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スライド 1 - 日本水フォーラム

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スライド 1 - 日本水フォーラム
いのちを守る津波防災地域づくり
平成24年10月
国土交通省
水管理・国土保全局
海岸室
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
東北地方太平洋沖地震・津波の概要
○平成23年3月11日に三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、広い範囲で強い揺れを観測。
○最大すべり量は約30m、主な断層の長さは約450km、幅は約150km、破壊継続時間は約3分間。余震が多発。
○この地震により、北海道から関東の広域にわたり、巨大な津波が発生。
○今回の津波は貞観津波(869年)クラスかそれ以上で、発生頻度は500年から1000年に一度。
緯度方向に投影した津波高の分布
震源分布とそのマグニチュード
浸水高
遡上高
北海道
東北
約450km
関東
気象庁気象研究所資料※ を基に水管理・国土保全局作成
※「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の断層すべり分布の推定-近地強震波形を用いた解析-
http://www.mri-jma.go.jp/Dep/sv/2011tohokutaiheiyo/source-process2.pdf
40m
大船渡市
綾里湾
東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ資料※ を基に水管理・国土保全局作成
※東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ調査結果の詳細(http://www.coastal.jp/ttjt/)(2012年1月6日時点)
1
1
東北地方太平洋沖地震・津波の被災写真(海上保安庁提供)
2
東北地方太平洋沖地震・津波の被災写真(海上保安庁提供)
3
2
東北地方太平洋沖地震・津波による甚大な被害
【位置図】
○陸前高田市では約13k㎡が浸水。※1
市街地(2.9k㎡)の9割が浸水。※2
○3,159戸が全壊、死者1,691人、行方不明者41人。※3
岩
手
県
※1:国土地理院資料(10万分1浸水範囲概況図)を基に水管理・国土保全局作成
http://www.gsi.go.jp/kikaku/kikaku60003.html
※2:国土交通省都市局資料(東北地方太平洋沖地震による市街地の津波被災状況に
ついて)を基に水管理・国土保全局作成(確認中)
http://www.mlit.go.jp/common/000140283.pdf
※3:岩手県陸前高田市HPより水管理・国土保全局作成
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/
高田海岸
国道45号
高田海岸
L=1,856m
川原川
川原川
臨海部の市街地は
壊滅的な被害が発生
気仙川
気仙川
【被災前】
川原川水門
【被災後】
4
海岸堤防の被災状況と応急対策の実施状況
○岩手、宮城、福島三県の海岸線延長約1,700kmのうち、海岸堤防等がある海岸約300kmの約190kmが全半壊。
○このうち、背後に重要施設等がある区間約50kmについては、9月末までに応急対策を概ね完了。
○被災市町村策定の復興計画等と調整の上、順次本復旧に着手し、概ね5年での全区間完了を目指す。
※国施工区間(代行区間を含む)のうち、背後に重要施設がある区間においては、概ね平成24年度を目途に完了することを目標とする。
位置図
海岸堤防の被災状況
せんだいわんなんぶ
やまもと
仙台湾南部海岸(山元海岸)(宮城県山元町)
(被災後)
岩手県
金浜海岸
堤防の流失
宮城県
福島県
(応急対策状況)
仙台湾南部海岸
(仙台海岸・山元海岸)
大型土のうによる仮締切
永崎海岸
かねはま
金浜海岸(岩手県宮古市)
(応急対策状況)
盛土と捨石による仮締切
ながさき
せんだい
永崎海岸(福島県いわき市)
仙台海岸(宮城県仙台市)
(応急対策状況)
(本復旧状況)
盛土と捨石による仮締切
大型土のうによる仮締切
被覆ブロック施工状況
5
3
津波対策を構築するにあたって想定すべき津波レベルと対策の基本的考え方
東北地方太平洋沖地震・津波の特徴
・平成23年 3月11日に三陸沖を震源とするM9.0の巨大地震が発生し、広い範囲で強い揺れを観測。
・この地震により、北海道から関東の広域にわたり、巨大な津波が発生。(海岸堤防を越流)
・青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉の6県62市町村で561km2が津波により浸水※1。
・約129,316戸が全壊、死者約15,868人、行方不明者約2,848人※2。
・岩手、宮城、福島三県の海岸堤防・護岸延長約300kmのうち、約190kmが全半壊。
・広い範囲で地殻変動(電子基準点「牡鹿」が東南東方向へ約5.3m動き、約1.2m沈下)※3。
・地殻変動により、広い範囲で地盤沈下が発生。
※1:国土地理院資料(10万分1浸水範囲概況図)を基に水管理・国土保全局作成
http://www.gsi.go.jp/kikaku/kikaku60003.html
※2:警察庁資料(平成23年(2011)年東北地方太平洋沖地震の被害状況、平成24年8月8日時点)を基に水管理・国土保全局作成
http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/index.htm
※3:国土地理院資料(GPS連続観測から得られた電子基準点の地殻変動)を基に水管理・国土保全局作成
http://www.gsi.go.jp/chibankansi/chikakukansi40005.html
比較的頻度の高い津波
津波レベル : 発生頻度は高く、津波高は低いものの大き
な被害をもたらす津波
住民財産の保護、地域経済の安定化、効率的な生産拠点の確保
の観点から、海岸保全施設等を整備
海岸堤防による対応
・海岸堤防の高さの設定手法
・海岸堤防の粘り強い構造
・河川・海岸構造物の景観配慮
・復興の事業計画、工程表
最大クラスの津波
津波レベル : 発生頻度は極めて低いものの、発生すれば
甚大な被害をもたらす津波
住民等の生命を守ることを最優先とし、住民の避難を軸に、とりう
る手段を尽くした総合的な津波対策を確立
津波防災地域づくりに関する法律
・基礎調査、津波浸水想定
・推進計画
・津波防護施設
・津波災害警戒区域、津波災害特別警戒区域
6
中央防災会議 「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」 報告(平成23年9月28日) を基に水管理・国土保全局作成
設計津波の水位の設定方法について
設計津波の水位の設定方法について
海岸堤防の高さの基準となる設計津波の水位の設定
(すべての海岸で同じ考え方(設定基準)により、一定の安全水準を確保※)
地域海岸(一連の海岸線や湾)ごとに
・過去の津波の痕跡高さ等の記録を整理
(例:貞観地震、明治三陸地震、昭和三陸地震、
チリ地震、2011年東北地方太平洋沖地震 等)
・発生の可能性が高い地震等の津波シミュレーションに
より津波高さを想定(例:想定宮城県沖地震 等)
数十年~百数十年の頻度で発生してい
る津波(津波高さで評価)を対象に設計
津波の水位を設定。
※一連の沿岸で後背地の一定の安全を確保するために必要な高さとして、政府の中央防災会議で示された国の基本的考え方に基づき、農林水産省及
び国土交通省において設定方法を海岸管理部局に通知。(平成23年7月8日)
<最大クラスの津波>
・住民避難を柱とした総合的防災対策を構
築する上で設定する津波
(例)2011年 東北地方太平洋沖地震の津波高さ(T.P.)
<比較的頻度の高い津波>
・海岸堤防の建設を行う上で想定する津波
(例) 1896年 明治三陸地震の津波高さ(T.P.)
被災前の海岸堤防
1933年 昭和三陸地震の津波高さ(T.P.)
1960年 チリ地震の津波高さ(T.P.)
地盤沈下
被災した海岸堤防
7
4
設計津波の水位を用いた海岸堤防の高さの設定について
設計津波の水位を用いた海岸堤防の高さの設定について
○設計津波対象群を対象に、海岸堤防によるせり上がりを考慮して、設計津波の水位(H1)を算出
○設計高潮位に50年に1回程度発生が見込まれる波浪のうちあげ高を加えた水位(H2)を算出
○H1とH2のいずれか高い方を設計水位と設定
○この水位を前提に、海岸の利用や環境、景観、経済性、維持管理の容易性などを総合的に考慮
して堤防高さを設定(所管省庁間や隣接海岸間で整合性を確保)
せり上がり
堤防高さ
設計津波の
水位(H1)
津波
設計高潮位に波
浪のうちあげ高を
加えた水位(H2)
津波高さ
(T.P.(m))
波浪のうちあげ
高潮・波浪
基準面
8
地域海岸について
△市
△
△
地
域
海
岸
××
地
域
海
岸
○市
c海岸
b海岸
d海岸
e海岸
f海岸
g海岸
a海岸
○
○
地
域
海
岸
△
□
地
域
海
岸
□
□
地
域
海
岸
○
○
沿
岸
地域海岸とは「湾の形状や山付け等の
自然条件」、「文献や被災履歴等の過去
に発生した津波の実績津波高さ及びシ
ミュレーションの津波高さ」から同一の津
波外力を設定しうると判断される一連の
海岸線に分割したもの。
9
5
岩手県沿岸の海岸堤防高の設定(平成23年9月26日・10月20日公表)
岩手県沿岸の海岸堤防高の設定(9/26公表、10/20公表)
25
20
T.P.(m)
15
10
1)洋野~久慈北海岸
5
0
洋野~久慈北
久慈湾
久慈湾
2)久慈湾
久慈南海岸
久慈南
3)久慈南海岸
野田湾
4)野田湾
普代海岸
田野畑海岸
5)普代海岸
岩泉海岸
田老海岸
田老海岸
6)田野畑海岸
宮古湾
7)岩泉海岸
重茂海岸
重茂海岸
8)田老海岸
山田湾
9)宮古湾
船越湾
船越湾
大槌湾
10)重茂海岸
両石湾
両石湾
釜石湾
釜石湾
11)山田湾
唐丹湾
唐丹湾
12)船越湾
吉浜湾
吉浜湾
13)大槌湾
越喜来湾
14)両石湾
綾里湾
綾里湾
15)釜石湾
16)唐丹湾
大船渡湾外洋
大船渡湾外洋
大船渡湾
大船渡湾
17)吉浜湾
大野湾
大野湾
18)越喜来湾
19)綾里湾
20)大船渡湾外洋
21)大船渡湾
22)大野湾
23)広田湾外洋
24)広田湾
広田湾外洋
広田湾外洋
広田湾
被災前計画堤防高
新計画堤防高
今次津波痕跡高
(堤防付近で測定)
※被災前計画堤防高については、
地域海岸内で最も高い値とした。
※今回決定分(H23.10.20):朱書き(14海岸/24海岸)
※前回決定分(H23. 9.26):黒書き(10海岸/24海岸)
10
宮城県沿岸の海岸堤防高の設定(平成23年9月9日公表)
宮城県沿岸の海岸堤防高の設定(9/9公表)
唐桑半島西部②
唐桑半島東部
気仙沼湾奥部
本吉海岸
気仙沼湾
志津川湾
雄勝湾奥部
追波湾
唐桑半島西部①
万石浦
大島西部
雄勝湾
大島東部
女川湾
石巻海岸
松島湾
七ヶ浜海岸① 牡鹿半島西部
七ヶ浜海岸②
仙台湾南部海岸①
仙台湾南部海岸②
牡鹿半島東部
地域海岸の分割の考え方
1)湾毎の区分を基本とし、半島や離島の遮蔽効果
も考慮して区分
2)湾奥部における増幅等が顕著な場合は、外湾と
内湾を区分。
3)砂浜海岸は、大河川の土砂供給や沿岸漂砂の
特性により区分。
⇒宮城県沿岸を22の地域海岸に分割
11
6
宮城県沿岸の海岸堤防高の設定(平成23年9月9日公表)
宮城県沿岸の海岸堤防高の設定(9/9公表)
T.P.(m)
津波
(明治三陸)
津波(想定宮城県沖)
津波
(明治三陸)
津波(チリ地震)
高潮(明治三陸)
津波(チリ地震)
凡
例
被災前現況堤防高
津波
(明治三陸)
新計画堤防高
今次津波痕跡高
(堤防付近で測定)
高潮
(明治三陸)
12
福島県沿岸の海岸堤防高の設定(平成23年10月8日公表)
新地海岸・相馬海岸①
相馬海岸②
鹿島海岸
≪福島県における地域海岸の考え方≫
1)岩崖・岬、湾の形状、海岸線の向き等の自然条件から設定
2)東北地方太平洋沖地震津波の浸水範囲から、連続した浸水
範囲を同一の地域海岸として設定
原町海岸・小高海岸
浪江海岸・双葉海岸
大熊海岸
富岡海岸
福島県沿岸を14の地域海岸に分割
楢葉海岸
広野海岸
久之浜海岸
四倉海岸・平海岸①
平海岸②・磐城海岸①
磐城海岸②
勿来海岸
13
7
福島県沿岸の海岸堤防高の設定(平成23年10月8日公表)
25
20
15
10
5
T.P.(m)
0
高潮
(明治三陸タイプ地震)
高潮
(宮城沖の地震)
警戒区域※
高潮
(明治三陸タイプ地震)
津波
(明治三陸タイプ地震)
凡例
:被災前現況堤防高
:新計画堤防高
高潮
:今次津波痕跡高※
(海岸線付近の津波高)
(明治三陸タイプ地震)
:今次津波痕跡高※
※原町海岸から楢葉海岸については、警戒区域(東京電力福島第一原子力発電所半径20km圏内)のため、津波痕跡調査は実施されていない。
※海岸線付近の痕跡高が無い又は不足するため、遡上高(海岸から内陸へ津波がかけ上がった高さ)を記載。
14
海岸堤防等の粘り強い構造(1.裏法尻部の洗掘防止)
被災形態
津波が海岸堤防を越流した後、裏法尻部の地面等を洗掘。
これをきっかけに裏法被覆工等の損壊、流失等を引き起こす。
①
押し波の作用
来襲した津波の水流が海岸堤防を越流
②
裏法尻部の洗掘
裏法を流下し流速が速くなった状態で
裏法尻部の地面に衝突し、洗掘が発生
③
裏法尻部の洗掘をきっかけとする裏法被
覆工の損壊、流失等の発生
④
工法
裏法被覆工の流出
天端保護工の流出
裏法尻部への保護工の設置及び裏法の緩勾配化
緩勾配化
裏法尻の
被覆
さらに、天端保護工の流失や堤体土
の流失等が発生
• 裏法尻部に保護工を設置すること等により被覆し、洗掘を防止することが有効と考えられる。
• さらに、裏法尻部の被覆に加え、裏法を緩勾配化することにより、
水流を減勢させ、裏法尻部における衝撃を抑えることも洗掘防止効果を高めることが期待される。
15
8
海岸堤防等の粘り強い構造(2.天端保護工等の流出、堤体の吸出防止)
被災形態
津波の高速な水流による天端保護工、裏法被覆工の流失や
堤体土の吸出し。(引き波においても同様の形態が考えられる。)
①
②
③
裏法被覆工の流出
押し波の作用
来襲した津波の水流が海岸堤防を越流
水流が天端部で高速となることにより、
裏法被覆工等が流失
天端保護工の流出
さらに、天端保護工の流失や、被覆工
の隙間からの堤体土の吸い出し等が発
生
工法
部材厚の確保や部材間の連結による重量や強度の確保
天端保護工、
法面被覆工の
重量、強度の確保
• 天端保護工や裏法被覆工、表法被覆工を厚くする工法
部材間を連結し剥離しにくくする工法等を採用することにより
重量や強度を確保することが有効と考えられる。
16
海岸堤防等の粘り強い構造(3.波返工の倒壊防止)
被災形態
津波の波圧の作用による、波返工の倒壊等
①
②
押し波の作用
来襲した津波の水流が海岸堤防を越流
波返工の倒壊
津波の波圧が作用することにより、波返工の倒壊等が発生
なお、押し波による陸側への倒壊のみならず、引き波におい
ても同様に海側への倒壊等が想定される
工法
設計外力を津波とする海岸堤防等に
おける天端までの盛土、波返工を採用
する場合の配筋
天端まで
盛土
波返工への配筋
• 天端保護工や裏法被覆工、表法被覆工を厚くする工法
部材間を連結し剥離しにくくする工法等を採用すること
により重量や強度を確保することが有効と考えられる。
17
9
仙台湾南部海岸における復旧堤防の基本構造(粘り強い構造を具現化)
位置図
【海側】
【陸側】
③天端被覆工と笠コンの
一体化による補強
宮城県
4.0m
①裏法被覆工:不陸対策
(ブロック噛み合わせによる工夫)
コンクリート被覆 t=50cm
(開孔φ 100:砕石詰
め)
T.P.+7.2m
裏法被覆工
2t被覆ブロック
表法被覆工
2t被覆ブロック
盛土工
堤防基礎工(裏法尻)
H23・24年度 主な実施内容
■堤防工
約20km
■ヘッドランド工
2基
■復旧費用
約500億円
(H23年度 約274億円)
堤防基礎工(表法尻)
②洗掘対策の工夫(裏法尻部)
基礎(大型化)+基礎処理
H23・24年度 堤防復旧実施箇所
直轄区間(約13.9km)
代行区間(約17.8km)
深沼北工区
深沼南工区
閖上北釜工区
二ノ倉工区
蒲崎工区
笠野工区
中浜工区
南蒲生浄化センター
仙台市
H23・24 実施箇所
【H24年4月時点】
名取市
仙台空港
岩沼市
名亘浄化センター
亘理町
山元町
集落
海岸堤防における災害廃棄物の再生利用について
国土交通省
海岸堤防における災害廃棄物の再生利用について
18
資料2-○
仙台湾南部海岸の堤防復旧は、宮城県沿岸地域における、被災地復興の第一歩となる事業であり、各市
町の復興計画や、沿岸域で進められている災害廃棄物処理事業等と連携、調整を行いながら推進。
直轄で海岸堤防の復旧を担当している区間(仙台市、名取市、岩沼市、山元町の4市町の沿岸、約30k
m(宮城県からの代行区間を含む))について、平成27年度完成を目標に工事を推進。
平成24年7月より、仙台市内の2工区(深沼北・深沼南)において災害廃棄物を活用開始。さらに10月下
旬より、名取市内の閖上・北釜(ゆりあげ・きたがま)工区でも災害廃棄物の活用を開始。
【海岸堤防復旧工事に活用する
災害廃棄物:約47万t(約10万t増)】
・津波堆積物等
・コンクリートくず
深沼北工区
活用量:約26万t
活用量:約21万t
深沼南工区
閖上北釜工区
二の倉工区
災
害
復 笠野工区
旧
事
業
蒲崎工区
中浜工区
※ 上記数量は、仙台市(約37万t)、名取市(約10万t(うち、津波
堆積物等約4万t、コンクリートくず約6万t))の合計。
※ 今回活用する災害廃棄物については、環境省通知に基づき安
全性が確認されたものを活用。
コンクリートくず
←海側
陸側→
位置図
【堤防基本構造】
4.0m
T.P.+7.2m
海岸堤防の盛土材
として活用
被覆ブロック
陸側
海側
3~4m
程度
津波堆積物等
災害廃棄物改良(混合)状況
(仙台市深沼南工区)
災害廃棄物を用いた盛土状況
(仙台市深沼南工区)
19
10
環境配慮等の取り組み(全体的な枠組み)
災害復旧に際し、環境、景観、利用に配慮すべき事項について
学識者・専門家の助言を得ながら、
・基本的な考え方をとりまとめ 【宮城県沿岸域河口部・海岸施設復旧における環境等検討委員会】
・各復旧地区の具体的な対応を検討 【三陸南沿岸・石巻海岸・仙台湾南部海岸地区の懇談会等】
●枠組み
●進め方(案)
河川海岸構造物の復旧における景観検討会
年度
災害復旧工事
検討委員会
「河川・海岸構造物の復旧における景観配慮の手引き」
地区懇談会
等
H23
海岸
景観への配慮事項
概ね2年
宮城県沿岸域河口部・海岸施設復旧における
環境等検討委員会 H23.11.25~
景観・環境・利用
の配慮すべき事項
H24
報告・助言
地区懇談会等
環境等への配
慮すべき事項
の検討
の重
堤要
防保
復全
旧対
象
地
区
各地区の具体
的な復旧方針
H25
仙台湾南部海岸
各現場の具体的
な対応方針
H26
H27
のそ
堤の
防他
復の
旧地
区
相談・アドバイス 現場での適用イメージ
各現場の復旧(計画・施工・管理)
・
・
・
・
[検討内容]
施
設
管
理
・モ
ニ
タ
リ
ン
グ
施
工
に
関
す
る
フ
ォ
ロ
ー
ア
ッ
プ
モ
ニ
タ
リ
ン
グ
結
果
の
評
価
・改
善
案
の
検
討
施工(管理)上
の課題解決
3地区で設置
・三陸南沿岸
・石巻海岸
・仙台湾南部
20
自然環境(仙台湾南部海岸の例)①【環境調査による動植物の回復傾向・環境モニタリング】
●巨大津波により海浜が攪乱されたことにより、震災直後は、震災前にあった動植物の生息・生育環境の
多くが失われたものと推定
●時間の経過とともに回復傾向が見られる動植物も確認され始めている
●仙台湾南部海岸ではH27年度まで継続的な環境調査を実施
●H24年度から概ね4ヶ年間モニタリングを実施
(各年度の調査結果に対して評価を加え、次年度以降の調査項目及びモニタリング計画の修正・更新)
●重要種等の生息状況に配慮した復旧事業の実施
(工事の影響についてもモニタリングを実施)
【H14 秋~冬季調査】
●植物重要種 4科4種確認
※ライン調査 2測線のみ
●鳥類重要種 4科 4種確認
●昆虫等重要種13科22種確認
【H23秋季調査】
●植物重要種 4科4種確認
●鳥類重要種 2科3種確認
【H23冬季調査】
●鳥類重要種 5科10種確認
【H24夏季調査】
●植物重要種
8科13種確認
●鳥類重要種
2科 3種確認
●昆虫等重要種 2科 2種確認
※鳥類については春季調査含む
●仙台湾南部海岸における調査項目(案)
調査項目
仙台湾南部海岸
・深沼地区
・閖上・北釜地区
・山元地区
◎植物調査
◎鳥類調査
◎陸上昆虫類調査(重要種)
◎微地形調査・定点写真観察(深沼地区)
●仙台湾南部海岸における調査対象範囲
調査区間
直轄施行区間 約30km
仙台海岸深沼地区
[権限代行区間]
深沼漁港海岸荒浜地区
貞山運河
井土浦
井土浦
赤井江
※宮城県実施
◎水質調査、底質調査
◎魚類調査、底生動物調査
◎植物(植物相)調査
◎鳥類調査
◎両生類、爬虫類、哺乳類調査
◎陸上昆虫類調査
◎水質調査、底質調査
◎魚類調査、底生動物調査
◎植物(植物相)調査
◎鳥類調査
◎両生類、爬虫類、哺乳類調査
◎陸上昆虫類調査
閖上漁港海岸 閖上地区
名取海岸閖上・北釜地区
[権限代行区間]
岩沼海岸相の釜地区
赤井江
[権限代行区間]
岩沼海岸納屋地区
[既直轄区間]
(蒲崎工区)
荒浜漁港海岸
鳥の海地区海岸
吉田浜地区海岸
須賀地区海岸
山元海岸山元地区
[既直轄区間]
(笠野工区・中浜工区)
磯浜漁港海岸
磯浜地区
21
11
自然環境(仙台湾南部海岸の例)②【植生の回復状況】
(H23.11.8 撮影)
(H24.8.6 撮影)
植生の広がりが確認できる
(H23.11.8 撮影)
(H24.8.6 撮影)
ハマナスが群落化してきている
ハマナス種 (周囲は枯木等)
(H23.10.19 撮影)
(H24.8.6 撮影)
堤防際の植生は粗い
堤防際に植物の芽吹きが確認されてきている
植生の広がりが確認できる
22
自然環境(仙台湾南部海岸の例)③【環境配慮の取組】
● 自然環境(動植物)の回復を可能な限り妨げないよう海岸堤防復旧を進めるため、
学識経験者や専門家の助言を得ながら、
「環境保全対策エリア」と「対象個体」を設定し、環境影響の回避又は低減等の措置を検討・実施
具体的な回避又は低減等の措置(案)
【平成23年度末 工事着手前】
●重要種等の生息・生育域の回避
・立ち入り禁止区域を設定
「施工方法の調整」イメージ図
●施工時期の調整
・当面、モニタリングを継続(井土浦)
当初施工計画
堤防復旧
両側施工
(海・陸)
「環境保全対策エリア」
海側
【平成24年8月 工事着手後】 ※工事着手前
陸側
の措置に加え
●復旧堤防等の調整
・堤防や工事用道路のルート変更
●施工時期の調整
変更
変更施工計画
・配慮すべき種のライフサイクル
などを踏まえた施工時期の調整
陸側
堤防復旧
陸側施工
海側
●施工方法の調整
・資材置き場や施工の陸側への変更
海側工事用道路
(一部撤去)
工事用道路
陸側通行
クレーン吊り荷能力 アップ
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景観(仙台湾南部海岸の例)①【景観配慮の方針】
●海岸堤防の復旧における堤防法線設定及び景観配慮の方針について
国交省水管理・国土保全局H23.11策定の手引きに照らし、景観配慮事項として、下記6項目を検討。
①海岸堤防の復旧法線の設定
・被災前の浜幅を確保し、海浜植物(ハマボウフウなど)の自生環境に配慮した法線
・被災で海岸線が後退した箇所や従前から浜幅がほとんど無い区間について、約30m以上浜幅を確保する法線
②堤防の法面処理
・縦リブ模様を強調した安定感 → 隔壁工を約60m間隔、調整コンクリートは約20m間隔で設置
・一連区間の法面処理を統一 → 全工区で一連区間(200~300m程度)は同型のブロックを配置
③堤防の天端処理
・天端と法面コンクリートの極端な色の変化の緩和 → 法肩部について洗い出し処理を行う
④裏法尻等の覆土
・堤防背後は保安林として復旧する事から、保安林と海岸堤防が連続した地形となるよう覆土を実施
⑤海岸林、樹木の活用
・背後地への海岸林の設置、植樹 → 海岸林と海岸堤防が連続する覆土区間は、地域と連携した植樹を検討
・ハマボウフウについては、地域と連携しながら植生の復元(移植など)も検討
⑥階段等の附帯設備
・約200mに1箇所配置(管理用階段幅2m)
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景観(仙台湾南部海岸の例)②【景観配慮イメージ】
【海岸林、樹木の活用】
・地域と連携し背後地への海岸林
の設置植樹を検討
・ハマボウフウについて、地域と
連携した復元(移植)を検討
【階段等の附帯設備】
・約200mに1箇所配置
(階段幅2m)
【堤防の天端処理】
・法肩部について洗い出し
処理を行う
【裏法尻等の覆土】
・堤防背後と海岸堤防が連続
した地形となるよう覆土を実施
【海岸堤防の復旧法線の設定】
・被災前の浜幅を確保し、海浜植物、
昆虫等の自生環境に配慮した法線
(浜幅100~150m)
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景観(仙台湾南部海岸の例)③【景観配慮イメージ】
【堤防の法面処理②】
・一連区間の法面処理を統一
(一連区間(200~300m)
は同型のブロックを配置)
【堤防の法面処理①】
・縦リブ模様を施し安定感を図る
(隔壁工を60m間隔、調整コン
クリートは20m間隔で設置)
【海岸堤防の復旧法線の設定】
・被災で海岸線が後退した箇所や、
従前から前浜がほとんど無い区間
について、30m以上浜幅を確保する
法線
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最大クラスの津波に対するソフト・ハードの組み合わせによる対応
最大クラスの津波
津波レベル : 発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす津波
住民等の生命を守ることを最優先とし、住民の避難を軸に、とりうる手段を尽くした総合的な津波対策を確立
基本的考え方 : 被害の最小化を主眼とする「減災」の考え方に基づき、対策を講ずることが重要で
ある。そのため、海岸保全施設等のハード対策によって津波による被害をできるだけ
軽減するとともに、それを超える津波に対しては、ハザードマップの整備など、避難す
ることを中心とするソフト対策を重視しなければならない。
避難路
津波避難ビル
津波ハザードマップ
避難訓練
津波災害に対しては、今回の様な大規模な津波災害が発生した場合でも、なんとしても人命を守るという考え方に基づき、
ハード・ソフト施策の適切な組み合わせにより、減災のための施策を実施。
• 平成23年 6月26日 「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 中間とりまとめ」
• 平成23年 7月 6日 「津波防災まちづくりの考え方」(社会資本整備審議会計画部会 緊急提言)
• 平成23年 7月29日 「東日本大震災からの復興の基本方針」(東日本大震災復興対策本部)
• 平成23年 9月28日 「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 報告」
• 平成23年12月 7日 「津波防災地域づくりに関する法律」成立
• 平成23年12月27日 「津波防災地域づくりに関する法律」一部施行・基本指針の決定
• 平成24年 6月13日 「津波防災地域づくりに関する法律」全面施行
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津波防災地域づくりに関する法律の概要
将来起こりうる津波災害の防止・軽減のため、全国で活用可能な一般的な制度を創設し、ハード・ソフトの施策を
組み合わせた「多重防御」による「津波防災地域づくり」を推進。
概要
基 本 指 針 (国土交通大臣)
津波浸水想定の設定
都道府県知事は、基本指針に基づき、津波浸水想定(津波により浸水するおそれがある土地の区域及び浸水した場合に想定される水
深)を設定し、公表する。
推進計画の作成
市町村は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波防災地域づくりを総合的に推進するための計画(推進計画)を作成す
ることができる。
特例措置
(推進計画区域内における特例)
津波避難建築物の
容積率規制の緩和
津波防災住宅等建設区の創設
都道府県による
集団移転促進事業計画の作成
一団地の津波防災
拠点市街地形成施設に関する
都市計画
津波防護施設の管理等
都道府県知事又は市町村長は、盛土構造物、閘門等の津波防護施設の新設、改良その他の管理を行う。
津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域の指定
・都道府県知事は、警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、津波災害警戒区域として指定することができる。
・都道府県知事は、警戒区域のうち、津波災害から住民の生命及び身体を保護するために一定の開発行為及び建築を制限すべき土地
の区域を、津波災害特別警戒区域として指定することができる。
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いのちを守る津波防災地域づくりのイメージ
浸水が防止される区域
津波防護施設
(閘門)
指定津波防護施設
(既存道路)
浸水が防止される区域
避難路
避難場所(高台)
津波避難ビル
津波避難
津波避難ビル タワー
津波防護施設
(兼用工作物)
宅地の嵩上げ
津波避難
タワー
地域の選択により、都道府県知事が「津波災害特別警
戒区域」を指定できる。
浸水想定区域
津波災害特別警戒区域
津波災害警戒区域
①市町村地域防災計画への津波警戒避難体制
(避難施設・避難経路、津波避難訓練、情報伝
達等)に関する事項の記載
②市町村による津波ハザードマップの作成
③市町村による避難施設の指定・管理協定(承継
効有り)の締結
④地下施設、避難困難者利用施設における避難
確保計画の作成、津波避難訓練の 実施
【オレンジゾーン】
①病室等の居室の床面の高さが津波の水
深以上
【イエローゾーン】
津波
②病院等の建築を予定した盛土等の開発行
為の規制
海岸堤防
津波災害特別警戒区域のうち
市町村長が条例で定めた区域
住宅等の居室等
の全部が津波の
水深以下
【レッドゾーン】
住宅等の居室等の
一部が津波の
水深以上
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茨城県津波浸水想定の設定(平成24年8月28日・全国初)
津波浸水想定:昨年12月に成立した津波防災地域づくり法に基づき、都道府県知事が設定する、
最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合に想定される浸水の区域及び水深のこと
○過去に発生した津波・発生が想定される津波の整理
茨城沿岸津波対策検討委員会
○委員会は全4回開催(H23年12月、H24年2月、3月、8月)
○最大クラスの津波を引き起こす断層モデルの設定
対象津波
規 模
使用モデル
説
明
概
要
東北地方太平洋沖地震津波
Mw = 9.0
Mt = 9.1~9.4
H23想定津波
Mw = 8.4
Mt = 8.6~9.0
内閣府モデル
茨城県モデル
平成23年3月11日、三陸沖を
震源とした地震により発生し
た津波再来を想定。
三陸沖から房総沖にかけて
の地震活動の長期評価を基
に規模・震源域を設定。
役職
氏名
委員長
三村 信男
茨城大学 教授
所属
委員
宇多 高明
日本大学 客員教授
委員
佐竹 健治
東京大学地震研究所火山情報センター長
委員
諏訪 義雄
国土交通省 国土技術政策研究所 海岸研究室長
委員
武若 聡
委員
藤間 功司
筑波大学 教授
防衛大学校 教授
津波浸水想定の例
(その他代表地点における参考事項)
○津波の水位
海岸線から沖合約30m地点における、
最も高い津波の高さを標高で表示
震
源
域
○最大遡上高
津波が遡上する最大の高さを標高
で表示
※2つの津波のシミュレーション結果を重ね合わせ、最大となる浸水域、浸水
深を抽出して浸水想定を設定。
津波浸水想定面積
○各種施設の条件設定
約63km2(県内合計)
○影響開始時間
津波が沿岸に到達し、初期水位から
±20cm(海辺にいる人々の人命に影
響が出る恐れのある水位変化)の変
化が生じるまでの時間
○今後は、警戒避難体制の整備を行う津波災害警戒区域の県による指定や、ハード・ソフト施策を組み合わせ
た市町村による推進計画の作成等について国として支援を行う
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津波防災地域づくりに係る現在の取組み(水管理・国土保全局関連)
【津波防災地域づくり法のポイント】
○
第一ブロック
第二ブロック
津波浸水想定の設定(都道府県知事)
○ 警戒避難体制の整備等(避難施設・避難路、
避難訓練、情報伝達、ハザードマップ等)
○ 特定の建築物(病院、社会福祉施設等)の建
築及び開発行為の制限
など
第四ブロック
【水管理・国土保全局における主な取り組み】
第七ブロック
○ 津波浸水想定の設定の手引き(H24.2)
・
都道府県知事が津波浸水想定を設定するための参考
資料として、水国土局・国総研において作成
第三ブロック
○ 津波浸水想定に係る相談窓口
・
水国土局海岸室・国総研海岸研究室に開設
第五ブロック
○ 津波浸水想定に係る地方ブロック別意見交換会
・
第六ブロック
全国の沿岸を10のブロックに区分(右図)
・
各ブロック毎に担当地整等が中心となり、都道府県
と国(水国土局・国総研)との意見交換を実施
・
隣接する都道府県間で浸水域等に齟齬が生じないよ
う、広域的な観点から技術的な課題等を検討 等
第八ブロック
第九ブロック
第十ブロック
○ 「水防企画室」の設置
・
警戒避難体制の整備等に関し、技術的側面から地方
公共団体を支援
※本年夏以降、津波浸水想定が順次設定される見込み(茨城県の茨城沿岸が全国初(8/28))
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