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短期留学部門 - 名古屋大学国際教育交流センター

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短期留学部門 - 名古屋大学国際教育交流センター
短期留学部門
●名古屋大学短期交換留学受入れプログラム(2009年度報告)
……… 野水 勉 142
● NUPACE : A Bumper Year and the Return to Normalcy
………………………………………………………………… Claudia Ishikawa 155
●交換留学生との交流活動における教育的機会の検討
―「内地雑居」がもたらす学びの可能性―… ……………………… 北山 夕華 169
● NUPACE Office の専任職員として半年の活動を振り返って
………………………………………………………………………… 牧原 弘昌 173
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
名古屋大学短期交換留学受入れプログラム
(Nagoya University Program for Academic Exchange - NUPACE)
2009年度報告
留学生センター・短期留学部門 (兼担)工学研究科マテリアル理工学専攻
野
水
勉
本 学 の 短 期 留 学 受 入 れ プ ロ グ ラ ム は, 平 成8年
て交換留学の一層の拡大も期待されたため,NUPACE
(1996年)発足以来14年が経過し,2009(平成21)年度
の受入れ数を2020年に150名規模まで発展させる計画
の年間受入れ人数は,これまでの最大数78名(平成20
を策定した。
年度)をさらに越えて85名に達した。平成21年度は,
平成21年度の文部科学省「留学交流支援制度(短期
名古屋大学総長の交代,国際化拠点整備事業(グロー
受入れ)」による年度当初の奨学金割当数は,従来の一
バル30)への申請・採択,補正予算に基づく文部科学
般枠(大学推薦枠)の割当数の大幅減少によって,全
省「留学交流支援制度(短期受入れ)」の追加割当など
体で前年度の36名分から24名分に激減した。しかし幸
も加わり,大きな変動の年であった。
いなことに,奨学金が無くても参加を希望する自費参
平成20年度中,筆者は総長補佐(国際交流・留学生
加希望者が多数にのぼり,結果的に受入れ数は年間85
交流担当),国際企画室長,国際学術コンソーシアム21
名に達するまでになっている(本学からの要請によっ
(AC21)推進室長を兼務していたが,21年度から新総
て,各協定大学からの受入れ数を4月受入れ期1名,
長の下で新しい体制となり,これらの任を終え,本部
9月受入れ期は2名に制限しており,全体の応募者数
門業務に専念することとなった。しかし,国際化拠点
は減っているが,多くが奨学金不採用の場合でも参加
整備事業(グローバル30)の申請および採択後の具体的
を希望するため,結果的に85名の受入れに達した)。そ
計画の策定に関与した。とくに,グローバル30におい
して,平成21年度は,名古屋大学のグローバル30採択
図1.短期留学プログラムの応募者数、奨学金割当、受入れ人数、自費参加学生数の推移
(平成12年度以降)(*平成13年度5名,14年度3名,15年度4名の追加配分。20年度以降は,交流協会(台湾)および JENESYS
(韓国)奨学金割当数を加算。)
-142-
短期留学部門
によって,7月以降にグローバル30特別枠10名の割当
激減した。内訳は,
「プログラム枠-短期留学特別プロ
が追加され,さらに麻生内閣における補正予算が背景
グラム型」が平成20年度12名から,平成21年度15名に
となった奨学金追加割当があったため,9月受入れ時
増加したが,「大学推薦枠(旧一般枠)」が,平成20年
期に自費参加を予定していた多くの学生に奨学金が割
度24名から平成21年度9名に大幅に減少したことによ
り当てられるという思わぬ年となった。平成22年2月
る。
に,平成22年度分の「留学交流支援制度(短期受入れ)」
平成21年度全体で24名分となったことで,本学の短
奨学金の通知があったが,平成21年度と同様に全体枠
期留学生を選考する交換留学実施委員会で第1期分
24名分およびグローバル10名分の割当通知となってい
(4月受入れ)は8名分,第2期分(9月受入れ)は16
る。
名分が割当てられた。9月受入れ候補者を選考した5
以下,平成21(2009)年度の短期留学プログラムを
月時点では,JENESYS 奨学金3名があったが,この
中心とした短期留学部門の活動を報告する。
他は,39名の自費参加希望者があったため受入れ予定
者は58名となり,4月からの継続学生と合わせると75
1.「留学交流支援制度(短期受入れ)」とその他
の奨学金
名を数えるため,60名の宿舎優先枠を15名越える状況
が想定され,後述する民間宿舎の借り上げ対応を開始
することになった。
1.1 平成21年度および平成22年度「留学交流支援
制度(短期受入れ)」
平成21年度は,麻生内閣による補正予算に基づき,
6月中旬に「留学交流支援制度(短期受入れ)」奨学金
昨年の年報でも報告したが,文部省(当時)が平成
の追加配分が行われることとなり,希望奨学金数の問
7年度に創設した「短期留学推進制度(受入れ)」が,
合せを受け,結果的に7月中旬に29名分(大学推薦枠
平成20年度より文部科学省補助金事業「短期外国人留
2名,プログラム枠27名)奨学金割当通知を受けた。
学生支援制度」,そして平成21年度より同補助金事業
さらに,追加奨学金問合せとその通知の間の7月上旬
「留学交流支援制度(短期受入れ)」(いずれも日本学生
に,名古屋大学の国際化拠点整備事業(グローバル30)
支援機構(JASSO)に事務委託)として制度の一部が
が採択され,「留学交流支援制度(短期受入れ)」奨学
変更された。制度の名称が変わり,渡日一時金が15万
金から,グローバル30枠として,さらに10名の奨学金
円から8万円に引き下げられたが,月額奨学金は8万
が追加された。結果的に,同奨学金の受給資格を満た
円に維持され,申請やその他の事務手続きも引き続き
す自費参加者をすべて推薦したが,グローバル30枠の
(独)日本学生支援機構を通じて行われるため,名称変
追加については想定していなかったために5名分を返
更に伴う提出文書の様式変更以外に,あまり事務的な
上する形となった。それでも,平成21年度の「留学交
変更は生じなかった(ただし,
「短期留学推進制度」で
流支援制度(短期受入れ)」奨学金による受入れ数は,
は認められていた台湾の大学が,20年度以降,制度の
58名に達する結果となった。
対象外となっている)。しかし,奨学金割当枠について
補正予算による奨学金の大規模な追加は,これまで
は,
「プログラム枠」として,従来の英語による短期留
の NUPACE14年間で全く経験しなかったことであり,
学プログラムが主だった特別枠が拡大され,単位互換
残念ながら平成21年度限りの措置である。対象留学生
プログラム,大学院プログラム,ダブル・ディグリー
にとっては,思わぬ形の大きな恩恵であったと思われ
など,新しく企画された特色ある短期留学プログラム
るが,9月受入れの募集及び選考時期を終えた後で,
に対して,1プログラム最大15名として,一大学あた
追加奨学金の割当通知が7月中旬で,本学の推薦に対
り4プログラムまでを申請できる制度となった。その
する決定通知が8月下旬となる状況では,自費参加者
分,これまで,短期留学の実績に応じて割り当てられ
を奨学金候補者に推薦せざるを得ず,奨学金が無けれ
ていた「一般枠」(新制度では「大学推薦枠」)の割当
ば参加できなかった応募者を推薦できなかったことは
が減少している。
残念な点である。
これら割当方針の変更から,本学の「留学交流支援
平成22年度の「留学交流支援制度(短期受入れ)」奨
制度(短期受入れ)」に基づく奨学金割当数は,平成20
学金は,政権交代および事業仕分けの影響を大きく受
年度全体で36名であったものが,平成21年度24名分に
けるのではないかと心配されたが,ほぼ平成21年度並
-143-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
表1.短期留学プログラム関係奨学金の割当実績
奨学金
種別
NUPACE 関係
留学交流支援制度
(短期受入れ)
国際環境人材育成
プログラム
交流協会(台湾)
JENESYS(韓国)
一般枠
H20
第1期
H21
第2期
H22
第2期
第1期
24+10*3+24*4
36
(12)
第1期
(24)
(8)
(16)+10
24+10*3
(11)
7
1
1
1
1
1
部品素材枠
第2期
(23)
4
1
0
NUPACE
受入
対象
対象外
1
対象
1
1
対象
4
4
対象
注1.第1期:4月受入れ,第2期:9月末受入れ
注2.留学交流支援制度は年間割当数が通知され,
( )内は本学での期別割当の配分は本学の交換留学実施委員会の決定に基づく。
*3 グローバル30枠,
*4 追加割当
みの予算(補正予算は除く)が確保された模様で,本
学の「留学交流支援制度(短期受入れ)」奨学金の割当
2.短期留学生受入れの現状
は,平成21年度と同数で24名(プログラム枠(短期留
過去3年間の各受入れ時期における大学別受入れ実
学プログラム)15名+大学推薦枠9名)であった。グ
績を表2に示す。図2には,プログラム開始以来の861
ローバル30特別枠10名の配分が年度当初からあったた
名全体の大学所在国および地域別の内訳を,図3には
め,平成22年度は34名分を推薦することができた。
平成21年度分の a)大学所在国および地域別,b)受入
尚,平成21年度より,
「留学交流支援制度(短期受入
れ部局別,c)学生身分別の割合を円グラフで示す。
れ)」のプログラム枠に,NUPACE 以外に,環境学研
平成21年度は,15ヵ国,50協定大学より計85名の短
究科が「国際環境人材育成プログラム(短期)」として
期留学生を受入れた。「留学交流支援制度(短期受入
申請し,7名の奨学金割当があったが,同プログラム
れ)」奨学金58名(年度当初奨学金24名,グローバル
が別途独立して運用した。平成22年度にも同様に申請
30特別枠10名,追加割当24名),交流協会(台湾)2
して,4名の奨学金割当となっている。
名,JENESYS(韓国)5名,そして日本学生支援機構
からの斡旋で奨学金を申請した(財)タカセ国際奨学
1.2 その他の奨学金
財団1名を加えて,65名が奨学金受給者で,残りの20
短期留学プログラムを支援する奨学金として,平成
名が自費参加者であった(ただし,G30および補正予
20年度から1)外務省補助金事業「21世紀東アジア青
算による追加割当が無ければ44名が自費参加者の予定
少年大交流計画」(JENESYS Programme)(韓国)と
であった)。85名のうち,国別では,米国19名,中国
2)(財)交流協会(台湾)・短期留学生奨学金が加
18名,韓国16名,が上位3国である。図2と図3を比
わっており,表1に平成20~22年度の割当実績をまと
較すると,平成21年度は,ヨーロッパが27%とやや高
めた。これらの奨学金制度発足の背景については,昨
い割合になった以外は,過去14年全体と同様な割合と
年度2008年度年報で紹介している。
なっている。このように,地域バランスのとれた受入
平成21年度は,21世紀東アジア青少年大交流計画
れを継続している。平成21年度は,中国・南京航空航
(JENESYS Programme)の ASEAN 関係諸国を対象
天大学,韓国・慶煕大学とソウル市立大学,台湾清華
とした短期留学のための奨学金募集もあったが,環境
大学,米国グリーン・マウンテン大学(カレッジ)
,ロン
分野に特定されていること,必ずしも協定大学を対象
ドン大学(SOAS)
,フランス・リヨン師範大学,ブラジ
としないことなどから,NUPACE 関係からの応募は
ル・サンパウロ大学が新しい参加大学として加わった。
せず,環境学研究科の「国際環境人材育成プログラム」
全体の半分を占める自費参加学生37名の地域別内訳
が直接応募し,10名の奨学金枠の割当があった。
は,アジア19名(韓国9,中国7,台湾3),米国11
名,ヨーロッパ地域6名(英国2,ドイツ2,フラン
ス1,オーストリア1),オーストラリア1名であっ
た。
-144-
短期留学部門
表2.名古屋大学短期留学受入れプログラム受入れ実績(平成19年4月~平成22年4月)
次ページに続く
-145-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
表2.(つづき)
-146-
短期留学部門
ブラジル
カナダ
ベルギー
オーストリア
スウェーデン
デンマーク
ロシア
ウズベキスタン
人数
2
4
3
5
7
1
4
14
割合
0.2%
0.5%
0.4%
0.6%
0.8%
0.1%
0.5%
1.7%
フィリピン
インド
ベトナム
モンゴル
カンボジア
ウズベキスタン
1 . 7%
ポーランド
ドイツ
3%
人数
13
2
2
2
1
割合
1.5%
0.3%
0.3%
0.2%
0.1%
4%
中国
18%
フランス
7%
英国
ヨーロッパ
6%
2 4%
カナダ
アジア
0 . 5%
52%
北米
韓国
19%
2 1%
オセアニア
3%
アメリカ合衆国
2 1%
台湾
1.7%
インドネシア
5%
タイ
オーストラリア
5%
3%
図2.名古屋大学短期留学生の在籍大学所在国の内訳(1996年2月-2010年4月:全861名)
スウェーデン, 2
オーストリア, 2
ウズベキス タン, 1
ドイツ, 8
フランス , 6
英国, 4
ブラジル, 1
カナダ, 1
中国, 1 8
ヨーロッパ
27%
アジア
49%
中南米
1%
北米
19%
オセアニア
4%
台湾, 5
韓国, 16
米国, 19
オース トラリア, 3
インドネシア, 2
タイ, 1
a)在籍大学所在国・地域別内訳
留センター
15%
大学院特別
研究学生
10%
文
17%
育
1%
国言
7%
情科
2%
大学院特別
聴講学生
20%
法
17%
国際
5%
工
15%
医
5% 理
1%
学部生
70%
経
情文 14%
1%
b)受入れ部局別内訳
c)受入れ学生身分別内訳
図3.平成21年度短期留学生の内訳(2009年4月-2010年3月:全85名)
-147-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
40%
35%
30%
1- 200位以内
1- 100位以内
1- 50位以内
25%
20%
15%
10%
5%
0%
H17
H18
H19
H20
H21
図4.Times 大学ランキング2009上位大学からの受入れの割合
過去5年間 NUPACE に受け入れた短期留学生の中
科が,英語による講義の開講を積極的に推進し,さら
で,2009年 Times 大学ランキングの上位50位,100位お
に平成21年度から英語による大学院プログラム「国際
よび200位以内の大学からの割合を図4に示す(Times
環境人材育成プログラム」を創設し,それらの科目も
ランキングは毎年順位が変動するため,昨年度のデー
NUPACE 学生へ積極的に開放され,前年度の7科目
タとは一部不一致が生ずる)。NUPACE の受入れ学
から17科目に大幅に増加した。
生の約20-30%がランキング100以内の大学から参加
本学では,平成23(2011)年度秋より国際化拠点整
しており,さらに200位以内まで拡げれば40%に近い。
備事業(グローバル30)として,英語講義によって学
同ランキングは,専科大学が低い評価を受けることや
位が取得できる学部生向けの自動車工学,物理系,化
英語圏に評価が偏っている傾向が指摘されているの
学系,生物系,そして国際社会科学の5プログラム,
で,これによって大学の評価をすることに慎重さが必
および大学院生向けの物理系(博士前期・後期),化
要であるが,一つの指標として国際交流関係者に定着
学系(博士前期・後期),生物系(博士前期・後期),
してきているものである(因みに本学の2009年度ラン
医学系(博士後期),経済・経営系(博士前期),国際
キングは92位に位置づけられている)。この2-3年,
言語文化系(博士前期)の各プログラムが開始される
NUPACE は基本的に1協定大学の受入れ数を原則4
予定である。これらによって英語講義が大幅に増強さ
月期1名,9月期2名までに絞り込み,より多くの協
れ,短期留学生の受講も奨励される予定のため,長年
定大学からの受入れを進めてきた結果,平成21年度は
の懸案であった専門分野の英語プログラムの充実につ
50大学から85名の受入れを実現した。にもかかわら
ながることが期待される。
ず,このように有力大学からの学生数の割合を維持し
ていることは,十分に評価されて良いかと思われる。
4.国際化拠点整備事業(グローバル30)に向け
た NUPACE の将来計画
3.教育カリキュラム
平成21年度4月中旬に募集要項が公表され,5月18
図5に,2010年秋期-2011年春期の NUPACE 科目
日が応募の締め切りとして,国際化拠点整備事業(グ
構成を示す。この構成以外に,国際開発研究科および
ローバル30)が公募された。グローバル30に採択され
法学研究科が,正規カリキュラムとして英語による専
るための必要条件として,①留学生30万人計画に沿っ
門科目を多数開講しており,多くの科目を NUPACE
た留学生数増加計画,②英語による学部プログラム・
学生にも開放している。平成18年度からは環境学研究
大学院プログラムの新設,③外国人教員の増員計画,
-148-
短期留学部門
日本語研修コース
標準コース(1 - 5 単位):日本語初級 I ~日本語上級 II(7 レベル)
集中コース(2 -10 単位):日本語初級 I ~日本語中級 II(6 レベル)
担当部局
(留セ)
(留セ)
日本語による概論講義
各科目2単位 地球社会(秋・春)
日本語・日本文化論入門(秋・春)
日本語学入門(秋・春)
日本文化論(秋・春)
言語学入門(秋・春)
(留セ)
(文)
(留セ)
(留セ)
(留セ)
日本研究・国際理解研究
各科目2単位 現代社会問題への多文化的アプローチ(秋)
現代日本社会(春)
日本政治学入門(春)
日本の科学と技術(秋)
(文)
(留セ)
(留セ)
(工)
専門科目
留学生センター
国際社会法政:日本におけるイミグレーション(春)
文学部・文学研究科
英語意味論と記号論(秋・春)
教育学部・教育発達科学研究科
日本の教育(春)
文化的教育面のディズニー(春)
法学部・法学研究科
日本の政治と法(秋)
経済学部・経済学研究科
開発経済(春)
所得理論と応用(秋)
価格理論と応用(春)
理学部・理学研究科
先端量子化学(秋)
先端化学特別講義(集中講義)
医学部・医学研究科
臨床実習(秋・春)
工学部・工学研究科
化学・生物産業概論(春)
物理・材料・エネルギー先端科学(春)
電気・電子・情報先端工学(秋)
生産工学概論(春)
社会環境工学概論(秋)
途上開発特論(秋)
農学部・生命農学研究科
生命農学概論(秋)
国際開発研究科
人間の安全保障と法(秋)
国際協力法(春)
国際開発入門(春)
社会調査法特論(日本の開発経験)(秋)
参加型農村振興論(秋)
国際言語文化研究科
地理学と神秘主義:ヨガ(春)
地図と文化(秋)
社会言語学入門(秋)
環境学研究科
生物資源管理政策論(秋)
生物資源管理プロジェクト論(秋)
気候変動政策論(秋)
環境コミュニケーション(春)
環境産業システム論(秋)
環境移動現象論(春)
生物多様性保全政策概論(春)
低炭素都市学(春)
歴史環境デザイン実習(秋)<G>
生物資源管理実習(秋)
降水気候学セミナー A(秋)
建築デザイン実習(秋)<G>
持続可能性と環境学(秋)
国際環境:政治外交文化論(秋)<G>
環境資源論(春)
水・廃棄物工学(秋)
水・廃棄物政策論(春)
多元数理研究科
応用数学方法論(秋)
その他
国際開発研究科と法学研究科の一部の科目
個人勉学(研究)指導(Guided Independent Study-GIS)
*J= 講義言語:日本語 <G>= 大学院生のみ開放 秋 = 秋学期開講 春 = 春学期開講
図5.2010-2011 名古屋大学短期留学生プログラム(NUPACE)の全体構成
-149-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
④短期留学(受入れおよび派遣)の拡大推進,⑤海外
究科・環境学研究科部局間協定・学生交流協定含む・
拠点事務所の開設等,が打ち出され,各大学はこれら
新規),中国・上海交通大学(医学部部局間協定)に
に沿った具体的な計画を申請した。
助言を行った。さらに,平成22年度にまたがっている
本学では,副総長(研究・国際企画担当)が中心と
が,短期留学部門のヨーロッパ出張およびその後の交
なって関係者が集められて申請計画が策定された。英
渉によって,スウェーデン・ウプサラ大学,スイス・
語による学部プログラム・大学院プログラムの新設に
ジュネーブ大学,ポーランド・ワルシャワ大学,スペ
ついては,前節で紹介した5つの学部プログラムおよ
イン・バルセロナ大学との全学協定(学生交流協定含
び9の大学院プログラムが新設されることになり,意
む)も締結の予定となっている。
欲的な申請として評価された模様である。
図6の通り,NUPACE 受入れ大学累積数は,授業
名 古 屋 大 学 の 留 学 生 数 は, 平 成21年 5 月 時 点 で
料相互不徴収協定大学数と密接に関係し,NUPACE
1,313名を数えるが,平成32年度までに3,000名とし,
への学生受入れが大学間協定締結や授業料相互不
毎年約7.8%の増加率の設定とされた。そして,短期
徴収協定締結に大きく貢献していることがわかる。
留学の推進も要請されたため,体制整備を前提として
NUPACE 発足時6大学だった授業料相互不徴収協定
2020年度の NUPACE の受入れ目標数を150名。部局独
大学が平成21年度末で170大学に達し,そのうち101大
自の取組みを含んだ短期留学受入れ数を200名とした。
学を NUPACE に受け入れたことになる。そして,平成
幸い本学は採択された13大学の一つに選ばれた結
21年度だけに絞っても,そのうちの50大学から学生を
果,5年間の文部科学省の予算を得て,申請計画の取
受け入れている。NUPACE が協定大学との学生交流
組みを推進できることとなった。
に大きく貢献し,その実績がまた協定大学を増やし,
国際交流の幅を拡げることに貢献している。
5.国際交流関係の活動
5.
2 英語による工学研究科「自動車工学」サマープ
5.1 学術交流協定
ログラム
本学の活発な国際交流を反映して,平成21年度も全
(http://www.engg.nagoya-u.ac.jp/en/nusip/index.html)
学間あるいは部局間の学術交流協定の締結が進めら
本サマープログラムは,NUPACE を含めて長年の
れ,平成21年度末時点で278大学・機関との学術交流協
相互の学生交流を継続している米国・ミシガン大学工
定締結(全学間協定は83大学・機関)と170大学との授
学部から本学工学研究科へ,本学への派遣学生をより
業料相互不徴収協定を含む学生交流協定(全学間75大
拡大するためにサマー・プログラムやインターンシッ
学・機関)が締結されている。平成21年3月末で国際
プを強く要望していたことがきっかけとなり,平成20
企画室長の任務を終えているが,交換留学を中心とし
年度から毎年6-7月の6週間にわたって行われてい
た学生交流協定に関して,相談を受けたり,交渉の一
る。準備段階および立ち上げに向けては,当短期留学
部を引き受けている。さらに,グローバル30としてさ
部門が深く関わったため,経緯について一昨年度の年
らに交換留学の拡大を策定した関係から,短期留学部
報に詳しく報告している。
門として平成21年度中にシンガポール,香港,そして
教育プログラムの内容は,石田幸男工学研究科教授
(専門分野:電子機械工学)(平成19年4月より留学生
ヨーロッパ地域の有力大学の拡大を図った。
平成21年度中,短期留学部門が主導して締結または
センター長)が講義構成を企画し,自動車並びに関連
更新した大学は,パリ第7(ディドロ大学)(全学学生
会社の技術者・研究者と名古屋大学教授の共同授業の
交流協定・更新),オーストラリア国立大学(全学学生
形式をとり,工場・研究所見学も数多く組み入れてい
交流協定・更新),ミシガン大学化学科・高分子研究
る。日本語研修も含まれており,航空運賃と食費は別
所(工学研究科部局間協定・新規),香港大学(全学協
として,プログラム参加費用は1,800US ドル(昨年ま
定・学生交流協定含む・新規),香港中文大学(全学協
では1,600US ドル)に設定されている。
定・学生交流協定含む・新規),香港科技大学(工学
初年度の平成20年度は,当初目標10名に対して,米
研究科部局間協定・学生交流協定含む・新規)であっ
国から計12名(ミシガン大6,ノースカロライナ州立
た。また,ドイツ・ダルムシュタット工科大学(工学研
大4,ケンタッキー大1,UCLA 1)が参加したが,
-150-
短期留学部門
協 定 大 学 ・機 関 数 授業料不徴収協定数
NUPACE 受 入 れ 協 定 大 学 数 ( 累 積 )
3 00
3 00
2 50
2 50
2 00
2 00
1 50
1 50
1 00
1 00
50
50
0
0
H7
H8
H9
H 10
H11
H 12
H13
H14
H15
H 16
H17
H 18
H19
H20
H 21
図6.名古屋大学の学術交流協定・授業料不徴収協定の締結数と NUPACE で受入れた協定大学数(累積)
平成21年度は30名に膨れ上がった。内訳は,米国25名
がっている。
(ミシガン大13,UCLA 9,南イリノイ大2,ケンタッ
キー大1),英国ウォリック大3名,フランス・ストラ
5.3 グローバル30に基づく短期留学推進のための
海外大学訪問
スブール大2名であった。ストラスブール大から,サ
マープログラム後の2週間の研究室におけるインター
前節で述べたように,「グローバル30」プロジェク
ンシップを強く要請されたため,工学研究科の2研究
トから,短期留学の拡大を目的とした海外大学への訪
室での受入れを筆者が支援した。
問を要請されたため,計画した。NUPACE を開始し
平成22年度も,昨年度と同数の30名が参加の予定で
て7-8年間は,ほぼ毎年海外出張予算を得て,北
ある。内訳は,米国26名(ミシガン大12,UCLA 1,
米,欧州,アジアおよびオセアニアを年ごとに変えて
イリノイ大アーバナ・シャンペーン5,南イリノイ大
訪問し,NUPACE の PR や協定大学の拡大に取り組
2,ケンタッキー大2,ノースカロライナ州立大4),
んでいたが,最近の5年間は国際学術コンソーシア
中国・同済大1名,香港科技大学3名という状況であ
ム(AC21)や自動車工学サマー・プログラム等の海
る。
外出張などに筆者が忙殺されたため,機会を失ってい
海外有力大学の国際交流関係者と学術交流を議論す
たところである。今回の海外大学訪問の企画にあたっ
る際に,NUPACE とともに,この自動車工学サマー
ては,これまで短期留学生が来ていない国や地域で有
プログラムへの関心も高く,同プログラムへ学生を参
力な大学との連携を開拓することを目標に置き,シン
加させたい,として学術交流協定の申し入れがあるほ
ガポール,香港,そしてヨーロッパ(従来の英国,フ
どである。自動車工学だけでなく,サマープログラム
ランス,ドイツを除く)を対象国・地域として計画し
があれば,是非学生を派遣したいという協定大学は少
た。結果的に,全学間学術交流協定を申し入れたほと
なくない。半年または1年の留学に躊躇するが,夏の
んどの大学が前向きの回答をし,7-8割近くの大学
時期だけので2ヶ月ほどならば留学したいとの学生の
と本年(平成22年)夏までに協定締結の見込みである。
ニーズがあり,学生交流に関わる大学関係者も,より
NUPACE の13年間の実績や自動車工学サマー・プログ
多くの学生に海外留学を経験させたいとの動機がある
ラムの魅力に加え,来年(平成23年)秋のグローバル
ためである。
30に向けた英語プログラムの新設も大変歓迎された。
昨年の年報でも触れたように,本プログラムの工学
(1)シンガポール・香港(平成22年1月24日~30日)
研究科での成功が,グローバル30に向けた自動車工学
短期留学部門石川クラウディア准教授,海外留学室
プログラムの英語による学部プログラムの創設につな
岩城奈巳准教授,国際交流協力推進本部所属・短期留
-151-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
学室・牧原弘昌専任職員と4名で両国の4大学を訪問
ロナ大学は,訪問して国際交流関係者と懇談し,全学
した。当初訪問を計画していたシンガポール国立大学
間協定締結の提案をしたところ,いずれも積極的な回
は,4年ほど前から全学間協定の協議を行っていた
答があり,その後協定文書の交渉が順調に進み,本年
が,1年ほど前より同大学側の動きが止まり,その打
(平成22年)8月までにはいずれも協定締結に至る見込
開を図ろうと考えたが,訪問申入れの返事を受け取れ
みである。
なかった。
ヨーロッパ最古の大学であるイタリア・ボローニャ
シンガポールのもう一つの有力大学であるナンヤ
大学もまた,懇談した国際交流関係者からは,前向き
ン工科大学を訪問したところ,同大国際交流室は,
の回答が得られ,全学間の協定文案の合意に至ってい
NUPACE と自動車工学サマープログラムに強い関心
るが,締結できるかどうかの決定は本年(平成22年)
を示し,本学との協定締結に前向きであったが,同大
9月の理事会を待たなければならないようである。
学側の事情から帰国後の交渉は進展していない。
ポーランド・ワルシャワ工科大学は,すでに協定が
香港科技大とは,訪問直前に同大学工学部と本学工
締結され,NUPACE に毎年のように学生を送ってき
学研究科との部局間協定締結の合意ができ,本年の自
ている大学で,NUPACE で受け入れた16名中5名が
動車工学サマープログラムへ3名の学生が参加するこ
本学の大学院へ再留学してきており,本学から1名の
ととなった。
学生を同大学へ派遣している。これらの活発な交流へ
香港中文大学もまた,本学との全学間協定締結の提
の謝辞を述べるとともに,更なる交流の強化,そして
案にすぐ呼応し,4月中に協定調印が完了した。同大
G30の英語プログラムの PR 等を行った。
学のサマー・プログラム参加費4名分を交換留学に1
名(1年)に数える条項が含まれ,早速,NUPACE の
本年9月末受入れに応募があった一方で,本学から早
6.その他の課題
速1名が同大学サマー・プログラムへ参加する予定で
6.1 宿舎
ある。
NUPAE の受入れ数は年々拡大していくが,短期留
香港大学もまた,本学との全学間協定締結に大変積
学を支援する奨学金割当数は,平成21年度の追加奨学
極的な姿勢を示し,4月中に協定調印が完了した。
金は特別として,年々減少するばかりの傾向となって
(2)ヨーロッパ出張(平成22年2月20日~3月7日)
いる。文部科学省の短期留学向けの奨学金予算は維持
国際交流協力推進本部所属・短期留学室の北山夕華
されていても,全国の短期留学は増加し続けているた
特任准教授と国際交流協力推進本部所属・海外留学室
めである。最近,欧米豪や韓国,中国からは,奨学金
の熊坂佳代子・海外派遣留学プログラムマネージャ(専
をほとんどあてにせずに応募してくるケースが多く,
任職員)の3名で6ヵ国8大学を訪問した。
奨学金割当がないことで断ることはほとんどできな
デンマーク・コペンハーゲン大学は,すでに全学間
い。さらに大学宿舎の枠がないからという理由に対し
協定が締結され,この4年間,本学から同大学への派
ても,民間宿舎でも良いからということで受入れを迫
遣学生は4名にのぼるが,同大学からの短期留学生は
られるケースがほとんどであり,協定大学の窓口担当
この間皆無であったため,訪問時に NUPACE を PR し
者からも強力な要請がある。
たところ,今まで情報不足であったが,是非送り出し
しかし,民間宿舎への受入れ拡大が容易でないこと
たいとの意向が述べられ,その後,来年に向けた問い
は,大学宿舎が光熱費,共益費などを含めて2万円で
合わせが NUPACE に活発に寄せられている。
済むのに対して,民間宿舎の場合月額4-5万円を
スウェーデン・ルンド大学は,法学部間の部局間協
払っても大学宿舎の環境に及ばない点で格差が大きい
定であったため,全学間に発展できるかどうかを訪問
こと,民間宿舎管理者とのやりとり,契約条件等,個々
時に打診した。前向きではあったが,本学の英語プロ
に日本語のできない留学生との間の仲介をせざるを得
グラムの内容次第であるとして,全学間への交渉は難
ず,短期留学部門教員と事務担当職員に大変な負担を
航している。
強いるためである。
スウェーデン・ウプサラ大学,ポーランド・ワルシャ
平成17年4月以降,約200名分の留学生用大学宿
ワ大学,スイス・ジュネーブ大学,スペイン・バルセ
舎(総称して国際交流会館と呼ばれる)における
-152-
短期留学部門
NUPACE に対する優先枠は60名分を占めており,こ
生の受入れ増を勘案すれば,その方向に動かざるを得
の数年その枠を若干越えて受入れざるを得ないケース
ない状況である。従って,留学生用宿舎のさらなる増
が一般化しており,時に民間宿舎であったり,大学宿
強を期待するが,民間宿舎の借上げ対応も今後再び実
舎の夫婦室の二人使用,教職員宿舎の活用など,様々
施することになるかと思われる。
な形で受入れ対応を行ってきた。
今回の宿舎優先枠の80名への拡大と平成21年度の民
平成20年度までは,協定大学あたり4月受入れ2
間宿舎の借上げ対応が実現できた経験から,NUPACE
名,9月末受入れ3名までに受入れを制限していた
の受入れの大きな制限となっていた宿舎問題は,大き
が,平成21年度からは協定大学あたり4月受入れ1
く緩和されたことになったと思われる。
名,9月末受入れ2名に制限した。にもかかわらず,
平成21年9月末の受入れ数は宿舎優先枠60名を14名上
6.
2 短期留学部門の体制
回る事態となり,大幅な民間宿舎対応をせざるを考え
平成21年度は,
「グローバル30」プロジェクト採択の
ざるを得なくなった。そこで,国際学生交流課と協議
結果として,短期留学部門人員体制の強化が一部実現
をした結果,大学による民間宿舎の借上げ対応を英断
された。
することとなった。平成20年度より,中国政府「国家
名古屋大学は,平成7年度の学内の厳しい議論を経
建設高水準大学大学院生国費派遣プロジェクト」
(5000
て全学的な受入れ体制を構築し,当初から文部省(当
名派遣計画)の学生約50名の受入れのため,民間宿舎
時)が求めていた20名規模ではなく,40名規模以上の
の借上げ対応を開始していたことが,この英断の背景
学生受入れを目指して,文部省に認可された2名の教
になっていた。
員に全学運用定員に基づく助手を加えて3名の協力体
できるだけ大学周辺のアパート物件を探し,徒歩20
制で,平成8年2月受入れ開始以来 NUPACE を飛躍
分ほどの2件のアパートに最終的に14名を受け入れる
的に発展させてきた。
こととなった。家具,寝具類付きの形として備え,様々
年間80-90名は国立大学の中で随一の規模を誇る
な作業が加わったが,平成21年9月からグローバル30
が,前述したように数だけではなく,海外の有力大学
の予算により,交換留学担当専任職員の採用が認めら
の割合が高く,日本の留学生受入れの課題の一つであ
れ,国際学生交流課の事務職員とともに早速縦横無尽
る欧米豪先進国からの優秀な学生やアジア諸国のトッ
に活躍してもらった。今回の入居者には,元々自費参
プレベルの学生受入れに大きく貢献している。
加であったが追加奨学金割当のあった学生をあてたこ
この数年間,全学運用定員の見直しが影響して,助
とや,関係者の献身的な対応によって,あまり不満な
手(助教)ポストの更新について1-2年の短期間の
く過ごせている模様である。
任期更新しか認められず,前任の助教教員は,1年半
留学生と日本人学生の混住寮となっている国際嚶鳴
経過した平成21年2月末に,他国立大学の5年任期の
館に隣接して,平成21年度建設中であった新たな留学
国際交流担当講師に転出した経緯がある。
生会館が,本年4月に竣工し,インターナショナル・
平成21年4月に後任を採用したが,「グローバル30」
レジデンス山手と呼称され,100室が新たに供用され
プロジェクトに絡んで,1年任期とされた。幸い同プ
ることになった。この宿舎は,ほとんど大学の独自予
ロジェクトの採択により,短期留学推進のための体制
算を費やしたため,これまで国の施設として設定され
強化が認められることとなり,結果として特任助教ポ
ていた大学宿舎とは異なる月額宿舎費(月額29,000円)
ストは,国際交流協力推進本部所属・短期留学受入れ
が設定されている。
担当特任講師(平成25年度末まで)として処遇される
これを機会に,平成22年2月に国際交流会館を管轄
こととなり,同時に同本部所属・短期留学室勤務の交
する「国際関係施設委員会」へ NUPACE の宿舎優先
換留学担当専任職員(平成25年度末まで)1名の新た
枠の拡大を「交換留学実施委員会」から申し入れたと
な採用が認められることとなった。また,本学学生の
ころ,20名増の80名が認められた。本年秋は,新たな
海外派遣を強化するため,同本部所属・海外留学室勤
優先枠内に納まる模様である。
務・海外派遣担当専任職員(プログラム・マネージャー)
有力な協定大学から,大学当たりの受入れ枠を拡大
するようさらに強い要請が来ており,将来の短期留学
(平成25年度末まで)の採用が認められた。
2名の専任職員は,公募により海外経験の豊かな経
-153-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
歴の方を平成21年度9月15日から採用することがで
向上している。そのような中で,韓国の大学は講義の
き,すぐにも即戦力として活躍してもらっている。短
英語化を進めており,高麗大や延世大などは40%の学
期留学室勤務の牧原専任職員は,民間宿舎の借上げ対
部講義を英語化している。韓国・情報科学技術大学
応のための様々な手続きや苦情処理,インターネット
(KAIST)を訪れた本学工学研究科の教員が,同大学
契約等,新たに増加した雑務や窓口対応,教務管理を
で講演をした際に,大学院生から英語で活発な質問を
担当し,3名の教員の飽和状態にある業務の軽減に大
受け,本当に驚いたとのことである。
きく貢献している。
名古屋大学の国際化に NUPACE が大きく貢献して
きたと自負するが,上記基準に達する日本人学生は今
も5%にも満たない本学の現状を見ていると,学生の
7.最後に
責任だけでなく,本学全体の国際化(日本の大学全体
平成21年7月の「グローバル30」プロジェクト採択
の国際化)が本当に遅れていることを痛感せざるを得
とともに,NUPACE を取り巻く環境が大きく変化し
ない。
てきている。
本紀要で,海外留学室岩城准教授との共同執筆で研
短期留学推進のために,シンガポール・香港そして
究報告を掲載しているが,NUPACE 発足当時の13年
ヨーロッパの大学を訪問したが,基本的に本学との交
前,米国をはじめとして英語圏への留学数は,アジア
換留学推進を歓迎しているが,国際交流担当者の一部
では日本がトップだったものが,中国,インド,韓国
からは,現状の NUPACE の英語による科目提供では
が急激に伸びた一方で,日本からの留学は減少し,大
不十分であるとの指摘を受けている。その意味で,同
きく引き離されている状況である。国際交流に関わる
プロジェクトにおいて英語による学部プログラムおよ
多くの関係者が,これらの状況が10年後,20年後の日
び大学院プログラムが平成23年秋から多数開設され,
本の国際的地位に大きく影響するのではないかと大き
NUPACE 学生の受講が奨励されることについて高く
な危惧をしている。「グローバル30」プロジェクトを契
評価された。
機として,是非本学の学生を含めた全構成員の国際化
しかし,
「グローバル30」プロジェクトを推進する体
への意識改革を進め,教育システムの構造的改革,体
制について,学内の議論が未だ十分に拡がっていない
制整備を進めるべき時に来ているように思われる。
現状について,大きな心配がある。
改めて,本学の国際化を牽引し,海外有力大学との
ソウル地区の韓国の有力大学の韓国学生は,10年ほ
交流の礎となっている NUPACE を是非さらに発展さ
ど前から米国大学の留学生受入れの標準的な英語力基
せていけるよう,引き続き関係者のご協力とご支援を
準である TOEFL-PBT 550(TOEFL-iBT 79)を学部
宜しく賜りたい。
卒業要件の一つとして課されており,急速に英語力が
-154-
短期留学部門
NUPACE1: A Bumper Year and the Return to Normalcy
Claudia Ishikawa
Nagoya University Programme for Academic Exchange (NUPACE)
year span. The atmosphere further brightened when,
A. Introduction
as a result of MEXT’s surprise supplementary budget,
The academic year 2009~2010, at least as far as
NUPACE managed to garner an additional twenty-seven
NUPACE is concerned, can only be considered an
scholarships for FY 2009.4
extraordinary one. The author’s earlier misgivings visà-vis Government inertia with respect to the pledged
But, needless to say, reality has again dawned.
internationalisation of tertiary education (What
MEXT’s supplementary budget was, of course, a one-
happened to the Fukuda announcement in January 2008
off phenomenon. Furthermore, as of FY 2010, the
2
of the “Plan to Accept 300,000 Foreign Students”? Were
budget for “Global 30” was cut in line with the change
any concrete steps actually being take to implement
of Government and budgetary reconstruction. More
the plan?) were thrown aside, at least temporarily,
chillingly, one needs to bear in mind that this project
3
comprises no more than a five-year initiative. A worst
As a consequence of Nagoya University’s selection
case scenario dictates that, in 2014, NUPACE could be
as a “hub” for “internationalised education”, not only
left with reduced capability (only two full-time faculty
the newly-established Global 30 Office, but NUPACE,
members) to cope with a mushrooming admission load.
too, managed to acquire certain spoils, including ten
A sobering thought, indeed.
with the materialisation of the “Global 30” initiative.
extra scholarships per year, and a strengthened Office
in terms of personnel. The programme at last seemed
The following report is divided into three parts.
better equipped to meet the target of doubling its
Section B deals with scholarship (in particular JASSO5)
current exchange student intake to 150 within a ten-
policy developments and statistics for FY 2010, and
1
NUPACE is the acronym for the Nagoya University Program for Academic Exchange, Nagoya University’s short-term student
exchange programme for incoming students established in February 1996. Students enrolled in degree programmes at institutions with
which Nagoya University has concluded academic exchange agreements are eligible to apply for the programme. Courses that constitute the NUPACE programme are principally taught in English; Japanese language proficiency is not a prerequisite, although students
proficient in Japanese may enrol in regular university courses.
2
169th Session of the National Diet.
3
MEXT Notification of 15 April 2009. With the aim of rendering Japanese higher education more competitive, providing an internation-
ally attractive standard of education, and developing internationally-minded human resources, MEXT announced that it would appoint
and fund 30 universities as strategic bases for an increasingly internationalised higher education curriculum (Global 30” Project for
Establishing Core Universities for Internationalisation). In the first stage of the scheme, the following thirteen universities were
selected to function as global centres for the hosting and educating of international students in Japan: Tohoku University, The University of Tsukuba, The University of Tokyo, Nagoya University, Kyoto University, Osaka University, Kyushu University, Keio University,
Sophia University, Meiji University, Waseda University, Doshisha University, and Ritsumeikan University. Selected universities are
receiving prioritised financial assistance of 200~400 million yen per annum over a five-year span.
4
Twenty-four for September 2009 admission, and three for the limited period of January ~ March 2010.
5
JASSO (Japan Student Services Organisation <日本学生支援機構>) is a public corporation with a strong affiliation to the Ministry of
Education (MEXT). The organisation administers, although no longer determines policy as pertains to short-term student exchange
scholarships.
-155-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
incorporates Nagoya University’s scholarship standing;
Japan (IAJ).8
Section C briefly outlines current trends in NUPACE
student composition and the academic programme over
1. Student Exchange Support Program <SESP>
Provisions and Categories: General Trends
the last academic year, and Section D, the conclusion,
touches upon some developments affecting NUPACE
Utilising graphs and tables, this section of the report
that have taken place over the last year.
aims to illustrate the major trends in the allocation of
short-term student exchange scholarships.
B. Government-related Scholarships
Table 1 depicts short-term exchange scholarship
Japan’s Student Exchange Support Program <SESP>,
categories and provisions as allocated by the Ministry of
the MEXT co-ordinated/JASSO administered short-
Education <MEXT> (formerly JASSO, and prior to that,
term exchange scholarship programme, continues to
the AIEJ) since the establishment of the scholarship
comprise the main source of governmental funding for
programme in 1995. Despite the ‘national strategy’
short-term exchange students in this country, including
emphasis that has recently been given to foreign
those at Nagoya University. In addition to SESP, the
student admission, in FY 2010, SESP scholarships
JENESYS Programme (Japan – East Asia Network of
registered at 1,694, an increase of only 1% over the
6
Exchange for Students and Youths) has entered its
previous year. And, notwithstanding that the addition
fourth year, and Nagoya University continues to receive
of SESP-equivalent scholarships earmarked for
steady, if limited, scholarship support from this project.
“Global 30” institutions boosts scholarship numbers,
Hitherto, recipients have been restricted to applicants
the accumulative figure of 1,824 still falls short of
from partner institutions in Korea (ROK). As mentioned
scholarship allocations in FY 2003 and 2004, i.e., before
7
in last year’s report, as of FY 2009, the awarding of
the Government decided to implement the “Plan to
JENESYS scholarships has become tactical; scholarship
Accept 300,000 Foreign Students”.
allocation has become slanted towards fields considered
strategically important to both countries, e.g., in the
As is evident from the table, since FY 2001 a variety of
case of Nagoya University, biological engineering
scholarship categories reflecting policy priorities have
in 2009, and particle/materials engineering in 2010.
been incorporated into the framework of the Student
Finally, in keeping with JASSO’s relinquishment of
Exchange Support Program (SESP). Participating
policy-making powers to MEXT, as of FY 2008, due
institutions apply for and are allocated scholarships
to the absence of formal diplomatic relations with
according to this set of classifications. Commencing in
Taiwan, applicants with Taiwanese citizenship are no
FY 2008, with the transfer of jurisdiction for short-term
longer eligible to apply for SESP scholarships. Instead,
student exchange scholarships to MEXT, in addition
such applicants are being directed to apply for similar,
to ‘general category’ (ippan) scholarships, a specified
albeit time-restricted (a maximum six-month stipend)
number of scholarships have come to be reserved for 1)
scholarships offered by the Interchange Association
institutions having established programmes taught in
6
JENESYS, the result of the East Asia Summit of January 2007 and under the control of the Ministry of Foreign Affairs <MOFA>, com-
prises a five-year project, worth approximately ¥35 billion, that aims to bring 6,000 students and youths to Japan per annum from Asia.
Short-term student exchange scholarships constitute part of the package, with recipients benefiting from the slightly superior provisions to those offered by SESP. Administration of the programme has been entrusted to JASSO
7
Claudia Ishikawa, NUPACE: At a Policy Crossroads, Journal of the Education Center for International Students (ECIS), Volume
7, pp. 131~143.
8
財団法人交流協会 .
-156-
短期留学部門
Table 1. AIEJ/JASSO/MEXT Student Exchange Support Program <SESP> Provisions for Incoming Students: April 1995~
March 2011
Year
Scholarships
Category
1995~96
1,000
No Categorisation
1996~97
1,750
P&F*
1,100
S-t*
1997~98
1,900
P&F
1,120
S-t
1998~99
1,500
1999~00
1,803
2000~01
1,732
650
Provisions
1. ¥100,000 monthly stipend (6~12 months)
2. Economy class round-trip air ticket
3. ¥50,000 settling-in allowance
P&F
1, 2 & 3 as for 1995~96
780
No Categorisation
S-t
1. ¥80,000 monthly stipend,
2 & 3 as for 1995~96
1. ¥80,000 monthly stipend (6~12 months)
2. Economy class round-trip air ticket
3. ¥25,000 settling-in allowance
1, 2 & 3 as for 1998~99
Short-term;
Intensive Short-term;
Bridging Scholar.
Short-term;
1, 2 & 3 as for 1998~99
Intensive Short-term:
¥80,000 monthly
Bridging Scholar:
¥40,000 monthly
stipend (3~5 months)
stipend (3~12 months)
1, 2 & 3 as for 1998~99
2001~02
1,761
2002~03
1,618
2003~04
1,950
2004~05
2,000
2005~06
1,800
2006~07
1,600
General (ippan);
English-language prog.;
UMAP.
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥150,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
2007~08
1,723
General (ippan);
English-Language Prog.;
UMAP.
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥150,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
1,829
General (ippan);
English-Language Prog.;
Credit Transfer;
Other (Distinctive Prog.).
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥150,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
2008~09
1,680
2009~10
130
General (ippan);
English-Language Prog.;
UMAP*;
Consortium;
Internship.
General (ippan);
English-Language Prog.;
Credit Transfer;
Other (Distinctive Prog.).
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥80,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
Global 30 Project
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥80,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
Initiative
1,694
2010~11
130
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2 & 3 as for 1998~99
General (ippan);
English-Language Prog.;
Credit Transfer;
Other (Distinctive Prog.).
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥80,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
Global 30 Project
Initiative
1. ¥80,000 monthly stipend (3~12 months)
2. ¥80,000 one-time ‘study abroad preparation allowance’
*P&F = Peace & Friendship Scholarship *S-t = Short-term Scholarship *UMAP Credit Transfer Scheme
-157-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Table 2. Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Classification – Overall Total (1): April 2010~March
2011
Scholarship Category
Total No. of
Scholarships
1,694 (1,680)
Special Category
General
824 (832)
EnglishLanguage Prog.
Credit Transfer
610 (609)
120 (119)
Other
(Distinctive Prog.)
Total No./Special
Category Scholarships
140 (120)
870 (848)
*( ) = Scholarship Allocations for 2009~2010
Pie Chart 1. Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Classification – Overall Total (2). Scholarships
According to Classification: April 2010~March 2011 (Total: 1,694 Scholarships)
Credit Transfer
7%
General
49%
Englishlanguage Prog.
36%
Other
8%
Graph 1. Trends in Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Allocation According to Scholarship
Category. An Annual Comparison: April 2001~March 2011
-158-
短期留学部門
English,9 2) institutions participating in credit transfer,10
and private institutions, a shift in financial assistance to
and 3) institutions having devised “Other” programmes,
private institutions has become perceivable.12 Readily
a category which gives priority allocation to short-term
deducible from Table 3, is that in FY 2010, Nagoya
programmes with ‘distinctive features’. Two examples
University’s performance in the SESP scholarship
of such ‘special features’ comprise 1) advanced
allocation league was no more than mid-range. Even if
programmes at the graduate level and 2) consortium
one includes the “Global 30” bonus of ten scholarships
exchanges; this ‘Other’ category can be understood to
and nine “general” category scholarships, it received a
be flexible and discretionary. (Refer to Table 2, Pie
mere thirty-eight scholarship-assisted places.
Chart 1, and Graph 1).
As Table 4 reveals, in FY 2010, the winners of
Graph 1 provides a comparison of the overall
Government largesse were Keio, Osaka, Waseda, Tokyo
scholarship allocation according to classification since
Institute of Technology, and Tohoku. These institutions
FY 2001, when the categorisation of scholarships
appear to be attuned to MEXT policy drives, and have
commenced. The figures are revealing in that they
made efforts to devise or realign a number of exchange
denote a fairly abrupt shift in MEXT policy towards
programmes in order to fulfil SESP scholarship
‘special category’ scholarships in line with the concept of
allocation criteria. Needless to say, MEXT/JASSO
targeting foreign students as part of a ‘national strategy’.
methodology in allocating scholarships remains as
These ‘special category’ scholarships have increased
ambiguous as ever. An annual public report from MEXT
by 2.6% since last year, with the allocation of “Other
that unequivocally outlines its criteria for awarding
(Distinctive Programme)” scholarships up by 16.7%.
short-term student exchange scholarships, as well as
In contrast, ‘general’ scholarships, which as the name
explains the results of its allocation has for some years
suggests, are not project-oriented, and awardable to
been necessary.
any exchange student from a partner institution, have
2.Nagoya University’s Student Exchange Scholarships
witnessed a 1% decline.
(Inbound) for 2010-2011: A Breakdown
Table 3 presents, in order of rank, Japanese universities
Table 5 depicts the number of scholarships made
that have been successful in receiving SESP ‘special
available specifically to Nagoya University for FY 2010,
11
As can be gleamed, figures
divided into April and September admission periods.
cover not only national and public university
These figures include stipends received through the
corporations, but also private universities. Revealingly,
JENESYS and IAJ projects.
category’ scholarships.
and as Pie Chart 2 and Graph 2 demonstrate, in
accordance with MEXT’s publicly-announced policy of
Pie Chart 3 shows SESP and Global 30 scholarship
dividing scholarships more equitably between public
allocation for FY 2010 as divided by region.13 NUPACE’s
9
It was a Ministry of Education prod, urging the establishment at Japanese universities of programmes taught in English that initially
resulted in the establishment of Short-term Student Exchange Promotion Program (Inbound) scholarships. The percentage of
scholarships allocated to this particular category now comprises 36% of the total.
10
The ‘credit transfer’ scholarship category was formerly referred to as the UMAP category. It now not only encompasses UCTS (UMAP
Credit Transfer Scheme) but also ECTS (European Credit Transfer Scheme). Scholarships can only be allocated to institutions where
the utilisation of the above credit transfer schemes has been incorporated into student exchange agreements with partner institutions.
11
Data on SESP ‘general category’ scholarship allocation has not been made public since FY 2009.
12
Interestingly, the “Other” scholarship category is an exception to this trend.
13
JENESYS and IAJ scholarships are restricted to specific regions, and are thus not included in the chart.
-159-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Table 3. Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Allocation “Special Category”: Recipient Institutions
by Rank (April 2010~March 2011)
English-Language Programmes*
(Total 610 Scholarships)
Credit Transfer Programmes
(Total 120 Scholarships)
Other <Distinctive Programmes>
(Total 140 Scholarships)
1
Osaka U. <3 programmes> (43)
1
Tsukuba U. (15)
1
Tsukuba U. <2 programmes> (20)
2
Tohoku U. <2 programmes> (30)
1
Keio U. (15)
2
Tohoku U. (15)
3
Tokyo Inst. of Technology <2 programmes> (24)
1
Waseda U. (15)
2
Osaka U. (15)
4
Kanazawa U. <2 programmes> (22)
4
Tohoku U. (13)
4
Keio U. <2 programmes> (13)
5
Hokkaido U. (15)
5
U. of Electro-Communications <2 programmes> (9)
5
Waseda U. (12)
5
U. of Electro-Communications (15)
5
Hiroshima U. <2 programmes> (9)
6
Tokyo Inst. of Technology (10)
5
Nagoya U. <NUPACE> (15)
7
Freedom U. (8)
6
Okayama U. <2 programmes> (10)
5
Kyoto U. (15)
8
Yokohama National U. (7)
8
Gunma U. <3 programmes> (8)
5
Keio U. (15)
9
Nanzan U. (6)
9
Kumamoto U. <2 programmes> (5)
5
Waseda U. (15)
10
Sapporo International U. (5)
10
Chiba U. <2 programmes> (4)
5
Konan U. (15)
11
Kinjo Gakuin U. (4)
10
Niigata U. <3 programmes> (4)
12
U. of Tokyo (13)
12
Koshien U. (3)
10
Nagoya U. <Graduate School of
Environmental Studies> (4)
12
Tokyo Gakugei U. (13)
13
Akita International U. (2)
10
Kyushu U. (4)
12
Hiroshima U. (13)
13
Kyoto Institute of Technology (2)
14
Tokyo Medical and Dental U. (3)
12
Kyushu U. (13)
13
Shimonoseki City U. (2)
14
Kanazawa U. (3)
12
Senshu U. (13)
16
U. of Kitakyushu (1)
14
Tokushima U. (3)
12
Rikkyo U. (13)
16
Keisen U. (1)
17
Miyagi U. of Education <2 programmes> (2)
12
Kwansei Gakuin U. (13)
16
Toyama U. of International Studies (1)
18
Tokyo U. of Agriculture & Technology (1)
19
Meiji Gakuin U.** <2 programmes> (12)
16
Meijo U. (1)
18
Hyogo U. of Education (1)
20
Otaru U. of Commerce (11)
16
Kyoto Notre Dame U. (1)
18
U. of Miyazaki (1)
20
Hirosaki U. (11)
18
Kagoshima U. (1)
20
Chiba U. (11)
18
Tokyo U. of Science (1)
20
Niigata U. (11)
20
Fukui U. (11)
20
Kumamoto U. (11)
20
Oita U. (11)
20
Akita International U. (11)
20
Nihon U. (11)
20
Hosei U. (11)
20
Osaka Gakuin U. (11)
20
Hiroshima U. of Economics (11)
20
Seinan Gakuin U. (11)
33
Akita U. (9)
34
Tsukuba U. (8)
34
Saitama U. (8)
34
Tokyo U. of Foreign Studies (8)
34
Yokohama National U. (8)
34
Saga U. (8)
34
U. of the Ryukyus (8)
34
Tokyo International U. (8)
34
J.F. Oberlin U. (8)
34
Musashi U. (8)
34
Kansai Gaidai U. (8)
44
Iwate U. (6)
44
Yamagata U. (6)
44
Tokyo U. of Agriculture and Technology (6)
44
Okayama U. (6)
44
Nagasaki U. (6)
44
Hokusei Gakuen U. (6)
44
Bunkyo Gakuin U. (6)
44
Josai International U. (6)
52
Nagoya U. of Foreign Studies (3)
*Numbers in parentheses ( ) indicate scholarship allocation
-160-
**Italics indicate private institutions
短期留学部門
Pie Chart 2. Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Allocation (“Special Category”) According to Type
of Institution (April 2010~March 2011)
Graph 2. Student Exchange Support Program <SESP> Scholarship Allocation (“Special Category”) According to Type of
Institution (April 2010~March 2011)
Table 4. Institutions oriented towards MEXT’s International Student Exchange Strategy – Top 15 Ranking Determined by
1) Total Number of “Special Category” and 2) “Global 30” Scholarships Allocated (April 2010~March 2011)
Rank
Institution
1
1
3
3
5
6
6
8
9
9
11
12
13
14
14
Tohoku U.
Osaka U.
Tsukuba U.
Keio U.
Waseda U.
Tokyo Inst. of Technology
Kyushu U.
Nagoya U.
Kanazawa U.
Kyoto U.
U. of Electro-Communications
U. of Tokyo
Hiroshima U.
Okayama U.
Kumamoto U.
Total No. of Special
Category Scholarships
58 (37) ↑
58 (47) ↑
43 (32) ↑
43 (55) ↓
42 (42) ⇔
34 (37) ↓
24 (17) ↑
19 (22)↓
25 (15) ↑
15 (15) ⇔
24 (24) ⇔
13 (12) ↑
22 (19) ↑
16
16
Global 30 Scholarships
Total
10 (10)
10 (10)
10 (10)
10 (10)
10 (10)
–
10 (10)
10 (10)
–
10 (10)
–
10 (10)
–
–
–
68
68
53
53
52
34
34
29
25
25
24
23
22
16
16
( ) Rank/Special Category Scholarship Allocations for 2009~2010
-161-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Table 5. Short-term Student Exchange Scholarships (Incoming) for FY April 2010~March 2011: Nagoya University
Scholarships Awarded
Breakdown
MEXT (SESP)
MEXT (Global 30)
MOFA (JENESYS)
IAJ
Apr
8 (8)
3 (–)
2 (1)
1 (1)
Sep
16 (16)
7 (10)
3 (4)
1 (1)
24 (24)
10 (10)
5 (5)
2 (2)
Total
( ) = Figures for 2009~2010
Pie Chart 3. Student Exchange Support Program <SESP> and “Global 30” Scholarship Breakdown by Region: April
2010~March 2011 (Total: 34 Scholarships)
Europe &
Oceania
32%
Asia
50%
Americas
18%
formula for dividing these scholarships amongst regions
14
A comparison with last year’s figures demonstrates that
For the purpose of
the number of NUPACE participants rose by 9%, from
dividing scholarships equitably, applications from
seventy-eight to eighty-five. Compositionally, Europe’s
Australia have, as of FY 2008, been integrated with
portion of the pie increased by 8%, and that of Asia,
Europe and, as of FY 2009, those from South America
Oceania, and South America, by 1%, respectively. By
with North America.
contrast, students from institutions in North America
has been effective as of 2006.
dwindled from 26% to 19% of the total NUPACE student
C. NUPACE: Incoming Exchange Student
Composition
count.
The regional composition of incoming students over
Now moving onto actual exchange student admission to
NUPACE’s twelve-year lifespan is depicted in Graph
Nagoya University, this section of the report illustrates
3. Whilst the total annual intake of students has during
NUPACE student composition, commencing with the
this period has increased by 57%, the reader will
regional breakdown of students who came to Japan to
note significant regional trends. Strong growth in the
participate in NUPACE in FY 2009.
student intake from Asia is expected to continue, and
Europe and North America, too, although periodically
14
NUPACE Formula for Calculating Regional Scholarship Allocations:
1. The number of scholarships, as received over the past three years for the respective admission period, and divided according to
region, is totalled and the average calculated. The percentage of scholarships allocated to each region is thus deduced.
2. The number of valid applications, as received for the respective admission period, and divided according to region (Asia, Europe,
North America, Oceania), is totalled. The percentage of valid applications from each region is thus deduced.
3. T
he results of ‘1’ and ‘2’ are added together and divided by two, with the consequent ratio between Asia, Europe, North America, and
Oceania determining regional scholarship allocations for the upcoming academic year.
-162-
短期留学部門
Pie Chart 4. NUPACE Students by Region of Home Institution: April 2009~March 2010 (Total: 85 Students)
Graph 3. Students by Region of Home Institution: February 1996~March 2010 (Total: 833 Students)
fluctuating, are registering a steady increase.
indirectly by the Japanese Government (i.e., MEXT-
Conversely, it is obvious that Nagoya University needs to
controlled Student Exchange Support Program
spend more resources on nurturing the South American
<SESP>, JENESYS, and Interchange Association Japan
student market.
<IAJ> scholarship-funded students) in relation to
independently-financed15 students for FY 2009.16
Table 6 summarises data on the ratio of NUPACE
students supported financially either directly or
15
With a copious number of scholarships accrued through
Not all independently-financed students are entirely self-supported. A certain number receive some form of financial assistance from
their home institutions or other organisations, although NUPACE is not aware of the extent of this assistance.
16
The vast majority of NUPACE students are enrolled at institutions with which Nagoya University, or a School of Nagoya University,
has concluded a tuition-waiver agreement. Hence, independently-financed students do not, in principle, pay tuition fees to this university. They are responsible for bearing the cost of maintenance only.
-163-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Table 6. NUPACE Students by Source of Funding: April 2009~March 2010 (Total: 85 Students)
April 2009 Admission
Region
18
September 2009 Admission
Selffinanced
SESP
(JASSO)
JENESYS
Asia
5 (6)
2 (1)
1 (0)
Europe
1 (2)
(–)
(–)
IAJ
Supple­
mentary
Budget
17
Regional Sub-Total
Selffinanced
SESP (JASSO)/
G30/SB/
JENESYS/IAJ
SESP
(JASSO)
Global 30
4 (6)
8 (12)
2 (–)
13 (–)
3 (1)
1 (1)
4 (14)
35 (21)
8 (20)
1 (1)
4 (7)
4 (–)
8 (–)
(–)
(–)
4 (5)
17 (9)
5 (6)
JENESYS
IAJ
Selffinanced
N. America
2 (3)
(–)
(–)
4 (8)
3 (5)
4 (–)
3 (–)
(–)
(–)
0 (4)
12 (8)
4 (12)
S. America
0 (0)
(–)
(–)
0 (0)
0 (0)
0 (–)
0 (–)
(–)
(–)
1 (0)
0 (0)
1 (0)
Oceania
Total
2 (1)
(–)
(–)
0 (1)
1 (0)
0 (–)
0 (–)
(–)
(–)
0 (1)
3 (1)
0 (1)
8 (12)
2 (1)
1 (0)
11 (16)
16 (24)
10 (–)
24 (–)
3 (1)
1 (1)
9 (23)
67 (39)
18 (39)
( ) = Figures for 2008~2009; total: 78 students
Graph 4. NUPACE Applications in Relation to Student Exchange Support Program (SESP) and “Global 30” 19
Scholarships: February 1996~March 2011
Data for ‘NUPACE Applications Received’ does not include applications which were withdrawn voluntarily prior to the
convening of the respective Nagoya University Student Exchange Committee.
MEXT’s supplementary budget (see introduction of this
SESP, “Global 30”, JENESYS, IAJ, or supplementary
report), it needs to be pointed out that FY 2009 can only
budget funding. It should be noted that, as “Global
be regarded as an anomaly with respect to Government-
30” and supplementary budget funding only became
funded scholarships. In fact, if one wishes to gauge
available in autumn 2009, a large discrepancy exists
general funding trends, then these statistics should be
between the ratio of scholarship receipt in the two
disregarded altogether.
admission periods.
For the record, in FY 2009, 79% of the eighty-five
As concerns the number of applications received, FY
exchange students admitted to NUPACE benefited from
2010 witnessed a return to lower levels. This should not
17
追加予算
18
Two students, one from Asia and one from Oceania, received supplementary SESP scholarships from the third term (January to
March) of their one-year exchange at Nagoya University. In Table 6, these students are counted as having received scholarships.
19
As of FY 2009. The twenty-four scholarships accrued to NUPACE in FY 2009 as a result of the MEXT supplementary budget comprise
an exceptional and unforeseeable phenomenon, and are not included in Graph 4. JENESYS and IAJ scholarships are also excluded due
to the unpredictability of allocation.
-164-
短期留学部門
be deemed a reflection of the reduced popularity of the
In two separate missions to Asia and Europe, academic
programme; fewer applications are attributable to 1)
exchange agreements were concluded (or are currently
more consistent communication between Nagoya and its
in the process of being concluded) with eight reputable
partner universities, with the latter being categorically
seats of higher education, including the University
informed of NUPACE’s numerical limitations; and,
of Hong Kong, Uppsala University, the University of
2) more active involvement on behalf of partner
Bologna, and University of Barcelona.
institutions, in the selection of exchange candidates. As
highlighted in Graph 4, in FY 2009, NUPACE received
But despite the flurry that comprised FY 2009, not all is
121 applications relative to a pool of thirty-four SESP
well. Whilst NUPACE student intake remains healthy,
and “Global 30” scholarships. Generally, less than one
MEXT’s exchange scholarship allocation to Nagoya
NUPACE applicant in three has the potential to benefit
University for FY 2010 proved numerically mediocre,
from an award.
to say the least. Nagoya is being left behind in the
SESP scholarship hunt, by universities such as Osaka,
Tsukuba, and notably Tohoku; institutions proving to
D. Concluding Observations
be more aggressive and astute in aligning themselves
By most indicators, NUPACE fared relatively well in
to Government drives. NUPACE has become confident
2009~2010. Student numbers rose by 9% overall, with
(and possibly complacent) about the scale and content
a marked and welcome increase from Europe. The
of the programme it offers. It has become sluggish in
programme also benefitted from certain perks resulting
attuning itself to a strategically-minded, but arguably
from Nagoya University's selection as a “Global 30”
underdeveloped and bureaucratic SESP scholarship
hub. Not only were bonus scholarships on the offering,
allocation scheme (in particular the ‘Other’ programme
but, more importantly, the extant student exchange
category, devised by the MEXT/JASSO alliance).
organisation (inbound and outbound) was reinforced
through the employment of two full-time administrative
20
staff members.
In FY 2011 NUPACE will celebrate the fifteenth
anniversary of its establishment. At this point in time
it will probably have hosted a total of 1,000 exchange
On another positive note, the programme lobbied
students, ample testimony to the popularity and
successfully to increase its priority allocation of student
success of the programme. Indeed, on the virtual
housing from sixty to eighty units, effective as of autumn
level, a NUPACE community numbering hundreds
2010. It is anticipated that most, if not all NUPACE
exists on Facebook alone. The quality of Nagoya
students will be housed in dormitories. Undeniably,
University’s short-term student exchange programme
this development will ease the administrative burden
is beyond doubt, and applications from self-supporting
for the NUPACE Office, which in September 2009 was
participants continue to increase. However, it is not
compelled to accommodate fourteen NUPACE students
clear what comprises, or even whether there is, a next
in university-leased private flats.
stage.21
In FY 2009, NUPACE also proved internationally active.
20
These are designated “Global 30” positions. Employment is of a term-limited nature, and is set to expire with the termination of the
“Global 30” initiative in 2014.
21
Feedback to this article should be addressed to the author at [email protected].
-165-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Appendix 1. NUPACE Students by Region of Home Institution: February 1996~March 2010 (Total: 833
Students)
Appendix 2. NUPACE Students by Country of Home Institution: February 1996~March 2010 (Total: 833
Students)
Appendix 3. Institutions Sending Exchange Students to NUPACE: February 1996~March 2010
Region
Asia
436 Students;
52% of Total
Country
Cambodia
Institution
Royal University of Phnom Penh
China (PRC)
Beijing 2nd Foreign Language Institute
Beijing University of Technology
Central South University of Technology
China University of Political Science and Law
East China Normal University
East China University of Political Science and Law
Fudan University
Harbin Institute of Technology
Huazhong University of Science & Technology
Jilin University
Nanjing University
Nanjing University of Aeronautics and Astronautics
Northeastern University
Peking University
Shanghai Jiaotong University
Tongji University
Tsinghua University
University of Science and Technology of China
Xi’an Jiatong University
-166-
Agreement with
*University-wide
(graduate students only)
*Languages & Cultures
*Engineering
*Engineering
*Law
*Education
*Law
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Engineering
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
No. Admitted
1
9
19
7
7
8
4
12
1
6
15
13
1
7
7
4
3
10
1
3
短期留学部門
Region
Country
India
Indonesia
Korea (ROK)
Mongolia
Philippines
Taiwan
Thailand
Uzbekistan
Europe
188 Students;
23% of Total
Vietnam
Austria
Belgium
Denmark
France
Germany
Poland
Russia
Sweden
United Kingdom
N. America
180 Students;
22% of Total
Canada
USA
Oceania
27 Students;
3% of Total
Australia
S. America
2 Students
5 Regions
Brazil
24 Countries
Institution
Zhejiang University
University of Poona
Bandung Institute of Technology
Diponegoro University
Gadjah Mada University
Padjadjaran University
Surabaya University
Chungnam National University
Ewha Women’s University
Gyeongsang National University
Hanyang University
Korea Maritime University
Korea University
Kyung Hee University
Mokpo National University
Seoul National University
University of Seoul
National University of Mongolia
University of the Philippines, Los Banos
National Chengchi University
National Taiwan University
National Tsing Hua University
Chulalongkorn University
Kasetsart University
Tashkent State Institute of Law
University of World Economy & Diplomacy
Hanoi University of Technology
Johannes Kepler University of Linz
Medical School of Vienna
Institut Supérieur de Traducteurs et Interprètes, Brussels
University of Copenhagen
École Nationale des Ponts et Chausées (ENPC)
École Normale Superiéure de Lyon (ENS Lyon)
Les Universités de Grenoble
Université Lyon III – Jean Moulin
Université Paris IV – Sorbonne
Université Paris VII – Denis Diderot
Université de Strasbourg
Technische Universität Braunschweig
Technische Universität Chemnitz
Technische Universität München
University of Freiburg
Medical University of Gdansk
Warsaw University of Technology
Moscow State Institute of Engineering Physics
Moscow State University
Russian Academy of Science, Siberian Division
Lund University
University of Bristol
University of London – SOAS
University of Manchester
University of Sheffield
University of Warwick
Toronto University
York University
Green Mountain College
Harvard University
Johns Hopkins University
North Carolina State University
New York University
St. Olaf College
Southern Illinois University at Carbondale
University of California, Los Angeles
University of Cincinnati
University of Illinois (Urbana-Champaign)
University of Kentucky
University of Michigan
University of Minnesota
University of Pennsylvania
Australian National University
Macquarie University
Monash University
University of Adelaide
University of South Australia
University of Sydney
University of Brasilia
University of São Paulo
96 Institutions
-167-
Agreement with
*University-wide
University-wide
*University-wide
*Education
*University-wide
*Letters
*University-wide
*Economics
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Engineering
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Law
*University-wide
*GSID
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Law
*University-wide
*Law
*Medicine
*Languages and Cultures
*University-wide
*University-wide
Science/*Information Science
*University-wide/*Letters
*University-wide
*Letters
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Medicine
*Engineering
*Engineering
*Information Science
*Agricultural Sciences
*Law
*University-wide
*University-wide
*Science
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Law
Medicine
*Medicine
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*Engineering
*University-wide
*Medicine
*University-wide
*GSID
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
*University-wide
(* denotes tuition waiver)
No. Admitted
13
2
5
1
27
6
7
19
16
55
7
2
24
1
21
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3
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15
17
5
1
18
14
8
19
3
5
2
5
5
3
2
10
1
1
833 Students
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
Appendix 4. NUPACE Academic Programme 2010~2011: An Overview
Japanese Language Programme
Standard Course (1~5 credits):
Intensive Course (2~10 credits):
Elementary Japanese I ~ Advanced Japanese (7 levels)
Elementary Japanese I ~ Intermediate Japanese II (6 levels)
Introductory Courses Taught in Japanese
2 credits each
Global Society I, II <J> (A/S)
Introduction to Japanese Language and Culture I, II <J> (A/S)
Introduction to Japanese Linguistics I, II <J> (A/S)
Introduction to Japanese Society and Culture I, II <J> (A/S)
Introduction to Linguistics I, II <J> (A/S)
Japan Area & Intercultural Studies
2 credits each
A Multicultural Approach to Contemporary Issues (A)
Contemporary Japanese Society (S)
Introduction to Japanese Politics (S)
Science and Technology in Japan (A)
Courses in the Student’s Major
2 credits each
EcoTopia Science Institute
Motor Control and Information Processing in the Biological System <G> (A)
Education Ctr. for Int’l Students
Immigration in Japan: A Socio-legal Perspective (S)
Agricultural Sciences
Introduction to Bioagricultural Sciences (A)
Economics
Development Economics (S)
Income Theory and Applications (A)
Price Theory and Applications (S)
Education
Disney as Cultural Teacher (S)
Education in Japan (S)
Engineering
Civil Engineering and Policies for Developing Countries II (A)
Introduction to Applied Physics, Materials and Energy Engineering (S)
Introduction to Chemical and Biological Industries (S)
Introduction to Civil Engineering and Architecture (A)
Introduction to Production Engineering (S)
Overview of Adv. Elec., Electronic, and Information Engineering (A)
Environmental Studies
Biological Resource Management Policies (A)
Biological Resource Management Projects (A)
Climate Change Policies (A)
English Communication in Environmental Issues (S)
Environmental Industry Systems (A)
Environmental Systems Analysis and Planning (S)
Introduction to Biodiversity Conservation Projects (S)
Low Carbon Cities Studies (S)
Planning and Design Studio for Historical Environment <G> (A)
Practice in Biological Resource Management (A)
Seminar on Precipitation Climatology A (A)
Studio Workshop of Architecture Design <G> (A)
Sustainability and Environmental Studies (A)
The International Environment, Politics & Diplomacy <G> (A)
Theory of Environmental Resources Management (S)
Water and Waste Engineering (A)
Water and Waste Management Policies (S)
International Development
Human Security and Law (A)
International Co-operation Law (S)
Introduction to International Development (S)
Japan’s Development Experience (A)
Participatory Rural Industry Promotion (A)
Languages & Cultures
Introduction to Sociolinguistics b (A)
Introductory Studies in International Culture b: Map Appreciation (A)
Seminar in the Geography of Religion: Raja Yoga (S)
Law
Politics and Law in Japan (A)
Selected Graduate School of Law courses (A/S)
Letters
Iconicity in Language and Literature (A/S)
Mathematics
Perspectives in Mathematical Sciences I, II (A/S)
Medicine
Clinical Practice (Clerkships) (A/S)
Basic Research Laboratory Experience (A/S)
Public Health Research Laboratory Experience (A/S)
Science
Advanced Quantum Chemistry (A)
Special Lecture on Advanced Chemistry 9 (S~A <Intensive Lectures>)
Others
Guided Independent Study (GIS)
Regular courses available to all degree-seeking students <J>
<J> = Taught in Japanese <G> = Graduate Students Only (A) = Autumn Semester (S) = Spring Semester
-168-
短期留学部門
交換留学生との交流活動における教育的機会の検討
―「内地雑居」がもたらす学びの可能性―
短期留学部門
北
山
夕
華
かつて留学生として来日し,現在は東京大学で日本文
はじめに
学の教鞭をとるロバート・キャンベル氏は,大学の国
2009年度の交換留学プログラム(以下 NUPACE と
際化の趨勢においてもこうした「出島」の中で留学生
表記)への参加者は計85名にのぼり,これは NUPACE
が孤立化してしまう可能性を指摘している2。
の発足以来過去最多である。また,2009年度名古屋大
学位取得のために来日しない交換留学生にとって
学は国際化拠点事業(G30)に採択され,交換留学も
は,留学から得るものは授業によってだけではなく,
今後さらなる活性化が期待されている。こうした大学
日本人学生や他国・他地域からの学生との交流や,そ
の国際化においては質の高い授業・研究環境の提供に
こで出会う多様な価値観から学ぶものも大きい。ま
加え,留学生と日本人学生との交流,さらに地域レベ
た,こうした大学の国際的な環境から恩恵を受けるの
ルでの国際交流の促進もより重要になってくる。本稿
は日本人学生もしかりである。そのため,NUPACE で
では交換留学生の学内および学外における交流活動を
は日本人学生との混住寮への留学生の入居や国際学生
概観し,留学生がもたらす異文化交流を通じた学びの
交流グループとの協力など,学生交流の活発化を積極
1
可能性について若干の考察を試みたい 。
的に推進してきた。
交換留学における異文化交流活動の必要性
学内外における交流活動
交換留学プログラムである NUPACE の応募には,
NUPACE オフィスが関わる学生交流活動には,ま
英語あるいは日本語において一定の語学能力資格を満
ずヘルプデスクが挙げられる。ヘルプデスクは有志の
たしていることが条件となっている。交換留学生に対
在学生による新規受入れ留学生を対象とした留学生支
しては特に必修科目はなく,英語による授業のみで必
援活動で,当時の助教の呼び掛けにより2005年に立ち
要単位を取得することも可能である。そのため,名大
上げられた3。活動の中心は新規受入れ学生の来日か
の留学がアジア圏からの留学者が全体の8割を超え圧
ら3週間の相談・案内活動であるが,その後の継続的
倒的多数を占めるのに対し,NUPACE だけを見ると
な交流活動としてのイベントの企画,コミュニケー
アジア圏からは約5割で,2割が北米,約4分の1が
ションノートやホワイトボードを使ったメンバー間の
欧州からの参加者となっており,アフリカからの応募
意思疎通・情報交換の強化など,試行錯誤を繰り返し
者がいないことを除けば多様な地域から参加者が集
ながら留学生へのより効果的なサポートと学生交流の
まっているといえる。一方,英語での授業にのみ参加
活発化を目指して進めてきた。ヘルプデスクは交換留
する学生にとっては,日本人学生とほとんど接触する
学生の来日に合わせて活動をしているが,春学期は交
ことなく学生生活を送れてしまう側面もある。自身も
換留学生だけでなく学部や大学院に正規留学する留学
1
なお,取り扱う事例はいずれも短期留学部門が何らかの形で関わっているために状況を把握しているものである。それ以外の活
動に個々の学生が関わっている可能性は考えられるが,今回の報告には含まれていない。
2
『国際人流』2009年12月号,11-13頁。
3
詳しくは山田直子(2009)「学生による留学生支援の可能性―ヘルプデスクの活動をとおして―」『名古屋大学留学生センター紀
要第7号』144-146頁,筆内美砂(2007)「10年目の区切りに―2006年度生の動きと活躍」『名古屋大学留学生センター紀要第5号』
130-132頁を参照。
-169-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
生も来日しており,こうした学生がデスクを訪れるこ
とも多くみられた。G30の採択により今後学部留学生
の増加が予想されるが,このような学生による留学生
支援活動を広げていくことは,より在学生のニーズに
沿った留学生支援・学生交流の両面において有効であ
ろう。
他 に は, 学 部 学 生 が 主 体 の 異 文 化 交 流 サ ークル
ACE,留学生相談室がコーディネートし,有志の学
生の運営による文化交流イベントであるコーヒーア
ワーや,外国語を使ったコミュニケーションの場を提
供するランゲージシャワーなども,留学生と日本人学
生の交流をめざすものである。また,留学生が主体と
徒教育の一環として,附属小学校は「言語保持活動」,
なっている名古屋大学留学生会(NUFSA)も国際交
附属中学校は「外国語補充」として,生徒が在留国の
流イベントを開催するなど,現在名大においては複数
言葉を使って会話する機会を設けている。NUPACE
の団体が文化交流活動に関わっている。これらの団体
には,この「言語保持活動」と「外国語補充」対する
は基本的には個別に活動を行なっていたが,2009年度
留学生派遣の依頼があった。本年度は小学校に対して
には各団体間のネットワーク構築が図られ,「Nagoya
は6月26日,11月23日,3月11日の計三回にのべ11名,
University Global Network」として多文化共生のキャ
中学校へは6月2日,11月10日,2月12日の計三回に
ンパスづくりをめざして有機的でより緊密な連携を築
のべ20名の留学生を派遣した。
4
いてきている 。
6月の第一回目の派遣は,帰国学生クラスの小・中
学外における交流活動については,特に外部からの
学生の多くがネイティブレベルの英語あるいは在留国
要望があった場合に NUPACE オフィスで内容を検討
の言語を(本年度はドイツ)話すことを考慮し,ネイ
し,適宜対応している。2009年度に NUPACE オフィ
ティブスピーカーの留学生を優先した。しかし,活動
スから学生に呼び掛けたものには,生協主催の語学研
が平日の昼間にあるために十分な留学生の人数が集ま
修相談会(5月23日,韓国からの学生1名が参加),名
らないことがあり,TOEFL 高得点者など英語能力の
古屋英語教員スタディグループ主催のキャンプに5名
高い非ネイティブ学生にも声がけした結果,11月以降
(12月12・13日,同アメリカ2名,オーストリア1名,
の参加者はのべ21人中12名が英語を第二言語とする留
ブラジル1名,オーストラリア1名),6月・11月・2
学生となった。たとえば11月23日の附属小学校への派
月・3月に行われた愛知教育大学附属小学校と中学校
遣は,4人中3人が非ネイティブ学生(ウズベキスタ
における帰国生徒クラスへののべ21名の学生の派遣が
ン・中国・台湾)となったが,実施後に担当教員の方
ある。中でも,愛知教育大学附属小学校・中学校の帰
から大変好評だったとの旨の報告を受けた。活動は基
国生徒教育には前任助教の時から継続的に学生を派遣
本的に子どもたちとのフリートークであるため学校側
してきており,学外における交流の事例として以下で
からは特に準備についての要望はなかったが,後から
詳細を取り上げたい。
聞いたところ学生たちは出身地の写真や民族衣装など
自分の出身地を紹介する物を持って行っていたのだそ
愛知教育大学附属小・中学校の帰国生徒教育への
学生派遣
うである。子どもたちにとっては英語を使うだけでな
く,留学生の出身地域について学生本人から学ぶ機会
にもなり,学校側にも大変満足のいく時間となったと
愛知教育大学附属小学校・中学校は長年にわたって
のことであった。これを受け,その後の活動には非ネ
帰国生徒教育に取り組んでいる学校で,現在は各学年
イティブ学生も積極的に派遣するようにした。その結
に15名までの帰国生徒を受け入れている。この帰国生
果,図1・2にみられるように,NUPACE への留学
4
各団体の活動およびネットワークについては『名古屋大学国際交流グループ 2009年度活動報告書』に報告がまとめられている。
-170-
短期留学部門
く,国際語あるいは世界言語として捉え,多種多様な
ブラジル,
2
英語のあり方をそれぞれ正当なものとするものであ
アメリカ,
6
オーストラリア,
3
る。英語はいまや世界中いたるところで使用されてい
台湾,1
る。インドやシンガポールのように公用語や準公用語
カナダ,
1
中国,1
として使用されている場合や,さらに学校教育で外国
語として英語を学習した人々を含めると,英語使用者
インドネシア,
4
イギリス,
5
は全世界で20億人,実に世界人口の三分の一に達す
ウズベキスタン,
1
フランス,
1
スペイン,
2
る5。一方,日本の英語教育は英語の中でもある特定
の文化圏・国における英語,特にアメリカ英語を中心
ドイツ,
4
としてきた6。近年は国際言語として英語をとらえ直
図1 出身国別の派遣学生数
す動きがあるとは言え,依然としてこうした傾向があ
ることは否めない。
近年,グローバルな人口移動がより活発化し,地域
南米
オセアニア 6%
において海外にルーツを持つ住民が多く暮らすこと
北米
22%
10%
や,あるいは留学や仕事のために海外に出ることがよ
り身近になりつつある。こうした中では,アメリカで
アジア
23%
主流とされる発音をより忠実に再現できるようになる
ことよりも,自分とは異なる文化的背景を持つ人びと
ヨーロッパ
39%
相手に自らを表現し,コミュニケーションを可能とす
る国際言語を身に付けることの方がはるかに重要であ
る。様々な英語のありように気付き,またそれを使っ
図2 出身地域別の派遣学生の割合
てコミュニケーションを図る機会の増加は,留学生と
の交流がもたらす有効な教育的機会と言えるだろう。
条件よりも高い英語能力の学生を選んで呼び掛けたに
もかかわらず,計6回の活動に参加した学生は非常に
バラエティに富む構成となった。
コミュニケーションの道具を超えて
授業の目的が帰国子女の語学能力の保持であったた
外国語,特に英語の能力は,コミュニケーションの
めに,こちらも当初はネイティブレベルの言語能力に
ための「ツール=道具」あるいは経済競争のなかで自
とらわれがちであった。しかし蓋を開けてみれば,帰
分の商品価値を高めるための「スキル=技能」として
国生徒たちは多様な背景を持つ留学生に関心を持ち,
しばしば捉えられ,多くの学習者の強い動機付けと
留学生自身が学びの源となっていた。これが交換留学
なっている。実際こうした考えは,日本の言語教育の
生の学内外における交流活動に示唆するものについ
政策と実践においても深く浸透していると言える。そ
て,少し考察を深めたい。
れに対し,言葉には単なる道具や技能としての役割を
超え,人間の生活に深く根ざしそれを媒介・形成する
という機能がある。佐藤学はこれについて「言葉は行
World Englishes という視点から
動の意味を構成する経験であり,モノやコトを媒介す
‘World Englishes’という言葉がある。イギリスや
る絆であり,生活世界を構成し社会を組織する絆であ
アメリカといった特定の国の言語としての英語ではな
る。人は言葉によって人となり社会を形成している」
5
Crystal, D.(2003)English as a Global Language, Cambridge University Press.
6
津田幸男編著(1994)『英語支配への異論』第三書館。
7
佐藤学(2009)「言語リテラシーの政治学」,マイケル・W・アップル他編著『批判的教育学と公教育の再生―格差を広げる新自
由主義改革を問い直す』,39-55頁。
-171-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
と表現している7。
附属中学校にオーストラリアからの留学生を派遣し
おわりに
た際,中学生たちが彼をみて当初驚いたという。その
本国の大学に在籍したまま名大で学べ,日本語能力
学生はオーストラリアで生まれ育っているが,両親が
がなくても参加できる NUPACE は比較的多様な地域
カンボジア難民であるためにアジア系の風貌をしてお
からの参加者の受け入れを促進する一方,日本人学生
り,中学生がイメージしていた姿,すなわち「白人オー
との接触がないままで「出島化」してしまう可能性も
ストラリア人」ではなかったためである。この帰国生
孕んでいる。こうした状況は,英語授業の履修のみで
徒授業に参加した学生には,他にインド系イギリス
学位が取得できる G30のコースにおいても同様のこと
人,中国系アメリカ人,中国系インドネシア人,日系カ
が考えられる。グローバル化時代において,本学の学
ナダ人といった本国ではマイノリティにあたる者も多
生にも国際市場で活躍するスキルが必要とされてきて
い。教科書やマスメディアを通じてグローバルな人口
おり,G30の取り組みによりその習得・強化の機会の拡
移動やそれに伴う社会の多文化化などが伝えられてい
大が期待される。さらにそれは,国際言語として英語
るが,こうした学生はまさにそうしたポストモダン社
を使うことを通じて多様な価値観や異文化と出会い,
会のダイナミクスを体現していると言える。また,留
より豊かな意味での国際化を体感していくことを含意
学生には日系人や両親のどちらかが日本人といった形
している。こうした点において,留学生の受け入れプ
で日本にルーツを持つ者も多い。同様に,帰国生徒た
ログラムが「出島」とならず,日本人学生を含めた多
ちも海外で生まれ育ったり,日本人とのハーフであっ
様な背景を持つ学生の出会いの場となることの意義は
たりする子どもたちである。かれらが話す英語あるい
きわめて大きい。名大の国際化に取り組むにおいて,
は他の言語は無味乾燥な単なる道具的言語ではなく,
NUPACE 担当コーディネーターとしても,学内外に
自身の背景や経験,アイデンティティに根ざし,それ
おける異文化交流活動を促進し,「内地雑居」を通じ
らを形成してきたものであり,またそれらそのもので
た出会いと学びの一助となればと考えている。世界中
ある。
からやってきた留学生と日本人が共に学ぶキャンパス
で,学生たちがグローバルな世界観や人々の多様性に
触れる扉をたたいてくれることを期待している。
-172-
短期留学部門
NUPACE Office の専任職員として半年の活動を振り返って
国際交流協力推進本部
交換留学担当専任職員(グローバル30特任職員)
牧
原
弘
昌
務の見直し,効率化,増強が求められていた。
1.はじめに
このような中で,着任した直後から関わった緊急案
名古屋大学が,平成21年7月に文部科学省「国際化
件が借り上げ民間アパートへの対応であり,国際学生
拠点整備事業(グローバル30)」の初年度採択大学(13
交流課事務職員らと連携しながら,下記に詳述するよ
大学)の一つに選ばれた結果,名古屋大学の「グロー
うに,様々な対応にあたった。そして,この半年間の
バル30」(5年計画)に盛り込んだ国際化のための様々
主な職務内容は,新規渡日学生の受入れ業務,在籍す
な取り組みが始動することとなった。平成21年4月時
る NUPACE 学生の様々な相談に対する窓口業務,履
点で1,300名の留学生受入数を平成32(2020)年度まで
修管理等教務,相談への対応,そして平成22年春受入
に3,000名に増やす計画とし,5分野(自動車工学,物
れ及び秋受入れ応募書類の確認,問合せ対応等であっ
理,化学,生物,社会科学)で英語による学部学位取
た。
得プログラムや9分野の英語による修士・博士プログ
名古屋大学短期留学プログラム NUPACE の学生数
ラムを2011年秋より新たに開設する。さらに,学術交
は,一学期あたり約80名までに増加しており,学生の
流協定大学との交換留学の一層の推進のため,「名古
滞在中だけでなく無論来日前・来日後の事務作業の増
屋大学短期交換留学受入れプログラム(NUPACE)」の
加・複雑化も顕著になっている。これらの作業を担当
受入れ数も平成20年度78名の実績から,平成32(2020)
しておられる2名の事務補佐の方に加え,筆者が平成
年度までに150名に増加させ,同時に派遣留学も平成
21年9月より留学生センターの短期留学部門に国際交
20年度50名を140名に増加させる計画が加えられた。
流協力推進本部所属の「交換留学プログラム専任職
このような背景から,グローバル30プロジェクト予
員」の形として加わり,過去15年の NUPACE の歴史
算に基づき,平成21年9月から交換留学の受入れおよ
で,最大の受け入れ人数となった平成21年,22年度の
び派遣を具体的に推進するために2名の専任職員が採
NUPACE のプログラム運営に参加している。
用され,筆者はそのうちの1名として留学生センター
の短期留学室に加わった(もう1名は海外留学プログ
ラム・マネージャーとして留学生センター・海外留学
3.借り上げアパート対応
名古屋大学では,平成21年度まで留学生が優先的に
室に加わった)。
入居できる大学宿舎(総称して国際交流会館)は,イ
ンターナショナル・レジデンス,留学生会館,国際嚶
2.主な担当職務
鳴館(日本人学生との混住寮),猪高宿舎を合わせて
NUPACE は,全学的な協力体制の下で,プログラ
も,約200室程度であり,平成21年11月時点の留学生
ムの計画・立案,応募者対応・選考,学生受入・履修
数1550名の1割強しか入居できない状態である。従っ
管理等教務,各種相談等の様々な実質的業務を,留学
て,これまでの入居ルールとして,新規渡日者を優先
生センター短期留学部門3名の教員と国際学生交流課
し,原則として半年の入居期間しか認められないとし
事務職員,そして短期留学室の事務補佐員で担ってき
ている。ただし,1年以内の滞在期間のプログラムに
ていた。しかし,年々応募者数も受入れ数も増加する
参加する留学生は,優先枠の範囲内で1年間の入居が
中で,様々な面で限界点に達してきており,今後の10
認められる形となっていた。
年間でさらに受入れ数を倍増させるために,多くの業
平成19年度までは,新規渡日者がほとんど大学宿舎
-173-
名古屋大学留学生センター紀要 第8号
に入居できる形で推移していたが,平成20年度後期か
らを分かりやすく説明するため,地図や図表を加えた
ら,
「中国政府国家建設高水平大学公派研究生」の学生
プリントを日本語版・英語版の両方作成し E メールで
受入れが急増したことから,大学宿舎だけでの新規渡
配布するなどの工夫をした。
日者の受入れができなくなり,民間宿舎(約50室)の
おりしも,これらの学生の渡日数週間後の10月上旬
借り上げ対応が開始された。
に台風が上陸することがあり,一部の不安がる生徒の
NUPACE に対しては,平成8年度のプログラム発
要望にこたえ,台風に関してどのような備えをするべ
足当初に40名の宿舎優先枠が認められ,大学宿舎の増
きか,どのようにして英語で発信されている情報を得
強とともに優先枠の増加が認められ,平成17年度以降
るかといった事柄をプリントにまとめ,各生徒に配布
は60名の優先枠が認められていた。しかし,それ以降
した。年始年末時には,名古屋市が各区で運営してい
も NUPACE の受入れ数が増え続ける中で,年により
る休日診療所の場所等も,地図を添付したうえで,学
数名から7-8名が優先枠を越える事態となり,大学宿
生に配布した。
舎の空室状況や一部民間アパートへの居住等から臨時
彼らの帰国が数ヵ月後に迫った今日は,アパートか
の対応で乗り切ってきた経緯があったが,平成21年秋
らの退去に関する準備も進めている。国際学生交流課
の受入れ選考過程で,14名が優先枠を越える状況が確
が管理している,中国公派の学生用の借り上げアパー
認され,短期留学部門と国際学生交流課との協議の結
トの退去時のプロセス等を参考にしながら,現在は退
果,民間宿舎の借り上げ対応が決定された。
去時の居室チェックの手順,確認項目事項のガイドラ
筆者はそのような宿舎事情の転換期に,専任職員と
インの作成行っている。
して加わった。借り上げ対応の民間アパートは9月上
平成22年度4月より,新たにインターナショナル・
旬に決まっており,2つの民間アパート(ワンルーム,
レジデンス山手が竣工し,留学生の入居枠が100室増
バス・トイレ・台所付き)に14名の学生が入居した。
加することとなった。これに伴い,NUPACE の入居
大学からは自転車で約15分の距離であり,最寄りの地
優先枠が80名に増加することとなった。この結果,平
下鉄の駅までも10分ほどの所に位置している。着任直
成22年度秋の受入れは,大学宿舎で賄えそうな状況と
後から,9月下旬の受入れのための家具類の整備,部
なっているが,この10年の間に NUPACE 受入れを150
屋の入居前状態の写真記録,宿舎オリエンテーション
名までに増加する計画であるため,早晩同様な民間宿
準備に関わることになった。
舎の借り上げ対応が必要となってくると思われる。今
大学宿舎に入る NUPACE 学生との間で,待遇の差
年度の経験で組み立てられた,短期留学生向け借り上
に大きな不満が出ないように,様々な配慮に務めた。
げアパート等の入居から退去までの受け入れのプロセ
入居する学生に対しては,渡日直後全体の NUPACE
スを持ってすれば,将来の学生数の増加に対して,宿
学生のオリエンテーションの前に。アパートでの住み
舎面での受け入れの対応は万全かと思われる。
方に関するオリエンテーションを別途行い,基本的な
規則等から,名古屋市のごみの処理の仕方,緊急時の
対処の方法まで一通りの説明を行った。実際のとこ
4.教務関係
ろ,日本語の運用能力を持っていない学生を中心とし
NUPACE では,様々な部局に受入れる NUPACE 学
て入居後にサポートを必要としていることが多く,入
生の履修管理を短期留学室で一括して行っている。こ
居後に居室の不具合のためのメンテナンス会社との工
れまで北山講師と事務補佐員(週3日勤務)が,履修
事,インターネット接続工事のための通訳,その他
管理と教務面の学生対応を行ってきていたが,受入れ
ad-hoc 的な事柄で,これらの学生の渡日後約2ヶ月
学生の増加とともに,その履修管理業務も増加の一途
間は幾度となく,この借り上げアパートに業務の合間
を辿っている。
を縫って足を運ぶことがあった。そういったことに加
各学部・大学院に所属する正規学生の場合は,各部
え,日本人の入居者同様,光熱費(電気代・ガス代),
局の教務担当事務が,全学教務管理システムと連携し
健康保険料,国民年金等の郵便物がポストに届くた
て履修管理を行っている。しかし,NUPACE の場合,
め,各学生にそれぞれの請求書の目的,意味,支払い
大学院生向けと学部生向けの科目が混在しているこ
方法といった事柄を説明していく必要があった。これ
と,成績評価基準が一部異なっていること(単位互換
-174-
短期留学部門
の目的から,UMAP(アジア太平洋大学交流機構)単
定から学生渡日までにかけては,各学生から寄せられ
位互換システムを採用のため),個別勉学指導(Guided
るこれらの Email 対応に時間を費やした。
Independent Study)により随時新規科目が発生する
平成22年秋受け入れからは,これまで行っていた中
こと,英文での成績証明書発行等,様々な特殊条件が
部国際空港・名古屋駅までの出迎えの学生ボランティ
あるため,NUPACE 室で独自のデータベース(MS
アの手配を行わない予定で準備を進めているが,これ
Access)が構築され,履修管理を行っている。
に伴い渡日前情報に関して,空港・駅からの大学まで
毎学期,全学にわたる80名を越える受講科目の一覧
の詳しいアクセス等の情報も含めて,網羅する情報の
表を作成し,各科目に対しては部局事務を通しなが
範囲を含めて再検討する必要に差し迫っていると思わ
ら,受講者名簿の確認,成績報告依頼・受取りを行い,
れる。これに関しては,インターナショナル・レジデン
成績証明書の発行を一元的に行っている。
ス・国際嚶鳴館に加え,借り上げアパート等,学生が
予め NUPACE で受講可能として開示している講義
入居する宿舎の種類が増えたことに関しても同様で,
科目以外にも,部局で開講している英語による講義科
これらに関しても今以上に渡日前の学生にとって必要
目や,日本語で提供されている講義科目を追加申請す
な情報を取捨選択し,彼らに提供することの必要性を
る学生も少なくない。筆者がこの履修管理をほぼ引き
実感している。近日中に,これまでに渡日前に寄せら
継いだため,NUPACE 生に対してはほぼ毎日対応が
れた学生からの質問等を参考にして,次回受け入れの
できるようになり,北山講師と事務補佐員の負担が大
ための資料を作成していきたいと思う。
きく軽減された。
NUPACE では,NUPACE 学生が受講科目に確実
に参加するよう80% 出席率を求めており,予め多く
6.シンガポール・香港への出張
の NUPACE 学生の受講を前提にしている担当教員は
平成22年1月の下旬に,留学生センター・短期留学
把握しているが,NUPACE 学生の受講を想定しない
部門
科目の場合,出席管理ができていない事例が多かっ
に留学生センター・海外留学室 岩城奈巳准教授と共
た。平成21年度秋学期からは,短期留学生向けの授業
に,G30プロジェクトに向けた交換留学の拡大推進と
以外を履修する場合,出席票を各学生に持たせ,教員
学術交流協定締結の打ち合わせを目的とし,シンガ
から各授業の終わりにサインをもらい,学期の終わり
ポール・香港へ出張する機会を得た。シンガポールで
に成績評価の対象の一つとしてもらうという方法を始
は,ナンヤン工科大学,香港では香港科技大学,香港
めた。各クラスの教員の負担を,短期留学生の存在に
中文大学,香港大学の関係者と打ち合わせをする機会
よって高めないようと配慮をしながらも,学生の出席
を得た。両都市とも近年のアジアでの顕著な経済発展
を確認するシステムを構築した。
の最前線を走っているということは,もはや特筆する
野水勉教授,石川クラウディア准教授,ならび
必要もないのだが,今回これらの大学へ訪問する機会
を持ち,高等教育へのミッション等の各大学の教育方
5.応募者からの問合せ対応
針等を知ることで,これらの有力大学が,どれほど今
平成22年春受け入れのための,渡日学生からの到
日の両都市国家の経済成長に強い影響を与えたかとい
着 情 報 や 生 活 に 関 し て の 問 い 合 わ せ は, 北 山講師
うことを,改めて実感させられた。
に 加 え, 筆 者 も 対 応 す る こ と と な っ た。 受 け 入 れ
これらの大学の訪問後,短期留学部門関係者が協定
決定の学生には渡日前情報として,“Pre-departure
交渉を進め,同年6月までに香港大学,香港中文大学
Information”と称した資料を,学生ビザの申請に必要
と全学間学術交流協定が締結され,香港科技大学とは
な入国管理局から発行された在留資格証明書と共に送
工学部間の部局間協定が,いずれも学生交流協定を含
付している。この資料には出迎え・宿舎への入居可能
む形で締結された。その中でも日本語学科を持つ香港
日を初めとして,さしあたって本国で渡航準備の際に
中文大学からは,平成22年秋に1人の学生を迎えるこ
必要な情報を網羅しているのだが,それでも宿舎・授
ととなり,筆者自身も今から心待ちにしている。同大
業・その他大学内外での生活等に関しての詳細な質問
学への訪問時に受けた説明によると,2年時に同学科
が Email を通して寄せられることは多く,選考結果決
の全ての生徒が日本へ留学する機会を持ち,帰国後に
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名古屋大学留学生センター紀要 第8号
受ける日本語能力検定(JLPT)1級の同学科の学生の
とができ,業務においてのスキルの向上へのモチベー
合格率は近年では90%を超えたとのこと。年間40名の
ションを高めることが出来た。また各大学からいただ
交換学生が日本の協定大学に留学している。全学向け
いた資料の中でも,世界各国の有力大学から毎年多く
の授業も含め日本語・英語で開講されている様々なク
交換留学生を受け入れている香港大学の到着前の留学
ラスを履修できる NUPACE は,これらの高い日本語
生向けの生活情報の資料などは,図や写真をうまく活
能力を持った学生にとって魅力的なものに映ると思わ
用し,初めて当地を訪れる学生に対して幾分の不安を
れる。
持たせないような配慮がなされたものであり,上で述
これらの幾つかの大学等の訪問時には,国際企画課
べた学生向けの新しい渡日前情報の資料の作成に際し
に相当する部署の教授・所長レベルの方に加え,筆者
て参考になっている。今回のシンガポール,香港への
と似たような役割を各大学の交換留学プログラムの中
出張は各大学との学術交流協定締結の本来の目的に加
で担っている同年代の方とも,インフォーマルに意見
え,各大学の交換留学受け入れの実務を垣間見る機会
を交換する機会を持つことができ,とても有意義な
を得ることができ,筆者個人にとっても実りの多いも
打ち合わせになったと記憶している。自分自身の持
のとなった。
つ NUPACE 内での役割の重要さを改めて実感するこ
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