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アニュアルレポート2011

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アニュアルレポート2011
プロフィール
今をさかのぼること139年前の1872
( 明治5)
年、漢方薬が
主流の時代にあって、資生堂は日本初の洋風調剤薬局として
東京・銀座に誕生しました。社名は、中国の古典、易経の一
いた
かなこんげん
ばんぶつ と
しょう
節
「至哉坤元 万物資生
(至 れる哉 坤元、万物資 りて生 ず)」
に由来します。この一文が表すように、大地のあらゆるものを
融合することで新たな価値を創造し、お客さまのお役に立ち、
社会に貢献するという
「創業の精神」は、今なお、脈々と受け
継がれています。
目次
資生堂グループ企業理念 ················································
4
資生堂の経営体制 ························································· 46
価値を紡いできた資生堂の歴史 ······································
6
取締役・監査役および執行役員 ······························· 47
財務ハイライト ·······························································
8
コーポレートガバナンス ············································ 50
社長メッセージ ······························································ 10
特集:新 3カ年計画における成長戦略 ····························· 16
ブランド一覧 ·································································· 24
事業別概況
国内化粧品事業····················································· 26
グローバル事業 ······················································ 29
リスクマネジメント··················································· 55
主要関係会社 ························································· 58
財務セクション ······························································ 59
6 年間の財務サマリー ·············································· 60
経営の概況 ····························································· 61
連結財務諸表 ························································· 76
連結財務諸表に対する注記 ····································· 82
Our Wayに基づく資生堂の取り組み ······························· 32
独立監査人の監査報告書········································ 103
お客さまとともに ····················································· 33
株式の状況 ··································································· 104
取引先とともに ························································ 37
社員とともに ··························································· 38
社会・地球とともに ·················································· 40
環境データ ····························································· 44
社会性データ ·························································· 45
会社情報 ······································································· 105
見通しに関する注意事項
当資料の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、資生堂の将来に関する
見通しおよび計画に基づいた将来予測です。
これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、
実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
資生堂グループ企業理念
私たちは、多くの人々との出会いを通じて、
新しく深みのある価値を発見し、
美しい生活文化を創造します
多様性こそ、強さ
挑戦こそ、成長性
革新を続ける伝統こそ、卓越した美を創造する
お客さまとともに
1. 私たちは、常にお客さまの視点に立ち、真に満足していただける
安全で優れた商品とサービスの研究、開発、製造、販売に努めます。
2. 私たちは、お客さまと接するあらゆる機会に、
お客さまの満足と信頼を高められるように誠実に行動します。
3. 私たちは、資生堂グループのすべてのブランド価値を高めることに努めます。 取引先とともに
1. 私たちは、取引先を適切に選び、公正・透明・自由な競争、ならびに適正な取引を行います。
2. 私たちは、公正さを疑われるような贈答や接待をしたり、受けたりしません。
3. 私たちは、こころざしを同じくするすべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。
株主とともに
1. 私たちは、有形・無形資産、資金などの資産を最大限にいかし、
持続的な企業価値の向上に努めます。
2. 私たちは、企業統治と内部統制に関するルールを遵守し、適正な会計処理を行います。
3. 私たちは、株主や投資家との対話を大切にし、信頼を得られるように努めます。
社員とともに
1. 私たちは、職場におけるすべての人たちの人格、個性、およびその多様性を尊重し、
ともに育ち、育てあうように努めます。
2. 私たちは、誠実に仕事へ取り組むとともに、公私のけじめを守ります。
3. 私たちは、健康的で安全な職場環境と、社員のゆとりと豊かさの充実に努めます。
社会・地球とともに
1. 私たちは、すべての国や地域それぞれの法令を遵守し、
人権尊重はもとより高い倫理観を持って行動します。
2. 私たちは、独自の厳しい基準に沿った環境対応を推進し、生物多様性に配慮しながら、
人も地球も美しく共生する持続可能な社会をめざします。
3. 私たちは、広く社会と双方向のコミュニケーションを充実させ、協働して社会的課題解決に努めます。
4
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
Our Missionは、資生堂の根幹をなす普遍の存在意義です。コーポレートメッセージは、
Our Missionを象徴する言葉であり、
「美しく生きたい」という世界中の人々の願いに
誠実に応えるために、当社がさらに徹底したお客さま志向の企業をめざすことを広く社会
に宣言するメッセージとしてつくられました。
今日までの資生堂の歩みは、人が美しく生きるためにさまざまな活動に取り組んでき
た道のりです。これからも資生堂は、一人ひとりのお客さまに一層満足していただくため、
魅力ある商品ときめ細やかなサービスをお届けすることはもちろん、社会に対しても責任を
果たしていきます。
社会と、お客さまと、そしてすべての人が、
「一瞬も 一生も 美しく」あるように。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
5
価値を紡いできた資生堂の歴史
139年積み重ねた
進化の歴史
新たなビジネスモデル
構築への挑戦
1872 年、日本 初 の 洋 風 調 剤 薬 局として 創 業した
日本初のボランタリーチェーンシステムである
「資生堂
資生堂は、その後、化粧水
「オイデルミン」を発売し、化
チェインストア制度」
や
「ミス・シセイドウ」誕生によって始
粧品事業を開始しました。医薬品を礎にした研究開発、
まった、お客さまお一人おひとりの美容相談に応じる店
「おもてなし」の心をベースとした応対など、すべての人
頭活動など、資生堂はお客さまの期待を超えるため、未
に美しさと健やかさを届けるための資生堂独自の取り組
来を見据えた新たなビジネスモデルの構築を続けてきま
みは、創業から139 年、とどまることなく進化を積み重ね
した。この高い志と情熱を持った挑戦の連続こそが資生
ています。
堂の成長性を生み出しています。
1937年
1923年
正しい化粧法の
普及を目的とした
愛用者組織
「花椿会」発足
日本初のボランタリーチェーンシステム
「資生堂チェインストア制度」開始
1934年
1957年
台湾資生堂設立。
海外事業が本格スタート
ビュ-ティ-コンサルタントの
前身「ミス・シセイドウ」誕生
1872
1918年
1897年
日本初の本格的クリーム
「コールドクリーム」発売
化粧品事業をスタート。
化粧水「オイデルミン」を発売
6
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
1932年
当時の最高級化粧品
「ドルックス」発売
1959年
日本初の本格的男性用
化粧品「MG5」発売
1976年
世界展開を意識して開発した
「インウイ」発売
グローバルレベルでの
多様性の醸成
卓越した美の創造に
向けた継続的な革新
1957年の台湾での現地法人設立以来、次々と海外で
「 クレ・ド・ポ ー ボ ー テ」や グロー バ ル ブ ランド
の展開地域を広げ、お客さまや市場の変化にしなやかに
「
」など、自らをオリジンとし磨きあげてきた
対応し、グローバル化を進めてきた資生堂。私たちの大
( ナーズ)」や
「ベアエッセンシャル」など、
資産。
「 NA RS
きな強みは、こうして生まれたグローバルレベルでの多
新たに注ぎ込まれたエッセンス。こうした独自の価値を
様性です。お互いの個性を認め合い、異なる価値観を受
創造し続ける革新の伝統こそ、卓越した美をつくり出し
け入れる組織こそ、新たな価値をつくり出すための基盤
ていく源となっています。
となっています。
2006年
1981年
資生堂東南アジアリサーチセンターを
設立。世界5極での研究開発体制に
2010年
2006年
マステージ戦略の拠点、
ベトナム工場新設
資生堂ライフクオリティー
ビューティーセンター開設
中国北京市にて化粧品の販売開始
2011
1996年
1994年
中国専用ブランド「オプレ」を
発売
最高級ブランド
「クレ・ド・ポー ボーテ」
発売
2005年
メガブランド 第1弾
「マキアージュ」発売
2000年
米 国 発メーキャップブランド
「NARS」を買収
2010年
米国ベアエッセンシャルを買収
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
7
財務ハイライト
株式会社資生堂および連結子会社
2009年、2010年および2011年3月期
増減率
経営成績
売上高
営業利益
当期純利益
財政状態
総資産
純資産
百万円
千米ドル(注1)
2011/2010
2009
2010
2011
2011
+4.1%
−11.7 −62.0 ¥690,256
¥644,201
¥670,701
$8,066,158
49,914
50,351
44,458
534,672
19,373
33,671
12,791
153,830
−4.5%
−12.1 ¥606,569
¥775,446
¥740,184
$8,901,792
351,951
365,208
321,191
3,862,790
より詳細な6年間の財務サマリーは、P60をご参照ください。
売上高
営業利益・売上高営業利益率
(億円)
(億円)
6,946
7,235
6,903
6,442
当期純利益
(%)
(億円)
635
6,707
355
500
504
499
8.8
7.2
445
6.6
7.8
7.2
337
253
194
128
07
08
09
11(3月期)
10
07
08
09
営業利益
10
11(3月期)
07
08
09
ROE
1株当たり当期純利益
1株当たり配当金
(%)
(円)
(円)
9.8
9.2
86.1
84.6
60.9
6.6
10
11(3月期)
売上高営業利益率
32.0
50.0
50.0
09
10
50.0
34.0
48.0
5.4
32.1
3.9
07
8
08
09
10
11(3月期)
07
08
09
10
11(3月期)
07
08
11(3月期)
報告セグメント別売上高
報告セグメント別売上高利益率
海外売上高・海外売上高比率
(億円)
(%)
(億円)
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
227
208
170
10.1
10.5
(%)
42.9
11.4
32.4
36.5
38.0
36.9
2,878
6,707
6,442
355
500
504
499
8.8
7.2
445
6.6
7.8
7.2
337
253
194
128
07
08
09
11(3月期)
10
07
08
09
営業利益
11(3月期)
10
増減率
2010
(円)
1株当たり情報
当期純利益(注 2)
−62.0%
−11.5
±0.0
9.8
純資産(注 29.2
)
配当金
08
09
11(3月期)
10
円
2011/20101株当たり当期純利益
2009
ROE
(%)
07
売上高営業利益率
米ドル(注1)
1株当たり配当金
2011
2011
(円)
¥ 48.0
86.1
839.9
84.6
¥ 84.6
¥ 32.1
875.7
774.8
9.32
50.0
34.0
0.60
50.0
60.9
6.6
財務指標
5.4
売上高営業利益率
50.0
32.0
50.0
50.0 $0.39
50.0
48.0
7.2%
ROE
(自己資本利益率)
5.4
3.9
連結配当性向
32.1 7.8%
9.8
104.1 6.6%
3.9
59.1
155.5
注:071. 米ドル表示は便宜上のものであり、
1米ドル=83.1507
円
(2011
で換算しています。
08
09
10
11(3月期)
08年 3月31
09日)
10
11(3月期)
07
2. 1株当たり当期純利益は期中平均株式数に基づき、1株当たり純資産は期末株式数に基づき算出しています。
なお、1株当たり当期純利益は潜在株式調整前数値です。
08
09
11(3月期)
10
報告セグメント別売上高
報告セグメント別売上高利益率
海外売上高・海外売上高比率
(億円)
(%)
(億円)
208
227
170
2,788
2,409
2,757
100
97
2,504
3,026
8.1
8.5
6.3
4.7
4,239
4,309
07
08
09
3,584
3,838
3,975
11(3月期)
10
07
グローバル事業
国内化粧品事業
その他
4.8
4.5
08
42.9
11.4
10.5
10.1
32.4
10.1
9.3
38.0
2,643
2,620
3.8
3.0
11(3月期)
10
グローバル事業
36.9
2,878
2,375
1,220
1,121
1,186
793
928
885
738
540
594
549
485
915
5.1
09
36.5
2,248
5.5
国内化粧品事業
その他
(%)
07
08
09
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
1,152
782
876
11(3月期)
10
海外売上高比率
所在地別売上高
所在地別売上高営業利益率
有利子負債・有利子負債比率
(億円)
(%)
(億円)
15.5
1,024
833
884
517
07
08
824
457
4,300
09
アメリカ
日本
アジア・オセアニア
1,171
843
855
1,080
1,000
507
4,607
4,712
13.9
13.4
1,096
1,038
566
15.3
3,838
4,081
10
11(3月期)
欧州
8.3
6.5
6.8
5.5
4.7
(%)
2,144
14.3
1,278
7.8
5.6
6.1
4.0
6.5
6.0
5.6
7.2
1,975
37.0
38.1
24.0
621
632
4.1
15.0
13.7
1.6
07
08
09
日本
アメリカ
アジア・オセアニア
11(3月期)
10
欧州
07
08
有利子負債
09
10
11(3月期)
有利子負債比率
※ 報告セグメント別および所在地別の売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高を含まない外部顧客に対する売上高です。
自己資本比率・
(売上高セグメント利益率)は、消去または全社を除き比率を算出しています。
※ 報告セグメント別および所在地別の売上高営業利益率
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」の適用に伴い、報告セグメントを
「国内化粧品事業」
「グローバル事業」
「その他」に区分しています。
※ 当期の
デット・エクイティ
・レシオ
それに伴い、従来
「国内化粧品事業」に属していた国内の
「プロフェッショナル事業」は
「グローバル事業」に含めています。
(
)
%
(倍)
※ 有利子負債比率=有利子負債÷投下資本* *投下資本=有利子負債+純資産
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
9
社長メッセージ
プロフィール
1959年東京生まれ 52歳。
1982年入社。奈良で6年間営業
担当を経験後、本社にて戦略立
案業務などを担当。
2005年 経 営 企 画 部にて、中 期
計画の企画・立案を手がけ、前田
社長(現会長)
とともに改革を推
進。その後国内化粧品事業の事
業企画部長を経て、2008年執行
役員経営 企 画 部長、2009年取
締 役、2010年 執 行 役員常 務。
2011年4月社長就任。
代表取締役 執行役員社長
末川 久幸
10 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
資生 堂がめざす姿は、
「 日本をオリジンとし、アジアを
代表するグローバルプレイヤー」
です。
成 長 軌 道に乗る”をテーマとする新 3カ年 計 画 では、
国内のたて直しとグローバル化を加 速させ、資生 堂を
将来にわたって輝き続ける企業へと進化させていきます。
前3カ年計画は、海外で高い成長を果たしたものの、国内では課題を
残す結果となりました。
2011年 4月に代表取締役執行役員社長に就任した末川です。前任の前田より改革
のバトンを引き継ぎ、資生堂の舵取りを担うこととなりました。先頭に立って資生堂の
革新を推し進めていく所存ですので、よろしくお願いいたします。
資生堂の今後の経営方針や戦略をご説明するにあたり、
すべての活動の質を高め
る”をテーマに国内外でさまざまな改革に取り組んだ、前 3カ年計画
( 2009 年 3月期~
2011年 3月期)の総括からお話しさせていただきます。
まず、前3カ年計画の最終年度である2011年 3月期
(当期)ですが、売上高は、中国を
はじめとするアジアの力強い伸長などにより海外が堅調に推移したことに加え、2010
年 3月に買収したベアエッセンシャルの上乗せもあり、増収となりました。しかしながら、
国内においては、セルフ化粧品を中心に一部回復の兆しが見られたものの、資生堂の
ボリュームゾーンである中価格帯市場で苦戦するなど課題を残しています。利益面では、
国内売上の低迷に加え、ベアエッセンシャル買収に伴う一時的な費用もあり、減益と
なりました。
この3 年間を通じて、海外での躍進は顕著なものがありました。グローバルブランド
「
」の育成強 化に加え、中国での成 長を加 速させるべくチャネル 別
ブランドマーケティングに注力するなど、競争力強化に向けて積極的に取り組んだ
結果、3年間の年平均売上成長率は13%
(現地通貨ベース)と高い成長を果たしま
した。特 筆 すべきは、年 平 均 売 上 成 長 率を 地 域 別 で見ると、アメリカで26%、
アジア・オセアニアで11%、欧州で5%と、いずれの地域でも大きく伸長したことです。
当期の海外売上高比率は42.9%まで伸長しており、確固たる事業基盤を持つ強力
な事業に育成することができたといえます。
しかしながら、国内では売上高の低下が続きました。チャネルごとに重点領域を絞り
込み、経営資源の集中を進めた結果、デパートや化粧品専門店の注力店での取り組み
は奏功したものの、ドラッグストアやGMSにおいて中価格帯商品が苦戦しました。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
11
国内売上が低迷した要因は、新製品に依存したマーケティングと、私たちの活動が
お客さまと市場の変化に対応しきれていないことの2点に集約されると考えています。
前 3カ年計画においては、すべての改革プランを計画通り実行し、一部は成果につ
ながったものの、改革はまだ道半ばであると認識しています。私は、これまでの改革を
引き継ぎ、そのスピードをあげ、資生堂を進化させていくことが使命と捉えています。
資生堂が“成長軌道に乗る”ためには、国内の早期たて直しとグロー
バル化の加速がポイントとなります。
2008 年、資生堂は10 年後にめざす姿として
「日本をオリジンとし、アジアを代表す
るグローバルプレイヤー」を掲げ、10 年間のロードマップを策定しました。2018 年 3月
期には、グループ全体で売上高1兆円超
(海外売上高比率 5 割超)、営業利益率12%
以上、ROE15%以上をコンスタントに確保できる会社になることをめざしています。
新 3カ年計画は、このロードマップの第2フェーズとして、
成長軌道に乗る”ことをテー
マとしています。
この新 3カ年計画のスタートに際し、改めて私たちの姿を見てみると、海外売上高
と同様、約 40%の社員が日本人以外となるなど、グローバル化も新たな段階に入って
います。こうした経営の大きな転換期には、資生堂グループの全社員がその存在意義
や価値観、そして取り組みの心構えを共有できる指針が不可欠との考えのもと、この
たび、従来の企業理 念体系を見直し、資生堂グループ企業理 念
「 Ou r M i ssion,
資生堂
10年間のロードマップ
新3カ年計画
資生堂
2005
グローバル化
第2フェーズ
グローバル化
第1フェーズ
“すべての活動の
質を高める”
抜本的改革への
パラダイム変換
グローバル化
第3フェーズ
“躍進を果たす”
“成長軌道に乗る”
アジアでの存在感の確立
2008
2011
グローバル企業への躍進
(国内外の融合)
お客さま志向のマーケティング改革
12 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
グローバルプレイヤーへ
2014
2017
(2018年3月期)
社長メッセージ
Values and Way」へと進化させました。これは、世界中のグループ社員へのヒアリン
グなどを通じ、5,000 名を超える社員が関わり策定したものです。私は、この理念を
全社員で共有し日々の業務で実践していくことが、資生堂を持続的成長へ導くと考え
ており、先頭に立って浸透活動に取り組んでいきます。
資生堂が成長軌道に乗る”ための優先課題は、国内の活性化とグローバル化の
加速の2点があげられます。苦戦している国内化粧品事 業に抜 本的なてこ入れを
行い、早期にたて直して活性化させること。そして、グローバルコンペティターと伍して
戦えるように、グローバル事 業のさらなる伸 長を果たし、成 長 軌 道を描くこと。
これこそ、資生堂が進化していく道筋にほかなりません。こうした考えのもと、新3カ年計
画では、2005 年に掲げた
「 100%お客さま志向の会社に生まれ変わる」、
「 大切な経
営 資 源であるブランドを磨き直す」、
「
魅 力ある人”
で 組 織を埋め尽くす」という
「 4つの成長戦略」とこれらを支える
「経営基盤の
3つのビジョンを継承するとともに、
強化」策を策定しました。
「4つの成長戦略」を推し進め、これまで以上の挑戦を続けていきます。
新 3カ年計画の柱となる
「 4つの成長戦略」の1つ目は、
「グローバルメガブランド
戦略」です。エリアを超えて市場を捉え、峻別と集中の観点から経営資源を集中的に
投下し、500 ~ 1,000 億円規模のブランドを複数有する
「グローバルマルチブランド
カンパニー」をめざします。プレステージ領域とマステージ※ 領域からそれぞれ 3つ
ずつ、合計 6つのブランドをグローバルメガブランドとして育成していく計画です。
次の
「アジアブレイクスルー戦略」では、2020 年には世界最大の市場になると見ら
れるアジアを最重点エリアと位置付け、アジア全域でのシェア拡大をめざします。
まず、要となる日本市場において、マーケティング、営業戦略をたて直し、市場成長
率を上回る成長を確保していきます。強みを有する中国をはじめ、アジア各国では
それぞれの課題に対応した重点活動を推進し、事業基盤を強化していきます。
3つ目の
「ニューフロンティア戦略」では、新たな販路におけるお客さまとの接点を
拡大していくため、Webマーケティングを本格展開します。特に日本においては、Web
と既存店舗が連動した新たなビジネスモデルを確立し、2012年 4月から本格展開し
ます。また、次の成長エンジンづくりとして、新興市場の開拓も進めていきます。
最後は
「カスタマーファースト戦略」です。すべての業務プロセスで、お客さまのことを
第一に考え、モノづくりと販売・応対活動を徹底的に磨き直し、抜本的な改革に取り
組むことにより
「全世界のお客さまからNo.1の支持をいただくこと」をめざします。
(
「4つの成長戦略」についての詳細は、
「特集:新3カ年計画における成長戦略」
(P16 ~
23)をご参照ください。)
※ マステージ:通常のマス商品よりも高級感はあるが、プレステージ商品に比べると値ごろ感がある商品領域。
「マス」
と
「プレステージ」をもとにした造語。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
13
グローバルコンペティターと伍して戦える経営基盤をつくり上げていき
ます。
「 4つの成長戦略」を支えるため、グローバル最適を基軸としてさまざまな面からの
「経営基盤の強化」を実施します。
生産・調達体制については、アジア地域における生産・物流のさらなる効率化を含
めた、サプライチェーン全体の最適化・強化に取り組みます。また、全世界での情報
化基盤を確立するために、基幹システムSAPの導入による業務の標準化と意思決定
スピードの向上をめざしていきます。加えて、海外現地社員のキャリア形成やグローバ
ル幹部社員の育成などを通じて、人材のグローバル化を推進します。さらに、ここ数
年、取り組みを強化してきた環境・社会活動などCSR 活動についても、全世界で深
化させていく計画です。
資生堂が果たす責任として、人々の美しさ、健やかさを創造する経営を
推進していきます。
CSR活動について触れさせていただきましたが、ここで、私たち資生堂がどのような
経営を行っていくかについて、お話しさせていただきます。
先に述べた
「 Our Mission, Values and Way」の「 Our Way」は、ステークホル
ダーに対してとるべき行動基準を定めたものです。2004 年から参加を表明している
国連グローバル・コンパクトで求められる10原則に加え、世界初のCSRに関する国際
規格ISO26000での原則や考え方を盛り込んでいます。いわば、
「 Ou r Way」は、私
たちのCSR 憲章です。
資生堂は、ステークホルダーの皆さまとの対話と協働を通じて、社会の課題と期待に
応える活動を展開し、持続可能な社会の実現をめざしていきます。具体的には、資生堂
が社会に向けて大きく貢献できる分野として、
「女性・化粧(美容)
」
、
「文化」
、
「環境」の
3つを重点領域とし、それぞれ設定した「2020年までに達成すべき姿」の実現に向け、
全社をあげて取り組んでいきます。
また、2011年3月に発生した東日本大震災においても、その復興に向けて私たちの果
たすべき役割は大きいと考えています。私は4月に、盛岡、仙台、福島で被災されたお得意
先さまを訪問してきました。被災された方々からは、
「せめて鏡と眉墨だけでもほしい」
「
、化
粧水がなくて困っている」といったお声も多く、女性にとって化粧品は日々の生活に欠か
せない必需品であると改めて確信しました。化粧をする楽しさや心地よさをお届けするた
めに、化粧品を安定的に供給していくことや、避難所におけるビューティーボランティア
活動など、資生堂ならではの活動を通じて、復興を支援していきたいと考えています。
(資生堂のCSR 活動についての詳細は、
「Our Wayに基づく資生堂の取り組み」
( P32
~ 45)をご参照ください。)
14 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
社長メッセージ
新3カ年計画
経営目標
■ 年率6%以上の売上成長(現地通貨ベース)
■ 営業利益率10%の3カ年内の達成
(想定為替レート 米ドル:80 円、ユーロ:110 円、中国元:12.5 円)
将来にわたって輝き続ける企業へと進化していくため、資生堂は不断
の挑戦に邁進します。
新 3カ年計画の経営目標については、
「年率 6%以上の売上成長
(現地通貨ベー
ス)」と
「 3カ年内で営業利益率10%」と設定しました。
当初、震災により資材確保や生産、景況感についても不透明な状況で、国内売上
への影響も大きくなることから、震災前に策定していた目標数値を見直すことも検討
しましたが、2018 年 3月期にめざす姿を実現するためにも、目標は変更せず、全社を
あげて当該目標の達成に向けて取り組むことを決断しました。
ため
非常に高い目標へのチャレンジとなりますが、この3カ年で成長軌道に乗る”
に、2012年 3月期に国内外でマーケティングコストなどの投資を増加させ、確実に基
盤を整えることで、翌期以降の成長加速につなげていきます。
株主還元につきましては、直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による
「株式
トータルリターンの実現」をめざしています。この考え方に基づき、成長のための戦略
投資をドライバーとして、利益の拡大と資本効率の向上を図り、それらを中長期的な
配当の増加と株価上昇につなげていくことを基本方針としています。利益還元の目標
としては、中期的に連結配当性向40%を目安とし、この目標をベースとしつつ安定性
も重視した現金配当を主体としながら、自己株式取得については機動的に行う方針
としています。なお、2012年 3月期については、新 3カ年計画全体では増益を見込ん
でいることに加え、配当の安定性を重視し、1株当たり配当金は年間 50円を継続する
予定です。
私の使命は、
「 お客さまを想い、美しさを通じて世の中に貢献する」という創業時の
精神を受け継ぎ、多くのお客さまとの出会いを通じて
「新しく深みのある価値」を創出
し続けることにより、資生堂を将来にわたって輝き続ける企業へと進化させることで
す。私は、この取り組みに全精力をかけて邁進していくことを、ここにお約束します。
株主・投資家の皆さまには、資生堂のより一層の進化にご期待いただくとともに、
変わらぬご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2011年7月
代表取締役 執行役員社長
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
15
特集:新 3カ年計画における成長戦略
「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレ
イヤー」となるための第 2フェーズにあたる、新3カ年計画
( 2012 年 3 月期 ~ 2014 年 3 月期 )
“
。成 長 軌 道 に 乗る”を
テーマに4つの成長戦 略を展開することで、国内のたて
直しとグローバル化の加速を果たしていきます。ここでは、
社長の末川へのインタビューを通じて4つの戦略と初年度
の計画について解説します。
新3カ年計画の全体像
ビジョン
100%お客さま志向の会社に
生まれ変わる
大切な経営資源である
ブランドを磨き直す
“魅力ある人”
で
組織を埋め尽くす
日本
中国
他のアジア
ホームマーケット
における
成長性の回復
成長エンジン
中国市場での
持続的な成長
拡大する
中間所得層との
出会いの拡大
米州
欧州
プレステージイメージの先鋭化
資生堂グループブランド価値の向上
プレステージ領域の価値強化
グローバルメガブランド
戦略
お客さまとの出会いの拡大
マステージ領域の本 格展開
名実ともにアジアを代表する企業へ
アジア全体でのシェアの拡大
アジアブレイクスルー
戦略
成長にむけた事業基盤の強化
国別の課題に対応した重点活動の推進
新たな販路でのお客さま接点拡大
ニューフロンティア
戦略
Webマーケティングの本格展開
次の成長エンジンづくり
新興国(新規市場)対応の強化
メーカーとしての原点回帰
モノづくりの磨き直し
カスタマーファースト
戦略
経営基盤の強化
100%お客さま志向の実現
販売・応対の磨き直し
生産体制の最適化
調達体制の強化
16 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
情報化基盤の確立
人材のグローバル化
CSR活動の深化
【成長戦略その1 】
グローバルメガブランド戦略
資生堂のブランドは今後どのようにつく
り上げていくのでしょうか。
テージ領域においては、今後大幅に中間所得層が拡
大するアジアを中心に、新たなお客さまとの出会いを
広げていきます。
資生堂は、グローバルコンペティターと伍して戦え
る、売上高500 ~ 1,000 億円規 模のブランドを複数
6つのグローバルメガブランドについて、
有する
「グローバルマルチブランドカンパニー」をめざ
それぞれの取り組みを教えてください。
しています。
これまで、グローバルに展開する、日本・欧州・アメ
リカの各エリア発のブランドは、それぞれが独自の価
プレステージ領域においては、グローバルブランド
「
」、
「クレ・ド・ポー ボーテ」、
「ベアエッ
値を磨き、各エリアで存在感を高めてきました。海外
センシャル」の3ブランドを重点的に育成します。現在、
売上高比率が 40%を超えた今、ブランド戦略につい
日本を含む85の国と地域で展開しているグローバル
ても、グローバル化を加速させます。引き続きエリアご
ブランド
「
とにブランドの価値を最大化する取り組みを進める
ランドコンセプトを磨き直し、欧米のグローバルコンペ
とともに、エリアを超えて市場を捉え、マンパワーや
ティターに匹敵する存在感を持つブランドに育てあげ
マーケティングコストなどの経営資源を集中投下する
ていきます。2011年春にコンセプトを刷新し、イノベー
ブランドをグローバルメガブランドと位置付け、重点
ションを行った
「クレ・ド・ポー ボーテ」は、アジア・ア
的に育成していきます。グローバルメガブランドは、プ
メリカの富 裕層を魅了するブランドとして、プレゼン
レステージ領域、マステージ領域それぞれから3つず
スを高めていきます。2010 年 3月に買収した
「ベアエッ
つ、計 6つのブランドを選定しており、プレステージ領
センシャル」は、資生堂とのシナジーを最大限に発揮
域では、資生 堂グループブランドの価値向上、マス
し、アメリカでのさらなる成長を軸に、イギリスを中心
」は、ライン強化とともに、ブ
海外売上高比率
(%)
42.9%
6.5%
1992
1998
2003
(3月期)
2008 2011
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
17
グローバルメガブランド
「ベアエッセンシャル」
「 Za 」
グローバルブランド
「
」
「クレ・ド・ポー ボーテ」
「専科」
とする欧州、そして日本を基点とするアジアへの事業
テージ、マステージ 双 方の 領域での成長をめざし、
拡大により、グローバル化を加速していきます。
欧米においては、プレステージ領域でのプレゼンスを
マステージ領域においては、まず、中国を中心にア
高めていく計画です。そして、私たちには、これらの
ジア9カ国で展開し、好調な実績を収めているスキン
ブランド以外にも、地域に根ざし、魅力的で個性的な
ケア・メーキャップの総合ブランド
「 Za
( ジーエー)」に
ブランドが数多くあります。欧州発のボーテ・プレス
ついて、発売国・地域ごとの特徴を踏まえたセルフ&
テージ・インターナショナルのデザイナーズフレグラン
アドバイス型のブランドとしてのポジションを確立して
スブランドをはじめ、プロフェッショナル領域の
「デク
いきます。また日本の低価格帯市場とアジアマステー
レオール」、
「カリタ」、アメリカ発のメーキャップブランド
ジ市場を面で捉え、すでに日本と台湾で発売している
「 NA RS」。そして、中国発の「オプレ」、
「ウララ」や日
スキンケアブランド
「専科」の展開地域の拡大を進め、
本の「マキアージュ」、
「エリクシール」などです。これら
日本発の品質を軸に、販売国・地域ごとのお客さま
のブランドそれぞれが太く・強いブランドとなるよう
ニーズを捉えながら売上拡大をめざします。加えて、ス
に、その価値をさらに磨きあげることで、グローバルメ
キンケア、メーキャップに次ぐ、新たなカテゴリー拡大
ガブランドと合わせた強固なブランドポートフォリオを
に向けた3つ目のブランドを導入する予定です。
構築し、
「グローバルマルチブランドカンパニー」をめ
新 3カ年計画では、こうしたグローバルメガブラン
ざしていきます。
(ブランドについての詳細は、
「ブラン
ド戦略を強力に進めていくことで、アジアではプレス
ド一覧」
( P24 ~ 25)をご参照ください。)
18 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
特集:新 3カ年計画における成長戦略
【成長戦略その2 】
アジアブレイクスルー戦略
ホームマーケットである日本市場では、
どのような取り組みを進めていくので
しょうか。
品は市場に出さない」という方針を強く推し進めるこ
とにより、非効率なマーケティングにメスを入れてい
きます。この方針に基づき、先んじて取り組んだ 2011
年春の
「マキアージュ」のプロモーションでは、2010
資生堂が名実ともに
「日本をオリジンとし、アジアを
年秋に発売した既存アイテムの情報開発やコミュニ
代表するグローバルプレイヤー」となるためには、日
ケーションの刷新により、好成績を収めることができ
本を含むアジアでのシェアをさらに高めていく必要が
ました。新製品の数を大幅に絞り込むことにより生ま
あります。そしてその中でも、売上高の約 6 割を占める
れてくるマンパワーやコストを、研究開発、情報開発、
国内のたて直しに最優先で取り組みます。国内売上
営業活動、ビューティーコンサルタントの店頭応対な
低迷の要因は、①新製品に依存したマーケティング、
どのバリューチェーンに再 投入し、すべての活動の
②私たちの活動がお客さまと市場の変化に対応しき
質を高めていきます。また、販売第一線での機動的な
れていないこと、と考えており、これらの課題に真摯
取り組みを促進し、イノベーションを起こし続けてい
に向き合い、
「既存品育成の強化」と
「Webを活用した
くため、これまで本社にあった、施策立案 機能や販
新たなビジネスモデルの導入」を2 本柱とする抜本的
促物の発注権限、マーケティングコストの一部を販売
な改革を実行します。
会社に移管し、市場の変化に各エリアで迅速に対応
「既存品育成の強化」に向けて、まず取り組むのは、
できる仕組みを構築していきます。こうした改革を進
新製品の数を絞り込み、一つひとつのブランド価値を
めて店頭売上を拡大することで、店頭在庫の低減に
磨きあげることです。
「お客さまから評 価されない商
もつなげていきます。
「既存品育成の強化」に向けた
アジア展開図
◆ 既存ビジネスの育成に向けた
重点投資
◆ Webを活用した新たな
マーケティング展開
中国
◆ 将来の安定成長に向けた
経営資源の重点配分
◆ 事業基盤のさらなる強化による
2 桁成長の継続
日本
その他
アジア
◆ プレステージビジネスの強化
◆ マステージブランドの本格展開
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
19
取り組みは、国内のたて直しの特に重要なポイントで
利益率を確保していきます。
あることから、私自らが先頭に立って推進します。国
盤石な事業基盤を築くために取り組むのが、プレ
内事業所はもとより店頭までを回り、社員の理解を深
ステージ領域のさらなる強化とマステージビジネスの
め、具体的な活動に落とし込んでいきます。
拡大です。中国における
「憧れのブランド」という地
また、
「ニューフロンティア戦略」の柱の一つである
位を盤 石なものとするために、デパートにおけるグ
「Webを活用した新たなビジネスモデルの導入」は、店
ローバルブランド「
」と中国専用ブランド
舗とWeb、双方の特性を活かした新たなマーケティン
「オプレ」を徹底的に磨きあげます。また、5,000店を
グ展開を進めるもので、次項で詳細をご説明します。
突破した専門店は、質を高める第2ステージとして1店
これらの改 革を 進める上で、2012 年 3月期には
当たりの一層の売上拡大をめざし、
「 ウララ」、
「 ピュア
マーケティングコストを中心に投資を強化し、2013
&マイルド」、
「ディシラ」の育成を強化していきます。
年 3月期以降の成長に確実に結び付けていきます。
さらに
「 DQ
(ディーキュー)」を販売する薬局チャネル
についても、コミュニケーション強化などを通じて、さ
アジアでの安定的な成長を確保してい
くためには、どのようなことに注力してい
くのでしょうか。
らなる成長の拡大をめざします。チャネルごとの取り
組みに加え、
「 ベアエッセンシャル」の導入、プロフェッ
ショナル事業のサロン展開の強化など、資生堂グルー
プの総力をあげて市場を開拓していきます。こうした
資生堂の成長エンジンともいえる中国は、成長が
活動に人材やマーケティングコストなどの経営資源を
著しく、その高いポテンシャルがゆえにグローバル
重点的に投入し、中国市場での持続的成長につなげ
コンペティターも多額の投資を行い、攻勢を強めてい
ていきます。
る市場です。資生堂は、1981年に中国でビジネスを
また、中国以外にも中間所得層の増加が見込まれ
開始してから30周年を迎えており、今後もプレゼン
るアジア各国においては、プレステージビジネスの強
スを確立し続け、高成長を維持していくために、これ
化とマステージブランドの本格展開を推進します。中
まで以上に中国に経営資源を重点配分します。投資
でもプレステージ領域においてさらなるシェア拡大を
を大幅に強化することで、これまでにも増して強力な
めざす台湾や、市場規模が大きく成長が見込める韓
事業基盤を築き、新 3カ年においても、売上高で2 桁
国、ASEA Nの拠点となるタイを重点市場として強化
成長を維 持するとともに、引き続き10%以上の営業
し、売上拡大をめざします。
日本では、店頭応対活動の見直しを行い、商品価値
中国では、
「オプレ」の大型プロモーションなどを実
を伝えるコミュニケーションを強化します。
アジア各国では、
「 Za 」や「専科」などのマステージ
施し、高い成長性を維持します。
ブランドを積極的に展開し、プレゼンスを高めていき
ます。
20 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
特集:新 3カ年計画における成長戦略
【成長戦略その3 】
ニューフロンティア戦略
新たな取り組みであるWebマーケティン
グについてお聞かせください。
「ビューティープラットフォーム」と呼ばれるネット上
のショッピングモールを構築します。ここには、資生
堂グループだけでなく、美容関連をはじめ、ヘルスケ
私たちが今後グローバル市場で勝ち残っていくた
ア、メディカル、ファッションなどさまざまな分野の企
めには、お客さまと市場の変化にいち早く対応すると
業にも参画いただき、
「美と健康に関する総合サイト」
ともに、成長市場を見定め、切り開いていく必要があ
に育てていきます。資生 堂と現 在 参 画を検 討いた
ると考えます。新 3カ年計画においては、成長著しい
だいている各 企業の会員 組 織登 録者数の合計は、
Webを中心としたマーケティングに、国内外で本格的
約 2,000万人
( 2011年 4月時点)と見込まれます。
に取り組み、お客さまとの接点拡大をめざします。
この
「ビューティープラットフォーム」を通じてお客
まずは、アメリカおよび中国においてeコマースを開
さまに訪れていただくのが、資生堂Webです。魅力あ
始します。一方で、日本では、数多くの店舗網を有する
るコンテンツに加え、お客さま、商品、店舗などのデー
資生堂の強みを活かしながら、新たにWebを活用し
タベースを駆使し、最適な美容提案を実施します。化
た「新制度品ビジネスモデル」を確立していきます。
粧品の場合、色や香り、使い心地を試してから購入し
2012 年から本格的に展開するこの
「新制度品ビジ
たいというお客さまが多くいらっしゃいます。資生堂
ネスモデル」について簡単にご紹介します。まずは、
Webは、こうしたお客さまにお得意先さまのお店をご紹
新制度品ビジネスモデルの概要
お客さまと
出会う
多様なコンテンツ
プラットフォーム
ビジネス
ショッピングモール
(さまざまな企業の
ネット上の仮想店舗)
ビューティープラットフォーム
お客さまとの
関係を
深める
オンライン
カウンセリング
ダイレクト
マーケティング
オンラインストア
店舗NAVI
美容
コンテンツ
資生堂Web
お客さまを
ご紹介する
店舗
既存の
店舗販売
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
21
【成長戦略その4 】
介する店舗ナビゲーションの機能を持つほか、お客さ
カスタマー
ファースト戦略
まの利便性を重視し、約3,000品種の商品を購入する
海外売上高比率
(
ことができるオンラインショップの機能も持たせます。
%)
42.9%
Webを活用することで、これまで出会えていなかっ
海外売上高比率
(%)
た多くのお客さまとの接点を拡大し、お客さまに店舗
この戦略の背景と今後取り組んでいく
内容について、お聞かせください。
をご紹介する資生堂独自のビジネスモデルは、今後の
成長に欠かせない仕組みになると考えます。
6.5%
6.5%
次の成長エンジンとして、新興国での
1992
1998
2003
2008
展開はどのように進めていくのでしょ
グローバル市場規模予測
うか。
(億円)
カスタマーファースト
という言 葉には、2つの意
2011 (3月期)
1992
味を持たせています。1つ目は、すべての活動プロセス
の中で、何よりも先にお客さまのことを考えること。そし
てもう1つは、全世界のお客さまからNo.1の支持をいた
34,747
3,485 その他
資生堂は、新規市場の拡大にもスピードをあげて
29,036
だくということです。これは資生堂が「日本をオリジンと
取り組んでいます。
前 3カ年計画では13カ国への進
19,987
し、アジアを代表するグローバルプレイヤー」を実現す
出を果たし、2011年 3月末現在では、85の国と地域
るための、すべての企業活動に関わる取り組み、そして
24,453
5,227
北米
6,451
南米
9,868
(日本含む)で展開するまでに至っています。
欧州
新3カ年計画の根幹をなす戦略です。
アジア
新 3カ年計画においても展開地域の拡大を進める
(日本のぞく)
アジア
+55%
6,416
地域
3,307 日本
とともに、資生堂の成長余地が大きい新興国での取
2006
2010
2014
2018
(3月期)
このカスタマーファーストの実 現のために、メー
カー の原 点であるモノづくりと販 売・応 対 活 動を
り組みを一層強化していきます。とりわけここ数年大
徹 底的に磨き直します。研 究開発、生産からマーケ
きく売上を伸ばしているロシアでは、資生堂の強み
ティング、営業、ビューティーコンサルタントの応対に
であるスキンケアを中心とした店頭活動を充実させ、
至るまで、すべてのバリューチェーンにおいて、これま
プレステージ領域における同国シェアのトップ 5を
での成功体験への執 着を払拭し、抜 本的な改革に
めざしていきます。
取り組みます。価格に見合う価値がお客さまにしっか
り伝わるような情報発信、そして、資生堂ならではの
海外展開国・地域数(累計)
82
85
「おもてなしの心」
がこもった応対を全世界のビュー
海外展開国・地域数(累計)
ティーコンサルタントが 実 践することで、お 客さま
満足の最大化をめざし、グローバル競争を勝ち抜い
85
ていきます。
29
29
1991
1995
2000
2005
22 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2010 2011
(12月末)(3月末)
1992
1996
2001
2006
2011
(3月期)
1998
特集:新 3カ年計画における成長戦略
【 2012 年3月期の業績見通し】
新3カ年計画初年度の戦略
これまでお話しした4つの戦略を実行することで、
増加させます。また 2012 年から開始するWebを活用
新 3カ年計画では、
「年率 6%以上の売 上成長
(現地
した新たなビジネスモデルの展開を盤石にするため
通貨ベース)」と
「 3カ年内で営業利益率10%」をめざ
のマーケティングコストにも積極的に投入していきま
します。初年度となる2012 年 3月期の売上高は、国内
す。海外では、最重点国である中国におけるシェアと
市場における東日本大震災による影響額を約100 億
プレゼンスを拡大するためのマーケティングコストを
円と見 込むほか、欧 米市場における回 復 基 調の継
増 加させるとともに、日本人のビューティーコンサル
続、中国を中心とするアジア市場の売上伸長などを織
タントや営業など、人材を積極的にシフトし、販売を
り込み、2011年 3月期比1.4%増の6,800 億円を計画
強化していく予定です。また、全世界において、プレ
しています。この内訳としては、国内はほぼ 2011年 3月
ステージ領域、マステージ領域のそれぞれのグローバ
期と同水準、海 外では現地 通貨ベースで10%
(円換
ルメガブランド育成に向けた費用も積極投入してい
算ベースでは 3.2%)の増収を見込んでいます。
きます。
しかしながら、営業利益については、2013 年 3月
当期純利益については、2011年3月期と比較して、
期以降の成長に向けたマーケティングコストなどに重
特別損益と税金費用等が大きく改善することにより、
点的に投資していくため、2011年 3月期を下回る400
2011年3月期比64.2%増の210億円と見通しています。
億円を見込んでいます。
このように2012 年 3月期については、国内外ともに
この投資は国内で約 70 億円、海 外で約130 億円、
将来の成長に向けた投資を増加させていくため、営
合計で約 200 億円を計画しています。国内では、既存
業減益となりますが、この投資を確実に成長加速に
ビジネスの強化に向けて、広告や販売第一線におけ
つなげていくことにより、新 3カ年計画の経営目標を
るサンプル、施策費用などのマーケティングコストを
達成したいと考えています。
2012年3月期の業績見通し
(億円)
見通し
2011年
3月期比
同現地通貨
ベース
6,800
+1.4%
+4%
国内売上高
3,830
+0.0%
-
海外売上高
2,970
+3.2%
+10%
営業利益
400
-10.0%
-
当期純利益
210
+64.2%
-
売上高
海外売上高比率
売上高営業利益率
43.7%
+0.8ポイント
-
5.9%
-0.7ポイント
-
※ 想定為替レート 米ドル:80円、ユーロ:110円、中国元:12.5円
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
23
ブランド一覧
資生堂は、エリアを超えて重点的に育成する
「グローバルメガブランド」と、各エリアを中心にプレゼンス強
化に取り組むそれぞれのブランドを組み合わせ、強固なブランドポートフォリオの構築をめざしています。
国内化粧品事業
化粧品
カウンセリング化粧品
セルフ化粧品
グローバル プレステージ
「リバイタル グラナス」●
J
「マキアージュ」●
J ●
C●
A
J ●
C●
A
「アクアレーベル」●
グローバルブランド
「 SHISEIDO」
J ●
C●
A●
E
U●
●
「エリクシール シュペリエル」
J ●
C●
A
●
J ●
A
「ベネフィーク」●
J ●
C●
A
「ウーノ」●
トイレタリー
J ●
A
「インテグレート」●
「クレ・ド・ポー ボーテ」
J ●
C●
A●
U
●
E
J ●
C●
A●
「 TSUBAKI」●
A
J ●
「シーブリーズ」●
ヘルスケア
J 「インアンドオン」●
J
「ザ・コラーゲン」●
24 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
ノン資生堂
J ●
C●
A
「イプサ」●
J●
C●
A
「ディシラ」●
ベアエッセンシャル
「ベアミネラル」
J ●
E
U●
●
J 中国:●
C その他アジア:●
A
日本:●
E
U 欧州:●
北米:●
展開する主な地域
グローバル事業
化粧品
メガブランド
ノン資生堂
マステージ
「イッセイ ミヤケ」
「ナルシソ ロドリゲス」
J ●
C●
A●
E
U●
●
「 NARS(ナーズ)」
E
J ●
A●
U●
●
J ●
C●
A●
E
U●
●
中国
「 Za(ジーエー)」
C ●
A
●
C
「オプレ」●
C
「 DQ(ディーキュー)」●
C
「ウララ」●
C
「ピュア&マイルド」●
プロフェッショナル
「専 科」
J ●
A
●
カテゴリー拡大を
めざすブランド
(今後導入予定)
「ジョイコ」
C●
A●
U
●
「デクレオール」
J ●
C●
A●
E
U●
●
「カリタ」
A
J ●
C ●
「 Qi( キ)」●
J ●
A●
E
U●
●
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
25
事業別概況
国内化粧品事業
日本国内における化粧品、トイレタリー製品の製造・販売などを行う国内化粧品事業は、市場の縮小
という厳しい事業環境の中、
「峻別と集中」に継続して取り組み、チャネルごとに強化するブランドと
店舗を組み合わせる販売強化策を推進しました。
国内化粧品事業の事業概要
←国内
資生堂は、国内化粧品市場のリーディングカン
売上高構成比
パニーであり、高価格帯を中心とする
「高付加価
値カウンセリング領域」、中価格帯を中心にワンポ
53.4%
イントアドバイスなどを行う
「スポットカウンセリン
グ領域」、低価格帯商品中心の
「セルフ領域」およ
び「トイレタリー 領域 」の各 領域 で事 業 展開を
行っています。
「高付加価値カウンセリング領域」
売上高・セグメント利益推移
売上高(左軸)
では、化 粧品専門店、デパート、GM Sを中心に、
セグメント利益(右軸)
(億円)
(億円)
5,000
500
4,000
3,975
327
3,838 389
3,584 336
400
3,000
300
2,000
200
1,000
100
0
2009
2010
2011
0
(3月期)
それ以外の領域ではドラッグストアを中心にチャ
ネル展開を進めています。これらのチャネルの中
でも、資生堂がめざす質の高いサービスやカウン
セリングを提供できる化粧品専門店やデパートで
特に優位性を発揮しています。
2011 年 3月期(当期)の全体概況
1.0
消費マインドの冷え込みなどを背景に、2008年
0.8
3月期の下期を境に縮小傾向に転じた国内店販化
事業領域別売上高
カウンセリング
セルフ
トイレタリー
化粧品事業
ヘルスケア事業
その他
合計
(単位:億円)
2011年3月期 前期比
1,816
- 8.5%
820
- 3.7%
419
-10.0%
3,055
-7.5%
156
+2.6%
374
-2.6%
3,584
- 6.6%
注:当期の
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
の適用に伴い、
報告セグメント
を
「国内化粧品事業」
「グローバル事業」
「その他」
に区分しています。
それに伴い、
従来
「国内化粧品事業」
に属していた国内の
「プロフェッショナル事業」
は
「グローバル
事業」
に含めています。
売上高構成比
26 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
0.6
粧品市場は、当期においても1 ~ 2%程度の減少と
0.4
なり、マイナス成長が継続しています。
ヘルスケア 4.
0.2
市場構造については、高価格帯と低価格帯へ
トイレタリー 11.
0.0
の二極化がさらに進行し、特に低価格 帯 市場の
拡大傾向が続いています。
セルフ化粧品 22.
こうした市場の中、高価格帯と低価格帯は比較
◆国内店販化粧品市場の推移(当社推計)
←海外
市場規模
前期比
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
-2 ~ 3%
-3 ~ 4%
-1 ~ 2%
「クレ・ド・ポー ボーテ」
国内 化 粧品 事 業で 最 大の売 上を占める最高 級ブランド。
グローバルブランドとしてのプレゼンス強化に向けて、2011年
1月にスキンケアを、同2月にメーキャップを刷新し、好成績を
収めました。
的堅調に推移しましたが、中価格 帯での苦戦が
グ領域」では、デパートチャネルにおいて引き続
大きく影響し、当期の国内化粧品事 業の売上高
き実 施した、グローバルブランド
「
は前期比6.6%減の3,584 億円となりました。
と最高級ブランド
「クレ・ド・ポー ボーテ」の2つ
セグメント利益
(営業利益)については、マーケ
のカウンターを設置するダブルカウンター施策が
ティングコストをはじめとする販売管理費の効率
着実な成 果を収めたほか、下 期に行った「クレ・
化を進めたものの、売上高の減少による差益減の
ド・ポー ボーテ」の商品ラインアップやパッケー
影響により、前期比13.8%減の336 億円となりま
ジデザイン、イメージモデルなどの全面刷新も好
した。
評を博しました。化粧品専門店では、集中強化す
」
「 PSプログラム※ 2」を継
る店舗約 800 店を対象に
当期の概況:化粧品事業
当期は
「メガブランド」と
「リレーショナルブラン
ド※1」の重点育成を継続し、ヒット商品のロングセ
ラー化をめざしました。また、引き続き
「峻別と集
中」を徹 底し、チャネルごとに重点領域を絞り込
み、経営資源を集中する販売強化策を推 進しま
した。
高価格帯を中心とする
「高付加価値カウンセリン
続実施し、好成績を収めました。
中 価 格 帯を中心にワンポイントアドバイスな
どを行う
「スポットカウンセリング領域」では、発
売 5周年を迎えた「マキアージュ」
の取り組み強化
や
「エリクシール シュペリエル」のリニューアルな
どを実施しました。
こうした取り組みの結果、
「クレ・ド・ポー ボー
テ」などの高価格帯については、堅調な成果を残
「マキアージュ」
国内化粧品事 業で主力のトータルメー
キャップブランド。2011年春のプロモー
「マ
ションでは、2010 年 7月に発売した
キアージュ ルージュエナメルグラマー」
のコミュニケーション刷新に注力。既存
品育成に向けた好事例となりました。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
27
したものの、中価格帯においては、市場縮小の影
者が拡大している
「シーブリーズ」が猛暑効果と相まっ
響や、
「エリクシール」、
「マキアージュ」など代表
て好調だったほか、低価格帯市場への戦略商品として
格となるブランドの売上が全体としては低迷した
発売したスキンケアブランド
「専科」などが成果をあげ
ことから、カウンセリング化粧品の売上高は前期
ました。しかし、シャンプー市 場 の 競 争 激 化により
比 8.5%減と低調に推移しました。
「 TSUBAKI」が苦戦を強いられたことで、トイレタリー
「セルフ領域」では、優れた紫外線防御効果に
全体の売上高は前期比10.0%減となりました。
加えて専用クレンジングを不要とした新商品を
以上から、化粧品事 業全体の売上高は、前期に比
「アネッサ」から発売したほか、ミネラルファンデー
べ 7.5%減の3,055 億円と前期を下回りました。
ションのヒットが 継 続している
「インテグレート」
なお、当期におけるカウンセリング化粧品およびセ
の育成に取り組みました。しかしながら前 期に
ルフ化粧品の店頭売上は前期比 2 ~ 3%
(当社推計)
フォグバーを発売した
「ウーノ」や「アクアレーベ
の減少と見られることから、資生堂の店頭在庫
(流通
ル」が苦戦したことにより、セルフ化粧品の売上
過程における在庫)額は前期末と比べて減少している
高は前期比 3.7%の減少となりました。
ものと捉えています。
「トイレタリー領域」では、中高生を中心に愛用
「アネッサ」
「専科」
日やけ止め市場でトップシェ
2010 年9月に日本で発売した「 専 科」は、発売から
アを誇る
「アネッサ」では、独
11 週間で250万個を出荷するなど、好調な実績をあ
自の技 術で優れた日やけ止
げました。同 年10月に
め効果をさらに高めるととも
は台湾でも販売を開始
に、使 用感も高めた 新 商品
しており、今後もアジア
が好調な売れ 行きを見せま
各国で順次導入してい
した。
きます。
当期の概況:ヘルスケア事業
店販コラーゲンサプリメント市場シェアNo.1の
ススメ」、化粧品だけでは解決できない肌トラブル対
「ザ・コラーゲン」に、料理や飲み物に溶かして
応の医薬品
「 I H A DA
(イハダ)」の発売が上乗せに
摂取できる
「高美活パウダー」を追加しブランド
なったことにより、ヘルスケア事業の売上高は、前期
育成を強化したほか、美容バランス飲料
「綺麗の
から2.6%増の156 億円となり、増収を維持しました。
※1 リレーショナルブランド:カウンセリングを通じてお客さまとの関係性を深めていくブランド群。
※ 2 PSプログラム:資生堂との取り組み強化を望み、成長が期待できる専門店に対し、資生堂と共通の目標を設定し、個店の特性にあわせ集中的に展開
する育成策。
28 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
3,584 336
327
3,000
300
2,000
200
1,000
100
0
2009
2010
2011
事業別概況
0
(3月期)
1.0
0.8
事業領域別売上高
0.6
(単位:億円)
グローバル事業
2011年3月期 前期比
ヘルスケア 4.
カウンセリング
1,816
- 8.5%
セルフ
820
- 3.7%
トイレタリー
419
-10.0%
トイレタリー 11.
化粧品事業
3,055
-7.5%
ヘルスケア事業
156
+2.6%
セルフ化粧品 22.
その他
374
-2.6%
海 外における化 粧品と国内外における理・美 容室向け商品の製 造・販売などを行うグローバル
合計
3,584
- 6.6%
0.4
0.2
0.0
事業は、欧米プレステージ市場におけるプレゼンス向上と、中国での高伸長の持続、アジアマステー
ジ市場における接点拡大に注力しました。
←海外
グローバル事業の事業概要
売上高構成比
資生堂は、世界の幅広い地域で事業を展開し
ており、2011年 3月末時点での展開国・地域数は、
85( 日本含む)まで拡大しています。
45.1%
欧米では、グローバルブランド
「
」
を
主軸として、プレステージ領域で展開しています。
また、米国では、メーキャップブランド
「 NA R S」
が高い支持を集めているほか、
「 ベアエッセンシャ
売上高・セグメント利益推移
ル」については、テレビショッピングによるダイレ
セグメント利益(右軸)
売上高(左軸)
(億円)
(億円)
4,000
300
3,000
2,000
3,026
2,757
154
2,504
200
95
90
1,000
0
2009
2010
2011
クトマーケティングと、デパートや直営店などによ
る店 頭 販売を行う独自のビジネスモデルを展開
し、ミネラルファンデーション市場でトップシェ
アを確 保しています。欧州では、ボーテ・プレス
100
0
(3月期)
テージ・インターナショナルのデザイナーズフレグ
ランスが強力なブランド力を有しています。
他 社 に先 駆 け 30 年 前 から 事 業 を 展 開して
いる中国では、確 固たるポジションを確 立して
事業領域別売上高
2011年 3月期
化粧品事業
プロフェッショナル事業
合計
2,617
409
3,026
(単位:億円)
前期比
現地通貨ベース
前期比
+25.0% +32.0%
- 0.3% +5.1%
+20.9% +27.6%
います。チャネル別ブランド戦略を推進しており、
デパートではグローバルブランド
「
や中国専用ブランド
「オプレ」を、専門店では
「ウ
プロフェッショナル
ララ」や
「ピュア&マイルド」
を販売しています。店
13.5%
舗網についても強力な基盤を構築しており、当期
末では、グローバルブランド
「
注:2011年3月期における主要通貨の換算レートは、
米ドル:87.8円、
ユーロ:116.4円、
中国元:13.0円です。
注:当期の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」の適用に伴い、報告セグ
メントを
「国内化粧品事業」
「グローバル事業」
「その他」
に区分しています。
それに
伴い、
従来「国内化粧品事業」
に属していた国内の
「プロフェッショナル事業」
は
「グローバル事業」
に含めています。
」
」の取
扱店は約190 店、
「オプレ」取扱店は約 920
店、専
化粧品
門店は約 5,200 店まで拡大しています。
86.5%
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
29
2011 年 3月期(当期)の全体概況
欧米の高級化粧品市場は、景気の回復に伴い
復調傾向が見られます。中国をはじめとしたアジ
ア市場および 新興国市場については、高い経済
成長を背景に中間所得層も拡大しており、高い成
長性が継続しています。
こうした環境下、当期のグローバル事業全体の
売上高は、アメリカ、欧州、アジア・オセアニア、い
ずれの地 域においても大きく伸 長し、現 地 通貨
ベースで前期比 27.6%の増収、ベアエッセンシャ
ルを除 いたベースでも10.0%の 増 収となりまし
達成しました。
また
「NARS」が30%を超える高い成長を遂げるとと
もに、デザイナーズフレグランスや、トラベルリテールビ
ジネスなどの成長性も回復しました。
「アジアマステージ市場」においては、継続して
「Za」、
「マジョリカ マジョルカ」のプロモーション強化を実施
グローバルブランド「
」
これまでのライン強化の取り組みに加え、デザインを刷新
した新カウンターの導入などにより、プレステージブランド
としてのプレゼンス
が強化されています。
た。円換算ベースでは、円高基調で推移したこと
から前期比20.9%増収の3,026 億円となりました。
セグメント利益
(営業利益)については、ベアエッ
センシャルの買収に伴う一時費用の発生により、
前期比5.4%減少の90 億円となりました。一方、ベ
アエッセンシャルを除いたセグメント利益では、前
期比 22.0%増加の116億円となっています。
当期の概況:化粧品事業
当期は、
「プレステージ市場」、
「マステージ市場」
双方で好調な成績を収めました。
「プレステージ市場」では、グローバルブランド
「
」が世界各国で伸長を果たしまし
た。デザインを刷新した新カウンターの導入や、商
品の認知度を高めるプロモーション活動など、ブ
ランド育成の重点的な取り組みが奏功し、プレミア
ムスキンケアライン
「
フューチャーソ
リュー ション LX」、高 機 能 スキンケアライン
「
BOP(バイオパフォーマンス)」など
が好調に推移しました。
買収したベアエッセンシャルは、シナジー発揮に
向けた協業推進プロジェクトにおいて、生産機能
や物流設備の共通化によるグループ全体での効率
化に着手したほか、店舗およびウェブサイトにおけ
る販売を強化した結果、所期の売上・利益計画を
30 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
「ベアミネラル」
ベアエッセンシャルの主要ブランド。保存料、香料、
オイル、タルクを含まないミネラルパウダーを使用し
ており、米国ミネラルファンデーション市場でも圧倒
的なシェアを獲得しています。
事業別概況
「 Za 」
アジアの中間所得層をターゲットに
したマステージの重 点育成ブラン
「オプレ」
ド。タイや台湾などアジア各国で積極
長年にわたる中国女性の肌や気候の研究成果
的なプロモーション展開を行い、アジ
から生まれた中国専用ブランド。1994年の発売
ア専用スキンケア・メーキャップブラン
以来、売上を伸ばし続け、高級化粧品ブランドと
ドとしてのプレゼンスを向上させてい
しての確固たる地位を築いています。
ます。
「イッセイ ミヤケ」
世界100カ国以上で展開し、強力
「 NARS」
なブランド力を誇るボーテ・プレ
2000年に買収したメーキャッ
ステージ・インターナショナルの
プブランド。米国を中心に高い
デザイナーズフレグランスブラン
ブランド力を誇り、拡大を続け
ド。同社では、このほか、
「ナルシ
ています。
ソ ロドリゲス」などを展開。
し、特にタイにおける小売業との協業で行ったマー
か、バルカン半島の3カ国
(アルバニア、コソボ、マケ
ケティング展開では高い成果を収めています。これ
ドニア)をはじめ、新規市場での事業拡大を進めま
らの商品が順調な業績をあげたほか、
「アクアレー
した。
ベル」についても、大きく伸長しました。
こうした既存事業の伸長のほか、ベアエッセン
今後も飛躍的な市場拡大が想定される中国につ
シャルの新規連結の影響もあり、化粧品事業は、
いては、引き続き最重点市場と位置付け、積極的に
現地通貨ベース32.0%の増収
(円換算ベースでは、
チャネル別ブランド戦略を展開しました。デパートで
25.0%の増収)となり、前期実績を大幅に上回る
は新カウンターの導入を継続展開するとともに、
「オ
回復を果たしました。
プレ」のラインアップを強化しました。専門店では、
専用ブランド
「ウララ」や
「ピュア&マイルド」の育成
当期の概況:プロフェッショナル事業
に努めるとともに、高価格帯ブランド
「ディシラ」を
新たに導入しました。以上の結果、中国における売
上高は2桁成長を継続し、市場を上回る伸長を果た
したほか、営業利益率についても10%以上という高
水準を維持しました。
これまで進めてきた新規市場への事業拡大につ
いても、展開が一段と加速しました。ロシアにおける
取扱店数は、前年の約3倍となる900店を超えたほ
国内では、景気の低迷や競争の激化により厳
しい状況が 続きましたが、海 外では、市場成長
が続くアジアでの伸長や、景況感の回復が進ん
だ欧米での好調により、プロフェッショナル事業
全体の売上高は現地通貨ベースで 5.1%の増収
となりました。一方、円高の 進 行により円換 算
ベースでは0.3%減収の409 億円となりました。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
31
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
資生堂グループ企業理 念
「 Our Mission, Values
and Way」のもと、ステークホルダーの皆さまに対して
とるべき行動を示したものが
「Our Way」です。資生堂
は、この
「Our Way」に基づき、サステナブルな社会の
実現をめざして、ステークホルダーの皆さまとの対話と
協業活動を充実させ、人々の美しさ、健やかさを創造
する経営を推進しています。
お客さまとともに
取引先とともに
株主とともに
お客さまの「美」や
「健康」に関するニーズにお
ともに新しい価値を創造するパートナーである
企業価値・株主価値の最大化に向けた、コーポ
応えするために取り組む、研究開発や応対面で
お取引先さまと共同で展開する取り組みのほ
レートガバナンスについての方針や体制、取り
の活動をご紹介します。
か、調達に関する考え方などをご説明します。
組みを掲載しています。
▶P33
社員とともに
▶P37
社会・地球とともに
P50 ~ 54の「コーポレートガバナンス」をご
参照ください。
資 生 堂のCSR 活 動 の 詳 細 は
当社ウェブサイト
「 CSR・環 境
活動」をご覧ください。
http: //w w w.shiseido.
co.jp /corp /csr/
CSRに関する最 新 情 報のほか、ス
テークホルダーダイアログや第 三
者意見、GRIガイドライン対照表な
社員一人ひとりの多様性の尊重。ゆとりと豊か
社会や地球におけるさまざまな課題の解決に
さの充実をめざした職場づくり。資生堂ならで
向けて、資 生 堂の強みを活かすことができる
はの取り組みをご紹介します。
3つの領域での活動をご紹介します。
▶P38
環境データ
▶P40
社会性データ
▶P44
32 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
▶P45
どについても掲載しています。
お客さまとともに
100% お客さま志向のモノづくり
視点や美容医療、ヘルスケアなど新たな視点も強化して
資生 堂では、グループの企 業 理 念
( Our Mission,
Values and Way)に基づき、お客さまや社会のお役に
立つことをめざしています。お客さまにご満足いただける
価値のある商品とサービスは、化粧品を構成するハード
ウエアと、それに付随するさまざまな情報や美容法などの
ソフトウエアが一つになることで生まれます。そのため、資
生堂では
「お客さまの期待を超える価値づくり」
に向けて、
「機能性」
、「感性」、「安全性」の3つの視点から化粧品の
研究開発を進めています。
「機能性」の面では健康で美しい肌づくりに注力した研
究を推進しています。「感性」の研究では、使用性や香り、
色彩、美容法などを対象に、商品がもたらす心地よさや喜
び、感動を追求しています。そして、3つの視点の中でも最
も重視している
「安全性」においては、お客さまにとって
安全かつ安心してお使いいただける商品の開発を徹底し
ています。また最近では、
「美」や 「健康」に対して高度化・
多様化するお客さまのニーズにお応えするため、化粧品
に関する技術イノベーションを一層推進し、
グローバルな
◆ 研究開発における3 つのアプローチ
います。
生産においても世界中のお客さまに安心して化粧品
をお使いいただくため、品質保証の強化に取り組んでい
ます。2007年に国際標準化されたISO22716※(化粧品
GMP)は、世界各国で法規と同等のガイドラインとして
採 用されています。資生 堂では安 全で確かな品質を
実 現するため、このISO22716よりさらに厳 格な社 内
基準を定め、お客さまに安心いただけるモノづくりを強
化しています。
また、お客さまニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応で
きるよう、機動力の向上にも取り組んでいます。フレキシブ
ルな生産を行うため、ライン作業による大量生産ではな
く、一人の技術者がすべての生産プロセスを担当できるマ
ルチスキル化を進めるとともに、生産設備の改良など生産
性向上につながる設備技術の開発にも注力しています。
今後も、何よりもお客さまを大切に考え行動するととも
に、メーカーの原点に回帰し、お客さまからNo.1の支持
をいただくことをめざします。商品はもちろんのこと、お客
さまと店頭をつなぐ大切な情報開発やマーケティング活
動、宣伝表現など、すべてのバリューチェーンでイノベー
●
ションを起こしていきます。
処方開発
物性・香料・色彩
●
●
皮膚・毛髪研究
ヒューマンサイエンス研究
皮膚生理メカニズム
生理心理学・認知科学
●
薬剤・原料開発
探索・合成・
バイオテクノロジー
美しい肌、若々しい肌
心地よい感触、
「心」の満足、喜び・感動
機能 性
感性
※ ISO22716:化粧品製造に関する国際規格。
お客さまの声を活かす仕組み
●
製剤技術開発
乳化・分散など
100%お客さま志向のモノづくりの実現に向けて、お客
さまから寄せられた相談・要望など貴重な声を社内に還
流し、商品開発やサービス向上に活かす取り組みを行っ
●
美容ソフト研究
お客さま
●
容器・外装開発
美容情報開発・色彩研究・
官能評価ほか
利便性・環境対応
安全性
報の開発・改良、サービスの改善に向けた対応要請を行
人体と環境への配慮
●
店頭機器開発
活動に反映するよう、お客さまの声情報の収集・分析、全
社への情報共有を図り、関連部署に対して商品や美容情
●
ソリューション・メソッド検証
肌診断・カウンセリング用
ています。お客さまや社会の変化を速やかに察知し企業
設計目標との相違・お客さま視点
い、100%お客さま志向の具現化につなげています。
●
品質保証
安定性・安全性・微生物保証
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
33
日本では、フリーダイヤル、eメールや手紙などで
「お
資生堂は、現在
「日本をオリジンとし、アジアを代表す
客さま窓口」に寄 せられる年間約12万件のご意見や
るグローバルプレーヤー」をめざしてグローバル化を推
お問い合わせの声、また店頭で接客の際にお聞きした
進していますが、その実現のためには、世界中のお客さ
お客さまの声をビューティーコンサルタントが端末を
まの声を迅速に把握し、経営に活かすことが不可欠で
用いて 投 稿した年 間 約13万件 の声など、さまざまな
す。これまでも日本のほかに中国でも、それぞれシステム
場面や手法でお客さまの声を収集しています。それらの
を導入して、相談や要望を収集、分析、社内共有し、企
情報をシステムで管理し、都度、関係者が分析できる
業活動に有効に反映させてきました。一方、ほかの海外
環境を整えています。
現地法人についてはシステムが未導入であり、グローバ
商品に対するご意見や評価を真摯に受け止め、商品改
ルでのシステム共通化が課題でした。
良の参考にさせていただくとともに、お客さまが日々の生
このため、資生堂では、1996年より使用してきたお客さ
活で化粧品に感じるさまざまなお気持ちやその背景を深
まの声情報を収集・活用するためのシステムをグローバル
く知り、より満足いただける価値づくりに活かすため、い
仕様に進化させ、
「ミラー※」と名付けて、2011年4月に日本
ただいた声を社員がイントラネット上で共有しています。
で、同年7月に海外で一斉に導入し、世界のお客さまの声
◆ お客さまの声情報をグローバルに収集・活用する
「ミラー」
入力機能・調査機能・対応支援機能
お客さま
お客さま
お客さま
お問い合わせ
お問い合わせ
お問い合わせ
お客さま窓口
お客さま窓口
お客さま窓口
(日本語版)
リスクマネジメント、
マーケティング活動など
(英語版)
(中国語版)
企業活動への反映
ミラー
データ分析・
集計
お 客さまの声を反 映した商 品 事例
「クレ・ド・ポー ボーテ」新スキンケア 「 HAKU 」メラノフォーカスW
握りやすいデザインや押しやすいディスペンサーの採用、安定感があ
中味の安定性を守りつつ、残量を目で確認できるレ
り収納もしやすい容器の高さ設計などを通じて、化粧水と乳液の使い勝
フィル容 器を開 発し、容 器に使 用する樹 脂 量を約
手を向上させました。あわせて、能書の文字を大きくして内容を読みやす
60%削減しました。
く、ボトル色の工夫でアイテムを識
「中が見えないので、次の買
別しやすく、そしてシンプルな名称
いどきが分かりにくい」、
「毎回
で覚えやすくするなど、分かりやすさ
容 器を捨てるのがもったいな
も追求しました。クリームにもレフィ
い」など、発売以来寄せられて
ルを新配置し、末永くご愛用いただ
いたご意見を集約し、容器の進
けるような配慮もしています。
化に活かしています。
34 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
情報を共有し、活かす仕組みを強化していきます。
「ミラー」の導入により、世界のお客さま窓口における
相談や要望への対応レベルを統一的に向上させるとと
もに、
世界中のお客さまの声情報を効率的に収集・活用
し、資生堂グループの価値創造につなげていきます。
このようなお客さまの声を活かす取り組みから生まれ
た商品の中から、代表的なものを資生堂ウェブサイトでも
ご紹介しています。
お客さま応対満足度評
価を取り上げ 、
ビュー
ティーコンサルタント活動
の革新を宣言した企業
広告とアンケートハガキ。
お客さま満足を最大化し、愛用者拡大につなげるために
資生堂ウェブサイト
「お客さまの声を活かして」
2009年より応対改革に取り組んでいます。具体的には
http://www.shiseido.co.jp/corp/customer/voice/
※ ミラー:お客さまの声を通して、そこに映し出された資生堂の活動の実態を
見つめ直す・姿を映し出す
「鏡―ミラー」という思いが込められてい
ます。
スキンケアコンサルテーション力向上を目的に
「国際版
応対ソフト」を開発・導入するとともに、世界中のビュー
ティーコンサルタントが
「おもてなし」の心を店頭で具
お客さま応対
シ セ イ ド ウ
ビーシー
オ
モ
テ
ナ
シ
現化する行動指標
「 SHISEIDO BC OMOTENASHI
ク
レ
ド
ビューティーコンサルタントは、店頭でお客さまの要
CREDO」を配布し、日々の活動に活かしています。加え
望に応じ、商品や美容情報をお一人おひとりの肌や化粧
て、応対改革が店頭で浸透・撤底されていることを確
生活にあわせてご紹介するという重要な役割を担って
認し、さらなる応対力向上につなげるため、海外でも
「お
います。1998年には、美容のプロとしてさらに質の高い
客さまアンケート」を半期に1回実施し、評価結果をも
カウンセリング活動をめざし、業界で初めて美容知識・
とにアクションプランを立て、トレーニングや OJTに活
技術についての
「厚生労働省認定社内検定制度」を導
かしています。
入しました。また2005年からは
「100%お客さま志向」の
店頭活動の実現に向けて、
「 お客さまからの応対満足
度」をビューティーコンサルタントの活動評価に組み入
れています。お客さまからいただいた声は毎月ビュー
ティーコンサルタントにフィードバックされ、
活動の振り返
りや課題への気付きを通じて、応対レベルとお客さま満
足のさらなる向上につながっています。海外においても、
ビューティーコンサルタントの活動の原点を凝縮
し、22カ国語に翻訳・配布した、
シセイドウ
ビーシー
オモテナシ
クレド
「SHISEIDO BC O MOTENASHI CREDO」。
◆ お客さま満足度の向上をめざした取り組み
店頭
お客さま
本社事務局
ビューティーコンサルタントから
お客さまへアンケートの依頼
アンケート記入・投函
アンケート着荷・集計
月末までに事業所着荷
課題を踏まえたビューティー
コンサルタントによる店頭活動
ビューティーコンサルタント
事業所
結果をもとに、振り返り・気付きによって
課題を明確にし、
目標を設定
結果をもとに店頭活動の計画立案
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
35
資生堂の美を支える技術
資生堂は、基盤研究、製品開発、生産、品質保証など
幅広い技術基盤を有しています。100年以上積み重ねて
きた研究開発における知見は、資生堂の製品力を生み出
す圧倒的な強みとなっています。
研究開発においては、界面科学や皮膚研究などの基
盤研究から、その成果を製品へ応用する研究まで、シー
要な技術である乳化技術の開発や、お客さまからご要
望の多い
「美白」や
「抗老化」に効果の高い化粧品成分
の開発、皮膚の働きや加齢などの複雑なメカニズムの解
明は、お客さまへよりよい製品をお届けするために欠か
すことのできない研究です。
資生 堂の技 術 情 報の詳細については、当社ウェブサイトより
「技術情報」をご覧ください。
http://www.shiseido.co.jp/corp/technology/
ムレスに研究開発を行っています。中でも、化粧品の重
美白研究
抗老化研究
資 生 堂 は、1917
資生堂は、皮膚の老化によるしわ、たるみの発生原因の
年の「化粧水過酸化
究明にさまざまな角度からアプローチしています。皮膚の水
水素キューカンバー」
分保持にはヒアルロン酸が有名ですが、資生堂は「ビタミン
の 発 売を皮 切りに、
A 」にヒアルロン酸合成促進作用を見出し、さらに皮膚のし
常に美白研究の最前
わ改善効果も確認しました。また、紫外線によりコラーゲン
線を走ってきました。
線維や弾力線維が破壊されるメカニズムの解明にも取り組
中でも、美白有 効 成
分の開発は最も得意
とする分 野 の 一つで
成分探索を高速で行う機器システムを用
いて解析データをいち早く美白技術開発
に応用しています。
み、これらの知見をもとに有用な抗老化薬剤の開発を進め
ています。
また、皮膚免疫など皮膚科学などの領域においても基盤
す。
「アルブチン」や「安定型ビタミンC 誘導体」をはじめ、
研究を行い、皮膚の保湿やバリアー機能、加齢による影響
日本の化粧品における美白有効成分の約 3 分の1を開発
など肌のメカニズムに対する研究についても積極的に取り
するなど、有効成分の開発には10 年近い歳月がかかるとい
組んでいます。最近では、相模女子大学、北里大学との共
われる中、資生堂の開発実績は群を抜いています。
同研究により、肌の保湿機能に深く関与している成分NMF
最近では、シミ部位の慢性微弱炎症状態に作用し、メラ
ノサイトの活性化を抑制する作用がある「トラネキサム酸」
(天然保湿因子)の生成メカニズムを世界で初めて明らか
にしました。
や、最新の美白有効成分として、
日本をはじめ、台湾、韓国、
米国、欧州で特許を取得した「 4-メトキシサリチル酸カリウ
ム塩( 4MSK )」を開発しました。
資生堂の技術に対する社外評価
されたIFSCC第26回大会において、口頭発表基礎部
資生堂は、世界の化粧品科学技術の中でも最も権威
門、口頭発表応用部門、ポスター部門のすべてで最高
ある発 表 会 であるIFSCC(国 際 化 粧 品 技 術 者 会 連
賞を受賞したほか、日本美容皮膚科学会などにおいても
盟)をはじめ、国内外のさまざまな学会・協会などで数多
5つの研究成果が受賞しました。なおIFSCCにおいて
くの受賞歴を誇っています。
は、国内外化粧品メーカーとしては最多となる13回の最
2010年9月にブエノスアイレス
(アルゼンチン)で開催
高賞受賞経験を有しています。
36 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
取引先とともに
原料調達の考え方
資生堂の考え方をお伝えし、ともに取り組んでいくこ
資生堂は、相互信頼を基盤に、お取引先さまと資生
堂グループの総合力を融合することで、新たな価値を
共創し、お客さまや社会に貢献することを購買方針とし
とを確認しています。
2011年 5月に開催した説明会には、約140 社のお取
引先さまにご参加いただきました。
て活動しています。正しい競争によるコスト低減と共創
による価値創造を購買の基本とし、新規技術の共同開
発や戦略的連携による新たな調達・購買の仕組みを
共同で構築するなど、志を同じくするお取引先さまとと
もに成長することをめざしています。
調達先の選定は、国内外を問わず、品質・コスト・納
期に加えて、技術開発力・サービス力・経営状況、CSR
などの社会貢献への取り組み姿勢などの要素を加えて
総合的に判断しており、グローバルレベルでの最適な調
達パフォ-マンスの発揮に努めています。
環境配慮の観点からは、原材料の脱石油化や植物
由来素材、非木材・バイオマス、省エネ、CO 2削減、3R
(リデュース、リユース、リサイクル)の実現に向けた調
達活動をさらに進めるとともに、CSRの観点から、常に
遵法および社会倫理を踏まえ、フェアトレードや生物多
様性の維持に配慮した調達活動を実施しています。
取引先とのパートナーシップ強化
資生堂グループ・サプライヤー行動基準
資生堂は、
「 美しい生活文化の創造」の輪を広げるこ
とをめざし、調達活動を通じてお客さまにご満足いた
だける安全で優れた商品とサービスの研究、開発、製
造、販売に取り組んでいます。原料や香料、パッケージ、
販促物など多岐にわたる、すべてのお取引先さまを
「と
もに新しい 価 値を創 造していくパートナー」と考え、
CSR 活動の推進においても、相互理解を第一義に連
携しています。
環境配慮に関するお取引先さまに要望する項目を明
示した
「グリーン調達基準」
( 1999 年策定)に基づき、
「人権」、
「 法 令順守」、
「 労働」、
「 知的財産の保護およ
び機密の保持」、
「 環境保全」、
「 公正な商取引」、
「 遵守
状況の確認」
に関わる基準を明文化した
「資生堂グルー
プ・サプライヤー行動基準」
( 2006 年策定、2010 年改
訂)を国内外のお取引先さまへ配布して周知を図ると
ともに、お取引先さまと
「購買契約書」と
「サプライヤー
時代の変化や社会からの新たな要求に応えていくた
行動基準遵守の覚書」を締結しています。
めにも、資生堂の調達に対する考え方について、お取
さらに、
遵守状況を定性的に把握するため、
年に一度、
引先さまにさらに理解いただき、社会に対する真摯な
環境、CSRへの取り組みなどに関するアンケートもしく
姿勢で一緒にモノづくりを進めていきたいと考えてい
は直接ヒアリングを実施していま
ます。
す。万が一、
「 資生堂グループ・サ
そこで、お取引先さまとのパートナーシップ強化をめ
プライヤー行動基準」に違反して
ざし、日本の調達部門では、毎年1回、お取引先さまと
いることが明らかになった場合に
の
「 購買活 動 方針 説
は、厳正に是正措置の要求、是正
明会」および原料・香
指導、支援を実施することとして
料、材料など分野別の
います。
「 購買活動方針分科
資生堂グループ・
サプライヤー行動基準
会」を開催しており、
2011年5月開催「購買活動方針説明会」
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
37
社員とともに
人材育成
を横断した新入社員研修・管理職 研修、経営幹部を
資生堂は創業当時、世間から
「書生堂」と呼ばれる
ほどに人材育成に熱心な企業でした。その社風は今日
に至るまで受け継がれており、2006 年には改めて原点
に立ち返るため、
「 資生堂『共育』宣言」を発 表しまし
た。この宣言は、
「 働く人の自己実現」
と
「会社の成長」
とが重なり合って
「人」を大切に育てていくことをめざ
しています。さらに
「魅力ある人」の具体的な姿である
資生堂人として育みたい能力と感性の指針を
「美意識・
自立性・変革力」と定めました。上司による日々の指導
や研修、異動、評 価などを通じて
「ともに育ち合い、育
て合う」環境整備を進めています。
「資生堂『共育』宣言」に基づき、人材育成方針の具
現化と全社の研修機能を統括するため、2006 年、企
業内大学
「エコール資生堂」を創設し、さまざまな研修
( 2010
養成する研修などを実施しており、2011年 3月期
年度)は約 80 講座の研修を行いました。学長には社長
が、各分野の学部長には、その分野を担当する執行役
員が就任することで、役員自らが魅力ある人材の育成を
率先して行っています。
また、
「エコール資生堂」にはバーチャルの美容大学
院
「資生堂ビューティーアカデミー」もあり、
「 高度美容
専門職」の登竜門となっています。全国の約12,000 名
の美容分野社員を対象にキャリア育成プログラムを整
え、管理職として組織のリーダーをめざす道と、専門職
として美容技術を究めた
「高度美容専門職」をめざす
道の2つのコースを設定しています。
男女共同参画の実現
がスタートしています。
「エコール資生堂」では、分野ご
資生堂は、お客さまの9割が女性であることから、女性
とのプロフェッショナルを育成するための研修と、分野
の価値観や生活の現状を理解した上で、新たな商品や
サービスの提供に注力しています。そして、そのためには
◆ 人材育成の基本フレーム
社員の約8割を占める女性社員が経営・事業活動にお
• 資格要件・個人特性に応じた適切な
役割・目標設定と動機付け
• 日々の業務の管理と指導
• キャリアに関する方向付け
いて中核的役割を果たすことが不可欠であり、1990年
• 公正な評価を通じた
適切な指導
• 発揮能力に即した
適正な昇格
策を導入してきました。
2005年 4月からはその取り組みを強化するため、①男
目標管理と
OJT
成果と能力の向上
モチベーションの高まり
以降、仕事と育児・介護を両立するためのさまざまな支援
女共同参画の概念を社内に浸透させ、社員の意識と行
動変革を求める風土の醸成、②女性の経営参画の加
速を視野に入れた女性リーダーの育成・登用、
③ワークラ
能力・適性、
意向に応じた
異動
個々の社員を
固有名詞で
見つめる
達成度に
応じた公正な
評価・処遇
イフバランスの実現を
「 男女 共
3本 柱とした
同参画行動計画」を
スキル・マインドの向上
成長意欲の向上
研修・教育
(第1次:2005 年 4 月
~ 2007年3月、第2次:
• 将来の育成方向を
見据えた異動
• ジョブチャレンジ・
FAによる主体的な
活動機会の提供
立案・推進してきました
• キャリアに関するマインド醸成、
必要知識・スキルの提供
• 主体的に学べる場の提供
38 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2007年 4 月~ 2010年
3月)。その結果、2011
首都圏に勤務する子育て社員の「仕事」
と「育児」の両立支援の一環として、事
業所内保育所「カンガルーム汐留」を設
置しています。
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
年3月期
(2010年度)
における育児休業取得者数は1,218
参画アクションプラン」の推進、キャリアを主体的に考え
名、育児時間取得者数は1,415名、介護休業取得者数は
自立心とプロ意識を備えた女性社員の育成に向けた管
33名、介護時間取得者数は21名となり、仕事と育児・介
理職研修
「キャリアサポートフォーラム」や、海外現地法
護を
「両立」できる風土がしっかりと根付いてきました。
人幹部を対象とした
「資生堂グローバルリーダーシッププ
2010年 4月~ 2013年3月の第3次
「男女共同参画行動
ログラム」の実施、そして特例子会社、花椿ファクトリー
計画」においては、活動テーマを
「女性リーダーが恒常的
(株)による障がい者の積極的な雇用促進など、資生堂
に生まれる社内風土の完成」とし、
「女性のリーダー任用
では社員の多様性を活かすためのさまざまな活動に取り
と人材育成強化」
、
「生産性向上に向けた働き方の見直
組んでいます。
し」の2つを重点課題とした具体的なアクションプランを
グローバル人材の育成
策定しました。
資生堂が考えるグローバル人材とは、グローバルな
男女ともに育児・介護の
「両立」から
「キャリアアップ」が
できる段階に到達することをめざし、多様な価値観を
持った社員が活躍することで、さらなる組織能力の活性
化をめざしていきます。
フィールドで通用する高い専門性を有していること、異文
化理解力やコミュニケーション能力を含めたグローバル
対応力を有していること、そしてマネジメント層はリーダー
シップを有している人材と定義しています。
こうした人材を育成するために、2008年に 「グローバ
ダイバーシティの推進
ル人事ポリシー」を策定し、本格的な取り組みをスタート
ダイバーシティ
しました。ここでは、①海外現地法人経営トップの育成、
資生堂は、国籍や性別、年齢、雇用形態の違い、障が
②グローバルレベルでの人的リソースの効果的活用、③
いの 有無など、多 様な属性・価 値 観・発 想を持 った
海外現地法人における人事機能の品質向上、という3つ
40,000人以上の社員で構成されています。資生堂の考え
の目標を掲げています。
るダイバーシティとは、
「人権尊重」を原点とし、社員一人
現在は、グローバル人事戦略の第一段階として、グロー
ひとりの価値観・発想を認め合い、それぞれの個性化と
バル共通の人事基盤の構築に取り組んでいます。
社内組織の多様化により、個人と会社の双方が幸福にな
そして、2010年から2013年に向けてはこの基盤をベー
ることです。この実現のために、差別やハラスメントがな
スとした人材活用を行い、具体的には、グローバルな人
い職場づくりに努めています。
事ルールの構築を継続しつつ、海外現地社員の人材育
また、働き方の多様性を尊重するための階層別による
成体系の構築・推進、グローバルレベルでの配置・異動
教育、業務改善を活かす
「知恵椿提案制度」
、
「男女共同
の推進を行っています。
第1弾として2010年3
月に実施した「キャリ
アサポートフォーラム
2009」には、本社周
辺事業所の155名の
女性社員、管理職が
参加しました。今後は
全事業所での開催を
めざします。
世界4地域にてリージョナル人材育成コミッティーを2009
年に設立し、各地域における人材育成を推進中です。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
39
社会・地球とともに
CSRの基本方針
資生堂は、ステークホルダーとの対話と協働を通じ、
持続可能な社会の実現をめざして社会の期待に応える
す。社長をはじめとする役員や一般社員も参加するこの
セミナーは、化粧の持つ可能性を実感する機会となっ
ています。
活動を展開し、人々の美しさや健やかさを創造する経営
を推進します。特に資生堂の強みを活かすことができ
る、①女性・化粧
(美容)
:女性の心と身体を元気づけ、
その活動を支援、②文化:豊かな感性と知性をベースと
した美しさの創造、③環境:人も地球も美しく共生する
持続可能な社会の実現、の3つの領域での活動に重点
をおいています。
資生堂ライフクオリティー
ビューティーセミナー
文化に関する取り組み
資生堂は、これまで育んできた企業文化を蓄積し、再
編集して社内外に発信するとともに、
芸術文化への支援を
女性・化粧(美容)に関する取り組み
通じて、心豊かな社会に貢献することをめざしています。
—資生堂ライフクオリティー ビューティープログラム
企業文化の蓄積・発信センターが資生堂企業資料館
資生堂は、創業以来、美容に関してハードとソフトの
両面から、一人ひとりのお客さまが望む美の実現をお手
伝いしています。心までの豊かさをめざす活動 「資生堂
ライフクオリティー ビューティープログラム」では、以下の
2つの活動を推進しています。
資生堂ライフクオリティー メーキャップ
あざや白斑 などに対応したファンデーション
「パー
(静岡・掛川)です。商品パッケージやポスター、CMなど
の資料を収集・保存し、その一部を無料で公開していま
す。1937年創刊の
『花椿』誌も、企業文化を社会に発信
するメディアとして長い歴史を持っています。
芸術文化支援の核となるのが、1919年開廊の資生堂
ギャラリー
(東 京・銀 座 )です。
「新しい美の発見と創
造」を活動理念として、次代を担う作家に発表の場を提
※
フェクトカバー」の開発を進める一方、肌に深いお 悩
みを持つ方々に対するメーキャップアドバイスを続けて
います。
「資生堂ライフクオリティー ビューティーセン
ター」を中心に、日本全国の化粧品専門店や医療機関
供しています。さらに現代美術を中心に演劇や舞踊な
ど、同 時 代のさまざまな表 現 活 動に対 するサポート
(協賛)も行っています。また、資生堂ギャラリーに出品
された美術品の一 部をコレクションし、資生堂アート
ハウス
(静岡・掛川)で収蔵、無料で公開しています。
などで展開しているほか、中国、台湾でも同様の活動を
行っています。
※白斑:原因不明の後天性の皮膚疾患で、顔や首、手足などの色素が抜ける
症状。
資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー
地域密着型の活動として、高齢者福祉施設や障がい者
施設などを訪問し、無料の美容セミナーを行っています。
これは、気持ちまでが前向きになる
「化粧療法」とし
て医療機関などからも注目される活動となっており、日
本だけでなく海 外においても積極的に展開していま
40 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
資生堂ギャラリー
資生堂企業資料館
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
環境活動の基本方針
資生堂は、社名の由来である
「至哉坤元 万物資生
(大地の徳はなんとすばらしいものであろうか、すべての
ものはここから生まれる)
」が表す通り、創業以来一貫し
て地球の恵みに感謝し、それらを大切にしながら事業
を営んできました。2009 年 4月には、環境への取り組み
を経営の中核に据え、全世界の全社員による環境プロ
ジェクト
「資生堂アースケアプロジェクト」をスタートさせ
ました。2011年 4月に3年目を迎える同プロジェクトで
で商品や販促物の環境対応をルール化した
「モノづくり
エコスタンダード」および
「販促物エコスタンダード」を
制定するとともに、
オフィスでの環境対応をルール化した
「オフィスエコスタンダード」を制定し、運用しています。
また、2010 年 4月に
「環境企画部」を新設し、社内関
連部門と協働して
「資生堂アースケアプロジェクト」の目
標実現に向け、取り組みを加速しています。
社会との約束
は、人も地球も美しく共生する持続可能な社会を実現す
2008年11月、国連グローバル・コンパクトの気候変動
ることを使命として、社会的責任として当たり前に取り組
に関するイニシアチブ
「Caring for Climate」に賛同し、
むべき
「基本的環境活動」に加えて、
「美とエコをつなぐ
環境に取り組む強い意志を世界に向けて表明しました。
新しいライフスタイル」の実現をめざして
「資生堂ならで
一方、日本国内においては、2009 年 3月、化粧品業界
はの環境活動」を積極的に進めています。
で初めて環境省から
「エコ・ファースト企業」に認定され
◆ 資生堂の環境活動の全体像
ました。
「エコ・ファースト」とは、2008年 4月に環境省
が創設したもので、業界のトップランナー企業の環境保
企業理念「Our Mission, Values and Way」
全に関する行動をさらに促進していくため、環境大臣に
資生堂エコポリシー
自らの取り組みを約束する制度です。今後は、この約束
した取り組みの進捗状況を環境省へ報告することに
「人も地球も美しく共生する持続可能な
社会」の実現をめざす
使命
プロジェクト名
加え、ウェブサイトなどでも定期的に公表していきます。
「Caring for Climate」(要旨)
1.
エネルギー使用の効率性を向上させ、CO2排
全社員
全世界
で取り組む
目標
資生堂ならではの環境活動
+
基本的環境活動
地球の恵みの保全、CO2削減、省資源
資生堂ならではの
「美とエコをつなぐ
新しいライフスタイル」
を実現する
出量を削減するために実効的な行動を直ちに
とるとともに、そのために自主的な目標を設定
します。目標の達成結果についてはコミュニ
ケーション・オン・プログレス(COP)で毎年報告をします。
2.
自社の事業における気候変動の意味を十分に理解し、リスクを
最小限にし、チャンスを見出すビジネス戦略を策定するため、組
織の育成を図ります。また、自国の政府、政府間組織やNGOな
どと積極的に協働し、企業が低炭素経済の確立に効果的に貢
環境活動マネジメント体制
1992年、環境に関する経営方針として
「資生堂エコ
献できる枠組みを提供する政策や方策などの策定を積極的にサ
ポートします。
3.
国別・業界別あるいはバリューチェーンの中で、気候に対するリ
スクの削減や気候変動防止対策への支援、さらには省エネなど
ポリシー」を制定しました。その後、環境問題を取り巻く
の気候変動の防止から生まれるビジネスチャンスにつながる基準
状況の変化を踏まえ、2010 年にはライフサイクル視点
づくりや共同の取り組みなどを通じて、他社と協働します。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
41
環境負荷の低減に向けた取り組み
出権取引により目標を達成しました。海外工場につい
ては、米国工場における太陽光発電設備の二次導入な
2011年3月期の総括
低炭素社会の実現に向けて
「 2011年 3月期までに国
どにより、目標を達成しました。
資 生 堂の象 徴 的な環 境 活
動に番号をつけて整理(ナン
バリング)
し、ウェブサイトなど
で紹介しています。
内工場のCO 2 排出量を15%削減
( 1991年 3月期比、原
( 2008 年 3
単位)、海 外工場のCO 2 排出量を10%削減
http://www.shiseido.
co.jp/eco/ 月期比、原単位)」を目標に掲げ、取り組みを進めてき
ました。その結果、国内工場は国内市場動向の変化に
より、自社努力による削減は目標を下回りましたが、排
ナンバリングした取り組 み 事例
No.083 「クレ・ド・ポー ボーテ」スキンケア
リニューアルに伴う環境への取り組み
No.051 米国工場に太陽光発電設備二次導入
資生堂アメリカインコーポレーテッドの米国工場に太陽光
2011 年 1月のスキンケア商品のリニューアル時には、
「フェ
発 電 設 備を二 次 導 入し、2010 年 8月より稼 働を開 始しまし
アトレード※にて調達された香料を配合」、
「クリームに初めてレ
た。同社では、すでに2007 年 5月に一次導入として「角度固
フィルを配置」、
「商品の外箱と説明書にバガス紙(サトウキビ
定式 」の太陽光発電設備を導入しており、今回の二次導入
の搾りかすからつくられる非木材紙)を採用」などのさまざまな
では、日中の太陽の動きにあわせてパネルの角度が変化する
「太陽光追尾式」の発電設備を導入しました。一次導入と合
環境対応を行いました。
ラ・クレーム
(クリーム)
本体
わせて年 間 発 電 量は約
230万kWhとなり、同工場
の年間使用電力量の70%
以 上をカバーしCO 2排出
量を年 間 約 1,200トン削
減できる見込みです。
ラ・クレーム
(クリーム)
レフィル
No.053 中国における植林活動
「クレ・ド・ポー ボーテ」スキンケア
資生堂は、2008 年4月より10 年間の予定で、砂漠化が懸
かんしゅくしょうらんしゅうし
念される中国・甘 粛省蘭州市で植林活動を行っています。開
始から昨年までに、コノテガシワ、ハリエンジュなどを植えており、
No.071 営業車両に電気自動車導入
植林面積は約23ヘクタールに達しました。
2011 年 1月、資 生 堂 販 売(株 )の首 都 圏の営 業 拠 点に
第4回目となる2011 年4月の植林活動には、中国、日本の
電気自動車「日産リーフ」を10 台導入しました。電気自動車は
ガソリンを使用しないことから、走行時に一切 CO 2を排出せず、
大幅にCO 2排出量を削減できます。今回導入した車両には
「 Shiseido Earth Care Project 」とそのシンボルマークを
資生堂グループ社員ボランティアに加え、趣旨にご賛同いただ
いた中国のお取引先さまを含めた約60 名が参加しました。今年
は初めて桜も植え、年間で6.5ヘクタールの土地に17,800本を
植樹していきます。
車体の左右と後ろに大きく表示しています。今後は、充電設
10 年にわたる緑化活動を通じて、日中の友好関係を深め
備の整備状況などを考慮
るとともに、CO2の削
しながら、導入を検討して
減による環境保全を
いきます。
進めていきます。
※ フェアトレード(公正な貿易)
:開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、途上国の生産者や労働者の生活改善と自立をめざす取
り組み。資源の乱獲などを防ぎ、持続可能な活用をめざすことで、環境保全にも貢献します。
42 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
生物多様性の保全
今後の取り組み
今後、資生堂の環境活動は、
「 ライフサイクル全体で
の商品の環境対応」
と
「全世界でのCO 2排出量の削減」
を2つの柱として掲げ、取り組んでいきます。
「ライフサイクル全体での商品の環境対応」では、
「モ
ノづくりエコスタンダード」をベースに、調達、生産、物
流、販売、廃棄までを含めたライフサイクル全体での取
り組みを進めます。具体的には、2011年より、豊田通商
(株)を通じて南米 最大の化学メーカーであるブラス
ケン社(本社:ブラジル)よりサトウキビ由来ポリエチ
レンの調達を開始し、化粧品容器への採用をスタート
します。そのほかにも、レフィルの配置拡大やサトウキビ
資生堂では、価値づくりの源泉である
「地球の恵みの
保全
(生物多様性の保全)
」を環境活動の中核に据えて
います。すなわち事業活動のすべてのプロセスにおいて、
その大切な
「地球の恵み」を限りあるものとして認識し、
将来の世代へ受け渡すべく、厳正に取り扱っています。
に し む ろ
「資生堂
2009年には、和歌山県西牟婁郡白浜町椿の
椿の森」にヤブツバキ約3,000本を植林し、10年間にわ
たる森林保全活動をスタートしました。中国やタイでも
植林活動を行っており、国内外で
「地球の恵み」を保全
する活動を推進しています。
2011 年 6月に3 回目のボ
ランティア活動を実施し、
社員とその家族によってヤ
ブツバキの苗木の植林活
動を行いました。今 後も
「椿の森」の保全活動を続
けていきます。
の搾りかすを原料とする
「バガス紙」の商品外箱への採
用拡大など、積極的に商品の環境対応を推進します。
「全世界でのCO 2排出量の削減」については、企業の
社会的責任に基づく
「基本的な活動」として、下記の削
減目標をめざして取り組みを進めていきます。
◆ 今後のCO2削減目標
目標年度
海外
2
国内
削減
C
O
事業所
基準年度
2014年
3月期
2021年
3月期
対象
生産事業所
2010年
3月期
15%
20%
絶対量
5%
20%
14%
23%
BAU 比※
4%
11%
絶対量
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
―
2010年
3月期
※ BAU
( Business As Usual )比:特段の削減策を講じなかった場 合に想
定されるCO 2 排出量と、削減策を講じた
場合に想定されるCO 2 排出量の比較。
化学物質管理の徹底
PRTR法
(化学物質排出把握管理促進法)で義務付
◆ サトウキビ由 来ポリエチレン製 造の流れ
けられた行政報告を実施するとともに、工場や研究所な
どで原料や試薬などの化学物質の使用と廃棄の自主
砂糖
サトウキビ
砂糖を精製した
残液部(糖蜜)を
発酵
管理を徹底しています。さらに、労働安全衛生の観点か
バイオ
エタノール
搾りかす
(バガス)
→燃焼し、砂糖・エタノール生産の
製造エネルギーに
→紙(バガス紙)の原料に
砂糖
サトウキビ
由来
ポリエチレン
ら、PRTR法、労働安全衛生法などで指定された成分
を含む化学物質をお取引先さまへ提供する際には、半
製品のMSDS
(化学物質等安全データシート)発行をシ
ステム化するなどの対応を図り、お取引先さまへのMSDS
交付を徹底しています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
43
環境データ
エネルギー使用量(インプット)
と環境負荷実績
(アウト
示しています。
プット)
、2011年3月期の環境会計の集計結果についてご
今後も、環境に関する数値をできる限り
「見える化」
報告します。
していくことで、環境データを充実させるとともに、社員
各数値は、GRI「サステナビリティ・レポーティング・
の環境意識を高めることにもつなげ、さらなる環境活動
ガイドライン第3版」や環境省
「環境報告ガイドライン
の推進を図っていきます。
2007年版」などの各種ガイドラインを参考に集計・開
◆ 環境データ
指標
対象範囲
電力
(万kWh)
都市ガス
(万m3)
インプット
LPG(t)
燃料
(kl)
蒸気
(GJ)
水
(万m3)
国内
CO(
2 t)
アウトプット
SOx(t)
NOx(t)
排水
(万m3)
BOD(t)
COD(t)
廃棄物
(t)
リサイクル率
(%)
電力
(万kWh)
都市ガス
(万m3)
インプット
LPG(t)
燃料
(kl)
海外
蒸気
(t)
水
(万m3)
CO(
2 t)
アウトプット
廃棄物
(t)
リサイクル率
(%)
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
非生産事業所
生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
生産事業所
生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
非生産事業所
生産事業所
2010年
3月期
3,801
3,890
665
108
46
0
0
0
11,720
92
28,873
18,729
0
6
76
13
27
5,160
1,552
100
3,460
762
339
24
3
0
37
0
4,680
37
26,293
3,309
3,358
729
87
2011年
3月期
3,776
3,767
583
115
41
0
0
10
11,974
85
26,966
18,453
0
5
74
20
32
4,474
1,328
100
3,763
788
346
25
53
0
24
60
4,627
40
28,177
3,570
3,313
764
89
備考(目標がある指標については記載)
2011年3月期目標:1991年3月期比15%削減(原単位)
2011年3月期目標:2008年3月期比10%削減(原単位)
※ 海外非生産事業所については、主要な事業所のみ。
◆ 環境会計
1. 環境保全コスト
分類
(1)事業エリア内コスト
(1)−1公害防止コスト
内訳 (1)−2地球環境保全コスト
(1)−3資源循環コスト
(2)上・下流コスト
(3)管理活動コスト
(4)研究開発コスト
(5)社会活動コスト
(6)環境損傷対応コスト
(7)その他のコスト
合計
(単位:百万円)
主な取り組みの内容
水質汚濁、大気汚染など
省エネ推進、
オゾン層保護対策など
廃棄物処理、
リサイクル、排水再利用、
資材削減など
容器包装リサイクル法負担金支払、
グリーン購入、製品のリサイクルなど
人件費
(R&D除く)
、環境管理費用
環境対応製品の研究開発など
(人件費含む)
団体支援、環境情報公表、環境広告
など
自然修復費用など
44 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2. 環境保全効果
投資額 費用額
584
0
578
334
83
8
6
243
0
403
1
426
0
149
0
76
1
0
0
0
586 1,389
収益
(単位:百万円)
効果の内容
経済効果
主たる事業活動で生じた廃棄物の
リサイクルまたは使用済み製品など
31
のリサイクルによる事業収入
省エネルギー関連
費用節減 廃棄物関連
省資源関連
その他
合計
107
9
55
0
202
※ 環境会計の集計について
• 対象期間:2010年4月1日∼ 2011年3月31日
• 対象範囲:国内工場、海外工場、国内リサーチセンター、
本社部門
Our Wayに基づく資生堂の取り組み
社会性データ
社会活動の中の
「女性・化粧
(美容)」および
「文化」領
報、GRI ガイドライン対照表などを
「 CSR・環 境 活動
域のデータに加え、人事関連データを掲載しています。
ウェブ サイト
( http://w w w.shiseido.co.jp/corp/
なお、資生堂のCSRへの取り組みに関してステーク
csr/ )」に公開しています。今後も社会活動・人事関連
ホルダーの皆さまにご理解を深めていただけるよう、
データを充実させるとともに、ステークホルダーの皆さ
本レポートに掲載されていない項目や、より詳しい情
まにとって分かりやすい情報発信をめざしていきます。
◆ 社会活動関連データ
領域
項目
指標
資生堂ライフクオリティー
ビューティープログラム
3(4)
3(4)
対象
(注1)
設置国・地域数
(施設数)
利用者数
名
1,293
1,479
国内外
開催件数
回
2,993
3,095
国内外
参加人数
名
49,707
47,919
国内外
ビューティーボランティア※1参加人数
名
2,247
3,515
国内
受講者数(注2)
名
—
810
国内
ランニング教室開催件数
回
3
2
国内
社外講演会開催件数
回
6
2
国内
受賞者数
名
10
10
国内
件
1
2
国内
件
7
7
国内
件
4
4
国内
口
9,911
12,589
国内
化粧(美容)
資生堂子どもセミナー※2
資生堂ランニングクラブ
資生堂女性研究者サイエンスグラント
国・地域
(箇所)
資生堂企業資料館
資生堂ギャラリー
企画展開催数
資生堂アートハウス
社員の社会貢献
2011年
3月期
ライフクオリティー
ビューティーセミナー
文化
2010年
3月期
ビューティーセンター
ライフクオリティー
女性・
単位
資生堂花椿基金※3
月間賛同口数(注3)
国内外
※1 ビューティーボランティア:退職したビューティーコンサルタントによるサポート活動。
※2 資生堂子どもセミナー:肌が変わる思春期直前の子どもたちに、「肌」や 「清潔」についての情報や自分の肌の正しい手入れ法をお伝えするセミナー。
※3 資生堂花椿基金:社員が給与引きで寄付を行うとともに、支援活動としてボランティアにも参加する。現在の支援団体は8団体。
、中国(上海)
、台湾(台北・高雄)
。2011年4月に香港設置。
注:1. 日本(東京)
注:2. 対象は小学5 ~ 6年児童。
注:3. 1口:100円、3月実績。
◆ 人事関連データ
項目
単位
2010年
3月期
2011年
3月期
40,563
45,780
対象
社員数
名
平均年齢
歳
38.3
38.5
国内グループ社員
(有期契約社員除く)
平均勤続年数
年
14.9
14.8
国内グループ社員
(有期契約社員除く)
1,809.9
1,812.8
労働時間数
(1人当たりの
年間総実労働時間)
時間
国内外グループ社員
(有期契約社員含む)
国内グループ社員
(管理職・有期契約社員を除く)
備考
海外は12月末時点
年間所定労働時間
2010 年3月期:1,829.0時間
2011 年3月期:
1,844.5時間
女性社員比率
%
82.9
82.8
国内グループ社員
(有期契約社員含む)
女性リーダー比率
%
19.9
22.2
国内グループ社員
リーダーはポスト任用者を指す
定年後再雇用社員数
名
93
136
国内グループ社員
国内制度のみ集計
障がい者雇用率
%
1.83
1.83
国内グループ社員
国内制度のみ集計
介護休業取得者数
名
28
33
国内グループ社員
(有期契約社員含む)
国内制度のみ集計
介護時間取得者数
名
16
21
国内グループ社員
(有期契約社員含む)
国内制度のみ集計
育児休業取得者数
名
1,123
1,218
国内グループ社員
(有期契約社員含む)
国内制度のみ集計
短期育児休暇制度含む
育児時間取得者数
名
1,252
1,415
国内グループ社員
(有期契約社員含む)
国内制度のみ集計
カンガルースタッフ※4数
名
1,273
1,417
国内グループ社員
カンガルースタッフは国内制度
※4 カンガルースタッフ:育児時間を取得するビューティーコンサルタントが仕事を終えた後の夕刻以降、お客さまの応対や店頭での後方業務を行うスタッフ。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
45
資生堂の経営体制
後列左から、
大塚 宣夫、
高山 靖子、
原田 明夫、
米山 俊夫、
黒田 玲子、
カーステン・フィッシャー、
永井 多惠子、
岩田 彰一郎、
高森 竜臣、
上村 達男
末川 久幸、
岩田 喜美枝
前列左から、
前田 新造、
46 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
取締役・監査役および執行役員
( 2011年 6月24日現在)
取締役
代表取締役 社長
代表取締役 会長
前田 新造
末川 久幸
担 当: 取締役会議長
担 当: CEO
1970年
1996年
1997年
1997年
2000年
2001年
2003年
2003年
2005年
2011年
1982年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
入社
マーケティング本部 化粧品企画部長
国際事業本部 国際事業1部長兼マーケティング開発室長
国際事業本部 アジアパシフィック地域本部長
コスメニティー価値創造センター 海外セルフ営業部長
化粧品事業戦略本部 推販部長
経営企画室長
取締役、執行役員
代表取締役
(現任)
、執行役員社長
会長
(現任)
代表取締役 副社長
入社
事業企画部長
執行役員、経営企画部長
取締役
執行役員常務
代表取締役
(現任)
、執行役員社長
(現任)
岩田 喜美枝
カーステン・フィッシャー
取締役 専務
取締役 常務
担 当: 企業文化、宣伝制作、
ビューティークリエーション、
総務、法務、秘書担当
取締役会直轄委員会担当
担 当: グローバル事業(国際事業、中国事業、
プロフェッショナル事業)、米州担当
国際事業部長
資生堂アメリカズCorp. 会長兼CEO
担 当: 国内化粧品事業、
ヘルスケア事業、
クレ・
ド・ポー ボーテ グローバルユニッ
ト担当
国内化粧品事業部長
1971年 労働省入省
2001年 厚生労働省雇用均等・
1979年 シュワルツコフ入社
1999年 ウエラジャパン
(株)
2003年
2004年
2004年
2007年
2008年
2003年 ウエラAG エクゼクティブ・バイスプレ
1975年
2002年
2003年
2004年
2006年
2007年
2009年
2010年
児童家庭局長
当社常勤顧問
CSR部長
取締役、執行役員
執行役員常務
代表取締役
(現任)
、
執行役員副社長
(現任)
、
企業文化、
取締役会直轄
委員会担当
(現任)
2010年 宣伝制作担当(現任)
2011年 ビューティークリエーション、
総務、法務、秘書担当
(現任)
代表取締役社長
ジデント
2004年 ザ プロクター アンド ギャンブル カン
パニー コーポレート・オフィサー
プロフェッショナル・ケア・プレジデント
2006年 当社常勤顧問
2007年 執行役員常務、国際事業担当
(現任)
、
国際事業部長
(現任)
、
プロフェッショナル事業担当
(現任)
2008年 取締役(現任)、
中国事業担当
(現任)
2010年 執行役員専務(現任)
2011年 資生堂アメリカズCorp. 会長兼CEO
(現任)、米州担当(現任)
高森 竜臣
入社
海外セルフ事業部長
国際営業本部 東アジア事業部長
国際事業部 中国戦略部長
中国事業部長
執行役員
取締役
(現任)
執行役員常務
(現任)
、国内化粧品
事業、
ヘルスケア事業、
クレ・
ド・ポー
ボーテ グローバルユニット担当
(現
任)
、国内化粧品事業部長
(現任)
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
47
取締役
社外取締役
社外取締役
社外取締役
1973年 ライオン油脂(株)
(現ライオン
(株)
)
1992年 プラス
(株)営業本部アスクル事業
1960年
1990年
1993年
1995年
1997年
1995年 プラス
(株)アスクル事業部部長
1997年 アスクル
(株)代表取締役社長
2005年 日本放送協会 副会長
2009年 財団法人せたがや文化財団
1977年
1979年
1981年
1986年
1990年
1997年
2003年
2000年 アスクル
(株)CEO
(現任)
2006年 当社社外取締役(現任)、当社役員
2010年 三井化学(株)
岩田 彰一郎
入社
1986年 プラス
(株)
入社 同社商品開発本
部部長代理
推進室室長
(現任)
報酬諮問委員会委員長
(現任)
<独立役員>※1
永井 多惠子※2
日本放送協会 入局
日本放送協会 浦和放送局長
日本放送協会 解説主幹
日本放送協会 退職
世田谷コミュニティ振興交流財団 常務理事
副理事長
(現任)
社外取締役
(現任)
2011年 当社社外取締役(現任)
<独立役員>※1
上村 達男
北九州大学法学部 専任講師
北九州大学法学部 助教授
専修大学法学部 助教授
専修大学法学部 教授
立教大学法学部 教授
早稲田大学法学部 教授
(現任)
早稲田大学21世紀COE《企業法
制と法創造》総合研究所 所長
早稲田大学大学院法務研究科
教授
(現任)
2004年(株)
ジャスダック証券取引所
社外取締役
2006年 当社社外取締役(現任)、当社役員
指名諮問委員会委員長
(現任)
早稲田大学法学学術院長、
法学部長
2008年 早稲田大学グローバルCOE
《企業法制と法創造》総合研究所
所長
(現任)
<独立役員>※1
執行役員
広報、お客さま情報、環境対策、CSR 担当
風土改革担当
技術企画、品質保証、
フロンティアサイエンス事業担当
最高財務責任者
財務、
IR、情報企画担当
内部統制担当
アキレス 美知子 ※ 4
岩井 恒彦
プロフェッショナル事業部長
資生堂プロフェッショナル
(株)
代表取締役社長
化粧品研究開発、ソフト開発担当
木村 朝
食品、新成長領域研究開発、
研究管理、技術アライアンス担当
花田 浩三
中国事業部長
中国総代表
資生堂(中国)投資有限公司 菫事長
西山 聖二
西村 義典 ※ 4
宮川 勝
2011年6月24日付で退任した取締役は次の通りです。取締役執行役員専務:原田 康彦(2011年3月31日付で執行役員専務を退任)
2011年6月24日付で退任した監査役は次の通りです。監査役:大矢 和子
2011年3月31日付で退任した執行役員は次の通りです。執行役員:高橋 祥二、内田 隆文
48 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
資生堂の経営体制
監査役
監査役(常勤)
監査役(常勤)
1980年
2006年
2008年
2009年
2010年
2011年
1978年
2000年
2004年
2005年
2006年
2008年
2010年
高山 靖子※3
入社
お客さまセンター所長
コンシューマーリレーション部長
お客さま・社会リレーション部長
CSR部長
監査役
(常勤)
(現任)
米山 俊夫
入社
ファインケミカル事業部長
化粧品事業部 商品開発部長
ビューティーサイエンス研究所長
執行役員
ヘルスケア事業部長
監査役
(常勤)
(現任)
社外監査役
社外監査役
社外監査役
2001年
2005年
2005年
2005年
検事総長
当社社外監査役
(現任)
住友商事
(株)
社外監査役
(現任)
セイコーホールディングス
(株)
社外取締役
(現任)
2009年 日本郵政(株)社外取締役(現任)
1992年 東京大学教養学部化学教室教授、
1988年 医療法人社団慶成会 理事長兼院長
2007年 当社社外監査役(現任)
2010年 医療法人社団慶成会 会長(現任)
2010年(株)企業再生支援機構
<独立役員>※1
原田 明夫
社外取締役
(現任)
黒田 玲子
東京大学大学院理学系研究科
生物化学専攻教授 兼担
1996年 東京大学大学院
総合文化研究科教授
(現任)
2008年 当社社外監査役(現任)
大塚 宣夫
<独立役員>※1
<独立役員>※1
人事部長
生産、購買、ロジスティクス担当
経営企画部長
大月 重人 ※ 4
坂井 透
高重 三雄
国際営業部長
資生堂ヨーロッパ S.A.S. 取締役社長
資生堂インターナショナル
ヨーロッパ S.A. 取締役社長
資生堂ドイチュラント GmbH 取締役社長
台資商事(株)代表取締役
国内化粧品事業部マーケティング領域、
国内ノン資生堂事業担当
島谷 庸一
国内化粧品事業部営業領域担当
資生堂販売(株)代表取締役社長
(株)エフティ資生堂 代表取締役社長
矢吹 隆一
岡澤 雄
※1 東京証券取引所の有価証券上場規程第436条の2に定める独立役員
※2 新任取締役
※3 新任監査役
※4 新任執行役員
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
49
コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの基本方針
資生堂は、
「お客さま」
「
、取引先」
「
、株主」
「
、社員」
「
、社
会・地球」というすべてのステークホルダーから
「価値あ
る企業」として支持され続けるために、企業価値・株主
価値の最大化に努めるとともに、社会的な責任を果た
し、かつ持続的な成長、発展を遂げていくことが重要で
あるとの認識に立ち、コーポレートガバナンス(企業統
治)の強化に努めています。
で構成し、少人数で迅速な意思決定を行う体制としてい
ます。取締役会は最低毎月1回開催し、重要事項はすべ
て付議されています。2011年 4月より、取締役会の議長は
CEO(最高経営責任者)である執行役員社長から執行
役員を兼務しない会長に変更しており、監督と執行の分
離がなされています。なお、2011年3月期は取締役会を
15回開催し、出席率は100%でした。
また、執行役員制度を採用し、意思決定・監督を担う
取締役の機能と、業務執行を担う執行役員の機能を分
離しています。さらに、執行役員による重要案件の業務
経営・執行体制
遂行を決裁する
「経営会議」を設けることで、執行役員
当社は、業務執行に対する、取締役会による監督と監
への権限委譲を進め、経営の意思決定のスピードアップ
査役会による適法性・妥当性監査の二重のチェック機
を図っています。同会議は、CEOである執行役員社長
能を持つ監査役設置会社の体制を選択しています。
が議長を務めています。加えて、
「執行役員政策会議」
さらにグローバル企業として、高いレベルでステークホ
を年に1度開催し、当社の中長期的な戦略を討議し、そ
ルダーの信頼に応え得るコーポレートガバナンスの確立
の方向性を定めています。
と、競争に打ち勝つトップマネジメントの強化が不可欠
なお、取締役および執行役員の任期は1年としていま
と考え、
「責任体制の明確化」、
「経営の透明性・健全性
す。執行役員の在任期間の上限は、同一役位で原則4年、
の強化」、
「監督・監査機能の強化」、そして
「意思決定機
最大6年としています。
能の強化」の4つの観点でコーポレートガバナンス改革
経営に外部視点を取り入れ、業務執行に対する一層
に取り組んでいます。
の監督機能の強化を図ることを目的に、2007年3月期よ
これらの機能強化のため、監査役設置会社の体制を
り独立性の高い社外取締役を招聘しており、2011年6月
もとに各委員会の設置や執行役員制度などの委員会設
には1名増員の3名となりました。社外取締役の招聘によ
置会社の優れた機能を統合した体制としています。
り、取締役会の監督機能が強化され、取締役会におけ
当社の取締役会は、社外取締役3名を含む取締役8名
る議論もより活発化しています。なお、当社は、社外取締
◆ コーポレートガバナンス改革の変遷
経営の透明性、経営の公正性、
経営の迅速性
責任体制の明確化
2001 執行役員制度の導入
2001 取締役任期1年制の導入
2006 同一役位
在任上限期間の設定
経営の透明性・健全性の強化
2001「役員報酬諮問委員会」
の設置
2005「役員指名諮問委員会」
の設置
2006 執行役員の
降格ルールの制定
2006 在任上限年齢の引き下げ
50 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
監督・監査機能の強化
2005 社外監査役の増員
(2→3名)
2006 社外取締役の招聘
意思決定機能の強化
2001 経営会議・
執行役員政策会議の設置
2002 取締役の員数削減
資生堂の経営体制
監査体制
役3名および社外監査役3名を、東京証券取引所の有価
証券上場規程に定める独立役員に指定しています。
資生堂の監査役会は、常勤の監査役2名と、独立性の
加えて、女性、外国人、資生堂以外でキャリアを積ん
高い非常勤の社外監査役3名で構成されています。監査
できた人材を取締役に登用するなどダイバーシティ
(多
役は、取締役会その他重要な会議への出席などを通じ、
様性)も積極的に進め、幅広い視野・高い見識による意
取締役会の業務執行の適法性だけではなく、妥当性に
思決定・監 督機 能の強化につなげています。2012年
ついても監査を実施しています。
(女性)、執行役
3月期には、新たに社外から取締役1名
代表取締役と監査役は、定期的な意見交換会を開催
(うち女性1名)を迎えました。取締役と監査役合
員2名
し、コーポレートガバナンスについての課題解決に結び
計13名のうち資生堂以外でキャリアを積んできた人材は
付けています。また、監査役と会計監査人および内部監
( 62%)で、女性は4名
( 31%)、外国人は1名
( 8%)と
8名
経営の透明性、経営の公正性、
経営の迅速性
査部門との間で連絡会を開催するほか、
監査役専従ス
なりました。
責任体制の明確化
経営の透明性・健全性の強化
2006年6月25日開催の第106回定時株主総会にて、
タッフを配置するなど、
監督・監査機能の強化 監査役の監査が実効的に行われ
意思決定機能の強化
2001 執行役員制度の導入
2001「役員報酬諮問委員会」
るための体制を整備しています。
なお、
社外監査役の増員
・2011年 3月期は
2005
2001 経営会議
2006 同一役位
2005「役員指名諮問委員会」
監 査役会を
査役の出席率は
14回開催し、監2002
社外取締役の招聘
取締役の員数削減 78.5%で
2006
「当社株式の大量取得行為に対する対応策」
の設置 (買収防衛
2001 取締役任期1年制の導入
(2→3名)
策)が決議され導入されましたが、
その後の法制度の整
の設置
在任上限期間の設定
執行役員政策会議の設置
あった1名を除き、100%でした。また、取締役会への監
2006 執行役員の
備を踏まえ、
2008年 4月30日開催の取締役会において
降格ルールの制定
査役の出席率は80%であった1名を除き、
100%でした。
2006 在任上限年齢の引き下げ
買収防衛策を継続しないことを決議し、
第108回定時株
グループ全体の内部監査では、業務の適正性を監査
主総会にてその根拠定款の削除が決議されました。3カ
し、その結果を取締役会および監査役会に報告してい
年計画を着実に実行していくことが、グローバル市場に
ます。
おける競争力と持続的成長性を高め、企業価値の最大
当社は、いわゆる三様監査
(内部監査、監査役監査お
化、ひいては株主共同の利益の確保・向上につながるも
よび会計士監査)を採用しています。監査の有効性と効
のと考えます。
率性の向上を図るため、それぞれの間で定期的な連絡
会を開催して監査計画・結果の報告、意見交換などの相
互連携の強化に努めています。
◆ 資生堂の経営・業務執行体制
株主総会
選解任
会計監査人
法令上の総会決議事項
選解任
監査
監査
取締役会
(取締役会諮問委員会)
選解任
監査役会
(取締役会直轄委員会)
役員報酬諮問委員会
報告
役員指名諮問委員会
CSR委員会
監督
経営会議
法令上および経営上の重要事項の提案
決裁・承認
提案
執行役員政策会議
決裁・承認
担当執行役員意思決定会議
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
51
委員会
◆ 各委員会メンバー
当社は、経営の透明性・客観性を高める観点から、取
締役会の諮問機関として、役員報酬制度、役員業績評
価などを答申する
「役員報酬諮問委員会」と、取締役・
執行役員候補の選抜、役員の昇降格などを答申する
「役
員指名諮問委員会」を設置しています。いずれの委員会
も社外取締役を委員長とし、客観性を確保しています。
また、取締役会直轄委員会については、2011年 4月
「CSR委員会」と
「コンプライアンス委員会」を
「CSR
1日に
委員会」に統合しました。これにより、これまで以上に社
会からの要請に対して一元的な視点で課題を抽出し、適
切な対策を推進していきます。
「CSR委員会」は、当社グループが社会的責任を果た
すために求められるすべての領域を対象にしています。
社会からの要請事項や期待内容を把握し、CSR活動の
方向性を検討するとともに、経営戦略上および業務運営
上のリスクを把握・評 価し、必要な対 策を講じます。
CSR委員会は副社長を委員長とし、社内から横断的に
役員報酬諮問委員会
〔委員長〕社外取締役
〔委 員〕代表取締役
代表取締役
代表取締役
社外取締役
社外取締役
会長
執行役員社長
執行役員副社長
役員指名諮問委員会
〔委員長〕社外取締役
〔委 員〕代表取締役
代表取締役
代表取締役
社外取締役
社外取締役
会長
執行役員社長
執行役員副社長
岩田 彰一郎
前田 新造
末川 久幸
岩田 喜美枝
永井 多惠子
上村 達男
上村 達男
前田 新造
末川 久幸
岩田 喜美枝
岩田 彰一郎
永井 多惠子
CSR委員会
〔委員長〕代表取締役
〔委 員〕取締役
取締役
執行役員
執行役員副社長
岩田 喜美枝
執行役員専務
カーステン・フィッシャー
執行役員常務
高森 竜臣
広報、お客さま情報、環境対策、
CSR担当、風土改革担当
アキレス 美知子
執行役員
技術企画、品質保証、
フロンティアサイエンス事業担当 岩井 恒彦
執行役員
人事部長
大月 重人
執行役員
経営企画部長
高重 三雄
資生堂労働組合 中央執行委員長
赤塚 一
社外委員
アテナ法律事務所 弁護士 林 陽子氏
大和証券グループ本社
広報部CSR担当部長
河口 真理子氏
永井 多惠子
〔オブザーバー〕 社外取締役
監査役(常勤)
高山 靖子
監査役(常勤)
米山 俊夫
役員報酬
委員を選定するとともに、社外有識者を委員に加えて
取締役と執行役員の報酬は、固定報酬である基本報
運営し、活動計画や活動結果を取締役会に提案・報告
酬と、業績目標の達成度や株価によって変動する業績
しています。
連動報酬から構成されています。社外取締役を除く取
締役については、執行役員としての役位が上位の者ほど
� 資生堂のCSR領域の概要
◆ 資生堂のCSR領域概要
新しい価値の提示
市場創造
社会貢献活動
(メセナ活動含む)
業績連動報酬の割合を高く設計しており、平均では、3
カ年計画および各期の業績目標の達成度が100%の場
資生堂
ならではの
CSR
企業価値を
高める活動
合に固定報酬の比率が40%程度、業績連動報酬の比率
が60%程度となるように設計しています。
業績連動報酬は、毎年の連結業績に応じて支給され
環境
る短期インセンティブ報酬としての
「賞与」
、3カ年計画最
情報開示・人権擁護・個人情報保護
終年度終了後に3カ年計画の目標達成度に応じて支給
法令遵守
商品・サービスの提供、取引先とのパートナーシップ、
基本的CSR
リスクを最小にし、
企業価値を守る
活動
利益と配当、納税、社員重視、雇用機会提供
企業の存続
資生堂グループでは、企業の社会的責任として必ず取り組む「基本的CSR」
と、企業価値を高める活動である「資生堂ならではのCSR」を定め、双方を
積極的に推進しています。
52 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
する
「中期インセンティブ型報酬」としての金銭報酬、株
主との利益意識の共有を主眼とした
「長期インセンティブ
型報酬」としての株式報酬型ストックオプションで構成
されています。この業績連動報酬は、取締役に単年度だ
けではなく中長期的な視野を持って、業績や株価を意識
資生堂の経営体制
経営の透明性、経営の公正性、経営
責任体制の明確化
2001 執行役員制度の導入
2001「役員報酬諮問委員会」
の設置
「役員指名諮問委員会」
2005
2006 ②
同一役位
当社取締役1名に対して、当該取締役が 取締役を兼務しない執
の設置 ( 2008 年 3月期まで
在任上限期間の設定
行役員の地位にあった期間の業績連動報酬
2001 取締役任期1年制の導入
した経営を動機付けることを意図した設計としています。
独立した立場での監督機能が重視されることから、固定
は、監査という機能の性格から、業績への連動性を排除
し、固定の基本報酬のみとしています。
6. 取締役全員および監査役全員について上記の役員報酬(注:1 ~ 5に
記載したものを含む)以外の報酬の支払いはありません。
取締役と監査役の基本報酬は株主総会で決議され
◆ 代表取締役および報酬等の総額が1億円以上である
取締役の2011年 3月期に係る報酬等の種類別の総額
ティブの金銭報酬、長期インセンティブのストックオプ
基本報酬
ションとともに、都度、株主総会に諮っています。
◆ 取締役および監査役の2011年 3月期に係る報酬等の総額
基本報酬
取締役(10 名)
百万円
百万円
長期
中期
インセンティブ
インセンティブ
(ストック (3カ年分)
オプション)
百万円
百万円
合計
百万円
120 283
104
うち社外取締役
(2名)
26 — —
—
26
監査役(6 名)
96 — —
—
96
—
36
104
891
うち社外監査役
(3 名)
合計
287 賞与
36 — —
383 120 283
795
百万円
賞与
百万円
長期
中期
インセンティブ
インセンティブ
(ストック (3カ年分)
オプション)
百万円
合計
百万円
百万円
代表取締役
前田新造
49 28 —
25
代表取締役
岩田喜美枝
37 15 —
16
選解任
取締役
カーステン・フィッシャー
会計監査人
103
69
株主総会
法令上の総会決議事項
283 26 443
82 監査
51 役員指名諮問委員会
が取締役を兼務しない執行役員の地位にあったときに付与されたス
トックオプションの当期費用計上額1百万円があります。また、同取
締役が取締役を兼務しない執行役員の地位にあった期間の業績連
決裁・承認
年 3月期までの3カ年計画に連動)として、38百万円を
動報酬
(2008法令上および経営上の重要事項の提案
2011年 3月期に支払っています。
4. 上記 3 名の取締役について上記(注:1 ~ 3に記載したものを含む)以
① 退任取締役 2名の報酬
2010年 6月25日開催の第110回定時株主総会終結のときをもっ
て退任した取 締役 2名に対する2010年 4月から6月までの基 本報
酬13百万円およびストックオプションの当期費用計上額 8百万円
提案
◆ 前3カ年計画期間中の社外取締役を除く取締役の報酬の
種類別割合
外の報酬はありません。
ています。
② 退任監査役1名の報酬
2010年 6月25日開催の第110回定時株主総会終結のときをもっ
て退任した監査役1名に対する2010年 4月から6月までの基本報酬
7百万円
① 当社取締役 3 名に対して、当該取締役が 取締役を兼務しない執
行役員の地位にあったときに付与されたストックオプションの当
期費用計上額 6百万円
経営会
3. 中期インセンティブ型報酬については、上記「取締役および監査役の
担当執行役員意思決定会議
2011年 3月期に係る報酬等の総額」の注:4の通りです。
3. 上記支給額には、以下の取締役および監査役の報酬等の額が含まれ
5. 上記支給額のほか、以下の報酬等があります。
監督
2. 取締役カーステン・フィッシャーには、上記支給額のほか、同取締役
2. 当期に2010 年 3月期分の取締役の賞与として、社外取締役を除く取
(第110 回定時株主総会
締役8名に対して142百万円を支払いました
(2010 年6月25日)決議に基づく支払い)。
ており、当期の同指標が支給基準に達しなかったため、本報酬の支
給はありません。また、社外取締役には本報酬の支給はありません。
取締役カーステン・フィッシャーの本報酬は、2008 年 4月から当期末
までの同氏の担当事業の3カ年累計の事業売上と事業利益の目標
達成率を算定基準としていました。当期は、当該 3カ年の業績が確定
して、事業売上・事業利益ともに支給基準に達しました。これにより、
報酬の見込みの額が明らかとなったため、上記表中に記載していま
す。表中の金額は当該 3カ年に係る報酬です。
選解任
取締役会
注: 1. 当期に2010 年 3月期分の上記3名の取締役の賞与として、代表取締
役(取締役会諮問委員会)
前田 新 造に対して35 百 万円、代 表 取 締 役 岩田喜 美 枝に対して
百万円、取 締役カーステン・フィッシャーに対して50百万円を支
18役員報酬諮問委員会
払いました
(第110 回定時株 主総会( 2010 年6月25日)決議に基づ
報告
く支払い)。
注:1. 取締役の基 本報酬は、第 89 回定時株主総会( 1989 年6月29日)決
議による報酬限度額月額 30百万円以内です。また、監査役の基本報
酬は、第105回定時株主総会( 2005 年6月29日)決議による報酬限
度額月額10百万円以内です。
4. 取 締 役の 中 期インセンティブ 型 報 酬 は、第108 回 定 時 株 主 総 会
( 2008 年 6月25日)決議によるものです。取 締役カーステン・フィッ
シャーを除く取締役の本報酬は、当期までの3カ年計画での目標で
あった連結売上高営業利益率10%の目標達成状況を算定基準とし
(2→3
2006 社外取
④ 2010 年 6月25日開催の第110 回定時株主総会終結のときをもっ
て退任した取締役1名に対して役員退職慰労金打ち切り支給額
23百万円(2004 年 6月29日開催の第104回定時株主総会におけ
る役員退職慰労金制度廃止に伴う打ち切り支給の決議に基づく
支払い)
の基本報酬のみとしています。監査役の報酬について
績連動報酬は、短期インセンティブの賞与、中期インセン
2005 社外監
の3カ年計画に連動)として、当期に支払った38百万円
2006 執行役員の
降格ルールの制定
③
2010 年 3月31日まで当社の子会社の取締役を兼務していた当社
取締役 2名に対し、当該子会社 2社が2010 年 3月期分の賞与とし
2006 在任上限年齢の引き下げ
て支払った9百万円
なお、社外取締役の報酬については、業務執行から
た月額報酬枠の範囲内で支払われており、取締役の業
監督・
経営の透明性・健全性の強化
業績連動報酬部分
固定報酬部分
百万円
799
46.4%
0
20
百万円
308
17.9%
40
60
百万円
283
16.5%
80
基本報酬 賞与 中期インセンティブ
長期インセンティブ
(ストックオプション)
百万円
332
19.3%
100
(%)
注: 1. 2009 年 3月期の賞与について、当社の連結業績のみを算定基準とし
ている代 表 取 締 役 2名への支 給 がなかったことや、取 締 役カース
テン・フィッシャーを除く取締役の中期インセンティブ型報酬の支給
がなかったことなどから業績連動報酬のウエートが低下し、上記の比
率となりました。
2. 子 会 社の取 締 役を兼 務する取 締 役の 子 会 社からの報 酬を含んで
おり、長期インセンティブとしての株式報酬型ストックオプションは
当3カ年に係る取締役の報酬のみを算入しています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
53
コンプライアンス
当社は、2011年 4月、新たなグループ企業理念
「 Our
Mission, Values and Way」を制定しました。グループ
共通の企業使命・事業領域であり、普遍の存在意義とし
て定めた
「Our Mission」を実現するために、グループで
働く一人ひとりが共有すべき心構え
「Our Values」と、よ
り高い倫理基準をもって業務に取り組むための行動基
準
「 Our Way」を制定し、適法かつ公正な企業活動の
推進に努めています。
取締役会直轄の
「CSR委員会」においては、
「グループ
全体の適法かつ公正な企業活動の推進」や
「リスク対
策」など、企業品質向上に向けた活動を統括し、活動計
画や活動結果を取締役会に提案・報告しています。
また、
「Our Mission」、
「Our Values」、
「Our Way」
の浸透・定着を担う各事業所の責任者が企業倫理活動
を推進し、問題発生の未然防止および早期発見・解決
を図っているほか、グループにおける法令・定款・諸規
個人投資家に対しては、年2回、社長による個人投資
家説明会を実施し、プレゼンテーションと質疑応答の様
子を動画にて当社ウェブサイトで公開しています。また、
「株主・投
半期に1度、主に個人株主向けに発行している
資家のみなさまへ」において株主アンケートを実施して
おり、開示資料の改善などに役立てています。
当社では、投資家の声を収集し、経営に反映する仕組
みを設けています。株主・投資家との対話を通じて得られ
た意見はIR担当よりさまざまな形で社内にフィードバック
され、経営の改善に役立てられています。具体的には、経
営陣に対して
「投資家の声」の分析と、そこから導き出さ
れる経営課題について適宜報告しているほか、四半期に
「IRレポート」をイント
1度、証券アナリストの声をまとめた
ラネットに掲載しています。加えて、投資家が資生堂をど
のように評価しているかを社員に伝える
「インナーコミュ
ニケーション」を実施しています。
◆ IR活動実績一覧
定に違反する行為などを早期に発見して是正することを
活動
目的に、社外弁護士を含めた複数の報告・相談窓口を
設置しています。加えて、グループ全体の内部監査を実
個人投資家向け活動
・代表取締役社長による説明会を年2回
開催
・その模様を当社ウェブサイトで配信
アナリスト・機関投資家向け
活動
・決算説明会を本決算および第 2 四半
(第1・第
期決算発表時の年2回開催。
3四半期発表時にはテレフォンカンファ
レンスを実施)
・当社での個別訪問への応対
・欧米・アジアの投資家を個別訪問
施し、業務の適正性を監査し、内部監査の結果は取締
役および監査役に報告しています。
株主・投資家との対話
当社は、適時適切な情報開示に努めているほか、株
主・投資家との対話を重視しており、対話を通じて、株
主・投資家への説明責任を果たすとともに、その声を経
IR資料
ウェブサイト掲載
営に反映し、企業価値の向上を図っています。
機関投資家に対しては、年2回の社長による決算説明
会(第2・第4四半期)のほか、IR担当によるテレフォン
カンファレンス
(第1・第3四半期)を実施しています。また
社長、CFO
(最高財務責任者)
、IR担当による国内外の
投資家への訪問、個別取材への対応などを実施し、2011
年3月期のミーティング回数は500回を超えています。
54 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
詳細
その他
・株主総会招集通知
・有価証券報告書(四半期報告書)
・コーポレートガバナンス報告書
・適時開示資料
・適時開示に係る宣誓書
・決算説明会の説明内容
・決算短信
・アニュアルレポート
・
『株主・投資家のみなさまへ』
(株主向け冊子)
・経営陣に対する投資家の声の分析・
経営課題の報告や証券アナリストの
声をまとめた
「 IRレポート」のイントラネッ
トへの掲載
・投資家が資生堂をどのように評価して
いるかを社員に伝える
「インナーコミュ
を実施
ニケーション」
資生堂の経営体制
リスクマネジメント
リスクマネジメントの基本方針と事業継続
に対する考え方
「同計画Ⅱ」を策定・運用してきましたが、2011年2月に
は、①各部門の業務の流れと会社全体の動きをわかり
資生堂のリスクマネジメントは、
「 社員と家族の安全
確保」を第一義とし、
「 会社資産の保全」と
「業務の継
続」を行いつつ、
「 ステークホルダーからの信頼を確保
する」ことを基本方針としています。この方針に基づき、
リスクが発生したときには、迅速に対応し影響を最小
化するのはもちろんのこと、社会的損失を極力出さず、
社会に貢献できる責任ある行動をとることが企業価値
やすく俯瞰する、②具体的な業務手順と担当を明確にす
る、③さまざまなリスクへの汎用性を担保する、といった
ことを目的に
「事業継続計画Ⅲ」を策定しました。この計
画は2011年3月に発生した東日本大震災の際にも大きな
力を発揮しました。
潜在するリスクの検証
そのものを高めると考えています。推進体制としては、
資生堂では、事業継続に向けてリスクの予防が重要
取締役会直轄委員会の
「 CSR委員会」において、企業
と認識し、潜在するリスクの検証を重点的に実施して
活動に関わるあらゆるリスクとコンプライアンスを統括
います。将来にわたる社会環境の予測や国際情勢、国
し、リスクを未然に防ぐための諸施策を推進していま
内外における条約・法律の改正といった対応課題も見
す。また、リスク発生時には事案の重大性によって「対
落とすことがないよう、
「 社会から要請されていること」、
策本部」、
「 対策プロジェクト」、
「 対策チーム」といった
「資生堂が対応していない
(できていない)こと」、
「資
レベル別組織で対応することとしています。
生堂として対応すべきこと」といった3つの視点からリ
こうした中、2004年から事業継続計画
( BCP)サイク
スクを抽 出した 上で、取り組む べき活 動
( CSRアク
ルの運用体制を確立するため、
「事業継続計画Ⅰ」および
ション)を決定しています。
◆ CSRアクションの流れ
【本社関係部門】
CSR状況調査
【国内外関係会社】
CSRセルフアセスメントシート
1.
「企業の社会的責任項目」の棚卸しと優先順位付け
2.社内調査の実施
ISO26000の中核課題に沿って社内調査を実施
項目を
絞り込み
2.社内調査の実施
会社経営に必要な項目に対する社内調査を実施
報告
報告
3.取りまとめと課題抽出
フィードバック
フィードバック
4.全体結果のフィードバック
4.全体結果のフィードバック
資生堂グループ全体結果および
関係会社全体結果をフィードバック
資生堂グループ全体結果と各社の結果を
個別にフィードバック
5.対策立案状況・推進状況の確認
報告
報告
CSR委員会
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
55
具体的には
「Our Way」
、
GRIガイドラインやISO26000
さらに、2011年 4月からは国内外 関係 会 社を対 象
の項目に沿って、SRI
(社会的責任投資)機関やCSR関
に、CSRアクションと同様の項目に沿ったセルフアセス
連調査機関から資生堂に寄せられるすべてのアンケート
メントを実施し、資生堂グループ全体として潜在的なリ
内容などを、コーポレートガバナンス、人権、労働慣行、
スクを抽出できる体制を整えました。今後も、常に社会
環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの
からの視点と事業への影響度を見極め、迅速に適切な
参画およびコミュニティの発展などの領域で分類。さら
対応に努めていきます。
に領域ごとにより詳細な項目を設定し、それぞれの項目
に対して
「基本計画があるか
( Plan)
」
、
「 実行の仕組み
があるか
(Do)
」
、
「評価・検証が行われているか
(Check
& Action)」の観点から精査し、取り組むべき活動の洗
い出しを実施しています。抽出した課題については、
「事
業への影響度」と
「社会的注目度」の2つの軸で評価し、
優先順位付けを行っています。
これを資生堂ではリスクマップとして活用し、抽出結
果はCSR委員会に報告するとともに、対応担当部門に
フィードバックし、速やかに計画立案・実行に結び付け
ることとしています。上記の過程を経て、これまでCSR
委員会で検討してきた主な内容には、
「 生物多様性へ
の取り組み」、
「 安全性への関心の高まりに対する取り
組み」、
「 開発途上国における女性の活躍支援」、
「 事業
継続計画の策定と運営体制の維持」といったものがあ
げられます。
◆ 項目別検証シート
リスク項目ごとにシートを作成し、あらゆる視点で精査。
56 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
具体的な対策事例
商品における健康と環境への配慮
2002年のヨハネスブルグサミットにおいて、
「2020年
までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境へ
の悪影響の最小化をめざす」という国際合意が採択さ
れました。資生堂はこれを念頭に、国内外の法規動向
や化学物質に関する安全性の情報を収集し、最新の科
学的知見に基づいた評価の上、人体や環境に悪影響を
及ぼす商品の販売は行わないことを基本的な考え方と
しています。
例えば、EU域内に輸出する、化粧品や容器など化粧
品に関するすべての化学 物質が
「欧州REACH規 則」
( 2007年 6月施行)の規制対象となっており、当該規則
で定められた手続きでの登録が必要となります。資生堂
◆ リスクマップ
影響度:大
社会的注目度:小
影響度:大
社会的注目度:中
影響度:大
社会的注目度:大
影響度:中
社会的注目度:小
影響度:中
社会的注目度:中
影響度:中
社会的注目度:大
影響度:小
社会的注目度:小
影響度:小
社会的注目度:中
影響度:小
社会的注目度:大
「事業への影響度」と「社会的注目度」の2つの軸でリスク項目をマッピング
し、取り組むべき活動の優先順位付けを行います。
資生堂の経営体制
では、登録すべき全物質の把握はもちろんのこと、人体
東日本大震災被災地への対応
や環境への影響が懸念され情報提供の義務付けがあ
2011年 3月に発生した東日本大震災では、当社事業
るSVHC と呼ばれる物質についても、商品や容器など
所、お得意先さま・お取引先さまが建物損壊などの被
に0.1%以上含まれていないことを確認しています。
害を受けました。資生堂では、前述の
「事業継続計画
※ SVHC:Substances of Very High Concern
(高懸念物質)
Ⅲ」に基づき、地震発生直後に、緊急対策本部を本社
※
内に立ちあげ、被害状況の把握と商品の継続供給に向
動物実験廃止に向けた取り組み
現在、資生堂では化粧品開発において、化粧品その
ものを使った動物実験を行っていません。原料について
も、各国法規で定められていたり、動物実験の代替法
の選択肢が全くないなど、商品の安全保証上やむをえ
ない場合を除いて、動物実験を行わないことを基本的
な考え方としています。動物実験廃止への取り組みに最
も先進的であり、2013年の全面廃止をめざしているEU
の化粧品指令を視野に入れながら、動物実験の廃止を
めざしていきます。2011年3月、お客さまに安心して化粧
品をお使いいただけるよう安全性を厳格に守りながら、
動物愛護の観点から自社における動物実験を廃止しま
した。今後は、日本化粧品工業連合会や欧州代替法検
証センターなど、国内外の業界団体および代替法検証
機関との連携により代替法の開発を推進し、いち早い
廃止の実現に努めます。また、これまで、有識者、学術
関係者、動物愛護団体の方々と意見交換や議論を重ね
てきましたが、今後もこうしたステークホルダーの皆さま
との協働活動をさらに進めていきたいと考えています。
けた体制を構築するとともに、被災地への支援活動を
行いました。
震災直後に義援金1億円と、被災地域から要望の高
(水のいらない
かった
「フレッシィ ドライシャンプー」
シャンプー)など当社商品20万個以上を支援物資として
無償提供しました。その後、被災地からの化粧をしたい
という要望に応え、
化粧水などの基礎化粧品、
メーキャッ
プ商品などの詰め合わせ3万セットを避難所にお届けし
ました。また、社会活動の支援を目的とする
「花椿基金」
を通じた国内社員などからの自発的な寄付や、海外の資
生堂グループ各社やその社員からの寄付も行いました。
生産活動への影響については、久喜工場で生産設備
の一部が損壊しましたが、2週間後には復旧し生産を再
開しました。電力不足の問題に対しては、工場稼働日・時
間の変更や他工場への代替生産をすることで対応して
います。また、原材料を調達しているお取引先さまの被
災により、一部の原材料の調達に影響が出ていますが、
調達先の復旧や代替調達により対応を進めています。
◆ 緊急対策本部体制図
本部長
営業部門緊急対策本部長
[代表取締役社長]
商品供給継続会議
(事業再開支援活動)
[生産・購買・ロジスティクス
担当役員]
副本部長
[代表取締役副社長]
(CSR委員会委員長)
人事班
営業推進部
事務局(CSR部)
[CSR担当執行役員]
メンバー
情報通信班
〔営業部門担当執行役員〕
設備物資班
エリア対策本部長
CSR委員会委員
リード部門担当執行役員、関連部門長
財務班
コミュニケーション
班
地域支援班
各営業部
各営業部
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
57
主要関係会社
( 2011 年 3月31日現在)
会社名
資生堂販売
(株)
資生堂フィティット
(株)
住所
東京都
港区
東京都
中央区
資本金または出資金
(株)
資生堂インターナショナル
東京都
(株)
ザ・ギンザ
東京都
(株)
エフティ資生堂
東京都
資生堂薬品
(株)
中央区
中央区
中央区
東京都
中央区
百万円
10
30
百万円
100
百万円
100
百万円
403,070
アメリカ
28,000
アメリカ
米ドル
アメリカ
0.01
アメリカ
25,000
資生堂インターナショナルヨーロッパ S.A.
フランス
256,133
資生堂インターナショナルフランス S.A.S.
フランス
36,295
ドイツ
5,200
資生堂コスメティチ
(イタリア)
S.p.A.
イタリア
2,400
資生堂ヨーロッパ S.A.S.
フランス
9,000
ボーテ・プレステージ・インターナショナル S.A.
フランス
17,760
ラボラトワール デクレオール S.A.S.
フランス
19,374
資生堂
(中国)
投資有限公司
中国
565,093
上海卓多姿中信化粧品有限公司
中国
418,271
資生堂麗源化粧品有限公司
中国
94,300
資生堂香港有限公司
中国
123,000
台湾資生堂股份有限公司
台湾
資生堂プロフェッショナル
(株)
東京都
百万円
資生堂美容室
(株)
東京都
百万円
(株)
資生堂パーラー
東京都
100
100
資生堂アメリカ Inc.
アメリカ
デラウェア
ニューヨーク
ブラッシュホールディングス LLC
デラウェア
ベアエッセンシャル Inc.
デラウェア
ゾートスインターナショナル Inc.
コネチカット
資生堂ドイチュラント GmbH
匿名組合セラン注2
その他連結子会社68社
(持分法適用関連会社)
3社
パリ
パリ
デュッセルドルフ
ミラノ
パリ
パリ
パリ
上海
上海
北京
香港
台北
中央区
中央区
中央区
国内化粧品事業
100
百万円
千米ドル
100.0
98.2
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100
(100.0)
100.0
(100.0)
米ドル
100.0
(100.0)
千米ドル
100.0
千ユーロ
千ユーロ
千ユーロ
千ユーロ
グローバル事業
千ユーロ
千ユーロ
100.0
(100.0)
100.0
(100.0)
100.0
(100.0)
100.0
(100.0)
100.0
(100.0)
100.0
(100.0)
100.0
千中国元
92.6
(72.6)
千中国元
65.0
(33.0)
千中国元
100.0
千香港ドル
1,154,588
51.0
千ニュー台湾ドル
250
100.0
100.0
99.3
百万円
東京都
11,600
—
—
—
—
—
—
—
—
千代田区
その他
百万円
注: 1. 主要な事業の内容欄には、事業の種類別セグメントの名称を記載しています。
2. 持分は100 分の50 以下ですが、実質的に支配しているため子会社としたものです。
3. 議決権の所有割合の( ) 内は、間接所有割合で内数、
[ ]内は、緊密な者または同意している者の所有割合で外数です。
58 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
100.0
(100.0)
千米ドル
千ユーロ
議決権の所有割合注3( % )
100.0
百万円
資生堂アメリカズ Corp.
主要な事業内容注1
100
—
[ 100.0 ]
財務セクション
6年間の財務サマリー
60
経営の概況
61
連結財務諸表
76
連結貸借対照表
連結損益計算書
連結包括利益計算書
連結株主資本等変動計算書
連結キャッシュ・フロー計算書
連結財務諸表に対する注記
82
1. 連結財務諸表作成の基準
2. 重要な会計方針
3. キャッシュ・フロー情報
4. 金融商品
5. 有価証券
6. たな卸資産
7. 短期債務および長期債務
8. 退職給付引当金
9. 法人税等
10. 偶発債務
11. 純資産
12. ストック・オプション
13. 研究開発費
14. 関連当事者
15. リース取引
16. デリバティブ取引関係
17. 減損損失
18. 構造改革費用
19. 災害による損失
20. セグメント情報
21. 企業結合
22. 後発事象
独立監査人の監査報告書(訳文)
103
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
59
6 年間の財務サマリー
株式会社資生堂および連結子会社
2006 年 3月期~2011年 3月期
百万円
千米ドル(注1)
(1株当たり情報を除く)
2006
2007
2008
(1株当たり情報を除く)
2009
2010
2011
2011
経営成績
売上高
¥670,957 ¥694,594 ¥723,485 ¥690,256 ¥644,201 ¥670,701 $8,066,158
売上原価
176,884 185,533 186,466 171,752 160,166 168,692 2,028,768
販売費および一般管理費
455,194 459,056 473,554 468,590 433,684 457,551 5,502,718
営業利益
38,879 50,005 63,465 49,914 50,351 44,458 534,672
EBITDA(注2)
58,963 78,036 94,960 70,149 75,699 65,576 788,647
当期純利益
14,436 25,293 35,460 19,373 33,671 12,791 153,830
財政状態
(会計年度末)
総資産
¥671,842 ¥739,833 ¥675,864 ¥606,569 ¥775,446 ¥740,184 $8,901,792
短期借入債務(注3)
12,786 66,144 38,653 27,601 112,693 長期債務
69,492 61,694 24,566 34,452 101,754 181,156 2,178,665
有利子負債
82,278 127,838 63,219 62,053 214,447 197,518 2,375,442
純資産
387,613 403,797 399,739 351,951 365,208 321,191 3,862,790
当期純利益(注4)
¥ 34.4 ¥ 60.9 ¥ 86.1 ¥ 48.0 ¥ 84.6 ¥ 32.1 $0.39
純資産(注4)
906.1 940.8 946.2 839.9 875.7 774.8 9.32
配当金
30.0 32.0 34.0 50.0 50.0 50.0 0.60
期中平均株式数
(千株)
412,855 412,572 407,696 403,240 397,886 397,864 5.8 7.2 8.8 7.2 7.8 6.6
ROA(総資産当期純利益率)
(%)
2.1 3.6 5.0 3.0 4.9 1.7 事業ROA
(注5) (総資産事業利益率)
(%)
5.9 7.4 9.4 8.2 7.5 6.1 16,362 196,777
ドル)
1株当たり情報(円、
財務指標
売上高営業利益率
(%)
ROE(自己資本利益率)
(%)
3.9 6.6 9.2 5.4 9.8 3.9 自己資本比率
(%)
55.7 52.5 56.6 55.6 44.9 41.7 8.6 30.6 39.1 23.6 45.4 32.8 17.5 24.0 13.7 15.0 37.0 38.1 (注6)
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(倍)
(注7)
有利子負債比率
(%)
連結配当性向
(%)
87.2 52.6 39.5 104.1 59.1 155.5 (注8)
期末従業員数
(名)
25,781 27,460 28,793 28,810 28,968 31,310 従業員1人当たり売上高
¥26.0 ¥25.3 ¥25.1 ¥24.0 ¥22.2 ¥21.4 注: 1. 米ドル表示は便宜上のものであり、2011年3月31日の1米ドル=83.15円で換算しています。
2. EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)
=税金等調整前当期純利益
(損失)
+支払利息+減価償却費
3. 短期借入債務=短期債務+1年以内に返済期限の到来する長期債務
4. 1株当たり当期純利益は期中平均株式数に基づき、1株当たり純資産は期末株式数に基づき計算しています。
なお、1株当たり当期純利益は、潜在株式調整前数値に基づいて計算しています。
5. 事業ROA=
(営業利益+受取利息および受取配当金)
÷総資産
(期中平均)
6. インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業活動によるキャッシュ・フロー÷利払い* * 連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」
7. 有利子負債比率=有利子負債÷投下資本* *投下資本=有利子負債+純資産
8. 期末従業員数は臨時従業員を含みません。
60 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
$257
経営の概況
経 営成 績
営業概況
44,458百万円となりました。
当期純利益は、見本品・販促物の資産計上範囲の見積
2011年 3月期(当期)の化粧品市場の状況は、欧米は引
変更による影響や投資有価証券の減損処理に加え、東日
き続き回復基調であったことに加え、中国や新興国の市場
本大震災に伴う損失などのその他の損益を計上したことな
は継続して拡大したことにより、海外ではプラス成長を持続
どにより、
前期比62.0%減益の12,791百万円となりました。
しました。一方国内では、一時夏場には明るい兆しが見えた
当期までの前 3カ年計画では、目標達成の指標として、売
時期があったものの、全体としては消費マインドの回復感が
上高営業利益率、ROE(自己資本 利益率)および海 外売
乏しいまま低調に推移し、縮小傾向が 続きました。さらに
上高比率をあげてきましたが、2008 年秋のリーマンショッ
2011年 3月には東日本大震災という未曾有の大災害にも見
クに端を発した世界経済危機とその後の市場構造変化や
舞われました。
消費マインド低下の影響により、開始1年目に計画の見直し
資生堂は、
“日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバ
を余儀なくされました。
“すべ
ルプレイヤー”となることをめざし、2009年3月期より、
最 終 年 度 である当 期の 売 上 高 営 業 利 益 率 は6.6%、
ての活動の質を高める”3カ年計画に取り組みました。その最
ROEは 3.9%となりました。海 外売上高比率は、中国事 業
終年度である当期は、グローバルブランド「
」
の育成強化、新規市場への積極的な進出、中国事業のさら
の高成長やベアエッセンシャルの買収により42.9%となりま
した。
なる拡大、およびホームマーケットである日本における重点ブ
ランドの育成強化を軸に、“世界中のお客さまに愛されるブ
会計方針の変更
ランド”をつくり上げることに注力してきました。また、構造改
資産除去債務に関する会計基準等の適用
革を継続的に推進して収益性の向上を図るとともに、グロー
バル人材の育成やコーポレートガバナンスの進化を推し進め、
“世界に通用する質の高い経営基盤の確立”に取り組みまし
た。さらに、社会とともに生きる企業として、環境活動や社会
活動などのCSR活動を積極的に推進しました。
当期は、このような企業活動に全力を傾けた結果、海外
当期より、
「資産除去債務に関する会計基準」
( 企業会計
基準第18号 2008 年 3月31日)および「資産除去 債 務に
関する会計基準の適用指針」
( 企業会計基準適用指針第
21号 2008 年 3月31日)を適用しています。これにより、営
業 利 益は131百 万円、税 金 等 調 整 前当 期 純 利 益は 976
百万円減少しています。
売上高は、欧米市場での成長性の回復と中国を含むアジア
市場での高成長の維持に加え、2010 年 3月に買収が完了し
た米国の化粧品会社ベアエッセンシャルの上乗せもあり、
21.2%増収の287,835百万円となりました。一方国内売上
高は、消費マインドの回復が乏しかったことや、高価格帯と
低価格帯への二極化という市場構造の変化により、当社が
得意とする中価格帯市場の縮小が続いたことなどから、前
期比5.8%減収の382,866百万円となりました。この結果、
国内・海 外を合わせた連 結売 上高は前 期比 4.1%増収の
670,701百万円となりました。
営業利益は、費用の削減や効率運用に努めたものの、ベ
アエッセンシャルの買収に伴う一時費用の発生や国内売上
企業結合に関する会計基準等の適用
当期より、
「企業結合に関する会計基準」
( 企業会計基準
「連 結財 務 諸 表に関する会
第 21号 2008 年12月26日)、
「『研
計基準」
(企業会計基準第 22号 2008 年12月26日)、
究開発費等に係る会計基準』の一部改正」
( 企業会計基準
「事 業分離等に関する会計
第23号 2008 年12月26日)、
「 持分法
基準」
(企業会計基準第7号 2008 年12月26日)、
に関する会計基準」
( 企業会計基準第16号 2008 年12月
26日公表分)および「企業結合会計基準及び事業分離等
会計基準に関する適用指針」
( 企業会計基準適用指針第
10 号 2008 年12月26日)を適用しています。
高 の 減 少 に 伴う 差 益 減 に より、前 期 比11.7%減 益 の
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
61
売上高
マーケティングコスト
売上高は、前期に比べ 4.1%増収(現地通貨ベースで同
6.7%の増収)の670,701百万円となりました。海外売上高
は、欧米市場での成長性の回復と中国を含むアジア市場で
の高成長の維 持に加え、2010 年 3月に買収が 完了した米
国の化粧品会社ベアエッセンシャルの上乗せもあり、前期
比 21.2%増となりました。一方国内売上高は、消費マインド
の回復が乏しかったことや、高価格帯と低価格帯市場への
マーケティングコスト(広告費および売出費)の売上高
に対する比率は1.2ポイント改善し21.5%となりました。
海外ではグローバルブランド「
」の刷新を中
心にマーケティングコストを集中投下しましたが、国内に
おいて投資対象ブランドの「峻 別と集中」の徹 底により
費用を効率化したことから、全体として売上高に対する
比率は改善しました。
二極化という市場構造の変化に対応しきれなかったことな
人件費
どにより、前期比5.8%減となりました。
人件費の売上高に対する比率は、0.7ポイント悪化し
23.7%となりました。国内では、売上高減少の環境下に
売上高・海外売上高比率
売上原価率・販売管理費率
おいて賞与増となったため、
売上高に対する比率は悪化
(%)
60
30
しました。一方、海外では事業拡大に伴い人件費は増加
6,000
45
しましたが、売上高に対する比率は売上伸長率を下回っ
28
4,000
30
たため、改善しました。
2,000
15
8,000
0
0
2007
売上高
海外売上高比率
国内売上高
海外売上高
2008
2009
2010
2011
6,946
32.4
7,235 6,903
36.5 38.0
6,442
36.9
6,707
42.9
4,698
2,248
4,592 4,283
2,643 2,620
4,067
2,375
3,829
2,878
10
800
2010
20
26.7
25.8 24.9
減策を講じましたが、売上の減少に追いつかず、
売上高
66.1
65.4 67.9
販売管理費率(右軸)
24.9
67.3
2
6
に対する比率は悪化しました。
マーケティングコスト
22.7
23.0
21.3
0.3
2
2
2
60
600
(%)
30
7.5
29
45
400
売上原価率・販売管理費率
0.3ポイント悪
5
なお、ベアエッセンシャルを除く既存事業ベースの売上原
28
30
200 り
した。
価率は 24.0%と前期よ
0.9ポイント改善しま
26
4,000
2,000
0
(販売費および一般管理費)
2007
15
2008
2009
2.5
2008
2009
4,698
2,248
内売上高
外売上高
4,592 4,283
2,643 2,620
3,829
2,878
販売管理費率(右軸)
マーケティングコスト
M&A関連償却費
64
2010
2011
24.9
24.9
67.3
25.2
68.2
2008
26.7
66.1
25.8
65.4
23.6
22.9
23.7
設備投資等
20.6
20.9
21.5
0.3
200
067.9
営業キャッシュ・フロー
21.6
21.4 22.4
0.3
0.2
63
2009
2007
2007
22.7
694
23.0
286
21.3
0.3
2008
21.5
753
23.7
277
21.7
1.3
総資産・事業ROA(総資産事業利益率)
当期純利益・ROE
(億円)
2011
62 株式会社資生堂 アニュアルレポート
(億円)
65
400
売上原価率(左軸)
経費
益・売上高営業利益率
66
600
23
人件費
67
800
2010
4,067
2,375
68
(億円)
24
2011
7.2 2011
8.8
7.2
7.8
6.6
457,551
0.9ポ
6,946 百万円となりました。
7,235 6,903 6,442 売上高に対する比率は、
6,707
32.4
36.5
38.0
36.9した。
42.9
となりま
この内訳は次の通りです。
イント悪化の
68.2%
2007
70
営業活動によるキャッシュ・フロー・
69
設備投資等(有形・無形固定資産および長期前払費用)
25
0
2010
(%)
27
増 加の
販売費および一
般 管 理費は、
5.5%445
0
500
635前 期に比べ
499
504
営業利益
売上高営業利益率
外売上高比率
23
2007
2008
2009
ポイント悪 化し21.7%となりました。さまざまなコスト削
ルののれんや顧客関連無形資産の償却によるものです。
化して25.2%となりました。
上高
25
24
経費(その他の費用)の売上高に対する比率は、
0.4
ト悪化し1.3%となりました。これは主にベアエッセンシャ
なりました。売上高に対する比率は前期より
(億円)
(%)
6,000
26
経費
23.6
22.9 23.7
21.6
21.4 22.4
M&A関連償却費
経費
20.6
20.9 21.5
M&A関連償却費
0.3
0.2
0.3
M&A 関連償却費の売上高に対する比率は、1.0ポイン
(億円)
(%)
売上原価は、
前期に比べ 5.3%増加の168,692百万円と
8,000
27
人件費
(売上原価)
営業利益・売上高営業利益率
・海外売上高比率
29
売上原価率(左軸)
売上原価、販売費および一般管理費
0
( %)
(億円)
500
(%)
(%)
15
(億円)
8,000
2009
2010
201
428
282
694
255
67
26
2,248 2,643 2,620 2,375
売上原価率・販売管理費率
海外売上高
売上高・海外売上高比率
(%)
(%)
(億円)
60
8,000
6,000
45
4,000
30
30
28
27
15
26
25
(億円)
0
2010
2011
6,946
32.4
7,235 6,903
36.5 38.0
6,442
36.9
6,707
42.9
4,698
2,248
4,592 4,283
2,643 2,620
4,067
2,375
3,829
2,878
2007
売上高
海外売上高比率
国内売上高
営業利益
海外売上高
2008
2009
2010
20
24.9
5
67.9
24.9
67.3
2
6
23.6
22.9 2.5
23.7
21.6
21.4 22.4
当期純利益
経費
20.6
20.9 21.5
0
0
2007
2008
2009
2010
M&A関連償却費
0.3 2011
0.2
0.3
当期純利益は、前期に比べ
百万円
62.0%減益の12,791
500
635
499
504
445
営業利益
となりました。
1株当たり当期純利益は、
7.2
8.8
7.2 前期の
7.8 84.6
6.6円か
売上高営業利益率
22.7
23.0
21.3
0.3
2
2
2
売上原価率(左軸)
400
販売管理費率(右軸)
2007
2008
26.7
66.1
25.8
65.4
2009
7.5
マーケティングコスト
200
上高営業利益率は1.2ポイント悪化の6.6%となりました。
10
23
600
営業利益は、前期に比べ11.7%減益の44,458百万円、売
(%)
24
800
0
経営の概況
29
営業利益・売上高営業利益率
2,000
2,878
人件費
ら32.1円となりました。
営業利益・売上高営業利益率
(%)
(億円)
なお、ROE(自己資本利益率)については、当期純利益
10
の減少に伴い、前期の9.8%から5.9ポイント悪化し3.9%と
600
7.5
なりました。
400
5
200
2.5
800
営業活動によるキャッシュ・フロー・
設備投資等(有形・無形固定資産および長期前払費用)
(億円)
当期純利益・ROE
800
(%)
(億円)
500
0
0
営業利益
売上高営業利益率
2007
2008
2009
2010
500
7.2
635
8.8
499
7.2
504
7.8
400
2011
445
6.6
200
営業キャッシュ・フロー
253
6.6
当期純利益
利息収支(受取利息から支払利息を控除)は、資金調達に
当期純利益・ROE
(億円)
(%)
よる支払利息の増加により、
前期の738百万円の費用から
15
1,497百万円の費用となりま
した。また、見本品・販促物の資産
12
400
計上範囲の見積変更による影響などの損失も計上しま
した。9
300
6
3
0
0
2007
2008前期に比べ
2009
2010
2011
税金等調整前当期純利益は、
減益の
38.6%
253
355
28,695百万円となりました。
6.6
9.2
ROE
当期純利益
194
5.4
337
9.8
128
3.9
2008
2009
設備投資等
ROE
百万円の純費用となりました。
3
2007
2007
その他の損益は、前期の3,612百万円の純費用から15,763
6
0
0
100
税金等調整前当期純利益
9
200
100
200
12
400
300
その他の損益
500
15
600
355
9.2
194
5.4
694
2010
286
337
9.8
2008
753
2011
277
128
3.9
2009
0
428
282
2010
694
255
201
67
26
総資産・事業ROA(総資産事業利益率)
(億円)
8,000
報告セグメント別の状況
6,000
4,000
報告セグメント別の業績は、次の通りです。
報告セグメント別売上高
2,000
(億円)
7,500
国内化粧品事業
0
2007
2008
2009
2010
5,000
7,398 6,759 6,066 7,754
国内化粧品事業の売上高は、
市場構造の二極化への対
総資産
7.4
事業ROA
9.4
8.2
応に徹底的に取り組みましたが、化粧品事業における中価
7.5
201
7,40
6
2,500
格帯での苦戦が大きく影響し、
十分な成果を発揮できず、
純資産・有利子負債
法人税等(法人税等調整額を含む)
(億円)
0
厳しい結果となりました。
ヘルスケア事業は堅調な実績を
法人税等は、たな卸資産の未実現利益消去に係る税効
果の影響により、前期に比べ 40.4%増加の13,328百万円
となりました。税金等調整前当期純利益に対する比率は前
報告セグメント別売上高
期の20.3%から(億円)
46.4%となりました。
2007
2008
2009
5,000
2010
2011
4,309 業全体の売上高は、
4,239 4,000
3,976 3,838 3,584
国内化粧品 国内化粧品事
収めましたが、
前 期比
グローバル
2,410
2,788 2,757
2,504
3,026
97
6,946
7,235 2,000
6,903
6,442
6,707
減収の358,408百万円となりました。
6.6%
227
208 3,000
170
100
その他
(化粧品事業)
合計
1,000
化粧品事業の売上高は、カウンセリング化粧品、
セルフ
7,500
報告セグメント別利益
0
化粧品、
(億円)トイレタリーがいずれも前期実績に届かず、
2007
2008
2009
2010
2011 全体
2007
2008
2009
2010
201
2,144
3,21
1,97
少数株主利益5,000
370
433
327 4,038
389 3,997
336 3,520 3,652
国内化粧品
純資産
としても前
期比7.5%の減
収となりました。
当期は
「メガブ
少数株主利益は、前期に比べ 27.9%減少の2,576百万
ランド」
と「リレーショナルブランド」
22
19 の重点育成を継続し、
15
17
18
その他
円となりました。
ヒット商品のロングセラー化を図りました。
また、引き続き
自己資本比率・有利子負債比率
2,500
2007
2008
2009
2010
2011
その他
4,309
2,410
227
4,239 3,976
2,788 2,757
208
170
3,838
2,504
100
3,584
3,026
97
合計
6,946
7,235 6,903
6,442
6,707
グローバル
110
178
有利子負債
報告セグメント別売上高利益率
0
国内化粧品
グローバル
(%)
国内化粧品
グローバル
その他
2007
2008
154 1,278
95
(%)
2009
100
2010
90
632
621
2011
8.5
10.1
8.1 10.1
9.3
4.5
6.3 755.5
3.8
3.0
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
4.7
4.8
5.1 10.5
11.4
50
63
「峻 別と集中」を徹底し、強化の対象となる店とブランドを
セグメント利益(営業利益)は、マーケティングコストをは
チャネルごとにきめ細かく組み合わせる販売強化策を推進
じめとする販売管理費の効率化を進めたものの、売上高の
しました。
減少による差益減の影響が大きかったことにより、前期比
高価格帯を中心とした「高付加価値カウンセリング領域」
13.8%減 益 の33,573百 万 円(売 上 高 セグメント利 益 率
では、専門店チャネルの「PSプログラム」やデパートチャネ
9.3%)となりました。
ルのダブルカウンター施策を継続して実施し、主力店にお
いて着実に成果に結び付けました。さらに、下期には当社
の最高級ブランド
「クレ・ド・ポー ボーテ」の製品ラインアッ
プやパッケージデザイン、イメージモデルなどを全面的に刷
新したことが売上に貢献しました。
中価格帯を中心にワンポイントアドバイスなどを行う「ス
ポットカウンセリング領域」では、発売 5周年を迎えたメー
キャップのメガブランド「マキアージュ」の既存品育成の取
り組みを強化しました。
低価格帯を中心とした「セルフ・トイレタリー領域」では、
優れた紫外線防御効果と肌へのやさしさを兼ね備えた「ア
ネッサ」やミネラルファンデーションのヒットが継続している
「インテグレート」などでロングセラー化の成果をあげたほ
か、拡大する低価格帯市場への戦略商品として発売したス
キンケアブランド「専科」でも一定の成果を収めました。
しかしながら、化粧品全体としては、消費マインドの低
迷、中価格帯市場の縮小、競争の激化、小売業による在庫
縮減の影響に加え、東日本大震災の影響もあり、厳しい売
上状況となりました。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事 業の売上高は前期比 2.6%の増収となり、
増収基調を持続させました。店販コラーゲンサプリメント市
場シェアNo.1の「ザ・コラーゲン」では、料理や飲み物に溶
かして摂取できる「高美活パウダー」を追加するなど、ブラン
ド育成を強化しました。さらに、美容バランス飲料「綺麗の
ススメ」、化粧品だけでは解決できない肌トラブル対応の医
」の発売が上乗せになったことによ
薬品「IHADA(イハダ)
り、売上高は前年実績を上回りました。
グローバル事業
グローバル事業の売上高は、化粧品事業が欧米で市場
回復に伴う成長性の回復を果たしたほか、中国を含むアジ
アで高い成長性を持続したこと、また、プロフェッショナル
事 業も好 調に 推 移したことから、前 期 比 20.9%増 収の
302,633百万円となり、現地通貨ベースでは前期比 27.6%
増収となりました。
(化粧品事業)
化 粧 品 事 業 の 売 上 高は、現 地 通 貨ベースで 前 期 比
32.0%(円換算後では同 25.0%)の増収となりました。プレ
ステ ー ジ 市 場 に お いて、プレミアム スキンケアライン
「
フューチャーソリューション LX」や高機能
スキンケアライン「
BOP(バイオパフォーマン
ス)」などを擁するグローバルブランド「
」が
世界 各国で伸長したほか、米国においてメーキャップブ
ランド「NARS」が大きく成長しました。また、ボーテ・プレ
ステージ・インターナショナルのデザイナーズフレグランス
やトラベルリテールビジネスの成長性が回復しました。
また、新たに資生堂グループに加わったベアエッセンシャ
ルも計画通りの売上伸長を確保しました。買収効果を発揮
するため、まずは生産機能や物流設備の共通化によるグ
ループ全体での効率化に着手しました。
最重点市場である中国では、チャネル別ブランドマーケ
ティングを引き続き積極的に展開し、市場を上回る売上伸
長を果たしました。専門店チャネルでは、専門店専用ブラン
ド「ウララ」や中間所得層を対象としたブランド「ピュア&
マイルド」が継続して好調に推移したほか、高価格帯ブラン
ド「ディシラ」を当期より新たに導入したことも加わり、高い
成長性を維持しました。また、デパートチャネルでは、中国
専用ブランド「オプレ」が好調を持続しました。
64 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2.5
200
0
営業利益
売上高営業利益率
2007
2008
2009
500
7.2
635
8.8
499
7.2
0
経営の概況
2010
2011
504
7.8
445
6.6
当期純利益・ROE
「アジアマステージ市場」においては、中間所得層を対象
としたブランド「 Za(ジーエー)」の売上が堅調に推移した
ほか、セルフ型スキンケアブランド「アクアレーベル」も大
きく伸長しました。さらに、セルフ型メーキャップブランド
「マジョリカ マジョルカ」では、重点市場であるタイにおい
て小売業との協業によるマーケティングを展開し、
「アジア
マステージ市場」における成功事例をつくりました。
新興国においては、ロシアで取扱店数の大幅な増加に
伴い売上を拡大しました。このほか、バルカン半島の3カ国
(アルバニア、コソボ、マケドニア)への展開をはじめ、モンゴ
ル、グルジア、コロンビア、モルドバで販売を開始するなど
その他
(%)
(億円)
15
500
12
400 前期比 3.7%減収の9,660百万円と
その他の売上高は、
なりました。
300
9
200
6
100
3
0
0
(フロンティアサイエンス事業)
化粧品や医薬品の原料であるバイオヒアルロン酸の販
売が国内外で堅調に推移したほか、
2007
2008 美容医療機関向け化
2009
2010
2011
253
6.6
当期純利益
355
9.2
194
5.4
337
9.8
128
3.9
粧品「ナビジョン」が伸長しましたが、一 部の低収益の医
ROE
療用医薬品の撤退により、前期実績を下回りました。
セグメント利益(営業利益)は、販売管理費の効率的運
(売上高セグメン
用により、前期比7.9%増益の1,838百万円
ト利益率11.4%)となりました。
新規市場への事 業拡大を順調に進めた結果、2010 年12
月末時点でのグローバルブランド「
」の展開
報告セグメント別売上高
地域は世界 82の国と地域(日本含む)となりました。なお、
(億円)
7,500
2011年 3月末時点では、85の国と地域(日本含む)まで拡
5,000
大しています。
(プロフェッショナル事業)
2,500
プロフェッショナル事業の売上高は、現地通貨ベースで
0
前期比5.1%の増収(円換算後では同 0.3%の減収)となり
ました。
国内では、ヘアプロダクト領域およびエステティック領域
の回復を重点的に推進しましたが、景気の低迷や競争の激
化により厳しい状況が続きました。海外では、市場成長が続
くアジアで売上が伸長したほか、北米を中心にサロン向け
製品をグローバル展開するゾートス社で、積極的な営業展開
を行ったことにより売 上を拡大しました。この結果、プロ
2010
2011
その他
4,309
2,410
227
4,239 3,976
2,788 2,757
208
170
3,838
2,504
100
3,584
3,026
97
合計
6,946
7,235 6,903
6,442
6,707
2010
2011
2007
国内化粧品
グローバル
2008
2009
報告セグメント別利益
(億円)
国内化粧品
グローバル
その他
2007
370
110
22
2008
433
178
19
2009
327
154
15
389
95
17
336
90
18
フェッショナル事業全体の売上は着実に伸長しました。
セグメント利益(営業利益)は、欧 米およびアジアにお
いて市場の回復により収益性の向上は見られたものの、ベ
アエッセンシャルの買収に伴う一時費用の発生により、セ
グメント利益は前期比 5.4%減益の9,026百万円(売上高
セグメント利益率 3.0%)となりました。
報告セグメント別売上高利益率
(%)
国内化粧品
グローバル
その他
2007
8.5
4.5
4.7
2008
10.1
6.3
4.8
2009
8.1
5.5
5.1
2010
2011
10.1
3.8
10.5
9.3
3.0
11.4
※ 報 告セグメント別売上高利益率はセグメント間の内部売上高を
含めた売上高に対するものです。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
65
流 動 性と資 金の 源 泉
所在地別の状況
資金調達と流動性マネジメント
所在地別の業績は次の通りです。
資生堂は、事 業活動のための適切な資金確保、流動性
の維持、ならびに健全な財政状態を常にめざし、安定的な
営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確
所在地別売上高
(億円)
2007
2010
2011
日本
4,712
4,607 4,300
4,081
3,838
517
884
833
566
507
1,038 1,000
1,024 1,096
457
824
1,080
855
843
1,171
2,234
2,628 2,603
2,361
2,869
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
在外計
2008
2009
保に努めています。資生堂の成長を維持するために将来必
要な運 転資金および 設備投資・投融資資金は、主に手元
のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、
借入や社債発行により調達しています。
手元流動性については、連結売上高の1.5カ月程度を1
所在地別営業利益
つの目安としています。当期末の現金および預金、有価証券
(億円)
2007
日本
273
318
184
240
167
アメリカ
40
90
159
33
83
168
32
56
151
16
64
169
高の1.9カ月分となりました。
アジア・オセアニア
28
63
112
在外計
203
289
284
239
249
シャル買収に係る資金調達により197,518百万円となってい
欧州
2008
2009
2010
2011
2007
日本
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
在外計
一方、
当期末現在の有利子負債残高は、
主にベアエッセン
ます。国内普通社債の発行登録枠の未使用枠 800 億円、当
所在地別売上高営業利益率
(%)
の総 額は105,058百万円となり、手元流動性は連 結売上
2008
2009
2010
2011
5.5
6.5
4.0
5.6
4.1
4.7
6.8
13.4
6.1
8.3
15.5
5.6
7.8
15.3
6.0
6.5
13.9
1.6
7.2
14.3
8.6
10.4
10.3
9.6
8.2
※ 所在地別売上高営業利益率は各所在地間の内部売上高を含めた
売上高に対するものです。
社および欧米子会社 2社を発行体とするプログラム型シンジ
ケート・ローンの未使用枠 2.4 億ドル、ならびに米国子会社
のCPプログラムの未使用枠1億ドルなどを有し、資金調達
手段は分散化されています。
当期末現在において、資生堂の流動性は十分な水準に
あり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔
軟性は高いと考えています。
海外売上高
(億円)
3,000
格付け
2,000
1,000
資生堂は、流動性および資本政策に対する財務の柔軟
性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのア
0
2007
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
合計
2008
2009
2010
2011
540
793
915
594
549
928
885
1,121 1,186
485
738
1,152
876
782
1,220
2,248
2,643 2,620
2,375
2,878
クセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要で
あると考えています。資生堂は、グローバルな資本市場から
円滑な資金調達を行うため、ムーディーズ・インベスターズ・
サービス・インク(以下「ムーディーズ」)およびスタンダード・
アンド・プアーズ・レーティングズ・サービシズ
(以下「 S&P」)
の2 社より格付けを取得しています。
66 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2010
2011
6,946
32.4
7,235 6,903
36.5 38.0
6,442
36.9
6,707
42.9
売上原価率(左軸)
4,698
2,248
4,592 4,283
2,643 2,620
4,067
2,375
3,829
2,878
マーケティングコスト
2007
上高
外売上高比率
内売上高
外売上高
2008
2009
販売管理費率(右軸)
人件費
経費
M&A関連償却費
2007
2008
2009
26.7
66.1
25.8
65.4
24.9
67.9
23.6
21.6
20.6
0.3
22.9
21.4
20.9
0.2
23.7
22.4
21.5
0.3
2010
2011
24.9
25.2
経営の概況
67.3
68.2
21.5
23.7
21.7
1.3
22.7
23.0
21.3
0.3
益・売上高営業利益率
(%)
(億円)
10
800
ムーディーズ
600
400
長期
A1(見通し:安定的)
短期
P-1
A(見通し:安定的)
5
※2011年 6月15日現在
営業活動によるキャッシュ・フロー・
設備投資等(有形・無形固定資産および長期前払費用)
(億円)
A-1
2.5
200
800
600
0
0
業利益
2007
2008
2009
2010
500
7.2
635
8.8
499
7.2
504
7.8
2011
400
445
6.6
キャッシュ・フロー
上高営業利益率
S&P
7.5
200
0
2007
当期末における現金および 現金同等物は、前期末に比
営業キャッシュ・フロー
べ11,435百万円増加し、88,592百万円となりました。
設備投資等
キャッシュ ・ フロー サマリー
利益・ROE
営業活動によるキャッシュ・フロー
500
投資活動によるキャッシュ・フロー
400
300
財務活動によるキャッシュ・フロー
428
2010
(%)
2011
15 694
(282)
12(2,049)
(303)
(323)
9 1,204
(396)
886
200
現金および現金同等物の期末残高 919
6
772
676
0
0
2008
2009
2010
2011
5.4
9.8
3.9
253
355 194
337
128フロー
営業活動によるキャッシュ・
期純利益
6.6
E
9.2
2009
2010
2011
428
282
694
255
676
263
総資産・事業ROA(総資産事業利益率)
(%)
10
8,000
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の
6,000
7.5
4,000
5
2,000
2.5
支 払い19,879百 万 円 および 長 期 借 入 金 の 減 少12,861
百万円などにより、39,572百万円の支出となりました。
0
資産および負債・純資産
2007
0
2008
2009
7,398 6,759 6,066
7.4
9.4
8.2
総資産
(資産)
事業ROA
2010
2011
7,754
7.5
7,402
6.1
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調
当期末の総資産は、前期末に比べ 4.5%減少の740,184
整前当期純利益 28,695百万円に減価償却費 29,511百万
純資産・有利子負債
百万円となりました。
円、のれん償 却 額 5,204百 万円などを加えた収入に対し
流動資産は、前期末に比べ
1.2%減少の314,279百万円
5,000
て、法人税等の支払額16,903百 万円や 運 転資金の増 加
となりました。
2,084百万円により、67,587 百万円の収入となりました。
3,000
投資その他の資産は、
ベアエッセンシャルに対する投融
(億円)
4,000
2,000
資が無形固定資産などに配分されたことにより、
前期末に
グメント別売上高
(億円)
7,500
投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資
5,000
26,333百万円や資生堂香港有限公司の少数株主からの
2,500
株 式の取得による支出 5,724百 万円などにより、30,304
0
753
277
財務活動によるキャッシュ・
フロー
(億円)
3
100
2007
2008
(億円)
2009
(億円)
694
286
百万円の支出となりました。
2007
2008
2009
1,000
比べ 62.4%減少の
108,629百万円となりました。
(負債)
0
2007
2008
2009
2010
2011
3,652
増 加の
当 期 末 の 負 債 合 計4,038
は、前3,997
期 末3,520
に比べ
2.1%3,212
1,278
632
621 2,144 1,975
有利子負債
純資産
418,993百万円となりました。
自己資本比率・有利子負債比率
(純資産)
(%)
2010
2011
(%)
当 期 末 の 純 資100産 は、前 期 末 に 比 べ12.1%減 少 の
50
の他
4,309
2,410
227
4,239 3,976
2,788 2,757
208
170
3,838
2,504
100
3,584
3,026
97
30
この 結 果、1株 当たり純 資 産 額は、前 期 末に比べて
計
6,946
7,235 6,903
6,442
6,707
20
100.9円減少し774.8円となり、自己資本比率は、前期末の
内化粧品
ローバル
2007
内化粧品
370
110
22
2008
433
178
19
2009
2010
327
154
15
389
95
17
2011
336
90
18
2007
0
自己資本比率(左軸)
有利子負債比率(右軸)
2007
2008
2009
2010
2011
52.5
24.0
56.6
13.7
55.6
15.0
44.9
37.0
41.7
38.1
10
0
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
グメント別売上高利益率
)
50
25
円)
の他
40
44.9%から3.2ポイント低下し41.7%となりました。
グメント別利益
ローバル
321,191百万円となりました。
75
2008
2009
2010
2011
67
(億円)
800
海外売上高
600
(億円)
3,000
400
200
2,000
0
2007
営業キャッシュ・フロー
設備投資等
694
286
2008
753
277
2009
2010
2011
428
282
694
255
676
263
研究開発 活動
1,000
0
2007
2008
2009
540
594
549
資生堂は、世界中のお客さまの
「美と健康」
793を実現する
928
885
欧州
915 1,121 1,186
アジア・オセアニア
アメリカ
総資産・事業ROA(総資産事業利益率)
(%)
(億円)
10
8,000
画期的な商品、サービスの提 供をめざし、神奈川県 横 浜
合計
2,248
2,643 2,620
市の2カ所のリサーチセンター、東 京 都品 川区のビュー
6,000
7.5
4,000
5
2,000
2.5
研究開発活動を推進しています。化粧品科学技術の最も
0
権 威ある研 究発 表会であるIFSCC(国際化粧品技術者
0
2007
2008
2009
7,398 6,759 6,066
7.4
9.4
8.2
総資産
事業ROA
2010
2011
7,754
7.5
7,402
6.1
ティーソリューション開発センターをはじめ、アメリカ(米
国)、欧州(フランス)、アジア(中国、タイ)の各拠点にて、
会連盟)では、世界の化粧品メーカーでは最多の最優秀
賞受賞経験を持ち、さらに2010 年 9月に開催されたブエノ
スアイレス大会では、全 3 部門の「最優秀賞」を独占受賞
純資産・有利子負債
するといった世界初の快挙を成し遂げました。このように
(億円)
5,000
当社の研究開発はグローバルレベルで高く評 価されてい
4,000
ます。
3,000
2,000
当期におけるグループ全体の研究開発費は14,467 百万
1,000
円(売上高比 2.2%)であり、各報告セグメント別の研究の
目的、主要課 題、研 究成 果および 研 究開発費は、以下の
0
2007
2008
2009
4,038 3,997 3,520
1,278
632
621
純資産
有利子負債
2010
2011
3,652
2,144
3,212
1,975
通りです。なお、基礎研究などの各事業に配賦できない費
用4,786百万円が含まれています。
自己資本比率・有利子負債比率
(%)
(%)
50
100
75
50
25
40
より美しい肌と美しい生活を実 現することを目的に、基
30
礎的な皮膚・界面 科学の研 究から化 粧品原 料素材の開
20
発、製品の開発・評 価、美容法の開発、さらには感 性・感
10
覚研究に至るまで幅広い領域にまたがる研究開発を推進
0
2007
52.5
有利子負債比率(右軸) 24.0
自己資本比率(左軸)
2008
2009
2010
2011
56.6
13.7
55.6
15.0
44.9
37.0
41.7
38.1
国内化粧品事業
0
しています。
当期は、加齢に伴う「黄ぐすみ」は、肌の深部にある真皮
のタンパク質が過酸化物質などにより変性
(カルボニル化)
することが大きな要因であることを発見しました。さらに約
200 種類の中から、真皮タンパク質のカルボニル化を抑制
する成分「オリーブ葉エキス」を見出しました。この発見に
より、これまで美しい肌色のために対応していたメラニンと
研究開発費・売上高研究開発費比率
血流(血色)に加えて、真皮の黄色化にも対応できるように
(%)
(億円)
4
なりました。
「 エリクシール ホワイト」や「クレ・ド・ポー ボー
150
3
テ」の開発にて、これらの研究知見を応用しました。
100
2
50
1
200
0
0
2007
2008
20112009
68 株式会社資生堂 アニュアルレポート
研究開発費
売上高研究開発費比率
161
2.3
146
2.0
152
2.2
2010
2011
145
2.2
145
2.2
また、長年のシミに関する研究成果として、シミ部位の肌
は過剰な細胞増殖によって刺激因子が放出されメラニン
2010
20
485
738
1,152
8
7
1,2
2,375
2,8
(%)
(億円)
400
12
300
9
200
6
100
0
2007
253
6.6
純利益
2008
355
9.2
2009
2010
2011
194
5.4
337
9.8
128
3.9
ーバル
他
3
2,000
2.5
0
0
7,398 6,759 6,066
7.4
9.4
8.2
総資産
事業ROA
2010
2011
7,754
7.5
7,402
6.1
いることを新たに発見しました。この知見を応用し、メラ
製造技術により、
グローバルのお客さまから嗜好の高い「の
4,000
ニンの過剰生成をさまざまな方面から効果的に抑止し、ぬ
び・フィット感の両立」
3,000 、さらに保湿性(スキンケア効果)を
(億円)
1,000
パーフェクト リファイニング
ファンデーション」に応用しま
メーキャップでは、白色の光よりも、オレンジ色の電球の
した。
5,000
光のほうがキレイに見えるという現象をヒントに、赤色系の
光を肌内部に多く通すことを可能にした「赤 色 透 過 パウ
2,500
0
2,000
付与した資生堂独自の基剤開発に成功し、
「
スW」を開発しました。
7,500
0
2007
2008
2009
2010
2011
4,038 3,9972,511
3,520百万円です。
3,652 3,212
純資産
当事業に関わる研究開発費は
1,278
有利子負債
632
621
2,144
1,975
ダー」を開発し、メーキャップブランド「マキアージュ」の
自己資本比率・有利子負債比率
その他
ファンデーションに応用しました。
ファンデーションにおけ
2011
2007
2008
2009
2010
50
100
フロンティアサイエンス事業では、
医療用医薬品、化粧
4,309 4,239 3,976 3,838 3,584
る長年の課題であった背反事象である
「カバー効果」と
「透
2,410 2,788 2,757 2,504 3,026
明感・素肌感のある美しい仕上がり」
227
208
170
100
97 を実現しました。
6,946 7,235 6,903 6,442
6,707
へアスタイリングでは、
これまで二律背反であった
「高い
ストレートスタイリング効果」と「さらさらな感触」を両立さ
370
433 に活用しました。
327
389
336
し、
「マシェリ」
110
178
154
95
90
ヘルスケア事
皮膚
22
19 業分野では、
15
17 繰り返す肌トラブルは、
18
の表皮で炎症増悪タンパク質と炎症性サイトカイン(増悪
グメント別売上高利益率
他
2009
(億円)
また、ファンデーションにおいては、
基 剤・素 材 開 発・
5,000
化粧品
ーバル
2008
生成が止まらない悪循環「黒化スパイラル状態」になって
せた革新的な新素材
を開発
2007
2008
2009 「ストレートスタイリング成分」
2010
2011
化粧品
0
2007
純資産・有利子負債
)
他
経営の概況
7.5
6,000
5
グメント別利益
ーバル
10
8,000
4,000
けるように明るく澄んだ肌へ導く、
「 HAKU メラノフォーカ
グメント別売上高
化粧品
(%)
(億円)
15
500
因子)
が相互に増強しあうという負のスパイラルを形成し、
2007
2008
2009
2010
2011
8.5
10.1
8.1 10.1
9.3
炎症を慢性化していることが原因であることを発見しまし
4.5
6.3
5.5
3.8
3.0
(%)
(%)
40
品原料、クロマトグラフィー、
美容皮膚医療などの研究開
75
30
発を進めています。
50
20
美容皮膚医療では、美肌目的の美容医療治療として知
25
10
られているマイクロニードル技術を応用し、肌の保湿に重
0
0
2007 られた微小な針状突起を目元
2008
2009
2010
2011
要なヒアルロン酸だけでつく
自己資本比率(左軸)
52.5
56.6
55.6
44.9
41.7
枚で対応
シート上に多数配列させ、
気になるシワ部位に
有利子負債比率(右軸) 24.0
13.7 15.0 37.0 1 38.1
できる素材の開発に成功しました。本素材は医療機関向
けブランド「ナビジョン」の抗シワアイテム商材として応用
しました。
当事業に関わる研究開発費は 264百万円です。
た。この知見に着目し、
健やかな素肌へ
導くメディカルス
4.7
4.8
5.1 10.5
11.4
キンキュアブランド「 IHADA」を開発しました。
研究開発費・売上高研究開発費比率
4
200
グローバル事業
「ハイ・クオリティ」を追求する海外化粧品に対応するた
めに、当社独自の高度なサイエンスと最先端テクノロジー
150
3
100
2
50
1
0
0
に立脚した製品の開発を推進しています。
当期は、紫外線によって酵素ヘパラナーゼが活性化す
( %)
(億円)
当事業に関わる研究開発費は6,906百万円です。
研究開発費
売上高研究開発費比率
2007
2008
2009
2010
2011
161
2.3
146
2.0
152
2.2
145
2.2
145
2.2
ると、表皮、基底膜、真皮へダメージを与え、シワなどの光
老化を引き起こすことを発見しました。この知見をもとに、
22,300 種類もの成分の中から、酵素ヘパラナーゼの活性
を制御する成分「ムクロジエキス」を見出しました。高機
能スキンケアブランド「ベネフィアンス」にこの研究成果を
応用しました。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
69
業 績の見 通し
東日本大震災およびその後の原子力発電所の放射能問
国内化粧品事業
題に起因する店舗への被害、サプライチェーンへの影響、
2012 年 3月期の国内化粧品事 業は、これまでの「制度
消費マインドの低迷などにより、資生堂を取り巻く事 業環
境は大変厳しい状況にあります。しかしながら、資生堂は
一丸となって2012 年 3月期よりスタートした新 3カ年計画
「日
( 2012 年 3月期~ 2014 年 3月期)の推 進に取り組み、
本をオリジンとし、アジアを代 表するグローバルプレイ
ヤー」の実現をめざしていきます。
“成長軌道に乗る”をテーマとした3カ年計画のスタート
の年である2012年 3月期は、前 3カ年計画で掲げた「 100%
お客さま志向の会社に生まれ変わる」、
「大切な経営資源で
あるブランドを磨き直す」、
「“魅力ある人”で組織を埋め尽く
「グローバルメガブラン
す」という3つのビジョンを継続し、
ド戦略」、
「アジアブレイクスルー戦略」、
「ニューフロンティ
品ビジネスモデル」を今日的に再 生させるべく、マーケ
ティングや事業運営スタイルを抜本的に見直します。また、
商品のロングセラー化に向けた活動に注力し、圧倒的に強
いブランドや商品を育成します。あわせて、2012 年 4月の
Webマーケティング立ち上げに向けた先行投資も実施して
いきます。
売上高は、国内においては、特に上半期においてさまざ
まな形で震災被害や原子力発電所の放 射能漏れの影響
を受けることが想定されますが、上記取り組みにより年間
ではほぼ 2011年 3月期と同水準となることを見込んでいま
す。セグメント利益については、Webマーケティング立ち上
げに伴うコスト増などにより減益を見通しています。
ア戦略」、
「カスタマーファースト戦略」の4つの戦略により
グローバル化を推進し、成長の拡大をめざしていきます。
グローバル事業
売上高については、国内市場における震災のマイナス影
響、欧米市場における回復基調の継続、中国を中心とする
アジア市場の売上の伸長などを織り込み、2011年 3月期を
上回る水準を計画しています。営業利益については、売上
増による差 益 増はあるものの、国 内 外 に お けるマーケ
ティング投資の強化や将来の成長に向けた投資拡大など
を織り込み、2011年 3月期を下回る水準を計画していま
す。当期純利益については、その他の損益が改善すること
により、増益となることを計画しています。
以 上から、2012 年 3月期の業 績は、連 結売 上高 6,800
億 円( 2011年 3月期 比1.4%増 )、営 業 利 益 400 億 円(同
10.0%減)、当期純 利益 210 億円(同 64.2%増)と見通し
ています。
グローバルメガブランド戦略を推進し、欧米ではプレス
テージ領域の3ブランド、アジアではプレステージ領域およ
びマステージ領域の3ブランドに集中投資を行います。ま
た、成長エンジンである中国においては、最優先で経営資
源を投入していきます。
海外においては景気回復基調が続くことを想定し、また
アジアは引き続き中国を牽引車とする成長の持続が見込ま
れることから、2012 年 3月期も現地通貨ベースでの増収を
見込んでいます。また為替については、2011年 3月期に比
べ円高を想定していますが、円換算ベースでも増収を確保
することができると見通しています。利益面についても、円
高のマイナス影響はありますが、2011年 3月期実績を上回
るセグメント利益を見込んでいます。
70 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
経営の概況
利 益 還 元方 針
その他
その他では、化粧品原料、医療用医薬品、クロマト関連
機器、医療機関向け化粧品などを柱とするフロンティアサ
イエンス事業の強化に引き続き取り組みます。その他の事
業全体としては、売上高、セグメント利益ともに2011年 3月
期並みを見通しています。
資生堂は、株主への直接的な利益還元と中長期的な株
価上昇による「株式トータルリターンの実現」をめざしてい
ます。この考え方に基づき、成長のための戦略投資をドラ
イバーとして利益の拡大と資本効率の向上を図り、それら
を中長期的な配当の増加と株価上昇につなげていくこと
を基本方針としています。
利益還元の目標として、資生堂は中期的に連結配当性
上記見 通しの前 提 条件として、2012 年 3月期の日本の
向 40%を目安としています。この目標をベースとしつつ、安
実質 GDPは1~ 1.5%程 度のプラス成長と見ています。ま
定性も重視した現金配当を主体としながら、自己株式取得
た、主 要 為 替レートは、80円/米ドル、110円/ユーロ、
については機動的に行う方針としています。
12.5円/中国人民元で計画を策定しています。
当期の剰余金の配当については、年間配当を1株当たり
50円(中間配当25円、期末配当25円)とし、連結配当性向
は155.5%となりました。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
71
事 業などのリスクについて
資生堂の財政状態および経営成績などに悪影響を及ぼ
( 4 )化粧品業界の競争環境
す可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の
資生堂の属する化粧品業界は、グローバル規模で競争
判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えてい
が 激しくなっています。成 熟した国内 市場での限られた
ます。
シェアをめぐっての国内同業他社との競争激化をはじめ、
なお、文中の将来に関する事項は、2011年 6月24日現在
グローバルコンペティターのプレステージ市場での影響力
において資生堂が判断したものですが、ここに掲げられて
拡大、さらには他業界からの新規参入など競争環境がま
いる項目に限定されるものではありません。
すます厳しくなっています。また、海 外市場でも資生堂が
成長戦略の柱として位置付ける中国を含むアジア市場な
( 1)ブランド「
」の価値の低下
資 生 堂 では、国 内 外 の 事 業 活 動に お いて、ブランド
「
どにおいて、グローバルコンペティターが積極的な M& A
やマーケティング活動を展開し、消費者の認知度を高め市
」をグループで共有し、ブランド価値の向上
場シェアを拡大するなど、競争環境が一層厳しくなってい
に努めていますが、不測の事態によるブランド価値の低下
ます。従って、資生堂がグローバルコンペティターに比べて
が 発生した場 合には、資生堂の財政状態およびグループ
この競争環境に的確に対処できない場合には、資生堂の
経営成績などに悪影響を及ぼす可能性があります。
財政状態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性が
あります。
( 2 )お客さま対応
資生堂では、お客さまとの関係を重視しています。グルー
( 5 )海外での事業活動
プ企業理念「 Our Mission, Values and Way」の「 Our
資生堂は、2011年 3月末で海外 85の国と地域(日本含
Way」でも、お客さまの満足と信頼が得られるように行動
む)で事 業 活動を行っており、連 結売 上高に占める海 外
する旨を明示し、周知徹底を図っています。しかしながら、お
売上高比率は年々伸長し、当期では42.9%に至っていま
客さまの満足や信頼を損なうこととなる不測の事態が生じ
す。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政
た場合、資生堂のブランド価値が低下し、資生堂の財政状
治的・社 会 的な突 発事 態の発生、テロ・戦 争・内乱の勃
態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性があります。
発、新型インフルエンザなど伝染病の流行による社会的・
経済的混乱、異常気象や天候不順などが、資生堂の財政
( 3)戦略的投資活動など
資生堂は、中国を含むアジアなどの戦略市場への投資、
M& Aおよび 新規事 業・新規市場への事 業 拡大などの戦
略的 投資活動の推 進に際して、意思決定のために必要か
つ 十 分な情 報収 集と検 討を実 施し、合 理 的 意 思決 定を
行っています。しかし、予期し得ない種々の環境変化などに
より、当初意図した成果が得られない場合には、資生堂の
財政状態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性が
あります。
72 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
状態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性があり
ます。
経営の概況
( 6 )市場リスク
て、年金費用を増加させ経営成績にマイナス影響を与えま
①原材料価格
す。このように不測の事態が生じた場合には、資生堂の財
資生堂 製品の原材料は、国際市況の影響を受け、地
政状態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性があ
政学的リスク、新興国の需要増加や投機資金の流入に
ります。
伴う需給バランス、天候不順、為替レートの変動などに
伴い市況価格が変動します。資生堂では、原材料価格の
( 7 )市場ニーズへの適合
上昇に対して継続的な原価低減活動などにより、その影
新製品・新ブランドの開発・育成およびマーケティング
響を軽減する努力を続けています。しかしながら、予想を
活動が市場ニーズに適合しているかどうかが資生堂の売
超える市況価格の変動が生じた場合には、資生堂の財
上および 利益に大きな影響をもたらします。資生堂では、
政状態および経営成績などに悪影響を及ぼす可能性が
市場ニーズに応えるため、魅力的な新製品・新ブランドの
あります。
開発、マーケティング活動による新製品・新ブランドおよび
既存品・既存ブランドの強化・育成、市場ニーズに応えら
②為替
れなくなった既存品・既存ブランドの撤退を継続的に行っ
資生堂は、輸出入取引などを行うことに伴う外貨建決
ています。しかしながら、当該活動はその性質上、さまざま
済について、為替レートの変動リスクを負っています。資
な要因による不確実性が 伴うため、当初意図した成 果が
生堂では、販売地域に対応する生産体制を築き、輸出
得られない場合には、資生堂の財政状態および経営成績
入取引のボリュームを抑えることなどで為替変動に対す
などに悪影響を及ぼす可能性があります。
るヘッジを行っていますが、リスクが完全に回避される
わけではありません。また、在外連結子会社および持分
(8)特定の取引先など
法 適用関連会社の現地 通貨建の報告数値は、連 結財
資生堂の主要事業である国内化粧品事業においては、
務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上
小売・流通チャネルにおいて大きな変化が生じており、こ
回っている現状では、外貨に対して円高が進むと経営成
の変化に対する資生堂の対応が的確ではなかった場合に
績にマイナス影響を与えます。さらに、資生堂の海 外連
は、資生堂の財政状態および経営成績などに悪影響を及
結子会社および持分法適用関連会社への投資は、円高
ぼす可能性があります。
が進行すると為替換算調整勘定を通じて自己資本を減
少させます。このように不測の為替変動が生じた場合に
( 9)法規制等に関するリスク
は、資生堂の財政状態および経営成績などに悪影響を
資生堂は、薬事法をはじめとする法規制や、品質に関す
及ぼす可能性があります。
る基準、環境に関する基準、会計基準や税法など、事業展
開している国内外のさまざまな法規制などの適用を受けて
③株価
います。資生堂ではコンプライアンス(法 令遵守)とCSR
資生堂は、当期末時点で時価のある株式を保有してお
に基づく倫理的行動に万全を期していますが、今後、これ
り、株価の変動リスクを負っています。株価の動向次第で
らの法 規制などが変更された場 合、また予測できない法
は評価損益の増減および減損のリスクがあります。また、
規制などが新たに設けられた場合には、資生堂の事 業活
資生堂の企業年金では、年金資産の一部を時価のある株
動が制限され、資生堂の財政状態および経営成績などに
式で運用しており、株価の下落は年金資産の目減りを通じ
悪影響を及ぼす可能性があります。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
73
重要な会 計上の見積もり
( 10)重要な訴訟等
資生堂の連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められ
当期において、
「連結財務諸表に対する注記 10. 偶発
ている会計基準に基づき作成されています。その作成には
債務」に記載している訴訟などを除き、資生堂に重大な影
経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収
響を及ぼす訴訟などは提起されていませんが、将来、重要
益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積もりを
な訴訟などが 発生し、資生堂に不利な判断がなされた場
必要としています。経営者は、これらの見積もりについて過
合には、資生堂の財政状態および経営成績などに悪影響
去の実績などを勘案し合理的に判断していますが、実際の
を及ぼす可能性があります。
結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見
積もりと異なる場合があります。
( 11)情報セキュリティに関するリスク
資生堂では、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸
資生堂が保有する顧客情報や機密情報などの情報資産
表における重要な見積もりの判断に大きな影響を及ぼす
の保護については、さまざまな対策を講じています。例え
と考えています。
「個人情報保護法」の全面施行を踏まえ、
ば、2005 年 4月の
2004 年 3月に個人情報保護を適切に行っている企業の証
有形固定資産
である「プライバシーマーク( JIS 規格)」の認証を取得し
資生堂では、有形固定資産の簿価について、それが回
ています。しかしながら、予期し得ない不正アクセスによる
収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の
情報漏洩などが発生した場合には、資生堂の財政状態お
有無を判定しています。この判定は、事業用資産について
よび経営成績などに悪影響を及ぼす可能性があります。
はグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フロー
の見積もりに基づいて、遊休資産については個別に比較可
( 12 )災害・事故等
能な市場 価格に基づいて行っています。経営者は、将 来
資生堂では、大規模な地震の発生など災害・事故発生
キャッシュ・フローおよび回収可能価額の見積もりは合理
時の生産、物流および販売の中断による損失を最小化す
的であると考えていますが、将 来の予測不能な事 業 上の
るため、生産拠点、物流拠点、情報システムおよび本社を
前 提 条件の変化によって見 積もりが変更されることによ
事 業 継 続の重要拠点と位置付け、事 業 継 続計画( BCP)
り、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減
の構築を行っています。しかし、想定を超える災害・事故
損損失が発生する可能性があります。
などの発生により、製造、物流および販売の中断が生じた
場合には、資生堂の財政状態および経営成績などに悪影
のれん、商標権およびその他無形固定資産
響を及ぼす可能性があります。
資生堂では、のれん、商標権およびその他無形固定資
産について、減損の判定を行っています。のれん、商標権
およびその他無形固定資産の公正価値の見積もりや減損
判定にあたっては、外部専門家などによる評価を活用して
います。公正価値の見 積もりは、主に割引キャッシュ・フ
ロー方 式により行いますが、この方 式では、将 来キャッ
シュ・フロー、割引率など、多くの見積もり・前 提を使用し
ています。これらの見 積もり・前 提は、減 損 判 定や 認 識
される減損額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
74 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
経営の概況
経営者は、当該判定における公正価値の見 積もりは合 理
退職給付費用および債務
的であると判断していますが、将来の予測不能な事業上の
資生堂の主要な退職給付制度は、日本における企業年
前 提 条件の変化によって見 積もりが変更されることによ
金制度および退職一時金制度です。従業員の退職給付費
り、公正価値が下落し、減損損失が発生する可能性があり
用および債務は、割引率、退職率、死亡率および年金資産
ます。
の期待運用収益率などを含む前提条件に基づいて算出さ
れています。これらの前提条件は年に一度見直しています。
有価証券
割引率と期待運用収益率は、退職給付費用および債務を
資生堂では、その他有価証券のうち、取得原価に比べ
決定する上で、2つの重要な前提条件です。割引率は一定
時価または実質価額が著しく下落したものについては、回
の格付けを有し安全性の高い長期社債の期末における市
復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っ
場利回りを基礎として決定しています。期待運用収益率は
ています。時 価のあるものについては、決算日現在の時 価
年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基
が取得原価を50%以上下回る場合には回復可能性はない
づいて決定しています。経営者は、これらの前提条件は適
ものと判断し、30%以上 50%未満下落の場合には当該有
切であると考えていますが、実際の結果との差異や、前提
価証券の発行会社の財政状態および経営成績を勘案し、
条件の変更が、将来の退職給付費用および債務に影響を
回復可能性を判断しています。時価のないものについては、
及ぼす可能性があります。
発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価
と比較して50%以上下落した場 合、回復可能性があると
判断できる場合を除き、減損処理を行っています。経営者
は、回復可能性の判断が適切なものであると判断していま
すが、回復可能性ありと判断している有価証券について
も、将来、時 価の下 落または投資 先の財政状態および 経
営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があり
ます。
繰延税金資産
資生堂では、回収可能性がないと判断される繰延税金
資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資
産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各々の
納税単位で十分な課税所得を計上するか否かによって判
断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関
する情報が考慮されています。経営者は、当該計上額が適
切なものであると判断していますが、将来の予測不能な事
業上の前提条件の変化に伴う各々の納税単位の経営悪化
により、繰延税金資産に対する評 価性引当を追加で設定
する可能性があります。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
75
連結財務諸表
連結貸借対照表
株式会社資生堂および連結子会社
2010 年および 2011年 3月31日現在
百万円
2010
資産の部
千米ドル
(注1)
2011
2011
流動資産
)注4(
)注7)
現金および預金(注3(
)注4(
)注5)
有価証券(注3(
受取手形および受取債権(注4)
グループ外取引
非連結子会社・関連会社との取引
貸倒引当金
たな卸資産(注6)
繰延税金資産(注9)
その他の流動資産(注14)
流動資産合計
投資その他の資産(注17)
)注5(
)注7)
投資有価証券(注4(
子会社・関連会社への投資(注4)
前払年金費用(注8)
長期貸付金(注4)
長期前払費用
繰延税金資産(注9)
その他の投資(注7)
投資その他の資産合計
有形固定資産(注17)
建物および構築物(注7)
機械装置および器具備品
リース資産
減価償却累計額
土地
建設仮勘定
有形固定資産合計
無形固定資産(注17)
のれん(注 20)
リース資産
商標権
その他の無形固定資産
無形固定資産合計
資産合計
添付の注記はこの連結財務諸表の一部です。
76 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
¥ 70,102
24,723
33,590
158,552
28,740
17,477
10,327
14,164
25,732
288,582
26,242
1,273
24,560
—
9,744
19,577
27,233
108,629
315,598
15,310
295,370
—
117,186
235,442
327,516
1,306,422
157,282
133,374
11,094
301,750
(208,561)
93,189
1,924,774
1,645,749
118,076
3,688,599
(2,547,216)
1,141,383
35,274
4,322
132,785
160,045
136,844
9,818
306,707
(211,801)
94,906
11,852
372
7,913
15,700
35,837
94,123
348
42,628
48,956
186,055
1,131,966
4,185
512,664
588,768
2,237,583
¥ 775,446
¥ 740,184
$ 8,901,792
111,795 1 111,796 (1,050) 110,746 67,342 28,390 16,939 318,242 ¥ 90,007
15,051
102,998 5 103,003 (939) 102,064 67,575 26,658 12,924 314,279 33,491
2,824
131,221
$ 1,082,465
181,010
1,238,701
60
1,238,761
(11,293)
1,227,468
812,688
320,601
155,431
3,779,663
402,778
33,963
1,578,124
百万円
2010
負債および純資産の部
千米ドル
(注1)
2011
2011
流動負債
)注7)
短期債務(注4(
)注7)
1年以内に返済期限の到来する長期債務(注4(
支払手形および支払債務(注4)
グループ外取引
非連結子会社・関連会社との取引
未払金
未払法人税等
返品調整引当金
賞与引当金
役員賞与引当金
危険費用引当金
災害損失引当金
繰延税金負債(注9)
その他の流動負債
流動負債合計
固定負債
)注7)
長期債務(注4(
退職給付引当金(注8)
債務保証損失引当金
環境対策引当金
繰延税金負債(注9)
その他の固定負債
固定負債合計
負債合計
偶発債務(注10)
¥105,966
6,727
43,445
876
44,321
46,989
10,277
11,821
11,320
318
1,026
—
22
22,725
261,512
101,754
40,130
350
499
3,382
2,611
148,726
410,238
¥
5,595
10,766
43,130
642
43,772
37,980
12,215
11,447
11,550
374
765
923
26
24,263
159,676
518,701
7,721
526,422
456,765
146,903
137,667
138,906
4,498
9,200
11,100
313
291,798
1,920,337
775,791
181,156
41,286
350
495
29,166
6,864
259,317
418,993
$
67,288
129,477
2,178,665
496,524
4,209
5,953
350,764
82,550
3,118,665
5,039,002
純資産(注11)
株主資本
資本金
発行可能株式数 1,200,000,000 株
(2010年および2011年 3月31日現在)
発行済株式数
410,000,000 株(2010年 3月31日現在)および
400,000,000 株(2011年 3月31日現在)
資本剰余金
利益剰余金
自己株式
自己株式保有数 12,241,810 株(2010年 3月31日現在)および
2,052,792株(2011年 3月31日現在)
株主資本合計
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金(注5)
為替換算調整勘定
その他の包括利益累計額合計
新株予約権(注12)
少数株主持分
純資産合計
負債および純資産合計
64,507
64,507
70,258 259,064 (23,112) 70,258 232,400 (3,875) 844,955
2,794,949
(46,603)
370,717
363,290
4,369,092
1,055
(23,448)
(22,393)
430
16,454
365,208
84
(55,041)
(54,957)
591
12,267
321,191
1,010
(661,948)
(660,938)
7,108
147,528
3,862,790
¥775,446
¥740,184
$8,901,792
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
77
連結損益計算書
株式会社資生堂および連結子会社
2009年、2010年および2011年3月期
百万円
2009
千米ドル
(注1)
2010
2011
2011
売上高(注20)
¥690,256
¥644,201
¥670,701
$8,066,158
売上原価
売上総利益
171,752
518,504
160,166
484,035
168,692
502,009
2,028,768
6,037,390
販売費および一般管理費(注13)
営業利益(注20)
468,590
49,914
433,684
50,351
457,551
44,458
5,502,718
534,672
2,821
(1,812)
(275)
58
24
71
(206)
(884)
(6,073)
(6,074)
(216)
—
—
—
—
—
1,138
(11,428)
38,486
1,515
(1,569)
(3)
62
163
—
(356)
(463)
(3,469)
—
—
(507)
—
—
—
—
1,015
(3,612)
46,739
1,400
(2,166)
(590)
33
(22)
—
(4,199)
(609)
(458)
—
—
—
(844)
(1,233)
(6,752)
(1,669)
1,346
(15,763)
28,695
16,837
(26,049)
(7,096)
397
(265)
—
(50,499)
(7,324)
(5,508)
—
—
—
(10,150)
(14,829)
(81,203)
(20,072)
16,188
(189,573)
345,099
12,028
3,109
15,137
23,349
14,660
(5,167)
9,493
37,246
18,615
(5,287)
13,328
15,367
223,873
(63,584)
160,289
184,810
(3,976) (2,576) (30,980)
その他の損益
受取利息および受取配当金
支払利息
為替差損益
持分法投資損益
投資有価証券売却損益(注5)
関係会社株式売却損益
投資有価証券およびその他の投資評価損
固定資産処分損益
)注20)
減損損失(注17(
構造改革費用(注18)
リース会計基準の適用に伴う影響額
環境対策費
資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額
買収関連費用
見本品・販促物の見積変更に伴う影響額(注2(2))
災害による損失(注19)
その他
税金等調整前当期純利益
法人税等(注9)
当期
法人税等調整額
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益
当期純利益
¥ 19,373
(3,575) ¥ 33,671
¥ 12,791
$ 153,830
円
1株当たり情報(注2(9))
当期純利益 — 潜在株式調整前
— 潜在株式調整後
配当金
期中平均株式数
(千株)
添付の注記はこの連結財務諸表の一部です。
78 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
米ドル
(注1)
¥48.0
48.0
50.0
¥84.6
84.5
50.0
¥32.1
32.1
50.0
403,240
397,886
397,864
$0.39
0.39
0.60
連結財務諸表
連結包括利益計算書
株式会社資生堂および連結子会社
2010年および2011年3月期
百万円
2010
千米ドル
(注1)
2011
2011
少数株主損益調整前当期純利益
¥37,246
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金(注5)
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
772
3,724
10
4,506
(1,003)
(32,565)
(60)
(33,628)
(12,062)
(391,642)
(721)
(404,425)
包括利益
41,752
(18,261)
(219,615)
37,533
4,219
(19,833)
1,572
(238,521)
18,906
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
¥ 15,367
$ 184,810
添付の注記はこの連結財務諸表の一部です。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
79
連結株主資本等変動計算書
株式会社資生堂および連結子会社
2009年、2010年および2011年3月期
千株
百万円
発行済
株式数
資本金
資本
剰余金
410,000
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
¥64,507
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
¥70,258
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
2009年3月31日現在残高
410,000
2010年3月31日終了年度当期純利益 —
70,258
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
245,545
33,671 (19,975)
—
(170)
(7)
—
—
—
—
—
259,064 12,791 (19,891)
(535)
—
(150)
(18,879)
—­
—
—
—
—
—
2008年3月31日現在残高
在外子会社の会計処理の変更に伴う増減
2009年3月31日終了年度当期純利益
剰余金の配当
自己株式の取得
自己株式の処分
連結範囲の変動
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
新株予約権の発行
少数株主持分
剰余金の配当
自己株式の取得
自己株式の処分
連結範囲の変動
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
新株予約権の発行
少数株主持分
—
—
—
—
—
—
—
—
—
64,507
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
2010年3月31日現在残高
2011年3月31日終了年度当期純利益
410,000 —
—
—
—
—
(10,000)
—
—
—
—
—
—
64,507 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
70,258 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
400,000 ¥64,507 ¥70,258 剰余金の配当
非支配持分との資本取引及びその他
自己株式の取得
自己株式の処分
自己株式の消却
連結範囲の変動
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
新株予約権の発行
少数株主持分
2011年3月31日現在残高
利益
剰余金
¥248,921 ¥(11,197)
(5,386)
—
19,373
—
(16,982)
—
—
(6,546)
(430)
903
49
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
2010年3月31日現在残高
2011年3月31日終了年度当期純利益
剰余金の配当
非支配持分との資本取引及びその他 自己株式の取得
自己株式の処分
自己株式の消却
連結範囲の変動
その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
新株予約権の発行
少数株主持分
2011年3月31日現在残高
その他有価証券
評価差額金
繰延ヘッジ
損益
為替換算
調整勘定
新株
予約権
少数
株主持分
¥ 5,274
—
—
—
—
—
—
(4,921)
—
—
—
—
¥(57)
—
—
—
—
—
—
—
57
—
—
—
¥ 4,764
—
—
—
—
—
—
—
—
(31,363)
—
—
¥154
—
—
—
—
—
—
—
—
—
102
—
¥17,115
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(2,644)
(16,840)
—
—
(6,830)
558 —
—
—
—
—
—
353
—
—
—
—
—
702 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(26,599)
—
—
—
—
—
—
—
3,151 —
—
256
—
—
—
—
—
—
—
—
174 —
14,471
—
—
—
—
—
—
—
—
—
1,983
(23,112)
—
—
—
(13)
371 18,879 —
—
—
—
—
—
1,055 —
—
—
—
—
—
—
(971) —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(23,448)
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(31,593) —
—
430 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
161 —
16,454
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(4,187)
—
¥(55,041)
¥591 ¥12,267
為替換算
調整勘定
新株
予約権
少数
株主持分
¥232,400 ¥ (3,875)
千株
発行済
株式数
自己株式
¥
84 千米ドル
(注1)
資本金
資本
剰余金
利益
剰余金
自己株式
その他有価証券
評価差額金
繰延ヘッジ
損益
410,000 $775,791 $844,955 $3,115,622 $(277,956)
—
—
—
153,830 —
—
—
—
(239,218)
—
—
—
—
(6,434)
—
—
—
—
—
(156)
—
—
—
(1,804)
4,462 (10,000)
—
—
(227,047) 227,047 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
$ 12,688 —
—
—
—
—
—
—
(11,678)
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
$(281,996)
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(379,952)
—
—
$5,171 —
—
—
—
—
—
—
—
—
—
1,937 —
$197,883
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
—
(50,355)
400,000 $775,791 $844,955 $2,794,949 $ (46,603)
$ 1,010 —
$(661,948)
$7,108 $147,528
添付の注記はこの連結財務諸表の一部です。
80 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
連結財務諸表
連結キャッシュ・フロー計算書
株式会社資生堂および連結子会社
2009年、2010年および2011年3月期
百万円
2009
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益
減価償却費
のれん償却額
減損損失
構造改革費用
リース会計基準の適用に伴う影響額
環境対策費
資産除去債務会計基準適用に伴う影響額
買収関連費用
見本品・販促物の見積変更に伴う影響額
災害による損失
貸倒引当金の増加
(減少)
額
返品調整引当金の増加
(減少)
額
賞与引当金の増加
(減少)
額
役員賞与引当金の増加
(減少)
額
危険費用引当金の増加
(減少)
額
退職給付引当金の増加
(減少)
額
前払年金費用の
(増加)
減少額
受取利息および受取配当金
支払利息
持分法投資損益
投資有価証券売却損益
関係会社株式売却損益
投資有価証券およびその他の投資評価損
固定資産処分損益
売上債権の
(増加)
減少額
たな卸資産の
(増加)
減少額
仕入債務の増加
(減少)
額
その他
小計
利息および配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
定期預金の預入れによる支出
定期預金の払戻しによる収入
有価証券の取得による支出
有価証券の売却による収入
投資有価証券の取得による支出
投資有価証券の売却による収入
有形固定資産の取得による支出
有形固定資産の売却による収入
無形固定資産の取得による支出
長期前払費用の取得による支出
長期貸付金の貸付けによる支出
連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出
子会社株式の取得による支出
連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(注3)
その他
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期債務による増加
(減少)
額
長期債務の増加による収入
長期債務の返済による支出
自己株式の取得による支出
自己株式の処分による収入
配当金の支払額
少数株主への配当金の支払額
その他
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金および現金同等物に係る換算差額
現金および現金同等物の増減額
現金および現金同等物の期首残高(注3)
連結の範囲の変更に伴う現金および現金同等物の増減額(注3)
現金および現金同等物の期末残高(注3)
千米ドル
(注1)
2010
2011
2011
¥ 38,486
28,289
1,562
6,073
6,074
216
—
—
—
—
—
(230)
2,175
(2,466)
10
(19)
1,990
553
(2,821)
1,812
(58)
(24)
(71)
206
884
(5,053)
(10,340)
(4,698)
(3,255)
59,295
2,823
(1,808)
(17,542)
42,768
¥ 46,739
26,350
1,041
3,469
—
—
507
—
—
—
—
(73)
693
1,735
198
363
745
5,620
(1,515)
1,569
(62)
(163)
—
356
463
(8,472)
2,015
(9,085)
4,403
76,896
1,563
(1,529)
(7,498)
69,432
¥ 28,695
29,511
5,204
458
—
—
—
844
1,233
6,752
1,669
(53)
(5)
455
56
(79)
1,517
4,180
(1,400)
2,166
(33)
22
—
4,199
609
3,323
728
(6,135)
1,203
85,119
1,431
(2,060)
(16,903)
67,587
(31,738)
27,668
(935)
1,639
(3,816)
3,927
(16,133)
757
(5,671)
(6,419)
—
—
—
343
2,220
(28,158)
(33,151)
28,668
(1,365)
1,502
(157,574)
318
(15,545)
818
(4,685)
(5,287)
(20,841)
—
—
—
2,257
(204,885)
(28,066)
27,821
(1,191)
942
(30)
1,352
(17,702)
987
(4,578)
(4,053)
0
(752)
(5,724)
—
690
(30,304)
(337,535)
334,588
(14,324)
11,329
(361)
16,260
(212,892)
11,870
(55,057)
(48,743)
0
(9,044)
(68,839)
—
8,298
(364,450)
(99,817)
100,022
(15,700)
(14)
221
(19,879)
(4,405)
—
(39,572)
(6,936)
(9,225)
77,157
20,660
¥ 88,592
(1,200,445)
1,202,910
(188,815)
(168)
2,658
(239,074)
(52,977)
—
(475,911)
(83,415)
(110,944)
927,925
248,467
$ 1,065,448
670
28,669
(36,623)
(6,546)
473
(16,972)
(2,065)
111
(32,283)
(10,753)
(28,426)
120,394
(110)
¥ 91,858
101,335
70,879
(23,855)
(6,830)
388
(19,955)
(1,905)
302
120,359
393
(14,701)
91,858
—
¥ 77,157
$
345,099
354,913
62,586
5,508
—
—
—
10,150
14,829
81,203
20,072
(637)
(60)
5,472
673
(950)
18,244
50,271
(16,837)
26,049
(397)
265
—
50,499
7,324
39,964
8,755
(73,782)
14,467
1,023,680
17,210
(24,775)
(203,283)
812,832
添付の注記はこの連結財務諸表の一部です。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
81
連結財務諸表に対する注記
株式会社資生堂および連結子会社
1. 連結財務諸表作成の基準
会計原則および開示方法
(株)資生堂および連結子会社の財務諸表は、日本の金融商品取引法、会社法および一般に公正妥当と認められた会計
原則に準拠して作成されており、会計処理方法や開示要求は国際財務報告基準に基づくものとは異なる部分があります。
日本の関東財務局長に提出した連結財務諸表を日本以外の国の投資家に分かりやすくするために、表示形式の組み替え
を行っています。また前期以前の連結財務諸表を当期の表示形式にあわせて一部組替表示を行っています。
米ドル表示は専ら日本以外の国の投資家の理解を促すために記載しています。2011年3月31日の1米ドル=83.15円で換
算しています。この米ドル表示は、円金額がそのレートで米ドルに交換、実現あるいは決済できることを示すものではありま
せん。
2. 重要な会計方針
( 1 )連結の範囲
2011年3月31日現在、
(株)資生堂には97社(2009年3月31日は91社、2010年3月31日は99社)の子会社(親会社によっ
て意思決定機関が支配されている会社)があり、連結財務諸表ではそのうち95社(2009年3月31日は86社、2010年3月31
日は97社)がその対象となります。また、14社(2009年3月31日は20社、2010年3月31日は17社)の関連会社(財務および
営業方針の決定に対して重要な影響を親会社から受ける会社)があり、2011年3月31日現在の連結財務諸表では3社
(2009年3月31日、2010年3月31日ともに3社)に対して持分法を適用しています。
資生堂スイスは、株式を取得したため、当期より連結の範囲に含めています。
MDビューティーセールス、IDダイレクトおよびカリタUKの3社は、清算したため、当期より連結の範囲から除いています。
主要な連結子会社は、
「主要関係会社(P58)」を参照してください。
一部の連結子会社の決算日は、12月31日であり、連結財務諸表の作成にあたっては同日現在の財務諸表を使用し、連結
決算日との間に生じた重要な取引については連結上必要な調整を行っています。
非連結子会社 2社および持分法を適用していない関連会社11社に対する投資については、原価法を適用しています。
子会社の資産および負債については、連結子会社の支配獲得日における公正価額で全面時価評価法により連結財務諸
表に反映させています。
当社グループ内の重要な取引および債権債務残高は、連結上消去されています。また、グループ内での取引から生じた重
要な未実現利益は消去されています。
( 2 )たな卸資産
通常の販売目的で保有するたな卸資産については、従来、
(株)資生堂は総平均法による原価法、連結子会社は主として
(企業会計基準第9号 2006
最終仕入原価法によっていましたが、2009年3月期より「棚卸資産の評価に関する会計基準」
年7月5日公表分)が適用されたこと、ならびに(株)資生堂と連結子会社の会計処理の統一を進めたことに伴い、主として
総平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しています。
なお、
この変更により、
2009年3月期の営業利益、税金等調整前当期純利益および当期純利益に与える影響は軽微です。
(追加情報)
見本品・販促物の会計処理
従来より、欧州等の一部の在外連結子会社について、店頭販売活動に関する見本品・販促物は、販売可能性があるもの
について資産計上しています。当社グループでは、効率化を推し進める取り組みの一環として、新基幹システムの海外導入展
開を順次拡大し、経営の見える化と業務のグローバル標準化を進めたことに伴い、当該在外連結子会社が使用する見本品・
販促物の販売可能性の見積りの精度が向上しました。この販売可能性の見積りの変更の結果、従来の方法によった場合と
比べ、2011年3月期の税金等調整前当期純利益が6,751百万円ならびに当期純利益が4,805百万円減少しています。
( 3 )有形固定資産(リース資産を除く)
建物(附属設備を除く)は定額法、建物以外については(株)資生堂および国内連結子会社は主として定率法、在外連結
子会社は主として定額法を採用しています。また、国内の主要な固定資産については、その資産の耐久度、陳腐化の程度お
よび特殊性を勘案した独自の耐用年数(法定耐用年数を2 ~ 3割程度短縮)を設定しています。
82 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
( 4 )無形固定資産(リース資産を除く)
主として定額法を採用しています。なお、定額法によって償却を実施している無形固定資産の耐用年数は次の通りです。
ソフトウェア
主として5 年
顧客関連無形資産
主として10 年
(5)
リース資産
(株)資生堂および連結子会社は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却の方法について
は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロ(0)とする定額法を採用しています。
(株)資生堂および国内連結子会社は、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、従来、賃貸借取引に係る方法
(企業会計基準第13号(1993年
に準じた会計処理によっていましたが、2009年3月期より「リース取引に関する会計基準」
(企業会
6月17日(企業会計審議会第一部会)、2007年3月30日改正))および「リース取引に関する会計基準の適用指針」
計基準適用指針第16号(1994年1月18日(日本公認会計士協会 会計制度委員会)、2007年3月30日改正))を適用し、
通常の売買取引に係る会計処理によっています。
これにより、2009年3月期の営業利益は285百万円増加し、税金等調整前当期純利益は180百万円、当期純利益は106
百万円減少しています。
なお、セグメント情報に与える影響は当該箇所に記載しています。
( 6 )長期前払費用
主として定額法を採用しています。
( 7 )のれん
のれんの償却については、その個別案件ごとに判断し、20年以内の合理的な年数で定額法により償却しています。
( 8 )有価証券
(株)資生堂および連結子会社が保有する有価証券は、その他有価証券に区分しています。時価のあるものについては、
決算期末日の市場価格等に基づく時価法で評価しています。評価差額は全部純資産直入法によって処理し、税効果控
除後の金額を純資産の部に区分表示しています。なお、売却原価は主として移動平均法によって算定しています。時価が
ないものについては、主として移動平均法による原価法で評価しています。ただし、投資事業有限責任組合等への出資は
組合等の財産の持分相当額を有価証券として計上し、組合等の営業により獲得した損益の持分相当額を損益として計上
しています。
1年以内に満期の到来する債券および現金同等物と認識される債券は流動資産の有価証券、それ以外は投資有価証券
として表示しています。
( 9 )1株当たり当期純利益および配当金
1株当たり当期純利益の基準となる株式数は、期中平均株式数によって算出しています。潜在株式調整後1株当たり当期
純利益は、新株発行をもたらす権利の行使や約定の履行あるいは新株への転換によって起こる希薄化の影響を考慮して計
算しています。
連結損益計算書の各年度の1株当たり配当金は、当該年度の公表配当額であり、支払配当額ではありません。
(10)消費税
日本では商品やサービスの消費(例外あり)に対して均一率の消費税が課せられます。
(株)資生堂および国内連結子会社は、販売時に預かった消費税と商品やサービスの購入時に支払った消費税を相殺
した後、国に納付しています。
また、
(株)資生堂および国内連結子会社は、消費税を連結損益計算書の関連項目から控除しています。
(11)貸倒引当金
(株)資生堂および国内連結子会社は、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績
率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
在外連結子会社は、主として特定の債権について回収不能見込額を計上しています。
(12)返品調整引当金
(株)資生堂および連結子会社は、返品による損失に備えるため、過去の返品率および市場の流通状況を勘案して見積
もった損失見込額を計上しています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
83
( 13 )賞与引当金
(株)資生堂および連結子会社は、従業員に対する賞与支払いに備えるため、将来の支給見込額に基づき、当期間の負担
見込額を計上しています。なお、取締役を兼務しない執行役員に対する賞与引当金を含んでおり、その計上基準は役員賞与
引当金と同様です。
( 14 )役員賞与引当金
取締役(社外取締役を除く)に対する賞与支払いに備えるため、将来の支給見込額に基づき、当期間の負担見込額を計上
しています。
( 15 )危険費用引当金
一部の在外連結子会社は、訴訟リスク、製品保証リスク、税務リスク等の危険費用の発生による損失に備えるため、将来
の発生可能性を勘案して見積もった損失負担見込額を計上しています。
( 16 )災害損失引当金
東日本大震災による被災商品に係る引取償却費等に備えるため、将来に支出される見込額を計上しています。
( 17 )退職給付引当金
(株)資生堂および国内連結子会社、ならびに一部の在外連結子会社では、従業員の退職給付に備えるため、当期末に
おける退職給付債務および年金資産の見込額に基づいて計上しています。過去勤務債務は、主としてその発生時の従業員
の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により費用処理しています。数理計算上の差異は、主としてそ
の発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により翌期から費用処理することとしてい
ます。
(企業会計基
(株)資生堂および国内連結子会社は、2010年3月期より「退職給付に係る会計基準」の一部改正(その3)
準第19号 2008年7月31日)を適用しています。これによる退職給付債務ならびに営業利益、税金等調整前当期純利益に与
える影響はありません。
( 18 )債務保証損失引当金
債務保証に係る損失に備えるため、被保証先の財政状態等を勘案し、損失負担見込額を計上しています。
( 19 )環境対策引当金
「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」によって処理することが義務付けられている
ポリ塩化ビフェニル( PCB)廃棄物の処理に備えるため、その処理費用見込額を計上しています。
( 20 )外貨換算
外貨建金銭債権債務は、各社の決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しています。
外貨建の非連結子会社および関連会社への投資は、取得日レートで円貨に換算しています。
( 21 )デリバティブ取引およびヘッジ取引
(株)資生堂および連結子会社は、市場リスクの回避・軽減および安定的な利益の確保を図るため、通貨関連では為替予
約取引や通貨オプション取引、金利関連では金利スワップ取引および金利通貨スワップを利用しています。なお、債権債務
残高および実需の範囲内でのみデリバティブを利用することを方針としており、投機的な取引は行わない方針です。
デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従って行っており、また、デリバティブの利用に
あたっては、信用リスクを軽減するために、信用度の高い金融機関とのみ取引を行っています。
デリバティブ金融商品は時価等で評価され、その評価損益を当該期の損益として計上しています。ヘッジ会計の要件を満
たすデリバティブ取引については、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで、取引に係る損益を繰り延べています。なお、特
例処理の要件を満たす金利スワップ取引については、特例処理により、一体処理(特例処理、振当処理)の要件を満たす金
利通貨スワップ取引については、一体処理によっています。
また、負債に係る金利の受払条件を変換することを目的として利用されている金利スワップが、金利変換の対象となる負
債とヘッジ会計の要件を満たしており、かつ、特定の条件を満たす場合には、その金銭の受払いの純額等を当該負債に係
る利息に加減して処理しています。
ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動の累計または相場変動とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計または相場変
動を比較し、両者の変動額等を基礎にして、ヘッジの有効性を評価しています。ただし、特例処理および一体処理によって
いるものについては、有効性の評価を省略しています。
84 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
連結財務諸表に対する注記
( 22 )在外連結子会社および関連会社の財務諸表項目の円換算
在外連結子会社および関連会社の資産および負債は、各社の決算日の直物為替相場により円貨に換算し、資本項目は当
該項目の発生時の為替レートによって換算しています。収益および費用は各社の会計期間に基づく期中平均相場により円貨
に換算しています。換算差額については、純資産の部における為替換算調整勘定および少数株主持分に含めています。
( 23 )連結キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲
連結キャッシュ・フロー計算書における資金(現金および現金同等物)は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容
易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短
期投資です。
( 24 )連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い
2009年3月期より、
「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」
(実務対応報告第18号
2006年5月17日)を適用し、連結決算上必要な修正を行っています。
この変更により、従来の方法によった場合と比べ、2009年3月期の営業利益は1,095百万円減少、税金等調整前当期純
利益は950百万円減少、当期純利益は456百万円増加しています。
なお、セグメント情報に与える影響は当該箇所に記載しています。
( 25 )連結納税制度の適用
当社および一部の国内連結子会社は、2012年3月期より連結納税制度の適用を受けることについて、国税庁長官の承
(
」実務対応
認を受けました。また、当期より、
「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)
(
」実務対
報告第5号 2011年3月18日)および「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)
応報告第7号 2010年6月30日)に基づき、連結納税制度の適用を前提とした会計処理および表示をしています。
( 26 )資産除去債務に関する会計基準等の適用
当期より、
「資産除去債務に関する会計基準」
(企業会計基準第18号 2008年3月31日)および「資産除去債務に関する会
計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第21号 2008年3月31日)を適用しています。これにより、2011年3月期の営業
利益は131百万円、税金等調整前当期純利益は976百万円減少しています。
( 27 )企業結合に関する会計基準等の適用
当期より、
「企業結合に関する会計基準」
(企業会計基準第21号 2008年12月26日)、
「連結財務諸表に関する会計基準」
「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」
(企業会計基準第23号 2008年
企業会計基準第22号 2008年12月26日)、
「事業分離等に関する会計基準」
(企業会計基準第7号 2008年12月26日)
、
「持分法に関する会計基準」
(企業
12月26日)、
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
(企業会計
会計基準第16号 2008年12月26日公表分)、
基準適用指針第10号 2008年12月26日)を適用しています。
( 28 )連結包括利益計算書の開示
当期より、
「包括利益の表示に関する会計基準」
(企業会計基準第25号 2010年6月30日)を適用しています。
「評価・換算差額等」
ただし、2010年3月期の「その他の包括利益累計額」および「その他の包括利益累計額合計」は、
および「評価・換算差額等合計」を表示したものです。また、2010年3月期の連結包括利益計算書についても2011年3月期
と同様に作成しています。
3. キャッシュ・フロー情報
2009年、2010年および 2011年3月31日現在の、現金および現金同等物の期末残高と連結貸借対照表に表示されている
科目の金額との関係は以下の通りです。
百万円
現金および預金
有価証券
2009
千米ドル(注 1)
2010
2011
2011
¥ 57,411
47,344
¥ 70,102
24,723 ¥ 90,007 15,051 $1,082,465
181,010
計
預金期間が3カ月を超える定期預金
償還期限が3カ月を超える債券等
現金および現金同等物
¥104,755
(11,536)
(1,361)
¥ 91,858
¥ 94,825
(16,287)
(1,381)
¥ 77,157
¥105,058 (14,834)
(1,632)
¥ 88,592 $1,263,475
(178,400)
(19,627)
$1,065,448
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
85
2009年3月期に株式の売却により資生堂開発(株)が連結子会社でなくなったことに伴う、売却時の会社の資産および
負債の内訳、ならびに同社株式の売却価額と売却による収入は以下の通りです。
百万円
流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
株式売却後の投資勘定
連結子会社の減少による利益剰余金増加高
株式売却益
資生堂開発(株)の売却価額
資生堂開発(株)の現金および現金同等物
差引:売却による収入
¥ 3,638
559
(3,396)
(350)
(49)
4
71
¥ 477
(134)
¥ 343
2010年3月期の投資有価証券の取得による支出には、ベアエッセンシャルインコーポレーテッドへの投資額157,236百万
円を含んでいます。詳細は「21. 企業結合」注記をご参照ください。
2010年3月8日に連結子会社としたベアエッセンシャルインコーポレーテッドについて、2010年3月期には取得原価の配分
が完了しておらず暫定的な会計処理を行っていましたが、2011年3月期に取得原価の配分が完了しました。これに伴い増加
した現金および現金同等物を「連結の範囲の変更に伴う現金および現金同等物の増減額」として計上しています。詳細は
「21. 企業結合」注記をご参照ください。
重要な非資金取引は以下の通りです。
2009年3月期に新たに計上したファイナンス・リース取引に係る資産および負債の額は、それぞれリース資産9,281百万
円、リース債務9,497百万円です。
2010年3月期に新たに計上したファイナンス・リース取引に係る資産および負債の額は、それぞれリース資産3,831百万円、
リース債務3,831百万円です。
2011年3月期に新たに計上したファイナンス・リース取引に係る資産および負債の額は、それぞれリース資産1,415百万円
(17,017千米ドル)、リース債務1,415百万円(17,017千米ドル)です。
4. 金融商品
2010年3月期より、
「金融商品に関する会計基準」
(企業会計基準第10号 2008年3月10日)および「金融商品の時価等の
開示に関する適用指針」
(企業会計基準適用指針第19号 2008年3月10日)を適用し、従来の開示に加えて、金融商品の状
況に関する事項および金融商品の時価等に関する事項が開示対象に追加されています。
( 1 )金融商品の状況に関する事項
① 金融商品に対する取組方針
(株)資生堂および連結子会社は、資金運用については短期的な預金や有価証券等に限定し、また、資金調達に
ついては銀行借入、コマーシャル・ペーパーおよび社債等による方針です。デリバティブは、外貨建債権債務の為替
変動リスクや借入金の金利変動リスクを回避するために、
債権債務残高および実需の範囲内でのみ利用することと
しており、投機的な取引は行わない方針です。
② 金融商品の内容およびそのリスクならびにリスク管理体制
営業債権である受取手形および受取債権は、顧客の信用リスクにさらされています。当該リスクに関しては、取引
先ごとの期日管理および残高管理を行っています。
投資有価証券は、主に取引先企業との業務に関連する株式等であり、市場価格の変動リスクにさらされていま
す。リスク管理のため、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握しています。
営業債務である支払手形および支払債権は、1年以内の支払期日です。
有利子負債のうち、短期借入金およびコマーシャル・ペーパーは主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入
金、社債およびリース債務は主に投融資、設備投資ならびに営業取引に係る資金調達です。変動金利の借入金は、
金利の変動リスクにさらされていますが、このうち長期のものの一部については、支払金利の変動リスクを回避し支
払利息の固定化を図るために、個別契約ごとにデリバティブ取引(金利スワップ取引および2011年3月期からは加
えて金利通貨スワップ取引)をヘッジ手段として利用しています。
86 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
連結財務諸表に対する注記
デリバティブ取引は、外貨建債権債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした為替予約取引や
通貨オプション取引、借入金に係る支払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利スワップ取引なら
びに外貨建借入金に係る為替の変動リスクおよび支払金利の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした金利通
貨スワップ取引です。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針、ヘッジの有効性の評価方法
等については、
「2.重要な会計方針 (21)デリバティブ取引およびヘッジ取引」に記載しています。
デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程に従って行っており、また、デリバティブ
の利用にあたっては、信用リスクを軽減するために、信用度の高い金融機関とのみ取引を行っています。
(株)資生堂および連結子会社では、月次
また、営業債務や有利子負債は、流動性リスクにさらされていますが、
に資金繰計画を作成するなどの方法により管理しています。
③ 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含ま
れています。当該価額の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、
当該価額が変動することもあります。また、
「16.デリバティブ取引関係」におけるデリバティブ取引に関する契約額
等については、その金額自体がデリバティブ取引に係る市場リスクを示すものではありません。
( 2 )金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価およびこれらの差額については、次の通りです。なお、時価を把握することが極めて困難と
認められるものは、次の表には含めていません(*2参照)。
百万円
2010
連結貸借対照表
計上額
(*)
① 現金および預金
② 受取手形および受取債権
(貸倒引当金控除後)
③ 有価証券および投資有価証券
その他有価証券
④ 長期貸付金
⑤ 支払手形および支払債務
⑥ 短期借入金
⑦ 社債 ⑧ 長期借入金
⑨ リース債務
⑩ デリバティブ取引
i ヘッジ会計が適用されていないもの
ii ヘッジ会計が適用されているもの
時価
(*)
差額
¥ 70,102 ¥ 70,102 —
110,746 110,746 —
45,876 17,477
(91,310)
(105,966)
(50,000)
(52,053)
(6,428)
45,876 17,477
(91,310)
(105,966)
(49,830)
(52,143)
(6,538)
—
—
—
—
¥ 170
(90)
(110)
(259)
—
(259)
(474)
—
(474)
百万円
2011
連結貸借対照表
計上額
(*)
① 現金および預金
② 受取手形および受取債権
(貸倒引当金控除後)
③ 有価証券および投資有価証券
その他有価証券
④ 長期貸付金
⑤ 支払手形および支払債務
⑥ 短期借入金
⑦ 社債 ⑧ 長期借入金
⑨ リース債務
⑩ デリバティブ取引
i ヘッジ会計が適用されていないもの
ii ヘッジ会計が適用されているもの
時価
(*)
差額
¥ 90,007 ¥ 90,007 —
102,064 102,064 —
31,982 —
(81,752)
(5,595)
(90,000)
(96,847)
(5,075)
31,982 —
(81,752)
(5,595)
(90,112)
(95,025)
(5,159)
—
—
—
—
¥ (112)
1,822
(84)
(39)
—
(39)
(2,556)
—
(2,556)
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
87
千米ドル
(注1)
2011
連結貸借対照表
計上額
(*)
① 現金および預金
② 受取手形および受取債権
(貸倒引当金控除後)
③ 有価証券および投資有価証券
その他有価証券
④ 長期貸付金
⑤ 支払手形および支払債務
⑥ 短期借入金
⑦ 社債 ⑧ 長期借入金
⑨ リース債務
⑩ デリバティブ取引
i ヘッジ会計が適用されていないもの
ii ヘッジ会計が適用されているもの
時価
(*)
差額
$ 1,082,465 $ 1,082,465 —
1,227,468 1,227,468 —
384,630 —
(983,187)
(67,288)
(1,082,381)
(1,164,726)
(61,034)
384,630 —
(983,187)
(67,288)
(1,083,728)
(1,142,814)
(62,044)
—
—
—
—
$ (1,347)
21,912
(1,010)
(469)
—
(469)
(30,740)
—
(30,740)
* 負債に計上されているものについては、
( )
で示しています。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については
( )
で示しています。
*1 金融商品の時価の算定方法ならびに有価証券およびデリバティブ取引に関する事項
① 現金および預金、ならびに②受取手形および受取債権
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっています。
③ 有価証券および投資有価証券
有価証券はその他有価証券として保有しており、これらの時価について、株式は取引所の価格によっており、債券は取引金融機関から提示された
価格によっています。なお、その他有価証券のうち、短期間で決済されるものは、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によってい
ます。
④ 長期貸付金
長期貸付金の時価については、変動金利によるものであり市場金利を反映しているところから、時価は帳簿価額と近似していると考えられるため、
当該帳簿価額によっています。
⑤ 支払手形および支払債務、ならびに⑥短期借入金
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっています。
⑦ 社債
当社の発行する社債の時価は、市場価格に基づき算定しています。
⑧ 長期借入金
長期借入金の時価については、変動金利によるものは市場金利を反映しており、また、当社の信用状態は実行後大きく異なっていないことから、
時価は帳簿価額と近似していると考えられるため、当該帳簿価額によっています。固定金利によるものは、元利金の合計額を同様の新規借入を
行った場合に想定される利率で割り引いて算定する方法によっています。
⑨ リース債務
リース債務の時価については、元利金の合計額を新規に同様のリース取引を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定する
方法によっています。
⑩ デリバティブ取引
「16. デリバティブ取引関係」をご参照ください。
*2 時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品
百万円
区分
子会社・関連会社株式
非上場株式
投資事業有限責任組合等
2010
連結貸借対照表計上額
¥158,552
10,771
1,666
千米ドル
(注1)
2011
2011
連結貸借対照表計上額 連結貸借対照表計上額
¥1,273 8,160 1,151 $15,310
98,136
13,842
これらについては、市場価格がなく、
かつ、将来キャッシュ・フローを見積もるには過大なコストを要すると見込まれます。従って、時価を把握することが極
には含めていません。
めて困難と認められるものであるため、
「③有価証券および投資有価証券 その他有価証券」
88 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
連結財務諸表に対する注記
*3 金銭債権および満期がある有価証券の連結決算日後の償還予定額
百万円
2010
1年以内
現金および預金
受取手形および受取債権
有価証券および投資有価証券
その他有価証券のうち満期があるもの
長期貸付金
1年超5年以内
5年超10年以内
10年超
¥ 70,102 110,746 —
—
—
—
—
—
17,499 —
¥198,347 ¥ 1,636 17,466
¥19,102 —
¥11
¥11
¥4,500
—
¥4,500
1年超5年以内
5年超10年以内
10年超
¥ 90,007 102,064 —
—
—
—
—
—
6,148 ¥198,219 ¥1,296 ¥1,296 —
—
¥4,500
¥4,500
5年超10年以内
10年超
百万円
2011
1年以内
現金および預金
受取手形および受取債権
有価証券および投資有価証券
その他有価証券のうち満期があるもの
千米ドル
(注1)
2011
1年以内
現金および預金
受取手形および受取債権
有価証券および投資有価証券
その他有価証券のうち満期があるもの
1年超5年以内
$1,082,465 1,227,468 —
—
—
—
—
—
73,939 $2,383,872 $15,586
$15,586 —
—
$54,119
$54,119
5. 有価証券
2010年および 2011年3月31日現在の、時価のある有価証券の種類別、取得原価、連結貸借対照表計上額、評価差額は
以下の通りです。
その他有価証券
百万円
2010
取得原価
株式
債券
その他
連結貸借対照表計上額
評価差額
(益)
評価差額
(損)
¥12,189 ¥14,922 ¥4,255 ¥1,522
5,603 26,218 ¥44,010 4,732 26,222 ¥45,876 4
72 ¥4,331 875
68
¥2,465
百万円
2011
取得原価
株式
債券
その他
¥ 9,645 5,845 16,256 ¥31,746 連結貸借対照表計上額
¥11,025 4,682 16,275 ¥31,982 評価差額
(益)
¥2,245 8
116 ¥2,369 評価差額
(損)
¥ 865
1,171
97
¥2,133
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
89
千米ドル
(注1)
2011
取得原価
株式
債券
その他
$115,995 70,295 195,502 $381,792 連結貸借対照表計上額
評価差額
(益)
$132,592 56,308 195,730 $384,630 評価差額
(損)
$27,000 96 1,395 $28,491 $10,403
14,083
1,166
$25,652
* 2009年、2010年および2011年3月期において、時価のある有価証券について、
それぞれ164百万円、24百万円および1,587百万円
(19,086千米
332百万円および2,608百万円(31,365千米ドル)
の減損処理をしています。
ドル)
、時価のない株式について、
それぞれ23百万円、
2009年、2010年および2011年3月期に売却したその他有価証券の売却額および売却損益は以下の通りです。
百万円
売却額
売却益の合計額
売却損の合計額
千米ドル
(注1)
2009
2010
2011
¥1,980 36 12 ¥1,820
199
36
¥2,294 177 199 2011
$27,589
2,129
2,393
6. たな卸資産
2010年および2011年3月31日現在のたな卸資産は以下の通りです。
百万円
商品および製品
仕掛品
原材料および貯蔵品
千米ドル
(注1)
2010
2011
2011
¥37,957
¥45,667 3,273 3,066 36,873
26,112 18,842 226,603
¥67,342
¥67,575 $812,688
$549,212
7. 短期債務および長期債務
2010 年および 2011年 3月31日現在の短期債務および長期債務は以下の通りです。
百万円
銀行その他の金融機関からの短期借入金(平均利率 4.33%)
短期債務
銀行その他の金融機関からの長期借入金
(1年以内返済予定、平均利率 0.52%)
(1年以内返済予定除く、平均利率0.66%)
第5回無担保普通社債(2014 年12月償還、利率0.65%)
第 6 回無担保普通社債(2015 年 6月償還、利率0.55%)
リース債務
(1年以内返済予定、平均利率 3.01%)
(1年以内返済予定除く、平均利率 3.04%)
1年以内に返済期限の到来する長期債務 長期債務
90 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
千米ドル
(注1)
2010
¥105,966 ¥105,966
2011
¥
¥
5,595 5,595 4,273
47,780 50,000 —
8,509 88,338 50,000 40,000 2,454
3,974 ¥108,481
(6,727)
¥101,754
2,257 2,818 ¥191,922 (10,766)
¥181,156 2011
$
$
67,288
67,288
102,333
1,062,393
601,323
481,058
27,144
33,891
$2,308,142
(129,477)
$2,178,665
連結財務諸表に対する注記
2011年 3月31日現在の長期債務のうち、2011年 4月1日以降の各期の返済予定額は以下の通りです。
3月31日に終了する期
百万円
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年以降
¥ 10,766 7,343 30,790 55,354 45,156 42,513 ¥191,922 千米ドル
(注1)
$ 129,477
88,310
370,295
665,712
543,067
511,281
$2,308,142
2011年3月31日現在の担保に供している資産は以下の通りです。
百万円
千米ドル
(注1)
2011
建物および構築物
その他の投資
投資有価証券
現金および預金
機械装置および器具備品
¥16,606 15,200 1,512 1,218 2
¥34,538 2011
$199,712
182,802
18,184
14,648
24
$415,370
なお、当該担保資産は、下記の担保付債務以外に、デリバティブ取引(金利スワップ)の担保に供されています。
2011年3月31日現在の担保付債務は以下の通りです。
百万円
千米ドル
(注1)
2011
1年以内に返済期限の到来する長期債務
¥
長期債務
800 24,050 ¥24,850 2011
$
9,621
289,236
$298,857
8. 退職給付引当金
(株)資生堂および国内連結子会社は、退職給付制度として、企業年金基金制度、退職一時金制度のほかに確定拠出
型制度、退職金前払い制度を設けています。なお、従業員の退職等に際して、支払時に退職給付費用として処理する割増
退職金等を支払う場合があります。
また、一部の在外連結子会社は、確定給付型制度、退職一時金制度および確定拠出型制度を設けています。
2010 年および 2011年 3月31日現在の連結貸借対照表における、退職給付債務、年金資産、未積立退職給付債務、前
払年金費用および退職給付引当金の額は以下の通りです。
百万円
退職給付債務
年金資産
未積立退職給付債務
未認識数理計算上の差異
未認識過去勤務債務
連結貸借対照表計上額純額
前払年金費用
退職給付引当金
千米ドル
(注1)
2010
2011
2011
¥(203,578)
158,407
(45,171)
36,743
(2,962)
¥ (11,390)
28,740
¥ (40,130)
¥(205,565)
159,368 (46,197)
30,816 (1,345)
¥ (16,726)
24,560 ¥ (41,286)
$(2,472,219)
1,916,633
(555,586)
370,607
(16,175)
$ (201,154)
295,370
$ (496,524)
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
91
2009年、2010年および2011年3月期の退職給付費用は以下の通りです。
百万円
勤務費用
利息費用
期待運用収益
数理計算上の差異の費用処理額
過去勤務債務の費用処理額
退職給付費用
2009
2010
¥ 8,712
4,965
(7,011)
5,500
(2,125)
¥10,041
¥ 7,971
5,022
(5,853)
9,031
(2,125)
¥14,046
千米ドル(注 1)
2011
¥ 8,116 5,099 (6,362)
7,899 (1,783)
¥12,969 2011
$ 97,607
61,323
(76,513)
94,997
(21,443)
$155,971
(株)資生堂および連結子会社の退職給付債務の、2010 年および 2011年 3月31日現在の現在価値算出に使用した割
引率は主として2.5%です。2010 年および 2011年 3月31日現在の、年金資産の期待運用収益率は主として4.0%です。
退職給付見込額の期間配分方法は期間定額基準によっています。一部の在外子会社は数理計算上の差異について回
廊アプローチを適用しています。
9. 法人税等
(株)資生堂および国内連結子会社の法人税等は、法人税、住民税および事業税から構成されています。2009 年、
2010 年および 2011年 3月期の法定実効税率は41.0%です。
2009 年 3月期の法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間の差異は法定実効税率の100 分の5以
下であるため、法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の差異の主要な項目別内訳についての注記は省
略しています。
2010 年および 2011年 3月期の法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間の差異の原因となった
主要な項目別の内訳は以下の通りです。
法定実効税率
(調整)
交際費等永久に損金に算入されない項目
受取配当金等永久に益金に算入されない項目
未実現利益
子会社再編に係る影響
税額控除
在外子会社との実効税率差異
評価性引当額の増減
その他
税効果会計適用後の法人税等の負担率
92 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2010
2011
41.0%
1.2
(1.5)
(11.6)
4.5
(4.4)
(7.1)
(1.3)
(0.5)
20.3%
41.0%
1.7
4.4
6.5
(0.6)
(3.8)
(4.5)
(0.5)
2.2
46.4%
連結財務諸表に対する注記
2010 年および 2011年 3月31日現在の繰延税金資産および繰延税金負債(流動および固定)の発生の主な要因別の内
訳は以下の通りです。
百万円
繰延税金資産
たな卸資産
減価償却費
たな卸資産、固定資産等の未実現利益
未払費用
退職給付引当金
賞与引当金
金融資産評価損
税務上の繰越欠損金
返品調整引当金
未払事業税等
その他
繰延税金資産小計
評価性引当額
繰延税金資産合計
繰延税金負債
のれんおよびその他の無形固定資産
買換資産圧縮積立金
その他有価証券評価差額金
資産除去債務に対する除去費用
子会社の留保利益金
その他
繰延税金負債合計
繰延税金資産(純額)
2010
千米ドル
(注1)
2011
2011
¥ 8,406
7,998
7,613 4,819
4,637
4,592 2,918
2,802
1,670 831
2,751
49,037
(4,739)
¥ 8,542 7,015 6,818 4,777 6,294 4,240 5,076 3,146 1,562 570 3,915 51,955 (4,131)
$102,730
84,366
81,996
57,450
75,695
50,992
61,046
37,835
18,785
6,855
47,084
624,834
(49,681)
¥44,298 ¥47,824 $575,153
¥ 2,507 996 709 —
359 577
¥ 5,148 ¥39,150
¥28,158 967 258 124 621 653 ¥30,781 ¥17,043 $338,641
11,630
3,103
1,491
7,468
7,854
$370,187
$204,966
10. 偶発債務
(株)資生堂は、エス・ディー・エル(株)が保証している得意先のリース債務に対し、2010 年 3月31日現在で11百万円保
証しています。
11. 純資産
日本の法規では、新株への払込金の全額を資本金とすることが求められています。しかし、会社は、取締役会決議によ
り、新株の価額の2分の1を超えない額を払込剰余金と指定することができ、これは資本剰余金の中に含まれる資本準備
金に計上されます。
会社法の下では、剰余金の配当を行う場合、配当の10%に相当する額、または資本金の25%に相当する額が資本準備
金と利益準備金の合計額を超える時はその超過額のうち、いずれか少ないほうの金額を、資本準備金または利益準備金
として計上しなければなりません。利益準備金は、連結貸借対照表の利益剰余金に含まれています。
資本準備金と利益準備金は、欠損を埋めるために使用すること、資本金に組み入れることについては、いずれも通常は
株主総会の決議を要します。
資本準備金と利益準備金は配当として分配することができません。すべての資本準備金とすべての利益準備金は、一定
の条件のもとで、それぞれその他資本剰余金とその他利益剰余金に振り替えることができます。
会社が配当として分配し得る限度額は、会社法に従い、
(株)資生堂の個別財務諸表に基づいて算出されます。
会社は株主総会決議に基づく期末配当とは別に、その期に随時配当を行うことができます。次の基準などを満たした
会社の場合、会社の定款に定めがあれば、取締役会決議に基づき配当を行うことができます。
(1)取締役会設置会社である。
( 2)会計監査人設置会社である。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
93
(3)監査役会設置会社である。
(4)取締役の任期が通常の2年間ではなく、定款で1年間と定められている。
中間配当についても、会社の定款に定めがある場合は、1年に1回、取締役会決議に基づき実施することができます。
利益剰余金から差し引かれた現金配当は、当期に支払われた配当金を意味し、前期に係る期末配当と当期に承認され
た中間配当から成り立っています。
当期の利益処分はその期間の連結財務諸表には反映されず、その後株主総会による承認が得られた期において計上
されます。
2011年 3月31日現在の利益 剰余金は、2011年 6月24日開催の株主総会で承認された、期末現金配当9,949百 万円
(119,651千米ドル)、1株当たり25.0円(0.30米ドル)を含んでいます。
12. ストック・オプション
2011年 3月31日における、付与済みストック・オプションに関する要約情報は以下の通りです。
① 2002年 6月27日に株主総会で承認されたストック・オプション
2002年7月16日に
付与されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
578,000株
196,000株
1,669円
2004年7月1日~2012年6月26日
計
578,000株
196,000株
② 2003年 6月27日に株主総会で承認されたストック・オプション
2003 年7月31日に
付与されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
878,000株
105,000株
1,287円
2005年7月1日~2013年6月26日
計
878,000株
105,000株
③ 2004 年 6月29日に株主総会で承認されたストック・オプション
2004 年7月26日に
付与されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
1,004,000株
461,000株
1,427円
2006年7月1日~2014年6月28日
計
1,004,000株
461,000株
④ 2005 年 6月29日に株主総会で承認されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
2005 年7月28日に
付与されたストック・オプション
2005 年7月28日に
付与されたストック・オプション
408,000株
5,000株
1円
2008年7月1日~2011年6月30日
261,000株
246,000株
1,481円
2007年7月1日~2015年6月28日
計
669,000株
251,000株
⑤ 2006 年 6月29日に株主総会で承認、2006 年7月31日に取締役会で決議されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
2006 年 8月23日に
付与されたストック・オプション
2006 年 8月23日に
付与されたストック・オプション
67,000株
67,000株
2,300円
2008年8月1日~2016年7月30日
74,000株
74,000株
2,300円
2008年8月1日~2016年7月30日
計
141,000株
141,000株
⑥ 2007年 6月26日に株主総会で承認、2007年7月31日に取締役会で決議されたストック・オプション
2007年 8月23日に
付与されたストック・オプション
2007年 8月23日に
付与されたストック・オプション
2007年 8月23日に
付与されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
15,000株
81,000株
未行使残高
1,000株
81,000株
行使価格
1円
2,615円
行使期間
2008年7月1日~2011年6月30日 2009年8月1日~2017年7月30日
78,000株
78,000株
2,615円
2009年8月1日~2017年7月30日
94 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
計
174,000株
160,000株
連結財務諸表に対する注記
⑦ 2008 年 6月25日に株主総会で承認、2008 年7月31日に取締役会で決議されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
2008 年 8月21日に
付与されたストック・オプション
2008 年 8月21日に
付与されたストック・オプション
46,000株
46,000株
1円
2011年8月1日~2018年7月30日
40,000株
40,000株
1円
2011年8月1日~2018年7月30日
計
86,000株
86,000株
⑧ 2009 年 6月24日に株主総会で承認、2009 年7月31日に取締役会で決議されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
2009 年 8月28日に
付与されたストック・オプション
2009 年 8月28日に
付与されたストック・オプション
81,400株
81,400株
1円
2012年8月1日~2019年7月31日
53,500株
53,500株
1円
2012年8月1日~2019年7月31日
計
134,900株
134,900株
⑨ 2010 年 6月25日に株主総会で承認、2010 年7月29日に取締役会で決議されたストック・オプション
付与済みオプション株式数
未行使残高
行使価格
行使期間
2010 年 8月30日に
付与されたストック・オプション
2010 年 8月30日に
付与されたストック・オプション
59,100株
59,100株
1円
2013年8月1日~2020年7月31日
46,800株
46,800株
1円
2013年8月1日~2020年7月31日
計
105,900株
105,900株
13. 研究開発費
研究開発費は支出時に費用処理しています。
2009 年、2010 年および 2011年 3月期の販売費および一般管理費に含まれる研究開発費は、それぞれ15,243百万円、
(173,987千米ドル)です。なお、当期総製造費用に含まれる研究開発費はありません。
14,460百万円および14,467百万円
14. 関連当事者
2009 年 3月期より、
「関連当事者の開示に関する会計基準」
(企業会計基準第11号 2006 年10月17日)および「関連当
事者の開示に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第13号 2006 年10月17日)を適用しています。この
結果、従来の開示対象範囲に加えて、
(株)資生堂と重要な子会社の役員との間の取引が開示対象に追加されています。
(株)資生堂は、2009 年 3月期において、当社子会社であるボーテ・プレステージ・インターナショナルのプレジデント
アンドCEOのレミー・ゴメス氏に、アドバイザリーサービス料14百万円の支払いを行いました。2009 年 3月期末において、
当該アドバイザリーサービス費用に係る前払費用が7 百万円計上されています。アドバイザリーサービス料の支払いについ
ては、一般通例に従い決定しています。
(株)資生堂は、2011年 3月期において、当社取締役執行役員専務である原田康彦氏から、新株予約権(ストックオプ
ション)の行使に伴い11百万円の支払いを受けました。 15. リース取引
(株)資生堂および連結子会社は、借主、貸主の立場で各種リース契約を締結しています。
従来、通常の賃貸借取引に係る会計処理によっていた、所有権が借主に移転すると認められるもの以外のファイナン
ス・リース取引については、2009 年 3月期より通常の売買取引に係る会計処理によっています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
95
2009 年、2010 年および 2011年 3月期のオペレーティング・リース取引の内容は以下の通りです。
百万円
①(株)資生堂または連結子会社が借主側
となる取引未経過リース料
1年内
1年超
②(株)
資生堂または連結子会社が貸主側
となる取引未経過リース料
1年内
1年超
千米ドル(注 1)
2009
2010
¥2,655
¥2,411
¥ 3,910 $ 47,023
5,944
¥8,599
6,176
¥8,587
19,532 ¥23,442 234,901
$281,924
—
—
—
¥ 214
6,093
¥6,307
¥ 214 5,886 ¥6,100 $ 2,574
70,788
$73,362
2011
2011
16. デリバティブ取引関係
2010 年 3月31日現在、デリバティブ取引に係る契約額等、時価および評価損益については以下の通りです。
① ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
百万円
2010
種類
為替予約取引:売建 米ドル
英ポンド
豪ドル
為替予約取引:買建 米ドル
ユーロ
英ポンド
金利スワップ取引:受取変動/支払固定
契約額等
うち1年超
¥4,453 1,976 88 1,174 165 223 1,841 —
時価
—
—
—
—
—
—
¥1,841 —
評価損益
¥4,601 1,981 91 1,207 160 215 (124)
—
¥(148)
(5)
(3)
33
(5)
(8)
(124)
¥(260)
② ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
百万円
2010
種類
金利スワップ取引:受取変動/支払固定
契約額等
うち1年超
¥25,650 ¥24,850 時価
¥(474)
2011年 3月31日現在、デリバティブ取引に係る契約額等、時価および評価損益については以下の通りです。
① ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
百万円
2011
種類
為替予約取引:売建 米ドル
英ポンド
豪ドル
為替予約取引:買建 米ドル
ユーロ
金利スワップ取引:受取変動/支払固定
96 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
契約額等
うち1年超
時価
評価損益
¥4,498 1,300 62 1,198 425 —
—
—
—
—
¥4,522 1,288 66 1,219 423 ¥(24)
12
(4)
21
(2)
1,629 —
—
—
(41)
—
(41)
¥(39)
連結財務諸表に対する注記
千米ドル
(注1)
2011
種類
契約額等
為替予約取引:売建 米ドル
英ポンド
豪ドル
為替予約取引:買建 米ドル
ユーロ
金利スワップ取引:受取変動/支払固定
うち1年超
時価
評価損益
$54,095 15,634 746 14,408 — — — —
$54,384 15,490 794 14,660 $(289)
144
(48)
252
5,111 19,591 — —
—
—
5,087 (493)
— (24)
(493)
$(469)
② ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
百万円
2011
種類
金利通貨スワップ取引:米ドル受取変動/日本円支払固定
金利スワップ取引:受取変動/支払固定
契約額等
うち1年超
¥25,000 24,850 ¥25,000 24,050 時価
¥(2,149)
(407)
千米ドル
(注1)
2011
種類
契約額等
金利通貨スワップ取引:米ドル受取変動/日本円支払固定 金利スワップ取引:受取変動/支払固定
うち1年超
$300,661 298,857 $300,661 289,236 時価
$(25,845)
(4,895)
17. 減損損失
(株)資生堂および連結子会社は事業用資産において、事業区分をもとに、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最
小の単位ごとに、遊休資産等においては、個別物件単位で資産のグルーピングを行っています。その結果、事業用資産につ
いては、主に収益性の低下により、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額をその他の損益に計上しています。遊
休資産等については、主に売却が予定されているグループの資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額をそ
の他の損益に計上しています。海外は、主にインドネシア子会社等の収益性の低下による減少額をその他損益に計上してい
ます。なお、回収可能価額は正味売却価額により算出し、主に売却予定価額をもとに評価しています。
2009 年、2010 年および 2011年 3月期の減損損失は以下の通りです。
百万円
国内
事業用資産
土地
建物および構築物等
機械装置および器具備品
遊休資産等
土地
建物および構築物等
機械装置および器具備品
海外
長期前払費用
建物および構築物等
機械装置および器具備品
のれん
商標権
千米ドル(注 1)
2009
2010
¥ 168 605 —
¥ 592 2,725 —
—
¥ 79 1
—
$ 950
12
291 58 —
82 59 — 11 8
10 133
96
120
—
23 —
1,653 3,275 ¥6,073 —
11 —
—
—
¥3,469 82 264 3
—
—
¥458 986
3,175
36
—
—
$5,508
2011
2011
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
97
18. 構造改革費用
構造改革費用は、収益性向上を意図し、利益貢献度の低いブランド、事業領域の縮小・撤退など徹底したスリム化を推
進したことによって発生した事業撤収損です。
(株)資生堂ビューテックの清算関連費用2,689百万円、
「ザ・ギンザ」ブティック事業からの撤
2009 年 3月期の内訳は、
退費用2,465百万円などです。
19. 災害による損失
災害による損失は、東日本大震災による損失であり、主として災害損失引当金繰入額 923百万円、災害による操業休止
期間中の固定費 215百万円などです。
20. セグメント情報
( 1 )報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分
の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社は、主に化粧品を製造・販売しており、国内・グローバルのエリア別を基本とした事業部制のもと、本社事業部が各
事業の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。よって、当社のセグメントはエリア別で構成されており、
「国
内化粧品事業」、
「グローバル事業」の2つを報告セグメントとしています。
「国内化粧品事業」は、国内の化粧品事業(化粧品、化粧用具、トイレタリー製品の製造・販売)、ヘルスケア事業(美
容食品、一般用医薬品の製造・販売)、ノン資生堂・通販化粧品の製造・販売等を行っています。
「グローバル事業」は、
海外の化粧品事業(化粧品、化粧用具、トイレタリー製品の製造・販売)および国内外のプロフェッショナル事業(理・美
容製品の製造・販売等)を行っています。
( 2 )報告セグメントごとの売上高、利益または損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、
「2.重要な会計方針」における記載と概ね同一です。報告セグメン
トの利益は営業利益ベースの数値です。なお、セグメント間の取引価格および振替価格は市場実勢を勘案して当社が希
望価格を提示し、価格交渉の上で決定しています。
( 3 )報告セグメントごとの売上高、利益または損失、資産その他の項目の金額に関する情報
2009 年、2010 年および 2011年 3月期のセグメント情報は以下の通りです。
百万円
売上高
外部顧客に対する売上高
セグメント間の内部売上高または振替高
売上高計
セグメント利益*1、*2、*3
セグメント資産*4
その他の項目
減価償却費
のれんの償却額
有形固定資産および無形固定資産の増加額
98 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
2009
国内化粧品
事業
グローバル
事業
その他*5
¥397,535 4,943 ¥402,478 ¥ 32,747 ¥249,395 ¥275,718 2,873 ¥278,591 ¥ 15,421 ¥229,274 ¥17,003 11,601 ¥28,604 ¥ 1,469 ¥50,522 ¥690,256 19,417 ¥709,673 ¥ 49,637 ¥529,191 —
¥(19,417)
¥(19,417)
¥
277 ¥ 77,378 ¥690,256
—
¥690,256
¥ 49,914
¥606,569
¥ 17,087 ¥
142 ¥ 15,846 ¥ 9,540 ¥ 1,420 ¥ 13,068 ¥ 1,625 —
¥ 476 ¥ 28,252 ¥ 1,562 ¥ 29,390 ¥
¥ 28,289
¥ 1,562
¥ 29,462
計
調整額*6
¥
37 —
72 連結財務諸表
計上額
連結財務諸表に対する注記
百万円
2010
売上高
外部顧客に対する売上高
セグメント間の内部売上高または振替高
売上高計
セグメント利益*1、*2、*3
セグメント資産*4
その他の項目
減価償却費
のれんの償却額
有形固定資産および無形固定資産の増加額
国内化粧品
事業
グローバル
事業
その他*5
¥383,780 1,507 ¥385,287 ¥ 38,948 ¥232,607 ¥250,388 2,716 ¥253,104 ¥ 9,536 ¥429,729 ¥10,033 6,225 ¥16,258 ¥ 1,704 ¥48,660 ¥644,201 10,448 ¥654,649 ¥ 50,188 ¥710,996 —
¥(10,448)
¥(10,448)
¥
163 ¥ 64,450 ¥644,201
—
¥644,201
¥ 50,351
¥775,446
¥ 16,493 ¥
142 ¥ 17,935 ¥ 8,466 ¥
899 ¥ 10,422 ¥ 1,339 —
¥ 247 ¥ 26,298 ¥ 1,041 ¥ 28,604 ¥
¥ 26,350
¥ 1,041
¥ 28,658
計
調整額*6
¥
52 —
54 連結財務諸表
計上額
百万円
2011
売上高
外部顧客に対する売上高
セグメント間の内部売上高または振替高
売上高計
セグメント利益*1、*2、*3
セグメント資産*4
その他の項目
減価償却費
のれんの償却額
有形固定資産および無形固定資産の増加額
国内化粧品
事業
グローバル
事業
その他*5
¥358,408 1,829 ¥360,237 ¥ 33,573 ¥212,505 ¥302,633 2,480 ¥305,113 ¥ 9,026 ¥424,427 ¥ 9,660 6,428 ¥16,088 ¥ 1,838 ¥47,439 ¥670,701 10,737 ¥681,438 ¥ 44,437 ¥684,371 —
¥(10,737)
¥(10,737)
¥
21 ¥ 55,813 ¥670,701
—
¥670,701
¥ 44,458
¥740,184
¥ 15,351 ¥
142 ¥ 11,175 ¥ 12,918 ¥ 5,062 ¥ 15,686 ¥ 1,205 —
¥ 350 ¥ 29,474 ¥ 5,204 ¥ 27,211 ¥
¥ 29,511
¥ 5,204
¥ 27,211
計
調整額*6
37 —
—
連結財務諸表
計上額
千米ドル
(注1)
2011
売上高
外部顧客に対する売上高
セグメント間の内部売上高または振替高
売上高計
セグメント利益*1、*2、*3
セグメント資産*4
その他の項目
減価償却費
のれんの償却額
有形固定資産および無形固定資産の増加額
国内化粧品
事業
グローバル
事業
$4,310,379 21,996 $4,332,375 $ 403,764 $2,555,682 $3,639,603 29,826 $3,669,429 $ 108,551 $5,104,354 $ 184,618 $ 155,358 $
1,708 $ 60,878 $ 134,396 $ 188,647 その他*5
$116,176 77,306 $193,482 $ 22,105 $570,523 計
$8,066,158 129,128 $8,195,286 $ 534,420 $8,230,559 $ 14,492 $ 354,468 — $ 62,586 $ 4,209 $ 327,252 調整額*6
—
$(129,128)
$(129,128)
$
252 $ 671,233 $
連結財務諸表
計上額
$8,066,158
—
$8,066,158
$ 534,672
$8,901,792
445 $ 354,913
— $ 62,586
— $ 327,252
*1 2009年3月期より「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」を適用しています。この変更に伴い、従来の方
法に比較して、2009年3月期のセグメント利益は、グローバル事業において1,095百万円減少しています。
*2 2009年3月期より「リース取引に関する会計基準」および「リース取引に関する会計基準の適用指針」を適用しています。この変更に伴い、従来
の方法に比較して、2009年3月期のセグメント利益は、国内化粧品事業において196百万円増加、グローバル事業において76百万円増加および
その他において13百万円増加しています。
*3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っています。
*4 従来、繰延税金資産は全社資産としていましたが、各セグメントにおいて管理すべき資産をより明確にするため、2009年3月期より各セグメントの資
産としています。
*5 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、フロンティアサイエンス事業(化粧品原料、医療用医薬品、美容医療用化
粧品等の製造・販売)および飲食業を含んでいます。
*6 調整額は以下の通りです。
(1)
セグメント利益の調整額は、
セグメント間取引消去です。
(2)
セグメント資産のうち、調整額の項目に含めた、2009年、2010年および2011年3月期の全社資産の金額は、
それぞれ79,411百万円、66,887
百万円、58,430百万円
(702,706千米ドル)
であり、主に報告セグメントに帰属しない当社の金融資産
(現金および預金、有価証券、投資有価
証券等)
および管理部門に係る資産です。
また、調整額の項目に含めた、2009年、2010年および2011年3月期のセグメント間消去は、
それぞれ2,035百万円、2,437百万円、2,617百万
です。
円
(31,473千米ドル)
(3)
減価償却費の調整額は、全社資産およびセグメント間消去に係る減価償却費です。
なお、減価償却費、有形固定資産および無形固定資産の増加額には、長期前払費用が含まれています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
99
(4 )
2009年および2010年3月期の有形固定資産および無形固定資産の増加額の調整額は全社資産の増加額です。
(追加情報)
2011年3月期より、
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(企業会計基準17号 2009年3月27日)
および「セグメント情報等の開示に関
を適用しています。
する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第20号 2008年3月21日)
また、2009年および2010年3月期のセグメント情報については、
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
および「セグメント情報等の開示に
関する会計基準の適用指針」
で要求されている事項に準拠して組替表示を行っています。
(関連情報)
2011年 3月期
① 製品およびサービスごとの情報
記載を省略しています。
当社は化粧品事業に係る外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、
② 地域ごとの情報
Ⅰ 売上高
百万円
日本
2011
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
うち、米国
¥382,866 ¥87,590 合計
うち、中国
¥77,430 ¥78,193 ¥122,052
¥81,016 ¥670,701
千米ドル
(注1)
日本
2011
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
うち、米国
$4,604,522 $1,053,398 合計
うち、中国
$931,209 $940,385 $1,467,853 $974,336 $8,066,158
* 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しています。
Ⅱ 有形固定資産
百万円
日本
2011
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
合計
うち、米国
¥93,345 ¥13,220 ¥13,150 ¥7,583 ¥17,073 ¥131,221
千米ドル
(注1)
日本
2011
アメリカ
欧州
アジア・オセアニア
合計
うち、米国
$1,122,610 $158,990 $158,148 $91,196 $205,328 ( 4 )報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報
2011年3月期
百万円
2011
国内化粧品事業
減損損失
$1,578,124
¥102 グローバル事業
その他
¥354 ¥2 計
¥458
千米ドル
(注1)
2011
国内化粧品事業
減損損失
$1,227 グローバル事業
その他
$4,257 ( 5 )報告セグメントごとののれんの未償却残高に関する情報
2011年3月期
$24 計
$5,508
百万円
2011
国内化粧品事業
当期末残高
¥1,561 グローバル事業
その他
¥92,562 —
計
¥94,123
千米ドル
(注1)
2011
国内化粧品事業
当期末残高
100 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
$18,773 グローバル事業
$1,113,193 その他
—
計
$1,131,966
連結財務諸表に対する注記
21. 企業結合
2010 年 3月期
(パーチェス法の適用)
(株)資生堂は、2010 年 3月8日、買収子会社であるBlush Acquisition Corporation(以下「BAC」)を通じてBare
Escentuals, Inc.(ベアエッセンシャルインコーポレーテッド 以下「ベアエッセンシャル」)の発行済株式を現金による公
開買付けにより取得し、ベアエッセンシャルを子会社としました。ベアエッセンシャル取得に続き、BACは、BACを消滅会
社、ベアエッセンシャルを存続会社とするデラウェア州法に基づく簡易合併を行いました。
( 1 )被取得企業の名称および事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形
式ならびに結合後企業の名称および取得した議決権比率
① 被取得企業の名称および事業の内容
被取得企業の名称:Bare Escentuals, Inc.
事業の内容:化粧品等の販売
② 企業結合を行った主な理由
新たなブランド価値の獲得、流通・販売・研究開発面での強力な補完関係、北米における事業基盤の強化のため。
③ 企業結合日
現金を対価とする株式取得:2010年3月8日
吸収合併:2010年3月12日
④ 企業結合の法的形式ならびに結合後企業の名称
企業結合の法的形式:現金を対価とする株式取得および吸収合併(BACを消滅企業、ベアエッセンシャルを存続企業
とする吸収合併)
結合後企業の名称:名称の変更はありません。
⑤ 取得した議決権比率
100.0%
( 2 )被取得企業の取得原価およびその内訳
被取得企業の取得原価のうち、現金を対価とする公開買付け等による株式取得額およびベアエッセンシャル従業員に
対するストックオプションの買取費用等は約17.4 億米ドルです。なお取得原価の一部に条件付取得対価もありますが、米
国会計基準に基づき条件付取得対価は公正価値の測定中です。
( 3 )契約に規定される条件付取得対価の内容およびそれらの今後の会計方針
① 条件付取得対価の内容
旧経営陣へ2012年3月期より3年間にわたり、契約書に定められた計算式に基づき、EBITDAが一定基準を超過した
場合に追加の支払いが発生することとなっています。
② 会計方針
上記条件付取得対価の変動部分につきましては、米国会計基準に基づき認識する予定です。
( 4 )発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産および引き受けた負債の額等
2010年3月期において、ベアエッセンシャル取得および合併に伴い取得した資産および引き受けた負債のうち、
企業結
合日における識別可能な資産および負債の特定ならびに時価の測定が未了であるため、
取得原価の配分は完了していま
せん。従って、
暫定的な会計処理を行っており、
当該子会社への投資額約17.4億米ドルを子会社・関連会社への投資に含
めて連結貸借対照表に計上しています。
なお、ベアエッセンシャルの損益は連結損益計算書には含めていません。
2011年 3月期
(パーチェス法の適用)
連結子会社であるベアエッセンシャルについて、2010 年 3月期には取得原価の配分が完了しておらず暫定的な会計処
理を行っておりましたが、2011年 3月期に取得原価の配分が完了いたしました。
( 1 )被取得企業の取得原価およびその内訳
現金を対価とする公開買付け等による株式取得額
ベアエッセンシャル従業員に対するストックオプションの買取費用
条件付取得対価
取得原価
1,633,296千米ドル
66,970 千米ドル
30,411千米ドル
1,730,677千米ドル
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011 101
連結財務諸表に対する注記
( 2 )契約に規定される条件付取得対価の内容およびそれらの今後の会計方針
① 条件付取得対価の内容
2012年 3月期より、契約に基づき一定期間経過後に支払われるものです。
② 会計方針
上記条件付取得対価につきましては、米国会計基準に基づき認識しました。
( 3 )発生したのれんの金額、発生原因、償却方法および償却期間
① 発生したのれんの金額
91,503百万円
② 発生原因
今後の事業展開によって期待されるシナジーを含む将来の超過収益力から発生したものです。
③ 償却方法および償却期間
20 年間にわたる定額法
( 4 )連結財務諸表に含まれる被取得企業の業績の期間
2010 年 3月8日から2010 年12月31日まで
( 5 )企業結合日に受け入れた資産および引き受けた負債の額ならびにその主な内訳
流動資産
34,690百万円
固定資産 179,800百万円
資産 計 214,490百万円
流動負債
固定負債
負債 計
5,701百万円
52,305百万円
58,006百万円
取得原価の配分において、のれん以外の無形固定資産に配分されたもののうち、主なものは下記の通りです。
顧客関連無形資産(10 年償却)
商標権(主に非償却) 40,300百万円
39,985百万円
(注)上記邦貨額は企業結合日の為替レート(90.42円/米ドル)で換算しています。従って、連結貸借対照表ののれんに含まれている当
該企業結合により発生したのれんの金額は、
(3)①に記載の発生したのれんの金額とは一致していません。
( 6 )企業結合が2011年3月期開始の日に完了したと仮定した場合の2011年3月期の連結損益計算書に
及ぼす影響の概算額
売上高
8,099百万円
営業損失
190百万円
(概算額の算定方法および重要な前提条件)
① 本企業結合が期首に完了したと仮定して算出された売上高および損益情報と当社の連結損益計算書における
売上高および損益情報との差額を、影響の概算額としています。なお、当該差額には期首から企業結合日までの
期間に相当する顧客関連無形資産およびのれんの償却額が計上されており、ベアエッセンシャルが本企業結合
にあたり任命したファイナンシャル・アドバイザーに支払ったアドバイザリー費用および期首から企業結合日まで
の期間にベアエッセンシャルが従業員に対して支払ったストックオプションの買取費用は含まれていません。
② 上記邦貨額は2010年1月1日から2010年3月31日までの期間に基づく期中平均為替レート(90.71円/米ドル)で
換算しています。
③ 当該注記は監査証明を受けていません。
22. 後発事象
該当事項はありません。
102 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
独立監査人の監査報告書(訳文)
株式会社資生堂
取締役会及び株主 御中
私どもは、添付の株式会社資生堂及び連結子会社の2011年及び 2010 年 3月31日現在の日本円で表示された連結貸借対照
表、2011年 3月31日をもって終了する3 期間の連結会計年度の連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッ
シュ・フロー計算書、並びに2011年 3月31日をもって終了する2 期間の連結会計年度の連結包括利益計算書(すべて日本円で表
示)について監査を行った。この連結財務諸表の作成責任は経営者にあり、私どもの責任は、独立の立場から私どもの監査に基
づいて連結財務諸表に対する意見を表明することにある。
私どもは、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。これらの基準は、私どもに連結
財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかについて合理的な保証を得ることを求めている。監査は、財務諸表上の金額及び
開示の基礎となる証拠の試査による検証を含んでいる。また、監査は、経営者が採用した会計方針及び経営者によって行われた
見積の評価並びに全体としての連結財務諸表の表示を検討することも含んでいる。私どもは、監査の結果として意見表明のため
の合理的な基礎を得たと判断している。
私どもは、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社資生
堂及び連結子会社の2011年及び 2010 年 3月31日現在の財政状態並びに2011年 3月31日をもって終了する3 期間の連結会計年
度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。
2011年 3月31日現在及び同日をもって終了した連結会計年度の連結財務諸表は、読者の便宜のために米ドルに換算されてい
る。監査は日本円から米ドルへの換算を含んでおり、連結財務諸表に対する注記1に記載された方法に基づいて換算されている。
KPMG AZSA LLC
日本、東京
2011年 6月24日
(注)
この独立監査人の監査報告書(訳文)は、英文連結財務諸表に対して受領した Independent Auditors’Reportを翻訳したものである。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011 103
株式の状況
( 2011年 3月31日現在)
株主数
68,266名
発行済株式総数
400,000,000 株(うち自己株式 2,052,792 株)
大株主
所有者別株式数比率
株主名
持株数
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
株式会社みずほ銀行
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
ザ バンク オブ ニューヨーク メロン アズ デポジタリー
バンク フォー デポジタリー レシート ホルダーズ
朝日生命保険相互会社
日本興亜損害保険株式会社
資生堂従業員自社株投資会
三井住友海上火災保険株式会社
日本生命保険相互会社
SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT - TREATY CLIENTS
持株比率
27,899千株
23,526
16,964
7.01 %
5.91
4.26
12,072
11,744
11,277
9,055
8,000
7,798
6,815
3.03
2.95
2.83
2.27
2.01
1.95
1.71
その他国内法人
自己株式
5.18%
0.51%
証券会社
2.44%
外国人
25.81%
金融機関
43.14%
個人
22.90%
※ 持株比率は自己株式を控除した発行済株式の総数で算出しています。
※ ザ バンク オブ ニューヨーク メロン アズ デポジタリー バンク フォー デポジタリー レシート ホルダーズは、
ADR(米国預託証券)の預託銀行であるバンク オブ ニューヨーク メロンの株式名義人です。
株価・出来高推移
(円)
株価
3,500
売買高
株式保有比率推移
(日経平均)
日経平均株価終値
18,000
3,000
14,000
2,500
10,000
6,000
2,000
(千株)
1,500
120,000
1,000
80,000
500
40,000
0
4月
2008 年
3月
2009 年
3月
2010 年
3月
2011年
0
(株式数比率)
外国人
個人
金融機関
証券会社
その他国内法人
自己株式
(株主数比率)
外国人
個人
金融機関
証券会社
その他国内法人
自己株式
2010
25.75
19.34
44.37
2.47
5.05
2.98
2011
25.81
22.90
43.14
2.44
5.18
0.51
2010
1.12
97.12
0.36
0.09
1.28
0.00
2011
0.76
97.80
0.27
0.11
1.03
0.00
株価指標
株価収益率(PER)
株価純資産倍率(PBR)
18000
(倍)
60
14000
配当利回り
(倍)
4.0
3.5
10000
44.8
39.3
6000
40
2008 年 4 月
2009 年 3 月
30.6
29.9
2.5
2010 年 3 月
2.8
2011 年 3 月
2.3
2.5
2.0
2.0
1.9
1.7
1.0
1.0
2007
2008
2009
2010
2011(3月末)
注: 株価収益率=期末株価÷1株当たり当期純利益
104 株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011
0.0
3.5
3.0
3.0
24.0
20
0
(%)
4.0
2007
2008
2009
2010
2011(3月末)
注: 株価純資産倍率=期末株価÷1株当たり純資産
0.0
1.3
2007
1.3
2008
2009
2010
2011(3月末)
注: 配当利回り=1株当たり配当金÷期末株価
会社情報
( 2011年 3月31日現在)
本社
株式会社 資生堂
上場証券取引所
〒104-0061
米国預託証券:米国店頭市場
東京都中央区銀座七丁目5番 5号
電話:03-3572-5111
米国預託証券
普通株:東京証券取引所
(証券コード 4911)
CUSIP: 824841407
創業
1872年9月17日
設立
1927年 6月24日
比率
(米国預託証券:普通株):1:1
取引所:
店頭市場
コード:
SSDOY
発行銀行: The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street, 22W
New York, NY 10286, U.S.A.
資本金
64,506,725,140円
会計監査人
従業員数
有限責任 あずさ監査法人
[12,977名]
31,310 名
株主名簿管理人
※ 従業員数は就業人員数であり、臨時 従業員数は [ ] 内に年間平均人員
数を外数で記載しています。なお、臨時従業員には、パートタイマーおよび
嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いています。
〒105-8574
東京都港区芝三丁目33 番1号
中央三井信託銀行株式会社
決算日
3月31日
定時株主総会
毎年 6月に東京で開催
お問い合わせ先
〒105-8310 東京都港区東新橋一丁目6番2号
株式会社 資生堂 IR部
電話:03-6218-5530
ファックス:03-6218-5544
メールアドレス:[email protected]
ウェブサイト
企業サイト
http://www.shiseido.co.jp/
IRサイト
http://www.shiseido.co.jp/corp/ir/
このマークは株式会社ツバルの森が提供する太陽光発電によるグリーン
電力証書の利用を証するものです。
また、冊子の印刷時に使用する電力については、C O(
2 二酸化炭素)
を排出しない太陽光
エネルギーで発電されたグリーン電力を利用し、地球の温暖化対策に貢献しています。
株式会社資生堂 アニュアルレポート 2011 105
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