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付録 A 線形代数の復習

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付録 A 線形代数の復習
線形数理モデル B コース
2007 年 5 月 17 日1
付録 A 線形代数の復習
1 年次で履修する線形代数学は,単に行列式や逆行列を求めたり連立方程式を解くといったよ
うな,代数的な演算手法という側面が重視されがちである.しかし,線形代数学の理論的側面は,
抽象的なベクトル空間をはじめとして一次独立の概念などは,
「線形」をキーワードとする様々な
世界において美しい理論体系をもたらすものである.また,固有値・固有ベクトルの考え方はこ
れらの世界の様相を把握するための道具として非常に重要である.これは,数学の理論的な世界
にかぎらず応用分野においても非常に重要である.
本講義では,線形代数学におけるこれらの知識が線形微分方程式の理論にどのように関わるか
を垣間見ることになる.その際に必要となる線形代数学における知識を簡単にまとめておくこと
にする.
A.1
一次独立, 基底, 次元
K をスカラーの集合,すなわち,実数全体からなる集合 R (あるいは複素数全体からなる集合
C) を表すものとする.ある集合 V がベクトル空間であるとは,任意の元 x, y ∈ V と任意のス
カラー α, β ∈ K に対して αx + βy ∈ V となることをいう.特に,スカラー集合 K が R のと
きには実ベクトル空間,K = C のときには複素ベクトル空間という.
任意のベクトル空間 V を考えよう. m 個の元 x1 , x2 , · · · , xm ∈ V と m 個のスカラー
c1 , c2 , · · · , cm ∈ K に対して c1 x1 + c2 x2 + · · · + cm xm を x1 , x2 , · · · , xm の一次結合という.
ベクトル空間 V の元 x1 , x2 , · · · , xm に対して一次結合が
c1 x1 + c2 x2 + · · · + cm xm = 0
であれば必ず
c 1 = c 2 = · · · = cm = 0
となるとき, m 個のベクトル x1 , x2 , · · · , xm は互いに一次独立であるという. また, 一次独立で
ない場合には一次従属であるという. ベクトル空間 V から選びうる一次独立なベクトルの最大の
個数をそのベクトル空間の次元という. ベクトル空間 V の次元が n であるときには, n 個の一次
独立なベクトル v 1 , v 2 , · · · , v n を常に選ぶことができ, これを基底と呼ぶ. また, n 次元ベクトル
空間 V 内の任意のベクトル y は, n 個の基底 v 1 , v 2 , · · · , v n の一次結合によって一意的に表すこ
とができる.すなわち,c1 , c2 , · · · , cn ∈ K が存在して,
y = c 1 v 1 + c 2 v 2 + · · · + cn v n .
1
参照: http://www.sys.eng.shizuoka.ac.jp/˜miyazaki/linearB.html
A–1
A.2
関数の1次独立性とロンスキアン
ベクトルというと高校時代に学習した平面ベクトルや空間ベクトル (以後幾何ベクトルと表現
する) を思い浮かべるであろう.これら幾何ベクトルは座標を用いて表現することができた.平
x1 面ベクトルであれば 2 個の実数の組 ( xx12 ),空間ベクトルであれば 3 個の実数の組 xx2 といっ
3
x1 たように.一方,n 個の実数の組
x2
..
.
全体からなる集合を Rn と表すが,これは n 次元実ベ
xn
クトル空間の最も基本的な例である.つまり,R2 や R3 はそれぞれ 2 次元および 3 次元ベクト
ル空間を成している.ちなみに,一次独立性の概念を幾何的に解釈すると「平行でなくかつゼロ
でない」ということを表していることにも注意しよう.
関数を要素とする集合もベクトル空間の代表的な例である.例えば,区間 (−∞, ∞) で定義さ
れた複素数値関数で 1 階微分が連続なもの全体からなる集合 (これを C 1 と表す) は,無限次元
複素ベクトル空間を成している.C 1 の要素であるふたつの関数 u, v が一次独立であるとは,前
節の定義に従うと,c1 , c2 ∈ C に対して,
c1 u + c 2 v = 0
(A.1)
であれば必ず c1 = c2 = 0 ということになる.ただし,ここで注意が必要である.(A.1) の意
味である.これは,c1 u(t) + c2 v(t) が t について恒等的に,すなわち全ての t ∈ (−∞, ∞) に
対して,ゼロに等しいということを意味している.例えば,u(t) = t,v(t) = t2 を考えよう.
c1 u(t) + c2 v(t) = c1 t + c2 t2 は,c1 , c2 がいかなる値であろうが,t = 0 のときにはゼロとなる.し
かし,この式が t について恒等的にゼロになるには,c1 = c2 = 0 でなければならないことは容
易にわかるであろう.
さて,C 1 のふたつの要素 u, v に対して,
u(t) v(t)
(A.2)
W (u, v)(t) = det
u (t) v (t)
を u, v のロンスキアンという.ロンスキアンは,u, v の一次独立性と密接な関係がある.
定理 A.1. u, v ∈ C 1 に対して,u, v のロンスキアン W (u, v)(t) の値がゼロにならな
いような t が存在するとき,u, v は一次独立である.
注意 A.1. 定理 A.1 の逆命題は必ずしも成り立たない.例えば,u(t) = t3 , v(t) = |t|3 は一次独
立であるが,任意の t に対して W (u, v)(t) = 0 となる.
例 A.1. t についてのふたつの関数 u, v が一次独立であることをロンスキアンを計算することに
よって確かめよ.ただし,(2) の a, b は相異なる複素定数であるとする.
(1) u(t) = t, v(t) = t2
(2) u(t) = eat , v(t) = ebt
問 A.1. t についてのふたつの関数 u, v が一次独立であることをロンスキアンを計算することに
よって確かめよ.
(1) u(t) = cos t, v(t) = sin t
(2) u(t) = et , v(t) = tet
A–2
A.3
固有値,固有ベクトル
n 次正方行列 A = [aij ] に対して
Av = λv
(A.3)
を満足する v ∈ Cn (v = 0) が存在するとき, λ を行列 A の固有値, v を λ に属する行列 A の固
有ベクトルと呼ぶ. n 次正方行列 A の固有値は, 重固有値を含めて n 個 (λ1 , λ2 , · · · , λn ) 存在し,
z に対する次の方程式
det(zE − A) = 0
(A.4)
の解に等しい. 方程式 (A.4) を行列 A の固有方程式といい, この左辺は z に対する n 次多項式
となる (これを 固有多項式という). ここで, (A.4) における E は n 次単位行列である.
まず, 固有多項式の性質について述べよう. 以後, 行列 A の固有多項式を fA (z) と表す:
fA (z) = det(zE − A) = z n + p1 z n−1 + · · · + pn−1 z + pn .
(A.5)
先にも述べたとおり, fA (z) = 0 は行列 A の固有値 λ1 , λ2 , · · · , λn を解に持つので,
fA (z) = (z − λ1 )(z − λ2 ) · · · (z − λn )
と因数分解できる. さらに, 固有多項式の係数については, 次の関係が知られている.
p1 = −(λ1 + λ2 + · · · + λn ) = − tr A
pn = (−1)n λ1 λ2 · · · λn = (−1)n det A
ここで, tr A は行列 A のトレースと呼び, 次式のように,
tr A = a11 + a22 + · · · + ann
行列 A の対角成分の和を表す. また,次の定理は行列のべき乗計算の際に有用である.
定理 A.2 (ケーリー・ハミルトンの定理). (A.5) で与えられる n 次正方行列 A の固
有多項式 fA (z) において, z を形式的に行列 A で置き換えた行列多項式 fA (A) につ
いて,
fA (A) = An + p1 An−1 + · · · + pn−1 A + pn E = 0
が成り立つ. ここで, 上式における 0 は n 次零行列とする.
次に, 固有値, 固有ベクトルについての重要な性質について述べよう. 行列 A の相異なる固有値
λi と λj に対して, それぞれの固有値に属する固有ベクトル v i と v j は一次独立である. 特に, 行
列 A の n 個の固有値 (λ1 , λ2 , · · · , λn ) がすべて異なる場合には, それぞれに属する固有ベクトル
v 1 , v 2 · · · , v n が一次独立となり, 任意の x ∈ Rn に対して, c1 , c2 , · · · , cn ∈ C が存在し,
x = c 1 v 1 + c 2 v 2 + · · · + cn v n
と表される.
次に述べる性質は,複素固有値を持つ 2 × 2 実行列に対するものである.線形代数学の一般論
として知っておくべき性質ではないが,本講義の第 4 章(連立微分方程式)で使用することにな
る.2 × 2 実行列 A を考えよう.行列 A が互いに共役な複素固有値 α ± iβ を持つと仮定する.こ
のとき,固有ベクトルは互いに共役な複素ベクトルとなり, v 1 = ξ + iζ, v 2 = ξ − iζ (ξ, ζ ∈ R2 )
と表すことができる.そして,以下の命題が成り立つ.
A–3
命題 A.1. ξ, ζ は一次独立である.
証明. ξ, ζ が一次従属であると仮定する. すなわち, 0 以外の実数 k1 , k2 が存在し,
k1 ξ + k2 ζ = 0.
したがって,
v1 =
となり, これより,
1−i
k1
k2
ξ,
v2 =
k1
ξ
1+i
k2
k1
k2
v2 =
v
k1 1
1−i
k2
1+i
を得る. これは, v 1 , v 2 の一次独立性に矛盾する.
したがって, これらのベクトルを列ベクトルとする 2 × 2 行列を P = [ξ ζ] とすると, P は正則
行列となる.
命題 A.2. 行列 A および P = [ξ ζ] に対して, 次の関係が成り立つ.
α β
(A.6)
A=P
P −1 .
−β α
証明. v 1 = ξ + iζ が λ1 = α + iβ に属する A の固有ベクトルであるから,
α A(ξ + iζ) = (α + iβ)(ξ + iζ) = αξ − βζ + i(αζ + βξ) = P ( −β
+ iP ( αβ .
実部と虚部を比較すると,
α
Aξ = P ( −β
Aζ = P ( αβ
となるので,
AP = [Aξ Aζ] = P
α β
−β α
を得る.
例 A.2. 次の行列の固有値と固有ベクトルを求めよ.また,複素固有値をもつ場合には命題 A.2
が成り立つことを確かめよ.
1
1 −1 101
(1) 12 −3
(2) 10
2 −2
−1 −3
問 A.2. 次の行列の固有値と固有ベクトルを求めよ.また,複素固有値をもつ場合には命題 A.2
が成り立つことを確かめよ.
1 1
(2) 14 −4
(3) −1
(1) 41 25
1
9
A–4
第3章 2 階定数係数線形微分方程式
ニュートンの運動方程式や電気回路の方程式など物理現象をモデル化する際には 2 階の微分方程
式が頻繁に現れる.本章では,その最も基本的な場合として,定数係数の線形微分方程式の解法
およびその理論について述べる.
3.1
同次方程式の解の性質
第 1 章の(1.1)式において関数 F が x, x , x , · · · , x(n) の一次式で表されるとき,(1.1) を線
形微分方程式という.特に,x, x , x , · · · , x(n) の係数が定数である場合には定数係数線形微分方
程式という.2 階定数係数線形微分方程式を考えよう.
x + ax + bx = f (t).
(3.1)
ここで,a, b は実定数で, f (t) は連続関数であるとする.f (t) = 0 の場合,すなわち,
x + ax + bx = 0
(3.2)
を同次方程式といい,f (t) = 0 の場合に非同次方程式という.
同次方程式 (3.2) の解全体の集合は線形空間の一例であり,次の定理はそのことを主張するも
のである.
定理 3.1. V を (3.2) の解全体からなる集合とする.このとき,以下が成り立つ.
(I) V は 2 次元複素ベクトル空間を成す.
(II) x1 , x2 ∈ V について,次の (a),(b),(c) は同値である.
(a) x1 , x2 は一次独立.
(b) W (x1 , x2 )(t) の値がゼロにならないような t が存在する.
(c) 任意の t に対して W (x1 , x2 )(t) = 0.
注意 3.1. 定理 3.1 の (II) において,(c) ならば (b) は自明であり,(b) ならば (a) は定理 A.1 か
らいえる.しかし,注意 A.1 でも述べたとおり,(a) ならば (b) は一般には成り立たないが,C 1
の部分集合である (3.2) の解の集合 V については,(a) ならば (b),さらには,(b) ならば (c) が
成り立つわけである.
定理 3.1 より,V には 2 つの基底が存在する.すなわち,(3.2) には,一次独立な 2 つの解
x1 , x2 が必ず存在し,これを基本解という.また,基本解 x1 , x2 を求めることができれば,これ
らの一次結合
(3.3)
x(t) = c1 x1 (t) + c2 x2 (t)
は,(3.2) の一般解であり,逆に,(3.2) の全ての解はこれらの一次結合によって一意的に表すこ
とができる.
1
例 3.1. 次の微分方程式
x − 2x − 15x = 0
が x(t) = eλt という形の解を持つように,λ の値を求めよ.また,その結果を利用して一般解も
求めよ.
解答. x(t) = eλt より,
x (t) = λeλt ,
x (t) = λ2 eλt
である.これらを与えられた微分方程式に代入すると,
λ2 eλt − 2λeλt − 15eλt = 0.
eλt = 0 より,両辺 eλt で割ると,
λ2 − 2λ − 15 = 0
となる.これより,λ = −3 または 5.· · · · · · (答)
x1 (t) = e−3t ,x2 (t) = e5t とおくと,
e5t
e−3t
= 8e2t = 0
W (x1 , x2 )(t) = det
−3e−3t 5e5t
であるから,x1 , x2 は一次独立である.従って,与えられた微分方程式の一般解は,c1 , c2 を任意
定数として,
x(t) = c1 e−3t + c2 e5t · · · · · · (答).
問 3.1. 次の微分方程式
x − 4x = 0
が x(t) = eλt という形の解を持つように,λ の値を求めよ.また,その結果を利用して一般解も
求めよ.
3.2
特性方程式と基本解
前節でも述べたが,2 階の定数係数線形微分同次方程式 (3.2) の一般解は,ふたつの基本解 x1 , x2
を求めることができれば,これらの一次結合として与えられる.そこで,本節では (3.2) の基本
解を求める方法について述べよう.
前節の例 3.1 や問 3.1 においては,x(t) = eλt という形の解を持つものとして,具体的に計算
を行い一般解を求めた.一般の (3.2) に対しても,同様に計算を行ってみよう.x(t) = eλt より,
x (t) = λeλt ,
x (t) = λ2 eλt
である.これらを与えられた微分方程式に代入すると,
λ2 eλt + aλeλt + beλt = 0.
eλt = 0 より,両辺を eλt で割ると,λ に関する 2 次方程式
(3.4)
λ2 + aλ + b = 0
が得られる.これを,(3.2) に対する特性方程式という.(3.4) の解について,次の3つの場合が
考えられる.
2
(I) 相異なるふたつの実数解 λ1 , λ2 を持つ場合;
(II) 互いに共役な複素数解 α ± iβ (i は虚数単位) を持つ場合;
(III) 実数の重解 λ = − a2 を持つ場合
その各々について検証してみよう.
(I) の場合. すなわち,(3.4) が相異なるふたつの実数解 λ1 , λ2 を持つ場合.この場合には,前
節の例 3.1 や問 3.1 と全く同様にして,x1 (t) = eλ1 t , x2 (t) = eλ2 t とおくと,λ1 = λ2 より,
eλ2 t
eλ1 t
W (x1 , x2 )(t) = det
= (λ2 − λ1 )e(λ1 +λ1 )t = 0
λ1 eλ1 t λ2 eλ2 t
となるので,x1 , x2 は一次独立である.ゆえに,
(I) の場合,(3.2) の基本解として,
eλ1 t ,
eλ2 t
とすればよく,また,一般解は,c1 , c2 を任意定数として次式で与えられる.
x(t) = c1 eλ1 t + c2 eλ2 t .
(II) の場合. すなわち,(3.4) が互いに共役な複素数解 α ± iβ (i は虚数単位) を持つ場合.な
お,β = 0 とすると,(3.4) は実数の 2 重解 α を持つこととなり,これは (III) の場合で取り扱
うので,ここでは β = 0 としておく.この場合にも,前節の例 3.1 や問 3.1 と全く同様にして,
x1 (t) = e(α+iβ)t , x2 (t) = e(α−iβ)t とおくと,β = 0 より,
e(α−iβ)t
e(α+iβ)t
= −2iβe2αt = 0
W (x1 , x2 )(t) = det
(α + iβ)e(α+iβ)t (α − iβ)e(α−iβ)t
となるので,x1 , x2 は一次独立である.したがって,(3.2) の一般解は,c1 , c2 を任意定数として,
x(t) = c1 e(α+iβ)t + c2 e(α+iβ)t
で与えられる.この式には,虚数単位が含まれていて,ややわかりにくい.そこで,以下では,実
数値関数のみで基本解や一般解を表現することを考えてみよう.上式で,c1 = c2 = 12 とすれば,
x(t) = eαt
c1 =
1
2i , c2
eiβt + e−iβt
= eαt cos(βt),
2
1
= − 2i
とすれば,
x(t) = eαt
eiβt − e−iβt
= eαt sin(βt)
2i
となり,これらはともに (3.2) の解であり,しかも実数値関数である.ここで,あらためて,x1 (t) =
eαt cos(βt), x2 (t) = eαt sin(βt) とおくと,
eαt sin(βt)
eαt cos(βt)
= βe2αt = 0
W (x1 , x2 )(t) = det
αeαt cos(βt) − βeαt sin(βt) αeαt sin(βt) + βeαt cos(βt)
となり,x1 , x2 は一次独立である.ゆえに,
3
(II) の場合,(3.2) の基本解として,
eαt cos(βt),
eαt sin(βt)
とすればよく,また,一般解は,c1 , c2 を任意定数として次式で与えられる.
x(t) = eαt {c1 cos(βt) + c2 sin(βt)}.
(III) の場合. すなわち,(3.4) が実数の 2 重解 λ = − a2 を持つ場合.この場合には,解が
x1 (t) = eλt のひとつしか求まらない.そこで,これと一次独立となるような別の解を求めてみよ
う.そのための方法としては幾つかの方法が存在するが,ここでは,定数変化法を用いて求めて
みよう.つまり,x(t) = φ(t)eλt が (3.2) の解となるような,φ を求めてみる.
x (t) = φ (t)eλt + λφ(t)eλt ,
x (t) = φ (t)eλt + 2λφ (t)eλt + λ2 φ(t)eλt
を (3.2) に代入すると,
φ (t)eλt + (2λ + a)φ (t)eλt + (λ2 + aλ + b)φ(t)eλt = 0.
(3.4) が実数の 2 重解 λ = − a2 をもつことと eλt = 0 より,
φ (t) = 0,
∴
φ(t) = C1 t + C2 .
ここで,C1 , C2 は任意定数である.C1 = 1, C2 = 0 とした場合の (3.2) の解 teλt を x2 (t) とおく.
teλt
eλt
= e2λt = 0
W (x1 , x2 )(t) = det
λeλ1 t (1 + λt)eλt
となるので,x1 , x2 は一次独立である.ゆえに,
(III) の場合,(3.2) の基本解として,
eλt ,
teλt
とすればよく,また,一般解は,c1 , c2 を任意定数として次式で与えられる.
x(t) = (c1 + c2 t)eλt .
例 3.2. 次の各微分方程式の基本解と一般解を求めよ.
(1) x − 2x − 15x = 0
(2) x + 4x + 13x = 0
(3) x − 6x + 9x = 0
問 3.2. 次の各微分方程式の基本解と一般解を求めよ.
(1) x + x − 6x = 0
(2) x + x + x = 0
4
(3) 4x + 4x + x = 0
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