイン(自脱型) ⑦ コンバイン(普通型) ⑧ ポテト・ハーベスター ⑨ ビート・ハーベスター ⑩ 農用トラクター(乗用型)用安全キャブ及び安全フレーム 2)安全鑑定 ① 生研センターの要領に基づき、通常生産品の型式ごとの安全性(一部の機種では 安全性に係る性能確認も含む)について、試験を実施する ② 農業機械安全鑑定推進委員会で、安全鑑定基準その他の実施に係る事柄について 定める ③ 対象はほとんどの農業機械(31 機種+その他) ④ 依頼によって生研センターが実施し、安全鑑定基準への適合・不適合を決定する とともに、適合機を公表する ⑤ 依頼者は、適合機に「安全鑑定証票」を貼付できる 生物系特定産業技術研究支援センター 安全鑑定 推進委員会 (審議) 安全鑑定対象機種の決定 農林水産省 生産局長 (協議) 安全装備確認項目及び 安全鑑定基準の作成 安全鑑定申込案内 の作成及び配布 (配布) 依頼者 受け付け (申込み) 鑑定の実施 安全鑑定審議委員会 基準適合・不適合の決定 適合機の発表 (通知) 3)総合鑑定 ① 生研センターの要領に基づき実施 ② 機械の総合的な性能試験と評価(型式検査に近い) ③ 生研センターが、対象機種と試験方法を定める ④ 依頼によって生研センターが実施する ⑤ 合格・不合格は決めず、原則として成績書を公表 ⑥ 平 17 の対象機種は、豆用脱粒機(連続排稈型)、大豆選別機、自脱コンバイン(種 子用)、温風暖房機、ハウス用少量散布機、プラウ(駆動ディスクハロー型)、農 用トレンチャ、堆肥散布機(自走式)、側条施肥機。 4)任意鑑定 ① 生研センターの要領に基づき実施 ② 対象機種は定めない(生研センターの設備、スタッフで対応可能なもの) ③ 依頼に応じ、依頼者と試験内容を協議して、希望する試験を実施 ④ 成績書は依頼者のみに交付(依頼者の希望があれば公表することも可能) 注)ディーゼルエンジンの排出ガス測定も任意鑑定として実施 5)OECDテスト ① OECDテストコードに基づく、トラクター又は安全キャブ・フレームのテスト ② 生研センターはOECDテストの指定実施機関(トラクターテストコードには約 30ヵ国が参加) ③ OECD調整センター(在フランス)の承認を得て、成績書(英文)を公表 6)農耕作業用自動車等の機能確認(機能確認) ① 道路運送車両法施行規則に基づく小型特殊自動車の型式認定 ② 農林水産省生産局長の依頼により実施する ③ 対象は、乗用型トラクター、田植機、スピードスプレヤー、コンバイン 7)その他(受験申込み、手数料等) ① 依頼者の制限はないが、一般に製造者、輸入販売業者 ② 手数料は実費支払い ③ 受験機は通常生産品。ただし、任意鑑定は制限が無く、開発途中の試作機、機械 を構成している一部の装置などでも受験可能