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エドワード二世
2013/2014 シーズン演劇公演 Try・Angle-三人の演出家の視点-Vol.2 エドワード二世 作◎クリストファー・マーロウ 翻訳◎河合祥一郎 演出◎森 新太郎 2013年10月8日(火)~27日(日) 新国立劇場 小劇場 シェイクスピアと同時代作家マーロウが描く悲劇の王の物語 待望の本格上演! 就任 4 年目を迎える演劇芸術監督宮田慶子が、将来日本を背負って立つ 30 歳代の新進演 出家の視点でじっくり作品を創っていただきたいと企画したシリーズ「Try・Angle-三人の演出 家の視点-」第二弾。 2011 年 4 月公演『ゴドーを待ちながら』([JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─] Ⅳ)でその演出力を高く評価された森 新太郎が、イギリス・エリザベス朝演劇の代表的作家、 クリストファー・マーロウの作品、『エドワード二世』に挑みます。シェイクスピア研究の第一人者 である河合祥一郎が今回のために新たに翻訳した台本での上演です。シェイクスピアと同時 代のマーロウの作品は『ファウスト博士』『マルタ島のユダヤ人』など6作ですが、『エドワード二 世』の日本での本格的な上演は約半世紀ぶりとなります。 シェイクスピアの先鞭をつけたといわれ、初期の歴史劇にもその影響がうかがえるマーロウ の歴史劇、森の緻密にして大胆な演出が大いに注目されるところです。 【7月28日(日)チケット前売り開始 ☞ 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999】 写真・資料のご請求、取材のお問い合わせ ◎新国立劇場 制作部演劇 広報担当 高根佳子 TEL: 03-5352-5738 / FAX: 03-5352-5709 E-mail: [email protected] ◎新国立劇場 制作部演劇 制作担当 高瀬磨理子 TEL: 03-5352-5736 1 ◎作品について イギリスではシェイクスピアと並び称されるエリザベス朝演劇の代表的作家、クリストファー・ マーロウが1592年に書いた作品、新国立劇場では初めてのマーロウ作品の上演。最近の日 本でのマーロウの上演は、2010年の『ファウストの悲劇』、1990年の『マルタ島のユダヤ人』な どがある。1968年に演劇集団 華での『エドワード二世』の上演歴があるが、このときは「5幕を 2幕とし、登場人物も少なくし」とプログラムにもあり、日本での本格的な上演ははじめてといえ るだろう。因みにロンドンのナショナル・シアターでも今年の秋に上演の予定。(8月28日~10 月26日、演出はジョー・ヒル・ギビンズ) 今回の演出は演劇集団円に所属する森 新太郎。2011年の東日本大震災直後の上演と なった『ゴドーを待ちながら』の演出で強烈な印象を残した。その後も2012年の『ガリレイの生 涯』、今年6月の『汚れた手』など、重厚な戯曲を緻密にかつ大胆に演出する手腕が注目を集 めている。今回の『エドワード二世』もその演出が期待される。 出演者は、タイトルロールのエドワード二世に、独特なキャラクターを活かし、映画やテレビ など映像のみならず舞台での活躍も多い柄本 佑、美しい王妃イザベラには、歌手としての活 躍にとどまらず、舞台での活動にも幅を広げ、その才能をいかんなく発揮している中村 中。今 回ははじめてのストレートプレイへの出演となる。そのほか、大谷亮介、窪塚俊介、大鷹明良、 木下浩之、原 康義、西本裕行、瑳川哲朗など、日本の演劇界を牽引している実力ある出演 者から成るカンパニー。エドワード二世を中心とした、現代にも通ずる政変劇、歴史劇をお楽し みください。 2 ◎あらすじ 実在のプラタジネット家イングランド王、エドワード二世(在位 1307-27)の起伏に富んだ激し くも短い生涯を描いた歴史劇。 父王の死後、エドワード二世(柄本 佑)は貴族たちの助言にも関わらず、フランス人騎士ギ ャヴィストンを異常なほど寵愛し、多数の役職や地位を授ける。これが先王からの腹心の家臣 たちより反感を買うこととなり、ついにギャヴィストンは追放される。エドワード二世は王妃イザベ ラ(中村 中)の自分への愛情を利用しギャヴィストンを呼び戻させた。が、エドワード二世から 真の愛情を得られない彼女は、復活したギャヴィストンの傍若無人さに、愛人である貴族モー ティマーと謀ってギャヴィストンをなぶり殺し、王を幽閉する。その後、二人は王子(エドワード 三世)への譲位を図り、エドワード二世を惨殺する。 ●エドワード二世とは・・・・ 1284年4月25日、ウェールズの北西部カーナーヴォン城生まれ。プランタジネット朝第六 代イングランド王(在位1307年-1327年)。エドワード一世(在位1272年-1307年)と王妃 エレノア・オヴ・カスティル(1241年-1290年没)の四男。1301年、ウェールズの反乱を押さ えるためにエドワード一世によって、はじめてプリンス・オヴ・ウェールズの称号を与えられ、名 目上ウェールズの君主となった。そのために、エドワード一世の命によりウェールズのカーナー ヴォン城で生まれたといわれる。以後、この称号はイングランド(イギリス)皇太子に与えられて いる。 王子時代、学友のギャヴィストンをあまりに溺愛したので、父エドワード一世がギャヴィストン を追放したが、数ヶ月後の1307年エドワード一世の死後、追放は解かれギャヴィストンはまも なく帰国する。 1308年に、フランス王フィリップ四世とナヴァール王女ジョアン一世の娘で「フランスの雌狼」 とあだ名され、その美貌と知性で知られていたイザベラと結婚。イザベラとの間には嫡男エドワ ード(1312年-1377年、のちのエドワード三世)のほか、二男ジョン(1316年-1336年)、 長女エレノア(1318年-1355年)、二女ジョアン(1321年-1362年)をもうけた。 エドワード二世は、1307年にギャヴィストンをコーンウォール伯爵に变すなどして、貴族らの 反発を招いた。貴族らに責められた王は、1308年ギャヴィストンを追放することに同意し、ギャ ヴィストンをアイルランド総督に任命するものの、反対勢力と交渉し、彼を呼び戻す。貴族らは 1311年に王の権限を制限する法令を制定し、1312年にギャヴィストンを処刑。 王はその後、デスペンサー(スペンサー)親子を寵愛して、再び貴族らの反発を招き、1321 年に武装蜂起した貴族に強いられてデスペンサー親子を追放する。以後、王は勢力を奪回。 1325年、妻の王妃イザベラがモーティマーと共に武装蜂起を企み、翌年イングランドへ侵 攻。1327年王妃によって廃位され、バークリー城で没する。享年43歳。 3 ● 配役 *役名は1役のみを表記しています。 柄本 佑 エドワード二世 中村 中 王妃イザベラ 大谷亮介 ランカスター伯爵 窪塚俊介 ケント伯爵 大鷹明良 アランデル伯爵 木下浩之 ペンブルック伯爵 中村彰男 レスター伯爵 石住昭彦 カンタベリー大司教 下総源太朗 ギャヴィストン 谷田 歩 スペンサー 石田佳央 モーティマー 長谷川 志 ボールドック 安西慎太郎 王子エドワード 小田 豊 コヴェントリー司教 原 康義 ウォリック伯爵 西本裕行 ライトボーン 瑳川哲朗 老モーティマー 4 ◎翻訳家 河合祥一郎からのメッセージ シェイクスピアと同い年のクリストファー・マーロウはシェイクスピアに先駆けてブランク・ヴァー スを用いた重要な劇作家であるにも拘わらず、日本では『ファウスト博士』以外はあまり上演さ れてこなかった。その意味で今回の上演は貴重であり、そのブランク・ヴァースのリズムを日本 語でできる限り伝えるよう努力したつもりである。『エドワード二世』は、おぞましい殺され方をし た王の悲劇として知られるが、既成の体制や常識に挑むマーロウの反骨精神に満ちている。 そのスピリットが観客に伝わることを望んでいる。 ◎演出家 森 新太郎からのメッセージ 物語の終盤、王冠を奪われたエドワード二世は地下牢に幽閉される。そして、汚物の浮か ぶドブ泥に膝まで浸かりながら、こう嘆く。「わが王冠はどこだ? なくなった、なくなった。それ なのに私は生きているのか?」 暗殺者が優しい声で答える。「お疲れになっているのです、陛 下。横になってお休みなさい。」彼はエドワード二世をベッドの上に押さえつけると、その肛門 に真っ赤な焼き串を突き刺して殺す……。 主人公の最期にしては、なんとまあ酷く、なんとまあ格好のつかない死に方であろう。この憐 れみのなさ。それこそがクリストファー・マーロウの劇世界と言える。そこにはただ、救われない 人間たちが、救われないままに描かれている。復讐や裏切りといったドブ泥から脱け出せずに、 誰もが無惨に、しかもあっさりと破滅していく─。 400 年も昔に書かれた戯曲ではあるが、現代にも通じる無意味なまでの暴力性に、私は強く 興味を引かれた。 激しい舞台になると思います。ご期待ください。 5 ◎プロフィール 作◎ クリストファー・マーロウ(Christopher Marlowe) 1564 年イングランド、カンタベリー生まれ。劇作家、詩人、翻訳家。シェイクスピア に先駆けてエリザベス朝演劇の基礎を築いた人物のひとり。処女作はケンブリッ ジ大学在学中に執筆した『カルタゴの女王ダイドー』。87 年に上演された『タンバ レイン大王』で劇作家として最初の成功を収める。他の作品に『ファウスト博士』 『マルタ島のユダヤ人』『パリの虐殺』など。93 年 29 歳のときにロンドン郊外の居酒 屋で喧嘩に巻き込まれ、不慮の死を遂げたといわれる。 翻訳◎ 河合祥一郎 (かわい・しょういちろう) 1960 年生まれ。東京大学教授。ケンブリッジ大学及び東京大学より博士号取得。 主著に『ハムレットは太っていた!』(サントリー学芸賞受賞)、『謎解き「ハムレット」』 『「ロミオとジュリエット」─恋におちる演劇術』『シェイクスピアの男と女』 『TheRoutledge Companion to Directors' Shakespeare(共著)』ほか。角川文庫より シェイクスピア新訳を刊行中。戯曲に『国盗人』『家康と按針』(共同執筆)。 演出◎ 森 新太郎 (もり・しんたろう) 東京都出身。演出家。演劇集団円、会員。 これまでに演出した最近の主な 舞台に、『ハーベスト』『最後の炎』(新国立劇場リーディング公演)など があり、円では『ロンサム・ウェスト』『天使都市』『田中さんの青空』『孤 独から一番遠い場所』『コネマラの骸骨』『死んでみたら死ぬのもなかなか 四谷怪談―恨(ハン)―』『ガリレイの生涯』を演出。自身が主宰するモナカ 興業でも活躍中。新国立劇場では『ゴドーを待ちながら』を演出。2013 年 文化庁新進芸術家海外留学制度にてアイルランドに留学。2009 年、毎日芸 術賞演劇部門・第 11 回千田是也賞、第 64 回文化庁芸術祭賞優秀賞受賞。 6 ◇ エドワード二世:柄本 佑(えもと・たすく) 2003 年公開の映画『美しい夏キリシマ』で主演デビュー。同作でキネマ旬報ベ スト・テン新人男優賞、日本映画批評家大賞新人賞を受賞。その後、舞台・映 画・テレビと幅広く活躍中。主な舞台作品に『あれから』『絶滅のトリ』『みんな我 が子』『ハンドダウンキッチン』、最近の映画作品に『臨場-劇場版』『横道世之介』 『フィギュアなあなた』(6/15 公開)、ドラマに『生むと生まれるそれからのこと』『遅 咲きのヒマワリ』『野良犬』など。新国立劇場では『シュート・ザ・クロウ』に出演。 ◇ 王妃イザベラ:中村 中(なかむら・あたる) 歌手・作詞作曲家・俳優。2006 年『汚れた下着』でデビュー。代表曲は『友達の 詩』『リンゴ売り』『風立ちぬ』など。アルバム『少年少女』では(日本レコード大賞 優秀アルバム賞受賞)最新作『聞こえる』好評発売中。自作以外にも作詞・作曲 家として多数のアーティストに作品を提供。舞台活動も積極的に行い、主な作 品に『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『牡丹燈籠』『LOVE LETTERS』『ガス 人間第 1 号』『ニッポン無責任新世代』『教授』など。 7 ◎マンスリー・プロジェクトについて 一人でも多くの方に気軽に劇場に足を運んでもらいたいと、“開かれた劇場”を目指す芸術 監督の宮田慶子。その一環として、リーディングあり、トークショーありの、多彩な無料プログラ ムを用意し、その月々に関連した演劇公演に多角的にアプローチしています。 はじめに、エリザベス朝演劇における、幕も装置も舞台転換もなかった当時の舞台の特徴を 確認し、そこで語られる詩的言語としての台詞の意義をお話しします。クリストファー・マーロウ 作品を集中に、その魅力を語ります。 演劇講座「エリザベス朝演劇」 講 師: 日 時: 会 場: 応募期間: 河合祥一郎(東京大学大学院教授) 2013年10月14日(月・祝)18:00 新国立劇場 小劇場 9月17日(火)~10月7日(月) 応募期間内に、新国立劇場ウェブサイト所定のフォーマットもしくは往復ハガキでのお申し 込みが必要です。詳しくは、新国立劇場マンスリー・プロジェクトのウェブサイト (http://www.nntt.jac.go.jp/play/mp/)か、情報センター(03-5351-3011(代))でご確 認ください。 8 ◎公演概要 【タイトル】 エドワード二世 【スタッフ】 作 クリストファー・マーロウ 河合祥一郎 森 新太郎 堀尾幸男 中川隆一 藤田赤目 西原梨恵 佐藤裕子 城田美樹 大垣敏朗 宮田慶子 新国立劇場 翻訳 演出 美術 照明 音響 衣裳 ヘアメイク 演出助手 舞台監督 芸術監督 主催 【キャスト】 【会場】 柄本 佑 安西慎太郎 窪塚俊介 下総源太朗 原 康義 大谷亮介 木下浩之 大鷹明良 中村彰男 石田佳央 瑳川哲朗 谷田 歩 石住昭彦 小田 豊 長谷川 志 西本裕行 中村 中 (台本順) 新国立劇場 小劇場 (京王新線 新宿駅より1駅、「初台駅」中央口直結) 【公演日程】 2013 年 10 月 8 日(火)~27 日(日) 2013 年 10 月 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 ● ● ◎ ●★ ● 休 演 ◎ ● ● ● ● 休 演 ● ● ◎ 13:00 18:30 ● ● ● ● ◎ ● ◎=託児室あり(要予約) / ★=終演後、シアタートーク / 10/14 18:00=マンスリー・プロジェクト 【前売開始】 2013 年 7 月 28 日(日)10:00~ 【料金】 A席 5,250 円 B席 3,150 円 【チケット申し込み・問い合わせ】 新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00) 新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.jp/nntt/ 【その他チケット取り扱い】 チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、CNプレイガイド ほか * Z席 1,500 円 公演当日10時よりボックスオフィス窓口で販売。1人1枚。電話予約不可。* 当日学生割引 公演当日残席がある場 合、Z席を除く全ての席種について50%割引にて販売。要学生証。電話予約不可。*新国立劇場では、高齢者割引(65歳以上5%)、障害 者割引(20%)、学生割引(5%)、ジュニア割引(中学生以下20%)など各種の割引サービスをご用意し 9 ●