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想像力が自由になる場所 - 京都聖母女学院短期大学

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想像力が自由になる場所 - 京都聖母女学院短期大学
想像力が自由になる場所
学 長 コリンズ・ダニエル
私は長年、英会話の授業を担当してきました。会話の授業なので、学生が話してくれるように題を
たくさん準備しなければなりません。一つの活気ある題はこうなっています─世界中どこの国でもい
いですが、一番行きたい所はどこでしょうか?
これはいつも生き生きとした会話の刺激になりますし、学生達の行きたい所は非常に面白いと思い
ますが、私の方から、実際にどうして行きたい所に行かないのですか?という質問に対する返事は必
ず同じです。つまり「そういう所に行くためにはお金と時間がかかりますし、学生の私たちが一番持
っていないものがちょうどお金と時間です」と答えてくれます。
こういう返事には私の反応も同じです。
「本を読むことによって、お金を使わないで、また自分の
好きな時間に世界の一番遠い国、一番異国な所に行くことができるのです」と返事します。こういう
返事が単なるつまらないものではないことを説明しましょう。
まず経済的な面を見るべきでしょう。学生達になるべく早く自分の図書を集める方が良いと私は勧
めています。面白い本か役に立つ本を自分のものとして部屋の本棚に入れるべきだと思いますが、逆
に若い人は自分の図書を作るのが早すぎるかもしれません。趣味は変わりますし、興味のある分野も
違ってくるので、自分の個人的な本とするよりも、図書館にある本を探した方が良いと思います。も
し探している本を見つけることが出来なければ、係りの人に言ってください。きっと学生のみなさん
のために力になってくれるはずです。
〝旅〟となる読書のために色々な本が図書館に用意されている
と思います。
また時間的な面も見なければならないでしょう。実際に自分の夢の所に行って、そこで何日間か過
― 1 ―
47
No.
2008.7
ごすのは相当時間が必要でしょう。そこまで行く事、そしてゆっくりその場所を味わう事は結構時間
が掛かると思いますが、そんなに時間がある人はめったにいないでしょう。学生なら尚更、そのよう
な余裕がないのが現実でしょう。本当に行きたい所に行けるのは、暇のある人に限られてくると思い
ます。だからこそ、本が希望をかなえてくれるのではないでしょうか。自分の暇がある時に行くこと
ができ、自分の予定を決めてゆっくり見物することもできるでしょう。家の自分の部屋で読める。電
車の中でも、図書館でも、自分の都合の良い時間に合わせて読めます。図書館の本を借りて、〝旅〟
の時 間 も 自 分 で 決 め ら れ ま す 。
本によって旅する事は実際に飛行機に乗って自分の夢の国に行くのと違うと分かっていますが、違
うからといって、劣るということではありません。タイ国に行って、そのきれいな海岸で泳いで、美
味しいタイの食べ物を味わう事は出来ないかもしれません。実際に目に見えるおみやげを持って帰る
こともできないでしょう。ただ想像力による〝旅〟は今思っているより面白いかもしれません。タイ
国 に つ い て の 読 書、 ま た タ イ 国 の 本 の 絵 に 刺 激 さ れ た 経 験 で い い 意 味 で び っ く り す る か も し れ ま せ
ん。手で触れるおみやげにはなりませんが、忘れられない経験を記憶に残すことができるかもしれま
せん 。
多 く の 場 合、 学 生 は 図 書 館 と 言 え ば 必 ず 授 業 の レ ポ ー ト か 研 究 に 結 び つ い て い る と 考 え る で し ょ
う。もちろんそういう面もありますが、それに限られていません。必ずしも学問的な役割しか果たさ
ない場所ではありません。図書館とは人間の想像力が自由になる場所であり、それはとても大切な役
割を 担 っ て い る と 思 い ま す 。
図書館に行って面白い本を借りて、旅をしてみてください。
― 2 ―
本が紡いでいく心
図書館長
児 玉 衣 子
年生、同じく 年生、そして生後 ヵ月にな
姪夫婦には 人の娘がいる。今春から小学校
4
きだった。セーラームーンに熱中していたのは
ほんの少し前だと思うのに、今はもうハリー・
ポッターを一生懸命読んでいる。その子が、赤
ちゃんたちがもう少し大きくなったらプーさん
を読んであげようと思うのだという。自分が小
さいときに嬉しかったことを下の妹たちにもあ
げようとする、兄弟姉妹ならではの味わいの原
点を聞いたような気持ちがして、この子のつぶ
れてから家の中は俄然にぎやかになった。赤ち
る双子の女の子である。双子の赤ちゃんが生ま
みたいに蜂蜜
(はちみちゅ)
をたっぷい
(り)
塗っ
に、トーストを焼くたびに「くまのプーしゃん
この子たちの母親である姪もまた幼いとき
らな瞳を見たことだった。
ゃんの泣き声でにぎやかなのではない。誕生し
なった二人の子の級友たちが親子連れで 組も
1
訪れたのをきっかけに、毎日々々 、 人、帰
12
り道、入れ代わり立ち代わり赤ちゃんをあやし
思いを紡いでいく本がある。そんな本の魅力と
母親から娘へ、姉から妹へ、何となく幸せな
ともうらやましい存在だったようである。
に一緒に帰ってくるのである。次第に級友の兄
みにはついに小学校 年生の級友たちは一泊の
いうものを、最近も感じたことだった。
5
妹までをも巻き込んでいるらしいし、この春休
4
プーさんは好きなだけ蜂蜜をなめられる、なん
て」と催促をしたものだった。彼女にはくまの
10
て病院から自宅に戻った最初の 週間に、姉に
3
上の姉は、小さい時、くまのプーさんが大好
揚な 笑 顔 で 客 を 迎 え て く れ る 。
つけて、誰が行ってもいつも実に嬉しそうに鷹
しかけたりしてくれる安心感をしっかりと身に
たちは、誰かが抱っこをしてくれたり自分に話
お泊りまでしたのだという。お蔭様で赤ちゃん
2
― 3 ―
5
いつでも、どこでも
金 岡 敬 子
(情報科学、ビジネス実務論 他)
帳は、私にとって大切な宝物である。
私にとっての図書館
と め く っ て 面 白 い 本 も あ る も の だ と、
一人図書館ツアーをしていました。
私にとっての図書館の良さは、書物
本の読み方は人それぞれ、本を読む
ことで、これまでの疑問や難問が解決
料で手に入るということだけにとどま
が多く必要な情報が手軽に、しかも無
麻 生 知 子
したり、本の中の短いフレーズや内容
で励まされたり感動したり、さまざま
えってみると、自分の読書経験の少な
これまでの本との付き合いを振りか
ごく満足した気持ちになりました。
をしている姿、その空気を感じるとす
るいはグループで黙々と調べ物や勉強
りません。あの静けさ、皆が一人であ
人との出会いと同じように、本を読
いことに恥ずかしさを覚えます。本を
私が学生の頃、辞書は電子辞書では
(給食実務実習、食と環境 他)
思っても、最近はなかなか一度にまと
むことによって得られるさまざまな情
読むことによって得られる知識や、言
なく紙媒体でした。パソコンも不慣れ
なシーンでの本との出会いが自分を成
まった時間を取ることが難しくなって
報や感動は、新たな発見の場を与えて
葉では言い表しにくいような喜びは読
長させてくれる。
きた。電車やバスでの移動時間や、少
くれる。今日も本屋や図書館で、どの
な頃で、やはり情報収集の基本は本で
「 さ あ、 こ れ か ら 本 を 読 も う!」 と
しでも時間に余裕ができたときは、そ
書のたびに味わっています。そのプラ
に、今や大学生が持ち歩く辞書は電子
ような本との出会いがまっているのか
のに、なぜか「活字は苦手」と拒否を
の時間をうまく活用して読書の時間に
してしまうことがあります。そのため、 辞書に変わり、調べ物もまずはパソコ
した。それから十年も経っていないの
の中に忍ばせている物がある。蛍光ペ
ンでの検索が主流です。便利な世の中
スの効果の大きさはよくわかっている
ン・付箋そしてメモ帳である。もちろ
読書に熱中する時は読書漬けの日々を
になって羨ましいと思う反面、読書嫌
楽しみである。
んこれらの道具を使用するために、か
送り、その時期が終わると再び読書か
いでも好きになれる、あの図書館の独
が増えてきた。本を読んで、感動した
仕事柄、最近特に実用書を読む機会
り、すぐに使えるようになっている。
ゆる場所に蛍光ペン・付箋がおいてあ
に足を運びました。図書館に置かれた
るいは単なる時間つぶしによく図書館
生の頃、レポート作成や試験勉強、あ
議なことに図書館は大好きです。大学
こんな読書の苦手な私ですが、不思
ます。パソコンを使って直接欲しい情
なかったような知識を得ることがあり
と、ふとした拍子にこれまで全然知ら
紙媒体で言葉の意味を調べている
― 4 ―
あてている。そのため、いつもかばん
冊
ら遠のいた生活に戻る、という何とも
言葉や役に立つフレーズに出会ったと
膨大な書物すべてに目を通すことは到
報 に ア ク セ ス す る こ と も 大 事 で す が、
~
の本が入っている。いつも数冊の読み
奇妙な本との付き合いをしてきました。 特の雰囲気を味わう人が少しずつ減っ
きは、さっそく蛍光ペンが大活躍。ま
底無理ですが、それでもふらっと図書
ときにはあえて図書館に出向き、何か
ばんの中には常時読みかけの
かけの本があるため、家の中でもあら
た、何度も繰り返し読んでみたい文章
館に行っては興味のある分野の本を見
新しいものに触れる機会を作ってみる
てしまっているのでは…と思うと少し
に出会ったときは、付箋でしっかりチ
たり、自分の専門とは関係のない本の
のも良いのではないでしょうか。
残念な気がします。
ェック。そして、本を読んでいて心に
背表紙を眺めたり、ときにはペラペラ
3
残る言葉や感想を書き残しておくメモ
2
…負ける
No pain, no gain
が勝ちの社会学
永 松 昌 樹
(体育科教育法、体育学研究 他)
観 戦 し た り、 こ れ ら 広 義 な 意 味 で ス
本を読む趣味のない私がお
勧めする本
つぎにお勧めしたいのが藤原和博
『 給 料 だ け じ ゃ わ か ら な い!』 で す。
就職を考え始めた、あるいは人生を考
ポーツに親しんでいる人たち(スポー
ツ・ファン)は「快い(こころよい)感
うなことを教えてくれる本です。就職
置づけるには何が必要なのか、そのよ
値をどこに置くのか、自分を社会に位
え始めた方にお勧めします。自分の価
森 岡 伸 枝
覚を得たい」という心理が行動の背景
に あ る。
〝愉快〟に日々の生活を送る
(教育制度特論、教職特論 他)
活動というと、ついつい就職先に気に
ための彩
(いろどり)としてスポーツが
存在しているのである。このことこそ
れますか?私は児童教育学科にて教育
みなさんは、 年間に本を何冊読ま
が「スポーツは人類文化の一つ」とい
長くスポーツにかかわりを持ち続け
て学んだことは多いが、勝敗や記録更
入られることを優先的に考えてしまう
自 分 の 中 に あ る 社 会 性 と は 何 な の か、
制度などを担当していますが、講義を
がよくあります。しかし、自分のため
責任を持って生きることは何か、とい
う位置づけにあるという主張の柱にあ
試合やレースには緊張感があり、ス
だけに読書をするということは滅多に
ったことの意味を考えることの方が大
新にこだわり続けるアスリートたちの
アップすることが少なくないように感
ポーツ心理学者たちは、その緊張感を
ありません。偶然にしてふらっと入っ
事ではないでしょうか。そのようなこ
か も し れ ま せ ん。 し か し、 そ の 前 に、
じる。十年ほど前に五輪やワールドカ
ほぐすために「心地よい心理状態を保
た本屋で立ち読みし、本を衝動買いす
とを改めて考えさせられました。藤原
行うために、仕事として本を読むこと
ップに出場した国を代表する選手たち
つ」ことこそが不可欠であるとし、ア
ることはたまにあります。
和博氏は、民間企業で働いた後に公立
る。
が試合やレースを「たのしむ」という
スリートたちは「たのしむ」と述べた
このように本を読む趣味がない私で
多くは負けることによって、ステップ
言葉を使い、マスコミや世間からバッ
のではないだろうか。そしてその結果
『 東 京 タ ワ ー』 で す。 映 画 化 も さ れ、 他 に も 多 数 あ り、 そ れ ら を 読 む こ と
シングされたことがあった。勝つこと
が、最近の私には楽しく思えて仕方が
学校の校長先生として迎えられたこと
を理解できたことが快いのである。
ドラマにもなってしまいましたが、ぜ
ないのです。
すが、みなさんにお勧めしたい本はあ
という論調であったように記憶してい
「失敗することを恐れ過ぎてはいけ
ひ、 原 作 本 を 読 ん で ほ し い で す。「 オ
偶然にして、ある本と出会い、夢中
として敗れることもあるのだ。負ける
る。
ない」学内での講義やサークル活動で
カン」の病気と向き合ったときの著者
に な る、 こ れ が 私 の 楽 し み の 一 つ で
や記録の更新などを期待するマスコミ
「たのしむ」をワードプロセッサー
の失敗は今しかできない。実習先や就
の気持ちが実に見事に描かれていまし
す。ということは、私には、本を読む
で有名な方です。藤原和博氏の著書は
で変換すると「楽しむ」が候補として
職後に一人の社会人として失態をさら
た。読んでいて辛くなるほど、終末期
ります。まず、リリー・フランキーの
あがるが、常用外として「愉しむ」も
す く ら い な ら 学 内 で そ れ を 経 験 し、
の 大 勢 が「 楽 し む と は け し か ら ん!」 にはそれなりの理由があり、その理由
変換候補としてあがる。アスリートに
せつなさ、そういったものが数ページ
医 療 へ の 怒 り、 む さ し さ、 か な し さ、 趣味があるのかしら。
「痛みなくして成長なし」
限らず、鴨川、宇治川、桂川などの河 「失敗の理由」を学べばよい。
川敷でのジョガーのように日課として
を読んだだけで伝わってくるのです。
手に取っていただきたいです。
若い皆さんだからこそ、この本をぜひ
ダイエットも禁煙も失恋もスポーツ
も同じだと思ってよいだろう。
運動を実践していたり、また甲子園球
場や西京極運動公園に応援に駆けつけ
るサポーターなどのようにスポーツを
― 5 ―
1
「ツ・ン・ド・ク」
中 村 一 郎
(算数、理科、保育内容・環境 他)
つぎに、大学で再び学び直す事にな
っ た 時、 フ ラ ン ス 語 の 講 読 を 履 修 し
私と読書体験
という読書形態、先人たちの言葉を待
た。授業はフランス文学を読むのであ
態になります。しかし、この「積ん読」
つまでもなくなかなか功徳のあるもの
楽に「買うことの悦び」を満たせるよ
思う。
書くとなると読み方が深くなる。読む
だことのある作品であったが、感想を
くというものであった。それまで読ん
一葉などの日本文学を読んで感想を書
るが、夏休みの課題は夏目漱石や樋口
淺 岡 雅 子
です。
今ではネットを利用した方法で肉体
(教育原理、教育制度 他)
うになりました。持ち帰りの本の重さ
まずはじめに、通っていた大学には
的にも精神的にもこれまでより遙かに
よりももっと意味深い一大イベントで
や鞄のスペースを気にする必要もなく
宗教センターがあり、そこに小さな図
つの読書体験について書きたいと
した。親からもらった少ない小遣いを
宅配で届けてくれますし、これまでに
書館が設けられていた。大学一年生の
夜店は数十年前には幼児にとって今
何に使おうか、わくわくしながら屋台
購入した書籍から嗜好を解析して推薦
もなく、何を血迷ったか、よりによっ
なく、型抜き飴でもなく、くじ引きで
イカせんべいでもなく、リンゴ飴でも
ま と め 買 い し て し ま い ま し た。「 積 ん
命へのまなざし…多田富雄対話集』を
業』『生命の意味論』『免疫の意味論』『生
アマゾンで多田富雄の『免疫学個人授
家の作品を集中して読む楽しさ、おも
有三の著作をすべて読んだ。一人の作
あ る お 祭 り の 夜 店 に 出 か け た と き、 図 書 ま で 提 示 し て く れ ま す。 最 近 も、 時にそこで借りて読んだ本が山本有三
は私には到底理解できないものであっ
き方に魅せられ、図書館にあった山本 『 私 の 男 』 を 貸 し て く れ た。 そ の 内 容
の『無事の人』であった。主人公の生
たが、まさしく現代社会を反映してい
年の直木賞受賞作である桜庭一樹の
子どもが大の本好きという友人が、今
最後はつい最近の読書体験である。
とき学んだ。
だけではなく書くことの大切さをその
の列を何往復もしたものでした。
て絵本のようで活字のいっぱい入っ
はないでしょうか。
った。それが読書の魅力といえるので
としての生き方を考えさせるものであ
これらの読書体験は、どれも私に人
その時知った。
だ。人に薦められて本を読む楽しさを
シリーズは引き込まれるように読ん
ーなどあまり関心がなかったが、この
リーズ」だった。これまでファンタジ
くれたのが、上橋奈緒子の「守り人シ
人がそのあとで面白いといって貸して
ると実感させるものであった。その友
推薦図書でお目にかかるかもしれませ
しろさをその時味わった。
を、気が付けば買ってしまっていまし
ん。
た、今では定かではありませんが、「本」 読」状態になっていなければ、いずれ
た。家に持って帰ったら母親が涙を流
さんばかりにいたく喜んでくれまし
た。この原体験が今の私の「本を買う
ことの悦び」を植え付けてしまったよ
うです。決して本を読むことの悦びで
はなく。
今 日 ま で の 長 い 間、
「読むことの悦
び」はさておき「買うことの悦び」を
重視して本と付き合ってきたように思
い ま す。 必 然 的 に 買 わ れ た 多 く の 本
は、いわゆる「積ん読」という読書形
― 6 ―
3
私と本の回想録
田 中 真 紀
読書と私
大学に入学し、レポート・論文作成の
ための学問に関する本を読むことが多く
本ばかりでなく、小説やさまざまな分
野の本を読みました。特に印象に残っ
考え方を吸収していくなかで、当時の大
なりました。読書を通して様々な知識や
稲 垣 実 果
ている本は、相田みつをさんの「にん
げんだもの」という詩集です。学生時
入るとすぐに眠ってしまったようで
と、外で遊び疲れてしまい、ベッドに
を読んでくれていました。私はという
幼い頃、ベッドの中で母が毎日絵本
いました。毛筆で書かれた短いことば
いた時に、本屋さんでこの詩集に出会
だろうかと悩み、自分なりに努力して
えや自分の気持ちを高めることがきる
ったので、どうしたら気持ちの切り替
合でミスを続けてしてしまう傾向があ
でいました。子ども頃の私にとって、本
覚 えてしま う ほど何 度 も 繰 り 返し読ん
は続き、お気に入りの本のストーリーは
ようです。小学生になっても私の本好き
る家族が先に眠ってしまうほどであった
せてもらうことが大好きで、読み聞かせ
私は幼い頃、寝る前に絵本を読み聞か
なかで、茨城のりこの『自分の感受性く
対等に付き合う〟ことの難しさに戸惑う
これまでの読書の仕方とは違った〝本と
大切さを伝えたかったのだと思います。
とに、自分の見方・主張をつくることの
なく、様々な本から得た知識や見解をも
ました。本の内容をうのみにするのでは
んでみることも大切だよ。
」とおっしゃい
学の先 生が私に一言、
「 本 を批 判 的に読
す。母によると、最後までお話を聞く
からたくさんのパワーをもらい、励ま
は未知の世界、憧れの世界へと導いてく
らい』という 詩に出 会いました。
〝 ぱさ
(発達心理学、教育相談 他)
ことがめったになく、一つ年上の兄だ
されたのを覚えています。今でも、落
れる存在であったように思います。
代の私は、少しでも消極的になると試
けが最後まで母のお話を聞いていたそ
ち込んだ時や壁にぶつかった時に読み
(体 育 学 、 ス ポ ー ツ フ ィ ッ ト ネ ス 他 )
うです。おそらく、その頃の私にとっ
でした。活字が苦手というわけでもな
で漫画や雑誌以外の本を読まない人間
来、本とは縁がなく、高校生になるま
に出会い、毎日の生活を豊かなものに
これからも時間を作っていろいろな本
ら教えられたり助けられたりすること
これまでの人生を振り返ると、本か
は単に未知の世界への好奇心を満たすも
ました。これまでは、私にとって読書と
あ ま り 本 を 読 む 方 で は あ り ま せ ん が、 出会い、私と読書との関係は少し変化し
が多くあるように思います。普段から
のでした。しかし、
『 氷 点 』は私にとっ
そんなある日、三浦綾子著の『氷点』に
的に感じ、読書から遠のいていました。
も 現 実の 生 活 での 出 来 事 のほ う が 刺 激
らにそれを自分の主張にかえていくこと
観・自分の世界観を疑ってみること、さ
そ の こ と に よって 今 ま で の 既 存 の 価 値
て、次第に私にとって読書は何かを感じ、
いときに思い出す詩でもあります。そし
い 自分で守れ ばかものよ〟で終わる
この詩は、今でも私自身を奮い立たせた
ぱさに乾いていく心を ひとのせいには
返すと勇気や自信が沸いてきて、また
かったのですが、他に興味が向いてい
していきたいと思います。
て人間の感情というものについて深く考
を手伝ってくれるものとなりました。
ところが中学生になり、学校生活・仲
て絵本は母のぬくもりと愛情を感じた
頑張ろうって気になります。
たのだと思います。
今も本棚の片隅にある絵本が、なん
えさせてくれた、初めての本でした。人
間関係に忙しい日々のなか本の世界より
子 守 唄 だ っ た の で し ょ う ね。 そ れ 以
時の私はソフトボールをしていました
だか読みたくなってきました。今度は
間の弱さと強さを包み隠さず、時には情
するな みずから水やりを怠っておいて
…〟からはじまり、
〝 自 分の 感 受 性 く ら
ので、ソフトボールに関する技術的な
最後まで読めるかしら…。
ました。学生時代には、時間的にも余
ーツ選手の自伝などを好んで読んでい
品に夢中になったのを覚えています。
力に感動し、高校時代にかけて彼女の作
熱 的 に、 時 に は 冷 静 に 描 く 著 者 の 表 現
価値観が映し出されることと思います。
さい。きっと、その時々の自分の生活や
について、ときには振り返ってみてくだ
み な さ ん も 読 書 と 自 分 自 身 との 関 係
通して本を読むようになりました。当
高校生になってからは、スポーツを
本やメンタルトレーニングの本、スポ
裕がでてきたので、スポーツに関する
― 7 ―
違いを楽しんでみましょう
多羅間拓也
(図工科教育法、保育内容・表現 他)
年ほど前、ダン・ブラウンの小説
『 ダ・ ヴ ィ ン チ・ コ ー ド 』 が ベ ス ト セ
いう小説を読んでも、この映画の監督
がイメージした映像と、私のそれとが
酒井千鶴子氏寄贈図書のご紹介
るため、行方不明者を捜索するような
そもそも言葉での描写には限界があ
ら、 故 シ ス タ ー 小 野 と い っ し ょ に 図 書 館 の 基 礎 を つ く っ て く だ さ っ た 方 で
酒井さんは、まだ聖母の短期大学(家政学科)が大阪の香里園にあった時か
遺族から図書館にご寄付をいただき、左記の図書を購入させていただきました。
元聖母女学院短期大学図書館司書で昨年亡くなられた酒井千鶴子さんのご
時には、似顔絵や写真などがよく利用
す。ご遺族から図書館に寄付を頂いたとき、酒井さんにちなんだ図書をと…
大きく違っていたという訳です。
されます。逆に言えば、言葉で表現さ
香里園の時から熱心に集書されてきたカトリック関係の図書がよいだろうと
酒井さんが、一番大好きだった聖母の図書館の蔵書に加わった貴重な資料
「受胎告知」も大判ですので、細かい描写まで見ることができます。
選ばせていただきました。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画集の、「最後の晩餐」
れる内容は、写真や映画などに比べて
きる世界が広いというわけです。そう
ラ ー に な り、 一 時 期 大 き な 書 店 で は、 解釈の幅が広く、読み手のイメージで
入口付近にこの『ダ・ヴィンチ・コー
ド』
を平積みしていたものです。私は、 思うと、テレビも映画もない時代のほ
う が、 本 を 読 む こ と の 悦 び は 大 き く、
『ベリー公のいとも美しき時祷書』
たと思いますが、テレビで映画『ダ・
く、仲間同士で同じ本を読んで、人に
そして、小説と映画との違いだけでな
『
全絵画作品・素描集:
』
『 The Bury Bible
レオナルド・ダ・ヴィンチ:
Leonardo da Vinci=
です、皆さんどうぞ学習などにご活用下さい。
普段この手の小説をあまり読まないほ
本から広がるイメージ世界も広く豊か
雑誌の写真やテレビ映像などが氾濫
うですが、レオナルド・ダ・ヴィンチ
した。美術史や図像学の専門家にとっ
しているうえに、インターネットで世
であったのではないかと思います。
ては首をかしげたくなる内容であると
界中の映像がリアルタイムで飛び交う
ヴィンチ・コード』
が放送されました。
よって解釈やイメージ世界が大きく違
*全て禁帯出となりますので閲覧希望の方はカウンターまでお申出下さい。
』
1452-1519
に興味があったため、迷わず購入しま
は思いますが、エンターテイメントと
時代だからこそ、読書で広がるイメー
』
『
Manvale
ad
sacramenta
ecclesiae
ministranda
(サカラメンタ提要解説:付「添書」)
してはなかなか面白い小説でした。
たぶん、劇場用映画をテレビ放送用に
うことを、楽しんでみてはいかがでし
ジ世界を、見直してみたいものです。
編集されていたことも原因だと思いま
ょうか。他人の違った解釈や違ったイ
年ぐらい前のことだっ
すが、残念ながら映画の出来は期待は
メージ世界に触れることは、きっと自
ところが、
ずれでした。それはたぶん、私が文章
分の視野を広げることと思います。
と、同じ『ダ・ヴィンチ・コード』と
だと思われます。別の言い方をします
に、予想以上に大きな差があったため
からイメージした映像と、映画との間
1
― 8 ―
3
推薦図書
『じょうぶな頭と
かしこい体になるために』
『赤毛のアン』
モンゴメリ 著
村岡 花子 訳
『 ヨ ー ロ ッ パ の 舌 は ど う 変 わ っ た か 世紀の食卓革命』
南 直人 著
淺 岡 雅 子
(教育原理、教育制度 他)
著者がもともとのタイトルを『食卓の近代』
五味 太 郎 著
永 松 昌 樹
ヒトは生まれていつしか土にかえります。こ
とするつもりであったというこの本は、広い意
(体育科教育法、体育学研究 他)
の国ではヒトが幸せに暮らすことを憲法で保障
見直す契機となる一冊である。
(講談社)
ード」運動も拡大してきている。日頃の食卓を
ド化する一方であるが、その反対の「スローフ
現在、日々の生活はますますファーストフー
ている。
いうだけではなく、その陰影もこの本は指摘し
である。近代になって食生活は豊かになったと
いて誕生した歴史的産物であることを論じた本
味での「西洋風」食生活が近代ヨーロッパにお
津 田 盛 也
なかったので、娘
(三十路寸前)
に尋ねた処、
「ア
たTV番組を見る機会があった。書名しか知ら
先日、
『赤毛のアン』出版100年を記念し
(食品の官能評価・鑑別演習)
していますが、みんなが皆幸せというわけでは
ないようです。子どもの頃、抱えた悩みや疑問
を解決せずにいつしか大人になってしまったと
いう大人がほとんどでしょう。大人になるとい
うことは子どもからの「どうして?」に応じる
ことを備えていくことに通ずるような気がしま
す。 著 者 の 「 答 え 」 と 皆 さ ん の 考 え る 「 答 え 」
は一 致 し ま す か ?
(ブロンズ新社)
ン 」 を 主 人 公 と す る 連 作「 ア ン ブ ッ ク ス 」 に
は、幅広い年代の女性を引付ける何かがあると
い う。 聖 書 の 言 葉 に 通 じ て い れ ば、 面 白 さ が
倍加するとも教えてくれた。もっとも、
「今更
何を!?」という顔をしていたことも白状して
おく。若い女性の望む癒しに溢れ、心の品格を
も高める本書を読み返されるのも悪くはあるま
い。
(
新潮社)
― 9 ―
19
推薦図書
『どんな仕事も楽しくなる
福島 正伸 著
つの物語』
『王妃マリー・アントワネット』
遠藤 周作 著
『現代を生きるキリスト教』
芦名 定道・土居 健司・辻 学 共著
(キリスト教学)
芦 名 裕 子
キリスト教を勉強するのに最適の書です。
「キリスト教思想の現在」
として、「男と女」「家
遠藤周作がこの王妃をどのように描くのだろ
うとの興味から、この本が目に留まった。
も ち ろ ん、 生 涯 を 綴 っ た 単 な る 伝 記 で は な
(新潮社)
す。
(教文館)
で、 深 い 内 容 の わ り に は 読 み や す い と 思 い ま
う。図版や聖書関係地図も挿入されていますの
答を出すのかが、本書により理解できるでしょ
キリスト教はそれらの現代の問題にどのような
う生命科学や、環境問題を避けて通れません。
今日、どの宗教も中絶・脳死・臓器移植を問
業にも役立つ「聖書概説」もしてあります。
わり」というテーマを扱っています。また、授
たちの生命」
「環境破壊とキリスト教」「世の終
ローバル化とキリスト教」「民族主義と平和」「私
「駐 車 場 の 管 理 人 」
「タクシードライバー」
「ペ
福井真裕子
族の危機と再生」
「富・貧・欲望」
「多元化・グ
ンキ屋」。著者が出会った
の仕事に対する見方、考え方、サービスを提供
される者の立場に立った行動から導かれる結果
に、 目 か ら 鱗 が 落 ち る 思 い で あ る 。
せっかく資格を取り、憧れていた職業に就け
たのに簡単に辞めてしまう若い世代の噂を耳に
する昨今、在学生や卒業生にも是非薦めたい。
「働くこと」の価値観、「仕事」の存在意義を
あらためて考えるきっかけを与えてくれる一
冊。
(音楽、保育内容・表現 他)
人 そ れ ぞ れ、 自 ら
(音楽、保育内容・表現 他)
福井真裕子
3
(
きこ書房)
い。豪奢な生活を送り、国財を湯水のごとく浪
費、挙句の果てには民衆の反感をかって処刑さ
れるマリー・アントワネットだが、その裏側に
秘められた、満たされぬ想い、深い孤独感を感
じ ず に い ら れ な い。 そ れ と 同 時 に、 彼 女 も ま
た、子を持つ母親であるのだという視点から見
ると、彼女の別の顔が浮かび上がってくる。人
間のもつあらゆる欲望、また弱さをあらためて
考えさせられる作品。
― 10 ―
3
推薦図書
『ガウディの伝言』
外尾 悦 郎 著
(建築CAD実習Ⅱ)
加 嶋 章 博
安岡孝一・安岡素子 著
『キーボード配列
(クワーティ)の謎』
QWERTY
『お 芝 居 か ら 生 ま れ た 子 ど も
』
シ ェ ル ター ひとりぼっちじゃないよ
坪井節子 編集代表 東京弁護士会 編
カリヨン子どもセンター 協力
の中に町の建築家として生き続けています。現
設計者のアントニオ・ガウディは今も人々の心
ているサグラダ・ファミリア聖堂があります。
どもたちと共に創るお芝居を用意した。
「もが
ればよいかいっしょに考えていく場として、子
きた弁護士たちは、市民に現実を伝え、どうす
かす強い力となる。子どもの人権と向き合って
渡 邊 慶 一
(社会福祉援助技術、児童福祉論 他)
場で長く石を彫り続けてきた日本人彫刻家の著
れた翼」である。数あるレパートリーのなかに、
熱意やそのなかに育まれる発想が、現実を動
者は、ガウディの思い描いた風景を誰よりも私
理想の総合的子ども支援センター
(シェルター)
バルセロナの町には 世紀以上も建設が続い
達に教えてくれます。時に建築はなぜ涙を流す
想いでもある。
(明石書店)
こうね」私たちが子どもたちに、伝え続けたい
いる。
「いっしょに考え、いっしょに歩いてい
動かし、カリヨン子どもセンターが設立されて
を舞台としたものがある。このお芝居が現実を
長 澤 直 子
コンピュータのキーボードは、左上から順番
(パソコン入門、PC文書作成演習)
ほどの感動を人に与え得るのか、ガウディの建
築と向き合ってきた著者の深い洞察眼を通して
明か さ れ て い ま す 。
(光文社)
に QWERTY
という並びになっていますね。
なぜ、この順序でキーが並ぶようになったか
には諸説ありますが、この本の著者は十九世紀
の米国におけるタイプライターの歴史を丁寧に
紐解くことで、その謎に迫りました。
ハードカバーで、ちょっと近寄り難い本だと
思うかもしれませんが、読み出したら案外あっ
という間に読めてしまいます。謎に迫ってみた
い人は、ぜひ手にとって読んでみてください。
(NTT出版)
― 11 ―
1
推薦図書
『坂の上の雲』
司馬 遼太郎 著
『からだの成り立ちと食べ物
』
臨床栄養学の基礎
山元 寅男・近江 雅代 著
秋 山 栄 一
(栄養指導論Ⅱ、臨床栄養学実習 他 )
今までの栄養学は食品学や調理を中心とした
もので栄養士はともすれば栄養素が体内に入っ
てからの責任がないと批判されてきた。いまは
ヒトの身体を中心にした人間栄養学が求められ
ている。本書は人間栄養学や臨床栄養学を学ぶ
上で重要なヒトの身体の基本構造である細胞や
食物の消化吸収、生理作用さらには栄養素と疾
病の関わりについてこれまでにない平易な用語
を使って解かりやすく書かれている。臨床栄養
『いつまでもデブと思うなよ』
岡田 斗司夫 著
秋 山 栄 一
(栄養指導論Ⅱ、臨床栄養学実習 他)
従来の肥満解消法といえば、特定な食品のみ
を食べるといった安易で非科学的なものが紹介
書において著者は一年で五十キロの減量に成功
され、話題になることが多かった。しかし、本
分な知識が特に病院の栄養士に求められてい
した体験を実に巧妙でかつ科学的に述べてい
学を臨床の現場に活かすには生理・生化学の十
る。栄養素と病気の関連を理解していくうえで
る。それは体重・体脂肪率を毎日測定し、口に
山 成 昭 世
必要な基礎知識を学ぶために推薦したい一冊で
入れたものは全てメモをとり、さらにエネルギ
(図画工作、造形美術 他)
の小説もいいものですよ。それも何巻もあるよ
(講談社)
ケータイ小説もいいけれど、たまにはフツー
うな長編小説に挑戦してみましょう。そういう
せず、翌日からのフォローで切り抜けていくと
ー量の計算を行い、食べ過ぎても後悔や反省は
ある。 小説には、恋愛に特化したケータイ小説にはな
いうのである。著者はダイエットを続ける中で
辛い思い出より楽しい思い出の方が多かったと
い、人生そのものが詰め込まれています。さし
あたっては、『坂 の上の雲』をお勧め します。
述べている。昨夏、発売と同時に四十万冊も売
(新潮社)
び、再度、チャレンジしてみませんか。そして、
せられる究極なダイエット法の技術と考えを学
に失敗した人は本書を一読して安全で確実に痩
れたベストセラーである。今までに何度か減量
日露戦争を題材にしたこの小説は、戦争小説で
あり、青春小説であり、また軍人の愚かしさを
ユーモアを交えて描いた喜劇でもあるのです。
(文藝春秋)
真の成功者の仲間へ。
― 12 ―
推薦図書
世紀を代表する彫刻家」の一人であるイ
(図工科教育法、保育内容・表現 他)
多羅間拓也
『イサム・ノグチ 宿命の越境者』
ドウ ス 昌 代 著
「
サム・ノグチは、日本人男性とアメリカ人女性
との間に生れる。しかし、父の入籍拒否で日本
人「野口勇」にはなれず、母の私生児のまま、
歳 で 単 身 ア メ リ カ に 渡 る。 こ の よ う
『ゴリオ爺さん』
バルザック 著
平岡 篤頼 訳
(造形美術、美術史)
和 田 淳 一
孤 独 な 少 年 時 代 を 過 ご し た バ ル ザ ッ ク は、
日々読書と夢想に耽るが、将来の素地も築かれ
十九世紀フランスの様々な風俗史をえがく流行
作家となる。
『谷間の百合』はよく知られてい
わずか
に、孤独な越境者であることを宿命づけられた
るが、
『ゴリオ爺さん』はフランスの一面を知
(講談社)
とその娘達そして社交界に足を踏み入れたばか
癖や社会に向けられた目が作中の主人公ゴリオ
エネルギーあふれんばかりの時期のもの。浪費
るいい機会だと思う。この作品は作家の野心や
彼は、激動の 世紀の中、芸術にその居場所を
て、国や民族や時代を超えて多くの人に愛され
見つけるが、稀有な才能と魅力的な容貌もあっ
20
る。この本は、イサム・ノグチの波乱の生涯を
(新潮社)
『脳は自分で育てられる
から見えてきた「あなたの可能性」
』
MRI
加藤 俊徳 著
(理科教育研究)
村 井 護 晏
今日、脳を切り開かないで、刺激に対する脳
NIRS
の活動部位を知ることが出来る。その今日的測
と
定装置としてよく使われるのに、 fMRI
― 13 ―
13
伝え る 感 動 の 書 で あ る 。
りの青年とのかかわりに大いに反映していて、
虚栄や情欲とエゴイズムが錯綜するパリ社交界
と貧乏下宿での営みとのギャップに人間性の面
白さが味わえる。
の原
NIRS
も若くか
発 見 者 で あ り、 ま た、 fMRI
がある。本著者は光計測によるこの
理の第
常に奥の深い知見がある。 (光文社)
てられるという観点から論を展開している。非
ての知見をまとめたものであり、脳は自分で育
って、氏自ら測定したデータから脳機能につい
ら使いこなしていた。本書はそれらの装置を使
1
20
推薦図書
先生がたの本や論文を読もう
(伏見学)
星 宮 智 光
本を読むとき、この本の著者はどんな人か興
味をもつことはありませんか。また、わたした
ちに親しい方がたはどんな本を書き、どんな研
『ツレがうつになりまして。』
『その後のツレがうつになりまして。』
細川 貂々 著
『愛国経済 中国の全球化』
吉岡 桂子 著
于 克 勤
(アジアの社会と文化、中国の生活文化 他)
一九七八年末の近代化路線への戦略転換以
来、中国経済の成長、構造変化、世界経済との
連携が急速に進み、とくに、九二年に「社会主
義の市場経済」論で経済の市場化に本格的に踏
み切ってから、経済の躍進ぶりが世界の注目を
集めている。
本書の著者は、二〇〇三年春から二〇〇七年
究を し て い る か 関 心 が あ る で し ょ う 。
そんなみなさんに、ぜひ読んでほしいのは今
夏までの四年半、朝日新聞の中国特派員として
セイ集である。きっと、中国社会とその経済の
人の思考性、国民性、本音の感覚を伝えるエッ
れぞれのテーマとして激動の中を生きぬく中国
技術、産業、環境、中産階級の登場などを、そ
上海、北京に駐在した間に、主にマネー、資源、
教えを受けている先生がたの書いた本です。そ
上 田 純 子
(パソコン入門)
最新実態に関心をもたれている皆様に参考にな
る点が多いと確信する次第である。
(朝日新聞出版)
― 14 ―
れに先生がたの今の研究をまとめた論文です。
これらの論文は本学の「研究紀要」に載ってい
ます。あなたの先生の本や論文をぜひ読むこと
をす す め ま す 。
TVなどで「うつ病」の話を聞く機会が増え
てきましたが、専門外の人が「うつ病って?」
という疑問を持った時に読みやすい書籍は少な
いと思います。
この 冊は、著者の細川貂々さんがご自身の
(幻冬舎)
とつの例として参考になると思います。
イケースなのでその点は注意が必要ですが、ひ
そうです。同じ「うつ病」と言ってもケースバ
んの担当)
、読みやすい「うつ入門書」と言え
ています。全編漫画で(コラムはお連れ合いさ
お連れ合いがうつ病になった体験を元に書かれ
2
推薦図書
保育所・幼稚園のせんせいのとっておきの話』
『ぞう組さんあつまれ
森上 史 郎 ・ 吉 村 眞 理 子 監 修
福 岡 貞 子
(乳児保育指導法)
この本は、保育所・幼稚園の先生のエッセイ
集で、一つの話しが見開き頁に構成され、学生
のみなさんが読みやすい分量です。どのエッセ
イもすばらしい保育実践ですが、私が授業で取
歳
か月のゆうく
り上 げ る 事 例 を 一 つ 紹 介 し ま す 。
「ゆうくんとひよこ」─
た。 か月たって、ひよこを見に行くと、ひよ
喜 び、 園 に 帰 っ て も 先 生 に 興 奮 し て 話 し ま し
んは、保育園の散歩の途中で、ひよこを見て大
9
ひ よ こ だ と わ か ら な い ゆ う く ん は、「 ひ よ こ、
『天空の聖山』
白川 義員 著
(建築計画、旅人学)
西 尾 信 廣
影した写真集『ヒマラヤ』
、
『南極大陸』や『仏
世界の果てまで出向き、非日常的な景色を撮
先生は、
「今ひよこは、お昼寝しよるけんね」
教伝来』などをすでに発表している世界的な写
見る ! 」 と 泣 い て 聞 き 入 れ ま せ ん 。
と言い、ゆうくんを納得させます。そして、ひ
真家の中国大陸の記録
(上下二巻本)
である。
鮮烈に刻み込まれる。
この世のものとは思われず、見るものの脳裏に
な衝撃を受ける。白川写真の持つ気魄と色彩は
き は く
ひと目見るなり、画面に引きずり込まれるよう
×横二十一糎に過ぎないが、ページを開いて、
センチ
文庫本サイズなので見開きでも縦十五センチ
よこが鶏に変化することを理解できない 歳児
(ミネルヴァ書房)
だろうに・・・。と反省する素敵な先生です。
が少しずつ白く変化していく様子が理解できた
に、もっと早く見に来ていたら、ひよこの羽根
2
ヒマラヤ、カラコルム、パミール・天山など
七千米を超える山々の神々しい姿に接し、経験
ゆうきゅう
をしたことのない感動で満たされる。
け
上巻の『悠久の山河』では、中国各地の世界
う
遺産の数々が紹介されて、白川の写真がもつ希
有なオーラが見るものを至福で包み込む。
(小学館文庫)
― 15 ―
2
この羽根は白く生え変わっていました。それが
2
9:00 〜 12:30 開館
9:00 〜 18:20 開館
夏休 み の 図 書 館
○閉 館 日
土曜・日曜・祝日・学舎閉鎖日
9
9
○開館時間
午前九時〜午後五時
8
8
7
6
5
4
3
10 11 12
夏休 み 貸 出
6
9
○貸出期間
5
8
七月二十八日㈪〜九月十八日㈭
4
5
○返却日
3
4
十月十日㈮
2
2
3
○貸出冊数
1
1
2
一人七冊まで
土
1
夏休み中に実習にいく方は夏休み貸出を利用
して く だ さ い 。
実習期間が異なる方はカウンターへご相談く
ださ い 。
夏休み明けに介護実習をひかえている方は、
金
土
7
夏休み貸出の図書は一度返却し、再度、実習貸
出をしてください。夏休み貸出の図書をそのま
ま実 習 に 持 っ て 行 く と 延 滞 に な り ま す 。
木
金
13 14 15 16 17 18 19
10 11 12 13 14 15 16
14 15 16 17 18 19 20
20 21 22 23 24 25 26
17 18 19 20 21 22 23
21 22 23 24 25 26 27
27 28 29 30 31
24 25 26 27 28 29 30
28 29 30
実習貸出のお知らせ
○介護実習貸出
貸出期間:九月十六日㈫~十月十日㈮
返却期限:十月二十五日㈯
貸出冊数:一人七冊まで
※ 保 育 実 習 貸 出、 教 育 実 習 貸 出 に つ い て は 夏 休 み 貸
出をご覧下さい。
展示のお知らせ
〝聖書〟
図 書 館 閲 覧 室 展 示 ケ ー ス に て、 十 月 三 日 ま
で、ヴァティカン教皇庁図書館蔵の原本複製の
貴重な聖書などを展示していますのでどうぞ、
御覧下さい。
二〇〇八年度図書委員
館長 児 玉 衣 子
麻 生 知 子 藤 岡 道 子 中 村 一 郎
館員 内藤智香子 小 林 真 矢 黒 田 伊 織
木 村 聡 子
館報 読書のために 第四十七号
二〇〇八年七月発行
印刷
図書
山成 昭世
同 朋 舎
編集
発行 聖 母 女 学 院 短 期 大 学 図 書 館
本文カット 印 刷 株 式 会 社
― 16 ―
水
木
6
9:00〜17:00 開館
休館/臨時休館
10 11 12 13
火
7
月
土
日
金
木
水
火
月
水
《9 月》
《8月》
《7月》
日
火
月
日
〔図 書 館 カ レ ン ダ ー〕
31
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