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当社は、リーマンショック以降、様々な難局に直面してきましたが

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当社は、リーマンショック以降、様々な難局に直面してきましたが
当社は、リーマンショック以降、様々な難局に直面してきましたが、そこからいち早
く脱出し、成長路線に転じ、最高業績を更新するとともに、100年、200年と永続的に成
長を続けることを目指してきました。そのために、時の変化に合わせて、常に改革を続
けてきました。
本日は、そのような成長へと回帰するための課題と、成長戦略について説明します。
ご覧のスライドが、今年の基本方針です。
当社は、この基本方針に基づき、年初から全社一丸となって、7つの課題に取り組んで
きました。
まず、重点課題の第一は、『強力なヒット製品の創出による現行事業の強化』です。
当社にとって成長の基盤は現行事業の強化です。
レンズ交換式カメラについては、技術をさらに磨きあげて、基本性能はもちろんネッ
トワークやIT技術を活用した使い勝手の向上など、魅力的な製品を開発し、更なるシェ
ア向上を目指します。
コンパクトカメラは、より良い写真を撮りたいというニーズは確実に増えており、こ
れを取り込むことによってシェア拡大を目指していきます。製品系列をゼロベースで見
直し、スマートフォンでは実現できない機能や楽しみ方を持つ新しい方向性を打ち出し
た画期的な製品やアプリケーションの開発を推進していきます。
オフィス機器では、カラー複合機の徹底的な強化を図ります。ラインアップの充実や
ソリューション分野の向上に加え、大幅なコストダウンや小型軽量化を実現した新製品
を発売し、更なる市場競争力の強化を図っていきます。
半導体露光装置については、先日『ナノインプリント』についてM&Aを実施し、新しい
タイプの露光装置の開発を加速することを発表いたしました。このナノインプリント露
光装置により、半導体業界に変革をもたらし、新しい可能性に挑戦していきたいと考え
ています。
フラットパネルディスプレイ露光装置については、昨年発売した大型パネル向けの2
ミクロン高精細機に続き今年は業界最高水準となる中小型向けの装置を投入する予定で
す。これを確実に立上げ、シェアを伸ばしNo.1 の奪回を目指していきたいと考えていま
す。
現行事業の横展開としては、カメラから生まれた『シネマEOS』とインクジェットの商
業印刷機である『ドリームラボ』がその代表例です。
『シネマイオス』は、報道やテレビコンテンツ製作市場にも、積極的に参入し、製作
現場のニーズを的確に捉えた新製品を投入するとともに周辺機器やキヤノンが開発した
業務用4K ディスプレイと組み合わせたソリューションを提供することによって、映像製
作業界におけるトッププレイヤーを目指します。
また、『ドリームラボ』は積極的な販売活動を展開して販売数量を増やすとともに、
収益性の高いフォトアルバムやフォトブックなどを制作するためのアプリケーションも
充実し、しっかりとした事業基盤を早急に確立していきたいと思います。
第2の課題は、『新規事業の確実な立上げと健全な拡大』ですが、これは特に強調し
たいテーマですので、後ほど改めて詳しく説明したいと思います。
第3の課題は『新次元のコストダウンヘの挑戦』です。
従来の調達業務を抜本的に見直すことに加え、「内製化の拡大」、「自動化の推
進」、「試作レス」に取り組みます。
「内製化」については、単価の高いキーコンポーネントに留まらず、購入額の多い部
品を順次取り込んでいきます。その一環として、昨年、キヤノンハイテクタイランドで
PCBの生産を開始しました。今後はキヤノンプラチンブリタイランドやキヤノンベトナム
でも内製の拡大をめざします。さらに、部品だけでなく生産設備や材料の内製化も加速
してまいります。
「自動化」については、昨年、一部のEFレンズユニットの組み立てロボットが宇都宮
工場で本格的に稼働を開始しました。さらに改良して生産能力を上げるとともに、自動
化技術に一層磨きをかけて将来的にはカメラやレンズ本体の組み立て自動化へ挑戦して
いきたいと思っています。
「試作レス」については、昨年9月に導入した世界最高レベルのスーパーコンピュ―
ターにより、あらゆるシミュレーションが大幅に時間短縮できると同時に、部品点数が
多い複写機の落下試験など、これまで不可能だった大規模で複雑なシミュレーションが
可能となり、設計品質の向上と開発期間の短縮、コストダウンが期待できるようになり
ました。光学系でも、レンズ開発のシミュレーションシステムを刷新し、最終画像まで
のすべての要素を一気に評価できるようにして開発期間の大幅な短縮と品質の向上を実
現しています。
第4の課題は「世界最適生産体制の整備」です。
今後のキヤノンの生産戦略は、まず日本において自動化を推進し、国内生産を維持・
拡大していきます。また、米欧では消耗品を中心に自動機による消費地生産によって
マーケットヘの距離を短縮し、タイムリーな市場投入と輸送コストおよび積送品在庫の
削減をめざします。アジアについては、カントリーリスクなどを軽減するために複数拠
点に分散していきます。
第5の課題は「全世界販売力の徹底強化」です。アジアでは、中国におけるカメラ事
業と、事務機ビジネスの強化が急がれます。およそ350ある100万人都市に支店や事務所
を設置し、重点的に攻略する体制の整備を早急に進めます。一方、そのほかのアジアの
国や地域については、全国ベースの販売網を持っていない国や地域では支店の拡充だけ
でなく、ディストリビューターの強化・拡大戦略を立てて進めていきたいと思います。
一方、先進国では、シェア拡大が目標となります。オフィス機器市場では、商談は世界
本社が一括して行うことが主流となりつつあります。こうした「グローバルアカウン
ト」を攻略するために機材のみならず、ソリューシヨンやサービスを競合他社に負けな
いコストで、しかもグローバルに提供できるよう、全社一体となって直販体制の強化を
進めます。
第6の課題は「未来を切り開く技術テーマの選択と重点的育成」です。
来年予定しているCanon EXP0 2015に向けて世間を驚かせる画期的な新製品、技術の開
発を加速します。また米国のDNA診断装置、オセの商業印刷を足掛かりとするグローバル
多角化、即ち三極体制の進化した状況も発信したいと思います。
第7の課題は『情報セキュリティの徹底強化』です。外部からの攻撃、内部からの情
報漏洩、製品からの情報流出などあらゆるリスクヘの対策を講じていきます。
2番目の課題でご紹介した「新規事業の確実な立ち上げと健全な拡大」について詳しく
説明します。キヤノンは「設備」や「医療」、そして「セーフティ関連」などのいわゆ
るBtoB事業を新たな成長の柱として位置付けています。現行事業の上に「新しい成長エ
ンジン」としてBtoB事業を加えてこれからの成長を力強く牽引していこうということで
す。
その第一が、『ネットワークカメラ』です。『ネットワークカメラ』に関しては、当
社は、ハードについては光学技術と画像処理技術・ネットワーク配信技術を融合させ、
世界最小ボディーでフルHDに対応した高性能製品を投入するなど、すでに強みを発揮し
ていますが、事業の拡大を図るために昨年、専任組織を立ち上げ、そこでハードのライ
ンアップの拡充に加え、ソフトやシステム・インテグレーションの強化を急ピッチで進
めています。
『MRシステム』は、自動車メーカーや設計・建築会社など、25社に納入して高い評価
をいただいています。また、大学や研究機関からの引き合いも強く、シミュレーション
結果の可視化、災害状況の映像アーカイブ、地震データの解析の可視化にも使われるな
ど、幅広い展開を見せています。今年1月には、専任組織を立ち上げました。今後は、商
品開発の加速、システムソリューションのためのソフト開発強化などMR市場創造に向
けた取り組みを徹底的に行っていきます。
3つ目は『スーパーマシンビジョン』です。キヤノンは、カメラや事務機で培ってきた
画像認識技術や情報処理技術を応用して、人の目を超える次世代のビジョンシステムの
開発に挑戦しています。これまでキヤノンは、3 次元の画像認識・情報処理技術を活用
して「ロボットの眼」の研究開発に取り組んできました。これは、バラバラに山積みさ
れた部品を一つずつ正確に取り上げ、製造ラインに高速・高精度で供給するというもの
です。
この度、この「ロボットの眼」となるセンサーと制御システムの製品化に成功し、事
業化できる目処が立ちました。多くの企業よりお問い合わせも頂いており、来月から出
荷を開始できる見通しです。当初は、部品供給用の「眼」としてスタートいたしますが、
行く行くは、組立用ロボットや検査用マシンビジョン対応へと事業の拡大を目指してい
きたいと考えています。キヤノンはこの分野で圧倒的な優位性を保っており、将来が有
望な事業の一つです。
メディカルの分野では、革新的なセンサー技術や画像処理技術などを活用した「可視
化技術」の開発に取り組んでいます。
『光超音波マンモグラフィ』は、臨床試験段階へと進んでおり、いよいよ製品化を目
指すところまできました。
また、アメリカにおいて、『DNA診断装置』の開発も進めています。これは、特定の遺
伝子を検出することにより、病気を診断したり、薬の副作用が発生する可能性を調べる
装置です。従来は診断結果が出るまでに数時間から数日かかっていましたが、キヤノン
のデジタルカメラの撮影技術や微細加工技術を活用することで、1時間前後にまで短縮で
きる見込みです。現在、臨床試験を進めており、すでにプロトタイプまでできていま
す。認証の取得までおよそ1~2年かかると見ていますが、認証が取れ次第、アメリカで
生産を開始したいと思います。
グループ各社は、世界のトップグループにも入る競争力のある製品や技術を数多く有
しています。(アネルバの最先端のMRAM 製造技術、トッキの有機EL 蒸着技術など)
こういったグループ各社が持つ技術の連携と編集を進め、近い将来には、各社の優れた
技術を融合させた新しい製品や事業を生み出したいと考えています。
最後に『3Dプリンター』についてご紹介したいと思います。現在、キヤノンで製品の
開発を進めてきており、すでにプロトタイプの製作段階に入ってきています。詳細の発
表には、もう少し時間が掛かりそうですが、方式からしても、スペックから見ても、キ
ヤノンらしい画期的な製品です。キヤノンの強みを活かし、優位に事業を展開すること
ができれば、将来、キヤノンの大きな柱の一つになるものと考えています。
キヤノンは強い財務基盤を活かして、今後も基礎技術を徹底的に広く、厚くしていき
たいと思います。さらに、スピード感を持って事業を拡大するためには、M&Aも積極的に
活用していきます。そしてその中から、確実に新規事業を生み出して行きたいと思いま
す。キヤノンの強みは、これまでも、そしてこれからも、技術力、そしてものづくり力
にあります。今後も、これらにさらに磨きをかけて、現行事業を進化させていくと同時
に、新規事業を次々と立ち上げ、次世代を担う大きな柱へと育てていきたいと考えてい
ます。それが、キヤノンが変身し続け、絶え間ない成長を実現していく最善の方策であ
ると考えています。
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