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PROGRAM - ジャパン・アーツ
PROGRAM ザ・シベリウス・プログラム 交響詩「フィンランディア」Op.26 Finlandia, Op. 26 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47 Violin Concerto in D Minor, Op. 47 第1楽章:アレグロ・モデラート Ⅰ. Allegro moderato 第2楽章:アダージョ・ディ・モルト Ⅱ. Adagio di molto 第3楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ Ⅲ . Allegro, ma non troppo © Finnish Radio Symphony Orchestra * * * * * 交響曲 第2番 ニ長調 Op.43 Symphony No. 2 in D Major, Op. 43 第1楽章:アレグレット Ⅰ. Allegretto 第2楽章:テンポ・アンダンテ、マ・ルバート Ⅱ. Tempo andante, ma rubato 第3楽章 :ヴィヴァチッシモ – レント・エ・スアーヴェ Ⅲ . Vivacissimo - Lento e suave 第4楽章:フィナーレ:アレグロ・モデラート Ⅳ. Finale: Allegro moderato 2015年 日本公演スケジュール 11/2 (月) 19:00 東京 すみだトリフォニーホール 主催:すみだトリフォニーホール (公財)静岡県文化財団、静岡県 11/3(火・祝) 14:00 静岡 グランシップ 主催: 11/4 (水) 19:00 東京 サントリーホール 主催:ジャパン・アーツ 11/6 (金) 19:00 山口 周南市文化会館 主催: (公財)周南市文化振興財団 11/8 (日) 14:00 大阪 ザ・シンフォニーホール 主催:朝日放送 後援 : フィンランド大使館 協力: ユニバーサル ミュージック PROFILE © Kaapo Kamu hr ハンヌ・リントゥ(首席指揮者) フィンランド放送交響楽団 Finnish Radio Symphony Orchestra Hannu Lintu, Chief Conductor フィンランドのトゥルク生まれ。シベリウス音 楽院でチェロとピアノを学び、後に同音楽院で ヨルマ・パヌラに師事。シエナのキジアーナ・ア カデミーでチョン・ミョンフンのマスタークラス に参加し、1994年にベルゲンで行われたノル ディック指揮者コンクールで1位を獲得。 タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団の芸術 1927年に創立。これまでの首席指揮者に シリーズの第1回で共演する。 監督及び首席指揮者、ダブリンRTE国立交響 は、ドイヴォ・ハーパネン、ニルス=エリク・フォ FRSOは定期的にツアーを行い、世界のほぼ 楽団の首席客員指揮者、ヘルシングボリ交響 グシュテット、パーヴォ・ベルグルント、オッコ・カ すべての地域で演奏している。2013/14シーズ 楽団とトゥルク・フィルハーモニー管弦楽団の ム、レイフ・セーゲルスタム、ユッカ=ペッカ・サ ンのハイライトは、首席指揮者ハンヌ・リントゥ 及びロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー ラステ、サカリ・オラモがいる。ユッカ=ペッカ・ と2014年1月に行った中欧ツアーでのウィーン ド放送交響楽団の首席指揮者に就任。 管弦楽団共演によるシベリウスとトーマス・ア サラステとサカリ・オラモは現在FRSOの名誉指 の楽友協会公演の成功である。2014/15シー 世界中の著名なオーケストラとの共演は枚 デスのヴァイオリン協奏曲集ではグラモフォン 揮者である。 ズンにはフィンランド西部のほかストックホル 挙に暇が無く、近年目覚しい活動を行ってい 賞にノミネートされた。 2014/15シーズンにはR.シュトラウスの色彩 ム、モスクワ、ブカレストを回る予定である。 る。日本では2015年1月の東京都交響楽団と 2014/15シーズンのリントゥの主な公演に 豊かな交響詩、ショスタコーヴィチの交響曲、 CD録音も多く、BBCミュージック・マガジン の定期演奏会での演奏が記憶に新しい。 は、BBSスコティッシュ交響楽団、ワルシャワ・ ハイドンの壮大な「天地創造」などが呼び物と 賞、アカデミー・シャルル・クロ賞などの主要な オペラプロジェクトでは、2014年のサヴォン フィルハーモニー管弦楽団、ラーティ交響楽 なっている。指揮者にはレナード・スラットキ 賞を獲得している。リサ・バティアシュヴィリを リンナ・オペラ・フェスティバルでのアウリス・ 団、ケルンWDR交響楽団、バルセロナ交響楽 ン、ヘルベルト・ブロムシュテット、ケント・ナガ ソリストに迎えたシベリウスとリンドベリのヴァ サッリネンの《 クレルヴォ》と2012年 のタン 団との共演が含まれる。米国ではボルチモア ノ等、世界の名高いマエストロが招待されて イオリン協奏曲のCD(ソニー BMG)は2008年 ペレ・オペラ共同制作の《タンホイザー》があ 交響楽団並びにセントルイス交響楽団と再共 いる。名誉指揮者のユッカ=ペッカ・サラステと のMIDEMクラシック賞を受賞し、同年、もう る。フィンランド国立歌劇場に定期的に出演 演し、デトロイト交響楽団、ミネソタ管弦楽団 サカリ・オラモとの協力関係は継続し、エサ= 一方のリンドベリのCDがニューヨーク・タイム しているリントゥは、ハリー・クプファー演出 と初めて共演する。昨シーズン、急な招聘を受 ペッカ・サロネンがストラヴィンスキーの「火の ズ紙でレコード・オブ・ジ・イヤーに選ばれた。 の《パルジファル》のほか、 《カルメン》、アウリ けてフィルハーモニア管弦楽団を指揮した。そ 鳥」を指揮する。また、ソリストには輝かしい また、リゲティのヴァイオリン協奏曲の録音は ス・サッリネンの《リア王》を指揮している。エ の他、最近指揮したオーケストラは、ロイヤル・ スター歌手のカリタ・マッティラ、ニーナ・ステ 2014年2月にグラモフォンのエディターズ・チョ ストニア国立歌劇場とはタウノ・ピルッカネンの スコティッシュ国立管弦楽団、ベルリン・ドイツ メ、サンドリーヌ・ピオ、クリスティアン・ゲルハー イスに選ばれている。 《マレと息子》 のレコーディングで共演している。 交響楽団、ライプツィヒMDR交響楽団、リヨ ヘル、ミハイル・ペトレンコ、ソイレ・イソコスキ フィンランド国内と国外のすべてのFRSOの 録音も多く、2011年のグラミー賞のベスト・ ン国立管弦楽団、ロイヤル・ストックホルム・ も登場。ヴァイオリンのパトリシア・コパチンス 公演は、通常Yleラジオ1で生放送される。ま オペラCDにノミネートされたほか、タンペレ・ フィルハーモニー管弦楽団、エーテボリ交響楽 カヤとヴィオラのタベア・ツィンマーマンが共に たFRSOのホームページ(yle.fi/so)では、すば フィルハーモニー管弦楽団共演のエネスクの 団、シンシナティ交響楽団、ヒューストン交響 バルトーク作品を演奏し、ピアノのオッリ・ムス らしいライブ・ストリーム・クオリティで演奏を聴 楽団などがある。 トネンがFRSOのプロコフィエフのピアノ協奏曲 き、見ることができる。 芸術監督を歴任し、2013年8月よりフィンラン 交響曲第2番と、アウグスティン・ハーデリッヒ PROFILE MEMBER LIST © Kiyotaka Saito 諏訪内 晶子(ヴァイオリン) Akiko Suwanai, violin Finnish Radio Symphony Orchestra on Japan Tour 2015 Conductor Hannu Lintu, Chief Conductor 1990年、史上最年少でチャイコフスキー国 Leaders Petri Aarnio, 1. Jari Valo, 1. Taija Anger vo, 2. Emma Vähälä, 2. 際コンクール・ヴァイオリン部門優勝。 これまでに、ブーレーズ、デュトワ、イヴァン・ フィッシャー、マゼール、ノリントン、小澤征 爾、サロネン、ネゼ=セガンらの指揮のもと、ボ ストン響、ニューヨーク・フィル、ロサンジェル ス・フィル、ベルリン・フィル、ゲヴァントハウス 管、バーミンガム市響、ブダペスト祝祭管、チェ コ・フィルなどと共演。BBCプロムス、ルツェルン など国際的な音楽祭にも数多く出演。 近年では、ゲルギエフ指揮/ロンドン響、 「In a Dream」 (2013/世界・フランス) 、ベッファ パーヴォ・.ヤルヴィ指揮/パリ管、ペトレンコ指 作曲ヴァイオリン協奏曲(2014/世界)などの初 揮/オスロ・フィル、パッパーノ指揮/ローマ・ 演に取り組んでいる。 サンタ・チェチーリア国立管などと共演。 レコーディングは、デッカ・ミュージックグ 今後はタン・ドゥン指揮/ NHK交響楽団(北 ループとインターナショナルアーティスト専属 京公演)、ソヒエフ指揮/フィルハーモニア管、 契約を結んでおり、13枚のCDをリリース。 ヘラス=カサド指揮/フィラデルフィア管、テ 2012年より「国際音楽祭NIPPON」を企画制 ミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルク・フィ 作し、同音楽祭の芸術監督を務めている。エ ル、ブロムシュテット指揮/バンベルグ響など リザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部 と共演予定。 門審査員。 現代作曲家作品の紹介を積極的に行い、三 東京都出身。江藤俊哉氏に師事し、桐朋女 善晃作曲「弦の星たち」 (1991年世界初演・北 子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学ソリ 米初演)、ペンデレツキ作曲ヴァイオリン協奏 スト・ディプロマコース修了。文化庁芸術家在 曲第2番(1999/日本) (2004/南米)、アウエル 外派遣研修生としてジュリアード音楽院本科及 バッハ作曲ヴァイオリン協奏曲第2番(2004/ びコロンビア大学でドロシー・ディレイ、チョー 世界) 、エトヴェシュ作曲ヴァイオリン協奏曲 リャン・リンの両氏に学び、同音楽院修士課程 「セブン」 (2007/世界・ヨーロッパ)(2008/日本) 修了。国立ベルリン芸術大学で、ウーヴェ=マ (2011/北米) 、マクミラン作曲ヴァイオリン協 ルティン・ハイベルグ氏に師事した。 奏曲(2012/日本) (2013/北欧)、サロネン作曲 使用楽器は、日本音楽財団より貸与された ヴァイオリン協奏曲(2013/日本)、タンギ作曲 1714年製作のストラディヴァリウス 「ドルフィン」 。 1. violin Taru Loppela, I Zoltán Takács, I Siljamari Heikinheimo Tarja-Leena Kircher Jenni Kivistö Tuomas Pulakka Erja Unkari Mikaela Palmu Pia Sundroos Teemu Tuovinen Sofia Greus Kati Kuusava 2. violin Hannu Vasara, I Anna-Leena Haikola, I Kaisa Kallinen, II Annika Palas-Peltokallio, II Camilla Carlsson Helmi Horttana Ville Koponen Mirka Malmi Anne Paavilainen Jukka Pohjola Maria Puusaari Salla Savolainen Tuija Vikman Elisa Rusi-Matero Viola Ilari Anger vo, I Riitta-Liisa Ristiluoma, I Camilla Vilkman, I Atso Lehto Ritva Kaukola Olli Kilpiö Lauri Laasonen Pekka Pulakka Jussi Tuhkanen Hanna Hohti Olga Reskalenko Lotta Poijär vi Cello Tuomas Lehto, 1.* Risto Poutanen, 1.* Eeva Rysä, 2.* Jukka Rautasalo, 3.* Timo Alanen Mikko Ivars Anton Kukkonen Miika Uuksulainen Lassi Viljanen Larimatti Punelpuro (*solo cello) Double Bass Aapo Juutilainen, I Veit-Peter Schüssler, I Jukka Nuuttila, II Teemu Kauppinen Pekka Laurila Jukka Räikkönen Pekka Saarinen Erkki Tuura Satu Huuskonen, II Péter Jánosi Esa Tukia (*solo French horn) Trumpet Jouko Harjanne, 1.* Tomas Gricius, 2.* Miikka Saarinen, II Atsuko Sakuragi (*solo trumpet) Trombone Darren Acosta, 1.* Alan Vavti, 2.* Oliver Barrett (*solo trombone) Bass trombone Matthew Winter Tuba Anders Hauge Eikefjord Flute Yuki Koyama, 1.* Emmi Tikkala (also piccolo) (*solo flute) Timpani Lassi Erkkilä, I Kazutaka Morita, II Piccolo Hanna-Kaarina Heikinheimo** (also flute) Percussion Naoki Yasuda, II (only in Osaka) Oboe Jorma Valjakka, 1.* Päivi Kärkäs, 2.* (also English horn) Francisco Almazán (*solo oboe) I = principal II = co-principal ** = special wind instrument soloist STAFF ON THE TOUR Clarinet Christoffer Sundqvist, 1.* Reijo Koskinen, 2.* Giuseppe Gentile ** (also Bass clarinet) (*solo clarinet) Tuula Sarotie, General Manager Juha Ahonen, Orchestra Manager Päivi Juvonen, Production Coordinator Heikki Tikka, Road and Stage Mikael Tiittanen, Road and Stage Bassoon Jaakko Luoma, 1.* Jussi Särkkä, 2.* Tuukka Vihtkari (*solo bassoon) French horn Jukka Harju, * József Hárs, * Jari Rantakaulio, Sound Technician Lotta Emanuelsson, Journalist International Tour Management by HarrisonParrott PROGRAM NOTES 柿沼 唯(作曲家) J.シベリウス(1865-1957) 交響詩「フィンランディア」 「マーラー以降の最も偉大なシンフォニスト」と称され、交響曲や交響詩の分野に祖国 第1楽章 アレグロ・モデラート フィンランドの民族的語法に根ざした個性的スタイルを確立したシベリウス。その代表作と 第2楽章 アダージョ・ディ・モルト して名高い「フィンランディア」は、ロシア皇帝ニコライ2世の属領化策によりフィンランドが 第3楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ 「白熊のポロネーズ」と呼ばれることもある 独立の危機に立たされ、愛国独立運動が激しく高まった時代に、生まれるべくして生まれた この楽章には、独奏者のヴィルトゥオーゾ性のあらゆる展開が要求される。 典型的な音楽の一つだった。シベリウスは1899年に、独立運動の文化的行事としてヘル シンキで行われた民族的歴史劇「いにしえからの情景」のために付随音楽を作曲したが、 交響曲 第2番 ニ長調 Op.43 その一部を翌年交響詩としてまとめたものが、この作品である。シベリウスによる祖国へ シベリウスの7曲の交響曲は、フィンランドの民族的語法を生かしたその標題音楽とは別 の賛歌といえるこの作品は、その激しい曲想にこめられた民族の叫びが国民の愛国心に訴 の意味で独特の内容を持つ純粋器楽曲として、シベリウスの思索、創造性、形式の追求が えるものとして歓迎される一方、政治的な理由から演奏を禁止されることにもなったのだっ もたらした成果であり、彼が音楽史上の孤高の作曲家といわれるのと同じように、一作一 た。 作がきわめてユニークな存在価値をもつ作品群である。 曲は、重苦しい導入部に始まり、苦難に立ち向かうかのような力強い楽想や民族の歌を そんな7曲の中にあって、この<第2番>はもっとも親しみやすくポピュラーな人気を誇る 奏でるコラールを展開させながら、生き生きと熱を帯びたクライマックスを築いてゆく。 一曲。<第1番>の成功後、交響曲作家として国際的にも名声を得た30代半ばのシベリウ スが、北欧の作曲家としての自負をスケールの大きな音楽に乗せて、のびのびと筆を振るっ ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47 た会心作である。ここに聴かれる楽想の多くは、1901年のイタリア滞在中に想を得たもの シベリウスにとって最も身近な楽器はヴァイオリンだった。若い頃はヴァイオリニストを志 と伝えられ、特に緩徐楽章の範疇を大きく踏み越える重厚かつドラマティックな第2楽章 し、相当の腕前だったシベリウスにとって、この楽器は自らの音楽を奏でる最良の楽器であ は、ドン・ジョヴァンニ伝説やフィレンツェで触れたキリストのイメージに霊感を得て書かれ り、シベリウス独特の北方のきびしい自然を想わせるようなメロディのほとんどは、そのヴァ たものという。スケルツォ楽章の第3楽章では、荒々しく目まぐるしい主部とオーボエののど イオリンから生み出されたといっても過言ではない。そんなシベリウス唯一のヴァイオリン かな旋律で始まる中間部が交代するが、やがて長いクレッシェンドによって壮麗な終楽章へ 協奏曲は1903年、シベリウス38歳の時に作曲された。交響曲における独自のスタイルの追 と切れ目なく導かれる。終楽章の壮大なスケール感、達成感はまさにシベリウス交響曲の 求と同じように、このヴァイオリン協奏曲にもシベリウスならではのスタイルが盛り込まれて 醍醐味といえよう。 いる。それは、ヴァイオリンをオーケストラの響きの中で生かすという書法で、特に第1楽章 第1楽章 アレグレット に典型的に示されている。この楽章では、通常ならば楽章の末尾に置かれるカデンツァが 第2楽章 テンポ・アンダンテ・マ・ルバート 曲のほぼ真ん中に置かれ、それを取り巻くようにして重厚なオーケストラの響きが音楽を 第3楽章 ヴィヴァチッシモ − レント・エ・スアーヴェ 進めてゆくのである。ちなみにこの作品には現行版の他に、より長大で難技巧を要する初 第4楽章 フィナーレ:アレグロ・モデラート 稿版が存在するが、その初稿版では第1楽章に2つのカデンツァが置かれていた。