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Japan Water Forum Annual Report 2012

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Japan Water Forum Annual Report 2012
Japan Water Forum Annual Report 2012
平成23年度 日本水フォーラム活動報告
平成23年4月∼平成24年3月
v i s i o n
日本水フォーラムは、
すべての人が水に起因する苦しみから解放され、
水の恩恵と価値を最大限に享受できる世界の実現を目指します。
m i s s i o n
日本水フォーラムは、大胆な発想と行動力によって、
すべての人が水
を通して生まれる喜びと苦しみを理解し、地球上の水問題解決のため
に行動を起こす機会を創出していきます。
日本水フォーラムの活動とネットワーク
特定非営利活動法人日本水フォーラムは、国内外の水問題の解決に寄与することを目的と
して、平成16年に設立された非営利団体です。国内外の多岐に渡る水関係者とのネットワー
クを活かして、
ビジョン実現に向けて、世界各地及び日本国内で、
「政策提言」、
「草の根活動
の支援」、
「日本の叡智の世界への発信」
「人材育成・啓発」
、
を行っています。
活動の柱①
活動の柱②
国連機関
国際機関
各国政府
草の根活動の
支援
政策提言
市民・NGO
省庁・自治体
産業界
国際NGO
現地NGO
開発銀行
国内ネットワーク
活動の柱③
日本の叡智の
世界への発信
政治
リーダー
学界
海外ネットワーク
ク
活動の柱④
人材育成・啓発
各国・地域の水に関する
パートナーシップ
また
た、水の安全保障戦略機構、
水の安全保
アジア・太平洋水フォーラム、NoWNET
(水分野における先進国間のパートナーシップ)
の事務局を担っています。
を担っています
Japan Water Forum Annual Report 2012
CONTENTS
01
日本水フォーラムからのメッセージ 01
会 長
森
03
副会長
米倉 弘昌
喜朗
丹保 憲仁
和田 正江
古賀 伸明
今井 義典
05
平成24年度の活動予定
07
平成23年度の活動一覧
09
平成23年度の活動内容
09
特集: 第6回世界水フォーラムに関する取り組み
11
政策提言
11
アジア・太平洋水フォーラム
(APWF)
13
チーム水・日本/水の安全保障戦略機構
15
調査研究活動
17
草の根活動の支援 - Charity for Water
21
日本の叡智の世界への発信
23
人材育成・啓発
25
組織概要
27
特別報告: 東日本大震災被災地支援
Japan Water Forum Annual Report 2012
01
日本水フォーラムからのメッセージ
昨年の3月11日の東日本大震災から
日本の皇太子殿下は、残念ながら、今
一年が経ちました。
しかしながら、未曾有
回の世界水フォーラムへのご臨席はかな
被害をもたらしたこの災害は、
まるで昨日
ビデオメッセージとして
いませんでしたが、
起こったかのように記憶にとどまっていま
ご発表をされました。皇太子殿下は、国連
す。改めて東日本大震災でお亡くなりにな
「水と衛生に関する諮問委員会」
の名誉
られた方々に対し、心からご冥福をお祈り
総裁を務めておられ、過去に三度、世界
いたします。
水フォーラムにご臨席され、基調講演を
行っていただきました。
日本は、地震国であるゆえに、長い年月
ビデオメッセージでは、昨年の東日本大
をかけ、
そして常に十二分に、地震や津波
震災を含め、
日本を襲った5つの津波災
の対策を行ってきたつもりでいました。
それ
害について、
ご研究の成果をご紹介され
アジア・太平洋水フォーラム会長
元内閣総理大臣
でも、
自然の脅威は私たちの想像を遙か
ました。
また、国外での大水害や大渇水な
に超える規模であり、今回の震災で、多く
ど、近年、世界中で多発している水関連
森 喜朗
の尊い命が失われました。誠に反省する
災害についても触れられ、
「 未曽有の災
ことばかりです。
害が発生するごとに、私たちは、過去の災
しかし、悲しいことばかりではありませ
害経験をよりよく知る必要性を痛切に感
ん。今回の震災によって、全ての日本国
じます。」
と、災害経験の研究と丹念な検
民が、命の大切さ、家族との絆、地域との
証、経験を未来に語り継いでいくことの大
連携、
そして世界中の国からの支援のあ
切さを述べられました。
りがたさ、災害への対策の考え方を再認
そして、
「水と災害は、
今や、
世界の持続
識いたしました。
可能な発展のため、国際社会が正面から
日本水フォーラム会長
議論すべき主要課題の一つです。皆さん
私たちの住むこのアジア・太平洋地域
と共に、私も災害の経験と教訓が世界に
は、水と衛生に関し、改善のための更なる
共有され、
活用されるよう努力を続けていき
努力が必要です。
そして、他地域に比較
たいと思います。
」
と締めくくられました。
し、水災害に対しては極めて脆弱であり、
こうした皇太子殿下のお姿は、
水問題解
甚大な被害を被っている地域でもありま
決に取り組む世界中の人々に対し、
更なる
す。昨年秋にタイ・バンコクを襲った洪水
努力を促す大きな励ましとなっています。
は、
その影響を、
日本をはじめ世界中に及
ぼしました。世界経済への影響も大きなも
日本水フォーラムは、会員の皆様をはじ
のとなりました。他国・他地域での水問題
め、政府並びに広範な水関係者の皆様
は、他人事ではすまされないのです。
と強固なスクラムを組んで、引き続き、国
内外の水問題に全力で取り組んで参る
今年3月には、
フランス・マルセイユで
所存です。
開催された第6回世界水フォーラムにお
皆様には、今後も変わらぬご支援とご
いて、私たち日本水フォーラムは、
アジア・
協力を賜りますよう、
お願い申し上げます。
太平洋地域の取りまとめ役として出席し、
本地域が今まで積み上げてきたものを、
世界に向けて発信して参りました。
Japan Water Forum Annual Report 2012
02
Japan Water Forum Annual Report 2012
03
日本水フォーラムからのメッセージ
わが国の復興・再生、アジア・太平洋地域の発展に向けて
私ども産業界は、東日本大震災からの早期復興
長のボトルネックを解消する上で非常に重要な取組
ならびに民間活力による日本経済の再生と持続的
みとなっております。
な成長の実現に向けて全力で取り組んでおります。
一方、国内では、昨年の震災を受けて水の大切
また、世界の経済発展に貢献することによって、
さが改めて認識され、
自然災害発生時の対策を含
共に成長を続けていくという考えのもと、
アジア・太
めた水の安全保障の見直しが行なわれております。
平洋地域の国々をはじめとする世界各国との産業
産業界といたしましては、
日本水フォーラムとの
協力および経済連携の強化を進めております。
その
連携を一層深めながら、引き続き様々な水問題の
一環といたしまして、
官民連携のもと、
わが国の豊富
解決に積極的に取り組んでまいる所存であります。
日本水フォーラム副会長
な知見と高度な技術を活かした
「パッケージ型インフ
今後ともご支援・ご協力の程、宜しくお願い申し上
一般社団法人日本経済団体連合会会長
ラ」
の海外展開に力を入れております。
特に、
上下水
げます。
米倉 弘昌
道等の水インフラの整備は、新興国や途上国の成
水を文明の基軸スケールとみる叡智の創造を
世界人口は70億人に達しましたが、
この地球に
地球の大きさが、拡大する人間活動を包み込み
住める人類は100億人の大台に至るのでしょうか。
がたくなり、人類の一人勝ちが難しくなって、
ヒトも、
近代は、
「 進歩と成長」
を目指して、科学技術を駆
生態系の一員である当然の帰結として、
ヒューマニ
使して、人類が技術圏を創り、膨れ上がる願望をか
ズム中心で展開してきた近代思考の本質を見直
なりの所まで獲得し、繁栄したと思う人が多くなりま
すことが求められます。共生の時代の始まりであり、
した。
近代の次の文明の到来です。
人口と活動度が共に高まってくると、欲望増大
10日に一度、太陽エネルギーで連続的に自動
の果てに、
エネルギー、水、食料、
自然空間に限界
再生される地球最大量の資源「水」が、文明転換
日本水フォーラム副会長
がきて、何事を成すにも環境制約を気にして行動し
の鍵となる制約因子であろうかと思います。水を文
地方独立行政法人北海道立総合研究機構理事長
北海道大学/放送大学名誉教授
なければならなくなります。環境の時代の到来です
明の基軸スケールとみる叡智を、
日本水フォーラム
が、社会の基本構造は科学技術駆動の近代成長
に集う人々が創ることができると素晴らしいと思い
丹保 憲仁
社会のままです。
ます。
生活環境、地球環境を改善する、
日本の技術に期待
東日本大震災で、給水ストップ、下水道設備使
から水を飲めることはありがたいですが、
日本のよう
用不能、大津波と重なり、水の大切さ、恐ろしさを
な国は世界で少なく、
その水を洗濯、風呂、
トイレに
痛感してから一年余り、一日も早い復旧、復興を
も使っているのは何とももったいない。
「 世界人口
祈っております。
69億人中、安全な水を得ることができない人が8
主婦連合会は、折ある度に、水に関する施設を
億人」
(2010年)
と聞くと考えてしまいます。
見学しています。小河内ダム、羽村取水堰では、
中水利用は、問題も多く、
たやすいことではない
「安全でおいしい水は豊かな森林から」
という言葉
と聞きますが、海水の淡水化などと共に日本の技
のとおり、維持と管理が行き届いた水源林に感激
術に期待したいところです。官民それぞれに日本の
日本水フォーラム副会長
いたしました。昨年は、埼玉県三郷市の
「中川水循
技術を活かし発展させて、生活環境、地球環境の
主婦連合会副会長
環センター」
を見学、高度な技術による下水処理
改善に尽くして頂きたいと願っております。
和田 正江
施設の維持管理の様子がよくわかりました。蛇口
Japan Water Forum Annual Report 2012
04
良好な水環境とその恩恵をすべての人に
水はすべての生命の源であり、
わが国のみならず
環境保全に向けた取り組みを進めています。
全世界の社会・経済の基盤とも言える重要かつ貴
世界人口が70億人に到達したと推計されていま
重な循環資源です。
したがって、将来にわたって国
す。国内外において、誰もが良好な水環境、
および
民・人類がその営みを維持・発展させていくために
それがもたらす恩恵を享受することができる社会を
は、健全な水環境を持続的に保全することが不可
実現することは、
ますます重要性を帯び、緊急性も
欠であり、限りある水を適切に利活用していく必要
高まっています。労働界としても連帯と支えあいの
があります。
精神で、
引き続き日本水フォーラムの皆様とともに
私ども労働界は、地球環境を守り次世代に引き
真摯に取り組んでいく所存です。
日本水フォーラム副会長
継ぐこと、
雇用を確保しつつ、
「持続可能な開発」
の
日本労働組合総連合会会長
達成と地球環境保全のための国際協力を実現す
古賀 伸明
ることなどを基本スタンスとし、水問題を含めた地球
水の技術と文化で世界に恩返しするとき
「第3回世界水フォーラム」
が、京都・滋賀・大阪
世界の社会構造も猛烈なスピードで変化し続け
で開かれてから10年になります。地球上のすべて
ています。途上国では人口が急増してメガシティが
の生命にかかわる
「水」
がいかに大切なものか、
あ
次々に誕生していますが、
「水回り」
は機能不全に
の会議をきっかけに人々が真剣に取り組むようにな
陥っていて、
それぞれの社会を支えられなくなってい
りました。
ます。
しかし、世界の自然や人々の暮らしを見ると、決し
これからが正念場です。長い年月をかけて培って
て楽観を許さない情勢です。
むしろ
「リスク」は高
きた水の文化と水の技術のハイブリッドによって、
まっているといえます。気候変動がその一つです。
「チーム水・日本」
が世界に恩返しするときが来まし
日本水フォーラム副会長
猛烈な集中豪雨や洪水、干ばつが「とき」
と
「とこ
た。世界は間違いなく、元気な日本の活躍を待って
前日本放送協会副会長
ジャーナリスト
ろ」
を選ばずに襲ってきます。
います。
今井 義典
Japan Water Forum Annual Report 2012
05
平成24年度の活動予定
ダルビッシュ有投手、
支援の続投を表明
日本水フォーラムは、
ダルビッシュ有投手と一般
の方からのご寄付で積み立てられる、
「ダルビッ
シュ有水基金」
を用いて、途上国における安全な
水供給を目的としたプロジェクトを展開しています。
ダルビッシュ投手は、平成19年より、勝ち投手とな
るごとに、同基金に自ら10万円の寄付をすること
を76勝分続けてこられました。
ダルビッシュ投手は、大リーグのテキサス・レン
ジャーズへ移籍後も寄付を継続し、途上国の水問
題解決に貢献していく意向です。
写真提供: 報知新聞社
草の根活動の支援
‒ Charity for Water
引き続き、JWFファンド、会員の皆さまとの連携、
ダルビッシュ有水基金等を通じて、途上国の水と衛
生の問題の解決に向けて、草の根レベルの支援を
平成24年には、国連持続可能な開発会議(リオ+20)
が開催されるほか、
展開していきます。
インドネシアでは、皆さまからのご
平成25年には、洪水の影響で延期されていた、第2回アジア・太平洋水サ
寄付により、
マイクロファイナンスを活用した、水及
ミットがタイ
(バンコク)
にて開催される予定です。
び生計支援のプロジェクトを開始します。
国内では、東日本大震災の被災地支援を継続
日本水フォーラムは、国内外の多様な水関係者の皆さまとの連携を深め、
し、皆様からのご寄付により開始した、仮設住宅に
引き続き、国内外の水問題解決に向けて活動を展開していきます。
おける雨水利用支援や、浸水被害対策としての排
水用ポンプ支援のフォローアップを行うと共に、水
に関わる新たな支援も計画していきます。
政策提言
アジア・太平洋水フォーラム(APWF)
日本の叡智の世界への発信
平成25年に開催予定の第2回アジア・太平洋
5月には、第61回利根川水系連合水防演習等
水サミットの準備・開催を通じて、各国首脳を含め
の機会を活用して、在京大使館及び国際機関の
た各界のリーダーの水問題に対する意識やコミット
関係者へ、
日本の水防技術や治水対策を情報発
メントの向上・維持を図っていきます。
また、関係機
信します。
関と共に、同サミットにおける成果文書、
「バンコク
7月にシンガポールにて開催されるシンガポール
からのメッセージ」
の草案に取り組みます。
国際水週間や、神戸市にて開催される下水道展、
11月に東京ビッグサイトにて開催される、
グリーン・
チーム水・日本/水の安全保障戦略機構
イノベーションEXPO2012等の機会を活用して、
基本戦略委員会等におけるこれまでの議論の結
地方公共団体及び民間企業等の海外展開に向
果をとりまとめ、
低炭素社会における流域水管理の
けた情報発信を支援します。
あり方について、政府へ提言を行います。
また、6月
に開催される
「リオ+20」
に向けて、
国内準備委員会
人材育成・啓発
への関与を継続します。
さらに、
各行動チームの取り
引き続き、Web水検定を実施し、公式テキストの
組みの活性化を支援すると共に、
引き続きBOPビジ
内容の充実や企業・学校等における研修や教育
ネス実行委員会の活動を推進します。
活動との連携を図ります。
また、
「水の日」
(8月1日)
及び国連「世界水の日」
(3月22日)
の機会を捉え、
Japan Water Forum Annual Report 2012
調査研究活動
啓発活動を展開し、10年目の打ち水大作戦にも
水関連災害対策・リスク軽減、気候変動への適
参画と支援を行います。
さらに、ユース世代と協働
応、水ビジネス等の社会的な要請の高いテーマを
し、防災リーダーの育成を行うと共に、地域防災力
中心として、
引き続き調査研究活動を展開し、政策
向上のための講習会を防災の日
(9月1日)
に開催
提言及び提言の具現化に活かしていきます。
します。
06
第2回アジア・太平洋水サミットに関する説明会
(タイ)
平成24年度実施予定のプロジェクト
スリランカ中部の山岳地帯に位置する、
ワヘラガラ・ジャナパダヤ居住区
では、1.5km離れた山の麓の水道施設まで、水汲みに行かなければならず、
恒常的に水不足の状態にあります。
また、
その役割を担う女性や子どもたち
にとって大きな負担となっています。
全戸への雨水貯留タンクの設置と、維持管理のトレーニングを実施するこ
とにより、
全ての住民
(36世帯142名)
の水供給を改善します。
Supported by ジュエリーブランド
「4℃」
平成24年度の活動にあたって
日本水フォーラム事務局長
竹村公太郎
平成23年3月11日の東日本大震災から一
平成24年5月時点では、
いまだ震災復旧が
年が過ぎました。
継続されています。次の段階の復興にまで至っ
自然の力は、思いもしなかった大津波という
ていません。
水の姿で日本人を襲い、多くの人命と街々を
今後、私たちは世界に向かっていくとき、
この
奪ってしまいました。
大地震の経験を語らずして次の言葉を発する
日本水フォーラムの私たちは、
この一年間、
こ
ことはできません。逆に、世界は日本にこの震
の震災の復興の過程で何ができるかを考えなが
災の克服の知恵と経験を求めています。
この
ら過ごしてきました。
震災直後から支援金の募集
中には、世界の水問題を解決する糸口もいく
活動に入りました。
小さな力ですが一体何ができ
つかあるはずです。
るのかを皆で議論し、
被災地に入って実行に移
私たち日本水フォーラムは、注意深くこの時
してきました。
期を過ごし、世界に発信すべきことを丁寧に記
まさか、
日本国内でこれほど多くの人々が一
憶していかなければならないと考えています。
斉に飲み水に不自由し、衛生施設が整ってい
私たちの活動そのものが、世界の水問題解
ない生活に追い込まれるとは思いもしませんで
決に向かう人々と連携することになります。
した。世界で、水と衛生の問題に苦しむ人々と
今後も元気に頑張っていきます。皆様のご
同じような状況が、私たちの目の前に現れたの
助言と、
ご支援を心よりお願いいたします。
でした。
Japan Water Forum Annual Report 2012
07
平成23年度の活動一覧
●4月/世界水会議日本会員向け情報・意見交換会を開催(東京)
●6月/京都世界水大賞応募団体募集開始
●4月/準備会合へ出席(フランス)
●6月/準備会合へ出席(フランス)
第6回世界水フォーラムに関する取り組み
●8月/準備会合へ出席(
(→P.9)
●
●
●
●
●
●4月/アジア・太平洋地域会合(第1回会合)
を開催(タイ)
●7月/執行審議会第9回会合、
アジア・太平
アジア・太平洋水フォーラム
(APWF)
(→P.11)
●6月/第2回アジア・太平洋水サミット外交官説明会へ出席(タイ)
●8月/リーダー間対話
●4月/東日本大震災被害調査を実施(岩手・宮城)
政策提言
●4月/第8回基本戦略委員会を開催(東京)
(→P.11)
チーム水・日本
/水の安全保障戦略機構
●4月/「東日本大震災後の日本社会に向けての緊急提言」
を発出
●6月/第9回基本戦略委員会を開催(東京)
●7月/上下水道事業に関する調査を実施(インド)
(→P.13)
●国連持続可能な開発会議(リオ+20)国内準備委員会会合に参加(東京)
(7月∼)
調査研究活動
(→P.15)
●気候変動への適応、
水関連災害による被害の軽減、
水ビジネス、
水・エネルギーなどをテーマに調査研究活動
●5月/東日本大震災被災地応援プロジェクトへ参加(宮城)
●5月/チャリティ・イベントを開催(東京)
●6月/雨水貯留装置設置プロジェクトを開始
(インドネシア)
(∼3月
●6月/環境衛生向上プロジェクトが完了
(バングラデシュ)
●7月/JWFファンド支援プロジェクトを公募( 草の根活動の支援 - Charity for Water
●8月/雨水貯留タンク (→P.17、P.27)
●8月/茶畑内のコミュ ●8月/スラム地域にお ●引き続き、東日本大震災被災地支援の協力を呼びかけ
●7月/シンガポール国際水週間(シンガポー
日本の叡智の世界への発信
(→P.21)
●7月/打ち水大作戦2011(大暑7月23日∼
●7月/第35回水の週間 水の展示会へ出展 人材育成・啓発
●8月/水供給における (→P.23)
●引き続き、Web水検定を実施
Japan Water Forum Annual Report 2012
08
●1月/キング・ハッサン2世世界水大賞選考委員会へ出席(モロッコ)
●3月/国連「世界水の日」記念イベントを開催(東京)
●12月/準備会合へ出席(フランス)
●2月/準備会合へ出席(フランス)
(スウェーデン)
●3月/第6回世界水フォーラムへ参加(フランス)
●10月/準備会合へ出席(フランス)
●
●
●
●
●
●
洋地域会合(第2回会合)
を開催、東南アジア水大臣フォーラムへ出席(シンガポール)
●9月/地域ターゲット・コーディネーター会合を開催(韓国)
●11月/執行審議会第10回会合を開催(シンガポール)
)
のセッション、NoWNET会合を開催(スウェーデン)
●9月/第2回アジア・太平洋水サミットに関する記者会見・記念シンポジウムを開催(東京)
●9月/日印グローバル・パートナーシップ・サミット 水セッションに企画協力
(東京)
●10月/第10回基本戦略委員会を開催(東京)
●11月/INCHEM TOKYO 2011にて行動チームによる活動成果の発信(東京)
●2月/InterAqua 2012にて行動チームによる活動成果の発信(東京)
●3月/第6回世界水フォーラムにてBOP水ビジネスに
関するサイドイベントを開催(フランス)
●10月/国連に提出するインプット案へ意見具申
を実施
●9月/JWFファンド支援プロジェクトを決定(11カ国15件)
(∼3月完了)
●11月/プロジェクトのフォローアップ調査を実施(ケニア、
スリランカ)
完了)
●2月/仮設住宅における雨水利用支援プロジェクトを実施(宮城)
過去最多の47カ国793件の応募)
設置プロジェクトを開始(スリランカ)
(∼12月完了)
ニティ衛生改善プロジェクトを開始(スリランカ)
ける給水システム改善プロジェクトが完了
(ケニア)
ル)
●3月/第6回世界水フォーラム
(フランス)
●9月/日印グローバル・パートナーシップ・サミット
(東京)
●11月/INCHEM TOKYO 2011 水イノベーションに企画協力
(東京)
∼ 処暑8月23日、524万人以上が参加)
(東京)
インフラの役割の取材結果を新聞紙上で発信
●10月/シンポジウム
「今知りたい東京の安全な水」
を開催(東京)
Message from staff/山口範子
平成23年度、東日本大震災の被災地での支
援活動が本格化しました。
それぞれの活動の詳
細は、
ニュースレターやホームページでも随時ご
報告させていただいています。
ぜひご覧ください。
Japan Water Forum Annual Report 2012
09
平成 23 年度の活動内容
特集 : 第 6 回世界水フォーラムに関する取り組み
アジア・太平洋地域コミットメント・セッション
第6回世界水フォーラムは、平成24年3月12日か
ら17日まで、
フランス
(マルセイユ)
にて開催され、
ス
ローガン「Time for Solutions(水問題解決の
アジア太平洋地域プロセスの推進(→P.11)
第6回世界水フォーラムの地域プロセスにおいては、
前回のフォーラムに引き
続き、
アジア太平洋地域のコーディネーターに任じられた、
アジア・太平洋水
フォーラム
(APWF)
の事務局として、
同地域の議論・準備活動を主導しました。
時)」の下、個別課題や地域ごとに、適切な目標設
16日には、アジア・太平洋地域コミットメント・セッション(議長: 森喜朗
定や具体的な解決策の提示に焦点を当てた議論
APWF会長、
ラビ・ナラヤナン同執行審議会副議長)
を開催し、同地域の準
が展開されました。
備活動及び関連セッションにおいて議論された、具体的な目標や解決事例を
日本水フォーラムは、アジア太平洋地域のコー
ディネーターとしての活動を始め、様々な取り組みを
共有しました。
また、
この結果を踏まえ、
さらに、
タイ
(バンコク)
にて開催される
予定の第2回アジア・太平洋水サミットに向けて、各国首脳を含む各界のリー
ダーに発信すべきメッセージの内容について議論を展開しました。
行いました。
日本パビリオンにおける情報発信(→P.22)
水のエキスポでは、
日本パビリオン内にブース出展し、世界の水問題解決
のために日本の企業や団体が培ってきた技術、
ビジネスモデル及び先進的な
取り組み等を、
パネル展示、
カタログ配布を通じて、世界の水関係者に広く発
信しました。
NoWNET会合
日本水フォーラムが事務局を担う、水分野における先進国間ネットワーク
(NoWNET)
の会合を開催し、韓国、
フィンランド、
デンマーク、
日本のメンバー
機関の参加の下、
フォーラム期間中を含めた先進各国の最新の水関連活動
について情報共有を行いました。
BOP水ビジネスに関するサイドイベント(→P.13)
により、BOPビジネス
BOPビジネス実行委員会※と国際協力機構(JICA)
による水と衛生の持続可能性向上のためのアプローチをテーマとしたセミ
ナーが開催され、
インド、
スリランカ、
バングラデシュ等における事例紹介を交え
ながら、水分野におけるBOPビジネスの可能性が議論されました。
※水の安全保障戦略機構事務局(日本水フォーラム)
がBOPビジネス実行委員
会の事務局を担っています。
Japan Water Forum Annual Report 2012
10
第3回京都世界水大賞授賞式
第6回世界水フ
ーラム速報
第6回世界水フォーラム
日本パビリオォ
ン
(フラ
ンス)
国際的な水大賞の選考支援
草の根レベルで水問題の解決に尽力する団体を称えるため、第3回世界
水フォーラムの開催都市である京都市と世界水会議が創設した、京都世界
水大賞の事務局として、
応募団体の募集、審査等の支援を行いました。
第3回京都世界水大賞は、52カ国・地域より寄せられた225の応募団体
の中から、活動の持続可能性やステークホルダーの参加などの点で最も高い
評価を得た、
ウガンダの女性のネットワーク組織、
「カトシ開発夫人組合」
に授
与されました。
また、
日本水フォーラムは、
モロッコ政府と世界水会議により創設された、
キ
ング・ハッサン2世世界水大賞の国際選考委員を務めました。同賞は、
チュニ
ジアのサヘル・サハラ観測所に授与されました。
第6回世界水フォーラム開催概要
スローガン Time for Solutions
期 間 平成24年3月12日∼17日
会 場 パルク・シャノ・コンベンションセンター他
(フランス/マルセイユ)
主 催 フランス政府、世界水会議(WWC)
内 容 (下記プロセスに関するセッション等で構成)
●政治プロセス
(閣僚級、国会議員、地方自治体等)
●テーマプロセス
(12の優先課題、3つの成功条件)
●地域プロセス
(アジア太平洋、
アフリカ、
アメリカ、
ヨーロッパ、
地中海、
アラブ)
●草の根・市民プロセス
その他、
ハイレベルイベント、水のエキスポ等が開催された。
情報収集・情報発信
第6回世界水フォーラムの準備期間中は、
日本の関係者に対して、同
フォーラムの準備状況等について適宜情報提供を行いました。
また、
フォーラ
ム期間中の日本の関係者の取り組み予定を調査し、
とりまとめた結果を関係
者と共有すると共に、
メディア関係者を含め、
広く情報発信を行いました。
フォーラム期間中は、主要テーマの議論内容について情報収集・フォロー
アップを行うと共に、期間中の出来事を速報としてとりまとめ、
日本の関係者
向けに計3回の配信を行いました。
フォーラム閉幕直後の3月22日には、国連「世界水の日」
を記念した公開シ
ンポジウムをJICA研究所(東京)
にて開催し、主要な関係者より、第6回世界
水フォーラムにおける各分野の取り組みをご報告いただくと共に、地球上の水
第6回世界水フォーラムには、15名の国家元首・首脳、173カ
国の代表団、103名の閣僚級、250名の市長、250名の議員等、
約2万人以上が参加。閣僚宣言を含む様々なコミットメントが発表
された。
日本からは、閣僚級会合に国土交通副大臣が参加したのを始
め、政府、
民間企業、研究機関、
自治体、NGO、関係団体より合計
100名規模の参加があった。
皇太子殿下は、水と災害に関するハイレベルパネルにおいて、
ビデオメッセージとして津波災害に関するご研究の成果をご発表さ
れた。
第7回世界水フォーラムは、平成27年(2015)年に韓国(テグ)
にて開催予定。
問題解決に向けて、今後日本が積極的に取り組むべき課題やその戦略につ
いての議論を展開しました。
Message from staff/福本しのぶ
日本で世界水フォーラムが開催されて、十年を
迎えます。再びアジア
(韓国)
で開催される次回
のフォーラムでは、
アジア太平洋地域に、
より焦
点が当てられることを期待しています。
Japan Water Forum Annual Report 2012
11
平成 23 年度の活動内容
政策提言
アジア・太平洋水フォーラム(APWF)
アジア・太平洋水フォーラムは
(APWF)
は、
ア
第2回APWS及び第6回世界水フォーラムに向けた準備活動
ジア太平洋地域の政府、国際機関、市民社会な
準備会合
どを結ぶ地域ネットワークで、同地域の水問題解
決に向けて様々な活動を行っています。
第2回APWSの準備会合を兼ね、同サミットにおけるフォーカスエリアの枠組み
に沿う形で、関係機関と共に、第6回世界水フォーラムに向けたアジア太平洋地
域プロセスを展開しました。4月にはタイにて、7月にはシンガポールにて、9月には
日本水フォーラムは、APWFの事務局として、
韓国にて準備会合を開催し、設定したターゲットの達成に向けた方策や第6回世
平成23年度は、前年度に引き続き、第2回アジ
界水フォーラムにおけるセッションの内容についての議論を推進しました。
ア・太平洋水サミット
(APWS)及び第6回世界水
7月と11月にシンガポールにて開催した執行審議会 ※1 会合では、主に第2回
フォーラムに向けた準備活動を中心に活動を展
開しました。
APWSのフォーカスエリアセッションにおける議論内容やアジア水開発展望等の
関連文書及び成果文書の内容について議論を展開しました。
第2回APWSに関する情報発信
5月には、同サミットの開催に関して、
タイにて各国外交官を対象とした説明会
を開催した他、9月には、
日本でメディア関係者向けの説明会を開催すると共に、
日本の与野党の国会議員をお招きして、水問題と政治のリーダーシップをテーマと
した記念シンポジウムを開催しました。
同シンポジウムで議論された、水問題解決に向けて政治が果たすべき役割等
を、
関係者へのメッセージとしてとりまとめ、国内外に発信しました。
第6回世界水フォーラムにおけるセッションの開催
アジア太平洋地域のターゲットコーディネーターを務める各機関により、家庭や
都市における水と衛生、水と食糧、資金調達メカニズム、洪水リスク管理、教育、
統合水資源管理(IWRM)等をテーマとした地域セッションがそれぞれ開催されま
した。
16日には、
アジア・太平洋地域コミットメント・セッション
(議長: 森喜朗 APWF
会長、
ラビ・ナラヤナン同執行審議会副議長)
を開催し、各セッションにおいて議
論された、具体的な目標や解決事例を共有しました。
また、
この結果を踏まえ、第2
回APWSに向けて、各国首脳を含む各界のリーダーに発信すべきメッセージの内
容について議論を展開しました。
本セッションの議論を通じて、
アジア太平洋地域プロセスにおいて提唱された
目標、解決策、
メッセージを基に、第2回APWSの成果文書「バンコクからのメッ
※1/APWFの意思決定機関(議長:トミー・コー シンガポール
無任所大使)
※2/財務、計画、保健、防災、
インフラ、農業、
エネルギー、環
境、水、
その他の水に関わる大臣に、各界のリーダーとの対話
の場を提供し、水の安全保障を確保するための政策や革新的
な解決策に関する議論を促進することを目的とする。
セージ」
を構成していくことが確認されました。
また、同地域が直面する深刻な水問
題は、
「発展」、
「災害予防・対策の強化」、
「生活向上」
と深く関係しているという
認識の下、水の安全保障というビジョンの実現に向けて、行動を起こしていくこと
が約束されました。
具体的な取り組みの推進
Message from staff/戸野原芳恵
「水の安全保障に関わる大臣イニシアティブ」※2の進展を図ることを目的とし
最も深刻な水問題を抱えるアジア太平洋地域で
て、
ストックホルム世界水週間において各界のリーダー間の対話の機会を提供し
は、近年、水と衛生に関して大きな改善が見られ
ました。
ました。今後も、広範な水関連分野での各国首
また、
タイの国立科学博物館、国連教育科学文化機関(UNESCO)
と共に、
脳らのリーダーシップの発揮を促進していきます。
Japan Water Forum Annual Report 2012
12
第6回世界水フォーラム アジア・太平洋地域コミットメント・セッション
(フランス)
第6回世界水フォーラムで発表されたアジア太平洋地域の目標
内容
コーディネーター
1. 家庭における水の安全保障
安全な飲料水と基本的な衛生施設を利用できない人々の数を2015 年までに半減し、2025 年までに普遍的で
国連アジア太平洋経済社会委員会
(ESCAP)
持続可能な目標を達成するために更にその数を減少させる
2. 経済・食糧と水の安全保障
2012年までに、
グリーン成長における、地方・国・地域レベルでの行動を促進し、経済・食糧と水の安全保障に役
立つ、水に関する行動枠組を提案し、2014 年までに行動枠組の重要な土台部分の実施に着手する
既存のメカニズムを強化し、
また、革新的な新しいメカニズムを造ることによって、
ローカルレベルへの資金調達の
国連食糧農業機関
(FAO)
国連アジア太平洋経済社会委員会
(ESCAP)
国連人間居住計画(UNHABITAT)
流れを改善する
3. 都市における水の安全保障
安全な飲料水と基本的な衛生施設を利用できない人々の数を2015年までに半減し、2025年までに普遍的で持
国連人間居住計画(UNHABITAT)
続可能な利用の達成を目指す
4. 水リスクと回復
2015 年までに、戦略的洪水危機管理枠組を準備し、適切な政策と手法により、
ヒマラヤ地域のコミュニティ回復
国際総合山岳開発センター
(ICIMOD)
力強化のために新しい技術を導入し、地域情報システムを強化する
5. 水の安全保障が確保された世界に向けた統合水資源管理
(IWRM)プロセス
北東アジア地域において、気候変動に関わる水分野の研究・教育を実施するためのトレーニングセンターを設立・
韓国水フォーラム
(KWF)
運営することを、2018年までに北東アジア各国が約束する
の確立を目指して、河川流域機関(RBO)
の能力向上を促進する
気候変動適応策を含む統合水資源管理(IWRM)
国連教育科学文化機関(UNESCO)
アジア太平洋水博物館の設立に向けた準備活動を展開しました。第6回世界水
フォーラムでは、UNESCOを中心に特別イベントが開催され、同博物館の設立に
向けて、
アジア太平洋地域からの貢献が広く呼びかけられました。
Japan Water Forum Annual Report 2012
13
平成 23 年度の活動内容
政策提言
チーム水・日本/水の安全保障戦略機構
チーム水・日本は、国政のリーダーシップによっ
国内流域の持続可能な発展に向けた政策提言活動
て、行政の枠と企業の自社主義を乗り越え、多様
東日本大震災後の日本社会に向けての緊急提言
な人々の叡智を結集し、国内外の水問題解決に
よる持続可能な未来の実現を目指す行動の総称
4月、岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市等に調査団を派遣し、上下水道施
設の被災・復旧状況、飲料水の供給状況も含めた、地震・津波による被害状況
について現地調査を実施しました。
この結果も踏まえ、今後の持続可能な水社会
です。行動主体として特定課題に取り組む
「行動
の構築に向け議論した内容を提言書としてとりまとめ、全関係省庁、全ての国会
その支援と政策提言を担う
「水の安全
チーム」 、
議員、
東北3県(岩手、宮城、福島)
の知事、市町村長あてに発出しました。
保障戦略機構」 、13府省庁で構成する
「水問
また、
シンガポール国際水週間(7月)、
ソウル国際水会議(9月)、IWAアジア太
※1
※2
題に関する関係省庁連絡会」
が中心となり、活動
が展開されています。
水の安全保障戦略機構の事務局を、
日本水
平洋地域会議(10月)、InterAqua2012(2月)
の機会を通じて、緊急提言の内
容を国内外に広く発信しました。
低炭素社会における流域水管理のあり方の検討
水の安全保障戦略機構の基本戦略委員会では、前年度より引き続き、低炭素
フォーラムが担い、平成23年度は、東日本大震
社会における流域水管理をテーマとした議論が展開されました。
この結果を踏ま
災後の日本社会に向けての緊急提言の発出を
え、提言書に関する事務局案を提示しました。
始めとした、国内流域の持続可能な発展に向け
た政策提言活動や、課題別・地域別の水援助・
水ビジネスの展開支援に取り組みました。
世界の水問題解決に向けた援助・ビジネスの展開支援
国連持続可能な開発会議(リオ+20)へのインプット
平成24年6月にブラジルにおいて開催される、国連持続可能な開発会議(リオ
+20)
の国内準備委員会会合に参加し、
国連に提出するインプット文書の策定に
あたって、水分野の団体を代表し、低炭素社会における流域水管理システムの構
築について提案を行いました。
課題別: BOP水ビジネス
途上国等における低所得者層(BOP)
を対象とした水ビジネスに対する理解を
深め、水と衛生の持続可能性の向上に資する活動の推進を目的とする委員会が
結成され、
その事務局を水の安全保障戦略機構事務局が担うことになりました。
本委員会は、
フランスにて開催された第6回世界水フォーラムにおいて、BOPビ
ジネスによる水と衛生の持続可能性向上のためのアプローチをテーマとしたサイ
ドイベントを国際協力機構
(JICA)
と共同開催し、
その活動を開始しました。
地域別: インド
デリー、
ムンバイ、
ハリヤナ州等に、官民で構成する調査団を派遣し、上下水道
事業等における協力や協働の可能性を調査しました。
※1/ 水に関わる多種・多様な特定課題に取り組む行動主
体。課題ごとに、複数の民間企業、NPO、学会・協会、政府関
係機関、地方公共団体等により構成。
※2/与野党の国会議員、産業界・団体及び学界の代表者、
有識者により構成
Message from staff/ 野悟 大川尚範
日本の水援助・水ビジネスの海外展開と国内の水
管理は表裏の関係にあります。
成功事例を推進し
ながら、
それぞれの経験を共有し、
日本と世界の持
続可能な未来に貢献していきたいと思います。
Japan Water Forum Annual Report 2012
調査の結果を踏まえ、9月に日本で開催された、
日印グローバル・パートナーシッ
プサミットにおいて、水インフラに関するビジネスセッションを開催しました。
その後、
各州・都市の課題を解決する具体策を推進するため、官民連携による水ビジネス
参入を支援する行動チームが発足しました。
行動チームの情報発信支援
行動チーム数は、35に達しました。INCHEM TOKYO 2011やInterAqua
2012等の国際展示会・会議の機会を捉え、
日本で培われてきた、水に関する多
様な技術と経験や、行動チームによる活動成果を発信しました。
14
水の安全保障戦略機構 第8回基本戦略委員会
(東京)
強靭でしなやかな水循環の低炭素社会の構築に向けて
●災害に強い街づくり、国づくり
・大都市圏ゼロメートル地帯における防災都市づくり
・海岸地帯・沖積低平地の土地利用見直しとゾーンによる防災国土の構築
・津波被災地区の付加価値の高い農業・漁業による再生
・都市の上・下水道システムの耐震化の推進
●しなやかな地域づくり
・IT活用による広域水情報の共有システム
・水道事業体間の水の相互融通ネットワークの構築
・大災害時のダムの弾力運用と緊急水利システム制度の確立
・都市住民との連携による森林と農業水利施設の維持管理の推進
●健全な水循環社会の構築
・地下水の見える化と適正な地下水保全・利用制度の確立
・災害時に備えた地域の緊急水源の確保
・水道事業の広域化と技術者育成システムの確立
・生態系、流域の水循環に注目した汚水処理システムの普及
●低炭素社会の構築
・ダム再開発・ダム運用見直しによる水力エネルギーの増強
・小水力発電による地域分散エネルギー社会の構築
・位置エネルギーを利用した水配水システムの再編成
・下水汚泥のエネルギー化と肥料化による循環型社会の構築
(「東日本大震災後の日本社会に向けての緊急提言」
より抜粋) Japan Water Forum Annual Report 2012
15
平成 23 年度の活動内容
政策提言
治水施策に関する情報発信方策の検討・海外動向の調査
調査研究活動
持続可能な発展のためには、水と災害への対応が不可欠であるという認識を
広め、将来的には、水と災害に関する国際的コミットメントを引き出していくことを目
指して、第5回国際洪水マネジメント会議や第6回世界水フォーラム、国連持続可
能な開発会議(リオ+20)等の国際会議の場における、
日本の水災害分野に関
する政策発表について、
その情報発信方策の検討や事前調整を行いました。
平成23年度は、気候変動への適応、水関連
また、世界の水関連災害の発生状況や水と持続可能な発展の関係等につい
てデータ整理を行うと共に、津波災害からの復旧・復興や災害リスク軽減の必要
災害による被害の軽減、水ビジネス、水・エネル
性について、諸外国に向けた日本からの政策発表や、国際的な議論を行う上で
ギーなどをテーマに調査研究活動を実施しました。
必要となる資料の作成を行いました。
さらに、国際会議の場を活用して、水関連災
害に関する先進的な取り組みや海外動向の調査を実施しました。
緊急復旧対策に関する調査検討
近年発生した地震・洪水により堤防等が損傷した事例を基に、災害復旧対策
に関する課題を整理し、課題解決につながる諸外国の事例を調査し、荒川下流
域における適応策を検討しました。
荒川下流域における応急復旧対策の課題を踏まえ、海外事例として、米国、英
国、
ドイツ、
オランダ等の7カ国を対象として、地震や洪水後の復旧対策事例の調
査を行いました。
また、米国における国家的対応枠組み(NRF)及び事前業務分配計画
(PSMA)
や国家災害管理システム
(NIMS)、英国における国家復旧ガイダンス
(NRG)
やエキササイズ・ウォーターマーク等、建設機械・資材・技術者調達支援
システム、
民間事業者との事前契約・協定を含めた広域支援体制、情報の共有
方策について詳細調査を実施しました。
調査結果を踏まえ、大規模災害時の広域連携の枠組み、内閣府を中心とした
指示命令系統の統一、各省庁の役割分担、
自治体との縦断的・横断的連携等
を含めた、早期復旧対策のあり方について提案を行いました。
地域防災力向上方策の検討
平成23年度に実施した
主な調査研究テーマ
・水災害・水資源管理における気候変動適応策に関する調査
・治水施策に関する情報発信方策の検討・海外動向の調査
・緊急復旧対策に関する調査検討
・地域防災力向上方策の検討
・都市型水問題に関する検討
低平地佐賀における地域防災力の現状と問題点を踏まえ、
日本国内、米国、
英国、
オランダ、
ドイツにおける地域防災力の評価・向上事例の調査を行い、米国
の連邦緊急事態管理庁(FEMA)
による自主防災組織「CERT」
と、英国の「フ
ラッドライン」
による災害情報提供の取り組みについて詳細調査を実施しました。
国内外の事例の適用性を踏まえ、佐賀平野の地域防災力向上に向けた、
自
助・共助・公助及び各機関等の連携における方策とその評価手法を提案しまし
た。
また、地域防災啓発パンフレット及び防災マップの検討・作成を行いました。
・スリランカ未給水地域における水供給事業に関する調査
・官民連携による水ビジネス展開に関する調査
水ビジネスに関する調査
・インドにおける上下水道事業に関するニーズ調査
国際協力機構(JICA)
の協力準備調査(BOPビジネス連携促進)
に採択され
・水・エネルギーに関する海外動向の調査
た、
スリランカの未給水地域における水供給事業について評価委員会を設置し、
事業による低所得者(BOP)層への改善効果や社会影響・配慮の評価を実施し
Message from staff/木村浩昭 和田淳
多岐に渡る、海外の水関係者とのネットワークを
随所に活かしながら、変化する社会・経済・環境
を適切に把握し、水関連災害や衛生などの喫
緊の課題に取り組んでいます。
Japan Water Forum Annual Report 2012
ました。
また、
日本の下水道等の水ビジネスの海外展開に向けて、
シンガポール国際水
週間の機会を活用して、
日本の地方公共団体及び民間企業が提示したソリュー
ションに対する海外からの関心傾向を調査し、今後の情報発信における国・地域
別の重点事項を整理すると共に、
その発信先について情報収集を行いました。
16
米国カリフォルニア州
オーストラリア
クィーンズランド州
英国
「フラッドライン」
第6回世界水フォーラム 水と災害ハイレベルパネル
(フランス)
ブリスベン川の親水護岸
(オーストラリア)
各国で用いられている水災害情報に関する啓発ツール
ハリヤナ州内の下水処理場
(インド)
Japan Water Forum Annual Report 2012
17
平成 23 年度の活動内容
草の根活動の支援 ─ Charity for Water
8
9
10
雨水貯留タンクの設置
(ウガンダ)
1
2
3
4
11
5
6
12
7
平成23年度の支援実績: アフリカ地域
地域
井戸の建設
(バングラデシュ)
事業内容
受益者数
学校におけるトイレの建設
375人
洪水被災地における公共トイレの建設
774人
学校における井戸の建設、衛生用品の提供
3,000人
女児が使いやすいトイレの建設、手洗い所の建設
614人
カンパラ
雨水貯留タンクの設置
250人
ホイマ
水供給用の貯水池の建設
1,120人
キスム
スラム地域における給水システムの建設
1,100人
ナイロビ
学校におけるエコサン・
トイレ及び雨水貯留システムの建設
920人
シアヤ
小学校におけるエコサン・
トイレの建設
1,525人
井戸の建設、学校におけるエコサン・
トイレの建設
2,450人
1. ガーナ
ンクロフル
2. ベナン
アボメー・カラビ
3. ナイジェリア
アド・エキティ
4. カメルーン
ンガウンデレ
5. ウガンダ
6. ケニア
7. マラウィ
サリマ
Message from staff/近藤かおり
公的な支援が及ばず、水問題を抱えていること
すら陽の目を見ない地域にしっかりと向き合い、
自立性・持続可能性に配慮した支援を着実に
展開しています。
Japan Water Forum Annual Report 2012
18
14
衛生教育に関する講習(インド)
13
トイレの建設(スリランカ)
平成23年度の支援実績: アジア太平洋地域
地域
事業内容
受益者数
サンガール
学校における井戸用手動ポンプ及びトイレの修繕、手洗い所の修繕・新設
1,760人
チトラル
給水管路の建設
217人
小学校におけるエコサン・
トイレ及び手洗い所の建設
288人
チュアダンガ
学校におけるエコサン・
トイレの修繕・改善、井戸の建設
1,178人
ナトール
井戸の建設
3,000人
チッタゴンほか
環境衛生向上のためのコミュニティの能力向上
184,762人(水)
8. パキスタン
9. インド
ブバネシュワール
10. バングラデシュ
412,708人(トイレ)
11. スリランカ
イルックピティヤ
ウェリマダ
雨水貯留システムの建設
トイレの建設
160人
250人(予定)
12. インドネシア
ケダロ
小学校における雨水貯留システムの建設
796人
深井戸及びトイレの建設
150人
13. フィリピン
カンデラリア
14. 日本
(宮城県)
仙台市・名取市
雨水利用の支援
松島町
浸水被害対策としての排水用ポンプの支援
330世帯
(平成24年度施工完了予定)
Japan Water Forum Annual Report 2012
19
平成 23 年度の活動内容
草の根活動の支援 ─ Charity for Water
ケニア ナイロビ市
水と衛生を通じた子どもたちの健康改善プロジェクト
インドネシア ロンボク島ケダロ村
雨水貯留装置設置プロジェクト
カワンワレ・スラムのコミュニティ・スクールには、適切なトイレが
ない上に、飲料水は、汚物が流れこむ浅井戸から得るしかなく、
コレ
ラなどの水に起因する病気で多くの子どもたちが苦しんでいます。
衛生状況や水供給を改善するため、
エコサン・
トイレ
(3個室)
と雨
水貯留タンク
(5,000リットル)
の建設を支援しました。今後、子ども
たちの学校への出席率の向上も期待されています。
水供給の設備がなく、飲料用の水やトイレを流すための水を得
ることができなかった村内の5つの小学校に、雨水貯留用のタンク
を設置したことで、750名の生徒・先生たちが、十分な量の水を利
用できるようになりました。
また、
タンクの維持管理やムクロジの樹
皮を使った石けん水での手洗い等の講習を通じて、
より安全に水
を利用できるような工夫がなされています。
Supported by 東レ株式会社
Supported by JWFファンド
平成23年度は、JWFファンドや会員の皆様との
連携、
ダルビッシュ有水基金等により、13カ国20件
のプロジェクトを通じて、30万人以上の飲み水や衛
生環境の改善に貢献しました。
JWFファンド※
過去最多の47カ国793件の応募の中から、JWFファンド審査委員会によ
る審査を経て、11カ国15件のプロジェクトに対して支援を実施しました。
会員の皆様との連携
また、国内では、東日本大震災に被災された方々
インドネシアのロンボク島にて、東レ株式会社のご支援を得て実施した、学
に対して、水に関する支援を開始しました。
校での雨水貯留装置設置プロジェクトが完了しました。島内の5つの小学校
に雨水の貯留システムが導入され、飲用を含めた様々な用途に雨水が利用
できるようになりました。
WaterAidとの連携
イギリスの国際慈善団体「WaterAid」
と共に、
バングラデシュ内の12のス
ラム地区にて、
コミュニティの能力向上に取り組みました。2年間の事業の結
果、10万人以上が給水設備を、40万人以上が安全な衛生設備を利用でき
るようになるなど、大きな成果を収めました。
※発展途上国の団体よりプロジェクトを公募し、毎年、
合計で15件程度、
1件あたり
1,000US$を上限とした資金援助を実施しています。
Japan Water Forum Annual Report 2012
20
バングラデシュ チッタゴン市ほか
環境衛生向上プロジェクト
スリランカ モナラガラ県イルックピティヤ村
雨水貯留タンク設置プロジェクト
住民組織の形成や、設備の管理・維持のための技術・ノウハウ
の習得支援、水と衛生に関する権利擁護や教育活動等により、
地域や学校において井戸等の給水設備やトイレの新設・修繕、
ス
ラム地区への水道敷設がなされました。都市部や農村部の貧困
層18万4,762人が給水設備を、41万2,708人が安全な衛生設
備を利用できるようになりました。
一年中取水が可能な井戸が1基しかないイルックピティヤ村で
は、乾期である半年間、住民は、毎日2時間かけて水汲みを行って
いました。160名の村人全員が利用可能な、10箇所の民家の屋
根に雨水収集システムと貯留タンク
(容量8,000リットル)
を設置
することで、住民は乾期でも安定的に水を利用できるようになり、経
済活動に充てられる時間も増えました。
Supported by ダルビッシュ有水基金
ダルビッシュ有水基金
ケニアでは、
キスム市内のスラム地域にて展開していた、給水システム改善
プロジェクトが完了し、12箇所の給水所と30世帯への給水が開始されまし
た。地元のコミュニティ団体による管理の下、
スラム地域の住民が、安全な水
を適正な価格で利用できるようになりました。
スリランカでは、
バドゥッラ県のウェリマダ管区内にて、
トイレ建設による衛生
改善プロジェクトを開始しました。
また、
モナラガラ県のイルックピティヤ村にて
展開していた、雨水貯留タンク設置プロジェクトが完了しました。
東日本大震災被災地支援
国内外から寄せられた支援金を用いて、宮城県仙台市内及び名取市内の
仮設住宅において雨水利用の支援を、宮城県松島町内において、震災後の
浸水被害対策として、
排水用の水中ポンプの支援を行いました。
詳しくは、
P.27をご覧ください。
Message from staff/田中麗子
皆さまのご支援で、
たくさんの人々に安全な水と衛
生を届けることができました。
活動の内容やご支援
の方法をお知らせする機会として、
チャリティ・イベ
ントを開催しています。
ぜひご参加ください。
Japan Water Forum Annual Report 2012
21
平成 23 年度の活動内容
日本の叡智の世界への発信
シンガポール国際水週間2011 水エキスポ会場
(シンガポール)*
海外では、
シンガポール国際水週間、第6回世界
水フォーラム、国 内では、IN C H E M T O K Y O
2011、
日印グローバル・パートナーシップ・サミット等
の機会を通じて、
日本の技術や経験を世界に発信し
ました。
シンガポール国際水週間
7月に開催された、
シンガポール国際水週間2011にて、関係機関の皆さま
と共に、
日本の水の叡智を国際水ビジネス市場へ発信しました。
水エキスポ
水エキスポ
(展示会)
においては、
日本パビリオンへの特別協力のほか、国
土交通省、下水道グローバルセンター
(GCUS)
と共にブース出展を行いまし
た。本ブースでは、地方公共団体(東京都、横浜市、大阪市、神戸市、北九州
市)
と民間企業等が、連携してプレゼンテーションやパネル展示を行う場を提
供し、世界の水・衛生・環境問題の解決に向けたソリューションの発信や、途
上国の政府関係者を含めた、
ビジネスマッチングの機会を支援しました。
また、
東日本大震災に関するプレゼンテーションや展示が大きな反響を呼びました。
ジャパン・ビジネスフォーラム
シンガポール水事業庁(PUB)
と共にジャパン・ビジネスフォーラムを開催
し、北九州市長や国際協力銀行(JBIC)取締役による基調講演、ハイフラッ
クス社CEOのオリビア・ラム氏、
カンボジア・プノンペン水道公社総裁のエク
ソン・チャン氏、
日本の民間企業の代表者等を交えたパネル・ディスカッション
を通じて、官民連携による日本型水ビジネスモデルの強みを発信しました。本
ビジネスフォーラムは、非常に大きな注目を集め、聴講者数は390名にも達し
ました。
* Photo by Courtesy of Singapore International Water Week
Japan Water Forum Annual Report 2012
22
日印グローバル・パートナーシップ・サミット 水セッション
(東京)
シンガポール国際水週間2011 ジャパン・ビジネスフォーラム
第6回世界水フォーラム 日本パビリオン
(フランス)
日印グローバル・パートナーシップ・サミット
9月、水の安全保障戦略機構(事務局: 日本水フォーラム)
が、水インフラに
関するビジネスセッションを開催しました。
インドにおける水と衛生に関する問
題の解決と、
日印間の水ビジネスを促進するため、
インドの水事業体関係者に
向けて、
日本の水事業体や民間企業等が有する技術や経験を発信すると共
に、
ビジネスベースでの具体的な支援・協力について、財源・技術両面に渡る
議論を展開しました。
INCHEM TOKYO 2011
11月、東京ビッグサイトにて開催された、
日本唯一のプロセス産業と成長産
業のための専門展示会、
「INCHEM TOKYO 2011」
(主催: 一般社団法人
日本能率協会ほか)
において、新たに創設された、
「水イノベーション」
ゾーンの
企画協力を行いました。
第6回世界水フォーラム
3月、
フランスにて開催された第6回世界水フォーラムにおいて、世界の水
問題解決への貢献をテーマとして日本パビリオン内にブース出展し、
民間企
業や関係団体と共に、
日本の援助・ビジネスを通じた国際貢献事例や民間企
業と市民社会の連携による水問題解決事例を発信しました。
Message from staff/立田潤一郎
地方公共団体・民間企業等の海外案件の形成を
促進するべく、私たちの強みを活かして、ニーズの
把握と共に、海外関係者を対象とした情報発信、
ネットワーキング機会の創出に取り組んでいます。
Japan Water Forum Annual Report 2012
23
平成 23 年度の活動内容
人材育成・啓発
打ち水大作戦2011(東京)
前年度に引き続き、Web水検定を実施すると共
に、打ち水大作戦への積極的な参画と支援、
ユース
世代やジュニア世代との協働を行いました。
また、
シンポジウムの開催や講演会への講師の派
遣、展示会への出展等を通じて、水問題に関する啓
Web水検定
前年度よりインターネット上でスタートさせた、国内外の水問題に関する知
識力、
理解度を測る検定試験を引き続き実施しました。
平成23年度は、3級24名、2級8名、1級7名の方が合格されました。受検
料の一部は、JWFファンドを通じて、途上国の飲み水や衛生問題の改善のた
めの支援に活用させていただきました。
発活動を展開しました。
打ち水大作戦
打ち水大作戦2011への参画と支援
打ち水大作戦の事務局として、大暑7月23日から処暑8月23日までの期間
を中心として、雨水や二次利用水を用いた、打ち水の実施を呼びかけました。
平成23年度は、
日本全国で推定524万人以上の参加がありました。
ECOスタディツアー「親子で発見!水の未来」
打ち水大作戦本部と東京みずユース※1の共催により、小中学生の親子を
対象とした、
スタディツアーを開催しました。
ワークショップや川遊び、農業体験、緊急時のトイレ作りなどを通じて、参加
者に水循環の仕組みや多様な水利用の現状、上下水道の役割等を学んで
Web水検定 http://www.waterforum.jp/kentei/
もらいました。4日間で43名の親子に参加いただきました。
また、
ツアーに先
立って、
ツアーを引率する学生ボランティアのための養成講座を実施しました。
※1/ 日本水フォーラムのユースサポーター及びジュニアサポーターにより構成
※2/大学生や高校生らが、
日本水フォーラムのユースサポーターやジュニアサポーターとして、
日本水フォーラムと共に活動を行っています。
Japan Water Forum Annual Report 2012
24
矢木沢ダム現地取材
(群馬)
ECOスタディツアー
(茨城)
ユース世代、
ジュニア世代との協働
日本水フォーラムのサポーター※2に登録する大学生らと共に、水インフラが
果たす役割を調査し、
その重要性について情報発信を行いました。
平成23年度は、関東建設弘済会の協力を得て、関東・首都圏における水
供給をテーマに、水資源開発施設や浄水場を取材し、
その成果を、
「じゃぐちを
ひねれば、水源が見える」
と題して、新聞紙上(8月1日付け産経新聞首都圏
版)
にて発表しました。
シンポジウム等の開催
水の日・水の週間
国土交通省や東京都と共に、
「水の日」
(8月1日)及び「水の週間」
(8月1
日∼7日)
に関する啓発行事を主催する、水の週間実行委員会に参画しまし
た。
また、科学技術館(東京)
にて開催された、水の展示会に出展し、
日本水
フォーラムの途上国における取り組みを紹介しました。
シンポジウム
「今知りたい東京の安全な水」
10月、
日本橋公会堂(東京)
にてシンポジウムを開催し、3月に発生した東日
本大震災を踏まえ、水道水を使用するにあたって、一般の方が抱いている疑
問や不安に回答することを目的として、水道の現状について情報提供を行う
と共に、専門家を交えたディスカッションを展開しました。
8月1日付け産経新聞掲載内容
Message from staff/春田秀乙
みなさんの関心事項を敏感に捉え、
最新情報をタ
イムリーにお伝えすると共に、
若い世代とも協働し
ながら、
水について学ぶ機会や問題解決に貢献
できる機会を数多く創出していきたいと思います。
Japan Water Forum Annual Report 2012
25
組織概要
評議員
理事・監事
役職
氏名
所属等
会 長
副会長
副会長
副会長
副会長
副会長
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
評議員
森 喜朗
今井 義典
古賀 伸明
丹保 憲仁
米倉 弘昌
和田 正江
青山 俊樹
秋谷 鷹ニ
安中 德二
石井 直
石井 弓夫
井出 亜夫
伊藤 隆一
梅田 貞夫 太田 猛彦 大村 善雄
小野 俊行
神田 浩史
マーガレット・キャトレイ・カールソン
桐山 一憲
甲村 謙友
近藤 徹
坂本 弘道
澤田 陽子
鈴木 正一郎
鈴木 仁
徳川 恒孝
戸田 裕一
中川 博次
中村 正己
中村 良太
南雲 弘行
ラビ・ナラヤナン
日覺 昭廣
野口 健
服部 重彦
松井 靖夫
虫明 功臣
森嶌 昭夫
評議員
評議員
横倉 義武
和田 紀夫
元内閣総理大臣
前日本放送協会副会長/ジャーナリスト
日本労働組合総連合会(連合)会長
地方独立行政法人北海道立総合研究機構理事長/北海道大学名誉教授/放送大学名誉教授
一般社団法人日本経済団体連合会会長
主婦連合会副会長
元国土交通事務次官
一般財団法人造水促進センター常務理事
公益社団法人日本下水道協会理事長
株式会社電通代表取締役社長執行役員
株式会社建設技術研究所相談役/元世界水会議理事
日本大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授
一般財団法人新エネルギー財団業務執行理事
鹿島建設株式会社代表取締役会長
東京大学名誉教授
株式会社東京建設コンサルタント代表取締役社長
株式会社応用気象エンジニアリング顧問
特定非営利活動法人AMネット理事/桂川流域ネットワーク代表
世界水パートナーシップ前総裁
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社代表取締役社長
独立行政法人水資源機構理事長
応用生態工学会会長/公益社団法人土木学会前会長
一般社団法人日本水道工業団体連合会専務理事
全日本自治団体労働組合(自治労)副中央執行委員長
王子製紙株式会社代表取締役会長
大成機工株式会社代表取締役社長
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン会長
株式会社博報堂代表取締役社長
京都大学名誉教授/立命館大学理工学部客員教授
一般社団法人日本能率協会理事長
国際灌漑排水委員会名誉副会長/中村・水と農研究所代表
日本労働組合総連合会(連合)事務局長
アジア・太平洋水フォーラム執行審議会副議長
東レ株式会社代表取締役社長
アルピニスト
株式会社島津製作所代表取締役会長
八千代エンジニヤリング株式会社国際事業本部顧問
法政大学大学院工学研究科客員教授/東京大学名誉教授
特定非営利活動法人日本気候政策センター(JCPC)理事長/財団法人地球環境戦略研究機関
(IGES)特別研究顧問/名古屋大学名誉教授
社団法人日本医師会会長
日本電信電話株式会社取締役会長
(五十音順、平成24年5月時点)
役職
氏名
代表理事
副代表理事
副代表理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
監事
監事
竹村 公太郎
菅 和利
小島 良三
片山 徹
河田 直美
岸上 みち枝
小林 一朗
近藤 浩一
佐藤 辰巳
佐藤 年緒
寶 馨
田口 宇一郎
中山 幹康
濱口 達男
藤原 正弘
藤芳 素生
望月 常好
所属等
公益財団法人リバーフロント研究所代表理事
芝浦工業大学工学部土木工学科教授
水ing株式会社顧問
一般社団法人海外環境協力センター専務理事
一般財団法人日本水土総合研究所総括技術監
イクレイ
‐持続可能性をめざす自治体協議会日本事務所
(一般社団法人イクレイ日本)
事務局長
一般社団法人日本下水道施設業協会専務理事
一般財団法人砂防・地すべり技術センター代表理事
株式会社島津製作所分析計測事業部品質保証部部長
科学ジャーナリスト
京都大学理事補・教授
元滋賀県副知事
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
株式会社ニュージェック副社長執行役員
公益財団法人水道技術研究センター理事長
八千代エンジニヤリング株式会社専務取締役
公益社団法人日本河川協会専務理事
(五十音順、平成24年4月時点)
Japan Water Forum Annual Report 2012
26
会員: 個人会員167名 団体会員96団体
株式会社ICSコンベンションデザイン
株式会社アクアテルス
アサヒビール株式会社
いであ株式会社
ヴェオリア・ウォーター・ジャパン株式会社
株式会社 S.S Company
江戸川区
エヌワイケー株式会社
株式会社F&Aアクアホールディングス
王子製紙株式会社
株式会社オリエンタルコンサルタンツ
オルガノ株式会社
花王株式会社
鹿島建設株式会社
財団法人河川情報センター
一般社団法人河川ポンプ施設技術協会
川口市水道局
社団法人関東建設弘済会
輝水工業株式会社
キッツ株式会社
キヤノン株式会社
久二野村水産株式会社
協立測量株式会社
株式会社クボタ
栗田工業株式会社
株式会社クレアン
株式会社建設環境研究所
株式会社建設技術研究所
一般社団法人国際建設技術協会
財団法人国土技術研究センター
コスモヘルス株式会社
サントリーホールディングス株式会社
株式会社島津製作所
清水建設株式会社
株式会社昭和螺旋管製作所
水ing株式会社
住友信託銀行
星槎グループ
(学校法人国際学園)
積水化学工業株式会社
一般財団法人造水促進センター
株式会社第一管工
株式会社大広
大成機工株式会社
大成建設株式会社
玉野総合コンサルタント株式会社
財団法人ダム技術センター
財団法人ダム水源地環境整備センター
株式会社TAMURA
帝人株式会社
電源開発株式会社
株式会社電通
東京急行電鉄株式会社
株式会社東京建設コンサルタント
東京都水道局
学校法人東京理科大学諏訪東京理科大学
東電設計株式会社
社団法人東北建設協会
東レ株式会社
株式会社トーテツ
株式会社轟組
独立行政法人土木研究所
トヨタ自動車株式会社
株式会社酉島製作所
株式会社ニイミ
日興アセットマネジメント株式会社
日東電工株式会社
公益社団法人日本河川協会
公益社団法人日本下水道協会
日本下水道事業団
一般社団法人日本下水道施設業協会
一般財団法人日本建設情報総合センター
日本工営株式会社
日本コカ・コーラ株式会社
社団法人日本水道協会
一般社団法人日本水道工業団体連合会
株式会社日本水道新聞社
一般社団法人日本ダクタイル鉄管協会
一般社団法人日本能率協会
社団法人日本プロジェクト産業協議会
日本無線株式会社
日本労働組合総連合会
(連合)
株式会社ニュージェック
株式会社博報堂
パシフィックコンサルタンツ株式会社
株式会社日立プラントテクノロジー
扶桑電通株式会社
ブルス・
トラベル株式会社
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社
財団法人北海道河川財団
独立行政法人水資源機構
株式会社ムラヤマ
メタウォーター株式会社
八千代エンジニヤリング株式会社
公益財団法人リバーフロント研究所
(五十音順、
平成24年5月時点)
組織構成図
評議会
会 長
基本理念及び行動規範の
副会長
指導、助言
評 議員
総 会
理事会
通常総会:年1回
臨時総会
代表理事
法人を代表、業務の総理
副代表理事
理事
理事会を構成、
職務の執行
監事
業務執行の監査等
会 員
個 人 会員
団 体 会員
事務局
Message from staff/石渡京子
会員サービスの向上にも取り組みながら、皆さま
にご支持いただける、意義ある活動を様々な分
野・レベルで展開してまいります。温かいサポート
をどうぞよろしくお願い申し上げます。
Japan Water Forum Annual Report 2012
27
特別報告 : 東日本大震災被災地支援
松島町
仙台市
名取市
雨水貯留タンクを設置した仙台市内の仮設住宅
(宮城)
国内外より寄せられた、皆さまのご寄付により、被
仮設住宅における雨水利用支援
災された方々へ水に関するご支援を行っています。
多くの仮設住宅では、屋外に水道の蛇口がなく、
プランターへの水やりや屋
チャリティ・イベントなどを通じて集まったご寄付は、
外での掃除・洗浄に使う水は、室内から運んでこなければなりません。
また、
そ
の水道代も負担となっており、雨水の利用を望む声が多くありました。設置し
総額4,762,747円※1にも上り、平成23年度、宮城
た設備により、夏季の暑さ対策(打ち水、緑のカーテンへの水やり)
や非常時
県内にて支援を開始しました。
の緊急水源としても雨水が利用しやすくなります。
旧暦の
「雨水」※2に合わせて、仙台市内及び名取市内の仮設住宅に雨水
利用のための設備を設置しました。
仙台市太白区内の、
あすと長町ニュータウン
(あすと長町38街区応急仮設
住宅)
では、計12基の雨水貯留タンクを設置し、住宅棟の屋根を通じて、集水
ができるようにしました。名取市内の美田園第二応急仮設住宅及び同第三
応急仮設住宅では、雨どい
(縦とい)
を流れる雨水を手軽に利用できるよう、各
棟の縦といに、開閉式の特殊な取水口を取り付けました。
また、同第一応急仮
設住宅でも、
集会室の雨どいに、同様の取水口を取り付けました。
これらの設置の模様は、地元のテレビ・新聞でも大きく取り上げられました。
名取市内の仮設住宅の
雨どいに取り付けた取水口
※1/平成24年3月末時点。
※2/2月19日。旧暦の二十四節気の一つ。
「立春」
の次(約15日
後)
にあたり、雪や氷が融け始め、降る雪も雨に変わる頃とされる。
Message from staff/浅井重範
ご支援・ご協力をいただきました皆さまに心より
浸水被害軽減のための排水ポンプ支援
日本三景の一つ、
「松島」
の観光拠点である松島町は、震災時の被害だけ
でなく、地震に伴う地盤沈下により、海水の市街地等への流入や道路の冠
水、樹木の枯死の進行といった被害を受けています。
また、各所で雨水の排
水不良が発生しており、豪雨時の浸水被害が頻発・拡大しています。
こうした被害を軽減するため、町が、JR松島駅前及び沿岸部の長田地区で
感謝申し上げます。活動はまだ始まったばかりで
計画している排水用の水中ポンプの整備を支援しました。
す。
できる限りのニーズにお応えできるよう、更な
ポンプは、6月以降の多雨や集中豪雨に備えるべく、平成24年5月末に施
るご支援をよろしくお願いいたします!
工・設置が完了する予定です。
Japan Water Forum Annual Report 2012
28
日本水フォーラム事務局員
東日本大震災の被災地支援にご協力ください
日本水フォーラムは、東日本大震災で被災された方々へ、水や衛生に関する支援活動を行っていま
す。
より多くの支援を展開できるよう、皆さまからのご寄付をお待ち申し上げております。
1. ご寄付ご送金先 ※金額はいくらからでも結構です。
銀行名
三菱東京UFJ銀行
支店名
麹町中央支店
店番号
015
口座番号
普通 1398295
口座名義
特定非営利活動法人 日本水フォーラム 代表理事 竹村 公太郎
お振込みの際には、
金融機関所定の手数料のご負担をお願いします。
2. ご送金の際のお願い
ご送金後に、差し支えない範囲で結構ですので、
「ご氏名」、
「ご住所」、
「お電話番号」、
「Eメールアドレス」
を、
メール・FAX等で、下記のご連絡先へお知らせください。
お礼状や支援活動に関するご報告をお送りさせてい
ただきます。
チャリティ・イベント開催の際には、
ご案内をさせていただくことがあります。
個人情報は、
適切に管理いたします。
3. 支援の内容
皆さまのご寄付は、以下のような支援活動に使われています。
» 仮設住宅における雨水利用支援
» 震災による地盤沈下に伴う浸水被害軽減のための排水ポンプ支援
被災された方々のニーズを踏まえ、
水や衛生に関して、
他の支援を実施する場合があります。
事務局長
竹村 公太郎
ディレクター
木暮 陽一
山口 範子
エンジニアリングマネージャー
木村 浩昭
和田 淳
マネージャー
浅井 重範
石渡 京子
大川 尚範
近藤 かおり
立田 潤一郎
戸野原 芳恵
福本 しのぶ
野 悟
アシスタントマネージャー
田中 麗子
春田 秀乙
参与
橋本 和司
原田 幸治
福嶋 民也
山村 尊房
特別研究員
入江 登志男
ボランティア
古田 明美
(五十音順、平成24年5月時点)
<お問合せ先・連絡先>
特定非営利活動法人 日本水フォーラム
(担当: 浅井)
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町5-4 アライズ第2ビル6階
TEL: 03-5645-8040 FAX: 03-5645-8041
E-mail: [email protected]
URL: http://www.waterforum.jp/jp/home/pages/earthquake_and_tsunami_jp.php
学んで知って国際貢献 Web水検定
Web水検定は、国内外の水問題を学び、学んだ成
果の腕試しと同時に国際貢献もできるシステム。受
検料の一部は、飲み水や衛生問題を改善するため
の、途上国の草の根活動に使われます。Web水検
定の受検を通じて、国内外の水問題を学び、
その問
題解決に向けた活動に参加してみませんか?
あなたのチャレンジが、世界の人々を救います。
インターネットで、いつでもどこでも受検可能です。
Web水検定URL: http://www.waterforum.jp/kentei/
Web水検定で、CPD単位を取得することもできます。
詳しくは、Web水検定のウェブサイトをご覧ください。
主催: 特定非営利活動法人 日本水フォーラム
Japan Water Forum Annual Report 2012
日本水フォーラムの活動は、
会員の皆さまを始めとする関係者の皆さまに支えられています。
Supported by
Strategic Partners
Corporate Members
(五十音順)
(平成24年5月発行)
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