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3.地方政治
3.地方政治 (1)地方自治制度は3段構成をとっており、県(województwo ボイェヴツトフォ 16)、郡(powiat ポ ヴィャト 314)、市町村(gmina グミナ 2,479)が自治体(地方公共団体)である。それぞれの自治 体は直接選挙で選ばれる地方議会を持つ。行政の最小単位である2,479市町村とは別に、首都 ワルシャワ市など65市は郡と同格に扱われる(powiat grodzki/ urban gmina)。 現行制度は1999年に採用。2002年から市町村長直接選挙制が導入され、市町村長の権限が強 化された。 ポーランドでは、人口5万人以上の都市の首長を Prezydent Miasta、人口5万人未満の市・町の首 長を Burmistrz、村を中心部に置く地域の首長を Wójt と呼ぶ。 (2)ポーランドの制度は地方自治体に一定の裁量権を持たせ、ある程度中央政府の人事権も及ぶ など、折衷的な制度を採っている。地方議会の立法権は限られており、中央政府に任命される県地 方長官(Wojewoda)が、地方議会(県・郡・市町村)が定めた条例・決定等について、それらが法律に 違反していないか審査するシステムが採られている。全体として、日本の地方自治制度よりも中央 集権的であるといえる。 (3)国は国防、治安、税制等を専権的に管轄し、地方は国の基本政策に基づいて教育、医療、社会 インフラ等生活に密着した行政分野を管轄する。 地方自治体数 (2015 年 内務・行政省) 県(województwo) 16 郡(powiat) 314 郡と同格の市町村 66 市町村(gmina) 2,478 国 県(wojewodztwo) 16 郡 314 (powiat)379 市町村 (gmina)2,479 2,478 66 郡と同格の市町村65 (powiat grodzki) 80 県名(県庁所在地) woj. = województwo (県) 県名 1 ドルノシロンスク県 ポーランド語/英語表記 woj.Dolnośląskie/Lower Silesian Voivodeship 2 クヤーヴィ・ポモージ woj.Kujawsko-Pomorskie ェ県 /Kuyavian-Pomeranian Voivodeship 略号 県庁所在地 DS Wrocław ヴロツワフ KP Bydgoszcz ビドゴシチ 3 ルブリン県 4 ルブシュ県 woj.Lubelskie/Lublin Voivodeship woj.Lubuskie/Lubusz Voivodeship LB LU 5 ウッチ県 6 マウォポルスカ県 woj.Łódzkie/Lódz Voivodeship woj.Małopolskie/Lesser Poland Voivodeship woj.Mazowieckie/Masovian Voivodeship woj.Opolskie/Opole Voivodeship woj.Podkarpackie/Subcarpathian Voivodeship woj.Podlaskie/Podlachian Voivodeship LD K Lublin ルブリン Gorzów Wielkopolski ゴジュフ・ヴィエルコポルス キ Łódź ウッチ Kraków クラクフ MA OP PK Warszawa ワルシャワ Opole オポーレ Rzeszów ジェシュフ PD Białystokビャーウィースト ク Gdańsk グダンスク Katowiceカトヴィツェ Kielce キエルツェ 7 マゾフシェ県 8 オポーレ県 9 下カルパチア県 10 ポドラシェ県 11 ポモ-ジェ県 12 シロンスク県 13 シフェントクシスカ県 woj.Pomorskie/Pomeranian Voivodeship woj.Śląskie/Silesian Voivodeship woj.Świętokrzyskie/Swietokrzyskie Voivodeship 14 ヴァルミア・マズール woj.Warmińsko-Mazurskie/ 県 Warmian-Masurian Voivodeship 15 ヴィエルコポルスカ県 woj.Wielkopolskie/Greater Poland Voivodeship 16 西ポモ-ジェ県 woj.Zachodnio-Pomorskie/West Pomeranian Voivodeship PM SL SW WM Olsztyn オルシュティン WP Poznań ポズナン ZP Szczecin シチェチン 県(Województwo)の基本的役割・権限 地域経済政策(経済発展、貿易、地域振興、失業対策) 広域インフラ整備(県道管理、水資源管理、国の環境保護政策執行) 高等教育(大学、高等専門学校等)、広域文化政策 広域保健サービス(専門病院等) 地域開発の調整(農村振興等) 郡 (Powiat)の基本的役割・権限 地域インフラ整備(郡道、上下水道、環境保護対策等) 中等教育(中・高校、職業学校等) 公共保健サービス(総合病院等) 広域福祉(障害者・老人社会福祉施設等)、失業対策 治安維持(郡警察)、消防・防災 市町村(Gmina)の基本的役割・権限 基本的地域インフラ整備(市町村道、上下水道、電気、ゴミ処理等) 公的輸送機関、公共住宅運営 初等教育(幼稚園・保育園、小学校)、基礎的医療機関、秩序維持(市町村警察)、消防 地方公務員数 26 万 0,744 人(2014 年 中央統計局) 81 地方財政 地方財政における国からの地方交付税・補助金の割合は約55%。また、国家支出に占める地方自治体 に対する支出の割合は、地方交付税・補助金(約25%)、所得税(個人、法人)の地方割当て分(約10%)を あわせると約35%に上る。 地方自治体独自の財源は法律によって定められている。地方自治体が新たに独自の税金を導入するこ とはできない。 県の財源 独自財源 ・所得税(1.5%)、法人所得税(0.5%)からの県割当て分 ・不動産・事業所得 ・特別基金からの補助金(国家予算外) 一般地方交付税及び道路・教育財源 特定補助金(委託業務費、特定事業経費、特別高等教育 機関等) 郡の財源 独自財源 県民一人当たりの財政支出(単位:1,000 ズロチ) ・所得税(1%)からの郡割当て分 (2006 年 中央統計局) ・不動産・事業所得 ・特別基金からの補助金(国家予算外) 一般地方交付税及び道路・教育財源 特定補助金(委託業務費、特定事業経費、治安維持経費等) 市町村の財源 独自財源 ・固定資産税(税率は法律の範囲内で各市町村が設定) ・所得税(27.6%)・法人所得税(5%)からの市町村割当て分 農業税 不動産・事業所得、公共交通機関所得 特別基金からの補助金(国家予算外) 一般地方交付税及び道路・教育財源 特定補助金(委託業務費、特定事業経費、災害時の対策経費等) 地方議会・政府の選出方法 県(Województwo) 中央政府 ↓ 県地方長官 (Wojewoda) 県知事(Marszałek) (県理事会メンバーより選出) ↑ 県理事会(県議会議員より選出) ↑ 県議会(Sejmik) ↑ 直接選挙 国民 県知事と県地方長官の権限の違い 県知事: 県の政策執行最高責任者。県議会議員の一部から構成される県理事会メンバーの 中から互選により選出される。 県地方長官: 中央政府代表として首相により任命される。地方における国家行政の執行、委託 業務の監督(治安、災、衛生、環境等)、及び地方議会(県、郡、市町村)が定めた条例 ・決定の審査を行う。 82 郡(Powiat) 郡長(Starosta) 郡理事会メンバーより選出 ↑ 郡理事会(郡議会議員より選出) ↑ 郡議会 ↑直接選挙 国民 市町村(Gmina) 市町村長 (Prezydent Miasta、Burmistrz、Wójt,) ↑ ↑ 市町村議会 直接選挙 ↑直接選挙 国民 2014年11月統一地方選挙(地方議会選挙の結果) 11月16日、統一地方選挙が行われ(首長選挙の決選投票は11月30日)、県、郡、市町村議員が選ばれ た。投票率は、県議会選挙で47.21%で、2010年に行われた前回地方選挙時の平均投票率(47.32%)とほ ぼ同じ水準となった。 県議会においては、市民プラットフォーム(PO)は、得票率で「法と正義」(PiS)に劣ったものの、議席数に おいて179議席を獲得し(前回222議席)、PiSの171議席(前回41議席)を若干上回った。この他、農民党( PSL)が157議席(前回93議席)を獲得して躍進した一方、民主左翼連合(SLD)は28議席(前回85議席)と低 迷した。県議会では、POとPSLが、選挙前と同様、ポトカルパツキエ県以外の15県で過半数を確保した。 なお、今次統一地方選挙では、集計トラブルが発生し、結果判明までに時間を要し、最終的に国内選挙 局長等が責任を取って辞任する展開となった。 投票率 県議会選挙 47.21% 郡議会選挙 50.21% 市町村議会選挙 45.54% 市町村長選挙(第1回投票) 47.34% 市町村長選挙(決選投票) 39.97% 獲得議席数 市民プラットフォーム (PO) 「法と正義」(PiS) 農民党(PSL) 民主左翼連合(SLD) 83 県議会 179 郡議会 747 171 157 1517 1701 28 234