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ベトナムのエネルギーの現状について:Tran Thuc
ベトナムのエネルギーの現状について:Tran Thuc 1. 概要 東南アジアに位置する、縦長の国で海岸線も特に長い 面積:約 330,000km2、人工:約 8300 万人 気候と地形:南部は熱帯、北部は亜熱帯、首都:ハノイ、気温:平均の最低気温は 16℃、 最高気温は平均で 29℃ GDP: 2,270 億ドル(US$)、成長率:7.2%(2003 年)、7.7%(2004 年) 経済:工業;40%、農業;22%、サービス業;38%、人口の 30%が法定貧困レベル以 下 エネルギー部門(2000 年)は以下のような割合を占めます。 •GDP の 12%、政府歳入の 25%、輸出の 25%、輸入の 13%、国家予算の 2 億 6,100 万ドル • 2. ベトナムのエネルギー部門の現状 需要と供給 2002 年の一次エネルギーの内訳 • 可燃物:54%(再生可能エネルギーおよび廃棄物)、石油:24%、石炭:13%、 水力:4% 総エネルギー需要 • 22,080 万トン(石油換算トン) • 予想需要:2010 年には 3,230 万トン、20102020 年には 6,030 万トンになる 見込み エネルギー資源 石炭:38 億 8,000 万トン、石油:23 億トン、ガス:1 兆 2,070 億 m3、水力:1,200 億 KWh その他のエネルギー資源:地熱、風力、太陽エネルギー、バイオマス、波力(潮 力)および原子力 石炭 • 埋蔵量:1 億 5,000 万トン • 生産 ¾ ¾ 2002 年 1,100 万トン 年間成長率:25%/年 2005 年 2,700 万トン 3 分の 1 が輸出向け • 輸出国:日本、中国、タイ、ヨーロッパ、メキシコ、ブラジル • 2010 年の石炭年間生産は 1,000 万トン、国の総電力生産の 25%を占めていま す。 1 石油 • 確認埋蔵量:6 億バレル • 2004 年: ¾ 原油生産:40 万バレル以上 ¾ ネットオイル輸出:1 日当り 19 万 3,000 バレル • 石油製品は石油精製所が不足しているため輸入に頼っています。 • ベトナム政府は将来石油精製所を設立する計画を立案しています。 ¾ 2007 年 - ドゥン・クワット(ベトナム中部) ¾ 2010 年 - タインホア ¾ 2016 年 - Vung Ro Phu Yen(ベトナム中南部) ガス • 確認埋蔵量:2 千 2,000 億 m3 • 利用予定:2,800 億 m3 • 2002 年に 1 日当り 1 億 3,000 万 m3 を供給する協定を締結しました。 ¾ 資源フィールド:Nam Con Son Basin 再生可能エネルギー資源 • 地熱資源:200〜400 MW • バイオマスエネルギー: ¾ 潜在量:400 MW ¾ 主要資源:もみ殻、木材、動物の糞、農業廃棄物 ¾ 生産性:1 年当り 5,000 万トン • 発電に使用される量はわずか 30〜40% ウランの埋蔵量:3,000 億トン 風力 • 風力発電ポテンシャルは東アジアでは中程度レベルで、世界的には比較的弱 いと言えます。 • 主に島々や沿岸域が有効です。 • 400 MW の容量が期待されています。 • 今ではバクロンビー、プーコックといった島々で風力利用が考えられており、 容量としては 850KWh です。 太陽エネルギー • 特にベトナムの中部および南部には高い潜在能力があります。 • 太陽熱の放射入射: 冬:3〜4.5 KWh/m2/日、夏:4.5〜6.5 KWh/m2/日、日照時間:1600〜000 時間/年 • 太陽エネルギーは送電線(グリッド)がないような辺ぴな地域に適していま す。 • ベトナム南部では太陽光発電システムが設置されています。 発電 平均成長率は 1 年当り 13.7% 2 • 1995 年:1,560 億 KWh • 2002 年:3,500 億 KWh(そのうち 60%は水力発電) 1996 年から現在までサービスを受けている世帯が 50%から 87%に増加しました。 農村部に関しては提供されるサービスの質が低かったり、信頼性に欠けるもので した。 2005 年には中国から 1 億 KWh の電力を購入しています 発電源(2002 年) • 水力が総量の 51%を占めています。 • 石油:約 12%、石炭:約 14%、ガス:約 23% 部門別のエネルギー消費 • 工業、住居、商業/公共サービス、農業、輸送部門の順で工業部門がエネル ギーを圧倒的に消費しています。 水力発電 • 高いポテンシャルがあります。 • 5 箇所に新しい水力発電所を建設しています。 ¾ 例えば、Son La 水力発電ダムは 2012 年までに 2400 MW を期待されて います。 • 小規模水力発電ダムは辺境地に適しており、貧しい人たちに低価格の電力を 提供できますが、品質面、安全面に問題があります。 2006 年から 2010 年の電力開発計画 電力需要の上昇 • 2008 年にはラオスから電力を購入する計画があります。 2010 年の目標: • 32 の電力発電所を新設予定 • 電力供給世帯:80% • 16 箇所の水力発電所の委託 • 石炭火力発電能力の向上 • 8 箇所の新石炭火力発電所の建設 • ハノイ周辺の送電網の性能向上 2006 年から 2010 年までの電力消費の 1 年当りの 12%の上昇率を示しています。 投資: • • 3. 2010 年までに 1 年当り 15%〜20% の割合で上昇していくと予想 発電機 ¾ EVN(Electricity Authority of Vietnam)プロジェクト:約 8,000 MW ¾ その他:約 2,000MW 送電線網 ¾ 新たに高電圧線を 9,300 マイル敷設 ¾ その他では低電圧線を敷設 政策、プロジェクトおよび計画に関して 3 ベトナム政府の政策 再生可能エネルギーの行動計画の立案 • 10 年の枠組みで考えて、最初の 5 年間は国際協力を得て開発に取り組み、再 生可能エネルギーまたは電力発電に使用して行きます。 • ベトナム電力庁と世界銀行が協力をしながら開発を行っていく予定 再生可能エネルギープロジェクトを実施する場合の障壁: 立法上の問題 • 再生可能エネルギー利用の奨励に関する現在の政策および立法上の枠組みで は、ベトナムの再生可能エネルギー開発の加速化には不十分です。 技術的な問題 • 有効な技術の認識不足 • 費用とパフォーマンス • バイオマスエネルギー源に関する信頼性の高いデータの不足 • 高度な技術の不足 • バイオマスの技術普及に高い費用がかかる 金融上の問題 • 再生可能電力装置およびサービスの提供のために商用的なビジネスやインフ ラの不足 • バイオマスの技術普及にかかる費用およびバイオマスからエネルギー生成す るためにかかる費用が高い • 顧客やプロジェクト開発者への金融支援の制限 インフラの問題 ベトナムは国際組織や様々な国の支援のもとで多数のプロジェクトを進行しています。 日本政府や日本の新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)による新エネル ギーおよび工業技術開発を支援するための実証プロジェクトを実施しています。 国際金融公社(IFC)とデンマークのコンサルタント信託基金の協力により、ベ トナムの農業電化のマスタープランのためのリソースが提供されます。 オランダの支援を得てウィンドリソースマッピング風力マッピングにも取り組ん でいます。 ニュージーランドの支援による小規模水力投資プロジェクト - 小型水力発電所 用のパイプラインの準備を支援しています。 エネルギー部門の世界銀行の支援は、総投資額 10 億ドルで 4 つのチームに重点を おいて取り組んでいます。 VN-GEF-Rural Energy II 再生可能エネルギーの促進、エネルギー効率および温室効果ガスの低減に取り組 んでいます。 グローバルビレッジエネルギーパートナーシップへの参加 国連開発計画(UNDP)の支援によるエネルギー効率パブリックライティング 4 (Energy Efficient Public Lighting) 4. ベトナム政府の資金援助による大規模水力発電プロジェクトを計画しています。 結論 ベトナムおよび世界の再生可能エネルギー以外のエネルギー資源は数十年で尽きてし まうと考えています。 エネルギー安全保障を確保するために、エネルギー調査や協力を推し進める必要があ ります。 再生可能エネルギーの開発はベトナムでも実現できます。 しかし、電力生産には高いコストがかかってしまうことが予想されます。 ベトナム政府は国のエネルギー目標に合うように細かく検討し投資を促す必要があり ます。 質疑応答: Q(黒木) :プレゼンテーションの中で電子力原子力発電についてのお話がなかったようですが、 原子力発電の状況および開発現状はどのようなものでしょうか?ベトナムの原子力発電所 についてお話していただけますか? A:ベトナム政府として、電子力原子力発電所の建設計画はありますが、2020 年までに実現す ることは不可能だと考えています。実現の可能性を検討した結果、Ninh Thuan 省、つまり ベトナムの中南部辺りに実現の可能性があるのではないかということで検討されています。 この地域は貧しい地域であり、降雨の少ない半ば乾燥した地域で人口密度が低いのが特徴で す。 当初、一般大衆は新しい原子力発電所を誘致することについて前向きでした。政府からの奨 励策があって、原子力発電所が建設されることによってこの地域がより発展していくであろ うと思われました。しかし安全性において懸念があり、まだ課題が克服されていません。特 に核廃棄物の問題、つまり核廃棄物を廃棄する場合、実際にその廃棄物をどこに保管するの か、保管場所の検討がされていないのが現状です。 Q(黒木) :私は UNFCC の CDM 理事会の理事をやっていますのでよく知っていますが、中国 やブラジルでは非常に CDM が盛んに行われており多数登録されています。しかしベトナム は僅か 1 件か 2 件ぐらいしか登録されていないと思います。CDM にどのような関心と、 CDM への要求とかあればお聞かせください。 A:我々は CDM の枠組みを制定しています。今までベトナムで水力発電所の周辺で 2、3 のプ ロジェクトを実施したことがあります。CDM プロジェクトの承認プロセスはタイのものと よく似ています。我々は承認のための機構を持っており、大臣が我が国の CDM の理事会の 議長を務めています。 5 Q(横溝) :今日は供給側の見通しについて話をされたと思いますが、需要側の統計も一部出て おり、特に電力需要の伸びについてどの部門が今後伸びると考えていらっしゃるか、それに 対して例えば省エネ技術のようなものをどのように開発していくのかお聞かせください。 A:国の電力需要はここ 2、3 年増加の傾向にあり、そのほとんどが工業部門と農業部門に集中 しています。国内部門では、電力需要は増加傾向にありません。ベトナム政府は省エネルギー 政策を推し進めています。日本の例に従い、エアコンは 28°C に設定し、従来の照明を小型照 明に取り替えています。ベトナムは国際機関に支援されたプロジェクトをいくつか計画してお り、例えば、エネルギー使用を削減するために公共の照明を効率の良いものに改善しています。 6